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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】作業用車両
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/22 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
E02F9/22 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020172363
(22)【出願日】2020-10-13
(65)【公開番号】P2022063943
(43)【公開日】2022-04-25
【審査請求日】2022-09-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000150154
【氏名又は名称】株式会社竹内製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏一
(72)【発明者】
【氏名】奥谷 俊平
(72)【発明者】
【氏名】粂内 健吾
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-336115(JP,A)
【文献】特開平11-269941(JP,A)
【文献】特開平10-088626(JP,A)
【文献】特開2012-097544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/22
E02F 3/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、前記車体に揺動可能に連結される第1ブームと、前記第1ブームに揺動可能に連結される第2ブームと、前記第2ブームに揺動可能に連結されるアームと、前記アームに連結される先端部装置と、を備えて所定の作業を行う作業用車両であって、
前記アームの操作を行うアーム操作部と、
前記第2ブームの操作を行う第2ブーム操作部と、
前記第2ブーム操作部の操作有無にかかわらず、前記アーム操作部の操作量に応じて前記アームおよび前記第2ブームを動作させる第2ブーム追従機構と、
前記第2ブーム追従機構の作動のオン・オフを行う追従スイッチと、を備え、
前記第2ブーム追従機構は、前記アーム操作部の操作量を検出するアーム操作量検出機構と、前記アーム操作量検出機構によって検出された操作量に応じて前記第2ブームの動作量を算定すると共に動作信号を前記第2ブームの動作用の電磁比例減圧弁に送信する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、
前記アームの動作量に応じてあらかじめ設定されて記憶された前記第2ブームの最適な動作量に基づいて、
前記先端部装置を操縦室から最も遠い最遠位置へ到達させる操作を行う際に、前記アームが上げ方向の最大変位位置となる場合に前記第2ブーム操作部の操作有無にかかわらず前記第2ブームが上げ方向の最大変位位置となるように制御を行うと共に、
前記先端部装置を前記操縦室から最も近い最近位置へ到達させる操作を行う際に、前記アームが下げ方向の最大変位位置となる場合に前記第2ブーム操作部の操作有無にかかわらず前記第2ブームが下げ方向の最大変位位置となるように制御を行う構成であること
を特徴とする作業用車両。
【請求項2】
前記アーム操作量検出機構は、前記アーム操作部からアーム操作用コントロールバルブに至るアームクラウド用パイロット油路およびアームダンプ用パイロット油路に配設されて油圧を検出する第1油圧センサおよび第2油圧センサを有すること
を特徴とする請求項1記載の作業用車両。
【請求項3】
前記アーム操作量検出機構は、前記アーム操作部の変位量を電気信号に変換して出力する信号発生部を有すること
を特徴とする請求項1記載の作業用車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧駆動される作業装置を備える作業用車両に関する。
【背景技術】
【0002】
作業用車両の例として、左右一対のクローラ、タイヤ等を有する走行装置と、走行装置上に旋回可能に設けられた車体と、車体の前部に設けられて油圧駆動されるブーム、アーム、および先端部装置(バケット等)を有する作業装置を備えるエクスカベータが従来より知られている。
【0003】
例えば、車体に連結されるブームが、相互に揺動可能に連結される第1ブームおよび第2ブームの二つを備えて構成されるエクスカベータが開発されている(特許文献1:特開2012-140834号公報参照)。この構成によれば、先端部装置の可動領域を広範囲に設定することができる一方、ブームをコンパクトに折り畳むことができるため、狭い場所での作業時や搬送時における利便性を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-140834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に例示されるような二つのブームを備える構成においては、第1ブーム、第2ブーム、アーム、および先端部装置の操作を、操縦室に配設される左右二つの操作レバー、および操作ペダルによって行わなければならず、作業時の操作が煩雑で、難しいという課題があった。そのため、オペレータが操縦に不慣れな場合には、先端部装置の可動領域の全域、特に、移動限界に近い領域を十分に使用して効率的な作業を行うことが難しいという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、操縦室の左右二つの操作レバーのみによっても、第1ブーム、第2ブーム、アーム、および先端部装置の操作を行うことが可能で、操作が容易な作業用車両を実現することを目的とする。
【0007】
本発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0008】
本発明に係る作業用車両は、車体と、前記車体に揺動可能に連結される第1ブームと、前記第1ブームに揺動可能に連結される第2ブームと、前記第2ブームに揺動可能に連結されるアームと、前記アームに連結される先端部装置と、を備えて所定の作業を行う作業用車両であって、前記アームの操作を行うアーム操作部と、前記第2ブームの操作を行う第2ブーム操作部と、前記第2ブーム操作部の操作有無にかかわらず、前記アーム操作部の操作量に応じて前記アームおよび前記第2ブームを動作させる第2ブーム追従機構と、前記第2ブーム追従機構の作動のオン・オフを行う追従スイッチと、を備え、前記第2ブーム追従機構は、前記アーム操作部の操作量を検出するアーム操作量検出機構と、前記アーム操作量検出機構によって検出された操作量に応じて前記第2ブームの動作量を算定すると共に動作信号を前記第2ブームの動作用の電磁比例減圧弁に送信する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記アームの動作量に応じてあらかじめ設定されて記憶された前記第2ブームの最適な動作量に基づいて、前記先端部装置を操縦室から最も遠い最遠位置へ到達させる操作を行う際に、前記アームが上げ方向の最大変位位置となる場合に前記第2ブーム操作部の操作有無にかかわらず前記第2ブームが上げ方向の最大変位位置となるように制御を行うと共に、前記先端部装置を前記操縦室から最も近い最近位置へ到達させる操作を行う際に、前記アームが下げ方向の最大変位位置となる場合に前記第2ブーム操作部の操作有無にかかわらず前記第2ブームが下げ方向の最大変位位置となるように制御を行う構成であることを要件とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第2ブーム操作部の操作有無にかかわらず、アーム操作部の操作量に応じて、アームおよび第2ブームを動作させることができる。したがって、二つのブームを備える作業用車両の操作を極めて容易に行うことが可能となる。その結果、先端部装置の可動領域の全域を十分に使用して効率的な作業を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る作業用車両の例を示す概略図(斜視図)である。
図2】本発明の実施形態に係る作業用車両の操縦室内部の構成例を示す概略図(斜視図)である。
図3】本発明の実施形態に係る作業用車両の油圧回路システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係る作業用車両1の例を示す概略図(左前部上方からの斜視図)である。また、図2は、本実施形態に係る作業用車両1の操縦室14の内部の構成例を示す概略図(前部上方からの斜視図)である。また、図3は、本実施形態に係る作業用車両1の油圧回路システムの概略図(回路図)である。なお、説明の便宜上、図中において矢印により上下、左右、前後の方向を示す場合がある。また、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0012】
はじめに、作業用車両1の全体構成について説明する。ここでは、タイヤを備えて走行するエクスカベータを例に挙げて説明するが、これに限定されるものではない。
【0013】
作業用車両1は、図1に示すように、左右一対のタイヤ30を有する走行装置12と、走行装置12上に旋回可能に設けられる車体10と、車体10等に支持されて設けられる作業装置(ショベル装置16、ブレード装置18等)と、を備えて構成されている。また、車体10には、中央部に作業者(オペレータ)が乗車して走行装置12や作業装置16、18等の操作を行う操縦室14が設けられ、後部に駆動源となるエンジン(一例として、水冷式ディーゼルエンジン)20が収容されるエンジンルーム19が設けられている。ただし、走行装置12は、左右一対のタイヤに限定されるものではなく、左右一対のクローラを備える構成としてもよい(不図示)。また、エンジンに代えてもしくはエンジンと共にバッテリーによって走行装置等を駆動する構成としてもよい(不図示)。
【0014】
次に、作業装置について説明する。先ず、ショベル装置16は、車体10の前部に上下(前後の成分も含む)に揺動可能に連結(枢結)される第1ブーム21と、第1ブーム21の先端部に上下(前後の成分も含む)に揺動可能に連結(枢結)される第2ブーム22と、第2ブーム22の先端部に上下(前後の成分も含む)に揺動可能に連結(枢結)されるアーム23と、アーム23の先端部に上下(前後の成分も含む)に揺動可能に連結(枢結)されるバケット、ブレーカ、グラップル、クラッシャー等の先端部装置(狭義の「アタッチメント」)24と、を備えて構成されている。ここで、車体10と第1ブーム21とに跨って油圧駆動式の第1ブームシリンダ31が設けられており、この第1ブームシリンダ31により第1ブーム21が揺動作動される。また、第1ブーム21と第2ブーム22とに跨って油圧駆動式の第2ブームシリンダ(「アジャストシリンダ」とも称される)32が設けられており、この第2ブームシリンダ32により第2ブーム22が揺動作動される。また、第2ブーム22とアーム23とに跨って油圧駆動式のアームシリンダ33が設けられており、このアームシリンダ33によりアーム23が揺動作動される。また、アーム23と先端部装置24とに跨って油圧駆動式の先端部装置用シリンダ(「バケットシリンダ」とも称される)34が設けられており、この先端部装置用シリンダ34により先端部装置24が揺動作動される。なお、先端部装置24は、バケットに限定されるものではなく、アーム23に対して揺動不能に連結される構成のものもある。また、本実施形態においては、車体10と第1ブーム21との間にブームブラケット25を介在させて第1ブーム21が左右揺動可能な構成としているが、変形例として、ブームブラケットを設けない構成(不図示)としてもよい。
【0015】
一方、ブレード装置18は、走行装置12の前部に上下に揺動可能に連結(枢結)されるブレード28を備えて構成されている。また、走行装置12の前部とブレード28とに跨って油圧駆動式のブレードシリンダ38が設けられており、このブレードシリンダ38によりブレード28が揺動作動される。
【0016】
上記の各シリンダの駆動を行うための機構は、一例としてエンジン20により駆動される油圧ポンプ、コントロールバルブ等から構成されている。作業者の操作に応じて、パイロット制御用の作動油によりコントロールバルブを作動させ、油圧ポンプ62から送出される駆動用の作動油を各シリンダに供給する制御が行われる。これにより、先端部装置24やブレード28が作動をして、掘削等の作業を行うことができる。また、車体10を旋回駆動する旋回モータ(不図示)が作動油によって駆動され、作業者の操作に応じて車体10の水平旋回作動が行われる。
【0017】
次に、操縦室14は、作業者が搭乗して着座するシート70や、走行装置12、作業装置16、18等の作動を操作するための各種操作装置(後述)等を備えて構成されている。なお、密閉型のキャビンとして例示しているが、開放型のキャノピーとしてもよい(不図示)。
【0018】
上記の操作装置の例として、走行装置12の作動を操作する走行ペダル71、操舵ハンドル72が設けられている。また、車体10の旋回およびアーム23の作動を操作する第1操作レバー(左レバー)73(本願において「アーム操作部」と称する場合がある)が設けられている。また、第1ブーム21および先端部装置24の作動を操作する第2操作レバー(右レバー)74が設けられている。さらに、第2ブーム22の作動を操作する足踏み式の操作ペダル75(本願において「第2ブーム操作部」と称する場合がある)が設けられている。さらに、各機構の作動を操作する各種操作スイッチ等が設けられており、これらは、上記第1操作レバー73や第2操作レバー74、あるいは操作パネルや車両情報を表示するクラスタ等(不図示)に適宜、配設されている。なお、操縦室14内(床下部等)もしくはエンジンルーム19内には、上記の操作装置の操作状態に応じて、走行装置12や作業装置16、18等の作動を制御する制御装置40、および制御装置40からの指令に基づいてエンジン20の制御を行うエンジンコントロールユニット(ECU)39が配設されている。
【0019】
ここで、図3の油圧回路システム図を参照して、主要な操作に伴う制御・動作の概要について説明する。なお、図3(a)は第1操作レバー73および第2操作レバー74の操作パターンであり、図3(b)は操作ペダル75の操作パターンであり、図3(c)は油圧回路構成(パイロット油路を中心とする主要部)である。
【0020】
先ず、第1操作レバー73に連動して設けられる第1リモコンバルブユニット49は、四つのパイロットバルブ(第1パイロットバルブ41、第2パイロットバルブ42、第3パイロットバルブ43、第4パイロットバルブ44)を備えて構成されおり、エンジン20により駆動されるパイロット油圧ポンプ61から供給される圧油を基にして、第1操作レバー73に対する傾動操作方向および傾動量に応じたパイロット圧を生成するように構成されている。
【0021】
また、第2操作レバー74に連動して設けられる第2リモコンバルブユニット59は、四つのパイロットバルブ(第5パイロットバルブ45、第6パイロットバルブ46、第7パイロットバルブ47、第8パイロットバルブ48)を備えて構成され、パイロット油圧ポンプ61から供給される圧油を基にして、第2操作レバー74に対する傾動操作方向および傾動量に応じたパイロット圧を生成するように構成されている。
【0022】
さらに、操作ペダル75に連動して設けられる第3リモコンバルブユニット79は、二つのパイロットバルブ(第9パイロットバルブ91、第10パイロットバルブ92)を備えて構成され、パイロット油圧ポンプ61から供給される圧油を基にして、操作ペダル75に対する操作および操作量に応じたパイロット圧を生成するように構成されている。
【0023】
先ず、第1操作レバー73を前方に傾動させたときには、第4パイロットバルブ44においてパイロット圧が生成され、以下のパイロット油路にパイロット油が供給される。すなわち、このパイロット油が第4パイロット油路54(本願において「アームダンプ用パイロット油路」と称する場合がある)を経由してアーム操作用コントロールバルブ85のアーム上げ(ダンプ)用入力ポート85bに供給される。その結果、アームシリンダ33が縮小されて、アーム23が上方(前方成分も含まれる)に揺動される。
【0024】
第1操作レバー73を後方に傾動させたときには、第2パイロットバルブ42においてパイロット圧が生成され、以下のパイロット油路にパイロット油が供給される。すなわち、このパイロット油が第2パイロット油路52(本願において「アームクラウド用パイロット油路」と称する場合がある)を経由してアーム操作用コントロールバルブ85のアーム下げ(クラウド)用入力ポート85aに供給される。その結果、アームシリンダ33が伸長されて、アーム23が下方(後方成分も含まれる)に揺動される。
【0025】
第1操作レバー73を右方に傾動させたときには、第1パイロットバルブ41においてパイロット圧が生成され、以下のパイロット油路にパイロット油が供給される。すなわち、このパイロット油が第1パイロット油路51を経由して車体旋回用コントロールバルブ(不図示)の右旋回用入力ポートに供給される。その結果、旋回モータが駆動されて、車体10が右方向に旋回される。
【0026】
第1操作レバー73を左方に傾動させたときには、第3パイロットバルブ43においてパイロット圧が生成され、以下のパイロット油路にパイロット油が供給される。すなわち、このパイロット油が第3パイロット油路53を経由して車体旋回用コントロールバルブ(不図示)の左旋回用入力ポートに供給される。その結果、旋回モータが駆動されて、車体10が左方向に旋回される。
【0027】
次に、第2操作レバー74を前方に傾動させたときには、第8パイロットバルブ48においてパイロット圧が生成され、以下のパイロット油路にパイロット油が供給される。すなわち、このパイロット油が第8パイロット油路58を経由して第1ブーム操作用コントロールバルブ83の第1ブーム下げ用入力ポート83aに供給される。その結果、第1ブームシリンダ31が縮小されて、第1ブーム21が下方(後方成分も含まれる)に揺動される。
【0028】
第2操作レバー74を後方に傾動させたときには、第6パイロットバルブ46においてパイロット圧が生成され、以下のパイロット油路にパイロット油が供給される。すなわち、このパイロット油が第6パイロット油路56を経由して第1ブーム操作用コントロールバルブ83の第1ブーム上げ用入力ポート83bに供給される。その結果、第1ブームシリンダ31が伸長されて、第1ブーム21が上方(前方成分も含まれる)に揺動される。
【0029】
第2操作レバー74を右方に傾動させたときには、第5パイロットバルブ45においてパイロット圧が生成され、以下のパイロット油路にパイロット油が供給される。すなわち、このパイロット油が第5パイロット油路55を経由して先端部装置操作用コントロールバルブ87の先端部装置下げ(クラウド)用入力ポート87aに供給される。その結果、先端部装置用シリンダ34が伸長されて、先端部装置(一例として、バケット)24が下方(後方成分も含まれる)に揺動される。
【0030】
第2操作レバー74を左方に傾動させたときには、第7パイロットバルブ47においてパイロット圧が生成され、以下のパイロット油路にパイロット油が供給される。すなわち、このパイロット油が第7パイロット油路57を経由して先端部装置操作用コントロールバルブ87の先端部装置上げ(ダンプ)用入力ポート87bに供給される。その結果、先端部装置用シリンダ34が縮小されて、先端部装置(一例として、バケット)24が上方(前方成分も含まれる)に揺動される。
【0031】
次に、操作ペダル75の操作(下げ動作用操作)を行ったときには、第9パイロットバルブ91においてパイロット圧が生成され、以下のパイロット油路にパイロット油が供給される。すなわち、このパイロット油が第9パイロット油路93を経由して第2ブーム操作用コントロールバルブ84の第2ブーム下げ用入力ポート84aに供給される。その結果、第2ブームシリンダ32が縮小されて、第2ブーム22が下方(後方成分も含まれる)に揺動される。
【0032】
操作ペダル75の操作(上げ動作用操作)を行ったときには、第10パイロットバルブ92においてパイロット圧が生成され、以下のパイロット油路にパイロット油が供給される。すなわち、このパイロット油が第10パイロット油路94を経由して第2ブーム操作用コントロールバルブ84の第2ブーム上げ用入力ポート84bに供給される。その結果、第2ブームシリンダ32が伸長されて、第2ブーム22が上方(前方成分も含まれる)に揺動される。
【0033】
なお、本実施形態に係る作業用車両1における走行および作業のためのその他の機構(駆動機構、制御機構等)については、公知の作業用車両(ここでは、エクスカベータ)と同様であるため、詳細の説明を省略する。
【0034】
ここで、本実施形態に係る作業用車両1に特徴的な機構として、第2ブーム追従機構を備えている。この第2ブーム追従機構は、第2ブーム操作部(操作ペダル75)の操作有無にかかわらず、アーム操作部(第1操作レバー73)の操作量に応じてアーム23および第2ブーム22を動作させる機構である。
【0035】
なお、本実施形態においては、第2ブーム追従機構の作動のオン・オフを行う追従スイッチ78が設けられている。追従スイッチ78が「オン」側に操作されたときに、第2ブーム追従機構が「オン」すなわち作動する状態となり、追従スイッチ78が「オフ」側に操作されたときに、第2ブーム追従機構が「オフ」すなわち作動しない状態となるように制御される。一例として、追従スイッチ78は、第1操作レバー73に配設されているが、これに限定されるものではなく、第2操作レバー74、操作パネルもしくはクラスタ等(不図示)に配設される構成としてもよい。
【0036】
本実施形態に係る第2ブーム追従機構の構成例として、アーム操作部73の操作量を検出するアーム操作量検出機構を備えて構成されている。このアーム操作量検出機構によって検出された当該操作量に応じて、制御装置40が第2ブーム22の最適な動作量を算定すると共に、当該動作量を生じさせる動作信号を第2ブーム22の動作用(すなわち第2ブームシリンダ32の動作用)の電磁比例減圧弁86に送信する。ここで、アーム操作部73の操作量(すなわち、アーム23の動作量)に対応する第2ブーム22の最適な動作量は、アーム23の動作量に応じた相関曲線等のようにあらかじめ設定され、制御装置40に記憶させておく構成等とすることが考えられる。
【0037】
制御の一例として、アーム操作部73の操作によってアーム23が上げ(ダンプ)方向に動作される場合には、第2ブーム操作部75の操作有無にかかわらず、第2ブーム22が上げ方向に動作されるように構成されている。特に、アーム23が上げ(ダンプ)方向の最大変位位置となる場合に、第2ブーム22が上げ方向の最大変位位置となるように構成されることが好適である。これによれば、アーム23の先端に設けられる先端部装置24を操縦室14から最も遠い位置(本願において「最遠位置」と称する場合がある)へ到達させる操作を極めて容易に行うことができる。一方、アーム操作部73の操作によってアーム23が下げ(クラウド)方向に動作される場合には、第2ブーム操作部75の操作有無にかかわらず、第2ブーム22が下げ方向に動作されるように構成されている。特に、アーム23が下げ(クラウド)方向の最大変位位置となる場合に、第2ブーム22が下げ方向の最大変位位置となるように構成されることが好適である。これによれば、先端部装置24を操縦室14から最も近い位置(本願において「最近位置」と称する場合がある)へ到達させる操作を極めて容易に行うことができる。
【0038】
本実施形態に係るアーム操作量検出機構の構成例として、アーム操作部73に連動して流路が構成される第1リモコンバルブユニット49からアーム23の動作用(すなわちアームシリンダ33の動作用)のアーム操作用コントロールバルブ85に至るアームクラウド用パイロット油路52およびアームダンプ用パイロット油路54に配設されて油圧を検出する第1油圧センサ81および第2油圧センサ82を備えている。より詳しくは、アームクラウド用パイロット油路52において、当該アームクラウド用パイロット油路52に供給されるパイロット油の圧力値を検出する第1油圧センサ81が設けられている。また、アームダンプ用パイロット油路54において、当該アームダンプ用パイロット油路54に供給されるパイロット油の圧力値を検出する第2油圧センサ82が設けられている。
【0039】
これによれば、第1油圧センサ81により検出される圧力値によって、作業者が操作したアーム操作部73の操作量(この場合は、アーム23の下げ(クラウド)操作の操作量)を検出することができる。このとき、制御装置40によって、アーム操作部73の操作量に応じて、第2ブーム22の動作(この場合は、第2ブーム22の下げ動作)を、最適量、連動して行うように制御される。
【0040】
同様に、第2油圧センサ82により検出される圧力値によって、作業者が操作したアーム操作部73の操作量(この場合は、アーム23の上げ(ダンプ)操作の操作量)を検出することができる。このとき、制御装置40によって、アーム操作部73の操作量に応じて、第2ブーム22の動作(この場合は、第2ブーム22の上げ動作)を、最適量、連動して行うように制御される。
【0041】
上記の構成によれば、作業者が第2ブーム操作部(操作ペダル75)による操作を行わなくても、アーム操作部(第1操作レバー73)を操作するだけで、アーム23および第2ブーム22を動作させることができる。したがって、そもそも操作が難しい二つのブーム(第1ブーム21、第2ブーム22)を備える作業用車両(エクスカベータ)1において、第1ブーム21、第2ブーム22、アーム23、および先端部装置24を、操縦室14の左右二つの操作レバー73、74のみによっても操作することが可能となるため、操作の容易性を格段に向上させることができる。
【0042】
特に、作業者が操縦に不慣れな場合には、先端部装置24の可動領域の全域、移動限界に近い領域を十分に使用して効率的な作業を行うことが難しかった。すなわち、ブームが二つあることによって、先端部装置(例えば、バケット)24を最も遠い位置(最遠位置)あるいは最も近い位置(最近位置)となるように操作して作業を行うことが特に難しかった(すなわち、スムーズな操作ができなかった、あるいは、素早い操作ができなかった)。これは、左右二つの操作レバー73、74に加えて、操作ペダル75を同時に操作しなければならない構成であったためである。これに対して、本実施形態の構成によれば、第2ブーム操作部(操作ペダル75)の操作を行わずとも、アーム操作部73の操作に連動して、アーム23と共に第2ブーム22を動作させることができるため、特に、先端部装置24を最遠位置や最近位置へ到達させる操作を極めて容易に行うことができる。
【0043】
ちなみに、アーム操作部(第1操作レバー73)の操作と共に、第2ブーム操作部(操作ペダル75)の操作を行った場合には、アーム操作部(第1操作レバー73)の操作によって第2ブーム追従機構が作用して電磁比例減圧弁86から出力される作動油と、第2ブーム操作部(操作ペダル75)の操作によって第2ブーム操作用コントロールバルブ84から出力される作動油とが共にシャトルバルブ80(第2ブーム22の下げ操作の場合は80A、第2ブーム22の上げ操作の場合は80B)に流入し、圧力値の大きい方の作動油が第2ブームシリンダ32に入力されて、第2ブーム22を動作させる構成となっている。
【0044】
なお、変形例に係るアーム操作量検出機構として、以下の構成も考えられる。具体的には、アーム操作部(第1操作レバー73)の変位量(物理的な移動量を指す)を電気信号に変換して出力する信号発生部を有する構成である。例えば、アーム操作部(第1操作レバー73)の変位量を検出するために、アーム操作部(第1操作レバー73)の傾動量を検出する角度センサが設けられる構成とすればよい。あるいは、アーム操作部(第1操作レバー73)を、傾動量に応じた電気信号が出力されるいわゆる電気式レバーによって構成してもよい。このような構成によっても、作業者が操作した操作量を検出することが可能となる。
【0045】
以上説明した通り、本発明に係る作業用車両によれば、第2ブーム操作部の操作有無にかかわらず、アーム操作部の操作量に応じて、アームおよび第2ブームを動作させることができる。したがって、二つのブームを備える作業用車両の操作を極めて容易に行うことが可能となる。その結果、先端部装置の可動領域の全域を十分に使用して効率的な作業を行うことが可能となる。
【0046】
なお、本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。特に、作業用車両としてエクスカベータを例に挙げて説明を行ったが、これに限定されるものではなく、左右二つの操作レバーに加えて、操作ペダルを同時に操作することによって作業を行う構成の作業用車両に対しても同様に適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
1 作業用車両
10 車体
12 走行装置
16、18 作業装置
21 第1ブーム
22 第2ブーム
23 アーム
24 先端部装置
31 第1ブームシリンダ
32 第2ブームシリンダ
33 アームシリンダ
34 先端部装置用シリンダ
40 制御装置
51~58 パイロット油路
61 パイロット油圧ポンプ
73、74 操作レバー
75 操作ペダル
78 追従スイッチ
81、82 油圧センサ
83 第1ブーム操作用コントロールバルブ
84 第2ブーム操作用コントロールバルブ
85 アーム操作用コントロールバルブ
86 電磁比例減圧弁
87 先端部装置操作用コントロールバルブ
93、94 パイロット油路
図1
図2
図3