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特許7405741分離した充填および送達のための摺動式シリンジキャップ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】分離した充填および送達のための摺動式シリンジキャップ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20231219BHJP
   A61M 5/14 20060101ALI20231219BHJP
   A61M 5/178 20060101ALI20231219BHJP
   A61M 5/20 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A61M5/145 510
A61M5/14 582
A61M5/145 506
A61M5/178 500
A61M5/20 520
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020514990
(86)(22)【出願日】2018-09-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 US2018050640
(87)【国際公開番号】W WO2019055497
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-08-16
(31)【優先権主張番号】62/558,012
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/575,062
(32)【優先日】2017-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507021757
【氏名又は名称】バイエル・ヘルスケア・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・コーワン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・スポーン
(72)【発明者】
【氏名】バリー・タッカー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ウォーカー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・デディッグ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・フェントレス
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・ラナレッタ
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0204130(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0250409(US,A1)
【文献】国際公開第2017/091643(WO,A1)
【文献】米国特許第06306191(US,B1)
【文献】国際公開第2016/157886(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジからの流体の取り入れおよび送達のためのキャップであって、前記キャップは、
流体入口経路および流体出口経路を含む外側キャップアセンブリと、
前記シリンジの流体ノズル内に挿入され、シリンジの内部と前記流体入口経路または前記流体出口経路との間の選択的な流体連通を提供するように構成された内側キャップアセンブリと、を含み、
前記外側キャップアセンブリは、前記シリンジの内部が前記流体入口経路と流体連通する第1の充填位置と、前記シリンジの内部が前記流体出口経路と流体連通する第2の送達位置と、の間で前記内側キャップアセンブリおよび前記シリンジに対して摺動可能であり、
前記外側キャップアセンブリは、流体インジェクタのキャップ保持機能部と係合するように構成された係合機能部を有し、係合面は、前記係合機能部が前記キャップ保持機能部と係合したときに、近位方向および遠位方向の少なくとも一方への前記外側キャップアセンブリの移動を防止し、
前記係合機能部が前記流体インジェクタの前記キャップ保持機能部の表面と係合したときに、前記キャップが取り付けられた前記シリンジの遠位および近位の移動の際に、前記外側キャップアセンブリが前記内側キャップアセンブリに対して摺動可能である、キャップ。
【請求項2】
前記内側キャップアセンブリは、前記シリンジが流体で充填されつつあるときに、前記シリンジの内壁への前記流体の流れを迂回させる流れコントローラ機能部をさらに含む、請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
プランジャおよび前記シリンジの近位端壁の一方が前記流体インジェクタのピストンによって近位方向に引かれたときに、前記キャップが前記第1の充填位置にある、請求項1または2に記載のキャップ。
【請求項4】
プランジャおよび前記シリンジの近位端壁の一方が前記流体インジェクタのピストンによって遠位方向に押されたときに、前記キャップが前記第2の送達位置にある、請求項1から3のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項5】
前記プランジャまたは前記シリンジの前記近位端壁の移動方向が前記近位方向から前記遠位方向に変化すると、前記キャップが前記第1の充填位置と前記第2の送達位置との間を摺動する、請求項3または4に記載のキャップ。
【請求項6】
前記流体ノズルは、前記シリンジの遠位放出ネックに配置されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項7】
前記流体入口経路および前記流体出口経路の少なくとも一方は、前記内側キャップアセンブリに対する前記外側キャップアセンブリの摺動の際に、閉位置と開位置との間を移動するように構成された閉鎖部材を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項8】
前記閉鎖部材は、
前記閉鎖部材が前記閉位置にあるときに、前記流体入口経路および前記流体出口経路の前記少なくとも一方に関連する表面と流体密封止を形成するための封止表面を有する第1の部分と、
第2の部分と、
前記第1の部分と前記第2の部分との間の弾性コネクタ部材であって、前記閉鎖部材を前記内側キャップアセンブリに接続する弾性コネクタ部材と、を含み、
前記弾性コネクタ部材は、前記閉鎖部材が前記開位置と前記閉位置との間を移動するにつれて、伸張、圧縮、または屈曲のうちの少なくとも1つを行うように構成される、請求項7に記載のキャップ。
【請求項9】
前記弾性コネクタ部材は、前記弾性コネクタ部材を前記内側キャップアセンブリに接続する複数の屈曲可能な脚部を含み、前記閉鎖部材が前記開位置と前記閉位置との間を移動するにつれて、前記複数の屈曲可能な脚部が屈曲する、請求項8に記載のキャップ。
【請求項10】
前記閉鎖部材が前記開位置と前記閉位置との間を移動するにつれて、前記弾性コネクタ部材が伸張または圧縮する、請求項8に記載のキャップ。
【請求項11】
前記流体入口経路は入口閉鎖部材を含み、前記流体出口経路は出口閉鎖部材を含み、
前記入口閉鎖部材は、前記シリンジが液体で充填されつつあるときに開位置にあり、前記シリンジが前記液体を送達しているときは閉位置にあり、
前記出口閉鎖部材は、前記シリンジが液体で充填されつつあるときは閉位置にあり、前記シリンジが前記液体を送達しているときは開位置にある、請求項1から10のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項12】
前記外側キャップアセンブリは、前記内側キャップアセンブリに対して、前記シリンジの前記内部と前記流体入口経路または前記流体出口経路との間に流体連通がない第3の閉位置へと摺動可能である、請求項1から11のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項13】
前記シリンジは、前部装填シリンジ、および回転ダイアフラムシリンジのうちの一方である、請求項1から12のいずれか一項に記載のキャップ。
【請求項14】
流体インジェクタのためのシリンジであって、前記シリンジは、
その内部に医用流体を保持するための内部容積を画定する、近位端、遠位端、および前記近位端と前記遠位端との間の円筒状側壁と、
前記遠位端の放出ノズルと、
前記シリンジに摺動可能に関連するプランジャおよび前記シリンジの近位端壁の一方に位置し、前記流体インジェクタのピストンを解放可能に係合するように構成されたピストン係合機能部と、
前記放出ノズル内に少なくとも部分的に挿入され、前記シリンジから流体を取り入れて送達するように構成されたキャップであって、前記キャップは、
流体入口経路および流体出口経路を含む外側キャップアセンブリと、
前記シリンジの放出ノズル内に挿入され、シリンジの内部と前記流体入口経路または前記流体出口経路との間の選択的な流体連通を提供するように構成された内側キャップアセンブリと、を含み、
前記外側キャップアセンブリは、前記シリンジの前記内部が前記流体入口経路と流体連通する第1の充填位置と、前記シリンジの前記内部が前記流体出口経路と流体連通する第2の送達位置と、の間で前記内側キャップアセンブリおよび前記シリンジの前記放出ノズルに対して摺動可能であり、
前記外側キャップアセンブリは、流体インジェクタのキャップ保持機能部と係合するように構成された係合機能部を有し、係合面は、前記係合機能部が前記キャップ保持機能部と係合したときに、近位方向および遠位方向の少なくとも一方への前記外側キャップアセンブリの移動を防止し、
前記係合機能部が前記流体インジェクタの前記キャップ保持機能部の表面と係合したときに、前記キャップが取り付けられた前記シリンジの遠位および近位の移動の際に、前記外側キャップアセンブリが前記内側キャップアセンブリに対して摺動可能である、キャップと、
を含む、シリンジ。
【請求項15】
前記シリンジは、前記流体インジェクタに関連する圧力ジャケット内に嵌合するように構成される、請求項14に記載のシリンジ。
【請求項16】
前記シリンジは、前記プランジャまたは前記近位端壁が前記近位方向に引き込まれたときに、前記シリンジが近位方向に摺動する距離を制限する近位面を有する保持フランジをさらに含む、請求項14または15に記載のシリンジ。
【請求項17】
前記プランジャおよび前記シリンジの前記近位端壁の一方が前記流体インジェクタの前記ピストンによって近位方向に引かれたときに、前記キャップが前記第1の充填位置にある、請求項14から16のいずれか一項に記載のシリンジ。
【請求項18】
プランジャおよび前記シリンジの近位端壁の一方が前記流体インジェクタのピストンによって遠位方向に押されたときに、前記キャップが前記第2の送達位置にある、請求項14から17のいずれか一項に記載のシリンジ。
【請求項19】
前記プランジャまたは前記シリンジの前記近位端壁の移動方向が前記近位方向から前記遠位方向に変化すると、前記キャップが前記第1の充填位置と前記第2の送達位置との間を摺動する、請求項14から18のいずれか一項に記載のシリンジ。
【請求項20】
前記流体入口経路および前記流体出口経路の少なくとも一方は、前記内側キャップアセンブリに対する前記外側キャップアセンブリの摺動時に閉位置と開位置との間を移動するように構成された閉鎖部材を含む、請求項14から19のいずれか一項に記載のシリンジ。
【請求項21】
前記流体入口経路は入口閉鎖部材を含み、前記流体出口経路は出口閉鎖部材を含み、
前記入口閉鎖部材は、前記シリンジが液体で充填されつつあるときに開位置にあり、前記シリンジが前記液体を送達しているときは閉位置にあり、
前記出口閉鎖部材は、前記シリンジが液体で充填されつつあるときは閉位置にあり、前記シリンジが前記液体を送達しているときは開位置にある、請求項14から20のいずれか一項に記載のシリンジ。
【請求項22】
前記外側キャップアセンブリは、前記内側キャップアセンブリに対して、前記シリンジの前記内部と前記流体入口経路または前記流体出口経路との間に流体連通がない第3の閉位置へと摺動可能である、請求項14から21のいずれか一項に記載のシリンジ。
【請求項23】
前記シリンジは回転ダイアフラムシリンジである、請求項14から22のいずれか一項に記載のシリンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年9月13日に出願された「Sliding Syringe Cap for Separate Filling and Delivery」という名称の米国仮出願第62/558,012号、および2017年10月20日に出願された「Syringe Cap and Syringe Retaining Mechanism」という名称の米国仮出願第62/575,062号の優先権を主張し、上記の開示はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般的には、1つ以上のシリンジ保持機能部を有する流体インジェクタと共に使用するように構成されたキャップを有するシリンジに関し、キャップは、分離した流体充填プロセスおよび流体送達プロセスのための摺動機能部を含む。
【背景技術】
【0003】
多くの医学診断および治療処置では、医師などの開業医が患者に1つ以上の医用流体を注入する。近年、造影溶液(しばしば単に「造影剤」と呼ばれる)、生理食塩水などのフラッシング剤、および他の医用流体などの医用流体の加圧注入のための多くのインジェクタ作動シリンジおよび動力式流体インジェクタが、血管造影法、コンピュータ断層撮影法(CT)、超音波、磁気共鳴撮像法(MRI)、陽電子放射断層撮影法(PET)、および他の撮像処置などの処置で使用するために開発された。一般に、これらの流体インジェクタは、予め設定された圧力および/または流量で予め設定された量の流体を送達するように設計されている。
【0004】
通常、流体インジェクタは、例えばプランジャまたはシリンジの係合機能部との接続を介してシリンジに接続する、ピストンなどの少なくとも1つの駆動部材を有する。シリンジは一般に、シリンジプランジャがバレル内に摺動可能に配置された剛性バレルを含む。他の実施形態では、シリンジは、可撓性側壁を有する回転ダイアフラムバレル構成を含むことができ、シリンジ本体の近位端は、少なくとも1つの駆動部材と解放可能に相互作用する。駆動部材は、プランジャまたは回転ダイアフラム/近位端をバレルの長手方向軸に対して近位方向および/または遠位方向に駆動して、流体をシリンジバレル内に引き込むか、またはシリンジバレルから流体を送達する。
【0005】
流体インジェクタで使用するシリンジは、特定の最小肉厚の様々な医療グレードのプラスチック材料で作ることができる。シリンジの厚さは重要な設計要素であり、それは注入処置中に最大1200psiの流体圧力が使用され得るからである。特定の注入処置中に、シリンジ自体は、そのような圧力下でシリンジ壁が過度に半径方向に拡張せずに高圧に耐えることができない場合がある。これにより、流体の送達量と流量に望ましくない変化が生じる可能性がある。シリンジを取り囲んで、シリンジ内の流体圧力の増大によるシリンジの半径方向の膨張を防止するために、少なくとも1つの圧力ジャケットを有する流体インジェクタが開発されてきた。従来の圧力ジャケットの設計は、シリンジを圧力ジャケット内に維持するために、遠位端の剛性キャップと係合する剛性円筒状圧力ジャケットを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2017/091643号パンフレット
【文献】国際公開第2015/164783号パンフレット
【文献】国際公開第2016/172467号パンフレット
【文献】米国特許第5,383,858号明細書
【文献】米国特許第7,553,294号明細書
【文献】米国特許第7,666,169号明細書
【文献】米国特許第9,173,995号明細書
【文献】米国特許第9,199,033号明細書
【文献】米国特許第9,474,857号明細書
【文献】国際公開第2016/191485号パンフレット
【文献】国際公開第2016/112163号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のシリンジの設計は、シリンジの遠位端にあるルアー型先端ノズルなどの統合されたシリンジ入口/出口を含み、これは、流体充填プロセスおよび/または送達プロセスのために流体経路に接続され得る。しかし、これらのシステムでは通常、オペレータがシリンジに医用流体を充填することと患者に医用流体を送達することとの間で流体経路接続を切り替える必要があり、潜在的な汚染問題、空気取り込み、および/または医療処置の準備のためのさらなる時間を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は一般に、シリンジがシリンジを充填するためのバルク流体容器と流体連通している第1の充填位置と、シリンジが患者への流体の送達のための流体経路と流体連通している第2の送達位置と、の間で切り替えまたは摺動することができるシリンジ用のキャップに関する。他の実施形態では、シリンジキャップは、シリンジの内部が充填および送達流体経路から隔離される第3の閉位置まで摺動してもよい。
【0009】
第1の実施形態によれば、シリンジ用の摺動式キャップが説明される。キャップは、流体入口経路および流体出口経路を含む外側キャップアセンブリと、シリンジの流体ノズルに挿入され、シリンジの内部と流体入口経路または流体出口経路との間の選択的な流体連通を提供するように構成された内側キャップアセンブリと、を含んでもよい。様々な実施形態によれば、外側キャップアセンブリは、第1の充填位置と第2の送達位置との間で内側キャップアセンブリに対して摺動可能である。キャップが第1の充填位置にあるときには、シリンジの内部は流体入口経路と流体連通し、キャップが第2の送達位置にあるときには、シリンジの内部は流体出口経路と流体連通する。
【0010】
他の例では、内側キャップアセンブリは、シリンジが流体で充填されつつあるときに、シリンジの内壁への流体の流れを迂回させる分流機能部をさらに含んでもよい。分流器は、コアンダ効果を利用することにより、シリンジへの液体の迅速なおよび/または気泡のない取り込みを可能にすることができる(特許文献1を参照、その開示は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0011】
様々な実施形態では、外側キャップアセンブリは、実質的に平坦な遠位面などの流体インジェクタのキャップ保持機能部と係合するように構成された係合機能部を有してもよい。係合機能部は、係合機能部が流体インジェクタのキャップ保持機能部と係合したときに、近位方向および遠位方向の少なくとも一方への外側キャップアセンブリの移動を防ぐ。様々な実施形態によれば、係合機能部が流体インジェクタのキャップ保持機能部の表面と係合するときに、キャップが取り付けられたシリンジの遠位および近位の移動時に、外側キャップアセンブリが内側キャップアセンブリに対して摺動可能である。特定の実施形態では、シリンジのプランジャおよびシリンジの近位端壁の一方が、流体インジェクタのピストンまたは駆動部材によって近位方向に引っ張られると、外側キャップアセンブリが内側キャップアセンブリに対して第1の充填位置に摺動する。特定の実施形態では、シリンジのプランジャおよびシリンジの近位端壁の一方が、流体インジェクタのピストンまたは駆動部材によって遠位方向に移動すると、外側キャップアセンブリが内側キャップアセンブリに対して第2の送達位置に摺動する。様々な実施形態によれば、プランジャまたはシリンジの近位端壁の移動方向が近位方向から遠位方向に変化すると、キャップが第1の充填位置と第2の送達位置との間を摺動し、逆も同様である。様々な実施形態によれば、流体ノズルは、シリンジの遠位放出ネックに位置している。
【0012】
特定の実施形態によれば、流体入口経路および流体出口経路の少なくとも一方は、内側キャップアセンブリに対する外側キャップアセンブリの摺動時に、閉位置と開位置との間を移動するように構成された閉鎖部材を含む。例えば閉鎖部材は、遠位方向および近位方向の一方に、内側キャップアセンブリに対して外側キャップアセンブリを摺動させると、開位置から閉位置に摺動することができ、遠位方向および近位方向の他方に、内側キャップアセンブリに対して外側キャップアセンブリを摺動させると、閉位置から開位置に摺動することができる。特定の実施形態によれば、閉鎖部材は、閉鎖部材が閉位置にあるときに、流体入口経路および流体出口経路の少なくとも一方に関連する表面と、流体密封止を形成するための封止表面を有する第1の部分を含む。閉鎖部材は、第2の部分と、第1の部分と第2の部分との間の弾性コネクタ部材と、をさらに含み、弾性コネクタ部材は、閉鎖部材を内側キャップアセンブリに接続し、弾性コネクタ部材は、閉鎖部材が開位置と閉位置との間を移動するにつれて、伸張、圧縮、または屈曲のうちの少なくとも1つを行うように構成される。例えば、特定の実施形態によれば、弾性コネクタ部材は、弾性コネクタ部材を内側キャップアセンブリに接続する複数の屈曲可能な脚部を含み、閉鎖部材が開位置と閉位置との間を移動するにつれて、複数の屈曲可能な脚部が屈曲する。他の実施形態では、弾性コネクタ部材は、第2の端部で内側キャップアセンブリに取り付けられ、閉鎖部材が開位置と閉位置との間を移動するにつれて伸張または圧縮する。様々な実施形態では、流体入口経路は入口閉鎖部材を含み、流体出口経路は出口閉鎖部材を含み、入口閉鎖部材は、シリンジが液体で充填されつつあるときに開位置にあり、シリンジが液体を送達しているときは閉位置にあり、出口閉鎖部材は、シリンジが液体で充填されつつあるときは閉位置にあり、シリンジが液体を送達しているときは開位置にある。
【0013】
他の実施形態では、外側キャップアセンブリは、内側キャップアセンブリに対して、シリンジの内部と流体入口経路または流体出口経路との間に流体連通がない、第3の閉位置まで摺動可能であってもよい。キャップが閉位置にあるとき、シリンジの内部と流体入口経路または流体出口経路との間に流体の流れは発生しない。例えば、シリンジが真空下にあるとき、またはピストンをそれぞれ近位方向または遠位方向に動かすことによりシリンジが加圧されるとき、キャップは、シリンジの内部が流体入口経路および流体出口経路から流体的に隔離されている第3の閉位置に摺動してもよい。
【0014】
様々な例では、キャップは、シリンジの遠位放出ネック内に嵌合するように構成されてもよい。キャップとシリンジとの間の嵌合は流体密にすることができ、その結果、キャップとシリンジの流体ノズルとの間の接続部で流体の漏れが生じない。様々な例では、内側キャップアセンブリは、1つ以上のOリングまたは他の封止機構部を含み、流体密封止を提供してもよい。
【0015】
様々な実施形態によれば、シリンジは、前部装填シリンジまたは回転ダイアフラムシリンジであってもよい。
【0016】
本開示の他の実施形態は、流体インジェクタと共に使用するためのシリンジに関する。これらの実施形態によれば、シリンジは、医用流体を保持するための内部容積を画定する、近位端、遠位端、および近位端と遠位端との間の円筒状側壁と、遠位端の放出ノズルと、シリンジに摺動可能に関連するプランジャおよびシリンジの近位端壁の一方に位置し、流体インジェクタのピストンを解放可能に係合するように構成されたピストン係合機能部と、放出ノズルに少なくとも部分的に挿入されるか、さもなければ係合し、流体を取り込んでシリンジから流体を送達するように構成されたキャップと、を含んでもよい。様々な実施形態によれば、キャップは、本明細書に記載されるシリンジキャップの任意の実施形態を含んでもよい。特定の実施形態では、シリンジは、流体インジェクタに関連する圧力ジャケット内に嵌合するように構成されてもよい。シリンジは、流体インジェクタの機能部と係合し、プランジャまたは端壁が近位方向に引き込められたときにシリンジが近位方向に摺動できる距離を制限する近位面を有する保持機能部または保持フランジをさらに含んでもよい。特定の実施形態では、シリンジは、回転ダイアフラムシリンジであってもよい。他の実施形態では、シリンジは、医用流体インジェクタ用の前部装填シリンジであってもよい。
【0017】
流体インジェクタのインジェクタ位置較正のためのシステムおよび方法の様々な態様は、以下の番号付き項の1つ以上で開示されている。
【0018】
項1.シリンジからの流体の取り入れおよび送達のためのキャップであって、キャップは、流体入口経路および流体出口経路を含む外側キャップアセンブリと、シリンジの流体ノズルに挿入され、シリンジの内部と流体入口経路または流体出口経路との間の選択的な流体連通を提供するように構成された内側キャップアセンブリと、を含み、外側キャップアセンブリは、シリンジの内部が流体入口経路と流体連通する第1の充填位置と、シリンジの内部が流体出口経路と流体連通する第2の送達位置と、の間で内側キャップアセンブリに対して摺動可能である、キャップ。
【0019】
項2.内側キャップアセンブリは、シリンジが流体で充填されつつあるときに、シリンジの内壁への流体の流れを迂回させる流れコントローラ機能部をさらに含む、項1に記載のキャップ。
【0020】
項3.外側キャップアセンブリは、流体インジェクタのキャップ保持機能部と係合するように構成された係合機能部を有し、係合面は、係合機能部がキャップ保持機能部と係合したときに、近位方向および遠位方向の少なくとも一方への外側キャップアセンブリの移動を防止する、項1または2に記載のキャップ。
【0021】
項4.係合機能部が流体インジェクタのキャップ保持機能部の表面と係合するときに、キャップが取り付けられたシリンジの遠位および近位の移動時に、外側キャップアセンブリが内側キャップアセンブリに対して摺動可能である、項3に記載のキャップ。
【0022】
項5.プランジャおよびシリンジの近位端壁の一方が流体インジェクタのピストンによって近位方向に引かれたときに、キャップが第1の充填位置にある、項1から4のいずれか一項に記載のキャップ。
【0023】
項6.プランジャおよびシリンジの近位端壁の一方が流体インジェクタのピストンによって遠位方向に押されたときに、キャップが第2の送達位置にある、項1から5のいずれか一項に記載のキャップ。
【0024】
項7.プランジャまたはシリンジの近位端壁の移動方向が近位方向から遠位方向に変化すると、キャップが第1の充填位置と第2の送達位置との間を摺動する、項1から6のいずれか一項に記載のキャップ。
【0025】
項8.流体ノズルは、シリンジの遠位放出ネックに配置されている、項1から7のいずれか一項に記載のキャップ。
【0026】
項9.流体入口経路および流体出口経路の少なくとも一方は、内側キャップアセンブリに対する外側キャップアセンブリの摺動時に閉位置と開位置との間を移動するように構成された閉鎖部材を含む、項1から8のいずれか一項に記載のキャップ。
【0027】
項10.閉鎖部材は、閉鎖部材が閉位置にあるときに、流体入口経路および流体出口経路の少なくとも一方に関連する表面と流体密封止を形成するための封止表面を有する第1の部分と、第2の部分と、第1の部分と第2の部分との間の弾性コネクタ部材であって、閉鎖部材を内側キャップアセンブリに接続する弾性コネクタ部材と、を含み、弾性コネクタ部材は、閉鎖部材が開位置と閉位置との間を移動するにつれて、伸張、圧縮、または屈曲のうちの少なくとも1つを行うように構成される、項9に記載のキャップ。
【0028】
項11.弾性コネクタ部材は、弾性コネクタ部材を内側キャップアセンブリに接続する複数の屈曲可能な脚部を含み、閉鎖部材が開位置と閉位置との間を移動するにつれて、複数の屈曲可能な脚部が屈曲する、項10に記載のキャップ。
【0029】
項12.閉鎖部材が開位置と閉位置との間を移動するにつれて、弾性コネクタ部材が伸張または圧縮する、項10に記載のキャップ。
【0030】
項13.流体入口経路は入口閉鎖部材を含み、流体出口経路は出口閉鎖部材を含み、入口閉鎖部材は、シリンジが液体で充填されつつあるときに開位置にあり、シリンジが液体を送達しているときは閉位置にあり、出口閉鎖部材は、シリンジが液体で充填されつつあるときは閉位置にあり、シリンジが液体を送達しているときは開位置にある、項1から12のいずれか一項に記載のキャップ。
【0031】
項14.外側キャップアセンブリは、内側キャップアセンブリに対して、シリンジの内部と流体入口経路または流体出口経路との間に流体連通がない、第3の閉位置まで摺動可能である、項1から13のいずれか一項に記載のキャップ。
【0032】
項15.シリンジは、前部装填シリンジ、および回転ダイアフラムシリンジのうちの一方である、項1から14のいずれか一項に記載のキャップ。
【0033】
項16.流体インジェクタ用のシリンジであって、シリンジは、医用流体を保持するための内部容積を画定する、近位端、遠位端、および近位端と遠位端との間の円筒状側壁と、遠位端の放出ノズルと、シリンジに摺動可能に関連するプランジャおよびシリンジの近位端壁の一方に位置し、流体インジェクタのピストンを解放可能に係合するように構成されたピストン係合機能部と、放出ノズルに少なくとも部分的に挿入され、シリンジから流体を取り入れて送達するように構成されたキャップであって、キャップは、流体入口経路および流体出口経路を含む外側キャップアセンブリと、シリンジの流体ノズルに挿入され、シリンジの内部と流体入口経路または流体出口経路との間の選択的な流体連通を提供するように構成された内側キャップアセンブリと、を含み、外側キャップアセンブリは、シリンジの内部が流体入口経路と流体連通する第1の充填位置と、シリンジの内部が流体出口経路と流体連通する第2の送達位置と、の間で内側キャップアセンブリに対して摺動可能である、キャップと、を含む、シリンジ。
【0034】
項17.シリンジは、流体インジェクタに関連する圧力ジャケット内に嵌合するように構成される、項16に記載のシリンジ。
【0035】
項18.シリンジは、プランジャまたは端壁が近位方向に引き込められたときに、シリンジが近位方向に摺動する距離を制限する近位面を有する保持フランジをさらに含む、項16または17に記載のシリンジ。
【0036】
項19.外側キャップアセンブリは、流体インジェクタのキャップ保持機能部と係合するように構成された係合機能部を有し、係合面は、係合機能部がキャップ保持機能部と係合したときに、近位方向および遠位方向の少なくとも一方への外側キャップアセンブリの移動を防止する、項16から18のいずれか一項に記載のシリンジ。
【0037】
項20.係合機能部がキャップ保持機能部の表面と係合するときに、キャップが取り付けられたシリンジの遠位および近位の移動時に、外側キャップアセンブリが内側キャップアセンブリに対して摺動可能である、項19に記載のシリンジ。
【0038】
項21.プランジャおよびシリンジの近位端壁の一方が流体インジェクタのピストンによって近位方向に引かれたときに、キャップが第1の充填位置にある、項16から20のいずれか一項に記載のシリンジ。
【0039】
項22.プランジャおよびシリンジの近位端壁の一方が流体インジェクタのピストンによって遠位方向に押されたときに、キャップが第2の送達位置にある、項16から21のいずれか一項に記載のシリンジ。
【0040】
項23.プランジャまたはシリンジの近位端壁の移動方向が近位方向から遠位方向に変化すると、キャップが第1の充填位置と第2の送達位置との間を摺動する、項16から22のいずれか一項に記載のシリンジ。
【0041】
項24.流体入口経路および流体出口経路の少なくとも一方は、内側キャップアセンブリに対する外側キャップアセンブリの摺動時に閉位置と開位置との間を移動するように構成された閉鎖部材を含む、項16から23のいずれか一項に記載のシリンジ
【0042】
項25.流体入口経路は入口閉鎖部材を含み、流体出口経路は出口閉鎖部材を含み、入口閉鎖部材は、シリンジが液体で充填されつつあるときに開位置にあり、シリンジが液体を送達しているときは閉位置にあり、出口閉鎖部材は、シリンジが液体で充填されつつあるときは閉位置にあり、シリンジが液体を送達しているときは開位置にある、項16から24のいずれか一項に記載のシリンジ。
【0043】
項26.外側キャップアセンブリは、内側キャップアセンブリに対して、シリンジの内部と流体入口経路または流体出口経路との間に流体連通がない、第3の閉位置まで摺動可能である、項16から25のいずれか一項に記載のシリンジ。
【0044】
項27.シリンジは回転ダイアフラムシリンジである、項1から14のいずれか一項に記載のシリンジ。
【0045】
本明細書で詳細に説明する様々な態様のさらなる詳細および利点は、添付の図面と併せて様々な態様の以下の詳細な説明を検討すると明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本開示の一例によるシリンジおよびシリンジキャップと共に使用するための流体送達システムの斜視図である。
図2】様々な実施形態によるシリンジキャップと共に使用するように構成されたシリンジおよび図1の流体送達システムの側面断面図である。
図3】本開示の別の例による、回転ダイアフラムシリンジおよびシリンジキャップと共に使用するための圧力ジャケットを備えた流体送達システムの斜視図である。
図4A】様々な実施形態によるシリンジキャップを、図3の流体送達システムと共に使用するように構成された回転ダイアフラムシリンジの側面断面図である。
図4B】様々な実施形態によるシリンジキャップを、図3の流体送達システムと共に使用するように構成された回転ダイアフラムシリンジの側面断面図である。
図5】本開示の一例によるシリンジおよび充填キャップの上面斜視図である。
図6図5のシリンジおよび充填キャップの断面図であり、シリンジの軸方向の動きを防止するように構成されたシリンジ保持機能部と共に示されている。
図7】本開示の一例によるシリンジおよび分配キャップの上面斜視図である。
図8図7のシリンジおよび分配キャップの断面図であり、シリンジの軸方向の移動を防止するように構成されたシリンジ保持機能部と共に示されている。
図9A】一実施形態による、分離した充填および送達経路を有する摺動式シリンジキャップを示す図である。
図9B】一実施形態による、分離した充填および送達経路を有する摺動式シリンジキャップを示す図である。
図10A】一実施形態による、分離した充填経路と送達経路および分離した遮断位置を有する摺動式シリンジキャップを示す図である。
図10B】一実施形態による、分離した充填経路と送達経路および分離した遮断位置を有する摺動式シリンジキャップを示す図である。
図10C】一実施形態による、分離した充填経路と送達経路および分離した遮断位置を有する摺動式シリンジキャップを示す図である。
図11A】一実施形態による摺動式シリンジキャップの上面斜視図である。
図11B図11Aの摺動式シリンジキャップの分解図である。
図11C】充填位置にあるシリンジキャップを示す図である。
図11D図11Cの摺動式キャップの詳細図である。
図11E】送達位置にあるシリンジキャップを示す図である。
図11F図11Eの摺動式キャップの詳細図である。
図12A】流体入口閉鎖部材および出口閉鎖部材を含むシリンジキャップの一実施形態を充填位置において示す図である。
図12B】流体入口閉鎖部材および出口閉鎖部材を含むシリンジキャップの一実施形態を送達位置において示す図である。
図12C】流体入口閉鎖部材および出口閉鎖部材を含むシリンジキャップの一実施形態を閉位置において示す図である。
図13A】流体入口閉鎖部材および出口閉鎖部材を含むシリンジキャップの一実施形態を充填位置において示す図である。
図13B】流体入口閉鎖部材および出口閉鎖部材を含むシリンジキャップの一実施形態を送達位置において示す図である。
図13C】流体入口閉鎖部材および出口閉鎖部材を含むシリンジキャップの一実施形態を閉位置において示す図である。
図14A】流体入口閉鎖部材および出口閉鎖部材を含むシリンジキャップの一実施形態を充填位置において示す図である。
図14B】流体入口閉鎖部材および出口閉鎖部材を含むシリンジキャップの一実施形態を送達位置において示す図である。
図14C】流体入口閉鎖部材および出口閉鎖部材を含むシリンジキャップの一実施形態を閉位置において示す図である。
図15】一実施形態による、流体入口閉鎖部材および出口閉鎖部材を含むシリンジキャップの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本明細書で使用されるように、単数形(「a」、「an」および「the」)は、文脈上特に明示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0048】
以下の説明の目的のために、「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「底部」、「横方向」、「縦方向」という用語、およびその派生語は、図面に示されているように、構成要素に関係するものとする。シリンジおよび/または圧力ジャケットに関連して使用される場合、「近位」という用語は、シリンジおよび/または圧力ジャケットがインジェクタに接続するように配向されているときにシリンジおよび/または圧力ジャケットのインジェクタに最も近い部分を指す。「遠位」という用語は、シリンジおよび/または圧力ジャケットがインジェクタに接続するように配向されているときにシリンジおよび/または圧力ジャケットのインジェクタから最も離れている部分を指す。「半径方向」という用語は、近位端と遠位端との間に延在するシリンジおよび/または圧力ジャケットの長手方向軸に垂直な断面内の方向を指す。「円周方向」という用語は、シリンジおよび/または圧力ジャケットの側壁の内面または外面の周りの方向を指す。「軸方向」という用語は、近位端と遠位端との間に延在するシリンジおよび/または圧力ジャケットの長手方向軸に沿った方向を指す。「可撓性」という用語は、シリンジに関連して使用される場合、シリンジの側壁などのシリンジの少なくとも一部が、それが延在する方向を変えるように屈曲するまたは屈曲されることが可能であることを意味する。「転がる」および「それ自体の上で回転する」という用語は、流体インジェクタのピストンによって付勢された場合に、シリンジの側壁の近位部分などのシリンジの第1の部分が、シリンジの側壁の遠位部分などの第2の部分に対して約180°屈曲する能力を指す。流体送達構成要素を指すために使用される場合の「閉じた」という用語は、例えば、キャップ、閉鎖部材、またはストップコック、高クラッキング圧力バルブ、ピンチバルブなどのバルブによって流体の流れが止められる場合、システムが出口と流体接続していないことを意味する。
【0049】
他に示されない限り、本明細書に開示するすべての範囲または比率は、その中に包含される任意のおよびすべての部分範囲または部分比率を包含するものと理解するべきである。例えば、記載された「1から10」の範囲または比率は、最小値1と最大値10との間の(およびそれを含む)任意のおよびすべての部分範囲、すなわち、限定はしないが、1から6.1、3.5から7.8、および5.5から10などの、1以上の最小値で始まり、10以下の最大値で終わるすべての部分範囲または部分比率を含むとみなすべきである。
【0050】
添付の図面に示され、以下の明細書に記載される特定の装置およびプロセスは、本開示の単なる例示的な態様であることを理解されたい。したがって、本明細書に開示する態様に関連する特定の寸法および他の物理的特性は、限定的なものとみなすべきではない。
【0051】
限定はしないが、発行された特許および特許出願などのすべての文書は、本明細書で言及され、他に示されない限り、その全体が「参照により組み込まれる」とみなすべきである。
【0052】
図面を参照すると、そのいくつかの図面を通して同じ符号は同じ部分を指しており、本開示は、一般に、シリンジがシリンジを充填するためのバルク流体容器と流体連通している第1の充填位置と、シリンジが患者への流体の送達のための流体経路と流体連通している第2の送達位置と、の間で切り替えまたは摺動することができるシリンジ用のキャップに関する。他の実施形態では、シリンジキャップは、シリンジの内部が充填および送達流体経路から隔離される第3の閉位置まで摺動してもよい。
【0053】
第1の実施形態によれば、シリンジ用の摺動式キャップが説明される。キャップは、流体入口経路および流体出口経路を含む外側キャップアセンブリと、内側キャップアセンブリと、を含んでもよい。内側キャップアセンブリは、シリンジの流体ノズルへの取り付け、付着、またはクリップ留めなどによって、シリンジの流体ノズルに挿入するように構成されてもよく、そうでなければ係合可能であってもよい。キャップは、シリンジの内部と流体入口経路または流体出口経路との間の選択的な流体連通を提供する。すなわち、第1の構成では、キャップは、流体出口経路とシリンジの内部との間の流体連通を防止しながら、流体入口経路とシリンジの内部との間の流体連通を提供するが、一方、第2の構成では、キャップは、流体入口経路とシリンジの内部との間の流体連通を防止しながら、流体出口経路とシリンジの内部との間の流体連通を提供する。様々な実施形態によれば、外側キャップアセンブリは、第1の充填位置と第2の送達位置との間で内側キャップアセンブリに対して摺動可能であってもよい。例えば、流体の取り込みまたは送達処置中にシリンジが近位方向または遠位方向に移動すると、外側キャップアセンブリは、シリンジの流体ノズルと係合する内側キャップアセンブリに対して摺動することができる。キャップが第1の充填位置にあるとき、シリンジの内部は流体入口経路と流体連通しているが、流体出口経路はシリンジの内部と流体連通しておらず、また、キャップが第2の送達位置にあるとき、シリンジの内部は流体出口経路と流体連通しているが、流体入口経路はシリンジの内部と流体連通していない。
【0054】
他の例では、内側キャップアセンブリは、シリンジが流体で充填されつつあるときに、シリンジの内壁への流体の流れを迂回させる分流機能部をさらに含んでもよい。これらの実施形態によれば、分流器は、コアンダ効果を利用することにより、シリンジへの液体の迅速なおよび/または気泡のない取り込みを可能にすることができる(特許文献1を参照、その開示は参照により本明細書に組み込まれる)。例えば、液体をシリンジの内壁を下る流れに分流することにより、流体がシリンジの内壁に付着することができ、充填プロセス中により多くの層流タイプの流れを有し、同時に流体と空気の混転と混合を減らし、より速い充填速度を可能にすることができる。さらに、液体をシリンジの内壁の流れに分流することにより、シリンジの内部での流体の飛散とシリンジ内の対応する泡の生成が回避される。
【0055】
様々な実施形態では、外側キャップアセンブリは、実質的に平坦な遠位面、または外側キャップアセンブリの外周のフランジ、またはキャップ保持機能部に係合する他の表面などの流体インジェクタのキャップ保持機能部と係合するように構成された係合機能部を有してもよい。係合機能部は、係合機能部が流体インジェクタのキャップ保持機能部と係合したときに、近位方向および遠位方向の少なくとも一方への外側キャップアセンブリの軸方向の移動を防ぐ。係合機能部により、シリンジが遠位および/または近位方向に移動するときに、内側キャップアセンブリが外側キャップアセンブリに対して摺動することが依然として可能になり得る。本明細書で使用されるように、外側キャップアセンブリが内側キャップアセンブリに対して摺動すると、外側キャップアセンブリが軸方向に固定されたままであり、内側キャップアセンブリが近位および/または遠位に摺動し、内側キャップアセンブリは軸方向に固定されたままで、外側キャップアセンブリは近位および/または遠位に摺動するか、または外側キャップアセンブリと内側キャップアセンブリの両方が反対方向に摺動するか、もしくは同じ方向に異なる速度で摺動する。特定の実施形態では、係合機能部が流体インジェクタのキャップ保持機能部と係合するときに、係合機能部は、外側キャップアセンブリの遠位方向への軸方向の動きを防ぐことができる。特定の実施形態では、係合機能部が流体インジェクタのキャップ保持機能部と係合するときに、係合機能部は、外側キャップアセンブリの近位方向への軸方向の動きを防ぐことができる。他の実施形態によれば、シリンジおよび内側キャップアセンブリは軸方向に固定されてもよく、外側キャップは、例えば外側キャップアセンブリと係合するインジェクタの保持機能部の動きによって遠位および/または近位に移動してもよい。係合機能部の例には、圧力ジャケットの遠位端と解放可能に係合可能な圧力ジャケットキャップ、あるいは流体インジェクタのキャップ保持面機能部または保持スロットに係合または当接する表面またはフランジが含まれてもよい。キャップ保持機能部の他の適切な例は、2018年9月11日に出願された「Injector Syringe Interface」という名称の米国仮出願第62/729,642号に記載されており、その開示はその全体が組み込まれる。様々な実施形態によれば、係合機能部が流体インジェクタのキャップ保持機能部の表面と係合するときに、キャップが取り付けられたシリンジの遠位および近位の移動時に、外側キャップアセンブリが内側キャップアセンブリに対して摺動可能である。特定の実施形態では、シリンジのプランジャおよびシリンジの近位端壁の一方が、流体インジェクタのピストンまたは駆動部材によって近位方向に引き込まれると、キャップが第1の充填位置に摺動する。特定の実施形態では、シリンジのプランジャおよびシリンジの近位端壁の一方が流体インジェクタのピストンまたは駆動部材によって遠位方向に移動すると、キャップは第2の送達位置に摺動する。様々な実施形態によれば、プランジャまたはシリンジの近位端壁の移動方向が近位方向から遠位方向に変化すると、キャップが第1の充填位置から第2の送達位置まで摺動し、プランジャまたはシリンジの近位端壁の移動方向が遠位方向から近位方向に変化すると、キャップが第2の送達位置から第1の充填位置まで摺動する。
【0056】
様々な実施形態によれば、流体ノズルは、シリンジの遠位端、例えばシリンジの遠位放出ネックに位置している。特定の実施形態では、流体ノズルは、内側キャップアセンブリが少なくとも部分的に挿入され、内側キャップアセンブリの外面と流体ノズルの内面との間に流体密嵌合を形成できるように構成およびサイズ決定されてもよい。例えば、内側キャップアセンブリの外面および流体ノズルの内面の一方または両方は、それらの間に流体密封止を作成するために、1つ以上のOリングなどの1つ以上の封止機能部を含んでもよい。他の実施形態では、内側キャップアセンブリは、流体ノズルに接着されるか、そうでなければ付着されてもよい。他の実施形態では、内側キャップアセンブリは、内側キャップアセンブリおよび流体ノズルを固定するための1つ以上のクリップなどの、1つ以上の保持機能部を含んでもよい。特定の実施形態では、内側キャップアセンブリの少なくとも一部は、流体ノズルの外面の周りに嵌合し、付着されて、流体密封止を生成してもよい。
【0057】
本開示の実施形態では、外側キャップアセンブリおよび内側キャップアセンブリは、本明細書に記載されるように、互いに対して摺動可能である。特定の実施形態によれば、内側および外側キャップアセンブリは、内側キャップアセンブリの外面と外側キャップアセンブリの内面との間の界面により、互いに対して摺動可能である。また、当業者は、本開示に基づいて、内側キャップアセンブリの内面と外側キャップアセンブリの外面との間の界面により、内側および外側キャップアセンブリが互いに対して摺動可能である実施形態を認識するであろう。様々な実施形態によれば、例えば注入または充填処置中に開位置と閉位置との間の流体漏れを防ぐために、内側キャップアセンブリと外側キャップアセンブリとの間の摺動可能な界面は流体密であってもよい。界面での流体密封止は、内側キャップアセンブリと外側キャップアセンブリの少なくとも1つに関連する1つ以上の封止表面、例えば、内側キャップアセンブリの外面もしくは内面または溝の周りの1つ以上のOリング、ならびに/あるいは外側キャップアセンブリの内面もしくは外面または溝の周りの1つ以上のOリングによるものであってもよい。他の実施形態では、流体密封止は、内側キャップアセンブリおよび外側キャップアセンブリのうちの少なくとも一方の表面に成形された封止表面、例えば、2ショット成形プロセスなどによるエラストマーフランジ、あるいは外側キャップアセンブリおよび/または内側キャップアセンブリを流体ノズルの内壁に取り付ける回転ダイアフラム部材から生じてもよい。キャップは、第1の入口経路および流体出口経路の少なくとも一方を流体封止するために、外側キャップアセンブリおよび内側キャップアセンブリの1つ以上に位置する1つ以上のOリングまたはエラストマー表面をさらに含んでもよい。
【0058】
特定の実施形態によれば、流体入口経路および流体出口経路の少なくとも一方は、流体の流れを可能にしまたは防止するために内側キャップアセンブリに対する外側キャップアセンブリの摺動時に、閉位置と開位置との間を移動するように構成された閉鎖部材を含んでもよい。例えば、閉鎖部材は、遠位方向および近位方向の一方に内側キャップアセンブリに対して外側キャップアセンブリを摺動させると、開位置から閉位置に摺動することができ、遠位方向および近位方向の他方に内側キャップアセンブリに対して外側キャップアセンブリを摺動させると、閉位置から開位置に摺動することができる。
【0059】
特定の実施形態によれば、閉鎖部材は、閉鎖部材が閉位置にあるときに、流体入口経路および流体出口経路の少なくとも一方に関連する表面と流体密封止を形成するための封止表面を有する第1の部分を含んでもよい。例えば、第1の部分の封止表面は、半球、円錐、円弧、または平坦であってもよく、流体入口経路または流体出口経路に関連する対応する半球または円錐面との封止界面を形成し得るエラストマーポリマー材料から形成されてもよい。他の実施形態では、流体入口経路または出口経路に関連する表面は、エラストマー封止表面を有してもよい。さらに他の実施形態では、閉鎖部材の表面は剛性であってもよく、流体入口経路および/または流体出口経路に関連する表面は、封止相互作用を提供するためにエラストマーであってもよい。第1の部分および対応する封止表面の他の形状が企図され、本開示の範囲内である。第1の部分の封止表面と、流体入口経路および流体出口経路の少なくとも1つに関連する対応する表面と、が例えば、内側キャップアセンブリに対する外側キャップアセンブリの遠位方向または近位方向への摺動に応じて接触すると、それらの間に流体密封止が形成され、封止を通過する流体連通をブロックする。第1の部分の封止表面と、流体入口経路および流体出口経路の少なくとも一方に関連する対応する表面との係合が解除されると、流体密封止が破壊され、界面を横切る流体連通が達成される。
【0060】
閉鎖部材は、第2の部分と、第1の部分と第2の部分との間の弾性コネクタ部材と、をさらに含んでもよい。特定の実施形態によれば、弾性コネクタ部材は、閉鎖部材を内側キャップアセンブリに接続してもよい。弾性コネクタ部材は、エラストマーポリマーまたはばねから形成されてもよく、内側キャップアセンブリに対する外側キャップアセンブリの摺動に応じて閉鎖部材が開位置と閉位置との間を移動するときに、伸張、圧縮、および/または屈曲するように構成されてもよい。弾性コネクタ部材が伸張、圧縮、および/または屈曲すると、第1の部分の封止表面は、流体入口経路および流体出口経路の少なくとも1つに関連する対応する表面と接触または離脱し、それによりその間の流体密封止を形成または破壊する。
【0061】
特定の実施形態によれば、弾性コネクタ部材は、弾性コネクタ部材の第2の部分から延在し、外側キャップアセンブリの表面に接続または当接する複数の屈曲可能な脚部を含んでもよく、閉鎖部材が開位置と閉位置との間を移動するにつれて、複数の屈曲可能な脚部が屈曲する。特定の実施形態によれば、屈曲可能な脚部は、第2の部分に接続された第1の脚端部、外側キャップアセンブリの表面に接続または当接する第2の脚端部、および第1の脚端部と第2の脚端部との間の、内側キャップアセンブリに対する外側キャップアセンブリの摺動に応じて屈曲する屈曲可能な部分、を含む。複数の屈曲可能な脚部の屈曲は、第1の部分の封止表面と外側キャップアセンブリの対応する面との間の封止の形成または破壊をもたらす。
【0062】
他の実施形態では、弾性コネクタ部材は、第2の部分で内側キャップアセンブリに取り付けられ、閉鎖部材が開位置と閉位置との間を移動するときに伸張または圧縮することができ、それにより、第1の部分の封止表面と外側キャップアセンブリの対応する面との間の流体密封止を破壊または形成する。特定の実施形態によれば、弾性コネクタ部材は、例えばシリンジが近位方向に引き込められると、流体出口経路に流体密封止を形成するように伸張することができ、それにより、充填動作中に外側アセンブリキャップを内側キャップアセンブリに対して遠位に摺動させる。特定の実施形態によれば、弾性コネクタ部材は、例えばシリンジが遠位方向に移動すると、流体入口経路に流体密封止を形成するように圧縮することができ、それにより、送達動作中に外側キャップを内側キャップアセンブリに対して近位に摺動させる。
【0063】
様々な実施形態では、流体入口経路は入口閉鎖部材を含み、流体出口経路は出口閉鎖部材を含み、入口閉鎖部材は、シリンジが液体で充填されつつあるときに開位置にあり、シリンジが液体を送達しているときは閉位置にあり、出口閉鎖部材は、シリンジが液体で充填されつつあるときは閉位置にあり、シリンジが液体を送達しているときは開位置にある。入口閉鎖部材および出口閉鎖部材はそれぞれ、本明細書に記載の閉鎖部材の実施形態によるものであってもよい。入口閉鎖部材および出口閉鎖部材は、互いに反対に動作してもよく、例えば、入口閉鎖部材が開位置にあるとき、出口閉鎖部材が閉位置にあってもよく、入口閉鎖部材が閉位置にあるとき、出口閉鎖部材が開位置にあってもよい。この構成によれば、シリンジは、入口流体経路を通る充填動作中には出口流体経路が閉位置にあり、出口流体経路を通る送達動作中には入口流体経路が閉位置にあるように、選択的に流体の充填または送達のために使用される。
【0064】
他の実施形態では、外側キャップアセンブリは、内側キャップアセンブリに対して、シリンジの内部と流体入口経路または流体出口経路のいずれかとの間に流体連通がない、第3の閉位置まで摺動可能であってもよい。これらの実施形態によれば、摺動式シリンジキャップが第3の閉位置にあるとき、シリンジの内部とインジェクタに関連する他のシリンジの内部との間の流体連通もない。キャップが第3の閉位置にあるとき、シリンジの内部と流体入口経路または流体出口経路との間に流体の流れは生じない。例えば、シリンジが真空下にあるとき、またはピストンをそれぞれ近位方向または遠位方向に動かすことによりシリンジが加圧されるとき、キャップは、シリンジの内部が流体入口経路および流体出口経路から流体的に隔離されている第3の閉位置に摺動してもよい。流体入口経路と流体出口経路の両方が閉じられてシリンジの内部と流体連通するシステムには、特に造影剤などの高粘度の医用流体と生理食塩水などの低粘度の医用流体との間の相転移の間に、内容物が圧力下に置かれたときのシリンジの体積の膨張など、シリンジの容量による流体の流れへの影響を制限することなどによる、特定の利点がある。さらに、第3の閉位置は、流体遷移中の第1のシリンジから第2のシリンジへの逆流を制限することができる。このような利点については、次の国際出願に詳しく説明されている。PCT/US2017/020637、PCT/US2018/048282、PCT/US2018/048283、PCT/US2018/048294、およびPCT/US2018/048338であり、これらの各々の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0065】
様々な実施形態によれば、第3の閉位置は、第1の充填位置と第2の送達位置との間に摺動可能に位置してもよい。他の実施形態では、第3の閉位置は、第1の充填位置の近位に摺動可能に位置してもよい。別の実施形態では、第3の閉位置は、第2の送達位置の遠位に摺動可能に位置してもよい。他の実施形態によれば、第3の閉位置は、時計回りまたは反時計回りのいずれかの方向に内側キャップアセンブリに対して外側キャップアセンブリを摺動可能に回転させることにより到達されてもよい。この実施形態では、第3の閉位置は、反対の反時計回りまたは時計回りの方向に内側キャップアセンブリに対して外側キャップアセンブリを摺動可能に回転させることにより抜け出てもよい。
【0066】
様々な実施形態によれば、摺動式キャップは、内側キャップアセンブリに対する外側キャップアセンブリの摺動を付勢するために、外側キャップアセンブリと内側キャップアセンブリとの間にばね付勢部材を有してもよい。例えば一実施形態では、ばね付勢部材は、外側キャップアセンブリおよび内側キャップアセンブリを第3の閉位置に付勢することができる。この例によれば、ピストンが近位方向または遠位方向のいずれにも動いていない場合、キャップは第3の閉位置に付勢され得る。他の実施形態では、ばね付勢部材はキャップを流体送達位置に付勢してもよく、さらに他の実施形態では、ばね付勢部材はキャップを流体充填位置に付勢してもよい。
【0067】
様々な例では、キャップは、シリンジの遠位放出ネックの流体ノズル内に少なくとも部分的に嵌合するように構成されてもよい。例えば特定の実施形態では、内側キャップアセンブリは、少なくとも部分的に流体ノズルに挿入されてもよい。キャップとシリンジとの間の嵌合は流体密にすることができ、その結果、キャップとシリンジの流体ノズルとの間の接続部で流体の漏れが生じない。様々な例では、内側キャップアセンブリおよび/または外側キャップアセンブリは、本明細書に記載されるように、流体密封止を提供するために、1つ以上のOリングまたは他の封止機能部を含んでもよい。これらの実施形態によれば、内側キャップアセンブリは、流体ノズルに取り外し可能に挿入されてもよく、または例えば摩擦嵌合または接着剤により、流体ノズルに恒久的に挿入されてもよい。
【0068】
様々な実施形態によれば、シリンジは、前部装填シリンジまたは回転ダイアフラムシリンジであってもよく、その非限定的な例は本明細書に記載されている。
【0069】
本開示の他の実施形態は、流体インジェクタと共に使用するためのシリンジに関する。これらの実施形態によれば、シリンジは、医用流体を保持するための内部容積を画定する、近位端、遠位端、および近位端と遠位端との間の円筒状側壁と、遠位端の放出ノズルと、シリンジに摺動可能に関連するプランジャおよびシリンジの近位端壁の一方に位置し、流体インジェクタのピストンと解放可能に係合するように構成され得るピストン係合機能部と、放出ノズルに少なくとも部分的に挿入されるか、さもなければ係合し、流体を取り込んでシリンジから流体を送達するように構成されたキャップと、を含んでもよい。様々な実施形態によれば、キャップは、本明細書に記載されるシリンジキャップの任意の実施形態を含んでもよい。特定の実施形態では、シリンジは、流体インジェクタに関連する圧力ジャケット内に嵌合するように構成されてもよい。シリンジは、流体インジェクタの少なくとも1つの機能部と係合し、プランジャまたは端壁が近位方向に引き込まれるときに、外側キャップアセンブリは実質的に同じ横位置に留まり、シリンジと対応する内側キャップアセンブリが近位方向に摺動する距離を制限する近位面を有する少なくとも1つの保持機能部または保持フランジをさらに含んでもよい。特定の実施形態では、シリンジは、回転ダイアフラムシリンジであってもよい。他の実施形態では、シリンジは、医用流体インジェクタ用の前部装填シリンジであってもよい。
【0070】
他の実施形態では、流体入口経路および流体出口経路の少なくとも一方は、一方向逆止バルブを含んでもよい。例えば、流体入口経路が一方向逆止バルブを含む場合、そのバルブは、充填プロセス中にシリンジへの流体の流れを可能にするが、流体送達プロセス中に流体が流体入口経路から流出するのを防ぐように構成されてもよい。流体出口経路に一方向逆止バルブが含まれる場合、そのバルブは、送達プロセス中にシリンジからの流体の流出を可能にするが、流体充填動作中に流体が流体出口経路からシリンジに流入するのを防ぐように構成されてもよい。様々な実施形態によれば、一方向逆止バルブは、流体連通を可能にするために一方向逆止バルブが開く圧力を制御するために、ばね負荷または付勢されてもよい。様々な実施形態では、一方向逆止バルブは高圧クラッキングバルブであってもよい。
【0071】
特定の実施形態によれば、流体インジェクタ10は流体で満たされ、流体注入処置中に患者に流体を投与するように構成された圧縮可能な側壁、例えば回転ダイアフラム30を含む少なくとも1つのシリンジを含んでもよい(例えば図3を参照)。流体インジェクタは、少なくとも1つの圧力ジャケット16内に少なくとも1つのシリンジを受け入れるように構成されてもよい。圧力ジャケットは、通常、流体インジェクタポートと解放可能に係合するように構成された再利用可能な構成要素であり、シリンジは、通常、注入処置後に廃棄されるように構成された使い捨て構成要素である。流体インジェクタは、例えば流体入口経路を通して少なくとも1つのシリンジに流体を充填するための、少なくとも1つのバルク流体源を有してもよい。バルク流体源は、第1および第2のバルク流体源にそれぞれ含まれる第1または第2の流体で第1および第2のシリンジを充填するための、撮像造影剤などの第1の医用流体を含む第1のバルク流体源(図示略)、および生理食塩水などの第2の医用流体を含む第2のバルク流体源(図示略)であってもよい。少なくとも1つの流体経路セット17は、カテーテル、針、または血管アクセス部位で患者に挿入される他の流体送達接続(図示略)に接続されたチューブを通してシリンジから流体を送達するために、シリンジの遠位放出端のキャップの流体出口経路と流体接続されてもよい。シリンジへのおよびシリンジからの流体の流れは、流体インジェクタに関連する流体制御モジュール(図示略)によって、およびキャップの内側キャップアセンブリに対する外側キャップアセンブリの摺動可能な動きを引き起こすシリンジの近位または遠位の動きによって、調整されてもよい。流体制御モジュールは、注入流量、持続時間、総注入量、および/または造影剤と生理食塩水との比などのユーザが選択した注入パラメータに基づいて、患者に対する生理食塩水および造影剤などの医用流体の送達を調整するために、様々なピストンおよび/または流量調整構造を動作させてもよい。少なくとも1つの圧力ジャケット16およびシリンジ30を含む、本明細書に記載のシステムと共に使用するために使用または修正することができる適切な前部充填流体インジェクタの例は、特許文献2および特許文献3に開示されており、これらの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
図1を参照すると、自動または動力式流体インジェクタなどの流体インジェクタ10(以下では「インジェクタ10」と呼ぶ)が1つ以上のシリンジ12(以下では「シリンジ12と呼ぶ」)と連動するように適合され、造影剤、生理食塩水、または任意の所望の医用流体などの流体Fで満たされてもよい。インジェクタ10は、医療処置中に使用され、線形アクチュエータまたはピストン要素などのピストン19(図2に示す)などの駆動部材で各シリンジ12のプランジャ14を駆動することにより、患者の体内に医用流体を注入する。インジェクタ10は、2つ、3つまたはそれ以上のシリンジを有する多シリンジインジェクタであってもよく、いくつかのシリンジ12は、並置または他の関係で配向されてもよく、インジェクタ10に関連するそれぞれの駆動部材/ピストン19によって別々に作動されてもよい。例えば、並置または他の関係で配置され、2つの異なる流体で満たされた2つ以上のシリンジを備えた例では、インジェクタ10は、シリンジ12の一方または両方から流体を順次または同時に送達するように構成されてもよい。一実施形態によれば、流体インジェクタ10は、2つのシリンジ12a、12bを有するデュアルヘッドインジェクタ、すなわち、造影剤または他の医用流体を送達するための第1シリンジ12aと、造影剤を患者にフラッシュするために生理食塩水または他の医学的に承認された洗浄剤を送達するための第2シリンジ12bと、であってもよい。他の実施形態では、流体インジェクタ10は、3つのシリンジ12、すなわち、1つまたは2つの異なる造影剤または他の医用流体を送達するための第1および第2のシリンジと、患者への造影剤をフラッシュする生理食塩水または他の医学的に承認されたフラッシング剤を送達するための第3のシリンジと、を有してもよい。様々な実施形態によれば、流体インジェクタ10は、造影剤と生理食塩水を別々に送達するように構成されてもよい。(例えば、特定の時間にわたって特定の量の生理食塩水を送達し、その後に、特定の時間にわたって特定の量の造影剤を送達し、続いてチューブから患者に造影剤を流すために特定の時間にわたって第2の量の生理食塩水を送達する)。様々な実施形態によれば、流体インジェクタ10は、造影剤と生理食塩水を別々にまたは混合物として送達するように構成されてもよい。(例えば、特定の時間にわたって特定の量の生理食塩水を送達した後に、特定の時間にわたって特定の量の造影剤または特定の比率の造影剤と生理食塩水を送達し(つまり、「デュアルフロー」プロセスで)、その後に、チューブから患者に造影剤を流すために、指定された時間にわたって第2の量の生理食塩水が続く)。技術者は、特定の注入プロトコルをインジェクタにプログラムして(または事前に作成されたプロトコルを使用して)、各溶液について所望の流量、時間および量で、生理食塩水の所望の量、造影剤、造影剤と生理食塩水の混合物の特定の比率などを送達することができる。流体インジェクタ10は、シリンジ12を流体で満たすための少なくとも1つのバルク流体源(図示略)を有してもよく、特定の実施形態では、流体インジェクタ10は、複数のシリンジのそれぞれを所望の流体で満たすために、複数のシリンジのそれぞれに1つずつ、複数のバルク流体源を有してもよい。
【0073】
流体経路セット17は各シリンジ12と流体連通し、各シリンジ12から血管アクセス部位で患者に挿入されたカテーテル(図示略)に流体Fを送達するために各シリンジをカテーテルと流体連通させる。特定の実施形態では、1つ以上のシリンジ12からの流体の流れは、様々な駆動部材、バルブ、ストップコック、および流れ調整構造を作動させる流体制御モジュール(図示略)によって調整され、注入流量、持続時間、総注入量、シリンジ12からの流体の比率など、デュアルフローインジェクションプロトコルの各流体の特定の比率を含む、ユーザが選択した注入パラメータに基づいて、生理食塩水の送達と患者との造影剤を調整することができる。
【0074】
図2を参照すると、モータ31によって動かされる往復駆動ピストンなどの駆動部材19は、インジェクタハウジングの前端の開口部を通ってそれぞれのシリンジポート13に出入りするように構成されてもよい。複数のシリンジを含む流体インジェクタの実施形態では、各シリンジ12に対して分離した駆動部材/ピストン19を設けることができる。各駆動部材/ピストン19は、プランジャ14または回転ダイアフラムシリンジの遠位端などのシリンジ12の少なくとも一部に原動力を与えるように構成されている(例えば、国際出願PCT/US2017/056747号、特許文献3、および特許文献2に記載されており、これらの開示は本参照により本明細書に組み込まれる)。駆動部材またはピストン19は、モータ31によって駆動されるボールねじ軸、ボイスコイルアクチュエータ、ラックアンドピニオンギア駆動、リニアモータ、リニアアクチュエータなどの電気機械駆動構成要素を介して往復動作可能であってもよい。モータ31は電動モータであってもよい。
【0075】
適切な前部充填流体インジェクタ10の例は、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、および特許文献9、ならびに特許文献10および特許文献11に記載されており、それらの開示はその全体が参照により組み込まれる。
【0076】
流体インジェクタ10の特定の実施形態の一般的な構造および機能について説明したが、次に、インジェクタ10と共に使用するように構成されたシリンジ12の実施形態について、図2を参照して説明する。シリンジ12は一般に、ガラス、金属、または適切な医療グレードのプラスチック、望ましくは透明または実質的に半透明のプラスチック材料から形成された円筒状シリンジバレル18を有する。シリンジ12の材料は、望ましくは必要とされる引っ張り応力および平面応力要件、水蒸気透過性、ならびに化学的/生物学的適合性を満たすように選択される。バレル18は近位端20および遠位端24を有し、それらの間には、バレル18の中心を通って延在する長手方向軸15の長さに沿って側壁119が延在する。いくつかの例では、遠位端24は、円筒状バレル18から遠位方向に狭くなる円錐形状を有してもよい。流体ノズル22は遠位端24から延在する。バレル18は、内部に流体を受け入れるように構成された内部容積25を有する。バレル18の近位端20は、対応するピストン19または駆動部材の往復運動によりバレル18を通って往復運動可能であるプランジャ14で封止されてもよい。
【0077】
いくつかの例では、シリンジ12の近位端20は、インジェクタ10(図1に示す)のシリンジポート13に取り外し可能に挿入されるようにサイズが決められ適合され得る。いくつかの例では、シリンジ12の近位端20は、インジェクタ10のシリンジポート13に取り外し可能に挿入されるように構成された挿入セクション29を画定し、シリンジ12の残りの部分はシリンジポート13の外側に留まる。
【0078】
図3に示すようないくつかの例では、インジェクタ10は、インジェクタ10の各シリンジポート13内に圧力ジャケット16を受け入れて保持するように構成されてもよい。図1および図3は、2つのシリンジポート13を備えた流体インジェクタ10を示しているが、図3に示すインジェクタ10は、それぞれ対応する圧力ジャケット16を有し、流体インジェクタ10の他の例は、単一のシリンジポート13、およびオプションとして、対応する圧力ジャケット16、または任意の対応する数の圧力ジャケット16を備えた3つ以上のシリンジポート13を含むことができる。圧力ジャケットを含む実施形態では、各圧力ジャケット16は、血管造影(CV)処置用のシリンジ、または回転ダイアフラムシリンジ30などのシリンジを受け入れるように構成されてもよい(その適切な例は、国際出願PCT/US2017/056747号、特許文献3、および特許文献2に記載されている)。図1に示される流体経路セット17と同様の流体経路セットは、カテーテル、針、または血管アクセス部位で患者に挿入された他の流体送達接続(図示略)に接続されたチューブを介してシリンジ30から流体を送達するために、各回転ダイアフラムシリンジ30の排出端に流体接続されてもよい。様々な実施形態によれば、シリンジ12または30は、予め充填されたシリンジであってもよく、すなわちシリンジ製造業者によって提供されるときに、シリンジは、造影剤または生理食塩水などの医用流体が予め充填されていてもよい。特定の実施形態によれば、本明細書に記載されるように、注入処置の前に、充填済みシリンジを放出端にスパイクするか、さもなければ穿刺して、流体をシリンジから患者への流体ラインに放出できるようにする必要があり得る。
【0079】
図4Aおよび図4Bを参照すると、回転ダイアフラムシリンジ30は、一般に、内部容積38を画定する中空体36を含む。本体36は、前方または遠位端40、後方または近位端35、およびそれらの間に延在する可撓性側壁44を有する。本明細書に記載のように、近位端35は、ピストンとして作用してシリンジ内部を加圧し、そこから流体を引き込むかまたはそこから流体を放出するように構成されてもよい。回転ダイアフラムシリンジ30の側壁44は、流体インジェクタ10の駆動部材またはピストンの作用下で「回転ダイアフラム」としてそれ自体の上を転がるように構成された、柔らかく、柔軟または可撓性であるが自己支持体を画定する。駆動部材/ピストン19は、回転ダイアフラムシリンジ30の近位端35で駆動部材係合部46に解放可能に係合するように構成されてもよい(その例は国際出願PCT/US2017/056747号に記載されている)。動作中、側壁44は、駆動部材/ピストン19が近位端35を遠位方向に動かすにつれて、その外面が半径方向内向きに折り畳まれ反転するように回転し、駆動部材/ピストン19が近位端35を近位方向に引き込むにつれて、半径方向外側の方向に反対の方法で開かれ広げられるように構成される。
【0080】
引き続き図4Aおよび図4Bを参照すると、側壁44の後方または近位部分は閉鎖端壁34に接続し、側壁44の前方または遠位部分は閉鎖端壁34の反対側に放出ネック42を画定する。閉鎖端壁34は、側壁44の反転または回転の開始を容易にし、閉鎖端壁34の機械的強度を高め、および/または駆動部材/ピストン19の遠位端を収容する収容ポケットを提供する凹形状を有してもよい。例えば、閉鎖端壁34は、駆動部材/ピストン19の同様の形状の遠位端と直接連動するための受容端ポケットを画定してもよい。いくつかの例では、駆動部材/ピストン19の少なくとも一部は、閉鎖端壁34の形状に実質的に一致するように形作られてもよく、または遠位に動かされるときの駆動部材/ピストン19からの圧力が端壁34に適合して、駆動部材/ピストン19の少なくとも一部の形状に実質的に一致してもよい。
【0081】
端壁34は、実質的にドーム形状の構造を有する中央部分と、中央部分から近位に延在する駆動部材係合部46と、を有することができる。駆動部材係合部46は、例えば駆動部材/ピストンが引き込まれると、流体インジェクタ10の駆動部材/ピストン19上の対応する係合機能部と解放可能に相互作用するように構成される。回転ダイアフラムシリンジ30は、任意の適切な医療グレードのプラスチックまたはポリマー材料、望ましくは透明または実質的に半透明のプラスチック材料で作られてもよい。回転ダイアフラムシリンジ30の材料は、望ましくは必要とされる引っ張り応力および平面応力要件、水蒸気透過性、および化学的/生物学的適合性を満たすように選択される。
【0082】
本開示の特定の実施形態では、ワンピースデザインを有する圧力ジャケットが記載され、シリンジは、圧力ジャケットの遠位端から圧力ジャケットに挿入される。シリンジのネックは、シリンジが患者につながる流体ラインに接続されるように、圧力ジャケットの遠位端から突出していてもよい。圧力ジャケットの近位端は、通常、結合部材によって流体インジェクタに保持される。注入処置中に、シリンジの外壁は、シリンジに半径方向外向きの方向に作用する力により、圧力ジャケットの内壁に対して拡張する。さらに、シリンジは、シリンジに作用するピストンの軸方向の動きのために、高圧注入中に著しい軸方向の動きを経験する場合がある。シリンジのこのような軸方向の動きは望ましくなく、不正確な量の送達につながる可能性がある。
【0083】
図5および図6を参照すると、本明細書に記載の流体インジェクタと共に使用するための回転ダイアフラムシリンジ30は、一般に、前方または遠位端40、後方または近位端(図示略)、およびそれらの間に延在する回転ダイアフラムなどの可撓性側壁44を含む中空体を含む。使用時には、近位端は、圧力ジャケットの貫通孔に挿入されるように構成され、側壁44が圧力ジャケットの内面によって取り囲まれる。シリンジ30の遠位端40の少なくとも一部は、圧力ジャケット16の遠位端から露出していてもよい。いくつかの例では、ブロー成形技術を使用してシリンジ30を形成することができる。他の例では、シリンジ30は射出成形されてもよい。
【0084】
シリンジ30の遠位端40は、その近位端で閉鎖端壁34の反対側に放出ネック42を画定する。遠位端40は、側壁38から放出ネック42まで徐々に狭まる円錐台形状を有してもよい。保持フランジ43は、放出ネック42の円周面の周りに延在してもよい。保持フランジ43は、放出ネック42の円周面全体、または放出ネック42の円周面の少なくとも一部の周りに延在してもよい。保持フランジ43は、流体インジェクタの対応する機能部と相互作用して、端壁34が近位方向に引き込まれたときにシリンジが近位方向に摺動する距離を制限する近位面45を有してもよい。シリンジ30の近位端は、流体インジェクタ10の駆動部材と直接連動するように形作られてもよい。シリンジ30の側壁44は、駆動部材の作用下で回転ダイアフラムとしてそれ自体の上に展開し、巻き込むように構成された、柔らかく、柔軟、または可撓性であるが、自己支持体を画定する。特に、シリンジ30の側壁44は、駆動部材が遠位方向に移動すると、その外面が半径方向内向きに折り畳まれて反転するように回転し、駆動部材が近位方向に引っ込むと、その外面が半径方向外向きに反対方向に広がって展開するように構成される。
【0085】
引き続き図5および図6を参照すると、シリンジ30内への流体の流れを可能にするために、シリンジ30の放出ネック42に充填キャップ100を設けることができる。充填キャップ100は、ねじ込み接続、スナップ嵌合接続、摩擦嵌合接続、または他の任意の適切な取り外し可能な接続を介してシリンジ30の放出ネック42に取り外し可能に接続される。いくつかの例では、充填キャップ100をシリンジ30の放出ネック42に接続するために、任意に取り外し可能なクリップが提供されてもよい。充填キャップ100は、バルク流体源からのチューブに接続して流体がバルク流体源からシリンジ30に移動できるように構成された入口ポート102を含む。入口ポート102は、充填キャップ100の半径方向側に位置してもよい。クラッキング圧力バルブ104が充填キャップ100に設けられ、クラッキング圧力を超えると充填キャップ100を介してシリンジ30への流体の流れを可能にし、圧力のヘッド高さがクラッキング圧力未満であると充填キャップ100を通る流れを防止する。一例では、クラッキング圧力バルブ104は、スリットバルブまたは他の従来のクラッキング圧力バルブであってもよい。充填キャップ100はまた、充填キャップ100の外面の周りに少なくとも1つのガスケット106を含む。ガスケット106は、放出ネック42の内面と充填キャップ100との間に液密封止を形成するように構成される。充填キャップ100のベース部材108は、放出ネック42の内面に対してガスケット106を保持することができる。ベース部材108は、充填キャップ100内にクラッキング圧力バルブ104を保持することもできる。一例では、充填キャップ100の構成要素は、一体構造として互いに一体に成形されてもよい。別の例では、充填キャップ100の構成要素は、溶接、接着剤、締まり嵌合、1つ以上の留め具、またはそれらの組み合わせによって互いに接続されてもよい。充填キャップ100の遠位面105は、例えば充填キャップ100の遠位端の周囲の周りの実質的に平坦な表面として構成されてもよい。平坦面105は、保持ブラケット54の保持面と相互作用して、充填処置中に放出ネック42内に充填キャップ100を保持するように構成されてもよい。流れコントローラも充填キャップ100に設けられ、コアンダ効果に従ってその上を流れる流体がシリンジ30の内面に付着するのを促進するような大きさおよび形状とすることができる。コアンダ効果は、流体ジェットが近くの表面に引き付けられる傾向である。したがって、流体が流れコントローラを下ってシリンジ30に流れると、流体は自然にシリンジ30の内面に引き付けられる。シリンジ30の内面に沿ったこの流れは、流体がシリンジ30を充填する際に乱流を減少させるのを助け、シリンジ30が充填される際に気泡が形成されるのを低減させることを助ける。
【0086】
次に図7および図8を参照すると、シリンジ30がバルク流体源からの流体で満たされた後にシリンジ30から流体を分配できるように、シリンジ30の放出ネック42に分配キャップ110を設けることができる。分配キャップ110は、ねじ接続、スナップ嵌合接続、摩擦嵌合接続、ガスケット封止嵌合、または任意の他の適切な取り外し可能な接続を介してシリンジ30の放出ネック42に取り外し可能に接続される。いくつかの例では、分配キャップ110をシリンジ30の放出ネック42に接続するために、任意に取り外し可能なクリップが提供されてもよい。分配キャップ110は、シリンジ30から患者に流体を送達するために、血管アクセス部位で患者に挿入されるカテーテル、針、または他の流体送達接続(図示略)への配管に接続するように構成された出口ポート112を含む。出口ポート112は、分配キャップ110の半径方向側に位置してもよい。分配キャップ110はまた、分配キャップ110の外面の周りにガスケット114を含む。ガスケット114は、放出ネック42の内面と分配キャップ110との間に液密封止を形成するように構成される。
【0087】
引き続き図7および図8を参照すると、分配キャップ110は、キャップ外周部を画定する側壁の内面から延在する複数のリブ116を含む。キャップ外周部およびリブ116は、分配処置中に放出ネック42内に分配キャップ110を保持するために保持ブラケット54の保持面と相互作用するように構成された実質的に平坦な遠位面115を提供することができる。リブ116は、分配キャップ110の側壁によって画定されるキャビティ118内に突出している。一例では、リブ116は、キャビティ118の円周面の周りに放射状に配置されている。リブ116は、キャビティ118内に長さを延長してもよい。いくつかの例では、リブ116は、キャップ側壁の内面の周りに等しいまたは等しくない角度間隔で互いに離間されてもよい。一例では、リブ116は、キャビティ118内に延びて、キャビティ118の中心点で出会う。別の例では、リブ116は、キャビティ118内で「ワッフル」または格子構成で構成される。リブ116は、シリンジ30と係合したときにシリンジ保持機能部(本明細書で説明する)が分配キャップ110に接触することができる追加の表面領域および構造的支持を提供するために分配キャップ110に設けられる。増加した表面領域は、分配プロセス中にシリンジ30が受ける圧力に起因する分配キャップ110内の応力点を低減するために、分配キャップ110のより大きい表面にわたって保持力を広げる。いくつかの例では、キャップ側壁またはリブ116の少なくとも一部は、分配キャップ110の所定の部分における局所的な力を低減するために、側壁またはリブ116の残りの部分に対して近位方向に、例えば流体出口ポート112の周りに軸方向に窪んでいてもよい。
【0088】
本明細書に記載のシリンジキャップの様々な実施形態を参照すると、図5図13に示すように、保持ブレース50および/または保持ブラケット54などのシリンジ保持機構、あるいは2018年9月11日に出願された「Injector Syringe Interface」という名称の米国仮出願第62/729,642号に記載されているシリンジ保持機構のいずれかが、シリンジ30を圧力ジャケット16またはシリンジポートに保持するために流体インジェクタに提供され、例えば、流体の充填および/または分配中のシリンジ30の軸方向の遠位および/または近位の動きを、本明細書に記載の摺動可能なキャップアセンブリの距離制限内に制限する。保持ブレース50は、対応するシリンジ30の放出ネック42および/または放射状フランジ43に係合するように構成された凹状部材52を含んでもよい。凹状部材52は、シリンジ30の放出ネック42に形状および寸法が対応する凹部を含んでもよい。保持ブレース50は、保持ブレース50がシリンジ30から取り外される開位置と、保持ブレース50がシリンジ30の放出ネック42と係合する閉位置と、の間を移動することができる。閉位置では、凹状部材52は、フランジ43の下の放出ネック42と係合して、シリンジ30が圧縮状態にあるときにシリンジ30の充填プロセス中にシリンジ30が圧力ジャケットに引き込まれる距離を制限することができる。一例では、開位置と閉位置との間の保持ブレース50の動きは、流体インジェクタに関連するコントローラによって自動化されてもよい。別の例では、開位置と閉位置との間の保持ブレース50の動きは、ユーザが手動で作動させてもよい。保持ブレース50のアームは、シリンジ30が流体インジェクタ内の所望の位置を割り出すのを助けるテーパー面を含んでもよい。この構成を使用すると、流体インジェクタ内のシリンジ30の垂直方向に関係なく、テーパー面はシリンジ30の適切な垂直高さを割り出すように機能する。別の態様では、保持ブラケット54は、保持ブレース50上のウェッジ(図示略)を拘束して、シートに対して遠位方向に割り出してもよい。
【0089】
様々な実施形態によれば、保持ブラケット54は、第1の閉位置と第2の開位置との間で移動可能であってもよい。閉位置では、保持ブラケット54は、充填キャップ100、分配キャップ110、または保持フランジ43のうちの1つの遠位端34と係合する。シリンジ30を圧力ジャケット16内で長手方向に保持し、注入処置中のシリンジ30の圧力ジャケット16に対する軸方向の移動を制限する。特定の態様では、保持ブラケット54は、注入処置中にシリンジ30の近位端を動かすピストンに関連する圧力の少なくとも一部に対抗してもよい。開位置では、保持ブラケット54は、シリンジ30を圧力ジャケット16に挿入/取り外しができるように、キャップに対して上方に持ち上げたり、キャップから横方向に離れたりすることにより、充填キャップ100または分配キャップ110との接触から離れる。いくつかの例では、保持ブラケット54は、開位置と閉位置との間で旋回してもよい。他の例では、保持ブラケット54は静止していてもよく、少なくとも1つの圧力ジャケット16はシリンジ30と共に保持ブラケット54に対して移動し、シリンジ30の遠位端34を保持ブラケット54に係合させる。保持ブラケット54は、流体インジェクタ内でキャップ100、110の正しい向きを割り出すのを助ける。この構成を使用すると、シリンジ30上に置かれたときのキャップ100、110の軸方向位置に関係なく、保持ブラケット54はキャップ100、110に接触してそれらを近位方向に軸方向に移動させる。キャップ100、110のこのような軸方向の動きは、キャップ100、110がそれぞれシリンジ30の遠位端34上の同じ位置に配置され、シリンジ30との適切な封止を保証するように制御することができる。保持ブラケット54と、充填キャップ100および/または分配キャップ110の平坦な遠位面105および/または115とのそれぞれの相互作用により、充填および/または注入処置中に圧力ジャケット内にシリンジ30を維持するための、圧力ジャケットと別個の圧力ジャケットキャップとの間の係合相互作用の必要性を排除することができる。分配キャップ110と保持ブラケット54との組み合わせは、注入処置またはプライミング/パージ処置中にシリンジ30の近位端に加えられる約600psiまでの圧力に対抗することができる。
【0090】
再び図5から図8を参照して、保持ブラケット54および保持ブレース50の動作について説明する。図1および図2に示すように、充填キャップ100は、シリンジ30の放出ネック42に接続されている。充填キャップ100がシリンジ30に接続された後に、保持ブレース50および保持ブラケット54は、独立してまたは同時に閉位置に移動して、フランジ43の近位端および充填キャップ100の遠位端にそれぞれ接触する。保持ブレース50は、充填処置中にシリンジ30が近位方向に圧力ジャケット16内に移動するのを防ぐのに役立ち、一方、保持ブラケット54は、注入処置中にシリンジ30が遠位方向に移動しないように保持する。
【0091】
図6および図8に示すように、保持ブラケット54を移動させて充填キャップ100と係合させる前、その後、またはその間に、保持ブレース50を延ばしてシリンジ30の放出ネック42と係合させる。保持ブレース50は、フランジ43の近位面に対して放出ネック42を係合するように延長および配置される。保持ブラケット54は、充填キャップ100の遠位面と係合し、充填キャップ100がシリンジ30の遠位端34と完全に係合する位置に充填キャップ100を移動させる。使用中、保持ブレース50は、シリンジ30が流体で充填されているときに、シリンジ30の近位方向への軸方向の動きを防ぐように構成される。そのような処置の間、流体インジェクタの駆動部材は、シリンジ30の端壁を10~300lbsの力で近位方向に引っ張る。保持ブレース50は、保持ブレース50がシリンジ30のフランジ43の近位面と係合するために、シリンジ30の遠位端34が近位方向に移動するのを抑制する。このようにして、圧力ジャケットに対する近位方向へのシリンジ30の移動を防ぐことができる。シリンジ30を充填した後に、保持ブラケット54は、本明細書に記載のステップを逆にすることにより、手動または自動で第2の(閉)位置から第1の(開)位置に持ち上げることができる。いくつかの例では、保持ブラケット54の第2の(閉)位置から第1の(開)位置への移動は、シリンジ30から流体を分配する準備として充填キャップ100を自動的に取り外すことができる。
【0092】
流体分配動作は、充填動作と同様の方法で実行することができ、保持ブラケット54は、分配キャップ110に接触するために、第1の(開)位置から第2の(閉)位置に移動する。
【0093】
別の実施形態では、シリンジキャップは、第1の充填構成505と第2の送達構成506との間で切り替えまたは摺動するように構成されてもよい。図9Aおよび図9Bを参照して、摺動式シリンジキャップ500の一態様が説明される。最初に図9Aを参照すると、第1の充填位置505にある摺動式シリンジキャップ500が示されている。摺動式シリンジキャップ500は、回転ダイアフラムシリンジ30の遠位放出ネック42と流体密接続されているように示されている。流体密接続は、Oリングまたは他の流体封止構成の使用によって影響を受ける可能性があり、および/または内側キャップアセンブリ510が摩擦嵌合、接着またはレーザー溶接、ねじ嵌合、または他の方法でシリンジ30の放出ネック42に取り付けられてもよい。摺動式キャップ500は、外側キャップアセンブリ520と摺動可能に係合する内側キャップアセンブリ510を含む。内側キャップアセンブリ510は、内側送達流体経路515、シリンジ流体経路550、ピン570、および流れコントローラ560を含む。外側キャップアセンブリ520は、流体入口経路530、流体出口経路540、ピン当接機能部575、および保持ブラケット54の保持表面と相互作用する平坦な遠位面525を含む。内側キャップアセンブリ510の内側送達流体経路515は、内側送達流体経路515と外側キャップアセンブリ520の流体出口経路540または外側キャップアセンブリ520の内面との間に流体密封止を提供するために少なくとも1つのOリング527を含んでもよい。
【0094】
図9Aを参照すると、第1の充填位置505にあるキャップが示されている。第1の充填位置505では、充填処置中に流体入口経路530とシリンジ30の内部との間に流体連通が確立される。流体容器が、流体送達ラインによって流体入口経路530に取り付けられ、流体はシリンジ30に流れ込むことができる。特に、ピン570およびピン当接機能部575は、流体が流体容器からシリンジ30に流れることを可能にするために、分離された位置に配置される。第1の充填位置では、内側送達流体経路515と流体出口経路540との間の流体連通が防止される。流体は、流れコントローラ560を通過してシリンジに流れ込み、これにより、流体がシリンジ30の内側側壁を流れ落ちる。
【0095】
図9Bは、第2の送達位置506にあるキャップを示している。第2の送達位置506では、外側キャップアセンブリ520は内側キャップアセンブリ510に対して近位方向に摺動して、内側送達流体経路515とシリンジ30、およびシリンジ流体経路550を介した流体出口経路540との間の流体連通を可能にする。Oリング527によって確立された流体密接続。流体入口経路530とシリンジ流体経路550との間の流体連通は、ピン570とピン当接機能部575との当接により防止される。
【0096】
別の実施形態では、シリンジキャップ600は、第1の充填構成605、第2の送達位置606、および第3の閉構成607の間で切り替えまたは摺動するように構成されてもよく、シリンジ30の内部といずれかの流体経路との間の流体連通が防止される。図10A図10B、および図10Cを参照して、摺動式シリンジキャップ600の一態様が説明される。最初に図10Aを参照すると、第1の充填位置605にある摺動式シリンジキャップ600が示されている。摺動式シリンジキャップ600は、回転ダイアフラムシリンジ30の遠位放出ネック42と流体密接続で示されている。流体密接続は、Oリングまたは他の流体封止構成の使用によって影響を受ける可能性があり、および/または内側キャップアセンブリ610が摩擦嵌合、接着またはレーザー溶接、ねじ嵌合、または他の方法でシリンジ30の放出ネック42に取り付けられてもよい。摺動式キャップ600は、外側キャップアセンブリ620と摺動可能に係合する内側キャップアセンブリ610を含む。内側キャップアセンブリ610は、内側充填経路635、内側送達流体経路615、シリンジ流体経路650、および流れコントローラ660を含む。外側キャップアセンブリ620は、流体入口経路630、流体出口経路640、および保持ブラケット54の保持表面と相互作用する平坦な遠位面625を含む。特定の実施形態では、外側キャップアセンブリ620または外側キャップアセンブリ620の内面の、内側充填経路635と内側送達流体経路615との間、および流体入口経路630と流体出口経路640との間にそれぞれ流体密封止を提供するために、内側キャップアセンブリ610の内側充填経路635および内側送達流体経路615は、少なくとも1つのOリング(図示略)を含んでもよい。
【0097】
図10Aを参照すると、第1の充填位置605にあるキャップが示されている。第1の充填位置では、充填処置中に流体入口経路630とシリンジ30の内部との間に内側充填経路635を介して流体連通が確立される。流体容器が、流体送達ラインによって流体入口経路630に取り付けられ、流体はシリンジ30に流れ込むことができる。特に、流体が流体容器からシリンジ30に流れることを可能にするために、流体入口経路630と内側充填経路635との間に流体連通が確立される。Oリング(図示略)または他の封止機能部により、流体入口経路630と内側充填経路635との間に流体密接続を形成することができる。第1の充填位置では、内側送達流体経路615と流体出口経路640との間の流体連通が防止される。流体は、流れコントローラ660を通過してシリンジに流れ込み、これにより、流体がシリンジ30の内側側壁を流れ落ちる。流体出口経路640からの流体の流れは、例えば一方向バルブ741または他の流れ防止装置(バルブ、ストップコック、またはクランプなど)によって遮断されてもよい。
【0098】
図10Bは、第2の送達位置606にあるキャップを示している。第2の送達位置606では、外側キャップアセンブリ620は内側キャップアセンブリ610に対して近位方向に摺動して、内側送達流体経路615とシリンジ30、およびシリンジ流体経路650を介した流体出口経路640との間の流体連通を確立する。Oリング(図示略)または他の封止機能部により、流体出口経路640と内側送達経路615との間に流体密接続を形成することができる。第2の送達位置では、内側充填流体経路635と流体入口経路630との間の流体連通が防止される。
【0099】
図10Cは、第3の閉位置607にあるキャップを示している。第3の閉位置607では、外側キャップアセンブリ620は内側キャップアセンブリ610に対して遠位方向に摺動して、内側送達流体経路615とシリンジ30と流体出口経路640との間の流体連通を防止し、また、内側充填流体経路635とシリンジ30と流体入口経路630との間の流体連通を防止する。したがって、第3の閉位置607では、シリンジの内部容積は、流体経路630、640から流体的に隔離される。したがって、ピストンを介してシリンジ30に加えられる力は、シリンジ30内の流体の圧力を増加させ、シリンジ30から流体を送達しない。
【0100】
図11Aから図11Fを参照して、摺動可能なシリンジキャップ705の別の実施形態について説明する。図11Aは、回転ダイアフラムシリンジ30の放出ネック42に取り付けられた摺動可能なシリンジキャップ705の上面斜視図である。摺動可能なシリンジキャップ705は、流体入口経路730および流体出口経路740を含む外側キャップアセンブリ720を含む。外側キャップアセンブリ720はまた、流体インジェクタ上の対応するキャップ保持機能部(図示略)と係合する係合機能部として作用して、キャップ保持機能部と係合したときのシリンジの軸方向の遠位移動を防ぐ遠位面725を含む。シリンジ30は、端壁46が近位方向に引き込められたときにシリンジが近位方向に摺動する距離を制限するために、可撓性側壁44と、放出ネック42の円周面の周りに延在し、流体インジェクタの対応する機能部と相互作用するための近位面45を有する保持フランジ43と、を含む。
【0101】
図11Bを参照すると、摺動可能なシリンジキャップ705の分解図が示されている。シリンジキャップ705は、流体入口経路730、流体出口経路740、および遠位面725を含む外側キャップアセンブリ720を含む。内側キャップアセンブリ710は、外側キャップアセンブリ720の近位端に摺動可能に収容されて示されており、内側キャップアセンブリ710の外面の周りの円周溝719に位置するOリング714によって流体密封止が提供される。Oリング716は、内側キャップアセンブリ710の遠位端に配置され、キャップ流体入口経路が閉位置にあるとき、流体入口経路730で流体密封止を提供する。分流器760は、シリンジ30の放出ネック42に挿入され、放出ネック42内に接着剤で固定されるかまたは摩擦嵌合されてもよい。内側キャップアセンブリ710は、放出ネック42に部分的に挿入され、放出ネック42の内面と内側キャップアセンブリ710の外側近位面との間に流体密封止を形成するためのOリング712を含む。内側キャップアセンブリ710は、内側キャップアセンブリをシリンジ30の放出ネック42に固定するために、シリンジ30の遠位端でキャップ固定フランジ40の周りにクリップするための1つ以上のクリップ711をさらに含む。
【0102】
図11Cおよび図11Dは、流体入口経路730とシリンジ30の内部との間に流体連通が確立される第1の充填位置にある摺動可能なシリンジキャップ705を示す。図11Cおよび詳細な図11Dに示すように、外側キャップアセンブリ720は内側キャップアセンブリ710に対して遠位方向に摺動され、流体経路は遠位端の周囲の流体入口経路730および内側キャップアセンブリ710の封止Oリング716を通して確立される。次いで流体は、内側通路735を通って内側キャップアセンブリ710の内部に流れ、分流器760を過ぎて、流体充填プロセスでシリンジ壁30の近位端壁が近位方向に引き込まれるにつれてシリンジ30の内部に流れる。シリンジ壁30の近位端壁が流体充填プロセスで近位方向に引かれるとき、外側キャップアセンブリ720は内側キャップアセンブリ710に対して遠位に摺動して、流体入口経路730とシリンジ30の内部との間の流体連通を提供する。Oリング714による外側キャップアセンブリ720と内側キャップアセンブリ710との間の流体密であるが摺動可能な封止。
【0103】
図11Eおよび図11Fは、シリンジ30の内部と流体出口経路740との間に流体連通が確立される第2の送達位置にある摺動可能なシリンジキャップ705を示す。図11Eおよび詳細な図11Fに示すように、外側キャップアセンブリ720は、内側キャップアセンブリ710に対して近位方向に摺動され、流体出口経路740を通る流体経路が確立される。図11Fに詳細に示すように、内側キャップアセンブリ710の遠位端および封止Oリング716は、流体入口経路730の近位面に封止可能に当接し、それにより、流体入口経路730とシリンジ30の内部との間の流体連通を防ぐ。次に流体は、シリンジ壁30の近位端壁が流体送達プロセスで遠位方向に移動すると、シリンジ30の内部から内側キャップアセンブリ710、および内側通路735を通って流体出口経路740から流出する。シリンジ壁30の近位端壁が流体送達プロセスで遠位方向に移動すると、例えば外側キャップアセンブリ720が軸方向に固定されたままであり、シリンジ30および内側キャップアセンブリ710が軸方向遠位方向に移動することにより、外側キャップアセンブリ720が内側キャップアセンブリ710に対して近位に摺動して、シリンジ30の内部と流体出口経路740との間に流体連通を提供する。ピストンの往復運動により、シリンジ30および内側キャップアセンブリ710の遠位および近位の往復運動が生じ、外側キャップアセンブリ720が内側キャップアセンブリ710に対してそれぞれ近位および遠位に摺動し、シリンジ30の内部と流体出口経路740と流体入口経路730とのそれぞれの間の流体連通を選択的に提供する。
【0104】
図12Aから図12Cを参照して、摺動可能なシリンジキャップ805の実施形態について説明する。図12Aは、回転ダイアフラムシリンジ30の放出ネック42に取り付けられた摺動可能なシリンジキャップ805の側面切断図である。摺動可能なシリンジキャップ805は、流体入口経路830および流体出口経路840を含む外側キャップアセンブリ820を含む。外側キャップアセンブリ820はまた、流体インジェクタ上の対応するキャップ保持機能部(図示略)と係合する係合機能部として作用して、キャップ保持機能部と係合したときの外側キャップアセンブリ820の軸方向移動を防ぐ遠位面825を含む。シリンジ30は、端壁46が近位方向に引き込められたときにシリンジが近位方向に摺動する距離を制限するために、可撓性側壁44と、放出ネック42の円周面の周りに延在し、流体インジェクタの対応する機能部と相互作用するための近位面45を有する保持フランジ43と、を含む。
【0105】
引き続き図12Aから図12Cを参照すると、摺動可能なシリンジキャップ805は、外側キャップアセンブリ820および内側キャップアセンブリ810を含む。内側キャップアセンブリ810は、シリンジ30の放出ネック42内に受け入れられ、例えば、摩擦嵌合、接着剤、または他の方法で放出ネック42の内壁に接着されることにより固定されてもよい。Oリング814による外側キャップアセンブリ820と内側キャップアセンブリ810との間の流体密であるが摺動可能な封止。分流器(図12Aから図12Cには図示略)がシリンジ30の放出ネック42に挿入され、放出ネック42内に接着剤で固定されてもよい。内側キャップアセンブリ810は、放出ネック42に挿入され、放出ネック42の内面と内側キャップアセンブリ810の外側近位面との間に、例えば接着剤または摩擦嵌合により、緊密な封止を形成する。
【0106】
図12Aは、流体入口経路830とシリンジ30の内部との間に流体連通が確立される第1の充填位置にある摺動可能なシリンジキャップ805を示す。内側キャップアセンブリは、入口閉鎖部材835および出口閉鎖部材845を含む。入口閉鎖部材835は、流体入口経路830の封止表面822と流体密封止係合を作り出すための封止表面837を有する第1の部分834を含む。図12Aに示すように、流体入口経路830の封止表面837と封止表面822との間に流体密封止はない。入口閉鎖部材835は、弾性コネクタ部材833と、内側キャップアセンブリ810に接続された第2の部分832と、をさらに含む。図12Aに示すように、弾性コネクタ部材833は、閉位置にないときに弛緩位置にある。出口閉鎖部材845は、流体出口経路840の封止表面823との流体密封止係合を作り出すための封止表面847を有する第1の部分844を含む。図12Aに示すように、流体出口経路840の封止表面847と封止表面823との間に流体密封止が存在する。出口閉鎖部材845は、弾性コネクタ部材843と、内側キャップアセンブリ810に接続された第2の部分842と、をさらに含む。図12Aに示すように、弾性コネクタ部材843は、閉位置にあるときに伸張位置にあり、伸張弾性コネクタ部材843は、流体出口経路840の封止表面823に対して第1の部分844の封止表面847を引っ張る。
【0107】
図12Aに示すように、外側キャップアセンブリ820は、内側キャップアセンブリ810に対して遠位方向に摺動し、流体入口経路830を通って、第1の部分834と入口閉鎖部材835の封止表面837、822の周りに流体経路が確立される。次に、流体は内側キャップアセンブリ810の内部に流れ込み、分流器(図示略)を過ぎて、流体充填プロセスでシリンジ壁30の近位端壁が近位方向に引き込まれるにつれてシリンジ30の内部に流れる。シリンジ壁30の近位端壁が流体充填プロセスで近位方向に引かれるとき、外側キャップアセンブリ820は内側キャップアセンブリ810に対して遠位に摺動して、流体入口経路830とシリンジ30の内部との間の流体連通を提供する。同時に、外側キャップアセンブリ820が内側キャップアセンブリ810に対して遠位方向に摺動すると、出口閉鎖部材845の弾性コネクタ部材843が、第1の部分844の封止表面847を引き伸ばして流体出口経路840の封止表面823に対する流体密封止にする。
【0108】
図12Bは、外側キャップアセンブリ820が内側キャップアセンブリ810に対して近位方向に移動するときに、流体出口経路840とシリンジ30の内部との間に流体連通が確立される第1の送達位置にある摺動可能なシリンジキャップ805を示す。図12Bに示すように、流体入口経路830の封止表面837と封止表面822との間に流体密封止が形成されるため、入口閉鎖部材835は閉位置にある。弾性コネクタ部材833が圧縮状態にあり、封止表面837を流体入口経路830の封止表面822に押し付けると、封止が生じる。図12Bに示すように、出口閉鎖部材845の弾性コネクタ部材843が弛緩位置にあり、第1の部分844の封止表面847を流体出口経路840の封止表面823に対して引っ張らないので、流体出口経路840の封止表面847と封止表面823との間に封止はない。
【0109】
図12Bに示すように、外側キャップアセンブリ820が内側キャップアセンブリ810に対して近位方向に摺動されると、流体出口経路840を通る流体経路が確立される。流体は弾性コネクタ部材843を通り、内側キャップアセンブリ810の内部から、第1の部分844および出口閉鎖部材845の封止表面847、823の周りを流れ、流体出口バルブ840に流れる。シリンジ壁30の近位端壁が流体送達プロセスで遠位方向に移動すると、外側キャップアセンブリ820が内側キャップアセンブリ810に対して近位方向に摺動して、流体出口経路840とシリンジ30の内部との間の流体連通を提供する。同時に、外側キャップアセンブリ820が内側キャップアセンブリ810に対して近位方向に摺動すると、入口閉鎖部材835の弾性コネクタ部材833が、第1の部分834の封止表面837を圧縮し押し込んで、流体入口経路830の封止表面822に対する流体密封止にする。
【0110】
図12Cは、流体連通が流体出口経路840とシリンジ30の内部との間、および流体入口経路830とシリンジ30の内部との間で遮断される第3の閉位置にある摺動可能なシリンジキャップ805を示す。図12Cに示すように、流体入口経路830の封止表面837と封止表面822との間に流体密封止が形成されるため、入口閉鎖部材835は閉位置にある。さらに、流体密封止が流体出口経路840の封止表面847と封止表面823との間に形成されるため、出口閉鎖部材845も閉位置にある。図12Cに示すように、第3の閉位置は、第1の充填位置と第2の送達位置との間で内側キャップアセンブリ810に対して摺動可能に配置された位置に外側キャップアセンブリ820を有する。
【0111】
図13Aから図13Cを参照して、摺動可能なシリンジキャップ905の実施形態について説明する。図13Aは、回転ダイアフラムシリンジ30の放出ネック42に取り付けられた摺動可能なシリンジキャップ905の側面切断図である。摺動可能なシリンジキャップ905は、流体入口経路930および流体出口経路940を含む外側キャップアセンブリ920を含む。外側キャップアセンブリ920はまた、流体インジェクタ上の対応するキャップ保持機能部(図示略)と係合する係合機能部として作用して、キャップ保持機能部と係合したときの外側キャップアセンブリ920の軸方向移動を防ぐ遠位面925を含む。シリンジ30は、端壁46が近位方向に引き込められたときにシリンジが近位方向に摺動する距離を制限するために、可撓性側壁44と、放出ネック42の円周面の周りに延在し、流体インジェクタの対応する機能部と相互作用するための近位面45を有する保持フランジ43と、を含む。
【0112】
引き続き図13Aから図13Cを参照すると、摺動可能なシリンジキャップ905は、外側キャップアセンブリ920および内側キャップアセンブリ910を含む。内側キャップアセンブリ910は、シリンジ30の放出ネック42内に受け入れられ、例えば摩擦嵌合、接着剤、または他の方法で放出ネック42の内壁に接着されることにより固定されてもよい。Oリング914による外側キャップアセンブリ920と内側キャップアセンブリ910との間の流体密であるが摺動可能な封止。分流器(図13Aから図13Cには図示略)がシリンジ30の放出ネック42に挿入され、放出ネック42内に接着剤で固定されてもよい。内側キャップアセンブリ910は、放出ネック42に挿入され、放出ネック42の内面と内側キャップアセンブリ910の外側近位面との間に、例えば接着剤または摩擦嵌合により、緊密な封止を形成する。
【0113】
図13Aは、流体入口経路930とシリンジ30の内部との間に流体連通が確立される第1の充填位置にある摺動可能なシリンジキャップ905を示す。内側キャップアセンブリは、入口閉鎖部材935および出口閉鎖部材945を含む。入口閉鎖部材935および出口閉鎖部材945の各々は、入口閉鎖部材935の第2の部分932および出口閉鎖部材945の第2の部分942から延在する複数の屈曲可能な脚部954、952をそれぞれ含む。入口閉鎖部材935の複数の屈曲可能な脚部954は、第1の脚端部で入口閉鎖部材935に取り付けられ、流体入口経路930の遠位面に当接する第2の脚端部を有し、さらに第1の部分と第2の部分との間に位置する可撓性屈曲部分を有する。入口閉鎖部材935の開位置では、複数の脚部954は屈曲構成にある。入口閉鎖部材935は、流体入口経路930の封止表面922と流体密封止係合を作り出すための封止表面937を有する第1の部分934を含む。図13Aに示すように、流体入口経路930の封止表面937と封止表面922との間に流体密封止はない。入口閉鎖部材935は、弾性コネクタ部材933と、内側キャップアセンブリ910に接続された第2の部分932と、をさらに含む。図13Aに示すように、弾性コネクタ部材933は、閉位置にないときに弛緩位置にある。出口閉鎖部材945は、流体出口経路940の封止表面923との流体密封止係合を作り出すための封止表面947を有する第1の部分944を含む。出口閉鎖部材945の複数の屈曲可能な脚部952は、第1の脚端部で出口閉鎖部材945に取り付けられ、外側キャップアセンブリ920の近位面に隣接する第2の脚端部を有し、さらに第1の部分と第2の部分との間に配置された可撓性屈曲部分を有する。図13Aに示すように、流体出口経路940の封止表面947と封止表面923との間に流体密封止がある。出口閉鎖部材945は、弾性コネクタ部材943と、内側キャップアセンブリ910に接続された第2の部分942と、をさらに含む。図13Aに示すように、複数の屈曲可能な脚部952は、閉位置にあるときに弛緩位置にあり、弾性コネクタ部材943は、流体出口経路940の封止表面923に対して第1の部分944の封止表面947を配置するように構成される。
【0114】
図13Aに示すように、外側キャップアセンブリ920は、内側キャップアセンブリ910に対して遠位方向に摺動し、流体入口経路930を通り、複数の脚部954を通って、第1の部分934と入口閉鎖部材935の封止表面937、922の周りに流体経路が確立される。次に、流体は内側キャップアセンブリ910の内部に流れ込み、分流器(図示略)を過ぎて、流体充填プロセスでシリンジ壁30の近位端壁が近位方向に引き込まれるにつれてシリンジ30の内部に流れる。シリンジ壁30の近位端壁が流体充填プロセスで近位方向に引かれるとき、入口閉鎖部材935上の複数の屈曲可能な脚部954が弛緩し、外側キャップアセンブリ920が内側キャップアセンブリ910に対して遠位に摺動して、流体入口経路930とシリンジ30の内部との間の流体連通を提供する。同時に、外側キャップアセンブリ920が内側キャップアセンブリ910に対して遠位方向に摺動すると、出口閉鎖部材945の弾性コネクタ部材943が、第1の部分944の封止表面947を少なくとも部分的に引き伸ばして流体出口経路940の封止表面923に対する流体密封止にする。
【0115】
図13Bは、外側キャップアセンブリ920が内側キャップアセンブリ910に対して近位方向に移動するときに、流体出口経路940とシリンジ30の内部との間に流体連通が確立される第1の送達位置にある、摺動可能なシリンジキャップ905を示す。図13Bに示すように、関連する複数の屈曲可能な脚部954が弛緩した位置移動する間、流体入口経路930の封止表面937と封止表面922との間に流体密封止が形成されるため、入口閉鎖部材935は閉位置にある。弾性コネクタ部材933が圧縮状態にあり、封止表面937を流体入口経路930の封止表面922に押し付けることにより、封止が生じる。図13Bに示すように、流体出口経路940について、複数の屈曲可能な脚部952は屈曲した構成にあり、出口閉鎖部材945の弾性コネクタ部材943が弛緩位置にあり、第1の部分944の封止表面947を流体出口経路940の封止表面923に対して引っ張らないので、流体出口経路940の封止表面947と封止表面923との間に封止はない。
【0116】
図13Bに示すように、外側キャップアセンブリ920が、内側キャップアセンブリ910に対して近位に摺動され、流体出口経路940を通る流体経路が確立される。流体は、内側キャップアセンブリ910の内部から屈曲可能な脚部952を通り過ぎて、第1の部分944および出口閉鎖部材945の封止表面947、923の周りを流れ、流体出口バルブ940に流れる。シリンジ壁30の近位端壁が流体送達プロセスで遠位方向に移動すると、外側キャップアセンブリ920が内側キャップアセンブリ910に対して近位方向に摺動して、流体出口経路940とシリンジ30の内部との間の流体連通を提供する。同時に、外側キャップアセンブリ920が内側キャップアセンブリ910に対して近位に摺動すると、複数の屈曲可能な脚部954が弛緩し、入口閉鎖部材935の弾性コネクタ部材933が、第1の部分934の封止表面937を圧縮し押し込んで、流体入口経路930の封止表面922に対する流体密封止を形成する。
【0117】
図13Cは、流体連通が流体出口経路940とシリンジ30の内部との間、および流体入口経路930とシリンジ30の内部との間で遮断される第3の閉位置にある、摺動可能なシリンジキャップ905を示す。図13Cに示すように、流体密封止が流体入口経路930の封止表面937と封止表面922との間に形成されるため、入口閉鎖部材935は閉位置にある。さらに、流体密封止が流体出口経路940の封止表面947と封止表面923との間に形成されるため、出口閉鎖部材945も閉位置にある。図13Cに示すように、第3の閉位置は、第1の充填位置と第2の送達位置との間で内側キャップアセンブリ910に対して摺動可能に配置された位置に外側キャップアセンブリ920を有する。
【0118】
図14Aから図14Cを参照して、摺動可能なシリンジキャップ1005の実施形態について説明する。図14Aは、回転ダイアフラムシリンジ30の放出ネック42に取り付けられた摺動可能なシリンジキャップ1005の側面切断図である。摺動可能なシリンジキャップ1005は、流体入口経路1030および流体出口経路1040を含む外側キャップアセンブリ1020を含む。外側キャップアセンブリ1020はまた、流体インジェクタ上の対応するキャップ保持機能部(図示略)と係合する係合機能部として作用し、キャップ保持機能部と係合したときの外側キャップアセンブリ1020の軸方向移動を防ぐ遠位面1025を含む。シリンジ30は、端壁46が近位方向に引き込められたときにシリンジが近位方向に摺動する距離を制限するために、可撓性側壁44と、放出ネック42の円周面の周りに延在し、流体インジェクタの対応する機能部と相互作用するための近位面45を有する保持フランジ43と、を含む。
【0119】
引き続き図14Aから図14Cを参照すると、摺動可能なシリンジキャップ1005は、外側キャップアセンブリ1020および内側キャップアセンブリ1010を含む。内側キャップアセンブリ1010は、シリンジ30の放出ネック42内に受け入れられ、例えば摩擦嵌合、接着剤、または他の方法で放出ネック42の内壁に接着されることにより固定されてもよい。Oリング1014により、外側キャップアセンブリ1020と内側キャップアセンブリ1010との間に流体密であるが摺動可能な封止が形成される。内側キャップアセンブリ1010に組み込まれ得る分流器1060は、シリンジ30の放出ネック42に挿入され、放出ネック42内に接着剤で固定されてもよい。内側キャップアセンブリ1010は放出ネック42に挿入され、放出ネック42の内面と内側キャップアセンブリ1010の外側近位面との間に、例えば接着剤または摩擦嵌合によって流体密封止を形成する。
【0120】
図14Aは、流体入口経路1030とシリンジ30の内部との間に流体連通が確立される第1の充填位置にある摺動可能なシリンジキャップ1005を示す。内側キャップアセンブリは、入口閉鎖部材1035および出口閉鎖部材1045を含む。入口閉鎖部材1035は、流体入口経路1030の封止表面1022との流体密封止係合を作り出すための、封止表面1037を有する第1の部分1034を含み、入口閉鎖部材が開位置にあるときに張力がかかる付勢ばね部材1031をさらに含む。付勢ばね部材1031は、その表面を通る複数の流路(図示略)を通る流体の流れを依然として可能にしながら、ばね張力をかけることができる。シリンジ30および内側キャップアセンブリ1010が近位方向に移動すると、内側キャップアセンブリ1010が外側キャップアセンブリ1020に対して近位に摺動し、入口閉鎖部材1035の第2の部分1032のレッジ1080が、内側キャップアセンブリ1010と係合し、付勢ばね部材1031の付勢力に抗して入口閉鎖部材を近位方向に引く。図14Aに示すように、流体入口経路1030の封止表面1037と封止表面1022との間に流体密封止はない。入口閉鎖部材1035は、弾性コネクタ部材1033と、内側キャップアセンブリ1010に接続された第2の部分1032と、をさらに含む。図14Aに示すように、弾性コネクタ部材1033は、付勢ばね部材1031によって提供される張力に対抗することを除いて、閉位置にないときには実質的に弛緩位置にある。出口閉鎖部材1045は、流体出口経路1040の封止表面1023との流体密封止係合を作り出すための封止表面1047を有する、第1の部分1044を含む。図14Aに示すように、流体出口経路1040の封止表面1047と封止表面1023との間に流体密封止がある。出口閉鎖部材1045は、弾性コネクタ部材1043と、内側キャップアセンブリ1010に接続された第2の部分1042と、をさらに含む。図14Aに示すように、弾性コネクタ部材1043は、閉位置にあるときに伸張位置にあり、伸張弾性コネクタ部材1043は、流体出口経路1040の封止表面1023に対して第1の部分1044の封止表面1047を引っ張る。
【0121】
図14Aに示すように、外側キャップアセンブリ1020が、内側キャップアセンブリ1010に対して遠位方向に摺動し、流体入口経路1030と付勢ばね部材1031の複数の流路とを介して、入口閉鎖部材1035の第1の部分1034および封止表面1037、1022の周りに流体経路が確立される。次に、流体は内側キャップアセンブリ1010の内部に流れ込み、分流器1060を過ぎて、流体充填プロセスでシリンジ壁30の近位端壁が近位方向に引き込まれるにつれてシリンジ30の内部に流れる。シリンジ壁30の近位端壁が流体充填プロセスで近位方向に引かれるとき、外側キャップアセンブリ1020は内側キャップアセンブリ1010に対して遠位に摺動して、流体入口経路1030とシリンジ30の内部との間の流体連通を提供する。同時に、外側キャップアセンブリ1020が内側キャップアセンブリ1010に対して遠位方向に摺動すると、出口閉鎖部材1045の弾性コネクタ部材1043が、第1の部分1044の封止表面1047を引き伸ばして流体出口経路1040の封止表面1023に対する流体密封止にする。
【0122】
図14Bは、外側キャップアセンブリ1020が内側キャップアセンブリ1010に対して近位方向に移動するときに、流体出口経路1040とシリンジ30の内部との間に流体連通が確立される第1の送達位置にある摺動可能なシリンジキャップ1005を示す。図14Bに示すように、流体入口経路1030の封止表面1037と封止表面1022との間に流体密封止が形成されるため、入口閉鎖部材1035は閉位置にある。弾性コネクタ部材1033が圧縮状態にあり、内側キャップアセンブリ1010が遠位方向に摺動し、入口閉鎖部材1035の反対側のレッジ1081に係合することにより、流体入口経路1030の封止表面1022に対して封止表面1037を押し付けるため、付勢ばね部材1031の弛緩と組み合わせて、封止が生じる。図14Bに示すように、溝1085と内側キャップアセンブリとの係合の結果として、出口閉鎖部材1045が弛緩位置にあり、第1の部分1044の封止表面1047を流体出口経路1040の封止表面1023に対して引っ張らないように、出口閉鎖部材1045の弾性コネクタ部材1043が遠位方向に移動するため、流体出口経路1040の封止表面1047と封止表面1023との間に封止はない。
【0123】
図14Bに示すように、外側キャップアセンブリ1020が内側キャップアセンブリ1010に対して近位方向に摺動すると、流体出口経路1040を通る流体経路が確立される。流体は弾性コネクタ部材1043を通り、内側キャップアセンブリ1010の内部から、出口閉鎖部材1045の第1の部分1044および封止表面1047、1023の周りを流れ、流体出口バルブ1040に流れ込む。シリンジ壁30の近位端壁が流体送達プロセスで遠位方向に移動すると、外側キャップアセンブリ1020が内側キャップアセンブリ1010に対して近位方向に摺動して、流体出口経路1040とシリンジ30の内部との間の流体連通を提供する。同時に、外側キャップアセンブリ1020が内側キャップアセンブリ1010に対して近位方向に摺動すると、入口閉鎖部材1035の弾性コネクタ部材1033が、第1の部分1034の封止表面1037を圧縮して押し込み、流体入口経路1030の封止表面1022に対する流体密封止にする。
【0124】
図14Cは、流体連通が流体出口経路1040とシリンジ30の内部との間、および流体入口経路1030とシリンジ30の内部との間で遮断される第3の閉位置にある、摺動可能なシリンジキャップ1005を示す。図14Cに示すように、流体入口経路1030の封止表面1037と封止表面1022との間に流体密封止が形成されるため、入口閉鎖部材1035は閉位置にあり、これは、少なくとも部分的に、付勢ばね部材1031によって提供される付勢力によるものであり得る。さらに、流体密封止が流体出口経路1040の封止表面1047と封止表面1023との間に形成されるため、出口閉鎖部材1045も閉位置にある。図14Cに示すように、第3の閉位置は、第1の充填位置と第2の送達位置との間で、内側キャップアセンブリ1010に対して摺動可能に配置された位置に外側キャップアセンブリ1020を有する。
【0125】
図15は、流体入口経路1130とシリンジ30の内部との間に流体連通が確立される第1の充填位置と、流体出口経路1140とシリンジ30の内部との間に流体連通が確立される第2の送達位置と、の間で移動するレバー式流体制御装置を有する摺動式シリンジキャップ1105を示している。内側キャップアセンブリ1110は、旋回点Pの周りを回転して流体入口経路1130または流体出口経路1140を選択的に開くレバー式クロスバー1190によって接続された、入口閉鎖部材1135および出口閉鎖部材1145を含む。特定の実施形態では、摺動式シリンジキャップは、流体入口経路1130および流体出口経路1140が、シリンジ30の内部から流体的に隔離される第3の閉位置を含むことができ、そこでは例えば入口閉鎖部材1135および出口閉鎖部材1145の両方が閉位置にある。入口閉鎖部材1135は、流体入口経路1130の封止表面1122との流体密封止係合を作り出すための封止表面1137を有する第1の部分1134を含む。シリンジ30および内側キャップアセンブリ1110が外側キャップアセンブリ1120に対して近位方向に摺動すると、入口閉鎖部材1135が、第1の部分1134を封止表面1122から遠ざけ、流体入口経路1130をシリンジ30の内部と流体連通させる。入口閉鎖部材1135は、弾性コネクタ部材1133と、内側キャップアセンブリ1110と相互作用する第2の部分1132と、をさらに含む。出口閉鎖部材1145は、流体出口経路1140の封止表面1123と流体密封止係合を作り出すための封止表面1147を有する第1の部分1144を含み、入口閉鎖部材1135が開位置にあるときに張力がかかる付勢ばね部材1141をさらに含む。付勢ばね部材1141は、第2の位置1142に配置され、その表面を通る複数の流路(図示略)を通る流体の流れを依然として可能にしつつ、ばね張力をかけることができる。シリンジ30および内側キャップアセンブリ1110が遠位方向に移動すると、内側キャップアセンブリ1110が外側キャップアセンブリ1120に対して遠位方向に摺動し、入口閉鎖部材1135が内側キャップアセンブリ1110と係合する。弾性コネクタ部材1133は弾性があり、内側キャップアセンブリ1110の遠位運動からの圧縮の下で圧縮/屈曲することができ、レバー式クロスバー1190に、出口閉鎖部材1145を近位方向に移動させ、封止表面1147を封止表面1123から係合解除して、流体出口経路1140とシリンジ30の内部との間の流体連通を可能にする。同時に、入口閉鎖部材1135が遠位方向に移動して、封止表面1137と封止表面1122との間の封止係合を生じさせ、流体入口経路1130とシリンジ30の内部との間の流体連通を防ぐ。出口閉鎖部材1145にレバー力が存在しない場合、付勢ばね部材1141の付勢力が出口閉鎖部材1145を付勢して、流体的に封止された配置に戻す。図15に示すように、摺動式シリンジキャップのレバー式の実施形態は、入口閉鎖部材1135が封止表面1137と封止表面1122との間を封止係合し、出口閉鎖部材1145が封止表面1147と封止表面1123との間を封止係合する第3の閉位置を有することができる。
【0126】
本開示は、その特定の例の特定の詳細を参照して説明されてきた。そのような詳細が本開示の範囲に対する限定とみなされることは意図されていない。
【符号の説明】
【0127】
10 前部充填流体インジェクタ
12 シリンジ
12a 第1シリンジ
12b 第2シリンジ
13 シリンジポート
14 プランジャ
15 長手方向軸
16 圧力ジャケット
17 流体経路セット
18 円筒状シリンジバレル
19 駆動部材、ピストン
20 近位端
22 流体ノズル
24 遠位端
25 内部容積
29 挿入セクション
30 回転ダイアフラムシリンジ、シリンジ壁
31 モータ
34 遠位端、閉鎖端壁
35 近位端
36 中空体、本体
38 内部容積、側壁
40 遠位端、キャップ固定フランジ
42 遠位放出ネック
43 保持フランジ、放射状フランジ
44 可撓性側壁
45 近位面
46 駆動部材係合部、端壁
50 保持ブレース
52 凹状部材
54 保持ブラケット
100 充填キャップ
102 入口ポート
104 クラッキング圧力バルブ
105 遠位面、平坦面
106 ガスケット
108 ベース部材
110 分配キャップ
112 流体出口ポート
114 ガスケット
115 遠位面
116 リブ
118 キャビティ
119 側壁
500 摺動式シリンジキャップ
505 第1の充填位置、第1の充填構成
506 第2の送達位置、第2の送達構成
510 内側キャップアセンブリ
515 内側送達流体経路
520 外側キャップアセンブリ
525 遠位面
527 Oリング
530 流体入口経路
540 流体出口経路
550 シリンジ流体経路
560 流れコントローラ
570 ピン
575 ピン当接機能部
600 摺動式シリンジキャップ
605 第1の充填位置、第1の充填構成
606 第2の送達位置
607 第3の閉位置、第3の閉構成
610 内側キャップアセンブリ
615 内側送達流体経路
620 外側キャップアセンブリ
625 遠位面
630 流体入口経路
635 内側充填経路
640 流体出口経路
650 シリンジ流体経路
660 流れコントローラ
705 シリンジキャップ
710 内側キャップアセンブリ
711 クリップ
712 Oリング
714 Oリング
716 封止Oリング
719 円周溝
720 外側キャップアセンブリ
725 遠位面
730 流体入口経路
735 内側通路
740 流体出口経路
741 一方向バルブ
760 分流器
805 シリンジキャップ
810 内側キャップアセンブリ
814 Oリング
820 外側キャップアセンブリ
822 封止表面
823 封止表面
825 遠位面
830 流体入口経路
832 第2の部分
833 弾性コネクタ部材
834 第1の部分
835 入口閉鎖部材
837 封止表面
840 流体出口経路、流体出口バルブ
842 第2の部分
843 伸張弾性コネクタ部材
844 第1の部分
845 出口閉鎖部材
847 封止表面
905 シリンジキャップ
910 内側キャップアセンブリ
914 Oリング
920 外側キャップアセンブリ
922 封止表面
923 封止表面
925 遠位面
930 流体入口経路
932 第2の部分
933 弾性コネクタ部材
934 第1の部分
935 入口閉鎖部材
937 封止表面
940 流体出口経路、流体出口バルブ
942 第2の部分
943 弾性コネクタ部材
944 第1の部分
945 出口閉鎖部材
947 封止表面
952 脚部
954 脚部
1005 シリンジキャップ
1010 内側キャップアセンブリ
1014 Oリング
1020 外側キャップアセンブリ
1022 封止表面
1023 封止表面
1025 遠位面
1030 流体入口経路
1031 付勢ばね部材
1032 第2の部分
1033 弾性コネクタ部材
1034 第1の部分
1035 入口閉鎖部材
1037 封止表面
1040 流体出口経路、流体出口バルブ
1042 第2の部分
1043 伸張弾性コネクタ部材
1044 第1の部分
1045 出口閉鎖部材
1047 封止表面
1060 分流器
1080 レッジ
1081 レッジ
1085 溝
1105 摺動式シリンジキャップ
1110 内側キャップアセンブリ
1120 外側キャップアセンブリ
1122 封止表面
1123 封止表面
1130 流体入口経路
1132 第2の部分
1133 弾性コネクタ部材
1134 第1の部分
1135 入口閉鎖部材
1137 封止表面
1140 流体出口経路
1141 付勢ばね部材
1142 第2の位置
1144 第1の部分
1145 出口閉鎖部材
1147 封止表面
1190 レバー式クロスバー
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図15