(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ケーブル絶縁層用レオロジー改質ポリオレフィンを製造するための連続押出機プロセス、および関連生成物
(51)【国際特許分類】
C08F 210/16 20060101AFI20231219BHJP
B29B 7/30 20060101ALI20231219BHJP
B29B 7/88 20060101ALI20231219BHJP
B29C 35/02 20060101ALI20231219BHJP
C08F 8/00 20060101ALI20231219BHJP
C08J 3/24 20060101ALI20231219BHJP
C08K 5/14 20060101ALI20231219BHJP
C08L 23/26 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
C08F210/16
B29B7/30
B29B7/88
B29C35/02
C08F8/00
C08J3/24 Z CES
C08K5/14
C08L23/26
(21)【出願番号】P 2020506198
(86)(22)【出願日】2018-08-27
(86)【国際出願番号】 US2018048057
(87)【国際公開番号】W WO2019046149
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-16
(32)【優先日】2017-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】コウ、チエン
(72)【発明者】
【氏名】ダンチュス、ネイル、ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】チャウダリー、バァラァトゥ、アイ.
【審査官】谷合 正光
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/124617(WO,A1)
【文献】特開平11-158233(JP,A)
【文献】特開2000-343583(JP,A)
【文献】特表2002-543252(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105566901(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 210/16
B29B 7/30
B29B 7/88
B29C 35/02
C08F 8/00
C08J 3/24
C08K 5/14
C08L 23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続運転しているマルチゾーン押出機で、レオロジー改質添加剤含有エチレン性ポリマーを製造するための、1ユニット作業の連続押出プロセスであって、前記連続運転しているマルチゾーン押出機が、ポリマーを前記押出機に追加するための主供給装置で構成されてい
る第1のゾーンと
、高温分解性過酸化物を前記押出機の第2のゾーンに追加するためのインジェクタで構成されている前記第2のゾーンと、1種以上の添加剤を前記押出機の第3のゾーンに追加するための二次供給装置で構成されている前記第3のゾーンと、材料を前記押出機から排出するための出口と、を連続的に備え、前記第1のゾーンが、前記第1のゾーンと前記第2のゾーンとの間に配置された0または1個以上の中間ゾーンを介して前記第2のゾーンと材料連通し、前記第2のゾーンが、前記第2のゾーンと前記第3のゾーンとの間に配置された0または1個以上の中間ゾーンを介して前記第3のゾーンと材料連通し、前記第3のゾーンが、前記第3のゾーンと前記出口との間に配置された0または1個以上の中間ゾーンを介して前記出口と材料連通し、前記プロセスが、
エチレン性ポリマーと高温分解性過酸化物とを、前記押出機の前記第2のゾーンで、前記エチレン性ポリマーを溶融し、前記過酸化物の全てを完全に分解し、前記溶融エチレン性ポリマーのレオロジーを改質して、レオロジー改質溶融エチレン性ポリマーを生成するのに十分な時間混合し、それを前記押出機の前記第3のゾーンに移送する工程と、
レオロジー改質溶融エチレン性ポリマーの生成後、1種以上の添加剤を、前記第3のゾーンの前記二次供給装置を介して、前記レオロジー改質溶融エチレン性ポリマーに追加して、前記レオロジー改質添加剤含有エチレン性ポリマーを生成する工程と、
白色のレオロジー改質添加剤含有エチレン性ポリマー組成物を作る工程と
を含み、
前記エチレン性ポリマーは、重合されたエチレンとα-オレフィンモノマーとからなるエチレン/(α-オレフィン)インターポリマーであり、
前記高温分解性過酸化物は、ジアルキルペルオキシドおよびジペルオキシケタールのうちの1種以上である
プロセス。
【請求項2】
第1のエチレン性ポリマーの固体形態を、前記主供給装置を介して、前記連続運転しているマルチゾーン押出機の前記第1のゾーンに供給して、前記連続運転しているマルチゾーン押出機の前記第1のゾーン内に、前記第1のエチレン性ポリマーを置くさらなる工程と、
前記第1のエチレン性ポリマーを、前記押出機内で溶融および移送して、前記溶融エチレン性ポリマーを、前記押出機の前記第2のゾーン内で生成するさらなる工程と、を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記第1のエチレン性ポリマーが、ニートエチレン性ポリマーである、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記押出機の前記第2のゾーンが、高温分解性過酸化物を前記押出機の前記第2のゾーンに追加するための前記インジェクタで構成され、前記プロセスが、
前記高温分解性過酸化物を、前記第2のゾーンの前記インジェクタを介して、前記押出機の前記第2のゾーン内で前記エチレン性ポリマーに追加するさらなる工程を含む、請求項1~
3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記レオロジー改質溶融エチレン性ポリマーと、前記1種以上の添加剤とを一緒に混合して、前記レオロジー改質溶融エチレン性ポリマーと、前記1種以上の添加剤とのブレンドとしての、前記レオロジー改質添加剤含有エチレン性ポリマーを、前記押出機内で形成するさらなる工程と、
前記レオロジー改質溶融エチレン性ポリマーと、前記1種以上の添加剤との前記ブレンドを、前記押出機の前記出口から押出して、前記ブレンドの押出物を得るさらなる工程と、を含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記ブレンドの前記押出物を硬化させて、架橋エチレン性ポリマーを得ることをさらに含む、請求項
5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記第1のエチレン性ポリマーが、実質的に直鎖状エチレンポリマー高分子を含む、請求項1~
6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記添加剤が、酸化防止剤、紫外線安定剤、および水トリー遅延剤のうちの1種以上を含む、請求項1~
7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記レオロジー改質添加剤含有エチレン性ポリマーが、絶縁層によって少なくとも部分的に囲まれた導電性コアを含むケーブルの前記導電性コア上の前記絶縁層において使用される、請求項1~
8のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィンのレオロジー改質に関する。一態様では、本発明は、ポリオレフィンのレオロジー改質のための連続押出機プロセスに関する一方で、別の態様では、本発明は、中電圧から超高電圧の電力ケーブル用の架橋ポリオレフィン絶縁層を製造するためのプロセスの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
中電圧から超高電圧の電力ケーブルの架橋絶縁層は、高温分解性過酸化物を含有する、ポリオレフィン組成物、例えば、エチレン性ポリマー組成物を使用して作製される。これらの配合物は、135℃~140℃の押出温度での、(連続加硫チューブ内での架橋前の垂れ抵抗性のための)十分に高いゼロ剪断粘度または低歪みの伸長粘度と組み合わせて、これらの温度での、(過酸化物の早期分解をもたらし得る剪断加熱を防止するための)低剪断粘度を示すことが必要とされる。
【0003】
しかし、可撓性電気絶縁組成物の作製に重要であるいくつかのエチレン性ポリマー(特に、メタロセンまたはポストメタロセン触媒などの分子触媒で作製されるエラストマー)は、高分子量(高剪断粘度)のものだけが、適切な垂れ抵抗性を提供するような、押出中に剪断薄化が不十分な比較的狭い分子量分布の直鎖状ポリマーである。剪断粘度および伸張粘度特性を改善する、(過酸化物などのカップリング剤の使用を通しての)エチレン性ポリマーのレオロジー改質は、既知であるが、そうするために必要な別個のユニット作業は製造コストを法外に増加させる。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、本発明は、連続運転しているマルチゾーン押出機内で、レオロジー改質添加剤含有エチレン性ポリマーを作製するための、1ユニット作業の連続押出プロセスであって、連続運転しているマルチゾーン押出機が、ポリマーを押出機に追加するための主供給装置で構成され、任意に高温分解性過酸化物を押出機の第1のゾーンに追加するためのインジェクタで構成されている第1のゾーンと、任意に高温分解性過酸化物を押出機の第2のゾーンに追加するためのインジェクタで構成されている第2のゾーンと、1種以上の添加剤を押出機の第3のゾーンに追加するための二次供給装置で構成されている第3のゾーンと、材料を押出機から排出するための出口と、を連続的に備え、第1のゾーンが、第1のゾーンと第2のゾーンとの間に配置された0または1個以上の中間ゾーンを介して第2のゾーンと材料連通し、第2のゾーンが、第2のゾーンと第3のゾーンとの間に配置された0または1個以上の中間ゾーンを介して第3のゾーンと材料連通し、第3のゾーンが、第3のゾーンと出口との間に配置された0または1個以上の中間ゾーンを介して出口と材料連通し、第1のゾーンおよび第2のゾーンのうちの少なくとも1つが、インジェクタで構成され、プロセスが、過酸化物の半減期が(≧)1分以上であるような温度で、エチレン性ポリマーおよび高温分解性過酸化物を、押出機の第2のゾーンで、エチレン性ポリマーを溶融し、溶融エチレン性ポリマーのレオロジーを改質し、レオロジー改質溶融エチレン性ポリマーを生成するのに十分な時間混合し、それを押出機の第3のゾーンに移送する工程と、1種以上の添加剤を、第3のゾーンの二次供給装置を介して、レオロジー改質溶融エチレン性ポリマーに追加して、レオロジー改質添加剤含有エチレン性ポリマーを生成する工程と、を含む、プロセス。
【0005】
一実施形態では、本発明は、本発明のプロセスによって作製される電力ケーブル用の絶縁シースである。一実施形態では、本発明は、本発明のプロセスによって作製される絶縁シースを含む電力ケーブルである。一実施形態では、電力ケーブルは、中電圧、高電圧、または超高電圧の電力ケーブルである。一実施形態では、本発明は、本発明のプロセスによって作製される絶縁シースを含むケーブルの導電性コア全域に印加することによって、電気を伝導する方法であり、それによって電気が導電性コアを通り流される。
【0006】
本発明のプロセスの1つの特徴は、エチレン性ポリマーがレオロジー改質される後まで、添加剤が連続運転している押出機に供給されないことである。このプロセスの別の特徴は、1種以上の高温分解性過酸化物の使用である。
【0007】
本発明の連続押出プロセスは、費用効果が高い。添加剤からの架橋干渉を排除しないが、低減する。添加剤損失を排除しないが、低減する、例えば、押出プロセス内に初期(架橋開始前)に追加された酸化防止剤は、多くの場合レオロジー改質組成物が押出される前に枯渇する。得られた組成物は、全ての低、中、高、および超高電圧の電力ケーブル、特に中、高、および超高電圧の電力ケーブル用の絶縁および他の層を作製するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】比較例1で使用される押出機の概略図である。ポリマーおよび全ての添加剤は、ゾーン1のバレル1で主ホッパーを通して、押出機に供給され、ゾーン2のバレル2および3内で溶融ブレンドされ、過酸化物は、ゾーン2のバレル4に追加される。
【
図2】比較例2で使用される押出機の概略図である。ポリマーおよび全ての添加剤は、ゾーン1のバレル1で主ホッパーを通して、押出機に供給され、過酸化物は、ポリマーと添加剤との任意の有意な溶融ブレンドの前にゾーン2のバレル2に追加される。
【
図3】発明例1で使用される押出機の概略図である。ポリマーの96パーセント(96%)は、ゾーン1のバレル1に追加され、過酸化物の全ては、ゾーン2のバレル2に追加される。ポリマーおよび過酸化物は、溶融ブレンドされ、ポリマーは、ゾーン2のバレル3~5にわたってレオロジー改質される。添加剤の全ておよびポリマーの残りの4パーセント(4%)は、ゾーン3のバレル6に追加される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
米国特許慣行の目的のために、いずれの参照される特許、特許出願、または刊行物の内容も、特に定義の開示(本開示に具体的に提供されるいずれの定義とも矛盾しない程度に)および当該技術分野の一般知識に関して、参照によりそれらの全体が組み込まれる(またはその等価米国版が参照によりそのように組み込まれる)。
【0010】
本明細書に開示されている数値範囲は、下限値および上限値を含む、下限値から上限値の全ての値を含む。範囲が明示的な値(例えば、1または2;または3~5;または6;または7)を含む場合、任意の2つの明示的な値の間の任意の下位範囲(例えば、1~2;2~6;5~7;3~7;5~6など)が含まれる。
【0011】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する」という用語、およびそれらの派生語は、任意の追加の構成要素、ステップ、または手順が、本明細書で具体的に開示されているか否かに関わらず、それらの存在を除外するよう意図されない。疑義が生じないようにするために、「含む」という用語の使用を通じて主張される全ての組成物は、相反する記載がない限り、ポリマーであるか、ポリマーでないかに関わらず、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含むことができる。対照的に、「本質的に~からなる」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、あらゆる後続の記載の範囲から、任意の他の構成要素、ステップ、または手順を除外する。「からなる」という用語は、具体的に描写または列挙されていないあらゆる構成成分、プロセス、または手順を除外する。「または(or)」という用語は、特段の記述がない限り、列挙されたメンバーを個別におよび任意の組み合わせで指す。単数形の使用には、複数形の使用が含まれ、またその逆も含まれる。
【0012】
反対の記載、文脈から暗黙のうちに、またはこの技術分野において慣習的にそうでないと述べられていない限り、全ての部およびパーセントは重量に基づいており、全ての試験方法は本開示の出願日現在のものである。
【0013】
「組成物」および同様の用語は、2種以上の材料の組み合わせを意味する。本発明の実施で使用されるエチレン性ポリマーに関して、組成物は、エチレン性ポリマーと、1種以上の他の材料、例えば過酸化物、酸化防止剤、安定剤、水トリー遅延剤、充填剤、別のポリマーなどとの組み合わせである。
【0014】
「ブレンド」、「ポリマーブレンド」、および同様の用語は、2種以上の材料、例えば、2種以上のポリマー、またはポリマーおよび1種以上の添加剤などの密接な物理的混合物(すなわち、反応がない)を意味する。ブレンドは、相溶性(分子レベルで相分離なし)であっても相溶性でなくてもよい。ブレンドは、相分離していても相分離していなくてもよい。ブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当該技術分野において既知である他の方法から決定して、1つ以上のドメイン構成を含有しても含有しなくてもよい。ブレンドは、マクロレベル(例えば、溶融ブレンド樹脂もしくは調合)またはミクロレベル(例えば、同じ反応器内での2種以上のポリマーの同時形成)で2種以上の材料を物理的に混合することによって実行され得る。
【0015】
「溶融ブレンド」は、それによって少なくとも2つの成分が組み合わされるか、そうでなければ一緒に混合され、成分のうちの少なくとも1つが溶融状態にあるプロセスである。溶融ブレンドは、バッチ混合、押出ブレンド、押出成形、およびこれらの任意の組み合わせによって達成することができる。
【0016】
「レオロジー改質エチレン性ポリマー」および同様の用語は、バルクポリマーの個々の分子のいくつかが一緒に結合したエチレン性ポリマーを意味する。「バルクポリマー」とは、反応器内で形成されるポリマー、すなわち個々のポリマー分子の集合を指す。バルクポリマーの全ての個々の分子が、全ての点、例えば、長さ、モノマー配列、官能性などで似ているわけではない。レオロジー改質エチレン性ポリマーは、レオロジー改質されていないエチレン性ポリマー、すなわち、出発もしくは予備改質エチレン性ポリマー、または言い換えれば、過酸化物を活性化する条件下で高温分解性過酸化物と接触していないエチレン性ポリマーと、次の試験方法:動的振動剪断粘度、伸長粘度、および/またはゼロ剪断断粘度のうちの1つ以上によって区別される。レオロジー改質エチレン性ポリマーは、ASTM D2765に従って、デカヒドロナフタレン(デカリン)でエチレン性ポリマーを抽出することによって測定される場合、(<)40%未満、または<30%、または<20%、または<10%、または<5%、または<1%のゲル含有率(不溶性画分)を有する。
【0017】
「架橋エチレン性ポリマー」および同様の用語は、ASTM D2765に従って、デカヒドロナフタレン(デカリン)でエチレン性ポリマーを抽出することによって測定される場合、(≧)40%以上、または≧50%、または≧60%、または≧70%のゲル含有率(不溶性画分)を含むエチレン性ポリマーを意味する。
【0018】
「ポリマー」および同様の用語は、同じまたは異なる種類のモノマーを反応させる(すなわち、重合させる)ことによって調製された巨大分子化合物を意味する。「ポリマー」は、ホモポリマーおよびインターポリマーを含む。例えば、触媒残渣等の微量の不純物が、ポリマー中および/またはポリマー内に組み込まれ得る。この用語は、全ての形態のコポリマー、例えば、ランダム、ブロックなども包含する。ポリマーは多くの場合、1つ以上の特定のモノマー「から作製される」もの、特定のモノマーまたはモノマーの種類「に基づく」もの、特定のモノマー含有量「を含有する」ものなどと称されるが、この文脈において、「モノマー」という用語は、非重合種ではなく、特定のモノマーの重合残余物を指していることが理解される。一般に、ポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものと称される。
【0019】
「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマーの重合によって調製されたポリマーを意味する。この総称は、2種の異なるモノマーから調製されるポリマーを指すために通常用いられるコポリマー、および3種以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマー、例えばターポリマー、テトラポリマー等を含む。
【0020】
「エチレン系ポリマー」、「エチレンベースのポリマー」、「エチレンポリマー」、「ポリエチレン」、および同様の用語は、ポリマーの重量に基づき、50重量パーセント(重量%)以上または過半量の重合エチレンを含有し、任意に、1つ以上のコモノマーを含んでもよいポリマーを意味する。したがって、一般用語「エチレン系ポリマー」は、エチレンホモポリマーおよびエチレンインターポリマーを含む。これらの用語は、アルコキシシラン基を含む(ただしこれに限定されない)極性官能基を有するエチレン性ポリマーを含む。
【0021】
「高分子」および同様の用語は、ポリマーなどの非常に多くの原子を含有する分子を意味する。ほとんどのエチレン性ポリマーは、高分子と見なされる。
【0022】
「(メタ)アクリレート」という用語には、アクリレート、メタクリレート、およびそれらの組み合わせが含まれる。(メタ)アクリレートは、非置換であってもよい。
【0023】
「シース」は総称であり、ケーブルに関して使用される場合、それは絶縁被覆または層、保護ジャケット等を含む。
【0024】
「ワイヤ」は、導電性金属、例えば、銅もしくはアルミニウムの単一の撚り線、または光ファイバの単一の撚り線である。
【0025】
「ケーブル」および同様の用語は、保護ジャケットまたはシース内の少なくとも1つの導体、例えば、ワイヤ、光ファイバなどを含む細長い物体を意味する。典型的には、ケーブルは、一般的な保護外被またはシース内で共に結合した2つ以上のワイヤまたは2つ以上の光学ファイバである。組み合わせケーブルは、電気ワイヤおよび光学ファイバの両方を含有し得る。外被またはシース内部の個々のワイヤまたはファイバは、むき出しであってもよく、カバーされてもよく、または絶縁されてもよい。典型的なケーブル設計は、USP第5,246,783号、同第6,496,629号、および同第6,714,707号に例証される。
【0026】
「電力ケーブル」、「電気ケーブル」、および同様の用語は、通常、全体的なシースで一緒に保持される、1種以上の電気伝導体、例えば、銅またはアルミニウムワイヤの組立体を意味する。組立体は、電力の伝送に使用される。電力ケーブルは、一般に、5Kボルト未満で使用する定格のケーブルである低電圧、5Kボルト~35Kボルト未満の範囲で使用する定格のケーブルである中電圧、35K~138Kボルト未満の範囲で使用する定格のケーブルである高電圧、および138Kボルト以上で使用する定格のケーブルである超高電圧に分類される。
【0027】
「ニート」および同様の用語は、単独の、混合されていない、または希釈されていないことを意味する。ニートポリマーとは、(「生成されたままの」形態で存在するものを除く)添加物または触媒を含まないポリマーである。ニートポリマーは、ポリマーのブレンドであってもよい。
【0028】
「1ユニット作業」および同様の用語は、単一の容器、例えば、押出機内で実行されるプロセスを意味する。1ユニット作業は、1つ以上の工程を含むことができ、1つ以上の工程で構成される場合、全ての工程は、単一の容器内で実行される。単一の容器の外側で実行される工程、例えば、添加剤パッケージの予備混合は、1ユニット作業の一部ではない。
【0029】
「室温」および同様の用語は、大気圧で23℃を意味する。
【0030】
「周囲条件」および同様の用語は、23℃および大気圧を意味する。
エチレン性ポリマー
【0031】
本発明の実施で使用されるエチレン性ポリマーは、分岐状、直鎖状、または実質的に直鎖状であってもよく、任意の重合または共重合プロセス、例えば、溶液、気相、スラリー、高圧などによって作製され得る。分岐状エチレン性ポリマーの代表的なものは、低密度ポリエチレン(LDPE)であり、これは典型的には、高圧気相プロセスによって作製され、広範囲の長鎖分岐によって特徴付けられる。本明細書で使用される場合、「高圧反応器」または「高圧プロセス」という用語は、少なくとも5000ポンド/平方インチ(psi)(34.47メガパスカルまたはMPa)の圧力で稼働する任意の反応器またはプロセスである。
【0032】
直鎖状エチレン性ポリマーの代表例は、典型的には低圧プロセスで作製され、長鎖分岐がないことを特徴とする直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)である。プロセスは典型的には、ブテンやヘキセンなどのエチレンと共重合されるモノマーが、典型的には、(唯一のモノマーではない)気相プロセスでエチレンと共重合していることに応じて気相または液相であり、一方、オクテンは、一般に(唯一のモノマーではない)液相プロセスでエチレンと共重合される。
【0033】
実質的直鎖状エチレン性ポリマー(SLEP)の代表的なものは、典型的には溶液プロセスで作製され、1,000個の炭素原子当たり0.01~3個の長鎖分岐で置換された骨格を有することによって部分的に特徴付けられる、実質的直鎖状ポリエチレンである。いくつかの実施形態では、エチレン性ポリマーは、1,000個の炭素原子当たり0.01~1個の長鎖分岐、または1,000個の炭素原子当たり0.05~1個の長鎖分岐で置換されている主鎖を有することができる。
【0034】
本発明の実施において使用されるエチレン性ポリマーは、チーグラー・ナッタ(Ziegler-Natta)触媒、クロム触媒、および分子触媒を含むオレフィン重合触媒を使用して作製される。TiCl4/MgCl2などのチーグラー・ナッタ(Z-N)触媒、および酸化クロム/シリカゲルなどのクロム触媒は、それらの触媒部位が単一の分子種から誘導されないという点で不均一である。不均一触媒は、広い分子量分布(MWD)および広い化学組成分布(CCD)を有するポリオレフィンをもたらす。分子触媒は、理論的に、定義された配位子および構造を有する配位子-金属錯体分子から誘導される単一の触媒部位を有するという点で均質である。結果として、分子触媒は狭いCCDおよび狭いMWDを有するポリオレフィンをもたらし、これは理論的限界のMw/Mn=2に近づいてはいるものの、実際には達していない。メタロセンは、非置換シクロペンタジエニル配位子(Cp)を含有する分子触媒である。ポストメタロセンは、拘束幾何触媒等の1つ以上の置換CP配位子を含有するメタロセンの誘導体、または非サンドイッチ錯体である。ポストメタロセン触媒の例として、ビス-フェニルフェノキシ触媒、拘束幾何触媒、イミノ-アミド型触媒、ピリジル-アミド触媒、イミノ-エナミド触媒、アミノトロポニミナト触媒、アミドキノリン触媒、ビス(フェノキシ-イミン)触媒、およびホスフィンイミド触媒がある。
【0035】
本発明の一実施形態では、エチレン性ポリマーは、チーグラー・ナッタ、メタロセン、および/または拘束幾何触媒を使用する溶液プロセスにおいて作製される。一実施形態では、エチレン性ポリマーは、溶液プロセスによって作製されるエチレン-オクテンコポリマーである。
【0036】
本発明の実施において使用されるエチレン性ポリマーには、ホモポリマーとインターポリマーの両方が含まれ、インターポリマーの場合、ランダムおよびブロックインターポリマーの両方が含まれる。エチレンポリマーは、少なくとも50、好ましくは少なくとも60、より好ましくは少なくとも80重量%のエチレンから誘導される単位を含む。エチレン性ポリマーの他の単位は、インターポリマーである場合、典型的には、α-オレフィンおよび不飽和カルボン酸エステルを含む(がこれらに限定されない)1種以上の重合性モノマーから誘導される。
【0037】
α-オレフィンは、C3~20の直鎖状、分岐状、または環状α-オレフィンであるのが好ましい。C3~20のα-オレフィンの例としては、プロペン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、および1-オクタデセンが挙げられる。α-オレフィンはまた、シクロヘキサンまたはシクロペンタンなどの環状構造を含み、3-シクロヘキシル-1-プロペン(アリルシクロヘキサン)およびビニルシクロヘキサンなどのα-オレフィンをもたらし得る。この用語の伝統的な意味ではα-オレフィンではないが、本発明の目的において、ノルボルネンおよび関連するオレフィン、特に5-エチリデン-2-ノルボルネンなどの特定の環状オレフィンは、α-オレフィンであり、上記のα-オレフィンの一部または全部の代わりに使用され得る。同様に、スチレンおよびその関連するオレフィン(例えば、α-メチルスチレンなど)は、本発明の目的のためのα-オレフィンである。例示的なエチレン性インターポリマーとしては、エチレン/プロピレン、エチレン/ブテン、エチレン/1-ヘキセン、エチレン/1-オクテン、エチレン/スチレンなどのコポリマーが挙げられる。例示的なエチレン性ターポリマーとしては、エチレン/プロピレン/1-オクテン、エチレン/プロピレン/ブテン、エチレン/ブテン/1-オクテン、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)、およびエチレン/ブテン/スチレンが挙げられる。
【0038】
不飽和カルボン酸エステルは、水素原子および1分子当たり3~20個の炭素原子を有してもよく、すなわち(C3~C20)不飽和カルボン酸エステルである。一実施形態では、エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーは、51~99.0重量%のエチレン性モノマー単位、および49~1.0重量%の不飽和カルボン酸エステルモノマー単位を含む。
【0039】
いくつかの態様では、不飽和カルボン酸エステルは、(C2~C8)カルボン酸ビニルであってもよく、エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーは、エチレン-(C2~C8)カルボン酸ビニルコポリマーであり、このコポリマーは、エチレン-(C2~C8)カルボン酸ビニルコポリマーの総重量に基づいて、>0~<3.5重量%、あるいは>0~3.0重量%、あるいは>0~2.0重量%、あるいは0.5~2.0重量%の(C2~C8)カルボン酸ビニルモノマー含有量を有し得る。いくつかの態様では、(C2~C8)カルボン酸ビニルは、2~8個の炭素原子、あるいは2~4個の炭素原子を有するカルボン酸陰イオンのビニルエステルである。(C2~C8)カルボン酸ビニルは、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブタン酸ビニルなどの(C2~C4)カルボン酸ビニルであってもよく、エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーは、エチレン-(C2~C4)カルボン酸ビニルバイポリマー、あるいはエチレン-酢酸ビニル(EVA)バイポリマー、あるいはエチレン-プロピオン酸ビニルバイポリマー、あるいはエチレン-ブタン酸ビニルバイポリマーであってもよい。EVAバイポリマーは、エチレン誘導モノマー単位および酢酸ビニル誘導モノマー単位から本質的になる。EVAバイポリマーの酢酸ビニルモノマー単位含有量は、EVAバイポリマーの総重量に基づいて、>0~<3.5重量%、あるいは>0~3.0重量%、あるいは>0~2.0重量%、あるいは0.5~2.0重量%であり得る。重量%値は、EVA1分子当たりの平均である。
【0040】
いくつかの態様では、エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーを作製するために使用される不飽和カルボン酸エステルは、(C1~C8)アルキル(メタ)アクリレートであってもよく、エチレン/不飽和カルボン酸エステルコポリマーは、エチレン-(C1~C8)アルキル(メタ)アクリレートコポリマー(EAA)であり、このコポリマーは、エチレン-(C1~C8)アルキル(メタ)アクリレートコポリマーの総重量に基づいて、>0~<3.5重量%、あるいは>0~3.0重量%、あるいは>0~2.0重量%、あるいは0.5~2.0重量%の(C1~C8)アルキル(メタ)アクリレートモノマー含有量を有し得る。いくつかの態様では、(C1~C8)アルキルは、(C1~C4)アルキル、(C5~C8)アルキル、または(C2~C4)アルキルであり得る。EAAは、エチレン誘導モノマー単位、ならびにエチルアクリレートおよび/またはエチルメタクリレートモノマー単位などの(C1~C8)アルキル(メタ)アクリレート誘導モノマー単位の1種以上の異なる種類から本質的になる。(C1~C8)アルキルは、メチル、エチル、1,1-ジメチルエチル、ブチル、または2-エチルヘキシルであり得る。(メタ)アクリレートは、アクリレート、メタクリレート、またはこれらの組み合わせであり得る。(C1~C8)アルキル(メタ)アクリレートは、エチルアクリレートであってもよく、EAAは、エチレン-エチルアクリレートコポリマー(EEA)であってもよく、または(C1~C8)アルキル(メタ)アクリレートは、エチルメタクリレートであってもよく、EAAは、エチレン-エチルメタクリレートコポリマー(EEMA)であってもよい。EEAまたはEEMAのエチルアクリレートまたはエチルメタクリレートモノマー単位含有量は、それぞれ独立して、EEAまたはEEMAバイポリマーの総重量に基づいて、>0~<3.5重量%、あるいは>0~3.0重量%、あるいは>0~2.0重量%、あるいは0.5~2.0重量%であり得る。
【0041】
本発明の実施で有用なエチレン性ポリマーの例としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、均質に分岐した直鎖状エチレン/α-オレフィンコポリマー(例えば、三井石油化学によるTAFMER(商標)、DEX-PlastomersによるEXACT(商標))、均質に分岐した実質的直鎖状エチレン/α-オレフィンポリマー(例えば、The Dow Chemical Companyから入手可能であるAFFINITY(商標)ポリオレフィンプラストマー)、およびエチレンブロックコポリマー(同じくThe Dow Chemical Companyから入手可能であるINFUSE(商標))が挙げられる。実質的に直鎖状のエチレンコポリマーは、USP第5,272,236号、同第5,278,272号、および同第5,986,028号により詳細に記載され、エチレンブロックコポリマーは、USP第7,579,408号、同第7,355,089号、同第7,524,911号、同第7,514,517号、同第7,582,716号、および同第7,504,347号により詳細に記載されている。
【0042】
エチレン性ポリマーは、ASTM D-792によって測定される場合、0.850~0.965、または0.860~0.945、または0.870~0.925g/ccの範囲の密度を有する。
【0043】
エチレン性ポリマーは、レオロジー改質前に、1~50デシグラム/分(dg/分)、または2~30dg/分、または3~25dg/分の範囲のメルトインデックス(I2)を有する。I2は、ASTM D-1238、条件Eの下で決定され、190℃および2.16kgで測定される。
【0044】
エチレン性ポリマーは、レオロジー改質前に、(≧)2.0以上、または≧2.3、または≧2.5~(≦)15.0以下、または≦10.0、または≦5.0の分子量分布(MWDまたはMw/Mn)を有する。MWDは、実施例の試験方法に記載されるように計算または測定される。
【0045】
過酸化物
レオロジー改質のための本発明の実施で使用される高温分解性過酸化物フリーラジカル開始剤は、高い分解温度を有する、すなわちそれらは、ドデカンまたはデカン中で測定される、1時間および10時間でそれぞれ(≧)155℃以上および135℃の半減期温度を有する。2種以上の高温分解性過酸化物の混合物が使用され得る。過酸化物は、有機であっても、無機であってもよく、室温で液体であっても、固体であってもよい。
【0046】
好適な過酸化物としては、ジアルキルペルオキシド、およびジペルオキシケタール開始剤が挙げられるが、これらに限定されない。これらの化合物は、Encyclopedia of Chemical Technology,3rd edition,Vol.17,pp 27-90(1982)に記載されている。ジアルキルペルオキシドの群では、非限定的な例としては、ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-アミルペルオキシ)-ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-アミルペルオキシ)ヘキシン-3、α、αジ[(t-ブチルペルオキシ)イソプロピル]ベンゼン、ジ-t-アミルペルオキシド、1,3,5-トリ-[(t-ブチルペルオキシ)-イソプロピル]ベンゼン、1,3-ジメチル-3-(t-ブチルペルオキシ)ブタノール、1,3-ジメチル-3-(t-アミルペルオキシ)ブタノール、およびこれらの開始剤の2種以上の混合物が挙げられる。
【0047】
ジペルオキシケタール開始剤の群では、非限定的な例としては、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサンn-ブチル、4,4-ジ(t-アミルペルオキシ)バレレート、エチル3,3-ジ(t-ブチルペルオキシ)ブチレート、2,2-ジ(t-アミルペルオキシ)プロパン、3,6,6,9,9-ペンタメチル-3-エトキシカルボニルメチル-1,2,4,5-テトラオキサシクロノナン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルペルオキシ)-バレレート、エチル-3,3-ジ(t-アミルペルオキシ)-ブチレート、およびこれらの開始剤の2種以上の混合物が挙げられる。
【0048】
レオロジー改質のための本発明の実施で使用される高温分解性過酸化物の量は、所望の範囲のカップリングを得るのに十分である最小量で変化し得る。レオロジー改質のための高温分解性過酸化物の最小量は、典型的には、レオロジー改質添加剤含有エチレン性ポリマーブレンドの総重量に基づいて、少なくとも約0.02重量%、または少なくとも約0.05重量%、または少なくとも約0.1重量%である。レオロジー改質のための高温分解性過酸化物の最大量は、変化する場合があり、それは、典型的には、コスト、効率、および所望のカップリング度などの因子によって決定される。最大量は、典型的には、レオロジー改質添加剤含有エチレン性ポリマーブレンドの総重量に基づいて、1.5重量%未満、または1.3重量%未満、または1.0重量%未満、または0.8重量%未満である。
【0049】
本発明のプロセスにより作製されるレオロジー改質添加剤含有エチレン性ポリマーブレンドを含む高温分解性過酸化物含有組成物を作製するために、高温分解性過酸化物の最小量は、高温分解性過酸化物含有組成物の総重量に基づいて、典型的には、少なくとも約1.4重量%、または少なくとも約1.5重量%、または少なくとも約1.6重量%であり、最大量は、高温分解性過酸化物含有組成物の総重量に基づいて、典型的には、15重量%未満、または10重量%未満、または5未満、または3重量%未満である。
【0050】
本発明の一実施形態では、高温分解性過酸化物以外の過酸化物は、高温分解性過酸化物と組み合わせて使用される。これらの非高温分解性過酸化物は、プロセスの任意の時点、例えば、押出機への供給前のエチレン性ポリマーとの予備混合、押出機の1つ以上のゾーン内などで追加することができ、これらは、ニートまたは1種以上の他の材料(例えば、ポリマー、添加剤など)との組み合わせで追加することができる。これらの非高温分解性過酸化物の追加の量およびタイミングは、任意の添加剤の追加前のエチレン性ポリマーのレオロジー改質を、決して妨害しないようなものである。任意のそのような非高温分解性過酸化物の使用の目的の1つは、押出ポリマーの最終的な架橋を促進することである。
【0051】
添加剤
本発明の実施で使用される添加剤としては、酸化防止剤、安定剤(紫外線安定剤を含む)、水トリー遅延剤、電気トリー遅延剤、架橋助剤、硬化ブースター、スコーチ遅延剤、加工助剤、カップリング剤、帯電防止剤、核形成剤、スリップ剤、潤滑剤、粘度調整剤、粘着付与剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、伸展油、酸捕捉剤、難燃剤、および金属不活性化剤が挙げられるが、これらに限定されない。これらの添加剤は、レオロジー改質添加剤含有エチレン性ポリマーブレンドまたは過酸化物含有組成物の総重量に基づいて、典型的には、従来の様式で、従来の量、例えば、0重量%超、または0.001重量%超、または0.01重量%超~30重量%以下、または20重量%以下、または10重量%以下、または1重量%以下で使用される。
【0052】
好適な紫外線光安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)および紫外線光吸収剤(UVA)添加剤が挙げられる。代表的な紫外線吸収剤(UVA)添加剤としては、BASFから市販されているTINUVIN(商標)326、およびTINUVIN(商標)328などのベンゾトリアゾール型が挙げられる。HALSとUVA添加剤のブレンドも効果的である。
【0053】
酸化防止剤の例としては、テトラキス[メチレン(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロ-シンナメート)]メタン、ビス[(ベータ-(3,5-ジtert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)メチル-カルボキシエチル)]スルフィド、4,4’-チオビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(2-tert-ブチル-5-メチルフェノール)、2,2’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、およびチオジエチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ヒドロシンナメートなどのヒンダードフェノール;トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、およびジ-tert-ブチルフェニル-ホスホナイトなどのホスファイトおよびホスホナイト;ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、およびジステアリルチオジプロピオネートなどのチオ化合物;様々なシロキサン、重合2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン、n、n’-ビス(1,4-ジメチルペンチル-p-フェニレンジアミン)、アルキル化ジフェニルアミン、4,4’-ビス(アルファ,α-ジメチルベンジル)ジフェニル-アミン、ジフェニル-p-フェニレンジアミン、混合ジ-アリール-p-フェニレンジアミン、および他のヒンダードアミン劣化防止剤または安定剤が挙げられる。
【0054】
加工助剤の例としては、ステアリン酸亜鉛またはステアリン酸カルシウムなどのカルボン酸の金属塩、ステアリン酸、オレイン酸、またはエルカ酸などの脂肪酸、ステアラミド、オレアミド、エルカミド、またはN,N’-エチレンビス-ステアラミドなどの脂肪族アミド、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、エチレンオキシドのポリマー、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー、植物ワックス、石油ワックス、非イオン性界面活性剤、シリコーン流体、およびポリシロキサンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
トリー遅延剤は、水および/または電気トリーイングを阻害する分子、またはそのような分子の集合である。トリー遅延剤は、水トリー遅延剤または電気トリー遅延剤であり得る。水トリー遅延剤は、電界と湿気または水分との複合効果にさらされるとポリオレフィンを劣化させるプロセスである、水トリーイングを阻害する化合物である。電圧安定剤とも呼ばれる電気トリー遅延剤は、部分的な放電に起因する固体電気絶縁における電気的前駆破壊プロセスである、電気トリーイングを阻害する化合物である。電気トリーイングは、水がない場合に発生し得る。水トリーイングおよび電気トリーイングは、被覆がポリオレフィンを含有する、被覆導体を含有する電気ケーブルについての問題である。水トリー遅延剤は、ポリ(エチレングリコール)(PEG)であり得る。
【0056】
プロセス
本発明のプロセスは、押出機で実行される。本プロセスは、多工程のユニット作業であり、本プロセスの全ての工程は、押出機に関連して実行されることを意味する。すなわち、材料を押出機に供給し、材料を押出機内で加工し、加工された材料を押出機から排出する。本発明のプロセスの補助的な工程、例えば、押出機に供給される材料の調製、押出機から押出された生成物の収集および処理などは、ユニット作業の一部ではない。
【0057】
押出機は当該技術分野で周知であり、市販されている多くの様々な押出機のいずれも、本発明の実施に使用され得る。押出機の例示的であるが非限定的な例としては、COPERION(商標)W&P ZSK-30mm共回転、噛合二軸スクリュー押出機、FARREL(商標)連続押出機、WERNER and PFLEIDERER(商標)二軸スクリュー押出機、またはBUSS(商標)混練連続押出機などの、連続単軸または二軸スクリュー押出機が挙げられる。押出機は、典型的には、ポリマーおよび他の材料が運搬され、溶融し、混合され、ポンプで送り出される(すなわち、押出される)複数のゾーンを備える。各ゾーンは、典型的には、スクリュー(複数可)の構造によって、互いに区別される1つ以上のサブゾーン(「バレル」としても知られる)を備え得る。例えば、溶融混合ゾーンのスクリュー(複数可)は、ギア混合要素、混練ブロック、および逆フライト要素のセクションを備え得る。押出機には、典型的には、複数の供給ポート、例えば、ポリマー、過酸化物、添加剤などの別個のポートが装備される。押出機には、外部加熱および/または冷却要素が装備され得る。押出機の設計(例、全長、長さと直径の比(L/D)、バレルの数とサイズなど)、スクリューの設計とスクリューの数、押出機の長さに沿って供給ポートを置くことなどは、添加剤ポートが、樹脂および過酸化物ポートの後に位置するという条件で、都合により変化し得る。
【0058】
プロセスの作業では、固体エチレン性ポリマーが、押出機に、典型的には、第1のゾーンの第1のバレルに供給される。一実施形態では、ポリマーは、ニートで供給される、すなわち、エチレン性ポリマーは、プロセスの他の構成要素または構成成分なしで、例えば、添加剤、過酸化物などなしで追加される。しかし、ニートエチレン性ポリマーは、2種以上のエチレン性ポリマーを含み得る。固体の形状およびサイズは、例えば、ペレット、フレークなど様々であり得る。一実施形態では、ポリマーは、過酸化物、好ましくは高温分解性過酸化物と組み合わせて供給される。
【0059】
一実施形態では、過酸化物は、ポリマーが押出機に供給される前に、エチレン性ポリマーに追加される。例えば、過酸化物は、押出機の外側でポリマーに噴霧、浸漬、さもなければ混合される。押出機の外側でのポリマーと過酸化物とのこの混合は、1ユニット作業の一部ではない。一実施形態では、エチレン性ポリマーおよび過酸化物は、押出機に別々にまたは同時に追加され、これは1ユニット作業の一部である。一実施形態では、過酸化物は、溶融エチレン性ポリマーに追加される。一実施形態では、過酸化物は、非溶融エチレン性ポリマーに追加される。
【0060】
ポリマーの押出機への追加前に、過酸化物がエチレン性ポリマーと混合される場合を除いて、押出機に供給される場合、過酸化物はニートであるが、この用語は、2種以上の過酸化物の追加を排除しない。典型的には、過酸化物(複数可)は、高温分解性過酸化物(複数可)であるが、1種以上の非高温分解性過酸化物も加えられ得る。典型的には、過酸化物は、ポリマーが溶融する前に、押出機およびエチレン性ポリマーに供給される。一実施形態では、過酸化物は、ポリマー供給ポートの下流で、典型的には0~9L/Dユニット、より典型的には0~6L/Dユニットに位置するポートを通って押出機に供給される。典型的には、エチレン性ポリマーおよび過酸化物の両方が、押出機の第1のゾーンに供給される。このゾーンで、ポリマーと過酸化物とのブレンドが開始する。次いで、この初期ブレンドは、押出機の第2のゾーンに移送され、そこでポリマーと過酸化物とが完全に溶融ブレンドされ、レオロジー改質が開始する。
【0061】
一実施形態では、過酸化物は、最初に第2ゾーンの押出機に供給される。過酸化物が混合されるポリマーは、固体、部分的に固体、または溶融(すなわち、未溶融から完全溶融への転移中)、または完全溶融であり得る。一実施形態では、追加のポリマーまたは過酸化物の一方または両方が、第2のゾーンに供給される。「追加の」とは、第2のゾーン内で追加されたポリマーまたは過酸化物が、第1のゾーン内で追加されたものよりも多いことを意味する。押出機の第2のゾーン内でのポリマーと過酸化物との混合物は、スクリューの作用を介して溶融ブレンドに供される。十分な熱は、典型的には、スクリューによって混合物に付与された剪断から生成され、任意に、外部熱源から提供され、高温分解性過酸化物を分解し、ポリマーのレオロジー改質を開始するが、架橋は開始しない。
【0062】
エチレン性ポリマーと過酸化物とのブレンドが溶融ブレンドされた後、高温分解性過酸化物は分解し、カップリングまたはレオロジー改質は開始または完了し、添加剤は過酸化物供給ポートの下流に位置する第3のポートを通って押出機に供給される。レオロジー改質またはカップリングの量は、V0.1/V100の値(135℃)および動的振動剪断(135℃)からのゼロ剪断粘度によって測定される。添加剤は、1種以上がニートとして、または2種以上の添加剤の組み合わせとして、別個の供給ポートを通って、追加され得るが、典型的には、完全な予備混合ブレンドとして供給される。押出機に供給される添加剤は、担体樹脂、典型的には、必ずしも必要ではないが、樹脂供給ポートを通って押出機に供給される樹脂を含み得る。添加剤が、単一のポートを通って完全なパッケージとして追加されない場合、次いで、添加剤が追加される順序は、都合により様々であり得る。
【0063】
添加剤ポートは、典型的には、過酸化物ポートの下流の12~24L/Dユニット、より典型的には、12~18L/Dユニットに位置するか、または過酸化物が、ポリマー供給ポートを通って押出機に供給される場合は、典型的には、ポリマー供給ポートの下流の12~24L/Dユニット、より典型的には、12~18L/Dユニットに位置する。押出機が少なくとも3つのゾーンを含む一実施形態では、ポリマー供給ポートは第1のゾーンに、過酸化物供給ポートは第2のゾーンに、添加剤供給ポートは第3のゾーンに位置する。
【0064】
上記のように、溶融形態の出発エチレン性ポリマーのレオロジーは、接触する高温分解性過酸化物の押出機内での活性化により改質される。レオロジー改質の相対的範囲は、動的振動剪断粘度試験方法(好ましい)および/または伸長粘度試験方法および/またはゼロ剪断粘度試験方法によって特徴付けることができ、全ては、本開示で後述される。もちろん、活性化前の高温分解性過酸化物との接触前または接触後のエチレン性ポリマーと、高温分解性過酸化物の活性化後のエチレン性ポリマーとの間での比較が行われる。典型的には、レオロジー改質エチレン性ポリマーは、典型的には、押出機の第2のゾーンの端部またはその付近で、高温分解性過酸化物が完全に分解した後、試験用にサンプリングされる。高温分解性過酸化物の完全な、またはほぼ完全な分解は、過酸化物インジェクタと二次供給装置との間の滞留時間および溶融温度の関数であり、一実施形態では、これらは、(i)スクリュー設計、および/または(ii)バレル温度もしくはスクリュー速度、もしくはその両方を上げることによって制御される。典型的に、エチレン性ポリマーの所望の程度のレオロジー改質は、所定の溶融混合温度でのポリマー中の過酸化物の半減期2~20、または4~15、または6~10内で達成される。
【0065】
レオロジー改質エチレン性ポリマーを与えるための出発バルクエチレン性ポリマーの分子間に形成される熱的に不可逆的な結合の程度は、架橋エチレン性ポリマー生成物を与えるためのレオロジー改質エチレン性ポリマーの分子間に形成される熱的に不可逆的な結合の程度よりもある程度小さい。この差は、本開示において後述されるゲル含有率試験方法によって特徴付けることができる。一般に、ゲル含有率が高いと、分子間に形成される熱的に不可逆的な結合の程度は大きく、その逆も同様である。レオロジー改質エチレン性ポリマーは、0%~(<)40%未満、あるいは0%~<30%、あるいは0%~<20%、あるいは0%~<10%、あるいは0%~<5%、あるいは0%~<1%、あるいは(>)0%超~(<)40%未満、あるいは>0%~<30%、あるいは>0%~<20%、あるいは>0%~<10%、あるいは>0%~<5%、あるいは>0%~<1%のゲル含有率(不溶性画分)を有し得る。いくつかの態様では、レオロジー改質エチレン性ポリマーは、0%、あるいは0.01%、あるいは0.05%、あるいは0.1%の最小ゲル含有率を有し得る。架橋エチレン性ポリマー生成物は、(≧)40%以上~100%、あるいは≧50%~100%、あるいは≧60%~100%、あるいは≧70%~100%、あるいは≧40%~<100%、あるいは≧50%~<100%、あるいは≧60%~<100%、あるいは≧70%~<100%のゲル含有率(不溶性画分)を有し得る。いくつかの態様では、架橋エチレンポリマー生成物は、99%、あるいは95%、あるいは90%の最大のゲル含有率を有し得る。上記のゲル含有率は、ゲル含有率試験方法によって特徴付けられる。
【0066】
本発明のプロセスは、低、中、高、または超高電圧の電力ケーブル、特に中、高、または超高電圧の電力ケーブルの絶縁シースとして、押出用の過酸化物含有組成物を作製するのに好適なレオロジー改質エチレン性組成物を生成する。押出された過酸化物含有組成物は、十分な垂れ抵抗性、存在する場合非常に低いゲル(デカリン抽出によるゲル含有率、典型的には1重量%未満)、および良好な色(着色剤を意図的に用いない場合は、黄色でなく白色が好ましい)を示す。これらの特性は、様々な添加剤、特に酸化防止剤が、エチレン性ポリマーの架橋を妨害することが知られているにもかかわらず達成される。本発明の特徴は、その多工程のユニット作業、高い分解温度を有する過酸化物の使用、および過酸化物を分解すること、および添加剤の追加前にレオロジー改質を開始することを含む。
【0067】
実施形態
一実施形態では、本発明のプロセスは、第1のエチレン性ポリマーの固体形態を、主供給装置を介して、連続運転しているマルチゾーン押出機の第1のゾーンに供給して、連続運転しているマルチゾーン押出機の第1のゾーン内に、第1のエチレン性ポリマーを置くさらなる工程と、第1のエチレン性ポリマーを、押出機内で溶融および移送して、溶融エチレン性ポリマーを、押出機の第2のゾーン内で生成するさらなる工程と、を含む。
【0068】
一実施形態では、エチレン性ポリマーは、押出機の第1ゾーンにニートで供給される。
【0069】
一実施形態では、押出機の第1のゾーンに供給されるエチレン性ポリマーは、過酸化物を含む。
【0070】
一実施形態では、押出機の第1のゾーンに供給されるエチレン性ポリマーは、高温分解性過酸化物を含む。
【0071】
一実施形態では、高温分解性過酸化物は、主供給装置を介して押出機の第1ゾーンに供給される。
【0072】
一実施形態では、高温分解性過酸化物は、インジェクタを介して第1ゾーンに供給される。
【0073】
一実施形態では、押出機の第1ゾーン内でのエチレン性ポリマーと過酸化物の混合は、エチレン性ポリマーが溶融する前に開始する。
【0074】
一実施形態では、本発明のプロセスは、高温分解性過酸化物を、インジェクタを介して、押出機の第2のゾーン内で溶融エチレン性ポリマーに追加するさらなる工程を含む。
【0075】
一実施形態では、本発明のプロセスは、レオロジー改質溶融エチレン性ポリマーと、1種以上の添加剤とを一緒に混合して、押出機内でそれらのブレンドを形成するさらなる工程と、レオロジー改質溶融エチレン性ポリマーと、1種以上の添加剤とのブレンドを、押出機の出口から押出して、ブレンドの押出形態を得るさらなる工程と、を含む。
【0076】
一実施形態では、第1および第2のゾーンは、介在する中間ゾーンなしで、互いに材料連通している、すなわち、中間ゾーンの数はゼロ(0)である。
【0077】
一実施形態では、押出装置は、(1)エチレン性ポリマーの90~100重量%が押出機に供給されるゾーン1のバレル1での主供給装置と、(2)高温分解性過酸化物が注入されるインジェクタと、(3)全ての添加剤およびエチレン性ポリマーの0~10重量%が供給される二次供給装置と、を備える。
【0078】
一実施形態では、(A)主供給装置は、ゾーン1のバレル1に位置し、(B)過酸化物インジェクタは、(押出機のゾーン1またはゾーン2のいずれかに位置する)第1の混練セクションの前の(ゾーン1のバレル1を含む)任意のバレルに位置し、(C)過酸化物インジェクタと二次供給装置との間の長さは、レオロジー改質のために十分な滞留時間を確保するために少なくとも3L/Dである。
【0079】
一実施形態では、溶融温度は、少なくとも185℃であり、滞留時間は、過酸化物インジェクタと二次供給装置との間の注入ゾーン内の溶融温度での高温分解性過酸化物の半減期の、少なくとも3~5倍に等しい。
【0080】
一実施形態では、本発明は、連続運転しているマルチゾーン押出機で、レオロジー改質添加剤含有エチレン性ポリマーを作製するための、1ユニット作業の連続押出プロセスであって、連続運転しているマルチゾーン押出機が、ポリマーを押出機に追加するための主供給装置で構成され、任意に高温分解性過酸化物を押出機の第1のゾーンに追加するためのインジェクタで構成されている第1のゾーンと、任意に高温分解性過酸化物を押出機の第2のゾーンに追加するためのインジェクタで構成されている第2のゾーンと、1種以上の添加剤を押出機の第3のゾーンに追加するための二次供給装置で構成されている第3のゾーンと、材料を押出機から排出するための出口と、を連続的に備え、第1のゾーンが、第1のゾーンと第2のゾーンとの間に配置された0または1個以上の中間ゾーンを介して第2のゾーンと材料連通し、第2のゾーンが、第2のゾーンと第3のゾーンとの間に配置された0または1個以上の中間ゾーンを介して第3のゾーンと材料連通し、第3のゾーンが、第3のゾーンと出口との間に配置された0または1個以上の中間ゾーンを介して出口と材料連通し、第1のゾーンおよび第2のゾーンのうちの少なくとも1つが、インジェクタで構成され、プロセスが、
(A)ニートエチレン性ポリマーの固体形態を、主供給装置を介して、連続運転しているマルチゾーン押出機の第1のゾーンに供給して、連続運転しているマルチゾーン押出機の第1のゾーン内に、ニートエチレン性ポリマーを置く工程と、
(B)ニートエチレン性ポリマーを、押出機内で溶融および移送して、溶融エチレン性ポリマーを、押出機の第2のゾーン内で得る工程と、
(C)高温分解性過酸化物を、インジェクタを介して、押出機の第2のゾーン内で溶融エチレン性ポリマーに追加して、押出機の第2のゾーン内で溶融エチレン性ポリマーと接触している高温分解性過酸化物を得る工程と、
(D)過酸化物カップリング剤の半減期が(≧)1分以上であるような温度で、過酸化物と溶融エチレン性ポリマーとを、溶融エチレン性ポリマーのレオロジーを改質して、押出機の第3のゾーン内でレオロジー改質溶融エチレン性ポリマーを得るのに十分な時間混合および移送する工程と、
(E)1種以上の添加剤を、供給装置を介して、レオロジー改質溶融エチレン性ポリマーに追加して、押出機の第3のゾーン内でレオロジー改質溶融エチレン性ポリマーと接触している1種以上の添加剤を得る工程と、
(F)レオロジー改質溶融エチレン性ポリマーと、1種以上の添加剤とを一緒に混合して、押出機内でそれらのブレンドを形成する工程と、
(G)レオロジー改質溶融エチレン性ポリマーと、1種以上の添加剤とのブレンドを、押出機の出口から押出して、ブレンドの押出形態を得る工程と、を含む、プロセス。
【0081】
一実施形態では、本発明のプロセスは、本明細書に記載されるように、2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0082】
以下の実施例は、本発明をさらに例示する。全ての部およびパーセンテージは、他に指示がない限り重量による。表1は、組成物を作製するのに用いられるポリマーの特性を示す。
【実施例】
【0083】
試験方法
密度をASTM D-792に従って測定する。
【0084】
メルトインデックス、またはI2は、ASTM D1238、190℃/2.16kgの条件に従って測定され、10分あたりの溶出グラム数で報告される。
【0085】
分子量の決定は、狭い分子量分布のポリスチレン標準(Polymer Laboratories)をそれらの溶出量と併せて使用することによって推定される。同等のポリエチレン分子量は、(T.Williams&I.M.Ward,The Construction of a Polyethylene Calibration Curve for Gel Permeation Chromatography Using Polystyrene Fractions,6J.Polymer Sci.Pt.B:Polymer Letter 621,621~624(1968)によって記載されるように)ポリエチレンおよびポリスチレンに適切なMark-Houwink係数を使用して決定され、次の等式を導き出す。
Mポリエチレン=a×(Mポリスチレン)b
この等式において、a=0.4316およびb=1.0である。
【0086】
ポリマーの数平均分子量M
nは、分子量に対する各分子量範囲内の分子数のプロットの第1のモーメントとして表される。実際には、これは、全ての分子の総分子量を分子数で割ったものであり、以下の式に従って通常の状況で計算される。
【数1】
式中、n
i=分子量Miを有する分子の数、w
i=分子量Miを有する材料の重量分率、Σn
i=分子の総数。
【0087】
重量平均分子量、Mwは、以下の式:Mw=ΣwixMiに従って通常の様式で計算され、式中、wiおよびMiは、GPCカラムから溶出するi番目の画分の重量分率および分子量のそれぞれである。
【0088】
これら2つの平均の比、多分散指数(PDI)または分子量分布(MWDまたはMw/Mn)は、分子量分布の幅を定義する。
【0089】
動的振動剪断粘度試験方法(135℃でのV0.1/V100、および135℃でのV100(Pa.s))は、絶縁層押出条件の代表的な135℃の温度および0.25%歪みで、TA Instruments Advanced Rheometric Expansion Systemを使用して、0.1ラジアン/秒(rad/秒、「V0.1」)~100rad/秒(「V100」)の範囲にわたり実行される。V0.1およびV100は、それぞれ0.1rad/秒および100rad/秒での粘度であり、比V0.1/V100は、剪断減粘特性の尺度である。パスカル秒(Pa.s)で粘度を測定した。試験片は、圧縮成形方法1によって調製されたエージングしていない圧縮成形プラークから取得される。
【0090】
伸長粘度試験方法(135℃または150℃、1/秒、0.2、0.5、または1のHencky歪みでの伸長粘度(Pa.s);135℃または150℃、1/秒での最大伸長粘度(Pa.s);および135℃または150℃、1/秒での最大伸長粘度に対応するHencky歪み)は、伸長粘度取付形態およびTA Orchestratorソフトウェアを備えたARES FCUレオメーターを使用して測定される。135℃または150℃で1/秒の速度で試験を実行して、押出条件をシミュレートする。得られた最大粘度値(ピーク)、得られた最大Hencky歪み、0.2、0.5、および1のHencky歪みでの粘度を報告する。試験片は、圧縮成形方法1によって調製されたエージングしていない圧縮成形プラークから取得される。ポアズで測定し、100,000ポワズ=10.0kPa.sで、キロパスカル秒(kPa.s)に変換した。
【0091】
ゼロ剪断粘度(135℃(Pa.s)でのゼロ剪断粘度)は、動的振動剪断粘度試験方法から推定されるか、またはSR-200、25.0パスカル、3分のクリープ、15分の回復、135℃を使用するクリープ回復から測定される。試験片は、圧縮成形方法1によって調製されたエージングしていない圧縮成形プラークである。
【0092】
圧縮成形方法1は、溶融レオロジー測定のための試験試料を調製するために使用される。試料は、過酸化物の1種以上の分解に起因する有意な架橋を防止するための次の条件で圧縮成形される:120℃で3分間の500ポンド/平方インチ(psi)(3.5 MPa)、次いで120℃で3分間の2500psi、30℃で2500psi(17MPa)での冷却、そして圧力を開放して得られた成形プラークを取り出す。
【0093】
ゲル含有率試験方法は、架橋の測定に使用される。本試験は、ASTM D2765に従って、架橋エチレン性ポリマーをデカヒドロナフタレン(デカリン)で抽出することによって、ゲル含有率(不溶性画分)を測定する。
【0094】
半減期温度試験方法:半減期温度は、示差走査熱量測定-熱活性モニタリング(DSC-TAM)による有機過酸化物の分解熱流束のモニタリングにより、ドデカン中0.1モル(M)の濃度の有機過酸化物の溶液で測定され、純粋なドデカンの熱流束と比較される。溶液から放出される熱は、有機過酸化物の濃度[P]に直接関係する。1時間半減期温度は、その温度で60分(60.0分)加熱した後、有機過酸化物の50パーセント(50.0パーセント)が分解する熱エネルギーの尺度である。10時間半減期温度は、その温度で600分(600.0分)加熱した後、有機過酸化物の50パーセント(50.0パーセント)が分解する熱エネルギーの尺度である。1時間半減期温度は、10時間半減期温度よりも高い。有機過酸化物の1時間または10時間の半減期温度が高いほど、試験方法における過酸化物の安定性は高くなり、ポリオレフィン配合物における有機過酸化物の安定性は高くなる。
【0095】
発明例1(IE1)ならびに比較例1および2(CE1およびCE2)
組成物を表1に示す。
【0096】
開発製品番号XUS 38661.00は、分子触媒で作製された0.880g/ccの密度(ASTM D792)および18g/10分のメルトインデックス(ASTM D1238)の、The Dow Chemical Companyから入手可能であるエチレン-オクテンエラストマーコポリマーである。
【0097】
過酸化物は、LUPEROX(商標)101過酸化物(ドデカン中で測定される140.3℃および120.3℃の1時間および10時間の半減期温度を有する高温分解性過酸化物)である。
【0098】
組成物は、GALA(商標)水中ペレタイザーを備える、COPERION(商標)W&P ZSK-30mm共回転、噛合二軸スクリュー押出機内で調合される。二軸スクリュー押出機は、11バレルからなり、長さと直径の比(L/D)は35:1である。全ての実施例で同じスクリュー構成を使用する(
図1~3を参照)。比較例1は、
図1に示されるプロセス設定を使用して生成され、ここでは、全ての構成要素は、ドラムタンブラー内で少なくとも15分間予備ブレンドされ、過酸化物がバレル4で注入される間に、バレル1で主ホッパーに供給される。比較例2は、
図2に示されるプロセス設定を使用して生成され、ここでは、全ての構成要素は、ドラムタンブラー内で少なくとも15分間予備ブレンドされ、過酸化物がバレル2で注入される間に、バレル1で主ホッパーに供給される。発明例1は、
図3に示されるプロセス設定を使用して作製され、ここでは、ポリマーの98.0%は、バレル1で主ホッパーに供給され、ポリマーの2.0%および他の添加剤の全てを含む残りの構成要素は、ドラムタンブラー内で少なくとも15分間予備ブレンドされ、過酸化物がバレル2で注入される間に、バレル6で二次供給装置に供給される。
【0099】
実施例の加工条件が表1に記載される。
【0100】
IE1のスクリュー速度は、CE1およびCE2のスクリュー速度よりも高速である。また、IE1の場合のバレル1、2、および3の温度は、CE1およびCE2よりも高温である。高スクリュー速度と高バレル温度の組み合わせは、他の添加剤の全てがバレル6でシステムに供給される前に、ゾーン2の後半の段階(バレル3~5)で溶融温度を上げる。
【0101】
組成物の特性が表1に示される。
【0102】
135℃の温度で実行される動的振動剪断試験では、IE1は、V0.1/V100の値から明らかなように、CE1とCE2に比較して高められた溶融剪断減粘特性を示す。135℃で増大したゼロ剪断粘度もまた、CE1とCE2と比較して、IE1で観察される。また、CE1とCE2のペレット色は、黄色である一方、IE1のペレット色は、望ましくは白色である。この観察は、CE1とCE2の場合とは異なり、他の添加剤が組み込まれる前に、過酸化物が完全に分解し、IE1においてポリマーを改質したことを示す。
【表1】
【0103】
発明例2~4(IE2~IE4)および比較例3~6(CE3~CE6)
ポリマーは、開発製品番号XUS 38661.00であり、分子触媒で作製された0.880g/ccの密度(ASTM D792)および18g/10分のメルトインデックス(ASTM D1238)の、The Dow Chemical Companyから入手可能であるエチレン-オクテンエラストマーコポリマー、ならびに0.920g/ccの密度(ASTM D792)および2.3g/10分のメルトインデックス(ASTM D1238)のDOW(商標)LDPE 621I(The Dow Chemical Companyから入手可能である低密度ポリエチレン)である。
【0104】
過酸化物は、LUPEROX(商標)101過酸化物(ドデカン中で測定される140.3℃および120.3℃の1時間および10時間の半減期温度を有する高温分解性過酸化物)である。
【0105】
組成物は、IE1のために使用されるものと同じスクリュー構成およびプロセス設定を使用して調合される。CE3~CE6、およびIE2について、ポリマーの98.0%は、バレル1で主ホッパーに供給され、ポリマーの2.0%および添加剤を含む残りの構成要素は、ドラムタンブラー内で少なくとも15分間予備ブレンドされ、バレル6で二次供給装置に供給される。IE3について、XUS 38661.00樹脂の97.7%は、バレル1で主ホッパーに供給され、XUS 38661.00樹脂の2.3%および(DOW(商標)LDPE 621I樹脂を含む)他の添加剤の全てを含む残りの構成要素は、ドラムタンブラー内で少なくとも15分間予備ブレンドされ、バレル6で二次供給装置に供給される。IE4について、ポリマーの97.9%は、バレル1で主ホッパーに供給され、ポリマーの2.1%および(焼成粘土を含む)他の添加剤の全てを含む残りの構成要素は、ドラムタンブラー内で少なくとも15分間予備ブレンドされ、バレル6で二次供給装置に供給される。
【0106】
実施例の加工条件が表2に記載される。IE2~IE5のスクリュー速度は、CE3~CE6のスクリュー速度よりも高速である。また、IE2~IE5の場合のバレル1、2、および3の温度は、CE3~CE5よりも高温である。高スクリュー速度と高バレル温度の組み合わせは、他の添加剤の全てがバレル6からのシステムに供給される前に、ゾーン2の後半の段階(バレル3~5)で溶融温度を上げた。
【0107】
組成物の特性が表2に示される。動的振動剪断試験は135℃で実行され、IE2の組成物は、V0.1/V100の値から明らかなように、CE3~CE6の組成物に比較して高められた溶融剪断減粘特性を示す。135℃で増大したゼロ剪断粘度もまた、CE3~CE6の組成物と比較して、IE2の組成物で観察される。CE2およびCE3の組成物中の低い過酸化物濃度と、低い溶融温度(低いスクリュー速度および低いバレル温度)との組み合わせは、比較的低いレオロジー改質をもたらす。CE5の組成物の場合では、十分な過酸化物の濃度が追加されるが、低いスクリュー速度および低いバレル温度(バレル1~3)は、過酸化物がポリマーと完全に反応することができない低い溶融温度をもたらす。CE6について、組成物およびバレル温度プロファイルは、IE1と同じであるが、それは、再び低い溶融温度をもたらす低いスクリュー速度で作動する。組成物中の少量のLDPEの含有は、135℃でのゼロ剪断粘度のさらなる増大をもたらす一方、少量の焼成粘土は、溶融レオロジー特性に大きな影響を及ぼさなかった(IE3~IE4対IE2)。
【0108】
また、CE3~CE6の組成物のペレット色は、黄色である一方、IE2~IE4の組成物のペレット色は、望ましくは白色である。この観察は、CE3~CE6の場合とは異なり、他の添加剤が組み込まれる前に、過酸化物が完全に分解し、IE2~IE4においてポリマーを改質したことを示す。IE2~IE4で完全に反応した過酸化物は、高いバレル温度および高いスクリュー速度の組み合わせから得られるスクリューの高い溶融温度に起因し得る。
【表2-1】
【表2-2】
【0109】
発明例5~7(IE5~IE7)
組成物を表3に示す。ポリマーは、0.865g/cc密度(ASTM D792)および5g/10分のメルトインデックス(ASTM D1238)の、The Dow Chemical Companyから入手可能なENGAGE(商標)7447 ELエチレンブテンエラストマーコポリマーである。
【0110】
用いられた過酸化物は、LUPEROX(商標)101過酸化物(ドデカン中で測定される140.3℃および120.3℃の1時間および10時間の半減期温度を有する高温分解性過酸化物)であった。
【0111】
組成物は、IE1のために使用されるものと同じスクリュー構成およびプロセス設定を使用して調合される。全ての実施例について、ポリマーの98.0%は、バレル1で主ホッパーに供給され、ポリマーの2.0%および他の添加剤の全てを含む残りの構成要素は、ドラムタンブラー内で少なくとも15分間予備ブレンドされ、バレル6で二次供給装置に供給される。
【0112】
実施例の加工条件が表3に記載される。温度プロファイル、スクリュー速度、および総供給速度の加工条件は、IE5、IE6、およびIE7で同じである。
【0113】
組成物の特性が表3に示される。
【0114】
動的振動剪断試験は135℃で実行され、IE7の組成物は、V0.1/V100の値から明らかなように、IE5およびIE6の組成物に比較して高められた溶融剪断減粘特性を示す。135℃で増大したゼロ剪断粘度もまた、IE5~IE6の組成物と比較して、IE7の組成物で観察される。それらの望ましい白色で示されるように、他の添加剤が組み込まれる前に、IE5~IE7では過酸化物は、完全に反応する。
【表3】
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 連続運転しているマルチゾーン押出機で、レオロジー改質添加剤含有エチレン性ポリマーを作製するための、1ユニット作業の連続押出プロセスであって、前記連続運転しているマルチゾーン押出機が、ポリマーを前記押出機に追加するための主供給装置で構成され、任意に高温分解性過酸化物を前記押出機の第1のゾーンに追加するためのインジェクタで構成されている前記第1のゾーンと、任意に高温分解性過酸化物を前記押出機の第2のゾーンに追加するためのインジェクタで構成されている前記第2のゾーンと、1種以上の添加剤を前記押出機の第3のゾーンに追加するための二次供給装置で構成されている前記第3のゾーンと、材料を前記押出機から排出するための出口と、を連続的に備え、前記第1のゾーンが、前記第1のゾーンと前記第2のゾーンとの間に配置された0または1個以上の中間ゾーンを介して前記第2のゾーンと材料連通し、前記第2のゾーンが、前記第2のゾーンと前記第3のゾーンとの間に配置された0または1個以上の中間ゾーンを介して前記第3のゾーンと材料連通し、前記第3のゾーンが、前記第3のゾーンと前記出口との間に配置された0または1個以上の中間ゾーンを介して前記出口と材料連通し、前記第1のゾーンおよび第2のゾーンのうちの少なくとも1つが、前記インジェクタで構成され、前記プロセスが、
前記過酸化物の半減期が(≧)1分以上であるような温度で、エチレン性ポリマーと高温分解性過酸化物とを、前記押出機の前記第2のゾーンで、前記エチレン性ポリマーを溶融し、前記溶融エチレン性ポリマーのレオロジーを改質して、レオロジー改質溶融エチレン性ポリマーを生成するのに十分な時間混合し、それを前記押出機の前記第3のゾーンに移送する工程と、
1種以上の添加剤を、前記第3のゾーンの前記二次供給装置を介して、前記レオロジー改質溶融エチレン性ポリマーに追加して、前記レオロジー改質添加剤含有エチレン性ポリマーを生成する工程と、を含む、プロセス。
[2] 第1のエチレン性ポリマーの固体形態を、前記主供給装置を介して、前記連続運転しているマルチゾーン押出機の前記第1のゾーンに供給して、前記連続運転しているマルチゾーン押出機の前記第1のゾーン内に、前記第1のエチレン性ポリマーを置くさらなる工程と、
前記第1のエチレン性ポリマーを、前記押出機内で溶融および移送して、前記溶融エチレン性ポリマーを、前記押出機の前記第2のゾーン内で生成するさらなる工程と、を含む、[1]に記載のプロセス。
[3] 前記第1のエチレン性ポリマーが、ニートエチレン性ポリマーである、[1]または[2]に記載のプロセス。
[4] 前記押出機の前記第1のゾーンが、高温分解性過酸化物を前記押出機の前記第1のゾーンに追加するための前記インジェクタで構成され、前記プロセスが、
前記第1のエチレン性ポリマーと接触させるために、前記高温分解性過酸化物を、前記主供給装置を介して、または前記第1のゾーンの前記インジェクタを通して、前記連続運転しているマルチゾーン押出機の前記第1のゾーンに供給するさらなる工程を含む、[1]~[3]のいずれかに記載のプロセス。
[5] 前記押出機の前記第2のゾーンが、高温分解性過酸化物を前記押出機の前記第2のゾーンに追加するための前記インジェクタで構成され、前記プロセスが、
前記高温分解性過酸化物を、前記第2のゾーンの前記インジェクタを介して、前記押出機の前記第2のゾーン内で前記エチレン性ポリマーに追加するさらなる工程を含む、[1]~[4]のいずれかに記載のプロセス。
[6] 前記レオロジー改質溶融エチレン性ポリマーと、前記1種以上の添加剤とを一緒に混合して、前記レオロジー改質溶融エチレン性ポリマーと、前記1種以上の添加剤とのブレンドとしての、前記レオロジー改質添加剤含有エチレン性ポリマーを、前記押出機内で形成するさらなる工程と、
前記レオロジー改質溶融エチレン性ポリマーと、前記1種以上の添加剤との前記ブレンドを、前記押出機の前記出口から押出して、前記ブレンドの押出形態を得るさらなる工程と、を含む、[1]~[5]のいずれかに記載のプロセス。
[7] 前記第1のエチレン性ポリマーが、実質的に直鎖状エチレンポリマー高分子を含む、[1]~[6]のいずれかに記載のプロセス。
[8] 前記高温分解性過酸化物が、1時間および10時間でそれぞれ(≧)155℃以上および135℃の、半減期温度試験方法に従って測定される半減期温度を有する、[1]~[7]のいずれかに記載のプロセス。
[9] 前記高温分解性過酸化物が、ジアルキルペルオキシドおよびジペルオキシケタールのうちの1種以上である、[1]~[8]のいずれかに記載のプロセス。
[10] 1種以上の非高温分解性過酸化物を追加するさらなる工程を含む、[1]~[9]のいずれかに記載のプロセス。
[11] 前記添加剤が、酸化防止剤、紫外線安定剤、および水トリー遅延剤のうちの1種以上を含む、[1]~[10]のいずれかに記載のプロセス。
[12] 前記レオロジー改質添加剤含有エチレン性ポリマーが、絶縁層によって少なくとも部分的に囲まれた導電性コアを含むケーブルの前記導電性コア上の前記絶縁層を含む、[1]~[11]のいずれかに記載のプロセス。
[13] 前記ブレンドの前記押出形態を硬化させて、架橋エチレン性ポリマーを得ることをさらに含む、[1]~[12]のいずれかに記載のプロセス。
[14] [13]に記載のプロセスによって調製された架橋エチレン性ポリマー。
[15] 絶縁層によって少なくとも部分的に囲まれた導電性コアを含む、中、高、または超電圧の電力ケーブル用の前記絶縁層であって、[1]~[13]のいずれかに記載のプロセスによって作製される前記レオロジー改質添加剤含有エチレン性ポリマー、または[14]に記載の架橋エチレン性ポリマーを含む、絶縁層。
[16] [15]に記載の絶縁層によって少なくとも部分的に囲まれた導電性コアを含むケーブル。
[17] 電気を伝導する方法であって、電圧を[16]に記載のケーブルの導電性コア全域に印加し、それによって電気が前記導電性コアを通り流されることを含む、方法。