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特許7405774ジョイント化合物のためのリン脂質除塵剤
<図1>
  • 特許-ジョイント化合物のためのリン脂質除塵剤 図1
  • 特許-ジョイント化合物のためのリン脂質除塵剤 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ジョイント化合物のためのリン脂質除塵剤
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/14 20060101AFI20231219BHJP
   C04B 14/28 20060101ALI20231219BHJP
   C04B 14/04 20060101ALI20231219BHJP
   C04B 24/00 20060101ALI20231219BHJP
   C04B 24/26 20060101ALI20231219BHJP
   C04B 24/38 20060101ALI20231219BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
C04B28/14
C04B14/28
C04B14/04 Z
C04B24/00
C04B24/26 E
C04B24/38 D
C09K3/10 Q
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020564646
(86)(22)【出願日】2019-05-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 US2019033233
(87)【国際公開番号】W WO2019236279
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-05-16
(31)【優先権主張番号】62/681,414
(32)【優先日】2018-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/365,820
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596172325
【氏名又は名称】ユナイテッド・ステイツ・ジプサム・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(72)【発明者】
【氏名】ドノヴァン、アレクサンダー ジェイ.
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-500967(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0246683(US,A1)
【文献】特表2010-513750(JP,A)
【文献】特表2009-530468(JP,A)
【文献】特開昭53-137225(JP,A)
【文献】特開平02-064052(JP,A)
【文献】特開2000-264711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 7/00-28/36
C09K 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥型目地材であって、成分として、乾燥ベースの重量パーセントで、
重量~9重量%の充填剤と、
1重量~4重量%の結合剤と、
0.1重量~3重量%のリン脂質除塵剤と、を含
前記目地材は、乾燥粉末、または、前記成分と水との混合物であり、
前記目地材は、セルロース繊維を含まず、
前記セルロース繊維は、セルロースともセルロース増粘剤とも異なり、
前記目地材は、乾燥ベースでトータルで30重量%未満の石膏および硫酸カルシウム無水石膏を有し、
前記目地材は、硫酸カルシウム半水和物を含まない、
目地材
【請求項2】
前記目地材が、乾燥ベースの重量パーセントで、
前記充填剤であって、
乾燥ベースで前記目地材の50重%~98重量%の一次充填剤であって、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム二水和物、もしくはタルク、またはそれらの混合物である、前記一次充填剤と、
乾燥ベースで前記目地材の最大25重量%の二次充填剤と、を含む、前記充填剤と、
重量%~15重量%の前記結合剤と、
0.3重量%~3重量%の前記リン脂質除塵剤と、を含み、
前記目地材が、乾燥ベースの重量パーセントで0.05重量%~3重量%のポリマー増粘剤をさらに含む、請求項1に記載の目地材
【請求項3】
目地材が、乾燥ベースで、0.5重量%~3重量%の前記リン脂質除塵剤をむ、請求項1に記載の目地材
【請求項4】
前記リン脂質除塵剤が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、およびホスファチジルグリセロールからなる群の1つ以上から選択される、請求項1に記載の目地材
【請求項5】
前記リン脂質除塵剤が、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、蛍光色素、発色性色素、タンパク質、ペプチド、炭水化物、ステロール、脂肪酸、および合成ポリマーのうちの1つ以上と複合化された、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、およびホスファチジルグリセロールからなる群の1つ以上から選択される、請求項1に記載の目地材
【請求項6】
前記目地材が、硫酸カルシウム二水和物を含まず、かつ硫酸カルシウム半水和物を含まない、請求項1に記載の目地材
【請求項7】
硬化型目地材であって、成分として、乾燥ベースの重量パーセントで、
乾燥ベースで硬化型目地材50重%~98重量%の硫酸カルシウム半水和物と、
大3重量%の充填剤と、
0.5重量%~8重量%の結合剤と、
0.05重量%~2重量%のポリマー増粘剤と、
0.1重量~3重量%のリン脂質除塵剤と、を含
前記目地材は、乾燥粉末である、または、前記目地材が水性混合済み硬化型ジョイント化合物である場合、前記成分は、硬化遅延剤および水をさらに含み、
前記目地材は、セルロース繊維を含まず、
前記セルロース繊維は、セルロースともセルロース増粘剤とも異なる、
目地材
【請求項8】
前記目地材、乾燥ベースの重量パーセントで、65重量%~75重量%の前記硫酸カルシウム半水和物含む、請求項7に記載の目地材
【請求項9】
前記目地材が、水および硬化遅延剤をさらに含む混合済み硬化型目地材であり、
前記目地材が、乾燥ベースの重量パーセントで
50重量%~98重量%の前記硫酸カルシウム半水和物と、
大30重量%の前記充填剤と、
0.5重量%~8重量%の前記結合剤と、
0.1重量%~2重量%の前記ポリマー増粘剤と、
0.3重量%~3重量%の前記リン脂質除塵剤と、
.001重量%~2重量%の前記硬化遅延剤と、を含む、前記水以外の目地材成分を含み、
前記水対水以外の目地材成分の重量比が、1:6~2:1である、請求項7に記載の目地材
【請求項10】
目地材を用いるための方法であって、
請求項1または7に記載の目地材を、ウォールボードパネル表面に適用することと、
前記目地材を乾燥および/または硬化させることと、
乾燥後および/または硬化後に、前記表面上の前記目地材を、乾式または湿式サンディングすることと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、リン脂質除塵剤を含むジョイント化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の建設において、最も一般的な建築要素の1つは、壁および/またはや天井の建設に使用される、乾式壁または石膏パネルとしてよく知られている石膏ウォールボードである。そのボードは、例えば、セメントまたは石膏などのセメント質材料を含むがこれらに限定されない、さまざまな材料のいずれかで構成され得る。石膏ウォールボードで作られた壁は、伝統的に、パネルを木製スタッドまたは金属骨組みに固定し、隣接するパネル間の接合部をジョイント化合物と呼ばれる特別に調製された接着剤で処理することによって構築される。石膏パネルは、サイズが異常で、梁またはパイプなどの構造要素の周りに成形され得る壁に容易に適合する。乾式壁パネルの側端はテーパー状であるため、仕上げ時にモノリシック表面が作成されるように、ジョイント化合物を隣接するパネル間の継ぎ目に塗布することを可能にする。ボード間の接合部を仕上げるには、必要な仕上げのレベルに応じて、少なくとも3つのステップが含まれることは当技術分野ではよく知られている。まず、ジョイント化合物の薄層を接合部の上のボードに適用し、液体透過性の紙またはガラス繊維テープをその中に埋め込む。次に、埋め込んだジョイントテープの上にジョイント化合物の第2のコートを適用する。最後に、ジョイント化合物の第3のコートを第1の2つのコートの上に適用し、典型的には、第3のコートをジョイントテープの縁からさらに外側にも伸ばす。続いて、第2および第3のコートの両方を乾燥時に軽く研磨してもよい。ジョイント化合物は、欠陥、例えば、凹凸のある表面、穴、くぼみ、ギャップ、へこみ、および他の不備、例えば、電気ボックス、配管、およびダクト施工の周囲の欠陥、ならびに、乾式壁ボードの交差によって作り出されたコーナーを修復するためにも使用される。
【0003】
いくつかのジョイント化合物のカテゴリーがある。乾燥型化合物は、水の蒸発により硬化するのに対し、硬化型ジョイント化合物は、硬化プロセス中に水と化学的に反応する。硬化型ジョイント化合物は、典型的には、スタッコ(stucco)またはパリの漆喰(Plaster of Paris)としても知られている硫酸カルシウム半水和物を基材として使用する。水を硬化型粉末に加えると、水は、硫酸カルシウム半水和物と水和反応により反応し、硫酸カルシウム二水和物結晶の連結母材を形成する。連結結晶母材により、化合物の強度が向上する。乾燥型を超える硬化型のジョイント化合物の利点は、さらなる仕上げの前にジョイント化合物を完全に乾燥させる必要がない点、ならびに、収縮およびひび割れが少なく、かつ仕上げ後の接合部の全体強度が高い点である。乾燥型ジョイント化合物は、乾燥型ジョイント化合物が通常、製造者が水を加えて混合させると即座に混合形態になるので、使用が容易であるという利点を有している。第3の型のジョイント化合物は、硫酸カルシウム半水和物系化合物の硬化作用を、混合済み化合物の使用容易性と組み合わせている。混合済み硬化型のジョイント化合物の特性は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,746,822号に教示されている。
【0004】
ジョイント化合物のコートの間、および壁を装飾する前に、表面を平坦にするためにジョイント化合物をサンディングすることが推奨される。そうしている間、発生する粉塵は、一般に非常に微細であり、空中に浮遊したままになる傾向があり、長期間後にのみ沈降する。空中でのこの長い滞留時間により、粉塵は、壁の場所から長距離を移動し得る。家の修理では、この微細な粉塵は、ジョイント化合物が使用されている場所のすぐ隣の領域に限定されず、家中でよく見出され、微細な粉塵はいたるところに沈降することになる。
【0005】
液体鉱油および固体ワックス(例えば、ポリエチレングリコールワックス)は、石膏系、炭酸カルシウム系、およびパーライト系の組成物の粉塵を低減することが知られており、多くの場合、除塵剤としてジョイント化合物に組み込まれる。除塵剤は、サンディングまたは他のディスターバンス(disturbance)時に発生する浮遊粉塵の生成を低減する能力、および/または除塵添加剤を含まない同様の材料と比較して発生される粉塵の浮遊滞留時間を短縮する能力を備えた材料として定義される。鉱油および固体ワックス除塵剤の例は、Immordino,Jr.らの米国特許第6,673,144号およびLangfordの米国特許第6,676,746号に記載されている。
【0006】
ワックスエマルジョンおよびポリマーコーティングされたワックスコア微粒子を含む別の除塵剤が開発されており、Ayambemらの米国特許第2015/0158999号およびAyambemの米国特許出願公開第2016/0376798号に記載されている。この例では、エマルジョンまたはポリマーコーティングにより、固体の疎水性コア材料を水に分散させることができる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、一般に、リン脂質除塵剤を含むジョイント化合物に関する。
【0008】
例えば、本発明は、乾燥ベースの重量パーセントで、
約25%~約98%の充填剤、
約1%~約45%の結合剤、および
約0.01%~約3%のリン脂質除塵剤、を含むジョイント化合物であり得る。
【0009】
例えば、本発明の乾燥型ジョイント化合物は、
(a)乾燥ベース(水を除くすべての配合成分に基づく)で、乾燥型ジョイント化合物の約50重量パーセント(重量%)~約98重量%の一次充填剤であって、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム二水和物、パーライト、およびタルク、ならびにそれらの混合物のうちの1つを含む、一次充填剤と、
(b)乾燥ベースで乾燥型ジョイント化合物の最大約25重量%の二次充填剤と、
(c)乾燥ベースで乾燥型ジョイント化合物の約1重量%~約15重量%の結合剤と、
(d)乾燥ベースで乾燥型ジョイント化合物の約0.05重量%~約3重量%のポリマー増粘剤と、
(e)乾燥ベースで乾燥型ジョイント化合物の約0.01重量%~約3重量%のリン脂質除塵剤と、を含むことができる。
【0010】
この乾燥型ジョイント化合物は、任意選択で、乾燥ベースで乾燥型ジョイント化合物の最大約10重量%の添加剤を含むこともできる。
【0011】
本発明の乾燥型ジョイント化合物は、乾燥(水を含まない)状態で顧客に販売して、作業現場で水と混合してもよいか、または水と事前に混合して、水対水以外のジョイント化合物成分の重量比約1:6~約2:1を達成してもよい。
【0012】
本明細書では、「水以外のジョイント化合物成分」という表現は、水以外のジョイント化合物のすべての成分を意味している。これは乾燥(水を含まない)ベースである。したがって、本明細書では、「乾燥ベースの重量パーセントで含む水以外のジョイント化合物成分」という表現は、水以外のジョイント化合物のすべての成分の重量に基づく。例えば、「水以外のジョイント化合物成分は、乾燥ベースの重量パーセントで約20重量%~約99重量%の硫酸カルシウム半水和物を含む」という表現は、ジョイント化合物が、乾燥(水を含まない)ベースで、約20重量%~約99重量%の硫酸カルシウム半水和物を含むことを意味している。本明細書では、「水以外のジョイント化合物成分」および「乾燥成分」という用語は、同じ意味を有する。
【0013】
また、例えば、本発明は、乾燥ベースの重量パーセントで、
乾燥ベースで硬化型ジョイント化合物の約20重量パーセント(重量%)~約99重量%の硫酸カルシウム半水和物と、
最大約30%の充填剤と、
最大約8重量%の結合剤と、
最大約2重量%のポリマー増粘剤と、
約0.01%~約3%のリン脂質除塵剤と、を含むジョイント化合物であり得る。
【0014】
硫酸カルシウム半水和物は、ジョイント化合物をさらに硬化させる。
【0015】
例えば、本発明の硬化型ジョイント化合物は、
(a)乾燥ベースで硬化型ジョイント化合物の約20重量パーセント(重量%)~約99重量%の硫酸カルシウム半水和物と、
(b)乾燥ベースで硬化型ジョイント化合物の最大約30重量%の充填剤と、
(c)乾燥ベースで硬化型ジョイント化合物の約0.5重量%~約8重量%の結合剤と、
(d)乾燥ベースで硬化型ジョイント化合物の約0.05重量%~約3重量%のポリマー増粘剤と、
(e)乾燥ベースで硬化型ジョイント化合物の約0.01重量%~約10重量%のリン脂質除塵剤と、を含むことができる。
【0016】
硬化型ジョイント化合物は、任意選択で、乾燥ベースで硬化型ジョイント化合物の最大約10重量%の添加剤を含むこともできる。
【0017】
硬化型ジョイント化合物は、現場で水と混合するドライ(水を含まない)製品として顧客に販売してもよく、または水と事前に混合して、水対水以外のジョイント化合物成分の重量比約1:6~約2:1を達成してもよい。水と事前に混合されたジョイント化合物は、混合済み硬化型ジョイント化合物としても知られており、典型的には、硫酸カルシウム半水和物の早期硬化を防ぐための遅延剤をさらに含む。
【0018】
例えば、本発明の混合済み硬化型ジョイント化合物は、
(a)乾燥ベースで硬化型ジョイント化合物の約20重量パーセント(重量%)~約99重量%の混合済み硫酸カルシウム半水和物と、
(b)乾燥ベースで混合済み硬化型ジョイント化合物の最大約30重量%の充填剤と、
(c)乾燥ベースで混合済み硬化型ジョイント化合物の約0.001重量%~約2重量%の硬化遅延剤と、
(d)乾燥ベースで混合済み硬化型ジョイント化合物の最大約8重量%の結合剤と、
(e)乾燥ベースで混合済み硬化型ジョイント化合物の最大約2重量%のポリマー増粘剤と、
(f)乾燥ベースで混合済み硬化型ジョイント化合物の約0.01重量%~約3重量%のリン脂質除塵剤と、
(g)約1:6~約2:1の水対水以外のジョイント化合物成分の重量比の水と、を含むことができる。
【0019】
本発明の硬化型ジョイント化合物は、乾式で販売されるか、または水と事前に混合されて、任意選択で、ドライベースでジョイント化合物の最大約10重量%の添加剤を含むことができる。
【0020】
本発明の他の利点、利益、および態様は、添付の図に例示され、以下のより詳細な開示により当業者には理解されよう。本明細書のすべてのパーセンテージ、比率、および割合は、特に明記しない限り、重量に基づく。
【0021】
少なくとも本明細書で使用されるように、特許請求の範囲への同等物の原理の適用を限定する試みとしてではなく、「約」という用語によって修飾される各数値パラメーターは、少なくとも、報告された有効数字の数に照らして、また通常の丸め手法を適用することによって、解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】3つのジョイント化合物のチキソトロピー試験の粘度プロットを例示している。
図2】3つのジョイント化合物に関するせん断速度の増加に伴う粘度プロット(「せん断速度勾配試験」)を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書で使用されるすべてのパーセンテージおよび比は、特に明記しない限り、重量に基づく(すなわち、重量%)。
【0024】
本発明は、リン脂質除塵剤を含むジョイント化合物を提供する。リン脂質除塵剤は、一般に、低濃度でジョイント化合物に含まれる。理論によって制限されることなく考えると、低濃度は、界面活性剤としてのリン脂質の有害な影響を軽減すると考えられる。界面活性剤は、自己組織化ミセルおよびベシクルを形成する能力および界面での活性のために、組成物に分散、乳化、および発泡特性を付与するためにしばしば使用される。しかしながら、そのような特性は、気泡を発生させたり、湿式ジョイント化合物の粘度を低下させたりするなど、ジョイント化合物の性能特性を低下させる可能性がある。この場合も、限定されないが、本明細書に記載の低濃度は、典型的な界面活性剤の有害な影響を軽減し、リン脂質が除塵特性を付与することを可能にするほどに十分に低くてよい。
【0025】
さらに、低濃度のリン脂質を使用する本明細書に記載のジョイント化合物は、乾燥または硬化したときに従来のジョイント化合物と比較して、改善された滑らかさを有する好ましい粘稠性を有する。したがって、乾燥/硬化したジョイント化合物は、サンディングが少なくて済み、使用中に発生する粉塵がさらに減少する。
【0026】
ジョイント化合物
本発明は、少なくとも部分的に、乾燥/硬化したときに改善されたテクスチャー特性を有し、サンディング時に粉塵が少ないジョイント化合物に関する。より具体的には、ジョイント化合物は、リン脂質除塵剤を含む。
【0027】
さまざまなジョイント化合物が、市販されており、刊行された出版物および特許にも記載されている。一般に、そのような化合物組成物は、「乾燥型」ジョイント化合物または「硬化型」ジョイント化合物と称され、充填剤(例えば、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム半水和物、または硫酸カルシウム二水和物)、増粘剤、防腐剤、および結合剤、ならびに除塵剤のような他のさまざまな添加剤から構成される。本発明のリン脂質除塵剤は、いずれの型のジョイント化合物にも好適である。
【0028】
混合済み乾燥型ジョイント組成物は、製造中に水と事前に混合され、現場で水をほとんどまたはまったく添加する必要はない。乾燥型ジョイント組成物は、現場で水と混合される乾燥粉末でもあり得る。乾燥型ジョイント化合物は、水分が蒸発し、化合物が乾燥すると、硬化する。乾燥型ジョイント化合物は、実質的に充填剤成分を含有する。使用前(一般には製造中)に、充填剤、結合剤、増粘剤、除塵剤、および任意選択で他のいくつかの配合成分を、特定の時間、水と混合して、乾燥型ジョイント化合物を製造する。そのような組成物は、高いイオン含有量および塩基性pHを有する。乾燥型ジョイント化合物がウォールボードパネルに適用されると、組成物は、乾燥し(すなわち、水が蒸発し)、乾燥した比較的硬いセメント質の材料が残る。
【0029】
表1には、本発明の乾燥型ジョイント化合物配合物の例を提供し、水は、混合済み乾燥型ジョイントのための混合物中に存在するか、または水は、規定量で他の成分と後で混合される。表1では、表1の任意の列のパラメーターに関する範囲を、表1の任意の他の列からの他のパラメーターに関する範囲と組み合わせることができる。しかしながら、好ましくは、表1では、列内のすべての範囲が一緒に使用される。
【表1】
【0030】
本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択でワックスを含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択でロジンを含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択でシェラックを含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択でピッチを含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択で脂肪酸を含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択でトール油を含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択でポリエチレングリコールを含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択でメトキシポリエチレングリコールを含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択でポリエチレンオキシドを含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択でメトキシポリエチレンオキシドを含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択で石油を含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択で石油残留物を含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択でパラフィンを含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択で、本明細書に記載のセルロースまたはセルロース増粘剤とは異なるセルロース繊維を含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択で鉱物ウールを含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択でパーライトを含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択で水硬セメントを含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択で、乾燥ベースで30重量%未満の石膏を有することができる。
【0031】
本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択で石膏(硫酸カルシウム二水和物)を含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択で焼き石膏(硫酸カルシウム半水和物)を含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択で硫酸カルシウム無水石膏を含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型のジョイント化合物は、任意選択で、乾燥ベースでトータルで30重量%未満の石膏、焼き石膏、および硫酸カルシウム無水石膏を有することができる。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択でデンプンを含まない場合がある。
【0032】
本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択で、リン脂質除塵剤中に任意のリン脂質または官能化リン脂質以外のアニオン性界面活性剤を含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択で、リン脂質除塵剤中に任意のリン脂質または官能化リン脂質以外の界面活性剤を含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択で、リン脂質除塵剤中に任意のリン脂質または官能化リン脂質以外のカチオン性界面活性剤を含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択で、リン脂質除塵剤中に任意のリン脂質または官能化リン脂質以外の両性イオン性界面活性剤を含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択で、リン脂質除塵剤中に任意のリン脂質または官能化リン脂質以外の非イオン性界面活性剤を含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択でガラクトマンナンを含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択でポリガラクトマンナンを含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択で疎水性修飾ガラクトマンナンを含まない場合がある。本明細書に記載の乾燥型ジョイント化合物は、任意選択で疎水性修飾ポリガラクトマンナンを含まない場合がある。
【0033】
典型的には、乾燥型ジョイント化合物配合物は、本質的に、表1の成分、すなわち、一次DT充填剤、二次DT充填剤、結合剤、ポリマー増粘剤、リン脂質除塵剤、他の添加剤、および水からなる。すなわち、乾燥型ジョイント化合物配合物は、表1の成分を含み、任意選択で、リン脂質除塵剤の基本的および新規の特性に実質的に影響を及ぼさない他のリストされていない配合成分を含むことができる。理論によって制限されることなく考えると、リン脂質除塵剤に実質的に影響を及ぼす成分としては、リン脂質除塵剤に有意な数のミセルを形成させるか、またはジョイント化合物を乳化させる成分が挙げられる。あるいは、乾燥型のジョイント化合物配合物は、表1の成分からなることができる。
【0034】
硬化型ジョイント化合物は、一般に、硫酸カルシウム半水和物(CaSO・1/2HO、焼き石膏とも称される)を含む。水と混合すると、硫酸カルシウム半水和物は水和し、それにより二水和物結晶が形成され、かみ合う。完了すると、乾燥した比較的硬いセメント質の材料が残る。硫酸カルシウム半水和物の再水和は、通常は、かなり短い期間で起こる。したがって、硬化型化合物組成物は、典型的には、乾燥粉末の形で現場に供給され、次いで、ユーザーは、壁に適用するのに好適な粘稠性を化合物に付与するのに十分な量の水を添加する。
【0035】
表2は、本発明の硬化型ジョイント化合物配合物の乾燥粉末の例を提供する。使用前に、水を、約1:6~約2:1、好ましくは約1:4~約2:1、より好ましくは約1:3~約1:1、最も好ましくは約1:2の水対乾燥粉末の重量比で、乾燥粉末(水以外の乾燥成分またはジョイント化合物成分としても知られる)に添加することができる。表2aでは、表2の任意の列のパラメーターに関する範囲を、表3の任意の他の列からの他のパラメーターに関する範囲と組み合わせることができる。しかしながら、好ましくは、表2では、列内のすべての範囲が一緒に使用される。
【表2】
【0036】
本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択でワックスを含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択でロジンを含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択でシェラックを含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択でピッチを含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択で脂肪酸を含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択でトール油を含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択でポリエチレングリコールを含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択でメトキシポリエチレングリコールを含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択でポリエチレンオキシドを含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択でメトキシポリエチレンオキシドを含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択で石油を含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択で石油残留物を含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択でパラフィンを含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択で、本明細書に記載のセルロースまたはセルロース増粘剤とは異なるセルロース繊維を含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択で鉱物ウールを含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択でパーライトを含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択で水硬セメントを含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択でデンプンを含まない場合がある。硬化開始前に本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択で、乾燥ベースで、総石膏(硫酸カルシウム二水和物)および硫酸カルシウム無水石膏を、含まない場合か、または30重量%未満有する場合がある。
【0037】
本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択で、リン脂質除塵剤中に任意のリン脂質または官能化リン脂質以外の界面活性剤を含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択で、リン脂質除塵剤中に任意のリン脂質または官能化リン脂質以外のアニオン性界面活性剤を含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択で、リン脂質除塵剤中に任意のリン脂質または官能化リン脂質以外のカチオン性界面活性剤を含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択で、リン脂質除塵剤中に任意のリン脂質または官能化リン脂質以外の両性イオン性界面活性剤を含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択で、リン脂質除塵剤中に任意のリン脂質または官能化リン脂質以外の非イオン性界面活性剤を含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択でガラクトマンナンを含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択でポリガラクトマンナンを含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択で疎水性修飾ガラクトマンナンを含まない場合がある。本明細書に記載の硬化型ジョイント化合物は、任意選択で疎水性修飾ポリガラクトマンナンを含まない場合がある。
【0038】
典型的には、硬化型ジョイント化合物配合物は、本質的に、表2の成分、すなわち、硫酸カルシウム半水和物、ST充填剤、結合剤、ポリマー増粘剤、リン脂質除塵剤、および他の添加剤からなる。すなわち、硬化型ジョイント化合物配合物は、表2の成分を含み、任意選択で、リン脂質除塵剤の基本的および新規の特性に実質的に影響を及ぼさない他のリストされていない配合成分を含むことができる。理論によって制限されることなく考えると、リン脂質除塵剤に実質的に影響を及ぼす成分としては、リン脂質除塵剤に有意な数のミセルを形成させるか、またはジョイント化合物を乳化させる成分が挙げられる。あるいは、硬化型のジョイント化合物配合物は、表2の成分からなることができる。
【0039】
混合済み硬化型ジョイント化合物は、使用前の硬化を防ぐのに十分な濃度の硬化遅延剤を含有する水性スラリー硬化型ジョイント化合物である。使用する準備ができたら、促進剤を、所望の硬化時間を達成する量で添加する。
【0040】
表3は、本発明の混合済み硬化型ジョイント化合物配合物の乾燥粉末の例を提供する。表3では、表3の任意の列のパラメーターに関する範囲を、表3の任意の他の列からの他のパラメーターに関する範囲と組み合わせることができる。しかしながら、好ましくは、表3では、列内のすべての範囲が一緒に使用される。
【表3】
【0041】
本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択でワックスを含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択でロジンを含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択でシェラックを含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択でピッチを含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択で脂肪酸を含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択でトール油を含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択でポリエチレングリコールを含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択でメトキシポリエチレングリコールを含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択でポリエチレンオキシドを含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択でメトキシポリエチレンオキシドを含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択で石油を含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択で石油残留物を含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択でパラフィンを含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択で、本明細書に記載のセルロースまたはセルロース増粘剤とは異なるセルロース繊維を含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択で鉱物ウールを含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択でパーライトを含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択で水硬セメントを含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択でデンプンを含まない場合がある。
【0042】
硬化開始前に本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択で、乾燥ベースで、総石膏(硫酸カルシウム二水和物)および硫酸カルシウム無水石膏を、含まない場合か、または30重量%未満有する場合がある。
【0043】
本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択で、リン脂質除塵剤中に任意のリン脂質または官能化リン脂質以外の界面活性剤を含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択で、リン脂質除塵剤中に任意のリン脂質または官能化リン脂質以外のアニオン性界面活性剤を含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択で、リン脂質除塵剤中に任意のリン脂質または官能化リン脂質以外のカチオン性界面活性剤を含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択で、リン脂質除塵剤中に任意のリン脂質または官能化リン脂質以外の両性イオン性界面活性剤を含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択で、リン脂質除塵剤中に任意のリン脂質または官能化リン脂質以外の非イオン性界面活性剤を含まない場合がある。
【0044】
本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択でガラクトマンナンを含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択でポリガラクトマンナンを含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択で疎水性修飾ガラクトマンナンを含まない場合がある。本明細書に記載の混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択で疎水性修飾ポリガラクトマンナンを含まない場合がある。
【0045】
典型的には、混合済み硬化型ジョイント化合物配合物は、本質的に、表3の成分、すなわち、硫酸カルシウム半水和物、ST充填剤、結合剤、ポリマー増粘剤、リン脂質除塵剤、他の添加剤、および水からなる。すなわち、混合済み硬化型ジョイント化合物配合物は、表3の成分を含み、任意選択で、リン脂質除塵剤の基本的および新規の特性に実質的に影響を及ぼさない他のリストされていない配合成分を含むことができる。理論によって制限されることなく考えると、リン脂質除塵剤に実質的に影響を及ぼす成分としては、リン脂質除塵剤に有意な数のミセルを形成させるか、またはジョイント化合物を乳化させる成分が挙げられる。あるいは、混合済み硬化型のジョイント化合物配合物は、表3の成分からなることができる。
【0046】
リン脂質除塵剤
本発明で使用されるリン脂質除塵剤は、1つ以上のリン脂質および/または官能化リン脂質を含む。
【0047】
リン脂質除塵剤は、ジョイント化合物配合物の乾燥成分か、またはジョイント化合物スラリーのいずれかと混合された粉末であり得る。あるいは、リン脂質除塵剤を水性溶媒に分散させ、ジョイント化合物スラリーに添加することができる。乾燥粉末を使用することが好ましい。
【0048】
成分リン脂質除塵剤の例としては、レシチン(ホスファチジルコリン)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルグリセロール、およびそれらの混合物を挙げることができるが、それらに限定されない。これらの例は、本明細書では非官能化リン脂質とも称される。レシチンは、脱油されたレシチン(すなわち、実質的にオイルを含まない(オイル5重量%未満の)レシチン)であり得る。レシチンは、大豆、卵黄、ヒマワリ、菜種、およびトウモロコシを含むがそれらに限定されない天然源からのものであり得る。
【0049】
官能化リン脂質としては、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリエチレンオキシド(PEO)と複合化(または誘導体化)された前述のリン脂質、蛍光または発色染料、タンパク質、ペプチド、炭水化物(例えば、セルロース、デンプン、加工セルロース、加工デンプン)、ステロール、脂肪酸、または合成ポリマーが挙げられる。本明細書で使用される場合、PEG官能化リン脂質およびPEO官能化リン脂質は、それぞれ、PEGおよびPEOと同等ではない。すなわち、リン脂質除塵剤は、PEG官能化リン脂質を含む場合があり、PEGを含まない場合がある。
【0050】
PEGまたはPEOがリン脂質上の官能基である場合、PEGまたはPEOの乾燥ベースでの重量百分率は、総リン脂質組成物を基準として約0.1モル%~10モル%である。好ましくは、本発明は、ペグ化リン脂質(例えば、天然リン脂質および/または合成リン脂質)および/またはメトキシポリ(エチレングリコール)-ホスファチジルエタノールアミン(mPEG-PE)を、ジョイント化合物配合物に組み込んで、必要な除塵効果を提供する。除塵効果とは、除塵添加剤なしで同様の材料を妨害することと比較して、サンディングまたは他のディスターバンスの際に生成される微細な浮遊粉塵の生成の減少および/または浮遊粉塵の滞留時間の短縮である。
【0051】
前述のものなどの1つ以上を含むことができるリン脂質除塵剤は、本発明の組成物中に、乾燥ベースで下限、0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.5重量%で存在し得る。さらに、リン脂質除塵剤は、本発明の組成物中に、乾燥ベースで上限(上限よりも低い前述の任意の下限と組み合わせて)、3重量%、または2.5重量%、または2重量%、または1.5重量%、または1重量%、または0.5重量%で存在し得る。一例では、リン脂質除塵剤が非官能化リン脂質(例えば、レシチン)からなるとき、リン脂質除塵剤は、本発明の組成物中に、乾燥ベースで下限、0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%、または0.3重量%、または0.5重量%で存在し得る。さらに、非官能化リン脂質からなるリン脂質除塵剤は、本発明の組成物中に、乾燥ベースで下限(上限よりも低い前述の任意の下限と組み合わせて)、1.5重量%、または1重量%、または0.5重量%で存在し得る。別の例では、リン脂質除塵剤が、任意選択で非官能化リン脂質と一緒に、官能化リン脂質(例えば、PEG-レシチン)を含むとき、リン脂質除塵剤は、本発明の組成物中に、乾燥ベースで下限、0.1重量%、または0.2重量、または0.3重量%、または0.5重量%で存在し得る。さらに、そのようなリン脂質除塵剤は、乾燥ベースで上限(上限よりも低い前述の任意の下限と組み合わせて)、3重量%、または2.5重量%、または2重量%、または1.5重量%、または1重量%、または0.5重量%で存在し得る。
【0052】
硫酸カルシウム半水和物
硬化型ジョイント化合物および混合済み硬化型ジョイント化合物は、硫酸カルシウム半水和物を含む。使用される2つの主要な形態が存在し、アルファおよびベータ結晶形態がある。一般に、アルファ形態は、2つのうちでより高価であり、より丈夫な製品を生成する。ベータ形態は、多くの用途に適しており、安価であるため、より一般的に使用される。本発明のジョイント化合物については、混合物を含むいずれかのタイプの半水和物を使用することができるが、アルファ形態が好ましい。
【0053】
硬化型ジョイント化合物および混合済み硬化型ジョイント化合物の場合、硫酸カルシウム半水和物は、ジョイント化合物の乾燥ベースで約20重量%~約99重量%、好ましくは乾燥ベースで約50重量%~約98重量%、より好ましくは乾燥ベースで60重量%~約80重量%、最も好ましくは乾燥ベースで約65重量%~約75重量%で含まれ得る。
【0054】
充填剤
本発明のジョイント化合物のための充填剤の例としては、炭酸カルシウム(または石灰石)、硫酸カルシウム二水和物、タルク、ガラス微小気泡、雲母、パーライト、パイロフィライト、シリカ、硫酸カルシウム無水石膏、硫酸カルシウム半水和物(硬化遅延剤の存在下で)、珪藻土、粘土(例えば、アタパルジャイト、セピオライト、およびカオリン)、樹脂ミクロスフェア、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0055】
好ましくは、充填剤の組成および濃度は、ジョイント化合物の型ごとに異なり、本明細書では、乾燥タイプの場合はDT、硬化タイプの場合はSTと区別される。ST充填剤は、硬化型ジョイント化合物または混合済み硬化型ジョイント化合物において使用することができる。
【0056】
乾燥型ジョイント化合物は、好ましくは、一次DT充填剤および任意選択で二次DT充填剤を含む。一次DT充填剤の例としては、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム二水和物、タルク、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0057】
乾燥型ジョイント化合物の場合、一次DT充填剤は、好ましくは、ジョイント化合物の乾燥ベースで約50重量%~約98重量%、より好ましくは乾燥ベースで約50重量%~約93重量%で含まれ得る。例えば、一次DT充填剤としての炭酸カルシウムは、好ましくは、乾燥ベースで約65重量%~約93重量%で、乾燥型ジョイント化合物に含まれ得る。別の例では、一次DT充填剤としての硫酸カルシウム二水和物は、好ましくは、乾燥ベースで約50重量%~約93重量%、より好ましくは約55重量%~約75重量%で、乾燥型ジョイント化合物に含まれ得る。
【0058】
二次DT充填剤の例としては、ガラス微小気泡、雲母、パーライト、パイロフィライト、シリカ、硫酸カルシウム無水石膏、珪藻土、粘土(例えば、アタパルジャイト、セピオライト、およびカオリン)、樹脂ミクロスフェア、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。二次DT充填剤は、充填剤として有用であり、ジョイント化合物に特定の特性を付与するために使用され得る。例えば、雲母は、それが乾燥するときのジョイント化合物のひび割れを減らすのを助け、乾燥ベースで最大25重量%の量が好ましい。ジョイント化合物のボディ(body)および作業性を改善するために、またレオロジー調整剤として、乾燥ベースで最大約10重量%の量で粘土を添加することも好ましい。
【0059】
乾燥型ジョイント化合物の場合、二次DT充填剤は、ジョイント化合物の乾燥ベースで最大約25重量%、好ましくは乾燥ベースで約3重量%~約25重量%、より好ましくは乾燥ベースで約4重量%~約25重量%で含まれ得る。
【0060】
硬化型ジョイント化合物および混合済み硬化型ジョイント化合物は、任意選択で充填剤を含む。硬化型ジョイント化合物および混合済み硬化型ジョイント化合物のための充填剤の例としては、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム二水和物、タルク、ガラス微小気泡、雲母、パーライト、パイロフィライト、シリカ、硫酸カルシウム無水石膏、珪藻土、粘土(例えば、アタパルジャイト、セピオライト、およびカオリン)、樹脂ミクロスフェア、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。そのような充填剤は、充填剤として有用であり得、また、ジョイント化合物に特定の特性を付与するためにも使用し得る。例えば、乾燥ベースで最大約10重量%の量の粘土を使用して、ジョイント化合物のボディ(body)および作業性を改善するために、ならびにレオロジー調整剤として、使用することができる。別の例では、炭酸カルシウムを乾燥ベースで約10重量%~約20重量%で含めて、ジョイント化合物にバルクを添加することができる。
【0061】
硬化型ジョイント化合物および混合済み硬化型ジョイント化合物の場合、充填剤は、含まれる際には、ジョイント化合物の乾燥ベースで約1重量%~約30重量%、好ましくは乾燥ベースで約5重量%~約30重量%、より好ましくは乾燥ベースで約5重量%~約25重量%であり得る。
【0062】
パーライトまたは膨張パーライトは、ジョイント化合物(すなわち、乾燥型、硬化型、混合済み、および/または硬化型)が軽量であることが好ましい場合に、使用され得る軽量充填剤である。軽量ジョイント化合物における膨張パーライトの使用は、米国特許第4,454,267号に教示されており、それは、参照により本明細書に組み込まれる。膨張パーライトは、非常に軽量な材料であり、多くのひび割れや亀裂が含まれている。膨張パーライトは、毛細管現象によって吸収された水に起因して材料の重量が増加しないように、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,525,388号の教示に従って処理することができる。処理され、膨張したパーライトは、使用される際には、好ましくは、ジョイント化合物の乾燥ベースで少なくとも5重量%の濃度で存在する。
【0063】
本発明の任意のジョイント化合物は、任意選択で、軽量配合物中の膨張パーライトの代わりに、またはそれに加えて使用される充填剤として樹脂ミクロスフェアを含む。本発明での使用に好適な好ましいシェル樹脂は、ホモポリマー、コポリマー、または、アクリロニトリル(「ACN」)、塩化ビニリデン(「VDC」)、もしくはメタクリル酸メチル(「MMA」のモノマーのうちの1つ以上から形成される、ホモポリマーおよび/もしくはコポリマーのブレンドである。特に好ましい樹脂は、ポリアクリロニトリル(「PACN」)、ポリ塩化ビニリデン(「PVDC」)、ACNおよびVDCから形成されたコポリマー、ならびにACN、VDC、およびMMAから見出されたコポリマーである。ミクロスフェアは、崩壊することなく圧縮に対して高い弾力性を示し(砕けにくい)、典型的なジョイント処理製造プロセスおよびその後の顧客の準備で加えられるせん断応力に耐えることができる(せん断安定性)。
【0064】
結合剤
ジョイント化合物での使用に好適な任意の結合剤は、本発明での使用に適する。結合剤は、ジョイント化合物の、その基材に対する、典型的には乾式壁に対する接着を強化することができる。好ましい結合剤は、極端に硬いというよりも、柔軟でしなやかである。硬質結合剤は、しなやかなポリマーと比較して、より微細な塵粒子を作り出す可能性がある。
【0065】
結合剤の例としては、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、塩化ビニル、ビニルアクリルコポリマー、スチレンアクリル、スチレンブタジエン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアクリル、ラテックスエマルジョン、天然および合成デンプン、カゼイン、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0066】
乾燥型ジョイント化合物の場合、結合剤は、ジョイント化合物の乾燥ベースで約1重量%~約15重量%、好ましくは乾燥ベースで約1重量%~約10重量%、最も好ましくは乾燥ベースで約1重量%~約8重量%で含まれ得る。
【0067】
硬化型ジョイント化合物の場合、結合剤は、ジョイント化合物の乾燥ベースで約0.5重量%~約8重量%、好ましくは乾燥ベースで約1重量%~約8重量%、最も好ましくは乾燥ベースで約1重量%~約4重量%で含まれ得る。
【0068】
混合済み硬化型ジョイント化合物の場合、結合剤は、含まれる際には、ジョイント化合物の乾燥ベースで約0.1重量%~約8重量%、好ましくは乾燥ベースで約0.5重量%~約6重量%、最も好ましくは乾燥ベースで約1重量%~約4重量%で含まれ得る。
【0069】
例えば、ラテックスエマルジョン結合剤は、しばしば、ジョイント化合物(乾燥型および/または硬化型)で使用され、本発明のジョイント化合物に含まれ得る。例としては、ポリ酢酸ビニルおよびエチレン酢酸ビニルエマルジョンが挙げられる。使用される量は、ジョイント化合物の乾燥ベースで約1.5重量%~約7重量%、好ましくは乾燥ベースで約2重量%~約5.5重量%の範囲であり得る。
【0070】
充填剤の総量対結合剤の総量の重量比は、好ましくは約15:1~約5:1の範囲である。
【0071】
ポリマー増粘剤
ポリマー増粘剤は、本発明のジョイント化合物に添加される。組成物に水が添加されると、増粘剤は水和して膨潤し、それによりジョイント化合物は増粘する。増粘剤は、例えば、ジョイント化合物と一般的に関連のあるボディおよび流動性を作り出す支援をするのに役立つ。好ましくは、増粘剤は、水が組成物に添加された後の混合プロセス中に実質的に水和し、混合が完了した後に増粘剤の水和がほとんどまたは全く起こらず、ジョイント化合物における塊りの形成を防止するように選択される。
【0072】
ポリマー増粘剤の例としては、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース系ガム(例えば、キサンタンガム、アラビアゴム、アルギネート、ペクチン、およびグアーガム)、およびそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されない。
【0073】
硬化型ジョイント化合物の場合、ポリマー増粘剤は、ジョイント化合物の乾燥ベースで約0.05重量%~約3重量%、好ましくは乾燥ベースで約0.1重量%~約3重量%、より好ましくは乾燥ベースで0.1重量%~約2重量%、最も好ましくは乾燥ベースで約0.5重量%~約2重量%で含まれ得る。
【0074】
硬化型ジョイント化合物の場合、ポリマー増粘剤は、ジョイント化合物の乾燥ベースで約0.05重量%~約2重量%、好ましくは乾燥ベースで約0.1重量%~約2重量%、最も好ましくは乾燥ベースで約0.1重量%~約1重量%で含まれ得る。
【0075】
混合済み硬化型ジョイント化合物の場合、ポリマー増粘剤は、含まれる際には、ジョイント化合物の乾燥ベースで0.01重量%~約2重量%、好ましくは乾燥ベースで約0.1重量%~約2重量%、最も好ましくは乾燥ベースで約0.1重量%~約1重量%で含まれ得る。
【0076】
硬化遅延剤
硬化遅延剤は、混合済み硬化型ジョイント化合物中に含まれる。硬化遅延剤は、任意選択で、乾燥型ジョイント化合物および硬化型ジョイント化合物に含まれ、表1および2の他の添加剤のうちの1つと考えられる。
【0077】
硬化遅延剤(または硬化抑制剤または硬化防止剤)は、ジョイント化合物の硬化および/または乾燥を遅延させて、ジョイント化合物を適切に適用するための十分な時間を提供する。
【0078】
硬化遅延剤の例としては、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,779,786号に記載されているように、アクリル酸およびアクリルアミドモノマー単位を含むポリマー組成物(例えば、アクリル酸とアクリルアミドとのコポリマー(もしくはコポリマーの混合物)、またはアクリル酸のホモポリマーとアクリルアミドのホモポリマーとのブレンド)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0079】
カルシウムを含まないリン酸硬化遅延剤の追加の例としては、米国特許第5,746,822号に記載されているように、ヘキサメタリン酸亜鉛、トリポリリン酸カリウム、ピロリン酸テトラナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、リン酸一アンモニウム、および一塩基性リン酸が挙げられるが、それらに限定されない。
【0080】
硬化遅延剤の例としては、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,805,741号に記載されているように、ポリアクリル酸および/またはポリアクリル酸の塩を含むポリマー組成物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0081】
混合済み硬化型ジョイント化合物の場合、硬化遅延剤は、ジョイント化合物の乾燥ベースで約0.001重量%~約2重量%、好ましくは乾燥ベースで約0.01重量%~約2重量%、より好ましくは乾燥ベースで0.1重量%~約1重量%、最も好ましくは乾燥ベースで約0.25重量%~約0.75重量%で含まれ得る。
【0082】
乾燥型ジョイント化合物および硬化型ジョイント化合物の場合、硬化遅延剤は、含まれる際には、ジョイント化合物の乾燥ベースで約0.001重量%~約2重量%、好ましくは乾燥ベースで約0.01重量%~約2重量%、より好ましくは乾燥ベースで約0.1重量%~約1重量%、最も好ましくは乾燥ベースで約0.25重量%~約0.75重量%で含まれ得る。
【0083】
硬化促進剤
硬化促進剤は、使用時に、混合済み硬化型ジョイント化合物に添加される。硬化促進剤は、任意選択で、乾燥型ジョイント化合物および硬化型ジョイント化合物に含まれ、表1および2の他の添加剤のうちの1つと考えられる。
【0084】
硬化促進剤(または硬化開始剤または活性剤)は、ジョイント化合物の硬化および/または乾燥を促進および/または開始させる。
【0085】
硬化開始剤の例としては、本明細書に組み込まれる米国特許第5,779,786号に記載されているように、酸性カチオン、例えば、硫酸アルミニウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、硫酸第二鉄、塩化第二鉄、およびそれらの混合物を供給する金属塩が挙げられるが、それらに限定されない。硬化開始剤の別の例としては、任意選択で酸化鉄と組み合わせる硫酸亜鉛(例えば、19:1の重量比で)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0086】
硬化開始剤の追加の例としては、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,805,741号に記載されているように、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸、塩酸、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸カルシウム二水和物、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0087】
硬化開始剤は、場合によっては、アミンキレート剤も含むことができる。
【0088】
硬化開始剤は、硬化遅延剤に対する重量比約1.2:1~約6:1、好ましくは約2:1~約6:1で、混合済み硬化型ジョイント化合物に添加することができる。
【0089】
使用される際には、硬化開始剤は、硬化遅延剤に対する重量比約1.2:1~約6:1、好ましくは約2:1~約6:1で、乾燥型ジョイント化合物および硬化型ジョイント化合物に含ませることができるか、または添加することができる。
【0090】
他の添加剤
ジョイント化合物中に任意選択で含まれる他の添加剤としては、防腐剤、殺真菌剤、殺菌剤、消泡剤、グリコール、保湿剤、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0091】
乾燥型ジョイント化合物の場合、含まれる際には、他の添加剤(総量で)は、ジョイント化合物の乾燥ベースで約0.01重量%~約10重量%、好ましくは乾燥ベースで約0.1重量%~約10重量%で含まれ得る。
【0092】
硬化型ジョイント化合物および混合済み硬化型ジョイント化合物の場合、含まれる際には、他の添加剤(総量で)は、ジョイント化合物の乾燥ベースで約0.01重量%~約10重量%、好ましくは乾燥ベースで約0.01重量%~約5重量%、最も好ましくは乾燥ベースで約0.1重量%~約1.0重量%で含まれ得る。
【0093】
消泡剤は、特に混合時に形成し得る気泡の形成を低減または妨害する。消泡剤の例としては、炭化水素系消泡剤、シリコン系消泡剤、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。
【0094】
グリコールをジョイント化合物において使用して、ウェットエッジ、オープンタイム、乾燥時間の制御、凍結/解凍安定性などのジョイント化合物に対する機能特性を提供することができる。グリコールの例としては、ジエチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。含まれる際には、本発明のジョイント化合物において使用されるグリコールの量は、好ましくは、ジョイント化合物の乾燥ベースで約0.1重量%~約1重量%の範囲である。
【0095】
方法
本明細書に記載のジョイント化合物は、表面(例えば、石膏ボード)に適用することができ、乾燥および/または硬化させることができる。次いで、乾燥/硬化したジョイント化合物を乾式サンディング、湿式サンディング、またはスポンジで拭うことができる。あるいは、本明細書に記載のジョイント化合物は、乾燥/硬化の際に、改善された滑らかさを有するため、ジョイント化合物は、乾燥および/または硬化後に、湿式サンディングすることができる。
【0096】
乾式サンディングは、一般に、乾式サンドペーパーで、任意選択で真空アタッチメントで(例えば、乾式壁真空サンダーを使用して)、研磨することによって、行われる。湿式サンディングは、例えば、湿式サンドペーパーで研磨することによって、行われる。スポンジで拭うとは、水で湿潤させたスポンジで、適用したジョイント化合物を、摩擦することである。これらの1つ以上は、形成された粉塵を捕集するために、真空アタッチメントを使用して(例えば、乾式壁真空サンダーを使用して)行うことができる。代替的または追加的に、これらの方法の1つ以上は、負圧エンクロージャー(例えば、エンクロージャー内に負圧を生成するためのファンを備えたプラスチックエンクロージャー)内で行うことができる。
【0097】
本発明の製品のさまざまな特徴を説明する条項
条項1.乾燥ベースの重量パーセントで、
約25%~約98%の充填剤と、
約1%~約45%の結合剤と、
約0.01%~約3%のリン脂質除塵剤と、を含むジョイント化合物。
【0098】
条項2.ジョイント化合物が、乾燥型ジョイント化合物であって、
そのジョイント化合物が、乾燥ベースの重量パーセントで、
充填剤であって、
乾燥ベースでジョイント化合物の約50重量パーセント(重量%)~約98重量%の一次充填剤であって、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム二水和物、もしくはタルク、またはそれらの混合物である、一次充填剤と、
乾燥ベースでジョイント化合物の最大約25重量%の二次充填剤と、を含む、充填剤と、
約1重量%~約15重量%の結合剤と、
約0.01重量%~約3重量%のリン脂質除塵剤と、を含む乾燥型ジョイント化合物であり、
そのジョイント化合物が、乾燥ベースの重量パーセントで約0.05重量%~約3重量%のポリマー増粘剤をさらに含む、条項1に記載のジョイント化合物。
【0099】
条項3.ジョイント化合物が、乾燥型ジョイント化合物であり、
水をさらに含み、
そのジョイント化合物が、乾燥ベースの重量パーセントで、
充填剤であって、
乾燥ベースでジョイント化合物の約50重量パーセント(重量%)~約98重量%の一次充填剤であって、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム二水和物、もしくはタルク、またはそれらの混合物である、一次充填剤と、
乾燥ベースでジョイント化合物の最大約25重量%の二次充填剤と、を含む充填剤と、
約1重量%~約15重量%の結合剤と、
約0.01重量%~約3重量%のリン脂質除塵剤と、を含む、水以外のジョイント化合物成分を含み、
水以外のジョイント化合物成分が、乾燥ベースの重量パーセントで、約0.05重量%~約3重量%のポリマー増粘剤をさらに含み、
水対水以外のジョイント化合物成分の重量比が、約1:6~約2:1である、条項1に記載のジョイント化合物。
【0100】
条項4.
水以外のジョイント化合物成分が、乾燥ベースの重量パーセントで、
約50重量%~約93重量%の一次充填剤であって、その一次充填剤が炭酸カルシウムである、一次充填剤と、
約3重量%~約25重量%の二次充填剤と、
約1重量%~約10重量%の結合剤と、
約0.1重量%~約2重量%のポリマー増粘剤と、
約0.1重量%~約1.5重量%のリン脂質除塵剤と、を含み、
水対水以外のジョイント化合物成分の重量比が、約1:3~約1:1である、条項3に記載のジョイント化合物。
【0101】
条項5.
水以外のジョイント化合物成分が、乾燥ベースの重量パーセントで、
約65重量%~約93重量%の一次充填剤であって、その一次充填剤が硫酸カルシウム二水和物である、一次充填剤と、
約3重量%~約25重量%の二次充填剤と、
約1重量%~約10重量%の結合剤と、
約0.1重量%~約2重量%のポリマー増粘剤と、
約0.1重量%~約1.5重量%のリン脂質除塵剤と、を含み、
水対水以外のジョイント化合物成分の重量比が、約1:3~約1:1である、条項3に記載のジョイント化合物。
【0102】
条項6.乾燥ベースの重量パーセントで、
乾燥ベースで硬化型ジョイント化合物の約20重量パーセント(重量%)~約99重量%の硫酸カルシウム半水和物と、
最大約30%の充填剤と、
最大約8重量%の結合剤と、
最大約2重量%のポリマー増粘剤と、
約0.01%~約3%のリン脂質除塵剤と、を含むジョイント化合物。
【0103】
条項7.
ジョイント化合物が、硬化型ジョイント化合物であり、乾燥ベースの重量パーセントで、
約20重量パーセント(wt%)~約99重量%の硫酸カルシウム半水和物と、
最大約30重量%の充填剤と、
約0.5重量%~約8重量%の結合剤と、
約0.01重量%~約3重量%のリン脂質除塵剤と、を含み、
乾燥ベースの重量パーセントで、約0.05重量%~約2重量%のポリマー増粘剤をさらに含む、条項6に記載のジョイント化合物。
【0104】
条項8.ジョイント化合物が、乾燥ベースの重量パーセント(重量%)で、
約60重量%~約85重量%の硫酸カルシウム半水和物と、
約5重量%~約30重量%の二次充填剤と、
約1重量%~約4重量%の結合剤と、
約0.1重量%~約1重量%のポリマー増粘剤と、
約0.1重量%~約1.5重量%のリン脂質除塵剤と、を含む、条項6に記載のジョイント化合物。
【0105】
条項9.
ジョイント化合物が、水および硬化遅延剤をさらに含む混合済み硬化型ジョイント化合物であり、
そのジョイント化合物が、乾燥ベースの重量パーセント(重量%)で、
約20重量%~約99重量%の硫酸カルシウム半水和物と、
最大約30重量%の充填剤と、
最大約8重量%の結合剤と、
最大約2重量%のポリマー増粘剤と、
約0.01重量%~約3重量%のリン脂質除塵剤と、
約0.001重量%~約2重量%の硬化遅延剤と、を含む、水以外のジョイント化合物成分を含み、
水対水以外のジョイント化合物成分の重量比が、約1:6~約2:1である、条項6に記載のジョイント化合物。
【0106】
条項10.ジョイント化合物が、乾燥ベースの重量パーセント(重量%)で、
約60重量%~約99重量%の硫酸カルシウム半水和物と、
約5重量%~約30重量%の充填剤と、
約0.1重量%~約1重量%の硬化遅延剤と、
最大約4重量%の結合剤と、
約0.1重量%~約2重量%のポリマー増粘剤と、
約0.1重量%~約1.5重量%のリン脂質除塵剤と、を含み、
水対水以外のジョイント化合物成分の重量比が、約1:3~約1:1である、条項9に記載のジョイント化合物。
【0107】
条項11.リン脂質除塵剤が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、およびホスファチジルグリセロールのうちの1つ以上を含む、条項1~10のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0108】
条項12.リン脂質除塵剤が、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、蛍光色素、発色性色素、タンパク質、ペプチド、炭水化物、ステロール、脂肪酸、および合成ポリマーのうちの1つ以上と複合化された1つ以上のリン脂質を含む、条項1~10のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0109】
条項13.ワックスを含まない条項1~12のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0110】
条項14.ロジンを含まない条項1~13のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0111】
条項15.シェラックを含まない条項1~14のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0112】
条項16.ピッチを含まない条項1~15のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0113】
条項17.脂肪酸を含まない条項1~16のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0114】
条項18.トール油を含まない条項1~17のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0115】
条項19.ポリエチレングリコールを含まない条項1~18のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0116】
条項20.メトキシポリエチレングリコールを含まない条項1~19のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0117】
条項21.ポリエチレンオキシドを含まない条項1~20のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0118】
条項22.メトキシポリエチレンオキシドを含まない条項1~21のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0119】
条項23.石油を含まない条項1~22のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0120】
条項24.石油残留物を含まない条項1~23のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0121】
条項25.パラフィンを含まない条項1~24のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0122】
条項26.ワックス、ロジン、シェラック、ピッチ、脂肪酸、トール油、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、メトキシポリエチレンオキシド、石油、石油残留物、およびパラフィンを含まない、条項1~25のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0123】
条項27.ガラクトマンナンを含まない、条項1~26のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0124】
条項28.ポリガラクトマンナンを含まない、条項1~27のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0125】
条項29.疎水性修飾ガラクトマンナンを含まない、条項1~28のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0126】
条項30.疎水性修飾ポリガラクトマンナンを含まない、条項1~29のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0127】
条項31.ガラクトマンナン、ポリガラクトマンナン、疎水性修飾ガラクトマンナン、および疎水性修飾ポリガラクトマンナンを含まない、条項1~30のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0128】
条項32.でんぷんを含まない、条項1~31のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0129】
条項33.セルロース繊維を含まない、条項1~32のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0130】
条項34.鉱物ウールを含まない、条項1~33のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0131】
条項35.パーライトを含まない、条項1~34のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0132】
条項36.水硬セメントを含まない、条項1~35のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0133】
条項37.でんぷん、セルロース繊維、鉱物ウール、パーライト、および水硬セメントを含まない、条項1~36のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0134】
条項38.リン脂質除塵剤のリン脂質および/または官能化リン脂質以外のアニオン性界面活性剤を含まない、条項1~37のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0135】
条項39.リン脂質除塵剤のリン脂質および/または官能化リン脂質以外のカチオン性界面活性剤を含まない、条項1~38のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0136】
条項40.リン脂質除塵剤のリン脂質および/または官能化リン脂質以外の非イオン性界面活性剤を含まない、条項1~39のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0137】
条項41.リン脂質除塵剤のリン脂質および/または官能化リン脂質以外の両性イオン性界面活性剤を含まない、条項1~40のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0138】
条項42.リン脂質除塵剤のリン脂質および/または官能化リン脂質以外の界面活性剤を含まない、条項1~41のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0139】
条項43.ジョイント化合物が、石膏を含まない、条項1~6のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0140】
条項44.ジョイント化合物が、焼き石膏を含まない、条項1~6のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0141】
条項45.ジョイント化合物が、石膏および焼き石膏を含まない、条項1~6のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0142】
条項46.ジョイント化合物が、ホスト粒子を含まない、条項1~6のいずれかに記載のジョイント化合物。
【0143】
条項47.方法であって、
条項1~46のいずれかに記載のジョイント化合物を表面に適用することと、
そのジョイント化合物を乾燥かつ/または硬化させることと、
乾燥および/または硬化後に、ジョイント化合物を乾式サンディングすることと、を含む、方法。
【0144】
条項48.方法であって、
条項1~46のいずれかに記載のジョイント化合物を表面に適用することと、
そのジョイント化合物を乾燥かつ/または硬化させることと、
乾燥および/または硬化後に、ジョイント化合物を湿式サンディングすることと、を含む、方法。
【実施例
【0145】
本明細書の実施例では、上記のように、組成物または製品配合のパーセンテージは、特に明記しない限り、重量パーセンテージである。報告した測定値は、特に明記しない限りは、おおよその量、例えば、おおよそのパーセンテージ、重量、温度、距離、または他の特性でもある。
【0146】
実施例1.乾燥型ジョイント化合物は、式1の除塵剤が脱油大豆レシチンである表4に従って製造した。対照はレシチンを有していなかった。水対乾燥成分の重量比を除いて、表4の成分のすべての量は、乾燥(水を含まない)重量パーセントに基づいている。
【表4】
【0147】
乾燥したジョイント化合物を、密閉された部屋で一定の力で40秒間研磨した際に発生した粉塵の量について、ジョイント化合物を試験した。平均の粉塵は、粉塵追跡装置を使用して15分間測定した。対照サンプルは、平均9.5mg/mの粉塵を生成したが、配合1は、平均4.3mg/mの粉塵を生成した。これは、生成される粉塵の55%の減少である。この実施例は、低濃度で、本発明のリン脂質除塵剤が、粉塵の生成を有意に減少させたことを示している。
【0148】
さらに、2つの乾燥したジョイント化合物を視覚的に比較し、配合1は、乾燥/硬化した際にはより滑らかであり、それは、所望の外観を提供するためにより必要な研磨が少なくて済む。
【0149】
実施例2.リン脂質除塵剤として脱油大豆レシチンを有する追加の配合物を調製した。1.5重量%以上の脱油大豆レシチンの濃度では、添加後のジョイント化合物の粘稠性は理想的ではなく、高レベルの分散剤または界面活性剤が提案され、それは、ジョイント化合物として機能する組成物に有害であった。
【0150】
実施例3.除塵剤として乾燥ベースで2.0重量%のPEG(約800g/mol以下の分子量)を含有する乾燥型のジョイント化合物配合物は、除塵剤を含まない対照配合物と比較して、平均粉塵濃度を60.1%減少させた。さらに、除塵剤として乾燥ベースで0.5重量%の脱油大豆レシチンを有する同等の乾燥型ジョイント化合物配合物は、除塵添加剤を含まない対照と比較して、粉塵を55%減少させた。これは、レシチンが、重量およびモルベースで除塵添加剤として有意により効率的であり得ることを示唆している。これらのジョイント化合物配合物はすべて、上記と同じ実験プロトコルに従ってサンディングした。
【0151】
実施例4レシチンの代わりに、3つのジョイント化合物:すなわち、対照(表4)、配合1(表4)、および配合2(レシチンの代わりの2.0重量%PEG(実施例3のように約800g/mol)を除いた表2の配合1)を調べた。
【0152】
3つのジョイント化合物のチキソトロピー特性を、構造を除去するための高せん断ドリル、すなわち、せん断速度0.2/sで3分、次いでせん断速度10/sで3分、次いでせん断速度0.1/sで3分によって、サンプルにせん断力を適用することにより試験した。チキソトロピー試験は、定常状態を達成し、次いで、劇的に変化させて流体の応答時間を測定する。図1は、チキソトロピー試験の粘度プロファイルである。表5に、低せん断速度と高せん断速度でのサンプルの粘度を示す。
【表5】
【0153】
対照および配合2のサンプルは、粘度が時間の経過とともに増加する低せん断速度での再構築プロファイルを有する。再構築粘度を有する配合物は、水の蒸発のためではなく、配合物中の成分間の相互作用に起因して短時間に増粘する。ジョイント化合物の場合、追加のせん断が適用されない場合、混合後に増粘する配合物に変換する。対照的に、配合1は、再構築されないプロファイルを含有する。したがって、混合後、配合1は、粘度を維持し、再びせん断を加える必要もなく、より作業しやすそうである。例えば、ジョイント化合物は、こて上において、より低く、より流動性の高い粘度を維持する。さらに、表5に示すように、高せん断速度(10/s)での各配合物の粘度は同等であるため、各配合物の広がりは同等である。
【0154】
サンプルの粘度はまた、図2に示したせん断速度を増加させることによっても測定した。当業者はせん断速度勾配試験と称している。それぞれについて、約1/sを超えるせん断速度では、プロットの安定した下り勾配が存在する。これは、サンプルが、ずり減粘(すなわち、流動性)の非ニュートン流体であることを示唆している。より低いせん断速度では、対照サンプルおよび配合2サンプルは、この挙動を維持する。しかしながら、レシチン除塵剤を使用した配合1は、一層のニュートン挙動を示し、せん断速度が低いほどより良好に流動性が高くなることを意味している。これは、上記のチキソトロピーデータと一致している。
【0155】
次に、乾燥したジョイント化合物の特性を試験した。最初の試験では、ジョイント化合物をAmesフラットボックスで乾式壁上に広げ、乾燥させた。乾燥後、乾燥したジョイント化合物の欠陥(クレーターおよびピンホール)の数を数えた。次いで、ジョイント化合物をサンディングし、欠陥の数を再度カウントした。表6は、サンディング後のこれらのサンプルを示している。対照サンプルは、サンディング前に20個の欠陥を有し、サンディング後に50個の欠陥を有し、配合1のサンプルは、サンディング前に3個の欠陥を有し、サンディング後に20個の欠陥を有し、配合2のサンプルは、サンディング前に5個の欠陥を有し、サンディング後に4個の欠陥を有していた。レシチンとPEGの両方の添加物は、対照よりも欠陥が少ない。
【表6】
【0156】
最後に、乾式壁に適用された乾燥ジョイント化合物を塗装した。対照は、2つの表面に適用し、塗装した。塗料の乾燥後、塗装面の少なくとも5つの領域で光沢計を用いて塗料の光沢を測定した。表7は、塗料が乾燥した後のこれらのサンプルの実際の光沢測定値を示している。乾式塗装サンプルの85°での光反射率の量は、光沢計を使用して測定した。
【0157】
塗装された2つの対照サンプルの平均光沢は約16%であり、反射率は約19%であった。塗装された配合1サンプルの平均光沢は、約16%の反射率であった。PEGを有する塗装された配合2サンプルの平均光沢は、約22%の反射率であった。したがって、レシチンを有する配合1のジョイント化合物は、対照により近く、PEGを有するジョイント化合物と比較して、フラッシングを最小限に抑える。
【0158】
したがって、低濃度のリン脂質を有するジョイント化合物の除塵および粘度は、既知のまたは除塵剤を含まないジョイント化合物よりも改善され、最終的な乾燥ジョイント化合物の他の特性への影響は最小限である。実際の光沢測定値を表7に示す。
【表7】
【0159】
本発明の特定のバージョンが示され、説明されたが、より広い態様および添付の特許請求の範囲に記載された本発明から逸脱することなく変更および修正を行うことができることを当業者は理解する。
[付記]
[付記1]
ジョイント化合物であって、乾燥ベースの重量パーセントで、
約25%~約98%の充填剤と、
約1%~約45%の結合剤と、
約0.01%~約3%のリン脂質除塵剤と、を含む、ジョイント化合物。
[付記2]
前記ジョイント化合物が、乾燥型ジョイント化合物であり、
前記ジョイント化合物が、乾燥ベースの重量パーセントで、
前記充填剤であって、
乾燥ベースで前記ジョイント化合物の約50重量パーセント(重量%)~約98重量%の一次充填剤であって、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム二水和物、もしくはタルク、またはそれらの混合物である、前記一次充填剤と、
乾燥ベースで前記ジョイント化合物の最大約25重量%の二次充填剤と、を含む、前記充填剤と、
約1重量%~約15重量%の前記結合剤と、
約0.01重量%~約3重量%の前記リン脂質除塵剤と、を含み、
前記ジョイント化合物が、乾燥ベースの重量パーセントで約0.05重量%~約3重量%のポリマー増粘剤をさらに含む、付記1に記載のジョイント化合物。
[付記3]
前記ジョイント化合物が、乾燥型ジョイント化合物であって、
水をさらに含み、
前記ジョイント化合物が、乾燥ベースの重量パーセントで、
前記充填剤であって、
乾燥ベースで前記ジョイント化合物の約50重量パーセント(重量%)~約98重量%の一次充填剤であって、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム二水和物、もしくはタルク、またはそれらの混合物である、前記一次充填剤と、
乾燥ベースで前記ジョイント化合物の最大約25重量%の二次充填剤と、を含む、前記充填剤と、
約1重量%~約15重量%の前記結合剤と、
約0.01重量%~約3重量%の前記リン脂質除塵剤と、を含む、前記水以外のジョイント化合物成分を含み、
前記水以外の前記ジョイント化合物成分が、乾燥ベースの重量パーセントで、約0.05重量%~約3重量%のポリマー増粘剤をさらに含み、
前記水対前記水以外の前記ジョイント化合物成分の重量比が、約1:6~約2:1である、付記1に記載のジョイント化合物。
[付記4]
前記リン脂質除塵剤が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、およびホスファチジルグリセロールのうちの1つ以上を含む、付記1に記載のジョイント化合物。
[付記5]
前記リン脂質除塵剤が、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、蛍光色素、発色性色素、タンパク質、ペプチド、炭水化物、ステロール、脂肪酸、および合成ポリマーのうちの1つ以上と複合化された1つ以上のリン脂質を含む、付記1に記載のジョイント化合物。
[付記6]
前記ジョイント化合物が、石膏を含まず、かつ焼き石膏を含まない、付記1に記載のジョイント化合物。
[付記7]
ジョイント化合物であって、乾燥ベースの重量パーセントで、
乾燥ベースで硬化型ジョイント化合物の約20重量パーセント(重量%)~約99重量%の硫酸カルシウム半水和物と、
最大約30%の充填剤と、
最大約8重量%の結合剤と、
最大約2重量%のポリマー増粘剤と、
約0.01%~約3%のリン脂質除塵剤と、を含む、ジョイント化合物。
[付記8]
前記ジョイント化合物が、硬化型ジョイント化合物であり、乾燥ベースの重量パーセントで、
約20重量パーセント(重量%)~約99重量%の前記硫酸カルシウム半水和物と、
最大約30重量%の前記充填剤と、
約0.5重量%~約8重量%の前記結合剤と、
約0.01重量%~約3重量%の前記リン脂質除塵剤と、を含み、
前記ジョイント化合物が、乾燥ベースの重量パーセントで、約0.05重量%~約2重量%のポリマー増粘剤をさらに含む、付記7に記載のジョイント化合物。
[付記9]
前記ジョイント化合物が、水および硬化遅延剤をさらに含む混合済み硬化型ジョイント化合物であり、
前記ジョイント化合物が、乾燥ベースの重量パーセント(重量%)で、
約20重量%~約99重量%の硫酸カルシウム半水和物と、
最大約30重量%の前記充填剤と、
最大約8重量%の前記結合剤と、
最大約2重量%の前記ポリマー増粘剤と、
約0.01重量%~約3重量%の前記リン脂質除塵剤と、
約0.001重量%~約2重量%の前記硬化遅延剤と、を含む、前記水以外のジョイント化合物成分を含み、
前記水対水以外のジョイント化合物成分の重量比が、約1:6~約2:1である、付記7に記載のジョイント化合物。
[付記10]
方法であって、
付記1または7に記載のジョイント化合物を、表面に適用することと、
前記ジョイント化合物を乾燥および/または硬化させることと、
乾燥後および/または硬化後に、前記ジョイント化合物を、乾式または湿式サンディングすることと、を含む、方法。
図1
図2