(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】表示システム、表示装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 19/00 20110101AFI20231219BHJP
【FI】
G06T19/00 600
(21)【出願番号】P 2020211047
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小森谷 一記
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 和実
(72)【発明者】
【氏名】石川 さやか
(72)【発明者】
【氏名】谷森 俊介
(72)【発明者】
【氏名】三浦 正哉
(72)【発明者】
【氏名】田村 康司
(72)【発明者】
【氏名】日比野 清栄
(72)【発明者】
【氏名】向 里菜
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 智也
(72)【発明者】
【氏名】狄 勤莉
【審査官】岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-215989(JP,A)
【文献】宮地英生,「包む」力が市場を変える -軟包装・パッケージの最新動向 フレキソ印刷,上昇気流へ,印刷情報,日本,(株)印刷出版研究所,2015年04月01日, 第75巻第4号 ,p20~26
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現実世界を撮像可能な撮像器と、
前記撮像器による撮像画像に含まれる持ち運び可能な商品に付された識別子を認識可能な画像認識部と、
前記識別子の認識に応じて、前記商品を含む現実世界の風景に仮想物体の画像を重畳させた拡張現実画像を生成する表示制御部と、
前記拡張現実画像を表示する表示部と、
現在の位置情報を取得する位置情報取得部と、
を備える表示装置と、
仮想物体の画像データが複数種類に亘って記憶された第一記憶部と、
前記位置情報取得部が取得した前記表示装置の位置情報に基づいて、前記表示装置に提供される仮想物体の画像データを前記第一記憶部から抽出する第一抽出部と、
を備えるサーバと、
を備え
、
前記識別子が所定期間に亘って前記画像認識部に認識されるまで、前記表示制御部は前記表示部への前記拡張現実画像の表示を保留する、
表示システム。
【請求項2】
請求項
1に記載の表示システムであって、
前記サーバは、
前記識別子に対応して設定された仮想物体の画像データが記憶された第二記憶部と、
前記画像認識部が認識した前記識別子に基づいて、前記表示装置に提供される仮想物体の画像データを前記第二記憶部から抽出する第二抽出部と、
を備える表示システム。
【請求項3】
現実世界を撮像可能な撮像器と、
前記撮像器による撮像画像に含まれる持ち運び可能な商品に付された識別子を認識可能な画像認識部と、
前記識別子の認識に応じて、前記商品を含む現実世界の風景に仮想物体の画像を重畳させた拡張現実画像を生成する表示制御部と、
前記拡張現実画像を表示する表示部と、
現在の位置情報を取得する位置情報取得部と、
を備える表示装置と、
仮想物体の画像データが複数種類に亘って記憶された第一記憶部と、
前記位置情報取得部が取得した前記表示装置の位置情報に基づいて、前記表示装置に提供される仮想物体の画像データを前記第一記憶部から抽出する第一抽出部と、
前記識別子に対応して設定された仮想物体の画像データが記憶された第二記憶部と、
前記画像認識部が認識した前記識別子に基づいて、前記表示装置に提供される仮想物体の画像データを前記第二記憶部から抽出する第二抽出部と、
を備えるサーバと、
を備え、
前記第二記憶部に記憶された所定の仮想物体の画像データとの組み合わせが禁止された、前記第一記憶部に記憶された仮想物体の画像データのリストに基づいて、前記第一抽出部は前記第一記憶部から仮想物体の画像データを抽出する、
表示システム。
【請求項4】
現実世界を撮像可能な撮像器と、
前記撮像器による撮像画像に含まれる持ち運び可能な商品に付された識別子を認識可能な画像認識部と、
前記識別子の認識に応じて、前記商品を含む現実世界の風景に仮想物体の画像を重畳させた拡張現実画像を生成する表示制御部と、
前記拡張現実画像を表示する表示部と、
現在の位置情報を取得する位置情報取得部と、
仮想物体の画像データが複数種類に亘って記憶された記憶部と、
前記位置情報取得部が取得した現在の位置情報に基づいて、現実世界の風景に重畳される仮想物体の画像データを前記記憶部から抽出する抽出部と、
を備える
、
表示装置
であって、
前記識別子が所定期間に亘って前記画像認識部に認識されるまで、前記表示制御部は前記表示部への前記拡張現実画像の表示を保留する、
表示装置。
【請求項5】
現実世界を撮像可能な撮像器と、
前記撮像器による撮像画像に含まれる持ち運び可能な商品に付された識別子を認識可能な画像認識部と、
前記識別子の認識に応じて、前記商品を含む現実世界の風景に仮想物体の画像を重畳させた拡張現実画像を生成する表示制御部と、
前記拡張現実画像を表示する表示部と、
現在の位置情報を取得する位置情報取得部と、
仮想物体の画像データが複数種類に亘って記憶された第一記憶部と、
前記位置情報取得部が取得した現在の位置情報に基づいて、現実世界の風景に重畳される仮想物体の画像データを前記第一記憶部から抽出する第一抽出部と、
前記識別子に対応して設定された仮想物体の画像データが記憶された第二記憶部と、
前記画像認識部が認識した前記識別子に基づいて、仮想物体の画像データを前記第二記憶部から抽出する第二抽出部と、
を備える、表示装置であって、
前記第二記憶部に記憶された所定の仮想物体の画像データとの組み合わせが禁止された、前記第一記憶部に記憶された仮想物体の画像データのリストに基づいて、前記第一抽出部は前記第一記憶部から仮想物体の画像データを抽出する、
表示装置。
【請求項6】
コンピュータを、
現実世界を撮像可能な撮像器と、
前記撮像器による撮像画像に含まれる持ち運び可能な商品に付された識別子を認識可能な画像認識部と、
前記識別子の認識に応じて、前記商品を含む現実世界の風景に仮想物体の画像を重畳させた拡張現実画像を生成する表示制御部と、
前記拡張現実画像を表示する表示部と、
現在の位置情報を取得する位置情報取得部と、
仮想物体の画像データが複数種類に亘って記憶された記憶部と、
前記位置情報取得部が取得した現在の位置情報に基づいて、現実世界の風景に重畳される仮想物体の画像データを前記記憶部から抽出する抽出部と、
として機能させるためのプログラム
であって、
前記識別子が所定期間に亘って前記画像認識部に認識されるまで、前記表示制御部は前記表示部への前記拡張現実画像の表示を保留する、プログラム。
【請求項7】
コンピュータを、
現実世界を撮像可能な撮像器と、
前記撮像器による撮像画像に含まれる持ち運び可能な商品に付された識別子を認識可能な画像認識部と、
前記識別子の認識に応じて、前記商品を含む現実世界の風景に仮想物体の画像を重畳させた拡張現実画像を生成する表示制御部と、
前記拡張現実画像を表示する表示部と、
現在の位置情報を取得する位置情報取得部と、
仮想物体の画像データが複数種類に亘って記憶された第一記憶部と、
前記位置情報取得部が取得した現在の位置情報に基づいて、現実世界の風景に重畳される仮想物体の画像データを前記第一記憶部から抽出する第一抽出部と、
前記識別子に対応して設定された仮想物体の画像データが記憶された第二記憶部と、
前記画像認識部が認識した前記識別子に基づいて、仮想物体の画像データを前記第二記憶部から抽出する第二抽出部と、
として機能させるためのプログラムであって、
前記第二記憶部に記憶された所定の仮想物体の画像データとの組み合わせが禁止された、前記第一記憶部に記憶された仮想物体の画像データのリストに基づいて、前記第一抽出部は前記第一記憶部から仮想物体の画像データを抽出する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、拡張現実(AR、Augmented Reality)画像を表示する表示システム、表示装置、及びプログラムが開示される。
【0002】
従来から、拡張現実技術を用いた表示装置が知られている。例えば特許文献1では、玩具であるアクションフィギュア等の現実物体(現実オブジェクト)が、アニメーション付きの仮想アクションフィギュア等の仮想物体(仮想オブジェクト)に置換された拡張現実画像が表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書では、玩具等の商品に対して拡張現実画像の表示サービスを提供するに当たり、従来よりも商品の付加価値を向上可能な、表示システム、表示装置、及びプログラムが開示される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、表示装置及びサーバを備える表示システムが開示される。表示装置は、撮像器、画像認識部、表示制御部、表示部、及び位置情報取得部を備える。撮像器は現実世界を撮像可能となっている。画像認識部は、撮像器による撮像画像に含まれる持ち運び可能な商品に付された識別子を認識可能となっている。表示制御部は、識別子の認識に応じて、商品を含む現実世界の風景に仮想物体の画像を重畳させた拡張現実画像を生成する。表示部は、拡張現実画像を表示する。位置情報取得部は、現在の位置情報を取得する。サーバは、第一記憶部及び第一抽出部を備える。第一記憶部には、仮想物体の画像データが複数種類に亘って記憶される。第一抽出部は、位置情報取得部が取得した表示装置の位置情報に基づいて、表示装置に提供される仮想物体の画像データを第一記憶部から抽出する。
【0006】
上記構成によれば、商品に仮想物体画像が重畳される際に、位置情報に基づいた仮想物体画像が提供される。これにより、例えば滞在先の風景に合致した仮想物体画像を商品に重畳させることができ、従来よりも商品の付加価値を向上可能となる。
【0007】
また上記構成において、識別子が所定期間に亘って画像認識部に認識されるまで、表示制御部は表示部への拡張現実画像の表示を保留してもよい。
【0008】
上記構成によれば、意図しない商品の写り込みにより拡張現実画像が生成されることを抑制できる。
【0009】
また上記構成において、サーバは、第二記憶部及び第二抽出部を備えてもよい。第二記憶部には、識別子に対応して設定された仮想物体の画像データが記憶される。第二抽出部は、画像認識部が認識した識別子に基づいて、表示装置に提供される仮想物体の画像データを第二記憶部から抽出する。
【0010】
上記構成によれば、位置情報に基づく仮想物体に加えて、識別子に基づく仮想物体、すなわち商品に対して定められた仮想物体が拡張現実画像に表示可能となる。これにより、例えば商品に付されたキャラクタの3D画像を識別子に応じて表示させ、さらに位置情報に基づいて、滞在中のテーマパークに関連した装飾画像を表示させることが可能になる。その結果、遊園地においてキャラクタが玉乗りをする拡張現実画像を表示させる等の、場所に応じた演出が可能となる。
【0011】
また上記構成において、第二記憶部に記憶された所定の仮想物体の画像データとの組み合わせが禁止された、第一記憶部に記憶された仮想物体の画像データのリストに基づいて、第一抽出部は第一記憶部から仮想物体の画像データを抽出してもよい。
【0012】
上記構成によれば、キャラクタと組み合わせることが社会通念上ふさわしくない装飾画像を排除でき、例えば、ペンギンが火の輪潜りをするといった画像の生成が抑制可能となる。
【0013】
また本明細書では、表示装置が開示される。この表示装置は、撮像器、画像認識部、表示制御部、表示部、位置情報取得部、記憶部、及び抽出部を備える。撮像器は、現実世界を撮像可能となっている。画像認識部は、撮像器による撮像画像に含まれる持ち運び可能な商品に付された識別子を認識可能となっている。表示制御部は、識別子の認識に応じて、商品を含む現実世界の風景に仮想物体の画像を重畳させた拡張現実画像を生成する。表示部は、拡張現実画像を表示する。位置情報取得部は、現在の位置情報を取得する。記憶部には、仮想物体の画像データが複数種類に亘って記憶される。抽出部は、位置情報取得部が取得した現在の位置情報に基づいて、現実世界の風景に重畳される仮想物体の画像データを記憶部から抽出する。
【0014】
また本明細書では、コンピュータを、撮像器、画像認識部、表示制御部、表示部、位置情報取得部、記憶部、及び抽出部として機能させるためのプログラムが開示される。撮像器は、現実世界を撮像可能となっている。画像認識部は、撮像器による撮像画像に含まれる持ち運び可能な商品に付された識別子を認識可能となっている。表示制御部は、識別子の認識に応じて、商品を含む現実世界の風景に仮想物体の画像を重畳させた拡張現実画像を生成する。表示部は、拡張現実画像を表示する。位置情報取得部は、現在の位置情報を取得する。記憶部には、仮想物体の画像データが複数種類に亘って記憶される。抽出部は、位置情報取得部が取得した現在の位置情報に基づいて、現実世界の風景に重畳される仮想物体の画像データを記憶部から抽出する。
【発明の効果】
【0015】
本明細書で開示される表示システム、表示装置、及びプログラムによれば、玩具等の商品に対して拡張現実画像の表示サービスを提供するに当たり、従来よりも商品の付加価値が向上可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係る表示システムを含む複合娯楽施設を例示する図である。
【
図2】識別子としてARマーカが付された、商品を例示する斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る表示システムの表示装置及びサーバのハードウェア構成を例示する図である。
【
図5】表示装置の機能ブロックを例示する図である。
【
図6】表示装置が動物園に所在するときに表示される拡張現実画像を例示する図である。
【
図7】表示装置が水族館に所在するときに表示される拡張現実画像を例示する図である。
【
図8】カメラ位置姿勢推定の概要を説明する図である。
【
図9】拡張現実画像表示フローが例示された図である。
【
図10】表示装置の一例として、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を例示する図である。
【
図11】表示装置の一例として、サーバの機能を包含させた例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1には、複合娯楽施設10が例示される。この施設内で、本実施形態に係る表示システムが利用される。後述されるように、本実施形態に係る表示システムは、AR表示装置30及びサーバ70を含んで構成される。
【0018】
<複合娯楽施設の構成>
複合娯楽施設10には、複数のテーマパーク12~18が設けられる。テーマパークとは、特定のテーマ(主題)に基づいて世界観が構成され、当該世界観に基づいて、設備、イベント、景観などが総合的に構成され演出された施設を指す。例えばテーマパーク12~18は、連絡通路20により接続されており、利用者はこの連絡通路を介してそれぞれのテーマパーク12~18の往来が可能となっている。
【0019】
それぞれのテーマパーク12~18及び連絡通路20には、ビーコンの発信器22が設けられる。発信器22は例えば等間隔に複数個設けられる。後述されるように、この発信器22からの信号をAR表示装置30のビーコン受信器37(
図3参照)が受信することで、AR表示装置30の現在位置を取得可能となる。
【0020】
複合娯楽施設10は、それぞれテーマの異なるテーマパークが設けられる。例えば複合娯楽施設10には、テーマパークとして、アスレチックパーク12、遊園地14、水族館16、及び動物園18が設けられる。
【0021】
それぞれのテーマパーク12~18は、それぞれのテーマに基づいて、キャラクタが設定される。キャラクタは、それぞれのテーマパーク12~18のテーマ及び世界観に沿ったものに設定される。例えばアスレチックパーク12では、冒険家、レンジャー、忍者等のキャラクタが設定される。例えば遊園地14では、ピエロ、ゴーカート等のキャラクタが設定される。例えば水族館16では、イルカ、金魚、サメ等のキャラクタが設定される。さらに例えば動物園18では、象、パンダ、ペンギン等のキャラクタが設定される。
【0022】
また、複合娯楽施設10には、売店19が設けられる。例えば連絡通路20沿いに売店19が設置される。また、各テーマパーク12~18内にも売店19が設置されてよい。売店19には、各テーマパーク12~18のテーマに基づいた商品が販売される。
【0023】
<商品の構成>
図2には、売店19にて販売される商品90が例示される。商品90は、例えばテーマパーク12~18への来場記念として購入される土産物である。例えば
図2に例示される商品90は、略立方体形状のクッキー缶である。
【0024】
商品90の表面には、その商品90がどのテーマパーク12~18に関連するものであるかを表す絵図が施される。例えば商品90の表面に各テーマパーク12~18のテーマに基づいて設定されるキャラクタの絵
図96が印刷される。例えば
図2では、商品90であるクッキー缶の側面に、動物園18の来場記念として、ペンギンのキャラクタ絵
図96が印刷される。
【0025】
また商品90の表面には、キャラクタ絵
図96に加えて、拡張現実画像を表示させるための識別子が付される。例えば
図2では、商品90の蓋94の頂面に、識別子であるARマーカ98が印刷される。ARマーカ98は、撮像器35(
図5参照)による復号を容易にするために、例えば白黒2色で構成される。またARマーカ98は、方向を決定するために平面視で上下及び左右が非対称となるような模様が印刷される。さらにARマーカ98は、平面形状や傾き角度の推定が容易となるように矩形状に形成され、例えば平面視正方形となるように印刷される。ARマーカ98の画像認識から拡張現実画像の表示に至るまでのフローは後述される。
【0026】
商品90は持ち運び可能であって、複合娯楽施設10のどの場所にも配置することが出来る。例えば動物園18の売店19にて購入した商品90を、購入者が遊園地14に持ち運ぶことが出来る。後述されるように、本実施形態に係る表示システムでは、商品90が置かれた場所に応じた拡張現実画像が表示される。
【0027】
<サーバの構成>
図3には、本実施形態に係る表示システムを構成する、AR表示装置30及びサーバ70のハードウェア構成が例示される。サーバ70は、例えばコンピュータから構成され、例えば複合娯楽施設10(
図1参照)の管理ビル内に設置される。またサーバ70は、無線LAN等の通信手段によってAR表示装置30と無線接続される。
【0028】
サーバ70は、キーボードやマウス等の入力部71、演算装置のCPU72、及びディスプレイ等の表示部73を備える。またサーバ70は記憶装置として、ROM74、RAM75及びハードディスクドライブ76(HDD)を備える。さらにサーバ70は、情報の入出力を管理する入出力コントローラ77を備える。これらの構成部品は内部バス78に接続される。
【0029】
図4には、サーバ70の機能ブロックが例示される。この機能ブロック図は、例えばROM74やHDD76に記憶されるか、または、DVD等の、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記憶されたプログラムを、CPU72が実行することで構成される。
【0030】
サーバ70は、記憶部として、施設マップ記憶部80、パーク別装飾データ記憶部81(第一記憶部)、キャラクタ記憶部82(第二記憶部)、及び、キャラクタ・装飾組合せ記憶部83を備える。またサーバ70は、装飾データ抽出部84、キャラクタデータ抽出部85、受信部86及び送信部87を備える。
【0031】
施設マップ記憶部80には、複合娯楽施設10内の地図情報が記憶される。例えば複合娯楽施設10内の通路や施設等の位置情報等が記憶される。
【0032】
パーク別装飾データ記憶部81(第一記憶部)には、AR表示装置30に表示される拡張現実画像のうち、仮想物体である装飾物体の画像データが記憶される。装飾物体とは、例えば
図6のような大玉102Aや、
図7の魚102Bの群れを指しており、キャラクタ画像100の装飾としてAR表示装置30に表示される仮想物体が含まれる。
【0033】
パーク別装飾データ記憶部81に記憶される装飾物体の画像データ、すなわち装飾画像データは、仮想物体である装飾物体の3Dモデルデータであってよい。この3Dモデルデータには例えば装飾物体の3D画像データが含まれ、当該画像データは、形状データ、テクスチャデータ、及びモーションデータが含まれる。
【0034】
装飾画像データは、テーマパーク12~18別に、それぞれ複数種類記憶される。例えば一つのテーマパークに対して10種類以上100種類以下の装飾画像データが記憶される。これらの装飾画像データは、テーマパーク12~18別に識別記号が付される。さらにそれぞれの装飾画像データには、固有の識別記号が付される。
【0035】
装飾画像データは、識別記号が付されたテーマパーク12~18に関連性のある画像である。例えば
図6のように、遊園地14に対応する識別記号が付された装飾画像102Aは、玉乗り用の大玉の画像である。また例えば
図7のように、水族館16に対応する識別記号が付された装飾画像102Bは、魚の群れによるアーチの画像である。
【0036】
なお、
図6、
図7では、図示を明確にするために、装飾画像及びキャラクタ画像として輪郭図が図示されているが、この形態に限らずに、装飾画像及びキャラクタ画像の3D画像が表示されてよい。以下適宜、キャラクタ及び装飾物体の3D画像は単にキャラクタ画像及び装飾画像と記載される。
【0037】
図4に戻り、キャラクタ記憶部82(第二記憶部)には、テーマパーク12~18別に設定された仮想物体であるキャラクタの情報が記憶される。キャラクタの情報とは、例えば各キャラクタの3Dモデルデータであってよい。この3Dモデルデータには例えばキャラクタの3D画像データが含まれ、当該画像データは、形状データ、テクスチャデータ、及びモーションデータが含まれる。
【0038】
このような各キャラクタの3Dモデルデータは、商品90に付された識別子が復号されることで得られる識別記号(AR-ID)と関連付けてキャラクタ記憶部82に記憶される。例えば後述されるように、商品90(
図2参照)に付された識別子であるARマーカ98が画像認識部58(
図5参照)により認識されAR-IDに復号(デコード)される。さらに、当該AR-IDに対応する仮想物体、つまりキャラクタの3Dモデルデータがキャラクタ記憶部82から抽出される。
【0039】
キャラクタ・装飾組合せ記憶部83には、キャラクタ画像との組み合わせが禁止された装飾画像のリスト(以下適宜、組合せ禁止リストと記載される)が記憶される。このリストには、例えばキャラクタ画像がペンギンである場合に、装飾画像が火の輪潜りを表すものであるなど、社会通念上組み合わせることが適切でない組み合わせが列挙されている。例えばこのリストは予め複合娯楽施設10の管理者等によって設定される。リストの形式として、例えばキャラクタ画像のAR-IDと、当該キャラクタ画像との組み合わせが禁止された装飾画像の識別記号(ID)が関連付けられて記憶される。
【0040】
受信部86は、AR表示装置30等の外部機器の信号を受信する。AR表示装置30からは、AR表示装置30の現在位置情報と、AR表示装置30が撮像した商品90のAR-ID情報が受信部86に送信される。装飾データ抽出部84(第一抽出部)は、位置情報取得部50(
図5参照)が取得した現在位置情報に基づいて、AR表示装置30がどのテーマパーク12~18に所在しているのかを判定する。さらに装飾データ抽出部84は、所在中のテーマパーク12~18に対応して設定された装飾画像データをパーク別装飾データ記憶部81から抽出する。
【0041】
またキャラクタデータ抽出部85(第二抽出部)は、受信したAR-IDに対応する仮想物体であるキャラクタの画像データをキャラクタ記憶部82から抽出する。抽出された装飾画像データ及びキャラクタ画像データは送信部87を介してAR表示装置30に送信される
【0042】
<AR表示装置の構成>
図1を参照して、AR表示装置30は、複合娯楽施設10の利用者(ユーザ)に利用される表示装置である。AR表示装置30は、現実世界の風景に仮想物体の画像を重畳させた仮想現実画像を表示可能となっている。
【0043】
AR表示装置30は、携帯型の機器であってよく、商品90とともに移動可能となっている。例えばAR表示装置30は、撮像装置及び表示部を備えたスマートフォンや、眼鏡型のヘッドマウントディスプレイ(HMD)である。
【0044】
現実世界の風景の表示態様という観点から、AR表示装置30は、ビデオ透過型(Video See-Through)ディスプレイ(VSTディスプレイ)と、光学透過型(Optical See-Through)ディスプレイ(OSTディスプレイ)とに分けることができる。VSTディスプレイは、カメラ等の撮像器が現実世界の風景を撮像し、表示器にその撮像画像を表示する。一方でOSTディスプレイは、ハーフミラー等の透過型の表示部を通して現実世界の風景が視認され、当該表示部に仮想物体が投影される。
【0045】
上述したスマートフォン等の、撮像器35(
図3参照)を備えるAR表示装置30は、VSTディスプレイに分類される。また上述したヘッドマウントディスプレイ(HMD)は、眼鏡のレンズを表示部として、現実世界の風景が視認されるから、OSTディスプレイに分類される。
【0046】
以下の実施形態では、
図6に例示されるように、AR表示装置30の例として、携帯型かつVSTディスプレイ型のスマートフォンが図示される。このスマートフォンは、複合娯楽施設10の利用者の所有物であってもよいし、複合娯楽施設10の利用者に対して貸与させるタブレット端末等のリース物品であってもよい。
【0047】
図3には、AR表示装置30のハードウェア構成が、サーバ70のハードウェア構成とともに例示される。AR表示装置30は、CPU31(中央演算装置)、撮像器35、GPS受信器36、ビーコン受信器37、入出力コントローラ39、システムメモリ40、ストレージ41、GPU42、フレームメモリ43、RAMDAC44、表示制御部45、表示部46、及び入力部47を備える。
【0048】
システムメモリ40は、CPU31によって実行されるオペレーションシステム(OS)が使用する記憶装置である。ストレージ41は、外部記憶装置であって、例えば後述する、仮想現実画像(AR画像)を表示させるためのプログラムが記憶される。
【0049】
撮像器35は、例えばスマートフォンに搭載されたカメラデバイスであり、現実世界の風景を静止画及び動画にて撮像可能となっている。撮像器35は、例えばCMOSやCCD等の撮像デバイスを含んで構成される。さらに撮像器35は、現実世界の撮像に加えて、撮像器35からの離隔距離を測定する機能を備えた、いわゆるRGB-Dカメラであってよい。離隔距離を測定する機能として、例えば撮像器35には、上述した撮像デバイスに加えて、赤外線を用いた測距機構が設けられる。
【0050】
GPU42(Graphics Processing Unit)は、画像処理用の演算装置であって、後述する画像認識を行う際に主に稼働される。フレームメモリ43は、撮像器35により撮像されさらにGPU42により演算処理された画像を記憶する記憶装置である。RAMDAC44(Random Access Memory Digital-to-Analog Converter)は、フレームメモリ43に記憶された画像データを、アナログディスプレイである表示部46向けのアナログ信号に変換する。
【0051】
GPS受信器36は、GPS衛星24(
図1参照)から測位信号であるGPS信号を受信する。GPS信号には、緯度、経度、高度の位置座標情報が含まれる。ビーコン受信器37は、連絡通路20をはじめとして複合娯楽施設10内に設置されたビーコンの発信器22からの位置信号を受信する。
【0052】
ここで、GPS受信器36とビーコン受信器37は、ともに位置推定機能が重複する。したがって、AR表示装置30には、GPS受信器36とビーコン受信器37のどちらか一方のみが設けられていてもよい。
【0053】
入力部47は撮像器35への起動指令や撮像指令を入力可能となっている。例えば入力部47は、表示部46と一体化されたタッチパネルであってよい。
【0054】
表示制御部45は、現実世界の風景に仮想物体の画像を重畳させた拡張現実画像(AR画像)を生成してこれを表示部46に表示可能となっている。後述されるように、拡張現実画像の表示は、商品90(
図2参照)に付された識別子であるARマーカ98を画像認識部が認識することで実行される。
【0055】
例えば表示制御部45は、現実世界の撮像画像のうち、ARマーカ98の画像より上方に、仮想物体画像であるキャラクタ画像100(
図6参照)及び装飾画像102Aを重畳させる画像処理(レンダリング)を行い、拡張現実画像を生成する。この画像は表示部46に表示される。表示部46は、例えば液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイであってよい。
【0056】
図5には、AR表示装置30の機能ブロック図が例示される。この機能ブロック図は、例えばシステムメモリ40やストレージ41に記憶されるか、または、DVDやコンピュータのハードディスク等の、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記憶されたプログラムを、CPU31やGPU42が実行することで構成される。
【0057】
図5には、
図3にも例示されたハードウェア構成の一部と機能ブロックとが混在した状態で示される。
図5にはハードウェア構成として、撮像器35、表示制御部45、表示部46、及び入力部47が例示される。
【0058】
また機能ブロックとして、AR表示装置30は、位置情報取得部50、送信部52、受信部55、位置姿勢推定部56、及び画像認識部58を備える。また記憶部としてAR表示装置30は学習済みモデル記憶部59を備える。これらの機能ブロックは、CPU31、システムメモリ40、ストレージ41、GPU42、及びフレームメモリ43等から構成される。
【0059】
位置情報取得部50は、
図3のGPS受信器36及びビーコン受信器37の少なくとも一方から、AR表示装置30の現在位置の情報を取得する。この位置情報はいわゆるワールド座標系であって、GPS信号の場合は緯度、経度及び高度情報が位置情報に含まれる。また受信した位置情報がビーコン信号から取得したものである場合には、例えば複合娯楽施設10の任意の地点を原点とした平面座標系のx座標及びy座標が位置情報に含まれる。
【0060】
位置姿勢推定部56は、いわゆるカメラ位置姿勢を推定する。つまり、ARマーカ98に対する撮像器35の位置及び姿勢が推定される。例えば
図8に例示されるように、ARマーカ98の輪郭線が抽出された画像が画像認識部58より送られる。この画像は、既知の画像処理技術によって取得される。例えば位置姿勢推定部56は、撮像画像を白黒の二値画像に変換し、この2色の境界線すなわち輪郭線を探索する。
【0061】
位置姿勢推定部56は、探索した輪郭線のうち、閉じた形状であるものを探索し、さらにその形状の角部(エッジ)を求めることでARマーカ98の平面を求める。さらに位置姿勢推定部56は、既知の平面射影変換に基づいてカメラ位置姿勢を算出する。これにより
図8の矢印で示されるように、ARマーカ98の平面に対する直交座標系が求められる。この直交座標系に基づいて、キャラクタ画像100及び装飾画像102(102A,102B)の表示時のアングルが定められる。
【0062】
画像認識部58は、撮像器35による撮像画像データを受信して画像認識を行う。画像認識には、撮像画像中の物体の認識と、当該物体とAR表示装置30との離隔距離の推定が含まれる。このような画像認識に当たり、撮像画像データには例えば上述したように、現実世界の風景を撮像したカラー画像データに加えて、当該カラー画像データ内の各物体の、撮像器35からの離隔距離データが含まれる。
【0063】
画像認識部58は学習済みモデル記憶部59に記憶された画像認識用の学習モデルを用いて、撮像画像の認識を行う。学習済みモデル記憶部59には、例えば、外部のサーバ等によって学習済みの画像認識用のニューラルネットワークが記憶される。例えば複合娯楽施設10を含む屋外の画像データであって、画像内の各物体のセグメント済み及びアノテーション済みのデータが、訓練用データとして準備される。この訓練用データを用いて、教師有り学習により機械学習された多階層のニューラルネットワークが形成され、学習済みモデル記憶部59に記憶される。このニューラルネットワークは、例えば畳み込みニューラルネットワーク(CNN)であってよい。
【0064】
後述されるように、撮像画像中の各物体がセグメンテーションにより区画され、さらに各物体との離隔距離が求められることで、AR表示装置30から見た前後関係に基づく隠蔽処理が可能となる。例えば商品90の手前を物体が通過したときに、その背後に仮想的に配置されるキャラクタ画像100及び装飾画像102(102A,102B)が当該通過物体に隠れるような画像処理が可能となる。
【0065】
<拡張現実画像表示フロー>
図9には、本実施形態に係る表示システムによる、拡張現実画像の表示フローが例示される。例えばシステムメモリ40やストレージ41に記憶されるか、または、DVDやコンピュータのハードディスク等の、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記憶されたプログラムを、CPU31やGPU42が実行することで、この表示フローが実行される。
【0066】
また
図9では、AR表示装置30により実行されるステップが(D)で示され、サーバ70により実行されるステップが(S)で示される。
図9に加えて、
図4、
図5を参照して、AR表示装置30の入力部47から撮像指令が入力されると、本フローが起動される。撮像器35は、撮像指令に基づいて得られた撮像画像を画像認識部58に送信する。
【0067】
画像認識部58は、受信した撮像画像に対して画像認識を行う(S10)。この画像認識には、撮像画像に含まれる商品90(
図2参照)の認識、商品90に付された識別子であるARマーカ98の認識、及び撮像画像中の各物体(現実物体)の認識が含まれる。またこの認識はセグメンテーション及びアノテーションが含まれる。さらにこの画像認識では、各物体の、AR表示装置30からの離隔距離が求められる。
【0068】
画像認識部58は、撮像画像中にARマーカ98が認識されたか否かを判定する(S12)。ARマーカ98が認識されなかった場合は、本フローが終了する。一方、撮像画像中にARマーカ98が認識された場合には、画像認識部58は、ARマーカ98を所定期間に亘って追跡(いわゆるマーカトラッキング)し、ARマーカ98が当該所定期間継続して撮像画像に含まれたか否かを判定する(S14)。所定期間は例えば5秒以上10秒以下であってよい。
【0069】
所定期間の途中で、撮像画像からARマーカ98が消えた場合には、いわゆる意図しない写り込みと考えられるので、当該ARマーカ98により起動される拡張現実画像の生成は見送られる。つまり、拡張現実画像の表示部46への表示が保留される。一方、所定期間継続してARマーカ98が撮像画像中に含まれた場合は、画像認識部58は、ARマーカ98を復号してAR-IDを取得する(S16)。
【0070】
さらに位置情報取得部50によってAR表示装置30の現在位置が取得される。この現在位置情報とAR-IDは送信部52からサーバ70に送信される(S18)。サーバ70の受信部86がAR表示装置30の現在位置情報と商品90のAR-IDを受信すると、キャラクタデータ抽出部85に、AR-IDが送信される。キャラクタデータ抽出部85は、受信したAR-IDに対応するキャラクタの画像100(
図6参照)のデータを、キャラクタ記憶部82から抽出する(S20)。
【0071】
また、AR表示装置30の現在位置情報と商品90のAR-IDは装飾データ抽出部84に送信される。装飾データ抽出部84は、現在位置情報に対応する、つまり現在位置をパーク内に含むテーマパーク12~18を、施設マップ記憶部80に記憶されたパークマップデータから求める(S22)。さらに装飾データ抽出部84は、パーク別装飾データ記憶部81を参照して、求められたテーマパーク12~18に対応して設定された装飾画像102(102A,102B)のデータ(
図6、
図7参照)を抽出する(S24)。求められたテーマパーク12~18に対して、複数種類の装飾画像データがパーク別装飾データ記憶部81に記憶されている場合には、例えばこれらの中からランダムに装飾画像データが抽出される。
【0072】
さらに装飾データ抽出部84は、抽出された装飾画像データは、ステップS20にて抽出されたキャラクタ画像データとの組み合わせが禁止されているか否かを判定する(S26)。この判定は、キャラクタ・装飾組合せ記憶部83に記憶された組合せ禁止リストに基づいて行われる。例えば装飾データ抽出部84は、AR-IDと抽出された装飾画像データの識別記号との組み合わせが、組み合わせ禁止リストに登録されているか否かを判定する。
【0073】
抽出された装飾画像が、抽出されたキャラクタ画像との組み合わせが禁止されたものである場合、装飾データ抽出部84は、装飾画像データの抽出をやり直す(S28)ためにステップS24まで戻る。
【0074】
一方、抽出された装飾画像が、抽出されたキャラクタ画像との組み合わせが禁止されたものでは無い場合、装飾データ抽出部84は、抽出された装飾画像データを送信部87に送信する。送信部87は、受信した装飾画像データとともに、キャラクタデータ抽出部85により抽出されたキャラクタ画像データをAR表示装置30に送信する(S30)。
【0075】
AR表示装置30の受信部55がサーバ70からキャラクタ画像データ及び装飾画像データを受信すると、これらのデータは表示制御部45に送信される。また、位置姿勢推定部56は、画像認識部58からARマーカ98の輪郭画像(
図8参照)を取得して、上述したようなカメラ位置姿勢の推定を行う(S32)。
【0076】
カメラ位置姿勢推定により、ARマーカ98上の直交座標系が求められると、当該座標系に沿って、キャラクタ画像及び装飾画像の位置姿勢が定められる。これを受けて表示制御部45は、位置姿勢が定められたキャラクタ画像及び装飾画像、つまり仮想物体の画像を、現実世界の風景に重畳させた拡張現実画像を生成して、表示部46に表示させる(S34)。キャラクタ画像及び装飾画像の表示位置は、例えば撮像画像中、ARマーカ98の画面上方となるように予め定められる。
【0077】
このように、本実施形態に係る表示システムによれば、AR表示装置30の位置情報に基づいて、仮想物体画像である装飾画像が撮像画像に重畳される。加えて、商品90に付された識別子であるARマーカ98に基づいて、仮想物体画像であるキャラクタ画像が撮像画像に重畳される。
【0078】
位置情報に基づいて装飾画像が設定されることで、来場するテーマパーク12~18ごとに装飾画像が変化し、また滞在中のテーマパーク12~18の世界観に沿った装飾画像が表示される。
【0079】
さらにARマーカ98に基づいてキャラクタ画像が設定され、装飾画像とともに拡張現実画像に表示されることで、当該キャラクタと一緒に各テーマパーク12~18を周遊するような演出が可能となる。
【0080】
<AR表示装置の別例>
上述した実施形態では、AR表示装置30として、ビデオ透過型ディスプレイであるスマートフォンが例示されていたが、本実施形態に係るAR表示装置30はこの形態に限られない。例えば
図10に例示されるようなヘッドマウントディスプレイ(HMD)のように、AR表示装置30が光学透過型ディスプレイから構成されてもよい。
【0081】
この場合、AR表示装置30は、撮像器35、表示部46に対応するハーフミラー114、表示制御部45及び画像認識部58に対応するプロジェクタ116、ならびに、位置情報取得部50及び位置姿勢推定部56に対応するセンサユニット112を含んで構成される。
【0082】
ハーフミラー114は、例えば眼鏡やゴーグルのレンズであってよい。ハーフミラー114は、現実世界からの光(像)が利用者まで透過される。一方、ハーフミラー114の上方に配置されたプロジェクタ116は、仮想物体の像をハーフミラー114に投影させる。これにより、現実世界の風景に仮想物体画像であるキャラクタ画像や装飾画像が重畳された拡張現実画像が表示可能となる。
【0083】
<AR表示装置の別例>
上述の実施形態では、
図9の拡張現実画像の表示フローを、AR表示装置30及びサーバ70にて行っていたが、これに代えて、AR表示装置30が当該フローの全ステップを実行してもよい。この場合、AR表示装置30は、例えば記憶容量がスマートフォンよりも大きいタブレット型端末から構成される。
【0084】
図11には、
図5の変形例であって、AR表示装置30の機能ブロック図が例示される。この機能ブロック図は、例えばシステムメモリ40やストレージ41に記憶されるか、または、DVDやコンピュータのハードディスク等の、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記憶されたプログラムを、CPU31やGPU42が実行することで構成される。
【0085】
図5と比較して、AR表示装置30には、施設マップ記憶部80、パーク別装飾データ記憶部81(第一記憶部)、キャラクタ記憶部82(第二記憶部)、及び、キャラクタ・装飾組合せ記憶部83が設けられる。またAR表示装置30には、装飾データ抽出部84(第一抽出部)及びキャラクタデータ抽出部85(第二抽出部)が設けられる。
【0086】
図4、
図5において、サーバ70に設けられたこれらの構成が、AR表示装置30に設けられることで、仮想現実画像表示フローが、AR表示装置30単体にて実行可能となる。例えば
図9のフローにおいて、全てのステップがAR表示装置30により実行される。さらに、AR表示装置30とサーバ70とのデータのやり取りが不要となるので、ステップS18,S30が不要となる。
【0087】
<識別子の別例>
上述の実施形態では、AR表示装置30が拡張現実画像を生成するための識別子として、商品90の表面にARマーカ98が付されていたが、本実施形態に係る表示システムは、この形態に限られない。例えばいわゆる商品90にARマーカ98が付されないマーカレスAR方式が採用されてもよい。
【0088】
具体的には、商品90の表面に付されたキャラクタ絵
図96(
図2参照)が識別子として用いられてよい。例えば
図9のステップS12において、画像認識により撮像画像のセグメンテーション及びアノテーションが行われ、商品90の表面に付されたキャラクタ絵
図96(
図2参照)が認識されると、ステップS14に進むように、フローが構成される。さらにステップS14にてキャラクタ絵
図96が所定期間継続して撮像画像に含まれたときに、ステップS16に進むように、フローが構成される。
【0089】
さらにステップS16では、キャラクタ絵
図96の形状(セグメンテーションにより推定可能)及び属性(アノテーションにより推定可能)に関連したAR-IDを画像認識部58が取得してもよい。この場合、キャラクタ絵
図96の形状及び属性とAR-IDとの対照関係は、AR表示装置30に予め記憶されていてよい。
【符号の説明】
【0090】
10 複合娯楽施設、12 アスレチックパーク、14 遊園地、16 水族館、18 動物園、19 売店、20 連絡通路、22 ビーコン発信器、24 GPS衛星、30 AR表示装置、35 撮像器、36 GPS受信器、37 ビーコン受信器、45 表示制御部、46 表示部、50 位置情報取得部、56 位置姿勢推定部、58 画像認識部、59 学習済みモデル記憶部、70 サーバ、80 施設マップ記憶部、81 パーク別装飾データ記憶部(第一記憶部)、82 キャラクタ記憶部(第二記憶部)、83 キャラクタ装飾組合せ記憶部、84 装飾データ抽出部(第一抽出部)、85 キャラクタデータ抽出部(第二抽出部)、90 商品、96 キャラクタ絵図、98 ARマーカ(識別子)、100 キャラクタ画像(仮想物体の画像)、102 装飾画像(仮想物体の画像)、112 センサユニット、114 ハーフミラー、116 プロジェクタ。