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特許7405790配管洗浄装置、歯科用診療ユニット、およびバキューム管
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】配管洗浄装置、歯科用診療ユニット、およびバキューム管
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/00 20060101AFI20231219BHJP
   A61C 17/06 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A61C19/00 J
A61C19/00 C
A61C17/06 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021066383
(22)【出願日】2021-04-09
(65)【公開番号】P2022161506
(43)【公開日】2022-10-21
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000138185
【氏名又は名称】株式会社モリタ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古田 美一
(72)【発明者】
【氏名】木下 和也
(72)【発明者】
【氏名】田中 徳之
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 勇貴
【審査官】瀧本 絢奈
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-121548(JP,A)
【文献】特開平04-225883(JP,A)
【文献】登録実用新案第3025009(JP,U)
【文献】特開平11-221241(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/06
A61C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用のバキューム器具に接続されるバキューム管を洗浄する配管洗浄装置であって、
前記バキューム器具と接続する前記バキューム管の第1接続部が所定の位置にあることを検出する検出部と、
前記バキューム管内に洗浄剤を供給する供給部と、
前記第1接続部が前記所定の位置にあることを前記検出部が検出した場合、前記バキューム管内に洗浄剤を供給するように前記供給部を制御する制御部と、を備え、
前記所定の位置は、
前記第1接続部の開口面が床面に対して上方向を向く位置で、
前記第1接続部の前記床面からの高さが、前記第1接続部と反対側の前記バキューム管の第2接続部の前記床面からの高さ以上であり、
前記第2接続部において、洗浄剤が排出される管路が接続されている、配管洗浄装置。
【請求項2】
前記バキューム器具を保持部に保持させた場合、前記第1接続部の位置が前記所定の位置となる、請求項1に記載の配管洗浄装置。
【請求項3】
前記バキューム器具を前記保持部に保持させた場合、前記第1接続部の前記開口面の法線方向が床面に対して略鉛直方向を向く、請求項2に記載の配管洗浄装置。
【請求項4】
制御部は、患者に対する診療が終了状態であると推定できる場合に、前記第1接続部が前記所定の位置にあると前記検出部が検出すると前記バキューム管内に洗浄剤を供給する、請求項2または請求項3に記載の配管洗浄装置。
【請求項5】
診療のために患者を座らせる、または患者を横たわらせることができる診療台に前記保持部が設けられており、
前記検出部は、前記診療台が所定の傾きである場合に、前記第1接続部が前記所定の位置にあること検出する、請求項2~請求項4のいずれか1項に記載の配管洗浄装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1接続部の近傍まで洗浄剤を満たすように、前記供給部に対して洗浄剤を前記バキューム管内に供給させる、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の配管洗浄装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記バキューム管内に洗浄剤を所定の時間、滞留させる、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の配管洗浄装置。
【請求項8】
前記供給部から洗浄剤を供給する洗浄配管をさらに備え、
前記洗浄配管は、前記バキューム管に沿って設けられ、前記第1接続部側から前記バキューム管内に洗浄剤を供給する、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の配管洗浄装置。
【請求項9】
前記洗浄配管は、前記バキューム管内に設けられ、洗浄剤を吐出する端部が前記第1接続部の近傍に設けられている、請求項8に記載の配管洗浄装置。
【請求項10】
患者を診療するための歯科用診療ユニットであって、
診療のために患者を座らせる、または患者を横たわらせることができる診療台と、
バキューム器具を保持する保持部を含む診療本体部と、
前記バキューム器具が接続されるバキューム管と、
前記バキューム管に吸引圧を生成するバキュームモータと、
前記保持部に前記バキューム器具が保持されたことを検出する検出部と、
前記バキューム管内に洗浄剤を供給する供給部と、
前記保持部に前記バキューム器具が保持されたことを前記検出部が検出した場合、前記バキューム管内に洗浄剤を供給するように前記供給部を制御する制御部と、を備え、
前記バキューム器具を前記保持部に保持させた場合、
前記バキューム器具と接続する前記バキューム管の第1接続部の開口面が床面に対して上方向を向き、
前記第1接続部の前記床面からの高さが、前記第1接続部と反対側の前記バキューム管の第2接続部の前記床面からの高さ以上であり、
前記第2接続部において、洗浄剤が排出される管路が接続されている、歯科用診療ユニット。
【請求項11】
前記制御部は、前記歯科用診療ユニットの電源がON状態に制御された場合、前記バキューム管内に洗浄剤を供給する制御を開始する、請求項10に記載の歯科用診療ユニット。
【請求項12】
前記制御部は、前記診療台が所定の傾きである状態が一定時間継続した場合、前記バキューム管内に洗浄剤を供給する制御を開始する、請求項10または請求項11に記載の歯科用診療ユニット。
【請求項13】
医療用のバキューム器具に接続されるバキューム管であって、
第1接続部を前記バキューム器具と接続し、第2接続部をバキュームモータ側の配管と接続する本体配管と、
前記本体配管に沿って設けられ、前記第1接続部側から前記本体配管内に洗浄剤を供給する洗浄配管と、を備え
前記洗浄配管の端部は前記本体配管内に存在し、前記端部は前記第1接続部に接しない、バキューム管。
【請求項14】
前記洗浄配管は、前記本体配管内に設けられ、前記端部が前記第1接続部の近傍に設けられている、請求項13に記載のバキューム管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配管洗浄装置、歯科用診療ユニット、およびバキューム管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療用装置の一例としての歯科用診療ユニットでは、患者の診療中に口腔内に溜まった唾液や洗浄水等を吸引して口腔内から排出する吸引装置が備えられている。吸引装置は、バキューム管を介してバキュームシリンジのようなバキューム器具が接続され、当該バキューム器具の先端を患者の口腔内に挿入させて唾液や洗浄水等を吸い取る。
【0003】
バキューム器具は、バキューム管から取り外して洗浄が行われる。しかし、バキューム管は、吸引装置から取り外して洗浄することが想定されておらず、配管内が患者の口腔内に溜まった唾液や洗浄水等で汚れた状態となる。そこで、スピットン内に洗浄水又は消毒液を溜めて、溜めた洗浄水又は消毒液をバキューム管を通して吸引・排出する洗浄方法が提案されている(特許文献1:特開平6-121802号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-121802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の洗浄方法では、バキューム管を洗浄するたびにスピットン内に洗浄水又は消毒液を溜めるなどの準備作業が必要となり、ユーザの作業負担が大きかった。また、スピットン内に洗浄水又は消毒液を溜めて、溜めた洗浄水又は消毒液をバキューム管を通して吸引・排出する作業にはある程度の時間が必要となるため、患者ごとにバキューム管を洗浄することは困難であった。さらに、溜めた洗浄水又は消毒液をバキューム管を通して吸引・排出するだけでは、洗浄水又は消毒液が配管の内壁と接触している時間が短いので配管の内壁に着いた汚れを十分に洗浄できない場合があった。
【0006】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザの作業負担を軽減することができるバキューム管の配管洗浄装置、歯科用診療ユニット、およびバキューム管を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の配管洗浄装置は、医療用のバキューム器具に接続されるバキューム管を洗浄する配管洗浄装置であって、バキューム器具と接続するバキューム管の第1接続部が所定の位置にあることを検出する検出部と、バキューム管内に洗浄剤を供給する供給部と、第1接続部が所定の位置にあることを検出部が検出した場合、バキューム管内に洗浄剤を供給するように供給部を制御する制御部と、を備え、所定の位置は、第1接続部の開口面が床面に対して上方向を向く位置で、第1接続部の床面からの高さが、第1接続部と反対側のバキューム管の第2接続部の床面からの高さ以上であり、第2接続部において、洗浄剤が排出される管路が接続されている。
【0008】
本開示の歯科用診療ユニットは、患者を診療するための歯科用診療ユニットであって、診療のために患者を座らせる、または患者を横たわらせることができる診療台と、バキューム器具を保持する保持部を含む診療本体部と、バキューム器具が接続されるバキューム管と、バキューム管に吸引圧を生成するバキュームモータと、保持部にバキューム器具が保持されたことを検出する検出部と、バキューム管内に洗浄剤を供給する供給部と、保持部にバキューム器具が保持されたことを検出部が検出した場合、バキューム管内に洗浄剤を供給するように供給部を制御する制御部と、を備え、バキューム器具を保持部に保持させた場合、バキューム器具と接続するバキューム管の第1接続部の開口面が床面に対して上方向を向き、第1接続部の床面からの高さが、第1接続部と反対側のバキューム管の第2接続部の開口面の床面からの高さ以上であり、第2接続部において、洗浄剤が排出される管路が接続されている。
【0009】
本開示のバキューム管は、医療用のバキューム器具に接続されるバキューム管であって、第1接続部を前記バキューム器具と接続し、第2接続部をバキュームモータと接続する本体配管と、本体配管に沿って設けられ、第1接続部側から本体配管内に洗浄剤を供給する洗浄配管と、を備え、洗浄配管の端部は本体配管内に存在し、端部は第1接続部に接しない。
【発明の効果】
【0010】
本開示の配管洗浄装置、歯科用診療ユニット、およびバキューム管によれば、バキューム管内が洗浄剤で満たされるので、バキューム管を洗浄するユーザの作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の一実施の形態における歯科用診療ユニットの構成を概略的に示す斜視図である。
図2】本開示の一実施の形態における吸引装置および配管洗浄装置の管路構成を概略的に示す図である。
図3】本開示の一実施の形態における歯科用診療ユニットの制御ブロック図である。
図4】本開示の一実施の形態における配管洗浄装置の構成を概略的に示す斜視図である。
図5】本開示の一実施の形態における洗浄配管の導入部の構成を概略的に示す断面図である。
図6】本開示の一実施の形態におけるバキューム管内での洗浄配管の配置を示す断面図である。
図7】本開示の一実施の形態におけるバキューム管の構成を概略的に示す断面図である。
図8】本開示の一実施の形態におけるバキューム管の接続部の構成を概略的に示す斜視図である。
図9】本開示の一実施の形態における歯科用診療ユニットの配管洗浄の操作アイコンの一例を示す図である。
図10】本開示の一実施の形態における配管洗浄装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図11】本開示の変形例における診療台の構成を概略的に示す斜視図である。
図12】本開示の変形例における配管洗浄装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について図に基づいて説明する。
まず、本開示の一実施の形態における医療用装置の構成について説明する。本実施の形態では医療用装置の一例として歯科用診療ユニットについて説明する。
【0013】
図1は、本開示の一実施の形態における歯科用診療ユニットの構成を概略的に示す斜視図である。図1を参照して、本実施の形態に係る歯科用診療ユニット100は、診療台1、診療本体部10を含む。さらに、歯科用診療ユニット100は、バキューム器具40、バキューム管44、吸引装置200、バキュームモータ300、配管洗浄装置400を含む。なお、歯科用診療ユニット100は、媒体導管20、当該媒体導管20と着脱自在に接続可能な診療用ハンドピース30をさらに含んでもよい。なお、媒体導管20は、診療本体部10に対して着脱自在である。
【0014】
診療台1は、患者が着座または仰臥した状態で診療を受けることができるように構成されている。診療台1は、基台1aと、座板1bと、背板1cと、ヘッドレスト1dと、アームレスト1eとを備えている。座板1bは基台1a上に昇降自在に設置されている。背板1cは座板1bの一端に起伏自在に取り付けられている。ヘッドレスト1dは背板1cの上端に傾動自在に取り付けられている。アームレスト1eは座板1bの側方に設置されている。
【0015】
診療本体部10は、スピットン2、照明装置3、照明装置用アーム4、トレーテーブル5、トレーテーブル用アーム6を含む。スピットン2は診療台1の側方に設置されている。スピットン2は、胴部2aと、ベースン2bと、コップ給水栓(コップ給水部)2cとを備えている。胴部2aの上端にベースン2bが設置されている。ベースン2bにコップ給水栓2cから伸びた給水筒が設置されている。照明装置3は、照明装置用アーム4を介してスピットン2に接続されている。照明装置3はたとえば無影灯である。
【0016】
トレーテーブル5は、トレーテーブル用アーム6を介して基台1aに接続されている。トレーテーブル5は、診療器具、薬品および診療用ハンドピース(インスツルメント)30を置いたり、保持したりするために使用される。また、トレーテーブル5は、診療台1および診療用ハンドピース30などの操作を設定するための操作設定部5aを備えている。
【0017】
吸引装置200は、スピットン2内に設けられており、バキューム管44およびバキュームモータ300に接続される。吸引装置200は、バキュームモータ300で生成される吸引圧を制御して、バキューム管44に接続されるバキューム器具40の先端から患者の唾液や洗浄水を吸引する。なお、バキューム器具40とバキューム管44とは、スピットン2に着脱自在に接続可能に構成されている。吸引装置200には、バキューム器具40、およびバキュームモータ300を含めてもよい。
【0018】
配管洗浄装置400は、吸引装置200の近傍に設けられており、バキューム管44を洗浄する。配管洗浄装置400は、バキューム器具40が所定の位置(例えば、器具ホルダ2d)にあるとき、バキューム管内に洗浄剤を供給してバキューム管44を洗浄する。配管洗浄装置400の詳細な構成および動作については後述する。なお、配管洗浄装置400は、吸引装置200とともにスピットン2内に設けられている一例を以下説明するが、スピットン2とは別に設けられてもよい。
【0019】
スピットン2から延びたアームには、アシスタント側の器具ホルダ2dが設けられている。この器具ホルダ2dには、バキューム器具40であるバキュームシリンジ41、サラエバシリンジ42が係止されている。バキュームシリンジ41およびサラエバシリンジ42の各々は、バキューム管44を介して吸引装置200と接続されている。バキュームシリンジ41およびサラエバシリンジ42は、使用しないときに器具ホルダ2dに係止され、このときバキュームシリンジ41およびサラエバシリンジ42の各々に接続されたバキューム管44は、図1に示すように、床面方向に垂れ下がった状態となる。
【0020】
器具ホルダ2dは、バキューム器具40のエラー情報、動作情報、洗浄の設定などを表示するための表示部43が設けられている。さらに、器具ホルダ2dは、後述するように、配管洗浄装置400の洗浄モードを変更したり、洗浄剤に含まれる薬剤の量を変更したりすることができる操作手段が設けられている。
【0021】
一方、トレーテーブル5には、ドクター側のハンドピースホルダ5bが設けられており、当該ハンドピースホルダ5bに診療用ハンドピース30が係止されている。診療用ハンドピース30は、歯科診療用のインスツルメントである。診療用ハンドピース30は、図1に示すように、たとえば第1エアタービンハンドピース(ハイスピードハンドピース)31、第2エアタービンハンドピース(ハイスピードハンドピース)32、マイクロモーターハンドピース(ロースピードハンドピース)33、スリーウェイシリンジ34等が含まれる。なお、トレーテーブル5の操作設定部5aでも、配管洗浄装置400の洗浄モードを変更したり、洗浄剤に含まれる薬剤の量を変更したりすることができるようにしてもよい。
【0022】
次に、吸引装置200および配管洗浄装置400の構成および動作について説明する。図2は、本開示の一実施の形態における吸引装置および配管洗浄装置の管路構成を概略的に示す図である。図2では、バキューム器具40としてバキュームシリンジ41、サラエバシリンジ42を例に説明する。バキューム器具40は、先端を患者の口腔内に挿入させて、患者の口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引する。なお、サラエバシリンジ42は、バキュームシリンジ41に比べて先端開口部が小さく口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引する吸引量が少ない。
【0023】
吸引装置200は、バキューム管44を介してバキュームシリンジ41を接続する吸引管路201と、バキューム管44を介してサラエバシリンジ42を接続する吸引管路202とを有している。吸引管路201と吸引管路202とは、1つの吸引管路203を経てバキュームタンク260に接続される。バキュームタンク260は、バキューム器具40で吸引した気体と液体とを分離する機器であり、通常の気体と液体とを分離するタンクと同様の構造を有している。具体的に、バキュームタンク260は、容器を有し、容器の上部に吸引管路203を接続する流入口と、バキュームモータ300へと続く吸引管路204を接続するための排気口が設けられている。容器の底部には、排水管へと続く排水管路205を接続するための排水口が配置されている。吸引管路203および排水管路205の途中には、逆止弁が設けられてもよい。
【0024】
バキュームモータ300は、モータと該モータにより回転する吸引ファンとを備える装置であり、吸引力を発生させる。バキュームモータ300は、通常の歯科用診療装置などに用いられる通常のバキュームモータを用いることができる。
【0025】
さらに、吸引装置200は、吸引管路201~204に接続された開閉弁を含んでいる。開閉弁はそれぞれ電磁弁であってもよい。制御弁210は、バキュームタンク260とバキュームモータ300との間に配置されている。制御弁220は、バキュームシリンジ41に接続された吸引管路201と吸引管路203との間に配置されている。制御弁240は、サラエバシリンジ42に接続された吸引管路202と吸引管路203との間に配置されている。各々の制御弁210,220,240は、バキューム器具40から吸引した気体および液体をバキュームタンク260まで流すように構成されている。制御弁210,220,240は、吸引管路201~204の内部に配置されていてもよく、また吸引管路201~204と分離して配置されていてもよい。
【0026】
配管洗浄装置400は、バキューム管44内を洗浄する洗浄装置である。配管洗浄装置400は、バキューム管44の各々に沿って設けられた洗浄配管46、水元(水道水)50から洗浄配管46へ供給するための電磁弁410、供給する水に洗浄剤を滴下する滴下ポンプ420、薬剤を貯留する薬剤タンク430を含む。配管洗浄装置400は、電磁弁410から供給する水に滴下ポンプ420で薬剤を滴下することで洗浄剤を生成し、当該洗浄剤を洗浄配管46に供給する。つまり、電磁弁410および滴下ポンプ420が、バキューム管44内に洗浄剤を供給する供給部を構成する。滴下ポンプ420は、滴下する薬剤の量で洗浄剤に含まれる薬剤の量を調整している。バキューム管44内に供給する洗浄剤は、洗浄配管46を通ってバキューム器具40とバキューム管44との接続部(第1接続部)側からバキューム管44内に供給される。なお、電磁弁410および滴下ポンプ420は、各々の洗浄配管46に対して個別に設けられているが、2つの洗浄配管46に対して共通に設けられてもよい。
【0027】
次に、図3は、本開示の一実施の形態における歯科用診療ユニット100の制御ブロック図である。歯科用診療ユニット100は、診療台1を制御する制御装置、スピットン2を制御する制御装置、診療用ハンドピース30を制御する制御装置など、様々な制御装置を含み、これらの制御装置がCAN(Controller Area Network)通信などの関連する通信技術で互いに通信を行っている。図3に示す歯科用診療ユニット100では、スピットン2を制御する制御装置で、吸引装置200および配管洗浄装置400を制御する一例を説明する。
【0028】
図3に示す制御部280は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)を備える。CPUは、ROM等に保存されている動作プログラムを実行することにより、歯科用診療ユニット100全体を総括的に制御する。ROMは、CPUが実行するプログラムやその他のデータを記憶する。RAMは、CPUがプログラムを実行する際の作業領域となるものであり、プログラムやプログラムを実行する際のデータ等を一時的に記憶する。制御部280には、ピックアップセンサ(A)281、ピックアップセンサ(B)282、スタートSW(A)283、スタートSW(B)284、洗浄モードSW285、洗浄剤SW286、表示部43、および入力部45が接続されている。
【0029】
具体的に、バキュームシリンジ41がスピットン2の器具ホルダ2dから取上られたことがピックアップセンサ(A)281により検出されると、スタートSW(A)283がON状態となるとともに、バキュームモータ300が起動され、制御弁210および制御弁220が開となって、バキュームシリンジ41の先端から患者の口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引する。
【0030】
一方、サラエバシリンジ42がスピットン2の器具ホルダ2dから取上られたことがピックアップセンサ(B)282により検出されると、スタートSW(B)284がON状態となるとともに、バキュームモータ300が起動され、制御弁210および制御弁240が開となって、サラエバシリンジ42の先端から患者の口腔内に溜まった唾液や洗浄水等の液体を吸引する。
【0031】
洗浄モードSW285は、バキューム管44を洗浄する洗浄モードを複数の洗浄モードの中から選択するためのスイッチである。複数の洗浄モードについては後述する。洗浄剤SW286は、バキューム管44を洗浄する洗浄剤に含まれる薬剤の量を変更するためのスイッチである。洗浄剤SW286で洗浄剤に含まれる薬剤の量を多くすることにより、滴下ポンプ420で水に滴下する薬剤の量を多くする。具体的には、滴下ポンプ420は、単位時間あたりに洗浄剤を水に滴下する回数を増やすことで、水に滴下する薬剤の量を多くする。これらのスイッチは、器具ホルダ2dに物理的なスイッチとして設けても、後述するように、表示部43に設けたタッチパネル(入力部45)の1つの操作スイッチとして設けてもよい。
【0032】
次に、配管洗浄装置400によるバキューム管44内の洗浄について、詳しく説明する。図4は、本開示の一実施の形態における配管洗浄装置400の構成を概略的に示す斜視図である。器具ホルダ2dに保持されたバキュームシリンジ41は、バキューム管44に接続され、さらに吸引管路201に接続されている。この吸引管路201とバキューム管44とを接続する部分に、バキューム管44内に洗浄剤を供給する洗浄配管46の導入部461が設けられている。
【0033】
導入部461には、電磁弁410を設けた配管462と滴下ポンプ420を設けた配管463とが合流した配管460が接続されている。図5は、本開示の一実施の形態における洗浄配管46の導入部461の構成を概略的に示す断面図である。図5に示すように、バキューム管44内の洗浄配管46が、導入部461で配管460と接続されている。
【0034】
洗浄配管46は、導入部461からバキューム管44内を通ってバキュームシリンジ41とバキューム管44との接続部(第1接続部)44aの近傍まで設けられている。図6は、本開示の一実施の形態におけるバキューム管44内での洗浄配管の配置を示す断面図である。バキューム管44は、図6に示すように、本体配管440と、本体配管440内部に沿って設けられる洗浄配管46とを含む。バキューム管44は、バキュームシリンジ41を器具ホルダ2dに保持させた場合、長さ方向の中間付近が床面方向(図中下側)に垂れ下がって、全体ではU字状態となる。
【0035】
本体配管440は、接続部44aをバキューム器具40と接続し、接続部44aと反対側のバキューム管44の接続部(第2接続部)44bをバキュームモータ300側の吸引管路201,203と接続する。洗浄配管46は、垂れ下がった本体配管440内に設けられており、接続部44aの近傍の端部から洗浄剤が、U字状態となっているバキューム管44内に供給され所定時間後に満たされることになる。また、接続部44aの床面からの高さhaが、接続部44bの床面からの高さhbより高さhだけ高くなっているので、高さhbまでしか洗浄剤はバキューム管44内に供給されない。つまり、洗浄剤は、バキュームシリンジ41から溢れることなく、高さhbを超えて供給される洗浄剤は、吸引管路201から排水管路205に排水されることになる。
【0036】
洗浄剤のバキューム管44内への供給の制御は、制御部280が行う。具体的に、制御部280は、バキューム管44を洗浄する洗浄モードの場合、バキュームシリンジ41が器具ホルダ2dに保持されているか否かをピックアップセンサ(A)281により検出する。例えば、電源投入時にバキューム管44を洗浄する洗浄モードが設定されている場合、制御部280は、電源投入時にバキュームシリンジ41が器具ホルダ2dに保持されているか否かをピックアップセンサ(A)281により検出する。バキュームシリンジ41が器具ホルダ2dに保持されていることをピックアップセンサ(A)281が検出することは、バキュームシリンジ41と接続するバキューム管44の接続部44aが所定の位置にあることを検出していることと等しい。そのため、制御部280は、バキュームシリンジ41が器具ホルダ2dに保持されていると判断した場合、接続部44aが所定の位置にあるとして、バキューム管44内に洗浄剤を供給する。なお、接続部44aが所定の位置にあるとは、バキュームシリンジ41と接続するバキューム管44の接続部44aの開口面が床面に対して上方向を向く位置で、かつ、バキューム管44がU字状態で、接続部44aの床面からの高さhaが接続部44bの床面からの高さhb以上であることが推定される。
【0037】
特に、接続部44aの床面からの高さhaと接続部44bの床面からの高さhbとが同じであれば、接続部44aの開口面の法線方向が床面に対して略鉛直方向を向くことが好ましい。これにより、接続部44aと接続部44bとが同じ位置でもバキュームシリンジ41から洗浄剤が溢れることはない。また、バキュームシリンジ41を器具ホルダ2dに保持させた場合、接続部44aの開口面が床面の法線方向に対して略鉛直方向を向くようにしてあることが好ましい。これにより、ユーザは、接続部44aの開口面の向きを気にすることなく、バキュームシリンジ41を器具ホルダ2dに保持させる作業のみでよい。
【0038】
洗浄配管46から洗浄剤を吐出する開口部の開口方向は、バキューム管44の吸引方向と平行とならないことが好ましい。バキューム管44の吸引方向と開口方向が並行になるように洗浄配管46の開口部が設けられていると、バキューム管44で吸い込んだ唾液や洗浄水等が開口部へ進入することにより洗浄配管46内が汚れることになる。図7は、本開示の一実施の形態におけるバキューム管44の構成を概略的に示す断面図である。図8は、本開示の一実施の形態におけるバキューム管44の接続部44aの構成を概略的に示す斜視図である。洗浄配管46の開口部には、図7に示すようにキャップ46aが設けられており、当該キャップ46aの側面に吐出口46bが設けられている。キャップ46aは、支持部46cによりバキューム管44の中央で固定されている。
【0039】
洗浄配管46は、キャップ46aを設けることによりバキューム管44で吸い込んだ唾液や洗浄水等により洗浄配管46内が汚れることを防止できるとともに、吐出口46bから洗浄剤をバキューム管44の内壁に向けて吐出することができる。図8に示すように、キャップ46aの側面の4方向に吐出口46bがそれぞれ設けられており、バキューム管44の内壁全周に亘って洗浄剤を吐出できるように吐出口46bが配置され、接続部44aの開口面付近に、かつ、吐出口46bの開口方向は、接続部44aの開口面に対して平行に設けられている。このため、バキューム管44の接続部44aの近傍まで洗浄することができ、吸い込んだ唾液等が吐出口46bへ進入することを防ぐことができる。なお、キャップ46aに設ける吐出口46bの数は、4つに限定されず、少なくとも1つ吐出口46bがキャップ46aに設けられていればよい。また、吐出口46bを設ける方向もキャップ46aの側面の4方向に限定されない。
【0040】
図4に戻って、器具ホルダ2dに保持されたサラエバシリンジ42は、バキューム管44に接続され、さらに吸引管路202に接続されている。この吸引管路202とバキューム管44とを接続する部分に、バキューム管44内に洗浄剤を供給する洗浄配管46の導入部461が設けられている。なお、バキューム管44、洗浄配管46、および導入部461の構成は、バキュームシリンジ41に接続されるバキューム管44、洗浄配管46、および導入部461の構成と同じであるため、詳細な説明を繰り返さない。
【0041】
器具ホルダ2dに設けられた表示部43に配管洗浄の操作アイコンが表示されてもよい。図9は、本開示の一実施の形態における歯科用診療ユニット100の配管洗浄の操作アイコンの一例を示す図である。器具ホルダ2dに設けられた表示部43には、配管洗浄のメニュー画面が表示されている。配管洗浄のメニュー画面には、配管洗浄を自動で行うか手動で行うかを選択するためのアイコン画像g1、電源投入時に配管洗浄を行うか否かを設定するためのアイコン画像g2、所定の傾きに診療台1がある場合に配管洗浄を行うか否かを設定するためのアイコン画像g3、洗浄剤に含まれる薬剤の量を設定するためのアイコン画像g4などが表示されている。図9に示す表示部43では、アイコン画像g1が配管洗浄を自動で行う表示であり、アイコン画像g2が電源時に配管洗浄を行う表示であり、アイコン画像g3が所定の傾きに診療台1がある場合に配管洗浄を行う表示であり、アイコン画像g4が洗浄剤に含まれる薬剤の量(レベル5)を示す表示である。なお、表示部43は、タッチパネルの機能を有しており、アイコン画像g1~g3が洗浄モードSW285に対応し、アイコン画像g4が洗浄剤SW286に対応している。
【0042】
図9に示すように、表示部43のアイコン画像g3がアクティブ(ON状態)の場合、患者の診療が終わって診療台1が所定の傾き(患者が着座した状態)に戻るたびにバキューム管44の配管洗浄が行われる。これにより、バキューム管44内を常に清潔な状態に保つことができる。
【0043】
次に、フローチャートを用いて、配管洗浄装置400の動作を説明する。図10は、本開示の一実施の形態における配管洗浄装置400の動作を説明するためのフローチャートである。制御部280は、所定の条件が満たす場合に、配管洗浄装置400を制御して配管洗浄制御を実行する。まず、制御部280は、患者に対する診療が終了状態か否かを推定するため、例えば、診療台1が所定の傾きか否かを判断する(ステップS101)。診療台1が所定の傾きでない場合(ステップS101でNO)、制御部280は、患者に対して診療中であると推定して、処理をステップS101に戻す。診療台1が所定の傾きである場合(ステップS101でYES)、制御部280は、患者に対する診療が終了状態であると推定して、バキューム器具40が器具ホルダ2dに保持されているか否かを判断する(ステップS102)。なお、制御部280は、ピックアップセンサ(A)281およびピックアップセンサ(B)282がOFF状態であることでバキューム器具40が器具ホルダ2dに保持されていると判断する。
【0044】
バキューム器具40が器具ホルダ2dに保持されていない場合(ステップS102でNO)、制御部280は、処理をステップS102に戻す。バキューム器具40が器具ホルダ2dに保持されている場合(ステップS102でYES)、制御部280は、バキューム管44内に洗浄剤を供給する(ステップS103)。具体的に、制御部280は、電磁弁410を開き、配管460に水を供給し、アイコン画像g4で設定した薬剤の量を滴下ポンプ420により当該水に滴下する。
【0045】
制御部280は、バキューム管44内に設定された量の洗浄剤を供給したか否かを判断する(ステップS104)。具体的に、設定された量は、接続部44bの高さまでバキューム管44内に洗浄剤を満たす量である。制御部280は、設定された量を供給したか否かを、例えば洗浄剤を供給した時間で判断する。なお、前述したように、制御部280が設定された量以上の洗浄剤をバキューム管44内に供給しても、設定された量を超えた洗浄剤は吸引管路201,202から排水管路205に排水されるので、バキューム器具40から溢れることはない。
【0046】
バキューム管44内に設定された量の洗浄剤を供給していない場合(ステップS104でNO)、制御部280は、処理をステップS104に戻す。バキューム管44内に設定された量の洗浄剤を供給した場合(ステップS104でYES)、制御部280は、バキューム管44内への洗浄剤の供給を停止する(ステップS105)。
【0047】
バキューム管44内の洗浄効果を高めるため、制御部280は、バキューム管44内に洗浄剤が満たされた状態で所定の時間経過したか否かを判断する(ステップS106)。バキューム管44内に洗浄剤を満たした状態を維持することで、洗浄剤がバキューム管44の内壁と接触している時間を長くして、バキューム管44の内壁に付着した汚れを除去し易くできる。例えば、所定の時間を5分程度と設定してもよいし、歯科用診療ユニット100の使用後から翌日に使用を開始するまでの時間を設定してもよい。
【0048】
所定の時間経過していない場合(ステップS106でNO)、制御部280は、処理をステップS106に戻す。所定の時間経過した場合(ステップS106でYES)、制御部280は、バキューム管44内から洗浄剤を排出する(ステップS107)。具体的に、制御部280は、バキュームモータ300を起動し、制御弁210および制御弁220,240を開いて、洗浄剤を吸引管路201,202から排水管路205に排水する。バキューム管44の配管洗浄が終わり、その後、患者に対する診療でバキューム器具40が使用される。
【0049】
その後、制御部280は、患者に対する診療の終了が推定される場合、例えば、診療台1が一定時間(例えば、5分程度)、所定の傾きか否かを判断する(ステップS108)。診療台1が一定時間、所定の傾きである場合、ある患者に対する診療が終わり、次の患者に対する診療を行うまでのインターバル期間であると判断し、制御部280は、バキューム管44の配管洗浄を開始する。診療台1が一定時間、所定の傾きである場合(ステップS108でYES)、制御部280は、処理をステップS103に戻し、バキューム管44の配管洗浄を行う。
【0050】
診療台1が一定時間、所定の傾きでない場合(ステップS108でNO)、制御部280は、歯科用診療ユニット100の電源をOFF状態にする操作が行われたか否かを判断する(ステップS109)。電源をOFF状態にする操作が行われていない場合(ステップS109でNO)、制御部280は、処理をステップS108に戻し、診療台1が一定時間、所定の傾きか否かを判断する。電源をOFF状態にする操作が行われた場合(ステップS109でYES)、制御部280は、処理を終了する。
【0051】
以上のように、本実施の形態の配管洗浄装置400は、医療用のバキューム器具40に接続されるバキューム管44を洗浄する。配管洗浄装置400は、ピックアップセンサ(A)281およびピックアップセンサ(B)282(検出部)と、電磁弁410および滴下ポンプ420(供給部)と、制御部280と、を備える。ピックアップセンサ(A)281およびピックアップセンサ(B)282は、バキューム器具40と接続するバキューム管44の接続部44aが所定の位置にあることを検出する。電磁弁410および滴下ポンプ420は、バキューム管44内に洗浄剤を供給する。制御部280は、接続部44a(第1接続部)が所定の位置にあることをピックアップセンサ(A)281および/またはピックアップセンサ(B)が検出した場合、バキューム管44内に洗浄剤を供給するように電磁弁410および滴下ポンプ420を制御する。所定の位置は、接続部44aの開口面が床面に対して上方向を向く位置で、接続部44aの床面からの高さが、接続部44aと反対側のバキューム管44の接続部44b(第2接続部)の床面からの高さ以上である。
【0052】
これにより、本実施の形態の配管洗浄装置400は、バキューム管44内が洗浄剤で満たされるので、バキューム管44を洗浄するユーザの作業負担を軽減することができる。
【0053】
バキューム器具40を器具ホルダ2d(保持部)に保持させた場合、接続部44aの位置が所定の位置となることが好ましい。これにより、バキューム管44の洗浄時にバキューム器具40を、器具ホルダ2dから外して別の位置に移動させる作業を軽減できる。
【0054】
バキューム器具40を器具ホルダ2dに保持させた場合、接続部44aの開口面の法線方向が床面に対して略鉛直方向を向くことが好ましい。これにより、接続部44aから洗浄剤が漏れ難くすることができる。
【0055】
制御部280は、患者に対する診療が終了状態であると推定できる場合に、接続部44aが所定の位置にあるとピックアップセンサ(A)281および/またはピックアップセンサ(B)が検出するとバキューム管44内に洗浄剤を供給する。これにより、配管洗浄装置400は、患者に対する診療を妨げずにバキューム管44を洗浄することができる。
【0056】
制御部280は、接続部44aの近傍まで洗浄剤を満たすように、電磁弁410および滴下ポンプ420に対して洗浄剤をバキューム管44内に供給させることが好ましい。これにより、接続部44aの近傍までバキューム管44を洗浄することができる。
【0057】
制御部280は、バキューム管44内に洗浄剤を所定の時間、滞留させることが好ましい。これにより、バキューム管44を洗浄する洗浄力が向上する。
【0058】
電磁弁410および滴下ポンプ420から洗浄剤を供給する洗浄配管46をさらに備える。洗浄配管46は、バキューム器具40に沿って設けられ、接続部44a側からバキューム管44内に洗浄剤を供給することが好ましい。これにより、接続部44a側から洗浄剤をバキューム管44内に行き渡らせることができる。
【0059】
洗浄配管46は、バキューム管44内に設けられ、洗浄剤を吐出する端部が接続部44aの近傍に設けられていることが好ましい。これにより、接続部44aの近傍に洗浄剤を吐出して当該接続部44aの近傍を含めてバキューム管44を洗浄できる。
【0060】
本実施の形態の歯科用診療ユニット100は、患者を診療するためのユニットである。歯科用診療ユニット100は、診療台1と、診療本体部10と、バキュームモータ300と、ピックアップセンサ(A)281およびピックアップセンサ(B)282(検出部)と、電磁弁410および滴下ポンプ420(供給部)と、制御部280と、を備える。診療台1は、診療のために患者を座らせる、または患者を横たわらせることができる。診療本体部10は、バキューム器具を保持する器具ホルダ2d(保持部)を含む。バキューム管44は、バキューム器具40が接続される。バキュームモータ300は、バキューム管44に吸引圧を生成する。ピックアップセンサ(A)281およびピックアップセンサ(B)282は、器具ホルダ2dにバキューム器具40が保持されたことを検出する。電磁弁410および滴下ポンプ420は、バキューム管44内に洗浄剤を供給する。制御部280は、器具ホルダ2dにバキューム器具40が保持されたことをピックアップセンサ(A)281および/またはピックアップセンサ(B)が検出した場合、バキューム管44内に洗浄剤を供給するように電磁弁410および滴下ポンプ420を制御する。バキューム器具40を器具ホルダ2dに保持させた場合、バキューム器具40と接続するバキューム管44の接続部44aの開口面が床面に対して上方向を向き、接続部44aの床面からの高さが、接続部44aと反対側のバキューム管44の接続部44bの床面からの高さ以上となる。
【0061】
これにより、本実施の形態の歯科用診療ユニット100は、バキューム管44内が洗浄剤で満たされるので、バキューム管44を洗浄するユーザの作業負担を軽減することができる。
【0062】
制御部280は、歯科用診療ユニット100の電源がON状態に制御された場合、バキューム管44内に洗浄剤を供給する制御を開始することが好ましい。これにより、歯科用診療ユニット100は、電源をON状態にした際、自動的にバキューム管44の洗浄が行われる。
【0063】
制御部280は、診療台1が所定の傾きである状態が一定時間継続した場合、バキューム管44内に洗浄剤を供給する制御を開始することが好ましい。これにより、歯科用診療ユニット100は、患者が変わる毎、自動的にバキューム管44の洗浄が行われる。
【0064】
本実施の形態のバキューム管44は、医療用のバキューム器具に接続される。バキューム管44は、接続部44aをバキューム器具40と接続し、接続部44bをバキュームモータ300側の吸引管路201,203と接続する本体配管440と、本体配管440に沿って設けられ、接続部44a側から本体配管440内に洗浄剤を供給する洗浄配管46と、を備える。
【0065】
これにより、本実施の形態のバキューム管44は、接続部44a側からバキューム管44内を洗浄剤で満たすことができるので、バキューム管44を洗浄するユーザの作業負担を軽減することができる。
【0066】
(変形例)
(1)前述の実施の形態では、バキューム器具40を保持する器具ホルダ2dが、スピットン2から延びたアームに設けられている。しかし、バキューム器具40を保持する器具ホルダは、スピットン2などの診療本体部10に設けられる場合に限定されず、例えば、診療台1の背板1cに設けられて(収納されて)もよい。図11は、本開示の変形例における診療台1Aの構成を概略的に示す斜視図である。図12は、本開示の変形例における配管洗浄装置400Aの構成を概略的に示す斜視図である。なお、診療台1A以外の歯科用診療ユニットの構成は、図1に示す歯科用診療ユニット100の構成と同じであり、同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。また、配管洗浄装置400Aは、スピットン2内ではなく背板1c内に設けられている以外、同じ構成であり、同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0067】
診療台1Aでは、背板1cの図中右側の肩口にバキュームシリンジ41を保持する器具ホルダが設けられている。バキュームシリンジ41を使用する場合、背板1cの器具ホルダからバキュームシリンジ41を取り上げ、背板1c内に格納されているバキューム管44を引き出す。バキュームシリンジ41を背板1cの器具ホルダに保持させた場合、図12に示すように背板1c内において背板1cの下方向(図中下側)に長さ方向の中間付近が垂れ下がったU字状態となる。つまり、バキューム管44が背板1cに収納される状態となる。一方で、診療などでバキュームシリンジ41が使用されるときは、バキュームシリンジ41は背板1cの器具ホルダから取り外され、バキューム管44は背板1cから排出されて任意の長さで利用可能な状態となる。
【0068】
配管洗浄装置400Aがバキューム管44の洗浄を行う場合、電磁弁410から供給する水に滴下ポンプ420で薬剤を滴下することで洗浄剤を生成し、当該洗浄剤を洗浄配管46に供給する。洗浄剤は、接続部44aの近傍から供給されることになるが、接続部44aの高さが接続部44bの高さより高いので、バキュームシリンジ41から溢れることがない。接続部44aを超えて供給される洗浄剤は、吸引管路201から排水管路205に排水されることになる。
【0069】
バキュームシリンジ41を器具ホルダ2dに保持させた場合、図4に示すように、バキューム管44は、常に床面方向に垂れ下がった状態となる。しかし、背板1c内に設けられているバキューム管44は、背板1cの傾きにより状態が変化する。例えば、背板1cの傾きが、着座した状態の場合、背板1cが座板1bに対して略垂直の位置にあるので、背板1c内に設けられているバキューム管44は、床面方向に垂れ下がった状態となる。そのため、バキューム管44内に洗浄剤を供給しても、バキュームシリンジ41から漏れることはない。一方、背板1cの傾きが、仰臥した状態の場合、背板1cが座板1bに対して略水平の位置にあるので、背板1c内に設けられているバキューム管44は、床面方向に対して水平の状態となる。そのため、バキューム管44内に洗浄剤を供給すると、バキュームシリンジ41から漏れることになる。
【0070】
そこで、図11に示すように、診療台1に器具ホルダ(保持部)が設けられている構成のとき、器具ホルダに設けられたピックアップセンサ(A)は、診療台1の背板1cが所定の傾き(例えば、患者が着座した状態)にある場合に限り、接続部44aが所定の位置にあること検出することができる。つまり、配管洗浄装置400Aは、診療台1の背板1cが所定の傾きである場合のみ、バキューム管44の洗浄を開始することが可能となる。所定の傾きは、患者が着座した状態に限定されず、バキュームシリンジ41から洗浄剤が漏れない程度の角度であれば背板1cが座板1bに対して傾いてもよい。また、配管洗浄装置400Aがバキューム管44を洗浄中は、診療台1の背板1cの傾動を規制してもよい。これにより、洗浄剤がバキュームシリンジ41から漏れることはない。
【0071】
(2)前述の実施の形態の配管洗浄装置400では、接続部44aが所定の位置にあることをピックアップセンサ(A)281および/またはピックアップセンサ(B)が検出した場合、つまり、バキューム管44が背板1cへ収納された場合、バキューム管44内に洗浄剤を供給するように電磁弁410および滴下ポンプ420を制御している。しかし、これに限定されず、配管洗浄装置400は、バキューム器具40を使用している間、常にバキューム管44内に洗浄剤を供給するように電磁弁410および滴下ポンプ420を制御してもよい。この場合、滴下ポンプ420により洗浄剤を供給する量は、バキューム管44が背板1cへ収納される場合に洗浄するときよりも少なくしてよい。バキューム器具40の使用中は、吸引力により洗浄剤が吸引方向へ流れるためバキュームシリンジ41から外側へ漏れることはない。また、使用中は、洗浄剤を吸引方向へ流しつつバキューム管44を洗浄するため、従来と比べてバキューム管44を清潔に保つことができる。
【0072】
(3)前述の実施の形態の配管洗浄装置400では、バキューム管44内に洗浄剤が満たされた状態で所定の時間経過するのを待つと説明した。ここで、制御部280は、配管洗浄装置400の洗浄モードにより所定の時間が変更されるようにしてもよい。例えば、制御部280は、電源投入時にバキューム管44を洗浄する洗浄モードの所定の時間を第1期間(例えば、30分)とし、診療台1が一定時間、所定の傾き(例えば、170度以上)であるとき、または、ユーザが設定する時刻である設定時刻(例えば、診療をしない時刻)にバキューム管44を洗浄する洗浄モードの所定の時間を第1期間より短い第2期間(例えば、5分)とする。
【0073】
(4)前述の実施の形態の配管洗浄装置400では、図4に示すように、バキュームシリンジ41を洗浄する洗浄配管46に接続される電磁弁410および滴下ポンプ420と、サラエバシリンジ42を洗浄する洗浄配管46に接続される電磁弁410および滴下ポンプ420とが別々に設けられている。しかし、これに限られず、配管洗浄装置400は、バキュームシリンジ41を洗浄する洗浄配管46とサラエバシリンジを洗浄する洗浄配管46とで共通に1つ電磁弁410および滴下ポンプ420が設けられる構成でもよい。この場合、制御部280は、器具ホルダ2dにバキュームシリンジ41およびサラエバシリンジ42が保持されたことをピックアップセンサ(A)281およびピックアップセンサ(B)が検出した場合に限り、バキューム管44内に洗浄剤を供給するように電磁弁410および滴下ポンプ420を制御する。
【0074】
(5)前述の実施の形態のバキューム管44では、図6に示すように、洗浄配管46が本体配管440の内側にあり、当該洗浄配管46がバキューム管44に沿って設けられる構成を説明した。しかし、これに限られず、例えば、バキューム管44は、洗浄配管46が本体配管440の外側にあり、当該洗浄配管46がバキューム管44に沿って設けられる構成であってもよい。この場合、洗浄配管46の端部が、接続部44aの近傍で本体配管440の内側に導入される。
【0075】
(6)前述の実施の形態では、患者に対する診療の終了が推定される場合として、制御部280が診療台1が所定の傾きであるか否かを判断する一例を説明した。しかし、これに限られず、例えば、制御部280は、照明装置3がON状態からOFF状態に変更されたか否かを判断して、患者に対する診療が終了したと推定してもよい。また、制御部280は、診療用ハンドピース30の駆動が一定の期間、OFF状態か否かを判断して、患者に対する診療が終了したと推定してもよい。さらに、制御部280は、フットコントローラ(図示せず)の全てのペダルが一定の期間、OFF状態か否かを判断して、患者に対する診療が終了したと推定してもよい。
【0076】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0077】
1,1A 診療台、1a 基台、1b 座板、1c 背板、1d ヘッドレスト、1e アームレスト、2 スピットン、2a 胴部 2b ベースン、2c コップ給水栓、2d 器具ホルダ、3 照明装置、4 照明装置用アーム、5 トレーテーブル、5a 操作設定部、5b ハンドピースホルダ、6 トレーテーブル用アーム、10 診療本体部、20 媒体導管、30 診療用ハンドピース、40 バキューム器具、41 バキュームシリンジ、42 サラエバシリンジ、43 表示部、44 バキューム管、44a,44b 接続部、45 入力部、46 洗浄配管、46a キャップ、46b 吐出口、46c 支持部、100 歯科用診療ユニット、200 吸引装置、201,202,203,204 吸引管路、205 排水管路、210,220,240 制御弁、260 バキュームタンク、280 制御部、300 バキュームモータ、400,400A 配管洗浄装置、410 電磁弁、420 滴下ポンプ、430 薬剤タンク、440 本体配管、460,462,463 配管、461 導入部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12