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特許7405771トラックチェーン用マスターリンクアセンブリー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】トラックチェーン用マスターリンクアセンブリー
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/205 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
B62D55/205 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020562586
(86)(22)【出願日】2019-04-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 US2019029771
(87)【国際公開番号】W WO2019221900
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-04-22
(31)【優先権主張番号】15/983,749
(32)【優先日】2018-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トローン、マシュー
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03717389(US,A)
【文献】特表2012-512079(JP,A)
【文献】国際公開第2011/136135(WO,A1)
【文献】特開2008-018795(JP,A)
【文献】特開2004-075059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックチェーン(22)用のマスターリンク(62)であって、
第一の端部(63A)から第二の端部(63B)まで延在するリンク本体と、
前記リンク本体を通って延在する複数の開口部(66A、66B、66C、66D)であって、(a)前記第一の端部の近くに配置され、第一の直径を有する第一の開口部(66A)と、(b)前記第一の開口部に接続されておらず、前記第二の端部の近くに配置され、前記第一の直径よりも大きい第二の直径を有する第二の開口部(66B)と、(c)前記第一および第二の開口部の間に配置される第三の開口部(66D)とを含む、複数の開口部と、
前記第一の開口部(66A)の深さが前記第二の開口部(66B)の深さよりも高くなるように前記第一の開口部66Aの周りに延在する実質的に円筒形のフランジと、
前記第二および第三の開口部との間に延在し、前記第二および第三の開口部を接続する第一の間隙(76B)と、
前記第三の開口部を横切って前記リンク本体を通って延在するように構成されたねじ山付き第一の締結具(60)と、を含む、マスターリンク。
【請求項2】
前記第一の開口部が、連続する周囲部を有する、請求項1に記載のマスターリンク。
【請求項3】
前記第一の開口部が、前記リンク本体の長さ方向に対して横断する方向に前記第二の開口部からオフセットされる、請求項1に記載のマスターリンク。
【請求項4】
前記第一の開口部と前記第三の開口部との間に位置付けられた第四の開口部(66C)と、前記第三の開口部と前記第四の開口部との間に延在し、かつ前記第三の開口部と前記第四の開口部を接続する第二の間隙(76A)とをさらに含む、請求項1に記載のマスターリンク。
【請求項5】
前記第二の間隙の厚さが、前記第一の間隙の厚さよりも小さい、請求項4に記載のマスターリンク。
【請求項6】
前記第二の間隙の厚さが、約0.25~2ミリメートルである、請求項5に記載のマスターリンク。
【請求項7】
前記第二の間隙の厚さが、約0.75ミリメートルである、請求項6に記載のマスターリンク。
【請求項8】
前記リンク本体を通って前記第四の開口部を横切って延在するように構成されたねじ山付き第二の締結具(70)をさらに含む、請求項に記載のマスターリンク。
【請求項9】
前記第一および第二の締結具が、前記リンク本体の長さ方向に対して横断する方向に前記リンク本体を通って延在する、請求項8に記載のマスターリンク。
【請求項10】
前記第一の締結具が、前記第三の開口部の上方および下方に前記リンク本体を通って延在し、前記第二の締結具が、前記第四の開口部の上方および下方に前記リンク本体を通って延在する、請求項8に記載のマスターリンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、トラックチェーン用のマスターリンクアセンブリーに関し、より具体的には、トラックチェーン用のオフセットクランプマスターリンクアセンブリーに関する。
【背景技術】
【0002】
トラックタイプの機械は、典型的には、トラックシューズとして知られる表面係合要素に接続された機械のいずれかの側のトラックまたはチェーンを利用して、機械を動かす。機械のエンジンによって駆動されるスプロケットは、間隔を置いたプーリー機構の周りでチェーンを係合し、並進させる。チェーンが並進すると、接続されたトラックシューズは、機械の下の接地面に噛み合い、機械を表面上に推進する。チェーンは、連結されたリンクアセンブリーでできている。トラックチェーンは、直線リンクチェーンとオフセットリンクチェーンとして広く分類できる。直線リンクチェーンには、内側リンクと外側リンクが交互に連結されており、オフセットリンクチェーンでは、全てのリンクが同じである。どちらのタイプのチェーンにも長所と短所がある。トラックチェーンの種類にかかわらず、これらのチェーンは時間の経過とともに摩耗するため、交換や修理が必要となる場合がある。典型的には、マスターリンクは、チェーンの分解(すなわち、チェーンの二つの端部の分離)を可能にするように、トラックチェーン内に設けられる。
【0003】
例示的なマスターリンクは、Maguire等が発行した米国特許第6,783,196(「’196特許」)号に開示される。’196特許は、直線リンクチェーン用のマスターリンクアセンブリーを開示している。’196特許では、マスターリンクアセンブリーは、トラックチェーンを分解するために分割される。’196特許のマスターリンクは、一部の出願には適しているかもしれないが、他の出願には適していない可能性がある。開示されたマスターリンクアセンブリーは、上記で定められた欠点および/または当技術分野でのその他の欠点の一つまたは複数を克服することを対象とする。しかしながら、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義され、いかなる特定の問題を解決することができることによって定義されない。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、トラックチェーンのマスターリンクが開示される。マスターリンクは、第一の端部から第二の端部まで延在するリンク本体と、リンク本体を通って延在する複数の開口部とを含み得る。複数の開口部は、第一の端部の近くに配置された第一の開口部と、第一の開口部に接続されておらず、第二の端部の近くに配置された第二の開口部と、第一および第二の開口部の間に配置された第三の開口部とを含み得る。第一の間隙は、第三の開口部と第二の開口部との間に延在し、かつそれら接続し得る。マスターリンクは、第三の開口部を横切ってリンク本体を通って延在するように構成されたねじ山付き第一の締結具も含み得る。
【0005】
別の態様では、トラックチェーン用のマスターリンクアセンブリーが開示される。マスターリンクアセンブリーは、第一の端部から第二の端部まで延在する第一のリンクを含み得る。第一のリンクは、第一の端部の近くに配置された第一の開口部と、第二の端部の近くに配置された第二の開口部とを含み得る。第一のリンクはまた、第一のリンクに連結された少なくとも一つのねじ山付き第一の締結具を含んでもよい。第一のリンクに対する少なくとも一つの第一の締結具の相対位置を変更することは、第一の開口部の直径を変更することなく、第二の開口部の直径を選択的に変更させてもよい。また、マスターリンクアセンブリーは、第三の端部から第四の端部まで延在する第二のリンクを含み得る。第二のリンクは、第三の端部の近くに配置された第三の開口部と、第四の端部の近くに配置された第四の開口部とを含み得る。第二のリンクは、第二のリンクに連結された少なくとも一つのねじ山付き第二の締結具も含み得る。第二のリンクに対する少なくとも一つの第二の締結具の相対位置を変更することは、第四の開口部の直径を変更することなく、第三の開口部の直径を選択的に変更させてもよい。マスターリンクアセンブリーは、第一のリンクの第二の開口部および第二のリンクの第三の開口部に挿入されるように構成されたカートリッジアセンブリーも含み得る。
【0006】
また別の態様では、トラックチェーンアセンブリーが開示される。トラックチェーンアセンブリーは、第一のリンクサブアセンブリーおよび第二のリンクサブアセンブリーを含む複数のリンクサブアセンブリーを含み得る。トラックチェーンアセンブリーはまた、一対の第一のリンクを含む第一のマスターリンクアセンブリーを含んでもよい。一対の第一のリンクの各第一のリンクは、第一のリンクサブアセンブリーに回転可能に連結された第一の端部から第二の端部まで延在するリンク本体を含み得、第一の端部の近くに配置された第一の開口部と、第二の端部の近くに配置され、第一の開口部に接続されていない第二の開口部と、第一の開口部および第二の開口部の間に配置された第五の開口部と、第二および第五の開口部の間に延在して接続する第一の間隙と、第五の開口部を横切ってリンク本体を通って延在するねじ山付き第一の締結具とを含んでもよい。トラックチェーンアセンブリーはまた、一対の第二のリンクを含む第二のマスターリンクアセンブリーを含み得る。各第二のリンクは、第一のマスターリンクアセンブリーに回転可能に連結された第三の端部から、第二のリンクサブアセンブリーに回転可能に連結された第四の端部まで延在するリンク本体を含み得、第三の端部の近くに配置された第三の開口部と、第四の端部の近くに配置され、第三の開口部に接続されていない第四の開口部と、第三および第四の開口部の間に配置された第六の開口部と、第三および第六の開口部の間に延在して接続する第二の間隙と、第六の開口部を横切ってリンク本体を通って延在するねじ山付き第二の締結具とを含んでもよい。トラックチェーンアセンブリーはまた、一対の第一のリンクの第二の開口部および一対の第二のリンクの第三の開口部を通って延在するカートリッジアセンブリーを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、トラックチェーンを有する例示的な移動機械の斜視図である。
図2A図2A~2Cは、図1のトラックチェーンの例示的なマスターリンクアセンブリーの異なる図である。
図2B】同上。
図2C】同上。
図3A図3Aは、図1のトラックチェーンの例示的なブッシングアセンブリーの斜視図である。
図3B図3Bは、図1のトラックチェーンの例示的なカートリッジアセンブリーの斜視図である。
図4A図4Aおよび4Bは、図1のトラックチェーンのマスターリンクアセンブリーの例示的なリンクの斜視図である。
図4B】同上。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示では、例えば、「約」および「およそ」などの相対用語は、記述された数値の±10%の可能性のある変動を示すために使用される。本明細書に記述される記述は、単に説明的な性質のものであり、主題の実施形態、またはかかる実施形態の適用および使用を限定することを意図するものではないことに留意されたい。
【0009】
図1は、タスクを達成するために協働する複数のシステムおよび構成要素を有する例示的な機械10を示す。機械10は、鉱業、建設業、農業、輸送業、または当技術分野で既知の任意の他の産業などの産業と関連する、ある種類の運転を実施する移動機械を実現し得る。例えば、機械10は、掘削機械、ドーザ、ローダー、バックホー、モーターグレーダー、または任意の他の地上走行機などの地上走行機であり得る。機械10は、電源12と、電源12によって駆動され、一つまたは複数の離間したプーリー機構16によって支持され得る、下部走行体アセンブリー14とを含み得る。
【0010】
電源12は、出力速度およびトルクの範囲において、機械10の下部走行体アセンブリー14を駆動し得る。電源12は、例えば、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、ガス燃料エンジンまたは当技術分野で既知の任意の他の種類のエンジンなどのエンジンであり得る。電源12はまた、例えば、電動機、燃料電池、電力貯蔵装置、または当技術分野で公知の任意の他の動力源などの非燃焼動力源であり得る。下部走行体アセンブリー14は、二つの分離した連続したトラック18(機械10のいずれの側に一つ(そのうちの一つのみを図1に示す))を含んでもよい。各トラック18は、一つまたは複数のスプロケット20を介して電源12によって駆動され得る。さらに、各トラック18は、エンドレストラックチェーン22と、トラックチェーン22の外側表面に連結された複数のトラックシューズ24とを含む。トラックシューズ24は、機械10の動作中に表面(例えば、地面)と係合するように構成される。一般に、チェーン22は、直線リンクチェーンまたはオフセットリンクチェーンを含み得る。図示した実施形態では、トラックチェーン22は、エンドレスループを形成するために共に連結される複数の構造的に類似したリンクまたはリンクアセンブリー26を含むオフセットリンクチェーンである。トラックチェーン22はまた、トラックチェーン22を分解または開放して、二つの端部を有するチェーンを形成することを可能にするマスターリンクアセンブリー28を含み得る。以下の考察では、トラックチェーン22は、チェーン22と呼ばれる。
【0011】
図2A~2Cはそれぞれ、例示的なオフセットリンクチェーン22の一部分の斜視図、上面図、および側面図を図示する。以下の考察において、図2A~2Cを参照する。チェーン22は、複数のリンクアセンブリー26およびマスターリンクアセンブリー28を含む。当業者に公知であるように、チェーン22の各リンクアセンブリー26は、カートリッジアセンブリー30によってそれらの両端で互いに連結される一対の横方向に離間したリンク32A、32Bを含む。チェーン22がオフセットリンクチェーンである場合、対の各リンク32A、32Bの構成(形状、サイズなど)は、実質的に同じであり得る。従って、以下の説明において、リンク32Aおよび32Bは、リンク32と総称される。リンク32は、長手方向軸100の方向に第一の端部から第二の端部まで延在する細長い本体を含む。リンク32は、締結具孔58を有するシュー表面(図2A~2C)と、シュー表面の反対側に配置された、レール表面またはローラー表面(図2A~2C)とを含む。締結具孔58は、トラックシュー24をリンクアセンブリー26に取り付けるために使用され得る締結具(締結具60に類似)を受容するように構成されるねじ山付き孔であり得る。リンク32のローラー表面は、下部走行体アセンブリー14のプーリー機構16(およびローラーおよびその他のガイド構成要素)とスライド可能に係合するように構成され得る。各リンク32は、その第一の端部に第一の開口部34Aと、その第二の端部に第二の開口部34Bとを含む。リンク32はまた、第一の開口部と第二の開口部34A、34Bとの間に位置する、複数の(図2Aおよび2Cの二つ)のその他の開口部(例えば、図2Aおよび2Cの二つの開口部)を含む。これらの開口部は、一般に任意の形状を有してもよく、リンク32の重量を減少させるのを助けることができる。
【0012】
ブッシングアセンブリー30は、隣接するリンクアセンブリー26のリンク32を共に回転可能に連結するために使用される。図3Aは、例示的なブッシングアセンブリー30の斜視図を示す。ブッシングアセンブリー30は、中空ブッシング36に回転可能に取り付けられたピン38を含む。隣接するリンクアセンブリー26は、一つのリンクアセンブリー26の第二の開口部34Bの内側表面が、ブッシング26の外表面と締まり嵌めを形成し、隣接するリンクアセンブリー26の第一の開口部34Aの内側表面が、ピン38の外表面と締まり嵌めを形成するように、ブッシングアセンブリー30によって連結される。すなわち、一つのリンクアセンブリー26の第一の端部は、ブッシングアセンブリー30のピン38に強固に連結され、隣接するリンクアセンブリー26の第二の端部は、ブッシングアセンブリー30のブッシング36に強固に連結される。ブッシング36内のピン38の回転は、隣接するリンクアセンブリー26が互いに対して回転することを可能にする。従って、複数のリンクアセンブリー26は、ブッシングアセンブリー30によって一緒に連結され、二つの自由端を有する細長い可撓性チェーンを形成する。マスターリンクアセンブリー28は、細長いチェーンの二つの自由端を連結して、エンドレストラックチェーン22(すなわち、エンドレスループを形成するチェーン)を形成する。
【0013】
引き続き図2A~2Cを参照すると、マスターリンクアセンブリー28は、カートリッジアセンブリー40によって一端で一緒に取り外し可能に連結される第一のマスターリンク52および第二のマスターリンク54を含む。図3Bは、例示的なカートリッジアセンブリー40の斜視図である。カートリッジアセンブリー40は、ピン(図3Bにはマークされていない)の周りに回転可能に取り付けられた一対のベアリング46を含み得る。一対のカラー48が、ピンのどちらかの端にしっかりと取り付けられている。カートリッジアセンブリー40では、ベアリング46およびカラー48は、互いに対して回転し得る。本開示のチェーン22で使用され得る例示的なカートリッジアセンブリーは、米国特許第6,382,742号において提供され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。第一および第二のマスターリンク52、54は、第一および第二のマスターリンク52、54がカートリッジアセンブリー40の周りで互いに対して回転できるように、カートリッジアセンブリー40によって一方の端で連結される。第一のマスターリンク52の反対側の端は、ブッシングアセンブリー30によって(複数のリンクアセンブリー26を一緒に連結することによって形成される)細長いチェーンの一つの自由端に連結される。同様に、第二のマスターリンク54の反対側の端は、ブッシングアセンブリー30を使用して細長いチェーンの別の自由端に連結される。ただし、ブッシングアセンブリー30によるリンク(リンクアセンブリー26の第一のマスターリンク52、第二のマスターリンク54、およびリンク32)の連結とは異なり第一および第二のマスターリンク52、54は、カートリッジアセンブリー40をこれらのリンクから取り外して、第一および第二のマスターリンク52、54を切り離すことができるように、カートリッジアセンブリー40に連結される。後でより詳細に説明されるように、カートリッジアセンブリー40を第一および第二のマスターリンク52、54から取り外すと、第一のマスターリンク52が第二のマスターリンク54から切り離され、それによってチェーン22を分解または開く(例えば、チェーン22をエンドレスループから二つの自由端を有するチェーンに変換する)。
【0014】
図2A~2Cを参照し、第一のマスターリンク52は、横方向に離間され(例えば、長手方向軸100に垂直な方向)、長手方向軸100の周りに実質的に鏡面対称に配置される、第一および第二のリンク62Aおよび62Bを含む。同様に、第二のマスターリンク54は、横方向に離間し、長手方向軸100の周りに実質的に鏡状に配置される第一および第二のリンク64Aおよび64Bを含む。マスターリンク52の各リンク62A、62Bの構成(形状、サイズなど)は、実質的に同じであってもよく、マスターリンク54の各リンク64A、64Bの構成は実質的に同じであり得る。従って、マスターリンクの個々のリンクを識別することが有用でない限り、リンク62Aおよび62Bは、第一のリンク62と共同で呼ばれ、リンク64Aおよび64Bは、第二のリンク64と共同で呼ばれる。第一のリンク62は、リンクアセンブリー26のリンク32と実質的に類似した構成(形状、サイズなど)を有し得る。従って、特に明記しない限り、第一のリンク62の説明は、リンク32に等しく適用可能であり、その逆も同様である。
【0015】
図4Aおよび4Bは、それらの外側表面を示す第一および第二のリンク62、64の斜視図である。以下の考察において、図2A-Cおよび4A-4Bが参照される。第一のリンク62は、長手方向軸100に沿って第一の端部63Aから第二の端部63Bに延在する細長い本体を含み、第二のリンク64は、長手方向軸100に沿って第一の端部65Aから第二の端部65Bに延在する細長い本体を含む。図2Bで最もよくわかるように、第一および第二のリンク62、64がチェーン22に組み立てられるとき、その個々のリンク62Aおよび62Bの第一の端部63Aは、それらの第二の端部63Bより互いに(および長手方向軸100)さらに離れて配置される。同様に、リンク64A、64Bの第一の端部65Aは、それらの第二の端部65Bよりも互いに(および長手方向軸100)さらに離間している。(リンクアセンブリー26の)リンク32と同様に、第一および第二のリンク62、64は、下部走行体アセンブリー14のガイド構成要素とスライド可能に係合するように構成される上面(シュー表面)および底面上の締結具孔58を含む。第一のリンク62上の締結具孔58は、トラックシュー24を第一のマスターリンク52に取り付けるために使用され、第二のリンク64上のより速い孔58は、トラックシュー24を第二のマスターリンク54に取り付けるために使用される。第一のマスターリンク52のリンク62Aおよび62Bはそれぞれ、互いに面する内内側表面82と、内側表面82の反対側に位置する外側表面86とを含む。同様に、第二のマスターリンク54のリンク64Aおよび64Bはそれぞれ、互いに面する内側表面84と、内側表面84の反対側に位置する外側表面88とを含む。
【0016】
図4Aおよび4Bを参照して、第一のリンク62は、第一の開口部66Aをその第一の端部63Aに、第二の開口部66Bをその第二の端部63Bに含む。同様に、第二のリンク64は、第一の開口部68Aをその第一の端部65Aに、および第二の開口部68Bをその第二の端部65Bに含む。第一および第二のリンク62および64はまた、第一の開口部66A、68Aと第二の開口部66B、68Bとの間に追加の開口部を含む。例えば、いくつかの実施形態では、二つの開口部66Cおよび66Dを、第一のリンク62の第一および第二の開口部66A、66Bの間に設けることができ、および二つの開口部68Cおよび68Dを、第二のリンク64の第一および第二の開口部68A、68Bの間に設けることができる。しかしながら、二つの開口部は要件ではなく、一部の実施形態では、異なる数(例えば、1、3、4など)の開口部が、第一および第二のリンク62、64の第一および第二の開口部の間に設けられ得る。第一のリンク62に開口部66Cおよび66D(および第二のリンク64に開口部68Cおよび68D)を設けることは、第一および第二のリンク62、64の重量を低減し得る。開口部66A~66Dおよび68A~68Dのそれぞれは、第一および第二のリンク62、64の外側表面86、88と内側表面82、84との間に延在し、これらのリンクの厚さ全体にわたって実質的に延在する貫通孔空洞または開口を規定する。開口部66A~66Dは、支柱72A(または一片の材料)が開口部66Aおよび66Cを分離し、支柱72Bが開口部66Cおよび66Dを分離し、支柱72Cが開口部66Dおよび66Bを分離するように、第一のリンク62の長さに沿って配置される。同様に、開口部68A~68Dは、支柱74Aが開口部68Aおよび68Cを分離し、支柱74Bが開口部68Cおよび68Dを分離し、支柱74Cが開口部68Dおよび68Bを分離するように、第二のリンク64に配置される。一般に、支柱72A、72B、72C(および74A、74B、74C)の形状は、いずれかの側の開口部の形状に依存する。
【0017】
いくつかの実施形態では、図4Aおよび4Bに示すように、第一のリンク62の第一および第二の開口部66A、66B(および第二のリンク64の第一および第二の開口部68A、68B)は、実質的に円形の形状を有し得る。いくつかの実施形態では、第一のリンク62の他の開口部66C、66D(および第二のリンク64の開口部68Cおよび68D)は、異なる形状を有し得る。いくつかの実施形態では、開口部66C、66D、68C、68Dは、角が丸みを帯びた略長方形の形状を有し得る。しかし、この形状は例示にすぎない。一般に、これらの開口部は、任意の形状(例えば、楕円形、円形、長円形、正方形など)を有し得る。第一のリンク62では、開口部66A~66Dは、これらの開口部の上方の上部分61Aおよびこれらの開口部の下方の下部分61Bを描写または画定する。同様に、第二のリンク64では、開口部68A~68Dは、開口部の上方の上部分67Aおよび開口部の下方の下部分67Bを画定する。
【0018】
締結具孔58は、開口部66Cおよび66Dの上方の第一のリンク62上に位置してもよく、締結具孔58は、開口部68Cおよび68Dの上方の第二のリンク64上に位置し得る。第一のリンク62では、締結具孔58は、開口部66Cおよび66Dにわたって上部分61Aを通って、下部分61B内に延在する。同様に、第二のリンク62では、締結具孔58は、開口部68Cおよび68Dにわたって上部分67Aを通って下部分67B内に延在する。すなわち、締結具孔58は、第一および第二のリンク62、64の上部分61A、67Aを通って延在する第一の部分58Aと、第一および第二のリンク62、64の下部分61B、67Bに延在する第二の部分58Bとを含む。締結具孔58の第一および第二の部分58Aおよび58Bは、ねじ山付き締結具60を受容するようにねじ山付きであり、構成され得る。以下の考察では、(締結具孔58の)第一および第二の部分58A、58Bを締結具孔58と総称する。締結具孔58の締結具60は、トラックシューズ24を第一および第二のリンク62、64に取り付けるために使用され得る。いくつかの実施形態では、第一のリンク62に取り付けられた締結具60を使用して、一つのトラックシュー24を第一のマスターリンク52に取り付けることができ、第二のリンク64に取り付けられた締結具60を使用して、別のトラックシューを第二のマスターリンク54に取り付けることができる。締結具60が第一および第二のリンク62、64の締結具孔58に締め付けられると、締結具60の一部が開口部を横切って第一のリンク62の開口部66Cおよび66D(および第二のリンク64の開口部68Cおよび68D)を通ってリンクの本体に延在する(図2Cを参照)。いくつかの実施形態では、(前に説明したように、第一のリンク62と実質的に同様である)リンクアセンブリー26のリンク32において、締結具孔58は、リンクの上部分を通って開口部にのみ延在することができる(すなわち、リンク32の締結具孔は、開口部の下方のリンク32の部分に延在しなくてもよい。)。
【0019】
図4Aを参照し、第一のリンク62において、第一の端部63A上の第一の開口部66Aは、第二の端部63B上の第二の開口部66Bよりも直径が小さくてもよい。実質的に円筒形のフランジ81は、その外側表面86から外向きに延在する第一の開口部66Aの周りに配置され得る。第一のリンク62の第一の端部63Aが、ブッシングアセンブリー30を使用してリンクアセンブリー26のリンク32と連結されるとき(図2Aおよび2Bを参照)、第一の開口部66Aおよびフランジ81の内側表面は、ブッシングアセンブリー30のピン38との締まりばめを形成し得る。第一のリンク62の第二の端部63Bがカートリッジアセンブリー40を使用して第二のリンクの第一の端部65Aに連結されるとき、第二の開口部66Bの内側表面は、カートリッジアセンブリー40のベアリング46の外表面とインターフェイスし得る(図3Bを参照)。本明細書では詳細には説明されていないが、第一のリンク62の外側表面および内側表面86、82は、チェーン22上に組み立てられたときに、それとインターフェイスする構成要素の対応する形状の領域を受けるように輪郭付けられ得る。外側表面86はまた、第一の端部63Aから第二の端部63Bに向かって延在する、そのローラー表面(プーリー機構16と係合する表面、図1参照)に突起部85を含み得る。突起部85は、プーリー機構16と係合する第一のリンク62の表面積を増加させ得る。
【0020】
図4Bを参照して第二のリンク64において、第一および第二の開口部68A、68Bは、実質的に円形の形状を有し得る。図2Aおよび2Bをさらに参照すると、第二のリンク64がチェーン22上に組み立てられるとき。第一の開口部68Aの内側表面は、カートリッジアセンブリー40のカラー48の外側表面とインターフェイスし(図3Bを参照)、第二の開口部68Bの内側表面は、ブッシングアセンブリー30のブッシング36との干渉を形成する(図3Aを参照)。一般に、第一および第二の開口部68A、68Bの直径は、ブッシングおよびカートリッジアセンブリー30、40のかみ合う構成要素または領域のサイズに依存し得る。いくつかの実施形態では、第一および第二の開口部68A、68Bの直径は、実質的に同一であり得る。ただし、これは要件ではない。すなわち、いくつかの実施形態では、第一の開口部68Aは、第二の開口部68Bよりも直径が小さくても、または大きくてもよい。第二のリンク64の形状はまた、第二のリンク64をいずれかの側の隣接するリンクに連結するブッシングおよびカートリッジアセンブリー30、40のサイズ(例えば、長さ)に依存し得る。例えば、実施形態ではカートリッジアセンブリー40の一対のカラー48の間の間隔(または長さ)が、ブッシングアセンブリー30のブッシング36の長さよりも大きい場合、第二のリンク64の第一の端部65Aは、長手方向軸100を横切る方向に第二の端部64Bからオフセットされ得る(図2Bを参照のこと)。オフセットの量は、ブッシングおよびカートリッジアセンブリー30、40の長さの違いに依存する。いくつかの実施形態では、図2Bで最もよくわかるように、その第一および第二の端部65A、65Bの間の第二のリンク64の一部は、長手方向軸100に実質的に平行に延在することができ、第一および第二の端部65A、65Bは、この線形部分からオフセットされ得る。また、第二のリンク64の外側表面88および内側表面84は、チェーン22上に組み立てられたときに、それとインターフェイスする構成要素の対応する形状の領域を受容するように輪郭付けられ得る。例えば、第二のリンク64のローラー表面に隣接する領域は、プーリー機構16(および他のガイドメンバー)とインターフェイスする第二のリンク64の表面積を増加させるため、(この地域より上方の地域より)より広くあり得る。
【0021】
図4Aおよび4Bで最もよくわかるように、第一のリンク62において、間隙76Aが、開口部66Cと66Dとの間の支柱72Bを通って延在し、これらの二つの開口部を流体接続し、間隙76Bが開口部66Dと66Bとの間に延在し、流体接続する。また、第二のリンク64では、間隙78Aは、開口部68Aと68Cとの間に延在し、間隙78Bは、開口部68Cと68Dとの間に延在する。図4Aおよび4Bでわかるように、第一のリンク62の第一の開口部66A、および第二のリンク64の第二の開口部68Bは、リンクの任意の他の開口部に類似の間隙によって接続されない。すなわち、第一の開口部66Aおよび第二の開口部68Bは、連続する周囲部を有し得る。これらの間隙76A、76B、78A、78Bは、それぞれのリンクの内側表面と外側表面との間に完全に延在し、支柱を二つの部品(例えば、間隙の上方の上部セクションおよび間隙の下方の下部セクション)に分割する。例えば、第一のリンク62において、間隙76Aは、開口部66Cと66Dとの間に延在する支柱72Bを二つのセクション(上部分61Aに接続された上部セクションおよび下部分61Bに接続された下部セクション)に分割することができる。間隙76Bは、開口部66Dと第二の開口部66Bとの間に延在する支柱72Cを二つのセクションに分割する。同様に、第二のリンク64において、間隙78Aは、第一の開口部68Aと開口部68Cとの間に延在する支柱74Aを二つのセクション(上部分67Aに接続された上部セクションおよび下部分67Bに接続された下部セクション)に分割する。間隙78Bは、開口部68Cと68Dとの間に延在する支柱74Bを二つのセクションに分割する。リンクアセンブリー26のリンク32は、第一のリンク62と構造的に類似しているが、リンク32は、その開口部を分離する支柱上の間隙(間隙76Aおよび76Bに類似)を含まない。
【0022】
一般に、第一のリンク62の間隙76Aおよび76B、ならびに第二のリンク64の間隙78Aおよび78Bは、任意のサイズ(例えば、間隙厚さ)を有し得る。いくつかの実施形態では、これらの間隙は、同じ一般的なサイズを有し得る。いくつかの実施形態では、第一のリンク62の間隙76Bは、第二のリンク64の間隙78Aと実質的に同じサイズを有してもよく、第一のリンク62の間隙76Aは、第二のリンク64の間隙78Bと実質的に同じサイズを有し得る。いくつかの実施形態では、図4Aおよび4Bに示すように、間隙76Aのサイズは、間隙76Bよりも小さくてもよく、間隙78Bのサイズは、間隙78Aよりも小さくてもよい。いくつかの実施形態では、間隙76Aおよび78Bは、約0.25~2ミリメートル(mm)の厚さであり得、間隙76Bおよび78Aは、この値よりも大きい厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、間隙76Aおよび78Bは、約1mmの厚さ、または約0.75mmの厚さ、または約0.5mmの厚さ(間隙76Bの厚さが間隙76Aよりも大きい、および間隙78Aの厚さが間隙78Bよりも大きい)であり得る。
【0023】
通常の状態(例えば、締結具なし60)で、リンク本体の自然な剛性は、第一のリンク62の上部分および下部分61Aおよび61B(および第二のリンク64の上部分および下部分67Aおよび67B)を互いに分離し維持し、間隙76Aと76B(第二のリンク64の間隙78Aおよび78B)を最大値に維持することができる。締結具60が、(例えば、トラックシューズ24を第一および第二のリンク62、64に取り付けるため、締結具孔58の)第一および第二の部分58A、58Bに挿入され、締め付けられるとき、締結具60は、力を加えてリンク、または各リンクの上部分および下部分を互いにより近くに圧縮することができる。この力により、リンク本体の自然な剛性に対し少なくとも部分的に打ち勝つことができ、および第一および第二のリンク62、64の上部分および下部分は、互いに接近し、間隙76A、76B、78A、および78Bの幅を減少させることができる。第一および第二のリンク62、64のサイズ(例えば、厚さなど)は、締結具60がリンク本体の剛性に打ち勝ち、上部および下部本体部分を互いに向かって付勢し得るようなものであり得る。第一のリンク62の間隙76Aおよび76Bは、第二の開口部66Bの(例えば、サイズ決めされる)直径が、第一のリンク62の上部分および下部分が締結具60によって互いに向かって促されるとき、第一のより高い値から第二のより低い値に減少するように、構成することができる。同様に、第二のリンク64の間隙78Aおよび78Bは、第一の開口部68Aの直径が、第二のリンク64の上部分および下部分が締結具60によって互いに向かって促されるとき、より高い値(例えば、第一の値)からより低い値(例えば、第二の値)に減少するように、構成することができる。締結具60が、対応する締結具孔58から取り外されるか、または緩めると、第一および第二の開口部68A、66Bの直径は、第一の値に戻る。
【0024】
第一および第二の開口部68A、66Bは、第一および第二のリンク62、64の上部分および下部分が締結具60によって互いに向かって付勢されるとき、第一および第二の開口部68A、66Bの直径(つまり、これらの直径の第二の値)が、各開口部がインターフェイスするカートリッジアセンブリー40の領域に実質的に等しいか、またはわずかに小さいように、構成することができる。例えば、締結具60が第一のリンク62の締結具孔58に締め付けられるとき、第一のリンク62の第二の開口部66Bは、直径が、より高い値からベアリング46の外径に等しいかまたはわずかに小さい値に減少し、第一のリンク62の第二の端部63Bをカートリッジアセンブリー40にしっかりと結合する。同様に、締結具60が第二のリンク64の締結具孔58に締め付けられるとき、(第二のリンク64の)第一の開口部68Aの直径は、カラー48の外径に等しいかまたはそれよりわずかに小さい値に減少し、第二のリンク64の第一の端部65Aをカートリッジアセンブリー40にしっかりと結合する。この構成では、第一のリンク62の第二の端部63Bおよび第二のリンク64の第一の端部65Aは、しっかりと連結される。すなわち、この構成では、カートリッジアセンブリー40は、第一のリンク62の第二の開口部66Bおよび第二のリンク64の第一の開口部68Aに対して移動(例えば、そこから取り外される、または摺動する)することができない。そして、第一および第二のリンク62、64の上部分および下部分を促す締結具60が緩められるかまたは取り外されると、第一および第二の開口部68A、66Bの直径は、カートリッジアセンブリー40の直径よりも大きい第一の値に戻る。この構成では、カートリッジアセンブリー40は、第一のリンク62の第二の開口部66Bおよび第二のリンク64の第一の開口部68Aに対して移動(例えば、そこから取り外される、または摺動する)され得る。従って、締結具60を介して第一のリンク62の第二の開口部66Bおよび第二のリンク64の第一の開口部68Aの直径を増加および減少させることにより、カートリッジアセンブリー40を使用して第一および第二のリンク62、64を互いに取り外し可能に連結することができる。対照的に、締結具60の取り外しは、第一のリンク62の第一の開口部66Aおよび第二のリンク64の第二の開口部68Bの直径を変更しない。従って、第一のリンク62の第一の端部63Aおよび第二のリンク64の第二の端部65Bは、ブッシングアセンブリー30によってリンク32の端部にしっかりと連結されたままである。
【0025】
第一のリンク62では、間隙76Aのサイズが間隙76Bよりも小さい実施形態では、間隙76Aのサイズは、上部分および下部分61A、61Bの互いに向かう動きを制限し得る。同様に、第二のリンク64では、間隙78Bのサイズのサイズが間隙78Aよりも小さい実施形態では、間隙78Bのサイズは、上部分および下部分分67A、67Bの互いに向かう動きを制限し得る。間隙76Aおよび78Bのサイズはまた、第一のリンク62の第二の開口部66Bの直径および第二のリンク64の第一の開口部68Aの直径が減少する量を制限し得る。例えば、間隙76Aおよび78Bが約0.75mmの厚さである例示的な実施形態では、第一および第二の開口部68A、66Bの直径の最大減少もまた約0.75mmである。カートリッジアセンブリー40上の第一および第二の開口部68A、66Bの内壁によって生成されるクランプ力の量は、これらの開口部の直径に関連しているので、間隙76Aおよび78Bのサイズは、カートリッジアセンブリー40のクランプ力の量に影響を及ぼし得る。各リンクにおける単一の間隙(すなわち、第一のリンク62における間隙76Aおよび第二のリンク64における間隙78B)は、クランプ力を制御するため、他の間隙の機械加工許容差要件は低く、従って、コストを削減し得る。例えば、第一および第二のリンク62、64の製造中、間隙76Aおよび78Bのみが厳密な公差で機械加工される必要がある。一般に、間隙76Aおよび78Bは、第一および第二の開口部68A、66Bが、第一の開口部68Aおよび第二の開口部66B内にカートリッジアセンブリー40を保持するための十分なクランプ力を生成するように、サイズ決めされ得る。第一のリンク62および第二のリンク64は、二つの間隙(第一のリンク62では76Aおよび76B第二のリンク64では78Aおよび78B)を有するものとして記述されるが、これは単に例示的であることに留意されたい。いくつかの実施形態では、これらのリンクのうちの一つまたは両方は、一つの間隙(例えば、第一のリンク62における間隙76Bおよび第二のリンク64における間隙78A)のみを有し得る。
【0026】
一般に、第一および第二のリンク62、64は、バイアス力なしにそれぞれのリンクの上部分および下部分を分離し、上部分および下部分を締結具60によって互いに向けて促すのに十分な剛性を有する当技術分野で公知である任意の材料から作製することができる。さらに、材料は、繰り返しの使用に耐える耐久性を持ち得る。要件ではないが、一部の実施形態では、第一および第二のリンク62、64は、15B34炭素鋼などの炭素鋼から作られてもよい。いくつかの実施形態では、第一および第二のリンク62、64(またはその一部分)は、機械10が動作し得る環境からリンクをシールドするために保護コーティングで覆われてもよい。要件ではないが、一部の実施形態では、締結具60は、第一および第二のリンク62、64と同じ材料から作られてもよい。
【0027】
第一および第二のリンク62、64は、それぞれが第一および第二の開口部(66A、66B、68A、および68B)の間に配置される二つの開口部(66c、66D、68Cおよび68D)、および各開口部を通って延在する一つの締結具60を有するものとして示されるが、これは単なる例示であることに、留意されたい。いくつかの実施形態では、異なる数の締結具が、各開口部を通って延在し得る。いくつかの実施形態では、異なる数の開口部が、第一および第二のリンク62、64の第一および第二の開口部の間に設けられてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第一および第二のリンク62、64のうちの一つまたは両方は、それらの第一の開口部と第二の開口部(66A、66B、68A、および68B)との間に一つの開口部(例えば、第三の開口部)のみを有し得る。そのような実施形態では、間隙は、リンク本体を通って第一のリンク62の第三の開口部から第二の開口部66Bまで延在し、間隙は、リンク本体を通って第二のリンク64の第三の開口部から第一の開口部68Aまで延在する。そして、一つまたは複数の(例えば、二つの締結具)は、第三の開口部を通って延在して、各リンク62、64を圧縮し、間隙(それによって第一および第二の開口部68Aおよび66B)の幅を変更し得る。
【産業上の利用可能性】
【0028】
開示されたマスターリンクアセンブリー28、特にマスターリンクアセンブリー28の第一および第二のマスターリンク52、54は、トラックチェーン22(直線リンクチェーンまたはオフセットリンクチェーン)を有する任意の追跡された機械10に適用可能であり得る。開示されたマスキングリンクアセンブリーは、トラックチェーン22を簡単かつ迅速に分解することを可能にし、それによってメンテナンスコストおよび機械のダウンタイムを低減する。
【0029】
トラックチェーン22を組み立ておよび分解する例示的な方法について説明する。マスターリンクアセンブリー28を使用してトラックチェーン22の二つの自由端を一緒に接続するために、第一のリンク62の第一の端部63Aは、ブッシングアセンブリー30を使用してチェーン22の一方の自由端に連結され、第二のリンク64の第二の端部65Bは、別のブッシングアセンブリー30を使用して、チェーン22の他の自由端部に連結される。図2Aおよび2Bを参照して、マスターリンクアセンブリー28をチェーン22に連結するために、ブッシングアセンブリー30のブッシング36は、最初に、リンクアセンブリー26のリンク32Aおよび32Bの整列した第二の開口部34Bを通して嵌合される。(マスターリンクアセンブリー28の)第一のマスターリンク52は、その第一の端部63Aの第一の開口部66Aがブッシング36の空洞と同軸になり、ブッシングアセンブリー30のピン38が整列した開口部に押し込まれるように配置される。第二のマスターリンク54の第二の端部65Bは、同様に、チェーン22の他方の自由端部と連結される。第一のマスターリンク52の第二の端部63Bおよび第二のマスターリンク54の第一の端部65Aは、カートリッジアセンブリー40を使用して共に連結される。
【0030】
第一および第二のマスターリンク52、54の第一および第二のリンク62、64を一緒に連結するとき、これらのリンクは、締結具60およびトラックシューズ24を最初は含まなくてもよい。締結具60が取り外された(または緩んでいる)状態で、第一のリンク62の間隙76Aおよび76B、ならびに第二のリンク64の間隙78Aおよび78Bは、それらの最大の厚さまたはサイズであり得る。結果として、第一のリンク62の第二の開口部66Bおよび第二のリンク62の第一の開口部68Aは、それらの最大直径(すなわち、直径の第一の値)であり得る。第一のリンク62および第二のリンク64は、第一のリンク62の第二の開口部66Bが第二のリンク62の第一の開口部68Aと同軸になるように整列され得る。カートリッジアセンブリー40は、ここで整列した開口部を通して挿入され、第一および第二のマスターリンク52、54を一緒にリンクすることができる。この構成では、第一および第二の開口部68A、66Bの直径は、カートリッジアセンブリー40の外径よりも大きいので、カートリッジアセンブリー40は、第一および第二のリンク62、64に対して移動することができる(またはその開口部から摺動し得る)。トラックシューズ24は、ここで、締結具60を第一および第二のリンク62、64上の締結具孔58に挿入することによって、第一および第二のリンク62、64のシュー表面に固定され得る。各締結具60が締め付けられると、締結具60の部分は、締結具孔58の第一および第二の部分58A、58Bと係合し、第一および第二のリンク62、64の上部および下部本体部分を互いに向かって押し付ける(または引っ張る)。上部および下部本体部分が互いに向かって移動するにつれて、第一のリンク62の間隙76Aおよび76B、ならびに第二のリンク64の間隙78Aおよび78Bの幅は減少する。間隙76Aおよび76Bの幅が減少するにつれて、第一のリンク62の第二の開口部66Bの直径が減少し、第二の開口部66Bの内側表面がカートリッジアセンブリー40のベアリング46の外側表面にクランプする。同様に、間隙78Aと78Bの幅が減少すると、第二のリンク64の第一の開口部68Aの直径も減少し、第一の開口部68Aの内側表面が、これらの開口部内に配置されたカートリッジアセンブリー40のカラー48の外側表面にクランプする。
【0031】
チェーン22を分離するために、締結具60は、第一および第二のリンク62、64から緩められてもよい(または締結具孔58の第二の部分58Bからねじ山が外され、または取り外され得る)。締結具60が緩められるかまたは取り外されるとき、(第一のリンク62の)第二の開口部66Bおよび(第二のリンク62の)第一の開口部68Aの直径は、元のより大きな値(すなわち、第一の値)に戻り、カートリッジアセンブリー40は、これらの開口部内から外に摺動され得る。別個のトラックチェーン22に容易に連結解除され分離され得るマスターリンクアセンブリー28を設けることにより、チェーン22を迅速に分解することができ、それによって機械のダウンタイムとメンテナンスコストが低減される。
【0032】
本開示の範囲から逸脱することなく、本開示のシステムにおいてさまざまな修正および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。例えば、本開示はオフセットリンクチェーンを参照して説明されてきたが、本開示の態様はまた、直線リンクチェーンにも適用され得る。本開示のその他の実施形態は、本明細書に開示されるさまざまな実施形態の仕様を考慮することで、当業者には明らかであろう。本明細書および実施例は、以下の請求項およびその均等物によって示される真の範囲を有する単なる例示とみなされることが意図される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4A
図4B