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特許7405757静電帯電の低減のための起伏加工済みガラス表面
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】静電帯電の低減のための起伏加工済みガラス表面
(51)【国際特許分類】
   C03C 15/00 20060101AFI20231219BHJP
   C03B 17/06 20060101ALI20231219BHJP
   C03C 17/02 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
C03C15/00 Z
C03B17/06
C03C17/02 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020546946
(86)(22)【出願日】2019-03-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 US2019020802
(87)【国際公開番号】W WO2019173374
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】62/639,702
(32)【優先日】2018-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】アグネロ,ガブリエル ピアース
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ハァ
(72)【発明者】
【氏名】ウォルコット,クリスティン コールター
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-510533(JP,A)
【文献】特表2016-523792(JP,A)
【文献】特開2016-135726(JP,A)
【文献】特開2013-237604(JP,A)
【文献】特表2016-523796(JP,A)
【文献】特表2015-533228(JP,A)
【文献】特開2012-253226(JP,A)
【文献】特開2005-255478(JP,A)
【文献】特表2017-524644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 15/00,
G02F 1/1333
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学処理済み主表面を備えるガラス基板であって、
前記ガラス基板は、1%以下のヘイズ値を有し、また未処理であること以外は同一のガラス基板と比較した場合に、化学処理済み主表面に対して実施されるリフト試験(Lift Test)に供した場合に、70%を超える静電帯電の低下を更に示す、ガラス基板。
【請求項2】
前記ガラス基板は、第1の熱膨張係数を有する第1のガラス層と、前記第1のガラス層に融着した、前記第1の熱膨張係数とは異なる第2の熱膨張係数を有する、第2のガラス層とを備える、積層ガラス基板である、請求項1記載のガラス基板。
【請求項3】
前記化学処理済み主表面は、複数の隆起特徴部分を備え、
前記隆起特徴部分の平均特徴部分密度は、0.2個/μm~1個/μmである、請求項1または2に記載のガラス基板。
【請求項4】
前記隆起特徴部分の平均特徴部分体積は、0.014μm~0.25μmである、請求項3に記載のガラス基板。
【請求項5】
前記化学処理済み主表面の総表面積に対する前記隆起特徴部分の総表面積は、4%~35%である、請求項3に記載のガラス基板。
【請求項6】
前記化学処理済み主表面の平均表面粗度Raは、0.4ナノメートル~10ナノメートルである、請求項1~5のいずれか1項に記載のガラス基板。
【請求項7】
起伏加工済みガラス基板の形成方法であって、
前記方法は、50重量%~60重量%の酢酸、10重量%~25重量%のフッ化アンモニウム、及び20重量%~35重量%の水を含むエッチング液を用いて、ガラス基板の主表面を処理するステップを含み、
前記処理するステップの後、前記ガラス基板は、1%未満の総ヘイズ値を示し、また、化学処理済みの前記主表面に対して実施されるリフト試験に供すると、未処理であること以外は同一のガラス基板と比較した場合に、70%を超える静電帯電の低下を示す、起伏加工済みガラス基板の形成方法。
【請求項8】
前記処理するステップの後の前記主表面の平均表面粗度Raは、0.4ナノメートル~10ナノメートルである、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は2018年3月7日出願の米国仮特許出願第62/639,702号の優先権の利益を主張するものであり、上記仮特許出願の内容は依拠され、以下に完全に記載されているかのように、その全体が参照により本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は一般に、ディスプレイ用途のための起伏加工済み表面に関し、より詳細には、静電気の影響を緩和するためのガラス基板の起伏加工済み表面に関する。
【背景技術】
【0003】
接触静電帯電は、多数の問題につながる可能性がある高い表面電位差を生成するため、フラットパネルディスプレイ製造の課題であり、上記多数の問題としては、電子部品の電解誘起静電放電障害、静電引力に起因する粒子ベースの汚染、並びに梱包及び加工中に静電摩擦によって誘発されるガラスの破壊が挙げられる。接触帯電現象の低減には複数のタイプの表面処理が良好に利用されており、最も一般的なもののうちの2つは、1つ以上の薄膜コーティングの塗布、並びに1つ以上のガラス表面の起伏加工及び/又は化学修飾である。従来、単純なエッチングによる表面の粗面化は、総接触面積を制限することによる静電力の低減によって、2つの大型の平坦表面間の接触帯電を改善してきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらいくつかの方法、例えば酢酸、より詳細には含水量が低い酢酸溶液を用いる方法は、濃縮形態の酢酸が組織に損傷を与え、かつ可燃性が高い可能性があるため、使用するのが危険である場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示される1つ以上の実施形態によると、「マスクレス(maskless)」エッチング技法を用いてガラス基板を起伏加工してよい。上記方法は、ガラス基板の起伏加工のための、低コストの湿式化学エッチングプロセスを含み、これにより、加工中の上記ガラス基板の静電帯電を抑制する。
【0006】
フッ化物含有溶液を用いてガラス表面に起伏を形成するステップには、エッチングマスクが必要である。というのは、非晶質の均質なシリケートガラスは、マスクを使用しなければ、分子レベルより大きなスケールで均一にエッチングされる傾向があり、ガラス基板の厚さが低減されるものの、起伏が形成されないためである。多様な用途のためのパターン化された起伏を提供するための、ガラスエッチングのマスキングのために、多くの方法が提案されてきた。このような方法は、エッチングに先立って別個のマスキングプロセスを必要とする方法と、エッチング中にマスクをその場で形成する方法とに分けることができ、後者はエッチングの開始前にマスクが存在しないため、いわゆる「マスクレス」エッチングである。本開示の目的のために、マスクは、エッチングに対するバリアを提供し、様々な横方向サイズ並びに様々なレベルの耐久性及びガラスへの接着性でガラス表面に適用できる、いずれの材料であると考えることができる。
【0007】
インクジェット印刷等の多くのマスク塗布方法は、ガラス表面上に小型のナノメートルスケールの特徴部分を形成できない。実際、ほとんどの方法は、横方向特徴部分サイズ及びエッチング深さの両方がマイクロメートルスケールである起伏を生成するため、ガラスに視認可能な「つや消し」外観を形成し、これは透明度を低下させ、ヘイズを増大させ、グレア及び表面反射を低下させる。
【0008】
その場でのマスキング及びガラスエッチングは、ガラス溶解の副産物及びエッチング液からのマスク形成という複雑なプロセスを伴う。形成される沈着物(結晶である場合もある)はエッチング液に対する多少の可溶性を有することが多く、これがこのプロセスのモデル化を困難にしている。更に、マスクレスエッチングを用いて差別エッチングを形成するステップは、つや消し溶液又はゲルと接触させることによりマスクを形成する複数のステップ、並びにその後のマスク及びエッチング液を除去するステップを伴ってよい。その場で形成されるエッチングマスクはまた、基板への接着性及び湿式エッチング液中での耐久性に応じて多様な起伏を形成でき、マスクの耐久性が低いほど起伏が浅くなることを示すことができる。エッチングの深さもマスク領域のサイズによって決定され、マスク領域が小さいと、マスクのアンダーカットがより容易に発生するため、深いエッチングプロファイルをサポートできなくなる。従って、ナノメートルスケールの起伏を形成する際には、マスクの化学的性質、ガラスの化学的性質、エッチングの化学的性質、及びガラスの組成の全てを考慮する必要がある。
【0009】
従って、化学処理済み主表面を備えるガラス基板が開示され、上記ガラス基板は、約1%以下のヘイズ値を有し、また未処理であること以外は同一のガラス基板と比較した場合に、化学処理済み主表面に対して実施されるリフト試験(Lift Test)に供した場合に、70%を超える静電帯電(electrostatic charging:ESC)性能の改善を更に備える。
【0010】
上記ガラス基板は更に、未処理であること以外は同一のガラス基板と比較した場合に、350nm~400nmの波長範囲にわたって少なくとも約0.25%の透過率の改善を備えることができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、上記ガラス基板は化学強化ガラス基板とすることができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、上記ガラス基板は、第1の熱膨張係数を有する第1のガラス層と、上記第1のガラス層に融着した、上記第1の熱膨張係数とは異なる第2の熱膨張係数を有する、第2のガラス層とを備える、積層ガラス基板である。
【0013】
上記化学処理済み主表面は、複数の隆起特徴部分を備え、上記処理済み主表面上の上記隆起特徴部分の平均特徴部分密度は、約0.2~約1個/μmである。上記隆起特徴部分の平均特徴部分体積は、約0.014~約0.25μmであってよい。上記化学処理済み主表面の総表面積に対する上記隆起特徴部分の総表面積は、約4%~約35%であってよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、上記化学処理済み主表面の平均表面粗度Raは、約0.4ナノメートル~約10ナノメートルとすることができる。
【0015】
別の実施形態では、起伏加工済みガラス基板の形成方法が開示され、上記方法は、約50重量%~約60重量%の酢酸、約10重量%~約25重量%のフッ化アンモニウム、及び約20重量%~約35重量%の水を含むエッチング液を用いて、上記ガラス基板の主表面を処理するステップを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、上記ガラス基板を処理する上記ステップの後の、上記ガラス基板の総ヘイズ値は、1%未満であり、また未処理であること以外は同一のガラス基板と比較した場合に、上記ガラス基板は70%を超えるESC性能の上昇を示す。
【0017】
いくつかの実施形態では、上記ガラス基板の上記表面は、約30秒未満の時間にわたって上記エッチング液に曝露され、上記曝露中、温度は例えば約18℃~約60℃である。
【0018】
上記処理済み主表面の平均表面粗度Raは、約0.4ナノメートル~約10ナノメートルとすることができる。
【0019】
本明細書に記載の実施形態の更なる態様及び利点は、以下の「発明を実施するための形態」に記載されており、その一部は「発明を実施するための形態」から当業者には容易に明らかになるか、又は以下の「発明を実施するための形態」を含む本明細書、請求項及び添付の図面を含む本出願に記載されているようにこれらの実施形態を実施することによって理解されるだろう。
【0020】
以上の「発明の概要」及び以下の「発明を実施するための形態」はいずれも、本開示の実施形態を提示するものであり、これらの実施形態の性質及び特徴を請求されているとおりに理解するための概観又は枠組みを提供することを意図したものであることを理解されたい。添付の図面は、これらの実施形態の更なる理解を提供するために含まれているものであり、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する。図面は本開示の様々な実施形態を図示し、本記載と併せて、これらの実施形態の原理及び動作を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】表面に適用された保護フィルムを備えるガラス基板の断面図
図2】エッチングされていないこと以外は同一のサンプルに対する改善の百分率として表された、4つのサンプルエッチング溶液に関する相対静電帯電のグラフ
図3】波長の関数として百分率で表された、4つのエッチング済みサンプルS1~S4及び未エッチングサンプルS0の、350nm~800nmの波長範囲にわたる光透過率を示すグラフ
図4】波長の関数として百分率で表された、図3の4つのエッチング済みサンプルS1~S4及び未エッチングサンプルS0の、350nm~400nmの波長範囲にわたる光透過率を示すグラフ
図5】波長の関数として百分率で表された、図4の4つのエッチング済みサンプルS1~S4の、350nm~400nmの波長範囲にわたる光透過率の変化を示すグラフ
図6】パーセントヘイズを1%未満に維持する好適なエッチング液の組成空間の三角図
図7】トポグラフィが全体として平滑な、エッチングによって形成された複数の「特徴部分(feature)」を示す、ガラス基板サンプルの走査電子顕微鏡画像
図8】ピーク密度が高い、エッチングによって形成された複数の「特徴部分」を示す、別のガラス基板サンプルの走査電子顕微鏡画像
図9】特徴部分及びピークの一般概念を説明する概略図
図10】特徴部分の密度の関数としてESC性能を示すプロット
図11】ピークの密度の関数としてESC性能を示すプロット
図12】特徴部分の体積の関数としてヘイズを示すプロット
【発明を実施するための形態】
【0022】
これより、本開示の実施形態について詳述する。実施形態の例は添付の図面に図示されている。可能な限り、図面全体を通して、同一又は同様の部品を指すために同一の参照番号を使用する。しかしながら、本開示は多数の異なる形態で具現化できるものであり、本明細書に記載の実施形態に限定されるものと解釈してはならない。
【0023】
本明細書において、範囲は「約(about)」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして表現することができる。範囲がこのように表される場合、別の実施形態は、上記1つの特定の値から、及び/又は上記別の特定の値までを含む。同様に、先行語句「約」の使用によって、値が近似値として表現されている場合、上記特定の値は別の実施形態を形成することが理解されるだろう。更に、各範囲の端点は、他方の端点との関係においても、他方の端点とは独立しても、重要であることが理解されるだろう。
【0024】
本明細書で使用され得る方向に関する用語、例えば上(up)、下(down)、右(right)、左(left)、前(front)、後(back)、上部(top)、下部(bottom)は、図示されたままの図面を参照して使用されているだけのものであり、絶対的な配向を含意することを意図したものではない。
【0025】
そうでないことが明言されていない限り、本明細書に記載のいずれの方法が、その複数のステップをある具体的な順序で実施することを必要とするものとして解釈されること、又はいずれの装置によって具体的な配向が要求されることは、全く意図されていない。従って、ある方法クレームが、その複数のステップが従うべき順序を実際に示していない場合、又はいずれの装置クレームが、個々の構成部品に対してある順序若しくは配向を実際に記載していない場合、又は上記複数のステップがある具体的な順序に限定されることが請求項又は本説明において具体的に言明されていない場合、又はある装置の構成部品に対する具体的な順序若しくは配向が記載されていない場合、ある順序を暗示することは、いかなる点においても一切意図されていない。これは、以下を含む、解釈に関するいずれの可能な非明示的基礎に関しても当てはまる:ステップ、操作フロー、構成部品の順序、又は構成部品の配向の構成に関する論理問題;文法的な編成又は句読法に由来する平易な意味;及び本明細書に記載された実施形態の数又はタイプ。
【0026】
本明細書において使用される場合、単数形「ある(a、an)」及び「上記(the)」は、そうでないことが文脈によって明示されていない限り、複数の指示物を含む。従って例えば、「ある」コンポーネントに関する言及は、そうでないことが文脈によって明示されていない限り、2つ以上のこのようなコンポーネントを有する態様を含む。
【0027】
本明細書中で使用される場合、用語「特徴部分(feature)」は、特段の指示がない限り、エッチング後に残っているガラス表面のナノメートルスケールの隆起部分を指す。特徴部分は、例えば堆積させたエッチングマスクのアンダーカットに起因する1つ以上のピーク(高い地点)及び凹部を含む3次元トポグラフィによって特性決定でき、上から見た場合に雪の結晶又は植物の葉を思わせる形状を呈する。
【0028】
ディスプレイパネル、特にディスプレイパネルの薄膜トランジスタ(TFT)を含む部分を構築するために使用されるフラットパネルディスプレイガラスは、薄膜トランジスタをその上に構築できる機能性側部(「背面(backplane)」)(A側)と、非機能性のB側との2つの側部からなる。加工中、B側のガラスは多様な材料(即ち紙、金属、プラスチック、ゴム、セラミック等)と接触し、摩擦帯電を介して静電荷を蓄積できる。例えば、ガラス基板を生産ラインに導入し、間紙材料をガラス基板から剥離すると、ガラス基板は静電荷を蓄積できる。更に、半導体堆積のための製造プロセス中、ガラス基板は通常、堆積が実施されるチャックテーブルに配置され、ガラス基板のB側はチャックテーブルと接触する。チャックテーブルは例えば、チャックテーブルの1つ以上の真空ポートによって、加工中のガラス基板を固定できる。ガラス基板をチャックテーブルから取り外すと、摩擦帯電及び/又は接触帯電によって、ガラス基板のB側に静電荷が付与され得る。このような静電荷の蓄積は多くの問題を引き起こす可能性がある。例えば、ガラス基板は静電荷によってチャックテーブルに接着され、その後、チャックテーブルからガラス基板を取り外すそうとするときにガラス基板が破損する可能性がある。更に、静電荷により粒子及び塵がガラス表面に引きつけられ、ガラス表面を汚染する可能性がある。B側からA側への静電荷の放出(静電放電、ESD)は、A側上にTFTゲートの不具合及び/又はライン損傷を引き起こす可能性があり、これは製品収率を低下させる。
【0029】
本明細書に記載の方法を用いてガラス表面を細かく起伏加工することにより、摩擦帯電及び/又は接触帯電中に接触の緊密さを効果的に低下させる方法で、接触面積を減少させることができ、その結果、ガラスの透明度の顕著な低減なしに、例えば最小限のヘイズで、ガラスの電圧又は表面帯電を低減できる。
【0030】
1つ以上の実施形態によると、「マスクレス」エッチング技法を用いて、ガラス基板の静電帯電を最小限に抑えるガラス基板を製造する。フッ化物含有溶液を用いてガラス表面に起伏を形成するステップには、エッチングマスクが必要である。というのは、非晶質の均質なシリケートガラスは、マスクを使用しなければ、分子レベルより大きなスケールで均一にエッチングされる傾向があり、ガラスの厚さが低減されるものの、起伏が形成されないためである。多様な用途のためのパターン化された起伏を提供するための、ガラスエッチングのために、多くの方法が提案されてきた。このような方法は、エッチングに先立って別個のマスキングプロセスを必要とする方法と、エッチング中にマスクをその場で形成する方法、即ち(エッチングの開始前にマスクが存在しないため)いわゆる「マスクレス」エッチングとに分けることができる。本開示の目的のために、マスクは、エッチングに対するバリアを提供する任意の材料と考えることができ、また様々なレベルの耐久性及びガラスへの接着性でガラス表面に適用できる。
【0031】
インクジェット印刷等の多くのマスク塗布方法は、小型のナノメートルサイズのマスキング領域を堆積させることができないという点で、適用可能なマスクのスケールに関する限界を有する。実際、ほとんどの方法は、横方向特徴部分サイズ及びエッチング深さの両方がマイクロメートルスケールであるガラス起伏を生成するため、ガラスに視認可能な「つや消し」外観を形成し、これは透明度を低下させ、ヘイズを増大させ、グレア及び表面反射を低下させる。
【0032】
その場でのマスキング及びガラスエッチングは、ガラス溶解の副産物及びエッチング液からのマスク形成という複雑なプロセスを伴う。形成される沈着物はエッチング液に対する多少の可溶性を有することが多く、これがこのプロセスのモデル化を困難にしている。更に、マスクレスエッチングを用いて差別エッチングを形成するステップは、つや消し溶液又はゲルと接触させることによりマスクを形成する複数のステップ、並びにその後のマスク及びエッチング液を除去するステップを伴ってよい。その場で形成されるエッチングマスクはまた、基板への接着性及び湿式エッチング液中での耐久性に応じて多様なガラス起伏を形成でき、マスクの耐久性が低いほど起伏が浅くなることを示すことができる。エッチングの深さもマスク領域のサイズによって決定され、マスキングされる領域が小さいと、マスクのアンダーカットがより容易に発生するため、深いエッチングプロファイルをサポートできなくなる。
【0033】
本開示によると、有機溶媒を無機酸に導入することにより、急速な局所的沈着を生成して、ガラス基板表面に結晶性沈着物を形成する。これらの沈着物はエッチング副生成物、通常はフルオロケイ酸塩であり、これは下層にあるガラス表面をマスキングして、これらの場所のエッチングを妨げる。残留結晶性沈着物はその後の熱水洗浄又は酸洗浄中に溶解させることができ、エッチングの結果としてガラス表面上に起伏特徴部分が残る。エッチング液に対する有機溶媒比率、エッチング時間又はエッチング温度を調整することにより、ナノメートル~マイクロメートル範囲の広範な起伏粗度を得ることができる。
【0034】
化学エッチングプロセスは、水性エッチング液、例えば水中で混合された有機溶媒(例えば酢酸、CHCOH)及び無機酸(例えばフッ化アンモニウム、NHF)を含むエッチング液浴中で、ガラス基板をエッチングするステップを含む。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、酢酸はフッ化アンモニウムと反応して、フッ化水素酸及び酢酸アンモニウムを形成すると考えられる。ガラス表面由来のシリカはHFに侵食されて四フッカケイ素及び水を形成し、四フッカケイ素は周囲のHF及びアンモニウムイオンと結合して、ガラス表面上にクリプトハライト((NHSiF)及び水素ガスを形成する。エッチング液が最初にガラス表面に接触すると、ガラスは溶解し始め、ガラス溶解反応物のレベルが過飽和に達すると、ガラス表面上に結晶が2次元的に成長する。エッチング反応が続くと、クリプトハライトの玉石状不動態化層が形成される。エッチングされたガラス基板をエッチング液から取り出してすすぐと、これらの結晶は溶解して凸部及び凹部を後に残し、これらが起伏加工済みガラス表面を形成する。
【0035】
ガラス基板の起伏は、1つ以上のエッチング液の組成、エッチング時間、エッチング液温度、及びガラス温度といったプロセスのパラメータを制御することにより最適化できる。マスクの除去のためにアルカリ又はアルカリ土類塩の添加に頼ることを不要とすることができる。
【0036】
エッチング液への他の添加剤によって、更なる利点を提供できる。これらの添加剤としては:エッチング液に色を付与して、視認によるすすぎの補助を可能にする染料(一般的な食品グレードの色素で十分である);及びエッチング液を濃厚化して、浸漬ではなく、ガラス基板へのエッチング液の塗装(ローラー塗装)又は噴霧を可能にするための、粘度調整成分が挙げられる。濃厚化されたエッチング液はまた、エッチング液の蒸気圧を低減することによって、酸性蒸気と基板との接触によって発生する欠陥を削減できる。
【0037】
ガラス基板は、本明細書に明示的に又は本質的に開示されている加工パラメータに耐えることができるいずれの好適なガラス、例えばアルカリシリケートガラス、アルミノシリケートガラス、又はアルミノボロシリケートガラスを含んでよい。ガラス材料は、シリカ系ガラス、例えばコード2318ガラス、コード2319ガラス、コード2320ガラス、Eagle XG(登録商標)ガラス、Lotus(商標)、及びソーダ石灰ガラス等であってよく、これらは全てCorning社から入手できる。他のディスプレイタイプのガラスも、本明細書に記載のプロセスから利益を得ることができる。従って、ガラス基板は上述のコーニング社製ガラスに限定されるものではない。例えば、ガラスの1つの選択要素は、後続のイオン交換プロセスが実行可能であるかどうかである場合があり、その場合一般には、ガラスはアルカリ含有ガラスであることが望ましい。
【0038】
ディスプレイガラス基板は様々な組成を有することができ、異なるプロセスにより成形できる。好適な成形プロセスとしては、フロートプロセス、並びにスロットドロープロセス及びフュージョンドロープロセス等のダウンドロープロセスが挙げられるが、これらに限定されない。例えば米国特許第3,338,696号明細書、及び米国特許第3,682,609号明細書を参照されたい。フュージョン製造プロセスは、厚さの制御に優れかつ美しい表面品質とスケーラビリティとを備えた平坦なガラス基板を含む利点を、ディスプレイ業界に提供する。ガラス基板の平坦性は、液晶ディスプレイ(LCD)テレビ用のパネルの製造において重要となり得る。というのは、平坦状態からのいかなる逸脱も、視覚的な歪みにつながり得るためである。本明細書で開示されている方法に使用可能な他のプロセスは、米国特許第4,102,664号明細書、米国特許第4,880,453号明細書、及び米国特許出願公開第2005/0001201号明細書に記載されている。
【0039】
ガラス基板は、フラットパネルディスプレイの製造に使用するために特に設計されていてよく、密度は2.45g/cm未満とすることができ、いくつかの実施形態では、約200,000ポアズ(P)超、又は約400,000P超、又は約600,000P超、又は約800,000P超の液相粘度(液相線温度でのガラスの粘度と定義される)を呈するものであってよい。ディスプレイガラス基板として使用されるガラス基板の厚さは、100マイクロメートル(μm)~約0.7μmとすることができるが、本明細書に記載の方法から利益を得ることができる他のガラス基板は、約10μm~約5mmの厚さを有していてもよい。更に、好適なガラス基板は、28×10-7/℃~約57×10-7/℃、例えば約28×10-7/℃~約33×10-7/℃、又は約31×10-7/℃~約57×10-7/℃という、0℃~300℃の温度範囲にわたる略線形の熱膨張係数を呈することができる。いくつかの実施形態では、ガラス基板は約650℃超の歪み点を有してよい。本開示の組成物の歪み点は、公知の技法を用いて当業者が決定できる。例えば歪み点は、ASTM法C336を用いて決定できる。
【0040】
好適なガラス基板のヤング率は、10.0×10psi(6.9×10MPa)以上であってよい。動作に関するいずれの特定の理論に束縛されるものではないが、高い歪み点は、ガラスの製造に続く熱処理中の圧縮(収縮)によるパネルの歪みの防止に役立つと考えられる。更に、高いヤング率により、大型のガラス基板が輸送及び取り扱い中に呈するサグの量を低減できると考えられる。
【0041】
本明細書中で使用される場合、用語「略線形の(substantially linear)」とは、特定の範囲にわたるデータ点の線形回帰が約0.9以上、又は約0.95以上、又は約0.98以上、又は約0.99以上、又は約0.995以上の決定係数を有することを意味する。好適なガラス基板としては、約1700℃未満の融点を有するガラスが挙げられる。
【0042】
好適なガラス基板は、1部のHF及び10部のNHFの溶液中に30℃で5分間浸漬した後、0.5mg/cm未満の重量損失を呈するものであってよい。他の実施形態では、ガラス基板は、研磨したサンプルを5%のHCl溶液に95℃で24時間曝露した後、約20ミリグラム/cm以下、例えば約15ミリグラム/cm以下、約15ミリグラム/cm以下、約10ミリグラム/cm以下、約5ミリグラム/cm以下、又は約1ミリグラム/cm以下、例えば約0.8ミリグラム/cm以下の重量損失有し得る。
【0043】
本明細書に記載のプロセスの実施形態では、ガラス基板は、ガラスの主成分がSiO、Al、B及び少なくとも2つのアルカリ土類酸化物である組成を有することができる。好適なアルカリ土類酸化物としては、MgO、BaO及びCaOが挙げられるが、これらに限定されない。SiOはガラスの基礎的なガラス形成剤として機能し、約64モルパーセント以上の濃度であり、これにより、フラットパネルディスプレイガラス、例えばアクティブマトリクス液晶ディスプレイパネル(AMLCD)での使用に好適なガラスに適した密度及び耐化学性と、ダウンドロープロセス(例えばフュージョンプロセス)によるガラスの形成を可能とする液相線温度(液相粘度)とが、ガラスに提供される。
【0044】
好適なガラス基板は、約71モルパーセント以下のSiO濃度を有することができ、これにより、従来の大量溶融技法、例えば耐火性溶融器内でのジュール溶融を用いて、バッチ材料を溶融させることができる。いくつかの実施形態では、SiO濃度は約66.0モルパーセント~約70.5モルパーセント、又は約66.5モルパーセント~約70.0モルパーセント、又は約67.0モルパーセント~約69.5モルパーセントである。
【0045】
酸化アルミニウム(Al)は、本開示の実施形態での使用に好適な別のガラス形成剤である。動作に関するいずれの特定の理論によって束縛されるものではないが、約9.0モルパーセント以上のAl濃度により、低い液相線温度及びそれに対応する高い液相粘度がガラスに提供されると考えられている。少なくとも約9.0モルパーセントのAlを使用すると、ガラスの歪み点及び弾性率を改善することもできる。詳細な実施形態では、Al濃度は、約9.5~約11.5モルパーセントであってよい。
【0046】
酸化ホウ素(B)は、ガラス形成剤であり、また溶融を補助して融点を下げる融剤でもある。これらの効果を達成するため、本開示の実施形態での使用に好適なガラス基板は、約7.0モルパーセント以上の濃度のBを含むことができる。しかしながら、大量のBは、歪み点の低下(Bが7.0モルパーセントを超えて1モルパーセント増加する毎に約10℃)、ヤング率の低下、及び耐化学性の低下につながる。
【0047】
ガラス形成剤(SiO、Al及びB)に加えて、好適なガラス基板は、少なくとも2種のアルカリ土類酸化物、即ち少なくともMgO及びCaO、並びに任意にSrO及び/又はBaOも含んでよい。動作に関するいずれの特定の理論によって束縛されるものではないが、アルカリ土類酸化物は、溶融、清澄、成形及び最終用途にとって重要な様々な特性をガラスに提供すると考えられている。いくつかの実施形態では、MgO濃度は約1.0モルパーセント以上である。他の実施形態では、MgO濃度は約1.6モルパーセント~約2.4モルパーセントであってよい。
【0048】
動作に関するいずれの特定の動作の理論によって束縛されるものではないが、CaOは、低い液相線温度(高い液相粘度)、高い歪み点及びヤング率、並びにフラットパネル用途、特にAMLCD用途のために最も望ましい範囲の熱膨張係数(CTE)を生成すると考えられている。また、CaOは耐化学性に好ましく寄与し、他のアルカリ土類酸化物と比較してCaOはバッチ材料として比較的安価であると考えられている。従っていくつかの実施形態では、CaO濃度は約6.0モルパーセント以上である。他の実施形態では、ディスプレイガラス中のCaO濃度は約11.5モルパーセント以下、又は約6.5~約10.5モルパーセントとすることができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、ガラス基板は:約60モル%~約70モル%のSiO;約6モル%~約14モル%のAl;0モル%~約15モル%のB;0モル%~約15モル%のLiO;0モル%~約20モル%のNaO;0モル%~約10モル%のKO;0モル%~約8モル%のMgO;0モル%~約10モル%のCaO;0モル%~約5モル%のZrO;0モル%~約1モル%のSnO;0モル%~約1モル%のCeO;50ppm未満のAs;及び50ppm未満のSbを含んでよく、ここで12モル%≦LiO+NaO+KO≦20モル%及び0モル%≦MgO+CaO≦10モル%であり、シリケートガラスはリチウムを略含まない。
【0050】
いくつかの実施形態では、ガラス基板は名目上、アルカリ金属酸化物を含まず、酸化物ベースの重量パーセントで計算した場合に:約49~67%のSiO;少なくとも約6%のAl(ただしSiO+Al>68%);約0%~約15%のB;少なくとも1つのアルカリ土類金属酸化物を含む組成を有し、上記アルカリ土類金属酸化物は、示された調製物中で約0~21%のBaO、約0~15%のSrO、約0~18%のCaO、約0~8%のMgO、及び約12~30%のBaO+CaO+SrO+MgOからなる群から選択される。
【0051】
本明細書に記載の特定のガラス基板は積層ガラスとすることができる。いくつかの実施形態では、ガラス基板は、ガラスコアの少なくとも1つの露出面にガラス皮膜をフュージョンドロー加工することによって製造される。一般に、ガラス皮膜の歪み点は650℃以上である。いくつかの実施形態では、皮膜ガラス組成物の歪み点は670℃以上、690℃以上、710℃以上、730℃以上、750℃以上、770℃以上、又は790℃以上である。
【0052】
いくつかの実施形態では、ガラス皮膜はフュージョンプロセスによってガラスコアの露出表面に適用できる。積層ガラス基板の形成のための例示的なフュージョンプロセスは、以下のように要約できる。組成が異なる少なくとも2つのガラス(例えばベース又はコアガラスシート及び皮膜)を別個に溶融する。その後、適当な送達システムを通して、各ガラスをそれぞれのオーバーフロー分配器に送達する。これらの分配器は上下に重ねて設置され、これにより、各分配器から出たガラスは分配器の上縁部を流れて少なくとも一方の側に流れ落ち、分配器の片側又は両側に適当な厚さの均一な流動層を形成する。下側の分配器を溢れ出た溶融ガラスは分配器の壁に沿って下向きに流れ、底部の分配器の一点に収束する形状の外側表面に隣接する、初期ガラス流動層を形成する。同様に、上側の分配器から溢れ出た溶融ガラスは、上側の分配器の壁を下向きに流れて、初期ガラス流動層の外側表面を流れる。2つの分配器からのガラスの2つの別個の層は合流して、下側の分配器の一点に収束する形状の表面が出会う場所に形成されているドローラインにおいて融合し、ガラスの単一の連続した積層リボンが形成される。2つのガラスによる積層体の中心のガラスはコアガラスと呼ばれ、コアガラスの外側表面に位置決めされたガラスは皮膜ガラスと呼ばれる。コアガラスの各表面に1つの皮膜ガラスを位置決めでき、又はコアガラスの片側に位置決めされた1つの皮膜ガラス層のみが存在してもよい。
【0053】
上述のガラス組成は例であり、他のガラス組成も本明細書に開示されているエッチングプロセスから利益を得ることができることを理解されたい。
【0054】
図1には、第1の主表面12、第2の主表面14、及びこれらの間の厚さTを備えるガラス基板10が示されている。起伏加工済み表面は第1の主表面12であってよく、又は起伏加工済み表面は第2の主表面14であってよい。いくつかの例では、第1の表面12及び第2の表面14の両方を起伏加工してよい。本開示の方法に従って形成された起伏加工済み表面は、視覚的に曇った外観をガラスに形成しないガラス基板を提供できる。曇った外観はガラス基板の透明度を低下させ、ヘイズを上昇させる。
【0055】
ある例示的なエッチングプロセスの第1のステップでは、エッチング対象のガラス基板を、例えば洗浄剤を用いて洗浄して、全ての無機汚染物質を除去した後、十分にすすいで洗浄剤残留物を除去する。ある例では、ガラス基板を初めにKOH溶液で洗浄して、表面の有機汚染物質及び塵を除去できる。というのは、ガラス表面上に均一に分布した起伏特徴部分を得るためには、清浄なガラス表面が必要であるためである。必要に応じて他の洗浄溶液を代わりに用いてよい。ガラス基板の主表面上に汚染物質又は塵が存在すると、これは核形成シードとして機能する可能性があり、その周囲において結晶化を誘発してし、不均一なガラス表面起伏を生じさせる可能性がある。約20°未満の水面接触角度を得るために、十分な洗浄度を達成する必要がある。例えばKruess社製のDSA100液滴形状分析器を使用し、液滴法を採用して、接触角度を評価できるが、他の好適な方法を使用してもよい。洗浄後、ガラス基板を任意に、例えば脱イオン水ですすいでよい。
【0056】
上記プロセスの任意の第2のステップでは、ガラス基板の1つの表面、例えば第2の主表面14がエッチングされない場合に、例えばポリマーフィルムであるエッチング液耐性保護フィルム16を該表面に適用することによって、エッチングを受けない表面を保護できる。エッチング液耐性保護フィルム16は、1つ以上のエッチングステップの後に除去してよい。
【0057】
第3のステップでは、ガラス基板を、所望の起伏を形成するために十分な時間にわたってエッチング液と接触させる。浸漬プロセスでは、高速挿入及び好適な環境制御、例えばエッチングを行うエンクロージャ内において少なくとも2.83立方メートル/分の周囲空気流を用いて、挿入前及び/又は挿入中の、酸蒸気に対するガラス基板の曝露を制限できる。ガラス基板のエッチング済み表面に欠陥が形成されるのを防止するために、ガラス基板は、滑らかな動きで酸浴中に挿入する必要がある。ガラス基板は、エッチング液との接触前に乾燥している必要がある。しかしながらいくつかの実施形態では、例えばエッチング液の塗装(ローラー塗装)又は噴霧といった他の適用方法を使用してもよい。
【0058】
実施形態では、エッチング液は、濃度が約50重量パーセント(重量%)~約60重量%の酢酸(例えば氷酢酸)、及び濃度が約10重量%~約25重量%のフッ化アンモニウムを含む。エッチング液は更に、約20重量%~約35重量%、例えば約20重量%~約30重量%、又は約20重量%~約25重量%の水を含む。
【0059】
なお、氷酢酸は、およそ17℃未満の温度で凍結し始める。従っていくつかの実施形態では、エッチング液の温度は、約18℃~約90℃、例えば約18℃~約40℃、約18℃~約35℃、約18℃~約30℃、約18℃~約25℃、又は約18℃~約22℃であってよい。例えば約18℃~約30℃といった低い範囲のエッチング液温度が好ましい。というのは、これによって蒸気圧を低下させることができ、ガラス上に形成される蒸気関連欠陥が減少するためである。
【0060】
更に、ガラス基板をエッチング液に曝露する際のガラス基板自体の温度が、エッチングの結果に影響を与える場合がある。従って、エッチング液に曝露される際のガラス基板の温度は、約20℃~約60℃、例えば約20℃~約50℃、又は約30℃~約40℃であってよい。最適な温度は、ガラスの組成、環境条件及び所望の起伏(例えば表面粗度)に左右される。浴を用いる場合、いくつかの例では、エッチング液の層化及び枯渇を防止するために、エッチング液浴を再循環させてよい。
【0061】
エッチング時間は、約10秒から約30秒未満まで、例えば約10秒~約25秒、約10秒~約20秒、又は約10秒~約15秒とすることができるが、所望の表面起伏を達成するために必要となり得るような他のエッチング時間も使用してよい。エッチング後のガラス基板の表面起伏は、ガラスの組成によって変化し得る。従って、あるガラス組成に最適化されたエッチング液のレシピは、他のガラス組成のために修正する必要があり得る。このような修正は典型的には、実験によって、本明細書で開示されるエッチング液構成要素の範囲内で達成される。
【0062】
いくつかの実施形態では、1つ以上の添加剤をエッチング液に組み込んでよい。例えば染料をエッチング液に添加することで色を付与し、すすぎのための視覚的な補助を提供してよい。更に上述のように、粘度調整成分を添加することによって、エッチング液の粘度を上昇させて、浸漬ではなくガラス基板に対するスロット塗装、スライド塗装又はカーテン塗装を可能とすることによって、ガラス基板に均一な外観を提供できる。高粘度エッチング液は、エッチング液の蒸気圧を低下させることによって、蒸気によって誘発される欠陥を削減できる。従ってエッチング液の粘度は必要に応じて、選択された塗布方法に適合できるように調整できる。エッチング溶液の流動性を修正するために、酢酸に可溶であるポリカプロラクトン等の好適なポリマーを使用してよい。
【0063】
第4のステップでは、ガラス基板をエッチング液から取り出し、排水した後、すすぎ液で1回以上すすぐ。例えば、すすぎ液は脱イオン水とすることができる。あるいは、又は更に、沈殿物を溶解させることができる溶液中でガラス基板をすすぐことができる。例えば、ガラス基板を、HSOの1モル(M)溶液中に最長1分間浸漬して、エッチングの完了後に表面上の結晶質残留物を除去できる。しかしながら、HSOを、HCl又はHNOといった他の鉱酸に置き換えることができる。低pH値(又は高温)により、沈殿した結晶の可溶性を上昇させることができる。酸ですすいだ後、必要であればガラス基板を脱イオン水等の水ですすいで、酸性残留物を除去する必要がある。いくつかの実施形態では、すすぎステップは、起伏加工済み表面の欠陥を防止するために、撹拌を採用できる。ガラス基板に付着したフッ化物含有酸の均一な拡散を保証できるよう、すすぎの間に、ガラス基板又はすすぎ液を十分に撹拌してよい。毎分約300振動、例えば毎分約250~350振動の小さな振動で十分である。すすぎ動作のうちの1つ以上において、すすぎ用溶液を加熱できる。いくつかの実施形態では、すすぎ液は、エッチングプロセス由来の沈殿物を溶解させることができる他の流体を含むことができる。
【0064】
上記プロセスの任意の第5のステップでは、ガラス基板の裏側に事前に適用したいずれのエッチング液ブロックフィルム、例えばフィルム16を、剥離等によって除去できる。
【0065】
上記プロセスの第6のステップでは、付勢された清浄な(ろ過した)空気を用いてガラス基板10を乾燥させることにより、水染み又は他のすすぎ液由来の染みがガラス基板上に形成されるのを防止できる。
【0066】
上述の例示的プロセスを用いて、本明細書に記載の特定の起伏を提供でき、またこれを以下の詳細な説明の複数の態様と組み合わせると、各サンプルのエッチングによる起伏の均一性を高めることができる。
【0067】
後続の任意のステップでは、それが望ましく、かつガラス基板10がイオン交換可能である場合に、エッチング後にガラス基板をイオン交換(IOX)プロセスに供してよい。例えば、本明細書に記載の実施形態で使用するために好適な、イオン交換可能なガラスとしては、アルカリアルミノシリケートガラス又はアルカリアルミノボロシリケートガラスが挙げられるが、これらに限定されず、他のガラス組成物を代わりに用いることもできる。本明細書中で使用される場合、「イオン交換可能である(being capable of ion exchange)」は、ガラス基板10の表面又はその近傍にあるカチオンを、より大きな又は小さなサイズの同じ価数のカチオンと交換できるガラスを意味する。
【0068】
イオン交換プロセスは、溶融塩浴にガラス基板10を所定の期間にわたって浸漬することによって実行され、ここで、ガラス基板の表面又はその近傍にあるガラス基板内のイオンは、例えば塩浴由来のより大きな金属イオンと交換される。例として、溶融塩浴は硝酸カリウム(KNO)を含んでよく、溶融塩浴の温度は約400℃~約500℃であってよく、上記所定の期間は、約4時間~24時間、例えば約4時間~10時間であってよい。より大きなイオンをガラス基板10に組み込むと、表面近傍領域で圧縮応力が生成されることにより、ガラス基板の表面が強化される。対応する引張応力がガラス基板10の中央領域内に誘発され、これによって圧縮応力が平衡化される。
【0069】
更なる例として、ガラス基板10内のナトリウムイオンを、溶融塩浴由来のカリウムイオンで置換してよいが、ルビジウム又はセシウムといった原子半径が大きな他のアルカリ金属イオンで、ガラス中の小さなアルカリ金属イオンを置換してもよい。特定の実施形態によると、ガラス基板10中の小さなアルカリ金属イオンをAgイオンで置換してよい。同様に、限定するものではないが硫酸塩、ハロゲン化物等といった他のアルカリ金属塩を、イオン交換プロセスで使用してよい。それ未満の温度ではガラスネットワークを弛緩させることができるような温度において、小さなイオンを大きなイオンで置換すると、ガラス基板10の表面全体にイオンが分散し、応力プロファイルが生じる。入って来るイオンの体積が大きいため、ガラス基板10の表面上で圧縮応力(CS)が生成され、中央領域で張力(中央張力、即ちCT)が生成される。それが望ましい場合、イオン交換後のガラス基板を最終的に水ですすぎ、その後乾燥させる。
【実施例
【0070】
氷酢酸、フッ化アンモニウム、及び水を手動で混合して3成分エッチング液を調製した。フッ化アンモニウム結晶(Fischer Chemical CAS 12125‐01‐8、ACS認証済み)を好適なサイズのコンテナ内で計量した後、脱イオン(DI)水(18.2MOhm‐cm)、そして最後に氷酢酸(Fischer Chemical CAS 64‐19‐7、ACS認証済み)を添加した。全ての処理を、Corning(登録商標)Lotus NXTガラスのおよそ10cm×10cmの小片に適用し、4% Semiclean KG洗浄剤浴中で洗浄し(70℃で12分間;その後DI水でのすすぎ及び空気乾燥を実施)、室温のエッチング液に10秒、20秒、及び30秒にわたって浸漬した。表1は、具体的なエッチング液の処方を重量%で示す。
【0071】
【表1】
【0072】
表面電圧(例えば静電帯電)の低減に効果的であることが分かった、結果として得られた表面粗度(平均粗度(R)として表される)は、典型的には約0.4ナノメートル(nm)~約10nmである。
【0073】
図2は、4つのエッチング用溶液S1、S2、S3、及びS4に関する、エッチング時間の関数として静電帯電の低下を示すグラフである。図示されているように、リフト試験で試験した場合に、本明細書に記載の処理方法により、ガラス基板が呈する表面電圧を、未処理の基板表面の約30%~約90%、例えば約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、又は約80%~約90%(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)低減できる。リフト試験は、10cm×10cmのステージプレート及び上記ステージプレートを取り囲む絶縁リフトピンが取り付けられた、平坦な真空面(例えば真空プレート)と、ガラスプレート表面の上方に懸架された静電界計のアレイとで構成される。測定シーケンスは、試験対象のサンプルを、真空プレートに位置決めされたリフトピン上に、エッチングされる表面を下にして配置するステップから開始される。高流量コロナ放電タイプのイオン化装置を用いて、サンプル中のいずれの残留電荷を排除する。ベンチュリ法で真空を発生させ、リフトピンを用いてサンプルを真空プレート上に下ろし、ガラスプレートと真空表面との間に、一定の制御された圧力下で、接触を形成する。この状態を数秒間維持した後、真空を解放し、リフトピンによってガラスサンプルプレートを真空表面から約80cmの高さ(静電界計アレイの約10mm下)まで持ち上げる。真空プロセスによって生成された最大電圧及びその後の減衰速度に関するデータを取得するために十分な期間にわたって、静電界計アレイによってガラス表面電圧を監視及び記録する。1つのエッチング条件につき合計3つのサンプルで、このプロセスを各ガラスサンプルプレートに対して6回繰り返す。加工済み(エッチング済み)サンプルに加えて、エッチングされていない清浄なガラスの対照サンプルを測定する。データは、ESC改善の百分率として提示される。この量は、未処理のエッチングされていないサンプルに対する、エッチング済みサンプルから得られる最大リフト試験電圧V(V@リフトピン高さ80cm)の変化(減少又は増大)の百分率を表す。例えば、0%の百分率変化は対照サンプルと同一の電圧生成を示し、100%は表面電圧生成の実質的な排除を示し、-100%は対照サンプルに対して2倍の表面電圧生成の増大を示す。試験はクラス1000クリーンルーム内において相対湿度(RH)40%で実施され、装置自体は、専用の高効率粒子阻止(high‐efficiency particulate arresting:HEPA)空気ろ過を備えた帯電防止アクリルハウジングに内包される。
【0074】
本明細書で開示される表面処理の更なる利点は、波長スペクトルの近紫外線(UV)部分における(例えば約350nm~約400nmにおける)、未処理のガラスと比較した場合の予想外の反射防止効果である。図3は、Corning Lotus NXTガラスの4つのエッチング後サンプルS1~S4と、エッチングされていないこと以外は同一の未エッチングサンプルS0との光透過率を、ナノメートルを単位とする波長の関数として示すグラフである。これらのデータは、350nm~800nmの波長範囲の略全体にわたって、有意な偏差を示さない。従って個々のプロット曲線は重なっており、互いから区別できない(よって標識されていない)。例外は約350nm~約400nmの波長範囲であり、この範囲では結果的に偏差が生じた。約350nm~約400nmの波長帯の詳細な観察を表2並びに図4及び5で提供する。
【0075】
表2は、サンプルS1~S4に関する、全波長範囲(400nm~800nm)及び部分的な波長範囲(350nm~400nm)の両方にわたるエッチング後の平均全透過率を列挙したものである。示されているように、S2及びS4は、約400nm~約800nmの範囲にわたって対照ガラスと実質的に同一の平均を維持しながら、約350nm~約400nmの波長範囲において全透過率の約0.25%以上の上昇を提供する。近UV領域において可能な限りの透過率を必要とする用途には、透過率の上昇は、それがわずかであっても重要となり得る。
【0076】
【表2】
【0077】
図4及び5は、未処理のサンプル(S0)と比較した場合の、エッチング液S1~S4を用いてエッチングされたサンプルに関するエッチング後の全透過率(図4)、及び処理されていないこと以外は同一のサンプルS0の未処理表面と比較した場合の、約350nm~約400nmの波長範囲にわたる、処理済み表面の透過率上昇として表される透過率の差(図5)のグラフである。
【0078】
同時に、各サンプルに関するヘイズ値は、BYK Hazegard(登録商標)機器を用いて測定した場合に1%未満であった。
【0079】
実際に、図6は、好適なエッチング液空間(黒色で示されている)を示し、更に4つのエッチング液S1~S4に関する三角図上での位置を示す、三角図である。これらのデータは、4つのサンプルエッチング液がそれぞれ、1%未満のヘイズを有するガラス基板を製造できることを示している。黒色で示されている領域はその全体が、1%未満のヘイズを有するガラス基板の製造に好適であると予想される。
【0080】
実験データを電子顕微鏡検査と組み合わせることで、対象のガラス基板の表面トポグラフィが特に、エッチング済みガラスプレートのESC性能の決定因子であることが示された。例えば図7及び8を参照されたい。図7は、処理済み(エッチング後)ガラス表面上の隆起起伏「特徴部分」を示す、電子顕微鏡によって得られた画像であり、これは、全体として「分岐(branching)」又はフラクタル状の挙動を示しながらも、全体として平滑な外観を有する。上記隆起特徴部分は、ガラス表面の、エッチングプロセス中に沈殿物が存在していた領域を表す。隆起起伏特徴部分は、上層の沈殿物の除去後の状態で示されている。一方図8は、図7に示されていたものよりも多数のピーク(及び凹部)を備える、別のガラスサンプル上の特徴部分を示す。試験及びサンプル特性決定中に、単位面積あたりの隆起特徴部分が多いほど良好なESC性能(ガラスサンプル表面のより低い静電帯電)が得られることが判明した。しかしながら、ピーク密度(単位表面積あたりのピーク)が逆の傾向を有するという二次的な効果も観察された。特徴部分及びピークは、図9において単純な図で図示されている。図9は、ガラス基板10の表面上の2つの隆起特徴部分、即ち特徴部分1及び特徴部分2を示す。特徴部分1は4つのピークを示し、特徴部分2は2つのピークを示す。特徴部分1及び特徴部分2は断面図で示されているが、これらはおおよそ同一の接触表面積(フットプリント)を有すると仮定されている。よって、特徴部分1は特徴部分2よりも高いピーク密度を示し、また特徴部分2のピークは幅広いため、特徴部分2は特徴部分1に比べて相対的に平滑な外観を示す。
【0081】
続いて図7を参照すると、3つの別個の隆起特徴部分が図示されており、これらは全体として平滑な外観を有する。しかしながら、図8は、このような別個の隆起特徴部分を基本的に2つしか図示していないものの、例えば中央の特徴部分は、図7に示されているものよりも明瞭なピーク形成(より高い単位面積あたりのピーク密度)を呈している。本明細書に記載されているように、単一の特徴部分は、該特徴部分の全体としての連続性によって画定される。よって、図8は、中央の特徴部分の右及び左にいくつかの小さく隆起した別個の領域(円で囲まれている)を示すものの、これらの小さな隆起領域は中央の特徴部分に対してごくわずかである。
【0082】
図10は、特徴部分の密度の関数としてのESC性能のプロットであり、特徴部分の密度(ここでは1平方マイクロメートルあたりの特徴部分の個数として表される)が上昇するほど、ESC性能が上昇する(エッチングされていないサンプルと比較した場合の変化の百分率として示される、サンプルの静電帯電が低下する)ことを示している。一方で図11は、ピーク密度(面積の逆数、即ち1/mmで表される)の関数としてのESC性能を示し、これは、ピーク密度が低下するほどESC性能が上昇する(静電帯電が低下する)ことを示している。
【0083】
しかしながら以上の内容は、ヘイズ性能に容易に変換されるわけではない。光学ヘイズは、特徴部分又はピークの密度よりも特徴部分のサイズ(例えば特徴部分の体積)によって直接的な影響を受けることが示されている。隆起特徴部分の体積は、平均特徴部分面積及び高さを用いて、二値画像処理によって計算される。例えば、個々の特徴部分は、適当な高さ及び底面半径の円錐で近似でき、そこから体積を計算できる。図12は、特徴部分の体積(立法マイクロメートルで表される)の関数としてのパーセントヘイズを示す、別のプロットである。図12のプロットは、特徴部分の体積が増大するほどヘイズも増大することを示す。即ち、体積が小さな特徴部分ほどヘイズの低下をもたらすことができる。従って、以上のデータを考慮すると、多数の小さく平滑な特徴部分によって、静電帯電の低下(ESC性能の改善)及びヘイズの低減を得ることができる。実験データにより、いくつかの実施形態では、特徴部分の体積を約0.014μm~約0.25μmに維持するべきであることが示されている。いくつかの実施形態では、特徴部分の密度を約0.2/μm~約1/μmに維持するべきである。いくつかの実施形態では、(特徴部分によって画定されるガラス主表面の総2次元面積を、主表面の総面積で除算することで計算される)ガラス表面の特徴部分面積占有率を、約4%~約35%とするべきである。特徴部分占有率が約35%を超えると、ヘイズが許容可能なレベルを超えて上昇する可能性がある。
【0084】
本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本開示の実施形態に様々な修正及び変更を加えることができることは、当業者には明らかである。従って本開示は、これらの実施形態の修正及び変更が、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にある限りにおいて、上記修正及び変更を包含することが意図されている。
【0085】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0086】
実施形態1
化学処理済み主表面を備えるガラス基板であって、
上記ガラス基板は、約1%以下のヘイズ値を有し、また未処理であること以外は同一のガラス基板と比較した場合に、化学処理済み主表面に対して実施されるリフト試験(Lift Test)に供した場合に、70%を超えるESC性能の改善を更に備える、ガラス基板。
【0087】
実施形態2
上記ガラス基板は更に、未処理であること以外は同一のガラス基板と比較した場合に、350nm~400nmの波長範囲にわたって0.25%を超える透過率の改善を備える、実施形態1に記載のガラス基板。
【0088】
実施形態3
上記ガラス基板は化学強化ガラス基板である、実施形態1に記載のガラス基板。
【0089】
実施形態4
上記ガラス基板は、第1の熱膨張係数を有する第1のガラス層と、上記第1のガラス層に融着した、上記第1の熱膨張係数とは異なる第2の熱膨張係数を有する、第2のガラス層とを備える、積層ガラス基板である、実施形態1に記載のガラス基板。
【0090】
実施形態5
上記化学処理済み主表面は、複数の隆起特徴部分を備え、
上記隆起特徴部分の平均特徴部分密度は、約0.2個/μm~約1個/μmである、実施形態1に記載のガラス基板。
【0091】
実施形態6
上記隆起特徴部分の平均特徴部分体積は、約0.014μm~約0.25μmである、実施形態5に記載のガラス基板。
【0092】
実施形態7
上記化学処理済み主表面の総表面積に対する上記隆起特徴部分の総表面積は、約4%~約35%である、実施形態5に記載のガラス基板。
【0093】
実施形態8
上記化学処理済み主表面の平均表面粗度Raは、約0.4ナノメートル~約10ナノメートルである、実施形態1に記載のガラス基板。
【0094】
実施形態9
起伏加工済みガラス基板の形成方法であって、
上記方法は、約50重量%~約60重量%の酢酸、約10重量%~約25重量%のフッ化アンモニウム、及び約20重量%~約35重量%の水を含むエッチング液を用いて、ガラス基板の主表面を処理するステップを含む、起伏加工済みガラス基板の形成方法。
【0095】
実施形態10
上記処理するステップの間、上記ガラス基板の上記主表面は、約30秒未満の時間にわたって上記エッチング液に曝露される、実施形態9に記載の方法。
【0096】
実施形態11
上記処理するステップの間、上記ガラス基板の温度は約18℃~約60℃である、実施形態10に記載の方法。
【0097】
実施形態12
上記処理するステップの後の上記主表面の平均表面粗度Raは、約0.4ナノメートル~約10ナノメートルである、実施形態9に記載の方法。
【0098】
実施形態13
上記処理するステップの後、上記ガラス基板は、1%未満の総ヘイズ値を示し、また、化学処理済みの上記主表面に対して実施されるリフト試験に供すると、未処理であること以外は同一のガラス基板と比較した場合に、70%を超えるESC性能の上昇を示す、実施形態9に記載の方法。
【符号の説明】
【0099】
10 ガラス基板
12 第1の主表面、第1の表面
14 第2の主表面、第2の表面
16 エッチング液耐性保護フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12