(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】蓄電装置及び蓄電装置の動作方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/10 20060101AFI20231219BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20231219BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20231219BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20231219BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20231219BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20231219BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20231219BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H02J7/10 B
H02J7/04 D
H02J7/10 L
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H01L29/78 618B
H01L27/06 102A
H01L27/088 331E
H01L27/088 E
H01L27/088 H
(21)【出願番号】P 2020552177
(86)(22)【出願日】2019-10-16
(86)【国際出願番号】 IB2019058799
(87)【国際公開番号】W WO2020084398
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2018200834
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 圭
(72)【発明者】
【氏名】池田 隆之
(72)【発明者】
【氏名】松嵜 隆徳
(72)【発明者】
【氏名】上妻 宗広
(72)【発明者】
【氏名】井上 広樹
(72)【発明者】
【氏名】田島 亮太
(72)【発明者】
【氏名】門馬 洋平
(72)【発明者】
【氏名】三上 真弓
(72)【発明者】
【氏名】栗城 和貴
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
【審査官】赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-322917(JP,A)
【文献】特開2002-345164(JP,A)
【文献】特開2000-92735(JP,A)
【文献】特開平10-224981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H01M 10/42-10/48
H01L 29/786
H01L 21/8234
H01L 27/088
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回路部と、第2の回路部と、第3の回路部と、二次電池と、を有し、
前記第3の回路部は、コンパレータおよび容量素子を有し、
前記第1の回路部は、前記二次電池の充電を制御する機能を有し、
前記第1の回路部は、前記二次電池の充電の開始を前記第3の回路部に与える機能を有し、
前記第2の回路部は、第1の電圧および第1の電流を生成して前記第3の回路部に与える機能を有し、
前記第3の回路部は、前記第1の電流を前記容量素子に充電することにより、第2の電圧を生成する機能を有し、
前記コンパレータは、前記第1の電圧と前記第2の電圧を比較する機能を有
し、
前記第2の回路部は、前記第1の回路部より与えられるデジタル信号を変換して前記第1の電圧を生成し、
前記第1の電圧はアナログ信号である蓄電装置。
【請求項2】
第1の回路部と、第2の回路部と、第3の回路部と、二次電池と、を有し、
前記第3の回路部は、コンパレータおよび容量素子を有し、
前記第1の回路部は、前記二次電池の充電を制御する機能を有し、
前記第1の回路部は、前記二次電池の充電の開始を前記第3の回路部に与える機能を有し、
前記第2の回路部は、第1の電圧および第1の電流を生成して前記第3の回路部に与える機能を有し、
前記第3の回路部は、前記第1の電流を前記容量素子に充電することにより、第2の電圧を生成する機能を有し、
前記コンパレータは、前記第1の電圧と前記第2の電圧を比較する機能を有
し、
前記第3の回路部は、第1のトランジスタを有し、
前記第1のトランジスタのチャネル形成領域は、インジウム、亜鉛および元素Mを有し、
元素Mはアルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、およびマグネシウムから選ばれる一以上の元素であり、
前記コンパレータの非反転入力端子および反転入力端子の一方は、前記容量素子の一方の電極に電気的に接続され、
前記コンパレータの前記非反転入力端子および前記反転入力端子の他方は、前記第1のトランジスタのソースおよびドレインの一方に電気的に接続され、
前記第1のトランジスタをオフ状態とすることにより、前記第1の電圧を前記第1のトランジスタの前記ソースおよび前記ドレインの一方に保持する機能を有する蓄電装置。
【請求項3】
第1の回路部と、第2の回路部と、第3の回路部と、二次電池と、を有し、
前記第3の回路部は、コンパレータおよび容量素子を有し、
前記第1の回路部は、前記二次電池の充電を制御する機能を有し、
前記第1の回路部は、前記二次電池の充電の開始を前記第3の回路部に与える機能を有し、
前記第2の回路部は、第1の電圧および第1の電流を生成して前記第3の回路部に与える機能を有し、
前記第3の回路部は、前記第1の電流を前記容量素子に充電することにより、第2の電圧を生成する機能を有し、
前記コンパレータは、前記第1の電圧と前記第2の電圧を比較する機能を有
し、
前記第3の回路部は第1のトランジスタを有し、
前記第1のトランジスタのチャネル形成領域は、インジウム、亜鉛および元素Mを有し、
元素Mはアルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、およびマグネシウムから選ばれる一以上の元素であり、
前記第1のトランジスタのソースおよびドレインの一方は、前記容量素子の一方の電極に電気的に接続される蓄電装置。
【請求項4】
第1の回路部と、第2の回路部と、第3の回路部と、二次電池と、を有し、
前記第1の回路部は、前記二次電池の充電を制御する機能を有し、
前記第2の回路部において、第1の電圧および第1の電流が生成される第1のステップと、
前記第1の電圧および前記第1の電流が前記第3の回路部に与えられる第2のステップと、
前記二次電池に電流が与えられ、充電が開始される第3のステップと、
前記第3のステップにおける充電の開始、を伝える第1の信号が前記第1の回路部から前記第3の回路部に与えられる第4のステップと、
前記第3の回路部が、前記充電の開始時刻からの経過時間に対応する第2の電圧を生成する第5のステップと、
前記第1の電圧と前記第2の電圧を比較する第6のステップと、を有する蓄電装置の動作方法。
【請求項5】
請求項4において、
前記第3の回路部は、容量素子を有し、
前記第5のステップにおいて、前記第3の回路部は、前記第1の電流と前記経過時間との積に相当する電荷量を前記容量素子に充電し、前記第2の電圧は、前記容量素子の両端の電極の電位差として求められる蓄電装置の動作方法。
【請求項6】
請求項4において、
前記第1のステップにおいて、前記第2の回路部は、前記第1の回路部より与えられるデジタル信号を変換して前記第1の電圧を生成し、
前記第1の電圧はアナログ信号である蓄電装置の動作方法。
【請求項7】
請求項4において、
前記第3の回路部は、コンパレータおよびトランジスタを有し、
前記コンパレータの非反転入力端子および反転入力端子の一方には、前記トランジスタのソースおよびドレインの一方が電気的に接続され、
前記第2のステップにおいて、前記コンパレータの前記非反転入力端子および前記反転入力端子の一方には、前記第1の電圧が与えられ、
前記第3のステップ乃至前記第6のステップにおいて、前記トランジスタをオフ状態とすることにより、前記コンパレータの前記非反転入力端子および前記反転入力端子の一方に与えられた前記第1の電圧が保持され、
前記第5のステップにおいて、前記コンパレータの前記非反転入力端子および前記反転入力端子の他方には、前記第2の電圧が与えられる蓄電装置の動作方法。
【請求項8】
請求項4において、
前記第3の回路部は容量素子を有し、
前記第1の信号により前記容量素子への前記第1の電流の充電が開始され、
前記第2の電圧は、前記容量素子の両端の電位差に対応する蓄電装置の動作方法。
【請求項9】
第1の回路部と、第2の回路部と、第3の回路部と、温度センサと、二次電池と、を有し、
前記第1の回路部は、演算回路およびメモリを有し、
前記第1の回路部は、前記二次電池の充電を制御する機能を有し、
前記二次電池に電流が与えられ、第1の充電が第1の時刻において開始される第1のステップと、
前記第1の充電が第2の時刻において終了される第2のステップと、
前記温度センサにより測定された温度と、前記第1の時刻と、前記第2の時刻と、が前記メモリに与えられる第3のステップと、
前記第1の回路部において、前記メモリに収納された前記温度、前記第1の時刻および前記第2の時刻を用いて前記演算回路により演算を行い、第1の電圧の大きさが決定される第4のステップと、
前記第2の回路部において、前記演算により大きさが決定された第1の電圧と、第1の電流と、が生成される第5のステップと、
前記第1の電圧および前記第1の電流が前記第3の回路部に与えられる第6のステップと、
前記二次電池に電流が与えられ、第2の充電が開始される第7のステップと、
前記第7のステップにおける第2の充電の開始、を伝える第1の信号が前記第1の回路部から前記第3の回路部に与えられる第8のステップと、
前記第3の回路部が、前記充電の開始時刻からの経過時間に対応する第2の電圧を生成する第9のステップと、
前記第1の電圧と前記第2の電圧を比較する第10のステップと、を有し、
前記第1の充電はCC充電であり、前記第2の充電はCV充電である蓄電装置の動作方法。
【請求項10】
請求項
9において、
前記第3の回路部は、容量素子を有し、
前記第8のステップにおいて、前記第3の回路部は、前記第1の電流と前記経過時間との積に相当する電荷量を前記容量素子に充電し、前記第2の電圧は、前記容量素子の両端の電極の電位差として求められる蓄電装置の動作方法。
【請求項11】
請求項
9において、
前記第2の回路部は、前記第5のステップにおいて、前記第1の回路部より与えられるデジタル信号を変換して前記第1の電圧を生成し、
前記第1の電圧はアナログ信号である蓄電装置の動作方法。
【請求項12】
請求項
9において、
前記第3の回路部は、コンパレータおよびトランジスタを有し、
前記コンパレータの非反転入力端子および反転入力端子の一方には、前記トランジスタのソースおよびドレインの一方が電気的に接続され、
前記第6のステップにおいて、前記コンパレータの前記非反転入力端子および前記反転入力端子の一方には、前記第1の電圧が与えられ、
前記第6のステップ乃至前記第10のステップにおいて、前記トランジスタをオフ状態とすることにより、前記コンパレータの前記非反転入力端子および前記反転入力端子の一方に与えられた前記第1の電圧が保持され、
前記第9のステップにおいて、前記コンパレータの前記非反転入力端子および前記反転入力端子の他方には、前記第2の電圧が与えられる蓄電装置の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、半導体装置、及び半導体装置の動作方法に関する。また、本発明の一態様は、電池制御回路、電池保護回路、蓄電装置、及び電子機器に関する。
【0002】
なお本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、表示装置、発光装置、蓄電装置、撮像装置、記憶装置、それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
蓄電装置(バッテリ、二次電池ともいう)は、小型の電気機器から自動車に至るまで幅広い分野で利用されるようになっている。電池の応用範囲が広がるにつれて、複数の電池セルを直列に接続したマルチセル構成のバッテリスタックを使ったアプリケーションが増えている。
【0004】
蓄電装置は、過放電、過充電、過電流、または短絡といった充放電時の異常を把握するための回路を備えている。このように、電池の保護、及び制御を行う回路において、充放電時の異常を検知するため、電圧や電流等のデータを取得する。また、このような回路においては、観測されるデータに基づいて、充放電の停止やセル・バランシングなどの制御を行う。
【0005】
特許文献1は、電池保護回路として機能する保護ICについて開示している。特許文献1に記載の保護ICでは、内部に複数のコンパレータ(比較器)を設け、参照電圧と、電池が接続された端子の電圧と、を比較して充放電時の異常を検出する構成について開示している。
【0006】
また特許文献2では、二次電池の微小短絡を検出する電池状態検知装置及びそれを内蔵する電池パックが示されている。
【0007】
また特許文献3では、二次電池のセルが直列接続された組電池を保護する保護用半導体装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公開第2011-267726号明細書
【文献】特開2010-66161号公報
【文献】特開2010-220389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一態様の蓄電装置は、マイクロショートを検知、あるいはマイクロショートの予兆を検知し、二次電池の安全性を高めることが好ましい。
【0010】
マイクロショートとは、二次電池の内部の微小な短絡のことを指しており、二次電池の正極と負極が短絡して充放電不可能の状態になるというほどではなく、微小な短絡部で短絡電流が短期間流れてしまう現象を指している。マイクロショートの原因は、充放電が複数回行われることによって、劣化が生じ、リチウムやコバルトなどの金属元素が電池内部で析出し、析出物が成長することにより、正極の一部と負極の一部で局所的な電流の集中が生じ、セパレータの一部が機能しなくなる箇所が発生すること、または副反応物が発生することにあると推定されている。
【0011】
二次電池の小型化のため、セパレータの薄化が望まれており、さらに、高い電圧での急速給電による充電が望まれており、どちらも二次電池にマイクロショートが生じやすい構成となっている。
【0012】
従来、デバイスの設計者は使用する二次電池の上限電圧と下限電圧とを設定し、外部出力電流の上限を制限している。二次電池の下限電圧以上上限電圧以下の範囲内は、使用が推奨されている電圧範囲内であり、その範囲内で生じるマイクロショートなどの異常検出を保護回路などでは実施していない。そのため、マイクロショートにより瞬間的に大電流が流れることを繰り返すと二次電池の異常発熱、及び発火などの重大事故に繋がる可能性がある。従って早期にマイクロショートを発見することが好ましい。また、このリスクを低減するための電池の充放電制御も求められている。
【0013】
本発明の一態様は、新規な電池制御回路、新規な電池保護回路、蓄電装置、及び電気機器等を提供することを課題の一とする。または、本発明の一態様は、消費電力の低減を図ることができる。または、本発明の一態様は、新規な構成の電池制御回路、電池保護回路、蓄電装置、及び電気機器等を提供することを課題の一とする。
【0014】
または、本発明の一態様は、二次電池のマイクロショートを検知、あるいはマイクロショートの予兆を検知し、安全性の高い蓄電装置を提供することを課題の一とする。
【0015】
なお本発明の一態様の課題は、上記列挙した課題に限定されない。上記列挙した課題は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお他の課題は、以下の記載で述べる、本項目で言及していない課題である。本項目で言及していない課題は、当業者であれば明細書又は図面等の記載から導き出せるものであり、これらの記載から適宜抽出することができる。なお、本発明の一態様は、上記列挙した記載、及び/又は他の課題のうち、少なくとも一つの課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1)本発明の一態様は、第1の回路部と、第2の回路部と、コンパレータおよび容量素子を有する第3の回路部と、二次電池と、を有し、第1の回路部は、二次電池の充電を制御する機能を有し、第1の回路部は、二次電池の充電の開始を第3の回路部に伝える機能を有し、第2の回路部は、第1の電圧および第1の電流を生成して第3の回路部に与える機能を有し、第3の回路部は、第1の電流を容量素子に充電することにより、第2の電圧を生成する機能を有し、コンパレータは、第1の電圧と第2の電圧を比較する機能を有する蓄電装置である。
【0017】
(2)また、上記(1)の構成において、第2の回路部は、第1の回路部より与えられるデジタル信号を変換して第1の電圧を生成し、第1の電圧はアナログ信号である蓄電装置とすることが好ましい。
【0018】
(3)また、上記(1)または(2)の構成において、第3の回路部は、トランジスタを有し、トランジスタのチャネル形成領域は、インジウム、亜鉛および元素Mを有し、元素Mはアルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、およびマグネシウムから選ばれる一以上の元素であり、コンパレータの非反転入力端子および反転入力端子の一方は、容量素子の一方の電極に電気的に接続され、コンパレータの非反転入力端子および反転入力端子の他方は、トランジスタのソースおよびドレインの一方に電気的に接続され、トランジスタをオフ状態とすることにより、第1の電圧をトランジスタのソースおよびドレインの一方に保持する機能を有する蓄電装置とすることが好ましい。
【0019】
(4)また、上記(1)、(2)または(3)の構成において、第3の回路部は第2のトランジスタを有し、第2のトランジスタのチャネル形成領域は、インジウム、亜鉛および元素Mを有し、元素Mはアルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、およびマグネシウムから選ばれる一以上の元素であり、第2のトランジスタのソースおよびドレインの一方は、容量素子の一方の電極に電気的に接続される蓄電装置とすることが好ましい。
【0020】
(5)または、本発明の一態様は、第1の回路部と、第2の回路部と、第3の回路部と、二次電池と、を有し、第1の回路部は、二次電池の充電を制御する機能を有し、第2の回路部において、第1の電圧および第1の電流が生成される第1のステップと、第1の電圧および第1の電流が第3の回路部に与えられる第2のステップと、二次電池に電流が与えられ、充電が開始される第3のステップと、充電の開始を伝える第1の信号が第1の回路部から第3の回路部に与えられる第4のステップと、第3の回路部が、充電の開始時刻からの経過時間に対応する第2の電圧を生成する第5のステップと、第1の電圧と第2の電圧を比較する第6のステップと、を有する蓄電装置の動作方法である。
【0021】
(6)また、上記(5)において、第3の回路部は容量素子を有し、第5のステップにおいて、第3の回路部は、第1の電流と経過時間との積に相当する電荷量を容量素子に充電し、前記第2の電圧として、前記容量素子の両端の電極の電位差を求められる蓄電装置とすることが好ましい。
【0022】
(7)また、上記(5)または(6)の動作方法の第1のステップにおいて、第2の回路部は、第1の回路部より与えられるデジタル信号を変換して第1の電圧を生成し、第1の電圧はアナログ信号であることが好ましい。
【0023】
(8)また、上記(5)、(6)または(7)の動作方法において、第3の回路部は、コンパレータおよびトランジスタを有し、コンパレータの非反転入力端子および反転入力端子の一方には、トランジスタのソースおよびドレインの一方が電気的に接続され、第2のステップにおいて、コンパレータの非反転入力端子および反転入力端子の一方には、第1の電圧が与えられ、第3のステップ乃至第6のステップにおいて、トランジスタをオフ状態とすることにより、コンパレータの非反転入力端子および反転入力端子の一方に与えられた第1の電圧が保持され、第5のステップにおいて、コンパレータの非反転入力端子および反転入力端子の他方には、第2の電圧が与えられることが好ましい。
【0024】
(9)また、上記(5)、(6)、(7)または(8)の動作方法において、第3の回路部は容量素子を有し、第1の信号により容量素子への第1の電流の充電が開始され、第2の電圧は、容量素子の両端の電位差に対応することが好ましい。
【0025】
(10)または、本発明の一態様は、第1の回路部と、第2の回路部と、第3の回路部と、温度センサと、二次電池と、を有し、第1の回路部は、演算回路およびメモリを有し、第1の回路部は、二次電池の充電を制御する機能を有し、二次電池に電流が与えられ、第1の充電が第1の時刻において開始される第1のステップと、第1の充電が第2の時刻において終了される第2のステップと、温度センサにより測定された温度と、第1の時刻と、第2の時刻と、がメモリに与えられる第3のステップと、第1の回路部において、メモリに収納された温度、第1の時刻および第2の時刻を用いて演算回路により演算を行い、第1の電圧の大きさが決定される第4のステップと、第2の回路部において、演算により大きさが決定された第1の電圧と、第1の電流と、が生成される第5のステップと、第1の電圧および第1の電流が第3の回路部に与えられる第6のステップと、二次電池に電流が与えられ、第2の充電が開始される第7のステップと、第2の充電の開始を伝える第1の信号が第1の回路部から第3の回路部に与えられる第8のステップと、第3の回路部が、充電の開始時刻からの経過時間に対応する第2の電圧を生成する第9のステップと、第1の電圧と第2の電圧を比較する第10のステップと、を有し、第1の充電はCC充電であり、第2の充電はCV充電である蓄電装置の動作方法である。
【0026】
また、上記(10)の動作方法において、第3の回路部は容量素子を有し、第8のステップにおいて、第3の回路部は、第1の電流と経過時間との積に相当する電荷量を容量素子に充電し、第2の電圧として、容量素子の両端の電極の電位差を求められることが好ましい。
【0027】
(12)また、上記(10)または(11)の動作方法において、第2の回路部は、第5のステップにおいて、第1の回路部より与えられるデジタル信号を変換して第1の電圧を生成し、第1の電圧はアナログ信号であることが好ましい。
【0028】
また、(10)、(11)または(12)の動作方法において、第3の回路部は、コンパレータおよびトランジスタを有し、コンパレータの非反転入力端子および反転入力端子の一方には、トランジスタのソースおよびドレインの一方が電気的に接続され、第6のステップにおいて、コンパレータの非反転入力端子および反転入力端子の一方には、第1の電圧が与えられ、第6のステップ乃至第10のステップにおいて、トランジスタをオフ状態とすることにより、コンパレータの非反転入力端子および反転入力端子の一方に与えられた第1の電圧が保持され、第9のステップにおいて、コンパレータの非反転入力端子および反転入力端子の他方には、第2の電圧が与えられることが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一態様により、新規な電池制御回路、新規な電池保護回路、蓄電装置、及び電気機器等を提供することができる。また、本発明の一態様により、消費電力の低減を図ることができる。また、本発明の一態様により、新規な構成の電池制御回路、電池保護回路、蓄電装置、及び電気機器等を提供することができる。
【0030】
また、本発明の一態様により、二次電池のマイクロショートを検知、あるいはマイクロショートの予兆を検知し、安全性の高い蓄電装置を提供することができる。
【0031】
なお本発明の一態様の効果は、上記列挙した効果に限定されない。上記列挙した効果は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお他の効果は、以下の記載で述べる、本項目で言及していない効果である。本項目で言及していない効果は、当業者であれば明細書又は図面等の記載から導き出せるものであり、これらの記載から適宜抽出することができる。なお、本発明の一態様は、上記列挙した効果、及び/又は他の効果のうち、少なくとも一つの効果を有するものである。従って本発明の一態様は、場合によっては、上記列挙した効果を有さない場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1は、本発明の一態様を説明するブロック図である。
図2Aは、本発明の一態様を説明する回路図である。
図2Bは、本発明の一態様を説明する回路図である。
図3は、本発明の一態様の動作例を示すフローチャートである。
図4Aは、本発明の一態様の動作例を示すタイミングチャートである。
図4Bは、本発明の一態様の動作例を示すタイミングチャートである。
図5Aは本発明の一態様を説明する回路図である。
図5Bは、本発明の一態様の動作例を示すタイミングチャートである。
図6Aは、本発明の一態様を説明する回路図である。
図6Bは、本発明の一態様を説明する回路図である。
図7は、本発明の一態様を説明する回路図である。
図8Aは、本発明の一態様を説明する回路図である。
図8Bは、本発明の一態様を説明する回路図である。
図9は、本発明の一態様を説明する回路図である。
図10は、本発明の一態様を説明するブロック図である。
図11Aは、二次電池の充電方法を説明する図である。
図11Bは、二次電池の充電方法を説明する図である。
図11Cは、二次電池電圧と充電電流の例を示す図である。
図12Aは、二次電池の充電方法を説明する図である。
図12Bは、二次電池の充電方法を説明する図である。
図12Cは、二次電池の充電方法を説明する図である。
図13Aは、二次電池電圧と充電電流の例を示す図である。
図13Bは、二次電池電圧と放電電流の例を示す図である。
図14は、半導体装置の構成例を示す断面図である。
図15は、半導体装置の構成例を示す断面図である。
図16Aは、トランジスタの構造例を示す断面図である。
図16Bは、トランジスタの構造例を示す断面図である。
図16Cは、トランジスタの構造例を示す断面図である。
図17Aは、メモリの構成例を示すブロック図である。
図17Bは、メモリセルの一例を示す図である。
図18Aは、メモリセルアレイの構成例を示す図である。
図18Bは、メモリセルの一例を示す図である。
図18Cは、メモリセルの一例を示す図である。
図19Aは、メモリセルの一例を示す図である。
図19Bは、メモリの構成例を示す図である。
図20Aは、電子部品の作製工程を示すフローチャート図である。
図20Bは、電子部品の斜視模式図である。
図21Aは、二次電池の一例を示す図である。
図21Bは、二次電池の一例を示す断面図である。
図21Cは、蓄電システムの一例を示す図である。
図21Dは、蓄電システムの一例を示す図である。
図22Aは、二次電池パックの外観の一例を示す図である。
図22Bは、二次電池パックの構成の一例を説明する図である。
図22Cは、二次電池パックの構成の一例を説明する図である。
図23Aは、本発明の一態様の車両を説明する図である。
図23Bは、本発明の一態様の車両を説明する図である。
図23Cは、本発明の一態様の車両を説明する図である。
図24Aは、本発明の一態様の電気機器を説明する図である。
図24Bは、本発明の一態様の蓄電システムの一例を示す図である。
図25Aは、本発明の一態様の電気機器を説明する図である。
図25Bは、本発明の一態様の電気機器を説明する図である。
図25Cは、本発明の一態様の電気機器を説明する図である。
図26は、本発明の一態様の電気機器を説明する図である。
図27Aは、本発明の一態様の電気機器を説明する図である。
図27Bは、本発明の一態様の電気機器を説明する図である。
図27Cは、本発明の一態様の電気機器を説明する図である。
図27Dは、本発明の一態様の電気機器を説明する図である。
図27Eは、本発明の一態様の電気機器を説明する図である。
図28は、市場イメージを説明する図である。
図29Aは、二次電池の充電時間を示す図である。
図29Bは、二次電池の充電時間を示す図である。
図30Aは、二次電池の充電時間を示す図である。
図30Bは、二次電池の充電時間を示す図である。
図31Aは、二次電池の充電カーブである。
図31Bは、二次電池の充電カーブである。
図31Cは、二次電池の充電カーブである。
図32は、二次電池の充電時間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0034】
なお本明細書等において、「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものである。従って、構成要素の数を限定するものではない。また、構成要素の順序を限定するものではない。また例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素が、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において「第2」に言及された構成要素とすることもありうる。また例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素を、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において省略することもありうる。
【0035】
なお図面において、同一の要素または同様な機能を有する要素、同一の材質の要素、あるいは同時に形成される要素等には同一の符号を付す場合があり、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0036】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の蓄電装置の一例を示す。
【0037】
図1に示す蓄電装置100は、制御回路101と、基準生成回路102と、タイマー回路103と、レギュレータ104と、電源105と、抵抗素子131と、二次電池121と、を有する。
【0038】
制御回路101は、基準生成回路102およびタイマー回路103に信号を与える。また、制御回路101は二次電池121の充電を行う機能を有する。
【0039】
抵抗素子131は二次電池121と電気的に直列に接続される。制御回路101は抵抗素子131の両端に電気的に接続されることが好ましい。制御回路101は抵抗素子131に流れる電流を計測する機能を有する。抵抗素子131に流れる電流は例えば、二次電池121に流れる電流とおおよそ一致する。
【0040】
基準生成回路102は、制御回路101から与えられた信号に基づきタイマー回路103に基準電圧および基準電流(Vref、Iref(Digital))を与える。また、基準生成回路102は与えられるデジタル信号をアナログ信号に変換する機能を有する。基準電圧および基準電流等の信号がデジタル信号として制御回路101から与えられる場合には、アナログ信号に変換してタイマー回路103に与えることができる。
【0041】
タイマー回路103は与えられた基準電圧および基準電流(Vref、Iref(Analog))に基づき、二次電池121の定電流充電時間および定電圧充電時間を計測する機能、あるいは監視する機能を有する。タイマー回路103は、基準生成回路102から与えられる電流Irefを用いて、後述する電流Iss1、電流Iss2および電流Iss3等を生成することもできる。
【0042】
タイマー回路103は与えられたアナログ信号を保持する機能を有する。また、与えられた二以上のアナログ信号の比較を行う機能を有する。また、与えられたアナログ信号に対応する時間を算出する機能を有する。
【0043】
図2Aおよび
図2Bにはタイマー回路103の構成の一例を示す。
図2Aに示すタイマー回路103は、電流供給部191と、容量素子161と、コンパレータ164を有する。電流供給部191は、スイッチ162と、定電流源163を有する。スイッチ162の一方の電極は接地電位に電気的に接続され、定電流源163の一方の電極は高電位信号Vddに電気的に接続される。コンパレータ164の非反転入力端子を端子IN1とし、出力端子を端子OUTとする。
図2Aにおいて、端子IN1には、容量素子161の一方の電極と、スイッチ162の他方の電極と、定電流源163の他方の電極と、が電気的に接続される。また、容量素子161の他方の電極は接地電位に電気的に接続される。なお本実施の形態において、接地電位に替えて低電位信号を用いてもよい。
【0044】
図2Aに示す電流源をソース型電流源と呼ぶ場合がある。
【0045】
図1、
図2Aおよび
図2Bに示すタイマー回路103はOSトランジスタを有することが好ましい。OSトランジスタについては後述する。タイマー回路103がOSトランジスタを有することにより、与えられたアナログ信号を保持することが可能となる。タイマー回路103が信号を保持する機能を有することにより、パワーゲーティングが可能となる。パワーゲーティングのための信号PGは制御回路101から基準生成回路102に与えられる。
【0046】
図2Bは、パワーゲーティングが可能なタイマー回路103の構成の一例を示す。
図2Bに示すタイマー回路103は、記憶素子159を有する点が
図2Aと異なる。コンパレータ164の反転入力端子にはトランジスタ165のソースまたはドレインの一方が接続される。記憶素子159はトランジスタ165および容量素子160を有する。ここで
図2Bにおいてトランジスタ165のソースまたはドレインの一方をノードNDと呼ぶ。トランジスタ165をOSトランジスタとし、トランジスタ165をオフ状態とすることにより、反転入力端子に与えられた電位を長時間に渡り、ノードNDに保持することができる。ノードNDには容量素子160の一方の電極が電気的に接続されることが好ましい。容量素子160の他方の電極は例えば接地電位に接続される。トランジスタ165をオフ状態とする期間においては、基準生成回路102からタイマー回路103へ信号を与えなくてもよい。よって、該期間においては基準生成回路102に信号PGが与えられ、与えられた信号に基づく動作が行われることが好ましい。基準生成回路102に信号PGが与えられることにより例えば、基準生成回路102の電源を遮断する。あるいは、基準生成回路102の一部の電源を遮断する。あるいは、基準生成回路102に与える電圧の少なくとも一部を低電位信号、例えば接地信号とする。パワーゲーティングにより、基準生成回路102の消費電流を極めて低くすることができる。
【0047】
図2Bに示す電流源をソース型電流源と呼ぶ場合がある。
【0048】
【0049】
なお、本明細書等において、本発明の一態様の電池制御回路、または当該電池制御回路を備えた蓄電装置をBTOS(Battery operating system、またはBattery oxide semiconductor)と呼称する場合がある。BTOSは、低い消費電力によりシステムを構築できる場合がある。BTOSは、簡便な回路によりシステムを構築できる場合がある。
【0050】
<充電時間>
本発明の一態様の蓄電装置は、マイクロショートを検知、あるいはマイクロショートの予兆を検知し、二次電池の安全性を高めることが好ましい。
【0051】
発明者らは、二次電池の充電等において、マイクロショートが示唆される現象が観測される前には、充電時間が長くなることを見出した。マイクロショートが示唆される現象の一例としては、充電電圧の急激な低下が挙げられる。マイクロショートが示唆される現象が観測される前、とは例えばマイクロショートが示唆される充電の1サイクル前の充電、あるいは3サイクル前から1サイクル前の間の充電の少なくともいずれかを指す。充電時間が長いとは例えば、二次電池あるいは蓄電装置の出荷後の充電における充電時間に比べて長い、あるいは10サイクル以上前の充電における充電時間に比べて長い、等を指す。
【0052】
なお、充電時間は、二次電池の温度(例えば二次電池が有する温度センサの温度)、二次電池の使用に伴う劣化等により依存するため、例えばそのような変化要因を加味して充電時間を考慮した上でも想定外に充電時間が長くなる場合には、マイクロショートが生じていると判断することができる。
【0053】
よって二次電池において、充電時間を監視し、所定の時間より長い場合には例えば、二次電池の動作を停止する、あるいは二次電池の動作を制限する、より具体的には例えば二次電池の電圧範囲を狭くする、等を行うことにより、マイクロショートを抑制して二次電池の安全性を高めることができる。
【0054】
マイクロショートと充電時間との関係は例えば次のように考察することができる。マイクロショートが生じると、充電において電圧が上昇しづらくなり、定電流(Constant current:以下、CC)充電の時間が長くなると考えられる。また、定電圧(Constant current:以下、CV)充電においては、ショート電流が流れることにより充電電流が下限まで到達する時間が長くなると考えられる。
【0055】
CC充電に比べて、CV充電ではより顕著にマイクロショートの影響が表れやすい場合がある。
【0056】
本発明の一態様の蓄電装置は、マイクロショートの検知の他に、二次電池のSOH(State of Health:健全度とも呼ぶ)を評価することができる。SOHは二次電池が新品の状態を100として、その二次電池の劣化が進行するにつれて100よりも小さなあたいとして表している。二次電池の劣化に伴い、CV充電の時間が長くなる場合がある。例えば充電の時間を観測し、テーブル等に保存されたデータとの比較等を行うことにより、SOHを算出することができる。
【0057】
以下に、CC充電およびCV充電について説明する。
【0058】
[充放電方法]
二次電池の充放電は、例えば下記のように行うことができる。
【0059】
まず、充電方法の1つとしてCC充電について説明する。CC充電は、充電期間のすべてで一定の電流を二次電池に流し、所定の電圧になったときに充電を停止する充電方法である。二次電池を、
図11Aに示すように内部抵抗Rと二次電池容量Cの等価回路と仮定する。この場合、二次電池電圧V
Bは、内部抵抗Rにかかる電圧V
Rと二次電池容量Cにかかる電圧V
Cの和である。
【0060】
CC充電を行っている間は、
図11Aに示すように、スイッチがオンになり、一定の電流Iが二次電池に流れる。この間、電流Iが一定であるため、V
R=R×Iのオームの法則により、内部抵抗Rにかかる電圧V
Rも一定である。一方、二次電池容量Cにかかる電圧V
Cは、時間の経過とともに上昇する。そのため、二次電池電圧V
Bは、時間の経過とともに上昇する。
【0061】
そして二次電池電圧V
Bが所定の電圧、例えば4.3Vになったときに、充電を停止する。CC充電を停止すると、
図11Bに示すように、スイッチがオフになり、電流I=0となる。そのため、内部抵抗Rにかかる電圧V
Rが0Vとなる。そのため、二次電池電圧V
Bが下降する。
【0062】
CC充電を行っている間と、CC充電を停止してからの、二次電池電圧V
Bと充電電流の例を
図11Cに示す。CC充電を行っている間は上昇していた二次電池電圧V
Bが、CC充電を停止してから若干低下する様子が示されている。
【0063】
次に、上記と異なる充電方法であるCCCV充電について説明する。CCCV充電は、まずCC充電にて所定の電圧まで充電を行い、その後、CV充電にて流れる電流が少なくなるまで、具体的には終止電流値になるまで充電を行う充電方法である。
【0064】
CC充電を行っている間は、
図12Aに示すように、定電流電源のスイッチがオン、定電圧電源のスイッチがオフになり、一定の電流Iが二次電池に流れる。この間、電流Iが一定であるため、V
R=R×Iのオームの法則により、内部抵抗Rにかかる電圧V
Rも一定である。一方、二次電池容量Cにかかる電圧V
Cは、時間の経過とともに上昇する。そのため、二次電池電圧V
Bは、時間の経過とともに上昇する。
【0065】
そして二次電池電圧V
Bが所定の電圧、例えば4.3Vになったときに、CC充電からCV充電に切り替える。CV充電を行っている間は、
図12Bに示すように、定電圧電源のスイッチがオン、定電流電源のスイッチがオフになり、二次電池電圧V
Bが一定となる。一方、二次電池容量Cにかかる電圧V
Cは、時間の経過とともに上昇する。V
B=V
R+V
Cであるため、内部抵抗Rにかかる電圧V
Rは、時間の経過とともに小さくなる。内部抵抗Rにかかる電圧V
Rが小さくなるに従い、V
R=R×Iのオームの法則により、二次電池に流れる電流Iも小さくなる。
【0066】
そして二次電池に流れる電流Iが所定の電流、例えば0.01C相当の電流となったとき、充電を停止する。CCCV充電を停止すると、
図12Cに示すように、全てのスイッチがオフになり、電流I=0となる。そのため、内部抵抗Rにかかる電圧V
Rが0Vとなる。しかし、CV充電により内部抵抗Rにかかる電圧V
Rが十分に小さくなっているため、内部抵抗Rでの電圧降下がなくなっても、二次電池電圧V
Bはほとんど降下しない。
【0067】
CCCV充電を行っている間と、CCCV充電を停止してからの、二次電池電圧V
Bと充電電流の例を
図13Aに示す。CCCV充電を停止しても、二次電池電圧V
Bがほとんど降下しない様子が示されている。
【0068】
次に、放電方法の1つであるCC放電について説明する。CC放電は、放電期間のすべてで一定の電流を二次電池から流し、二次電池電圧VBが所定の電圧、例えば2.5Vになったときに放電を停止する放電方法である。
【0069】
CC放電を行っている間の二次電池電圧V
Bと放電電流の例を
図13Bに示す。放電が進むに従い、二次電池電圧V
Bが降下していく様子が示されている。
【0070】
次に、放電レート及び充電レートについて説明する。放電レートとは、電池容量に対する放電時の電流の相対的な比率であり、単位Cで表される。定格容量X(Ah)の電池において、1C相当の電流は、X(A)である。2X(A)の電流で放電させた場合は、2Cで放電させたといい、X/5(A)の電流で放電させた場合は、0.2Cで放電させたという。また、充電レートも同様であり、2X(A)の電流で充電させた場合は、2Cで充電させたといい、X/5(A)の電流で充電させた場合は、0.2Cで充電させたという。
【0071】
<蓄電装置の動作例>
図3は本発明の一態様の蓄電装置の動作の一例を示すフローチャートである。また
図4Aおよび
図4Bには信号RESET、端子IN1および端子OUTの状態を表すタイミングチャートの一例を示す。
図4Aおよび
図4Bにおいて高電位信号をHi、低電位信号をLoと示す。
【0072】
まずステップS000において、処理が開始される。
【0073】
次に、ステップS001において、充電のモードが選択される。例えば、CC充電およびCV充電のいずれかが選択される。
【0074】
次に、ステップS002において、充電の基準時間が設定される。充電のモードがCC充電であれば定電流充電の基準時間tcが設定され、CV充電であれば定電圧充電の基準時間tvが設定される。より具体的には例えば、基準生成回路102からタイマー回路103に、設定された基準時間に対応する電圧Vref1および電流Iss1が与えられる。電圧Vref1はコンパレータ164の反転入力端子に、電流Iss1は定電流源163に与えられる。
【0075】
充電時間に対応する電圧および電流は次のように求められる。容量素子161の容量値を容量値Ca1とする。電流Iss1と時間trの積は、容量値Ca1と電圧Vref1の積に等しくなる。この関係を利用して、充電時間trが所望の値となるように電流Iss1および電圧Vref1を決定する。
【0076】
基準時間は例えば、想定される充電時間にある一定のマージンを追加した値である。基準時間tcおよび基準時間tvは例えばあらかじめ決められた値を用いてもよいし、前回の充電時に計測された充電時間にある所定の時間を加えた値を用いてもよい。基準時間tcおよび基準時間tvは例えば、テーブルに保存することができる。テーブルは例えば、揮発性メモリ、および不揮発性メモリのいずれかあるいは両方を有する。メモリとして後述のDOSRAM、NOSRAM等を用いてもよい。
【0077】
基準時間tcは例えば、充電開始時の二次電池の電圧に応じて値を決定すればよい。二次電池の残容量SOC(State of charge)に依存して充電開始時の電圧が変化する。テーブルには、充電開始時の電圧に応じた基準時間tcが保存されることが好ましい。充電開始電圧として例えば、充電開始後、ある一定の時間、例えば数秒が経過した後の電圧とすることができる。
【0078】
また、充電時間は二次電池の温度Tbに依存するため例えば、テーブルには温度に対応した基準時間が保存されることが好ましい。テーブルには例えば数条件、ここでは例として3つの温度に対応した基準時間を保存し、テーブルに保存された温度以外の基準時間については、テーブルに保存された値を用いて、制御回路101等が有する演算回路により求められてもよい。
【0079】
温度Tbの依存性と、残容量SOCの依存性と、をある係数として定め、前回の充電時に計測された充電時間にそれらの係数を乗算した値を基準時間として用いてもよい。
【0080】
また基準時間tvについては、温度Tbと、実測されたCC充電の時間と、を用いて算出してもよい。
【0081】
また、内部抵抗により二次電池の電圧が上昇(あるいは降下)する場合がある。電圧の上昇量(あるいは降下量)は内部抵抗および電流密度に依存する。二次電池の電圧として開回路電圧(Open circuit voltage:OCV)を用いることにより、内部抵抗の影響を抑制できる場合がある。よって、二次電池の充電開始時の電圧として、OCVを用いることができる。あるいは、ある所定の電流密度における電圧を用いることが好ましい。あるいは、基準時間を求める際に、電流密度による電圧の上昇量を加味することが好ましい。
【0082】
次に、ステップS003ではリセット動作が行われる(
図4Aおよび
図4Bの時刻t1)。具体的には、制御回路101からタイマー回路103へ信号RESETが与えられる。例えば
図4Aおよび
図4Bに示すように高電位信号が与えられる。タイマー回路103は、信号RESETが与えられることによりスイッチ162がオン状態となる。スイッチ162がオン状態となることにより、端子INに接地電位が与えられる。
【0083】
ステップS004において、充電が開始され、スイッチ162をオフ状態とし、充電時間tbの計測が開始される(
図4Aおよび
図4Bの時刻t2)。充電が開始されると例えば、信号RESETが低電位となりスイッチ162がオフ状態となる。なおここで充電時間は、タイマー回路103において端子IN1の電圧を計測することにより得られる。すなわちステップS004では端子IN1の電圧(以下、電圧Vin)の計測を行えばよい。
【0084】
次に、ステップS005において、電圧Vinが電圧Vref1を超える場合(
図4Bの時刻t4)にはステップS006へ、超えない場合にはステップS008へ進む。ここでは電圧Vinが電圧Vref1を超えることはすなわち、設定された充電の基準時間よりも充電時間が長いことに相当する。電圧Vinが電圧Vref1を超える場合にはコンパレータ164の出力端子OUTから例えば高電位信号が出力され、超えない場合には逆極性の信号、ここでは例えば低電位信号Loが出力される。
【0085】
次に、ステップS006において、蓄電装置100は使用者に警告を発する。警告は例えば、蓄電装置100が有する表示部に表示されてもよいし、蓄電装置100が有するスピーカーから警告音が発せられてもよい。なおステップS006においては、スイッチ162は例えば、オフ状態のままであるが、オン状態としてもよい。
【0086】
あるいは、ステップS006において、蓄電装置100は、二次電池121の充電を停止してもよい。
【0087】
ステップS008において、現在の充電モードを終了するかの判断が行われる。該判断は例えば、制御回路101により行われる。現在の充電モードが終了される場合はステップS009へ進み、終了されない場合はステップS004へ戻る。
【0088】
ステップS009において、信号RESETが制御回路101からタイマー回路103へ与えられ、スイッチ162がオン状態となり、リセット動作が行われる(
図4Aの時刻t3)。
【0089】
次に、ステップS010において、引き続き異なる充電モードにおける充電が行われる場合には、ステップS002へ戻り、充電が行われない場合にはステップS099に進む。
【0090】
ステップS099において、処理を終了する。
【0091】
<レギュレータ>
図1に示すように、蓄電装置100はレギュレータ104を有することが好ましい。レギュレータ104は例えば、与えられた信号を基に所望の電圧を出力する機能を有する。またレギュレータ104は、与えられた電圧を降圧、あるいは昇圧する機能を有することが好ましい。
【0092】
図1に示すレギュレータ104について説明する。レギュレータ104は、降圧型のパワーステージである。レギュレータ104は、トランジスタ152、トランジスタ153およびコイル156を有する。トランジスタ152のソースおよびドレインの一方は、二次電池121の負極および電源の負極に電気的に接続される。トランジスタ153のソースおよびドレインの一方は、電源の正極に電気的に接続される。トランジスタ152のソースおよびドレインの他方は、トランジスタ153のソースおよびドレインの他方と電気的に接続される。コイル156の一方の電極は抵抗素子131を介して二次電池121の正極と電気的に接続される。コイル156の他方の電極は、トランジスタ152のソースおよびドレインの他方の電極と電気的に接続される。トランジスタ152およびトランジスタ153のゲート電極にはそれぞれ制御回路101からの信号が与えられる。
【0093】
<タイマー回路の変形例>
タイマー回路103の変形例について、
図5乃至
図9を用いて説明する。
【0094】
図5Aに示すタイマー回路103は、
図2Aに示す電流供給部191に替えて電流供給部192を有する。電流供給部192はスイッチ162と定電流源163を有する。スイッチ162の一方の電極は高電位信号Vref2に電気的に接続され、定電流源163の一方の電極は接地電位に電気的に接続される。スイッチ162の他方の電極と定電流源163の他方の電極は容量素子161の一方の電極に電気的に接続される。また、
図5Aにおいて、容量素子161の一方の電極はコンパレータ164の反転入力端子である端子IN2に電気的に接続される。コンパレータ164の非反転入力端子には記憶素子159を介して、電圧Vref11が与えられる。
【0095】
図5Bには、
図5Aに示すタイマー回路103における信号RESET、端子IN2および端子OUTの状態を表すタイミングチャートの一例を示す。時刻t1において、信号RESETがスイッチ162に与えられ、端子IN2に高電位信号Vref2が与えられる。時刻t2において充電が開始される。
図5Aに示すタイマー回路103においては、定電流源163に電流が流れるのに伴い、端子IN2の電圧が徐々に低下する。
【0096】
時刻t4において、端子IN2の電圧が電圧Vref11よりも低くなる、すなわち充電の基準時間よりも充電が長くなると、端子OUTから高電位信号が出力される。
図5Bにおいて高電位信号をHi、低電位信号をLoと示す。
【0097】
図6Aに示すタイマー回路103は、
図2Aに示すタイマー回路103に加えて、カウンタ106を有する。カウンタ106には信号RESETが与えられ、信号RESETにより例えば、カウント数がリセットされる。コンパレータ164の端子OUTは、カウンタ106に入力される。カウンタ106に端子OUTから信号(例えば高電位信号)が与えられると、カウンタ106のカウント数が1回増える(カウントアップ)。また、端子OUTからの高電位信号により、スイッチ166がオン状態となり、容量素子161の電圧が接地電位となる。タイマー回路103がカウンタ106を有することにより、二次電池の充電時間に対応するカウント数を、タイマー回路103の出力端子である端子OUT2から出力することができる。
【0098】
図6Bに示すタイマー回路103は、
図6Aに示すタイマー回路103において、電流供給部191を電流供給部192に替えた構成を有する。
【0099】
図7に示すタイマー回路103は、電流供給部193と、容量素子161と、コンパレータ171と、コンパレータ172と、カウンタ106と、NAND回路178と、NAND回路179と、を有する。
【0100】
電流供給部193は、スイッチ162、定電流源167、スイッチ168、スイッチ169および定電流源170を有する。定電流源167、スイッチ168、スイッチ169および定電流源170は定電流源167、スイッチ168、スイッチ169、定電流源170の順に電気的に直列に接続され、定電流源167においてスイッチ168と電気的に接続されない方の電極は接地電位に電気的に接続され、定電流源170においてスイッチ169に電気的に接続されない方の電極は高電位信号Vddに電気的に接続される。スイッチ162の一方の電極は高電位信号Vddに電気的に接続され、他方の電極はスイッチ169、スイッチ168および容量素子161の一方の電極に電気的に接続される。
【0101】
容量素子161の一方の電極はコンパレータ171の非反転入力端子およびコンパレータ172の反転入力端子に電気的に接続される。コンパレータ171の反転入力端子には電圧Vref1が与えられ、コンパレータ172の非反転入力端子には高電位信号Vref2が与えられる。なお
図7に示す通り、電圧Vref1および高電位信号Vref2はそれぞれ、記憶素子159を介してコンパレータの端子に与えられてもよい。NAND回路178の第1の入力にはコンパレータ171の出力信号が与えられ、第2の入力にはNAND回路179の出力が与えられる。NAND回路179の第1の入力にはコンパレータ172の出力信号が与えられ、第2の入力にはNAND回路178の出力が与えられる。NAND回路179の出力はカウンタ106に入力される。カウンタ106の端子OUT2からカウント数が出力される。
【0102】
図7に示すタイマー回路103の動作の一例について示す。信号QBは信号Qの逆位相の信号である。
【0103】
信号RESETとして高電位信号が与えられる場合には、スイッチ162がオン状態となり、容量素子161に高電位信号Vddが与えられる。また、信号RESETによりカウンタ106をリセットする。
【0104】
次に、信号RESETとして低電位信号が与えられ、スイッチ162がオフ状態となる。
【0105】
信号Qが高電位の場合には、スイッチ168がオン状態となり、スイッチ169がオフ状態となり、容量素子161は定電流源167に電気的に接続され、定電流源167は接地電位に電気的に接続されるため、容量素子161の電圧は徐々に低下する。容量素子161の電圧がVref1より低くなるとコンパレータ171から低電位信号が出力され、信号Qと信号QBの信号が反転し、信号QBが高電位となる。
【0106】
信号QBが高電位となると、スイッチ169がオン状態となり、スイッチ168がオフ状態となり、容量素子161は定電流源170に電気的に接続され、定電流源170は高電位信号Vddに電気的に接続されるため、容量素子161の電圧が徐々に上昇する。容量素子161の電圧が高電位信号Vref2より高くなるとコンパレータ172より低電位信号が出力され、信号Qと信号QBの信号が反転し、信号Qが高電位となる。カウンタ106に与えられる信号Qがふたたび高電位となるため、カウンタ106のカウント数が1回増える。
【0107】
このように、電流源としてソース型電流源とシンク型電流源と組み合わせることにより、容量素子161の電圧は電圧Vref1から高電位信号Vref2までの範囲において、増加と減少を交互に繰り返すため、カウンタ106に与えられる信号は高電位と低電位を交互に繰り返し、発振する。
【0108】
図8Aには電流供給部192に適用可能な具体例を示す。電流供給部192は定電流源173、容量素子174およびトランジスタ181乃至トランジスタ184を有する。定電流源173の一方の電極は高電位信号Vddに、他方の電極はトランジスタ181のソースおよびドレインの一方と、ゲートとに、それぞれ電気的に接続され、トランジスタ181のソースおよびドレインの他方は接地電位に電気的に接続され、トランジスタ182のソースおよびドレインの一方はトランジスタ181のゲートに、他方はトランジスタ183のゲートおよび容量素子174の一方の電極に、それぞれ電気的に接続され、容量素子174の他方の電極は接地電位に電気的に接続され、トランジスタ182のゲートおよびトランジスタ184のゲートにはそれぞれ、信号RESETが与えられ、トランジスタ183のソースおよびドレインの一方は接地電位に、他方はトランジスタ184のソースおよびドレインの一方と、容量素子161の一方の電極とに、それぞれ電気的に接続され、トランジスタ184のソースおよびドレインの他方には高電位信号Vddが与えられる。
【0109】
図8Aに示す回路の動作の一例について説明する。
図8Aにおいて、信号RESETとして高電位信号が与えられる場合には、トランジスタ181、トランジスタ182、トランジスタ183およびトランジスタ184がオン状態となり、定電流源173に流れる電流Irefに応じた電流Iss1がトランジスタ183およびトランジスタ184に流れる。電流Irefと電流Iss1との比は、トランジスタ181とトランジスタ183のサイズの比(チャネル長の逆数、チャネル幅、等)に応じて変化する。トランジスタ182に流れる電流により、容量素子174に電荷が蓄積される。電流Iss1により、容量素子161に電荷が蓄積される。
【0110】
次に、信号RESETとして低電位信号が与えられる場合には、トランジスタ181、トランジスタ182およびトランジスタ184はオフ状態となり、トランジスタ183のゲートには容量素子174に蓄積された電荷に応じた電圧が与えられ、トランジスタ183はオン状態となる。容量素子161に蓄積された電荷がトランジスタ183に流れ、容量素子161の電圧は徐々に低下する。
【0111】
図8Bには電流供給部191に適用可能な具体例を示す。電流供給部191は定電流源173、容量素子175、トランジスタ181およびトランジスタ185乃至トランジスタ190を有する。定電流源173の一方の電極には高電位信号Vddが与えられ、他方の電極はトランジスタ181のソースおよびドレインの一方と、ゲートと、トランジスタ185のソースおよびドレインの一方と、に電気的に接続され、トランジスタ185のソースおよびドレインの他方は接地電位に電気的に接続され、トランジスタ186のソースおよびドレインの一方には高電位信号Vref3が与えられ、他方は容量素子175の一方の電極と、トランジスタ188のゲートと、に電気的に接続され、トランジスタ188のソースおよびドレインの一方には高電位信号Vddが与えられ、他方にはトランジスタ187のソースおよびドレインの一方と、トランジスタ190のソースおよびドレインの一方が電気的に接続され、トランジスタ187のソースおよびドレインの他方は接地電位に電気的に接続され、トランジスタ188のソースおよびドレインの他方は容量素子175の他方の電極に電気的に接続され、トランジスタ190のソースおよびドレインの他方は、容量素子161の一方の電極に電気的に接続される。信号RESETはトランジスタ186のゲートに与えられ、信号RESETBはトランジスタ185のゲートおよびトランジスタ190のゲートに与えられる。
【0112】
信号RESETBは信号RESETと逆位相の信号である。逆位相の信号であるとは例えば、一方の信号から高電位信号が出力される場合には他方の信号から低電位信号が出力されることを指す。
【0113】
図8Bに示す回路の動作の一例について説明する。
図8Bにおいて、信号RESETとして高電位信号が与えられる場合には、トランジスタ188のゲートに電圧Vref3が与えられ、トランジスタ181、トランジスタ187およびトランジスタ188がオン状態となり、定電流源173を流れる電流Irefに応じた電流Iss1がトランジスタ188およびトランジスタ187に流れる。電流Irefと電流Iss1との比は、トランジスタ181とトランジスタ187の比と、に応じて変化する。
【0114】
次に、信号RESETとして低電位信号が与えられる場合には、トランジスタ186がオフ状態となりトランジスタ188のゲートには容量素子175に蓄積される電荷に応じた電圧が保持されてトランジスタ188がオン状態となる。また、トランジスタ190がオン状態、トランジスタ187がオフ状態となる。よって、容量素子161にはトランジスタ188に流れる電流Iss1が与えられ、容量素子161の電圧は徐々に上昇する。
【0115】
図8Aおよび
図8Bにおいて信号RESETとして低電位信号が与えられる期間は、定電流源173から電流を供給する必要がないため、定電流源173を停止することができる。よって、信号RESETとして低電位信号が与えられる期間においては基準生成回路102のパワーゲーティングが可能となる。
【0116】
OSトランジスタは、オフ電流を低くすることができるため、オン電流についても、高い値から低い値まで広い範囲を用いることができる。オン電流として、低い値まで制御することができるため、例えば10
-10A/μm以下の電流をオン電流として用いることができる場合がある。よって
図8Aのトランジスタ183およびトランジスタ184、および
図8Bのトランジスタ187および188にOSトランジスタを用いることにより、容量素子161の容量値を小さくすることができ、例えば容量素子161の面積を小さくすることができる。よって、回路の縮小を図ることができる。
【0117】
トランジスタ181乃至トランジスタ188、およびトランジスタ190にOSトランジスタを適用してもよい。
【0118】
OSトランジスタは温度変化によるしきい値の変動が小さく、例えば二次電池のように広い温度範囲で使われる装置に適する場合がある。
【0119】
図9には電流供給部193に適用可能な具体例を示す。電流供給部193は、
図8Aに示す電流供給源と、
図8Bに示す電流供給源を組み合わせた構成を有する。
【0120】
電流供給部193において、定電流源173、トランジスタ181、トランジスタ182、容量素子174、トランジスタ183のそれぞれの電気的な接続については
図8Aを参照することができる。トランジスタ186、容量素子175、トランジスタ188のそれぞれの電気的な接続については
図8Bを参照することができる。トランジスタ194のゲートには信号RESETが与えられ、トランジスタ194のソースおよびドレインの一方は、トランジスタ183のソースおよびドレインの他方と、トランジスタ195のソースおよびドレインの一方と、に電気的に接続され、トランジスタ194のソースおよびドレインの他方はトランジスタ196のソース及びドレインの一方と、トランジスタ188のソースおよびドレインの他方の電極と、に電気的に接続される。トランジスタ195のゲートには信号Qが与えられ、トランジスタ196のゲートには信号QBが与えられる。トランジスタ190のゲートには信号RESETBが与えられ、トランジスタ190のソースおよびドレインの一方はトランジスタ195のソースおよびドレインの他方と、トランジスタ196のソースおよびドレインの他方と、が電気的に接続され、トランジスタ190のソースおよびドレインの他方はトランジスタ197のソースおよびドレインの一方と、容量素子161の一方の電極と、に電気的に接続される。トランジスタ197のソースおよびドレインの他方には電圧Vref1が与えられる。トランジスタ197のゲートには信号RESETが与えられる。
【0121】
<蓄電装置の変形例>
図10に示す蓄電装置100は、
図1に示す構成に加えて、保護回路137、トランジスタ140およびトランジスタ150を有する。
【0122】
保護回路137は制御回路101と電気的に接続され、制御回路101との信号の授受を行うことが好ましい。
【0123】
保護回路137は、二次電池121がある定められた条件を満たす場合に、二次電池の動作を停止する機能を有する。例えば、二次電池121の電流がある値を超える場合に、その動作を停止する。また例えば、二次電池121の電圧がある値以上、あるいはある値以下となる場合に、その動作を停止する。
【0124】
保護回路137は、二次電池121の動作を停止する場合に、二次電池121の両極を短絡させる経路を有してもよい。該経路に、抵抗素子または容量素子を設けてもよい。
図10に示すトランジスタ140及びトランジスタ150は、電流を遮断するスイッチとして機能し、保護回路137が二次電池121を停止させると判断した場合に、スイッチを作動させる。トランジスタ140及びトランジスタ150として寄生ダイオードを有するMOSFETを用いることができる。また、トランジスタ140及びトランジスタ150として、OSトランジスタを用いてもよい。また蓄電装置100はトランジスタ140及びトランジスタ150のいずれかを有さない構成としてもよい。
【0125】
保護回路137とタイマー回路103は例えば、同一チップ内に設けられる構成とすることができる。同一チップ内とは例えば、同じシリコン基板上、あるいは同じガラス基板上に両回路が設けられる構成を指す。
【0126】
あるいは、保護回路137とタイマー回路103は例えば、同一パッケージ内に設けられる構成とすることができる。同一パッケージ内とは例えば、それぞれの回路を有する2つのチップが同一プリント基板上に設けられる構成を指す。
【0127】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0128】
(実施の形態2)
上記実施の形態で説明した電池制御回路に適用可能な半導体装置の構成例について説明する。
【0129】
図14に示す半導体装置は、トランジスタ300と、トランジスタ500と、容量素子600と、を有している。
図16Aはトランジスタ500のチャネル長方向の断面図であり、
図16Bはトランジスタ500のチャネル幅方向の断面図であり、
図16Cはトランジスタ300のチャネル幅方向の断面図である。
【0130】
トランジスタ500は、OSトランジスタである。トランジスタ500は、オフ電流が小さいため、これを半導体装置が有するOSトランジスタに用いることにより、長期にわたり書き込んだデータを保持することが可能である。
【0131】
トランジスタ500は例えば、nチャネル型トランジスタである。
【0132】
本発明の一態様の蓄電装置が有するトランジスタとして、OSトランジスタを適用することができる。また、OSトランジスタおよびSiトランジスタを任意に組み合わせて適用してもよい。また、全てのトランジスタをOSトランジスタまたはSiトランジスタとしてもよい。Siトランジスタとしては、アモルファスシリコンを有するトランジスタ、結晶性のシリコン(代表的には、低温ポリシリコン、単結晶シリコンなど)を有するトランジスタなどが挙げられる。
【0133】
OSトランジスタは、オフ電流が極めて低く、高温環境下においてもスイッチング特性が良好といった特性を有する。そのため、高温環境下においても、組電池120への充電または放電の制御を誤動作なく行うことができる。
【0134】
またOSトランジスタを用いた記憶素子は、Siトランジスタを用いた回路上などに積層することで自由に配置可能であるため、集積化を容易に行うことができる。またOSトランジスタは、Siトランジスタと同様の製造装置を用いて作製することが可能であるため、低コストで作製可能である。
【0135】
またOSトランジスタは、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極に加えて、バックゲート電極を含む、4端子の半導体素子とすることができる。ゲート電極またはバックゲート電極に与える電圧に応じて、ソースとドレインとの間を流れる信号の入出力が独立制御可能な電気回路網で構成することができる。そのため、LSIと同一思考で回路設計を行うことができる。加えてOSトランジスタは、高温環境下において、Siトランジスタよりも優れた電気特性を有する。具体的には、100℃以上200℃以下、好ましくは125℃以上150℃以下といった高温下においてもオン電流とオフ電流の比が大きいため、良好なスイッチング動作を行うことができる。
【0136】
本実施の形態で説明する半導体装置は、
図14に示すようにトランジスタ300、トランジスタ500、容量素子600を有する。トランジスタ500はトランジスタ300の上方に設けられ、容量素子600はトランジスタ300、及びトランジスタ500の上方に設けられている。
【0137】
トランジスタ300は、基板311上に設けられ、導電体316、絶縁体315、基板311の一部からなる半導体領域313、ソース領域又はドレイン領域として機能する低抵抗領域314a、及び低抵抗領域314bを有する。なお、トランジスタ300は、例えば、上記実施の形態におけるコンパレータが有するトランジスタ等に適用することができる。
【0138】
トランジスタ300は、
図16Cに示すように、半導体領域313の上面及びチャネル幅方向の側面が絶縁体315を介して導電体316に覆われている。このように、トランジスタ300をFin型とすることにより、実効上のチャネル幅が増大することによりトランジスタ300のオン特性を向上させることができる。また、ゲート電極の電界の寄与を高くすることができるため、トランジスタ300のオフ特性を向上させることができる。
【0139】
なお、トランジスタ300は、pチャネル型、あるいはnチャネル型のいずれでもよい。
【0140】
半導体領域313のチャネルが形成される領域、その近傍の領域、ソース領域、又はドレイン領域となる低抵抗領域314a、及び低抵抗領域314bなどにおいて、シリコン系半導体などの半導体を含むことが好ましく、単結晶シリコンを含むことが好ましい。又は、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、GaAlAs(ガリウムアルミニウムヒ素)などを有する材料で形成してもよい。結晶格子に応力を与え、格子間隔を変化させることで有効質量を制御したシリコンを用いた構成としてもよい。又はGaAsとGaAlAs等を用いることで、トランジスタ300をHEMT(High Electron Mobility Transistor)としてもよい。
【0141】
低抵抗領域314a、及び低抵抗領域314bは、半導体領域313に適用される半導体材料に加え、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、又はホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含む。
【0142】
ゲート電極として機能する導電体316は、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、もしくはホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含むシリコンなどの半導体材料、金属材料、合金材料、又は金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。
【0143】
なお、導電体の材料によって仕事関数が決まるため、当該導電体の材料を選択することで、トランジスタのしきい値電圧を調整することができる。具体的には、導電体に窒化チタンや窒化タンタルなどの材料を用いることが好ましい。さらに導電性と埋め込み性を両立するために導電体にタングステンやアルミニウムなどの金属材料を積層として用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが耐熱性の点で好ましい。
【0144】
なお、
図14に示すトランジスタ300は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。例えば、半導体装置をOSトランジスタのみで構成する場合、
図15に示すとおり、トランジスタ300の構成を、酸化物半導体を用いているトランジスタ500と同様の構成にすればよい。なお、トランジスタ500の詳細については後述する。
【0145】
トランジスタ300を覆って、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、及び絶縁体326が順に積層して設けられている。
【0146】
絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、及び絶縁体326として、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよい。
【0147】
なお、本明細書中において、酸化窒化シリコンとは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を示す。また、本明細書中において、酸化窒化アルミニウムとは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化アルミニウムとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を示す。
【0148】
絶縁体322は、その下方に設けられるトランジスタ300などによって生じる段差を平坦化する平坦化膜としての機能を有していてもよい。例えば、絶縁体322の上面は、平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP)法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
【0149】
また、絶縁体324には、基板311、又はトランジスタ300などから、トランジスタ500が設けられる領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。
【0150】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、例えば、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ500等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、当該半導体素子の特性が低下する場合がある。したがって、トランジスタ500と、トランジスタ300との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
【0151】
水素の脱離量は、例えば、昇温脱離ガス分析法(TDS)などを用いて分析することができる。例えば、絶縁体324の水素の脱離量は、TDS分析において、膜の表面温度が50℃から500℃の範囲において、水素原子に換算した脱離量が、絶縁体324の面積当たりに換算して、10×1015atoms/cm2以下、好ましくは5×1015atoms/cm2以下であればよい。
【0152】
なお、絶縁体326は、絶縁体324よりも誘電率が低いことが好ましい。例えば、絶縁体326の比誘電率は4未満が好ましく、3未満がより好ましい。また例えば、絶縁体326の比誘電率は、絶縁体324の比誘電率の0.7倍以下が好ましく、0.6倍以下がより好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0153】
また、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、及び絶縁体326には容量素子600、又はトランジスタ500と接続する導電体328、及び導電体330等が埋め込まれている。なお、導電体328、及び導電体330は、プラグ又は配線としての機能を有する。また、プラグ又は配線としての機能を有する導電体は、複数の構造をまとめて同一の符号を付与する場合がある。また、本明細書等において、配線と、配線と接続するプラグとが一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配線として機能する場合、及び導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
【0154】
各プラグ、及び配線(導電体328、導電体330等)の材料としては、金属材料、合金材料、金属窒化物材料、又は金属酸化物材料などの導電性材料を、単層又は積層して用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、タングステンを用いることが好ましい。又は、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
【0155】
絶縁体326、及び導電体330上に、配線層を設けてもよい。例えば、
図14において、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354が順に積層して設けられている。また、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354には、導電体356が形成されている。導電体356は、トランジスタ300と接続するプラグ、又は配線としての機能を有する。なお導電体356は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0156】
なお、例えば、絶縁体350は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体356は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体350が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ500とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0157】
なお、水素に対するバリア性を有する導電体としては、例えば、窒化タンタル等を用いるとよい。また、窒化タンタルと導電性が高いタングステンを積層することで、配線としての導電性を保持したまま、トランジスタ300からの水素の拡散を抑制することができる。この場合、水素に対するバリア性を有する窒化タンタル層が、水素に対するバリア性を有する絶縁体350と接する構造であることが好ましい。
【0158】
絶縁体354、及び導電体356上に、配線層を設けてもよい。例えば、
図14において、絶縁体360、絶縁体362、及び絶縁体364が順に積層して設けられている。また、絶縁体360、絶縁体362、及び絶縁体364には、導電体366が形成されている。導電体366は、プラグ又は配線としての機能を有する。なお導電体366は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0159】
なお、例えば、絶縁体360は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体366は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体360が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成されることが好ましい。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ500とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0160】
絶縁体364、及び導電体366上に、配線層を設けてもよい。例えば、
図14において、絶縁体370、絶縁体372、及び絶縁体374が順に積層して設けられている。また、絶縁体370、絶縁体372、及び絶縁体374には、導電体376が形成されている。導電体376は、プラグ又は配線としての機能を有する。なお導電体376は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0161】
なお、例えば、絶縁体370は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体376は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体370が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成されることが好ましい。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ500とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0162】
絶縁体374、及び導電体376上に、配線層を設けてもよい。例えば、
図14において、絶縁体380、絶縁体382、及び絶縁体384が順に積層して設けられている。また、絶縁体380、絶縁体382、及び絶縁体384には、導電体386が形成されている。導電体386は、プラグ又は配線としての機能を有する。なお導電体386は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0163】
なお、例えば、絶縁体380は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体386は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体380が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成されることが好ましい。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ500とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0164】
上記において、導電体356を含む配線層、導電体366を含む配線層、導電体376を含む配線層、及び導電体386を含む配線層、について説明したが、本実施の形態に係る半導体装置はこれに限られるものではない。導電体356を含む配線層と同様の配線層を3層以下にしてもよいし、導電体356を含む配線層と同様の配線層を5層以上にしてもよい。
【0165】
絶縁体384上には絶縁体510、絶縁体512、絶縁体514、及び絶縁体516が、順に積層して設けられている。絶縁体510、絶縁体512、絶縁体514、及び絶縁体516のいずれかは、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。
【0166】
例えば、絶縁体510、及び絶縁体514には、例えば、基板311、又はトランジスタ300を設ける領域などから、トランジスタ500を設ける領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。したがって、絶縁体324と同様の材料を用いることができる。
【0167】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ500等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、当該半導体素子の特性が低下する場合がある。したがって、トランジスタ500と、トランジスタ300との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
【0168】
また、水素に対するバリア性を有する膜として、例えば、絶縁体510、及び絶縁体514には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
【0169】
特に、酸化アルミニウムは、酸素、及びトランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中及び作製後において、水素、水分などの不純物のトランジスタ500への混入を防止することができる。また、トランジスタ500を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタ500に対する保護膜として用いることに適している。
【0170】
また、例えば、絶縁体512、及び絶縁体516には、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、これらの絶縁体に、比較的誘電率が低い材料を適用することで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体512、及び絶縁体516として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
【0171】
また、絶縁体510、絶縁体512、絶縁体514、及び絶縁体516には、導電体518、及びトランジスタ500を構成する導電体(例えば、導電体503)等が埋め込まれている。なお、導電体518は、容量素子600、又はトランジスタ300と接続するプラグ、又は配線としての機能を有する。導電体518は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0172】
特に、絶縁体510、及び絶縁体514と接する領域の導電体518は、酸素、水素、及び水に対するバリア性を有する導電体であることが好ましい。当該構成により、トランジスタ300とトランジスタ500とは、酸素、水素、及び水に対するバリア性を有する層で、分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0173】
絶縁体516の上方には、トランジスタ500が設けられている。
【0174】
図16Aおよび
図16Bに示すように、トランジスタ500は、絶縁体514及び絶縁体516に埋め込まれるように配置された導電体503と、絶縁体516及び導電体503の上に配置された絶縁体520と、絶縁体520の上に配置された絶縁体522と、絶縁体522の上に配置された絶縁体524と、絶縁体524の上に配置された酸化物530aと、酸化物530aの上に配置された酸化物530bと、酸化物530b上に互いに離れて配置された導電体542a及び導電体542bと、導電体542a及び導電体542b上に配置され、導電体542aと導電体542bの間に重畳して開口が形成された絶縁体580と、開口の底面及び側面に配置された酸化物530cと、酸化物530cの形成面に配置された絶縁体550と、絶縁体550の形成面に配置された導電体560と、を有する。
【0175】
また、
図16Aおよび
図16Bに示すように、酸化物530a、酸化物530b、導電体542a、及び導電体542bと、絶縁体580との間に絶縁体544が配置されることが好ましい。また、
図16Aおよび
図16Bに示すように、導電体560は、絶縁体550の内側に設けられた導電体560aと、導電体560aの内側に埋め込まれるように設けられた導電体560bと、を有することが好ましい。また、
図16Aおよび
図16Bに示すように、絶縁体580、導電体560、及び絶縁体550の上に絶縁体574が配置されることが好ましい。
【0176】
なお、以下において、酸化物530a、酸化物530b、及び酸化物530cをまとめて酸化物530という場合がある。
【0177】
なお、トランジスタ500では、チャネルが形成される領域と、その近傍において、酸化物530a、酸化物530b、及び酸化物530cの3層を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、酸化物530bの単層、酸化物530bと酸化物530aの2層構造、酸化物530bと酸化物530cの2層構造、又は4層以上の積層構造を設ける構成にしてもよい。また、トランジスタ500では、導電体560を2層の積層構造として示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体560が、単層構造であってもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。また、
図14、
図16Aに示すトランジスタ500は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
【0178】
ここで、導電体560は、トランジスタのゲート電極として機能し、導電体542a及び導電体542bは、それぞれソース電極又はドレイン電極として機能する。上記のように、導電体560は、絶縁体580の開口、及び導電体542aと導電体542bに挟まれた領域に埋め込まれるように形成される。導電体560、導電体542a及び導電体542bの配置は、絶縁体580の開口に対して、自己整合的に選択される。つまり、トランジスタ500において、ゲート電極を、ソース電極とドレイン電極の間に、自己整合的に配置させることができる。よって、導電体560を位置合わせのマージンを設けることなく形成することができるので、トランジスタ500の占有面積の縮小を図ることができる。これにより、半導体装置の微細化、高集積化を図ることができる。
【0179】
さらに、導電体560が、導電体542aと導電体542bの間の領域に自己整合的に形成されるので、導電体560は、導電体542a又は導電体542bと重畳する領域を有さない。これにより、導電体560と導電体542a及び導電体542bとの間に形成される寄生容量を低減することができる。よって、トランジスタ500のスイッチング速度を向上させ、高い周波数特性を有せしめることができる。
【0180】
導電体560は、第1のゲート(トップゲートともいう)電極として機能する場合がある。また、導電体503は、第2のゲート(ボトムゲートともいう)電極として機能する場合がある。その場合、導電体503に印加する電位を、導電体560に印加する電位と、連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ500のしきい値電圧を制御することができる。特に、導電体503に負の電位を印加することにより、トランジスタ500のしきい値電圧を0Vより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体503に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体560に印加する電位が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
【0181】
導電体503は、酸化物530、及び導電体560と、重なるように配置する。これにより、導電体560、及び導電体503に電位を印加した場合、導電体560から生じる電界と、導電体503から生じる電界と、がつながり、酸化物530に形成されるチャネル形成領域を覆うことができる。本明細書等において、第1のゲート電極、及び第2のゲート電極の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(S-channel)構造とよぶ。
【0182】
また、本明細書等において、surrounded channel(S-channel)構造は、ソース電極およびドレイン電極として機能する導電体542aおよび導電体542bに接する酸化物530の側面及び周辺が、チャネル形成領域と同じくI型であるといった特徴を有する。また、導電体542aおよび導電体542bに接する酸化物530の側面及び周辺は、絶縁体544と接しているため、チャネル形成領域と同様にI型となりうる。なお、本明細書等において、I型とは後述する高純度真性と同様として扱うことができる。また、本明細書等で開示するS-channel構造は、Fin型構造およびプレーナ型構造とは異なる。S-channel構造を採用することで、短チャネル効果に対する耐性を高める、別言すると短チャネル効果が発生し難いトランジスタとすることができる。
【0183】
また、導電体503は、導電体518と同様の構成であり、絶縁体514及び絶縁体516の開口の内壁に接して導電体503aが形成され、さらに内側に導電体503bが形成されている。なお、トランジスタ500では、導電体503a及び導電体503bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体503は、単層、又は3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。
【0184】
ここで、導電体503aは、水素原子、水素分子、水分子、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。又は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。なお、本明細書において、不純物、又は酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物、又は上記酸素のいずれか一又は、すべての拡散を抑制する機能とする。
【0185】
例えば、導電体503aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、導電体503bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。
【0186】
また、導電体503が配線の機能を兼ねる場合、導電体503bは、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする、導電性が高い導電性材料を用いることが好ましい。その場合、導電体503aは、必ずしも設けなくともよい。なお、導電体503bを単層で図示したが、積層構造としてもよく、例えば、チタン又は窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
【0187】
絶縁体520、絶縁体522、及び絶縁体524は、第2のゲート絶縁膜としての機能を有する。
【0188】
ここで、酸化物530と接する絶縁体524は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁体を用いることが好ましい。つまり、絶縁体524には、過剰酸素領域が形成されていることが好ましい。このような過剰酸素を含む絶縁体を酸化物530に接して設けることにより、酸化物530中の酸素欠損を低減し、トランジスタ500の信頼性を向上させることができる。
【0189】
過剰酸素領域を有する絶縁体として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化物とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは1.0×1019atoms/cm3以上、さらに好ましくは2.0×1019atoms/cm3以上、又は3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、又は100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
【0190】
また、上記過剰酸素領域を有する絶縁体と、酸化物530と、を接して加熱処理、マイクロ波処理、またはRF処理のいずれか一または複数の処理を行っても良い。当該処理を行うことで、酸化物530中の水、または水素を除去することができる。例えば、酸化物530において、VoHの結合が切断される反応が起きる、別言すると「VOH→VO+H」という反応が起きて、脱水素化することができる。このとき発生した水素の一部は、酸素と結合してH2Oとして、酸化物530、または酸化物530近傍の絶縁体から除去される場合がある。また、水素の一部は、導電体542に拡散または捕獲(ゲッタリングともいう)される場合がある。
【0191】
また、上記マイクロ波処理は、例えば、高密度プラズマを発生させる電源を有する装置、または、基板側にRFを印加する電源を有する装置を用いると好適である。例えば、酸素を含むガスを用い、且つ高密度プラズマを用いることより、高密度の酸素ラジカルを生成することができ、基板側にRFを印加することで、高密度プラズマによって生成された酸素ラジカルを、効率よく酸化物530、または酸化物530近傍の絶縁体中に導入することができる。また、上記マイクロ波処理は、圧力を133Pa以上、好ましくは200Pa以上、さらに好ましくは400Pa以上とすればよい。また、マイクロ波処理を行う装置内に導入するガスとしては、例えば、酸素と、アルゴンとを用い、酸素流量比(O2/(O2+Ar))が50%以下、好ましくは10%以上30%以下で行うとよい。
【0192】
また、トランジスタ500の作製工程中において、酸化物530の表面が露出した状態で、加熱処理を行うと好適である。当該加熱処理は、例えば、100℃以上450℃以下、より好ましくは350℃以上400℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。例えば、加熱処理は酸素雰囲気で行うことが好ましい。これにより、酸化物530に酸素を供給して、酸素欠損(VO)の低減を図ることができる。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で行ってもよい。または、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で加熱処理した後に、連続して窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理を行っても良い。
【0193】
なお、酸化物530に加酸素化処理を行うことで、酸化物530中の酸素欠損を、供給された酸素により修復させる、別言すると「VO+O→null」という反応を促進させることができる。さらに、酸化物530中に残存した水素に供給された酸素が反応することで、当該水素をH2Oとして除去する(脱水化する)ことができる。これにより、酸化物530中に残存していた水素が酸素欠損に再結合してVOHが形成されるのを抑制することができる。
【0194】
また、絶縁体524が、過剰酸素領域を有する場合、絶縁体522は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)ことが好ましい。
【0195】
絶縁体522が、酸素や不純物の拡散を抑制する機能を有することで、酸化物530が有する酸素は、絶縁体520側へ拡散することがなく、好ましい。また、導電体503が、絶縁体524や、酸化物530が有する酸素と反応することを抑制することができる。
【0196】
絶縁体522は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、又は(Ba,Sr)TiO3(BST)などのいわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を単層又は積層で用いることが好ましい。トランジスタの微細化、及び高集積化が進むと、ゲート絶縁膜の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁膜として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。
【0197】
特に、不純物、及び酸素などの拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料であるアルミニウム、ハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。アルミニウム、ハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁体522を形成した場合、絶縁体522は、酸化物530からの酸素の放出や、トランジスタ500の周辺部から酸化物530への水素等の不純物の混入を抑制する層として機能する。
【0198】
又は、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。又はこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコン又は窒化シリコンを積層して用いてもよい。
【0199】
また、絶縁体520は、熱的に安定していることが好ましい。例えば、酸化シリコン及び酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、好適である。また、high-k材料の絶縁体を酸化シリコン、または酸化窒化シリコンと組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造の絶縁体520や、絶縁体526を得ることができる。
【0200】
なお、
図16Aおよび
図16Bのトランジスタ500では、3層の積層構造からなる第2のゲート絶縁膜として、絶縁体520、絶縁体522、及び絶縁体524が図示されているが、第2のゲート絶縁膜は、単層、2層、又は4層以上の積層構造を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。
【0201】
トランジスタ500は、チャネル形成領域を含む酸化物530に、酸化物半導体として機能する金属酸化物を用いることが好ましい。例えば、酸化物530として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウムなどから選ばれた一種、又は複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。酸化物530として適用できるIn-M-Zn酸化物として、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造を有するCAAC(c-axis-aligned crystalline)-OS(oxide semiconductor)や、CAC(cloud-aligned composite)-OSを用いることができる。また、酸化物530として、In-Ga酸化物、In-Zn酸化物を用いてもよい。
【0202】
また、酸化物530として例えば、キャリア濃度の低い金属酸化物を用いることが好ましい。金属酸化物のキャリア濃度を低くする場合においては、金属酸化物中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性という。なお、金属酸化物中の不純物としては、例えば、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0203】
特に、金属酸化物に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、金属酸化物中に酸素欠損(VO:oxygen vacancyともいう)を形成する場合がある。金属酸化物中のチャネル形成領域に酸素欠損が含まれていると、トランジスタはノーマリーオン特性となる場合がある。さらに、酸素欠損に水素が入った欠陥はドナーとして機能し、キャリアである電子が生成されることがある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成する場合がある。従って、水素が多く含まれている金属酸化物を用いたトランジスタは、ノーマリーオン特性となりやすい。また、金属酸化物中の酸素欠損に水素が入った場合、酸素欠損と水素とが結合しVOHを形成する場合がある。VOHはドナーとして機能し、キャリアである電子が生成されることがある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成する場合がある。従って、水素が多く含まれている金属酸化物を用いたトランジスタは、ノーマリーオン特性となりやすい。また、金属酸化物中の水素は、熱、電界などのストレスによって動きやすいため、金属酸化物に多くの水素が含まれると、トランジスタの信頼性が悪化する恐れもある。本発明の一態様においては、酸化物530中のVOHをできる限り低減し、高純度真性または実質的に高純度真性にすることが好ましい。このように、VOHが十分低減された金属酸化物を得るには、金属酸化物中の水分、水素などの不純物を除去すること(脱水、脱水素化処理と記載する場合がある。)と、金属酸化物に酸素を供給して酸素欠損を補填すること(加酸素化処理と記載する場合がある。)が重要である。VOHなどの不純物が十分に低減された金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0204】
酸素欠損に水素が入った欠陥は、金属酸化物のドナーとして機能しうる。しかしながら、当該欠陥を定量的に評価することは困難である。そこで、金属酸化物においては、ドナー濃度ではなく、キャリア濃度で評価される場合がある。よって、本明細書等では、金属酸化物のパラメータとして、ドナー濃度ではなく、電界が印加されない状態を想定したキャリア濃度を用いる場合がある。つまり、本明細書等に記載の「キャリア濃度」は、「ドナー濃度」と言い換えることができる場合がある。
【0205】
よって、酸化物530中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、金属酸化物において、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。水素などの不純物が十分に低減された金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0206】
また、チャネル形成領域の金属酸化物のキャリア濃度は、1×1018cm-3以下であることが好ましく、1×1017cm-3未満であることがより好ましく、1×1016cm-3未満であることがさらに好ましく、1×1013cm-3未満であることがさらに好ましく、1×1012cm-3未満であることがさらに好ましい。なお、チャネル形成領域の金属酸化物のキャリア濃度の下限値については、特に限定は無いが、例えば、1×10-9cm-3とすることができる。
【0207】
酸化物530においてチャネル形成領域として機能する金属酸化物は、バンドギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。このように、バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0208】
酸化物530は、酸化物530b下に酸化物530aを有することで、酸化物530aよりも下方に形成された構造物から、酸化物530bへの不純物の拡散を抑制することができる。また、酸化物530b上に酸化物530cを有することで、酸化物530cよりも上方に形成された構造物から、酸化物530bへの不純物の拡散を抑制することができる。
【0209】
なお、酸化物530は、各金属原子の原子数比が異なる酸化物により、積層構造を有することが好ましい。具体的には、酸化物530aに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、酸化物530bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物530aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物530bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物530bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物530aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物530cは、酸化物530a又は酸化物530bに用いることができる金属酸化物を、用いることができる。
【0210】
また、酸化物530a及び酸化物530cの伝導帯下端のエネルギーが、酸化物530bの伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。また、言い換えると、酸化物530a及び酸化物530cの電子親和力が、酸化物530bの電子親和力より小さいことが好ましい。
【0211】
ここで、酸化物530a、酸化物530b、及び酸化物530cの接合部において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、酸化物530a、酸化物530b、及び酸化物530cの接合部における伝導帯下端のエネルギー準位は、連続的に変化又は連続接合するともいうことができる。このようにするためには、酸化物530aと酸化物530bとの界面、及び酸化物530bと酸化物530cとの界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
【0212】
具体的には、酸化物530aと酸化物530b、酸化物530bと酸化物530cが、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物530bがIn-Ga-Zn酸化物の場合、酸化物530a及び酸化物530cとして、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、酸化ガリウムなどを用いるとよい。
【0213】
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物530bとなる。酸化物530a、酸化物530cを上述の構成とすることで、酸化物530aと酸化物530bとの界面、及び酸化物530bと酸化物530cとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ500は高いオン電流を得られる。
【0214】
酸化物530b上には、ソース電極、及びドレイン電極として機能する導電体542a、及び導電体542bが設けられる。導電体542a、及び導電体542bとしては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンから選ばれた金属元素、又は上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、又は、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。更に、窒化タンタルなどの金属窒化物膜は、水素又は酸素に対するバリア性があるため好ましい。
【0215】
また、
図16Aでは、導電体542a、及び導電体542bを単層構造として示したが、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、窒化タンタル膜とタングステン膜を積層するとよい。また、チタン膜とアルミニウム膜を積層してもよい。また、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造としてもよい。
【0216】
また、チタン膜又は窒化チタン膜と、そのチタン膜又は窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜又は銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜又は窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜又は窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜又は窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜又は銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜又は窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫又は酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
【0217】
また、
図16Aに示すように、酸化物530の、導電体542a(導電体542b)との界面とその近傍には、低抵抗領域として、領域543a、及び領域543bが形成される場合がある。このとき、領域543aはソース領域又はドレイン領域の一方として機能し、領域543bはソース領域又はドレイン領域の他方として機能する。また、領域543aと領域543bに挟まれる領域にチャネル形成領域が形成される。
【0218】
酸化物530と接するように上記導電体542a(導電体542b)を設けることで、領域543a(領域543b)の酸素濃度が低減する場合がある。また、領域543a(領域543b)に導電体542a(導電体542b)に含まれる金属と、酸化物530の成分とを含む金属化合物層が形成される場合がある。このような場合、領域543a(領域543b)のキャリア密度が増加し、領域543a(領域543b)は、低抵抗領域となる。
【0219】
また、上記導電体542a(導電体542b)と酸化物530が接することで、酸化物530中の酸素が電極へ拡散し、導電体が酸化する場合がある。導電体が酸化することで、導電体の導電率が低下する蓋然性が高い。なお、酸化物530中の酸素が導電体へ拡散することを、導電体が酸化物530中の酸素を吸収する、と言い換えることができる。
【0220】
また、酸化物530中の酸素が上記導電体542a(導電体542b)へ拡散することで、酸化物導電体との間に異層が形成される場合がある。当該異層は、上記導電体542a(導電体542b)よりも酸素を多く含むため、当該異層は絶縁性を有すると推定される。このとき、上記導電体542a(導電体542b)と、当該異層と、酸化物530との3層構造は、金属-絶縁体-半導体からなる3層構造とみなすことができ、MIS(Metal-Insulator-Semiconductor)構造と呼ぶ、またはMIS構造を主としたダイオード接合構造と呼ぶ場合がある。
【0221】
絶縁体544は、導電体542a、及び導電体542bを覆うように設けられ、導電体542a、及び導電体542bの酸化を抑制する。このとき、絶縁体544は、酸化物530の側面を覆い、絶縁体524と接するように設けられてもよい。
【0222】
絶縁体544として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、ネオジム、ランタン又は、マグネシウムなどから選ばれた一種、又は二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。また、絶縁体544として、窒化酸化シリコン又は窒化シリコンなども用いることができる。
【0223】
特に、絶縁体544として、アルミニウム、又はハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体である、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム、及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。特に、ハフニウムアルミネートは、酸化ハフニウム膜よりも、耐熱性が高い。そのため、後の工程での熱処理において、結晶化しにくいため好ましい。なお、導電体542a、及び導電体542bが耐酸化性を有する材料、又は、酸素を吸収しても著しく導電性が低下しない場合、絶縁体544は、必須の構成ではない。求めるトランジスタ特性により、適宜設計すればよい。
【0224】
絶縁体544を有することで、絶縁体580に含まれる水、及び水素などの不純物が酸化物530c、絶縁体550を介して、酸化物530bに拡散することを抑制することができる。また、絶縁体580が有する過剰酸素により、導電体560が酸化するのを抑制することができる。
【0225】
絶縁体550は、第1のゲート絶縁膜として機能する。絶縁体550は、酸化物530cの内側(上面、及び側面)に接して配置することが好ましい。絶縁体550は、上述した絶縁体524と同様に、過剰に酸素を含み、かつ加熱により酸素が放出される絶縁体を用いて形成することが好ましい。
【0226】
具体的には、過剰酸素を有する酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素、及び窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを用いることができる。特に、酸化シリコン、及び酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。
【0227】
加熱により酸素が放出される絶縁体を、絶縁体550として、酸化物530cの上面に接して設けることにより、絶縁体550から、酸化物530cを通じて、酸化物530bのチャネル形成領域に効果的に酸素を供給することができる。また、絶縁体524と同様に、絶縁体550中の水又は水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体550の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましい。
【0228】
また、絶縁体550が有する過剰酸素を、効率的に酸化物530へ供給するために、絶縁体550と導電体560との間に金属酸化物を設けてもよい。当該金属酸化物は、絶縁体550から導電体560への酸素拡散を抑制することが好ましい。酸素の拡散を抑制する金属酸化物を設けることで、絶縁体550から導電体560への過剰酸素の拡散が抑制される。つまり、酸化物530へ供給する過剰酸素量の減少を抑制することができる。また、過剰酸素による導電体560の酸化を抑制することができる。当該金属酸化物としては、絶縁体544に用いることができる材料を用いればよい。
【0229】
なお、絶縁体550は、第2のゲート絶縁膜と同様に、積層構造としてもよい。トランジスタの微細化、及び高集積化が進むと、ゲート絶縁膜の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合があるため、ゲート絶縁膜として機能する絶縁体を、high-k材料と、熱的に安定している材料との積層構造とすることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。また、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。
【0230】
第1のゲート電極として機能する導電体560は、
図16Aおよび
図16Bでは2層構造として示しているが、単層構造でもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。
【0231】
導電体560aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。又は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。導電体560aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、絶縁体550に含まれる酸素により、導電体560bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、又は酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。また、導電体560aとして、酸化物530に適用できる酸化物半導体を用いることができる。その場合、導電体560bをスパッタリング法で成膜することで、導電体560aの電気抵抗値を低下させて導電体にすることができる。これをOC(Oxide Conductor)電極と呼ぶことができる。
【0232】
また、導電体560bは、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体560bは、配線としても機能するため、導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体560bは積層構造としてもよく、例えば、チタン又は窒化チタンと上記導電性材料との積層構造としてもよい。
【0233】
絶縁体580は、絶縁体544を介して、導電体542a、及び導電体542b上に設けられる。絶縁体580は、過剰酸素領域を有することが好ましい。例えば、絶縁体580として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素、及び窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、又は樹脂などを有することが好ましい。特に、酸化シリコン、及び酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。特に、酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンは、後の工程で、容易に過剰酸素領域を形成することができるため好ましい。
【0234】
絶縁体580は、過剰酸素領域を有することが好ましい。加熱により酸素が放出される絶縁体580を、酸化物530cと接して設けることで、絶縁体580中の酸素を、酸化物530cを通じて、酸化物530へと効率良く供給することができる。なお、絶縁体580中の水又は水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0235】
絶縁体580の開口は、導電体542aと導電体542bの間の領域に重畳して形成される。これにより、導電体560は、絶縁体580の開口、及び導電体542aと導電体542bに挟まれた領域に、埋め込まれるように形成される。
【0236】
半導体装置を微細化するに当たり、ゲート長を短くすることが求められるが、導電体560の導電性が下がらないようにする必要がある。そのために導電体560の膜厚を大きくすると、導電体560はアスペクト比が高い形状となりうる。本実施の形態では、導電体560を絶縁体580の開口に埋め込むように設けるため、導電体560をアスペクト比の高い形状にしても、工程中に導電体560を倒壊させることなく、形成することができる。
【0237】
絶縁体574は、絶縁体580の上面、導電体560の上面、及び絶縁体550の上面に接して設けられることが好ましい。絶縁体574をスパッタリング法で成膜することで、絶縁体550、及び絶縁体580へ過剰酸素領域を設けることができる。これにより、当該過剰酸素領域から、酸化物530中に酸素を供給することができる。
【0238】
例えば、絶縁体574として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、又はマグネシウムなどから選ばれた一種、又は二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。
【0239】
特に、酸化アルミニウムはバリア性が高く、0.5nm以上3.0nm以下の薄膜であっても、水素、及び窒素の拡散を抑制することができる。したがって、スパッタリング法で成膜した酸化アルミニウムは、酸素供給源であるとともに、水素などの不純物のバリア膜としての機能も有することができる。
【0240】
なお、トランジスタ500の形成後、トランジスタ500を囲むように開口を形成し、当該開口を覆うように、水素、または水に対するバリア性が高い絶縁体を形成してもよい。上述のバリア性の高い絶縁体でトランジスタ500を包み込むことで、外部から水分、および水素が侵入するのを防止することができる。または、複数のトランジスタ500をまとめて、水素、または水に対するバリア性が高い絶縁体で包み込んでもよい。なお、トランジスタ500を囲むように開口を形成する場合、例えば、絶縁体514または絶縁体522に達する開口を形成し、絶縁体514または絶縁体522に接するように上述のバリア性の高い絶縁体を形成すると、トランジスタ500の作製工程の一部を兼ねられるため、好適である。なお、水素、または水に対するバリア性が高い絶縁体としては、例えば、絶縁体522と同様の材料を用いればよい。
【0241】
また、絶縁体574の上に、層間膜として機能する絶縁体581を設けることが好ましい。絶縁体581は、絶縁体524などと同様に、膜中の水又は水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0242】
また、絶縁体581、絶縁体574、絶縁体580、及び絶縁体544に形成された開口に、導電体540a、及び導電体540bを配置する。導電体540a及び導電体540bは、導電体560を挟んで対向して設ける。導電体540a及び導電体540bは、後述する導電体546、及び導電体548と同様の構成である。
【0243】
絶縁体581上には、絶縁体582が設けられている。絶縁体582は、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。したがって、絶縁体582には、絶縁体514と同様の材料を用いることができる。例えば、絶縁体582には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
【0244】
特に、酸化アルミニウムは、酸素、及びトランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中及び作製後において、水素、水分などの不純物のトランジスタ500への混入を防止することができる。また、トランジスタ500を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタ500に対する保護膜として用いることに適している。
【0245】
また、絶縁体582上には、絶縁体586が設けられている。絶縁体586は、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、これらの絶縁体に、比較的誘電率が低い材料を適用することで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体586として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
【0246】
また、絶縁体520、絶縁体522、絶縁体524、絶縁体544、絶縁体580、絶縁体574、絶縁体581、絶縁体582、及び絶縁体586には、導電体546、及び導電体548等が埋め込まれている。
【0247】
導電体546、及び導電体548は、容量素子600、トランジスタ500、又はトランジスタ300と接続するプラグ、又は配線としての機能を有する。導電体546、及び導電体548は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0248】
続いて、トランジスタ500の上方には、容量素子600が設けられている。容量素子600は、導電体610と、導電体620、絶縁体630とを有する。
【0249】
また、導電体546、及び導電体548上に、導電体612を設けてもよい。導電体612は、トランジスタ500と接続するプラグ、又は配線としての機能を有する。導電体610は、容量素子600の電極としての機能を有する。なお、導電体612、及び導電体610は、同時に形成することができる。
【0250】
導電体612、及び導電体610には、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素を含む金属膜、又は上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化タンタル膜、窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。又は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を適用することもできる。
【0251】
図14では、導電体612、及び導電体610は単層構造を示したが、当該構成に限定されず、2層以上の積層構造でもよい。例えば、バリア性を有する導電体と導電性が高い導電体との間に、バリア性を有する導電体、及び導電性が高い導電体に対して密着性が高い導電体を形成してもよい。
【0252】
絶縁体630を介して、導電体610と重畳するように、導電体620を設ける。なお、導電体620は、金属材料、合金材料、又は金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが好ましい。また、導電体などの他の構造と同時に形成する場合は、低抵抗金属材料であるCu(銅)やAl(アルミニウム)等を用いればよい。
【0253】
導電体620、及び絶縁体630上には、絶縁体640が設けられている。絶縁体640は、絶縁体320と同様の材料を用いて設けることができる。また、絶縁体640は、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。
【0254】
本構造を用いることで、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、電気特性の変動を抑制するとともに、信頼性を向上させることができる。又は、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた電池制御回路において、微細化又は高集積化を図ることができる。
【0255】
以下に、本発明の一態様のOSトランジスタを用いたメモリについて説明する。
【0256】
本発明の一態様が有する蓄電装置は、メモリを有することが好ましい。メモリとして、OSトランジスタを用いたメモリ装置を適用することができる。例えば、以下に説明するNOSRAM(登録商標)、DOSRAM(登録商標)等を適用することができる。
【0257】
NOSRAMとは、メモリセルの書き込みトランジスタがOSトランジスタで構成されているゲインセル型DRAMのことである。NOSRAMはNonvolatile Oxide Semiconductor RAMの略称である。以下にNOSRAMの構成例を示す。
【0258】
<NOSRAM>
図17AはNOSRAMの構成例を示すブロック図である。NOSRAM240には、パワードメイン242、243、パワースイッチ245乃至247が設けられている。パワードメイン242には、メモリセルアレイ250が設けられ、パワードメイン243にはNOSRAM240の周辺回路が設けられている。周辺回路は、制御回路251、行回路252、列回路253を有する。
【0259】
外部からNOSRAM240に電圧VDDD、VSSS、VDHW、VDHR、VBG2、クロック信号GCLK2、アドレス信号、信号CE、WE、PSE5が入力される。信号CE、WEはチップイネーブル信号、書き込みイネーブル信号である。信号PSE5は、パワースイッチ245乃至247のオンオフを制御する。パワースイッチ245乃至247は、パワードメイン243への電圧VDDD、VDHW、VDHRの入力をそれぞれ制御する。
【0260】
なお、NOSRAM240に入力される電圧、信号等は、NOSRAM240の回路構成、動作方法に応じて適宜取捨される。例えば、NOSRAM240にパワーゲーティングされないパワードメインを設け、信号PSE5を生成するパワーゲーティング制御回路を設けてもよい。
【0261】
メモリセルアレイ250は、メモリセル10、書込みワード線WWL、読出しワード線RWL、書込みビット線WBL、読出しビット線RBL、ソース線SLを有する。
【0262】
図17Bに示すように、メモリセル10は2T1C(2トランジスタ1容量)型のゲインセルであり、ノードSN1、トランジスタM1、M2、容量素子C1を有する。トランジスタM1は書き込みトランジスタであり、バックゲートを有するOSトランジスタである。トランジスタM1のバックゲートは、電圧VBG2を供給する配線BGL2に電気的に接続されている。トランジスタM2は読出しトランジスタであり、pチャネル型Siトランジスタである。容量素子C1はノードSN1の電圧を保持する保持容量である。
【0263】
電圧VDDD、VSSSはデータ“1”、“0”を表す電圧である。なお、書込みワード線WWL、RWLの高レベル電圧は、VDHW、VHDRである。
【0264】
図18Aにメモリセルアレイ250の構成例を示す。
図18Aに示すメモリセルアレイ250では、隣接する2行で1本のソース線が供給されている。
【0265】
メモリセル10は原理的に書き換え回数に制限はなく、データの書き換えを低エネルギーで行え、データの保持に電力を消費しない。トランジスタM1が極小オフ電流のOSトランジスタであるため、メモリセル10は長時間データを保持することが可能である。よって、NOSRAM240で、キャッシュメモリ装置202、202で構成することで、キャッシュメモリ装置202、203を、不揮発性の低消費電力なメモリ装置とすることができる。
【0266】
メモリセル10の回路構成は、
図17Bの回路構成に限定されない。例えば、読出しトランジスタM2は、バックゲートを有するOSトランジスタ、またはnチャネル型Siトランジスタでもよい。或いは、メモリセル10は3T型ゲインセルでもよい。例えば、
図18B、
図18Cに3T型ゲインセルの例を示す。
図18Bに示すメモリセル15は、トランジスタM3乃至M5、容量素子C3、ノードSN3を有する。トランジスタM3乃至M5は、それぞれ書込みトランジスタ、読出しトランジスタ、選択トランジスタである。トランジスタM3はバックゲートを有するOSトランジスタであり、トランジスタM4、M5はpチャネル型Siトランジスタである。トランジスタM4、M5を、nチャネル型Siトランジスタまたはバックゲートを有するOSトランジスタで構成してもよい。
図18Cに示すメモリセル16では、3個のトランジスタはバックゲートを有するOSトランジスタで構成されている。
【0267】
ノードSN3は保持ノードである。容量素子C3はノードSN3の電圧を保持するための保持容量である。容量素子C3を意図的に設けず、トランジスタM4のゲート容量などで保持容量を構成してもよい。配線PDLには固定電圧(例えば、VDDD)が入力される。配線PDLはソース線SLに代わる配線であり、例えば、電圧VDDDが入力される。
【0268】
制御回路251は、NOSRAM240の動作全般を制御する機能を有する。例えば、制御回路251は、信号CE、WEを論理演算して、外部からのアクセスが書き込みアクセスであるか読み出しアクセスであるかを判断する。
【0269】
行回路252は、アドレス信号が指定する選択された行の書込みワード線WWL、読出しワード線を選択する機能をもつ。列回路253は、アドレス信号が指定する列の書込みビット線にデータを書き込む機能、および当該列の読出しビット線WBLからデータを読み出す機能をもつ。
【0270】
<DOSRAM>
DOSRAMとは、1T1C型のメモリセルを有するRAMのことであり、Dynamic Oxide Semiconductor RAMの略称である。以下、
図19Aおよび
図19Bを参照して、DOSRAMについて説明する。
【0271】
図19Aに示すように、DOSRAM351のメモリセル16は、ビット線BL(またはBLB)、ワード線WL、配線BGL6、PLに電気的に接続される。ビット線BLBは、反転ビット線である。例えば、配線BGL6、PLには、電圧VBG6、VSSSが入力される。メモリセル16は、トランジスタM6、および容量素子C6を有する。トランジスタM6はバックゲートを有するOSトランジスタである。
【0272】
容量素子C6の充放電によってデータを書き換えるため、DOSRAM351には原理的には書き換え回数に制約はなく、かつ、低エネルギーで、データの書き込みおよび読み出しが可能である。また、メモリセル16の回路構成が単純であるため、大容量化が容易である。メモリセル16の書込みトランジスタがOSトランジスタであるので、DOSRAM351の保持時間はDRAMに比べて非常に長い。したがってリフレッシュの頻度を低減できる、あるいは、リフレッシュ動作を不要にすることができるため、リフレッシュ動作に要する電力を削減できる。
【0273】
図19Bに示すように、DOSRAM351において、メモリセルアレイ361は、周辺回路365上に積層することができる。これは、メモリセル16のトランジスタM6がOSトランジスタであるからである。
【0274】
メモリセルアレイ361には、複数のメモリセル16が行列状に配置され、メモリセル16の配列に応じて、ビット線BL、BLB、ワード線WL、配線BGL6、PLが設けられている。周辺回路365には、制御回路、行回路、列回路が設けられる。行回路は、アクセス対象のワード線WLの選択等を行う。列回路は、BLとBLBとでなるビット線対に対して、データの書き込みおよび読出し等を行う。
【0275】
周辺回路365をパワーゲーティングするために、パワースイッチ371、373が設けられている。パワースイッチ371、373は、周辺回路365への電圧VDDD、VDHW6の入力をそれぞれ制御する。なお、電圧VDHW6はワード線WLの高レベル電圧である。パワースイッチ371、373のオンオフは、信号PSE6で制御される。例えば、信号PSE6はPMU113で生成される。
【0276】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0277】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上述の実施の形態で説明し電池制御回路を電子部品とする例について、
図20Aおよび
図20Bを用いて説明する。
【0278】
図20Aでは上述の実施の形態で説明し電池制御回路を電子部品とする例について説明する。なお電子部品は、半導体パッケージ、又はIC用パッケージともいう。この電子部品は、端子取り出し方向や、端子の形状に応じて、複数の規格や名称が存在する。そこで、本実施の形態では、その一例について説明することにする。
【0279】
OSトランジスタやSiトランジスタで構成される回路部は、組み立て工程(後工程)を経て、プリント基板に脱着可能な部品が複数合わさることで完成する。
【0280】
後工程については、
図20Aに示す各工程を経ることで完成させることができる。具体的には、前工程で得られる素子基板が完成(ステップS1)した後、基板の裏面を研削する(ステップS2)。この段階で基板を薄膜化することで、前工程での基板の反り等を低減し、部品としての小型化を図るためである。
【0281】
基板の裏面を研削して、基板を複数のチップに分離するダイシング工程を行う。そして、分離したチップを個々にピックアップしてリードフレーム上に搭載し接合する、ダイボンディング工程を行う(ステップS3)。このダイボンディング工程におけるチップとリードフレームとの接着は、樹脂による接着や、テープによる接着等、適宜製品に応じて適した方法を選択する。なお、ダイボンディング工程は、インターポーザ上に搭載し接合してもよい。
【0282】
次いでリードフレームのリードとチップ上の電極とを、金属の細線(ワイヤー)で電気的に接続する、ワイヤーボンディングを行う(ステップS4)。金属の細線には、銀線や金線を用いることができる。また、ワイヤーボンディングは、ボールボンディングや、ウェッジボンディングを用いることができる。
【0283】
ワイヤーボンディングされたチップは、エポキシ樹脂等で封止される、モールド工程が施される(ステップS5)。モールド工程を行うことで電子部品の内部が樹脂で充填され、機械的な外力による内蔵される回路部やワイヤーに対するダメージを低減することができ、また水分や埃による特性の劣化を低減することができる。
【0284】
次いでリードフレームのリードをメッキ処理する。そしてリードを切断及び成形加工する(ステップS6)。このめっき処理によりリードの錆を防止し、後にプリント基板に実装する際のはんだ付けをより確実に行うことができる。
【0285】
次いでパッケージの表面に印字処理(マーキング)を施す(ステップS7)。そして最終的な検査工程(ステップS8)を経てPLDを含む回路部を有する電子部品が完成する(ステップS9)。
【0286】
また、完成した電子部品の斜視模式図を
図20Bに示す。
図20Bでは、電子部品の一例として、QFP(Quad Flat Package)の斜視模式図を示している。
図20Bに示す電子部品700は、リード701及び回路部703を示している。
図20Bに示す電子部品700は、例えばプリント基板702に実装される。このような電子部品700が複数組み合わされて、それぞれがプリント基板702上で電気的に接続されることで電気機器の内部に搭載することができる。完成した回路基板704は、電気機器等の内部に設けられる。
【0287】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した電池制御回路を備えた電子部品を適用可能な蓄電装置および蓄電システムの構成について説明する。
【0288】
[円筒型二次電池]
円筒型の二次電池の例について
図21Aを参照して説明する。円筒型の二次電池400は、
図21Aに示すように、上面に正極キャップ(電池蓋)401を有し、側面及び底面に電池缶(外装缶)402を有している。これら正極キャップ401と電池缶(外装缶)402とは、ガスケット(絶縁パッキン)410によって絶縁されている。
【0289】
図21Bは、円筒型の二次電池の断面を模式的に示した図である。
図21Bに示す円筒型の二次電池は、上面に正極キャップ(電池蓋)601を有し、側面および底面に電池缶(外装缶)602を有している。これら正極キャップと電池缶(外装缶)602とは、ガスケット(絶縁パッキン)610によって絶縁されている。
【0290】
中空円柱状の電池缶602の内側には、帯状の正極604と負極606とがセパレータ605を間に挟んで捲回された電池素子が設けられている。図示しないが、電池素子はセンターピンを中心に捲回されている。電池缶602は、一端が閉じられ、他端が開いている。電池缶602には、電解液に対して耐腐食性のあるニッケル、アルミニウム、チタン等の金属、又はこれらの合金やこれらと他の金属との合金(例えば、ステンレス鋼等)を用いることができる。また、電解液による腐食を防ぐため、ニッケルやアルミニウム等を電池缶602に被覆することが好ましい。電池缶602の内側において、正極、負極およびセパレータが捲回された電池素子は、対向する一対の絶縁板608、609により挟まれている。また、電池素子が設けられた電池缶602の内部は、非水電解液(図示せず)が注入されている。非水電解液は、コイン型の二次電池と同様のものを用いることができる。
【0291】
円筒型の蓄電池に用いる正極および負極は捲回するため、集電体の両面に活物質を形成することが好ましい。正極604には正極端子(正極集電リード)603が接続され、負極606には負極端子(負極集電リード)607が接続される。正極端子603および負極端子607は、ともにアルミニウムなどの金属材料を用いることができる。正極端子603は安全弁機構613に、負極端子607は電池缶602の底にそれぞれ抵抗溶接される。安全弁機構613は、PTC(Positive Temperature Coefficient)素子611を介して正極キャップ601と電気的に接続されている。安全弁機構613は電池の内圧の上昇が所定の閾値を超えた場合に、正極キャップ601と正極604との電気的な接続を切断するものである。また、PTC素子611は温度が上昇した場合に抵抗が増大する熱感抵抗素子であり、抵抗の増大により電流量を制限して異常発熱を防止するものである。PTC素子には、チタン酸バリウム(BaTiO3)系半導体セラミックス等を用いることができる。
【0292】
図21Cは蓄電システム415の一例を示す。蓄電システム415は複数の二次電池400を有する。それぞれの二次電池の正極は、絶縁体425で分離された導電体424に接触し、電気的に接続されている。導電体424は配線423を介して、制御回路420に電気的に接続されている。また、それぞれの二次電池の負極は、配線426を介して制御回路420に電気的に接続されている。制御回路420として、先の実施の形態にて述べた電池制御回路を用いることができる。
【0293】
図21Dは、蓄電システム415の一例を示す。蓄電システム415は複数の二次電池400を有し、複数の二次電池400は、導電板413及び導電板414の間に挟まれている。複数の二次電池400は、配線416により導電板413及び導電板414と電気的に接続される。複数の二次電池400は、並列接続されていてもよいし、直列接続されていてもよいし、並列に接続された後さらに直列に接続されていてもよい。複数の二次電池400を有する蓄電システム415を構成することで、大きな電力を取り出すことができる。
【0294】
複数の二次電池400の間に温度制御装置を有していてもよい。二次電池400が過熱されたときは、温度制御装置により冷却し、二次電池400が冷えすぎているときは温度制御装置により加熱することができる。そのため蓄電システム415の性能が外気温に影響されにくくなる。
【0295】
また、
図21Dにおいて、蓄電システム415は制御回路420に配線421及び配線422を介して電気的に接続されている。制御回路420として、先の実施の形態にて述べた電池制御回路を用いることができる。配線421は導電板413を介して複数の二次電池400の正極に、配線422は導電板414を介して複数の二次電池400の負極に、それぞれ電気的に接続される。
【0296】
【0297】
図22Aは、二次電池パック531の外観を示す図である。
図22Bは二次電池パック531の構成を説明する図である。二次電池パック531は、回路基板501と、二次電池513と、を有する。二次電池513には、ラベル509が貼られている。回路基板501は、シール515により固定されている。また、二次電池パック531は、アンテナ517を有する。
【0298】
回路基板501は制御回路590を有する。制御回路590は、先の実施の形態に示す電池制御回路を用いることができる。例えば、
図22Bに示すように、回路基板501上に、制御回路590を有する。また、回路基板501は、端子511と電気的に接続されている。また回路基板501は、アンテナ517、二次電池513の正極リード及び負極リードの一方551、正極リード及び負極リードの他方552と電気的に接続される。
【0299】
あるいは、
図22Cに示すように、二次電池パックシステムは、回路基板501上に設けられる回路システム590aと、端子511を介して回路基板501に電気的に接続される回路システム590bと、を有してもよい。例えば、本発明の一態様の制御回路の一部分が回路システム590aに、他の一部分が回路システム590bに、それぞれ設けられる。
【0300】
なお、アンテナ517はコイル状に限定されず、例えば線状、板状であってもよい。また、平面アンテナ、開口面アンテナ、進行波アンテナ、EHアンテナ、磁界アンテナ、誘電体アンテナ等のアンテナを用いてもよい。又は、アンテナ517は、平板状の導体でもよい。この平板状の導体は、電界結合用の導体の一つとして機能することができる。つまり、コンデンサの有する2つの導体のうちの一つの導体として、アンテナ517を機能させてもよい。これにより、電磁界、磁界だけでなく、電界で電力のやり取りを行うこともできる。
【0301】
二次電池パック531は、アンテナ517と、二次電池513との間に層519を有する。層519は、例えば二次電池513による電磁界を遮蔽することができる機能を有する。層519としては、例えば磁性体を用いることができる。
【0302】
二次電池513は、捲回された電池素子を有してもよい。該電池素子は、負極と、正極と、セパレータと、を有する。該電池素子は例えば、セパレータを挟んで負極と、正極とが重なり合って積層され、該積層シートを捲回したものである。
【0303】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0304】
(実施の形態5)
本実施の形態では、車両に本発明の一態様である蓄電システムを搭載する例を示す。車両として例えば自動車、二輪車、自転車、等が挙げられる。
【0305】
蓄電システムを車両に搭載すると、ハイブリッド車(HEV)、電気自動車(EV)、又はプラグインハイブリッド車(PHEV)等の次世代クリーンエネルギー自動車を実現できる。
【0306】
図23A、
図23Bおよび
図23Cにおいて、本発明の一態様である蓄電システムを用いた車両を例示する。
図23Aに示す自動車8400は、走行のための動力源として電気モーターを用いる電気自動車である。または、走行のための動力源として電気モーターとエンジンを適宜選択して用いることが可能なハイブリッド自動車である。本発明の一態様を用いることで、航続距離の長い車両を実現することができる。自動車8400は蓄電システムを有する。蓄電システムは電気モーター8406を駆動するだけでなく、ヘッドライト8401やルームライト(図示せず)などの発光装置に電力を供給することができる。
【0307】
また、蓄電システムは、自動車8400が有するスピードメーター、タコメーターなどの表示装置に電力を供給することができる。また、蓄電システムは、自動車8400が有するナビゲーションシステムなどに電力を供給することができる。
【0308】
図23Bに示す自動車8500は、自動車8500が有する蓄電システム8024にプラグイン方式や非接触給電方式等により外部の充電設備から電力供給を受けて、充電することができる。
図23Bに、地上設置型の充電装置8021から自動車8500に搭載された蓄電システム8024に、ケーブル8022を介して充電を行っている状態を示す。充電に際しては、充電方法やコネクターの規格等はCHAdeMO(登録商標)やコンボ等の所定の方式で適宜行えばよい。充電装置8021は、商用施設に設けられた充電ステーションでもよく、また家庭の電源であってもよい。例えば、プラグイン技術によって、外部からの電力供給により自動車8500に搭載された蓄電システム8024を充電することができる。充電は、ACDCコンバータ等の変換装置を介して、交流電力を直流電力に変換して行うことができる。
【0309】
また、図示しないが、受電装置を車両に搭載し、地上の送電装置から電力を非接触で供給して充電することもできる。この非接触給電方式の場合には、道路や外壁に送電装置を組み込むことで、停車中に限らず走行中に充電を行うこともできる。また、この非接触給電の方式を利用して、車両どうしで電力の送受信を行ってもよい。さらに、車両の外装部に太陽電池を設け、停車時や走行時に蓄電システムの充電を行ってもよい。このような非接触での電力の供給には、電磁誘導方式や磁界共鳴方式を用いることができる。
【0310】
また、
図23Cは、本発明の一態様の蓄電システムを用いた二輪車の一例である。
図23Cに示すスクータ8600は、蓄電システム8602、サイドミラー8601、方向指示灯8603を備える。蓄電システム8602は、方向指示灯8603に電気を供給することができる。
【0311】
また、
図23Cに示すスクータ8600は、座席下収納8604に、蓄電システム8602を収納することができる。蓄電システム8602は、座席下収納8604が小型であっても、座席下収納8604に収納することができる。
【0312】
また、
図24Aは、本発明の一態様の蓄電システムを用いた電動自転車の一例である。
図24Aに示す電動自転車8700に、本発明の一態様の蓄電システムを適用することができる。本発明の一態様の蓄電システムは例えば、複数の蓄電池と、保護回路と、ニューラルネットワークと、を有する。
【0313】
電動自転車8700は、蓄電システム8702を備える。蓄電システム8702は、運転者をアシストするモーターに電気を供給することができる。また、蓄電システム8702は、持ち運びができ、
図24Bに自転車から取り外した状態を示している。また、蓄電システム8702は、本発明の一態様の蓄電システムが有する蓄電池8701が複数内蔵されており、そのバッテリー残量などを表示部8703で表示できるようにしている。また蓄電システム8702は、本発明の一態様の制御回路8704を有する。制御回路8704は、蓄電池8701の正極及び負極と電気的に接続されている。制御回路8704として、先の実施の形態に示す電池制御回路を用いることができる。
【0314】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0315】
(実施の形態6)
本実施の形態では、先の実施の形態で示した蓄電システムを電子機器に実装する例を説明する。
【0316】
次に、
図25Aおよび
図25Bに、2つ折り可能なタブレット型端末(クラムシェル型端末も含む)の一例を示す。
図25Aおよび
図25Bに示すタブレット型端末9600は、筐体9630a、筐体9630b、筐体9630aと筐体9630bを接続する可動部9640、表示部9631、表示モード切り替えスイッチ9626、電源スイッチ9627、省電力モード切り替えスイッチ9625、留め具9629、操作スイッチ9628、を有する。表示部9631には、可撓性を有するパネルを用いることで、より広い表示部を有するタブレット端末とすることができる。
図25Aは、タブレット型端末9600を開いた状態を示し、
図25Bは、タブレット型端末9600を閉じた状態を示している。
【0317】
また、タブレット型端末9600は、筐体9630a及び筐体9630bの内部に蓄電体9635を有する。蓄電体9635は、可動部9640を通り、筐体9630aと筐体9630bに渡って設けられている。
【0318】
表示部9631は、一部をタッチパネルの領域とすることができ、表示された操作キーにふれることでデータ入力をすることができる。また、タッチパネルのキーボード表示切り替えボタンが表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで表示部9631にキーボードボタン表示することができる。
【0319】
また、表示モード切り替えスイッチ9626は、縦表示又は横表示などの表示の向きを切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイッチ9625は、タブレット型端末9600に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内蔵させてもよい。
【0320】
図25Bは、タブレット型端末9600が閉じた状態であり、タブレット型端末9600は、筐体9630、太陽電池9633、及び本発明の一態様の蓄電システムを有する。蓄電システムは、制御回路9634と、蓄電体9635と、を有する。制御回路9634については、先の実施の形態に示す電池制御回路を用いることができる。
【0321】
なお、タブレット型端末9600は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630a及び筐体9630bを重ね合せるように折りたたむことができる。折りたたむことにより、表示部9631を保護できるため、タブレット型端末9600の耐久性を高めることができる。
【0322】
また、この他にも
図25Aおよび
図25Bに示したタブレット型端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
【0323】
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、表示部、又は映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐体9630の片面又は両面に設けることができ、蓄電体9635の充電を効率的に行う構成とすることができる。
【0324】
なお
図25Aおよび
図25Bでは、2つ折り可能なタブレット型端末に先の実施の形態に示す電池制御回路を用いた制御回路を適用する構成について説明したが、他の構成でもよい。例えば、
図25Cに図示するように、クラムシェル型端末であるノート型パーソナルコンピュータへの適用も可能である。
図25Cでは、筐体9630aに表示部9631、筐体9630bにキーボード部9636を備えたノート型パーソナルコンピュータ9601を図示している。ノート型パーソナルコンピュータ9601内には、
図25Aおよび
図25Bで説明した制御回路9634と、蓄電体9635と、を有する。制御回路9634については、先の実施の形態に示す電池制御回路を用いることができる。
【0325】
図26に、他の電子機器の例を示す。
図26において、表示装置8000は、本発明の一態様の蓄電システムを実装する電子機器の一例である。具体的に、表示装置8000は、TV放送受信用の表示装置に相当し、筐体8001、表示部8002、スピーカ部8003、二次電池8004等を有する。本発明の一態様に係る検出システムは、筐体8001の内部に設けられている。表示装置8000は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8004に蓄積された電力を用いることもできる。
【0326】
表示部8002には、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emission Display)などの、半導体表示装置を用いることができる。
【0327】
また、音声入力デバイス8005も二次電池を用いる。音声入力デバイス8005は、先の実施の形態に示す蓄電システムを有する。音声入力デバイス8005は、無線通信素子の他、マイクを含むセンサ(光学センサ、温度センサ、湿度センサ、気圧センサ、照度センサ、モーションセンサなど)を複数有し、使用者の命令する言葉によって他のデバイスを操作することができ、例えば表示装置8000の電源操作、照明装置8100の光量調節などを行うことができる。音声入力デバイス8005は音声で周辺機器の操作が行え、手動リモコンの代わりとなる。
【0328】
また、音声入力デバイス8005は、車輪や機械式移動手段を有しており、使用者の発声が聞こえる方向に移動し、内蔵されているマイクで正確に命令を聞き取るとともに、その内容を表示部8008に表示する、または表示部8008のタッチ入力操作が行える構成としている。
【0329】
また、音声入力デバイス8005は、スマートフォンなどの携帯情報端末8009の充電ドックとしても機能させることができる。携帯情報端末8009と音声入力デバイス8005は、有線または無線で電力の授受を可能としている。携帯情報端末8009は、室内においては、特に持ち運ぶ必要がなく、必要な容量を確保しつつ、二次電池に負荷がかかり劣化することを回避したいため、音声入力デバイス8005によって二次電池の管理、メンテナンスなどを行えることが望ましい。また、音声入力デバイス8005はスピーカ8007及びマイクを有しているため、携帯情報端末8009が充電中であってもハンズフリーで会話することもできる。また、音声入力デバイス8005の二次電池の容量が低下すれば、矢印の方向に移動し、外部電源と接続された充電モジュール8010から無線充電によって充電を行えばよい。
【0330】
また、音声入力デバイス8005を台に載せてもよい。また、音声入力デバイス8005を車輪や機械式移動手段を設けて所望の位置に移動させてもよく、或いは台や車輪を設けず、音声入力デバイス8005を所望の位置、例えば床の上などに固定してもよい。
【0331】
なお、表示装置には、TV放送受信用の他、パーソナルコンピュータ用、広告表示用など、全ての情報表示用表示装置が含まれる。
【0332】
図26において、据え付け型の照明装置8100は、充電を制御するマイクロプロセッサ(APSを含む)で制御される二次電池8103を用いた電子機器の一例である。具体的に、照明装置8100は、筐体8101、光源8102、二次電池8103等を有する。
図26では、二次電池8103が、筐体8101及び光源8102が据え付けられた天井8104の内部に設けられている場合を例示しているが、二次電池8103は、筐体8101の内部に設けられていても良い。照明装置8100は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8103に蓄積された電力を用いることもできる。
【0333】
なお、
図26では天井8104に設けられた据え付け型の照明装置8100を例示しているが、二次電池8103は、天井8104以外、例えば側壁8105、床8106、窓8107等に設けられた据え付け型の照明装置に用いることもできるし、卓上型の照明装置などに用いることもできる。
【0334】
また、光源8102には、電力を利用して人工的に光を得る人工光源を用いることができる。具体的には、白熱電球、蛍光灯などの放電ランプ、LEDや有機EL素子などの発光素子が、上記人工光源の一例として挙げられる。
【0335】
図26において、室内機8200及び室外機8204を有するエアコンディショナーは、二次電池8203を用いた電子機器の一例である。具体的に、室内機8200は、筐体8201、送風口8202、二次電池8203等を有する。
図26では、二次電池8203が、室内機8200に設けられている場合を例示しているが、二次電池8203は室外機8204に設けられていても良い。或いは、室内機8200と室外機8204の両方に、二次電池8203が設けられていても良い。エアコンディショナーは、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8203に蓄積された電力を用いることもできる。
【0336】
図26において、電気冷凍冷蔵庫8300は、二次電池8304を用いた電子機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫8300は、筐体8301、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303、二次電池8304等を有する。
図26では、二次電池8304が、筐体8301の内部に設けられている。電気冷凍冷蔵庫8300は、商用電源から電力の供給を受けることもできるし、二次電池8304に蓄積された電力を用いることもできる。
【0337】
また、電子機器が使用されない時間帯、特に、商用電源の供給元が供給可能な総電力量のうち、実際に使用される電力量の割合(電力使用率と呼ぶ)が低い時間帯において、二次電池に電力を蓄えておくことで、上記時間帯以外において電力使用率が高まるのを抑えることができる。例えば、電気冷凍冷蔵庫8300の場合、気温が低く、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303の開閉が行われない夜間において、二次電池8304に電力を蓄える。そして、気温が高くなり、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303の開閉が行われる昼間において、二次電池8304を補助電源として用いることで、昼間の電力使用率を低く抑えることができる。
【0338】
上述の電子機器の他、二次電池はあらゆる電子機器に搭載することができる。本発明の一態様により、二次電池のサイクル特性が良好となる。そのため、本発明の一態様である充電を制御するマイクロプロセッサ(APSを含む)を本実施の形態で説明した電子機器に搭載することで、より長寿命の電子機器とすることができる。本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0339】
本発明の一態様の蓄電システムを電子機器に実装する例を
図27A乃至
図27Eに示す。本発明の一態様の蓄電システムを適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0340】
図27Aは、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、本発明の一態様の蓄電システムを有する。本発明の一態様の蓄電システムは例えば、蓄電池7407と、先の実施の形態に示す電池制御回路と、を有する。
【0341】
図27Bは、携帯電話機7400を湾曲させた状態を示している。携帯電話機7400を外部の力により変形させて全体を湾曲させると、その内部に設けられている蓄電池7407も湾曲される場合がある。このような場合には、蓄電池7407として、可撓性を有する蓄電池を用いることが好ましい。可撓性を有する蓄電池の曲げられた状態を
図27Cに示す。蓄電池には制御回路7408が電気的に接続されている。制御回路7408として、先の実施の形態に示す電池制御回路を用いることができる。
【0342】
また、フレキシブルな形状を備える蓄電池を、家屋やビルの内壁または外壁や、自動車の内装または外装の曲面に沿って組み込むことも可能である。
【0343】
図27Dは、バングル型の表示装置の一例を示している。携帯表示装置7100は、筐体7101、表示部7102、操作ボタン7103、及び本発明の一態様の蓄電システムを有する。本発明の一態様の蓄電システムは例えば、蓄電池7104と、先の実施の形態に示す電池制御回路と、を有する。
【0344】
図27Eは、腕時計型の携帯情報端末の一例を示している。携帯情報端末7200は、筐体7201、表示部7202、バンド7203、バックル7204、操作ボタン7205、入出力端子7206などを備える。
【0345】
携帯情報端末7200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。
【0346】
表示部7202はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、表示部7202はタッチセンサを備え、指やスタイラスなどで画面に触れることで操作することができる。例えば、表示部7202に表示されたアイコン7207に触れることで、アプリケーションを起動することができる。
【0347】
操作ボタン7205は、時刻設定のほか、電源のオン、オフ動作、無線通信のオン、オフ動作、マナーモードの実行及び解除、省電力モードの実行及び解除など、様々な機能を持たせることができる。例えば、携帯情報端末7200に組み込まれたオペレーティングシステムにより、操作ボタン7205の機能を自由に設定することもできる。
【0348】
また、携帯情報端末7200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。
【0349】
また、携帯情報端末7200は入出力端子7206を備え、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また入出力端子7206を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は入出力端子7206を介さずに無線給電により行ってもよい。
【0350】
携帯情報端末7200は、本発明の一態様の蓄電システムを有する。該蓄電システムは、蓄電池と、先の実施の形態に示す電池制御回路と、を有する。
【0351】
携帯情報端末7200はセンサを有することが好ましい。センサとして例えば、指紋センサ、脈拍センサ、体温センサ等の人体センサや、タッチセンサ、加圧センサ、加速度センサ、等が搭載されることが好ましい。
【0352】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0353】
(実施の形態7)
本実施の形態では、OSトランジスタを用いることができる市場イメージについて説明する。
【0354】
<市場イメージ>
まず、OSトランジスタを用いることができる市場イメージを
図28に示す。
図28において、領域801は、OSトランジスタを用いたディスプレイ(Display)に応用可能な製品領域(OS Display)を表し、領域802は、OSトランジスタを用いたLSI(Large Scale Integration)をアナログ(analog)処理に応用可能な製品領域(OS LSI analog)を表し、領域803は、OSトランジスタを用いたLSIをデジタル(digital)処理に応用可能な製品領域(OS LSI digital)を表す。OSトランジスタは、
図28に示す領域801、領域802、および領域803の3つの領域、別言すると3つの大きな市場に好適に用いることができる。
【0355】
また、
図28において、領域804は、領域801と、領域802とが重なった領域を表し、領域805は、領域802と、領域803とが重なった領域を表し、領域806は、領域801と、領域803とが重なった領域を表し、領域807は、領域801と、領域802と、領域803とが、それぞれ重なった領域を表す。
【0356】
OS Displayでは、例えば、Bottom Gate型のOS FET(BG OSFET)、Top Gate型のOS FET(TG OS FET)などのFET構造を好適に用いることができる。なお、Bottom Gate型のOS FETには、チャネルエッチ型のFET、およびチャネル保護型のFETも含まれる。また、Top Gate型のOS FETには、TGSA(Top Gate Self-Aligned)型のFETも含まれる。
【0357】
また、OS LSI analogおよびOS LSI digitalでは、例えば、Gate Last型のOS FET(GL OS FET)を好適に用いることができる。
【0358】
なお、上述のトランジスタは、それぞれ、ゲート電極が1つのSingle Gate構造のトランジスタ、ゲート電極が2つのDual Gate構造のトランジスタ、またはゲート電極が3つ以上のトランジスタを含む。また、Dual Gate構造のトランジスタの中でも特に、S-channel(surrounded channel)構造のトランジスタを用いると好適である。
【0359】
また、OS Display(領域801)に含まれる製品としては、LCD(liquid crystal display)、EL(Electro Luminescence)、およびLED(Light Emitting Diode)を表示デバイスに有する製品が挙げられる。または、上記表示デバイスと、Q-Dot(Quantum Dot)とを組み合わせることも好適である。
【0360】
なお、本実施の形態において、ELとは、有機EL、および無機ELを含む。また、本実施の形態において、LEDとは、マイクロLED、ミニLED、およびマクロLEDを含む。なお、本明細書等において、チップの面積が10000μm2以下の発光ダイオードをマイクロLED、チップの面積が10000μm2より大きく1mm2以下の発光ダイオードをミニLED、チップの面積が1mm2より大きい発光ダイオードをマクロLEDと記す場合がある。
【0361】
また、OS LSI analog(領域802)に含まれる製品としては、様々な周波数の音域(例えば、周波数が20Hz~20kHzの可聴音、または20kHz以上の超音波など)に対応する音源定位デバイス、あるいはバッテリ制御用デバイス(バッテリ制御用IC、バッテリ保護用IC、またはバッテリマネジメントシステム)などが挙げられる。
【0362】
また、OS LSI digital(領域803)に含まれる製品としては、メモリーデバイス、CPU(Central Processing Unit)デバイス、GPU(Graphics Processing Unit)デバイス、FPGA(field-programmable gate array)デバイス、パワーデバイス、OS LSIと、Si LSIとを積層または混在させたハイブリッドデバイス、発光デバイスなどが挙げられる。
【0363】
また、領域804に含まれる製品としては、表示領域に赤外線センサ、または近赤外線センサを有する表示デバイス、あるいはOS FETを有するセンサ付き信号処理デバイス、または埋め込み型バイオセンサデバイスなどが挙げられる。また、領域805に含まれる製品としては、A/D(Analog to Digital)変換回路などを有する処理回路、あるいは、当該処理回路を有するAI(Artificial Intelligence)デバイスなどが挙げられる。また、領域806に含まれる製品としては、Pixel AI技術が適用された表示デバイスなどが挙げられる。なお、本明細書等において、Pixel AI技術とは、ディスプレイの画素回路に搭載されたOS FETなどにより構成されるメモリを活用する技術をいう。
【0364】
また、領域807に含まれる製品としては、上記領域801乃至領域806に含まれる、あらゆる製品を組み合わせた複合的な製品が挙げられる。
【0365】
本発明の一態様の半導体装置は、
図28に示すように、あらゆる製品領域に適用することが可能である。すなわち、本発明の一態様の半導体装置は、多くの市場に適用することが可能である。
【0366】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0367】
(本明細書等の記載に関する付記)
以上の実施の形態、及び実施の形態における各構成の説明について、以下に付記する。
【0368】
各実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて、本発明の一態様とすることができる。また、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、構成例を適宜組み合わせることが可能である。
【0369】
なお、ある一つの実施の形態の中で述べる内容(一部の内容でもよい)は、その実施の形態で述べる別の内容(一部の内容でもよい)、及び/又は、一つ若しくは複数の別の実施の形態で述べる内容(一部の内容でもよい)に対して、適用、組み合わせ、又は置き換えなどを行うことが出来る。
【0370】
なお、実施の形態の中で述べる内容とは、各々の実施の形態において、様々な図を用いて述べる内容、又は明細書に記載される文章を用いて述べる内容のことである。
【0371】
なお、ある一つの実施の形態において述べる図(一部でもよい)は、その図の別の部分、その実施の形態において述べる別の図(一部でもよい)、及び/又は、一つ若しくは複数の別の実施の形態において述べる図(一部でもよい)に対して、組み合わせることにより、さらに多くの図を構成させることが出来る。
【0372】
また本明細書等において、ブロック図では、構成要素を機能毎に分類し、互いに独立したブロックとして示している。しかしながら実際の回路等においては、構成要素を機能毎に切り分けることが難しく、一つの回路に複数の機能が係わる場合や、複数の回路にわたって一つの機能が関わる場合があり得る。そのため、ブロック図のブロックは、明細書で説明した構成要素に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0373】
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、説明の便宜上任意の大きさに示したものである。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は明確性を期すために模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。例えば、ノイズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、又は、タイミングのずれによる信号、電圧、若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
【0374】
本明細書等において、トランジスタの接続関係を説明する際、「ソース又はドレインの一方」(又は第1電極、又は第1端子)、ソースとドレインとの他方を「ソース又はドレインの他方」(又は第2電極、又は第2端子)という表記を用いる。これは、トランジスタのソースとドレインは、トランジスタの構造又は動作条件等によって変わるためである。なおトランジスタのソースとドレインの呼称については、ソース(ドレイン)端子や、ソース(ドレイン)電極等、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0375】
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
【0376】
また、本明細書等において、電圧と電位は、適宜言い換えることができる。電圧は、基準となる電位からの電位差のことであり、例えば基準となる電位をグラウンド電圧(接地電圧)とすると、電圧を電位に言い換えることができる。グラウンド電位は必ずしも0Vを意味するとは限らない。なお電位は相対的なものであり、基準となる電位によっては、配線等に与える電位を変化させる場合がある。
【0377】
なお本明細書等において、「膜」、「層」などの語句は、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0378】
本明細書等において、スイッチとは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有するものをいう。または、スイッチとは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有するものをいう。
【0379】
本明細書等において、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲートとが重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとの間の距離をいう。
【0380】
本明細書等において、チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。
【0381】
本明細書等において、AとBとが接続されている、とは、AとBとが直接接続されているものの他、電気的に接続されているものを含むものとする。ここで、AとBとが電気的に接続されているとは、AとBとの間で、何らかの電気的作用を有する対象物が存在するとき、AとBとの電気信号の授受を可能とするものをいう。
【実施例1】
【0382】
本実施例では、二次電池の充電開始時の電圧および温度を変えた場合の、CC充電に要する時間およびCV充電に要する時間の変化について測定を行った。
【0383】
図29A、
図29B図30Aおよび
図30Bには、CC充電に要した時間(以下、時間Tccr)およびCV充電に要した時間(以下、時間Tcvr)と、充電開始時の電圧(以下、電圧Vst)との関係を示す。CC充電の上限電圧は4.2Vとした。
【0384】
図29Aには二次電池の温度が45℃における二次電池の時間Tccrおよび時間Tcvrと、電圧Vstとの関係を示す。残容量SOCがより大きくなると電圧Vstも高くなる。よって、電圧Vstが高い場合には、時間Tccrが短い傾向がみられた。
【0385】
また、電圧Vstが充電の上限電圧に比べて充分に低い電圧範囲においては、時間Tcvrの変化は小さく安定しており、電圧Vstへの依存性が低い傾向がみられた。一方、電圧Vstが上限電圧に達していない場合でも、電圧Vstが高い範囲においては、電圧Vstの上昇に伴いTcvrが減少するという顕著な依存性がみられるようになった。
【0386】
図29Bには二次電池の温度が30℃、
図30Aには25℃、
図30Bには10℃における二次電池の時間Tccrおよび時間Tcvrと、電圧Vstとの関係を示す。温度が低くなるのに伴い、時間Tccrが安定となる電圧Vstの範囲が狭くなる傾向がみられた。
【0387】
【実施例2】
【0388】
本実施例では、二次電池の充電に要した時間Tccrおよび時間Tcvrのサイクルに伴う変化、および二次電池の充電の挙動について評価を行った。
【0389】
【0390】
63回目には破線で丸く囲んだ領域等において、マイクロショートを示唆する波形が観測された。
【0391】
マイクロショートを示唆する波形が得られたサイクルの1回前のサイクルである62回目のサイクルにおいては、61回目のサイクルに比べて、時間Tcvr、すなわち定電圧充電に要する時間が顕著に長くなった。また時間Tccr、すなわち定電流充電時間についても長くなった。
【0392】
図32には60回目から64回目までの充放電サイクルにおける時間Tcvrおよび時間Tccrを示す。横軸は充放電サイクル数、縦軸は時間Tcvrおよび時間Tccrを示す。マイクロショートが示唆されるサイクルの直前のサイクルにおいて、時間Tcvrおよび時間Tccrが増加することがわかった。
【符号の説明】
【0393】
Hi:信号、I:電流、IN:端子、IN1:端子、IN2:端子、Iref:電流、Iss1:電流、Iss2:電流、Iss3:電流、Lo:信号、OUT:端子、OUT2:端子、Q:信号、QB:信号、RESET:信号、RESETB:信号、VB:電圧、VC:電圧、VR:電圧、Vdd:高電位信号、Vin:電圧、Vref1:電圧、Vref2:高電位信号、Vref3:高電位信号、t1:時刻、t2:時刻、t3:時刻、t4:時刻、100:蓄電装置、101:制御回路、102:基準生成回路、103:タイマー回路、104:レギュレータ、105:電源、106:カウンタ、121:二次電池、131:抵抗素子、137:保護回路、140:トランジスタ、150:トランジスタ、152:トランジスタ、153:トランジスタ、156:コイル、160:容量素子、161:容量素子、162:スイッチ、163:定電流源、164:コンパレータ、165:トランジスタ、166:スイッチ、167:定電流源、168:スイッチ、169:スイッチ、170:定電流源、171:コンパレータ、172:コンパレータ、173:定電流源、174:容量素子、175:容量素子、178:NAND回路、179:NAND回路、181:トランジスタ、182:トランジスタ、183:トランジスタ、184:トランジスタ、185:トランジスタ、186:トランジスタ、187:トランジスタ、188:トランジスタ、190:トランジスタ、191:電流供給部、192:電流供給部、193:電流供給部、194:トランジスタ、195:トランジスタ、196:トランジスタ、197:トランジスタ