(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】紋様画像取得方法、紋様画像取得回路及び表示パネル
(51)【国際特許分類】
G06V 40/13 20220101AFI20231219BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G06V40/13
G09G3/20 691E
G09G3/20 621A
(21)【出願番号】P 2021504757
(86)(22)【出願日】2019-06-12
(86)【国際出願番号】 CN2019090957
(87)【国際公開番号】W WO2020248169
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】512116114
【氏名又は名称】北京京▲東▼方▲顯▼示技▲術▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BOE DISPLAY TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.118 Jinghaiyilu,BDA,Beijing 100176,P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】王 佳斌
(72)【発明者】
【氏名】丁 小梁
(72)【発明者】
【氏名】曹 学友
(72)【発明者】
【氏名】王 文娟
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 静
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 宜▲馳▼
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲海▼生
(72)【発明者】
【氏名】王 雷
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 英明
(72)【発明者】
【氏名】王 迎姿
【審査官】渡部 幸和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0337412(US,A1)
【文献】特開2009-110452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G09G 3/20
G06V 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光性回路を含む紋様画像取得回路に用いられる紋様画像取得方法であって、
前記感光性回路が紋様からの光を受け取るように、第1積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量に基づいて、第1曲線を取得するステップであって、前記第1曲線は残留信号量の経時変化曲線であり、前記残留信号量は、前記第1積分期間の前に前記感光性回路によって残された信号量が経時的に放出された後に残っている信号量である、ステップと、
前記第1積分期間の後
の第2積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量に基づいて、第1採取値を取得するステップと、
前記第1曲線と前記第1採取値とに基づいて、前記紋様の画像に関する第1感光性信号を取得するステップとを含む、
紋様画像取得方法。
【請求項2】
前記第1曲線と前記第1採取値とに基づいて、前記第1感光性信号を取得するステップは、
前記第1曲線に基づいて、前記第2積分期間内に前記残留信号量から放出された信号量を第1基準値として取得するステップと、
前記第1採取値から前記第1基準値を差し引くことにより、前記第1感光性信号を取得するステップとを含む、
請求項1に記載の紋様画像取得方法。
【請求項3】
前記第1積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量に基づいて、前記第1曲線を取得するステップは、
前記第1積分期間にn個のサブ積分期間を含むようにするステップと、
n番目のサブ積分期間が終了する時に、前記n番目のサブ積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量を第nサブ採取値として取得するステップと、
N個のサブ採取値に基づいて、前記第1曲線を取得するステップとを含み、
ただし、Nが
3以上であり、nが1≦n≦Nを満たす、
請求項1又は2に記載の紋様画像取得方法。
【請求項4】
前記第1積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量に基づいて、前記第1曲線を取得するステップは、
前記第1積分期間が、第1サブ積分期間と、第2サブ積分期間と、第3サブ積分期間とを含むようにするステップと、
前記第1サブ積分期間が終了する時に、前記第1サブ積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量を第1サブ採取値として取得し、前記第2サブ積分期間が終了する時に、前記第2サブ積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量を第2サブ採取値として取得し、前記第3サブ積分期間が終了する時に、前記第3サブ積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量を第3サブ採取値として取得するステップと、
前記第1サブ採取値と、前記第2サブ採取値と、前記第3サブ採取値とに基づいて、前記第1曲線を取得するステップとを含む、
請求項3に記載の紋様画像取得方法。
【請求項5】
前記第1曲線が第1指数関数y=ka
xを満たし、前記第1サブ採取値と、前記第2サブ採取値と、前記第3サブ採取値とに基づいて、前記第1曲線を取得するステップは、
前記第1サブ採取値と前記第1指数関数とに基づいて、第1等式:F1=ka
0-ka
x1+W1を取得するステップと、
前記第2サブ採取値と前記第1指数関数とに基づいて、第2等式:F2=ka
x1-ka
x2+W2を取得するステップと、
前記第3サブ採取値と前記第1指数関数とに基づいて、第3等式:F3=ka
x2-ka
x3+W3を取得するステップと、
前記第1等式と、前記第2等式と、前記第3等式とに基づいて、前記第1指数関数を取得するステップを含み、
ただし、F1が前記第1サブ採取値であり、F2が前記第2サブ採取値であり、F3が前記第3サブ採取値であり、x1が前記第1サブ積分期間の終了時刻であり、x2が前記第2サブ積分期間の終了時刻であり、x3が前記第3サブ積分期間の終了時刻であり、W1が前記第1サブ積分期間内に前記感光性回路によって前記紋様からの光を変換して得られる信号量であり、W2が前記第2サブ積分期間内に前記感光性回路によって前記紋様からの光を変換して得られる信号量であり、W3が前記第3サブ積分期間内に前記感光性回路によって前記紋様からの光を変換して得られる信号量である、
請求項4に記載の紋様画像取得方法。
【請求項6】
前記第1サブ積分期間と、前記第2サブ積分期間と、前記第3サブ積分期間との持続時間は、等しいである、
請求項4又は5に記載の紋様画像取得方法。
【請求項7】
前記第1サブ積分期間の持続時間が10ミリ秒であり、前記第2積分期間の持続時間が60ミリ秒である、
請求項4~6のいずれか一項に記載の紋様画像取得方法。
【請求項8】
前記第1サブ積分期間と、前記第2サブ積分期間と、前記第3サブ積分期間との持続時間が等しく、前記第1曲線が第1指数関数y=ka
xを満たし、前記第1サブ採取値と、前記第2サブ採取値と、前記第3サブ採取値とに基づいて、前記第1曲線を取得するステップは、
前記第1サブ採取値と、前記第2サブ採取値と、前記第1指数関数とに基づいて、第4等式:F2-F1=2ka
x1-ka
0-ka
x2を取得するステップと、
前記第2サブ採取値と、第3サブ採取値と、前記第1指数関数とに基づいて、第5等式:F3-F2=2ka
x2-ka
x1-ka
x3を取得するステップと、
前記第4等式と前記第5等式とに基づいて、前記第1指数関数を取得するステップと、を含み、
ただし、F1が前記第1サブ採取値であり、F2が前記第2サブ採取値であり、F3が前記第3サブ採取値であり、x1が前記第1サブ積分期間の終了時刻であり、x2が前記第2サブ積分期間の終了時刻であり、x3が前記第3サブ積分期間の終了時刻である、
請求項4に記載の紋様画像取得方法。
【請求項9】
前記第1積分期間の前
のリセット期間に、前記感光性回路をリセットするステップをさらに含む、
請求項1~8のいずれか一項に記載の紋様画像取得方法。
【請求項10】
前記紋様画像取得回路は、積分演算回路をさらに含み、
前記感光性回路は、感光性素子及びスイッチ回路を含み、前記スイッチ回路は、前記感光性素子と前記積分演算回路とに電気的に接続され、
リセット期間に前記感光性回路をリセットするステップは、前記リセット期間に前記スイッチ回路をターンオンにするように、前記スイッチ回路に制御信号を提供して、前記感光性素子が前記スイッチ回路及び前記積分演算回路を介して電荷を放出するステップを含む、
請求項9に記載の紋様画像取得方法。
【請求項11】
前記第2積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量に基づいて、第1採取値を取得するステップは、
前記第2積分期間が開始する時に、スイッチ回路をターンオフにするように、前記制御信号を前記スイッチ回路に提供し、前記第2積分期間が終了する時に、前記スイッチ回路をターンオンにするように、前記制御信号を前記スイッチ回路に提供し、前記積分演算回路を使用して積分演算して、前記第1採取値を取得するステップをさらに含む、
請求項10に記載の紋様画像取得方法。
【請求項12】
前記紋様画像取得回路は、積分演算回路をさらに含み、
前記感光性回路は、感光性素子及びスイッチ回路を含み、前記スイッチ回路は、前記感光性素子と前記積分演算回路とに電気的に接続され、
n番目のサブ積分期間が終了する時に、前記n番目のサブ積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量を第nサブ採取値として取得するステップは、前記n番目のサブ積分期間が開始する時に、前記スイッチ回路をターンオフにするように、前記スイッチ回路に制御信号を提供し、前記n番目のサブ積分期間が終了する時に、前記スイッチ回路をターンオンにするように、前記スイッチ回路に前記制御信号を提供し、前記積分演算回路を使用して積分演算して、前記第nサブ採取値を取得するステップを含む、
請求項3に記載の紋様画像取得方法。
【請求項13】
感光性回路及び制御回路を含む紋様画像取得回路であって、
前記制御回路と前記感光性回路とが電気的に接続され、
前記制御回路は、
前記感光性回路が紋様からの光を受け取るように、第1積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量に基づいて、第1曲線を取得し、前記第1曲線は残留信号量の経時変化曲線であり、前記残留信号量は、前記第1積分期間の前に前記感光性回路によって残された信号量が経時的に放出された後に残っている信号量であり、
前記第1積分期間の後の第2積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量に基づいて、第1採取値を取得し、
前記第1曲線と前記第1採取値とに基づいて、前記紋様の画像に関する第1感光性信号を取得するように構成されている、
紋様画像取得回路。
【請求項14】
前記制御回路は、さらに、
前記第1曲線に基づいて、前記第2積分期間内に前記残留信号量から放出された信号量を第1基準値として取得し、
前記第1感光性信号を取得するように、前記第1採取値から前記第1基準値を差し引くように構成されている、
請求項13に記載の紋様画像取得回路。
【請求項15】
前記制御回路は、さらに、
前記第1積分期間がn個のサブ積分期間を含むようにし、
n番目のサブ積分期間が終了する時に、前記n番目のサブ積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量を第nサブ採取値として取得し、
N個のサブ採取値に基づいて、前記第1曲線を取得するように構成され、
ただし、Nが
3以上であり、nが1≦n≦Nを満たす、
請求項13又は14に記載の紋様画像取得回路。
【請求項16】
前記制御回路は、さらに、
前記第1積分期間が、第1サブ積分期間と、第2サブ積分期間と、第3サブ積分期間とを含むようにし、
前記第1サブ積分期間が終了する時に、前記第1サブ積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量を第1サブ採取値として取得し、前記第2サブ積分期間が終了する時に、前記第2サブ積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量を第2サブ採取値として取得し、前記第3サブ積分期間が終了する時に、前記第3サブ積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量を第3サブ採取値として取得し、
前記第1サブ採取値と、前記第2サブ採取値と、前記第3サブ採取値とに基づいて、前記第1曲線を取得するように構成されている、
請求項15に記載の紋様画像取得回路。
【請求項17】
前記第1曲線が第1指数関数y=ka
xを満たし、前記制御回路は、さらに、
前記第1サブ採取値と前記第1指数関数とに基づいて、第1等式:F1=ka
0-ka
x1+W1を取得し、
前記第2サブ採取値と前記第1指数関数とに基づいて、第2等式:F2=ka
x1-ka
x2+W2を取得し、
前記第3サブ採取値と前記第1指数関数とに基づいて、第3等式:F3=ka
x2-ka
x3+W3を取得し、
前記第1等式と、前記第2等式と、前記第3等式とに基づいて、前記第1指数関数を取得するように構成され、
ただし、F1が前記第1サブ採取値であり、F2が前記第2サブ採取値であり、F3が前記第3サブ採取値であり、x1が前記第1サブ積分期間の終了時刻であり、x2が前記第2サブ積分期間の終了時刻であり、x3が前記第3サブ積分期間の終了時刻であり、W1が前記第1サブ積分期間内に前記感光性回路によって前記紋様からの光を変換して得られる信号量であり、W2が前記第2サブ積分期間内に前記感光性回路によって前記紋様からの光を変換して得られる信号量であり、W3が前記第3サブ積分期間内に前記感光性回路によって前記紋様からの光を変換して得られる信号量である、
請求項16に記載の紋様画像取得回路。
【請求項18】
積分演算回路をさらに含み、
前記感光性回路は、感光性素子及びスイッチ回路を含み、前記スイッチ回路は、前記感光性素子と前記積分演算回路とに電気的に接続され、前記制御回路は、前記スイッチ回路に電気的に接続され、
前記制御回路は、さらに、
前記第2積分期間が開始する時に、スイッチ回路をターンオフにするように、制御信号を前記スイッチ回路に提供し、前記第2積分期間が終了する時に、前記スイッチ回路をターンオンにするように、前記制御信号を前記スイッチ回路に提供し、前記積分演算回路を使用して積分演算し、前記第1採取値を取得するように構成されている、
請求項15~17のいずれか一項に記載の紋様画像取得回路。
【請求項19】
前記制御回路は、さらに、
前記n番目のサブ積分期間が開始する時に、前記スイッチ回路をターンオフにするように、前記スイッチ回路に前記制御信号を提供し、前記n番目のサブ積分期間が終了する時に、前記スイッチ回路をターンオンにするように、前記スイッチ回路に前記制御信号を提供し、前記積分演算回路を使用して積分演算し、前記第nサブ採取値を取得するように構成されている、
請求項18に記載の紋様画像取得回路。
【請求項20】
表示領域を含む表示パネルであって、
前記表示領域が紋様認識領域を含み、
前記表示領域には、アレイに配列される複数の画素ユニットが設けられており、前記紋様認識領域に位置する画素ユニットは、請求項13~19のいずれか一項に記載の紋様画像取得回路を含む、
表示パネル。
【請求項21】
前記残留信号量は、前記第1積分期間の前に前記感光性回路によって残された信号量が前記第1積分期間から開始して経時的に放出された後に残っている信号量であり、任意の瞬間に対応する前記感光性回路の前記残留信号量の値は、前記第1曲線に基づいて取得することが可能であり、
前記第1採取値は、第1部分と第2部分とを含み、前記第1部分は、前記第2積分期間に前記残留信号量から放出された信号量であり、前記第2部分は、前記感光性回路によって受け取った光を変換して得られた信号量であり、
前記第1基準値を取得することは、
前記第1曲線に基づいて、前記第2積分期間の開始時刻に対応する前記残留信号量の値を取得し、前記第1曲線に基づいて、前記第2積分期間の終了時刻に対応する前記残留信号量の値を取得し、前記第2積分期間の開始時刻に対応する前記残留信号量の値から、前記第2積分期間の終了時刻に対応する前記残留信号量の値を減算して、前記第1基準値を取得することを含む、
請求項2に記載の紋様画像取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、紋様画像取得方法、紋様画像取得回路及び表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル端末の人気が高まるにつれ、身元確認、電子支払などの操作にモバイル端末を使用するユーザーが増えている。指紋パターンや掌紋パターンなどの皮膚の紋様の独自性により、光学イメージングと組み合わせた指紋認識技術は、身元確認、電子支払などのために、モバイル電子デバイスに徐々に採用されている。紋様認識の精度を向上させる方法は、この分野で注目されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の少なくとも1つの実施例は、紋様画像取得回路に用いられる紋様画像取得方法を提供し、前記紋様画像取得回路が感光性回路を含み、前記紋様画像取得方法は、前記感光性回路が紋様からの光を受け取るように、第1積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量に基づいて、第1曲線を取得するステップであって、前記第1曲線は、残留信号量の経時変化曲線であり、前記残留信号量は、前記第1積分期間の前に前記感光性回路によって残された信号量が、経時的に放出された後に残っている信号量である、ステップと、前記第1積分期間の後の第2積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量に基づいて、第1採取値を取得するステップと、前記第1曲線と前記第1採取値とに基づいて、前記紋様画像に関する第1感光性信号を取得するステップとを含む。
【0004】
例えば、本開示の一実施例によって提供される紋様画像取得方法において、前記第1曲線と前記第1採取値とに基づいて、前記第1感光性信号を取得するステップは、前記第1曲線に基づいて、前記第2積分期間内に前記残留信号量から放出された信号量を第1基準値として取得するステップと、前記第1採取値から前記第1基準値を差し引くことにより、前記第1感光性信号を取得するステップとを含む。
【0005】
例えば、本開示の一実施例によって提供される紋様画像取得方法において、前記第1積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量に基づいて、前記第1曲線を取得するステップは、前記第1積分期間がn個のサブ積分期間を含むようにし、n番目のサブ積分期間が終了する時に、前記n番目のサブ積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量を第nサブ採取値として取得するステップと、N個のサブ採取値に基づいて、前記第1曲線を取得するステップとを含み、Nが2以上であり、nが1≦n≦Nを満たす。
【0006】
例えば、本開示の一実施例によって提供される紋様画像取得方法において、前記第1積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量に基づいて、前記第1曲線を取得するステップは、前記第1積分期間が第1サブ積分期間と、第2サブ積分期間と、第3サブ積分期間とを含むようにし、前記第1サブ積分期間の終了時に、前記第1サブ積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量を第1サブ採取値として取得し、前記第2サブ積分期間の終了時に、前記第2サブ積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量を第2サブ採取値として取得し、前記第3サブ積分期間の終了時に、前記第3サブ積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量を第3サブ採取値として取得するステップと、前記第1サブ採取値と、前記第2サブ採取値と、前記第3サブ採取値とに基づいて、前記第1曲線を取得するステップとを含む。
【0007】
例えば、本開示の一実施例によって提供される紋様画像取得方法において、前記第1曲線が第1指数関数y=kaxを満たし、前記第1サブ採取値と、前記第2サブ採取値と、前記第3サブ採取値とに基づいて、前記第1曲線を取得するステップは、前記第1サブ採取値と前記第1指数関数とに基づいて、第1等式:F1=ka0-kax1+W1を取得するステップと、前記第2サブ採取値と前記第1指数関数とに基づいて、第2等式:F2=kax1-kax2+W2を取得するステップと、前記第3サブ採取値と前記第1指数関数とに基づいて、第3等式:F3=kax2-kax3+W3を取得するステップと、前記第1等式と、前記第2等式と、前記第3等式とに基づいて、前記第1指数関数を取得するステップを含み、F1は、前記第1サブ採取値であり、F2は、前記第2サブ採取値であり、F3は、前記第3サブ採取値であり、x1は、前記第1サブ積分期間の終了時刻であり、x2は、前記第2サブ積分期間の終了時刻であり、x3は、前記第3サブ積分期間の終了時刻であり、W1は、前記第1サブ積分期間内に前記感光回路によって前記紋様からの光を変換して得られる信号量であり、W2は、前記第2サブ積分期間内に前記感光回路によって前記紋様からの光を変換して得られる信号量であり、W3は、前記第3サブ積分期間内に前記感光回路によって前記紋様からの光を変換して得られる信号量である。
【0008】
例えば、本開示の一実施例によって提供される紋様画像取得方法において、前記第1サブ積分期間と、前記第2サブ積分期間と、前記第3サブ積分期間との持続時間は、等しい。
【0009】
例えば、本開示の一実施例によって提供される紋様画像取得方法において、前記第1サブ積分期間の持続時間は10ミリ秒であり、前記第2積分期間の持続時間は60ミリ秒である。
【0010】
例えば、本開示の一実施例によって提供される紋様画像取得方法において、前記第1サブ積分期間と、前記第2サブ積分期間と、前記第3サブ積分期間との持続時間は、等しく、前記第1曲線が第1指数関数y=kaxを満たし、前記第1サブ採取値と、前記第2サブ採取値と、前記第3サブ採取値とに基づいて、前記第1曲線を取得するステップは、前記第1サブ採取値と、前記第2サブ採取値と、前記第1指数関数とに基づいて、第4等式:F2-F1=2kax1-ka0-kax2を取得するステップと、前記第2サブ採取値と、第3サブ採取値と、前記第1指数関数とに基づいて、第5等式:F3-F2=2kax2-kax1-kax3を取得するステップと、前記第4等式と前記第5等式とに基づいて、前記第1指数関数を取得するステップと、F1は、前記第1サブ採取値であり、F2は、前記第2サブ採取値であり、F3は、前記第3サブ採取値であり、x1は、前記第1サブ積分期間の終了時刻であり、x2は、前記第2サブ積分期間の終了時刻であり、x3は、前記第3サブ積分期間の終了時刻である。
【0011】
例えば、本開示の一実施例によって提供される紋様画像取得方法は、リセット期間に前記感光性回路をリセットするステップをさらに含み、前記リセット期間が前記第1積分期間の前にある。
【0012】
例えば、本開示の一実施例によって提供される紋様画像取得方法において、前記紋様画像取得回路は、積分演算回路をさらに含み、前記感光性回路は、感光性素子及びスイッチ回路を含み、前記スイッチ回路は、前記感光性素子と前記積分演算回路とに電気的に接続され、リセット期間に前記感光性回路をリセットするステップは、前記リセット期間に前記スイッチ回路をターンオンにするように前記スイッチ回路に制御信号を提供し、これにより、前記感光性素子が前記スイッチ回路及び前記積分演算回路を介して電荷を放出するステップを含む。
【0013】
例えば、本開示の一実施例によって提供される紋様画像取得方法において、前記第2積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量に基づいて、第1採取値を取得するステップは、前記第2積分期間が開始する時に、前記スイッチ回路をターンオフにするように、前記制御信号を前記スイッチ回路に提供し、前記第2積分期間の終了時に、前記スイッチ回路をターンオンにするように、前記制御信号を前記スイッチ回路に提供し、前記積分演算回路を使用して積分演算し、前記第1採取値を取得するステップをさらに含む。
【0014】
例えば、本開示の一実施例によって提供される紋様画像取得方法において、前記紋様画像取得回路は、積分演算回路をさらに含み、前記感光性回路は、感光性素子及びスイッチ回路を含み、前記スイッチ回路は、前記感光性素子と前記積分演算回路とに電気的に接続され、n番目のサブ積分期間の終了時に、前記n番目のサブ積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量を第nサブ採取値として取得するステップは、前記n番目のサブ積分期間が開始する時に、前記スイッチ回路をターンオフにするように、前記スイッチ回路に前記制御信号を提供し、そして前記n番目のサブ積分期間の終了時に、前記スイッチ回路をターンオンにするように、前記スイッチ回路に前記制御信号を提供し、前記積分演算回路を使用して積分演算し、前記第nサブ採取値を取得するステップを含む。
【0015】
本開示の少なくとも1つの実施例は、感光性回路及び制御回路を含む紋様画像取得回路をさらに提供し、前記制御回路が前記感光性回路に電気的に接続され、前記制御回路は、前記感光性回路が紋様からの光を受け取るように、第1積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量に基づいて、第1曲線を取得し、前記第1曲線が、残留信号量の経時変化曲線であり、前記残留信号量が、前記第1積分期間の前に前記感光性回路によって残された信号量が、経時的に放出された後に残っている信号量であり、前記第1積分期間の後の第2積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量に基づいて、第1採取値を取得し、前記第1曲線と前記第1採取値とに基づいて、前記紋様画像に関する第1感光性信号を取得するように構成されている。
【0016】
例えば、本開示の一実施例によって提供される紋様画像取得回路において、前記制御回路は、さらに、前記第1曲線に基づいて、前記第2積分期間内に前記残留信号量から放出された信号量を第1基準値として取得し、前記第1採取値から前記第1基準値を差し引くことにより、前記第1感光性信号を取得する構成されている。
【0017】
例えば、本開示の一実施例によって提供される紋様画像取得回路において、前記制御回路は、さらに、前記第1積分期間がn個のサブ積分期間を含むようにし、n番目のサブ積分期間の終了時に、前記n番目のサブ積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量を第nサブ採取値として取得し、N個のサブ採取値に基づいて、前記第1曲線を取得するように構成され、Nが2以上であり、nが1≦n≦Nを満たす。
【0018】
例えば、本開示の一実施例によって提供される紋様画像取得回路において、前記制御回路は、さらに、前記第1積分期間が、第1サブ積分期間と、第2サブ積分期間と、第3サブ積分期間とを含むようにし、前記第1サブ積分期間の終了時に、前記第1サブ積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量を第1サブ採取値として取得し、前記第2サブ積分期間の終了時に、前記第2サブ積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量を第2サブ採取値として取得し、前記第3サブ積分期間の終了時に、前記第3サブ積分期間内に前記感光性回路によって蓄積された信号量を第3サブ採取値として取得し、前記第1サブ採取値と、前記第2サブ採取値と、前記第3サブ採取値とに基づいて、前記第1曲線を取得するように構成されている。
【0019】
例えば、本開示の一実施例によって提供される紋様画像取得回路において、前記第1曲線が第1指数関数y=kaxを満たし、前記制御回路は、さらに、前記第1サブ採取値と前記第1指数関数とに基づいて、第1等式:F1=ka0-kax1+W1を取得し、前記第2サブ採取値と前記第1指数関数とに基づいて、第2等式:F2=kax1-kax2+W2を取得し、前記第3サブ採取値と前記第1指数関数とに基づいて、第3等式:F3=kax2-kax3+W3を取得し、前記第1等式と、前記第2等式と、前記第3等式とに基づいて、前記第1指数関数を取得するように構成され、F1は、前記第1サブ採取値であり、F2は、前記第2サブ採取値であり、F3は、前記第3サブ採取値であり、x1は、前記第1サブ積分期間の終了時刻であり、x2は、前記第2サブ積分期間の終了時刻であり、x3は、前記第3サブ積分期間の終了時刻であり、W1は、前記第1サブ積分期間内に前記感光回路によって前記紋様からの光を変換して得られる信号量であり、W2は、前記第2サブ積分期間内に前記感光回路によって前記紋様からの光を変換して得られる信号量であり、W3は、前記第3サブ積分期間内に前記感光回路によって前記紋様からの光を変換して得られる信号量である。
【0020】
例えば、本開示の一実施例によって提供される紋様画像取得回路は、積分演算回路をさらに含み、前記感光性回路は、感光性素子及びスイッチ回路を含み、前記スイッチ回路は、前記感光性素子と前記積分演算回路とに電気的に接続され、前記制御回路は、前記スイッチ回路に電気的に接続され、前記制御回路は、さらに、前記第2積分期間が開始する時に、前記スイッチ回路をターンオフにするように、前記スイッチ回路に前記制御信号を提供し、前記第2積分期間の終了時に、前記スイッチ回路をターンオンにするように、前記スイッチ回路に前記制御信号を提供し、前記積分演算回路を使用して積分演算し、前記第1採取値を取得するように構成されている。
【0021】
例えば、本開示の一実施例によって提供される紋様画像取得回路において、前記制御回路は、さらに、前記n番目のサブ積分期間が開始する時に、前記スイッチ回路をターンオフにするように、前記スイッチ回路に前記制御信号を提供し、前記n番目のサブ積分期間の終了時に、前記スイッチ回路をターンオンにするように、前記スイッチ回路に前記制御信号を提供し、前記積分演算回路を使用して積分演算し、前記第nサブ採取値を取得するように構成されている。
【0022】
本開示の少なくとも1つの実施例は、表示領域を含む表示パネルをさらに提供し、前記表示領域が紋様認識領域を含み、前記表示領域にはアレイに配列される複数の画素ユニットが配置されており、前記紋様認識領域に位置する画素ユニットが本開示の実施例によって提供される任意の紋様画像取得回路を含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本開示の実施例による技術案をより明確に説明するために、実施例の図面を以下において簡単に紹介する。明らかなように、以下に説明される図面は、本開示を限定するのではなく、本開示のいくつかの実施例にのみ関する。
【0024】
【
図1B】点光源のイメージング範囲の概略図である。
【
図2A】紋様画像における一つの残像の概略図である。
【
図2B】紋様画像におけるもう一つの残像の2番目の概略図である。
【
図3】感光性素子における残留信号量の経時変化曲線である。
【
図4】本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される一つの紋様画像取得回路の概略図である。
【
図5】本開示の少なくとも1つの実施例によって提供されるもう一つの紋様画像取得回路の概略図である。
【
図6】本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される一つの紋様画像取得方法の概略図である。
【
図7】本開示の少なくとも1つの実施例によって提供されるもう一つの紋様画像取得方法の概略図である。
【
図8】本開示の少なくとも1つの実施例によって提供されるさらにもう一つの紋様画像取得方法の概略図である。
【
図9】本開示の少なくとも1つの実施例によって提供されるさらにもう一つの紋様画像取得方法の概略図である。
【
図10】本開示の少なくとも1つの実施例によって提供されるさらにもう一つの紋様画像取得方法の概略図である。
【
図11】本開示の少なくとも1つの実施例によって提供されるさらにもう1つの別の紋様画像取得方法の概略図である。
【
図12】本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される一つの紋様画像取得回路の概略図である。
【
図13】本開示の少なくとも1つの実施例によって提供されるさらにもう一つの紋様画像取得回路の概略図である。
【
図14】本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される一つの紋様画像取得回路の回路図である。
【
図15】本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される一つの表示パネルの概略図である。
【
図16】本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される一つの表示パネルにおける複数の紋様画像取得回路の回路図である。
【
図17】本開示の少なくとも1つの実施例によって提供されるもう一つの表示パネルにおける複数の紋様画像取得回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の実施例の目的、技術案及び利点をさらに明瞭にするために、以下、本開示の実施例による添付の図面を参照して、本開示の実施例による技術案について明確かつ完全に説明する。明らかなように、説明される実施例は、本開示の一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではない。説明された本開示の実施例に基づいて、創造的な労働なしに当業者によって得られた他のすべての実施例は、本開示の保護範囲内にある。
【0026】
特に定義されない限り、本開示で使用される技術用語又は科学用語は、当業者が理解する通常の意味である。本開示で使用される「第1」、「第2」及び類似する語は、何らかの順序、数量又は重要性を示すものではなく、異なる構成部分を区別するためのものにすぎない。同様に、「1個」、「1つ」又は「当該」などの類似する語は、数量制限を意味するのではなく、少なくとも1つあることを意味する。「含む」や「含まれる」などの類似する語は、この語の前に出現した素子や物がこの語の後に挙げられる素子や物、及びそれらの均等物を含むことを意味するが、その他の素子や物を排除するものではない。「接続」や「互いに接続」などの類似する語は、物理的又は機械的な接続に限定されず、直接的か間接的かを問わず、電気的な接続を含むことができる。「上」、「下」、「左」、「右」などは、相対位置関係を示すためのものにすぎず、説明対象の絶対位置が変わると、当該相対位置関係もそれに応じて変わる可能性がある。
【0027】
現在、特に携帯電話などのポータブル表示装置では、狭いベゼルが表示装置の設計と製造の主流になりつつある。ベゼル幅を狭くするように実現する手段の1つは、紋様画像取得機能を備えた感光性素子(感光性回路)を表示パネルに集積化することであり、これにより、画面下の紋様認識を実現し、表示パネルの表示領域の面積を増やし、画面と本体の比率を増やす。
【0028】
例えば、感光素子の感光光源として、点光源、線光源、又は特定のパターンの光源を使用して、紋様画像を取得し、さらに紋様を認識することができる。
【0029】
以下では、紋様画像を取得する原理を紹介するために、感光性素子の感光性光源の一例として点光源を取り上げるが、これは本開示の実施例を限定するものではない。
【0030】
反射式光学紋様グラフィック取得装置において、紋様画像の取得プロセスでは、
図1Aに示すように、点光源L1が発光すると、紋様押圧インターフェース(例えば、ガラススクリーンの外面)に異なる角度で光が照射し、紋様押圧インターフェースの全反射により、これらの光のうち、入射角が全反射の臨界角θ以上になる一部で全反射が発生し、光のこの部分が紋様押圧インターフェースから射出されなくなり、したがって、全反射領域が生じる。それに対応して、入射角が全反射の臨界角θよりも小さい光の一部は、紋様押圧インターフェースから射出される。したがって、全反射領域から反射された光によって紋様画像を収集することができ、例えば、紋様イメージングインターフェースのB1に鮮明な紋様画像が形成され、当該紋様画像は、F1にある紋様の部分に対応し、F1は全反射領域であり、B1はイメージング領域である。
【0031】
具体的には、例えば、ユーザーが指の指紋を全反射領域F1に押し付けると、指紋の隆起が全反射領域F1の表面に接触するため、指紋の隆起に対応する位置の全反射条件が破壊され、したがって、光が当該対応する位置から射出され、これにより、元の反射経路が変更され、指紋の谷が全反射領域F1の表面に接触しなくなり、したがって、指紋の谷に対応する位置の全反射条件が破壊されず、当該対応する位置にある光がまだ完全に反射されているので、元の反射経路が変更されない。このように、全反射領域の光は、全反射条件に対する指紋の谷と隆起の異なる影響により、紋様イメージングインターフェースに入射する光によって、異なる位置で明るい紋様画像と暗い紋様画像を形成する。
【0032】
また、紋様押圧インターフェースから射出されかつ指紋により反射した光の干渉により、又は光源からの光が紋様押圧インターフェースに到達しないうちに、他の機能層によって紋様イメージングインターフェースまで反射されるため、紋様イメージングインターフェースのA1が検出無効な領域になり、当該領域には有効な紋様画像を形成できない。無効領域A1では、光源L1からの光のうち、紋様押圧インターフェースに到達しないうちに、他の機能層によって紋様イメージングインターフェースまで反射される部分、及び紋様押圧インターフェースによってほぼ垂直に反射される部分の輝度がより高く、基本的に無効領域A1の中央位置にあるため、ハイライト領域を形成し、当該ハイライト領域が、光の輝度がより高いため、感光性素子アレイの対応する部分でより大きな光電信号を生成し、残像領域とも呼ばれる残像を形成しやすい。
【0033】
例えば、
図1Bは、一つの点光源のイメージング範囲の概略図を示す。
図1Bに示すように、点光源の感光範囲において、有効なイメージング範囲はリング状であり、即ち、
図1Bでは、内側円61と外側円62との間のリング状領域が有効なイメージング範囲であり、全反射領域F1に対応する
図1Aのイメージング領域B1に対応し、当該リング状の内側円61内の領域(以下、リングの中心60と呼ばれる)は、
図1Aの無効な領域A1に対応する無効なイメージング領域であり、リングの中心60内の部分領域(影付き領域)63は、ハイライト領域(残像領域)であり、当該ハイライト領域により、イメージングプロセスでは感光性素子アレイに残像を生じやすい。
【0034】
紋様認識の過程では、1つの光源で形成される有効なイメージング範囲が制限されるため、複数の並列光源(例えば、アレイに配列される複数の光源)を同時に提供し、各光源の有効なイメージング範囲を組み合わせてより大きなものを形成できる。ただし、前述のように、各光源にはまだ無効な領域があるため、ある場合によっては、1つの光源アレイだけが紋様認識の要件を満たすことができないおそれがある。この点で、例えば、複数の光源又は複数の光源アレイを時間別に点灯して、複数の有効なイメージング範囲を形成することができ、1つの光源アレイの有効なイメージング範囲は、他の光源アレイの無効な領域をカバーし、それによってこれらの異なる光源アレイの有効なイメージング範囲を重ね合わせて接合し、より大きな紋様画像を取得することができる。ただし、複数の光源(又は光源アレイ)を時間別に点灯してより広い範囲の紋様画像を形成する場合、2つの隣接する光源の点灯間隔が短いため、1つの光源によって形成されるハイライト領域が感光性素子アレイの対応する部分に与える影響はすぐには消えないが、感光性素子アレイの当該対応する部分に部分的に残る。感光性素子アレイの当該対応する部分が、後で点灯する他の光源の有効なイメージング領域にある場合、上記の残った影響により、接合された紋様画像に残像が発生し、したがって、接合された紋様画像が不完全になり、その結果、紋様画像を認識できないか、紋様画像の認識が不正確になる。一方、隣接する2つの光源の点灯間隔を長くすると、紋様画像の収集時間が長くなり、ユーザーエクスペリエンスに影響を与える。
【0035】
なお、本開示の実施例では、隣接して点灯する光源アレイ間の時間間隔を1フレームと呼び、光源アレイを1回点灯させて得られる紋様画像を1つの画像フレームと呼ぶ。例えば、上記の紋様画像の接合方法では、隣接する2つのフレームに対応する光源アレイが、隣接している(例えば、それぞれ2つのアレイを構成する光源は、所定の方向(例えば、水平又は垂直)に所定の間隔で互いにずらされている)2つの異なる光源アレイである。当然ながら、紋様画像を取得する過程では、各フレームですべての光源アレイを同時に点灯させてもよく、取得された複数のグラフィックフレームを処理して最終的な紋様画像を取得することができる。
【0036】
上記の残像現象を別の観点から説明する。例えば、感光性素子は、通常、感光性材料を使用して、受け取った光を光電変換してキャリア電荷を生成し、電荷に対してアナログ-デジタル変換(アナログ-デジタル変換)を行い、紋様に対応する信号量を取得する。しかし、本発明者らは、感光性材料(例えば、アモルファスシリコン、ガリウム砒素などの半導体材料)の材料特性のため、光電変換後に生成された電荷が、感光性要素から短時間で完全に放出されないおそれがあることを発見し、紋様画像を取得する過程で、感光性素子の直前のフレームの残留電荷が現在のフレームの電荷と重なって残像現象(lag)が発生し、その結果、取得された紋様画像が不鮮明になり、最終的に紋様認識の有効性と正確性に影響を与える。
【0037】
さらに、本発明者は、研究を通じて、上記の残像現象が経時的に徐々に弱まるか、又は消えることさえあることをさらに発見した。例えば、
図2A及び
図2Bは、画像接合方法で発生する残像現象の概略図を示す。
図2Aは、第1時刻に取得された紋様画像を示し、例えば、第1時刻に右下隅の相対位置にある光源アレイが点灯し始め、
図2Bは、第2時刻に取得された紋様画像を示し、第2時刻が第1時刻よりも遅い。
図2A及び
図2BのLA1は、左上隅の相対位置にある光源アレイが点灯することにより、直前のフレームの残留電荷によって生じた残像を表し、LA2は、現在のフレームで光源アレイが通常点灯して形成された輝点を表す。
図2Bの残像LA1は、
図2Aの残像LA1よりも弱まった。
図2A及び
図2Bに示すように、残像現象は、経時的に徐々に弱まる。
【0038】
さらに、本発明者らは、研究を通じて、上記の残像現象が弱まると、弱まる速度が時間に対して非線形であり、「前に速く、後に遅い」、即ち弱まる速度がだんだん遅くなるという現象があることを発見した。言い換えれば、感光性素子の直前のフレームに残された電荷の放出速度は、ますます遅くなる。例えば、
図3は、感光性素子の残留信号量の経時変化曲線C1を示す。一般に、感光性素子の残留電荷を直接取得することはできないため、特定の回路を介して残留電荷を電圧値などの他のパラメータに変換する必要があり、そして対応する残留信号量を取得する。
【0039】
本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される紋様画像取得方法、紋様画像取得回路及び表示パネルは、上記の残像現象が弱まったときの変更規則に従って、一定の積分期間内の残留電荷の放出量を取得して、紋様画像に対応する感光性信号を取得し、これにより、紋様画像取得の有効性と精度を向上させることができる。
【0040】
以下、添付の図面を参照して、本開示の実施例及びその例について詳細に説明する。
【0041】
本開示の少なくとも1つの実施例は、紋様画像取得方法を提供し、例えば、当該紋様画像取得方法が紋様画像取得回路に用いられてもよく、
図4が例示的な紋様画像取得回路10を示し、当該紋様画像取得回路10は、感光性回路100を含む。以下、
図4、
図6及び
図5を参照して、当該紋様画像取得方法に含まれる操作ステップを説明する。当該紋様画像取得方法には、以下の操作ステップが含まれている。
【0042】
ステップS100:感光性回路100に紋様からの光を受け取るようにさせ、第1積分期間IP1内に感光性回路100によって蓄積された信号量に基づいて、第1曲線C1を取得し、第1曲線C1は、残留信号量の経時変化曲線であり、残留信号量は、第1積分期間IP1の前に感光性回路100によって残された信号量が、経時的に放出された後に残っている信号量である。
【0043】
ステップS200:第1積分期間の後の第2積分期間IP2内に感光性回路100によって蓄積された信号量に基づいて、第1採取値を取得する。
【0044】
ステップS300:第1曲線C1及び第1採取値に基づいて、紋様画像に関する第1感光性信号を取得する。
【0045】
例えば、
図6及び
図7に示すように、時系列では、第2積分期間IP2は、第1積分期間IP1の後にある。例えば、
図6に示すように、いくつかの実施例において、第2積分期間IP2及び第1積分期間IP1が時系列で連続的であり、即ち、第2積分期間IP2と第1積分期間IP1との間に時間間隔がない。又は、
図7に示すように、他のいくつかの実施例において、第2積分期間IP2及び第1積分期間IP1が時系列で不連続的であり、即ち、第2積分期間IP2と第1積分期間IP1との間に時間間隔がある。
【0046】
例えば、直前のフレームに用いられる光源アレイがターンオフにされた後、現在のフレームに用いられる光源アレイがオンにされ、このとき、感光回路100には、直前のフレームの残された電荷が存在する。以上のことから、当該残された電荷は、経時的にゆっくりと放出され、同時に感光回路100は、紋様からの光などの、受け取った光を電荷に変換することが分かる。
図4に示すように、上記紋様画像取得回路10は、積分演算回路200をさらに含み、例えば、当該積分演算回路200は、感光回路100により蓄積された電荷量に対して積分演算を行い、アナログ電荷量をデジタル信号量に変換することにより、感光回路100が蓄積した電荷量に対応する信号量を取得するように構成されている。例えば、感光回路100と積分演算回路200をターンオンにすると、感光回路100によって蓄積された電荷量が、積分演算回路200に放出されてもよく、当該放出された電荷量は、直前のフレームから残された電荷の放出量と、現在のフレームで受け取った光を変換して得られる電荷の放出量との2つの部分を含む。なお、本開示の実施例において、第1積分期間IP1の前に感光性回路100によって残された信号量が、経時的に放出された後に残っている信号量は、残留信号量と呼ばれ、第1の曲線C1は、即ち当該残留信号量の経時変化曲線である。
【0047】
例えば、一定の期間Aで、感光回路100と積分演算回路200をターンオンしないように制御信号GTを感光回路100に提供し、当該期間Aでは、感光回路100に残された電荷が経時的に放出され、同時に感光回路が100は、受け取った光をさらに電荷に変換する。次に、感光回路100と積分演算回路200をターンオンにするように、制御信号GTを感光回路100に提供し、その結果、感光回路100は、A期間に蓄積された電荷を積分演算回路200に放出することができ、積分演算回路200は、対応する信号を取得するように、受け取った電荷に対して積分演算を行うことができる。例えば、積分演算回路200のデータ出力端DTから当該信号量を取得することができ、例えば、積分演算回路200は、さらに、積分演算するように、基準電圧Vrefを受け取るように構成される。
【0048】
ステップS100では、第1積分期間IP1に残された電荷から放出された電荷量は経時的に変化するため、残留信号量に基づいて、第1曲線C1を取得することができる。当該第1曲線C1は、残留信号量にのみ関し、感光回路100が受け取った光を変換して得られる信号量とは関係がない。
【0049】
ステップS200において、取得された第1採取値には、第2積分期間IP2に残留信号量から放出された信号量と、感光性回路100によって受け取った光を変換して得られた信号量との2つの部分が含まれる。
【0050】
そして、ステップS300では、第1曲線C1及び第1採取値に基づいて、紋様画像に関する第1感光性信号を取得することができる。例えば、第1曲線C1に基づいて、残留信号量に関する第1採取値の部分を除去することができるので、得られた第1感光性信号を、感光性回路100によって受け取った紋様からの光にのみ関連させ、残留信号量とは関係ない。例えば、第1感光性信号を取得した後、処理回路で当該第1感光性信号をさらに処理して紋様画像を取得し、紋様認識を完了することができる。本開示の実施例によって提供される紋様画像取得方法を使用することにより、最終的に得られる第1感光性信号を、感光性回路100によって受け取った紋様からの光にのみ関連させ、感光性回路100の残留信号量とは関係なく、それにより、最終的な紋様認識の有効性と精度を向上させることができる。
【0051】
例えば、本開示のいくつかの実施例によって提供される紋様画像取得方法において、上記ステップS300は、以下の操作ステップを含む。
【0052】
ステップS310:第1曲線C1に基づいて、第2積分期間IP2内に残留信号量から放出された信号量を第1基準値として取得する。
【0053】
ステップS320:第1採取値から第1基準値を差し引くことにより、第1感光性信号を取得する。
【0054】
例えば、第1曲線C1を取得した後、いつでも感光回路100に対応する残留信号量の値を得ることができ、ステップS310において、第1曲線C1に基づいて、第2積分期間IP2に残留信号量から放出される信号量、即ち第1基準値を取得することができる。例えば、第1曲線C1に基づいて、第2積分期間IP2の開始時刻に対応する残留信号量の値を取得し、第1曲線C1に基づいて、第2積分期間IP2の終了時刻に対応する残留信号量の値を取得し、そして第2積分期間IP2の開始時刻に対応する残留信号量の値から、第2積分期間IP2の終了時刻に対応する残留信号量の値を差し引いて、第1基準値を取得することができる。その後、ステップS320において、第1採取値から第1基準値を差し引いて、第1感光性信号を取得することができる。
【0055】
以上により、第1曲線C1を取得した後、任意の時刻での感光回路100に対応する残留信号量の値を取得することができる。したがって、本開示の実施例によって提供される紋様画像取得方法において、第2積分期間IP2と第1積分期間IP1を連続的にする必要がない。
図7に示すように、第2積分期間IP2と第1積分期間IP1とは不連続であってもよく、即ち第2積分期間IP2と第1積分期間IP1との間に時間間隔があってもよい。
【0056】
本開示のいくつかの実施例によって提供される紋様画像取得方法において、上記ステップS100の例は、以下の操作ステップを含む。
【0057】
ステップS110:第1積分期間IP1がn個のサブ積分期間を含むようにする。
【0058】
ステップS120:n番目のサブ積分期間の終了時に、n番目のサブ積分期間内に感光性回路100によって蓄積された信号量を第nサブ採取値として取得する。
【0059】
ステップS130:N個のサブ採取値に基づいて、第1曲線C1を取得する。
【0060】
Nが2以上であり、かつnが1≦n≦Nを満たす。
【0061】
例えば、いくつかの実施例において、
図8に示すように、上記N=3であり、即ち、上記ステップS100の1つの具体的な例は、以下の操作ステップを含む。
【0062】
ステップS111:第1積分期間IP1が第1サブ積分期間SIP1と、第2サブ積分期間SIP2と第3サブ積分期間SIP3とを含むようにする。例えば、第2サブ積分期間SIP2と第1サブ積分期間SIP1は、連続的であり、第3サブ積分期間SIP3と第2サブ積分期間SIP2は、連続的である。
【0063】
ステップS121:第1サブ積分期間SIP1の終了時に、第1サブ積分期間SIP1内に感光性回路100によって蓄積された信号量を第1サブ採取値F1として取得し、第2サブ積分期間SIP2の終了時に、第2サブ積分期間SIP2内に感光性回路100によって蓄積された信号量を第2サブ採取値F2として取得し、第3サブ積分期間SIP3の終了時に、第3サブ積分期間SIP3内に感光性回路100によって蓄積された信号量を第3サブ採取値F3として取得する。
【0064】
ステップS131:第1サブ採取値F1と、第2サブ採取値F2と、第3サブ採取値F3とに基づいて、第1曲線C1を取得する。
【0065】
例えば、いくつかの実施例において、
図3に示すように、第1曲線C1が第1指数関数y=ka
xを満たすと、上記ステップS131は、以下の操作ステップを含むことができる。
【0066】
ステップS1311:第1サブ採取値F1及び第1指数関数に基づいて、第1等式:F1=ka0-kax1+W1を取得する。
【0067】
ステップS1312:第2サブ採取値F2及び第1指数関数に基づいて、第2等式:F2=kax1-kax2+W2を取得する。
【0068】
ステップS1313:第3サブ採取値F3及び第1指数関数に基づいて、第3等式:F3=kax2-kax3+W3を取得する。
【0069】
ステップS1314:第1等式、第2等式及び第3等式に基づいて、第1指数関数を取得する。
【0070】
上記の式において、F1は、第1サブ採取値であり、F2は、第2サブ採取値であり、F3は、第3サブ採取値であり、x1は、第1サブ積分期間SIP1の終了時刻であり、x2は、第2サブ積分期間SIP2の終了時刻であり、x3は、第3サブ積分期間SIP3の終了時刻であり、W1は、第1サブ積分期間SIP1内に感光性回路100によって紋様からの光を変換して得られる信号量であり、W2は、第2サブ積分期間SIP2内に感光性回路100によって紋様からの光を変換して得られる信号量であり、W3は、第3サブ積分期間SIP3内に感光性回路100によって紋様からの光を変換して得られる信号量である。
【0071】
以下、
図3、
図4及び
図9を参照して、上記ステップS111、ステップS121及びステップS131の1つの具体的な例について説明する。
【0072】
例えば、
図3、
図4及び
図9に示すように、一例において、第1サブ積分期間SIP1、第2サブ積分期間SIP2及び第3サブ積分期間SIP3の持続時間は、等しい。例えば、いくつかの実施例において、第1サブ積分期間SIP1の持続時間は10ミリ秒(ms)である。
【0073】
例えば、ゼロ時刻に、低レベルの制御信号GTを感光性回路100に提供し、感光性回路100と積分演算回路200をターンオンせず、次いで、第1サブ積分期間SIP1が終了する時に、即ち、x1=10msの場合、高レベルの制御信号GTを感光性回路100に提供し、感光回路100と積分演算回路200をターンオンにし、データ出力端DTで第1サブ採取値F1を取得し、F1=k-ka10+W1となる。なお、第1サブ積分期間SIP1では、制御信号GTのパルス幅(即ち、高レベルにある時間)は、例えば、マイクロ秒(μs)であるため、第1サブ積分期間SIP1の持続期間に対して、制御信号GTのパルス幅が無視できる。同様に、以下の説明では、第2サブ積分期間SIP2及び第3サブ積分期間SIP3の持続時間に対して、制御信号GTのパルス幅も無視することができ、説明を繰り返さない。
【0074】
第1サブ積分期間SIP1が終了した後、第2サブ積分期間SIP2に入り、低レベル制御信号GTを感光性回路100に提供し、感光性回路100と積分演算回路200をターンオンせず、そして第2サブ積分期間SIP2が終了する時に、即ちx2=20msである場合、高レベル制御信号GTを感光性回路100に提供し、感光性回路100と積分演算回路200をターンオンにし、データ出力端DTで第2サブ採取値F2を取得することができ、F2=k10-ka20+W2である。
【0075】
第2サブ積分期間SIP2が終了した後、第3サブ積分期間SIP3に入り、低レベル制御信号GTを感光性回路100に提供し、感光性回路100と積分演算回路200をターンオンせず、そして第3サブ積分期間SIP3が終了する時、即ちx3=30msの場合、高レベル制御信号GTを感光性回路100に提供し、感光性回路100と積分演算回路200をターンオンにし、データ出力端DTで第3サブ採取値F3を取得することができ、F3=k20-ka30+W3である。
【0076】
第1等式、第2等式及び第3等式を第1方程式グループとし、第1サブ積分期間SIP1、第2サブ積分期間SIP2及び第3サブ積分期間SIP3の持続時間は、いずれも10msであり、即ちW1=W2=W3であるので、当該第1方程式グループには、3つの方程式と3つの未知数があり、第1方程式グループを解くことにより、kとaを取得し、最後に第1曲線C1を取得することができる。
【0077】
例えば、いくつかの実施例によって提供される紋様画像取得方法において、第2積分期間IP2の持続時間は、60msであり、第1曲線C1、第2積分期間IP2の開始時刻及び終了時刻に基づいて、第1基準値を取得することができ、そして第1採取値から第1基準値を差し引いて紋様画像に関する第1感光性信号を取得することができる。
【0078】
なお、上記の第1方程式グループを解いた後も、W1(W2又はW3)、即ち、第1サブ積分期間SIP1(第2サブ積分期間SIP2又は第3サブ積分期間SIP3)内に、感光性回路100によって紋様からの光を変換して得られる信号量を取得することができ、当該信号量に対してデータ処理を実行して紋様画像を取得することができる。しかしながら、感光性回路100の残留信号量が開始時により多く放出されるので、上記W1の値がより小さい可能性があり、その後のデータ処理に影響を与えるおそれがある。
【0079】
本開示の少なくとも1つの実施例によって提供される紋様画像取得方法は、第2積分期間IP2を設定することにより、第2積分期間IP2における感光回路100の残留信号量が既に少なく、即ち第1基準値がより小さいので、最終的に得られる第1感光性信号に含まれる紋様画像に関する信号量が大きくなり、より効果的で正確な紋様画像を取得するための後続のデータ処理に役立つ。
【0080】
なお、本開示のいくつかの実施例において、第1サブ積分期間SIP1の持続時間を10ミリ秒(ms)に設定し、及び第2積分期間IP2の持続時間を60msに設定することは、単なる例示であり、本開示の実施例はこれを含むが、これに限定されず、必要に応じて、第1サブ積分期間SIP1及び第2積分期間IP2の持続時間に他の適切な値を選択してもよい。
【0081】
例えば、別のいくつかの実施例において、
図3に示すように、第1曲線C1が第1指数関数y=ka
xを満たし、上記ステップS131は、以下の操作ステップを含む。
【0082】
ステップS1315:第1サブ採取値F1、第2サブ採取値F2及び第1指数関数に基づいて、第4等式:F2-F1=2kax1-ka0-kax2を取得する。
【0083】
ステップS1316:第2サブ採取値F2、第3サブ採取値F3及び第1指数関数に基づいて、第5等式:F3-F2=2kax2-kax1-kax3を取得する。
【0084】
ステップS1317:第4等式及び第5等式に基づいて、第1指数関数を取得する。
【0085】
上記の式において、F1は、第1サブ採取値であり、F2は、第2サブ採取値であり、F3は、第3サブ採取値であり、x1は、第1サブ積分期間の終了時刻であり、x2は、第2サブ積分期間の終了時刻であり、x3は、第3サブ積分期間の終了時刻である。
【0086】
以下、
図3、
図4及び
図9を参照して、上記ステップS111、ステップS121及びステップS131の具体的な例について説明する。
【0087】
例えば、
図3、
図4及び
図9に示すように、一例において、第1サブ積分期間SIP1、第2サブ積分期間SIP2及び第3サブ積分期間SIP3の持続時間は、等しい。例えば、いくつかの実施例において、第1サブ積分期間SIP1の持続時間は、10ミリ秒(ms)である。
【0088】
例えば、ゼロ時刻に、低レベルの制御信号GTを感光性回路100に提供し、感光性回路100と積分演算回路200をターンオンせず、次いで、第1サブ積分期間SIP1が終了する時、即ち、x1=10msの場合、高レベルの制御信号GTを感光性回路100に提供し、感光回路100と積分演算回路200をターンオンにし、データ出力端DTで第1サブ採取値F1を取得する。
【0089】
第1サブ積分期間SIP1が終了した後、第2サブ積分期間SIP2に入り、低レベル制御信号GTを感光性回路100に提供し、感光性回路100と積分演算回路200をターンオンせず、そして第2サブ積分期間SIP2が終了する時、即ちx2=20msである場合、高レベル制御信号GTを感光性回路100に提供し、感光性回路100と積分演算回路200をターンオンにし、データ出力端DTで第2サブ採取値F2を取得する。
【0090】
第2サブ積分期間SIP2が終了した後、第3サブ積分期間SIP3に入り、低レベル制御信号GTを感光性回路100に提供し、感光性回路100と積分演算回路200をターンオンせず、そして第3サブ積分期間SIP3が終了する時、即ちx3=30msの場合、高レベル制御信号GTを感光性回路100に提供し、感光性回路100と積分演算回路200をターンオンにし、データ出力端DTで第3サブ採取値F3を取得する。
【0091】
取得された第1サブ採取値F1及び第2サブ採取値F2に基づいて、第4等式:F2-F1=2ka10-k-ka20を取得することができ、取得された第2サブ採取値F2及び第3サブ採取値F3に基づいて、第5等式:F3-F2=2ka20-ka10-ka30を取得することができる。
【0092】
第4等式及び第5等式を第2方程式グループとし、当該第2方程式グループには、2つの方程式と2つの未知数があり、第2方程式グループを解くことにより、kとaを取得し、最後に第1曲線C1を取得することができる。
【0093】
なお、上記実施例において、第1積分期間IP1が3つのサブ積分期間を含むことを例として説明するが、本開示の実施例は、これを含むが、これに限定されず、例えば、場合によっては、第1曲線C1が経時的に変化する線形曲線であってもよく、ここでは、第1積分期間IP1に2つのサブ積分期間を含めるだけでよく、説明を繰り返さない。
【0094】
本開示のいくつかの実施例によって提供される紋様画像取得方法において、
図10に示すように、当該紋様画像取得方法は、以下の操作ステップをさらに含む。
【0095】
ステップS400:第1積分期間IP1の前のリセット期間RPに、感光性回路100をリセットする。
【0096】
図4及び
図10に示すように、リセット期間RPに、高レベル制御信号GTを感光性回路100に提供し、感光性回路100と積分演算回路200とをターンオンにし、感光性回路100が積分演算回路200を介して電荷を放出し、しかしながら、リセット期間RPの後、感光性回路100に残っている直前のフレームの電荷は完全に放出できないことに留意されたい。
【0097】
例えば、いくつかの実施例において、
図5に示すように、感光性回路100は、感光性素子110及びスイッチ回路120を含み、スイッチ回路120は、感光性素子110と積分演算回路200とに電気的に接続される。この場合、上記のステップS400は、以下の操作ステップを含む。
【0098】
ステップS410:リセット期間RPに制御信号GTをスイッチ回路120に提供してスイッチ回路120をターンオンにし、それにより、感光性素子110がスイッチ回路120及び積分演算回路200を介して電荷を放出する。
【0099】
例えば、いくつかの実施例において、
図5に示すように、感光性回路100は、感光性素子110及びスイッチ回路120を含み、スイッチ回路120は、感光性素子110と積分演算回路200とに電気的に接続される。この場合、上記ステップS200は、以下の操作ステップを含む。
【0100】
ステップS210:第2積分期間IP2が開始する時に、制御信号GTをスイッチ回路120に提供してスイッチ回路120をターンオフにし、次に第2積分期間IP2の終了時に、制御信号GTをスイッチ回路120に提供してスイッチ回路120をターンオンにし、積分演算回路200を使用して積分演算し、第1採取値を取得する。
【0101】
例えば、いくつかの実施例において、
図5に示すように、感光性回路100は、感光性素子110及びスイッチ回路120を含み、スイッチ回路120は、感光性素子110と積分演算回路200とに電気的に接続される。この場合、上記ステップS120は、以下の操作ステップを含む。
【0102】
ステップS1201:n番目のサブ積分期間が開始する時に、制御信号GTをスイッチ回路120に提供してスイッチ回路120をターンオフにし、次に、n番目のサブ積分期間が終了する時に、制御信号GTをスイッチ回路120に提供してスイッチ回路120をターンオンにし、積分演算回路200を使用して積分演算し、第nサブ採取値を取得する。
【0103】
本開示の実施例によって提供される紋様画像取得方法は、最終的に得られる第1感光性信号を、感光性回路100によって受け取った紋様からの光(即ち、紋様画像に関する信号量)にのみ関連させ、感光性回路100の残留信号量とは関係なく、それにより、最終的な紋様認識の有効性と精度を向上させることができる。
【0104】
本開示の少なくとも1つの実施例は、紋様画像取得回路10をさらに提供し、
図12に示すように、当該紋様画像取得回路10は、感光性回路100及び制御回路300を含む。制御回路300は、感光性回路100に電気的に接続され、制御回路300は、以下の操作の実行を制御するように構成されている。
【0105】
制御回路300の操作により、感光性回路100に紋様からの光を受け取るようにさせ、第1積分期間IP1内に感光性回路100によって蓄積された信号量に基づいて、第1曲線C1を取得し、第1曲線C1は、残留信号量の経時変化曲線であり、残留信号量は、第1積分期間IP1の前に感光性回路100によって残された信号量が、経時的に放出された後に残っている信号量であり、第1積分期間IP1の後の第2積分期間IP2内に感光性回路100によって蓄積された信号量に基づいて、第1採取値を取得し、第1曲線C1及び第1採取値に基づいて、紋様の画像に関する第1感光性信号を取得する。即ち、制御回路300は、上記の操作ステップS100、S200、及びS300の実行を制御するように構成されている。
【0106】
例えば、
図12に示すように、制御回路300は、データ出力端DTにさらに電気的に接続されてもよく、それにより、制御回路300が第1採取値を受け取ることができる。
【0107】
なお、第1積分期間IP1、第2積分期間IP2、ステップS100、ステップS200、及びステップS300の詳細な説明については、上記の紋様画像取得方法における対応する説明を参照することができるが、ここでは説明を繰り返さない。
【0108】
図12に示すように、本開示のいくつかの実施例によって提供される紋様画像取得回路10は、積分演算回路200をさらに含み、当該積分演算回路200は、感光回路100が蓄積した電荷量に対して積分演算を行い、アナログ電荷量をデジタル信号量に変換することにより、感光回路100が蓄積した電荷量に対応する信号量を取得するように構成されている。例えば、積分演算回路200のデータ出力端DTから当該信号量を取得することができ、例えば、積分演算回路200は、さらに、積分演算するように、基準電圧Vrefを受け取るように構成される。
【0109】
本開示のいくつかの実施例によって提供される紋様画像取得回路10において、制御回路300は、さらに、以下の操作の実行を制御するように構成される。
【0110】
第1曲線C1に基づいて、第2積分期間内に残留信号量から放出された信号量を第1基準値として取得し、第1採取値から前記第1基準値を差し引くことにより、第1感光性信号を取得する。制御回路300は、上記の操作ステップS310及びS320の実行を制御するように構成される。
【0111】
なお、ステップS310及びS320の詳細な説明については、上記の紋様画像取得方法における対応する説明を参照することができ、ここでは説明を繰り返さない。
【0112】
本開示のいくつかの実施例によって提供される紋様画像取得回路10において、制御回路300は、さらに、以下の操作の実行を制御するように構成されている。
【0113】
制御回路300の操作により、第1積分期間IP1がn個のサブ積分期間を含むようにし、n番目のサブ積分期間が終了する時に、n番目のサブ積分期間内に感光性回路100によって蓄積された信号量を第nサブ採取値として取得し、N個のサブ採取値に基づいて、第1曲線を取得し、Nが2以上であり、nが1≦n≦Nを満たす。制御回路300は、上記操作ステップS110、S120及びS130の実行を制御するように構成されている。
【0114】
なお、ステップS110、S120、及びS130の詳細な説明については、上記の紋様画像取得方法における対応する説明を参照することができ、ここでは説明を繰り返さない。
【0115】
本開示のいくつかの実施例によって提供される紋様画像取得回路10において、制御回路300は、さらに、以下の操作の実行を制御するように構成されている。
【0116】
制御回路300の操作により、第1積分期間IP1が第1サブ積分期間SIP1と、第2サブ積分期間SIP2と第3サブ積分期間SIP3とを含むようにし、第1サブ積分期間SIP1が終了する時に、第1サブ積分期間SIP1内に感光性回路100によって蓄積された信号量を第1サブ採取値F1として取得し、第2サブ積分期間SIP2が終了する時に、第2サブ積分期間SIP2内に感光性回路100によって蓄積された信号量を第2サブ採取値F2として取得し、第3サブ積分期間SIP3が終了する時に、第3サブ積分期間SIP3内に感光性回路100によって蓄積された信号量を第3サブ採取値F3として取得し、第1サブ採取値F1と、第2サブ採取値F2と、第3サブ採取値F3とに基づいて、第1曲線C1を取得する。制御回路300は、上記操作ステップS111、S121及びS131を制御するように構成されている。
【0117】
なお、ステップS111、S121、及びS131の詳細な説明については、上記の紋様画像取得方法における対応する説明を参照することができ、ここでは説明を繰り返さない。
【0118】
本開示のいくつかの実施例によって提供される紋様画像取得回路10において、第1曲線C1が第1指数関数y=kaxを満たし、制御回路300は、さらに、以下の操作の実行を制御するように構成されている。
【0119】
制御回路300の操作により、第1サブ採取値F1及び第1指数関数に基づいて、第1等式:F1=ka0-kax1+W1を取得し、第2サブ採取値F2及び第1指数関数に基づいて、第2等式:F2=kax1-kax2+W2を取得し、第3サブ採取値F3及び第1指数関数に基づいて、第3等式:F3=kax2-kax3+W3を取得し、第1等式、第2等式及び第3等式に基づいて、第1指数関数を取得する。F1は、第1サブ採取値であり、F2は、第2サブ採取値であり、F3は、第3サブ採取値であり、x1は、第1サブ積分期間SIP1の終了時刻であり、x2は、第2サブ積分期間SIP2の終了時刻であり、x3は、第3サブ積分期間SIP3の終了時刻であり、W1は、第1サブ積分期間SIP1内に感光性回路100によって紋様からの光を変換して得られる信号量であり、W2は、第2サブ積分期間SIP2内に感光性回路100によって紋様からの光を変換して得られる信号量であり、W3は、第3サブ積分期間SIP3内に感光性回路100によって紋様からの光を変換して得られる信号量である。制御回路300は、上記操作ステップS1311、S1312、S1313及びS1314の実行を制御するように構成されている。
【0120】
なお、ステップS1311、S1312、S1313及びS1314の詳細な説明については、上記の紋様画像取得方法における対応する説明を参照することができるが、ここでは説明を繰り返さない。
【0121】
本開示のいくつかの実施例によって提供される紋様画像取得回路10において、第1曲線C1が第1指数関数y=kaxを満たし、制御回路300は、さらに、以下の操作の実行を制御するように構成されている。
【0122】
制御回路300の操作により、第1サブ採取値F1、第2サブ採取値F2及び第1指数関数に基づいて、第4等式:F2-F1=2kax1-ka0-kax2を取得し、第2サブ採取値F2、第3サブ採取値F3及び第1指数関数に基づいて、第5等式:F3-F2=2kax2-kax1-kax3を取得し、第4等式及び第5等式に基づいて、第1指数関数を取得する。制御回路300は、上記操作ステップS1315、S1316及びS1317の実行を制御する。
【0123】
なお、ステップS1315、S1316及びS1317の詳細な説明については、上記の紋様画像取得方法における対応する説明を参照することができるが、ここでは説明を繰り返さない。
【0124】
図13に示すように、本開示のいくつかの実施例によって提供される紋様画像取得回路10において、感光性回路100は、感光性素子110及びスイッチ回路120を含み、スイッチ回路120は、感光性素子110と積分演算回路200とに電気的に接続され、制御回路300がスイッチ回路120に電気的に接続される。制御回路300は、さらに、以下の操作の実行を制御するように構成されている。
【0125】
第2積分期間IP2が開始する時、制御信号GTをスイッチ回路120に提供してスイッチ回路120をターンオフにし、次いでに第2積分期間IP2が終了する時に、制御信号GTをスイッチ回路120に提供し、スイッチ回路120をターンオンにし、積分演算回路200を使用して積分演算し、第1採取値を取得する。制御回路300は、上記操作ステップS210の実行を制御するように構成されている。
【0126】
なお、ステップS210の詳細な説明については、上記の紋様画像取得方法における対応する説明を参照することができるが、ここでは説明を繰り返さない。
【0127】
本開示のいくつかの実施例によって提供される紋様画像取得回路10において、制御回路300は、さらに、以下の操作の実行を制御するように構成されている。
【0128】
制御回路300の操作により、n番目のサブ積分期間が開始する時、制御信号GTをスイッチ回路120に提供してスイッチ回路120をターンオフにし、次にn番目のサブ積分期間が終了する時に、制御信号GTをスイッチ回路120に提供してスイッチ回路120をターンオンにし、積分演算回路200を使用して積分演算し、第nサブ採取値を取得する。制御回路300は、上記操作ステップS1201の実行を制御するように構成されている。
【0129】
なお、ステップS1201の詳細な説明については、上記の紋様画像取得方法における対応する説明を参照することができるが、ここでは説明を繰り返さない。
【0130】
本開示のいくつかの実施例によって提供される紋様画像取得回路10において、制御回路300は、さらに、以下の操作の実行を制御するように構成されている。
【0131】
制御回路300の操作により、リセット期間RPにスイッチ回路120をターンオンにし、スイッチ回路120に制御信号GTを提供し、これにより、感光性素子110がスイッチ回路120及び積分演算回路200を介して電荷を放出する。制御回路300は、上記操作ステップS410の実行を制御するように構成されている。
【0132】
なお、ステップS410の詳細な説明については、上記の紋様画像取得方法における対応する説明を参照することができるが、ここでは説明を繰り返さない。
【0133】
本開示のいくつかの実施例によって提供される紋様画像取得回路10は、
図14に示す回路構造として実現することができる。なお、
図14には、制御回路300が示されていない。
【0134】
例えば、
図14に示すように、感光性素子110は、PIN型ダイオードを使用してもよく、本開示の実施例は、これを含むが、これに限定されない。例えば、感光性素子110は、さらに、他のタイプの感光性ダイオード(例えば、PN型ダイオード又はOPD型ダイオード)などの様々な適切なタイプの感光性素子を使用してもよい。必要に応じて、感光性素子110は、例えば、特定の波長の光(例えば、赤色光又は緑色光)のみを感知することができ、又はすべての可視光を感知することができる。
【0135】
例えば、
図14に示すように、スイッチ回路120は、トランジスタTを採用してもよく、例えば、当該トランジスタTは、N型トランジスタである。積分演算回路200は、演算増幅器D及びコンデンサCを含むように実装されてもよい。
【0136】
図14に示すように、PIN型ダイオードの第1電極(例えば、アノード)は、第1電圧Vdを受け取るように構成され、PIN型ダイオードの第2電極(例えば、カソード)、トランジスタTの第1電極、及びトランジスタTのゲートは、制御信号を受信するように構成され、トランジスタTの第2電極は、演算増幅器Dの反転入力端子に接続され、演算増幅器Dの非反転入力端子は、基準電圧Vrefを受け取るように構成され、コンデンサCの第1電極は、演算増幅器Dの反転入力端子に接続される。コンデンサCの第2電極は、演算増幅器Dの出力端に接続され、演算増幅器Dの出力端は、データ出力端DTとして機能する。なお、PIN型ダイオードによって受け取った光を電荷に変換するためには、当該PIN型ダイオードの両端に印加される電圧を逆電圧にする必要があり、即ち、基準電圧Vrefを第1電圧Vdよりも大きくする必要がある。例えば、基準電圧Vrefは1Vであり、第1電圧Vdは-2Vであり、又は、基準電圧Vrefは1.25Vであり、第1電圧Vdは-4Vである。
【0137】
なお、本開示の実施例に使用されるトランジスタは、薄膜トランジスタや電界効果トランジスタや同じ特性のその他のスイッチングデバイスであってもよい。ここで使用されるトランジスタは、ソース、ドレインが構造的に対称でもよいため、そのソース、ドレインが構造では区別されなくてもよい。本開示の実施例において、ゲート以外のトランジスタの両極を区別するために、一つの電極を第1電極とし、もう一つの電極を第2電極として直接記載している。よって、本開示の実施例において、全部又は一部のトランジスタの第1電極と第2電極とは、必要に応じて交換してもよい。例えば、本開示の実施例に記載されるトランジスタは、その第1の電極が、ソースで、第2電極が、ドレインであってもよいか、又は、トランジスタの第1電極が、ドレインで、第2電極が、ソースであってもよい。
【0138】
また、トランジスタの特性によって、トランジスタは、N型トランジスタとP型トランジスタとに分けられる。トランジスタがP型トランジスタの場合、ターンオン電圧は、低レベル電圧(例:0V、-5V、-10V又はその他の適切な電圧)であり、ターンオフ電圧は、高レベル電圧(例:5V、10V又はその他の適切な電圧)であり、トランジスタがN型トランジスタの場合、ターンオン電圧は、高レベル電圧(例えば、5V、10V又はその他の適切な電圧)であり、ターンオフ電圧は、低レベル電圧(例えば、0V、-5V、-10V又はその他の適切な電圧)である。本開示の実施例におけるトランジスタは、例としてN型トランジスタを取り上げることによって説明される。本開示における当該実施形態についての説明及び教示に基づいて、当業者は、創造的な労働なしに、本開示の実施例がP型トランジスタも使用できることを容易に想像することができる。
【0139】
以下、
図10に示す信号シーケンス図を参照して、
図14に示す紋様画像取得回路10の動作原理について説明する。
【0140】
リセット期間RPに高レベル制御信号GTをトランジスタTのゲートに提供して、トランジスタTをターンオンし、それにより、PIN型ダイオードがトランジスタT及び演算増幅器Dを介して電荷を放出する。
【0141】
次に、第1サブ積分期間SIP1に入り、低レベル制御信号GTをトランジスタTのゲートに提供してトランジスタTをターンオフにし、当該第1サブ積分期間SIP1において、当該PIN型ダイオードは、受信した光を電荷に変換できる一方で、当該PIN型ダイオードの残留電荷が放出される。第1サブ積分期間SIP1が終了する時に、高レベル制御信号GTをトランジスタTのゲートに提供してトランジスタTをターンオンし、第1サブ積分期間SIP1内に当該PIN型ダイオードによって蓄積された電荷が、トランジスタTを介して演算増幅器Dの反転入力端子に転送され、そして当該演算増幅器D及びコンデンサCによって積分演算した後、データ出力端DTで第1サブ採取値F1を取得する。
【0142】
第2サブ積分期間SIP2、第3サブ積分期間SIP3及び第2積分期間IP2における当該紋様画像取得回路10の動作原理は、上記第1サブ積分期間SIP1の説明を参照することができるが、ここでは説明を繰り返さない。第2サブ積分期間SIP2、第3サブ積分期間SIP3及び第2積分期間IP2の後に、それぞれ第2サブ採取値F2、第3サブ採取値F3及び第1採取値を取得することができる。
【0143】
例えば、
図13に示すように、制御回路300は、さらに、データ出力端DTに電気的に接続するように構成されてもよく、その結果、当該データ出力端DTから上記第1サブ採取値F1、第2サブ採取値F2、第3サブ採取値F3及び第1採取値を受信することができ、次に、当該制御回路300は、第1サブ採取値F1と、第2サブ採取値F2と、第3サブ採取値F3とに基づいて、第1曲線C1を取得し、そして第1曲線C1に基づいて、第1基準値を取得し、第1採取値から第1基準値を差し引くことにより、最後に第1感光性信号を取得する。
【0144】
例えば、当該制御回路300は、更なるデータ処理を実行させるように、当該第1感光性信号をバックエンドの処理回路に伝送してもよく、それにより、第1感光性信号に基づいて、紋様画像を取得する。また例えば、当該制御回路300を直接使用して第1感光性信号を処理しもよい。
【0145】
なお、本開示の実施例において、第1サブ採取値F1と、第2サブ採取値F2と、第3サブ採取値F3と、第1採取値と、第1基準値とは、例えば、電圧値であってもよいが、本開示の実施例は、これを含むが、これに限定されない。
【0146】
本開示の少なくとも1つの実施例は、表示パネル1をさらに提供し、
図15に示すように、当該表示パネル1は、表示領域210を含み、表示領域210は、紋様認識領域211を含む。なお、本開示の実施例において、紋様認識領域211は、操作体が表示パネル1上で紋様認識を実行する領域である。
図15に示される紋様認識領域211のサイズは、例示にすぎず、例えば、当該紋様認識領域211のサイズが表示領域210のサイズに一致してもよく、即ち、操作体は、表示パネル1の表示領域210の任意の位置でも紋様認識を実行することができる。
【0147】
なお、本開示の実施例において、紋様のある操作体は、手であってもよく、この場合、紋様画像取得方法における紋様は、指紋、掌紋などの皮膚紋様であり、さらに、紋様のある操作体は、樹脂などの材料で作られた特定の紋様を有する物体などの非生物学的物体であってもよく、これは、本開示の実施例では、特に限定されない。
【0148】
例えば、
図15に示すように、表示領域210には、アレイに配置された複数の画素ユニットアレイが設けられ、当該画素ユニットアレイは、複数の画素ユニットを含む。例えば、異なる画素ユニットを区別するために、紋様認識領域211にある画素ユニットをPU2とマークし、紋様認識領域211ではなく表示領域210にある画素ユニットを、紋様認識領域211にあるPU1とマークし、紋様認識領域211にある画素ユニットPU2は、本開示の実施例によって提供される任意の紋様画像取得回路10を含む。例えば、紋様画像取得回路10は、薄膜プロセスを使用して、表示パネル1の表示基板上に直接形成することができる。
【0149】
例えば、各画素ユニット(画素ユニットPU1及び画素ユニットPU2を含む)は、薄膜トランジスタ及び発光デバイスを含み、発光デバイスが、例えば、アノード、カソード、及びアノードとカソードとの間の発光層を含む。例えば、表示パネル1の画素ユニットアレイは、光源アレイとして実装されるために使用され、複数の画素ユニットは、複数の光源を形成するように実装されている。つまり、表示パネル1の画素ユニットが感光性光源として多重化されているので、当該表示パネルのコンパクト特性さを向上させ、様々な機能性構造の配置難度を低下することができる。例えば、各感光性光源が1つ以上の画素ユニットを含むため、感光性光源は、1つ又は複数の画素ユニットの異なる配列によって、特定の形状を有する点光源、線形光源、Z字型光源又は回字型光源などに形成できる。
【0150】
例えば、表示パネル1の全表示領域210の画素ユニットは、感光性光源として多重化するように制御されてもよく、紋様画像取得回路10もそれに応じて各画素ユニットに配置されてもよく、それにより全画面紋様認識を実現する。
【0151】
例えば、
図15に示すように、当該表示パネル1は、表示領域210を取り囲む周辺領域220をさらに含む。例えば、紋様画像取得回路10の制御回路300を、周辺領域220に配置することができる。
【0152】
例えば、紋様認識領域211に複数行の画素ユニットPU2が含まれる場合、
図16は、紋様画像取得回路10を配置した例(画素ユニットPU2の1列のみが示されている)を示す。
図16に示すように、第1行の画素ユニットPU2における紋様画像取得回路10は、PIN型ダイオードPIN(1)、トランジスタT(1)、演算増幅器D(1)及びコンデンサC(1)を含み、データ出力端DT(1)から各採取値を出力する。図における各マークの括弧内の数字は、対応する行数を示しており、以下の実施例は同じであり、説明を繰り返さない。
【0153】
図16に示すように、各紋様画像取得回路10には、演算増幅器及びコンデンサが別々に配置されており、隣接する行の画素ユニットにおける紋様画像取得回路10間の相互影響を低減することができる。
【0154】
また、例えば、別のいくつかの実施例において、
図17に示すように、複数の紋様画像取得回路10は、同じ積分演算回路200(演算増幅器D及びコンデンサC)を共有することもでき、これにより、設定される複数の紋様画像取得回路10が占める面積を減らすことができる。
図11は、
図17に示した複数の紋様画像取得回路の信号シーケンス図を示している。
図11に示すように、同じ列でかつ異なる行の画素ユニットにおける紋様画像取得回路が同じ積分演算回路200を共有しているため、異なる行の画素ユニットにおける紋様画像取得回路の制御信号(GT(1)、GT(2)、GT(3)、...、GT(n))が時系列で順次に提供されている。
【0155】
図15に示すように、当該表示パネル1は、処理回路400をさらに含み、当該処理回路400が紋様認識領域211における画素ユニットPU2に電気的に接続され、例えば、画素ユニットPU2における紋様画像取得回路10の制御回路300に電気的に接続され、当該処理回路400は、紋様画像を取得するように、複数の紋様画像取得回路10によって取得された複数の第1感光性信号を処理するように構成されている。当該処理回路400は、本開示の実施例に限定されず、汎用プロセッサ又は専用プロセッサによって実現することができる。
【0156】
上記実施例によって提供される表示パネル1において、紋様画像取得回路10は、表示パネル1の表示基板上に直接形成され、かつ画素ユニットPU2に集積化され、この場合、画素ユニットPU2は、紋様画像取得回路10の感光性光源として多重化されてもよい。本開示の実施例は、これを含むが、これに限定されず、例えば、紋様画像取得回路10を別途設けることもでき、例えば、紋様画像取得回路10を、表示パネル1の表示基板の裏面に取り付け、この場合、紋様画像取得回路10の感光光源としての発光素子を別途設ける必要がある。
【0157】
例えば、表示パネル1は、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode,OLED)表示パネル又は量子ドット発光ダイオード(Quantum Dot Light Emitting Diodes,QLED)表示パネルなどであり、本開示の実施例は、これを具体的に限定しない。OLED表示パネルは、例えば、可撓性OLED表示パネルであってもよい。OLED表示パネルは、自発光特性を備え、その画素ユニットの発光も必要に応じて制御又は変調できるため、紋様画像の取得が容易になり、集積度を向上させた。操作体が本開示の実施例によって提供される表示パネル1の紋様認識領域211に接触すると、紋様認識領域211の画素ユニットPU2における紋様画像取得回路10は、紋様によって反射される光のような、紋様からの光を受け取り可能で、同時に本開示の実施例によって提供される紋様画像取得方法を使用して、最終的に得られる第1感光性信号を、感光性回路100によって受け取った紋様からの光にのみ関連させ、感光性回路100の残留信号量とは関係なく、それにより、最終的な紋様認識の有効性と精度を向上させることができる。
【0158】
本開示の少なくとも1つの実施例は、表示装置をさらに提供し、当該表示装置が本開示の実施例によって提供される任意の表示パネル1を含み、本実施例における表示装置は、液晶パネル、液晶テレビ、ディスプレイ、OLEDパネル、OLEDテレビ、電子紙、携帯電話、タブレットコンピュータ、ノートブックコンピュータ、デジタルフォトフレーム、ナビゲーターなどの表示機能を有する任意の製品又は部材であってもよい。
【0159】
本開示の実施例によって提供される表示装置の技術的効果については、前述の実施例における紋様画像取得方法及び表示パネル1の対応する説明を参照することができるが、ここでは説明を繰り返さない。
【0160】
以上は、本開示の具体的な実施形態に過ぎず、本開示の保護範囲は、これに限定されず、特許請求の範囲の保護範囲を基準とすべきである。
【符号の説明】
【0161】
100 感光性回路
110 感光性素子
120 スイッチ回路
200 積分演算回路
300 制御回路
400 処理回路