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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】布地を洗濯する方法
(51)【国際特許分類】
   D06L 1/16 20060101AFI20231219BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20231219BHJP
   C11D 7/26 20060101ALI20231219BHJP
   C11D 7/32 20060101ALI20231219BHJP
   C11D 17/06 20060101ALI20231219BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20231219BHJP
   C11D 3/26 20060101ALI20231219BHJP
   C11D 3/18 20060101ALI20231219BHJP
   D06B 3/10 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
D06L1/16
C11D17/08
C11D7/26
C11D7/32
C11D17/06
C11D3/20
C11D3/26
C11D3/18
D06B3/10 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021550249
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-20
(86)【国際出願番号】 US2020023562
(87)【国際公開番号】W WO2020191161
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-08-27
(31)【優先権主張番号】62/820,591
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】シヴィク、マーク・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】エスコバール、ソル・メリッサ
(72)【発明者】
【氏名】デラニー、サラ・アン
(72)【発明者】
【氏名】デノーム、フランク・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ハマースキー、マーク・ウィリアム
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-514466(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0124521(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0216050(US,A1)
【文献】特表2017-526826(JP,A)
【文献】特表2017-531098(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D1/00-19/00
D06B1/00-23/30
D06C3/00-29/00
D06G1/00-5/00
D06H1/00-7/24
D06J1/00-1/12
D06L1/00-4/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地を洗濯する方法であって、
a.布地を洗浄液と組み合わせる工程であって、前記洗浄液が、洗濯洗剤組成物を水に添加することにより作製される、工程と、
b.前記布地を、自動洗浄操作、手動洗浄操作、又はそれらの組み合わせを使用して、前記洗浄液中で洗浄した後にすすぎ液中ですすぐ工程であって、前記すすぎ液が、繊維状水溶性単位用量の形態の濃縮酸送達源を含む、工程と、
c.前記布地と前記すすぎ液とを互いに分離する工程と、
d.前記布地を乾燥させる工程と、
を含み、
前記洗浄液のpHがアルカリ性であり、前記すすぎ液のpHが3~5.3である、方法。
【請求項2】
a.前記布地が、10℃~60℃の温度で、前記洗浄液中で洗浄され、
b.工程bにおける前記洗浄操作が、5分~60分間行われ、
c.又はこれらの組み合わせである、
請求項1に記載の布地を洗濯する方法。
【請求項3】
前記すすぎ液が、酸性布地処理組成物を更に含む、請求項1又は2に記載の布地を洗濯する方法。
【請求項4】
前記洗濯洗剤組成物が、液体であり、前記液体洗濯洗剤組成物が、7超~10のpHを有し、前記液体洗濯洗剤組成物のpHが、未希釈pHとして測定される、請求項1~3のいずれか一項に記載の布地を洗濯する方法。
【請求項5】
前記酸性布地処理組成物が、液体であり、前記液体酸性布地処理組成物が、2~のpHを有し、前記液体酸性布地処理組成物のpHが、未希釈pHとして測定される、請求項3に記載の布地を洗濯する方法。
【請求項6】
前記繊維状水溶性単位用量が、単独又は組み合わせのいずれかで、酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、カルボキシメチルオキシマロン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、ギ酸、グルタル酸、グルコン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、オキシ二酢酸、オキシジコハク酸、コハク酸、スルファミン酸、酒石酸、酒石二コハク酸、酒石モノコハク酸、これらの塩、又はこれらの混合物からなる群から選択される活性剤酸を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の布地を洗濯する方法。
【請求項7】
前記活性剤酸が、クエン酸及びクエン酸ナトリウムである、請求項6に記載の布地を洗濯する方法。
【請求項8】
前記繊維状水溶性単位用量が、コーティングされたクエン酸を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の布地を洗濯する方法。
【請求項9】
前記繊維状水溶性単位用量が、外側表面上に苦味剤を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の布地を洗濯する方法。
【請求項10】
前記繊維状水溶性単位用量が、活性剤を含み、前記活性剤が、前記繊維状水溶性単位用量の50重量%~70重量%の量で、前記繊維状水溶性単位用量に組み込まれている、請求項1~9のいずれか一項に記載の布地を洗濯する方法。
【請求項11】
前記繊維状水溶性単位用量が、水溶性繊維状構造体を含み、前記活性剤を含有する粒子が、前記水溶性繊維状構造体全体にわたって分布している、請求項10に記載の布地を洗濯する方法。
【請求項12】
前記水溶性繊維状構造体が、界面活性剤を含む繊維状要素を含む、請求項11に記載の布地を洗濯する方法。
【請求項13】
前記水溶性繊維状構造体が、デンプンを含む繊維状要素を含む、請求項11又は12に記載の布地を洗濯する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸送達システムと組み合わせて洗剤組成物を用いる、布地を洗濯するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯洗浄方法は、布地から汚れを除去するように設計されている。汚れの中には、特定のpH条件下では除去することができないものもある。例えば、マスタードの染みは、アルカリ性pH条件下でより速やかに除去することができることが知られている。対照的に、茶は、酸性pH条件下でより速やかに除去される。これは、洗剤とすすぎ剤の組み合わせを配合する際に、問題を生じる。
【0003】
更に、洗剤及びすすぎ剤の両方が、毎日消費者により取り扱われているため、使用可能な酸類及び塩基類の濃度には、制限がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、酸性pH条件及びアルカリ性pH条件の両方において、染みを除去することが可能である、染みを除去する方法が、引き続き必要とされている。
【0005】
更に、すすぎ液をより低い酸性pH条件まで安全に下げて、低pH条件でより容易に除去される染みを排除するために役立つ方法が、引き続き必要とされている。
【0006】
驚くべきことに、提供される、本発明に従った方法は、アルカリ性及び酸性すすぎ条件の両方において、1サイクルで染みを除去することができるようになることが見出された。更に、驚くべきことに、提供した、本発明に従った方法により、統計的に、特定の染みがより良好に除去されるようになる、酸性すすぎ液条件を達成することができることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0007】
布地を洗濯する方法を、本明細書に記載する。布地を洗濯する方法であって、
a.布地を洗浄液と組み合わせる工程であって、上記洗浄液が洗剤を含む、工程と、
b.上記布地を、自動洗浄操作、手動洗浄操作、又はそれらの混合、好ましくは自動洗浄操作を使用して、洗浄液中で洗浄する工程であって、上記布地を洗浄する過程が、すすぎ液を含むすすぎサイクルを含み、上記すすぎ液が、繊維状水溶性単位用量の形態の濃縮酸送達源を含む、工程と、
c.上記布地と上記洗浄液を互いに分離する工程と、
d.上記布地を乾燥させる工程と、
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】多プライ繊維状構造体の例の断面図の概略図である。
図2】水溶性単位用量物品の一例の斜視図である。
図3】線3-3に沿って撮影した、水溶性単位用量物品の例の断面図を示すマイクロCTスキャン画像である。
図4図3の一部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、すすぎ液のpHを、pH5を下回って下げる方法に関する。本発明は更に、布地を洗濯する方法であって、
a.布地を洗浄液と組み合わせる工程であって、上記洗浄液が洗剤を含む、工程と、
b.上記布地を、自動洗浄操作、手動洗浄操作、又はそれらの混合、好ましくは自動洗浄操作を使用して、洗浄液中で洗浄する工程であって、上記布地を洗浄する過程が、すすぎ液を含むすすぎサイクルを含み、上記すすぎ液が、繊維状水溶性単位用量の形態の濃縮酸送達源を含む、工程と、
c.上記布地と上記洗浄液を互いに分離する工程と、
d.上記布地を乾燥させる工程と、
を含む、方法に関する。
【0010】
当業者であれば、洗浄液の作製方法を認識するであろう。理論に束縛されるものではないが、洗濯洗剤組成物を水に添加することにより、洗濯洗剤組成物が溶解して、洗浄液の作製が引き起こされる。
【0011】
洗浄液は、自動洗濯機のドラム内で自動的に生成され得るか、又は手動洗浄操作中に作製され得る。
【0012】
洗濯洗剤組成物は、水溶性単位用量物品中に含まれ得、水溶性単位用量物品は水溶性フィルムを含む。洗濯洗剤組成物は、液体洗剤又は粉末洗剤であり得る。洗濯洗剤組成物は、繊維状洗剤である、又は、シートの形態であることができる。洗剤は、水と組み合わせて、主洗浄液を作製する。洗浄液は、自動洗濯機のドラム内で自動的に生成され得るか、又は手動洗浄操作中に作製され得る。自動洗濯機のドラム内で作製される場合、従来的には、洗浄される布地及び水溶性単位用量物品をドラムに添加してから洗濯機の扉を閉じる。続いて、洗濯機がドラムに水を自動的に添加して洗浄液を生成する。
【0013】
好ましくは、洗浄液は、1L~64L、好ましくは2L~32L、より好ましくは3L~20Lの水を含む。洗濯洗剤組成物について、以下により記載に説明する。
【0014】
洗浄液は、濃縮酸送達源もまた含む。濃縮酸送達源は、より詳細に後述する酸を含む、水溶性繊維状単位用量物品を含む。
【0015】
本方法は、布地を、自動洗浄操作、手動洗浄操作、又はそれらの混合、好ましくは自動洗浄操作を使用して、洗浄液中で洗浄することを更に含む。
【0016】
当業者は、自動洗浄操作、手動洗浄操作、又はそれらの混合における、布地の洗浄方法を知っているであろう。
【0017】
好ましくは、洗浄液は、5℃~90℃、好ましくは10℃~60℃、より好ましくは12℃~45℃、最も好ましくは15℃~40℃の温度である。
【0018】
好ましくは、洗浄液中での布地の洗浄は、完了までに5分~50分、好ましくは5分~40分、より好ましくは5分~30分、更により好ましくは5分~20分、最も好ましくは6分~18分かかる。
【0019】
好ましくは、洗浄液は、1kg~20kg、好ましくは3kg~15kg、最も好ましくは5~10kgの布地を含む。
【0020】
洗浄液は、好ましくは0gpg~40gpgで変化する任意の硬度の水を含み得る。より低い水硬度は軟水と呼ばれ、一方でより高い水硬度は硬水と呼ばれる。
【0021】
洗浄液中で布地を洗浄する工程は、すすぎサイクルを含む自動洗浄操作を用いる。すすぎサイクルはすすぎ液を含み、すすぎ液は、繊維状水溶性単位用量の形態の濃縮酸送達源を含む。
【0022】
好ましくは、すすぎ液は、1L~64L、好ましくは2L~32L、より好ましくは3L~20Lの水を含み得る。繊維状水溶性単位用量の形態の濃縮酸送達源は、より詳細に後述する。
【0023】
好ましくは、すすぎ液は、5℃~90℃、好ましくは10℃~60℃、より好ましくは12℃~45℃、最も好ましくは15℃~40℃の温度である。
【0024】
好ましくは、すすぎ液中での布地のすすぎは、完了までに5分~50分、好ましくは5分~40分、より好ましくは5分~30分、更により好ましくは5分~20分、最も好ましくは6分~18分かかる。
【0025】
好ましくは、すすぎ液は、1kg~20kg、好ましくは3kg~15kg、最も好ましくは5~10kgの布地を含む。
【0026】
すすぎ液は、好ましくは軟質の0gpg~40gpgの間で変化する任意の硬度の水を含み得る。より低い水硬度は、軟水と呼ばれ、一方でより高い水硬度は、硬水と呼ばれる。
【0027】
方法は、布地とすすぎ液とを互いに分離することを更に含むことができる。
【0028】
布地及びすすぎ液は、布地の洗浄後に互いに分離される。こうした分離は、布地をすすぎ液から取り出すこと、又はすすぎ液を布地から排水することを伴い得る。自動洗濯機の操作においては、すすぎ液を布地から排水することが好ましい。疑念を避けるため、布地と主洗浄液及び主すすぎ液との分離後も、洗浄液の一部及びすすぎ液の一部は布地に浸み込んだままであり得、即ち、布地は濡れたままであり得る。本発明に関しては、一旦、布地がすすぎ液の主要量から分離されたら、又はすすぎ液の主要量が排出されていたら、場合によってはいくらかの残留すすぎ液が布地に浸み込んだままであっても、布地及びすすぎ液は互いに分離されていると見なされる。
【0029】
方法は、布地を乾燥させることを更に含み得る。
【0030】
当業者であれば、布地を乾燥させるために好適な手段を認識するであろう。布地は、室温での吊り乾燥、自動乾燥機内での乾燥、又はその組み合わせで、乾燥され得る。当業者であれば、どの点で布地が濡れているのと対照して乾燥していると見なされるかについては、分かるであろう。
【0031】
洗濯洗剤組成物
本発明に従った方法は、洗濯洗剤組成物を希釈する工程を含む。洗濯洗剤組成物は、6超、又は6未満のpHを有し得る。
【0032】
6超のpHを有する洗濯洗剤組成物は粉末、液体、水溶性単位用量物品、又はこれらの混合、好ましくは、液体組成物を含む水溶性単位用量であり得る。
【0033】
固体洗濯洗剤組成物は、固体粒子を含み得るか、又は単一の均質な固体であり得る。好ましくは、固体洗濯洗剤組成物は粒子を含む。これは、単一の均質な固体である固体とは対照的に、固体洗濯洗剤組成物が、個々の固体粒子を含むことを意味する。粒子は、自由流動性であり得るか、又は圧縮され得、好ましくは自由流動性である。
【0034】
「液体洗濯洗剤組成物」という用語は、布地を濡らし、処理することが可能な液体を含む、任意の洗濯洗剤組成物を指し、限定するものではないが、液体、ゲル、ペースト、分散液などが挙げられる。液体組成物は、好適に細分された形態の固体又は気体を含み得るが、液体組成物は、粉末、錠剤、又は顆粒などの、全体として非流動性である形態を除外する。
【0035】
水溶性単位用量物品について、以下でより詳細に記載する。
【0036】
洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤組成物の0.01重量%~5重量%、より好ましくは0.03重量%~1重量%、最も好ましくは0.05重量%~0.5重量%のオリゴアミン又はその塩を含む。オリゴアミン又はその塩については、以下により詳細に記載する。
【0037】
洗濯洗剤組成物は、好ましくは、非石鹸界面活性剤を含む。より好ましくは、非石鹸界面活性剤は、非石鹸アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、又はこれらの混合物から選択される。洗濯洗剤組成物は、好ましくは、洗濯洗剤組成物の10重量%~60重量%、より好ましくは20重量%~55重量%の非石鹸界面活性剤を含む。
【0038】
好ましくは、非石鹸アニオン性界面活性剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルコキシル化アルキルサルフェート、アルキルサルフェート、又はこれらの混合物を含む。好ましくは、アルキルサルフェートは、エトキシル化アルキルサルフェートである。
【0039】
好ましくは、洗濯洗剤組成物は、洗剤組成物の5重量%~50重量%、好ましくは15重量%~45重量%、より好ましくは25重量%~40重量%、最も好ましくは30重量%~40重量%の非石鹸アニオン性界面活性剤を含む。
【0040】
好ましくは、非石鹸アニオン性界面活性剤は、直鎖状アルキルベンゼンスルホネート及びアルコキシル化アルキルサルフェートを含み、直鎖状アルキルベンゼンスルホネートのアルコキシル化アルキルサルフェートに対する比、好ましくは、直鎖状アルキルベンゼンスルホネートのエトキシル化アルキルサルフェートに対する重量比は、好ましくは、1:2~20:1、好ましくは1.1:1~15:1、より好ましくは1.2:1~10:1、更により好ましくは1.3:1~5:1、最も好ましくは1.4:1~3:1である。
【0041】
好ましくは、洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤組成物の0重量%~10重量%、好ましくは0.01重量%~8重量%、より好ましくは0.1重量%~6重量%、最も好ましくは0.15重量%~4重量%の非イオン性界面活性剤を含む。非イオン性界面活性剤は、好ましくは、アルコールアルコキシレート、オキソ合成アルコールアルコキシレート、ゲルベアルコールアルコキシレート、アルキルフェノールアルコールアルコキシレート、又はこれらの混合物から選択される。
【0042】
好ましくは、洗濯、好ましくは液体洗濯洗剤組成物は、当該洗濯洗剤組成物の1.5重量%~20重量%、より好ましくは2重量%~15重量%、更により好ましくは3重量%~10重量%、最も好ましくは4重量%~8重量%の石鹸、好ましくは脂肪酸塩、より好ましくはアミン中和脂肪酸塩を含み、好ましくは、アミンは、より好ましくはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、又はこれらの混合物から選択されるアルカノールアミンであり、より好ましくはモノエタノールアミンである。
【0043】
洗濯洗剤組成物は、好ましくは、カチオン性ポリマー、ポリエステルテレフタレート、両親媒性グラフトコポリマー、カルボキシメチルセルロース、酵素、香料、カプセル化香料、漂白剤、又はこれらの混合物を含むリストから選択される成分を含む。理論に束縛されるものではないが、これら材料を更に添加すると、悪臭低減を更に促進することができると考えられる。
【0044】
洗濯洗剤組成物は、補助成分を含み得、補助成分は、非水性溶媒、水、色相染料、審美染料、酵素、洗浄ポリマー、脂肪酸のようなビルダ、漂白剤、分散剤、移染阻害剤ポリマー、蛍光増白剤、乳白剤、消泡剤、又はこれらの混合物から選択される。
【0045】
好ましくは、洗濯洗剤組成物はキレート剤を含み、キレート剤は、好ましくは、ホスホネート、アミノカルボキシレート、アミノホスホネート、多官能置換された芳香族キレート剤、又はこれらの混合物から、より好ましくは、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、HEDP(ヒドロキシエタンジホスホン酸)、EDDS(エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、DTPMP(ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸))、EDTMP(エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸))、Tiron(登録商標)(1,2-ジヒドロキシベンゼン-3,5-ジスルホン酸)、HPNO(2-ピリジノール-N-オキシド)、MGDA(メチルグリシン二酢酸)、GLDA(グルタミン酸-N,N-二酢酸)、これらの任意の好適な誘導体、これらの塩、及びこれらの混合物から選択される追加のキレート剤から選択される。
【0046】
洗濯洗剤組成物は、酸化防止剤を含み得る。理論に束縛されるものではないが、酸化防止剤は、特に本開示のオリゴアミンと組み合わせて、組成物の悪臭制御及び/又はクリーニング性能を改善するために役立てることができると考えられる。また、酸化防止剤は、アミンに関連する場合がある黄変を低減することにも役立ち得るので、アミンを比較的高濃度で配合することが可能になる。
【0047】
洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤組成物の0.001重量%~2重量%、好ましくは0.01重量%~0.5重量%の量のヒンダードフェノール酸化防止剤を含み得る。
【0048】
好適な酸化防止剤としては、以下の一般式:
【0049】
【化1】
[式中、Rは、C~C22直鎖状アルキル又はC~C22分岐状アルキルであり、各々、(1)任意選択的に、その中に1つ以上のエステル(-CO-)又はエーテル(-O-)結合を有し、(2)任意選択的に、EO(エトキシ)、PO(プロポキシ)、BO(ブトキシ)、及びこれらの混合物から、より好ましくはEO単独又はEO/PO混合物から選択されるアルキレンオキシ又はポリアルキレンオキシ基を含む有機基によって置換されており、Rは、好ましくは、メチル、分岐状C~Cアルキル、又はC~Cアルコキシ、好ましくはメトキシであり得、Rは、C~C分岐状アルキル、好ましくはtert-ブチルであり、xは、1又は2である]を有するアルキル化フェノールを挙げることができる。
【0050】
この式を有するアルキル化フェノールの好ましい種類としては、ヒンダードフェノール化合物を挙げることができる。本明細書で使用するとき、「ヒンダードフェノール」という用語は、(a)少なくとも1つのフェノール-OH基に対してオルト位に結合している、少なくとも1つのC以上の分岐状アルキル、好ましくはC~C分岐状アルキル、好ましくはtert-ブチル、又は(b)少なくとも1つのフェノール-OH基に対して各々オルト位に結合している、C~Cアルコキシ、好ましくはメトキシ、C~C22直鎖状アルキル、若しくはC~C22分岐状アルキル、好ましくはメチル若しくは分岐状C~Cアルキル、又はこれらの混合物からなる群から独立して選択される置換基、のいずれかを有する、フェノール基を含む化合物を指すために使用される。フェニル環が複数の-OH基を含む場合、化合物は、少なくとも1つのこのような-OH基が直前に記載されているように置換されている限りヒンダードフェノールである。上記構造中の任意のR基が3つ以上の連続するモノマーを含む場合、酸化防止剤は、本明細書において「ポリマーヒンダードフェノール酸化防止剤」と定義される。本開示による組成物は、ヒンダードフェノール酸化防止剤を含み得る。好ましいヒンダードフェノール酸化防止剤としては、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(BHT)が挙げられる。
【0051】
組成物に使用するために好適な場合があるヒンダードフェノール酸化防止剤の更なる分類は、以下の式:
【0052】
【化2】
[式中、R及びRは、各々独立して、アルキルであるか、又はR及びRは一緒になってC~C環状ヒドロカルビル部分を形成し得、Bは、存在しないか又はCHであり、Rは、C~Cアルキルであり、Rは、水素又は-C(O)Rであり、Rは、水素又はC~C19アルキルであり、Rは、C~Cアルキルであり、Rは、水素又はC~Cアルキルであり、Xは、-CHOH又は-CHAであり、Aは、窒素含有単位、フェニル、又は置換フェニルである]を有するベンゾフラン又はベンゾピラン誘導体である。好ましい窒素含有A単位としては、アミノ、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノ、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0053】
好適なヒンダードフェノール酸化防止剤としては、2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メチル-フェノール、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼンプロパン酸、メチルエステル、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸、オクタデシルエステル、又はこれらの混合物を含み得る。
【0054】
好適な場合がある市販の酸化防止剤としては、BHT、RALOX 35(商標)、及び/又はTINOGARD TS(商標)が挙げられる。
【0055】
追加の酸化防止剤が用いられてもよい。組成物における使用に好適な酸化防止剤の例としては、α-、β-、γ-、δ-トコフェロール、エトキシキン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン、2,6-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキシアニソール、リグノスルホン酸及びその塩、並びにこれらの混合物からなる群が挙げられるが、これらに限定されない。エトキシキン(1,2-ジヒドロ-6-エトキシ-2,2,4-トリメチルキノリン)は、Raschig(商標)カンパニーによりRaluquin(商標)という名称で販売されていることに留意されたい。組成物に使用され得る酸化防止剤の他の種類は、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸(Trolox(商標))及び1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン(Proxel GXL(商標))である。トコフェロールソルベート、ブチル化ヒドロキシル安息香酸及びその塩、没食子酸及びそのアルキルエステル、尿酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、並びにジヒドロキシフマル酸及びその塩などの酸化防止剤も有用な場合がある。
【0056】
非黄変ヒンダードフェノール酸化防止剤などの非黄変酸化防止剤の使用が好ましい場合がある。消費者体験において知覚可能な負の属性(例えば、布地への黄色副生成物の付着など)につながる場合、このような黄色副生成物を形成する酸化防止剤を回避し得る。当業者は、使用する酸化防止剤の選択に関して情報を得た上で決定を行うことができる。
【0057】
上述した液体洗濯洗剤組成物は、好ましくは6~10、より好ましくは6.5~8.9、最も好ましくは7~8のpHを有し、液体洗濯洗剤組成物のpHは、純粋なpHとして測定される。液体洗濯洗剤組成物のpH、洗浄液のpH、又はすすぎ液のpHの測定のために、50mLのアリコートを、およそ64リットルの容積を有するNorth America上部充填機からサンプリングすることができる。更に、洗濯洗剤組成物が固体洗濯洗剤組成物である場合、固体洗濯洗剤組成物は、好ましくは6~10、より好ましくは6.5~8.9、最も好ましくは7~8のpHを有し、固体洗濯洗剤組成物のpHは、20℃で脱塩水中の10%希釈物として測定される。
【0058】
濃縮酸送達源:
濃縮酸送達源は、後述する活性剤を含む繊維状水溶性単位用量を含む。本明細書で使用するとき、という句「水溶性単位用量物品」、「水溶性繊維状構造体」、及び「水溶性繊維状要素」という句は、単位用量物品、繊維状構造体、及び繊維状要素が水と混和性であることを意味する。換言すれば、単位用量物品、繊維状構造体、又は繊維状要素は、周囲条件で水と均質な溶液を形成することができる。本明細書で使用するとき、「周囲条件」は、23℃±1.0℃及び相対湿度50%±2%を意味する。繊維状水溶性単位用量は、水性洗浄条件で約20マイクロメートル未満又は約50マイクロメートル未満の懸濁平均粒径で分散可能である不溶性材料を含有し得る。
【0059】
繊維状水溶性単位用量は、2018年1月26日に出願された、米国特許出願第15/880,594号、2018年1月26日に出願された同第15/880,599号、及び、2018年1月26日に出願された同第15/880,604号に見出される開示のいずれかを含むことができ、それら全体が参照により組み込まれている。
【0060】
これら繊維状水溶性単位用量物品は、様々な洗浄条件下、例えば、低温、少ない水量及び/又は短い洗浄サイクル若しくは消費者が洗濯機に、特に高い吸水能を有する品目を入れすぎた場合のサイクルの下で溶解することができると同時に、(今日の液体製品と同様の性能で)対象とする消費者基材に対して、意図する効果を発揮するために十分な活性剤を送達する。更に、本明細書に記載の繊維状水溶性単位用量は、活性剤を含む繊維を紡糸することによって、経済的に製造することができる。本明細書に記載の繊維状水溶性単位用量は、改善された洗浄性能も有する。
【0061】
繊維状水溶性単位用量物品の表面は、印刷領域を含み得る。印刷領域は、物品の表面の約10%~約100%を網羅し得る。印刷区域は、インク、顔料、染料、青味剤、又はこれらの混合物を含み得る。印刷区域は、不透明、半透明、又は透明であってもよい。印刷領域は、単色又は複数の色を含み得る。印刷領域は、物品の1つを超える側面上に存在し得、説明の文章及び/又は図形を含み得る。繊維状水溶性単位用量の表面は、嫌悪剤、例えば、苦味剤を含み得る。好適な苦味剤としては、ナリンギン、スクロース八酢酸、塩酸キニーネ、安息香酸デナトニウム、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。任意の好適な濃度の嫌悪剤が使用され得る。好適な濃度としては、1~5000ppm、又は更には100~2500ppm、又は更には250~2000ppmが挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
繊維状水溶性単位用量は苦味剤として酸、好ましくはクエン酸及びその塩類を利用することができる。クエン酸は、以前に記載した苦味剤のうちのいずれか1つと組み合わせることができる。クエン酸は、物品内で苦味剤として使用可能である一方、異なる苦味剤を物品の表面で使用する。
【0063】
繊維状水溶性単位用量物品は、本明細書に記載の厚さ試験法によって測定したとき、0.01mm超、及び/又は0.05mm超、及び/又は0.1mm超、及び/又は約100mm以下、及び/又は約50mm以下、及び/又は約20mm以下、及び/又は約10mm以下、及び/又は約5mm以下、及び/又は約2mm以下、及び/又は約0.5mm以下、及び/又は約0.3mm以下の厚さを呈し得る。
【0064】
繊維状水溶性単位用量物品は、本明細書に記載の坪量試験法に従って測定したとき、約500グラム/m~約5,000グラム/m、又は約1,000グラム/m~約4,000グラム/m、又は約1,500グラム/m~約3,500グラム/m、又は約2,000グラム/m~約3,000グラム/mの坪量を有し得る。
【0065】
繊維状水溶性単位用量物品は、異なる領域、例えば坪量、密度、キャリパー(caliper)、及び/又は湿潤の特徴の異なる領域を呈し得る。繊維状水溶性単位用量物品は、端封点で圧縮され得る。繊維状水溶性単位用量物品は、その表面の1つ以上に織り目(texture)を含み得る。繊維状水溶性単位用量物品の表面は、非ランダムな反復パターンなどのパターンを含み得る。繊維状水溶性単位用量物品は、開口部を含み得る。繊維状水溶性単位用量物品は、構造体における繊維状要素の他の領域とは異なる、繊維状要素の離散領域を有する繊維状構造体を含み得る。繊維状水溶性単位用量物品は、そのまま使用され得るか、又は1つ以上の活性剤でコーティングされ得る。
【0066】
繊維状水溶性単位用量物品は、1つ以上のプライを含み得る。繊維状水溶性単位用量物品は、少なくとも2つの、及び/又は少なくとも3つの、及び/又は少なくとも4つの、及び/又は少なくとも5つのプライを含み得る。繊維状プライは、繊維状構造体であり得る。各プライは、1つ以上の層、例えば、1つ以上の繊維状要素層、1つ以上の粒子層、及び/又は1つ以上の繊維状要素/粒子混合層を含み得る。層は、封止され得る。特に、粒子層及び繊維状要素/粒子混合物層は、粒子が漏出しないように封止され得る。繊維状水溶性単位用量は、複数のプライを含み得、各プライは、1つの層が繊維状要素層であり、1つの層が繊維状要素/粒子混合層である2つの層を含み、複数のプライは一緒に封止される(例えば、縁部で)。封止は、粒子の漏出を阻止することに加えて、単位用量物品がその元の構造を維持するために役立ち得る。しかしながら、水溶性単位用量物品を水に添加した際、単位用量物品は溶解して、粒子を洗浄液中に放出する。
【0067】
繊維状水溶性単位用量は、任意の三次元構造体の形態であり得る。繊維状水溶性単位用量は穿孔されていることができる。物品はまた、異なる使用目的のために、切断される、又は、様々なサイズに形状化することができる。例えば、繊維状水溶性単位用量は、正方形、角が丸まった正方形、凧型、矩形、三角形、円、楕円、及びこれらの混合の形態であることができる。
【0068】
本明細書に開示される水溶性単位用量物品は、水溶性繊維状構造体及び1つ以上の粒子を含む。水溶性繊維状構造体は、複数の繊維状要素、例えば複数のフィラメントを含み得る。1つ以上の粒子、例えば1つ以上の活性剤含有粒子は、構造体全体にわたって分布し得る。水溶性単位用量物品は、相互に絡み合っているか、ないしは別の方法で互いに関連付けられて繊維状構造体を形成する複数の2つ以上及び/又は3つ以上の繊維状要素と、当該繊維状構造体全体にわたって分布し得る1つ以上の粒子と、を含み得る。
【0069】
繊維状水溶性単位用量物品は、水溶性繊維状構造体と、当該構造体全体にわたって分布する複数の粒子と、を含み得、当該水溶性繊維状構造体は、組成上の観点から、同一又は実質的に同一の複数の繊維状要素を含む。水溶性繊維状構造体は、2つ以上の異なる繊維状要素を含み得る。繊維状要素の相違点の非限定的な例は、直径、長さ、質感、形状、剛性、弾性の違いなどの物理的な違い;架橋レベル、溶解度、融点、Tg、活性剤、フィラメント形成材料、色、活性剤の濃度、坪量、フィラメント形成材料の濃度、繊維状要素上の任意コーティングの存在、生分解性であるか否か、疎水性であるか否か、接触角などの化学的な違い;意図される使用条件に繊維状要素が曝されたときに、繊維状要素がその物理的構造を失うかどうかの違い;意図される使用条件に繊維状要素が曝されたときに、繊維状要素の形態が変化するかどうかの違い;及び意図される使用条件に繊維状要素が曝されたときに、繊維状要素がその活性剤のうちの1つ以上を放出する速度の違いであり得る。繊維状構造体内の2つ以上の繊維状要素は、異なる活性剤を含み得る。これは、異なる活性剤、例えばアニオン性界面活性剤及びカチオン性ポリマーが、互いに不適合であり得る場合にあり得る。異なる繊維状要素を使用するとき、得られる構造体は、異なる湿潤、吸水、及び溶解度の特徴を呈し得る。
【0070】
繊維状構造体
繊維状構造体は、1つ以上の繊維状要素を含む。繊維状要素は、互いに関連付けられて構造体を形成することができる。繊維状構造体は、構造体内及び又は構造体上に粒子を含み得る。繊維状構造体は、均質、層状、単一、ゾーン形、又は他の点で望ましいとおりであってよく、異なる活性剤が様々な前述の部分を画定する。
【0071】
繊維状構造体は、1つ以上の層を含み得、層は、共にプライを形成する。
【0072】
繊維状要素
繊維状要素は、水溶性であり得る。繊維状要素は、1つ以上のフィラメント形成材料及び/又は界面活性剤などの1つ以上の活性剤を含み得る。1つ以上の活性剤は、意図される使用条件に繊維状要素及び/又は繊維状要素を含む繊維状構造体が曝されたときなどに、繊維状要素から放出可能であり得る。
【0073】
本発明の繊維状要素は、好適な紡糸方法操作(例えばメルトブロー、スパンボンディング、エレクトロスピニング及び/又は回転紡糸など)を介して、繊維状要素形成組成物とも称されるフィラメント形成組成物から紡糸され得る。
【0074】
本明細書で使用するとき、「フィラメント形成組成物」及び/又は「繊維状要素形成組成物」は、メルトブローイング及び/又はスパンボンディングなど、本発明の繊維状要素を製造するために好適な組成物を意味する。フィラメント形成組成物は、1つ以上のフィラメント形成材料であって、材料を繊維状要素へと紡糸するために好適なものにする特性を呈する材料を含む。フィラメント形成材料は、ポリマーを含み得る。1つ以上のフィラメント形成材料に加えて、フィラメント形成組成物は、1つ以上の活性剤、例えば、界面活性剤を含み得る。更に、フィラメント形成組成物は、1種以上の極性溶媒(水など)を含み得、この極性溶媒中に、1つ以上の、例えば全てのフィラメント形成材料及び/又は1つ以上の、例えば全ての活性剤が、繊維状要素(フィラメント形成組成物に由来するフィラメントなど)を紡糸する前に、溶解及び/又は分散される。
【0075】
フィラメント形成組成物は、2つ以上の異なるフィラメント形成材料を含み得る。したがって、繊維状要素は、単成分(1種のフィラメント形成材料)、及び/又は二成分などの多成分であり得る。2つ以上の異なるフィラメント形成材料をランダムに組み合わせて繊維状要素を形成し得る。2つ以上の異なるフィラメント形成材料は、シースコア型の二成分繊維状要素などのように規則正しく結合して繊維状要素を形成し得、これは、本開示の目的において、異なるフィラメント形成材料のランダムな混合物であるとは見なされない。二成分繊維状要素は、サイドバイサイド、シースコア、海島型などの任意の形態であり得る。
【0076】
繊維状要素は、アルキルアルコキシル化サルフェートを実質的に含んでいなくてよい。各繊維状要素は、乾燥繊維状要素基準で、約0重量%、又は約0.1重量%、又は約5重量%、又は約10重量%、又は約15重量%、又は約20重量%、又は約25重量%、又は約30重量%、又は約35重量%、又は約40重量%~約0.2重量%、又は約1重量%、又は約5重量%、又は約10重量%、又は約15重量%、又は約20重量%、又は約25重量%、又は約30重量%、又は約35重量%、又は約40重量%、又は約50重量%のアルキルアルコキシル化サルフェートを含み得る。繊維状要素の各々におけるアルキルアルコキシル化サルフェートの量は、その加工安定性及びフィルム溶解性に影響を及ぼさないように十分に少量である。アルキルアルコキシル化サルフェートは、水に溶解すると、特定の濃度範囲、例えば30~60重量%で高度に粘稠な六角の相を経ることがあり、その結果、ゲル状物質が生じる。したがって、繊維状要素に相当量組み込まれた場合、アルキルアルコキシル化サルフェートは、繊維状水溶性単位用量の水への溶解を著しく減速させ、更により悪いことには、後で溶解していない固体をもたらし得る。それに対応して、このような界面活性剤の大部分は、粒子に配合される。
【0077】
繊維状要素は各々、少なくとも1つのフィラメント形成材料及び活性剤、好ましくは界面活性剤を含有し得る。界面活性剤は比較的低い親水性を有し得るが、その理由は、このような界面活性剤は、希釈されたときに粘稠なゲル様の六方晶相を形成する可能性が低いためである。フィラメントの形成においてこのような界面活性剤を使用することにより、洗浄中のゲル形成を有効に低減することができ、ひいては、溶解がより速くなり得、洗浄における残渣が少なくなるか又はなくなり得る。界面活性剤は、例えば、非アルコキシル化C~C20直鎖状又は分岐状アルキルサルフェート(AS)、C~C20直鎖状アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。界面活性剤は、C~C20直鎖状アルキルベンゼンスルホネート(LAS)であり得る。LAS界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、市販の直鎖状アルキルベンゼンをスルホン化することによって容易に入手することができる。使用することができる例示的なC~C20直鎖状アルキルベンゼンスルホネートとしては、C~C20直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウムの塩、例えば、C11~C18又はC11~C14直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム、カリウム、マグネシウム、及び/又はアンモニウムの塩が挙げられる。C12直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩又はカリウム塩、例えば、C12直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、即ち、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを、第1の界面活性剤として使用され得る。
【0078】
繊維状要素は、乾燥繊維状要素基準及び/又は乾燥繊維状構造体基準で少なくとも約5重量%、及び/又は少なくとも約10重量%、及び/又は少なくとも約15重量%、及び/又は少なくとも約20重量%、及び/又は約80重量%未満、及び/又は約75重量%未満、及び/又は約65重量%未満、及び/又は約60重量%未満、及び/又は約55重量%未満、及び/又は約50重量%未満、及び/又は約45重量%未満、及び/又は約40重量%未満、及び/又は約35重量%未満、及び/又は約30重量%未満、及び/又は約25重量%未満のフィラメント形成材料と、乾燥繊維状要素基準及び/又は乾燥繊維状構造体基準で約20重量%超、及び/又は少なくとも約35重量%、及び/又は少なくとも約40重量%、及び/又は少なくとも約45重量%、及び/又は少なくとも約50重量%、及び/又は少なくとも約55重量%、及び/又は少なくとも約60重量%、及び/又は少なくとも約65重量%、及び/又は少なくとも約70重量%、及び/又は約95重量%未満、及び/又は約90重量%未満、及び/又は約85重量%未満、及び/又は約80重量%未満、及び/又は約75重量%未満の活性剤、好ましくは界面活性剤と、を含み得る。繊維状要素は、乾燥繊維状要素基準及び/又は乾燥繊維状構造体基準で約80重量%超の界面活性剤を含み得る。
【0079】
好ましくは、各繊維状要素は、十分に高い総界面活性剤含有量、例えば、乾燥繊維状要素基準及び/又は乾燥繊維状構造体基準で少なくとも約30重量%、又は少なくとも約40重量%、又は少なくとも約50重量%、又は少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%の第1の界面活性剤を特徴とし得る。
【0080】
繊維状要素中に存在するフィラメント形成材料の総濃度は、乾燥繊維状要素基準及び/又は乾燥繊維状構造体基準で約5重量%~約80重量%未満であり得、繊維状要素中に存在する界面活性剤の総濃度は、乾燥繊維状要素基準及び/又は乾燥繊維状構造体基準で約20重量%超~約95重量%であり得る。
【0081】
繊維状要素の1つ以上は、他のアニオン性界面活性剤(即ち、AS及びLAS以外)、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの追加の界面活性剤を含み得る。
【0082】
他の好適なアニオン性界面活性剤としては、C~C20直鎖状又は分岐状アルキルスルホネート、C~C20直鎖状又は分岐状アルキルカルボキシレート、C~C20直鎖状又は分岐状アルキルホスフェート、C~C20直鎖状又は分岐状アルキルホスホネート、C~C20アルキルN-メチルグルコースアミド、C~C20メチルエステルスルホネート(MES)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0083】
好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化脂肪族アルコールが挙げられる。非イオン性界面活性剤は、式R(OCOHのエトキシル化アルコール及びエトキシル化アルキルフェノールから選択され得、式中、Rは、約8個~約15個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素ラジカル、及びアルキル基が約8個~約12個の炭素原子を含有するアルキルフェニルラジカルからなる群から選択され、nの平均値は、約5~約15である。本明細書で有用な非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、C~C18アルキルエトキシレート、例えば、Shell製のNEODOL(登録商標)非イオン性界面活性剤、アルコキシレート単位がエチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、又はこれらの混合物であり得る、C~C12アルキルフェノールアルコキシレート、C12~C18アルコール、及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーとのC~C12アルキルフェノール縮合物、例えば、BASF製のPluronic(登録商標);C14~C22中鎖分岐状アルコール、BA;C14~C22中鎖分岐状アルキルアルコキシレート(BAEx、式中、xは1~30である);アルキル多糖類。具体的にはアルキルポリグリコシド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、並びにエーテル末端処理ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。好適な非イオン性洗浄性界面活性剤としては、アルキルポリグルコシド及びアルキルアルコキシル化アルコールも挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤としては更に、商標名Lutensol(登録商標)としてBASFから販売されているものも挙げられる。
【0084】
カチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、四級アンモニウム界面活性剤が挙げられ、これは26個以下の炭素原子を有し得、アルコキシレート四級アンモニウム(AQA)界面活性剤;ジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム;ジメチルヒドロキシエチルラウリルアンモニウムクロリド;ポリアミンカチオン性界面活性剤;カチオン性エステル界面活性剤;及びアミノ界面活性剤、例えば、アミドプロピルジメチルアミン(APA)が挙げられる。好適なカチオン性洗浄性界面活性剤としてはまた、アルキルピリジニウム化合物、アルキル四級アンモニウム化合物、アルキル四級ホスホニウム化合物、アルキル三級スルホニウム化合物、及びこれらの混合物も挙げられる。
【0085】
好適なカチオン性洗浄性界面活性剤は、以下の一般式を有する、四級アンモニウム化合物であり、
(R)(R)(R)(R)N
式中、Rは、直鎖状又は分岐状、置換又は非置換のC6~18アルキル又はアルケニル部分であり、R及びRは、独立して、メチル又はエチル部分から選択され、Rは、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル又はヒドロキシエチル部分であり、Xは、電荷的中性を提供するアニオンであり、好適なアニオンとしては、例えばクロリドのようなハロゲン化物、硫酸塩、及びスルホン酸塩である。好適なカチオン性洗浄性界面活性剤は、モノ-C6~18アルキルモノ-ヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロリドである。非常に好適なカチオン性洗浄性界面活性剤は、モノ-C8~10アルキルモノ-ヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロリド、モノ-C10~12アルキルモノ-ヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロリド、及びモノ-C10アルキルモノ-ヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロリドである。
【0086】
双性イオン性界面活性剤の好適な例としては、複素環式二級及び三級アミンの誘導体を含む、二級及び三級アミンの誘導体;四級アンモニウム、四級ホスホニウム、又は三級スルホニウム化合物の誘導体;アルキルジメチルベタイン、ココジメチルアミドプロピルベタイン、並びにスルホ及びヒドロキシベタインを含むベタイン;C~C18(例えば、C12~C18)アミンオキシド;N-アルキル-N,N-ジメチルアミノ-1-プロパンスルホネート(アルキル基はC~C18であり得る)が挙げられる。
【0087】
好適な両性界面活性剤としては、二級若しくは三級アミンの脂肪族誘導体、又は脂肪族基が直鎖状若しくは分岐状であり得、脂肪族置換基のうちの1つが少なくとも約8個の炭素原子若しくは約8個~約18個の炭素原子を含有し、脂肪族置換基のうちの少なくとも1つがアニオン性水可溶化基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェートを含有する、複素環式二級及び三級アミンの脂肪族誘導体が挙げられる。好適な両性界面活性剤としては、サルコシネート、グリシナート、タウリネート、及びこれらの混合物も挙げられる。
【0088】
繊維状要素は、アニオン性界面活性剤のみを含有する界面活性剤系、例えば、単一のアニオン性界面活性剤又は2つ以上の異なるアニオン性界面活性剤の組み合わせのいずれかを含み得る。代替的に、繊維状要素は、例えば、1つ以上のアニオン性界面活性剤と1つ以上の非イオン性界面活性剤との組み合わせ、又は1つ以上のアニオン性界面活性剤と1つ以上の双性イオン性界面活性剤との組み合わせ、又は1つ以上のアニオン性界面活性剤と1つ以上の両性界面活性剤との組み合わせ、又は1つ以上のアニオン性界面活性剤と1つ以上のカチオン性界面活性剤との組み合わせ、又は上記の種類の界面活性剤の全て(即ち、アニオン性、非イオン性、両性、及びカチオン性)の組み合わせを含有する複合界面活性剤系を含み得る。
【0089】
一般に、繊維状要素は、長さが平均直径を大きく上回る、例えば、長さと平均直径との比が少なくとも約10である細長い微粒子である。繊維状要素は、フィラメント又は繊維であり得る。フィラメントは、繊維よりも相対的に長い。フィラメントは、約5.08cm(2インチ)以上、及び/又は約7.62cm(3インチ)以上、及び/又は約10.16cm(4インチ)以上、及び/又は約15.24cm(6インチ)以上の長さを有し得る。繊維は、約5.08cm(2インチ)未満、及び/又は約3.81cm(1.5インチ)未満、及び/又は約2.54cm(1インチ)未満の長さを有し得る。
【0090】
1つ以上のフィラメント形成材料及び活性剤は、約2.0以下、及び/又は約1.85以下、及び/又は約1.7未満、及び/又は約1.6未満、及び/又は約1.5未満、及び/又は約1.3未満、及び/又は約1.2未満、及び/又は約1未満、及び/又は約0.7未満、及び/又は約0.5未満、及び/又は約0.4未満、及び/又は約0.3未満、及び/又は約0.1超、及び/又は約0.15超、及び/又は約0.2超の、活性剤に対するフィラメント形成材料の合計濃度の重量比で繊維状要素中に存在し得る。1つ以上のフィラメント形成材料及び活性剤は、約0.2~約0.7の活性剤に対するフィラメント形成材料の合計濃度の重量比で繊維状要素中に存在し得る。
【0091】
繊維状要素は、乾燥繊維状要素基準及び/又は乾燥繊維状構造体基準で約10重量%~約80重量%未満のフィラメント形成材料、例えばポリビニルアルコールポリマー、デンプンポリマー、及び/又はカルボキシメチルセルロースポリマーと、乾燥繊維状要素基準及び/又は乾燥繊維状構造体基準で約20重量%超~約90重量%の活性剤、例えば、界面活性剤と、を含み得る。繊維状要素は、可塑剤(例えば、グリセリン)及び/又は更なるpH調整剤(例えば、クエン酸)を更に含み得る。繊維状要素は、約2.0以下の、活性剤に対するフィラメント形成材料の重量比を有し得る。フィラメント形成材料は、ポリビニルアルコール、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、及び他の好適なポリマー、特にヒドロキシル含有ポリマー及びこれらの誘導体からなる群から選択され得る。フィラメント形成材料は、約100,000g/モル~約3,000,000g/モルの重量平均分子量の範囲であり得る。この範囲では、フィラメント形成材料は、繊維作製方法において繊維の細径化が阻害されるほど弾性ではないように、伸長レオロジーを提供し得ると考えられる。
【0092】
1つ以上の活性剤は、意図される使用条件に繊維状要素及び/又は繊維状要素を含む繊維状構造体が曝されたときに、放出可能であり得る及び/又は放出され得る。繊維状要素中の1つ以上の活性剤は、界面活性剤、有機ポリマー化合物、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0093】
繊維状要素は、本明細書に記載の直径試験法に従って測定したとき、約300μm未満、及び/又は約75μm未満、及び/又は約50μm未満、及び/又は約25μm未満、及び/又は約10μm未満、及び/又は約5μm未満、及び/又は約1μm未満の直径を呈し得る。繊維状要素は、本明細書に記載の直径試験法に従って測定したとき、約1μm超の直径を呈し得る。繊維状要素の直径を利用して、繊維状要素中に存在する1つ以上の活性剤の放出速度、及び/又は繊維状要素の物理的構造の劣化及び/又は変化の速度を制御することができる。
【0094】
繊維状要素は、互いに適合性又は不適合である2つ以上の異なる活性剤を含み得る。繊維状要素は、繊維状要素内の活性剤、及び繊維状要素の外面上の活性剤、例えば繊維状要素の活性剤コーティングを含み得る。繊維状要素の外面上の活性剤は、繊維状要素内に存在する活性剤と同じであってもよく、又はこれと異なっていてもよい。異なる場合、活性剤は互いに相溶性又は非相溶性であってもよい。1つ以上の活性剤は、繊維状要素全体に均一に分布又は実質的に均一に分布され得る。1つ以上の活性剤は、繊維状要素内に離散領域として分布され得る。
【0095】
活性剤
本明細書に記載の繊維状水溶性単位用量は、1つ以上の活性剤を含有し得る。活性薬剤は、繊維状要素中に、異なる粒子の形態で、粒子の形態で若しくは粒子に一体化され、又は、物品中にプレミックスとして、存在することができる。プレミックスは、例えば、水性吸収剤と組み合わされた活性剤のスラリーであり得る。
【0096】
活性剤は、活性剤酸の形態としての酸、又は酸として存在することができる。使用に好適な酸の例としては、単独又は組み合わせのいずれかでの、酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、カルボキシメチルオキシマロン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、安息香酸、ギ酸、グルタル酸、グルコン酸、ヒドロキシエチルイミド二酢酸、イミノ二酢酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、オキシ二酢酸、オキシジコハク酸、コハク酸、スルファミン酸、酒石酸、酒石二コハク酸、酒石モノコハク酸、これらの塩類又はこれらの混合物からなる群から選択される有機酸が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、酸は、クエン酸、乳酸、酢酸、及び/又は酒石酸であり、より好ましくは、クエン酸である。
【0097】
特定の態様では、酸は、コーティングを含む。コーティングは、活性剤の早すぎる溶解を防止するために役立つことができる。好ましい酸はクエン酸であり、好ましいコーティングとしては、マルトデキストリン、ワックス、クエン酸塩、硫酸塩、ゼオライト、二酸化ケイ素などの固化防止剤、又は他の乾燥剤が挙げられる。好ましい組み合わせとしては、マルトデキストリンでコーティングされたクエン酸(商標名Citric Acid DCで入手可能)、クエン酸塩でコーティングされたクエン酸(商標名CITROCOAT(登録商標)Nで入手可能)、又は二酸化ケイ素でコーティングされたクエン酸(商標名Citric Acid S40で入手可能)が挙げられる。
【0098】
活性剤は、繊維状水溶性単位用量物品の約5重量%~約90重量%、好ましくは約10重量%~約80重量%、好ましくは約15重量%~約75重量%、好ましくは約40重量%~約70重量%、好ましくは約60重量%~約70重量%、例えば、繊維状水溶性単位用量物品の重量の20重量%、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量%、70重量%、75重量%、又は80重量%などの量で、繊維状水溶性単位用量に組み込むことができる。活性剤は、異なる粒子、封入粒子として、スラリー中の粒子として、繊維の一部として、又は、これらの混合物として、組み込まれることができる。
【0099】
繊維状水溶性単位用量は、1つ以上の更なる有機酸を含むことができる。追加の有機酸は、有機カルボン酸又はポリカルボン酸の形態であり得る。使用され得る有機酸の例としては、酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、安息香酸、カルボキシメチルオキシマロン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、ギ酸、グリコール酸、安息香酸、グルコン酸、グルタル酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、オキシ二酢酸、オキシジコハク酸、コハク酸、スルファミン酸、酒石酸、酒石二コハク酸、酒石モノコハク酸、これらの塩類、又はこれらの混合物が挙げられる。いくつかの態様では、組成物は、クエン酸などの洗剤ビルダとしても機能し得る有機酸を含む。
【0100】
水溶性単位用量は、約1.0~約5.0のpKaを有する酸を更に含むことができる。このpKaの範囲内にある好適な酸は、CRC Handbook of Chemistry及びPhysics,99th edition,Taylor&Francisにおけるものを見出すことができるが、これらに限定されない。
【0101】
有機酸は、水溶性又は水混和性の酸であり得る。いくつかの態様では、有機酸は、少なくとも約10gの酸/100mLの水、又は少なくとも約30gの酸/100mLの水、又は少なくとも約50gの酸/100mLの水、又は少なくとも約70gの酸/100mLの水、又は少なくとも約85g/100mLの水の、20℃の水への溶解度を有する。いくつかの態様では、組成物は、脂肪酸を実質的に含まない。
【0102】
有機酸は、低重量酸、例えば、210g/モル未満の分子量を有する酸であり得る。いくつかの態様では、有機酸は、9個以下の炭素原子、代替的に6個以下の炭素原子を有する。洗剤組成物中の有機酸は、4個以下の炭素原子、又は3個以下の炭素原子、又は3個未満の炭素原子を有し得る。3個未満の炭素原子を有する有機酸の具体例としては、ギ酸及び酢酸が挙げられる。
【0103】
図1は、第1のプライ10及び第1のプライ10に関連付けられている第2のプライ15を示し、第1のプライ10及び第2のプライ15は各々、複数の繊維状要素30、この場合フィラメントと、複数の粒子32(活性剤、及び本明細書においてはクエン酸の形態)と、を含む。第2のプライ15では、粒子32は、x軸、y軸、及びz軸にランダムに分散しており、第1のプライでは、粒子32はポケット内にある。
【0104】
図2は、繊維状水溶性単位用量60の斜視図である。
【0105】
図3は線3-3に沿って撮影した、図2の繊維状水溶性単位用量物品の例の断面図を示すマイクロCTスキャン画像である。繊維状水溶性単位用量は、繊維状要素層と、繊維状要素/粒子混合層とを有する。繊維状水溶性単位用量は、複数の繊維状要素30、この場合フィラメントと、複数の粒子32と、を含む。多プライの多層物品は、粒子が漏出しないように縁部64で封止される。物品の外面は、繊維状要素層である。図3に示すように、粒子32は繊維間でアグロメレートを形成せず、個別の粒子として確認することができる。
【0106】
図4は、図3の一部の拡大図62である。図4に示すように、繊維状水溶性単位用量60の封止縁部64は、1つ以上のクエン酸の粒子32を含む。
【0107】
柔軟仕上げ剤は従来、すすぎ液のpHを下げために緩衝化されない。そのために、当業者は、クエン酸を含む繊維状水溶性単位用量を使用することで、後述する酸性布地処理組成物と共に使用したときと比較して、より効率的な染み除去を有することを予想するであろう。
【0108】
布地処理組成物
布地処理組成物は、2018年11月7日に出願された、米国特許出願第62/756,672号(最初の発明者はDelaney,Sarah Ann)に記載されているものといった、酸性布地処理組成物であり得る。参照により本明細書に組み込まれる。
【0109】
.以下でより詳細に記載するように、組成物は、酢酸を含み得、酢酸は、酢の形態であり得る。酢酸は、有機酸系の一部であり得る。組成物は、標的とする布地にクリーニング、柔軟性、及び/又は真新しさといった効果を提供し得る。例えば、酢酸及び/又は他の有機酸は、布地上に積み上がり得る無機質堆積物、特に、硬水中で洗浄されるものを除去することができ、改善された柔軟性がもたらされると考えられている。
【0110】
布地処理組成物は液体組成物である。液体組成物は、比較的低い粘度、更には、水の粘度と同様であることができる。消費者は、純度、自然さ、及び/又は簡潔性との関連により、このような低粘度組成物を所望する場合がある。組成物は、約1~約200、又は~約150、又は~約100、又は~約75cps、又は~約50cps、又は~約30cps、又は~約20cps、又は~約15cps、又は~約10cpsの粘度を特徴とし得る。本明細書で使用する場合、粘度は、以下の試験方法のセクションに記載される方法により測定される。
【0111】
後述する布地処理組成物は、酸性組成物である。本開示の布地処理組成物は、7未満、又は約6未満、又は約5未満、又は約4未満、又は約3未満のpHを特徴とし得る。本開示の布地処理組成物は、約1、又は約1.5、又は約2~約6、又は~約5、又は~約4、又は~約3、又は~約2.5のpHを特徴とし得る。組成物は、約2~約4、又は~約3のpHを有し得る。
【0112】
後述する有機酸に加えて、組成物は、更なるpH調整剤、例えば緩衝剤、及び/又は中和剤、例えば腐食材料(例えばNaOH)を含むことができる。
【0113】
本開示の組成物は、予備酸性度測定により同定することができる。理論に束縛されるものではないが、予備酸性度測定は、組成物の酸性化力、又は純水若しくは蒸留水とは対照的に、高希釈度で水道水に添加したときに、組成物が標的酸性洗浄又はすすぎpHを提供する能力の最良の尺度であることが判明している。予備酸性度は、未希釈製品pHに加えて、配合された有機酸の量、並びにいくつかの態様では、他の緩衝剤によって制御され得る。本開示の組成物は、少なくとも約1、又は少なくとも約3、又は少なくとも約5の、pH4.0に対する予備酸性度を有し得る。記載の組成物は、約3~約10、又は約4~約7の、pH4.0に対する予備酸性度を有し得る。本明細書で使用するとき、「予備酸性度」は、4.0のpHを得るために必要な製品100g当たりのNaOHのグラムを指す。予備酸性度測定は、本明細書で使用するとき、標準化されたNaOH溶液を使用して、製品の1%蒸留水溶液のpH4.00の終点への滴定(標準的な温度及び圧力における)に基づく。
【0114】
本開示の洗剤組成物は、実質的に透明であり得る。このような組成物は、消費者に対して純度及び/又は天然起源であること(及び結果的に、合成成分を欠いていること)を示し得る。組成物は、410~800ナノメートル、又は570~690ナノメートルの波長において、1センチメートルのキュベットを用いると、少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%の光の透過率(%T)を特徴とし得、ここで、組成物は、染料を実質的に含まない。本開示の目的において、可視光範囲内の一波長が、50%超の透過率を有する限り、これは実質的に透明/半透明であると見なされる。
【0115】
開示した組成物は、22℃で等方性であり得る。本明細書で使用するとき、「等方性」は、透明な混合物が、染料の非存在下において、Beckman DU分光光度計を用いて標準的な路長10mmのキュベットを介して測定された、570nmの波長で50%超の透過率(%)を有することを意味する。透過率は、以下の試験方法の章に記載される方法に従って判定される。
【0116】
代替的に、この組成物の透明度は、可視光波長(約410~800nm)で0.3未満の吸光率を有するとして測定され得、この値は、上記のキュベット及び波長を用いたときの少なくとも約50%の透過率に相当する。
【0117】
布地処理組成物は、単相中に存在し得る。組成物は、以下の試験方法の章で提示される、安定性法に従うと、安定であり得る。
【0118】
有機酸
布地処理組成物は、1つ以上の有機酸を含み得る。布地処理組成物は有機酸系を含み得、この系は、1つ以上の有機酸を含み得る。組成物は、少なくとも2つの有機酸を含み得る。有機酸系は、少なくとも酢酸、及び第2の有機酸、例えば、クエン酸を含み得る。本開示の有機酸は、約80ダルトン未満の分子量を有し得る。
【0119】
布地処理組成物は、組成物の約1重量%~約40重量%の、有機酸系を含み得る。有機酸系は、布地処理組成物の重量に対して、約1%、又は約2%、又は約3%、又は約5%、又は約10%、又は約15%、又は約20%~約40%、又は~約35%、又は~約30%、又は~約25%、又は~約20%の量で存在し得る。
【0120】
布地処理組成物は酢酸を含み得る。酢酸は、特定の残留物を布地から除去し、布地を一層きれい、及び/又は柔軟にするために役立つと考えられている。酢酸は、組成物の重量に対して、約0.05%、又は約0.1%、又は約0.15%、又は約0.2%~約5%、又は~約3%、又は~約2%、又は~約1%、又は~約0.5%、又は~約0.3%の量で存在し得る。
【0121】
酢酸は、酢として提供され得る。本開示の布地処理組成物は、酢を含み得る。酢は、組成物の重量に対して、約0.5%、又は約1%、又は約1.5%、又は約2%~約20%、又は~約15%、又は~約10%、又は~約5%、又は~約4%、又は~約3%の量で存在し得る。家庭用キッチンにおける使用に好適な酢は、典型的には、酢の約4重量%~約5重量%の酢を含むが、より濃縮された形態も利用可能であり得る。
【0122】
酢酸の深刻な臭気によって、比較的少量の酢酸及び/又は酢が所望され得るが、特定の最小量が依然として、性能効果を付与するために所望される場合がある。ホワイトビネガーは、典型的には、約4%~約5%の酢酸を含有するが、本開示の組成物は、それより比較的少量の酢酸を含み得る。酢酸又は酢の量が少ない場合、組成物の性能は、第2の有機酸、例えばクエン酸を添加することで改善され得る。
【0123】
本開示の布地処理組成物及び/又は有機酸系は、酢酸/酢に加えて、少なくとも第2の有機酸を含み得る。好適な第2の有機酸としては、クエン酸、乳酸、アジピン酸、アスパラギン酸、カルボキシメチルオキシマロン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、グルタル酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、オキシ二酢酸、オキシジコハク酸、コハク酸、スルファミン酸、酒石酸、酒石二コハク酸、酒石モノコハク酸、又はこれらの混合物を挙げられ得る。布地処理組成物は、クエン酸を含み得る。使用中にビルダとしても機能することができる第2の有機酸、例えば、クエン酸を選択することが、好ましい場合がある。
【0124】
第2の有機酸は、酢酸よりも多量に存在し得る。第2の有機酸は、布地処理組成物中に、布地処理組成物の重量に対して、約1%、又は約2%、又は約3%、又は約5%、又は約10%、又は約15%、又は約20%~約40%、又は~約35%、又は~約30%、又は~約25%、又は~約20%の量で存在し得る。酢酸及び第2の有機酸、例えば、クエン酸は、約1:300、又は約1:250、又は約1:225、又は約1:200~約1:1、又は~約1:10、又は~約1:50、又は~約1:100の重量比で存在し得る。望ましくない臭気を最小限に抑えながら性能を改善するために、酢酸と比較して、比較的多量の第2の有機酸を有することが望ましい場合がある。
【0125】
芳香材料
布地処理組成物は、芳香材料を含み得る。芳香材料を添加して、液体製品組成物、処理液、及び/又は、組成物で処理した布地に、審美的に心地よい芳香を付与する。本開示の組成物は、組成物の約0.1重量%~約20重量%、又は約0.2重量%~約10重量%、又は約0.3重量%~約5重量%の界面活性剤系を含み得る。
【0126】
芳香材料の非限定例としては、アルデヒド、ケトン、エステルなどが挙げられるが、これらに限定されない。他の例としては、様々な天然抽出物及び天然エキスが挙げられ、これらは、オレンジ油、レモン油、バラ抽出物、ラベンダー、ムスク、パチョリ、バルサムエキス、ビャクダン油、パイン油、シーダーなどの成分の複雑な混合物を含むことができる。最終的な香料は、そのような成分の非常に複雑な混合物を含むことができる。
【0127】
実施例用の試験組成物:
以下の試験では、単独で又は組み合わせでの、本明細書に記載する複数の洗剤、すすぎ液、及び濃縮酸送達源を比較する。具体的には、酸すすぎ液(9 Elements Rinse)及び本発明の濃縮酸送達システムの両方を用いる際の、9 elementsの低pHフォーミュラ洗剤、中pH(8.5のpH)のフォーミュラ洗剤、及びPlatinum Advanced Shirt&Laundry Detergentの使用。
【0128】
【表1】
【0129】
9 Elementsの洗剤組成物は、2018年11月7日に出願された、米国特許出願第62/756,855号(最初に記載された発明者の名前はDelaney,Sarah Ann)に更に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0130】
Platinum Advanced Shirt&Laundry Detergentは、KY 41042 USA、FlorenceのSuite 110、8145 Holton Driveに位置するメーカーのFabritec International,Inc.(記載の電話番号は(859)781-8200)製の、製品番号:8930である。
【0131】
以下の組成物:クエン酸、酢(6%酢酸)、水酸化ナトリウム、1,2-プロパンジオール、香料、及び脱イオン水を含む、9 Elementsのすすぎ液。9 Elementsのすすぎ液は、2018年11月7日に出願された、米国特許出願第62/756,672号(最初の発明者はDelaney,Sarah Ann)に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0132】
上述の濃縮酸送達システムは、本開示に従った以下の組成を有する、下表により例示される。
【0133】
【表2】
LASは、Stepan(Northfield,Illinois,USA)又はHuntsman Corpによって供給されている、平均脂肪族炭素鎖長C11~C12を有する直鎖アルキルベンゼンスルホネートである。HLASは、酸形態である。
ASは、Stepan(Northfield,Illinois,USA)によって供給されているC12~14サルフェート、及び/又は中鎖分岐状アルキルサルフェートである。
PEG-PVAcポリマーは、ポリエチレンオキシド主鎖及び複数のポリ酢酸ビニル側鎖を有する、ポリ酢酸ビニルグラフト化ポリエチレンオキシドコポリマーである。ポリエチレンオキシド骨格鎖の分子量は、約6000であり、ポリエチレンオキシドのポリ酢酸ビニルに対する重量比は、約40~60であり、50のエチレンオキシド単位当たり1個以下のグラフト点である。BASF(Ludwigshafen,Germany)より販売される。
エトキシル化ポリエチレンイミン(PE20)は、-NH当たり20のエトキシレート基を有する、600g/モル分子量のポリエチレンイミンコアである。BASF(Ludwigshafen,Germany)より販売される。
シトロコート(NF5000)は、Jungbunzlauer(Basel,Switzerland)から入手可能である。
PVOH及びCelvol(登録商標)は、Dallas Texas所在のSekisui Specialty Chemicals America,LLCから入手可能である。
【0134】
pHの測定
本明細書において特に明記しない限り、組成物のpHは、20±2℃の組成物の未希釈pHとして定義される。pHを±0.01pH単位まで測定することができる任意の計測器が好適である。Orion meters(Thermo Scientific,Clintinpark-Keppekouter,Ninovesteenweg 198,9320 Erembodegem-Aalst,Belgium)又は等価物が、許容可能な計器である。pH計は、カロメル又は銀/塩化銀基準を有する好適なガラス電極を備えていなければならない。例としては、Mettler DB 115が挙げられる。電極は、製造業者が推奨する電解質溶液中で保管する必要がある。pHは、pHメーター製造業者の標準的な手順に従って測定される。更に、pHアセンブリを設定し較正するには、製造業者の指示に従うべきである。
【0135】
【表3】
【0136】
上記表に示すように、水のpHを、各サンプルについて測定した。次いで、pH測定を、洗浄サイクルまで約1分、洗浄サイクルまで約3分、洗浄サイクルまで約5分、すすぎサイクルまで約1分、及び、すすぎサイクルまで約2分を含む、様々な段階で行った。全ての測定は水、洗浄液、又はすすぎ液のみで行った。布地は機械の中に存在しなかった。
【0137】
理論に束縛されるものではないが、すすぎサイクルのpHを、5.3のpHを下回るように、例えば3~5.3のpH、4~5のpH、又は4.5~4.9のpHまで下げることにより、洗浄及びすすぎサイクルの洗浄効率を改善可能であるということが見出されている。これは、酸を含む活性物質を有する、1つ以上の繊維状水溶性単位用量物品を利用する方法により達成することができる。下表に示すように、繊維状水溶性単位用量を添加することにより、低pHすすぎ組成物と組み合わせたときに、すすぎサイクルのpHが、5より下まで下がる。理論に束縛されるものではないが、高pH洗剤、続いて低pHすすぎ組成物及び水溶性繊維状単位用量物品を用いることにより、マスタードなどの高pHの染みを効率的に除去しながら、茶などの低pHの染みを更に除去することができると考えられている。以下のpH曲線及び染みのデータに示すように、pHすすぎ組成物を使用することがなくても、この染み除去の組み合わせを達成することができる。
【0138】
理論に束縛されるものではないが、すすぎサイクルにおいて、5を下回るpHレベルに安全に到達することにより、低pHすすぎ組成物を、水溶性繊維状単位用量物品と組み合わせることにより、より効率的に染みを除去することができるということが見出されている。すすぎ液引き出し空間の容量の量の制限、及び、液体柔軟剤中の酸濃度の制限により、水溶性単位用量物品を使用することなく、5.5を下回るpHの目標すすぎサイクルを達成することはできない。上記表及び以下の染みのデータに示すように、繊維状水溶性単位用量を添加することにより、特定の染みの集まりに対して、染み除去の効能を著しく増加させる、新規のpHレベルを達成することが可能となる。
【0139】
着色汚れ除去
染み除去の試験は、家庭での洗濯において、染み除去性能を評価するためのASTM4265-14規格ガイドにより提供される案内に沿って、Front Loader HEマシンにおいて実施する。22個の染みを含有する綿CW120の、技術的な染み見本を購入した。染み見本は、ガロン硬度当たり7グレインを使用し、86Fでの通常サイクルを選択し、下表に列挙する、対応する洗剤組成物の各々を使用して、従来の北米式洗浄機(Whirlpool(登録商標))で洗浄した。標準的な前面充填式HE洗濯機の容積は、およそ18リットルであることに注意されたい。画像解析を使用して、各染みを染みの付いていない布地の対照例と比較した。ソフトウエアは得られる画像を標準の色値に変換し、通常使用されるマクベス色保持チャートに基づいてそれらを基準値と比較し、各染みに色値を割り当てた(染みレベル)。各々の8つの複製を作製した。次いで、染み除去指数を以下に示す式に従って計算した。
【0140】
見本からの染み除去は、次のように測定された。
【0141】
【数1】
ΔEinitial=洗浄前の染みレベル
ΔEwashed=洗浄後の染みレベル
【0142】
染みの除去
実施例。9-Elementsすすぎ配合物の上部に、9-Elements PowerTabを添加することにより、既に低pHとなったすすぎ環境において、すすぎ液のpHを下げる効果
本実施例は、9-Elementsのクエン酸液体すすぎ配合物の上部で、すすぎ液に9-Elements PowerTabクエン酸配合物(濃縮酸送達源)を添加することによって達成された、改善された染み除去の効能を示し、これにより、すすぎ液のみと比較して、優れた染み洗浄が可能となる。過剰の酸を洗濯サイクルのすすぎ工程に添加すると、クエン酸が、すすぎ液中でビルダスカベンジャ金属として作用する能力によって、金属感受性の染みの除去が、サイクルの洗浄部分を超えて継続することが可能となる。
【0143】
様々な洗剤の文脈における、酸すすぎ液のみの影響と、これらの同じ類似の文脈における、9 Elementsすすぎ液及び9 Elements PowerTab(濃縮酸送達源)と比較して評価するために、53mLの酸すすぎ液配合物、又は、酸すすぎ液と1つのPowerTabを組み合わせたもの(53mL)をそれぞれ、すすぎ液に添加した。結果を下表に示す:
【0144】
【表4】
【0145】
上記表に示すように、濃縮酸送達源をすすぎサイクルに添加することにより、染み除去の効能の著しい増加が得られる。Δは、95%信頼区間においてHSD(Honestly Significant Difference)よりも大きい。
【0146】
【表5】
【0147】
上記表に示すように、濃縮酸送達源をすすぎサイクルに添加することにより、染み除去の効能の著しい増加が得られる。Δは、95%信頼区間においてHSDよりも大きい。
【0148】
【表6】
【0149】
上記表に示すように、濃縮酸送達源をすすぎサイクルに添加することにより、染み除去の効能の著しい増加が得られる。Δは、95%信頼区間において、HSDよりも大きい。
【0150】
表a/b/cに示すように、PowerTab配合物を、既に低pHとなったすすぎ液(9 Elementsの液体すすぎ液添加の添加により到達)に添加することにより、即ち、豆乳染みにおける染み除去の増加が可能となる。洗剤の洗浄中組成物に応じて、9 Elementsすすぎ液の上部に、PowerTabを更に含むことにより、95%信頼区間における、茶、動物の血液、又はチョコレートソースの染みなどの他の染み除去の改善が可能となる。
【0151】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0152】
相互参照される又は関連する任意の特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとは見なされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとは見なされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0153】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1
図2
図3
図4