IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日東電工株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-フィルタ濾材及びフィルタユニット 図1
  • 特許-フィルタ濾材及びフィルタユニット 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】フィルタ濾材及びフィルタユニット
(51)【国際特許分類】
   B01D 71/36 20060101AFI20231219BHJP
   B01D 63/14 20060101ALI20231219BHJP
   B01D 69/02 20060101ALI20231219BHJP
   B01D 69/10 20060101ALI20231219BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20231219BHJP
   B01D 39/16 20060101ALI20231219BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20231219BHJP
   B32B 5/22 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B01D71/36
B01D63/14
B01D69/02
B01D69/10
B01D69/12
B01D39/16 C
B01D39/16 E
B32B27/30 D
B32B5/22
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021512331
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(86)【国際出願番号】 JP2020015381
(87)【国際公開番号】W WO2020204177
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】P 2019071843
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】正木 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】森 将明
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-209869(JP,A)
【文献】特開2005-205305(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00-71/82
B01D 53/22
B01D 39/00-41/04
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔質膜、第1の通気性支持材、第2のPTFE多孔質膜、及び第2の通気性支持材を備えるフィルタ濾材であって、
前記第1のPTFE多孔質膜、前記第1の通気性支持材、前記第2のPTFE多孔質膜、及び前記第2の通気性支持材がこの順に積層された積層構造を有し、
前記第1のPTFE多孔質膜が、前記フィルタ濾材の一方の露出面を構成し、
前記第2のPTFE多孔質膜の透過率TR2に対する前記第1のPTFE多孔質膜の透過率TR1の比TR1/TR2が100以上であ
前記第1のPTFE多孔質膜の透過率TR 1 が20%以上であり、前記第2のPTFE多孔質膜の透過率TR 2 が0.01%以下である、フィルタ濾材。
ただし、前記透過率TR1及び透過率TR2は、それぞれ、平均粒子径0.1μmの単分散セバシン酸ジオクチル粒子を用いて透過流速5.3cm/秒において測定した前記第1のPTFE多孔質膜の捕集効率CE1(単位:%)及び前記第2多孔質膜の捕集効率CE2(単位:%)から、以下の各式により求められる値である。
透過率TR1(%)=100-捕集効率CE1
透過率TR2(%)=100-捕集効率CE2
【請求項2】
前記比TR1/TR2が300以上である、請求項1に記載のフィルタ濾材。
【請求項3】
第1のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔質膜、第1の通気性支持材、第2のPTFE多孔質膜、及び第2の通気性支持材を備えるフィルタ濾材であって、
前記第1のPTFE多孔質膜、前記第1の通気性支持材、前記第2のPTFE多孔質膜、及び前記第2の通気性支持材がこの順に積層された積層構造を有し、
前記第1のPTFE多孔質膜が、前記フィルタ濾材の一方の露出面を構成し、
前記第2のPTFE多孔質膜の透過率TR 2 に対する前記第1のPTFE多孔質膜の透過率TR 1 の比TR 1 /TR 2 が1000以上である、フィルタ濾材。
ただし、前記透過率TR 1 及び透過率TR 2 は、それぞれ、平均粒子径0.1μmの単分散セバシン酸ジオクチル粒子を用いて透過流速5.3cm/秒において測定した前記第1のPTFE多孔質膜の捕集効率CE 1 (単位:%)及び前記第2多孔質膜の捕集効率CE 2 (単位:%)から、以下の各式により求められる値である。
透過率TR 1 (%)=100-捕集効率CE 1
透過率TR 2 (%)=100-捕集効率CE 2
【請求項4】
前記比TR 1 /TR 2 が100000以上である、請求項3に記載のフィルタ濾材。
【請求項5】
前記フィルタ濾材の透過率TRFが0.5%未満である、請求項1~4のいずれかに記載のフィルタ濾材。
ただし、前記透過率TRFは、平均粒子径0.1μmの単分散セバシン酸ジオクチル粒子を用いて透過流速5.3cm/秒において測定した前記フィルタ濾材の捕集効率CEF(単位:%)から、以下の式により求められる値である。
透過率TRF(%)=100-捕集効率CEF
【請求項6】
透過流速5.3cm/秒における前記フィルタ濾材の圧力損失PLFが300Pa未満である、請求項1~のいずれかに記載のフィルタ濾材。
【請求項7】
請求項1~のいずれかに記載のフィルタ濾材と、前記フィルタ濾材を支持する枠体と、を備えるフィルタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ濾材及びフィルタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」と記載する)多孔質膜を用いたフィルタ濾材が、クリーンルームのエアフィルタ、掃除機のダストフィルタ等、種々の通気フィルタに使用されている。特許文献1には、第1のPTFE多孔質膜、第1の通気性支持材、第2のPTFE多孔質膜、及び第2の通気性支持材を備え、第1のPTFE多孔質膜が一方の露出面を構成するフィルタ濾材が開示されている。フィルタ濾材には、表面に堆積したダストを取り除くことで再度の使用を可能とする再使用性が求められることがあるが、特許文献1のフィルタ濾材のように一方の露出面がPTFE多孔質膜により構成されていると、当該露出面に堆積したダストを除去しやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-209869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダストの除去は空気の吹き付けや水洗いにより実施できるが、その際、露出面をブラシで擦ろうとするユーザーも多い。しかし、PTFE多孔質膜は非常に薄い膜であって外力による損傷が生じやすく、損傷によってフィルタ濾材の濾過性能が低下する。ダストの除去を考慮して設計されたフィルタ濾材においても、ユーザーによるブラシの併用までは十分に対応できていないのが実状である。
【0005】
本発明は、PTFE多孔質膜を含むフィルタ濾材であって、使用により表面に堆積したダストを除去しやすく、かつ、ダストの除去作業による濾過性能の低下が抑制された再使用性に優れるフィルタ濾材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
第1のPTFE多孔質膜、第1の通気性支持材、第2のPTFE多孔質膜、及び第2の通気性支持材を備えるフィルタ濾材であって、
前記第1のPTFE多孔質膜、前記第1の通気性支持材、前記第2のPTFE多孔質膜、及び前記第2の通気性支持材がこの順に積層された積層構造を有し、
前記第1のPTFE多孔質膜が、前記フィルタ濾材の一方の露出面を構成し、
前記第2のPTFE多孔質膜の透過率TR2に対する前記第1のPTFE多孔質膜の透過率TR1の比TR1/TR2が100以上である、フィルタ濾材、
を提供する。
ただし、前記透過率TR1及び透過率TR2は、それぞれ、平均粒子径0.1μmの単分散セバシン酸ジオクチル粒子を用いて透過流速5.3cm/秒において測定した前記第1のPTFE多孔質膜の捕集効率CE1(単位:%)及び前記第2のPTFE多孔質膜の捕集効率CE2(単位:%)から、以下の各式により求められる値である。
透過率TR1(%)=100-捕集効率CE1
透過率TR2(%)=100-捕集効率CE2
【0007】
別の側面において、本発明は、
上記本発明のフィルタ濾材と、前記フィルタ濾材を支持する枠体と、を備えるフィルタユニット、
を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるフィルタ濾材では、フィルタ濾材の一方の露出面がPTFE多孔質膜により構成されており、当該面に堆積したダストは、通気性支持材に堆積したダストに比べて容易に除去することが可能である。濾材を透過する気流に対して上記露出面が上流側となるようにフィルタ濾材を配置することで、使用中に表面に堆積したダストを除去しやすくなる。また、本発明によるフィルタ濾材では、第1のPTFE多孔質膜と第2のPTFE多孔質膜との間で透過率により表される濾過性能が大きく異なっており、透過率の高い第1のPTFE多孔質膜により露出面が構成されている。これにより、透過率が低く、かつ通気性支持材に挟持されることで外力の影響を受け難い第2のPTFE多孔質膜によって濾材としての濾過性能を担保しながら、透過率が高く、外力により多少の損傷を受けたとしても濾材の濾過性能に与える影響が小さい第1のPTFE多孔質膜によってダスト堆積面である露出面を構成することが可能となる。言い換えると、本発明によるフィルタ濾材では、第2のPTFE多孔質膜が濾材としての濾過性能を担保する機能を持ち、第1のPTFE多孔質膜が外力による多少の損傷を許容する露出層(ダストの堆積する層であって、ダストの除去時には外力が加わる層)としての機能を持ちうる。本発明によるフィルタ濾材では、第1のPTFE多孔質膜及び第2のPTFE多孔質膜による上記機能分担により、ダストの除去作業による濾過性能の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明のフィルタ濾材の一例を模式的に示す断面図である。
図2図2は、本発明のエアフィルタユニットの一例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明は、以下に示す実施形態に限定されない。
【0011】
[フィルタ濾材]
本発明のフィルタ濾材の一例を図1に示す。図1のフィルタ濾材1は、第1のPTFE多孔質膜11、第1の通気性支持材12、第2のPTFE多孔質膜13及び第2の通気性支持材14を備える。フィルタ濾材1は、第1のPTFE多孔質膜11、第1の通気性支持材12、第2のPTFE多孔質膜13及び第2の通気性支持材14がこの順に積層された積層構造15を有する。第1のPTFE多孔質膜11は、フィルタ濾材1の一方の露出面16を構成している。フィルタ濾材1の他方の露出面17は、第2の通気性支持材14により構成される。
【0012】
第2のPTFE多孔質膜13の透過率TR2に対する第1のPTFE多孔質膜11の透過率TR1の比TR1/TR2は100以上である。比TR1/TR2が100未満では、PTFE多孔質膜11,13による上記機能分担が不十分となることで、ダストの除去作業により濾材の濾過性能が低下する程度が増す。比TR1/TR2は、300以上、400以上、440以上、500以上、1000以上、2500以上、5000以上、10000以上、25000以上、50000以上、75000以上、100000以上、110000以上、125000以上、150000以上、175000以上、さらには190000以上であってもよい。比TR1/TR2が大きいほど、ダストの除去作業による濾材の濾過性能の低下をより確実に抑制できる。比TR1/TR2の上限は、例えば5000000以下である。
【0013】
第1のPTFE多孔質膜11及び第2のPTFE多孔質膜13の透過率TR1,TR2は、平均粒子径0.1μmの単分散セバシン酸ジオクチル粒子(以下、「セバシン酸ジオクチル」を「DEHS」と記載する)を用いて透過流速5.3cm/秒において測定したPTFE多孔質膜11,13の捕集効率CE1,CE2(単位:%)から、以下の式により求められる値である。
透過率TR1(%)=100-捕集効率CE1
透過率TR2(%)=100-捕集効率CE2
【0014】
PTFE多孔質膜の捕集効率CEは、次のように測定できる。通気口(円形、有効面積100cm2)を有するホルダーに、評価対象物であるPTFE多孔質膜を当該膜が通気口を塞ぐようにセットする。次に、通気口内の評価対象物を空気が透過するように、ホルダーの一方の面と他方の面との間に圧力差を発生させる。次に、評価対象物を透過する空気の線流速が流量計で測定して5.3cm/秒を保持するように上記圧力差を調整した後、平均粒子径0.1μmの単分散DEHS粒子を、104個/cm3以上の濃度で、評価対象物を透過する空気に含ませる。ここで、評価対象物の下流側に配置したパーティクルカウンタを用いて、評価対象物を透過した空気に含まれるDEHS粒子の濃度を測定し、以下の式により、評価対象物の捕集効率CEを求める。
捕集効率CE=[1-(下流側の粒子濃度)/(上流側の粒子濃度)]×100(%)
【0015】
第1のPTFE多孔質膜11の透過率TR1は、例えば10~90%である。透過率TR1の下限は、15%以上、20%以上、24%以上、30%以上、35%以上、さらには40%以上であってもよい。透過率TR1の上限は、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、44%以下、さらには40%以下であってもよい。
【0016】
第2のPTFE多孔質膜13の透過率TR2は、例えば0.000001~5%である。透過率TR2の上限は、1%以下、0.5%以下、0.5%未満、0.25%以下、0.15%以下、0.11%以下、0.1%以下、0.01%以下、0.001%以下、さらには0.0005%以下であってもよい。透過率TR2の下限は、0.0001%以上であってもよい。
【0017】
透過流速5.3cm/秒における第1のPTFE多孔質膜11の圧力損失PL1は、例えば1~150Paである。圧力損失PL1の下限は、10Pa以上、20Pa以上、30Pa以上、さらには40Pa以上であってもよい。圧力損失PL1の上限は、120Pa以下、100Pa以下、80Pa以下、60Pa以下、さらには40Pa以下であってもよい。
【0018】
透過流速5.3cm/秒における第2のPTFE多孔質膜13の圧力損失PL2は、例えば50~500Paである。圧力損失PL2の下限は、75Pa以上、100Pa以上、110Pa以上、125Pa以上、150Pa以上、さらには175Pa以上であってもよい。圧力損失PL2の上限は、400Pa以下、350Pa以下、300Pa以下、250Pa以下、200Pa以下、さらには180Pa以下であってもよい。
【0019】
第1のPTFE多孔質膜11の圧力損失PL1は、通常、第2のPTFE多孔質膜13の圧力損失PL2に比べて小さい。第1のPTFE多孔質膜11の圧力損失PL1に対する第2のPTFE多孔質膜13の圧力損失PL2の比PL2/PL1は、例えば1.5以上であり、2以上、2.75以上、3以上、4以上、4.5以上、5以上、7以上、8以上、さらには9以上であってもよい。比PL2/PL1の上限は、例えば30以下である。
【0020】
PTFE多孔質膜の圧力損失PLは、次のように測定できる。通気口(円形、有効面積100cm2)を有するホルダーに対して、評価対象物であるPTFE多孔質膜を当該膜が通気口を塞ぐようにセットする。次に、通気口内の評価対象物を空気が透過するように、ホルダーの一方の面と他方の面との間に圧力差を発生させる。そして、評価対象物を透過する空気の線流速が流量計で測定して5.3cm/秒となったときの上記圧力差を圧力計(マノメータ)により測定する。1つの評価対象物について上記圧力差を3回測定し、その平均値を、評価対象物の圧力損失PLとする。
【0021】
第1のPTFE多孔質膜11のPF(Performance Factor)値は、例えば20未満であり、19以下、18以下、17.5以下、さらには17以下であってもよい。第1のPTFE多孔質膜11のPF値の下限は、例えば5以上であり、8以上、10以上、12以上、13以上、14以上、15以上、さらには15.2以上であってもよい。第2のPTFE多孔質膜13のPF値は、例えば15以上であり、20以上、23以上、25以上、27以上、29以上、さらには30以上であってもよい。第2のPTFE多孔質膜13のPF値の上限は、例えば40以下である。第1のPTFE多孔質膜11のPF値は、通常、第2のPTFE多孔質膜13のPF値に比べて小さい。第2のPTFE多孔質膜13のPF値に対する第1のPTFE多孔質膜11のPF値の比は、例えば0.9以下であり、0.8以下、0.7以下、さらには0.6以下であってもよい。当該PF値の比の下限は、例えば0.1以上であり、0.3以上、0.36以上、0.4以上、さらには0.5以上であってもよい。
【0022】
PTFE多孔質膜のPF値は、PTFE多孔質膜の圧力損失PL(ただし、PF値を求める際の圧力損失PLの単位はmmH2Oとする)、及び捕集効率CE(単位:%)から、以下の式により求められる値である。
PF値={-lоg[(100-CE)/100]/PL}×100
【0023】
露出面16を構成する第1のPTFE多孔質膜11の厚さは、例えば0.1μm以上であり、1μm以上、2μm以上、5μm以上、さらには10μm以上であってもよい。第1のPTFE多孔質膜11の厚さの上限は、例えば50μm以下である。第1の通気性支持材12及び第2の通気性支持材14に挟持された第2のPTFE多孔質膜13の厚さは、例えば0.1~50μmであり、1~10μm、5~10μm、さらには6~9μmであってもよい。
【0024】
第1のPTFE多孔質膜11の露出面16における水の接触角は、154°未満であってもよく、153°以下であってもよい。水の接触角は、日本工業規格(JIS)R3257に定められた静滴法により評価できる。なお、JIS R3257には、基板ガラスの表面における水の接触角を評価する方法が定められているが、この規格に定められた試験法及び試験条件によって、露出面16における水の接触角を評価可能である。ただし、評価対象面における5か所の測定値の平均を上記接触角とする。また、評価に使用する水滴の容量は2μLとする。
【0025】
PTFE多孔質膜11,13の各々は、単一の層から構成されていても、2以上の層から構成されていてもよい。
【0026】
PTFE多孔質膜11,13は、例えば、未焼成のPTFE粉末と液状潤滑剤との混和物を押出及び/又は圧延等の手法によりシートに成形し、得られた未焼成シートから液状潤滑剤を除去した後、延伸により多孔質化して得ることができる。延伸は、典型的には、シートのMD方向(長手方向)に対する延伸と、TD方向(幅方向)に対する延伸とを組み合わせた二軸延伸である。二軸延伸では、MD方向の延伸、及びTD方向の延伸をこの順に実施することが好ましい。液状潤滑剤は、PTFE粒子の表面を濡らすことができるとともに、後に除去できるものであれば限定されず、例えば、ナフサ、ホワイトオイル、流動パラフィン等の炭化水素油である。液状潤滑剤を除去した後の任意の時点において、PTFEの融点である327℃以上の雰囲気にシートを晒す焼成を実施してもよい。焼成は、延伸と同時に実施してもよい。焼成により、PTFE多孔質膜の強度を向上できる。PTFE多孔質膜の製造条件、典型的には延伸条件、の制御により、透過率の異なるPTFE多孔質膜を得ることができる。
【0027】
第1の通気性支持材12及び第2の通気性支持材14は、PTFE多孔質膜11,13を補強してフィルタ濾材1としての形状を維持する機能を有するとともに、第2のPTFE多孔質膜13を外力から保護する機能を有する。通気性支持材12,14は、例えば、短繊維及び長繊維等の繊維の不織布、織布、メッシュにより構成される。通気性、強度、柔軟性及び作業性に優れることから、不織布により構成される通気性支持材12,14が好ましい。なお、通気性支持材12,14における厚さ方向の通気性は、通常、PTFE多孔質膜11,13に比べて高い。
【0028】
通気性支持材12,14を構成する材料は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル;芳香族ポリアミドを含むポリアミド;及びこれらの複合材料である。通気性支持材12,14は、2以上のこれら材料を含んでいてもよい。PTFE多孔質膜11,13との接合性に優れることから、当該材料はポリオレフィンが好ましく、PEがより好ましい。当該材料が複合材料である場合、ポリオレフィン、特にPE、が通気性支持材12,14におけるPTFE多孔質膜11,13との接合面に露出していることが好ましい。
【0029】
通気性支持材12,14を構成しうる複合材料の一例は、互いに異なる材料からなる芯部と、芯部を被覆する鞘部との芯鞘構造を有する複合繊維である。この複合繊維において、芯部を構成する材料の融点に比べて鞘部を構成する材料の融点が低いことが好ましい。芯部を構成する材料は、例えばPET等のポリエステルである。鞘部を構成する材料は、例えばPE等のポリオレフィンである。
【0030】
通気性支持材12,14を構成しうる繊維の平均繊維径は、例えば1~50μmであり、1~30μm、10~30μmであってもよい。
【0031】
通気性支持材12,14の目付は、例えば20~70g/m2である。目付の上限は、50g/m2以下、40g/m2以下、40g/m2未満、さらには35g/m2以下であってもよい。目付の下限は、例えば25g/m2以上である。
【0032】
第1の通気性支持材12の構成と第2の通気性支持材14の構成とは、同一であってもよい。
【0033】
通気性支持材12,14の各々は、単一の層から構成されていても、2以上の層から構成されていてもよい。
【0034】
フィルタ濾材1の厚さは、例えば50~1000μmであり、100~500μmであってもよい。
【0035】
フィルタ濾材1の目付は、例えば10~1000g/m2であり、30~500g/m2であってもよい。
【0036】
フィルタ濾材1の透過率TRFは、例えば5%以下であり、1%以下、0.5%以下、0.11%以下、0.1%以下、0.5%未満、0.25%以下、0.15%以下、0.01%以下、0.001%以下、さらには0.0005%以下であってもよい。透過率TRFの下限は、例えば0.00001%以上であり、0.0001%以上であってもよい。
【0037】
フィルタ濾材1の透過率TRFは、平均粒子径0.1μmの単分散DEHS粒子を用いて透過流速5.3cm/秒において測定したフィルタ濾材1の捕集効率CEF(単位:%)から、以下の式により求められる値である。捕集効率CEFは、評価対象物をフィルタ濾材1として、PTFE多孔質膜11,13の捕集効率CE1,CE2を測定する方法と同じ方法により測定できる。ただし、測定時の空気の透過方向に対して第1のPTFE多孔質膜11が上流側となるように、フィルタ濾材1をホルダーにセットする。
透過率TRF(%)=100-捕集効率CEF
【0038】
フィルタ濾材1の圧力損失PLFは、例えば300Pa未満であり、250Pa以下、230Pa以下、220Pa以下、210Pa以下、さらには200Pa以下であってもよい。圧力損失PLFの下限は、例えば10Pa以上である。圧力損失PLFは、評価対象物をフィルタ濾材1として、PTFE多孔質膜11,13の圧力損失PL1,PL2を測定する方法と同じ方法により測定できる。ただし、測定時の空気の透過方向に対して第1のPTFE多孔質膜11が上流側となるように、フィルタ濾材1をホルダーにセットする。
【0039】
フィルタ濾材1のPF値は、例えば15以上であり、19以上、20以上、22以上、24以上、さらには25以上であってもよい。フィルタ濾材1のPF値は、フィルタ濾材1の圧力損失PLF(ただし、PF値を求める際の圧力損失PLFの単位はmmH2Oとする)、及び捕集効率CEF(単位:%)から、以下の式により求められる値である。
PF値={-lоg[(100-CEF)/100]/PLF}×100
【0040】
フィルタ濾材1は、日本工業規格(JIS)Z8122:2000に定められたHEPA(high-efficiency particulate air grade)フィルタ用の濾材であってもよく、ULPA(ultra-low penetration air grade)フィルタ用の濾材であってもよい。
【0041】
フィルタ濾材1は、積層構造15を有する限り、PTFE多孔質膜11,13及び通気性支持材12,14以外の層及び/又は部材をさらに備えていてもよい。
【0042】
フィルタ濾材1において、隣接するPTFE多孔質膜11,13と通気性支持材12,14とは互いに接合されている。接合方法は限定されず、例えば、熱ラミネート、接着剤によるラミネートである。接合部における圧力損失の上昇を抑制できることから、熱ラミネートによる接合が好ましい。フィルタ濾材1は、例えば、第1のPTFE多孔質膜11、第1の通気性支持材12、第2のPTFE多孔質膜13及び第2の通気性支持材14がこの順に積層された積層体に対して、熱ラミネート等の各種のラミネートを実施して形成できる。
【0043】
フィルタ濾材1は、通常、空気等の気体を透過させて、当該気体に含まれる粒子等の被濾過物を除去する通気フィルタとして使用される。ただし、フィルタ濾材1は、通常、被濾過物を含む気体の気流に対して第1のPTFE多孔質膜11が上流側となるように配置して使用される。通気フィルタは、例えば、クリーンルームのエアフィルタ、掃除機や空気清浄機等の電気製品のダストフィルタである。再使用性に優れることから、フィルタ濾材1はダストフィルタとしての使用に特に適している。ただし、フィルタ濾材1の用途は上記例に限定されない。
【0044】
[フィルタユニット]
本発明のフィルタユニット21の一例を図2に示す。図2のフィルタユニット21は、フィルタ濾材1と、フィルタ濾材1を支持する枠体22とを備える。フィルタユニット21においてフィルタ濾材1は、プリーツ加工されたフィルタプリーツパック23の状態にある。フィルタプリーツパック23においてフィルタ濾材1は、その側面から見て連続したW字状となるように折り畳まれている。フィルタ濾材1のプリーツ加工により、フィルタユニット21としての圧力損失の増大を抑制しながら気体の透過量を向上できる。
【0045】
枠体22は、フィルタプリーツパック23の周縁部を支持している。枠体22は、例えば、金属、樹脂及びこれらの複合材料から構成される。枠体22の構成は、従来のフィルタユニットが備える枠体の構成と同様でありうる。
【0046】
フィルタユニット21は、エアフィルタ濾材1及び枠体22以外の部材をさらに備えていてもよい。当該部材は、例えば、一般に「ビード」と称される樹脂の紐状体である。ビードは、プリーツ加工されたエアフィルタ濾材1の形状を維持するスペーサーの一種である。ビードは、通常、エアフィルタ濾材1のプリーツ線(山折り線及び/又は谷折り線)と交差する方向に沿って進むように、折り畳まれたエアフィルタ濾材1の表面に配置される。ビードは、エアフィルタ濾材1の一方の面に配置されていても、双方の面に配置されていてもよいが、PTFE多孔質膜ではなく通気性支持材の上に配置されていることが好ましい。ビードは、例えば、樹脂を溶融して紐状に塗布することにより形成できる。樹脂は限定されず、例えばポリアミド、ポリオレフィンである。
【0047】
フィルタユニット21は、通常、空気等の気体を透過させて、気体に含まれる粒子等の被濾過物を除去する通気フィルタユニットとして使用される。ただし、フィルタユニット21は、通常、被濾過物を含む気体の気流に対して第1のPTFE多孔質膜11が上流側となるように配置して使用される。通気フィルタユニットは、例えば、クリーンルームのエアフィルタユニット、掃除機や空気清浄機等の電気製品のダストフィルタユニットである。再使用性に優れることから、フィルタユニット21はダストフィルタユニットとしての使用に特に適している。ただし、フィルタユニット21の用途は上記例に限定されない。
【0048】
フィルタユニット21は、フィルタ濾材1を用いて公知の手法により形成できる。なお、フィルタ濾材1のプリーツ加工は、例えば、プリーツ加工機を用いて、表面に対して交互かつ平行に設定された山折り線及び谷折り線によりエアフィルタ濾材1を連続して折り畳んで実施できる。
【実施例
【0049】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
【0050】
最初に、実施例及び比較例において作製したPTFE多孔質膜及びフィルタ濾材の評価方法を示す。
【0051】
[厚さ]
PTFE多孔質膜、通気性支持材及びフィルタ濾材の厚さは、デジタルダイヤルゲージにより評価した。
【0052】
[透過率]
PTFE多孔質膜及びフィルタ濾材の透過率は、次のように評価した。最初に、通気口(円形、有効面積100cm2)を有するホルダーに、評価対象物であるPTFE多孔質膜又はフィルタ濾材を、評価対象物が通気口を塞ぐようにセットした。次に、通気口内の評価対象物を空気が透過するように、ホルダーの一方の面と他方の面との間に圧力差を発生させた。次に、評価対象物を透過する空気の線流速が流量計で測定して5.3cm/秒を保持するように上記圧力差を調整した後、平均粒子径0.10μmの単分散DEHS粒子を、104個/cm3以上の濃度で、評価対象物を透過する空気に含ませた。評価対象物の下流に配置したパーティクルカウンタを用いて、評価対象物を透過した空気に含まれるDEHS粒子の濃度を測定し、以下の式(1)により、評価対象物の捕集効率(単位:%)を求めた。次に、求めた捕集効率から、以下の式(2)により、評価対象物の透過率を求めた。
式(1):捕集効率(%)=[1-(下流側の粒子濃度)/(上流側の粒子濃度)]×100
式(2):透過率(%)=100-捕集効率
【0053】
[圧力損失]
PTFE多孔質膜及びフィルタ濾材の圧力損失は、次のように評価した。最初に、通気口(円形、有効面積100cm2)を有するホルダーに、評価対象物であるPTFE多孔質膜又はフィルタ濾材を、評価対象物が通気口を塞ぐようにセットした。次に、通気口内の評価対象物を空気が透過するように、ホルダーの一方の面と他方の面との間に圧力差を発生させた。そして、評価対象物を透過する空気の線流速が流量計で測定して5.3cm/秒となったときの上記圧力差を圧力計(マノメータ)により測定した。1つの評価対象物について上記圧力差を3回測定し、その平均値を、評価対象物の圧力損失とした。
【0054】
[PF値]
PTFE多孔質膜及びフィルタ濾材のPF値は、それぞれの圧力損失PL(ただし、PF値を求める際の圧力損失PLの単位はmmH2Oとする)、及び捕集効率CE(単位:%)から、以下の式により求めた。
PF値={-lоg[(100-CE)/100]/PL}×100
【0055】
[水洗い性]
フィルタ濾材の水洗い性は、次のように評価した。最初に、評価対象物であるフィルタ濾材を直径47mmの円形に切り出して試験片を得た。次に、試験片における第1のPTFE多孔質膜の露出面(実施例1~3及び比較例1)又は通気性支持材の露出面(比較例2)に、JIS Z8901に記載の試験用粉体である「8種 関東ローム」0.2gを満遍なく載せ、試験片の反対側から線速度20cm/秒で60秒吸引した。次に、粉体の戴置面を垂直に保持し、約10mLの水を洗瓶を用いて戴置面の全体に流しかけることで、粉体を洗い流した。次に、フィルタ濾材の圧力損失PLFを評価し、粉体を戴置する前の圧力損失PLFとの差が20%未満である場合を「〇(良)」、20%以上である場合を「×(不可)」とした。
【0056】
[耐久性試験]
フィルタ濾材に対する耐久性試験は、次のように実施した。最初に、耐久性試験を実施する前のフィルタ濾材について、その透過率(耐久性試験前透過率)TRF1を測定した。次に、フィルタ濾材における第1のPTFE多孔質膜の露出面(実施例1~3及び比較例1)又は通気性支持材の露出面(比較例2)に歯ブラシを押し当て、押し当てたまま歯ブラシを50回往復させる耐久性試験を実施した。次に、耐久性試験を実施した後のフィルタ濾材について、その透過率(耐久性試験後透過率)TRF2を測定した。耐久性試験前の透過率TRF1の値に対する耐久性試験後の透過率TRF2の倍率を求め、倍率が10倍以下である場合を「〇(良)」、倍率が10倍を超える場合を「×(不可)」と評価した。
【0057】
(製造例1)
PTFEファインパウダー(ダイキン製、ポリフロン(登録商標)PTFE F-104)100重量部と、液状潤滑剤としてドデカン20重量部とを均一に混合して混合物を得た。次に、得られた混合物を押出機を用いてロッド状に押出成形し、さらに1対の金属圧延ロールの間に通して、帯状のPTFEシート(厚さ200μm)を得た。次に、PTFEシートを150℃の雰囲気に保持して液状潤滑剤を除去した。次に、PTFEシートを、長手方向に延伸温度280℃、延伸倍率85倍で延伸した後、幅方向に延伸温度150℃、延伸倍率200倍で延伸した。さらに、延伸後のPTFEシートを、当該シートの寸法を固定した状態で500℃の熱風により加熱して、PTFE多孔質膜Aを得た。得られたPTFE多孔質膜Aの厚さは2μm、透過率は44%、圧力損失は20Paであった。
【0058】
(製造例2)
PTFEファインパウダー(AGC製、フルオン(登録商標)CD129E)100重量部と、液状潤滑剤としてドデカン20重量部とを均一に混合して混合物を得た。次に、得られた混合物を押出機を用いてロッド状に押出成形し、さらに1対の金属圧延ロールの間に通して、帯状のPTFEシート(厚さ200μm)を得た。次に、PTFEシートを150℃の雰囲気に保持して液状潤滑剤を除去した。次に、PTFEシートを、長手方向に延伸温度375℃、1段目の延伸倍率20倍、及び2段目の延伸倍率4.5倍で延伸した後、幅方向に延伸温度150℃、延伸倍率6倍で延伸して、PTFE多孔質膜Bを得た。得られたPTFE多孔質膜Bの厚さは12μm、透過率は24%、圧力損失は40Paであった。
【0059】
(製造例3)
PTFEファインパウダー(ダイキン製、ポリフロン(登録商標)PTFE F-104)100重量部と、液状潤滑剤としてドデカン20重量部とを均一に混合して混合物を得た。次に、得られた混合物を押出機を用いてロッド状に押出成形し、さらに1対の金属圧延ロールの間に通して、帯状のPTFEシート(厚さ200μm)を得た。次に、PTFEシートを150℃の雰囲気に保持して液状潤滑剤を除去した。次に、PTFEシートを、長手方向に延伸温度280℃、延伸倍率18倍で延伸した後、幅方向に延伸温度120℃、延伸倍率35倍で延伸した。さらに、延伸後のPTFEシートを、当該シートの寸法を固定した状態で500℃の熱風により加熱して、PTFE多孔質膜Cを得た。得られたPTFE多孔質膜Cの厚さは9μm、透過率は0.00022%、圧力損失は180Paであった。
【0060】
(製造例4)
PTFEファインパウダー(ダイキン製、ポリフロン(登録商標)PTFE F-104)100重量部と、液状潤滑剤としてドデカン20重量部とを均一に混合して混合物を得た。次に、得られた混合物を押出機を用いてロッド状に押出成形し、さらに1対の金属圧延ロールの間に通して、帯状のPTFEシート(厚さ200μm)を得た。次に、PTFEシートを150℃の雰囲気に保持して液状潤滑剤を除去した。次に、PTFEシートを、長手方向に延伸温度280℃、延伸倍率20倍で延伸した後、幅方向に延伸温度120℃、延伸倍率35倍で延伸した。さらに、延伸後のPTFEシートを、当該シートの寸法を固定した状態で500℃の熱風により加熱して、PTFE多孔質膜Dを得た。得られたPTFE多孔質膜Dの厚さは6μm、透過率は0.054%、圧力損失は110Paであった。
【0061】
(実施例1)
第1のPTFE多孔質膜としてPTFE多孔質膜A、第2のPTFE多孔質膜としてPTFE多孔質膜C、及び通気性支持材としてPET/PE複合繊維の不織布(ユニチカ製、エルベスS0303WDO、厚さ210μm)を使用し、130℃に設定された加熱ロールを用いた熱ラミネートによりこれらを接合して、第1のPTFE多孔質膜/通気性支持材/第2のPTFE多孔質膜/通気性支持材の4層構造を有するフィルタ濾材を得た。
【0062】
(実施例2)
第1のPTFE多孔質膜としてPTFE多孔質膜Bを使用した以外は実施例1と同様にして、第1のPTFE多孔質膜/通気性支持材/第2のPTFE多孔質膜/通気性支持材の4層構造を有するフィルタ濾材を得た。
【0063】
(実施例3)
第2のPTFE多孔質膜としてPTFE多孔質膜Dを使用した以外は実施例2と同様にして、第1のPTFE多孔質膜/通気性支持材/第2のPTFE多孔質膜/通気性支持材の4層構造を有するフィルタ濾材を得た。
【0064】
(比較例1)
第1のPTFE多孔質膜及び第2のPTFE多孔質膜としてPTFE多孔質膜D、及び通気性支持材としてPET/PE複合繊維の不織布(ユニチカ製、エルベスT0303WDO、厚さ160μm)を使用し、130℃に設定された加熱ロールを用いた熱ラミネートによりこれらを接合して、第1のPTFE多孔質膜/通気性支持材/第2のPTFE多孔質膜/通気性支持材の4層構造を有するフィルタ濾材を得た。
【0065】
(比較例2)
第1のPTFE多孔質膜及び第2のPTFE多孔質膜としてPTFE多孔質膜D、及び通気性支持材としてPET/PE複合繊維の不織布(ユニチカ製、エルベスT0303WDO、厚さ160μm)を使用し、130℃に設定された加熱ロールを用いた熱ラミネートによりこれらを接合して、通気性支持材/第1のPTFE多孔質膜/通気性支持材/第2のPTFE多孔質膜/通気性支持材の5層構造を有するフィルタ濾材を得た。
【0066】
評価結果を以下の表1にまとめる。
【0067】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明のフィルタ濾材は、従来のフィルタ濾材と同様の用途に使用できる。用途は、例えば、掃除機及び空気清浄機等の電気製品の通気フィルタに使用するフィルタ濾材である。
図1
図2