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特許7405847バラスト道床を締め固めるための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】バラスト道床を締め固めるための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   E01B 27/20 20060101AFI20231219BHJP
   E01B 27/16 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
E01B27/20
E01B27/16
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021522391
(86)(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 EP2019075779
(87)【国際公開番号】W WO2020083596
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】A329/2018
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3, A-1010 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト ダクスベルガー
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン アウアー
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-002413(JP,A)
【文献】特開昭57-130602(JP,A)
【文献】特開2016-003561(JP,A)
【文献】特開平08-239801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 27/20
E01B 27/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道(4)上を走行可能な軌道造成機に配置された作業ユニット(1)を用いて、枕木(6)とその上に固定された前記軌道(4)のレール(7)とが敷設されたバラスト道床(5)を締め固めるための方法であって、
締固め工程において信号が検出され、該信号から評価装置(17)により前記バラスト道床の性質を評価するための特性量が導出される、方法において、
前記作業ユニット(1)が、締固め工程を少なくとも部分的に実行する電気駆動部(15)を含み、前記電気駆動部(15)の少なくとも1つの、電流、電圧、デューティサイクル、磁気電圧、起磁力、磁界強度、磁束または磁束密度である動作量(18)が前記評価装置(17)に供給され、前記評価装置(17)により前記動作量(18)からバラスト道床特性量(19)が導出されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記電気駆動部(15)によって機械的な振動が生成され、該振動が前記作業ユニット(1)の機械的な構成要素(11,12,13,20)を介して前記バラスト道床(5)に伝達される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
数の締固め工程が周期的に実行され、前記動作量(18)の特性から前記バラスト道床特性量(19)の特性が導出される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
センサ(25)により検出された測定量(24)が前記評価装置(17)に付加的に供給され、前記バラスト道床特性量(19)が前記動作量(18)および前記測定量(24)から導出される、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記評価装置(17)に格納されている、前記作業ユニット(1)の1つまたは複数の構成要素の静的または動的なデジタルモデル(22)を用いて、前記動作量(18)から、トルク、力、速度、角速度、加速度、角加速度、圧力または体積流量であるモデル量(23)が算出される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記評価装置(17)に格納されている電気モータの前記デジタルモデル(22)を用いて、前記動作量(18)から前記モデル量(23)が導出される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記バラスト道床特性量(19)が制御装置(16)に供給され、前記作業ユニット(1)が、前記制御装置(16)を用いて、前記バラスト道床特性量(19)に依存して駆動制御される、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記バラスト道床特性量(19)が設定された閾値に達したとき、前記作業ユニット(1)の制御量が変更される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記バラスト道床特性量(19)が前記作業ユニット(1)の位置データとともに記録装置(26)に記憶される、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載の方法を実行するための装置であって、
バラスト道床(5)上に敷設された枕木(6)およびその上に固定されたレール(7)を有する軌道(4)上を軌条車台によって走行可能である機械フレーム(3)と、前記バラスト道床(5)を締め固めるために前記機械フレーム(3)に支持された作業ユニット(1)と、前記バラスト道床(5)の性質を評価するための特性量を算定する評価装置(17)と、を備える装置において、
前記作業ユニット(1)が、締固め工程を少なくとも部分的に実行することができる電気駆動部(15)を含み、前記電気駆動部(15)が前記評価装置(17)に接続されており、前記評価装置(17)が前記電気駆動部(15)の、電流、電圧、デューティサイクル、磁気電圧、起磁力、磁界強度、磁束または磁束密度である動作量(18)からバラスト道床特性量(19)を導出するように構成されていることを特徴とする、装置。
【請求項11】
前記評価装置(17)には、前記電気駆動部(15)の静的または動的なデジタルモデル(22)が格納されている、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記電気駆動部(15)が、機械的な振動を発生させる振動発生器(10)を駆動する、請求項10または11記載の装置。
【請求項13】
前記作業ユニット(1)がタンピングユニットとして形成されており、前記電気駆動部(15)により駆動される前記振動発生器(10)が、前記バラスト道床(5)内へと下降可能でありかつ相互に接近可能なタンピングツール(13)に、スクイーズ駆動部(11)を介して連結されている、請求項12記載の装置。
【請求項14】
前記作業ユニット(1)がスタビライザユニットとして形成されており、前記電気駆動部(15)により駆動される前記振動発生器(10)が、前記バラスト道床(5)に振動を伝達するために、前記レール(7)上を転動可能なローラ(20)に連結されている、請求項12記載の装置。
【請求項15】
前記バラスト道床特性量(19)の特性を記録するために、前記評価装置(17)に接続された記録装置(26)が設けられている、請求項10から14までのいずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌道上を走行可能な軌道造成機に配置された作業ユニットを用いて、枕木とその上に固定された軌道のレールとが敷設されたバラスト道床を締め固めるための方法に関し、締固め工程において信号が検出され、この信号から評価装置を用いてバラスト道床の性質を評価するための特性量が導出される。また、本発明は同方法を実行するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バラスト道床上に敷設された枕木とその上に固定されたレールとを有する軌道は、繰り返しの保守を必要とする。この場合、軌道は軌道造成機を用いて引き上げられ、調整されて、最適な軌道状態が形成される。このとき、バラスト道床の締固めにより、この新たな軌道状態が固定される。軌道を新規に造成する場合も、最後にバラスト道床の締固めが必要となる。
【0003】
締固め工程を実行するために、軌道造成機は1つまたは複数の作業ユニットを含む。原則として締固めは引き上げ工程の直後にタンピングユニットを用いて実行される。その際、タンピングツール(タンピングピック)がバラスト道床内に侵入し、振動とスクイーズ運動とを組み合わせて、枕木下方のバラストを締め固める。このタンピング工程により、沈下挙動の少ない均質な枕木基盤が形成される。
【0004】
続いて、通常は、スタビライザユニットを用いてさらに締固めが実行される。対応する軌道造成機を動的な軌道スタビライザと呼ぶ。レールと枕木とから形成される軌道格子は、この場合、水平方向の振動および垂直方向の荷重によりバラスト道床内へと揺動される。このため、タンピング工程後に初期的に発生する軌道の沈下が予測されて、軌道の横断方向のずれに対する抵抗が高められる。
【0005】
軌道の保守を担当するインフラストラクチャ管理者は、締め固められたバラスト道床がどの程度の負荷を受け、また何回の負荷サイクルを受けると軌道状態の再びの修正が必要になるかということに関する情報を必要とする。そのため、締固め時、または締固め工程の完了後に、バラスト道床の特性またはその品質を算定するための方法が用いられる。
【0006】
例えば、同じ出願人によるオーストリア国特許出願第223/2017号明細書から、バラスト道床を締め固めるための方法および装置が知られている。それによれば、タンピングユニットに配置されたセンサにより、振動サイクルにおいて、タンピングツールの力‐変位特性が検出される。続いて、この特性は評価装置に供給され、そこからタンピング工程の評価に関する、またはバラスト道床の性質に関する特性量が導出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の基礎とする課題は、冒頭で述べたような方法を簡便にすることにある。また、この方法を実行するための簡便な装置も提示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、これらの課題は、請求項1および10の特徴によって解決される。従属項は本発明の有利な実施形態を提示する。
【0009】
ここでは、作業ユニットが締固め工程を少なくとも部分的に実行する電気駆動部を含み、電気駆動部の少なくとも1つの動作量が評価装置に供給され、評価装置により動作量からバラスト道床特性量が導出されるように構成されている。このようにして、電気駆動部自体をセンサとして用い、締固め工程またはバラスト道床の性質を推測する。これにより、作業ユニットにセンサを別途に設ける必要がなくなる。測定および試験に付加的な費用をかけることなく、加工された区間に関して、バラスト道床の品質および特性を継続的に評価することができる。この評価は締固め工程において実行することができるため、必要であれば、直ちに修正のための介入を行うことができる。
【0010】
電気駆動部によって機械的な振動が生成され、この振動が作業ユニットの機械的な構成要素を介してバラスト道床に伝達されることが有利である。バラスト道床に導入された振動により、バラスト道床の性質を直ちに推測することができる。例えば、バラスト道床が硬化している場合、適宜に電気駆動部の動作量を変更して、振動エネルギを増大させる必要がある。そのため、少なくとも1つの動作量を用いて、バラスト道床の性質に関するバラスト道床特性量を導出することができる。
【0011】
別の改善によれば、1つの周期的なシーケンスにおいて複数の締固め工程が実行され、動作量の特性からバラスト道床特性量の特性が導出される。これにより、周期的な作業方式により、バラスト道床の局所的な変化が認識される。したがって、その他の作業サイクルは、必要に応じ、変化した状態に適合させることができる。
【0012】
評価精度の向上、または評価の検証のためには、センサにより検出された測定量を評価装置に付加的に供給し、バラスト道床特性量を動作量および測定量から導出することは有効である。この場合、特に、既に他の目的で設置されているセンサを利用してもよい。
【0013】
本発明による方法の更なる展開では、評価装置に格納されている、作業ユニットの1つまたは複数の構成要素のデジタルモデルを用いて、動作量からモデル量が算出される。このデジタルモデルは、この場合、静的または動的モデルである。この場合、モデリングの際に選択される詳細度は、所与の要求に依存する。簡易なモデルによっても、充分な情報を有するモデル量を算出できることが多い。
【0014】
評価装置に格納されている電気モータモデルを用いて、電気的な動作量、特に電気駆動部に流れる電流から、機械モデル量が導出されることが有利である。このようにして、作業ユニットの現在の機械的な状態を用いて、締固め工程を評価することができる。
【0015】
この方法の有意な発展形態によれば、バラスト道床特性量は制御装置に供給され、作業ユニットは、制御装置を用いて、バラスト道床特性量に依存して駆動制御される。これにより、操作者の介入なしで、締固め工程を変化したバラスト道床特性に適合させる自動化された作業シーケンスが可能となる。
【0016】
この場合、バラスト道床特性量が設定された閾値に達したとき、作業ユニットの制御量が変更されると有利である。この簡便な処置により、状態が変化したバラスト道床についての締固め工程の設定可能な適合化が行われる。
【0017】
別の改善によれば、バラスト道床特性量は作業ユニットの位置データとともに記録装置に記憶される。このようにして、測定および試験に付加的な費用をかけることなく、バラスト道床の品質および特性を記録することができる。この締固め結果の証明書により、加工された経路区間に対して直ちに適宜の運転許可を付与することができる。
【0018】
記載された方法の1つを実行するための本発明による装置は、バラスト道床上に敷設された枕木とその上に固定されたレールとを有する軌道の上を、軌条車台によって走行可能である機械フレームを含む。機械フレームにはバラスト道床を締め固めるための作業ユニットが支持されており、ここで、バラスト道床の性質を評価するための特性量を算定する評価装置が設けられている。この場合、作業ユニットは、締固め工程を少なくとも部分的に実行することができる電気駆動部を含み、電気駆動部は評価装置に接続されており、評価装置は電気駆動部の動作量からバラスト道床特性量を導出するように構成されている。
【0019】
本装置の改善された実施形態では、評価装置には電気駆動部のデジタルモデルが格納されている。これにより、1つまたは複数の動作量から様々なモデル量を算出することができる。
【0020】
電気駆動部が機械的な振動を発生させる振動発生器を駆動すると有利である。これにより、バラスト道床内に振動が導入され、作業ユニットに対するバラスト道床の戻り作用からバラスト道床の品質または特性が推測される。
【0021】
有利な変化形態によれば、作業ユニットはタンピングユニットとして形成されており、電気駆動部により駆動される振動発生器は、バラスト道床内へと下降可能でありかつ相互に接近可能なタンピングツールにスクイーズ駆動部を介して連結されている。バラスト道床の特性は、バラスト道床内に差し込まれるタンピングツールを介して電気駆動部に直接に戻り作用する。これにより、電気駆動部の動作量からバラスト道床の状態に関して確実な推測を導出することができる。
【0022】
別の発展形態によれば、作業ユニットはスタビライザユニットとして形成されており、電気駆動部により駆動される振動発生器は、バラスト道床に振動を伝達するために、レール上を転動可能なローラに連結されている。この場合、レールおよび枕木が伝達部材として機能し、振動を開始したバラスト道床が振動発生器およびその駆動部に戻り作用する。このようにして、電気駆動部の動作量からバラスト道床の性質に関する情報を導出することができる。
【0023】
別の改善によれば、本装置は、バラスト道床特性量の特性を記録するために、評価装置に接続された記録装置を含む。これにより、簡便な方法で、加工されたバラスト道床の性質を継続的に検証することが可能となる。
【0024】
本発明を以下に例示し、添付図面を参照しながら説明する。各図は概略的な図示である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】電気駆動部を備えたタンピングユニットを示す図である。
図2】電気駆動部を備えたスタビライザユニットを示す図である。
図3】バラスト道床特性量を決定するための構成要素のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1に示す作業ユニット1は、タンピングユニットとして形成されており、案内部材を介して、より詳細には記述しない軌道造成機の機械フレーム3に支持されたユニットフレーム2を含む。作業ユニット1は、枕木6が、その上に固定されたレール7とともに敷設されたバラスト道床5を有する軌道4を加工するのに用いられる。具体的には、タンピングユニットとして形成された作業ユニット1により、枕木6下方のバラスト道床5が締め固められる。これは、軌道4の新規造成および保守の際に行われる。
【0027】
ユニットフレーム2において、ツール支持体8は高さ調整可能に案内されており、下降運動または上昇運動が、対応する高さ調整駆動部9により実行される。ツール支持体8上には、少なくとも2つのスクイーズ駆動部11が連結された振動発生器10が配置されている。各スクイーズ駆動部11は、対応するタンピングツール13の回動アーム12に連結されている。両回動アーム12は、それぞれ固有の水平回動軸14を中心に相互に運動可能にツール支持体8に支持されている。
【0028】
振動発生器10は、例えば、回動軸を中心に回転可能な偏心シャフトを含み、スクイーズ駆動部11は、このシャフトの偏心部分に枢着されている。偏心シャフトが回転すると、スクイーズ駆動部11の枢着部分が回動軸を中心に回転することにより、振動が回動アーム12に伝達される。この場合、有利に調整可能な偏心率によって振動の振幅が決定され、回転数によって振動周波数が決定される。
【0029】
各タンピングツール13の自由端には、タンピングピックが配置されている。締固め工程のために、タンピングツール13は振動を受けつつバラスト道床5内に下降する。枕木下縁部の下方において、端部側のピックプレートを備えたタンピングピックがスクイーズ駆動部11によって相互にスクイーズ運動し、これにより枕木6のバラスト基盤が締め固められる。
【0030】
本発明によれば、作業ユニット1は、この実施例では偏心シャフトを駆動する電気駆動部15を含む。特に、偏心筐体の外周に形成されたトルクモータが好適であり、この場合、偏心シャフトはトルクモータのロータに接続されている。トルクモータは制御装置16により駆動制御される。制御装置16は、作業ユニット1の油圧駆動部の制御弁も制御する。本実施例では、これらは、高さ調整駆動部9およびスクイーズ駆動部11である。
【0031】
制御装置16には評価装置17が接続されている。これは、例えば、信号を受信して評価するように構成された産業用コンピュータである。評価装置17には、電気駆動部15の少なくとも1つの動作量18が供給されている。この動作量18は、制御装置16により、または直接に電気駆動部15により供給される。
【0032】
バラスト道床5の締固めは、タンピングツール13の振動に大きく影響されるため、作業ユニット1の動作時、電気駆動部15は少なくとも部分的に締固めを惹起する。また、締固めは、バラスト道床5の現在の状態に、すなわちその品質またはその物理特性に依存する。この場合、バラスト道床5の反力がタンピングツール13に働き、その結果、バラスト道床5からの戻り作用が電気駆動部15に働く。
【0033】
ここで、電気駆動部15とタンピングツール13との間の動力経路上に、油圧構成要素(スクイーズ駆動部11)が位置することは重要ではない。重要なのは、単に、バラスト道床特性量19を計算するために、電気駆動部15の少なくとも1つの動作量18を用いることができるということである。
【0034】
作業ユニット1の別の例として、スタビライザユニットを図2に示す。スタビライザユニットは、より詳細には記述しない軌道造成機の機械フレーム3に配置されている。作業モードにおいて、スタビライザユニットにより、レール7および枕木6から構成される軌道格子の振動が開始される。この振動は周囲のバラスト道床5に伝達され、これによりバラスト道床が締め固められる。このようにして、軌道4上の通常運転モードを直ちに可能とすることができるよう、タンピング工程後に軌道格子が沈下することが予測される。
【0035】
また、この作業ユニット1は、振動発生器10の電気駆動部15を含む。例えば、アンバランス部材が配置されたシャフトが駆動される。振動はレール7に押圧されたレールローラ20により軌道格子に伝達され、バラスト道床5に伝播する。このとき、軌道格子に対して反力が働き、これによりバラスト道床5の品質および特性が電気駆動部15に戻り作用している。例えば、衝撃力が等しければ、振動の振幅は、バラスト道床の既存の締固め度、またはバラスト道床5の横方向変位抵抗に依存する。
【0036】
電気駆動部15を駆動制御するために、適宜の制御装置16が設けられており、この制御装置は、少なくとも1つのバラスト道床特性量19を計算するために、評価装置17に接続されている。計算工程21のために、評価装置17には電気駆動部15の少なくとも1つの動作量18が供給されている。
【0037】
図3のブロック図を参照して、有利な計算方法に関して、より詳細に述べる。プロセッサまたは記憶装置には、作業ユニット1の構成要素の少なくとも1つの静的または動的なデジタルモデル22が格納されている。例えば、電気駆動部15のための電気モータのデジタルモデル22が格納されている。デジタルモデル22を用いて、動作量18からモデル量23が計算される。
【0038】
動作量18は、例えば、電流、電圧、デューティサイクル、磁気電圧、起磁力、磁界強度、磁束、または磁束密度である。これから導出されるモデル量は、例えば、トルク、力、速度または角速度、あるいは加速度または角加速度である。油圧ポンプの電気駆動部15の場合、モデル量として圧力または体積流量を算出してもよい。
【0039】
具体的には、デジタルモータモデル22を用いて、ロータの回転角と測定した電流とから電気駆動部15のトルクを計算することができる。さらに、速度または角速度、および電気駆動部15の駆動力または駆動トルクから、作業ユニット1の機械モデルを用いて、バラスト道床5に直接に作用する力を決定することができる。既知の動的な力を考慮して、そこから、バラスト道床5から作業ユニット1に戻り作用する力が求められ、これがバラスト道床特性量19の導出に用いられる。
【0040】
モデル量23の計算は、特にそのために設けられた構成要素において、制御装置16もしくは評価装置17において、または、他の目的(例えば、モータのパワーエレクトロニクスにおけるモータトルクの計算)のために設けられた構成要素において、実行することができる。
【0041】
最も簡易な例では、計算工程21により、単に電気駆動部15の動作量18からバラスト道床特性量19が導出される。しかしながら、バラスト道床5の品質や特性をよりよく評価するためには、複数のモデル量23を用いると有利である。計算工程21は、プロセッサにより実行される。この目的のために、プロセッサには計算ソフトウェアがインストールされており、このソフトウェアは、作業ユニット1および軌道4のパラメータ、ならびに特定の計算仕様に基づいて、入力量18,23から特性量19を算出する。
【0042】
計算工程21の1つの改善は、測定量24を考慮に入れて達成される。測定量24は、例えば、作業ユニット1に設置されたセンサ装置または電子装置25によって供給される。他の目的のために既に設けられているセンサおよび電気構成要素を用いることも有効である。また、電気駆動部15が適宜のセンサ装置を含む場合は、動作量18が測定量24として存在してもよい。例えば、電気駆動部15の動作量18またはモデル量23と、測定量24とを用いて、これらから作業ユニット1の機械モデル量23が決定される。
【0043】
計算工程21の結果は、バラスト道床5の品質または特性を評価するために用いられる少なくとも1つのバラスト道床特性量19である。例えば、特性量19は、作業ユニット1の1つまたは複数のモデル量23の特性(速度特性、力特性、圧力特性など)から決定される。具体的には、バラスト道床特性量19として、エネルギ吸収量、力の極値、および力‐位置特性から導出される剛性が形成されてもよい。
【0044】
軌道加工の記録のために、評価装置17は記録装置26に接続されている。この記録装置に作業ユニット1の現在の位置が継続的に通知されると好都合である。これにより、算定されたバラスト道床特性量19の特性が、場所に依存して記憶される。
図1
図2
図3