IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特許-ターボチャージャ 図1
  • 特許-ターボチャージャ 図2
  • 特許-ターボチャージャ 図3
  • 特許-ターボチャージャ 図4
  • 特許-ターボチャージャ 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ターボチャージャ
(51)【国際特許分類】
   F02B 39/00 20060101AFI20231219BHJP
   F02B 37/24 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
F02B39/00 B
F02B37/24
F02B39/00 T
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020186444
(22)【出願日】2020-11-09
(65)【公開番号】P2022076158
(43)【公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】築山 宜司
(72)【発明者】
【氏名】樹杉 剛
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-524773(JP,A)
【文献】特開2019-127861(JP,A)
【文献】特開2020-076328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 37/24
F02B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気の流通により回転するタービンホイールと、
前記タービンホイールを収容するタービンハウジングと、
前記タービンハウジングに固定されるベアリングハウジングと、
前記ベアリングハウジングに固定されるコンプレッサハウジングと、
前記ベアリングハウジング及び前記コンプレッサハウジングの間に位置するシールプレートと、
前記タービンハウジングの内部に位置し、前記タービンホイールへ流通する排気の量を調整する可変ノズル機構と、
前記ベアリングハウジングを貫通しており、前記可変ノズル機構に連結している貫通軸と、
前記貫通軸を、前記コンプレッサハウジングに向かって押し出すばね部材と、
を備えるターボチャージャであって、
前記ベアリングハウジング及び前記シールプレートは、冷媒が流通する冷却室を区画しており、
前記ばね部材は、前記冷却室内に位置している
ターボチャージャ。
【請求項2】
前記ばね部材は、コイルドウェーブスプリングである
請求項1に記載のターボチャージャ。
【請求項3】
前記貫通軸は、前記タービンホイールの回転軸線を中心とする円周上に複数設けられており、
前記コイルドウェーブスプリングは、前記回転軸線を取り囲んでおり、
1つの前記コイルドウェーブスプリングは、全ての前記貫通軸を、前記コンプレッサハウジングに向かって押し出している
請求項2に記載のターボチャージャ。
【請求項4】
前記ベアリングハウジングは、前記貫通軸が挿通される貫通孔を有し、
前記貫通軸の外周面と前記貫通孔の内周面との間には、前記貫通軸と前記貫通孔との隙間をシールするシール部材が位置している
請求項1~請求項3の何れか一項に記載のターボチャージャ。
【請求項5】
前記ベアリングハウジングは、前記シール部材を保持する保持空間を区画しており、
前記保持空間は、前記冷却室とつながっている
請求項4に記載のターボチャージャ。
【請求項6】
前記ベアリングハウジングには、前記シール部材を保持する保持板が取り付けられており、
前記保持空間の内面と前記保持板の端面とが、前記シール部材を挟んでいる
請求項5に記載のターボチャージャ。
【請求項7】
前記コンプレッサハウジングは、前記タービンホイールに連結されたコンプレッサホイールを収容しており、
前記タービンホイールの回転軸線に直交する方向を径方向としたとき、
前記冷却室の少なくとも一部は、前記コンプレッサホイールよりも径方向外側に位置している
請求項1~請求項6の何れか一項に記載のターボチャージャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボチャージャに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のターボチャージャは、タービンハウジング、ベアリングハウジング、シールプレート、コンプレッサハウジング、及びタービンホイールを備えている。タービンハウジングは、タービンホイールを収容する。ベアリングハウジングは、タービンハウジングに固定されている。コンプレッサハウジングは、ベアリングハウジングに固定されている。シールプレートは、ベアリングハウジングとコンプレッサハウジングとの間に位置している。
【0003】
また、特許文献1のターボチャージャは、可変ノズル機構、貫通軸、及びばね部材を備えている。可変ノズル機構は、タービンハウジングの内部に位置している。可変ノズル機構は、タービンホイールへ流通する排気の量を調整する。貫通軸は、ベアリングハウジングを貫通している。貫通軸の第1端は、可変ノズル機構に連結している。貫通軸の第2端は、ベアリングハウジングとシールプレートとの間に位置している。ばね部材は、貫通軸の第2端に取り付けられている。ばね部材は、貫通軸をコンプレッサハウジングに向かって押し出している。これに伴い、可変ノズル機構は、タービンハウジング内において位置決めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-076328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のようなターボチャージャでは、タービンハウジングからの熱が、ベアリングハウジング及び貫通軸を介してシールプレートに伝わる。したがって、貫通軸及びシールプレート等を冷却するために、冷媒が流通する冷却室を設けることが好ましい。しかし、冷却室を設けようとすると、シールプレート及びコンプレッサハウジングを、冷却室を区画するのに足る大きさに設計せざるを得ず、タービンハウジングの大型化を招くことになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのターボチャージャは、排気の流通により回転するタービンホイールと、前記タービンホイールを収容するタービンハウジングと、前記タービンハウジングに固定されるベアリングハウジングと、前記ベアリングハウジングに固定されるコンプレッサハウジングと、前記ベアリングハウジング及び前記コンプレッサハウジングの間に位置するシールプレートと、前記タービンハウジングの内部に位置し、前記タービンホイールへ流通する排気の量を調整する可変ノズル機構と、前記ベアリングハウジングを貫通しており、前記可変ノズル機構に連結している貫通軸と、前記貫通軸を、前記コンプレッサハウジングに向かって押し出すばね部材と、を備えるターボチャージャであって、前記ベアリングハウジング及び前記シールプレートは、冷媒が流通する冷却室を区画しており、前記ばね部材は、前記冷却室内に位置している。
【0007】
上記構成によれば、コンプレッサハウジング及びシールプレートに新たに冷却室を設けなくても、ばね部材を収容する空間を、冷却室としても有効活用できる。したがって、冷却室とばね部材を収容する空間とをそれぞれ別個に設ける場合に比較して、ターボチャージャの大型化を抑制できる。
【0008】
上記構成において、前記ばね部材は、コイルドウェーブスプリングであってもよい。
一般的にコイルドウェーブスプリングの軸線方向の寸法は、例えばコイルバネの軸線方向の寸法に比べて小さい。また、一般的にコイルドウェーブスプリングは、例えば皿ばねに比べて、弾性変形量に応じた力の変化が小さいため、対象物に作用させる力を調整しやすい。したがって、上記構成によれば、コイルドウェーブスプリングから貫通軸に作用する力として十分な力を確保しつつ、コイルドウェーブスプリングの軸線方向において、ターボチャージャが大型化することを抑制できる。
【0009】
上記構成において、前記貫通軸は、前記タービンホイールの回転軸線を中心とする円周上に複数設けられており、前記コイルドウェーブスプリングは、前記回転軸線を取り囲んでおり、1つの前記コイルドウェーブスプリングは、全ての前記貫通軸を、前記コンプレッサハウジングに向かって押し出していてもよい。
【0010】
上記構成によれば、1つのコイルドウェーブスプリングで全ての貫通軸を押し出すことができるので、部品点数の増加を抑えられる。また、コイルドウェーブスプリングの径として大きな径が確保できるので、コイルドウェーブスプリングの弾性力を確保しやすい。
【0011】
上記構成において、前記ベアリングハウジングは、前記貫通軸が挿通される貫通孔を有し、前記貫通軸の外周面と前記貫通孔の内周面との間には、前記貫通軸と前記貫通孔との隙間をシールするシール部材が位置していてもよい。上記構成によれば、貫通軸の外周面と貫通孔の内周面との隙間を介して、タービンハウジングからコンプレッサハウジングに向かって流通する排気の量を抑制できる。
【0012】
上記構成において、前記ベアリングハウジングは、前記シール部材を保持する保持空間を区画しており、前記保持空間は、前記冷却室とつながっていてもよい。上記構成によれば、保持空間と冷却室とがつながっているため、冷却室を流通する冷媒との熱交換によりシール部材を冷却しやすい。
【0013】
上記構成において、前記ベアリングハウジングには、前記シール部材を保持する保持板が取り付けられており、前記保持空間の内面と前記保持板の端面とが、前記シール部材を挟んでいてもよい。上記構成によれば、シール部材が保持板に当接することにより、シール部材がコンプレッサハウジングに近づくように位置ずれすることを抑制できる。
【0014】
上記構成において、前記コンプレッサハウジングは、前記タービンホイールに連結されたコンプレッサホイールを収容しており、前記タービンホイールの回転軸線に直交する方向を径方向としたとき、前記冷却室の少なくとも一部は、前記コンプレッサホイールよりも径方向外側に位置していてもよい。上記構成によれば、冷却室を流通する冷媒との熱交換により、シールプレートにおけるコンプレッサホイールよりも径方向外側の部分の温度が高くなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】内燃機関の概略図。
図2】ターボチャージャの断面図。
図3図2の拡大断面図。
図4図2における4-4線での断面図。
図5図4における5-5線での断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<内燃機関の概略構成>
以下、本発明の一実施形態を図1図5にしたがって説明する。先ず、本発明のターボチャージャ20が適用された車両の内燃機関10の概略構成について説明する。
【0017】
図1に示すように、内燃機関10は、吸気通路11、気筒12、排気通路13、及びターボチャージャ20を備えている。吸気通路11は、内燃機関10の外部からの吸気を導入する。気筒12は、吸気通路11に接続している。気筒12は、燃料と吸気とを混合して燃焼させる。排気通路13は、気筒12に接続している。排気通路13は、気筒12からの排気を排出する。
【0018】
ターボチャージャ20は、コンプレッサハウジング30、シールプレート40、ベアリングハウジング50、タービンハウジング60、コンプレッサホイール70、連結シャフト80、及びタービンホイール90を備えている。
【0019】
コンプレッサハウジング30は、吸気通路11の途中に取り付けられている。タービンハウジング60は、排気通路13の途中に取り付けられている。ベアリングハウジング50は、コンプレッサハウジング30及びタービンハウジング60にそれぞれ固定されており、コンプレッサハウジング30及びタービンハウジング60を接続している。このように、ターボチャージャ20は、吸気通路11及び排気通路13に跨って設けられている。なお、シールプレート40はベアリングハウジング50及びコンプレッサハウジング30の間に位置しているが、図1ではシールプレート40の図示を省略する。
【0020】
タービンハウジング60は、タービンホイール90を収容している。ベアリングハウジング50は、連結シャフト80を収容している。ベアリングハウジング50は、図示しないベアリングを介して回転可能に連結シャフト80を支持している。連結シャフト80の第1端は、タービンホイール90に接続している。コンプレッサハウジング30は、コンプレッサホイール70を収容している。コンプレッサホイール70は、連結シャフト80の第2端に接続している。すなわち、コンプレッサホイール70は、連結シャフト80を介してタービンホイール90に連結している。
【0021】
タービンホイール90がタービンハウジング60の内部の排気の流通により回転すると、連結シャフト80を介してコンプレッサホイール70が共に回転する。そして、コンプレッサホイール70が回転することにより、コンプレッサハウジング30の内部の吸気が圧縮される。
【0022】
<ターボチャージャの構成>
次に、ターボチャージャ20の具体的な構成について説明する。以下では、タービンホイール90の回転中心である回転軸線90Aに沿う方向を回転軸線方向と略記する。また、回転軸線90Aに直交する方向を径方向と略記する。
【0023】
図2に示すように、タービンハウジング60は、円弧部60A、及び筒状部60Bを備えている。筒状部60Bは、略円筒形状になっている。筒状部60Bは、概ねタービンホイール90の回転中心である回転軸線90Aに沿って延びている。円弧部60Aは、筒状部60Bの外周を取り囲むように延びており、略円弧形状になっている。
【0024】
タービンハウジング60は、排気が流通する空間として、スクロール通路61、収容空間62、及び排出通路63を区画している。スクロール通路61は、円弧部60A及び筒状部60Bの内部に位置している。スクロール通路61は、タービンホイール90を取り囲むように周方向に延びている。スクロール通路61の上流端は、タービンハウジング60よりも上流側の排気通路13に接続している。スクロール通路61の下流端は、収容空間62に接続している。収容空間62は、筒状部60Bの内部空間のうち、タービンホイール90が位置している空間である。収容空間62は、排出通路63に接続している。排出通路63は、筒状部60Bの内部空間のうち、ベアリングハウジング50とは反対側の端、すなわち図2における右端を含む一部の空間である。排出通路63の下流端は、タービンハウジング60よりも下流側の排気通路13に接続している。
【0025】
ターボチャージャ20は、可変ノズル機構110を備えている。可変ノズル機構110は、スクロール通路61内に位置している。可変ノズル機構110は、支持部材111、及び複数のノズル112を備えている。支持部材111は、タービンホイール90を取り囲む略円環形状になっている。支持部材111は、3つの挿通孔111Aを備えている。挿通孔111Aは、回転軸線方向において支持部材111を貫通している。3つの挿通孔111Aは、回転軸線90Aを中心とする円周上に位置している。3つの挿通孔111Aの位置関係は、回転軸線90Aを中心とした等角度間隔になっている。具体的には、3つの挿通孔111Aの位置関係は、120度ピッチである。なお、図2では、3つの挿通孔111A及びその関連構成を、1組のみ図示している。
【0026】
支持部材111は、ノズル112を支持している。複数のノズル112は、タービンホイール90を取り囲むように位置している。ノズル112は、図示しないアクチュエータにより操作されることで、タービンホイール90に対する向きが変更される。その結果、タービンホイール90へ流通する排気の向き及び排気の量が調整され、当該タービンホイール90の回転速度が制御される。
【0027】
ベアリングハウジング50は、ハウジング本体50A、第1フランジ50B、及び第2フランジ50Cを備えている。ハウジング本体50Aは、略円柱形状になっている。第1フランジ50Bは、ハウジング本体50Aの外周面から突出している。第1フランジ50Bは、ハウジング本体50Aにおけるタービンハウジング60側の端部に位置している。第1フランジ50Bは、タービンハウジング60における円弧部60Aに固定されている。第2フランジ50Cは、ハウジング本体50Aの外周面から突出している。第2フランジ50Cは、ハウジング本体50Aの周方向全域から突出しており、略円環形状になっている。第2フランジ50Cは、ハウジング本体50Aにおけるコンプレッサハウジング30側の端部に位置している。
【0028】
図2に示すように、ベアリングハウジング50は、挿通孔52、凹部53、及び3つの貫通孔54を区画している。挿通孔52は、回転軸線方向においてハウジング本体50Aを貫通している。挿通孔52は、ハウジング本体50Aの中心軸線上に位置している。連結シャフト80は、挿通孔52に挿通されている。
【0029】
図3に示すように、凹部53は、ハウジング本体50Aにおけるコンプレッサハウジング30側の端面からタービンハウジング60に向かって窪んでいる。凹部53は、回転軸線90Aを取り囲む略円環形状になっている。また、回転軸線方向から視たときに、凹部53は、可変ノズル機構110における3つの挿通孔111Aと重なる部分に位置している。
【0030】
図4に示すように、ベアリングハウジング50は、導入孔56、及び排出孔57を区画している。図5に示すように、導入孔56は、凹部53の底面に開口している。導入孔56の開口は、凹部53の外周縁の近傍に位置している。導入孔56は、ベアリングハウジング50に接続された図示しない導入管に接続している。導入孔56は、凹部53に冷媒を導入する。図4に示すように、排出孔57は、凹部53の底面のうち、導入孔56の近傍に開口している。排出孔57の開口は、凹部53の外周縁の近傍に位置している。排出孔57は、ベアリングハウジング50に接続された図示しない排出管に接続している。排出孔57は、凹部53に導入された冷媒を排出する。なお、冷媒の一例は、冷却水である。
【0031】
図2に示すように、貫通孔54は、回転軸線方向において凹部53の底面からハウジング本体50Aにおけるタービンハウジング60側の端面まで貫通している。回転軸線方向から視たときに、3つの貫通孔54は、可変ノズル機構110における3つの挿通孔111Aと同じ部分に位置している。回転軸線方向から視たときに、貫通孔54は、略真円形状である。
【0032】
図3に示すように、貫通孔54は、保持空間54A、及び接続空間54Bを備えている。保持空間54Aは、貫通孔54のうち、コンプレッサハウジング30側の端を含む一部の空間である。すなわち、保持空間54Aは、凹部53とつながっている。接続空間54Bは、貫通孔54のうち、保持空間54A以外の空間である。接続空間54Bの内径は、可変ノズル機構110における挿通孔111Aの内径と略同じであり、保持空間54Aの内径よりも小さくなっている。
【0033】
図2に示すように、シールプレート40は、ベアリングハウジング50のハウジング本体50Aにおけるコンプレッサハウジング30側の端面に固定されている。シールプレート40は、略真円の板状になっている。シールプレート40の外径は、ベアリングハウジング50におけるハウジング本体50Aの外径よりも大きく、ベアリングハウジング50における第2フランジ50Cの外径よりも小さくなっている。シールプレート40は、図示しないボルトによりベアリングハウジング50のハウジング本体50Aの略中央部に固定されている。
【0034】
シールプレート40は、挿通孔41、及び凹部42を備えている。挿通孔41は、回転軸線方向においてシールプレート40を貫通している。回転軸線方向から視たときに、挿通孔41は、シールプレート40の略中央に位置している。連結シャフト80は、挿通孔41に挿通されている。凹部42は、シールプレート40におけるベアリングハウジング50側の端面からコンプレッサハウジング30に向かって窪んでいる。凹部42は、回転軸線90Aを取り囲む略円環形状になっている。回転軸線方向から視たときに、凹部42は、ベアリングハウジング50の凹部53と同じ部分に位置している。したがって、本実施形態において、シールプレート40及びベアリングハウジング50は、シールプレート40の凹部42とベアリングハウジング50の凹部53との間の空間を、冷却室20Aとして区画している。また、冷却室20Aの全域は、コンプレッサホイール70よりも径方向外側に位置している。なお、シールプレート40の凹部42及びベアリングハウジング50の凹部53は略円環形状であるため、冷却室20Aは略円環形状である。
【0035】
図4に示すように、シールプレート40は、固定突起46、及び仕切り47を備えている。固定突起46は、凹部42における径方向外側の内周面から径方向内側に向かって突出している。回転軸線方向から視たときに、固定突起46は、ベアリングハウジング50における3つの貫通孔54のうち、1つの貫通孔54の近傍に位置している。
【0036】
図5に示すように、仕切り47は、凹部42における底面からタービンハウジング60に向かって突出している。仕切り47の先端は、ベアリングハウジング50における凹部53の底面の近傍に位置している。図4に示すように、回転軸線方向から視たときに、仕切り47は、ベアリングハウジング50における導入孔56及び排出孔57の間に位置している。
【0037】
図3に示すように、ターボチャージャ20は、内周シール171、及び外周シール172を備えている。内周シール171は、回転軸線90Aを取り囲む略円環形状になっている。内周シール171は、ベアリングハウジング50におけるハウジング本体50Aとシールプレート40との間に位置している。内周シール171は、冷却室20Aよりも径方向内側に位置している。したがって、内周シール171は、冷却室20Aにおける径方向内側の部分をシールする。
【0038】
外周シール172は、回転軸線90Aを取り囲む略円環形状になっている。外周シール172は、ベアリングハウジング50における第2フランジ50Cとシールプレート40との間に位置している。外周シール172は、冷却室20Aよりも径方向外側に位置している。したがって、外周シール172は、冷却室20Aにおける径方向外側の部分をシールする。
【0039】
図2に示すように、コンプレッサハウジング30は、筒状部30A、及び円弧部30Bを備えている。筒状部30Aは、略円筒形状になっている。筒状部30Aは、回転軸線90Aに沿って延びている。円弧部30Bは、筒状部30Aの外周を取り囲むように延びており、略円弧形状になっている。
【0040】
コンプレッサハウジング30は、吸気が流通する空間として、導入通路31、収容空間32、接続通路33、及びスクロール通路34を区画している。導入通路31は、筒状部30Aの内部空間のうち、シールプレート40とは反対側の端、すなわち図2における左端を含む一部の空間である。導入通路31の上流端は、コンプレッサハウジング30よりも上流側の吸気通路11に接続している。導入通路31の下流端は、収容空間32に接続している。収容空間32は、筒状部30Aの内部空間のうち、導入通路31以外の空間である。収容空間32は、コンプレッサホイール70を収容している。
【0041】
スクロール通路34は、円弧部30Bの内部に位置している。スクロール通路34は、コンプレッサホイール70を取り囲むように周方向に延びている。スクロール通路34の下流端は、コンプレッサハウジング30よりも下流側の吸気通路11に接続している。接続通路33は、コンプレッサハウジング30の筒状部30Aとシールプレート40との間に位置しており、両者によって区画される空間である。接続通路33は、収容空間32とスクロール通路34との間に位置しており、収容空間32とスクロール通路34とを接続している。回転軸線方向から視たときに、接続通路33は、略円環形状になっている。
【0042】
コンプレッサハウジング30は、冷媒が流通する空間として、冷却通路36を区画している。冷却通路36は、筒状部30Aのうち、接続通路33に近い部分に位置している。冷却通路36は、コンプレッサホイール70を取り囲む略円環形状になっている。冷却通路36は、コンプレッサハウジング30に接続された図示しない供給通路に接続している。そして、上記の供給通路を介して、冷媒が冷却通路36を流通する。その結果、冷却通路36は、当該冷却通路36を流通する冷媒との熱交換により、筒状部30A等を冷却する。
【0043】
図3に示すように、ターボチャージャ20は、3つの貫通軸120、シール部材130、保持板140、ばね部材150、及び固定部材160を備えている。
各貫通軸120は、それぞれ貫通孔54に挿通されている。したがって、3つの貫通軸120は、回転軸線90Aを中心とする円周上に位置している。また、3つの貫通軸120の位置関係は、回転軸線90Aを中心とした等角度間隔になっている。
【0044】
図2及び図3に示すように、貫通軸120は、頭部121、大径部122、小径部123、及び固定端部124を備えている。大径部122は、略円柱形状になっている。大径部122の外径は、ベアリングハウジング50における貫通孔54の接続空間54Bの内径と略同じになっている。大径部122は、ベアリングハウジング50における貫通孔54及び可変ノズル機構110における挿通孔111Aに挿通されている。
【0045】
頭部121は、大径部122の第1端に位置している。頭部121は、略円板形状になっている。頭部121の外径は、大径部122の外径よりも大きくなっている。頭部121は、支持部材111に連結している。すなわち、貫通軸120は、可変ノズル機構110に連結している。
【0046】
図3に示すように、小径部123は、大径部122の第2端に位置している。小径部123は、略円柱形状になっている。小径部123の外径は、大径部122の外径よりも小さくなっている。
【0047】
固定端部124は、小径部123における大径部122とは反対側の端に位置している。固定端部124は、略円板形状になっている。固定端部124の外径は、小径部123の外径よりも大きく、大径部122の外径と略同じになっている。
【0048】
シール部材130は、ベアリングハウジング50における保持空間54Aに位置している。シール部材130は、貫通軸120の大径部122を取り囲む略円環形状になっている。したがって、シール部材130は、貫通軸120における大径部122の外周面と貫通孔54における保持空間54Aの内周面との隙間をシールする。
【0049】
保持板140は、ベアリングハウジング50における凹部53の底面に位置している。保持板140は、回転軸線90Aを取り囲む略円環形状になっている。保持板140は、貫通孔54における保持空間54Aを覆っている。保持板140は、挿通孔141を備えている。挿通孔141は、回転軸線方向において保持板140を貫通している。回転軸線方向から視たときに、挿通孔141は、貫通孔54と同じ部分に位置している。挿通孔141の内径は、貫通孔54における保持空間54Aの内径よりも小さく、貫通軸120における大径部122の外径よりも僅かに大きくなっている。したがって、保持板140におけるタービンハウジング60側の端面と貫通孔54における保持空間54Aの内面とが、回転軸線方向においてシール部材130を挟んでいる。すなわち、保持板140は、シール部材130を保持する。また、保持空間54Aは、保持板140における挿通孔141の内周面と貫通軸120における大径部122の外周面との隙間を介して、冷却室20Aとつながっている。
【0050】
ばね部材150は、冷却室20A内に位置している。ばね部材150は、回転軸線90Aを取り囲む略円環形状になっている。すなわち、ばね部材150の軸線方向は、回転軸線方向と一致している。ばね部材150は、保持板140よりもコンプレッサハウジング30に近い部分に位置している。ばね部材150は、貫通軸120よりも径方向内側、すなわち回転軸線90Aに近い部分に位置している。ばね部材150におけるタービンハウジング60側の端面は、保持板140におけるコンプレッサハウジング30側の端面に当接している。なお、ばね部材150は、回転軸線方向において圧縮された状態になっている。ばね部材150の一例は、コイルドウェーブスプリングである。なお、図3及び図5では、ばね部材150の形状を簡略化して図示している。
【0051】
図3に示すように、固定部材160は、冷却室20A内に位置している。図4に示すように、固定部材160は、環状部161、3つの突出部162、及び3つの固定孔165を備えている。また、図5に示すように、固定部材160は、内周立設部163、及び3つの外周立設部164を備えている。
【0052】
図4に示すように、環状部161は、回転軸線90Aを取り囲む略円環板形状になっている。環状部161の内径は、ばね部材150の内径よりも僅かに小さくなっている。環状部161の外径は、ばね部材150の外径よりも僅かに大きくなっている。回転軸線方向から視たときに、環状部161は、ばね部材150と同じ部分に位置している。環状部161におけるタービンハウジング60側の端面は、ばね部材150におけるコンプレッサハウジング30側の端面に当接している。したがって、ばね部材150は、コンプレッサハウジング30に向かって固定部材160を押し出す。
【0053】
突出部162は、環状部161の外周縁から径方向外側に突出している。回転軸線方向から視たときに、突出部162は、周方向において他の突出部162と離間しており、可変ノズル機構110における3つの挿通孔111Aと同じ部分に位置している。また、3つの突出部162のうちの1つは、シールプレート40における固定突起46の近傍に位置している。回転軸線方向から視たときに、シールプレート40における固定突起46は、上記の突出部162に対して周方向の第1方向、すなわち図4において時計回り方向において隣り合っている。
【0054】
図4に示すように、固定孔165は、回転軸線方向において環状部161及び突出部162を貫通している。固定孔165は、周方向に延びるような略長孔形状になっている。固定孔165における周方向の第1方向の一部分、すなわち図4において時計回り方向の一部分の内径は、貫通軸120における小径部123の外径と略同じであり、貫通軸120における固定端部124の外径よりも小さくなっている。固定孔165における周方向の第2方向の一部分、すなわち図4において反時計回り方向の一部分の内径は、固定孔165における周方向の第1方向の一部分の内径よりも大きく、貫通軸120における固定端部124の外径よりも大きくなっている。貫通軸120における小径部123は、固定部材160の固定孔165における周方向の第1方向の一部分に挿通されている。
【0055】
図3に示すように、貫通軸120における固定端部124は、固定部材160の環状部161及び突出部162におけるコンプレッサハウジング30側の端面に当接している。また、上述したように、ばね部材150は、コンプレッサハウジング30に向かって固定部材160を押し出す。したがって、1つのばね部材150は、固定部材160を介して、コンプレッサハウジング30に向かって3つの貫通軸120を押し出す。なお、これに伴い、可変ノズル機構110は、タービンハウジング60のスクロール通路34内において位置決めされる。
【0056】
なお、固定部材160及びシールプレート40は、以下のように取り付ける。先ず、固定部材160の固定孔165における周方向の第2方向の一部分に、貫通軸120を、貫通軸120における固定端部124から挿通する。そして、固定部材160を、貫通軸120に対して周方向の第2方向、すなわち図4において反時計回り方向に回転させることにより、貫通軸120における小径部123を、固定部材160の固定孔165における周方向の第1方向の一部分に挿通する。さらに、ベアリングハウジング50に対してシールプレート40を固定することにより、回転軸線方向から視たときに、シールプレート40における固定突起46を、3つの突出部162のうちの1つに対して周方向の第1方向、すなわち図4において時計回り方向において隣り合うように位置させる。その結果、シールプレート40をベアリングハウジング50に固定した状態では、シールプレート40における固定突起46と固定部材160における突出部162とが当接することにより、固定部材160が貫通軸120に対して周方向の第1方向、すなわち図4において時計回り方向に回転することが抑制される。
【0057】
図3に示すように、内周立設部163は、環状部161の内周縁からタービンハウジング60に向かって突出している。内周立設部163は、環状部161の内周縁全域に亘って延びており、略円環形状である。内周立設部163は、ばね部材150よりも径方向内側に位置している。
【0058】
図5に示すように、外周立設部164は、環状部161の外周縁からタービンハウジング60に向かって突出している。図4に示すように、各外周立設部164は、環状部161の外周縁のうち、周方向に並んだ2つの突出部162の間に位置している。3つの外周立設部164のうちの1つは、シールプレート40における仕切り47の近傍に位置している。
【0059】
<本実施形態の作用>
図5において二点鎖線矢印で示すように、ベアリングハウジング50における導入孔56から冷却室20Aに冷媒が導入されると、図4において二点鎖線矢印で示すように、仕切り47及び外周立設部164により、周方向の第1方向、すなわち図4において時計回り方向に冷媒が案内される。そして、冷却室20A内の冷媒は、周方向の第1方向に向かって流通する。こうして冷却室20Aを流通した冷媒は、ベアリングハウジング50における排出孔57から排出される。その結果、冷却室20Aは、当該冷却室20Aを流通する冷媒との熱交換により、貫通軸120及びシールプレート40等を冷却する。
【0060】
<本実施形態の効果>
(1)ターボチャージャ20において、仮に、ばね部材150を収容する空間と冷却室20Aとを別個に設けると、それらを設けるスペースを確保することに起因してターボチャージャ20が大型化することがある。
【0061】
この点、本実施形態では、図3に示すように、ばね部材150が冷却室20A内に位置している。そのため、コンプレッサハウジング30及びシールプレート40に新たに冷却室を設けなくても、ばね部材150を収容する空間を、冷却室20Aとしても有効活用できる。したがって、冷却室20Aとばね部材150を収容する空間とをそれぞれ別個に設ける場合に比較して、ターボチャージャ20の大型化を抑制できる。
【0062】
(2)本実施形態において、ばね部材150は、コイルドウェーブスプリングである。一般的にコイルドウェーブスプリングの軸線方向の寸法は、例えばコイルバネの軸線方向の寸法に比べて小さい。また、一般的にコイルドウェーブスプリングは、例えば皿ばねに比べて、弾性変形量に応じた力の変化が小さいため、対象物に作用させる力を調整しやすい。したがって、ターボチャージャ20では、ばね部材150から貫通軸120に作用する力として十分な力を確保しつつ、ばね部材150の軸線方向、すなわち回転軸線方向において当該ターボチャージャ20が大型化することを抑制できる。
【0063】
(3)本実施形態では、1つのばね部材150で全ての貫通軸120を押し出すことができるので、例えばばね部材150が複数設けられることに伴って部品点数が増加することを抑制できる。また、ばね部材150は回転軸線90Aを取り囲んでいるため、ばね部材150の径として大きな径を確保しやすい。その結果、例えば、ばね部材150が回転軸線90Aを取り囲んでいない構成に比べて、ばね部材150の弾性力を確保しやすい。
【0064】
(4)シール部材130は、貫通軸120における大径部122の外周面とベアリングハウジング50における貫通孔54の内周面との間に位置している。これにより、貫通軸120における大径部122の外周面とベアリングハウジング50における貫通孔54の内周面との隙間を介して、タービンハウジング60からコンプレッサハウジング30に向かって流通する排気の量を抑制できる。
【0065】
(5)シール部材130は、冷却室20Aにつながる保持空間54Aに位置している。保持空間54Aは、冷却室20Aにつながっているため、冷却室20Aを流通する冷媒の一部が流入する。これにより、保持空間54Aに流入した冷媒との熱交換によりシール部材130を冷却できる。
【0066】
(6)保持板140におけるタービンハウジング60側の端面と貫通孔54における保持空間54Aの内面とが、回転軸線方向においてシール部材130を挟んでいる。そのため、シール部材130が保持板140に当接することにより、シール部材130がコンプレッサハウジング30に近づくように位置ずれすることを抑制できる。その結果、例えば、シール部材130が保持空間54Aから冷却室20Aに位置ずれすることに起因して、シール部材130によるシール効果が得られなくなる、といった事態が発生することは防げる。
【0067】
(7)ターボチャージャ20では、コンプレッサホイール70の回転によりコンプレッサハウジング30内の吸気が圧縮されると、接続通路33の吸気の温度が高くなる。そして、接続通路33の吸気の温度が高くなることに起因して、シールプレート40におけるコンプレッサホイール70よりも径方向外側の部分の温度が高くなりやすい。
【0068】
この点、冷却室20Aの全域は、コンプレッサホイール70よりも径方向外側に位置している。そのため、冷却室20Aを流通する冷媒との熱交換により、シールプレート40におけるコンプレッサホイール70よりも径方向外側の部分の温度が高くなることを抑制できる。
【0069】
(8)本実施形態において、内周立設部163は、ばね部材150よりも径方向内側に位置している。したがって、ばね部材150の径方向の移動が内周立設部163により規制される。そのため、ばね部材150の過度な位置ずれは防げる。
【0070】
(9)本実施形態では、導入孔56と排出孔57との間に仕切り47が存在している。そして、仕切り47と外周立設部164とによって、周方向に延びる通路が区画されている。したがって、冷却室20A内に供給された冷媒は、当該冷却室20Aを周方向に流通し、冷却室20A全体にいきわたりやすい。
【0071】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0072】
「ばね部材について」
・上記実施形態において、ばね部材150は、コイルドウェーブスプリングに限らない。例えば、ばね部材150として、皿ばね及びコイルバネを採用してもよい。なお、この構成においても、ばね部材150が冷却室20A内に位置していれば、ターボチャージャが大型化することは抑制できる。
【0073】
・上記実施形態において、ばね部材150は1つである必要はなく、ばね部材150を複数設けてもよい。例えば、1つの貫通軸120につき、1つのばね部材150を設けてもよい。
【0074】
「貫通軸について」
・上記実施形態において、複数の貫通軸120の位置関係は変更できる。例えば、複数の貫通軸120の位置関係は、回転軸線90Aを中心とした等角度間隔になっていなくてもよい。なお、貫通軸120により可変ノズル機構110を安定して位置決めする観点では、複数の貫通軸の位置関係は、回転軸線90Aを中心とした等角度間隔になっていることが好ましい。
【0075】
・上記実施形態において、貫通軸120の数は変更できる。例えば、貫通軸120は、2つ以下であったり、4つ以上であったりしてもよい。さらに、貫通軸120は、複数設けなくてもよく、1つであってもよい。
【0076】
「保持板について」
・上記実施形態において、保持板140を省略してもよい。例えば、回転軸線方向においてシール部材130が位置ずれする可能性が低いのであれば、保持板140を省略できる。なお、具体例としては、貫通軸120の外周面に環状の溝を設け、その溝にシール部材130を取り付けることによりシール部材130の位置ずれを抑制できる。
【0077】
「保持空間について」
・上記実施形態において、保持空間54Aは、冷却室20Aにつながっていなくてもよい。具体例としては、保持空間54Aは、保持板140における挿通孔141の内周面と貫通軸120における大径部122の外周面との隙間を介して冷却室20Aとつながっていなくても、保持板140を介した熱伝達により、冷却室20Aを流通する冷媒と熱交換できる。
【0078】
「シール部材について」
・上記実施形態において、シール部材130の位置は変更できる。例えば、シール部材130は、貫通軸120における大径部122の外周面と貫通孔54における保持空間54Aの内周面との隙間をシールできるのであれば、貫通孔54におけるタービンハウジング60側の端部に位置していてもよい。
【0079】
・上記実施形態において、シール部材130を省略してもよい。貫通軸120における大径部122の外周面と貫通孔54における保持空間54Aの内周面との隙間が比較的に小さい場合には、シール部材130を省略したとしても、その影響は小さい。
【0080】
「冷却室について」
・上記実施形態において、冷却室20Aの形状は変更できる。例えば、冷却室20Aは、コンプレッサホイール70よりも径方向外側に位置していなくてもよい。なお、シールプレート40におけるコンプレッサホイール70よりも径方向外側の部分を冷却する観点では、冷却室20Aの少なくとも一部は、コンプレッサホイール70よりも径方向外側に位置していることが好ましい。
【0081】
・また、冷却室20Aは略円環形状である必要はなく、冷却室20Aは、例えば、円弧形状であってもよい。なお、回転軸線90Aの周りに位置する貫通軸120等を効率よく冷却する観点では、冷却室20Aは、略円環形状であることが好ましい。
【0082】
・なお、冷却室20Aを設けるにあたって、シールプレート40及びベアリングハウジング50の形状は適宜変更すればよい。したがって、シールプレート40の凹部42及びベアリングハウジング50の凹部53を省略してもよく、シールプレート40及びベアリングハウジング50の間に冷却室20Aを区画できればよい。
【0083】
「その他の構成について」
・上記実施形態において、固定部材160の形状は変更できる。例えば、固定部材160のうち、内周立設部163を省略してもよい。また、例えば、固定部材160のうち、外周立設部164を省略してもよい。なお、この構成においても、導入孔56から冷却室20Aに導入された冷媒は、概ね排出孔57に向かって流通するため、冷却室20Aを流通する冷媒の量が比較的に多ければ、冷媒との熱交換により貫通軸120等を冷却できる。
【0084】
・上記実施形態において、固定部材160を省略してもよい。例えば、貫通軸120に対してばね部材150を直接取り付ければ、固定部材160を省略することもできる。
・上記実施形態において、シールプレート40の形状は変更できる。例えば、固定突起46は省略してもよい。また、例えば、仕切り47は省略してもよい。なお、仕切り47を省略する場合には、例えば、ベアリングハウジング50における凹部53の底面から仕切りを突出させて、冷媒の流れを調整することが好ましい。
【符号の説明】
【0085】
10…内燃機関
20…ターボチャージャ
20A…冷却室
30…コンプレッサハウジング
40…シールプレート
50…ベアリングハウジング
54…貫通孔
54A…保持空間
54B…接続空間
60…タービンハウジング
70…コンプレッサホイール
80…連結シャフト
90…タービンホイール
90A…回転軸線
110…可変ノズル機構
120…貫通軸
130…シール部材
140…保持板
141…挿通孔
150…ばね部材
160…固定部材
図1
図2
図3
図4
図5