(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】炭素を組み込んでいる改良された鉛蓄電池セパレータ
(51)【国際特許分類】
H01M 50/449 20210101AFI20231219BHJP
H01M 50/417 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/429 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/414 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/44 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/437 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/451 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/454 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/443 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/463 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/457 20210101ALI20231219BHJP
【FI】
H01M50/449
H01M50/417
H01M50/429
H01M50/414
H01M50/44
H01M50/437
H01M50/451
H01M50/454
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/463 B
H01M50/457
(21)【出願番号】P 2020513839
(86)(22)【出願日】2018-09-07
(86)【国際出願番号】 US2018049847
(87)【国際公開番号】W WO2019051159
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-08-19
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505458359
【氏名又は名称】ダラミック エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ステイナー,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】アピカトラ,ススミタ
(72)【発明者】
【氏名】ゴロヴィン,ニール,エム.
(72)【発明者】
【氏名】ウィアー,ケビン,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マニカム,クマール
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-268797(JP,A)
【文献】特表2017-515284(JP,A)
【文献】特開2013-073737(JP,A)
【文献】特公平04-044388(JP,B2)
【文献】実開昭58-098771(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第02858142(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0273409(US,A1)
【文献】国際公開第2017/062461(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105390640(CN,A)
【文献】特開2008-084866(JP,A)
【文献】特表2013-542558(JP,A)
【文献】特開平03-015162(JP,A)
【文献】特開2017-135110(JP,A)
【文献】国際公開第2017/062781(WO,A1)
【文献】特表2008-523211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/40-50/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛蓄電池セパレータであって、前記鉛蓄電池セパレータは、
多孔質膜と、
前記多孔質膜上の核生成コーティングと、
を備え、
前記核生成コーティングは、核生成添加剤と結合剤を含み、
前記核生成コーティングは0.1~0.5mg/cm
2の重量分布を有し、5~60μmの厚さを有し、前記結合剤を1~5質量%含む、鉛蓄電池セパレータ。
【請求項2】
前記多孔質膜は、ポリオレフィン、ゴム、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、セルロース、合成木材パルプ、ガラス繊維、合成繊維、天然ゴム、合成ゴム、ラテックス、ビスフェノールホルムアルデヒド及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項3】
前記
ポリオレフィンは、超高分子量ポリエチレンである、請求項2に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項4】
前記多孔質膜は、少なくとも50%の空孔率を有する、請求項1に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項5】
前記核生成添加剤は、導電性である、請求項1に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項6】
前記核生成添加剤は、炭素及び硫酸バリウム(BaSO
4)の少なくとも1つである、請求項1に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項7】
前記核生成添加剤は、炭素である、請求項6に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項8】
前記核生成添加剤は、少なくとも1,250~1,750m
2/gの比表面積を有する、請求項1に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項9】
前記核生成添加剤は、少なくとも1,750m
2/gの比表面積を有する、請求項1に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項10】
前記多孔質膜は、AGMセパレータに隣接している、請求項1に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項11】
前記多孔質膜は、さらに粒子状充填剤を備える、請求項2に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項12】
前記粒子状充填剤は前記核生成コーティング中に含まれる、請求項11に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項13】
前記粒子状充填剤は、乾燥微粉シリカ、沈降シリカ、非晶質シリカ、アルミナ、タルク、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項11又は12に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項14】
界面活性剤、湿潤剤、着色剤、帯電防止添加剤、UV保護添加剤、酸化防止剤、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される性能向上添加剤をさらに備える、請求項2に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項15】
前記多孔質膜は、中実リブ、分離した断続リブ、連続式リブ、非連続式リブ、非連続式ピーク、非連続式突起物、傾斜リブ、直線的リブ、前記多孔質膜の実質的に縦方向に延在する縦リブ、前記多孔質膜の実質的に幅方向に延在する横リブ、前記セパレータの実質的に幅方向に延在する横リブ、分離した歯、歯のあるリブ、鋸歯状の縁、鋸歯状リブ、狭間胸壁もしくは狭間胸壁状リブ、湾曲状リブ、連続したジグザグ鋸歯状に配置された、折れた断続的ジグザグ鋸歯状に配置された折曲状リブ、溝、チャネル、テクスチャー領域、エンボス、窪み、柱状物、ミニ柱状物、多孔質、非多孔質、ミニリブ、クロスミニリブ、およびこれらの組合せから成る群の1つを備える、請求項1に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項16】
電解液、正極、負極およびその間に配置された請求項1に記載のセパレータを備える、鉛蓄電池。
【請求項17】
請求項16に記載の鉛蓄電池を備える、車両。
【請求項18】
前記セパレータは、さらに、AGMセパレータ、ペースト紙、スクリム、及びこれらの組み合わせから成る群から選ばれる繊維状マットを含む、請求項1に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項19】
前記核生成添加剤は、炭素及び硫酸バリウムの少なくとも1つである、請求項1に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【請求項20】
前記炭素は、導電性炭素である、請求項19に記載の鉛蓄電池セパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
少なくとも選択実施形態によれば、本開示又は発明は、液式鉛蓄電池、特に強化された液式鉛蓄電池(「EFB」)などの鉛蓄電池、及びゲル電池や吸収ガラスマット(「AGM」)電池などの他の様々な鉛蓄電池用の新規の又は改良されたセパレータに関する。少なくとも選択実施形態によれば、本開示又は発明は、新規な又は改良されたセパレータ、電池セパレータ、炭素を組み込んでいる電池セパレータ、導電性炭素を組み込んでいる電池セパレータ、EFBセパレータ、膜、スクリム、マット、電池、セル、システム、これらを含む方法、これらを使用した車両、これらを製造する方法、これらの使用、及びこれらの任意の組み合わせに関する。また、本明細書には、電池寿命を延ばす、電池故障を低減させる、水分損失を減らす、酸化安定性を向上させる、フロート電流を改善、維持及び/又は低下させる、充電終了(「EOC」)電流を改善する、ディープサイクル電池を充電及び/又は完全充電するのに必要な電流及び/又は電圧を減少させる、内部電気抵抗を最小限に抑える、電気抵抗を低下させる、湿潤性を増大させる、電解液のウェットアウト時間を低減させる、電池形成の時間を短縮する、アンチモン中毒を抑制する、酸の層化を抑制する、酸拡散を改善する及び/又は鉛蓄電池の均一性を向上させるための、そしてこれらの組み合わせのための方法、システム、及び電池セパレータが開示されている。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は発明は、セパレータがゴム、ラテックス、及び/又は改良された性能向上添加剤及び/又はコーティングを含む、鉛蓄電池用の改良されたセパレータに関する。少なくとも特定の実施形態によれば、開示されるセパレータは、例えばゴルフカート(ゴルフカーと呼ばれることもある)などの輸送マシン、インバータ、並びに太陽光発電システム及び風力発電システムなどの再生可能エネルギーシステム及び/又は代替エネルギーシステムなどにおけるディープサイクル用途に有用である。開示されるセパレータはまた、ディープサイクル及び/又は部分充電状態動作が電池使用の一部である電池システムで有用である。特定の他の実施形態において、開示されるセパレータは、添加剤及び/又は合金(アンチモンが主要な例である)が電池に添加されて電池の寿命を延ばす及び/又は電池の性能を向上させる、及び/又は電池のディープサイクル及び/又は部分充電状態動作能力を向上させる電池システムに使用することができる。少なくとも選択実施形態によれば、本開示又は発明は、現状の問題又は必要性に対処することができ、及び/又は例えばデンドライトの形成を軽減し、電荷受容を改良し、及び/又はサイクル性能を改良した電池を提供することによって現状の問題又は困難な問題を克服する改良されたセパレータ及び/又は電池を提供できる。
【背景技術】
【0002】
電気的短絡を防止する目的で、電池の正極(板)と負極(板)を分離するのに電池セパレータを使用する。このような電池セパレータは、一般的にはイオンが正極(板)と負極(板)の間を通過できるように多孔性である。車両用電池及び/又は工業用電池、及び/又はディープサイクル電池などの鉛蓄電池において、電池セパレータは一般的に多孔性ポリエチレンセパレータであり、一部の例では、そのようなセパレータは、バックウェブと、バックウェブの片側又は両側に起立する複数のリブとを備え得る。Besenhard、J.O.、Editor、Handbook of Battery Materials、Wiley-VCH Verlag GmbH、Weinheim、Germany(1999)、Chapter 9、pp.245~292を参照されたい。車両用電池の一部のセパレータは連続した長さで製造され、巻回された後、折り畳まれ、電池の電極を受容するポーチ又はエンベロープを形成するためにエッジに沿って封止される。工業用(又は牽引用又はディープサイクルストレージ)電池の特定のセパレータは、電極板(断片又はリーフ)とほぼ同じ大きさに切断される。
【0003】
鉛蓄電池の電極は、比較的高いアンチモン含有量を有する鉛合金から作られることが多い。部分充電状態(「PSOC」)で動作する電池は、酸の層化になりやすい傾向がある。この状態においては、より多くの酸が電池下部の電解質に濃縮され、より多くの水が電池上部の電解質に濃縮される。鉛は水溶性になり、溶解していく。しかしながら、鉛は酸に析出して固晶を形成する。したがって、酸が層化するとデンドライトを形成する硫酸鉛(PbSO4)の結晶が形成される傾向にある。酸の層化が起こらない場合であっても、酸が放電中に枯渇し、鉛が溶解していき、酸が充電サイクル中に回復すると結晶に析出し得る。
【0004】
これらの結晶が十分大きなサイズに増大すると、デンドライトはセパレータに孔をあけるか焼いて孔をあけて導電性ブリッジを形成して正極と負極を接続し、これにより短絡を生じさせることができる。これは電圧の放電、電荷受容を妨害することができ、極めて有害な故障が生じたり電池を機能しなくさせたりすることさえできる。これらの全ては電池の性能と寿命を犠牲にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
少なくとも特定の用途又は電池について、サイクル寿命を改良し、酸の層化を低減し、及び/又はデンドライトの形成を低減する改良されたセパレータの必要性が依然としてある。より具体的には、電池寿命を延ばす、電池故障を低減させる、酸化安定性を向上させる、フロート電流を改善、維持及び/又は低下させる、充電終了(「EOC」)電流を改善する、ディープサイクル電池を充電及び/又は完全充電するのに必要な電流及び/又は電圧を減少させる、内部電気抵抗が上昇するのを最小限に抑える、電気抵抗を低下させる、アンチモン中毒を抑制する、酸の層化を抑制する、酸拡散を改善する及び/又は鉛蓄電池の均一性を向上させる、改良されたセパレータ、及び改良されたセパレータを備える改良された電池(部分充電状態で動作するもの等)の必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つ以上の実施形態の詳細を以下明細書に記載する。他の特徴、目的、および利点は本明細書および特許請求の範囲から明らかになろう。少なくとも選択実施形態によれば、本開示または発明は、上記問題点または必要性に対処することができる。少なくとも特定の目的、態様、または実施形態によれば、本開示または発明は、例えば、酸の層化を低減し、デンドライトの形成を軽減し、及び/又はサイクル性能を改良した電池を提供することにより、前述の問題を克服する改良されたセパレータ及び/又は電池を提供することができる。
【0007】
少なくとも選択実施形態によれば、本開示または発明は、上記問題点または必要性に対処することができる。少なくとも特定の目的、態様、または実施形態によれば、本開示または発明は、例えばデンドライトの形成を軽減し、電荷受容を改善し、及び/又はサイクル性能を改良した電池を提供することにより、前述の問題を克服する改良されたセパレータ及び/又は電池を提供することができる。
【0008】
少なくとも選択実施形態によれば、本開示または発明は、新規な又は改良されたセパレータ、電池セパレータ、炭素を組み込んでいる電池セパレータ、導電性炭素を組み込んでいる電池セパレータ、EFBセパレータ、セル、電池、システム、及び/又はこのような新規なセパレータ、セル、及び/又は電池を製造及び/又は使用する方法に関する。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示または発明は、平板電池、管状電池、液式鉛蓄電池、強化された液式鉛蓄電池(「EFB」)、ディープサイクル電池、ゲル電池、吸収ガラスマット(「AGM」)電池、インバータ電池、太陽光又は風力発電蓄電池、車両電池、始動―照明―点火(「SLI」)車両電池、アイドリング-スタート-ストップ(「ISS」)車両電池、自動車用電池、トラック用電池、オートバイ用電池、全地形型車両用電池、フォークリフト用電池、ゴルフカート用電池、ハイブリッド車両用電池、電気自動車用電池、eリキシャ用電池、eバイク用電池用の新規の又は改良された電池セパレータ、及び/又はこのような改良されたセパレータ、セル、電池、システム等を製造及び/又は使用する改良された方法に関する。また、本明細書には、電池の性能及び寿命を延ばす、電池故障を低減させる、酸の層化を抑制する、硫酸化とデンドライトの形成を軽減する、酸化安定性を向上させる、フロート電流を改善、維持及び/又は低下させる、充電終了電流を改善する、ディープサイクル電池を充電及び/又は完全充電するのに必要な電流及び/又は電圧を減少させる、内部電気抵抗を最小限に抑える、アンチモン中毒を抑制する、湿潤性を増大させる、酸拡散を改善する、鉛蓄電池の均一性を向上させる、及び/又はサイクル性能を改良させるための方法、システム及び電池セパレータが開示されている。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は発明は、新規なセパレータが硫酸化及びデンドライトの形成を低減し、電荷受容を増加することを含む、改良されたセパレータに関する。
【0009】
本発明の選択された実施形態は、多孔質膜、スクリム、及び/又はマット並びに核生成添加剤を有する鉛蓄電池セパレータを備える。多孔質膜は、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ゴム、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、セルロース、合成木材パルプ、ガラス繊維、合成繊維、天然ゴム、合成ゴム、ラテックス、ビスフェノールホルムアルデヒド及びこれらの組み合わせから選択されてもよい。セパレータがポリエチレンであるならば、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)であってもよい。
【0010】
核生成添加剤は、導電性であってもよい。核生成添加剤は、さらに炭素又は硫酸バリウムの形態であってもよい。炭素は、導電性炭素、黒鉛、人造黒鉛、活性炭、カーボン紙、アセチレンブラック、カーボンブラック、高表面積カーボンブラック、グラフェン、高表面積グラフェン、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素フィラメント、カーボンナノチューブ、連続気泡炭素フォーム、炭素マット、炭素フェルト、炭素バックミンスターフラーレン(「バッキーボール」)、水性炭素懸濁液、及びこれらの組み合わせの形態であってもよい。核生成添加剤は、多孔質膜、スクリム、及び/又はマットの内部にあってもよいし、多孔質膜、スクリム、及び/又はマットの1つ以上の表面にあってもよい。
【0011】
核生成添加剤は、多孔質膜に以下の、ローラーコーティング、化学蒸着、共押出し、その表面を炭化するための制御燃焼、プラズマ照射によりその表面を炭化するための制御燃焼、UV照射によりその表面を炭化するための制御燃焼、トナー印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、平版印刷、スラリーコーティング、水性炭素懸濁液の噴霧、含浸、及びこれらの組み合わせのいずれかにより適用されてもよい。
【0012】
選択実施形態において、鉛蓄電池セパレータはAGMセパレータであってもよい。
【0013】
他の例示的な実施形態において、多孔質膜、スクリム、及び/又はマットは、粒子状充填剤、及び加工用可塑剤を含んでもよい。炭素は、ある量の粒子状充填剤を有するセパレータの表面にさらにあってもよい。粒子状充填剤は、以下の、乾燥微粉シリカ、沈降シリカ、非晶質シリカ、アルミナ、タルク、又はこれらの組み合わせのいずれか1つであってもよい。
【0014】
特定の実施形態において、加工用可塑剤は、以下の加工油、パラフィン系鉱油、鉱油、又はこれらの組み合わせのいずれか1つであってもよい。
【0015】
選択実施形態において、多孔質膜、スクリム、及び/又はマットは、性能強化添加剤を備えてもよく、以下の非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、湿潤剤、着色剤、帯電防止添加剤、UV保護添加剤、酸化防止剤、又はこれらの組み合わせのいずれであってもよい。
【0016】
特定の例示的な実施形態において、多孔質膜は、以下の、中実リブ、分離した断続リブ、連続式リブ、非連続式リブ、傾斜リブ、直線的リブ、多孔質膜の実質的に縦方向に延在する縦リブ、多孔質膜の実質的に幅方向に延在する横リブ、セパレータの実質的に幅方向に延在する横リブ、鋸歯状の縁又は鋸歯状リブ、狭間胸壁又は狭間胸壁状リブ、連続した又は折れたジグザグ状に配置された、湾曲状又は折曲状リブ、溝、チャネル、テクスチャー領域、エンボス、窪み、多孔質、非多孔質、ミニリブ、クロスミニリブ、及びこれらの組み合わせのいずれか1つを備えてもよい。
【0017】
本発明の別の例示的な実施形態は、電解液、正極、負極およびその間に配置されたセパレータ、並びに核生成添加剤を有する鉛蓄電池を提供する。核生成添加剤は、好ましくは電解液中で安定であってもよく、電解液に分散してもよい。核生成添加剤は、少なくとも半導電性であってもよい。いくつかの実施形態において、セパレータは核生成添加剤を備えてもよい。さらに、核生成添加剤は、以下の、炭素、導電性炭素、黒鉛、人造黒鉛、活性炭、カーボン紙、アセチレンブラック、カーボンブラック、高表面積カーボンブラック、グラフェン、高表面積グラフェン、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素フィラメント、カーボンナノチューブ、連続気泡炭素フォーム、炭素マット、炭素フェルト、炭素バックミンスターフラーレン(「バッキーボール」)、水性炭素懸濁液、硫酸バリウム、及びこれらの組み合わせのいずれか1つであってもよい。
【0018】
特定の実施形態において、核生成添加剤は、セパレータの表面にあってもよく、電極に隣接してもよい。さらに、核生成添加剤は、セパレータの内部にあってもよい。
【0019】
本発明の選択実施形態において、核生成添加剤は、セパレータの表面に以下の、ローラーコーティング、化学蒸着、共押出し、その表面を炭化するための制御燃焼、プラズマ照射によりその表面を炭化するための制御燃焼、UV照射によりその表面を炭化するための制御燃焼、トナー印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、平版印刷、スラリーコーティング、水性炭素懸濁液の噴霧、及びこれらの組み合わせのいずれかにより適用されてもよい。さらに、核生成添加剤は、以下の、ペースト紙、スクリム、及びこれらの組み合わせのいずれかに組み込まれてもよい。
【0020】
いくつかの例示的な実施形態において、セパレータは、以下の、ポリオレフィン、UHMWPE、ポリエチレン、ポリプロピレン、ゴム、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、セルロース、合成木材パルプ、ガラス繊維、合成繊維、天然ゴム、合成ゴム、ラテックス、ビスフェノールホルムアルデヒド及びこれらの組み合わせのいずれであってもよい。他のセパレータは、AGMセパレータであってもよい。
【0021】
鉛蓄電池は、以下の、平板電池、液式鉛蓄電池、強化された液式鉛蓄電池、ディープサイクル電池、吸収ガラスマット電池、管状電池、インバータ電池、車両電池、SLI電池、ISS電池、自動車用電池、トラック用電池、オートバイ用電池、全地形型車両用電池、フォークリフト用電池、ゴルフカート用電池、ハイブリッド車両用電池、電気自動車用電池、e―リキシャ用電池、e―トライク用電池、及びe―バイク用電池のいずれであってもよい。電池は、部分充電状態、走行中又は静止中において動作してもよい。
【0022】
本発明の別の例示的な実施形態において、車両は、電池、セパレータ、及び核生成添加剤を備えてもよい。いくつかの実施形態において、セパレータは、核生成添加剤を、セパレータの内部又は表面のいずれかに備えてもよい。さらに、核生成添加剤は、以下の、炭素、導電性炭素、黒鉛、人造黒鉛、活性炭、カーボン紙、アセチレンブラック、カーボンブラック、高表面積カーボンブラック、グラフェン、高表面積グラフェン、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素フィラメント、カーボンナノチューブ、連続気泡炭素フォーム、炭素マット、炭素フェルト、炭素バックミンスターフラーレン(「バッキーボール」)、水性炭素懸濁液、硫酸バリウム、及びこれらの組み合わせのいずれか1つであってもよい。
【0023】
本発明の選択実施形態において、核生成添加剤は、セパレータの表面に以下の、ローラーコーティング、化学蒸着、共押出し、その表面を炭化するための制御燃焼、プラズマ照射によりその表面を炭化するための制御燃焼、UV照射によりその表面を炭化するための制御燃焼、トナー印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、平版印刷、スラリーコーティング、水性炭素懸濁液の噴霧、及びこれらの組み合わせのいずれかにより適用されてもよい。さらに、核生成添加剤は、以下の、ペースト紙、スクリム、及びこれらの組み合わせのいずれかに組み込まれてもよい。
【0024】
選択実施形態において、電池は、部分充電状態で動作してもよい。他の実施形態において、車両は、以下の、自動車、トラック、オートバイ、全地形型車両、フォークリフト、ゴルフカート、ハイブリッド車両、電気自動車、eリキシャ、eトライク、及びeバイクのいずれかであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1B】
図1Bは、典型的な鉛蓄電池の典型的な単一セルを示す。
【
図2A】
図2Aは、典型的な鉛蓄電池において見られる正極と負極の間に位置した例示的な電池セパレータを示す。
【
図2B】
図2Bは、典型的な鉛蓄電池において見られる例示的な電池セパレータと膨張した負極活物質(「NAM」)を示す。
【
図2C】
図2Cは、典型的な鉛蓄電池において見られる正極と負極の間に位置した本発明の電池セパレータの例示的な実施形態を示す。負極は膨張したNAMとともに示される。
【
図2D】
図2Dは、本発明のセパレータの例示的な実施形態のリブ形状の例示的な実施形態を示す。
【
図4A】
図4Aは、炭素がコーティングされたセパレータの存在下における鉛電極上の硫酸鉛の成長を表すSEM画像である。
【
図4B】
図4Bは、炭素がコーティングされたセパレータの存在下における鉛電極上の硫酸鉛の成長を表すSEM画像である。
【
図4C】
図4Cは、炭素がコーティングされたセパレータの存在下における鉛電極上の硫酸鉛の成長を表すSEM画像である。
【
図5A】
図5Aは、押し出し混合物に炭素を有するセパレータの硫酸鉛の成長を表すSEM画像である。
【
図5B】
図5Bは、押し出し混合物に炭素を有するセパレータの硫酸鉛の成長を表すSEM画像である。
【
図5C】
図5Cは、押し出し混合物に炭素を有するセパレータの硫酸鉛の成長を表すSEM画像である。
【
図6A】
図6Aは、押し出し混合物に炭素を有するセパレータの存在下における鉛電極上の硫酸鉛の成長を表すSEM画像である。
【
図6B】
図6Bは、押し出し混合物に炭素を有するセパレータの存在下における鉛電極上の硫酸鉛の成長を表すSEM画像である。
【
図6C】
図6Cは、押し出し混合物に炭素を有するセパレータの存在下における鉛電極上の硫酸鉛の成長を表すSEM画像である。
【
図7A】
図7Aは、本開示の例示的な電池セパレータの基本的な物理的特性を示す。
【
図7B】
図7Bは、本開示の例示的な電池セパレータの基本的な物理的特性を示す。
【
図7C】
図7Cは、本開示の例示的な電池セパレータの基本的な物理的特性を示す。
【
図8A】
図8Aは、本開示の例示的な電池セパレータの様々なリブパターンの一般的な図を説明する。
【
図8B】
図8Bは、本開示の例示的な電池セパレータの様々なリブパターンの一般的な図を説明する。
【
図8C】
図8Cは、本開示の例示的な電池セパレータの様々なリブパターンの一般的な図を説明する。
【
図8D】
図8Dは、本開示の例示的な電池セパレータの様々なリブパターンの一般的な図を説明する。
【
図8E】
図8Eは、本開示の例示的な電池セパレータの様々なリブパターンの一般的な図を説明する。
【
図9A】
図9Aは、市販のセパレータを有するコントロールセルと比較したアセチレンブラックをコーティングしたセパレータを使用するテストセルの動的充電状態を示す。
【
図9B】
図9Bは、市販のセパレータを有するコントロールセルと比較したアセチレンブラックをコーティングしたセパレータを使用するテストセルの動的充電状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
少なくとも選択実施形態によれば、本開示または発明は、上記問題点または必要性に対処し得る。少なくとも特定の目的、態様、または実施形態によれば、本開示または発明は、例えばデンドライトの形成を軽減し、電荷受容を改善し、及び/又はサイクル性能を改良した電池を提供することにより、前述の問題を克服する改良されたセパレータ、電池セパレータ、炭素を組み込んでいる電池セパレータ、導電性炭素を組み込んでいる電池セパレータ、EFBセパレータ、及び/又は電池を提供することができる。
【0027】
図1Aに示されるように、例示的な鉛蓄電池50は、正極側端子部51及び負極側端子部53を有して示される。電池50の内部には、例示的なセパレータ100が間に配置された、交互に並ぶ正極板又は正極52と負極板又は負極54のアレイがある。正極と負極52、54、及びセパレータ100は、電解液水溶液56中に実質的に浸漬される。電解液は、例えば、硫酸(H
2SO
4)と水(H
2O)の溶液であってもよい。電解液溶液は、例えば、約1.215~1.300の範囲である、約1.28の比重を有してもよい。正極52は正極側端子部51と電気連絡し、負極54は負極側端子部53と電気連絡する。
【0028】
図1Bを参照して、典型的な鉛蓄電池の典型的なセルを示す。
図1Cは示す。
図1A~1Cは原寸に比例して図示されていないことに留意すべきである。典型的な鉛蓄電池においては、正極52はセパレータ100に密着し、同様に、負極54もセパレータ100に密着していることにも留意すべきである。セパレータは、正極と負極52、54を分離させて電池が短絡するのを防止する働きをする。
【0029】
図1Cは、特定の鉛蓄電池において見られるような酸の層化の概略図である。硫酸は水より重く、電解液の下部を最適な比重より高くして主に水である電解液の上部を最適な比重より低くして電解液の下部分に沈みやすい。この酸の層化が起こると、電極の下部のみが硫酸と接触するので、電池の性能と寿命の両方に影響する。酸の層化は、電池を過充電するか100%かその近くの容量に充電し続けることにより軽減されることができる。過充電中には、気泡が電極に生じ、電解液に対して混合作用をしながら表面に上昇しやすい。電池が部分充電状態(「PSoC」)になっている連続的条件では、この過充電作用が生じることはなく、電解液が層化する度合いがより大きくなる。
【0030】
二酸化鉛(PbO2)正(+)極52の反応(「正の半反応」)では電子が供給され、正になる。放電中の二酸化鉛(PbO2)正(+)極52のこの正の半反応から、硫酸鉛(PbSO4)と水(H2O)が生じ、以下の式1に示される。
【0031】
【0032】
ここで:
・PbO2は、固体の二酸化鉛正(+)極52であり、
・SO4
-2は、水溶性であり、
・4H+は、水溶性であり、
・2e-は、固体の二酸化鉛(PbO2)正(+)極52にあり、
・PbSO4は、水性電解液56内の固体の沈殿物であり、
・H2Oは、液体である。
【0033】
正の半反応は、電池50を充電すると逆にできる。
【0034】
鉛(Pb)負(-)極54の負の半反応(「負の半反応」)では陽イオンが供給され、負になる。放電中の負の半反応から硫酸鉛(PbSO4)と陰イオン(e-)が生じ、以下の式2に示される。
【0035】
【0036】
ここで:
・Pbは、固体の負(-)極54であり、
・SO4
-2は、水溶性であり、
・PbSO4は、水性電解液56内の固体の沈殿物であり、
・2e-は、鉛(Pb)負(-)極54にある。
負の半反応は、電池50を充電すると逆にできる。
【0037】
全体として、これらの半反応は、以下の式3に示されるように、鉛蓄電池の全化学反応に取って代わられる。
【0038】
【0039】
ここで
・Pbは、固体の鉛負(-)極54であり、
・PbO2は、固体の正(+)極52であり、
・H2SO4は、水性電解液56内の液体であり、
・PbSO4は、水性電解液56内の固体の沈殿物であり、
・H2Oは、水性電解液56内の液体である。
【0040】
全化学反応は、電池50を充電すると逆にできる。
【0041】
上記反応の各々について、左から右に移動しながら放電が生じ、右から左に移動しながら充電が生じる。
【0042】
反応全体から分かるように、電池を放電すると硫酸鉛(PbSO4)と水(H2O)が産出される。放電中に水が産出されると、酸が欠乏(すなわち、電解液の硫酸が消費される)し、さらに上述した酸の層化が悪化する。さらに、電極板中の鉛(Pb)が水環境に溶解していき、より多くの鉛が硫酸鉛を生成するのに利用されやすくなる。じゅうでんちゅうは反応を逆にできるので、電池を充電、及び/又は過充電中すると硫酸鉛のいくらかを構成要素(すなわち、鉛(Pb)、二酸化鉛(PbO2)、及び硫酸(H2SO4))に戻すことができる。しかしながら、鉛は硫酸にも析出し、したがって硫酸鉛のいくらかはその構成要素に戻らず、固体の硫酸鉛結晶として残る。
【0043】
ゴルフカート(ゴルフカーとしても知られる)、フォークリフト、e―リキシャ、e―バイク、アイドリング-スタート-ストップ(「ISS」)車両などにおいて使用されるもののような、ディープサイクル電池は、ほぼ常に部分充電状態で動作する。このような電池は、ISS電池は例外かもしれないが、充電される前に8-12時間以上放電しながら使用される。さらに、それらの電池の操作者はサービスに返却する前に電池を過充電しないかもしれない。ISS電池は、多くの放電サイクルと多くの短時間の断続的な充電サイクルを経験し、一般的に完全充電に達することはめったになく過充電されることはない。これらの電池等は、ともに酸の層化、酸の欠乏、又は両者が生じやすい。これらの電池(又は電池内の領域)は、したがって、電解液の水濃度が高い期間を受けやすい。これらの電池(又は電池内の領域)は、したがって、電解液の酸濃度が高い期間も受けやすい。したがって、電極の鉛には電解液に溶解していき、その後硫酸鉛結晶へと析出する機会がある。長い時間をかけて、多くの充放電サイクルにより、硫酸鉛の結晶は、自身に基づいてデンドライトを形成する。これはサルフェーションとして知られている。これらのデンドライトは長い時間をかけて成長するので、電池または電池セルを短絡しうる。これにより電池が完全に故障するか、最低限性能が低下して電池の寿命が短くなることができる。
【0044】
本発明者らは、電池を充電するとき、硫酸鉛の結晶がより小さいとより大きな結晶と比較してより容易に溶液に戻ると仮定する。核生成部位を提供すると結晶が形成する開始点を与えることになると考えられる。さらに、核生成部位が多いと結晶を形成する場所が多くなり、したがって硫酸鉛の全量はより少ない数の大きな結晶とは対照的に、より多い数の小さな結晶に広がりうる。これらの小さな結晶は電池の充電サイクルでより容易に溶液に戻り、したがってデンドライトの成長を妨げる。本発明者らは、炭素や硫酸バリウム(BaSO4)などのセパレータ用の各種核生成添加剤を、これらの核生成部位を提供する例示的な手段として見極めてきた。これらの添加剤は、本明細書において議論される。核生成部位を提供することに加えて、炭素はまた電池の電荷受容を増加し、電池の容量を増加しうる。
【0045】
炭素が提供する別の利点は、電荷受容が増加することである。本発明者らが提起する1つの仮説は、高導電性炭素粒子は活物質への電子伝導経路を提供し、したがって活物質の利用を改善するというものである。本発明者らの別の仮説は、炭素はセパレータの静電容量を増加させ、したがって電池システム全体を増加させるというものである。
【0046】
物理的性質
例示的なセパレータは、約5μm未満、好ましくは約1μm未満の細孔を有する微多孔質膜、メソ多孔質膜、又は約1μmより大きい細孔を有するマクロ多孔質膜などの多孔質膜のウェブを備えうる。多孔質膜は、好ましくはサブミクロンから最大100μmまでである細孔径を有してもよく、特定の実施形態においては、約0.1~約10μmであってもよい。本明細書に記載のセパレータ膜の空孔率は、特定の実施形態において約50~約60%より大きくてよく、特定の他の好ましい実施形態は、約65%より大きい空孔率を有してもよい。特定の選択実施形態においては、多孔質膜は、平坦またはその表面から延在するリブを有してもよい。
【0047】
リブ
本発明の特別の目的は、動的電荷受容を増加させる手段として、酸が層化する効果を低減するために電池が酸の混合を最大化させ得るすべての動作も利用しながら、多孔質膜と負極活物質とが密着する領域を最大化し、NAMの膨張効果(例えば酸の欠乏)を最小化することを含む。これらの両者は電池が部分充電状態で動作することにより提示される問題である。
【0048】
本発明者らは、NAMの膨張効果を最小化する1つの方法は、NAMが多孔質バックウェブをPAMへ屈折させる可能性を低減するように、セパレータのレジリエンスを最大化することであることを見出した。セパレータのレジリエンスを増加する特別の方法は、多孔質膜バックウェブの厚さを増加させることである。これはしかしながら、電池の性能に悪影響を与えるセパレータの電気抵抗(示すがより厚いバックウェブの1つの損害)も増加させる。本発明者らは、セパレータと正極間の接触点を増加させると接触点間のバックウェブを強化するよう働くことを発見した。この目的を達成するためにリブの数を増加させてもセパレータと正極間の接触面積が増加する。接触面積を最小化することはセパレータの電気抵抗を低下し、そして電池の機能性を提供する電気化学反応のための電極の電解質に対する表面積をより広げると考えられる。接触面積が低減するとデンドライトがセパレータを介して形成され電気的短絡を引き起こす機会を低減することも考えられる。デンドライトの形成の問題点は、本明細書において後述する。さらなる目的は、酸の層化の効果を最小化するために動作中に使用される電池が電解液と酸の混合を最大化することである。さらに、中実リブは目的である酸の層化を低減するための酸の混合を促進しない。
【0049】
本発明者らは、酸の欠乏につながる、酸のNAMの膨張によって働く力と圧力下でバックウェブが屈折するのに抵抗する又は軽減するために、選択例示的な好ましい実施形態のように、接触点の数を最大化して同時にセパレータと隣接する電極間の接触面積を最小化することにより、セパレータに弾力性手段を備えうることを見出した。本発明者らは、別の選択実施形態がセパレータと隣接する電極間の分離した接触点の数を最大化することにより、酸の層化効果を低減する、軽減する、又は逆転するための酸混合手段を備えるセパレータを提供し得ることを見出した。別の選択実施形態は、硫酸鉛(PbSO4)デンドライトの成長を低減する又は軽減するためのデンドライト軽減手段を備えるセパレータを提供し得る。本発明者らは、このような弾力性手段、酸混合手段、デンドライト軽減手段はリブ構造の設計により対処され、達成され、又は少なくとも部分的に対処され及び/又は達成され得ることを決定した。したがって、本明細書において記載される選択実施形態は、所望の目的を達成するためにこれらのパラメータのバランスを保つために、弾力性手段、酸混合手段、及びデンドライト軽減手段を提供するための、及び/又はこれらのパラメータのバランス及び/又は所望の弾力性手段、酸混合手段、及び/又はデンドライト軽減手段に少なくとも部分的に対処し及び/又は達成するためにリブ構造に依存する。
【0050】
図2Aは、典型的な鉛蓄電池において見られる正極と負極の間に位置した例示的な電池セパレータを示す。
【0051】
図2Bは、典型的な鉛蓄電池において見られる例示的な電池セパレータと膨張した負極活物質(「NAM」)を示す。
【0052】
図2Cは、典型的な鉛蓄電池において見られる正極と負極の間に位置した本発明の電池セパレータの例示的な実施形態を示す。負極は膨張したNAMとともに示される。
【0053】
リブ104、106は、一様な組、交互な組、または途切れていない、分離した断続リブ、連続式、非連続式、傾斜、直線的、セパレータの縦方向(「MD」)(すなわち、バッテリー中のセパレータの上部から下部へ向かう)に実質的に延在する縦リブ、セパレータの幅方向CMDに実質的に延在する横リブ、セパレータの幅方向(「CMD」)(すなわち、バッテリー中のセパレータの横方向、MDに対して直角)に実質的に延在する横リブ、セパレータの幅方向に実質的に延在するクロスリブ、分離した歯のあるもしくは歯のあるリブ、鋸歯状の縁、鋸歯状リブ、狭間胸壁又は狭間胸壁状リブ、連続したもしくは断続的なジグザグ状に配置された湾曲状もしくは折曲状の溝、チャネル、テクスチャー領域、エンボス、窪み、多孔質、非多孔質、ミニリブもしくはクロスミニリブ等、ならびにこれらの組合せであり得る。さらに、いずれかの組のリブ104、106は、正側、負側、もしくは両側から又は正側、負側、もしくは両側に延在してもよい。
【0054】
図2Dを参照して、例示的なセパレータは、例示的なセパレータの正極と接触するよう意図されるセパレータの縦方向MDに実質的に配列された正極側リブ104を備える。セパレータは、セパレータの縦方向に実質的に配列され、正極側リブと実質的に平行である負極側リブ106をさらに備える。負極側リブは、例示的な電池の負極と接触するよう意図される。この図示された実施例における負極側リブはセパレータの縦方向に実質的に配列されているが、あるいは、これらは代わりに幅方向に実質的に配列されていてもよく、通常、負極側クロスリブとして知られている。
【0055】
続けて
図2Dを参照して、本発明のセパレータの選択実施形態は、正極側リブのアレイを備える。正極側リブは、縦方向にセパレータ長を延在し得るベース部分104aを備える。それから、間隔を空けた歯、非連続式ピーク、または他の突起物104bは、歯104bが多孔質膜バックウェブの支持構造表面より上側にあるように、ベース部分の表面から延在してよい。さらに、ベース部分は、歯それ自体より広くてもよい。正極側リブは、約2.5~約6.0mmの典型的間隔をもって実質的に互いに平行に並び、典型的間隔は約3.5mmである。多孔質膜バックウェブの表面から測定したとき正極側リブの高さ(歯およびベース部分を加えて)は、約10μm~約2.0mmであり、典型的高さは約0.5mmである。隣接するリブの例示的リブ歯は、互いに実質的に一列になっていてよい。しかしながら、
図2Dに図示されるように、例示的な歯は、1つのリブから隣接するリブへ互いにオフセットしていてよく、隣接するリブの位相から完全または部分的に外れているかのいずれかである。示されるように、歯は、1つのリブから隣接するリブへの位相から完全に外れている。正極側リブ歯は、約3.0~約6.0mmのセパレータの縦方向のピッチで間隔を空けていてよく、典型的な間隔は約4.5mmである。
【0056】
図2Dに示されるように、負極側リブは、セパレータの縦方向に実質的に平行であるように示される。しかしながら、これらは代わりに幅方向に実質的に平行であってもよい。示される例示的な負極側リブは、連続して実質的に直線的であるように示されている。しかしながら、これらは代わりに
図2Dに示される正極側リブと概して同様な方法で歯をつけてよい。負極側リブを、約10μm~約10.0mmのピッチ、好ましくは約700~約800μm、より好ましくは通常約740μmのピッチで間隔を空けてもよい。バックウェブの表面から測定するときの負極側リブの高さは、約10μm~約2.0mmであってよい。
【0057】
なお、正極側リブを、代わりに、これらが負極と接触するように例示的なバッテリー中に配置してよいことに留意すべきである。同様に、負極側リブを、代わりに、これらが正極と接触するように例示的なバッテリー中に配置してよい。
【0058】
下表1は、162mm×162mm(262cm2)である4つのセパレータ(1つの例示的な本発明のセパレータおよび3つのコントロールセパレータ)のリブ数および表面接触面積のパーセンテージを詳細に説明している。示されるように、例示的な本発明のセパレータは、幅方向にセパレータ幅を横切って一様に間隔を空けて配置された43個の歯のあるリブを備える。例示的な本発明のセパレータの正極側リブの歯は、正極の262cm2の3.8%と接触する。コントロールセパレータの詳細を、表1中にさらに詳細に説明する。コントロールセパレータ#1、#2、及び#3は、一般的に現在市場で入手可能な液式鉛蓄電池で現在使用される市販されているセパレータの典型的なものであると理解される。
【0059】
【0060】
前述のように、本発明者らは、接触点数を最大にしながら同時に接触面積を最小限にすることにより、制御中の電気抵抗を維持しながらセパレータレジリエンスを増強する目的を達成することができることを見出した。さらに、歯のある設計は、バッテリーが受けるかもしれない運動を利用することにより酸混合を容易にする。セパレータリブの歯は、最も近くの隣接する歯から約2.5~約6.0mm離れていてよい。本発明者らは、好ましい非限定的距離は、隣接する歯間で約4.2mmであることを見出した。加えて、位相から完全に外れている隣接する行からオフセットしている歯は、酸混合を容易にする。本発明者らは、ベース部分がNAMの膨張に対するレジリエンスを提供するのに充分なようにバックウェブを強化することも見出した。
【0061】
例示的な本発明のリブが正極側リブであると示され説明されるが、にもかかわらずこれらはセパレータの負極側に提供されてもよく、例証され説明された負極側リブはセパレータの正極側に提供されてもよい。
【0062】
正極側又は負極側リブは、さらに中実リブ、分離した断続リブ、連続式リブ、非連続式リブ、傾斜リブ、直線的リブ、その多孔質膜の実質的に縦方向に延在する縦リブ、その多孔質膜の実質的に幅方向に延在する横リブ、そのセパレータの実質的に幅方向に延在する横リブ、分離したリブ、歯のあるリブ、鋸歯状の縁、鋸歯状リブ、狭間胸壁、狭間胸壁状リブ、湾曲状リブ、連続したジグザグ鋸歯状に配置された、折れた断続的ジグザグ鋸歯状に配置された折曲状リブ、溝、チャネル、テクスチャー領域、エンボス、窪み、柱状物、ミニ柱状物、多孔質、非多孔質、ミニリブ、クロスミニリブ、およびこれらの組合せの任意の形状または組み合わせであってもよい。
【0063】
正極側又は負極側リブは、さらにセパレータのエッジに対して平行でも直角でもない角度により規定される任意の形状または組合せであってもよい。さらに、この角度は、リブの歯または行全体にわたって変わり得る。傾斜リブパターンは、特定の電池中の酸の層化を低減または排除を可能にする、より好ましいDaramic(登録商標)RipTide(商標)酸混合リブ形状であってよい。さらに、角度は多孔質膜の縦方向に対して定義され得るものであり、角度は約ゼロ度(0°)より大きく約180度(180°)未満、及び約180度(180°)より大きく約360度(360°)未満であり得る。
【0064】
リブは、横エッジから横エッジまでセパレータの幅を横切って一様に延在してよい。これは、ユニバーサルプロファイルとして公知である。あるいは、セパレータは、側面パネルに配置されたマイナーリブを有する横エッジと隣接する側面パネルを備えてもよい。これらのマイナーリブは、一次リブより密接に配置され、より小さくてもよい。例えば、マイナーリブは、一次リブの高さの25%~50%であってもよい。側面パネルは代わりに平坦であってもよい。側面パネルは、本明細書において下記に議論されるセパレータをエンベロープする場合に行うように、セパレータのエッジをセパレータのもう1つのエッジにシーリングする補助を行い得る。
【0065】
選択例示的な実施形態においては、負極側リブの少なくとも一部は、好ましくは、正極側リブの高さの約5%~約100%の高さを有してもよい。いくつかの例示的な実施形態では、負極側リブの高さは、正極側リブの高さと比較して、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、95%、または100%であってよい。他の例示的な実施形態では、負極側リブの高さは、正極側リブの高さと比較して、約100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、または5%以下であってよい。
【0066】
いくつかの選択実施形態においては、多孔質膜の少なくとも一部は、縦もしくは横リブまたはクロスリブである負極側リブを備えてもよい。負極側リブはセパレータの上部エッジと平行であってもよく、上部エッジに対して角度をもって配置されてもよい。例えば、負極側リブは、上部エッジに対して、約0°、5°、15°、25°、30°、45°、60°、70°、80°、または90°に配向してよい。クロスリブは、上部エッジに対して、約0°~約30°、約30°~約45°、約45°~約60°、約30°~約60°、約30°~約90°、又は約60°~約90°に配向してもよい。
【0067】
特定の例示的な実施形態は、ベース部分を有してよい。存在する場合、約5μm~約200μmの平均ベース高さを有してよい。例えば、平均ベース高さは、約5μm以上、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、100μm、または200μmであってよい。さらに、存在する場合、歯幅より約0.0μm~約50μm広い平均ベース幅を有してよい。例えば、平均ベース幅は、歯幅より約0.0μm以上、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、または50μm広くてよい。
【0068】
特定の例示的な実施形態は、歯または歯のあるリブを有してよい。存在する場合、これらは、約50μm~約1.0mmの平均先端長さを有してよい。例えば、平均先端長さは、約50μm以上、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、又は1.0mmであってよい。あるいは、これらは、1.0mm以下、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、または50μmであってよい。
【0069】
歯または歯のあるリブの少なくとも一部は、約50μm~約1.0mmの平均歯ベース長さを有してよい。例えば、平均歯ベース長さは、約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、または1.0mmであってよい。あるいは、これらは、約1.0mm以下、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、または50μmであってよい。
【0070】
歯または歯のあるリブの少なくとも一部は、約50μm~約1.0mmの平均高さ(ベース部分高さおよび歯高さを合わせて)を有してよい。例えば、平均高さは、約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、または1.0mmであってよい。あるいは、これらは、約1.0mm以下、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、または50μmであってよい。
【0071】
歯または歯のあるリブの少なくとも一部は、約100μm~約50mmの縦方向の列内の平均中心間ピッチを有してよい。例えば、平均中心間ピッチは、約50μm以上、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、または1.0mm、および50mm以下を同様に増やした値であってよい。あるいは、これらは、約50μm以下、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、または1.0mm、および50mm以下を同様に増やした値であってよい。さらに、歯または歯のあるリブの隣接する列を、縦方向の同じ位置またはオフセットする位置に同様に配置してよい。オフセット構成では、隣接する歯または歯のあるリブを、縦方向の異なる位置に配置する。
【0072】
歯または歯のあるリブの少なくとも一部は、約0.1:1.0~約500:1.0のベース幅に対する平均高さ比を有してよい。例えば、ベース幅に対する平均高さ比は、約0.1:1.0、25:1.0、50:1.0、100:1.0、150:1.0、200:1.0、250:1.0、300:1.0、350:1、450:1.0、または500:1.0であってよい。あるいは、ベース幅に対する平均高さ比は、約500:1.0以下、450:1.0、400:1.0、350:1.0、300:1.0、250:1.0、200:1.0、150:1.0、100:1.0、50:1.0、25:1.0、または0.1:1.0であってよい。
【0073】
歯または歯のあるリブの少なくとも一部は、約1,000:1.0~約0.1:1.0の先端幅に対する平均ベース幅比を有することができる。例えば、先端幅に対する平均ベース幅比は、約0.1:1.0、1.0:1.0、2:1.0、3:1.0、4:1.0、5:1.0、6:1.0、7:1.0、8:1.0、9:1.0、10:1.0、15:1.0、20:1.0、25:1.0、50:1.0、100:1.0、150:1.0、200:1.0、250:1.0、300:1.0、350:1.0、450:1.0、500:1.0、550:1.0、600:1.0、650:1.0、700:1.0、750:1.0、800:1.0、850:1.0、900:1.0、950:1.0、または1,000:1.0であってよい。あるいは、先端幅に対する平均ベース幅比は、約1,000:1.0以下、950:1.0、900:1.0、850:1.0、800:1.0、750:1.0、700:1.0、650:1.0、600:1.0、550:1.0、500:1.0、450:1.0、400:1.0、350:1.0、300:1.0、250:1.0、200:1.0、150:1.0、100:1.0、50:1.0、25:1.0、20:1.0、15:1.0、10:1.0、9:1.0、8:1.0、7:1.0、6:1.0、5:1.0、4:1.0、3:1.0、2:1.0、1.0:1.0、または0.1:1.0であってよい。
【0074】
特定の実施形態において、改良されたセパレータは、天然又は合成基材、加工用可塑剤、充填剤、天然又は合成ゴム又はラテックス、核生成提供添加剤、及び/又は1つ以上の他の添加剤及び/又はコーティングなど及びこれらの組み合わせの1つ以上から作り得る多孔質膜を含んでよい。
【0075】
特定の実施形態において、例示的な天然又は合成基材は、ポリマー、熱可塑性ポリマー、フェノール樹脂、天然又は合成ゴム、合成木材パルプ、リグニン、ガラス繊維、合成繊維、セルロース系繊維、及びこれらの組み合わせを含んでよい。特定の好ましい実施形態において、例示的なセパレータは、熱可塑性ポリマーでできた多孔質膜であってよい。例示的な熱可塑性ポリマーは原則として、鉛蓄電池での使用に適した全ての耐酸性熱可塑性材料を含んでよい。特定の好ましい実施形態において、例示的な熱可塑性ポリマーは、ポリビニル及びポリオレフィンを含んでよい。特定の実施形態において、ポリビニルは、例えばポリ塩化ビニル(「PVC」)を含んでよい。特定の好ましい実施形態において、ポリオレフィンは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンーブテン共重合体、及びこれらの組み合わせを含み得るが、ポリエチレンを含むことが好ましい。特定の実施形態において、例示的な天然又は合成ゴムは、例えばラテックス、非架橋又は架橋ゴム、クラム又はグランドゴム、及びこれらの組み合わせを含むことができる。
【0076】
特定の実施形態において、多孔質膜層は、ポリオレフィン、具体的にはポリエチレンを含むことが好ましい。好ましくは、ポリエチレンは高分子量ポリエチレン(「HMWPE」)(例えば、少なくとも600,000の分子量を有するポリエチレン)である。さらにいっそう好ましくは、ポリエチレンは、超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)である。例示的なUHMWPEは、粘度測定法により測定され、マーゴリーズの方程式により算出された少なくとも1,000,000、特に4,000,000より多く、最も好ましくは5,000,000~8,000,000の分子量を有してもよい。さらに、例示的なUHMWPEは、2,160gの標準的負荷を使用したASTM D1238(条件E)で指定され測定された実質ゼロ(0)の標準的負荷メルトインデックスを有してもよい。さらに、例示的なUHMWPEは、130℃で100gのデカリンにおける0.02gのポリオレフィンの溶液で決定された、600ml/g以上、好ましくは1,000ml/g以上、より好ましくは2,000ml/g以上、及び最も好ましくは3,000ml/g以上の粘度数を有してもよい。
【0077】
特定の実施形態において、例示的な加工用可塑剤は、加工油、石油、パラフィン系鉱油、鉱油、及びこれらの組み合わせを含んでよい。
【0078】
セパレータは、高い構造形態を有する充填剤を含有することができる。例示的な充填剤は、シリカ、乾燥微粉シリカ、沈降シリカ、非晶質シリカ、極めてもろいシリカ、アルミナ、タルク、魚粉、魚骨粉、炭素、カーボンブラック等、及びこれらの組み合わせを含むことができる。特定の好ましい実施形態においては、充填剤は1つ以上のシリカである。高い構造形態とは、増大した表面積を指す。充填剤は、例えば約100m2/g、約110m2/g、約120m2/g、約130m2/g、約140m2/g、約150m2/g、約160m2/g、約170m2/g、約180m2/g、約190m2/g、約200m2/g、約210m2/g、約220m2/g、約230m2/g、約240m2/g、又は約250m2/gより大きい、大きい表面積を有することができる。いくつかの実施形態においては、充填剤(例えばシリカ)は、約100~300m2/g、約125~275m2/g、約150~250m2/g、又は好ましくは約170~220m2/gの表面積を有することができる。表面積は、多点BET窒素表面積用TriStar3000(商標)を使用して査定することができる。高い構造形態のために充填剤は、製造プロセス中により多くのオイルを保持できる。例えば、高い構造形態の充填剤は、例えば約150ml/100g、約175ml/100g、約200ml/100g、約225ml/100g、250ml/100g、275ml/100g、約300ml/100g、約325ml/100g、又は約350ml/100gである高レベルのオイル吸収を有することができる。いくつかの実施形態では、充填剤(例えばシリカ)は、約200~500ml/100g、約200~400ml/100g、約225~375ml/100g、約225~350ml/100g、約225~325ml/100g、好ましくは約250~300ml/100gのオイル吸収を有することができる。いくつかの例においては、オイル吸収が約266ml/100gであるシリカ充填剤が使用される。このようなシリカ充填剤は、水分含有量が約5.1%であり、BET表面積が約178m2/gであり、平均粒径が約23μmであり、230メッシュふるい残分値が約0.1%であり、バルク密度が約135g/Lである。
【0079】
比較的高いレベルのオイル吸収と比較的高いレベルの可塑剤(鉱油等)に対する親和性を有するシリカは、本明細書に示されるタイプの例示的な鉛蓄電池セパレータを形成する場合、ポリオレフィン(ポリエチレン等)及び可塑剤の混合物中で望ましく分散性となる。過去に、いくつかのセパレータでは、このようなセパレータ又は膜を作製するため多量のシリカを使用する場合、シリカ凝集に起因して分散性が低いという欠点があった。本明細書に示され記載される本発明のセパレータの少なくともいくつかでは、溶融ポリオレフィンの冷却時にポリオレフィンの分子運動を阻害するシリカ凝集又は塊(agglomerate)がほとんど存在しないので、ポリエチレン等のポリオレフィンはシシケバブ構造を形成する。これは全て、作製されるセパレータ膜中のイオン透過性の向上に寄与し、シシケバブ構造又は形態の形成は、全体的なERの低いセパレータを生成しながら、機械的強度が維持され、ひいては改善されることを意味する。
【0080】
いくつかの選択実施形態において、充填剤(シリカ等)は、約25μm以下、いくつかの例では約22μm、約20μm、約18μm、約15μm、又は約10μm以下の平均粒径を有する。いくつかの例においては、充填剤粒子の平均粒径は15~25μmである。シリカ充填剤の粒径及び/又はシリカ充填剤の表面積はシリカ充填剤のオイル吸収に寄与する。最終生産物すなわちセパレータ中のシリカ粒子は、上述した粒径範囲内に収まり得る。ただし、原料として使用される最初のシリカは、1つ以上の塊及び/又は凝集体として発生し、約200μm以上の大きさを有してよい。
【0081】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明のセパレータを作製するために使用されるシリカは、鉛蓄電池セパレータを作製するため以前使用されたシリカ充填剤に比べ、表面シラノール基(表面ヒドロキシル基)の量又は数が増大している。例えば、本明細書の特定の好ましい実施形態と共に使用され得るシリカ充填剤は、既知のポリオレフィン鉛蓄電池セパレータを作製するために使用される既知のシリカ充填剤に比べ、シラノール及び/又はヒドロキシル表面基が少なくとも約10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、又は少なくとも35%多いシリカ充填剤としてもよい。
【0082】
シラノール基(Si-OH)と元素シリコン(Si)との比(Si-OH)/Siは、例えば以下のように測定することができる。
【0083】
1.ポリオレフィン多孔質膜を凍結粉砕し(特定の発明の膜は本発明にしたがった様々なオイル吸収シリカを含む)、粉末状サンプルを固体核磁気共鳴分光分析(29Si-NMR)のために調製する。
【0084】
2.粉末状サンプルに29Si-NMRを実行し、ヒドロキシル基に直接結合しているSiスペクトル強度(スペクトル:Q2及びQ3)と酸素原子にのみ直接結合しているSiスペクトル強度(スペクトル:Q4)とを含むスペクトルを観察する。各NMRピークスペクトルの分子構造は以下のように表すことができる。
・Q2:(SiO)2-Si*-(OH)2:2つのヒドロキシル基を有する
・Q3:(SiO)3-Si*-(OH):1つのヒドロキシル基を有する
・Q4:(SiO)4-Si*:全てのSi結合はSiOである
ここで、Si*はNMR観察によって元素と証明される
【0085】
3.観察に用いた29Si-NMRの条件は以下の通りである。
・機器:Bruker BioSpin Abance 500
・共鳴周波数:99.36MHz
・サンプル量:250mg
・NMRチューブ:直径7m
・観察法:DD/MAS
・パルス幅:45度
・繰り返し時間:100秒
・スキャン:800
・マジック角回転:5,000Hz
・化学シフト基準:シリコーンゴム(-22.43ppm)(外部基準)
【0086】
4.数値的に、スペクトルのピークを分離し、Q2、Q3、及びQ4に属する各ピークの面積比を計算する。その後、これらの比に基づいて、Siに直接結合しているヒドロキシル基(-OH)のモル比を計算する。数値ピーク分離の条件は以下のように実施される。
・適合領域:-80~-130ppm
・初期ピークトップ:Q2では-93ppm、Q3では-101ppm、Q4では-111ppm
・初期半値幅:Q2では400Hz、Q3では350Hz、Q4では450Hz
・ガウス関数比:初期80%、適合中70~100%
【0087】
5.Q2、Q3、及びQ4のピーク面積比(合計は100)は、適合により得られた各ピークに基づいて計算される。NMRピーク面積は、各シリケート結合構造の分子数に対応した(このため、Q4NMRピークでは、そのシリケート構造内に4つのSi-O-Si結合が存在する。Q3NMRピークでは、そのシリケート構造内に3つのSi-O-Si結合が存在し、1つのSi-OH結合が存在する。Q2NMRピークでは、そのシリケート構造内に2つのSi-O-Si結合が存在し、2つのSi-OH結合が存在する)。したがって、Q2、Q3、及びQ4のそれぞれのヒドロキシル基(-OH)の数を、2、1、及び0で乗算する。これら3つの結果を合計する。合計値は、Siに直接結合しているヒドロキシル基(-OH)のモル比を示す。
【0088】
特定の実施形態において、シリカは、29Si-NMRにより測定されるSi基に対するOH基のモル比を有してもよく、約21:100~35:100の範囲内であってもよく、いくつかの好ましい実施形態においては、約23:100~約31:100、特定の好ましい実施形態においては、約25:100~約29:100、他の好ましい実施形態においては少なくとも約27:100以上の範囲内である。
【0089】
いくつかの選択実施形態においては、上述した充填剤の使用によって、押し出しステップ中に使用する加工油の割合を高めることが可能となる。セパレータの多孔性構造は部分的に押し出し後のオイル除去によって形成されるので、初期の吸油量が多いと、より高い空孔率又はより高い空隙容積が生じる。加工油は押し出しステップの不可欠の要素であるが、オイルはセパレータの非伝導要素である。セパレータ内の残留油は、セパレータが正極と接触した場合にこれを酸化から保護する。従来のセパレータの製造では、処理ステップにおける正確なオイル量を制御し得る。一般的に言えば、従来のセパレータは、50~70重量%の加工油、いくつかの実施形態では55~65重量%、いくつかの実施形態では60~65重量%、いくつかの実施形態では約62重量%の加工油を用いて製造される。油を約59%未満に減らすと、押出機の構成要素に対する摩擦が増大するため燃焼(burning)が生じることが知られている。しかしながら、オイルを規定量よりも著しく増やすと、乾燥段階中に収縮が生じ、寸法の不安定さを招く可能性がある。油含有量を増大させるこれまでの試みは油除去中に孔の収縮又は凝縮を生じたが、本明細書に開示されるように調製されたセパレータでは、油除去中に観察される収縮及び凝縮は、生じるとしても最小限である。したがって、孔径及び寸法安定性を損なうことなく空孔率を増大させ、これによって電気抵抗を低減することができる。
【0090】
特定の選択実施形態において、上述した充填剤の使用によって、完成セパレータにおける最終オイル濃度の低下が可能となる。オイルは不導体であるので、オイル含有量の低減はセパレータのイオン伝導度を増大させ、セパレータのERの低下を促進することができる。このため、最終オイル含有量が低減したセパレータは高い効率を有することができる。特定の選択実施形態においては、最終加工油含有量が(重量で)20%未満、例えば約14%から20%、いくつかの特定の実施形態では19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、又は5%未満のセパレータが提供される。
【0091】
充填剤は更に、電解質イオンの水和層(hydration sphere)と呼ばれるものを低減させて、膜を通るイオン輸送を強化し、この場合も、強化された液式電池又はシステムのような電池の全体的な電気抵抗すなわちERを低減することができる。
【0092】
1又は複数の充填剤は、セパレータを通る電解質及びイオンの流れを容易にする様々な種(金属のような極性種等)を含み得る。これは、このようなセパレータが強化された液式電池等の液式電池で使用される際に、全体的な電気抵抗の低減を引き起こす。
【0093】
特定の実施形態において、セパレータは性能強化添加剤を導電性要素又は核生成添加剤及び/又はコーティングの形状で含んでもよい。導電性要素又は核生成添加剤は、好ましくは電池の電解液中で安定であってもよく、さらに電解液内に分散されてもよい。
【0094】
導電性要素及び/又はコーティングの例示的な形状は、炭素、導電性炭素、黒鉛、人造黒鉛、活性炭、カーボン紙、アセチレンブラック、カーボンブラック、高表面積カーボンブラック、グラフェン、高表面積グラフェン、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素フィラメント、カーボンナノチューブ、連続気泡炭素フォーム、炭素マット、炭素フェルト、炭素バックミンスターフラーレン(「バッキーボール」)、水性炭素懸濁液、片状黒鉛、酸化炭及びこれらの組み合わせなどの、炭素であってもよく、含んでもよい。炭素のこれらの多くの形状に加えて、核生成添加剤及び/又はコーティングは硫酸バリウム(BaSO4)を単独で又は炭素と組み合わせてのいずれかで全体として又は一部として含んでもよい。炭素の1つの例示的な形態は、Boston, MA, USAのキャボット コーポレーションで製造されたPBX(登録商標)-135である。炭素の1つの例示的な好ましい形態は、Boston, MA, USAのキャボット コーポレーションで製造されたPBX(登録商標)-51である。本発明者らは、炭素の表面積が大きいほど、電池の動的電化受容が大きくなると理論上想定する。例えば、PBX(登録商標)-51は少なくとも約1,300~約1,500m2/gの比表面積を有し、ケッチェンブラックは少なくとも約1,250m2/gの比表面積を有する。
【0095】
核生成コーティングは、完成セパレータにスラリーコーティング、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、カーテンコーティング、インクジェット印刷、スクリーン印刷、又は真空蒸着、化学蒸着(「CVD」)などの方法により適用されてもよい。さらに、添加剤及び/又はコーティングは、織物又は不織布のいずれかのカーボン紙として提供されてもよく、セパレータと電極の間に分散されても密着してもよい。
【0096】
核生成添加剤及び/又はコーティングは、セパレータの内部にあってもよく、又はセパレータの電極に面する片面又は両面にあってもよい。一般的には、核生成添加剤のコーティング又は層は、負極に面する表面にのみあり得る。しかしながら、正極に面する表面、又は両面にあってもよい。
【0097】
特定の実施形態において、核生成添加剤は、基材の押し出し混合物に加えられ、セパレータで押し出されるか、又はセパレータの層として共押出しされ得る。押し出し混合物に含まれるとき、核生成添加剤はシリカ充填剤の一部を5~75重量%だけ置き換わり得る。例えば、核生成添加剤は、約5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%又は約75重量%であってもよい。他の例示的な実施形態において、核生成添加剤は、約75重量%,70重量%、65重量%、60重量%、55重量%、50重量%、45重量%、40重量%、35重量%、30重量%、25重量%、20重量%、15重量%、10重量%、又は約5重量%以下であってもよい。
【0098】
図3A~3Cは、黒鉛100の走査型電子顕微鏡(「SEM」)画像である。
図3Dは、人造黒鉛のSEM画像である。
図3Eは、アセチレンブラックのSEM画像である。これらの画像は、1,000倍のズームで撮影された。図に示すように、黒鉛100及び人造黒鉛は類似する構造を有し、類似する表面粗さと硫酸鉛が核となる表面積を有するように見える。しかしながら、アセチレンブラックではかなり表面が粗く、したがって硫酸鉛が核となる表面積が大きく、より多くの核生成部位を提供し得る。
【0099】
図4A~4Cは、100回の充電/放電サイクル後の鉛電極のSEM画像であり、電極上の硫酸鉛結晶の成長を表す。
図4A及び4Bは、15.0kV、5,000倍のズームで撮影されたSEM画像である。
図4Aは、任意の炭素添加物及び/又はコーティングのセパレータ空隙の存在下におけるコントロール鉛電極である。
図4Bは、カーボンブラックがコーティングされたセパレータの存在下における鉛電極の画像である。
図4Cは、人造黒鉛がコーティングされたセパレータの存在下における鉛電極のSEM画像(15.0kV、5,500倍のズームで撮影)である。図に示すように、鉛電極の結晶は炭素の存在下においてはコントロールと比較してサイズが小さい。
【0100】
図5A~5Cは、100回の充電/放電サイクル後の鉛蓄電池セパレータのSEM画像であり、セパレータ上の硫酸鉛の成長を表す。これらのSEM画像は、15.0kV、1,000倍のズームで撮影された。
図5Aは、いかなる炭素も添加されていないコントロールセパレータである。
図5Bは、押し出し混合物に5%炭素を添加したセパレータである。
図5Cは、押し出し混合物に10%炭素を添加したセパレータの画像である。図に示すように、炭素含有量を高くすると、作製される硫酸鉛の結晶が小さく少なくなる。
【0101】
図6A~6Cは、100回の充電/放電サイクル後の鉛電極のSEM画像であり、電極上の硫酸鉛結晶の成長を表す。これらのSEM画像は、15.0kV、10,000倍のズームで撮影された。
図6Aは、炭素添加物及び/又はコーティングのセパレータ空隙の存在下におけるコントロール鉛電極のSEM画像である。
図6Bは、押し出し混合物に5%炭素を添加したセパレータの存在下における鉛電極のSEM画像である。
図6Cは、押し出し混合物に10%炭素を添加したセパレータの存在下における鉛電極のSEM画像である。図に示すように、炭素含有量を高くすると、作製される硫酸鉛の結晶が小さく少なくなる。
【0102】
導電層は、例示的な電池セパレータ100に配置されてもよい。導電層は、好ましくは電池の正極(図示せず)に接触するよう適合されてもよい。導電層は、正極(図示せず)に向けて及び正極からの電流の新しいルートを提供するためであってもよい。導電層は、アルミナ、鉛、金、アンチモン、ヒ素、亜鉛、バリウム、ベリリウム、リチウム、マグネシウム、ニッケル、アルミニウム、銀、スズ、及びこれらの組み合わせの合金、又は炭素繊維、黒鉛、カーボンナノチューブ、バックミンスターフラーレン(又はバッキーボール)、及びこれらの組み合わせを含む、任意の導電性材料から作製されてもよいが、これらに限定されるものではない。カーボンナノチューブ又はバッキーボールは、結合剤を有する媒体に分散されて、電池セパレータに塗布されるかもしれない。導電層は、正極の伝導体よりも耐腐食性が大きい任意の導電性材料から作製されてもよく、したがって正極の伝導体の導電能力が低下するとき導電層は正極の伝導体として機能してもよい。導電層は、0.8~1.17%のスズ、及び0~0.015%より多い銀を有する鉛基合金であってもよい。導電層は、0.02~0.06%のカルシウム、0.3~3%のスズ、及び0.01~0.05%の銀を有する鉛基合金であってもよい。導電層は、ストリップ、スクリーン、薄片(ホイル)、細線(スレッド)、金属線(ワイヤ)、コーティング、又はこれらの組み合わせを含む任意の形態に作製されてもよいが、これらに限定されるものではない。導電層は、例えば、約3μmの厚さである、任意の厚さであってもよい。導電層は、電池セパレータに接着剤、熱融着、塗布等を含む任意の手段で配置されてもよいが、これらに限定されるものではない。導電層は、米国特許第9,564,623号に記載されるようなものであり、その全体が本明細書に参考として組み込まれる。
【0103】
本明細書で開示される新規なセパレータは、ラテックス及び/又はゴムを含んでよい。本明細書で使用されるように、ゴムは、ゴム、ラテックス、天然ゴム、合成ゴム、架橋もしくは非架橋ゴム、硬化もしくは未硬化ゴム、クラムもしくはグランドゴム、又はこれらの混合物を指すものとする。例示的な天然ゴムは、様々な供給者から市販されている1つ以上のポリイソプレン混合物を含んでよい。例示的な合成ゴムには、メチルゴム、ポリブタジエン、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ブロモブチルゴム、ポリウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、クロロスルホニルポリエチレン、ポリノルボルネンゴム、アクリル酸ゴム、フッ素系ゴム、及びシリコーンゴム、並びにスチレン/ブタジエンゴム、アクリロニトリル/ブタジエンゴム、エチレン/プロピレンゴム(「EPM」及び「EPDM」)、及びエチレン/ビニルアセテートゴムなどの共重合体ゴムが含まれる。ゴムは架橋ゴム又は非架橋ゴムであってよく、特定の好ましい実施形態において、ゴムは非架橋ゴムである。特定の実施形態において、ゴムは、架橋ゴムと非架橋ゴムの混合物であってよい。
【0104】
特定の実施形態において、例示的なセパレータは、セパレータ又は多孔質膜に添加される1つ以上の性能強化添加剤を含み得る。性能強化添加剤は、界面活性剤、湿潤剤、着色剤、帯電防止添加剤、アンチモン抑制添加剤、UV保護添加剤、酸化防止剤等、及びこれらの組み合わせであってもよい。特定の実施形態において、添加界面活性剤は、イオン性、カチオン性、アニオン性、又は非イオン性界面活性剤であってよい。
【0105】
本明細書に記載の特定の実施形態において、少量のアニオン性又は非イオン性界面活性剤が本発明の多孔質膜又はセパレータに添加される。界面活性剤の量が少ないため、望ましい特徴は、より少量の全有機体炭素(「TOC」)及び/又はより少量の揮発性有機化合物(「VOC」)を含むことができる。
【0106】
特定の適切な界面活性剤は非イオン性である一方、他の適切な界面活性剤はアニオン性である。添加剤は、単一の界面活性剤であっても、例えば2つ以上のアニオン性界面活性剤、2つ以上の非イオン性界面活性剤、又は少なくとも1つのイオン性界面活性剤及び少なくとも1つの非イオン性界面活性剤などの2つ以上の界面活性剤の混合物であってもよい。特定の適切な界面活性剤は、6未満の、好ましくは3未満のHLB値を有してよい。これらの特定の適切な界面活性剤を、本明細書に記載の本発明のセパレータと関連して使用することによって、鉛蓄電池に使用される場合に、その鉛蓄電池の水分損失の低減、アンチモン中毒の抑制、サイクリングの改善、フロート電流の減少、フロート電位の減少など、又はこれらの任意の組み合わせをもたらす、より一層改良されたセパレータをもたらすことができる。適切な界面活性剤は、アルキル硫酸塩、アルキルアリールスルホネート塩、アルキルフェノール-アルキレンオキシド付加生成物、せっけん、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アニオン性スルホコハク酸塩などの1つ以上のスルホコハク酸塩、スルホコハク酸塩のジアルキルエステル、アミノ化合物(第一級、第二級、第三級アミン、又は第四級アミン)、エチレンオキシド及び酸化プロピレンのブロック共重合体、種々のポリエチレンオキシド、並びにモノ及びジアルキルホスフェートエステルの塩等の界面活性剤を含む。添加剤は、ポリオール脂肪酸エステル、ポリエトキシル化エステル、ポリエトキシル化アルコール、アルキルポリグリコシド及びその混合物などのアルキル多糖類、アミンエトキシレート、ソルビタン脂肪酸エステルエトキシレート、オルガノシリコン系界面活性剤、エチレンビニルアセテートターポリマー、エトキシル化アルキルアリールリン酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤を含んでよい。
【0107】
特定の実施形態において、添加剤は、式(I)の化合物により表すことができる。
【0108】
【0109】
ここで、
・Rは、酸素原子により遮られ得る、10~4200個の炭素原子、好ましくは13~4200個の炭素原子を有する直鎖状又は非芳香族炭化水素ラジカルであり、
・R1は、H、-(CH2)kCOOM1/X
X+、又は―(CH2)k-SO3M1/X
X+、好ましくはH、ここでk=1又は2であり、
・Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン、H+又はNH4
+、ここで、全ての変数Mが同時にH+の意味を有しているわけではなく、
・n=0又は1であり、
・m=0又は10~1400の整数であり、
・x=1又は2である。
【0110】
式(I)にしたがった化合物における酸素原子対炭素原子の比率は1:1.5~1:30の範囲であり、m及びnは同時に0となることはできない。ただし、好ましくは、変数n及びmの1つのみが0でない。
【0111】
非芳香族炭化水素ラジカルにより、芳香族基を含まない、又はそれ自体を表す基が意図される。炭化水素ラジカルは、酸素原子により遮られ得る(すなわち1つ以上のエーテル基を含む)。
【0112】
Rは、好ましくは、酸素原子により遮られ得る直鎖又は分岐脂肪族炭化水素ラジカルである。飽和、非架橋炭化水素ラジカルが、非常に特に好ましい。ただし、上記のとおり、Rは、特定の実施形態において芳香環を含むものであってよい。
【0113】
電池セパレータの製造に式(I)の化合物を使用することによって、セパレータは、酸化破壊から効果的に保護され得る。
【0114】
式(I)にしたがった化合物を含む電池セパレータが好ましく、ここで、
・Rは、1~60個、好ましくは1~20個及び非常に特に好ましくは1~8個の酸素原子により遮られ得る10~180個、好ましくは12~75個及び非常に特に好ましくは14~40個の炭素原子を有する炭化水素ラジカルであり、特に好ましくは式R2-[(OC2H4)p(OC3H6)q]-の炭化水素ラジカルであり、ここで、
○R2は、10~30個の炭素原子、好ましくは12~25個、特に好ましくは14~20個の炭素原子を有するアルキルラジカルであり、R2は、直鎖状又は芳香環を含むなど非直鎖状であってよく、
○Pは、0~30、好ましくは0~10、特に好ましくは0~4の整数であり、
○qは、0~30、好ましくは0~10、特に好ましくは0~4の整数であり、
○化合物は、p及びqの合計が0~10、特に0~4であると特に好ましく、
・n=1であり、
・m=0である。
【0115】
式R2-[(OC2H4)p(OC3H6)q]-は、角括弧内の基の配列が示されているものとは異なる化合物も含まれていると理解すべきである。例えば、本発明によれば、括弧内のラジカルが(OC2H4)基と(OC3H6)基を置換することにより形成される化合物も適切である。
【0116】
R2が10~20個、好ましくは14~18個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキルラジカルである添加剤は、特に有利であることが証明されている。OC2H4は、好ましくはOCH2CH2を表し、OC3H6は、OCH(CH3)2及び/又はOCH2CH2CH3を表す。
【0117】
好ましい添加剤として、特にアルコール(p=q=0、m=0)が言及されてもよい。第一級アルコールが特に好ましく、脂肪アルコールエトキシレート(p=1~4、q=0)、脂肪族アルコールプロポキシレート(p=0、q=1~4)及び脂肪族アルコールアルコキシレート(p=1~2、q=1~4)第一級アルコールのエトキシレートが好ましい。脂肪族アルコールアルコキシレートは、例えば、対応するアルコールのエチレンオキシド又は酸化プロピレンとの反応を通じて入手可能である。
【0118】
水及び硫酸に溶けない、又は単に溶けにくいm=0型の添加剤は、特に有利であることが証明されている。
【0119】
式(I)にしたがった化合物を含む添加剤も好ましく、ここで、
・Rは、20~4200個、好ましくは50~750個及び非常に特に好ましくは80~225個の炭素原子を有するアルカンラジカルであり、
・Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン、H+又はNH4
+、特に、Li+、Na+及びK+などのアルカリ金属イオン又はH+であり、全ての変数Mが同時にH+の意味を有するわけではなく、
・n=0であり、
・mは、10~1400の整数であり、
・x=1又は2である。
【0120】
特定の実施形態において、適切な添加剤には、特に、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びアクリル酸-メタクリル酸共重合体が含まれてよく、その酸基は、好ましくは40%、特に好ましくは80%など、少なくとも部分的に中和されている。割合は、酸基の数を指す。非常に特に好ましいのは、全体的に塩の形態で存在するポリアクリル酸(ポリメタクリル酸)である。適切な塩には、Li、Na、K、Rb、Be、Mg、Ca、Sr、Zn、及びアンモニウム(NR4、Rは水素又は炭素官能基である)が含まれる。ポリアクリル酸(ポリメタクリル酸)には、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、及びアクリル酸-メタクリル酸共重合体が含まれてよい。ポリアクリル酸(ポリメタクリル酸)、特に平均モル質量Mwが1,000~100,000g/mol、特に好ましくは1,000~15,000g/mol及び非常に特に好ましくは1,000~4,000g/molであるポリアクリル酸が好ましい。ポリアクリル酸(ポリメタクリル酸)重合体及び共重合体の分子量は、重合体の水酸化ナトリウム溶液で中和された1%水溶液の粘度を計測することにより確認される(フィケンチャーの定数)。
【0121】
アクリル酸(メタクリル酸)の共重合体、特に、アクリル酸(メタクリル酸)に加えて、エチレン、マレイン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル及び/又はアクリル酸エチルヘキシルをコモノマーとして含む共重合体も適切である。少なくとも40重量%、好ましくは少なくとも80重量%のアクリル酸(メタクリル酸)単量体を含む共重合体が好ましく、割合は、単量体又は重合体の酸性型に基づく。
【0122】
ポリアクリル酸重合体及び共重合体を中和するために、水酸化カリウム及び特に水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属及びアルカリ土類金属水酸化物が特に適切である。また、セパレータを強化するためのコーティング及び/又は添加剤には、例えば金属アルコキシドが含まれてよく、ほんの一例として(限定する意図はなく)、金属は、Zn、Na、又はAl、ほんの一例としてナトリウムエトキシドであってよい。
【0123】
いくつかの実施形態において、多孔質ポリオレフィン多孔質膜は、そのような層の片側又は両側にコーティングを含んでよい。このようなコーティングは、界面活性剤又は他の材料を含んでよい。いくつかのの実施形態において、コーティングは、参照によって本明細書に組み込まれる、例えば米国特許第9,876,209号に記載の1つ以上の材料を含んでよい。このようなコーティングは、例えば電池システムの過充電電圧を低減させることにより、格子腐食を抑えて電池寿命を延長し、ドライアウト及び/又は水分損失を防ぎ得る。
【0124】
特定の選択実施形態において、膜は、約5~15重量%のポリマー、いくつかの例では約10重量%のポリマー(例えばポリエチレン)、約10~75重量%の充填剤(例えばシリカ)、いくつかの例では約30重量%の充填剤、及び約10~85重量%の加工油、いくつかの例では約60重量%の加工油を組み合わせることによって作製されてよい。他の実施形態においては、充填剤含有量を減らし、油含有量が高く、例えば約61重量%、62重量%、63重量%、64重量%、65重量%、66重量%、67重量%、68重量%、69重量%又は70重量%より大きい。充填剤対ポリマーの(重量)比率は、例えば約2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4.0:1、4.5:1、5.0:1、5.5:1又は6:1であってよい(又はほぼこれらの特定範囲にあってよい)。充填剤対ポリマーの(重量)比率は、約1.5:1~約6:1、いくつかの例では2:1~6:1、約2:1~5:1、約2:1~4:1、及びいくつかの例では約2:1~約3:1であってよい。充填剤、油、及びポリマーの量は全て、実行可能性及び望ましいセパレータ特性、例えば電気抵抗、基本重量、穿刺抵抗、曲げ剛性、酸化抵抗、空孔率、物理的強度、ねじれなどのためにバランスが保たれる。
【0125】
少なくとも1つの実施形態によれば、多孔質膜は、加工油及び沈降シリカと混合されたUHMWPEを含むことができる。少なくとも1つの実施形態によれば、多孔質膜は、加工油、添加剤及び沈降シリカと混合されたUHMWPEを含むことができる。混合物はまた、セパレータ技術では一般的な少量の他の添加剤又は薬剤(例えば界面活性剤、湿潤剤、着色剤、帯電防止添加剤、酸化防止剤など、及びこれらの組み合わせ)を含んでよい。特定の例では、多孔質ポリマー層は、約8~100容量%のポリオレフィン、約0~40容量%の可塑剤、及び約0~92容量%の不活性充填材の均一混合物であってよい。好ましい可塑剤は石油である。可塑剤は、ポリマーと充填剤と可塑剤とからなる組成物から、溶媒抽出及び溶媒乾燥によって最も取り除きやすい成分であるため、電池セパレータに多孔性を付与するのに有用である。
【0126】
特定の実施形態において、本明細書に開示されている多孔質膜は、天然ゴム、合成ゴム、又はこれらの混合物であり得るラテックス及び/又はゴムを含んでよい。天然ゴムは、様々な供給者から市販されている1つ以上のポリイソプレン混合物を含んでよい。例示的な合成ゴムには、メチルゴム、ポリブタジエン、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ブロモブチルゴム、ポリウレタンゴム、エピクロロヒドリンゴム、多硫化ゴム、クロロスルホニルポリエチレン、ポリノルボルネンゴム、アクリル酸ゴム、フッ素系ゴム、シリコーンゴム、並びにスチレン/ブタジエンゴム、アクリロニトリル/ブタジエンゴム、エチレン/プロピレンゴム(EPM及びEPDM)及びエチレン/ビニルアセテートゴムなどの共重合体ゴムが含まれる。ゴムは架橋ゴム又は非架橋ゴムであってよく、特定の好ましい実施形態においては、ゴムは非架橋ゴムである。特定の実施形態において、ゴムは、架橋ゴムと非架橋ゴムの混合物であってよい。ゴムは、最終セパレータ重量(ゴム及び/又はラテックスを含むポリオレフィンセパレータシート又は層の重量)の少なくとも約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、又は10重量%の量でセパレータ中に存在してよい。特定の実施形態において、ゴムは、約1~6重量%、約3~6重量%、約3重量%、及び約6重量%の量で存在してよい。多孔質膜はさらに、約2.6:1.0であるポリマー及びゴムに対する充填剤の重量比率(充填剤:ポリマー及びゴム)を有してもよい。ゴム、充填剤、油、及びポリマーの量は全て、実行可能性及び望ましいセパレータ特性、例えば電気抵抗、基本重量、穿刺抵抗、曲げ剛性、酸化抵抗、空孔率、物理的強度、ねじれなどのためにバランスが保たれる。
【0127】
ポリエチレン及び充填剤(例えばシリカ)を備える、本発明にしたがって作られる多孔質膜は、典型的には残留油分を有し、いくつかの実施形態においては、そのような残留油分は、セパレータ膜の総重量の約0.5%から最大約40%(いくつかの例ではセパレータ膜の総重量の約10~40%であり、いくつかの例では総重量の約20~40%)である。本明細書における特定の選択実施形態において、セパレータ中の残留油分の一部乃至全部は、界面活性剤、親水性親油性バランス(「HLB」)が6未満の界面活性剤、又は非イオン性界面活性剤などの多量の性能向上添加剤を添加することによって置き換えられてよい。例えば、界面活性剤や非イオン性界面活性剤などの性能向上添加剤は、多孔質セパレータ膜の総重量の残留油分の全ての量まで(例えば20%、30%、さらに40%まで)の最大0.5%を占め、これによりセパレータ膜中の残留油を部分的又は完全に置き換え得る。
【0128】
例示的なセパレータは、約5μm未満、好ましくは約1μm未満の細孔を有する微多孔質膜、メソ多孔質膜、又は約1μmより大きい細孔を有するマクロ多孔質膜などの多孔質膜のウェブを備えうる。多孔質膜は、好ましくはサブミクロンから最大100μmまでである細孔径を有してもよく、特定の実施形態においては、約0.1~約10μmであってもよい。本明細書に記載のセパレータ膜の空孔率は、特定の実施形態において約50~約70%より大きくてよい。特定の選択実施形態において、多孔質膜は、平坦またはその表面から延在するリブを有してもよい。
図6A~6Cに示されているように、セパレータは様々な寸法により規定されてもよく、本明細書において後で詳細に説明する。例えば、セパレータは、バックウェブ厚さT
BACK、全体の厚さT
TOTAL、正極側リブ高さH
POS、正極側リブベース幅W
POSBASE、正極側リブピッチP
POS、負極側リブ高さH
NEG、負極側リブベース幅(図示せず)、及び負極側リブピッチP
NEGを有してもよい。
【0129】
図6A~6Cを参照すると、例示的なセパレータ100は、多孔質膜102のウェブを備えている。セパレータ100及び膜102は、縦方向(「MD」)及び横方向(「CMD」)、上部エッジ101及び下部エッジ103(ともにCMDに実質的に平行)、及び側面エッジ105a、105b(ともにMDに実質的に平行)を有する。
【0130】
図7Aを参照すると、セパレータ100は、正極表面を備え、セパレータ100が電池(図示せず)内部に配置されると、正極(図示せず)に面するからこう呼ばれる。
図7Aは、セパレータの正極表面を示す。1組以上の一次又は正極側リブ104は、多孔質膜102の正極表面の少なくとも一部に備えられ、延在してもよい。示されるように、リブ104は、中空ではなく、セパレータMDに対して実質的に平行である、実質的に縦に膜102に配置されている。正極側リブ104は、横エッジ105aから横エッジ105までセパレータ幅W全体を横切って一様に延在するように示され、これはユニバーサルプロファイルとして公知である。
図7Cに示されるように、セパレータは、セパレータ100が使用される電池の種類に依存して、少なくとも選択実施形態において約40~約170mmの範囲であり得る幅Wを有する。
【0131】
図7Bを参照すると、セパレータ100は、負極表面を備え、セパレータ100が電池(図示せず)内部に配置されると、負極(図示せず)に面するからこう呼ばれる。
図7Bは、セパレータの負極表面を示す。1組以上の二次又は負極側リブ106は、多孔質膜102の負極表面の少なくとも一部に備えられ、延在してもよい。示されるように、リブ104は、中空ではなく、セパレータCMDに対して実質的に平行である、正極側リブ104に直角な方向に配置されている。このように、リブは、横方向に、横に、配置されると言われてもよく、又はクロスリブ、負極側クロスリブ(「NCR」又は「NCR」)と呼ばれてもよい。負極側リブ106は、しかしながら、正極側リブ104に対して直角である必要はない。これらは、同じサイズ、大きい、小さい、同じ又は異なるパターン、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0132】
リブ104、106は、一様な組、交互な組、または途切れていない、分離した断続リブ、連続式、非連続式、傾斜、直線的、セパレータのMDに実質的に延在する縦リブ、セパレータの幅方向CMDに実質的に延在する横リブ、セパレータのCMDに実質的に延在する横リブ、セパレータの幅方向に実質的に延在するクロスリブ、鋸歯状の縁、鋸歯状リブ、狭間胸壁又は狭間胸壁状リブ、連続したもしくは断続的なジグザグ状に配置された湾曲状もしくは折曲状の溝、チャネル、テクスチャー領域、エンボス、窪み、多孔質、非多孔質、ミニリブもしくはクロスミニリブ等、ならびにこれらの組合せであり得る。さらに、リブ104、106は、正側、負側、もしくは両側から又は正側、負側、もしくは両側に延在してもよい。
【0133】
図8A~8Eを参照して、リブ形状が異なるリブ付きセパレータのいくつかの実施形態が示されている。示されているリブは正極側リブ104であることが好ましい場合がある。
図8A~8Cの傾斜リブパターンは、特定の電池における酸の層化を低減又は排除を可能にする、より好ましいDaramic(登録商標)RipTide(登録商標)の酸混合リブ形状であってよい。いくつかの実施形態において、リブはセパレータMDに対して配向角度を有する分離した断続リブであってもよい。配向角度は、ゼロ度(0°)より大きく180度(180°)未満、又は180度(180°)より大きく360度(360°)未満であり得る。
図8A~8Cにさらに示されるように、リブは、各組がセパレータに変化する配向角度および位置を有する、1組以上のリブを有してもよい。負極面はリブを有しない(平滑)か、同じリブ、より小さいリブ、縦方向のミニリブ、クロスミニリブもしくはNCR、対角線リブ、又はこれらの組み合わせを有してよい。
【0134】
図8Dは、縦方向の鋸歯状リブパターンの形状を示す。
図8Eは、対角線オフセットリブパターンの形状を示す。負極面はリブを有しない(平滑)か、同じリブ、より小さいリブ、縦方向のミニリブ、クロスミニリブもしくはNCR、対角線リブ、又はこれらの組み合わせを有してよい。
【0135】
上記議論したように、リブは、横エッジから横エッジまでセパレータの幅を横切って一様に延在してよい。これは、ユニバーサルプロファイルとして公知である。あるいは、セパレータは、側面パネルに配置されたマイナーリブを有する横エッジと隣接する側面パネルを備えてもよい。これらのマイナーリブは、一次リブより密接に配置され、より小さくてもよい。例えば、マイナーリブは、一次リブの高さの25%~50%であってもよい。側面パネルは代わりに平坦であってもよい。側面パネルは、本明細書において下記に議論されるセパレータをエンベロープする場合に行うように、セパレータのエッジをセパレータのもう1つのエッジにシーリングする補助を行い得る。
【0136】
選択例示的な実施形態において、正極側リブの少なくとも一部は、好ましくは、約50μm~約2.0mmの高さ(
図7CのH
POS)を有してもよい。いくつかの例示的な実施形態では、正極側リブ高さH
POSは、約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1.0mm、1.2mm、1.4mm、1.6mm、1.8mm、又は約2.0mmであってもよい。他の例示的な実施形態では、正極側リブ高さH
POSは、約2.0mm、1.8mm、1.6mm、1.4mm、1.2mm、1.0mm、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、又は約50μm以下であってよい。
【0137】
特定の選択実施形態において、正極側リブは、好ましくは、約300μm~約750μmのベース幅(
図6CのW
POSBASE)を有してもよい。いくつかの例示的な実施形態において、正極側リブベース幅は、約300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、又は約750μmであってもよい。いくつかの例示的な実施形態において、正極側リブベース幅は、約750μm、700μm、600μm、500μm、400μm、又は約300μm以下であってもよい。
【0138】
正極側リブの一部が実質的に直線的で互いに実質的に平行であるならば、これらは約50μm~約20mmの空間長又はピッチ(
図7CのP
POS)を有してもよい。いくつかの例示的な実施形態において、正極側リブピッチは、約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1.0mm、2.0mm、3.0mm、4.0mm、又は5.0mm、6.0mm、7.0mm、8.0mm、9.0mm、又は10.0mm、11.0mm、12.0mm、13.0mm、14.0mm、又は15.0mm、16.0mm、17.0mm、18.0mm、19.0mm、又は約20.0mmであってもよい。他の例示的な実施形態において、正極側リブピッチは、約20.0mm、19.0mm、18.0mm、17.0mm、16.0mm、15.0mm、14.0mm、13.0mm、12.0mm、11.0mm、10.0mm、9.0mm、8.0mm、7.0mm、6.0mm、5.0mm、4.0mm、3.0mm、2.0mm、1.0mm、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、又は約50μm以下であってもよい。
【0139】
選択例示的な実施形態において、負極側リブの少なくとも一部は、好ましくは、正極側リブの高さの約5%~約100%の高さを有してもよい。いくつかの例示的な実施形態において、負極側リブ高さは、正極側リブ高さと比較して約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、95%、又は約100%であってもよい。他の例示的な実施形態において、負極側リブ高さは、正極側リブ高さと比較して約100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、又は約5%以下であってもよい。
【0140】
選択例示的な実施形態において、負極側リブの少なくとも一部は、好ましくは、約5μm~約1.0mmの高さ(
図7CのH
NEG)を有してもよい。特定の実施形態において、負極側リブ高さH
NEGは、約5μm、10μm、25μm、50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1.0mm、1.2mm、1.4mm、1.6mm、1.8mm、又は約2.0mmであってもよい。他の例示的な実施形態において、正極側リブ高さH
NEGは、約2.0mm、1.8mm、1.6mm、1.4mm、1.2mm、1.0mm、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、又は50μm、25μm、10μm、又は約5μm以下であってもよい。
【0141】
特定の例示的な実施形態において、負極側リブの少なくとも一部は、好ましくは、約5μm~約1.0mmのベース幅を有してもよい。例えば、負極側ベース幅は、約5μm、10μm、25μm、25μm、75μm、100μm、150μm、200μm、250μm、300μm、350μm、400μm、450μm、500μm、550μm、600μm、650μm、700μm、750μm、800μm、850μm、900μm、950μm、又は約1.0mmであってもよい。他の実施形態において、負極側ベース幅は、約1.0mm、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μm、300μm、200μm、150μm、100μm、75μm、50μm、25μm、10μm、又は約5μm以下であってもよい。
【0142】
負極側リブの一部が実質的に直線的で互いに実質的に平行であるならば、これらは約50μm~約20.0mmの空間長又はピッチ(
図7BのP
NEG)を有してもよい。いくつかの例示的な実施形態において、負極側リブピッチは、約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、1.0mm、2.0mm、3.0mm、4.0mm、又は5.0mm、6.0mm、7.0mm、8.0mm、9.0mm、又は10.0mm、11.0mm、12.0mm、13.0mm、14.0mm、又は15.0mm、16.0mm、17.0mm、18.0mm、19.0mm、又は約20.0mmであってもよい。他の例示的な実施形態において、負極側リブピッチは、約20.0mm、19.0mm、18.0mm、17.0mm、16.0mm、15.0mm、14.0mm、13.0mm、12.0mm、又は11.0mm、10.0mm、9.0mm、8.0mm、7.0mm、又は6.0mm、5.0mm、4.0mm、3.0mm、2.0mm、1.0mm、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、又は約50μm以下であってもよい。
【0143】
いくつかの選択実施形態においては、多孔質膜の少なくとも一部は、縦もしくは横リブまたはクロスリブである負極側リブを備えてもよい。負極側リブはセパレータの上部エッジと平行であってもよく、上部エッジに対して角度をもって配置されてもよい。例えば、負極側リブは、上部エッジに対して、約0°、5°、15°、25°、30°、45°、60°、70°、80°、または90°に配向してよい。クロスリブは、上部エッジに対して、約0°~約30°、約30°~約45°、約45°~約60°、約30°~約60°、約30°~約90°、又は約60°~約90°に配向してもよい。
【0144】
特定の例示的な実施形態は、鋸歯状の縁又は鋸歯状リブを有してよい。存在する場合、これらは、約50μm~約1.0mmの平均先端長さを有してよい。例えば、平均先端長さは、約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、又は約1.0mm以上であってよい。あるいは、これらは、1.0mm、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、または約50μm以下であってよい。
【0145】
鋸歯状の縁又は鋸歯状リブの少なくとも一部は、約50μm~約1.0mmの平均ベース長さを有してよい。例えば、平均ベース長さは、約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、または1.0mmであってよい。あるいは、これらは、約1.0mm、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、または約50μm以下であってよい。
【0146】
鋸歯状の縁又は鋸歯状リブの少なくとも一部は、約50μm~約1.0mmの平均高さを有してよい。例えば、平均高さは、約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、または1.0mmであってよい。あるいは、これらは、約1.0mm、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、または約50μm以下であってよい。鋸歯状の縁の高さがリブの高さと同一な実施形態の場合、鋸歯状リブは、突起と呼ばれてもよい。このような範囲は、セパレータの全体の厚さTTOTALが、典型的に約1mm~約4mmである可能性がある工業用の牽引型スタート/ストップ電池用セパレータ、及びセパレータの全体の厚さTTOTALが少し小さい(例えば、典型的には約0.3mm~約1mm)可能性がある自動車用スタート/ストップ電池用セパレータに適用されてよい。
【0147】
鋸歯状の縁又は鋸歯状リブの少なくとも一部は、約100μm~約50mmの縦方向の列内の平均中心間ピッチを有してよい。例えば、平均中心間ピッチは、約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、または1.0mm以上、および50mm以下を同様に増やした値であってよい。あるいは、これらは、約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、または1.0mm以下、および50mm以下を同様に増やした値であってよい。さらに、鋸歯状の縁又は鋸歯状リブの隣接する列を、縦方向の同じ位置またはオフセットする位置に同様に配置してよい。オフセット構成では、隣接する鋸歯状の縁又は鋸歯状リブを、縦方向の異なる位置に配置する。
【0148】
鋸歯状の縁又は鋸歯状リブの少なくとも一部は、約0.1:1.0~約500:1.0のベース幅に対する平均高さ比を有してよい。例えば、ベース幅に対する平均高さ比は、約0.1:1.0、25:1.0、50:1.0、100:1.0、150:1.0、200:1.0、250:1.0、300:1.0、350:1、450:1.0、または500:1.0であってよい。あるいは、ベース幅に対する平均高さ比は、約500:1.0、450:1.0、400:1.0、350:1.0、300:1.0、250:1.0、200:1.0、150:1.0、100:1.0、50:1.0、25:1.0、または0.1:1.0以下であってよい。
【0149】
鋸歯状の縁又は鋸歯状リブの少なくとも一部は、約1,000:1.0~約0.1:1.0の先端幅に対する平均ベース幅比を有することができる。例えば、先端幅に対する平均ベース幅比は、約0.1:1.0、1.0:1.0、2:1.0、3:1.0、4:1.0、5:1.0、6:1.0、7:1.0、8:1.0、9:1.0、10:1.0、15:1.0、20:1.0、25:1.0、50:1.0、100:1.0、150:1.0、200:1.0、250:1.0、300:1.0、350:1.0、450:1.0、500:1.0、550:1.0、600:1.0、650:1.0、700:1.0、750:1.0、800:1.0、850:1.0、900:1.0、950:1.0、または約1,000:1.0であってよい。あるいは、先端幅に対する平均ベース幅比は、約1,000:1.0、950:1.0、900:1.0、850:1.0、800:1.0、750:1.0、700:1.0、650:1.0、600:1.0、550:1.0、500:1.0、450:1.0、400:1.0、350:1.0、300:1.0、250:1.0、200:1.0、150:1.0、100:1.0、50:1.0、25:1.0、20:1.0、15:1.0、10:1.0、9:1.0、8:1.0、7:1.0、6:1.0、5:1.0、4:1.0、3:1.0、2:1.0、1.0:1.0、または0.1:1.0以下であってよい。
【0150】
いくつかの実施形態において、多孔性セパレータ膜は、約50μm~約1.0mmのバックウェブ厚さTBACKを有することができる。例えば、バックウェブ厚さTBACKは、約50μm、100μm、200μm、300μm、400μm、500μm、600μm、700μm、800μm、900μm、又は約1.0mmであってもよい。他の例示的な実施形態において、バックウェブ厚さTBACKは、約1.0mm、900μm、800μm、700μm、600μm、500μm、400μm、300μm、200μm、100μm、又は約50μm以下であってもよい。特定の実施形態により、例えば、約10μm~約50μm厚さである、50μmより薄い厚さの非常に薄く平らなバックウェブ厚さが与えられる。
【0151】
セパレータ100は、平板、1つ以上のリーフ、ラップ、スリーブとして、又はエンベロープもしくはポケットセパレータとして設けてもよい。セパレータが、正極に面する2つの内面と、隣接する負極に面する2つの外面とを有するように、例示的なエンベロープセパレータは、正極を包んでもよい(「正極包囲セパレータ」)。あるいは、セパレータが、負極に面する2つの内面と、隣接する正極に面する2つの外面とを有するように、別の例示的なエンベロープセパレータは、負極を包んでもよい(「負極包囲セパレータ」)。このようなエンベロープセパレータでは、下部エッジ103は、折り畳まれた又は封止された折り目エッジであってよい。さらに、横エッジ105a、105bは、連続的又は断続的に封止された継ぎ目エッジであってよい。エッジは接着剤、熱、超音波溶接など、又はこれらの任意の組み合わせによって結合又は封止されてよい。
【0152】
特定の例示的なセパレータは、ハイブリッドエンベロープを形成するために処理され得る。ハイブリッドエンベロープは、エンベロープを形成するためにセパレータシートを半分に折り、セパレータシートのエッジを互いに結合する前、結合中又は結合した後に1つ以上の切れ目又は開口を形成することにより設けることができる。開口の長さは、エッジ全体の長さの少なくとも1/50、1/25、1/20、1/15、1/10、1/8、1/5、1/4、又は1/3であってよい。開口の長さは、エッジ全体の長さの1/50~1/3、1/25~1/3、1/20~1/3、1/20~1/4、1/15~1/4、1/15~1/5又は1/10~1/5であってよい。ハイブリッドエンベロープは、1~5個、1~4個、2~4個、2~3個又は2個の開口を有することができ、これらは、下部エッジの長さに沿って均等に配置されてもよいし、均等に配置されなくてもよい。エンベロープの隅には開口がないことが好ましい。切れ目は、セパレータがエンベロープを作るために折り曲げられ、封止された後に切断されてよく、又は切れ目は、多孔質膜をエンベロープの形にするのに先立って形成されてよい。
【0153】
セパレータアセンブリ構造のいくつかの他の例示的な実施形態は、正極に面するリブ104、負極に面するリブ104、負極又は正極エンベロープ、負極又は正極スリーブ、負極又は正極ハイブリッドエンベロープ、包まれる又はスリーブ付けされてよい両電極、及びこれらの組み合わせを含む。
【0154】
いくつかの実施形態において、例示的な多孔質膜は、押出機において構成要素を混合することにより作られてよい。例えば約30重量%の充填剤を約10重量%のUHMWPE、及び約60%の加工油と押出機において混合してよい。例示的な多孔質膜は、構成要素を加熱された押出機に通し、押出機により生成された押し出し物を型に通して2つの加熱されたプレス又はカレンダースタックもしくはロールにより形成されたニップに入れて連続ウェブを形成することにより作成してよい。溶媒を用いて相当量の加工油をウェブから抽出し、次に乾燥により溶媒を除去してもよい。次にウェブを所定の幅のレーンに細長く切って、ロールに巻き付けてもよい。さらに、プレス又はカレンダーロールには、様々な溝パターンが彫り込まれ、リブ、溝、テクスチャー領域、エンボス、及び/又は本明細書において実質的に記載されるようなものを付与してもよい。
【0155】
いくつかの実施形態において、例示的な多孔質膜は、押出機において構成要素を混合することにより作られてよい。例えば約5~15重量%のポリマー(例えばポリエチレン)、約10~75重量%の充填剤(例えばシリカ)、約5~25重量%の核生成添加剤、及び約10~85%の加工油を押出機において混合してよい。例示的な多孔質膜は、構成要素を加熱された押出機に通し、押出機により生成された押し出し物を型に通して2つの加熱されたプレス又はカレンダースタックもしくはロールにより形成されたニップに入れて連続ウェブを形成することにより作成してよい。溶媒を用いて相当量の加工油をウェブから抽出してもよい。次にウェブを乾燥させ、所定の幅のレーンに細長く切って、ロールに巻き付けてもよい。さらに、プレス又はカレンダーロールには、様々な溝パターンが彫り込まれ、リブ、溝、テクスチャー領域、エンボス、及び/又は本明細書において実質的に記載されるようなものを付与してもよい。ゴム、充填剤、油、及びポリマーの量は全て、実行可能性及び望ましいセパレータ特性、例えば電気抵抗、基本重量、穿刺抵抗、曲げ剛性、酸化抵抗、空孔率、物理的強度、ねじれなどのためにバランスが保たれる。
【0156】
特定の実施形態において、性能強化添加剤又は薬剤(例えば核生成添加剤、界面活性剤、湿潤剤、着色剤、帯電防止添加剤、酸化防止剤など、及びこれらの組み合わせ)もまた、押出機内で他の構成要素と混合されてよい。次に本開示にしたがった多孔質膜をシート又はウェブ状に押出し、上述したのと実質的に同じ方法で完成させることができる。
【0157】
選択実施形態において、押出機に添加するのに加えて又は代わりに、1つ以上の添加剤を、例えば、セパレータの別個の層としてセパレータに共押出しされてもよい。
【0158】
特定の実施形態において、1つ以上の添加剤は、押出機内に添加するのに加えて又は押出機内に添加する代わりに、例えば完成したときに(例えば大量の加工油を抽出した後に)セパレータ多孔質膜に塗布することができる。特定の好ましい実施形態によれば、添加剤又は添加剤の溶液(例えば水溶液、スラリー等)は、セパレータの1つ以上の表面に塗布される。この変形は、熱不安定添加剤、及び加工油の抽出に使用される溶媒に可溶な添加剤の塗布に特に適している。本発明にしたがった添加剤の溶媒には、メタノールやエタノールなどの低分子量アルコール、及びこれらのアルコールと水の混合物が特に適している。塗布は、負極に面する側、正極に面する側、又はセパレータの両側で行うことができる。塗布はまた、溶媒槽における細孔形成剤(例えば加工油)の抽出中に行われてよい。特定の選択実施形態において、セパレータが製造される前に押出機に添加される界面活性剤コーティング又は性能向上添加剤(又は両方)などの性能向上添加剤の一部分は、電池システム内のアンチモンと結合してもよく、アンチモンを不活性化する、及び/又はアンチモンを含む化合物を形成する、及び/又はアンチモンが電池の泥受けに落ち込むようにする、及び/又はアンチモンが負極に析出しないようにしてもよい。界面活性剤又は添加剤は、電解質、ガラスマット、電池ケース、ペースト紙、ペーストマットなど及び/又はこれらの組み合わせに添加してもよい。
【0159】
特定の実施形態において、添加剤(例えば非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、又はこれらの混合物)は、少なくとも約0.5g/m2、1.0g/m2、1.5g/m2、2.0g/m2、2.5g/m2、3.0g/m2、3.5g/m2、4.0g/m2、4.5g/m2、5.0g/m2、5.5g/m2、6.0g/m2、6.5g/m2、7.0g/m2、7.5g/m2、8.0g/m2、8.5g/m2、9.0g/m2、9.5g/m2もしくは10.0g/m2、又はさらに最大約25.0g/m2の密度すなわちアドオンレベルで存在し得る。添加剤は、0.5~15g/m2、0.5~10g/m2、1.0~10.0g/m2、1.5~10.0g/m2、2.0~10.0g/m2、2.5~10.0g/m2、3.0~10.0g/m2、3.5~10.0g/m2、4.0~10.0g/m2、4.5~10.0g/m2、5.0~10.0g/m2、5.5~10.0g/m2、6.0~10.0g/m2、6.5~10.0g/m2、7.0~10.0g/m2、7.5~10.0g/m2、4.5~7.5g/m2、5.0~10.5g/m2、5.0~11.0g/m2、5.0~12.0g/m2、5.0~15.0g/m2、5.0~16.0g/m2、5.0~17.0g/m2、5.0~18.0g/m2、5.0~19.0g/m2、5.0~20.0g/m2、5.0~21.0g/m2、5.0~22.0g/m2、5.0~23.0g/m2、5.0~24.0g/m2、又は約5.0~25.0g/m2の密度すなわちアドオンレベルでセパレータ上に存在し得る。
【0160】
塗布は、添加剤又は添加剤の溶液に電池セパレータを浸し(溶媒槽添加)、必要に応じて(例えば乾燥によって)溶媒を除去することにより行ってもよい。このように、添加剤の塗布は、例えば膜生成中に適用されることが多い抽出と組み合わせてもよい。他の好ましい方法は、表面に添加剤をスプレーすること、浸漬被覆、ローラー塗装、又はカーテン式塗布によりセパレータの表面に1つ以上の添加剤を塗布することである
【0161】
添加剤は、加工油抽出の前後にセパレータに含侵してもよい。
【0162】
本明細書に記載の特定の実施形態において、本発明のセパレータに少量のイオン性、カチオン性、アニオン性及び/又は非イオン性の界面活性剤が添加される。このような例では、望ましい特徴は、より少量の全有機体炭素及び/又はより少量の揮発性有機化合物を含み、(界面活性剤が少量であるため)このような実施形態にしたがった本発明の望ましいセパレータを製造することができる。
【0163】
一部の実施形態において、例示的な多孔質膜は、押出機において構成要素を混合することにより作られてよい。例えば約5~15重量%のポリマー(例えばポリエチレン)、約10~75重量%の充填剤(例えばシリカ)、約1~50重量%のゴム及び/又はラテックス、及び約10~85%の加工油を押出機において混合してよい。例示的な多孔質膜は、構成要素を加熱された押出機に通し、押出機により生成された押し出し物を型に通して2つの加熱されたプレス又はカレンダースタックもしくはロールにより形成されたニップに入れて連続ウェブを形成することにより作成してよい。溶媒を用いて相当量の加工油をウェブから抽出してもよい。次にウェブを乾燥させ、所定の幅のレーンに細長く切って、ロールに巻き付けてもよい。さらに、プレス又はカレンダーロールには、様々な溝パターンが彫り込まれ、リブ、溝、テクスチャー領域、エンボス等、及び/又は本明細書において実質的に記載されるようなものを付与してもよい。ゴム、充填剤、油、及びポリマーの量は全て、実行可能性及び望ましいセパレータ特性、例えば電気抵抗、基本重量、穿刺抵抗、曲げ剛性、酸化抵抗、空孔率、物理的強度、ねじれなどのためにバランスが保たれる。
【0164】
押出機の構成要素に添加されるのに加えて、特定の実施形態は、押し出した後にゴムを多孔質膜に結合する。例えばゴムを、片側又は両側、好ましくは負極に面する側に、ゴム及び/又はラテックス、任意選択的にシリカ、及び水を備える液体スラリーによってコーティングし、次に、この材料の膜が例示的な多孔質膜の表面に形成されるように乾燥させてよい。この層の湿潤性を良くするために、既知の湿潤剤を鉛蓄電池に使用されるスラリーに添加してもよい。
【0165】
特定の実施形態において、スラリーはまた、本明細書に記載の1つ以上の性能向上添加剤を含むことができる。乾燥後、多孔質膜に非常にしっかりと付着し、仮にあったとしても電気抵抗をわずかしか増加させない多孔質層及び/又は膜が、セパレータの表面に形成される。ゴムは添加された後、さらに機械プレス又はカレンダースタックもしくはロールを使用して圧縮されてよい。ゴム及び/又はラテックスを塗布する考えられる他の方法は、ゴム及び/又はラテックススラリーをセパレータの1つ以上の表面に、浸漬被覆、ローラー塗装、スプレー塗装、カーテン式塗布、又はこれらの任意の組み合わせにより塗布することである。これらのプロセスは、加工油が抽出される前もしくは抽出された後、又は細長く切ってレーンにされる前もしくはされた後に行われてよい。
【0166】
本発明のさらなる実施形態は、含浸及び乾燥によりゴムを膜に付着させることを含む。
【0167】
特定の実施形態において、本開示にしたがった例示的なセパレータは、向上したウィッキング特性及び/又は向上した電解質の濡れ性もしくは保持性を有する繊維層又は繊維状マットなどの別の層(積層又はそれ以外)と結合してもよい。繊維状マットは、ガラス繊維、又は合成繊維からなる織物、不織布、フリース、メッシュ、ネット、単層、多層(各層が他の層と同一、類似又は異なる特性を有し得る)、合成繊維、ガラス及び合成繊維との混合物、もしくは紙からできたフリースや織物、又はこれらの任意の組み合わせであってよい。繊維層又は繊維状マットは核生成添加剤も含んでもよい。
【0168】
特定の実施形態において、繊維状マット(積層又はそれ以外)は、追加材料のキャリアとして使用されてよい。追加材料には、例えばゴム及び/又はラテックス、任意選択的にシリカ、水、及び/又は本明細書に記載の核生成添加剤を含む、本明細書に記載の種々の添加剤などの1つ以上の性能向上添加剤、又はこれらの組み合わせが含まれてよい。例として、追加材料は、その後繊維状マットの1つ以上の表面にコーティングされて膜を形成する、又は繊維状マットに浸透及び含浸させることができるスラリーの形で供給することができる。
【0169】
繊維層が存在する場合、多孔質膜は繊維層より大きい表面積を有することが好ましい。したがって、多孔質膜と繊維層を結合するとき、繊維層は多孔質層を完全に覆うわけではない。膜層の少なくとも2つの対向するエッジ領域が覆われることなく、ポケットやエンベロープなどの任意選択的な形成を促進するヒートシールのためのエッジを設けることが好ましい。このような繊維状マットの厚さは、一部の実施形態では、少なくとも100μm、少なくとも約200μm、少なくとも約250μm、少なくとも約300μm、少なくとも約400μm、少なくとも約500μm、少なくとも約600μm、少なくとも約700μm、少なくとも約800μm、少なくとも約900μm、少なくとも約1mm、少なくとも約2mmなどであってよい。その後の積層されたセパレータは細かく切断することができる。特定の実施形態において、繊維状マットは多孔質膜のリブ付きの表面に積層される。特定の実施形態において、取り扱い及び/又は組み立て上の利点が、ロール状及び/又は切断片状に供給される場合の本明細書に記載の改良されたセパレータによって電池メーカーにもたらされる。また、前述のように、改良されたセパレータは、1つ以上の繊維状マットなどが付加されない独立したセパレータシート又は層であってよい。
【0170】
繊維状マットは、多孔質膜に積層される場合、接着剤、熱、超音波溶接、圧縮など、又はこれらの任意の組み合わせにより接着されてよい。そして、繊維状マットは、PAM又はNAM保持マットであってもよい。
【実施例】
【0171】
電荷受容を測定するために、電池セルを20時間放電し、その後充電した。充電中に動的電荷受容(A/Ah)を充電の1番目の秒間と充電の60番目の秒間で複数の充電状態(%)で測定した。
【0172】
試験された各セルは2.5%アンチモン(Sb)を含むPb格子を有する2.5AhAMCOセルだった。コントロールセルは、炭素を組み込んでいない典型的な市販のセパレータを使用した。アセチレンブラックセルは、コーティング厚さが約10μmでコーティング重量分布が約0.35mg/cm2であるアセチレンブラックを組み込んでいるセパレータを有することを除いてコントロールセルと実質的に類似するセパレータを使用した。アセチレンブラックコーティングは、約1~約5重量%のアクリル酸結合剤を有した。
【0173】
上記値を例示的な目的のみに使用する。コーティング厚さは、例えば、約5~約60 μm厚さであってもよい。コーティング重量分布は、例えば、約0.1~約0.5mg/cm2であってもよい。さらに、コーティングは、例えば、約0.5~約15重量%のアクリル酸結合剤を有してもよい。
【0174】
この試験の1番目の秒間中に測定された値を表1と
図9Aに記憶する。この試験の60番目の秒間中に測定された値を表2と
図9Bに記憶する。図に示すように、アセチレンブラックがコーティングされたセパレータを利用したセルは、炭素が組み込まれていない市販のセパレータを利用したコントロールセルと比較して、かなり良好な電荷受容を示した。この仕様は、少なくとも1つの実施形態にしたがった理論的に可能な望ましい電池の性能である。
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
好ましい形状は、負極側リブ(縦又は横の負極側ミニリブ等)も含んでよく、酸混合正極側リブ(RipTide又は鋸歯状リブ)、及び/又はこれらの組み合わせを有してもよい。
【0179】
本発明の選択された実施形態は、多孔質膜及び核生成添加剤を有する鉛蓄電池セパレータを備える。多孔質膜は、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ゴム、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、セルロース、合成木材パルプ、ガラス繊維、合成繊維、天然ゴム、合成ゴム、ラテックス、ビスフェノールホルムアルデヒド及びこれらの組み合わせから選択されてもよい。セパレータがポリエチレンであるならば、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)であってもよい。
【0180】
核生成添加剤は、導電性であってもよい。核生成添加剤は、さらに炭素及び/又は硫酸バリウムの形態であってもよい。炭素は、導電性炭素、黒鉛、人造黒鉛、活性炭、カーボン紙、アセチレンブラック、カーボンブラック、高表面積カーボンブラック、グラフェン、高表面積グラフェン、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素フィラメント、カーボンナノチューブ、連続気泡炭素フォーム、炭素バックミンスターフラーレン、水性炭素懸濁液、及びこれらの組み合わせの形態であってもよい。核生成添加剤は、多孔質膜の内部にある及び/又は多孔質膜の1つ以上の表面にあってもよい。
【0181】
核生成添加剤は、以下の、ローラーコーティング、化学蒸着、共押出し、その表面を炭化するための制御燃焼、プラズマ照射によりその表面を炭化するための制御燃焼、UV照射によりその表面を炭化するための制御燃焼、トナー印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、平版印刷、スラリーコーティング、水性炭素懸濁液の噴霧、含浸、及びこれらの組み合わせの方法のいずれかなどの、多くの方法によって多孔質膜に適用されてもよい。
【0182】
選択実施形態において、鉛蓄電池セパレータはAGMセパレータであってもよい。
【0183】
他の例示的な実施形態において、多孔質膜は、粒子状充填剤、及び加工用可塑剤を含んでもよい。炭素は、ある量の粒子状充填剤を有するセパレータの表面にさらにあってもよい。粒子状充填剤は、以下の、乾燥微粉シリカ、沈降シリカ、非晶質シリカ、アルミナ、タルク、又はこれらの組み合わせのいずれか1つであってもよい。
【0184】
特定の実施形態において、加工用可塑剤は、以下の加工油、パラフィン系鉱油、鉱油、又はこれらの組み合わせのいずれか1つであってもよい。
【0185】
選択実施形態において、多孔質膜は、性能向上添加剤を備えてもよく、以下の非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、湿潤剤、着色剤、帯電防止添加剤、UV保護添加剤、酸化防止剤など、又はこれらの組み合わせのいずれであってもよい。
【0186】
特定の例示的な実施形態において、多孔質膜は、以下の、中実リブ、分離した断続リブ、連続式リブ、非連続式リブ、傾斜リブ、直線的リブ、多孔質膜の実質的に縦方向に延在する縦リブ、多孔質膜の実質的に幅方向に延在する横リブ、セパレータの実質的に幅方向に延在する横リブ、鋸歯状の縁又は鋸歯状リブ、狭間胸壁又は狭間胸壁状リブ、連続した又は折れたジグザグ状に配置された、湾曲状又は折曲状リブ、溝、チャネル、テクスチャー領域、エンボス、窪み、多孔質、非多孔質、ミニリブ、クロスミニリブ、及びこれらの組み合わせのいずれか1つを備えてもよい。
【0187】
本発明の別の例示的な実施形態は、電解液、正極、負極およびその間に配置されたセパレータ、並びに核生成添加剤を有する新規の又は改良された鉛蓄電池を提供する。核生成添加剤は、好ましくは電解液中で安定であってもよく、電解液に分散してもよい。核生成添加剤は、少なくとも半導電性であってもよい。いくつかの実施形態において、セパレータは核生成添加剤を備えてもよい。さらに、核生成添加剤は、以下の、炭素、導電性炭素、黒鉛、人造黒鉛、活性炭、カーボン紙、アセチレンブラック、カーボンブラック、高表面積カーボンブラック、グラフェン、高表面積グラフェン、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素フィラメント、カーボンナノチューブ、連続気泡炭素フォーム、炭素バックミンスターフラーレン、水性炭素懸濁液、硫酸バリウム、及びこれらの組み合わせのいずれか1つであってもよい。
【0188】
特定の実施形態において、核生成添加剤は、セパレータの表面にあってもよく、負極に隣接してもよい。さらに、核生成添加剤は、セパレータの内部にあってもよい。
【0189】
本発明の選択実施形態において、核生成添加剤は、セパレータの表面に以下の、ローラーコーティング、化学蒸着、共押出し、その表面を炭化するための制御燃焼、プラズマ照射によりその表面を炭化するための制御燃焼、UV照射によりその表面を炭化するための制御燃焼、トナー印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、平版印刷、スラリーコーティング、水性炭素懸濁液の噴霧、及びこれらの組み合わせのいずれかにより適用されてもよい。さらに、核生成添加剤は、以下の、ペースト紙、スクリム、及びこれらの組み合わせのいずれかに組み込まれてもよい。
【0190】
いくつかの例示的な実施形態において、セパレータは、以下の、ポリオレフィン、UHMWPE、ポリエチレン、ポリプロピレン、ゴム、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、セルロース、合成木材パルプ、ガラス繊維、合成繊維、天然ゴム、合成ゴム、ラテックス、ビスフェノールホルムアルデヒド及びこれらの組み合わせのいずれであってもよい。他のセパレータは、AGMセパレータであってもよい。
【0191】
鉛蓄電池は、以下の、平板電池、液式鉛蓄電池、強化された液式鉛蓄電池、ディープサイクル電池、吸収ガラスマット電池、管状電池、インバータ電池、車両電池、SLI電池、ISS電池、自動車用電池、トラック用電池、オートバイ用電池、全地形型車両用電池、フォークリフト用電池、ゴルフカート用電池、ハイブリッド車両用電池、電気自動車用電池、e―リキシャ用電池、e―トライク用電池、及びe―バイク用電池のいずれであってもよい。電池は、部分充電状態で、走行中又は静止中において動作してもよい。
【0192】
本発明の別の例示的な実施形態において、車両は、電池、セパレータ、及び核生成添加剤を備えてもよい。いくつかの実施形態において、セパレータは、核生成添加剤を、セパレータの内部又は表面のいずれかに備えてもよい。さらに、核生成添加剤は、以下の、炭素、導電性炭素、黒鉛、人造黒鉛、活性炭、カーボン紙、アセチレンブラック、カーボンブラック、高表面積カーボンブラック、グラフェン、高表面積グラフェン、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素フィラメント、カーボンナノチューブ、連続気泡炭素フォーム、炭素バックミンスターフラーレン、水性炭素懸濁液、硫酸バリウム、及びこれらの組み合わせのいずれか1つであってもよい。
【0193】
本発明の選択実施形態において、核生成添加剤は、セパレータの表面に以下の、ローラーコーティング、化学蒸着、共押出し、その表面を炭化するための制御燃焼、プラズマ照射によりその表面を炭化するための制御燃焼、UV照射によりその表面を炭化するための制御燃焼、トナー印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、平版印刷、スラリーコーティング、水性炭素懸濁液の噴霧、及びこれらの組み合わせのいずれかにより適用されてもよい。さらに、核生成添加剤は、以下の、ペースト紙、スクリム、及びこれらの組み合わせのいずれかに組み込まれてもよい。
【0194】
選択実施形態において、電池は、部分充電状態で動作してもよい。他の実施形態において、車両は、以下の、自動車、トラック、オートバイ、全地形型車両、フォークリフト、ゴルフカート、ハイブリッド車両、電気自動車、e―リキシャ、e―トライク、及びe―バイクのいずれかであってもよい。
【0195】
少なくとも選択実施形態、態様又は目的によれば、本明細書に開示又は提供されているのは、新規な又は改良されたセパレータ、電池セパレータ、強化された液式電池セパレータ、電池、セル、及び/又は、そのようなセパレータ、電池セパレータ、強化された液式電池セパレータ、セル、及び/又は電池を製造及び/又は使用する方法である。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は発明は、強化された液式電池用の新規な又は改良された電池セパレータに関する。また、本明細書には、減少したER、改善された穿刺強度、改善されたセパレータCMD剛性、改善された酸化抵抗、低減されたセパレータ厚さ、低減された基本重量、及びこれらの組み合わせを有する方法、システム及び電池セパレータが開示されている。少なくとも特定の実施形態によれば、本開示又は発明は、強化された液式電池用の改良されたセパレータに関し、セパレータは、減少したER、改善された穿刺強度、改善されたセパレータCMD剛性、改善された酸化抵抗、低減されたセパレータ厚さ、低減された基本重量、又はこれらの任意の組み合わせを有する。少なくとも特定の実施形態によれば、減少したER、改善された穿刺強度、改善されたセパレータCMD剛性、改善された酸化抵抗、低減されたセパレータ厚さ、低減された基本重量、及びこれらの組み合わせを含む又は示すセパレータが提供される。少なくとも特定の実施形態によれば、平板電池、管状電池、車両用SLI、及びHEV ISS用途、ディープサイクル用途、ゴルフカーもしくはゴルフカート及びe―リキシャ用電池、部分充電状態(「PSOC」)で動作する電池、インバータ電池、及び再生可能エネルギー源用の蓄電池、並びにこれらの組み合わせのための電池用途のセパレータが提供される。
【0196】
少なくとも選択実施形態によれば、本開示または発明は、上記問題点または必要性に対処し得る。少なくとも特定の目的、態様、又は実施形態によれば、本開示または発明は、例えばデンドライトの形成を軽減し、電荷受容を改良し、及び/又はサイクル性能を改良した電池を提供することにより、前述の問題を克服する改良されたセパレータ及び/又は電池を提供し得る。
【0197】
本明細書に開示されているのは、鉛蓄電池用の改良されたセパレータ、鉛蓄電池、システム、車両、及び/又はこれらのための方法及び/又は使用である。セパレータは、多孔質膜及び核生成添加剤を含んでもよい。少なくとも選択実施形態によれば、本開示又は発明は、現状の問題又は必要性に対処し得、及び/又は例えばデンドライトの形成を軽減し、電荷受容を改良し、及び/又はサイクル性能を改良した電池を提供することによって現状の問題又は困難な問題を克服する改良されたセパレータ及び/又は電池を提供し得る。
【0198】
少なくとも選択された実施形態、態様又は目的によれば、本開示又は発明は、以下に関し得る及び/又は提供し得る。
1.圧縮抵抗性セパレータプロファイルは、核生成添加剤に加えて結晶のサイズを低減し得る。
2.サイクル寿命及び放電完了電圧を改善し得る。
【0199】
【0200】
3.炭素添加剤は、優れた動的電荷受容が主要な性能要求である用途に使用されることができる。炭素添加剤は、低燃費のスタートーストップ車両用及び格子蓄電用途の制御弁式鉛蓄電池の必要性に対応することができる。
4.炭素添加剤は、負極板の硫酸化を低減し、多数の充電/放電サイクルの要求に対応する、優れた動的電荷受容を可能とし、部分充電状態で、より長い電池寿命の保証を促進しながら、高いライフサイクルを発揮する。
5.可能な電池用途
マイクローハイブリッド車両、マイルドハイブリッド車両、輸送、エネルギー蓄電システム(ESS)、e―バイク
6.1つの例において、場合により好ましい炭素添加剤は、
【0201】
【0202】
本発明は、本発明の精神及び不可欠な属性から逸脱することなく他の形態で具現化することもでき、したがって、本発明の範囲を示すものとして、上記の明細書ではなく添付の請求項が参照されるべきである。開示される方法及びシステムを実行するために使用可能なコンポーネントが開示される。これらの及び他のコンポーネントは、本明細書で開示され、また、これらのコンポーネントの組み合わせ、サブセット、相互作用、グループ等が開示されるとき、これらのそれぞれの種々の個々のまた集合的な組み合わせ及び置換についての特定の参照は明示的に開示されないが、それぞれが、全ての方法及びシステムについて本明細書で特に企図され説明されることが理解される。これは、限定はしないが、開示される方法におけるステップを含む本出願の全ての態様に当てはまる。そのため、実行され得る様々な追加のステップが存在する場合、これらの追加のステップのそれぞれが、開示される方法の任意の特定の実施形態又は実施形態の組み合わせと共に実行され得ることが理解される。
【0203】
構造及び方法の先の記述は、例示のためだけに提示されている。実施例は、最良の態様を含む例示的な実施形態を開示し、また、任意の当業者が任意の装置又はシステムを作り使用する、及び任意の組み込まれた方法を実行することを含む、本発明を実行できるようにするために用いられる。これらの実施例は、網羅的であること又は本発明を開示された詳細なステップ及び/又は形式に限定することを意図していない。上記の教示の観点から、多数の変更及び変形が可能である。本明細書に記載の特徴は、任意の組み合わせで結合されてよい。本明細書に記載の方法のステップは、物理的に可能な任意のシーケンスで実行されてよい。本発明の特許性のある範囲は、添付の請求項により定められ、当業者が想到可能な他の実施例を含んでよい。このような他の実施例は、請求項の文言と変わらない構造要素を有する場合、又は請求項の文言とごくわずかな違いを有する同等の構造要素を含む場合、請求項の範囲内にあると意図される。
【0204】
添付の請求項の組成及び方法は、本明細書に記載の特定の組成及び方法による範囲に限定されず、本明細書に記載の特定の組成及び方法は、請求項の数少ない態様の例示を意図している。機能的に同等な任意の組成及び方法は、請求項の範囲内にあることを意図している。本明細書に示されている及び記載されているものに加えて、様々な組成及び方法の変形例が、添付の請求項の範囲内にあることを意図している。さらに、本明細書に開示されている特定の代表的な組成及び方法ステップのみが具体的に説明されているが、組成及び方法ステップの他の組み合わせも、たとえ具体的に列挙されていなくても、添付の請求項の範囲内にあることが意図されている。このように、ステップ、要素、成分、又は構成の組み合わせは、本明細書に明示的に又はそれ以下で言及されているが、ステップ、要素、成分、及び構成の他の組み合わせも明示的に述べられていないが含まれる。
【0205】
明細書及び添付の請求項で使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈で明確に異なった指示をしていない限り、複数の指示対象を含む。範囲は、本明細書において「約(about)」又は「約(approximately)」1つの特定の値から、及び/又は「約(about)」又は「約(approximately)」別の特定の値までとして表現され得る。このような範囲が表される場合、他の実施形態は1つの特定の値から及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、既述の「約(about)」を用いて、値が近似値として表される場合、特定の値は、他の実施形態を形成することが理解される。さらに、範囲の各々の端点は、他の端点に関係して、また他の端点から独立して共に重要であることが理解される。「任意選択的な(optional)」又は「任意選択的に(optionally)」は、続いて説明されるイベント又は状況が起きても起きなくてもよいこと、及び記述が前記イベント又は状況が起きる場合及びそれが起きない場合を含むことを意味している。
【0206】
本明細書の説明及び請求項を通して、単語「を備える(comprise)」、並びに「を備えた(comprising)」及び「を備える(comprises)」などのこの単語の変化形は、「を含むが限定されない(including but not limited to)」を意味し、例えば、他の添加剤、成分、整数、又はステップを除外することを意図していない。「本質的に~から成る(consisting essentially of)」及び「~から成る(consisting of)」という用語は、「~を備えた(comprising)」及び「~を含む(including)」の代わりに使用して、本発明のより具体的な実施形態を提供することができ、これもまた開示される。「例示的な(exemplary)」又は「例えば(for example)」は、「~の例(an example of)」を意味し、好適な又は理想的な実施形態が指示することを伝えることを意図していない。同様に、「などの(such as)」は、限定的意味で使用されず、説明的又は例示目的で使用される。
【0207】
記されている以外に、明細書及び請求項で用いられている形状、寸法等を表す全ての数は、少なくとも、均等論の適用を請求項の範囲に限定する試みとして理解されるのではなく、有効桁数及び通常の丸め手法に照らして解釈されるものとする。
【0208】
別途定義されない限り、本明細書で使用されている全ての技術用語及び科学用語は、開示されている発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されているものと同一の意味を有する。本明細書で引用された出版物及びそれらが引用されている資料は、参照により具体的に組み込まれている。
【0209】
また、本明細書に例示的に適切に開示されている発明は、本明細書に具体的に開示されていない要素がない限り実施可能である。