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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20231219BHJP
   H02G 3/14 20060101ALI20231219BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
H02G3/16
H02G3/14
B60R16/02 610A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021140354
(22)【出願日】2021-08-30
(65)【公開番号】P2023034222
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 明紀
(72)【発明者】
【氏名】後藤 啓稀
(72)【発明者】
【氏名】野垣 崇央
【審査官】岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-134278(JP,A)
【文献】特開2014-027724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
H02G 3/14
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視で長方形の直方体状に形成された救援端子部を有するフレーム本体と、前記救援端子部における一方の長手方向側面と、前記長手方向側面に隣り合う両短手方向側面と、上面とを覆う樹脂カバーと、を備える電気接続箱であって、
前記樹脂カバーは、前記一方の長手方向側面の基端部側における長手方向に沿って延びる回動軸を中心に、前記フレーム本体に対して回動自在とされ
前記樹脂カバーを回動自在に保持する回動ヒンジ構造は、前記樹脂カバーを全開放位置においてのみ前記救援端子部に対して着脱自在とする、
ことを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前記救援端子部を前記フレーム本体に対して着脱自在に保持するロックアームは、前記樹脂カバーを前記全開放位置の直前位置に保持する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリ上がり時に、給電用のブースタケーブルを接続できるようにした救援端子部を備えるカセット及びそれを有する電気接続箱が知られている(特許文献1、参照)。
特許文献1に開示されるカセット及びそれを有する電気接続箱は、電気接続箱のフレーム本体に着脱自在なカセット(ソケット部)に、電子部品を取り付け可能な電子部品取付部と、金属板で構成された救援端子を取り付け可能な救援端子取付部と、が設けられる。そして、カセットには、救援端子及び救援端子を覆うカバーと、電子部品とのいずれか一方が選択されて取り付けられ、一方が取り付けられた状態では他方が取り付け不可とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-80342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の電気接続箱は、平面視で長方形の直方体状に形成された救援端子取付部が、同じく平面視で長方形の直方体状に形成されたカバーに覆われる。カバーは、短手方向に沿って設けられている軸部が、電気接続箱に設けられているカバー取付部の軸部取付部に回転自在に取り付けられる。このため、カバーは、軸部からカバーの回転先端までの回転半径が長方形の長辺部側となり、大きなカバー開閉スペースが必要となった。また、カバーを回転自在に支持する軸部と軸部取付部とからなる回動ヒンジ構造は、カバーの短手方向に回動軸を設けているので、カバーの開閉操作時に、梃子の原理により軸部に作用する捩れ方向の力が大きくなりやすく、カバーが軸部取付部から外れ兼ねない懸念があった。
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、救援端子部を覆う樹脂カバーの開閉スペースを小さくしながら、樹脂カバーを外れにくくできる電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 平面視で長方形の直方体状に形成された救援端子部を有するフレーム本体と、前記救援端子部における一方の長手方向側面と、前記長手方向側面に隣り合う両短手方向側面と、上面とを覆う樹脂カバーと、を備える電気接続箱であって、前記樹脂カバーは、前記一方の長手方向側面の基端部側における長手方向に沿って延びる回動軸を中心に、前記フレーム本体に対して回動自在とされ、前記樹脂カバーを回動自在に保持する回動ヒンジ構造は、前記樹脂カバーを全開放位置においてのみ前記救援端子部に対して着脱自在とする、ことを特徴とする電気接続箱。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電気接続箱によれば、救援端子部を覆う樹脂カバーの開閉スペースを小さくしながら、樹脂カバーを外れにくくできる。
【0008】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る電気接続箱の要部分解斜視図である。
図2図2は、樹脂カバーに覆われた救援端子部の斜視図である。
図3図3は、回動ヒンジ構造により樹脂カバーが開放位置に回転されて表出した救援端子部の斜視図である。
図4図4は、フレーム本体のソケット部及び救援端子部の分解斜視図である。
図5図5は、フレーム本体から脱着された救援端子部及び樹脂カバーの斜視図である。
図6図6は、救援端子部がソケット部から脱着された状態の分解斜視図である。
図7図7は、救援端子部と樹脂カバーの分解斜視図である。
図8図8は、樹脂カバーが全開放位置まで回転された状態の救援端子部の斜視図である。
図9図9は、樹脂カバーに覆われた救援端子部を斜め上方より見た斜視図である。
図10図10は、端子支持板の軸受け部から樹脂カバーの回動軸が抜かれた状態の救援端子部の斜視図である。
図11図11は、樹脂カバーが全開放位置の直前でロックアームのロック爪に当たった状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電気接続箱11の要部分解斜視図である。
例えば車両の電力伝送ラインには、各種の電子機器の電気回路を保護するために、多数のヒューズを抜き差し可能に配設した「ヒューズブロック」が用いられる。ヒューズブロックは、リレーなどを有することもあることから、「リレーボックス」若しくは「ジャンクションブロック」とも呼ばれる。本明細書では、これらヒューズブロック、リレーボックス、ジャンクションブロックを総称して電気接続箱11と呼ぶ。
【0011】
本実施形態に係る電気接続箱11は、外殻を形成するフレーム本体13と、このフレーム本体13と一体に設けられるバスバー(不図示)と、フレーム本体13の下方開口を覆うロアカバー14と、フレーム本体13の上方開口を覆うアッパーカバー(不図示)とを備えている。フレーム本体13の例えば上面には、リレー、ヒューズやヒュージブルリンク、ハーネス接続用ソケット等の電気部品が装着される装着部15が複数設けられている。それぞれの装着部15には、板状のバスバーを折り曲げたり、切り欠いたりして形成した端子部(不図示)が配置される。装着部15に配置された端子部は、装着部15に装着されるリレー、ヒューズやヒュージブルリンク、ハーネス接続用ソケット等の電源側端子と負荷側端子のうち、電源側端子に導通接続される。
【0012】
本実施形態に係る電気接続箱11のフレーム本体13は、救援端子部17を有する。救援端子部17は、フレーム本体13のソケット部19に、着脱自在に装着される。本実施形態において、ソケット部19は、フレーム本体13の装着部15に、着脱自在に装着される。なお、ソケット部19は、フレーム本体13と一体に成形されていてもよい。以下、ソケット部19は、フレーム本体13と一体となった電気接続箱11の一部位として説明する。
【0013】
図2は、樹脂カバー21に覆われた救援端子部17の斜視図である。
フレーム本体13(ソケット部19)のコネクタ装着部23に装着される救援端子部17は、平面視で長方形の直方体状に形成される。救援端子部17は、樹脂カバー21により表出可能となって覆われる。樹脂カバー21は、救援端子部17に対し、回動ヒンジ構造により回転自在に取り付けられる。樹脂カバー21は、図2示す閉鎖位置において、救援端子部17を覆う。
【0014】
図3は、回動ヒンジ構造により樹脂カバー21が開放位置に回転されて表出した救援端子部17の斜視図である。
樹脂カバー21は、救援端子部17における一方の長手方向側面25と、長手方向側面25に隣り合う両短手方向側面27と、上面29とを覆う。
【0015】
図3に示すように、樹脂カバー21が開放位置となって表出した救援端子部17は、一方の長手方向側面25に、板状の救援端子31が設けられる。救援端子31は、フレーム本体13に対して垂直に起立する絶縁樹脂製の端子支持板33により支持されている。即ち、救援端子部17は、救援端子31と端子支持板33とが板厚方向で重ねられて、端子支持板33の一方の面側に救援端子31が表出している。救援端子部17は、ばねの力で閉じる導電金属製のクランプ部35(わに口)により板厚方向から挟まれ、救援端子31がブースタケーブル(不図示)に導通接続される。
【0016】
図4は、フレーム本体13のソケット部19及び救援端子部17の分解斜視図である。
救援端子部17は、端子支持板33に形成される挿入部37が、フレーム本体13のソケット部19に着脱自在に装着される。救援端子部17は、救援端子31の端子基端部39の両側縁に垂直に折り曲げられた一対の平行な電気接触片41を有する。救援端子31は、端子基端部39を除く端子先端部43が、端子支持板33に形成されたスリット穴45に挿通されて端子支持板33に保持される。
【0017】
救援端子31と端子支持板33とが一体となった救援端子部17は、コネクタ装着部23に挿入部37が装着されると、一対の電気接触片41が、ソケット部19のハウジングに配置される音叉端子群47に導通接続される。音叉端子群47は、救援端子31の電気接触片41を板厚方向から挟む一対の挟持片からなる音叉端子49が、複数対並んで板状に形成されている。音叉端子群47は、ソケット部19がフレーム本体13に装着されることにより、音叉端子49の並び方向一端部に形成される短冊状の受電端子部48がフレーム本体13側のバスバー(不図示)に導通接続される。
【0018】
図3に示すように、挿入部37がフレーム本体13のソケット部19に装着された救援端子部17は、図4に示すロックアーム51が係合凹部57(図6、参照)に係止されることにより、コネクタ装着部23からの離脱が規制される。
【0019】
図5は、フレーム本体13から脱着された救援端子部17及び樹脂カバー21の斜視図である。
ロックアーム51は、挿入部37の側面に形成される。ロックアーム51は、挿入部37の側面に一対の平行な切り込みを入れることにより、挿入部37の側面と平行に配置されて、挿入部37の側面と面一となる。ロックアーム51は、救援端子部17の装着方向下側となる基端が挿入部37の側面に接続され、反対側の装着方向上側の先端が自由端部となる片持ち梁形状となる。このロックアーム51の自由端部は、挿入部37の側面と面一の面に、ロック爪53が突出して形成される。即ち、ロック爪53は、挿入部37の側面よりも突出している。ロックアーム51は、ロック爪53が挿入部37に向かって押されると、ロック爪53が挿入部37の側面と面一となる位置まで自由端部が弾性変形して押し込まれる。即ち、通常状態では、ロック爪53は、挿入部37の側面から突出している。
【0020】
図6は、救援端子部17がソケット部19から脱着された状態の分解斜視図である。
例えば樹脂カバー21が閉鎖位置となった救援端子部17は、挿入部37が、コネクタ装着部23に装着されると、ロック爪53がコネクタ装着部23の内側面55に押圧されて押し込まれる。そして、挿入部37が所定の位置まで挿入(装着)されると、コネクタ装着部23の内側面55に形成された係合凹部57に、ロック爪53が弾性復元力により元の位置に変位して係止される。これにより、救援端子部17は、コネクタ装着部23からの離脱が規制される。一方、ロックアーム51は、治具等を用いてロック爪53が挿入部37の側面と面一となる位置まで自由端部が移動されると、係合凹部57との係止が解除され、挿入部37をコネクタ装着部23から離脱することができる。
【0021】
図4に示すように、樹脂カバー21は、一方の長手方向側面25の基端部側における長手方向に沿って延びる同軸となった一対の回動軸59を有する。樹脂カバー21は、この回動軸59を中心に、フレーム本体13(即ち、救援端子部17)に対して回動自在とされる。
【0022】
図7は、救援端子部17と樹脂カバー21の分解斜視図である。
救援端子部17の端子支持板33は、端子先端部43が突出するスリット穴45が開口した挿入部37の上面に、一対の軸受け部61を備えている。一対の軸受け部61は、一対の回動軸59を支持する位置に離間して配置されている。樹脂カバー21に設けられた一対の回動軸59は、双方が、同一端側(図7の右端側)に形成される軸支持部63により樹脂カバー21に設けられている。一対の回動軸59は、軸支持部63と反対側の軸先端部が、一対の軸受け部61の同じ方向から同時にスライドされて挿入されるようになっている。スライドされて回動軸59が軸受け部61に挿入された樹脂カバー21は、軸支持部63が軸受け部61に当接してそれ以上のスライドが規制される。
【0023】
図8は、樹脂カバー21が全開放位置まで回転された状態の救援端子部17の斜視図である。
樹脂カバー21は、救援端子部17に装着された時に、閉鎖位置(図2に示す位置)からほぼ90°の位置となる開放位置(図3に示す位置)まで回転される。また、樹脂カバー21は、救援端子部17がフレーム本体13から脱着された後には、図8に示すように、挿入部37の側面に当接する位置(全開放位置)まで更にほぼ90°の回転が可能となる。つまり、樹脂カバー21の回転角度範囲は、救援端子部17がフレーム本体13から脱着された状態では、閉鎖位置から全開放位置までのほぼ180°となる。
【0024】
図9は、樹脂カバー21に覆われた救援端子部17を斜め上方より見た斜視図である。
樹脂カバー21は、一方(図9の左方)の軸支持部63と他方(図9の右方)の軸支持部63との間に、スライド規制突起65が形成されている。樹脂カバー21は、一方(図9の左方)の軸支持部63とスライド規制突起65との間に渡って、補強板部67が形成されている。一方、救援端子部17の端子支持板33には、スライド規制突起65に当接して樹脂カバー21の図9における右方向へのスライドを規制するストッパ突起69が、挿入部37の上面に形成されている。
【0025】
樹脂カバー21は、図9に示す閉鎖位置において、スライド規制突起65がストッパ突起69に当接してスライドが規制されている。また、樹脂カバー21は、図5に示す90°回転された開放位置においても、スライド規制突起65がストッパ突起69に当接してスライドが規制される。すなわち、樹脂カバー21は、救援端子部17がフレーム本体13に装着された状態では、樹脂カバー21がフレーム本体13のソケット部19に当たって90°の開放位置までしか回転されないので、スライドが規制されたままの状態となる。
【0026】
ここで、樹脂カバー21を回動自在に保持する回動ヒンジ構造は、樹脂カバー21を、全開放位置(180°回転された位置)においてのみ救援端子部17に対して着脱自在とする。すなわち、図8に示すように、樹脂カバー21は、閉鎖位置から180°回転された位置では、スライド規制突起65がストッパ突起69に対して干渉しない位置へと移動される。
【0027】
図10は、端子支持板33の軸受け部61から樹脂カバー21の回動軸59が抜かれた状態の救援端子部17の斜視図である。
樹脂カバー21は、この全開放位置において、スライド規制突起65が、ストッパ突起69と干渉しなくなるので、図10に示すように、軸受け部61から回動軸59を引き抜く方向のスライドが可能となる。回動軸59が軸受け部61から抜かれた樹脂カバー21は、図7に示したように、救援端子部17からの取り外しが可能となる。なお、救援端子部17に対する樹脂カバー21の取り付けは、この全開放位置から取り外しと逆の手順で行うことができる。
【0028】
図11は、樹脂カバー21が全開放位置の直前でロックアーム51のロック爪53に当たった状態の側面図である。
ところで、樹脂カバー21は、全開放位置へ回転されようとすると、全開放位置の直前でロックアーム51のロック爪53に当たり、全開放位置への回転が規制される。つまり、樹脂カバー21は、図11に示すロック爪53に当たった回転位置では、まだスライド規制突起65がストッパ突起69に当たった状態であり、スライドが規制される。
【0029】
即ち、救援端子部17をフレーム本体13に対して着脱自在に保持するロックアーム51は、樹脂カバー21を全開放位置の直前位置で保持するように働く。
【0030】
ロックアーム51は、上述したように弾性を有するので、ロック爪53が挿入部37の側面と面一となる位置まで押し込みが可能となる。このため、スライドが規制される全開放位置の直前に保持された樹脂カバー21は、ロック爪53を押し込めて、全開放位置まで回転することにより、スライドが可能となる。つまり、樹脂カバー21が取り外しできるようになる。
【0031】
次に、上記した構成の作用を説明する。
本実施形態に係る電気接続箱11では、フレーム本体13が、救援端子部17を有する。救援端子部17には、ブースタケーブルのクランプ部35を接続することができる。本実施形態の救援端子部17は、フレーム本体13に対して分離できるが、分離できない構成でもよい。救援端子部17は、樹脂カバー21を備える。樹脂カバー21は、救援端子部17における一方の長手方向側面25と、長手方向側面25に隣り合う両短手方向側面27と、上面29とを覆うことができる。
【0032】
樹脂カバー21は、一方の長手方向側面25の上面29と反対側の基端部側における長手方向に沿って延びる回動軸59を中心に、フレーム本体13に対して回動自在とされる。すなわち、樹脂カバー21は、フレーム本体13に対して回動軸59を中心に回転することにより、救援端子部17を覆う閉鎖位置と、救援端子部17を露出させる開放位置との間で回転(開閉)される。
【0033】
本実施形態の電気接続箱11では、樹脂カバー21の回動軸59が、直方体状となる救援端子部17の長手方向に沿って延びるので、救援端子部17の短手方向に回動軸59を設けた従来の回動ヒンジ構造に比べ、樹脂カバー21の回動軸59を中心とした回転半径が小さくなる。すなわち、本実施形態の電気接続箱11では、樹脂カバー21の開閉スペースを従来構造に比べ小さくできる。
【0034】
また、本実施形態の電気接続箱11にける回動ヒンジ構造は、樹脂カバー21の長手方向に回動軸59が設けられるので、樹脂カバー21の開閉操作時に、梃子の原理により回動軸59に作用する捩れ方向の力が小さくなる。これにより、樹脂カバー21は、回動軸59がフレーム本体13から外れにくくなる。
【0035】
また、本実施形態の電気接続箱11では、樹脂カバー21が全開放位置においてのみ、救援端子部17に対して着脱自在となる。
電気接続箱11では、上述のように、樹脂カバー21が、救援端子部17を覆う閉鎖位置と、救援端子部17を露出させる開放位置との間で回転される。樹脂カバー21は、救援端子部17を露出させる開放位置よりも更に回転されることにより、全開放位置となる。
【0036】
救援端子部17は、四角形の金属板よりなる救援端子31が、フレーム本体13から垂直に起立する。この救援端子31は、フレーム本体13に対して垂直に起立する絶縁樹脂製の端子支持板33により一方の面が支持される。救援端子部17は、救援端子31と端子支持板33とが板厚方向で重ねられて、端子支持板33の一方の面側に救援端子31が表出する。救援端子部17は、導電金属製のクランプ部35により板厚方向から挟まれる。
【0037】
樹脂カバー21は、閉鎖位置において、垂直に起立した救援端子部17と平行となって、その一方の面に表出する救援端子31を覆い隠す。樹脂カバー21は、この閉鎖位置から、ほぼ90°で回転されることにより、フレーム本体13に当たって、それ以上回転されなくなる。つまり、全開放位置までの回転が、フレーム本体13(ソケット部19)により規制される。これにより、樹脂カバー21は、開閉操作によってもフレーム本体13から外れなくなる。
【0038】
電気接続箱11では、ロックアーム51によるロックが解除されて、救援端子部17が、フレーム本体13から脱着されると、樹脂カバー21が開放位置よりも更に回転可能となる。具体的には、樹脂カバー21は、救援端子部17がフレーム本体13に装着時に、閉鎖位置からほぼ90°の位置の開放位置まで回転される。そして、救援端子部17がフレーム本体13から脱着された後には、樹脂カバー21は、挿入部37の側面に当接する位置(全開放位置)まで更に90°の回転が可能となる。
【0039】
ここで、樹脂カバー21は、図11に示したように、ロックアーム51に設けられているロック爪53に当接することにより、全開放位置の直前位置で、それ以上の回転が規制される。つまり、樹脂カバー21は、救援端子部17がフレーム本体13から脱着された後であっても、ロック爪53に当たることにより、全開放位置に至らないことによって、救援端子部17から外れない。
【0040】
樹脂カバー21を、救援端子部17から外すには、樹脂カバー21によりロック爪53を押圧してロックアーム51を弾性変形させ、樹脂カバー21が挿入部37の側面に当接する全開放位置まで回転させる。これにより、樹脂カバー21は、救援端子部17からの離脱が可能となる。つまり、救援端子部17から樹脂カバー21を取り外すことができるようになる。その結果、電気接続箱11では、樹脂カバー21を外れにくくして、樹脂カバー21が紛失しにくい構造とすることができる。
【0041】
従って、本実施形態に係る電気接続箱11によれば、樹脂カバー21の開閉スペースを小さくしながら、樹脂カバー21を外れにくくできる。
【0042】
ここで、上述した本発明の一実施形態に係る電気接続箱の特徴をそれぞれ以下に簡潔に纏めて列記する。
[1] 平面視で長方形の直方体状に形成された救援端子部(17)を有するフレーム本体(13)と、前記救援端子部(17)における一方の長手方向側面(25)と、前記長手方向側面(25)に隣り合う両短手方向側面(27)と、上面(29)とを覆う樹脂カバー(21)と、を備える電気接続箱(11)であって、
前記樹脂カバー(21)は、前記一方の長手方向側面(25)の基端部側における長手方向に沿って延びる回動軸(59)を中心に、前記フレーム本体(13)に対して回動自在とされる、
ことを特徴とする電気接続箱(11)。
【0043】
上記[1]の構成の電気接続箱(11)によれば、フレーム本体(13)が救援端子部(17)を有する。この救援端子部(17)は、フレーム本体(13)に対して、分離できても分離できなくてもよい。
本構成の電気接続箱(11)では、樹脂カバー(21)の回動軸(59)が、直方体状となる救援端子部(17)の長手方向に沿って延びるので、救援端子部(17)の短手方向に回動軸(59)を設けた回動ヒンジ構造に比べ、樹脂カバー(21)の回動軸(59)を中心とした回転半径が小さくなる。すなわち、本構成の電気接続箱(11)では、樹脂カバー(21)の開閉スペースを従来構造に比べ小さくできる。
また、本構成の電気接続箱(11)における回動ヒンジ構造は、樹脂カバー(21)の長手方向に回動軸(59)が設けられるので、樹脂カバー(21)の開閉操作時に、梃子の原理により回動軸(59)に作用する捩れ方向の力が小さくなる。その結果、樹脂カバー(21)の回動軸(59)をフレーム本体(13)から外れにくくできる。
【0044】
[2] 前記樹脂カバー(21)を回動自在に保持する回動ヒンジ構造は、前記樹脂カバー(21)を全開放位置においてのみ前記救援端子部(17)に対して着脱自在とする、
ことを特徴とする上記[1]に記載の電気接続箱(11)。
【0045】
上記[2]の構成の電気接続箱(11)によれば、樹脂カバー(21)が、回動ヒンジ構造によりフレーム本体(13)に、回動自在に保持される。この回動ヒンジ構造は、樹脂カバー(21)が全開放位置においてのみ、救援端子部(17)に対して樹脂カバー(21)を着脱自在とする。
樹脂カバー(21)は、救援端子部(17)を覆う閉鎖位置と、救援端子部(17)を露出させる開放位置との間で回転される。樹脂カバー(21)は、救援端子部(17)を露出させる開放位置よりも更に回転されることにより、全開放位置となる。
樹脂カバー(21)は、閉鎖位置において、垂直に起立した救援端子部(17)と平行となって、その一方の面に表出する救援端子(31)を覆い隠す。樹脂カバー(21)は、この閉鎖位置から、ほぼ90°で回転されることにより、フレーム本体(13)に当たって、それ以上に回転されなくなる。つまり、全開放位置までの回転が、フレーム本体(13)により規制される。これにより、樹脂カバー(21)は、開閉操作によってもフレーム本体(13)から外れなくなる。
【0046】
[3] 前記救援端子部(17)を前記フレーム本体(13)に対して着脱自在に保持するロックアーム(51)は、前記樹脂カバー(21)を前記全開放位置の直前位置に保持する、
ことを特徴とする上記[2]に記載の電気接続箱(11)。
【0047】
上記[3]の構成の電気接続箱(11)によれば、救援端子部(17)が、フレーム本体(13)と別体で形成される。救援端子部(17)は、救援端子(31)と、端子支持板(33)とが、板厚方向に積層されて一体となる。救援端子部(17)は、端子支持板(33)に形成される挿入部(37)が、フレーム本体(13)に着脱自在に装着される。
救援端子部(17)は、ロックアーム(51)により、フレーム本体(13)からの離脱が規制される。ロックアーム(51)は、挿入部(37)の側面に形成される。ロックアーム(51)は、挿入部(37)の側面と平行に配置されて、挿入部(37)の側面と面一となる。ロックアーム(51)は、片持ち梁形状とされる。ロックアーム(51)には、挿入部(37)の側面と面一の面に、ロック爪(53)が突出して形成される。ロックアーム(51)は、ロック爪(53)が挿入部(37)に向かって押されると、ロック爪(53)が挿入部(37)の側面と面一となる位置まで弾性変形して押し込まれる。つまり、通常状態では、ロック爪(53)は、挿入部(37)の側面から突出している。
本構成の電気接続箱(11)では、ロックアーム(51)によるロックが解除されて、救援端子部(17)がフレーム本体(13)から脱着されると、樹脂カバー(21)が開放位置よりも更に回転可能となる。
樹脂カバー(21)は、ロックアーム(51)に設けられているロック爪(53)に当接することにより、全開放位置の直前位置で、それ以上の回転が規制される。つまり、樹脂カバー(21)は、フレーム本体(13)から脱着された後であっても、ロック爪(53)に当たることにより、全開放位置に至らないことによって、救援端子部(17)から外れない。樹脂カバー(21)を、救援端子部(17)から外すには、樹脂カバー(21)によりロック爪(53)を押圧してロックアーム(51)を弾性変形させ、樹脂カバー(21)が挿入部(37)の側面に当接する全開放位置まで回転させる。これにより、樹脂カバー(21)は、救援端子部(17)からの離脱が可能となる。
【0048】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0049】
11…電気接続箱
13…フレーム本体
17…救援端子部
21…樹脂カバー
25…長手方向側面
27…両短手方向側面
29…上面
51…ロックアーム
59…回動軸
図1
図2
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図11