(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ミルク-空気-エマルションを生成する方法および装置
(51)【国際特許分類】
A47J 31/44 20060101AFI20231219BHJP
A01J 11/04 20060101ALI20231219BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20231219BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A47J31/44 410
A01J11/04
A23L2/38 P
A23L2/00 S
(21)【出願番号】P 2021512405
(86)(22)【出願日】2019-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2019072234
(87)【国際公開番号】W WO2020048765
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】102018121567.3
(32)【優先日】2018-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510098962
【氏名又は名称】メリッタ プロフェッショナル コーヒー ソリューションズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Melitta Professional Coffee Solutions GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Zechenstrasse 60, D-32429 Minden, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ディースター
(72)【発明者】
【氏名】ベルント ブーフホルツ
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-225821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/44
A01J 11/04
A23L 2/38
A23L 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミルク-空気-エマルション(MLE)を提供する機器を運転する方法であって、前記機器は、少なくとも、
a)ミルクが貫流するミルク管路(15)と、
b)前記ミルク(M)からミルク-空気-エマルション(MLE)を生成すべく、空気供給量を調節する調節ユニット(6)を有する少なくとも1つの空気供給システム(3)と、
c)前記ミルク-空気-エマルション(MLE)の少なくとも1つの物性(13)を求める少なくとも1つの測定ユニット(12)と、
d)少なくとも1つの制御量を設定すべく装備された制御兼評価ユニット(9)と、
を備えており、
e)前記
機器は、少なくとも2つの運転モードを有し、
f)第1の運転モードでは、ミルク-空気-エマルション(MLE)の排出が実施され、
g)前記第1の運転モードでは、空気の添加量が、供給されるミルク(M)内に導入され、前記制御兼評価ユニット(9)は、前記空気添加量を、第2の運転モードの実行時に確定されたデータセットを基に設定する、
方法において、
h)前記第2の運転モードでは、自動調整の範囲内で、前記データセットの作成を、前記供給される空気量を前記調節ユニット(6)によって変化させることで前記物性(13)を変化させて実施
し、
前記機器は、前記第1の運転モードで、ミルク-空気-エマルションを有する飲料の排出を、
A)飲料の手動の選択を基にミルク-空気-エマルション(MLE)をプリセットするステップと、
B)前記空気量を目標値範囲内で目標値設定する操作パネルを有効にして前記第1の運転モードを実施するステップと、
C)前記ミルク-空気-エマルション(MLE)を有する前記飲料を排出するステップと、
を実施することによって可能とする
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記データセットは、前記空気供給システム(3)の前記調節ユニット(6
)に依存した前記物性(13)の経過表として形成されていることを特徴とする、請求項
1記載の方法。
【請求項3】
前記第2の運転モードは、少なくとも、
i)供給されるミルク(M)を少なくとも前記物性(13)を基に分析するステップと、
ii)前記ミルク(M)内に導入される空気量を変化させると同時に前記物性(13)の前記変化を求めつつ、ミルク-空気-エマルションを繰り返し形成するステップと、
iii)ステップii)で設定された前記空気量に依存した前記物性(13)についての前記経過表を作成するステップと、
を有することを特徴とする、請求項
2記載の方法。
【請求項4】
前記ステップii)で前記
ミルク-空気-エマルション(MLE)の温度に応じて前記物性(13)を求めることを特徴とする、請求項
3記載の方法。
【請求項5】
前記空気量を、前記調節ユニット(6)を介して
、モータにより無段調節可能な空気絞り弁を通して導き、前記空気絞り弁は、前記目標値範囲の設定により調節可能であることを特徴とする、請求項1から
4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記供給されるミルク(M)の分析前に、種類の同じミルク(M)による前記
機器の洗浄を、前記
機器の個々の構成部材のクリーニングおよび/または予冷のために実施することを特徴とする、請求項1から
5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記物性(13)は
、電気伝導率および/または光学的性
質であることを特徴とする、請求項1から
6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記第1の運転モードと前記第2の運転モードとの間の切り換えを、手動の切り換えによって実施することを特徴とする、請求項1から
7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記第1の運転モードと前記第2の運転モードとの間の切り換えを、監視の結果としてトリガすることを特徴とする、請求項1から
8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記ステップi)で供給される前記ミルク(M)の前記分析を、ミルクタイプデータベースを基に実施し、前記ミルクタイプは
、前記物性(13)および前記ミルク(M)の前記温度に応じてデータセットとして前記制御兼評価ユニットのデータ記憶装置に保存されていることを特徴とする、請求項
4または請求項4を引用する請求項5から
9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
ミルクフォームを生成する装置を用いてミルク-空気-エマルション(MLE
)を製造する装置であって、前記装置は、少なくとも、
a)ミルクが貫流するミルク管路(15)と、
b)前記ミルク(M)からミルク-空気-エマルション(MLE)を生成すべく、空気供給量を調節する調節ユニット(6)を有する少なくとも1つの空気供給システム(3)と、
c)前記ミルク-空気-エマルション(MLE)の少なくとも1つの物性(13)を求める少なくとも1つの測定ユニット(12)と、
d)少なくとも1つの制御量を設定すべく装備された制御兼評価ユニット(9)と、
を備えており、
e)前記装置は、少なくとも2つの運転モードを有し、
f)第1の運転モードでは、ミルク-空気-エマルション(MLE)の排出が実施され、
g)前記第1の運転モードでは、空気の添加量が、供給されるミルク(M)内に導入され、前記制御兼評価ユニット(9)は、前記空気添加量を、第2の運転モードの実行時に確定されたデータセットを基に設定し、
h)第2の運転モードでは、自動調整の範囲内で、前記データセットの作成が、前記供給される空気量を前記調節ユニット(6)によって変化させることで前記物性(13)を変化させて実施され、
i)前記制御兼評価ユニット(9)は、請求項1から
10までのいずれか1項記載の方法を実施するように装備されている、
装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミルク-空気-エマルション、好ましくはミルクフォームを生成する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ミルクフォームを有するミルク含有飲料を製造する際、ミルクフォームの品質が異なっていると、飲料の味や、飲料の見た目に顕著な影響が生じてしまうことがある。これに対して、本件出願人は、これまで、ミルクフォームを製造する装置に多くの改良を施してきた。
【0003】
独国特許出願公開第102014105108号明細書は、例えば、ミルクフォームが当たる衝突体に基づいてミルクフォームの最適化を行うホモジナイザを開示している。
【0004】
独国特許出願公開第102014112178号明細書は、空気のための吸い込み装置と、ミルクの自動化された泡立ての目的で空気をこのミルク内に狙い通り放出するための絞りと、を有する空気供給システムを開示している。
【0005】
本発明の前提をなす従来技術を開示しているのは、スイス国特許出願公開第705720号明細書であり、この明細書では、ミルクフォーム、つまりミルク-空気-エマルションを、求めた製品温度に応じて生成することが提案される。
【0006】
さらに、公知であるように、ミルクフォームの性質およびミルクシステムの機能は、ミルクに供給される空気量に決定的に依存している。最適な空気添加は、その際、主として、製造したいミルクフォーム製品(ホットミルクフォーム、コールドミルクフォーム、トップフォーム)、ミルク温度、ミルクタイプ、吸い込み揚程および顧客固有の要求に依存している。
【0007】
従来慣用のシステムの場合、それぞれのミルクフォーム製品のための空気量は、手動で影響因子に合わされ、続いて顧客固有の要求に適合されなければならない。この設定は、カスタマーサービス技術者によって行われ、カスタマーサービス技術者は、トライアンドエラー法を用いて、最適な設定範囲が想定できるまで空気添加を変化させ、続いてこの範囲内でフォームを顧客希望に適合させる。所要時間およびミルク損失は、この方法の場合、支配している条件と、課される要求とに応じて、高くついてしまうことがある。
【0008】
独国特許出願公開第102017113832号明細書は、加えて、ミルクフォームを生成する装置を用いてミルク-空気-エマルション、特にミルクフォームを製造する方法であって、少なくとも、A)ミルク-空気-エマルションの物性を少なくとも第1の測定ユニットにより求めるステップと、B)この物性の実際値と目標値範囲との間の比較を制御兼評価ユニットにより実施するステップであって、このとき、制御兼評価ユニットは、温度および/または所望のミルク含有飲料および/または供給されるミルクタイプに応じた目標値および/または目標値範囲のデータセットが保存されているデータ記憶装置を使用するステップと、C)実際値が目標値範囲外にある場合、制御兼評価ユニットにより、物性に影響を及ぼすように、少なくとも1つの操作量の設定をこの方法内で実施するステップと、を有する方法を開示している。この方法自体は、実証されてはいるが、その都度のディスペンス中に閉ループ制御に至ることがあり、このことは、他方、ディスペンス中、生成されるミルクフォームの量を変化させてしまうことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、ミルクの材料パラメータまたはミルク-空気-エマルションを製造するためのプロセスパラメータが変化したときに設定範囲の適合を提供することができる、ミルク-空気-エマルションを生成する機器を運転する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を請求項1の特徴を有する方法および請求項12の特徴を有する装置によって解決する。
【0011】
ミルク-空気-エマルション、特にミルクフォームを製造する本発明に係る方法は、ミルク-空気-エマルション(MLE)を提供する機器によって実現される。
【0012】
請求項1は、ミルク-空気-エマルション(MLE)を提供する機器を運転する方法であって、機器は、少なくとも、ミルクが貫流するミルク管路と、ミルク(M)からミルク-空気-エマルション(MLE)を生成すべく、空気供給量を調節する調節ユニットを有する少なくとも1つの空気供給システムと、ミルク-空気-エマルション(MLE)の少なくとも1つの物性を求める少なくとも1つの測定ユニットと、少なくとも1つの制御量を設定すべく装備された制御兼評価ユニットと、を備えており、装置は、少なくとも2つの運転モードを有し、第1の運転モードでは、ミルク-空気-エマルション(MLE)の排出が実施され、第1の運転モードでは、空気の添加量が、供給されるミルク内に導入され、制御兼評価ユニットは、空気添加量を、第2の運転モードの実行時に確定されたデータセットを基に設定し、第2の運転モードでは、自動調整の範囲内で、データセットの作成を、供給される空気量を調節ユニットによって変化させることで物性を変化させて実施する、方法を提供する。
【0013】
制御兼評価ユニットは、制御量、例えば絞り、特に空気絞り弁の開度を、ミルク-空気-エマルションの物性を基に設定するように装備されており、制御兼評価ユニットは、データ記憶装置を有し、データ記憶装置には、ミルク-空気-エマルションの温度に依存したミルク-空気-エマルションの物性の少なくとも1つの目標値のデータセットが保存されている。
【0014】
これに相応して、物性の測定技術的な検出と同時に、温度の検出も、例えば温度センサにより実施可能である。
【0015】
本発明に係る装置の第1の運転モードでは、ミルク-空気-エマルション排出が実施される。第1の運転モードでは、供給されるミルク内への空気の添加量の設定が、第2の運転モードで生成された予め記憶されたデータセットを基に実施される。
【0016】
添加量は、特に空気供給システムの絞りの開度によって設定可能である。この添加量あるいは開度は、定められた目標値範囲内にある。
【0017】
確定された目標値範囲は、空気の添加量につれて変化する、調節ユニットの制御量の保存されたデータセット、つまり、例えば絞りの開度から選出されている。データセットは、経過表「例えば温度T1が一定であるときの伝導率に対する開度」として形成されていてもよい。
【0018】
開度は、ひいては供給される空気量も、物性、例えば電気伝導率に応じて設定することができる。
【0019】
第2の運転モードでは、自動調整の範囲内で、データセットの作成が、特に値のデータセットの形態で実施され、値のデータセットは、経過表の形態で示すことができる。
【0020】
自動調整のために、装置自体によって、ミルクを用いた装置の洗浄と、ミルクを用いた予冷とにより、取り決めたあるいは予め定めた基準条件が達成される。
【0021】
その後、その範囲内ではユーザによる手動の設定が飲料の1人分の調製の度に特に第1の運転モードの範囲内で実施可能である好適な目標値範囲が求められる。
【0022】
第1の運転モードでは、好ましくは、ミルクフォームの伝導率または温度を求める必要はない。むしろ、それぞれのミルクフォームを生成する装置の制御あるいは調節だけがなおも実施される。而して、それぞれのミルクタイプのための空気供給(フォーム生成用)および/またはスチーム(温度調節用)の最適な度合いは、第2の運転モードで求められたパラメータを基に設定される。第2の運転モードは、これによりミルクタイプ毎の装置の一種の検定に相当する。その際、ユーザは、この検定を好ましくは自ら、サービス技術者いらずに実施可能である。ミルクタイプの切り換え時、ユーザは、新しいミルクタイプのために検定を繰り返すことができる。進行しているディスペンス中、而して、予め求められたパラメータを基にした開ループ制御だけが実施される。
【0023】
第2の運転モードにおける自動調整は、その際、基準条件下で最適な目標値範囲を求めることを可能にする。
【0024】
調整は、差を測定するだけの校正とは区別すべきである。調整は、測定し、好ましくは、予め記憶されたデータと比較することによって、かつ場合によってはデータを変化させて行われ、その結果、予め設定されたソフトウェアデータは適応される。
【0025】
自動調整は、本発明に係る装置の様々な構成ユニット、例えば空気供給ユニットの交換時にも行うことができる。そして、既に言及したミルクタイプの切り換え時にも、自動調整工程をトリガすることができる。
【0026】
自動調整のトリガ、つまり第1の運転モードから第2の運転モードへの切り換えを、監視により起動し、自動で実施することができる。自動調整は、しかし、このことは特に好ましくもあるが、手動でトリガすることもでき、例えば装置の制御装置のセレクトメニューにあるメニューアイテムを選択することで相応の自動調整プログラムを開始させることによりトリガすることもできる。
【0027】
ミルクタイプの切り換えまたは構成ユニットのチェンジを例えばRFID-システムにより認識し、自動調整をトリガすること、または変更された条件下での初めての運転開始時に自動調整を起動することも可能である。
【0028】
自動調整は、しかし、手動でトリガされてもよく、例えば技術者またはユーザによってトリガされてもよい。その際、特別な技術的経験は、好ましくは不要である。それというのも、装置は、第2の運転モードの起動に続いて、すべての方法ステップを好ましくは自律的に実施するからである。
【0029】
ミルク-空気-エマルションを調製する方法は、それゆえ、少なくとも2つの運転モードを有している。その際、1つの運転モードは、飲料排出または飲料添加の意味でのミルクフォーム調製に用いられることができる。これに対して第2の運転モードは、ミルクフォームのディスペンスが飲料調製の範囲内で必要とされないときに実施される。第2の運転モードは、例えば数週間、数か月またはそれどころか数年後にも、例えばミルクタイプが変更されたときに作動され得る。
【0030】
第1の運転モードにおけるミルクフォーム調製は、その際、好ましくは、以下のステップを有していることができる。
【0031】
ステップA:飲料の手動の選択を基にしたミルク-空気-エマルションのプリセット。プリセットは、例えば飲料「カプチーノ」が選択されることにより実施することができる。飲料の選択は、少なくとも1つのトップフォーム、つまり、実質的にコーヒー上に浮かぶミルクフォームが必要とされることを、機器にプリセットする。これに相応して、必要とされるミルクフォームの生成を、特有のミルクフォーム製品のための、第2の運転モードで自動調整により求められた設定を基に実施することができる。
【0032】
ステップB:第1の運転モードの実施。自動飲料マシン、例えば全自動コーヒーマシンにおいて選択された製品のために、ミルク-空気-エマルションが必要とされると、任意選択的に、ディスペンス時に一度、または繰り返し、操作パネルが有効にされてもよい。この操作パネルは、好ましくは、ミルク-空気-エマルションのための最適な目標値設定をユーザに知らせ、かつ自動調整によって予め設定された目標値範囲内で導く空気の多寡により、エマルションの組成を変化させることをユーザに対して可能にする。このオプションは、自動調整後に一度または飲料排出前に毎度実行されてもよい。その際、目標値範囲は、第2の運転モードで求められたあるいは適応されたデータセットを基に設定される。
【0033】
ステップC:ミルク-空気-エマルションを有する飲料の排出。その際、ミルク-空気-エマルションの組成は、ユーザが操作パネルにおいて設定した組成に相当している。これにより操作パネルを介して、最適な組成から大幅に逸脱した組成(90%ミルクまたは90%空気)が選択可能とはならずに、設定する可能性がユーザに提供される。加えて、自動調整により今や好ましくはミルクタイプによらないミルクフォームの最適な組成についての情報がユーザに提供され、ユーザは、最適なものとして予め定められた製品より固いミルクフォームを好むか、またはより「ゆるいまたはふわふわ」のミルクフォームを好むか、「気分」に任せて設定することが可能である。
【0034】
データセットは、有利には、空気供給、つまり、例えば空気供給システムの絞りの開度、ならびに/またはミルクフォーム温度および/もしくはミルク温度に依存した物性の経過についての経過表あるいは経過データセットとして形成されていることができ、つまり、1つまたは複数の変数(空気供給および/または温度)と、場合によってはさらなる変数とに依存したデータセットあるいは値の関数として形成されていることができる。
【0035】
第2の運転モードは、特に好ましくは、少なくとも以下のステップを有していることができる:
i)供給されるミルクを少なくとも物性を基に分析するステップ、
ii)ミルク内に導入される空気量を変化させると同時に物性の変化あるいはそれぞれの値を求めつつ、ミルク-空気-エマルションを繰り返し形成するステップ、
iii)ステップii)で設定された空気量に依存した物性についての経過表を作成するステップ。
【0036】
ステップii)で導入される空気量は、調節可能な絞りを有する空気吸い込みシステムが使用される場合、絞りの開度を介して間接的に表現することができる。空気量あるいは開度は、特にデータセットの作成のために、初期値から出発して、次第に上昇または減少される。
【0037】
自動調整は、特に、ミルクフォームの生成時、1つまたは複数の制御パラメータ、特に空気添加量を自動で自律的に求める方法と解すべきである。この方法は、完全に自律的に実施される方法あるいは自律的に実施される工程として実施することができる。例えば、装置の運転開始時に実施されることもでき、かつ/または手動で開始されることもできる。それぞれのミルクフォーム製品のための最適な空気添加量は、その際、ミルク固有およびフォーム固有に自動で求められ、データセットとして保存することができる。このデータセットは、その後、自動的にまたは場合によってはユーザによる適合後、第1の運転モードで制御のために使用される。
【0038】
多数の物性は、それを測定技術的に検出するときあるいは求めるとき、基準条件に依存している。重要な基準条件は、例えば電気伝導率を求めるときは、ミルクあるいは空気-ミルク-エマルションの温度である。
【0039】
それゆえ、ステップii)で空気-ミルク-エマルションの温度に応じて物性を求めると、有利である。空気の漸進的な変化時あるいは絞りの開度の変化時に温度変化が生じる場合、保存された温度-伝導率-データセットを基に温度補償をデータセットの作成中に行ってもよい。
【0040】
加えて、空気量を、絞りを介して、好ましくは、モータにより無段調節可能な空気絞り弁を通して導き、絞りは、目標値範囲の設定により制御可能であり、空気量は、絞りの開度を基に経過表に示されると、有利である。絞りは、その際、特に空気供給システムの一部である。
【0041】
供給されるミルクの分析前に、ミルクによる装置の洗浄を、装置の個々の構成部材のクリーニングおよび/または予冷のために実施してもよい。この基準条件を達成することは、供給されるミルクの分析とともに、自動調整時の1つの方法ステップであってもよい。
【0042】
物性として、有利には、電気伝導率および/または光学的性質、特に屈折率を使用してもよい。これにより、ミルク/フォーム比の測定および判定は、電気伝導率または屈折率(BRIX)を基に実施可能である。
【0043】
第1の運転モードと第2の運転モードとの間の切り換えは、有利には手動の切り換えにより実施することができ、好ましくは、アクセス保護された調整メニューにより、または監視の結果としてトリガされてもよい。
【0044】
アクセス保護された調整メニューは、例えば技術者または特定のユーザのみがパスワード、RFIDまたは別のキーシステムによって有効にし、操作することができる。
【0045】
ステップi)で供給されるミルクの分析は、ミルクタイプデータベースを基に実施することができ、例えば製造元および/または脂肪分量または別のパラメータ、例えばラクトースフリーによって様々なミルクタイプが、物理的な物質単位、例えば伝導率、および/または物性、例えばミルクの温度に応じてデータセットとして制御兼評価ユニットのデータ記憶装置に保存されている。
【0046】
このミルクタイプデータベースを基に、ミルク分析の冗長性検査をステップi)で実施することができ、かつ/またはミルクタイプの監視を実施することができ、ミルクタイプの変化は、第2の運転モードの起動に至る場合がある。
【0047】
さらに、ミルクタイプ次第で別の最適な目標値範囲を選択することができる。
【0048】
第2の運転モードにより、フォームの性質に対する二次の/受動的な影響因子(測地学的な吸い込み揚程、ミルク温度、管路長さ、ミルクタイプおよびミルク種類)を自動で取り込み、かつこれを空気添加量によって相応に補償することも可能となるあるいは実現される。
【0049】
全体として、本発明により、第2の運転モードによって、変更された条件(ミルクタイプ、ミルク温度等)に対して利用者によりまたは遠隔保守を介して反応する極めて有利な可能性も得られる。
【0050】
本発明の範囲内で、本発明に係る方法および/または本発明に係る装置は、ミルク含有飲料、特にミルク含有コーヒー飲料を排出する、特に調製も行う機器において使用することができる。相応の機器は、好ましくは全自動コーヒーマシンとして形成されている。
【0051】
以下、本発明について図面を参照しながら一実施例を基に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】ミルク-空気-エマルション、特にミルクフォームを製造する本発明に係る第1の装置の構造の概略図である。
【
図2】電気伝導率(グラフ30)とミルク中の空気割合(グラフ50)との間の依存関係および温度曲線(グラフ40)を示すグラフである。
【
図3】
図3のグラフを機能範囲とともに示す図である。
【
図4】空気絞り弁の開放(%)に関して機能範囲を示す図である。
【
図5】自動調整によって予め設定された機能範囲を示す図である。
【
図6】カフェイン含有飲料を調製する装置のグラフィックメニュー操作要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以上および以下では、「ミルク-空気-混合物」、「ミルク-空気-エマルション」および「ミルクフォーム」なる概念は、同義のものとして扱う。
【0054】
図1は、ミルクフォームを生成する装置を示している。この装置は、ここでは以下の例示的な構造を備えている。
【0055】
ミルク管路15は、ミルクMが入ったミルク容器1と、ミルク-空気-エマルションMLEのための吐出装置16とを互いに接続している。吐出装置16は、出口として形成されており、その下にはカップ等の容器を置くことができる。以下では、吐出装置16および出口なる概念を同義のものとして扱う。この場合、ミルク容器1と吐出装置16との間のミルク管路15内には、ここでは以下の構成要素:遮断弁2、ミルクポンプ11、空気供給システム3、測定ユニット12、処理装置14が、この順番で接続されている。
【0056】
空気供給システム3は、空気管路22と、場合によっては、混合チャンバ23とを有している。この混合チャンバ23内には、ミルク管路15を介してミルクが圧送される。空気の導入によって泡立てが行われる。この空気供給部は、空気源7(例えば空気ポンプ、圧力容器もしくは非加圧容器、または開口あるいは管路端部を通して(吸い込むように)これを取り囲む機械内または機械外の周囲空気)に接続可能である。
【0057】
混合チャンバ23と空気源7との間には、ここでは空気管路22内にまたは空気管路22上に、チェック弁5および遮断弁2が接続されている。加えて、空気管路に沿って、チェック弁5と空気源7との間には、調節ユニット6が配置されている。調節ユニット6は、空気圧の調節を可能にし、空気管路22を通して空気をミルク内に吹き込む。
【0058】
さらに、チェック弁5と、ミルク管路15内への空気の導入箇所19との間には、ここでは混合チャンバ23の領域に遮断弁4が設けられている。
【0059】
空気が導入されると、ミルクを泡立てることができ、またはミルク/空気エマルションが形成される。
【0060】
調節ユニット6は、制御兼評価ユニット9から制御指令を受ける。制御指令は、信号線路8を介して調節ユニット6に伝送される。信号線路8は、例えばケーブルとして、またはワイヤレス接続として形成されていることができる。
【0061】
測定ユニット12は、特に、物性13、好ましくは電気伝導率および/または材料の光学的性質ならびにその他の測定量、例えば温度を求めるために、測定データを測定する/求める。
【0062】
この物性は、ミルクフォームの品質、特にミルクフォーム1立方センチメートルあたりの空気とミルクとの比とともに変化する。
【0063】
このような物性13は、特に好ましくは、電気伝導率であってもよい。電気伝導率の値は、ミルクフォーム中に含まれる空気の割合と相関関係にある。しかし、電気伝導率の他、熱伝導率、密度および/または粘度を求めてもよい。光学的性質、特に屈折率を計測してもよい。このために測定ユニット12は、好ましくは、相応のセンサ、例えば伝導率測定セルまたは屈折計を、例えば測定セル内に有している。さらに好ましくは、測定ユニット12は、求めた伝導率の温度補償用の温度センサを有していてもよい。加えて、好ましくはかつ有利には、ミルクエマルションあるいはミルク-空気-エマルションの温度は、供給される低温空気の量の調量によって、かつ/またはコールドミルクによる予冷によって目標値に適合されてもよい。
【0064】
測定ユニット12は、信号線路10、例えばケーブル線路またはワイヤレスのデータ線路を介して制御兼評価ユニット9に接続されており、測定値をこの制御兼評価ユニット9に提供する。制御兼評価ユニット9は、この測定データから第1の実際値として相応の物性を求め、これを次に目標値範囲のプリセットされた目標値と比較することができる。
【0065】
処理装置14は、例えばスチームの導入または熱交換器による加熱により、ミルクを直接的または間接的に加熱する1つまたは複数の加熱ユニットを有していてもよい。
【0066】
一変化態様によれば、ホットミルク、ウォームミルクおよびコールドミルクならびに/またはホットミルクフォーム、ウォームミルクフォームおよびコールドミルクフォームを排出することができる(温度段階:ホット>ウォーム>コールド)。
【0067】
ミルクフォームを生成する/調製する装置は、上位の自動飲料マシン、例えば全自動コーヒーマシンの一部であってもよい。
【0068】
一変化態様によれば、例えば、まず準備したコーヒー内に、異なる温度に調温した2つのミルクフォームを供与することも、あるいは初めに、異なる温度に調温した2つのミルクフォームを準備し、その後でコーヒーをこれに供与することも可能である。これらは、例えばトップフォーム(ウォームミルクフォーム)、ホットミルクフォームおよび/またはコールドミルクフォームであってもよい。
【0069】
公知の全自動コーヒーマシンの場合、ミルクフォームのコンシステンシと、ここでは第一に気泡の形成とが、極めて不規則的であることが往々にしてある。ホモジナイザによって、生成されたミルクフォームを、有利には均質化することができる。
【0070】
大抵の物性は、温度依存性の物性である。例えば電気伝導率は、温度および空気含有量に依存している。
【0071】
電気伝導率は、それゆえ、本発明の範囲内でミルクフォームの性質に影響を及ぼす測定量および制御量として極めて好適である。
【0072】
前述の空気供給システム3は、好ましくは、以下のステップを有する方法で空気を供給するために用いられる。
【0073】
絞りあるいは空気絞り弁は、この場合、調節ユニット6の一実施変化態様と解すべきである。
【0074】
絞りの開口横断面積は、本発明により、ミルクフォームの伝導率および/または所望の温度にしたがい調節可能である。
【0075】
空気絞り弁ともいう絞りは、その開口横断面積の大きさに関して無段に、特に電気モータによって調節可能に形成されており、以下では調節可能な絞りと称呼する。
【0076】
調節可能な絞りの開口横断面積を調節するために、好ましくは、電気モータが使用可能である。本発明において好ましくは調節ユニット6として設けられていることができる調節可能な絞りは、この場合、いわば無段の調節も行うことができ、無段の調節は、例えばステッピングモータを用いて可能である。
【0077】
供給される空気量の制御に対して代替的または付加的に、制御兼評価ユニット9は、好ましくは、ミルクポンプ11の圧送量および吐出量を、物性、特に電気伝導率に応じて制御してもよい。これによっても、ミルクフォームのコンシステンシを変化させることができる。
【0078】
調節ユニットとしての調節可能な絞りを、様々な加熱ユニットの制御可能性と組み合わせて使用することで、供給される空気量は、物性に応じて、特に製造されるミルク-空気-混合物の伝導率および温度に応じて調節可能である。
【0079】
吐出装置16は、方向制御弁17を有していてもよく、方向制御弁17は、ミルク-空気-混合物またはミルクを、1つまたは複数の排出ノズルからなる排出ノズル18か、または製品を流出部21内に廃棄する流出管路20へと送る。
【0080】
これらの主要な因子、またはこれらの因子の1つまたは複数の因子の変化に対しては、空気量を適合することによって、予め規定されたミルク/空気比を基に反応することができる。
【0081】
ミルク/空気比を特定し、これに対して自動で影響を及ぼすことが可能な
図1の本発明に係る装置では、空気添加を自動自律の調整プロセスによって主要な影響因子に合わせることができ、続いての顧客固有の適合にとって最適な範囲を手動の介入なしに自動で規定することができる。
【0082】
図1の装置は、少なくとも2つの運転モードを有しており、第1の運転モードは、1人分の飲料あるいは製品個別のかつ/またはユーザ個別のミルクフォームを調製する運転モードである。さらに、装置は、第2の運転モードを有し、第2の運転モードは、本発明の範囲内では自動調整とも称呼する。
【0083】
別の運転モード、例えばクリーニングモード等が同じく設けられていてもよいことは、自明である。
【0084】
好ましくは、運転モードは、自動飲料マシンにおいて、セレクトメニューのメニューアイテムを確認あるいは操作することにより、または別の入力法により開始される。
【0085】
最適な空気の量は、測定箇所12による物理的な物質単位の測定によって求められ、空気添加に影響を及ぼすべく、調節ユニット6は、好ましくは、モータにより無段調節可能な絞りとして設けられる。目的は、その範囲内では略最適なミルク/空気比を形成可能な空気添加範囲を見出すことである。
【0086】
第1のステップでは、ミルクを空気の添加なしに装置を通して圧送し、これにより、例えば洗浄水を廃棄し、構成要素を冷却し、ミルクの存在を検知し、ミルクタイプを判定し、かつ/または結果として次のステップのための安定した出発条件を達成することができる。
【0087】
第2のステップでは、ミルクをミルクポンプ11の相応の製品ポンプ回転数でもって装置を通して圧送し、同時に空気添加を自動で上昇させる。ミルク/空気比をこの工程中連続的に測定する。
【0088】
添加範囲を規定するための有利なパラメータは、空気添加量(開口横断面積あるいは調節ユニット6の位置)である。予め規定されたミルク/空気比が達成される空気量(開放(%))は、その範囲内ではシステムを顧客固有の要求にしたがって適合させることができる添加範囲のためのオリエンテーション値として用いられる。予め規定されたミルク/空気比は、伝導率測定が、データセットとして制御兼評価ユニット9に保存されていることができる所定の値に達したとき、達成されている。
【0089】
有利には、さらに、オリエンテーション値に対して付加的に、高すぎる空気量添加に基づいて調製がもはや不可能であるか、または大きすぎる気泡に基づいてフォーム品質がもはや許容不能である値が記憶されるようにしてもよい。経過表において、この限界値は、伝導率の急速な/急勾配の減少として現れる。添付の経過表では、この限界値は、空気添加量が62%のとき、1.4mS/cmの伝導率(14秒)から生じる。これらの値を基に、一般的な機能範囲内での最適な調節範囲を補足的に明確に規定することができる。
【0090】
これにより、自動調整によって、供給される空気量、特に空気絞り弁の開放(%)についての添加範囲が規定され、この添加範囲は、飲料のための後続の複数の調製プロセスのための一定のプリセットとして使用される。
【0091】
自動調整について、以下に具体例を基に再度詳細に説明する。
【0092】
ステップi:ミルクの分析。自動調整の開始後、第1のステップでミルクを空気供給なしに、つまり0%の空気添加で装置を通して圧送する。これは、例えばミルク温度が周囲温度(例えば20℃)にあるときに実施可能である。伝導率は、ステップiの開始時、0.7mS/cmであってよい。
【0093】
ステップi中、ミルクは、容器から圧送される。その際、同時に、加熱されたミルク、洗浄水および内包空気は、装置から除去される。この期間中、温度は、さらに例えば8℃に低下し得る。ミルクの伝導率値が略一定(例えば4.5mS/cm)となるまで、伝導率は上昇する。条件(伝導率ならびにミルクおよび装置の十分な温度)が一定となれば、ミルク分析は完了である。
【0094】
ミルク分析は、好ましくは、8秒未満、特に5秒未満であってよい。
【0095】
ステップii:ミルクフォームの分析。まず空気添加を作動させる。その際、絞り、特に空気絞り弁を開放する。まず、迅速な開放を、例えば20%に向かって実施することができる。温度は、僅かに、例えば8℃から10℃に上昇し得る。空気供給により、伝導率は、例えば4.5mS/cmから3.0mS/cmに低下する。
【0096】
絞りの開放の規模に加えて、ミルクポンプのポンプ回転数も、製品設定、つまりミルクフォームの種類に応じて適合させることができる。空気添加は、所定の範囲内で反復性に、例えば線形に上昇させることができる。その際、ミルク-空気-比の変化は、空気添加の上昇中、伝導率測定によって求められる。温度は、その際、10℃に一定に維持されてもよい。絞りの開度は、漸次、20%から70%に上昇されてもよい。伝導率は、その際、3.0mS/cmから1.2mS/cmに低下し得る。
【0097】
ミルクフォームの分析の完了後、相応の経過を経過表に示すことができ、伝導率に対する絞りの開度は、相応のミルク温度時のデータセットとして保存することができる。
【0098】
ミルクフォームの排出に際し、今や目標値を所望のミルクフォーム毎にプリセットすることができる。而して、例えばトップフォームは、コールドミルクフォームとは異なる伝導率を有していることができる。飲料および/またはフォームの選択次第で、目標値範囲をグラフに沿ってプリセットすることができる。これは、トップフォームの場合、例えば、ミルク温度が10℃であるとき、6%の偏差を伴って2mS/cmであってよい。これに相応して、目標値範囲は、1.94~2.06μS/cmであってよく、これに相応して絞りの開度は、求められた経過表にしたがって、トップフォームの場合、40~52%の目標値範囲内にあってよい。
【0099】
コールドミルクフォームのために、別の目標値範囲、例えば31~43%の絞りの開度をプリセットすることができる。
【0100】
それぞれのミルクフォーム製品(ホットミルクフォーム、コールドミルクフォーム、トップフォーム)の自動調整は、ミルク温度、ミルクタイプに応じた、ならびに吸い込み揚程および設置条件にも応じた前述の方法によって、改善することができる。
【0101】
この実施は、例えば機械を据え付けたときに空気添加を調整することも可能にし、かつ/または主要な影響因子の変更、例えばミルクタイプの切り換えに対する反応として再実施することも可能にする。特に調整工程の再実施は、顧客が直接実施することができ、これにより、例えばミルクタイプの切り換え後の再設定のために技術者を投入することが不要であるため、明らかに改善される。さらに、調整時に生じるミルク損失と、調整にかかる時間とは、著しく減少する。
【0102】
求められた目標値範囲内での顧客固有の要求に合わせた事後的な微調整は、モータによる無段の調節に基づいて操作要素を介して実施可能であり、ひいては、構成部材等の分解は、省略可能である。
【0103】
図2は、例示的かつ概略的に、電気伝導率(グラフ30)と、ミルク中の空気割合あるいはここでは空気絞り弁の形態の調節ユニット6の開度(グラフ50)との間の依存性(ミルクタイプ:牛乳、脂肪1.5%、UHT)を、ここでは例示的に15秒の時間インターバル内で示している。コールドミルクの供給による装置の冷却は、温度曲線(グラフ40)によって示す。グラフは、その際、前述の方法ステップi~iiiに対応しており、どの方法ステップがどの時点で導入されるかは、温度範囲と空気添加とから読み取れる。このミルクタイプおよび選択したミルクフォーム製品、例えばトップフォームにとって理想的であるのは、
図2の変化態様にあっては、しかし、2.3mS/cmの目標値であり、これは、46%の空気絞り弁の開度に相当する。この開度から出発して、例えば+/-6%の目標範囲内で異なるコンシステンシを形成することができる。この目標範囲は、同じく、使用されるミルクタイプ、エマルションの温度および/または別のパラメータ次第であってもよい。
【0104】
図1では、ミルクフォームの温度とミルクフォームの空気割合とに対する伝導率の依存性を良好に看取可能である。ミルクフォームの性質(品質)と、その結果としての伝導率とに対する一次の影響因子は、空気割合および温度である。二次の影響因子は、機械の枠条件/設置条件、例えば測地学的な吸い込み揚程、管路長さならびにミルクタイプおよびミルク種類であり、これらの因子の間接的な影響は、最適な空気添加範囲が設置場所毎に変動するに至り、第2の運転モードによって自動で補償することができる。空気圧、温度および期間は、これに対して、通常、支配的であるか、または予め決まってしまっている(顧客における周囲温度、冷蔵庫の温度や位置、カップサイズ)ので、ディスペンス中のアクティブな操作量としてはむしろそれほど好適ではない。システムの主操作量は、調節ユニットを介した空気量添加である。
【0105】
前述の目標値範囲は、具体的に
図3に示してある。1人分の飲料を調製する際のユーザによる空気絞り弁の開度の調節は、これにより第1の運転モードでは40~52%の範囲に制限されており、ユーザには、46%の開度が、自身が選択した製品のミルクフォームにとって好適な平均値として提案される。
【0106】
全体として、
図1の自動調整中、このミルクフォームを判定し、かつ飲料の排出時にユーザによって、供給される空気量を介してミルクフォームに影響を及ぼせる限界を定めるために、ミルクフォームの電気伝導率を使用することができる。
【0107】
有利には、考慮すべき付加的なパラメータは、この場合、温度である。それというのも、ミルクフォームの伝導率は、特にミルクタイプ、ミルク温度および空気割合に依存しているからである。特に、目標値データセット内で考慮可能である、様々なミルクタイプの伝導率特性および温度について相応に測定し、情報を得ることで、プロセス中のさらなる処理のための最適なミルク対空気比が規定され、この最適なミルク対空気比を、例えば空気供給の自動の調量を介して形成することができる。空気量は、自動調整中、および目標値範囲内であれば、第1の運転モード中も、それどころか動的に個別に調量することができる。調量は、内的なパラメータおよび外的なパラメータに自動で適応でき、このことは、運転条件の変更に対する反応を根本的に可能にし、システムの調整および校正を著しく簡略化する。ミルク温度の変化は、その際、限られた範囲で空気の供給によって補償することができる。
【0108】
使用される前述の測定ユニットは、それぞれ、好ましくは、伝導率センサと、温度センサとを有している。
【0109】
特に好ましくは、第1の測定ユニット12は、ミルクポンプ11の吐出側に直接配置されている。
【0110】
図4は、開度の目盛り上の目標値範囲の確定を示している。この場合、値100は、空気絞り弁の0%の開放に相当しているので、空気は、ミルク内に導入されない。値200は、空気絞り弁の100%の開放に相当しているので、空気は、高圧でミルク内に導入される。その際、この空気量は、大抵の場合、機械的に安定な空気-ミルク-エマルションを形成するには高すぎる。
【0111】
範囲300は、伝導率測定および温度測定または温度監視を同時に行いながら弁を漸進的に開放することによる装置の第2の運転モードでの自動調整によって求められる。
【0112】
この範囲300は、ユーザが選択したそれぞれの製品のミルクフォームのための、使用されるミルクタイプに応じた最適な目標値範囲である。
【0113】
図5は、範囲300の拡大図であり、
図6は、飲料を1人分調製するという状況において、ユーザが飲料を選択した後、ミルクフォームの調製中、範囲300内でミルクフォーム品質を調節する操作パネルである。
【符号の説明】
【0114】
1 ミルク容器
2 遮断弁
3 空気供給システム
4 遮断弁
5 チェック弁
6 調節ユニット
7 空気源
8 信号線路
9 制御兼評価ユニット
10 信号線路
11 ミルクポンプ
12 測定ユニット
13 物性
14 処理装置
15 ミルク管路
16 吐出装置
17 弁/方向制御弁
18 排出ノズル
19 導入箇所
20 流出管路
21 流出部
22 空気導入部
23 混合チャンバ
M ミルク
MLE ミルク-空気-エマルション