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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】放射性不透過性熱可塑性ポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/67 20060101AFI20231219BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20231219BHJP
   C08G 18/38 20060101ALI20231219BHJP
   C08G 18/81 20060101ALI20231219BHJP
   C08J 9/00 20060101ALI20231219BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20231219BHJP
   C08L 75/14 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
C08G18/67 050
C08G18/00 H
C08G18/38 002
C08G18/81 008
C08J9/00 Z
C08K3/08
C08L75/14
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020524104
(86)(22)【出願日】2018-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 US2018058052
(87)【国際公開番号】W WO2019089479
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】62/579,124
(32)【優先日】2017-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510162539
【氏名又は名称】ザ テキサス エーアンドエム ユニバーシティ システム
【氏名又は名称原語表記】THE TEXAS A&M UNIVERSITY SYSTEM
【住所又は居所原語表記】3369 TAMU College Station, Texas 77843-3369, United States of America
(73)【特許権者】
【識別番号】519328730
【氏名又は名称】シェイプ メモリー メディカル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】フレッチャー,グレース
(72)【発明者】
【氏名】ナッシュ,ランドン,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】イーゼル,ケンダル
(72)【発明者】
【氏名】メイトランド,ダンカン,ジェイ.
【審査官】前田 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-224758(JP,A)
【文献】特表2013-508116(JP,A)
【文献】特開平08-325203(JP,A)
【文献】特表2016-513750(JP,A)
【文献】特表平06-506494(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0259297(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0275726(US,A1)
【文献】Landon D.Nash et al.,Incresed X-ray Visualization of Shape Memory Polymer Foams by Chemical Incorporation of Iodine Motifs,Polymers,2017年08月20日,2017 Aug; 9,381 (1-16)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G
C08K
C08L
C08J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ヨウ素が結合し、(b)ビニル基を含み、(c)ウレタン結合、を含む、熱可塑性ポリマーを含むポリマー組成物であって、前記ヨウ素がトリヨードベンゼンモノマーに含まれる、ポリマー組成物。
【請求項2】
熱可塑性ポリマーが、放射線不透過性である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
トリヨードベンゼンモノマーが、(a)5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA)、(b)ジアトリゾ酸、(c)トリヨードフェノール、又は(d)イオタラミン酸(iothalmic acid)のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
トリヨードベンゼンモノマーがATIPAを含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
トリヨードベンゼンモノマーが、ビニル基及び他のビニル基を含む、官能基を含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
ポリマーがトリヨードベンゼンモノマーを含むバックボーンを備える、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
白金、タングステン及びタンタルのうちの少なくとも1つが、熱可塑性ポリマー内で物理的に結合するが、化学的に結合されない、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
以下の;
トリヨードベンゼンモノマーの提供工程;
(a)(i)複数のアミン官能基、(a)(ii)複数のアルコール官能基、及び(a)(iii)複数のカルボン酸官能基のうちの少なくとも1つからなる脂肪族モノマーの提供工程;
ジイソシアネートの提供工程;
前記トリヨードベンゼンモノマー、前記脂肪族モノマー及び前記ジイソシアネートの溶液への混合工程;及び
前記溶液からの熱可塑性ポリマーの形成工程;
を含む、方法であって、ここで、前記トリヨードベンゼンモノマーはアミンペンダント基を含み、かつ、前記混合工程の前に、アミン基の官能化工程を含む、方法。
【請求項9】
前記混合工程前に、アミンペンダント基のビニル基による官能化工程を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記混合工程前に、前記トリヨードベンゼンモノマーの単官能イソシアネートによる官能化工程を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記ジイソシアネートが、アリルイソシアネート、エチルイソシアネート、又はメタクリル酸イソシアノエチル(IEMA)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
熱可塑性ポリマーの形成工程が、電子線架橋を介して、熱硬化性ポリマーを架橋する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
官能基を2より多く備える前記トリヨードベンゼンモノマーの、アミンペンダント基を官能化した後の官能基は、2である、請求項又は9に記載の方法。
【請求項14】
前記トリヨードベンゼンモノマーのカルボン酸官能基は、アミンペンダント基を官能化した後は、2である、請求項又は9に記載の方法。
【請求項15】
前記トリヨードベンゼンモノマーは、5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA);ジアトリゾ酸;トリヨードフェノール;イオヘキソール;イオタラミン酸(iothalmic acid);2-{3-[アセチル(プロピル)アミノ]-2,4,6-トリヨードフェノキシ}ヘキサン酸;2,3,5-トリヨード安息香酸(取り込みはCOOH基との単官能のみ);又は3-(3-アミノ-2,4,6-トリヨードフェニル)プロパン酸のうち少なくとも1つを含み、
前記脂肪族モノマーは、2-ブテン-1,4-ジオール;1,4-ブタンジオール;1,6-ヘキサンジオール;1,8-オクタンジオール;1,10-デカンジオール;1,6-ヘキサンジイルビス[オキシ(2-ヒドロキシ-3,1-プロパンジイル)]ビスアクリレート;ビスフェノールAグリセロール酸(glycerolate)ジメタクリレート;3,4-ジヒドロキシ-1-ブテン;7-オクテン-1,2-ジオール;ペンタエリトリトールトリアクリレート;ジエチレングリコール(DEG);ジエタノールアミン;ハイドロキノンビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル;トリエチレングリコール(TEG);1-(ベンジルオキシメチル)トリエチレングリコール;2,2’-エチルイミノジエタノール;ブタンジオール;ペンタンジオール;ヘキサンジオール;ブチンジオール;ペンダントビニル基を含むジオール;1,5-ヘキサジエン-3,4-ジオール(HDD)、又はトリメチロールプロパンアリルエーテル(TMPAE)のうちの少なくとも1つを含み、及び、
前記ジイソシアネートが、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI);トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI);ジシクロヘキシルメタン4,4’ジイソシアネート(DCHMDI);イソホロンジイソシアネート(IPDI);トランス-1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート;1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン;1,5-ジイソシアナト-2-メチルペンタン;1,7-ジイソシアナトヘプタン;又は1,8-ジイソシアナトオクタンのうちの少なくとも1つを含む、
請求項8~1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
溶液鋳造、溶液紡糸、エレクトロスピニング、超臨界発泡、ディップ被覆、熱成形、圧縮成形、射出成形、押出成形、フィルムブロー、又は添加剤製造のうちの少なくとも1つを用いた、熱可塑性ポリマーの発泡体成形工程;
発泡体成形工程後に、電子線架橋を介して熱可塑性ポリマーを架橋して熱硬化性ポリマーを形成する工程、
さらに含む、請求項8~1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
熱可塑性ポリマーを架橋して、熱硬化性ポリマーが永久的な一次形状としての発泡体を備えさせる工程;
熱硬化性ポリマーの作動転移温度以上の温度で応力又はひずみを印加して、熱硬化性ポリマーを安定した二次形状に形成する工程;を含み、
前記熱硬化性ポリマーが二次形状の間、前記熱硬化性ポリマーを作動遷移温度以下の温度に冷却する、
請求項1に記載の方法。
【請求項18】
熱可塑性ポリマーを、凍結乾燥、相分離、エマルジョン発泡、エマルジョンテンプレーティング、ケミカルブロー、又は物理ブローのうちの少なくとも1つを介して発泡体に加工する工程をさらに含む、請求項8~1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
熱硬化性ポリマーを、前記トリヨードベンゼンモノマーである発泡剤に基づく発泡を介して発泡体に加工する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
[0001] 本出願は、その内容は参照により本明細書に援用される、2017年10月30日に出願された米国仮特許出願第62/579,124号「医療機器用熱可塑性ポリマーシステム」の優先権を主張する。
技術分野
[0002] 本発明の実施形態は、形状記憶ポリマー医療装置の分野である。
【背景技術】
【0002】
[0003] 無症状な健常人の約3~4%は、未破裂の頭蓋動脈瘤を有する。動脈瘤が破裂するとくも膜下出血が起こり、脳卒中、その後の脳損傷を引き起こし、死に至る可能性がある。脳卒中は世界の死因の第2位であり、脳動脈瘤の破裂を防ぎ、出血性脳卒中の罹患率と死亡率を低減する、脳動脈瘤の効率的な塞栓術が求められる。現在の治療法では、低侵襲性の塞栓コイルを利用して、動脈瘤を充填して血流を遮断するが、当該装置では、動脈瘤の閉塞量が少なく、再開通には限界がある。熱的に作動する形状記憶ポリマー(SMP)塞栓発泡体は、体積膨張能が高く、かつ、生体適合性に優れるため、脳動脈瘤治療の優れた選択肢として有望である。
【発明の概要】
【0003】
[0004] 本発明の実施形態の特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲、1つ又は複数の例示的な実施形態の以下の詳細な説明、及び対応する図から明らかになるであろう。適当な場合には、参照ラベルを図中に示して、対応する、又は類似する要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】[0005] 左は未治療のブタ側壁動脈瘤モデルを、中はベアプラチナコイルで治療した動脈瘤モデルのデジタルサブトラクション血管造影を示す写真である。造影剤注入の流入は、二次元コイル投影によってマスクされる。右は、SMP発泡体被覆塞栓コイルで治療した動脈瘤の血管造影画像である。塞栓性発泡体と血栓塊により、注入された造影剤の動脈瘤への侵入は阻止される。
図2】[0006] 代替的な実施形態のシステム材料の異なる組み合わせを含む、材料システムのモノマーを示す。
図3】[0007] HDI、各々15/35/50%モル当量のATIPA/BEP/DEG、並びにポリウレタン発泡性界面活性剤及び触媒を用いて作製された中密度発泡体を示す写真である。X線画像には、ヒト頭蓋骨を介したイメージングをシミュレートする組織アナログがない。
図4】[0008] ATIPAモル比率20~30%、及びTEG/DEG比率40~50%を変化させて調整されたガラス転移温度を示すグラフである。組成物はすべて、100%HDIを用いて、その他のポリオール等価物はBEPであった。
図5】[0009] 発泡体受け入れ基準を示す表である。
図6】[0010] 2.5mmの発泡体装置及びGDCプラチナコイルを、ブタの頭蓋骨を介してイメージングした写真である。イオヘキソールを、10~40質量%のエタノール溶液で発泡体に溶媒膨潤させた。イオヘキソールの物理的取り込みで生じた機械的特性は望ましくなかった(ただし、いくつかの実施形態では化学的取り込みの代わり、又はそれに加えて用いられる)。
図7】[0011] 潜在的なモノマーの混和性の懸念を軽減する代替溶媒系合成戦略を示す概略図である。
図8】[0012] 第三級アミンブロー触媒を用いて合成された20当量%のATIPAを含む相分離された濁発泡体(A)、及び従来の発泡性触媒を用いずに合成された、30当量%のATIPAを含む光学的に透明な発泡体(B)を示す写真である。
図9】[0013] ATIPA発泡体組成物の実施形態を示す表である。モノマーはモル%で記載する。
図10】[0014] 一実施形態におけるATIPA発泡プロセスの概要を示す。
図11】[0015] 様々な実施形態での、物理的及び熱力学的ATIPA発泡特性を示す表である。
図12】[0016] 物理発泡剤(Enovate(登録商標))の異なる体積のATIPA発泡体の倍率50倍及び100倍顕微鏡写真である。
図13】[0017] 20当量%のATIPAを用いて、ヘキサネトリオール組成を変えた発泡体の倍率50倍及び100倍での顕微鏡写真である。
図14】[0018] ATIPA含有量が異なる発泡体の倍率50倍及び100倍での顕微鏡画像である。
図15】[0019] イソシアネート組成が異なるATIPA発泡体シリーズの倍率50倍での顕微鏡画像である。
図16】[0020] (a)は、X線可視発泡体(ATIPA及びタングステンを担持した発泡体及び非可視対照発泡体)の代表的な応力ひずみ曲線であり、(b)は、各曲線からの機械的特性の算出値を示す表である。
図17】[0021] 厚さが異なるATIPA含有量が異なる発泡体試料、放射密度参照用の白金塞栓コイル(GDC10)及びカテーテルセグメント、及び拡張及び圧着状態での直径8mmの発泡体シリンダー装置の試作品を含むイメージングフレームである。試料を、カメラ、非圧迫血管造影、及び1/2”アルミニウムヒト頭蓋骨アナログを介した血管造影で画像化した。
図18】[0022] 密度と厚さが異なる20当量%のATIPA発泡体試料、放射密度の参照用の白金塞栓コイル(GDC10)、及びで拡張及び圧着状態の2mm直径の発泡体シリンダー装置の試作品を含むイメージングフレームである。試料を、カメラ、非圧迫血管造影、及び1/2”アルミニウムヒト頭蓋骨アナログを介した血管造影で画像化した。
図19】[0023] 物理的発泡剤(Enovate(登録商標))における体積を変えた異なる密度の発泡体の乾燥Tgの最小変化を示す乾燥DSCサーモグラムである。
図20】[0024] 異なるHT含有量の20当量%ATIPA発泡体の乾燥及び湿潤可塑化DSCサーモグラムである。
図21】[0025] イソシアネート含有量の異なる乾燥及び湿潤可塑化20当量%ATIPA発泡体のサーモグラムである。
図22】[0026] ATIPA含有量の異なる乾燥発泡体のサーモグラムである。
図23】[0027] HT組成の異なる乾燥した20当量%のATIPA発泡体の圧縮DMAからのタンジェントデルタプロットである。
図24】[0028] ATIPA組成を変化させた乾燥発泡体の圧縮DMAのタンジェントデルタプロットである。
図25】[0029] 左は、0.006”ワイヤーで圧縮し、37℃の水中に沈めた直径2mmの発泡体の非拘束膨張プロファイルであり、右は、25分間浸漬した後の発泡体のスナップショットである。
図26】[0030] HT含有量が増加した20AT発泡体のATR FTIRスペクトルである。
図27】[0031] TMHDI含有量を増加させた20AT発泡体のATR FTIRスペクトルである。比較用に非可視性100TM H60コントロール発泡体のスペクトルを含む。
図28】[0032] 固定理論架橋密度でATIPA含有量を増加させた発泡体のATR FTIRスペクトルである。
図29】[0033] 様々な実施形態で用いられるTPU特性を調整するモノマーの表である。
図30】[0034] ペンダントビニル基を備える線状TPU形成の合成概要を示す。
図31】[0035] 様々な実施形態で用いられる様々なヨードベンゼンを示す。
図32】[0036] Aは、TPUへの取り込みのATIPA上のアミン基の修飾を示し、Bは、ATIPAのアリルイソシアネートでの官能化を示す図である。
図33】[0037] 放射性モノマーの官能化及びその後の材料処理を含むプロセスの実施形態を示す概略図である。
図34】[0038] 放射性不透過性モノマーを官能化するのに用いられうるモノマーの実施形態を示す図である。
図35】[0039] IEMAでの官能化前後のATIPAの相違を示すATR FTIRスペクトルを示す。上段のスペクトルは、THF中のATIPA+IEMAに関し、下段のスペクトルは、THF中のATIPAに関する。
図36】[0040] 一実施形態でのTPU形成のプロセスを示す図である。
図37】[0041] 実施形態における架橋TPUを示す図である。
図38】[0042] コントロールとATIPA TPU組成物の相違を示すATR FTIRスペクトルであり、重要なピークにはラベルを付し、アミンストレッチのピーク比の相違を〇で囲む。上段のスペクトルはATIPA TPUに関し、下段のスペクトルはTPUコントロールに関する。
図39】[0043] 実施形態における電子ビーム(電子線)架橋を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
[0044] 用語「一実施形態」、「様々な実施形態」等は、特定の特徴、構造、又は特徴を含みうるが、全ての実施形態が必ずしも特定の特徴、構造、又は特徴を含むわけではない。いくつかの実施形態には、他の実施形態で記載された特徴の一部、その全てがあってよく、又は全く備えなくてもよい。「第1の」、「第2の」、「第3の」等は、物として共通であるが、類似する異なる例が参照されることを示す。このように記載される形容詞は、所定の順序で、時間的に、空間的に、順位付けにより、又はその他の方法で表されるべきである。
【0006】
[0045] 発明者は、従来の透視技術を用いて材料を可視化することで、適当なSMP系装置配置が達成されることを見出した。装置が可視化できなければ、この極めて貴重な材料システムを脳動脈瘤治療での適用が制限されるからである。
【0007】
[0046] 以下、様々な実施形態を取り上げる。いくつかの実施形態を、まず、「実施形態の概要」で取り上げる。いくつかの実施形態を、「高レベルの実施形態」及び「より詳細な実施形態」で取り上げる。
【0008】
[0047] 実施形態の概要
[0048] いくつかの実施形態では、血管内塞栓装置及び他の移植可能な組織足場用のX線可視化SMP発泡体システムがあげられる。一実施形態では、モノマーとして造影剤を組み込んだ熱硬化性生体形状記憶ポリウレタン発泡体システムがあげられる。透視技術を用いて、発泡体を所望の生体構造内に移植すると、体積が膨張して組織内で充填されて、塞栓とその後の細胞浸潤及び治癒が促進される。SMPがX線可視化できると、医師は発泡体が膨張する際の真の容積充填を観察しうる。これにより、装置を適当に配置でき、組織に過剰充填されるリスクが低減し、処置安全性が向上する。
【0009】
[0049] いくつかの実施形態では、蛍光透視可視化用白金バックボーンコイル等の金属成分が必要ない、発泡体のみの血管内塞栓装置があげられる。これにより、同程度の大きさのカテーテルを介した送達の場合、より多くの発泡体を装置断面に組み込むことができ、容積充填がより優れうる。いくつかの実施形態では、臨床医が実際の装置の膨張及び組織充填を直接視覚化でき、現在の塞栓発泡体装置の限界が克服される。この材料の多孔性により、良好な治癒結果と塞栓の耐久性がもたらされる。
【0010】
[0050] X線可視化は、高分子合成に血管造影剤をモノマーとして含め、高分子ネットワークに放射性高密度トリヨードベンゼンモチーフを化学的に組み込むことで促進される。当該基は、3つの共有結合したヨウ素原子により、蛍光透視法で可視化される。
【0011】
[0051] このようないくつかの実施形態では、より安全な頭蓋内動脈瘤の治療を行うことで、臨床効果が向上しうる。しかしながら、いくつかの実施形態では、他の血管内塞栓用途にも適する(例えば、左心房付属器の充填、腹部大動脈瘤塞栓、末梢血管塞栓、及びより一般的には組織的及び/又は医療装置の周囲空隙充填)。
【0012】
[0052] 粒子状添加剤と比較すると、合成中にトリヨードベンゼンモノマーを材料に組み込むという化学的アプローチは、バルク材料の機械的完全性に影響を与えず、造営負荷比率を高めうる。この放射性SMP材料システムは、白金バックボーンやマーカーバンド等の金属成分が必要ない、塞栓用低密度発泡体の作製に用いうる。この材料システムにより、完全に高分子で生物学的耐久性の塞栓装置を、脳血管又は末梢性の塞栓を含む様々な用途に用いうる。芳香族ジイソシアネートを組み込むと、X線可視化が必要な骨組織用の剛性が極めて高いポリマーシステムが得られる。いくつかの実施形態では、エーテル類、エステル類、又は第三級アミン等の分解性結合体を組み込んで、生分解性材料配合物を作製する。
【0013】
[0053] これらの材料は、例えば、(a)5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA)、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、2-ブチル-2-エチルプロパンジオール(BEP)、3-メチルペンタンジオール、ブタントリオール、及びヘキサントリオールの組み合わせと、(b)ジイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)又はトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI))とを組み合わせて作製できる。代替組成物としては、(ATIPAの代わりに)イオヘキソール、トリヨードフェノール、又はジアトリゾ酸等の他のヨウ素含有モノマーを組み込む。代替組成物はまた、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ペンタンジオール、3-メチル-1,3,5-ペンタントリオール、及びシアヌル酸等の他のポリオールを組み込む。代替組成物としてはまた、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、アスパラギン酸、1,2-ジアミノプロパン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,8-ジアミノオクタン、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、又は2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール等の末端ヒドロキシル基、アミン基、又はカルボン酸末端基を備える多官能性架橋剤があげられる。
【0014】
[0054] いくつかの実施形態では、ATIPAは、発泡反応で造影剤や発泡剤として機能する。発泡体は、界面活性剤、スズゲル化触媒、第三級アミンブロー触媒、及びエノベート(登録商標)等の物理的な発泡剤を添加して合成される。合成中に、プラチナ、タングステン、又はタンタルを含むナノ粒子又はマイクロ粒子の添加剤を材料に添加して、他のX線減衰する複合体を作成しうる。
【0015】
[0055] 合成後、材料を、切断、洗浄、加工し、医用装置に組み込む。
【0016】
[0056] 高レベルの実施形態
[0057] A-具体的な目的:
[0058] いくつかの実施形態では、脳動脈瘤治療用のX線可視SMP塞栓発泡体材料システムがあげられる。一実施形態では、放射性ヨウ素原子のポリマーネットワークへの取り込みを介してX線造影を行いうる。当該化学的アプローチにより、非可視化配合物の限界に対処することで、SMP塞栓発泡体の用途を広げうる。トリヨードベンゼンを含む造影剤をモノマーとして形状記憶ポリウレタンバックボーンに組み込むと、放射性物質であるポリ尿素アミドを獲得しうる。この造影剤モノマーにより、X線が可視化され、かつ、発泡時に発泡剤として、また、形状記憶をもたらす化学的架橋剤として機能する。
【0017】
[0059] 一実施形態では、X線造影量、熱力学的特性、及び発泡体の形態を制御しうる。X線造影の程度は、合成中に存在する造影剤モノマー量により制御される。ポリウレタン合成時にジイソシアネートとポリオールの比率が異なると、熱機械特性が変化する。細孔径や密度等の発泡体の形態は、発泡体プレミックスの粘度を変化させたり、合成中に物理的な発泡剤、界面活性剤、触媒の量を変化させたりすることで調整される。当該材料特性の独立制御能により、特定用途の要望を満たす装置最適化が達成されて、X線可視塞栓発泡体の有用性が向上する。
【0018】
[0060] 以下は、材料システムの有用性に関する。
[0061] 項目1:異なる造影剤、ポリオール、及びジイソシアネートモノマー配合物を備えるX線可視化SMP配合物を、化学的及び熱機械的に特徴付ける。
[0062] 項目2:神経血管塞栓に適する発泡体の密度、機械的特性、体積回収率を達成する発泡パラメータを調整する。
[0063] 項目3:生体動脈瘤モデルに送達する塞栓発泡体装置試作品の蛍光透視可視性を検証する。
【0019】
[0064] B-意義
[0065] 出血性脳卒中予防の従来の究極の判断基準は、ベアプラチナコイル(BPC)による頭蓋動脈瘤の治療である。BPCにより、米国における年間の出血性脳卒中の数が約10万3000件まで減少したが、この治療法にはまだ臨床的に制限されている。例えば、臨床的基準では非常に高いとされる充填密度(30~35%)でも、塞栓は完全でない。コイル数を多くして充填密度を高めると、過剰充填や動脈瘤破裂が生じる可能性がある。さらに、初期では有効な塞栓でも、大動脈瘤及び巨大動脈瘤での再疎通率は各々、35%及び50%という高い比率が示される。BPCでの必要なコイル数、手術時間、及び複雑性のため、大動脈瘤の充填に用いる費用は法外である。したがって、より効率的な容積充填のための解決策として、BPCの有効性及び費用限界が望まれる。
【0020】
[0066] ハイドロコイルは、同程度のコイル長の容積性動脈瘤充填を高めるために開発されてきた。移植後の当該コイル上の親水性被覆は水で膨潤し、コイルの直径が効果的に増大する。ハイドロコイルの充填密度は、一定して50%を超え、BPCの密度の3倍となる場合がある。試験では充填密度が高まるにもかかわらず、動脈瘤の再発防止という点でハイドロコイルの明確な利点は示されておらず、親水性被覆に関連して発生する費用は正当化されていない。
【0021】
[0067] 低密度SMP塞栓発泡体は、従来の塞栓治療に関連する多くの欠点を緩和する解決策として提案されている。低密度SMP発泡体は、膨張体積の端数まで圧着でき、マイクロカテーテルを介した送達が可能となる。移植後、熱等の刺激により、圧着発泡体を元の膨張形状に戻しうる。SMP発泡体の体積膨張能と生体適合性は、動脈瘤病変の充填に優れ、かつ治癒の改善の有望な解決方法である。そのため、ブタの頸動脈瘤モデルに移植したSMP発泡体の生体適合性を実証した。病理検査の結果、ポリウレタン製SMP発泡体は、BPC移植と比較して治癒能が優れた。しかし、従来のSMP配合物はX線で可視化されず、臨床現場での効果的な送達が制限される可能性がある。
【0022】
[0068] SMPの多くの医療適用は、蛍光透視法でイメージングしながら血管内送達を行うことに関する。蛍光透視装置の可視化は、動脈瘤の組織における装置の適当かつ安全な配置に不可欠である。脳動脈瘤塞栓でSMPがX線造影されない場合、放射状BPCにSMPを被覆利用することで部分的に対処しうる。図1は、このアプローチの限界を強調する。左側のフレームは、ブタ側壁動脈瘤モデルの典型的な生体構造を示す。中央のフレームは、従来のBPCで治療された動脈瘤のデジタルサブトラクション血管造影を示し、臨床医が十分なコイルの第1指標として用いるコイル塊の密集した2次元投影を示す。動脈瘤はコイルが密集するように見えるが、塞栓コイルの平均充填密度は30~35%の範囲である。右のフレームは、SMP発泡体-被覆塞栓コイルで処理した動脈瘤を示す。レントゲン写真では動脈瘤は緩く充填されているように見えるが、注入造影剤が限定されるため、コイル間の間質空間がX線可視化されない塞栓発泡体・血栓塊で充填されていることがわかる。注入造影剤を動脈瘤塞栓の主要な指標として用いても、標準的な2次元X線画像投影法から逸脱し、装置を臨床応用する障壁となる。当該処置の変更により、発泡体被覆コイルが動脈瘤で過剰充填されうる。しかし、いくつかの実施形態では、臨床医が真の容積塞栓をより明確に観察しうるため、当該合併症のリスクを軽減しうる。
【0023】
[0069] C-技術革新:
[0070] いくつかの実施形態では、質量密度0.015gcm-3の超低密度SMP発泡体と、形状が97%回復しうる高架橋密度を備える超低密度SMP発泡体があげられる。当該特性により、7発泡体の体積膨張が70倍となりえた。当該低密度SMP発泡体を従来のコイリング技術と組み合わせて利用すると、動脈瘤の充填に必要なコイル数を大幅に削減し、処置時間と費用が削減されうる。さらに、SMP発泡体の膨張力は、BPCの適用力よりも大幅に小さく、移植時の動脈瘤剥離のリスクを低減しうる。他のコイル系塞栓装置と同様、塞栓発泡体は血流を乱し、発泡体内で血栓形成を誘導して、動脈瘤を閉塞させる。
【0024】
[0071] 従来は、タングステン微粒子を発泡体マトリクスに取り込むことでSMP発泡体のX線可視化を、高めてきた。しかし、この方法では、複合材料の靱性は低下し、生体内での微粒子の生成や、その後の血流中の塞栓が懸念される。さらに、微小粒子取り込みで達成される不透明化の程度は、神経血管塞栓用の小径低密度装置には十分でない。マトリクス内での分散性を高めて、材料の靭性の低下に対処するため、放射線不透過性のナノ粒子添加剤を試験した。低濃度のナノ粒子により機械的強度と靭性は改善されたが、十分なX線可視化に必要な充填濃度まで充填剤を増量した結果、機械的特性が低下した。したがって、機械的完全性を損なわずに、SMPのX線造影を改良する必要がある。
【0025】
[0072] いくつかの実施形態では、不透明なSMPマイクロ又はナノコンポジットの代替として、ポリマーマトリクスにヨウ素モチーフを組み込み、バルクの発泡特性に影響を与えずにX線可視化を高める。微粒子添加剤と比較すると、合成中にトリヨードベンゼンモノマーを材料に組み込むこの化学的アプローチは、バルク材料の機械的完全性に影響を与えず、造影負荷率を高めうる。この放射性SMP材料システムにより、白金バックボーン又はマーカーバンド等の金属成分が必要ない、低密度発泡体を含む塞栓用材料システムがもたらされる。当該材料システムにより、脳血管又は末梢塞栓を含む様々な用途に用いられる、完全(又は略完全)ポリマー性、かつ分解性の、塞栓装置が達成されうる。本発明では、特定のSMP発泡体システムへのヨウ素の取り込みに焦点を当てるが、いくつかの実施形態では、移植時にそれらのイメージングが可能となるため、様々な高分子バイオ材料に適用可能である。
【0026】
[0073] D -アプローチ:
[0074] 一実施形態では、SMP重合用に同定された造影剤は、5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA)である。図2(a)及び(b)に示すように、ATIPA分子のX線造影は、3つの高z型ヨウ素原子を含むトリヨードベンゼンモチーフ由来である。ATIPA分子のX線造影は、3つの高z型ヨウ素原子を備えるトリヨードベンゼンをモチーフにしており、第一級芳香族アミンと2つのカルボン酸で末端が結合し、イソシアネートとの架橋反応に3つの官能基をもたらす。さらに、イソシアネートとカルボン酸との反応により、アミド結合と二酸化炭素が得られ、ATIPAは発泡体重合の化学発泡剤となる。
【0027】
[0075] また、図2(a)は、好ましい溶解度、並びに得られるSMP発泡体のTg及び架橋密度の制御能により選択された様々なジイソシアネート類及びポリオールを記載する。ジイソシアネート類としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)等があげられる。ポリオール類としては、N,N,N,N’,N’テトラキスヒドロキシプロピルエチレンジアミン(HPED)、トリエチレングリコール(TEG)、ジエチレングリコール(DEG)、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール(BEP)等があげられる。これらの成分のモル当量比を変えて複数のポリマー発泡体を合成し、形態学的特性や熱力学的特性への影響を定量化した。
【0028】
[0076] D.0 -データ
[0077] ATIPAを重合する障壁は、他のモノマー、特にジイソシアネート類との溶解性が限定されることである。これまでに、ATIPA、DEG、BEP、HDIを用いて様々な組成物を重合し、図3に示すような重合性発泡体を得ることに成功している。当該発泡体は、ATIPA(15%モル当量)ジカルボン酸とジイソシアネートを反応させてブローし、133mgI/mlでX線造影を行った。発泡体密度及び孔径は、予備重合体の水酸当量比の比率を変えて、プレミックス粘度を変化させて制御した。
【0029】
[0078] D.1 -項目1:造影剤、ポリオール、及びジイソシアネートモノマー配合物を変えて作製したX線可視化SMP配合物を化学的及び熱機械的に特徴付ける。
[0079] いくつかの実施形態では、非イソシアネート成分の20~30mol%でATIPAを変化させたポリマー試料があげられる。この目的はバルク材料の特性に特化することであり、試料は密度にかかわらず自然状態で試験する。モノマーとしてATIPAを用いる場合、20~30mol%で約175~275mgI/mlのヨウ素が得られる。このヨウ素負荷密度は、従来の血管造影注入濃度に匹敵し、最小限のパス長で十分な材料可視化をもたらす。
【0030】
[0080] 図4は、異なるヒドロキシルモノマー組成物(40~50mol%TEG又はDEG)を用いて、ATIPAの濃度を変えて組み込んだ、Tgを30~55℃で調整する、2つの高密度SMP発泡体システムの示差走査熱量計(DSC)サーモグラムを示す。当該データセットは、いくつかの実施形態のモノマーの組み合わせが、体温作動に関連して遷移する材料を合成に用いうることを示す。さらなるモノマーの組み合わせで、DSCにより決定されたバルクの熱力学的特性をより厳密に制御しうる。いくつかの実施形態では、混和可能なモル当量比の範囲をブラケットするように合成される。他の組成物としては、ゲル分率及び形状記憶ひずみ回復を含む材料特性をより大きく制御する、ATIPA及び架橋剤があげられる。
【0031】
[0081] FTIRスペクトルは、各組成物の化学的シグネチャをもたらし、ポリマーネットワークへのヨウ素の共有結合取り込みを認証する。テトラヒドロフラン中でのゲル分率分析により、十分な架橋が確認された。
【0032】
[0082] D.2 -項目2: 発泡パラメータを調整して、神経血管塞栓に適する発泡体密度、機械的特性、及び体積回収率を達成する。
[0083] 発泡体形態学的には、界面活性剤濃度、触媒濃度(アミンとスズ)、予備重合体の水酸基比(粘度)、及び物理的な発泡剤濃度(Enovate(登録商標)245fa)を変化させて制御する。触媒と界面活性剤は全て、AirProducts(登録商標)をから入手できる。温度依存性プレミックス粘度プロファイルは、コーン型及びプレート型粘度計を用いて得られうる。走査型電子顕微鏡により、完成発泡体の孔径及び形態が定量化しうる。密度は、均一な(1cm)材料ブロックの重量分析により測定できる。密度及び孔径の成功基準は、試作品の神経血管塞栓装置の仕様に基づいてよい。
【0033】
[0084] 一軸引張試験用に、発泡体試料をドッグボーン二酸化炭素レーザーで切断できる。最大抗張力、破壊までのひずみ、及び靱性を用いて、発泡体の形態、組成物、及び機械的完全性の機能的関係を決定しうる。(いくつかの実施形態では)80kPaの最小抗張力しきい値は、7体積%のナノ粒子状タングステンで不透明化されたSMP組成物の強度に基づく。
【0034】
[0085] TA Instruments Q800 Dynamic Mechanical Analyzer(登録商標)上で、環状自由ひずみ回復実験及び環状拘束回復実験を圧縮状態で実施して、各配合物の形状記憶容量を決定してもよい。当該実験では、ガラス質弾性率、ゴム質弾性率、ガラス転移温度等のバルク熱機械特性を定量化しうる。また、各SMP発泡体組成物の形状固定性、回復力、及びひずみ回復を定量化しうる。ATIPA濃度とHPED濃度が高い組成物は、架橋密度が高いため、形状記憶回復力がより高い。図5に、目的1-2のためのすべての材料特性評価技術と、装置プロトタイピング用の配合物を選択するのに用いられる受け入れ基準をまとめた。
【0035】
[0086] D.3 -項目3:生体動脈瘤モデルに送達した塞栓発泡体装置試作品の蛍光透視可視化を検証する。
【0036】
[0087] いくつかの実施形態では、0.021”インチIDのマイクロカテーテルを介した送達ができる(したがって、いくつかの実施形態では、圧着外径は、マイクロカテーテルのIDよりも小さい)。装置は、体温でシミュレートされた生理的流れを備える動脈瘤ファントムに蛍光透視可視化下で送達されてよい。比較のため、競争力のある360°GDC-10(登録商標)ベアプラチナ製塞栓コイルをファントムに送達してよい。すべての送達手順は、1/2インチのアルミプレートを通してイメージ化し、ヒト頭蓋骨の不透明性をシミュレートしうる。装置はまた、平面の固定具に配置され、硬質及び軟質のブタ組織を介してイメージングされてよい。図6は、溶媒膨潤を介して材料に物理的に組み込まれたイオヘキソールを含む2.5mm発泡体の固定具の例を示す。
【0037】
[0088] D.4 -いくつかの代替実施形態
[0089] いくつかの実施形態では、バルク硬化アプローチを改善する溶媒系合成アプローチがあげられる(上記の共有結合ヨード系モノマーの代わりに、又はそれに加えて)。造影剤は、ポリウレタン合成に適さない水やアルコール等の極性の高い溶媒に溶解するように設計される。しかしながら、ATIPAは、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、及びジメチルスルホキシド(DMSO)に可溶である。図7は、固体ATIPAモノマーをポリウレタンSMP発泡体に組み込む代替合成戦略の概要を示す。まず、造影剤は、無水THF溶液中で過剰なHDIで予備重合される。当該第1予備重合により、溶解性の問題が解決し、最終材料でのTgと架橋密度を操作するポリオールを多数用いることができるようになる。さらに、当該工程は、発泡工程から二酸化炭素の発生を効果的に除去して、発泡を、ATIPA含有量に応じて制御しうる。予備重合後、ロータリーエバポレーションを用いてオリゴマー溶液からTHFを除去する。いくつかの実施形態では、前重合体溶液を化学量論的に等価なポリオールと混合し、ニートフィルムに硬化させる。いくつかの実施形態では、予備重合体溶液とポリオール架橋剤、界面活性剤、ポリウレタン触媒、物理的発泡剤とを組み合わせて、ポリマー発泡体を合成してもよい。いくつかの実施形態では、カルボン酸反応用のアミド触媒を用いて、発泡体をさらに最適化しうる。
【0038】
[0090] ATIPAの代替としてのイオヘキソールは、FDA承認の血管造影剤である。当該分子は水溶性であり、一般に生体適合性があり、腎臓で除去される。イオヘキソールは6つのヒドロキシル官能基で末端が修飾されており、水溶性を促進し、重合の反応性部位として機能する。イオヘキソールは、ジメチルホルムアミド(DMF)及びジメチルスルホキシド(DMSO)に可溶である。
【0039】
[0091] これらは、さらなる作製の複雑性及び残留溶媒に関する懸念のため、代替的合成戦略として選択された。ニートなポリマーフィルムは、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)及びゲル分画分析を用いて化学的に特徴付けられてよい。各材料組成物はまた、引張試験、動的機械的分析(DMA)、及び示差走査熱量測定(DSC)を用いて、熱機械的に試験されてもよい。組成物は、特定の提案目的に類似の、物理的ガラス転移温度(DSC)、最大靱性(引張試験)、及びゴム状弾性率(DMA)に基づいて、発泡用にダウンセレクションされてよい。
【0040】
[0092] このように、いくつかの実施形態では、神経血管塞栓装置の特徴付けのために調整しうるフレキシブルな構造-特性関係を備えるX線可視化SMP材料システムを提供する。主材料パラメータを制御すると、いつくかの実施形態が実施されうる。
【0041】
[0093] より詳細な実施形態
[0094] 発明者らは、質量密度が0.015gcm-3と低く、97%の形状回復を達成する、高架橋密度を備える超低密度SMP発泡体を作製した。当該性質全てにより、発泡体の容積膨張は70倍になりうる。当該低密度SMP発泡体を従来のコイリング技術と組み合わせて用いると、動脈瘤を充填するのに必要なコイルの数を有意に減らすことができ、処置時間と費用を軽減しうる。さらに、SMP発泡体膨張力は、移植時の動脈瘤解離のリスクを低減するBPCよりも、有意に低い。他のコイル系塞栓装置と同様に、塞栓発泡体は血流を阻害して、発泡体内で血栓形成を誘導することで、動脈瘤を塞栓する。
【0042】
[0095] SMPの多くの医療適用では、透視装置を用いたイメージングを行いながら血管内送達を行う。動脈瘤組織に装置を適当かつ安全に配置するには、透視下で装置を可視化しなければならない。脳動脈瘤塞栓でSMPがX線造影されない場合、放射状BPC上にSMPを被覆することで部分的に対処しうる。図1は、このアプローチの限界を強調する。左枠は、ブタ側壁動脈瘤モデルの典型的生体構造を示す。中央枠は、従来のBPCで処置された動脈瘤のデジタルサブトラクション血管造影を示し、臨床医が十分なコイル化の第一指標として用いるコイル塊の密な2次元投影を示す。動脈瘤はコイルが密集するように見えるが、塞栓コイルの平均的な密封密度は30~35%である。右枠はSMP発泡体-被覆塞栓コイルで処理した動脈瘤を示す。動脈瘤はX線投影図では緩く充填されるように見えるが、注入した造影剤の侵入は限定的であるため、コイル間の間質空間が非X線で可視化された塞栓発泡体・血栓塊で充填されることが証明される。動脈瘤塞栓の主な指標として注入造影剤を用いても、標準的な2次元X線投影法から逸脱するため、装置の臨床適用の障害となる。この手順の変更は、潜在的に、発泡体被覆コイルを用いた動脈瘤の過剰充填を起こしうる。ここで提案するX線可視化SMP配合物によれば、臨床医が、真の容積塞栓をより可視化できることで、当該合併症の危険性を軽減することを目的とする。
【0043】
[0096] 従来、SMP発泡体のX線可視化は、タングステン微粒子の発泡体マトリクスへの取り込みにより高められた。しかし,この方法では,複合材料の靱性が低下するため,生体内での微粒子の生成や,その後の血流中の塞栓が懸念される.さらに、微粒子取り込みで達成された不透明化の程度は、神経血管塞栓で用いられる小径低密度装置には十分ではない。材料の靱性の低下に対処するため、マトリクス内での分散性を高める、放射線不透過性ナノ粒子添加剤を検討した。低濃度ナノ粒子は機械的強度と靱性を改善したが、充填材の濃度を十分なX線可視化に必要な濃度にすると、機械的特性が低下した。したがって、機械的完全性を損なわず、SMPのX線造影を改良する必要がある。
【0044】
[0097] 特に、SMP塞栓発泡体へのタングステン微粒子のバルク添加は、神経血管用途として十分なX線造影を誘導しえない。さらに、微粒子の負荷割合を高めて、材料造影を改善すると、破壊靱性が低下し、かつ微粒子の生成の増加等の機械的性能が損なわれる。
【0045】
[0098] 一実施形態では、不透明SMPのマイクロ又はナノ組成物のかわりに、ヨウ素モチーフをポリマーマトリクスに組み込むことにより、バルクの発泡特性に影響を与えず、X線可視化特性を高める。
【0046】
[0099] 合成中にトリヨードベンゼンモノマーを材料に組み込む化学的アプローチは、微粒子添加剤と比較して、バルク材料の機械的完全性に影響を与えず、造影負荷比率を高めうる。この放射性SMP材料システムは、白金バックボーン又はマーカーバンド等の金属成分がなくても、低密度発泡体を含む塞栓用材料システムを提供する。当該材料システムは、脳血管又は末梢の塞栓を含む様々な用途に用いられる、完全に(又は略完全に)重合性の、分解性塞栓装置を提供する。本研究は、特定のSMP発泡体システムへのヨウ素の取り込みに関するが、いくつかの実施形態では、高分子バイオ材料に適用して、移植中のイメージングを達成しうる。
【0047】
[0100] 図6は、X線造影剤と形状記憶ポリマー発泡体を組み合わせた、X線可視化の結果を示す。この直径2.5mmの発泡体シリンダーを、イオヘキソールをエタノールに溶解した溶液で溶媒膨潤させ、真空乾燥させた。膨張した発泡体は、従来の蛍光透視法を用いて、ブタ頭蓋骨を介してイメージングした。当該複合体の可視性は、市販のGDC10の塞栓コイルと同等であった。イオヘキソールの物理的な取り込み(未だ、いくつかの化学的に組み込まれたシステムの代わりに、あるいはそれに加えて、含まれるが)は、可視しうるが、損なわれる機械的特性は、セラミック材料に匹敵し、化学的な取り込みの動機付けがさらに高まった。
【0048】
[0101] 図2(a)は、X線可視化SMP系の検討に選択されたモノマーを示す。塞栓適用における生体適合性に基づいて、ポリウレタン組成物として脂肪族イソシアネートを選択した。また、HDIとTMHDIのモル比を変化させて、材料の疎水性を制御し、材料の拡張率を調整できた。
【0049】
[0102] 一実施形態では、造影剤モノマーは、5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA)である。ATIPA分子のX線造影は、3つの高-zヨウ素原子を組み込んだトリヨードベンゼンモチーフに由来する。それは、イソシアネートとの架橋反応で3つの官能基を付与する、第一級芳香族アミンと2つのカルボン酸で終端する。また、イソシアネートとカルボン酸との反応により、アミド結合と二酸化炭素が生成し、発泡体重合時にATIPAを化学発泡剤として機能させる。
【0050】
[0103] 溶解性がこの系の開発の重大な障壁であった。ATIPAは親水性の固体モノマーであり、イソシアネートへの溶解度はゼロである。ATIPAは、テトラヒドロフラン及びジメチルスルホキシドに可溶であるが、(少なくともいくかの実施形態では、)最終使用医療製品中の有機汚染物質を緩和するため、溶媒を含まない合成手順が好ましい。ここで最終材料中のATIPA溶解度及びTg制御が優れた、2-ブチル-2-エチル-プロパンジオール(BEP)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPD)、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、1,2,4-ブタントリオール(BT)及び1,2,6-ヘキサントリオール(HT)を、選択して提案した。
【0051】
[0104] 図8は、当該材料を用いた他の溶解性の障壁を示す。プレミックス樹脂の溶解性は良好であったが、最終材料はかなりの相分離を示した。主として第三級アミンブロー触媒の添加中に、ATIPAの沈殿が見られた。当該沈殿は,ポリオール架橋モノマーHPED及びTEAを用いた材料開発の初期段階でも見られた。第三級アミンは溶液由来のATIPA沈殿の原因となるため、いくつかの実施形態では用いないのがよいが、他の実施形態では用いてよいと結論した。触媒を用いなくても、材料の発泡時にATIPAの反応性は、それほど悪影響を受けない。
【0052】
[0105] 以下の議論では、HDI、TMHDI、ATIPA、BEP、MPD、HTを用いたシステムの最適化に関する。TEGやDEGの代わりに、酸化的分解の影響を受けやすいエーテル結合を組み込まず、理論的にはより生物学的耐久性を備える脂肪族系を作製しすることで、分解生成物の生体適合性のリスクを緩和するMPDが提案された。
【0053】
[0106] 材料及び方法
[0107] 発泡体合成
[0108] 図9は、いくつかの実施形態で合成した発泡体組成物の概要である。ポリウレタン合成のA側では、反応性のある水酸基、アミン、カルボン酸官能基を考慮して当量%で算出する。発泡体混合時の周囲の水質汚染を考慮し、2%モル過剰イソシアネートを各発泡体合成に添加した。HDI、TMHDI、BEP、MPD、ATIPA、及びHTは、VWR Scientific社及びSigma Aldrich社から入手して用いた。
【0054】
[0109] 図10は、ATIPA発泡プロトコルの概要を示す。要すれば、発泡の1日前に、非イソシアネートモノマー(ATIPA、BEP、MPD、HT)を0.6当量比で15mlのポリプロピレン製フラクテック混合カップに混合して、ヒドロキシル(OH)プレミックスを調製した。内容物をFlacTek(登録商標)高速シアミキサーで3400rpm30秒間混合し、50℃で1時間加熱し、再度3400rpmで30秒間混合し、50℃で一晩加熱した。30及び40当量%ATIPA組成物は、5及び8質量%の無水THFをOHプレミックスに添加して、完全に溶解した。
【0055】
[0110] 粘性イソシアネート(NCO)プレミックスを、ジイソシアネート当量体の全体に対して0.4モル比の反応性ポリオール当量体を、150mlのポリプロピレンFlacTek(登録商標)ミキシングカップに添加して、乾燥グローブボックス内で調製した。内容物が単相になるまで3400rpmで10分間混合した。当該プレミックスは、混合物が蜂蜜に匹敵する室温粘度になるまで室温で1rpm、2~5時間振盪した。0AT組成物は、0.04gのAirProducts(登録商標)T131ゲル化触媒と0.08gのAirProducts(登録商標)BL22発泡触媒を添加して、発泡時の硬化時間を長くした。
【0056】
[0111] 発泡時の安定化のため、NCOプレミックスに界面活性剤DCI990を4質量%添加し、30秒間混合した。NCOプレミックスにOHプレミックスを添加し、30秒間混合した。反応性樹脂に直ちにEnovate(登録商標)1~2mlを添加し、30秒間混合した。反応物を直ちに90℃のオーブンに移して20分間硬化させた。硬化後、発泡体のスキンをカミソリで除去し、発泡体を50℃で12時間後硬化させた。硬化後の発泡体を立方体化し、乾燥ポリプロピレン袋に入れて保存した。
【0057】
[0112] 物理的特徴付け
[0113] キーエンス(登録商標)VHX-5000計測システム(可変照明アダプター付)を用いて、倍率50及び100倍で取得した光顕微鏡画像から孔径を求めた。発泡体試料は、縦及び横方向平面で2~4mmの薄片に切断した。各発泡体画像で10個の孔径測定を行った。
【0058】
[0114] 各組成物から約1cm3に測定した6個の立方体を採取して密度測定を行った。密度は、試料の質量を試料の長さ、幅、高さの積で除算した値で算出した。
【0059】
[0115] 蛍光透視法
[0116] 発泡体試料を1cm×1cmの試料を厚さ8、4、2、1mmの薄片に切断し、ポリプロピレンシートに付着させて、X線イメージング用の試料を調製した。各発泡体アレイに、X線基準として白金製の塞栓コイルを設けた。発泡体を直径8mmの円柱に切断し、0.006インチのステンレス鋼ワイヤーに縦方向にネジを通して、周辺部の塞栓試作品を準備した。一の試作品を膨張状態で画像化し、他方の試作品を、MachineSolutionsの加熱式ステントクリンパーSC250を用いて縦方向に圧着した。試料は、圧着内径で100℃15分間平衡化され、放射状に圧縮され、周囲温度に冷却しながら回収した。直径2mmでバックボーンワイヤー非含有神経血管試作品も準備し、縦方向に圧着した。血管造影及び蛍光透視法画像を、Philips(登録商標)AlluraXperFD20 X線システムを用いて取得した。
【0060】
[0117] DSC
[0118] 通気性のあるアルミパンに入れた発泡体試料5~10mgの乾燥Tgを、TA Q200(登録商標)示差走査熱量計を用いて測定した。発泡体試料を-40℃で5分間平衡化した後、120℃まで加熱し、-40℃まで冷却し、10℃/分の温度勾配で120℃まで再加熱した。Tgは、第2加熱曲線の変曲点で算出した。
【0061】
[0119] 実施例24aは、上記段落のプロセスを用いて算出されたTgを引用する(すなわち、特許請求の範囲で特定されたTgは、第2加熱曲線の時間、温度、プロセス、及び変曲点に関する上記の試験を用いて算出される)。
【0062】
[0120] 湿潤Tgの発泡体試料を50℃の水に30分間浸漬し、湿潤可塑化を達成した。発泡体を2トンのティッシュペーパーの間にCarver(登録商標)ラボラトリープレスを用いて30秒間圧縮して水分を除去した。発泡体試料5~10mgをアルミパンに添加し、密閉した。発泡体試料を-40℃まで冷却し、5分間平衡化した後、10℃/分で100℃まで加熱した。加熱曲線の変曲点から湿潤Tgを算出した。
【0063】
[0121] DMA
[0122] TA Q800(登録商標)を用いて動的力学解析を行った。発泡体円柱を8mmの生検用パンチで調製し、カミソリで約5mmの長さに切断した。試料を0℃で5分間平衡化し、1Hzで40μmに変形しながら、3℃/分で120℃に加熱した。
【0064】
[0123] 非強制拡張
[0124] 発泡体を直径2mmの円柱に切断し、0.006インチのステンレス鋼ワイヤーに縦方向にネジを通した。試料は、MachineSolutions(登録商標)SC250加熱式ステントクリンパーを用いて放射状に圧縮した。圧着試料は、37℃の水浴中で膨張させる前に24時間弛緩させた。試料は5分間隔で合計45分間画像化した。発泡体の長さに沿って、ImageJ(登録商標)ソフトウェアを用いて直径を5回測定した。
【0065】
[0125] ATR FTIR
[0126] ダイヤモンドATR(登録商標)結晶を用いて、BrukerALPHAInfraredSpectrometer(登録商標)を用いてATR FTIRスペクトルを得た。データ解析はBrukerOPUS Spectroscopy software(登録商標)を用いて行った。
【0066】
[0127] 引張試験
[0128] ASTM TypeIVドッグボーンパンチを用いて乾燥発泡体試料を調製した。一軸引張試験は、Insight30 Material Tester(登録商標)(MTS Systems Corporatio,Eden Prairie,MN)を用いて、50mm/分の一定のひずみ速度、室温で行った。各試料の応力-ひずみ曲線から、最大抗張力(kPa)、破断ひずみ(%)、弾性率(kPa)を算出した。
【0067】
[0129] ゲル分率
[0130] 約1立方センチメートルに測定した発泡体試料を洗浄し、イソプロピルアルコール中に希釈比20:1で30分間の超音波洗浄を3回行って残留界面活性剤を除去した。試料を100℃12時間真空下で乾燥させた。乾燥した発泡体試料を質量分析し、THFでショルダーまで充填した20mLバイアルに添加し、50℃で1Hzの振動で48時間加熱した。THFを除去し、試料を60℃24時間真空下で乾燥させた。ゲル分率は、最終的な試料質量を元の試料質量で除算して報告する。
【0068】
[0131] 結果及びディスカッション
[0132] Enovate(登録商標)の体積が異なる図11の組成物1~5には、物理的発泡剤の体積の増加に伴い材料密度が減少するという明らかな傾向がある。乾燥Tg値には統計的な有意差があるが(1way ANOVA,α=0.05)、この変動は装置設計基準に有意な影響は与えないと考えられる。材料密度と孔形態の関係は、以下で記載する光顕微鏡画像でよりよく示される。
【0069】
[0133] HT含有量が異なる組成物6~9は、密度が同等であり、かつ平均孔径が一貫して300~400μmであり、各組成物の乾燥Tgの相違は統計的に有意である(1way ANOVA,α=0.01)。HTの含有量が多くなると、材料の架橋密度が高まる。架橋間の分子量を減らすことができれば、ネットワーク剛性がより高まり、かつガラス転移温度が高まる。当該組成で造影剤負荷(20%ATIPA)と発泡体密度を固定すると、HT組成がTgを制御する効果的な方法であることが実証された。
【0070】
[0134] 組成物10~13は、ATIPAの含有量が異なる。また、HTの含有量を変化させて、理論的な架橋密度を一定に保った。当該発泡体では、ATIPA含有量が多くなると嵩密度が低下した。この結果は,ATIPAモノマーに存在する2つのカルボン酸基がブローイング反応を起こすためと考えられた。ATIPA含有量が増えると乾燥Tgも増えた。当該組成物の理論的架橋密度は一定であるが、ATIPAの芳香族構造は脂肪族HTモノマーよりも剛性が高く、ネットワーク剛性及びガラス転移温度が高くなる。
【0071】
[0135] 組成物15~17はすべて20当量%のATIPAを含み、イソシアネートの含有量が異なる。イソシアネート組成物の変化は、HT含有量の変化に比べて、Tgに対する影響が有意に少なかった。TMHDI含有量を増量した発泡体を作製できたが、HDI発泡体に比べて質的に脆く、装置の最適化には選ばれなかったが、いくつかの実施形態には適していた。
【0072】
[0136] 選択した組成物の平均ゲル分率は94.5~99.0%であった。当該値は、従来の非可視性SMP発泡体配合物で報告された値に匹敵する。ゲル分率が高いと、永久移植された生体材料由来の浸出性化学物質に関連する合併症のリスクが低減される。より厳格な発泡体洗浄プロトコルを用いて、必要に応じて、装置移植前に未反応の浸出物を除去すると、このリスクをさらに軽減できる。
【0073】
[0137] 発泡体1~17の特徴付けをした後、組成物18及び19を4倍のスケールで作製して、引張試験を行い及び神経血管試作品を作製した。当該組成物を化学的に変化させて、望ましい形態学的特性及び熱力学的特性を達成した。
【0074】
[0138] 光学顕微鏡
[0139] 図12は、発泡剤の増加が発泡体形態に与える影響を示す。物理的発泡剤を用いない「0ml」組成物では、ATIPA発泡反応による気孔が残存する。当該気孔の大きさは0.5mlであり、1.0mlの発泡体に匹敵するものの、ストラットの形態で、バルク材料密度の有意な違いが説明される。同様に、1.5mlと2.0mlの小孔発泡体は、ストラット構造が薄いために材料の密度は最低となる。
【0075】
[0140] 図13は、孔径、密度、及びストラット形態が同等であり、HT組成が異なる発泡体を示す。このように、材料の組成、及びその後の熱力学的特性を、発泡体形態に関係なく変化させて、目的とする医用装置用の材料を最適化できることに留意することが重要である。また、化学的ATIPAブローイングと物理的ブローイングをともに用いて、組成に関係なく形態を制御しうる。
【0076】
[0141] 図14の発泡体は、発泡パラメータを変えず、ATIPA含有量が異なるプレミックスの粘度変化を補正したため、細孔形態の相違は有意である。しかし、この種類では、30当量%のATIPAまで混和性を示した。30当量%のATIPA組成物は、ATIPAの沈殿を防ぐため、合成時に5質量%無水THFを要としたことに留意すべきことが重要である。
【0077】
[0142]図15は、イソシアネート含有量が異なる発泡体を詳細に示す。すべての発泡体は定性的、光学的に透明である。この有望なモノマー混和性により、イソシアネート組成を変化させて、材料性能を個別に調整するため、バルク熱力学特性と疎水性を制御する。
【0078】
[0143] 引張試験
[0144] 図16は、従来のSMP発泡体、タングステン担持SMP組成物、25当量%ATIPA発泡体、及び30当量%ATIPA発泡体(組成物18及び19)の代表的な応力-ひずみ曲線及び関連計算を示す。
【0079】
[0145] 当該新規ATIPA発泡体組成物は、低密度SMP発泡体の前例のない材料特性を達成する。材料強度(ピーク応力)の増強は、ATIPAモノマーの芳香族構造に起因する。発明者は、従来の分解生成物中の芳香族ジアミンの生体適合性に関する懸念から、トルエンジイソシアネート等の芳香族ポリウレタンモノマーを避けていた。しかし、芳香族化合物は、脂肪族化合物と比較すると、伝統的に強度が高い。このポリマーシステムは、酸化的又は加水分解のための最小限の部位に生分解性が備わるように設計され、いくつかの実施形態では、芳香族分解生成物の生体適合性は、十分であった。
【0080】
[0146] 非可視性の対照SMP発泡体と比較して、延性(破断時のひずみ)が高いのは、架橋密度の低下に起因する。発明者は、従来発泡体は、3(TEA)又は4(HPED)の官能性を備えるポリオールを用いていた。当該架橋部位は、短いジイソシアネートセグメント(TMHDI又はHDI)により架橋され、高度に架橋された材料を創製する。この架橋密度により、優れた形状記憶が付与されるが、相対的に全体的な靱性は損なわれる。発明者は、これはニート発泡体では問題ないが、ストラット断面に応力集中を導入するタングステン担持複合材料では問題となると判断した。あるいは、本発明に関するATIPA組成物は、脂肪族ジオールMPD及びBEPを採用して、架橋間の分子量を高めることで、延性を高める。ATIPAの剛性によれば、材料全体の転移温度を機能的な生物医学的範囲(40~60℃)に維持しつつ、鎖延長が可能となる。
【0081】
[0147] 延性と強度を複合的に高めると、引張靱性が有意に高まる。非可視性発泡体と比較して、25AT及び30AT組成物の靱性は各々、11倍以上及び14倍以上である。6体積%タングステンナノ粒子発泡体と比較して、25AT及び30AT組成物の靱性は各々、46及び57倍である。この劇的な靱性の増加により、望ましくない塞栓粒子が発泡体から剥離し、標的治療領域から下流に流れるリスクが有意に低下する。あるいは、発泡体のパラメータを最適化し、セルオープナーを導入して、もとの発泡体に開いた空隙を作ることも考えられる。
【0082】
[0148] X線イメージング
[0149] 図17は、ATIPA含有量が異なる低密度発泡体のX線可視化の概要である。ATIPA含有量が10~30当量%の発泡体は同等のX線可視化を示したが、これはATIPAのブローイング反応により、造影剤負荷が高いと材料密度が低下したからである。この相反傾向は、同じ膨張した試料パス長内のヨウ素含有量に匹敵した。
【0083】
[0150] 8mm円筒状の周辺塞栓試作品は、頭蓋骨アナログを介してイメージングした場合でも、膨張状態で可視化が実証された。当該材料を放射状に圧着すると、その可視化は市販の塞栓プラチナコイルに匹敵した。放射状圧縮はまた、バルク材料密度の相違を補正し、ATIPA含有量が異なる試料のX線可視化の相違が明らかになった。試験用に、アルミニウム製の頭蓋骨アナログを介して画像化すると、放射状に圧縮された30AT試料は、20AT試料よりも顕著に可視化された。
【0084】
[0151] 図18は、密度を変化させた場合の固定20当量%のATIPA組成の発泡体の詳細を示す。材料密度が高まると材料の可視化が高まり、最高密度の発泡体は、頭蓋骨アナログを介しても、わずか1mmの厚さで、可視化される。2mmの神経血管試作品では、縦方向に圧着した場合でも、可視化は限られた。
【0085】
[0152] いくつかの実施形態では、ATIPA高比率である発泡体を組み込むことで、神経血管装置スケールでの限られた材料可視化に対処した。あるいは、いくつかの実施形態では、化学的不透明化とタングステンナノ粒子の負荷の組み合わせアプローチを採用して、神経血管装置スケールで前例のないレベルのSMP発泡体可視化を達成する。引張試験データに基づき、タングステンナノ粒子の応力集中剤を用いたATIPA複合材料の破壊靱性は、従来の非可視化SMP発泡体よりも高かった。これにより、望ましくない塞栓性微粒子に対する従来の許容可能なリスクレベルを維持しつつ、装置移植時の優れたX線可視化がもたらされる。
【0086】
[0153] DSC
[0154] 示差走査熱量測定を用いて、Tgと熱遷移の幅に対する組成効果を決定した。このデータは、発泡体拡張率を含む特定の装置設計基準に合わせて調整された材料を開発する重要な情報源である。図19は、物理的発泡剤により、密度が変化する発泡体の一貫した熱特性を示し、遷移温度からは独立して発泡体形態制御能をさらに促進する。発泡体密度を下げると、より多くの材料を、カテーテルを介して送達可能な断面に圧着しうる。これにより、生体内での容積膨張がより高まり、塞栓を容易にするより効果的な充填が可能となる。
【0087】
[0155] 図20は、HT組成物に基づく乾燥及び湿潤可塑化Tgの両方に対する増分制御を示す。三官能性HTモノマーのモル比を高めると、架橋密度が高まり、ポリマー構造がより強固となり、ガラス転移が上昇する。各組成物の湿潤遷移と乾燥遷移は体温(37℃)付近に設定され、体内移植後の材料は受動的に膨張される。これらのサーモグラムに基づき、20HT、30HT、及び40HTの組成物を選択し、装置開発用分析をさらに行った。10HT組成物は、神経血管装置の試作規模で十分な作業時間を確保するには乾燥遷移が低すぎると判断されたが、いくつかの実施形態では、適用可能である。
【0088】
[0156] HT含有量が高まると、遷移温度値と遷移の幅が高まる。図の左下隅に見られるように、完全可塑化10HT組成物は、未だサーモグラムに水分凍結が記録されるのに十分な水分を含んでいた。
【0089】
[0157] 有意性は低いが、イソシアネートの含有量を変えても、Tgを制御しえた(図21)。架橋密度を変化させる代わりに、TMHDIのモル比を高めても、架橋間のポリマー鎖の剛性が高まった。Tgを高め、TMHDI含有量を高めると、材料のバルク疎水性が高まり、材料の湿潤可塑化率と全体的な発泡体拡張時間が低下することが予想される。
【0090】
[0158] ATIPA組成を増加させた場合のサーモグラムを図22に示す。Tgの上昇及び遷移の幅が大幅に高まった。遷移ははるかに画定されない。十分な分析や試作化には脆弱すぎた40AT組成を除き、当該サーモグラムプロファイルの変化は、選択された組成のさらなるDMA分析の動機付けとなった。
【0091】
[0159] DMA
[0160] 図23及び図19を参照すると、ピークTanδ値は、DSC乾燥Tg値よりも約20℃高い。しかし、各組成物の増分差は同等である。このDMAデータは、HT含有量の増加に伴うTgの増加にさらに寄与する。
【0092】
[0161] 図24の接線δプロットは、Tg値が、図21の乾燥DSC値よりも20~30℃高いことを示す。DMA曲線もまた、ATIPA含有量の増加に伴うTgの増加と遷移幅の増加に伴う同様の傾向を示す。最も興味深いのは、30AT組成曲線の形状である。シグナルピークは明らかであるが、Tanδシグナルは、熱転移後にベースラインに戻らない。これは、ゴム状弾性率が低いダンピング材料の存在を示し、いくつかの実施形態では適するが、他の実施形態では適さない、脆弱な形状記憶特性である。当該結果に基づいて、装置試作用の発泡体組成物を、他のポリオール成分に対するATIPAの最大固有溶解度に基づいて選択した。この最大値は、組成物に応じて、ATIPAの20~25当量%の範囲である。
【0093】
[0162] 自発的膨張
[0163] HT含有量が異なる発泡体は、体温水中ではTgの傾向と一致する容積回復挙動を示した。図25に示すように、HT含有量及びTgが高い組成の方が膨張に時間がかかった。30及び40当量%HT組成物はまた、架橋密度が低い(91%)20当量%HT発泡体と比較して、平均容積回収率がより高かった(99%)。
【0094】
[0164] このデータは、いくつかの実施形態では、神経血管塞栓装置の設計に適することを示す。0.0196”±0.001”の平均圧着直径で、当該試作品は、0.021”マイクロカテーテルルーメン内に、目標最小許容差0.002”でほとんど適合する。発泡剤と界面活性剤の組成を変更し、より直径が短い装置バックボーンフィラメントを用いて、圧着寸法をより短くして、バルクの発泡体密度を低下させうる。
【0095】
[0165] これらの拡張プロファイルの推定最小作業時間は、30HT組成では10分、40HT組成では15分を示す。これらのデフォルトの拡張時間は、湿潤可塑化調整用の表面被覆を用いなくても、すでに臨床的許容範囲内にある。
【0096】
[0166] FTIR ATR
[0167] 図26の赤外線スペクトルは、HT含有量が増加しても大きな変化を示さない。しかし、当該スペクトルはポリウレタン発泡体に特徴的なピークを示す。3310cm-1を中心とした広いピークはN-H振動を強調する。また、2852cm-1と2923cm-1のピークは、MPDメチル基からのC-Hの対称及び非対称伸縮に由来する。2260cm-1には未反応のNCOピークが見られなかった。1685cm-1では、C=Oウレタンのピークが水素結合により大きく右にシフトする。これは、セグメント化されたポリウレタンに比べて架橋間の分子量が比較的低い他のポリウレタンのSMP発泡体の水素結合ウレタンピークと一致する。強い水素結合アミドIIのピークが、1515cm-1に見られる。
【0097】
[0168] 20当量%ATIPA発泡体スペクトルのTMHDI含有量の増加を図27に示す。比較のための非可視性100TMH60発泡体も含まれる。TMHDI含有量の増加に伴うメチル化の増加は、2800~3000cm-1の間にあるピークから明らかである。非可視性発泡体と比較して、ATIPA発泡体は、従来のポリウレタン発泡で用いられたH2Oケミカルブローがなく、1650cm-1では尿素ショルダーが顕著でない。
【0098】
[0169] ATIPA含有量が多い組成物(図28)では、合成時にNH2反応性基が高まり、尿素ショルダーが広がったことがわかる。これは、化学的に水を発泡剤として用いる従来のポリウレタンウレア発泡体に存在する尿素含有量とは異なる。また、ATIPA含有量が多くなったことは、1360cm-1にピークがあり、770cm-1にショルダーがあることからも明らかである。
【0099】
[0170] 本研究では、トリヨードベンゼンを含むモノマーを取り込み、化学修飾した形状記憶ポリマー発泡体を作製することに成功した。また、他の構成モノマーのモル比を変化させて、当該ポリマー足場が機能的に変化し、塞栓性医療装置として機能することが実証された。
【0100】
[0171] いくつかの実施例を以下に記載する。
[0172] 実施例1は、転移可能な二次形状にプログラムでき、形状記憶ポリマー発泡体が直接X線可視化用トリヨードベンゼンモノマーを含む一次形状に回復するように刺激しうる熱硬化性形状記憶ポリマー発泡体を含む医用装置を含む。
【0101】
[0173] 実施例2は、トリヨードベンゼンモノマーが、5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸、ジアトリゾ酸、イオヘキソール、トリヨードフェノールから選択される、実施例1の装置に関する。
【0102】
[0174] 実施例3は、モノマー5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸が、前記形状記憶ポリマーの架橋剤、発泡剤、及びX線造影剤として用いられる、実施例1の装置に関する。
【0103】
[0175] 実施例4は、前記形状記憶ポリマー発泡体組成物が、以下の脂肪族ポリオール:1,2,6-ヘキサントリオール、2-ブチル-2-エチル-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリエタノールアミン、テトラキス-ヒドロキシブルロピルエチレンジアミン、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、及び1,2,4-ブタントリオール、のうち少なくとも1つを含む、実施例1の装置に関する。
【0104】
[0176] 実施例5は、前記形状記憶ポリマー発泡体組成物が、以下の脂肪族ジイソシアネート類:ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、のうち少なくとも1つを含む、実施例1の装置に関する。
【0105】
[0177] 実施例6は、前記形状記憶ポリマー発泡体組成物が、以下の芳香族ジイソシアネート類:1,3,4-トリイソシアネート2,4,6-トリメチルベンゼン、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、のうち少なくとも1つを含む、実施例1の装置に関する。
【0106】
[0178] 実施例6の他の例としては、前記形状記憶ポリマーが、1,2-ジアミノプロパン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,8-ジアミノオクタン、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、又は、複数のアミン若しくはアルコール官能基類を含む他の脂肪酸モノマー類を含む、実施例1の装置に関する。
【0107】
[0179] 実施例7は、前記形状記憶ポリマー発泡体が、ポリ(ウレタン-尿素-アミド)である、実施例1の装置に関する。
【0108】
[0180] 実施例8は、前記圧縮形状記憶発泡体が50~500mg/mlのヨウ素を含む、実施例1の装置に関する。
【0109】
[0181] しかしながら、他のいくつかの実施形態では、100、200、300、400mg/ml又はそれ以上のヨウ素を含んでよい。
【0110】
[0182] 実施例9は、前記形状記憶ポリマー発泡体の乾燥ガラス転移温度が、40~80℃である、実施例1の装置に関する。
【0111】
[0183] しかしながら、他のいくつかの実施形態では、40~100、40~90、40~70又は40~60℃であってよい。
【0112】
[0185] 他のいくつかの実施形態では、湿潤可塑化ガラス転移温度開始点は、40、39、38、37、36、35、34℃より低い。
【0113】
[0186] 実施例11は、前記装置の二次形状が、カテーテルを介した低侵襲送達を可能にする半径方向に圧縮された形状である、実施例1の装置に関する。
【0114】
[0187] 実施例12は、形状記憶ポリマー発泡体が直接X線可視化用トリヨードベンゼンモノマーを含み、準安定な二次形状にプログラムされ、刺激されると一次形状に戻る、熱硬化性熱硬化性樹脂を製造する方法に関する。
【0115】
[0188] 実施例13は、前記熱硬化性形状記憶ポリマー発泡体が、5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸、1,2,6-ヘキサントリオール、2-ブチル-2-エチル-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、脂肪族ジイソシアネート、物理的発泡剤、及び界面活性剤の組み合わせにより作製される、実施例12に記載の方法に関する。
【0116】
[0189] 実施例14は、前記熱硬化性形状記憶ポリマー発泡体が、5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸、1,2,6-ヘキサントリオール、2-ブチル-2-エチル-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、脂肪族ジイソシアネート、物理的発泡剤、及び界面活性剤の組み合わせにより作製される、実施例13に記載の方法に関する。
【0117】
[0190] 実施例15は、前記形状記憶ポリマー発泡体組成物が、ポリカプロラクトン(PCL)を含む、実施例1の装置に関する。
【0118】
[0191] 実施例1aは、ヨウ素に共有結合した熱硬化性形状記憶ポリマー(SMP)発泡体を含むシステムに関し;ここで、前記SMP発泡体は、(a)熱刺激に応答して圧縮された二次状態から拡張した一次状態に膨張し、(b)ポリ(ウレタン-尿素-アミド)である。
【0119】
[0192] 実施例2aは、SMP発泡体が放射線不透過性である実施例1aのシステムに関する。
【0120】
[0193] 実施例3aは、ヨウ素がトリヨードベンゼンモノマーに含まれる実施例2aのシステムに関する。
【0121】
[0194] 実施例4aは、トリヨードベンゼンモノマーが、(a)5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA)、(b)ジアトリゾ酸、(c)イオヘキソール、及び(d)トリヨードフェノールのうちの少なくとも1つを含む、実施例3aのシステムに関する。
【0122】
[0195] 実施例5aは、トリヨードベンゼンモノマーがATIPAを含む実施例4aのシステムに関する。
【0123】
[0196] 実施例6aは、ATIPAがSMP発泡体のポリマー鎖を架橋する実施例5aのシステムに関する。
【0124】
[0197] 実施例6aの他のタイプは、(a)ATIPAがSMP発泡体のポリマー鎖を架橋し、かつ(b)他の架橋剤が前記SMP発泡体のポリマー鎖を架橋する、実施例5aのシステムに関する。
【0125】
[0198] 実施例7aは、SMP発泡体は、SMP発泡体内で物理的に結合される、白金、タングステン、及びタンタルのうちの少なくとも1つを含む、実施例3aのシステムに関する。
【0126】
[0199] 実施例8aは、白金、タングステン、及びタンタルのうちの少なくとも1つがSMP発泡体に化学的に結合されていない、実施例7aのシステムに関する。
【0127】
[0200] 実施例9aは、SMP発泡体を横断するバックボーンを含む実施例3aのシステムに関し、前記バックボーンは、ポリマーフィラメント及び金属のうちの少なくとも1つを含む。
【0128】
[0201] 実施例10aは、バックボーンがポリマーフィラメントを含み、金属を含まない実施例9aのシステムに関する。
【0129】
[0202] 実施例10aの他のタイプでは、バックボーンは、ポリマーを含むが金属を含まない。実施例10aの他のタイプでは、バックボーンは、多数%のポリマーと少数%の金属を含む。
【0130】
[0203] 実施例11aは、トリヨードベンゼンモノマーをもたらす工程;(a)(i)複数のアミン官能基,(a)(ii)複数のアルコール官能基,及び(a)(iii)複数のカルボン酸官能基のうちの、少なくとも1つを含む脂肪酸モノマーをもたらす工程;ジイソシアネートをもたらす工程;前記トリヨードベンゼンモノマー、前記脂肪酸モノマー、及び前記ジイソシアネートを溶液に混合する工程;前記溶液から熱硬化性形状記憶ポリマー(SMP)発泡体を形成する工程、を含む方法に関する。
【0131】
[0204] 実施例12aは、トリヨードベンゼンモノマーが、5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA)、ジアトリゾ酸、イオヘキソール、及びトリヨードフェノールからなる群から選択される第1部材を含み;脂肪酸モノマーが、1,2,6-ヘキサントリオール(HT);2-ブチル-2-エチル-プロパンジオール(BEP);3-メチル-1,5-ペンタンジオール(MPD);ジエチレングリコール(DEG);トリエチレングリコール(TEG);トリエタノールアミン(TEA);テトラキス-ヒドロキシブルロピルエチレンジアミン(HPED);グリセロール;トリメチロールプロパン;トリメチロールメタン;1,2,4-ブタントリオール;1,2-ジアミノプロパン;2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン;1,8-ジアミノオクタン;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール;1,3-ジアミノ-2-プロパノール;及びアスパラギン酸からなる群から選択される第2部材を含み;ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI);イソホロンジイソシアネート;1,3,4-トリイソシアネート2,4,6-トリメチルベンゼン;トルエンジイソシアネート;及びジフェニルメタンジイソシアネートからなる群から選択される第3部材を含む、実施例11aの方法に関する。
【0132】
[0205] 実施例13aは、第2部材が、HT;BEP;MPD;DEG;TEG;TEA;HPED;グリセロール;トリメチロールプロパン;トリメチロールメタン;及び1,2,4-ブタントリオール、からなる群から選択される、実施例12aの方法に関する。
【0133】
[0206]実施例14aは、第3部材がHDI;TMHDI;及びイソホロンジイソシアネートからなる群から選択される、実施例12aの方法に関する。
【0134】
[0207] 実施例14aの他のタイプは、第2部材が、1,2-ジアミノプロパン;2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン;1,8-ジアミノオクタン;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;及び2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールからなる群から選択される、実施例12aの方法に関する。
【0135】
[0208] 実施例15aは、第3部材が、1,3,4-トリイソシアネート2,4,6-トリメチルベンゼン;トルエンジイソシアネート;及びジフェニルメタンジイソシアネートからなる群から選択される、実施例12aの方法に関する。
【0136】
[0209] 実施例16aは、第1部材がATIPAである、実施例12aの方法に関する。
【0137】
[0210] 実施例16aの他のタイプは、第1部材が、ATIPAであり、前記ATIPAは、第1部材及び第2部材の20~30%MW含まれる、実施例12aの方法に関する。
【0138】
[0211] 実施例17aは、第2及び第3部材を第1部材と架橋する、実施例12aの方法に関する。
【0139】
[0212] 実施例18aは、溶液からSMP発泡体を形成する工程が、化学発泡剤として第1部材を用いる、実施例17aの方法に関する。
【0140】
[0213] 実施例19aは、HT;BEP;MPD;DEG;TEG;TEA;HPED;グリセロール;トリメチロールプロパン;トリメチロールメタン;1,2,4-ブタントリオール;1,2-ジアミノプロパン;2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン;1,8-ジアミノオクタン;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール;1,3-ジアミノ-2-プロパノール;及びアスパラギン酸からなる群から選択される第4部材を含む、実施例12aの方法に関する。
【0141】
[0214] 実施例20aは、X線可視化であるヨウ素含有熱硬化性連続気泡形状記憶ポリマー(SMP)発泡体を含み;ここで、SMP発泡体が、(a)熱刺激に応答して圧縮された二次状態から拡張した一次状態に拡張し;(b)ポリ(ウレタン-尿素-アミド)である、システムに関する。
【0142】
[0215] 「X線可視化」であるか「放射線不透過性」であるかは、当業者、例えば、蛍光透視法や血管造影等のイメージングを用いて日常的に動脈瘤治療を行う脳神経外科医やインターベンショナル神経放射線科医等の、当該技術の通常の熟練者により判断される。X線パワーは、用いる画像機器等により異なるが、当業者であれば、組織周辺から発泡体を識別しうる通常の臨床条件下で、発泡体がどのように見えるかを理解できるであろう。
【0143】
[0216] 実施例20aは、ヨウ素が、トリヨードベンゼンモノマーに含まれ、かつSMP発泡体のポリマーネットワーク内で共有結合する、実施例19aのシステムに関する。
【0144】
[0217] 実施例20aの他のタイプは、ヨウ素がトリヨードベンゼンモノマーに含まれ、かつSMP発泡体内に物理的に組み込まれる、実施例19aのシステムに関する。
【0145】
[0218] 実施例20aの他のタイプは、ヨウ素は、少なくとも1つのトリヨードベンゼンモノマーに含まれ、かつa)SMP発泡体のポリマーネットワーク内で共有結合し、及び(b)SMP発泡体内に物理的に組み込まれるが、化学的に結合されていない、実施例19aのシステムに関する。
【0146】
[0219] 実施例21aは、二次状態のSMP発泡体が50~500mg/mlのヨウ素を含む、実施例20aのシステムに関する。
【0147】
[0220] ただし、他のいくつかの実施形態では、二次状態のSMP発泡体は、50~100、100~200、200~300、300~400mg/ml、又はそれ以上のヨウ素を含んでよい。
【0148】
[0221] 実施例22aは、一次状態のSMP発泡体の密度は0.1g/cc未満であり、かつ乾燥ガラス転移温度(Tg)は、30~100℃である、実施例21aのシステムに関する。
【0149】
[0222] 実施例22aの他のタイプは、一次状態のSMP発泡体の密度は0.1g/cc未満であり、かつ乾燥ガラス転移温度(Tg)は、30~100℃であり、1650cm-1のフーリエ変換赤外分光(FTIR)尿素ピークがない、実施例21aのシステムに関する。
【0150】
[0223] 実施例22aの他のタイプは、密度が0.09、0.08、0.07、0.06、又は0.05g/cc未満である。
【0151】
[0224] 実施例23aは、SMP発泡体がポリカプロラクトン(PCL)を含む、実施例22aのシステムに関する。
【0152】
[0225] 実施例24aは、SMP発泡体に結合される、ステント及びフローダイバータの少なくとも1つを含む、実施例23aのシステムに関する。
【0153】
[0226] 実施例25aは、完全カプセル化キット、可撓性導管;及び押し込みロッドを含み;ここで、前記可撓性導管は、可撓性導管内にSMP発泡体を含み、前記SMP発泡体は前記押し込みロッドに結合され、前記押し込みロッドの少なくとも一部は、可撓性導管内に含まれる、実施例23aのシステムに関する。
【0154】
[0227] 例えば、キットは、医療機関に出荷される密封滅菌されたキットであってよい。導管は、何らかの形態のカテーテルを含んでもよい。
【0155】
[0228] 放射線不透過性照射架橋化熱可塑性ポリマー
[0229]上記議論の多くは、放射線不透過性熱硬化性ポリマーに関する。しかし、他のいくつかの実施形態では、ヨウ素を含む化学的モチーフを備える熱可塑性ポリマーに関する。当該モチーフは、取り込み前に官能化できる。その結果、X線可視化され、様々なポリマー加工技術を用いて加工でき、その後、電子線照射を用いて架橋されうるポリマー組成物が得られる。
【0156】
[0230] より一般的には、ある程度上記で記載したように、SMPは、刺激に応答して幾何学的変化を受ける機能がある材料で、形状記憶効果として公知である。この形状記憶効果により、医用装置の最小侵襲的送達が可能になるため、SMPは生物医学研究者の間で関心が高い。ポリウレタン(PU)は、材料性能、生体適合性、及び改質機能のため、一般に、生物医学用途として用いられる。ガスブローイング低密度発泡体は、容積回復性が高く、止血が迅速であり、塞栓用に特に望ましい。
【0157】
[0231] しかし、発明者は、この熱硬化性材料プラットフォームは、装置の形状、製造の容易さ、特徴の精度、及びプロセスの再現性に限界があると判断した。熱可塑性材料は産業界で汎用されており、精密で複雑な成型が可能な様々な加工技術(例えば、押出成形、射出成形、添加剤製造等)に適合する。SMP熱可塑性ポリウレタン(TPU)材料は、以前Hearonらにより開発された(LAWRENCE LIVERMORE NATIONAL SECURITY,LLC(LLLC)に譲渡された米国特許第8,883,871号を参照のこと)。当該SMPシステムは、高度に調整可能であり、加工可能であり、ポリマーの特性及びアーキテクチャの制御を可能にする。しかし、発明者は、当該高分子材料には固有にX線可視化できないおそれがあり、装置の送達を妨げるおそれがあることを発見した。発明者はさらに、適当なX線可視化を達成するには、TPUシステムの改良を要すると判断した。
【0158】
[0232] ここでは、熱可塑性ポリマーと熱硬化性ポリマーがともに採用される。熱硬化性樹脂は、溶融せずに3次元形状を維持する共有結合的に架橋されたネットワークであるのに対し、熱可塑性樹脂は、溶剤加工又は溶融加工で複雑形状へ成型しうる線状の鎖である。各システムには利点があり、材料の選択は用途や加工条件により異なる。例えば、熱硬化性材料は溶融できないため、高温用途に有用であり、熱可塑性材料は複雑な形状とハイスループット製造が必要な用途に有用である。
【0159】
[0233] TPUのエラストマー挙動は調節可能なため、産業界で汎用される。TPU樹脂は、硬質熱可塑性樹脂と可撓性エラストマーとの間の広い範囲の材料性能を達成しうる。TPUは溶融加工が可能で、押出成形、ディップ被覆、エレクトロスピニング、超臨界発泡、射出成形等の従来の加工技術に加え、添加剤製造等の新しい方法でも用いられうる。TPUの汎用性は、主にハード部とソフト部の比率により制御される様々な機械的特性を備えるTPUの製造能に由来する。分子量、結晶性、疎水性等の他のポリマー特性もまた、熱可塑性加工性を変化させうる。米国特許第8,883,871号は、高度に調整可能で加工可能なTPU材料プラットフォームに関する。そのユニークなアーキテクチャにより、当該材料は、熱可塑性としての高度な加工機能を備え、熱硬化性SMPの後処理で架橋しうる。熱硬化性材料は、優れた形状固定性と形状記憶回復性を備える。後重合架橋により、熱可塑性ポリマーと熱硬化性ポリマーの長所をともに活かしたシステムが可能となる。
【0160】
[0234] 電子線照射による熱可塑性ポリマーの架橋は、多くの熱可塑性システムで行われている。電子線照射は、不飽和炭素ビニル基上にラジカルを生成する。互いに近接したラジカルは反応して共有結合を形成し、隣接するポリマー鎖を架橋する。照射量に応じて、電子線処理は結合形成又は鎖切断のいずれかをもたらしうる。過度照射により、ポリマーの微細構造や結晶性に望ましくない変化が生じるおそれがあり、架橋パラメータを最適化することが重要であることが見いだされた。
【0161】
[0235] 発明者は、熱可塑性SMPシステムにさらに価値をもたらすには、血管内医用装置の可視化・モニタリングが可能になるX線可視化が望ましいことを見出した。ポリマーの密度は放射線透過性には不十分であり、様々な方法でX線可視化を実現する広範な研究が行われてきた。従来の研究では、ナノ粒子及びマイクロ粒子の充填剤をともに検討して熱硬化性SMP発泡体の不透明度を向上させてきたが、当該方法ではバルクの熱的及び機械的特性を変化させうる。硫酸バリウムは、靱性、抗張力等の機械的特性も向上させうる、X線可視化用の医用規格TPUへの一般的な添加剤である。
【0162】
[0236] いくつかの実施形態では、当該TPU材料の化学修飾に対処し、ヨウ素含有モチーフを組み込んで熱硬化性SMPの可視化を改善する、上記放射線不透過性熱硬化性ポリマーに基づいて構築される。当該アプローチは、材料のバルク特性を損なわないため、物理的添加剤の取り込みに有利である。しかし、いくつかの実施形態では、当該技術を修飾して、TPU材料システムをレンダリングする。
【0163】
[0237] したがって、安全かつ正確な送達に医用装置に適当なX線可視化が必要であることを考慮すると、材料を修正して、放射線不透過性を付与するマーカーバンド等の金属成分を用いない(又はその使用を低減する)、単独又は主に高分子材料から作製される医用装置を実現する。上記のように、いくつかの実施形態では、化学修飾された放射線不透過熱硬化性SMP発泡体に関する。当該化学修飾は、2個のカルボン酸と1級アミンを備えるトリヨードベンゼンモノマー、ATIPAを取り込んで、ジイソシアネートとの化学発泡反応や架橋反応による熱硬化性発泡体の形成により達成された。しかしながら、本明細書に記載の他の実施形態では、ATIPA及び他のトリヨードベンゼンモノマーを、官能化側鎖及び/又はペンダント基を備える熱可塑性ポリマー系に組み込むことがあげられる。より具体的には、2つのATIPAカルボン酸をTPUバックボーンに組み込み、アミン基を官能化して材料システムに付加価値を付与する。この方法は、多くの新規医用装置への可用性があり、バイオ医用分野(及び断熱材等の業種)における適用可能性が広がる。しかしながら、放射線不透過性TPU用のいくつかの実施形態では、放射線不透過性TPUは、医用装置に限定されず、放射線不透過性ポリマー(熱硬化性又は熱可塑性)が望まれる分野で、より一般的に用いられうる。
【0164】
[0238] 一実施形態では、放射線架橋可能な線状TPUに化学修飾を施して、X線可視化した。いくつかの実施形態では、最初にプレ官能化を行って、ヨウ素モチーフの取り込みを行い、利用可能な官能基を確実に2つ存在させて、線状TPUの構造を維持する。例えば、ATIPAのプレ官能化工程では、反応速度論を利用して第一級アミン基を選択的に官能化し(第一級アミンは、イソシアネートの反応性がカルボン酸よりも約5倍高い)、2つのカルボン酸基を残してTPUバックボーンに反応させる。さらに、このプレ官能化を用いて材料をさらに改良しうる。例えば、ビニル基で官能化すると、利用可能な架橋部位が増加しうる。
【0165】
[0239] このTPUは、標準的な材料と比較して多くの利点がある。第一に、ペンダントビニル基を備える直鎖状のTPU鎖は、後工程で電子線照射を介して架橋可能である。第二に、X線可視化は化学修飾により実現される。また、X線可視化を可能にする化学修飾は、材料システムにさらなる機能性を付与しうる。
【0166】
[0240] 以下は、放射線不透過性TPUに関するさらに詳細な議論である。
[0241] アプローチ
[0242] 発明者は、ペンダントビニル基を備える分子量の異なる直鎖状の熱可塑性鎖を合成した。次に、発明者は、PUケミストリーを調整して、ジオールとジイソシアネートの選択により、疎水性とTgに対する依存性を制御した足場を達成した(図29)。要すれば、図30の反応は、脂肪族ジイソシアネートモノマーがジオールと反応して直鎖を成長させることに基づく。ジイソシアネート選択は、ポリマーの疎水性を調整する方法である。配合物として選択される2つの例のジイソシアネートモノマーは、TMHD及びHDIである(図29)。ペンダントビニル基を備えるジオール(例えば、図29のTMPAE及びHDD)は、架橋密度を制御する。アリルアルコール(AA)等の単官能アルコールを反応に添加すると、鎖を末端化し、様々なモル量で添加すると、分子量(MW)を制御しうる。アリルアルコールは、架橋用ビニル基をさらに提供するが、エチルアルコール等のアルキルアルコールを添加すると、電子線架橋密度依存性の熱可塑性分子量を制御しうる。
【0167】
[0243] 熱可塑性合成改良
[0244] 一実施形態では、米国特許第8,883,871号に記載されている合成プロトコルを変更して、安全性を向上させ、得られるポリマー特性の制御を強化した。反応温度を溶媒の沸点以下に低下させ、反応中に窒素パージを加えた。この開放的な雰囲気条件により、ATIPAカルボン酸とイソシアネート基との反応中に二酸化炭素オフガスが発生する。合成後、THF中のポリマーをディッシュに配置し、3日間かけて徐々に75℃まで加熱した後、真空吸引し、最後の2日間かけて90℃まで昇温し、TPUのバブリングを防止し、THFをより徹底的に除去する。
【0168】
[0245] ATIPA官能化
[0246] 一実施形態では、ヨードベンゼンモノマー(例えば、トリヨードベンゼンモノマー)が官能化される。様々な適当なトリヨードベンゼンモノマーを図31に示す。一実施形態では、溶液中の官能化イソシアネート1モル当量でATIPAを官能化する。反応速度論により、イソシアネート基は、カルボン酸(COOH)基よりも芳香族アミンとの反応性が約5倍高くなる。したがって、本工程は、ATIPA上のアミン基を官能化し、残りの2つのCOOH基を介して熱可塑性ポリマー化を可能にする。図32Aは、TPUへの取り込みのためのATIPA上のアミン基の修飾を示す。
【0169】
[0247] 図32Bは、アリルイソシアネート備えるATIPAの官能化を示す。TPU構造への取り込みのための2つのカルボン酸基を保存する利点に加えて、アリルイソシアネートを備える第一級アミンの官能化により、ポリマー処理の最終段階で電子線照射を介した架橋に用いうる、他の不飽和炭素-炭素二重結合を生成しうる。これにより、ポリマーがX線可視化できるようになり、材料特性も改善される。
【0170】
[0248] 一般に、イソシアネートを選択して、系の構造を調整するのに用いる(例えば、アリルイソシアネートは架橋密度を高め、ペンタフルオロイルイソシアネートはパーフルオロカーボン中での可塑化を可能にする)。
【0171】
[0249] ATIPA又は類似のヨウ素含有化学モチーフの他の修飾も可能である。例えば、ATIPA又は他の放射線不透過性モノマーは、ポリマーに取り込まれる前に、図34のモノマーで官能化される。例えば、塩化アクリロイルは、ATIPA上のアミン基と反応して、ペンダントビニル基を備えるアミド連結を形成する。
【0172】
[0250] 図33は、一実施形態では、放射線不透過性モノマーの官能化と、その後の材料処理とを含む工程の一実施形態を示す。
【0173】
[0251] 図35は、IEMAを用いた官能化前後のATIPAの相違を示すATR FTIRスペクトルを示す。ピークの顕著な相違を緑丸印で示す。1080-1360cm-1のC-Nアミン伸縮は、IEMAによる官能化後ほど顕著でなく、ATIPA上のアミン位置で官能化モノマーとの反応が成功したことを示す。このことは、NH2が優先的に官能化され、COOH基(C=O伸縮1700-1725cm-1)が、官能化ATIPAのTPUバックボーンへの取り込みのために保存されることを証明する点で、重要である。さらに、官能化ATIPAでは、アミドN-Hの曲げ挙動の低下が見いだされた(オレンジ色で囲んだ部分)。
【0174】
[0252] 図36は、上記のTPU形成のより完全なプロセスを示す。図36は、ビニルジオール成分、又はおそらくは官能化ATIPAのペンダントビニル基を示す。当該基により、電子線照射後処理による直鎖の架橋が可能となる。図37は、架橋されたTPUを示す。
【0175】
[0253] 図38は、コントロールとATIPAのTPU組成の相違を示すATR FTIRスペクトルであり、重要なピークにはラベルが付され、アミン伸縮のピーク比の相違は丸印で示す。IRスペクトル中のアルケンの存在は、両組成物にて、電子線照射を介した架橋に利用されるビニル基が存在することを示す。
【0176】
[0254] 図39は、工業的規模の操作で用いうる比較的環境に優しい工程を提供する電子線照射架橋を示す。図39は、一般的な電子線照射架橋メカニズムを示す。
【0177】
[0255] このように、上記のように、いくつかの実施形態では、X線可視化基が組み込まれた熱可塑性形状記憶ポリマー組成物を提供する。当該組成物は、官能化放射線不透過性モノマーのカルボン酸、ヒドロキシル及びアミンの間の直接反応を介してポリマーバックボーンに化学的に組み込まれる放射線不透過性モノマーを含んでよい。しかし、他のいくつかの実施形態では、重合前に、モノマー又はマクロマーを放射線不透過性モノマーと反応させて官能化する。一実施形態では、モノマーは、脂肪族ジイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、脂肪族ジオール(例えば、ブタンジオール類、ペンタンジオール類、ヘキサンジオール類、ブチンジオール類)、ペンダントビニルを含むジオール(例えば、不飽和炭素-炭素二重結合)、及び放射線不透過性モノマー(例えば、5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸、ジアトリゾ酸、イオタラミン酸(iothalmic acid)、トリヨードフェノール等)からなる群から選択される。一実施形態では、例えば、単官能のイソシアネートとアミン基を備える放射線不透過性モノマーとを反応させて官能化放射線不透過性モノマーを製造する方法があげられる。官能化放射線不透過性モノマーは、ポリウレタンネットワークに組み込まれ、バルク材料全体にX線可視化基を備えるポリウレタンを作製する。
【0178】
[0256] 一実施形態では、本明細書に記載されたTPUから重合性発泡体を製造する方法を包含する。これには、凍結乾燥、相分離、エマルジョン発泡/鋳型化、超臨界ガス発泡、又は物理的ブローがあげられる。
【0179】
[0257] いくつかの実施形態では、医用装置の製造に適し、当該装置における医療材料として、皮下インプラント、動脈瘤充填装置、末梢充填装置、骨移植片等があげられるが、これらに限定されない。
ただし、いくつかの実施形態では、医用装置に限定されず、例えば、航空宇宙用放射線遮蔽装置、クッションやマットレス用の工業用発泡体、断熱材等にも適用しうる。
【0180】
[0258] 以下に、様々な実施例を取り上げる。
[0259] 実施例1b. (a)ヨウ素と共有結合し、(b)ビニル基を含み、(c)ウレタン結合を含む、熱可塑性ポリマーを含む、ポリマー組成物である。
[0260] これは、必ずしもヨウ素との直接的な共有結合を意味するものではない。
【0181】
[0261] 実施例1bの他のタイプ. (a)ヨウ素と共有結合し、(b)ビニル基、アクリレート基、又はメタクリレート基を含み、(c)ウレタン結合を含む、熱可塑性ポリマーを含む、ポリマー組成物である。
【0182】
[0262] 実施例1bの他のタイプ. (a)ヨウ素と共有結合し、(b)アクリレート基を含み、(c)ウレタン結合を含む、熱可塑性ポリマーを含む、ポリマー組成物である。
【0183】
[0263] 実施例1bの他のタイプ. (a)ヨウ素と共有結合し、(b)メタクリレート基を含み、(c)ウレタン結合を含む、熱可塑性ポリマーを含む、ポリマー組成物である。
【0184】
[0264 実施例1bの他のタイプ. (a)ヨウ素又はホウ素と共有結合し、(b)ビニル基を含み、(c)ウレタン結合を含む、熱可塑性ポリマーを含む、ポリマー組成物である。
【0185】
[0265] 実施例1bの他のタイプ. (a)ホウ素と共有結合し、(b)ビニル基を含み、(c)ウレタン結合を含む、熱可塑性ポリマーを含む、ポリマー組成物である。
【0186】
[0266] 実施例1bの他のタイプ. ヨウ素含有モチーフ、ビニル基、及びウレタン結合を含む熱可塑性ポリマーを含む、ポリマー組成物である。
【0187】
[0267] 実施例1bの他のタイプ. (a)ヨウ素と共有結合し、(b)ビニル基を含み、(c)ウレタン結合を含む、熱可塑性ポリマーを含む、ポリマー組成物である。
【0188】
[0268] 本明細書に記載の放射線不透過性TPUは、多孔性又は非孔性であってもよい様々な形状及び幾何学的形状に形成されてよい。
【0189】
[0269] 実施例2b. 熱可塑性ポリマーが放射線不透過性である、実施例1bのポリマー組成物である。
【0190】
[0270] 実施例3b. ヨウ素がトリヨードベンゼンモノマーに含まれる、実施例1b又は2bのポリマー組成物である。
【0191】
[0271] 実施例3bの他のタイプ. ヨードがジヨードベンゼンモノマーに含まれる、実施例1b又は2bのポリマー組成物である。
【0192】
[0272] 実施例4b. トリヨードベンゼンモノマーが、(a)5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA)、(b)ジアトリゾ酸、(c)トリヨードフェノール、又は(d)イオタラミン酸のうち少なくとも1つを含む、実施例3bのポリマー組成物である。
【0193】
[0273] 実施例4bの他のタイプ. トリヨードベンゼンモノマーが、イオヘキソール;2-{3-[アセチル(プロピル)アミノ]-2,4,6-トリヨードフェノキシ}ヘキサン酸;2,3,5-トリヨード安息香酸;及び/又は3-(3-アミノ-2,4,6-トリヨードフェニル)プロパン酸、のうち少なくとも1つを含む実施例3bのポリマー組成物である。
【0194】
[0274] 実施例5b. トリヨードベンゼンモノマーがATIPAを含む、実施例4bのポリマー組成物である。
【0195】
[0275] 実施例6b. トリヨードベンゼンモノマーが、ビニル基又は他のビニル基のどちらかを含む官能基を含む、実施例3b~5bのいずれかのポリマー組成物である。
【0196】
[0276] 実施例6bの他のタイプ. 官能化されたトリヨードベンゼンモノマーが、ビニル基を含む官能基を含む、実施例3b~5bのいずれかのポリマー組成物である。
【0197】
[0277] 例えば、図36では、TPUは、ビニル基としての可能性のある部位が2つある。しかし、他のいくつかの実施形態では、トリヨードベンゼンにはビニル基がない場合がある。
【0198】
[0278] 例えば、一実施形態では、官能化された側鎖及び/又はペンダント基を備える熱可塑性ポリマー系に、ATIPA及び/又は他のトリヨードベンゼンモノマーを含む。
【0199】
[0279] 実施例7b. ポリマーが、トリヨードベンゼンモノマーを含むバックボーンを含む、実施例3b~6bのいずれかのポリマー組成物である。
【0200】
[0280] 実施例8b. トリヨードベンゼンモノマーが、バックボーンにアミド結合で結合する、実施例7bのポリマー組成物である。
[0281] 当該アミド連結は、ATIPAのアミンの官能化を有利にする反応速度論に関して上記のCOOH基の保存のため、可能になりうる。
【0201】
[0282] 実施例8bの他のタイプ. トリヨードベンゼンモノマーが、アミド結合、ウレタン結合、又はウレア結合のうちの少なくとも1つでバックボーンに結合する、実施例7bのポリマー組成物である。
[0283] トリヨードフェノール又は他の水酸基含有トリヨードベンゼンモノマーの場合、結合基はウレタンを含んでよい。
【0202】
[0284] 実施例9b. 熱可塑性ポリマーが、熱可塑性ポリマー内で物理的に結合し、熱可塑性ポリマーに化学的に結合しない、白金、タングステン、及びタンタルのうちの少なくとも1つを含む、実施例1b~8bのいずれかの組成物である。
[0285]例えば、「化学的結合」は共有結合を含んでよく、物理的結合は正規の化学結合(例えば、ファンデルワールス引力のイオン結合又は共有結合)には依存しないが、抵抗等に依存しうる。
【0203】
[0286] 実施例10b. (a)ヨウ素と共有結合し、(b)ウレタン結合を含み、(c)ゲル分率が少なくとも0.8であり、かつ、熱刺激に応答して二次状態から一次状態に遷移する熱硬化性形状記憶ポリマー(SMP)を含むポリマー組成物である。
[0287] 少なくとも0.8のゲル分率で用いると、熱可塑性ポリマーでなく熱硬化性ポリマーを示すであろう。他のいくつかの実施形態では、少なくとも0.5のゲル分率を含んでよい。
【0204】
[0288] 実施例10bの他のタイプ. (a)ヨウ素と共有結合し、(b)ウレタン結合を含み、(c)ゲル分率が少なくとも0.8であり、かつ、熱刺激に応答して二次状態から一次状態に遷移する熱硬化性形状記憶ポリマー(SMP)を含むポリマー組成物である。
【0205】
[0289] 実施例11b. SMPが放射線不透過性である、実施例10bのポリマー組成物。
【0206】
[0290] 実施例12b. トリヨードベンゼンモノマーがヨウ素を含む、実施例10b~11bのいずれかのポリマー組成物である。
【0207】
[0291] 実施例13b.トリヨードベンゼンモノマーが、(a)5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA)、(b)ジアトリヨードイソフタル酸、(c)トリヨードフェノール、又は(d)イオタラミン酸のうちの少なくとも1つを含む、実施例12bのポリマー組成物である。
【0208】
[0292] 実施例14b. トリヨードベンゼンモノマーがATIPAを含む、実施例13bのポリマー組成物である。
【0209】
[0293] 実施例15b. SMPが、トリヨードベンゼンモノマーを含むバックボーンを含む、実施例12b~14bのいずれかのポリマー組成物である。
【0210】
[0294] 実施例16b. トリヨードベンゼンモノマーが、バックボーンにアミド結合で結合する、実施例15bのポリマー組成物である。
【0211】
[0295] 実施例16bの他のタイプ. トリヨードベンゼンモノマーが、アミド結合、ウレタン結合又は尿素結合のうちの少なくとも1つでバックボーンに結合する、実施例15bのポリマー組成物である。
[0296] 例えば、図1~28に記載された種々の熱硬化性樹脂では、第一NH2基が官能化されず、反応によりネットワークを形成しうるため、バックボーンへの結合は、アミド及び/又は尿素を介してよい。図29~39で記載したTPUのいくつかの実施形態では、用いるトリヨードベンゼンモノマーの官能基に応じて、ウレタン又はその他を介して連結してよい。
【0212】
[0297] 実施例17b. SMPがアルキル基を介して架橋される、実施例16bのポリマー組成物である。
【0213】
[0298] 実施例17bの他のタイプ. SMPが、ビニルクリック化学反応、マイケル付加反応、又はディールス・アルダー反応と反応するチオール-エン基を介して架橋される、実施例16bのポリマー組成物である。
【0214】
[0299] 実施例18b. SMPが、SMP内で物理的に結合するが、化学的に結合しない、白金、タングステン、及びタンタルのうちの少なくとも1つを含む、実施例10b~17bのいずれかのポリマー組成物である。
【0215】
[0300] 実施例19b. SMP及び50~500mg/mlのヨウ素を含み、かつ、乾燥ガラス転移温度が40~80℃である、発泡体を含む、実施例10b~18bのいずれかに記載のポリマー組成物である。
【0216】
[0301] 実施例20b. 発泡体を横断する、ポリマーフィラメント又は金属のうちの少なくとも1つを含む、物理的バックボーンを含む、実施例19bのポリマー組成物である。
[0302] 例えば、バックボーンは、組織的空隙(例えば、動脈瘤、左心房付属器)内に展開される発泡体上にらせん状構造を形成する形状記憶ニッケル-チタン合金を含むことができる。
【0217】
[0303] 実施例21b. トリヨードベンゼンモノマーを提供する工程;(a)(i)複数のアミン官能基、(a)(ii)複数のアルコール官能基、及び(a)(iii)複数のカルボン酸官能基のうちの少なくとも1つを含む脂肪酸モノマーを提供する工程;前記トリヨードベンゼンモノマー、前記脂肪酸モノマー、及び前記ジイソシアネートを溶液中に混合する工程;前記溶液から熱可塑性ポリマーを形成する工程、を含む、方法である。
【0218】
[0304] 実施例22b. トリヨードベンゼンモノマー、脂肪酸モノマー、及びジイソシアネートを溶液中に混合する前に、アミン基を官能化する工程を含み、ここで前記トリヨードベンゼンモノマーがアミンペンダント基を含む、実施例21bの方法である。
【0219】
[0305] 実施例23b. トリヨードベンゼンモノマー、脂肪酸モノマー、及びジイソシアネートを溶液中に混合する前に、アミン基を官能化する工程を含み、ここで前記トリヨードベンゼンモノマーがアミンペンダント基を含む、実施例21bの方法である。
【0220】
[0306] 実施例24b. トリヨードベンゼンモノマー、脂肪酸モノマー、及びジイソシアネートを溶液に混合する前に、トリヨードベンゼンモノマーをイソシアネートで官能化する工程を含む、実施例21bの方法である。
【0221】
[0307] 実施例24bの他のタイプ. トリヨードベンゼンモノマー、脂肪酸モノマー、及びジイソシアネートモノマーを溶液に混合する前に、トリヨードベンゼンモノマーを単官能化する工程を含む、実施例21bの方法である。
【0222】
[0308] 実施例25b. イソシアネートが、アリルイソシアネート、エチルイソシアネート、メタクリル酸イソシアノエチル(IEMA)、又は塩化アクリロイルのうちの少なくとも1つを含む、実施例24bの方法である。
【0223】
[0309] 実施例26b. ビニル基の電子線架橋を介して、熱可塑性ポリマーを架橋して熱硬化性ポリマーを形成する工程を含む、実施例24bの方法である。
【0224】
[0310] 実施例27b. トリヨードベンゼンモノマーが、アミン基官能化前に2より多い官能性を備え、アミン基官能化後に2つの官能基を有する、実施例22b~26bのいずれかの方法である。
[0311] 実施例27bの他のタイプ. トリヨードベンゼンモノマーが、アミン基官能化前に2より多い反応性官能性を備え、アミン基官能化後に2つの官能基を有する、実施例22b~26bのいずれかの方法である。
【0225】
[0312] 実施例28b. トリヨードベンゼンモノマーが、アミン基官能化後に2つのカルボン酸官能基を含む、実施例22b~27bのいずれかの方法である。
【0226】
[0313] 実施例29b. トリヨードベンゼンモノマーが、5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA)、ジアトリゾ酸、トリヨードフェノール、又はイオタラミン酸のうち少なくとも一つを含み、脂肪酸モノマーが、2-ブテン-1,4-ジオール; 1,4-ブタンジオール; 1,6-ヘキサンジオール; 1,8-オクタンジオール; 1,10-デカンジオール; 1,6-ヘキサンジイルビス[オキシ(2-ヒドロキシ-3,1-プロパンジイル)]ビスアクリレート; ビスフェノールAグリセロール酸(glycerolate)ジメタクリレート; 3,4-ジヒドロキシ-1-ブテン; 7-オクテン-1,2-ジオール; ペンタエリトリトールトリアクリレート; ジエチレングリコール(DEG); ジエタノールアミン; ハイドロキノンビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル; トリエチレングリコール(TEG); 1-(ベンジルオキシメチル)トリエチレングリコール; 2,2’-エチルイミノジエタノール; ブタンジオール; ペンタンジオール; ヘキサンジオール; ブチンジオール;又はペンダントビニル基を含むジオールのうち少なくとも一つを含み、;及び、ジイソシアネートが、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI); トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI); ジシクロヘキシルメタン4,4’ジイソシアネート(DCHMDI);イソホロンジイソシアネート(IPDI); トランス-1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート; 1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン; 1,5-ジイソシアナト-2-メチルペンタン; 1,7-ジイソシアナトヘプタン;又は1,8-ジイソシアナトオクタンのうち少なくとも一つを含む、実施例21b~28bのいずれかの方法である。
【0227】
[0314] 実施例29bの他のタイプ. トリヨードベンゼンモノマーが、5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA);ジアトリゾ酸; トリヨードフェノール; イオタラミン酸; イオヘキソール; 2-{3-[アセチル(プロピル)アミノ]-2,4,6-トリヨードフェノキシ}ヘキサン酸; 2,3,5-トリヨード安息香酸(取り込みはCOOH基との単官能のみ); 又は3-(3-アミノ-2,4,6-トリヨードフェニル)プロパン酸のうち少なくとも一つを含み、脂肪酸モノマーが、2-ブテン-1,4-ジオール; 1,4-ブタンジオール; 1,6-ヘキサンジオール; 1,8-オクタンジオール; 1,10-デカンジオール; 1,6-ヘキサンジイルビス[オキシ(2-ヒドロキシ-3,1-プロパンジイル)]ビスアクリレート; ビスフェノールAグリセロール酸ジメタクリレート; 3,4-ジヒドロキシ-1-ブテン; 7-オクテン-1,2-ジオール; ペンタエリトリトールトリアクリレート; ジエチレングリコール(DEG); ジエタノールアミン; ハイドロキノンビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル; トリエチレングリコール(TEG); 1-(ベンジルオキシメチル)トリエチレングリコール; 2,2’-エチルイミノジエタノール; ブタンジオール; ペンタンジオール; ヘキサンジオール; ブチンジオール; ペンダントビニル基を含むジオール; 1,5-ヘキサジエン-3,4-ジオール(HDD)、又はトリメチロールプロパンアリルエーテル(TMPAE)のうち少なくとも一つを含み、; 及び、ジイソシアネートが、1,6-ジイソシアナトヘキサン(HDI); トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI); ジシクロヘキシルメタン4,4’ジイソシアネート(DCHMDI); イソホロンジイソシアネート(IPDI); トランス-1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート; 1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン; 1,5-ジイソシアナト-2-メチルペンタン; 1,7-ジイソシアナトヘプタン; 又は1,8-ジイソシアナトオクタンのうち少なくとも一つを含む、実施例21b~28bのいずれかの方法である。
【0228】
[0315] 実施例30b. 熱可塑性ポリマーを、溶液鋳造、溶液紡糸、エレクトロスピニング、超臨界発泡、ディップ被覆、熱形成、圧縮成型、射出成形、押出成形、フィルムブロー、又は添加剤製造のうちの少なくとも1つを用いて成形する工程;熱可塑性ポリマー成形後、電子線架橋を介して熱硬化性ポリマーを架橋して熱硬化性ポリマーを成形する工程を含む、実施例21b~25b及び27b~29bのいずれかの方法である。
[0316] 例えば、超臨界発泡により、小孔SMP発泡体を獲得してよい。
【0229】
[0317] 実施例31b. 熱可塑性ポリマーを架橋して、熱硬化性ポリマーの一次形状を永久的形状とする工程;熱硬化性ポリマーの作動転移温度以上の温度で応力又はひずみを印加して、熱硬化性ポリマーの二次形状を安定化する工程;熱硬化性ポリマーが二次形状である間、熱硬化性ポリマーを転移温度以下の温度まで冷却する工程、を含む、実施例21b~25b及び27b~30bのいずれかの方法である。
【0230】
[0318] 実施例32b. 熱可塑性ポリマーを、凍結乾燥、相分離、エマルジョン発泡、エマルジョンテンプレーティング、ケミカルブロー、又は物理ブローのうちの少なくとも1つを介して発泡体に加工する工程を含む、実施例21b~31bのいずれかの方法である。
【0231】
[0319] 実施例32bの他のタイプ. 熱硬化性ポリマーを、凍結乾燥、相分離、エマルジョン発泡、エマルジョンテンプレーティング、ケミカルブロー、又は物理ブローのうちの少なくとも1つを介して発泡体に加工する工程を含む、実施例21b~31bのいずれかの方法である。
【0232】
[0320] 実施例33b. トリヨードベンゼンモノマーである発泡剤に基づいてブローを介して熱硬化性ポリマーを発泡体に加工する工程を含む、実施例21b~31bのいずれかの方法である。
【0233】
[0321] 実施例34b. 2つの反応性末端基を備えるトリヨードベンゼンモノマーを提供する工程;(a)(i)アミン官能基、(a)(ii)アルコール官能基、及び(a)(iii)カルボン酸官能基を含む、2つの反応性官能末端基を含む、脂肪酸モノマーを提供する工程;ジイソシアネートを提供する工程;前記トリヨードベンゼンモノマー、前記脂肪酸モノマー、及び前記ジイソシアネートを溶液に混合する工程;並びに前記溶液から熱硬化性形状記憶ポリマー(SMP)発泡体を形成する工程を含む、方法である。
【0234】
[0322] 実施例35b. トリヨードベンゼンモノマーが、5-アミノ-2,4,6-トリヨードイソフタル酸(ATIPA), ジアトリゾ酸, イオヘキソール, トリヨードフェノール, 2-{3-[アセチル(プロピル)アミノ]-2,4,6-トリヨードフェノキシ}ヘキサン酸, 2,3,5-トリヨード安息香酸, 3-(3-アミノ-2,4,6-トリヨードフェニル)プロパン酸からなる群から選択される第1部材を含み、脂肪酸モノマーが、1,2,6-ヘキサントリオール(HT); 2-ブチル-2-エチル-プロパンジオール(BEP); 3-メチル-1,5-ペンタンジオール (MPD); ジエチレングリコール(DEG); トリエチレングリコール(TEG); トリエタノールアミン(TEA); テトラキス-ヒドロキシブルロピルエチレンジアミン(HPED); グリセロール;トリメチロールプロパン; トリメチロールメタン; 1,2,4-ブタントリオール; 1,2-ジアミノプロパン; 2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン; 1,8-ジアミノオクタン; 3-アミノ-1,2-プロパンジオール; 2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール; 1,3-ジアミノ-2-プロパノール; 及びアスパラギン酸からなる群から選択される第2部材を含み、ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI); トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI); イソホロンジイソシアネート; 1,3,4-トリイソシアネート2,4,6-トリメチルベンゼン; トルエンジイソシアネート; 及びジフェニルメタンジイソシアネートからなる群から選択される第3部材を含む、実施例24bの方法である。
【0235】
[0323] 実施例36b. 第2部材が、HT、BEP、MPD、DEG、TEG、TEA、HPED、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、及び1,2,4-ブタンブリオールからなる群から選択される、実施例35の方法である。
【0236】
[0324] 実施例37b. 第2部材は、反応性末端基の数を2つに減らすように官能化され、前記第2部材は、1,2-ジアミノプロパン;2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン;1,8-ジアミノオクタン;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;及び2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールからなる群から選択される、実施例35の方法である。
【0237】
[0325] 実施例38b. 第3部材が、HDI、TMHDI、及びイソホロンジイソシアネートからなる群から選択される、実施例35~37のいずれかの方法である。
【0238】
[0326] 実施例39b. 第3部材が、1,3,4-トリイソシアネート2,4,6-トリメチルベンゼン;トルエンジイソシアネート;及びジフェニルメタンジイソシアネートからなる群から選択される、実施例35~37のいずれかの方法である。
【0239】
[0327] 実施例40b. 第1部材がATIPAである、実施例35~39のいずれかの方法である。
【0240】
[0328] 実施例41b. 第2及び第3部材を第1部材で架橋する工程を含む、実施例35~40のいずれかの方法である。
【0241】
[0329] 実施例42b. 第1部材を化学発泡剤として用いる工程を含む、実施例35~41のいずれかの方法である。
【0242】
[0330] 実施例43b. 脂肪酸モノマーが、HT; BEP; MPD; DEG; TEG; TEA; HPED; グリセロール; トリメチロールプロパン; トリメチロールメタン; 1,2,4-ブタントリオール; 1,2-ジアミノプロパン; 2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン; 1,8-ジアミノオクタン; 3-アミノ-1,2-プロパンジオール; 2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール; 1,3-ジアミノ-2-プロパノール; 及びアスパラギン酸からなる群から選択される第4部材を含む、実施例35~42のいずれかの方法である。
【0243】
[0331] このように、実施例34b~43bは、図1~28に対応する方法が、図29~39に対応する方法とどのように組み合わせることができるかに関する。
【0244】
[0332] 関連技術分野の当業者であれば、上記の教示に照らして、多くの修正及び変形が可能であることを理解するであろう。当業者であれば、図示された様々な構成要素の様々な等価な組み合わせや置換を認識するであろう。したがって、本発明の範囲は、当該明細書の記載で及び添付の特許請求の範囲により限定されることが意図される。
図1
図2
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