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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】有機化合物
(51)【国際特許分類】
   C11B 9/00 20060101AFI20231219BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
C11B9/00 V
C11B9/00 L
C11D3/50
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021565863
(86)(22)【出願日】2019-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-29
(86)【国際出願番号】 EP2019061708
(87)【国際公開番号】W WO2020224767
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バウムガートナー,コリンネ
(72)【発明者】
【氏名】フラックスマン,フェリクス
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼット,ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】ゼレネイ,ヴェロニカ,マグダレナ
【審査官】早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2001/035768(WO,A1)
【文献】特表2005-511710(JP,A)
【文献】特表2016-522279(JP,A)
【文献】特表2018-507298(JP,A)
【文献】特表2010-530373(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104761442(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104844431(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
A61K
C11B9/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表される化合物
【化1】
式中、点線の1つは、炭素-炭素結合とともに二重結合を表し、他の2つの点線の各々は、炭素-炭素結合とともに単結合を表す
を含む、経口ケア製品ではない洗浄剤またはファブリックコンディショナー
【請求項2】
請求項1に定義される式(I)で表される化合物および式(III)で表される化合物を含む、経口ケア製品ではない洗浄剤またはファブリックコンディショナー
【化2】
式中、点線は、シクロヘキセン環の各々のアルファ-、ベータ-またはデルタ-位の1つに位置する二重結合を表す。
【請求項3】
式(I)で表される化合物が、エチルS-(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタン-2-イル)システイナートであり、式(III)で表される化合物が、エチルN,S-ビス(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタン-2-イル)システイナートであることを特徴とする、請求項2に記載の経口ケア製品ではない洗浄剤またはファブリックコンディショナー
【請求項4】
式(IV)で表される化合物をさらに含む、請求項2または3に記載の経口ケア製品ではない洗浄剤またはファブリックコンディショナー
【化3】
式中、点線は、シクロヘキセン環の各々のアルファ-、ベータ-またはデルタ-位の1つに位置する二重結合を表す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御された様式において周囲にフレグラント化合物を放出することができる化合物の具体的なクラスに関する。本発明は、それらの産生のためのプロセス、およびそれらを含む消費者製品にも関連する。とりわけ、本発明は、ダマスコンを放出する前駆体に関する。
【背景技術】
【0002】
ダマスコン
【化1】
【0003】
夫々、1-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-2’-エン-1’-イル)ブタ-2-エン-1-オン、1-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-1’-エン-1’-イル)ブタ-2-エン-1-オンおよび1-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタ-2-エン-1-オンは、精油に含まれる所望のフレグランス成分のファミリーである。それらは、頻繁に香水において使用される。
【0004】
ダマスコン前駆体、すなわち、基本的に分子量が大きいためにそれ自体は本質的に無臭であるが、特定の状況下では分解して所望の時期にダマスコンを放出する化合物を提供することに関心がある。
以下に説明する式(I)で表される化合物が、自発的な空気酸化によるダマスコンの放出のための前駆体として機能することが今や見いだされた。
【0005】
同様の化合物は、国際公開WO01/35768から知られており、ここでは、ダマスコンを包含する、特定のカルボニル化合物を、システインと反応させ、フレーバー付与製品を提供する。しかしながら、これらの化合物は、前駆体ではなく、一体化したフレーバー付与材料である。
【0006】
よって、一側面において、式(I)で表される化合物の使用であって、
【化2】

自発的な空気酸化によって、式(II)のダマスコン
【化3】

式中、点線の1つは、炭素-炭素結合とともに二重結合を表し、他の2つの点線の各々は、炭素-炭素結合とともに単結合を表す、
を発生するための前駆体としての前記使用を提供する。
【0007】
好ましい一態様において、式(I)で表される化合物は、C3’およびC4’の間の点線が、炭素-炭素結合とともに二重結合を表す化合物である(すなわち式(I)で表される化合物は、エチルS-(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタン-2-イル)システイナートである)。
【0008】
開裂ステップに繋がる活性化条件は、分子酸素の存在を含む。空気中の酸素の濃度は、開裂生成物が環境大気において、例として嗅覚またはヘッドスペース試料のGC-MS分析によって、検出することができるように、式(I)で表される化合物を開裂するために充分である。
【0009】
式(I)で表される化合物は、環境大気にさらされていない場合、すなわちそのまま、または匂い物質と併せて従来から使用される希釈剤、たとえばジプロピレングリコール(DPG)、イソプロピルミリスタート(IPM)、トリエチルシトラート(TEC)、ペンタン-1,2-ジオール、およびアルコール(例としてエタノール)、および既知の匂い物質に保存されている場合、極めて安定である。極めて良好な保管安定性が、消費者製品、たとえば洗浄剤、シャンプーおよびファブリックコンディショナーに組み込まれた場合に証明されている。よって式(I)で表される化合物は、フレグラント化合物の持続的な、および明確な放出が所望される、幅広い消費者製品において使用することができる。
【0010】
特定の一態様において、式(I)で表される化合物は、洗浄剤製品などの消費者製品において有用であり、これは、粉末および液体洗浄剤またはタブレット、パウチ/単一単位用量の形態の洗浄剤、石鹸およびランドリーバー、タンブルドライヤーシートを包含するファブリックコンディショナー、および香りブースター(液体または固体)を包含する。
【0011】
別の特定の態様において、式(I)で表される化合物は、化粧品製品において有用であり、これは以下を包含する(a)化粧品のスキンケア製品、とくにバス製品、皮膚洗浄およびクレンジング製品、スキンケア製品、アイメイクアップ、リップケア製品、ネイルケア製品、インティメートケア製品、フットケア製品;
(b)特定の効果を有する化粧品製品、とくにサンスクリーン、日焼け製品、色素沈着防止製品、デオドラント、制汗剤、除毛剤、シェービング製品;
(c)化粧品のデンタルケア製品、とくにデンタルおよびオーラルケア製品、歯のケア製品、歯科用補綴物用の洗浄剤、歯科用補綴物用の接着剤;および
(d)化粧品のヘアケア製品、とくに毛髪シャンプー、ヘアケア製品、毛髪-セット製品、毛髪-シェイピング製品、およびヘアカラーリング製品。
【0012】
よって、さらなる本発明の側面において、式(I)で表される化合物および製品ベースを含む消費者製品が提供される。
【0013】
本明細書に使用されるとき、「消費者製品ベース」は、クリーニング、柔軟、およびケアなどの特定の作用を果たすために消費者製品として使用するための組成物を意味する。かかる製品の例は、以下を包含する:高級香水、たとえばパヒューム、オードトワレ;ファブリックケア、家庭用製品、パーソナルケア製品、たとえば化粧品、ランドリーケア洗浄剤、リンスコンディショナー、パーソナルクレンジング組成物、食器洗い機用洗浄剤、表面クリーナー;ランドリー製品、例えば柔軟剤、漂白剤、洗浄剤;ボディケア製品、例としてシャンプー、シャワージェル;エアケア製品(好ましくは揮発性で大抵は心地よい匂いの化合物であって、有利にはごく少量でも不快な臭いをマスキングすることができる化合物を含有する製品を含む)。リビングエリア用のエアフレッシュナーは、とりわけ、パインニードル油、シトラス油、ユーカリ油、ラベンダー油などの天然および合成の精油を含む。
【0014】
一態様において、式(I)で表される化合物は、ランドリー製品において使用されるフレグランスの一部として特に有用であり、ここで、これらは、利用に際して、ダマスコンを放出することができる。しかしながら、ある条件下において匂いプロファイルは、わずかにプラスチックオフノートを持つ、フルーティーなベリーとして認識される。驚くべきことに、第2の化合物のクラスとの組み合わせた場合に、得られた組み合わせは、望ましくないプラスチックノートを本質的に有さない匂いプロファイルをもたらすことが見いだされた。
【0015】
よって、発明のさらなる側面において、式(I)で表される化合物の式(III)で表される化合物との組み合わせが提供される
【化4】

式中、点線は、シクロヘキセン環の各々のアルファ-、ベータ-またはデルタ-位の1つに位置する二重結合を表す。ビス-付加体であるこれらの化合物は、国際公開WO2008/154765において記載されている。
【0016】
式(I)で表される化合物の式(III)で表される化合物との組み合わせが、ランドリー製品において使用された場合、付着率が増強されることが見いだされた。
式(I)で表される化合物の式(III)で表される化合物との組み合わせが使用された場合、式(II)で表される化合物の連続的な放出が、(例えば、洗浄剤製品に使用した場合に、既に濡れたファブリック上で)初期段階から数日まで顕著であることも見いだされた。
【0017】
好ましい一態様において、式(III)で表される化合物は、点線がシクロヘキサン環の各々のデルタ位に位置する二重結合を表す化合物である(すなわち式(III)で表される化合物は、エチルN,S-ビス(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタン-2-イル)システイナート)である)。
【0018】
別の好ましい態様において、式(I)で表される化合物および式(III)で表される化合物の、1:40~40:1の比率(1:20~1:10、例として1:15~1:11の比率を包含する)における混合物を提供する。
【0019】
具体的な一態様において、エチルS-(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタン-2-イル)システイナートおよびエチルN,S-ビス(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタン-2-イル)システイナート)の、好ましくは1:40~40:1の比率(1:20~1:10、例として1:15~1:11の比率を包含する)の混合物を提供する。
【0020】
式(I)で表される化合物、または式(I)で表される化合物および式(III)で表される化合物の混合物は、単独で、または他のフレグランス成分および/またはそれらの前駆体と組み合わせて使用することができる。かかるフレグランス成分は、例えば、“Perfume and Flavor Chemicals”, S. Arctander, Ed., Vol. I & II, Allured Publishing Corporation, Carol Stream, USA, 2003に記載されており、天然または合成由来のフレグランス化合物および精油を包含する。
【0021】
以下のリストは、式(I)で表される化合物と組み合わせることができる既知のフレグランス成分を含む:
- 精油および抽出物、例として海狸香、コスタスルート油、オークモスアブソリュート、ゼラニウム油、ツリーモスアブソリュート、バジル油、果実油、たとえばベルガモット油およびマンダリン油、ミルテ油、パルマローザ油、パッチュリ油、プチグレン油、ジャスミン油、バラ油、白檀油、アブサン油、ラベンダー油および/またはイランイラン油;
【0022】
- アルコール、例として桂皮アルコール((E)-3-フェニルプロパ-2-エン-1-オール);cis-3-ヘキセノール((Z)-ヘキサ-3-エン-1-オール);シトロネロール(3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-オール);ジヒドロミルセノール(2,6-ジメチルオクタ-7-エン-2-オール);EbanolTM((E)-3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エン-1-イル)ペンタ-4-エン-2-オール);オイゲノール(4-アリル-2-メトキシフェノール);エチルリナロール((E)-3,7-ジメチルノナ-1,6-ジエン-3-オール);ファルネソール((2E,6Z)-3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエン-1-オール);ゲラニオール((E)-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン-1-オール);Super MuguetTM((E)-6-エチル-3-メチルオクタ-6-エン-1-オール);リナロール(3,7-ジメチルオクタ-1,6-ジエン-3-オール);メントール(2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサノール);Nerol(3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-オール);フェニルエチルアルコール(2-フェニルエタノール);RhodinolTM(3,7-ジメチルオクタ-6-エン-1-オール);SandaloreTM(3-メチル-5-(2,2,3-トリメチルシクロペンタ-3-エン-1-イル)ペンタン-2-オール);テルピネオール(2-(4-メチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)プロパン-2-オール);またはTimberolTM(1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール);2,4,7-トリメチルオクタ-2,6-ジエン-1-オール,および/または[1-メチル-2(5-メチルヘキサ-4-エン-2-イル)シクロプロピル]-メタノール;
【0023】
- アルデヒドおよびケトン、例としてアニスアルデヒド(4-メトキシベンズアルデヒド);アルファアミル桂皮アルデヒド(2-ベンジリデンヘプタナール);デルタダマスコン((2E)-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オン);GeorgywoodTM(1-(1,2,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタノン);Hydroxycitronellal(7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール);Iso E Super(R)(1-(2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロナフタレン-2-イル)エタノン);Isoraldeine(R)((E)-3-メチル-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-2-エン-1-イル)ブタ-3-エン-2-オン);Hedione(R)(メチル3-オキソ-2-ペンチルシクロペンタンアセタート);3-(4-イソブチル-2-メチルフェニル)プロパナール;マルトール;メチルセドリルケトン;メチルイオノン;ベルベノン;および/またはバニリン;
【0024】
- エーテルおよびアセタール、例としてAmbrox(R)(3a,6,6,9a-テトラメチル-2,4,5,5a,7,8,9,9b-オクタヒドロ-1H-ベンゾ[e][1]ベンゾフラン);ゲラニルメチルエーテル((2E)-1-メトキシ-3,7-ジメチルオクタ-2,6-ジエン);ローズオキシド(4-メチル-2-(2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)テトラヒドロ-2H-ピラン);および/またはSpirambrene (R)(2’,2’,3,7,7-ペンタメチルスピロ[ビシクロ[4.1.0]ヘプタン-2,5’-[1,3]ジオキサン]);
【0025】
- エステルおよびラクトン、例としてベンジルアセタート;セドリルアセタート((1S,6R,8aR)-1,4,4,6-テトラメチルオクタヒドロ-1H-5,8a-メタノアズレン-6-イルアセタート);γ-デカラクトン(6-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-2-オン);Helvetolide(R)(2-(1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)エトキシ)-2-メチルプロピルプロピオナート);γ-ウンデカラクトン(5-へプチルオキソラン-2-オン);および/またはベチベリルアセタート((4,8-ジメチル-2-プロパン-2-イリデン-3,3a,4,5,6,8a-ヘキサヒドロ-1H-アズレン-6-イル)アセタート);
【0026】
- 大員環、例としてAmbrettolide((Z)-オキサシクロへプタデカ-10-エン-2-オン);ブラシル酸エチレン(1,4-ジオキサシクロへプタデカン-5,17-ジオン);および/またはExaltolide(R)(16-オキサシクロヘキサデカン-1-オン);および
- ヘテロ環、例としてイソブチルキノリン(2-イソブチルキノリン)。
【0027】
具体的な一態様において、式(I)で表される化合物、または式(I)で表される化合物および式(III)で表される化合物の混合物は、他のフレグランス前駆体と組み合わせて使用してもよく、これは、1-ブトキシ-3-((1E,4Z)-へプタ-1,4-ジエン-1-イル)ベンゼン、(4-(ドデシルチオ)-4-メチルペンタン-2-オン、2-エトキシ-4-((1E,4Z)-へプタ-1,4-ジエン-1-イル)フェノール、およびエチル2-アセチル-4-メチルトリデカ-2-エノアートを包含する。
【0028】
式(I)で表される化合物、または式(I)で表される化合物および式(III)で表される化合物の混合物が、様々な消費者製品に組み込まれる量は、幅広く変化する。量は、式(I)で表される化合物、または式(I)で表される化合物および式(III)で表される化合物の混合物が添加される製品の性質、および所望される嗅覚効果に依存する。使用される量は、式(I)で表される化合物、または式(I)で表される化合物および式(III)で表される化合物の混合物が、調香用の共同成分、溶媒またはアジュバントと混和されて使用される場合、所定の組成物における共同成分にも依存する。典型的な濃度は、物品の0.0001~5重量パーセントである。一態様において、本発明の化合物は、ファブリックソフトナーにおいて、0.0001~2重量パーセントの量で用いてもよい。別の態様において、本発明の化合物は、洗浄剤において、0.0001~4重量パーセンの量で用いてもよい。別の態様において、本発明の化合物は、高級香水において、0.001~10重量パーセント(例として約5重量パーセントまで)、より好ましくは0.02および4重量パーセントの間の量で使用してもよい。しかしながら、これらの値は、一例として与えられたものにすぎず、熟達したパヒューマーは、より低濃度または高濃度でも効果を得たり、新規なアコードを生み出したりすることもできる。
【0029】
式(I)で表される化合物は、それ自体新規である。よって本発明のさらなる側面において、式(I)で表される化合物が提供される
【化5】

式中、点線の1つは、炭素-炭素結合とともに二重結合を表し、他の2つの点線の各々は、炭素-炭素結合とともに単結合を表す。
【0030】
式(I)で表される化合物は、好適な溶媒中、たとえば、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、エタノールまたは水、および有機または無機塩基、たとえばN-エチルジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、カリウムまたは炭酸ナトリウムまたは水酸化物の存在下で、ダマスコンにシステイン-エチルエステルを1,4付加することによって調製してもよい。
【0031】
チオエーテルの形成のための他の条件は、有機合成の当業者に既知のものを使用することができる。
式(I)で表される化合物および式(III)で表される化合物の混合物は、これらの各々を互いに独立して調製した後に、当該2つの化合物を所望される比率で混和することにより調製してもよい。代替的に、混合物はその場で、例として、「例」において記載したプロセスに従うことによって、調製することができる。
【0032】
次に、以下の非限定例を参照して、本発明をさらに説明する。これらの例は説明のみを目的としたものであり、当業者であればバリエーションおよび改変が可能であることを理解する。
【0033】
例1: エチルS-(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタン-2-イル)システイナート
250mL二首丸底フラスコにおいて、(E)-1-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタ-2-エン-1-オン(10g、52.0mmol)およびL-システインエチルエステル塩酸塩(15g、81mmol)を水(100ml)に入れた。室温での撹拌下、炭酸カリウム(8g、57.9mmol)を1回で添加し、その結果得られる混合物を終夜室温にて撹拌した。MTBE(50ml)を混合物に添加し、これを次いで追加の1時間撹拌した。混合物を分液漏斗に移し、相を分離し、水相をMTBE(2x50ml)で抽出した。有機相を組み合わせ、および水(3x50ml)、水/ブライン(20ml/30ml)およびブライン(50ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥し、ろ過し、溶媒を蒸発させ、エチルS-(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタン-2-イル)-L-システイナート(16.91g、49.5mmol、95%収率)を、4つの異性体の混合物として、および薄黄色油として得た。
【0034】
匂いの説明(24時間後のスメルストリップ上の10%DPG溶液のドライダウン): フルーティなベリー、煮たリンゴを連想させる、わずかにプラスチック、化学的
【0035】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz): δ = 5.57-5.51 (m, 1H), 5.44 (br d, J = 10 Hz, 1H), 4.20 (br q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.71-3.63 (m, 1H), 3.38-3.30 (m, 1H), 3.00-2.88 (m, 1.5H), 2.83-2.77 (m, 1H), 2.73-2.71 (m, 1H), 2.56-2.48 (m, 1.5H), 2.22 (d, J = 10.5 Hz, 0.5 H), 2.21 (d, J = 10.6 Hz, 0.5 H), 1.97 (br d, J = 17.6 Hz, 1H), 1.8 (br s, 2H), 1.70 (br d, J = 17.6 Hz, 1H), 1.32-1.30 (m, 3H), 1.29 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 1.01-0.87 (m, 9H) ppm.
【0036】
13C-NMR (CDCl3,100 MHz): δ = 211.91, 211.80, 173.76, 131.59, 131.57, 131.51, 131.48, 124.04, 123.92, 123.9, 62.67, 62.64, 62.59, 61.00, 60.97, 55.03, 54.91, 54.89, 54.82, 54.32, 54.30, 54.06, 41.53, 41.50, 36.07, 36.03, 35.93, 35.86, 34.71, 34.67, 34.41, 32.97, 32.94, 32.92, 32.87, 31.57, 31.52, 31.43, 31.38, 29.65, 29.61, 29.58, 21.76, 21.74, 21.56, 21.50, 20.55, 20.53, 19.73, 19.68 ppm.
【0037】
MS (EI, 70 eV): 341 ([M]+・, 2), 123 (67), 117 (69), 102 (65), 81 (51), 76 (49), 75 (80), 69 (100), 43 (60), 41 (58), 29 (56).
【0038】
例2: エチルS-(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタン-2-イル)システイナート(GR-87-1182-2)およびエチルN,S-ビス(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタン-2-イル)システイナート)
1500mLスルホン化フラスコにおいて、(E)-1-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタ-2-エン-1-オン(200g、1.04mol)およびL-システインエチルエステル塩酸塩(98.1g、0.53mol)を水(520ml)に入れた。室温での撹拌下、炭酸カリウム(72.16g、0.52mol)を1回で入れた。反応混合物を次いで終夜室温にて撹拌した。溶液を分液漏斗に移し、MTBE(100ml)を添加し、相を分離しおよび水相をMTBE(100ml)で抽出した。有機相を組み合わせ、およびブライン(250ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥し、ろ過し、溶媒を蒸発させ、S-(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタン-2-イル)-L-システイナートの異性体およびエチルN,S-ビス(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタン-2-イル)-L-システイナートの異性体の、1:14の比率の混合物を含有する透明な黄色油(255.39g、0.48mol、92%収率)を得た。
【0039】
得られた混合物の匂いの説明(24時間後のスメルストリップ上の10%DPG溶液のドライダウン): フルーティな、ダマスコン様、煮たリンゴ、クリーン、心地よい
【0040】
式IIで表される化合物を放出するための活性条件は、pHの変化、高温および空気への曝露の組み合わせを含む。引き起こす条件の組み合わせは、匂いのある式IIで表される化合物の、初期段階から(例として、洗浄剤適用における濡れたファブリックにおいて)数日までの連続的な放出の利点を有する。
【0041】
例3: エチルN-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタ-2-エン-2-イル)-S-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタン-2-イル)システイナート)
ステップ1: ディーンスタークを装着した250mlスルホン化フラスコにおいて、3-ヒドロキシ-1-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタ-2-エン-1-オンジケトン(5.1g、24.5mmol)およびL-システインエチルエステル塩酸塩(4.46g、24mmol)をトルエン(50ml)に懸濁させた。酢酸(10ml、175mmol)を添加し、混合物を終夜還流させた(Tbath=130℃)。混合物を分液漏斗に移し、および水/ブライン(20ml/30ml)の混合物を添加した。相を分離し、水相をMTBE(30ml)で洗浄した。有機相を組み合わせ、飽和NaCO(50ml)水溶液、ブライン/水(20ml/10ml)およびブライン(30ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥し、ろ過し、溶媒を蒸発させ、エチル-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタ-2-エン-2-イル)システイナート(8.3g、24.5、quant.収率)を、黄色油として得た。
【0042】
MS (EI, 70 eV): 339 ([M]+・, 4), 216 (94), 174 (100), 142 (65), 116 (42), 107 (27), 84 (41), 67 (36), 58 (39), 41 (33), 29 (67).
【0043】
ステップ2: エチル-(4-オキソ-4-(2,6,6-トリメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)ブタ-2-エン-2-イル)システイナート(3g、8.8mmol)を、100ml二首丸底フラスコに、(E)-1-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタ-2-エン-1-オン(1.7g、8.8mmol)と一緒に入れた。水(50ml)、THF(10ml)および炭酸カリウム(1.2g、8.7mmol)を添加し、混合物を室温にて3日間撹拌した。オレンジ色の混合物を分液漏斗に移し、相を分離し、水相をMTBE(2x30ml)で洗浄した。有機相を組み合わせ、および水/ブライン(2x20ml/10ml)およびブライン(20ml)で洗浄し、MgSO上で乾燥し、ろ過し、溶媒を蒸発させ黄色油を得、これを、さらにクロマトグラフィー(溶離液:ヘプタン/MTBE、8/2)で精製し、エチル-N-(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタ-2-エン-2-イル)-S-(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタン-2-イル)システイナート(1.54g、29mmol、32.8%収率)を、異性体の混合物および薄黄色油として得た。
【0044】
匂いの説明(24時間後のスメルストリップ上の10%DPG溶液のドライダウン): リコリス、甘い、ダマスコン.
【0045】
13C-NMR (CDCl3,100 MHz): δ = 211.98, 211.95, 211.93, 211.90, 211.89, 211.84, 200.41, 200.37, 200.35, 170.32, 170.30, 170.28, 170.18, 170.15, 159.97, 159.86, 159.78, 159.72, 159.64, 132.55, 132.51, 131.71, 131.61, 124.17, 124.02, 123.89, 123.85, 100.21, 100.14, 62.81, 62.78, 62.73, 62.72, 62.56, 61.65, 61.63, 56.92, 56,82, 56.76, 56.69, 56.66, 55.28, 55.20, 55.13, 55.09, 55.07, 55.05, 55.01, 42.12, 41.67, 41.65, 41.62, 35.33, 35.26, 35.20, 35.12, 34.35, 34.27, 34.16, 33.97, 33.87 33.82, 33.74, 33.06, 33.04, 32.69, 31.80, 31.67, 31.65, 31.56, 31.53, 31.05, 31.02, 30.04, 30.01, 29.74, 29.69, 28.94, 22.62, 21.98, 21.95, 21.82, 21.77, 21.75, 21.72, 21.59, 21.53, 21.19, 20.66, 20.63, 20.08, 20.04, 19.85, 19.80, 19.34, 19.31, 19.29, 19.27,14.05, 14.04 ppm.
【0046】
MS (EI, 70 eV): 408 ([C22H34NO4S]+, 2), 123 (100), 110 (36), 107 (32), 84 (44), 83 (34), 81 (95), 69 (54), 67 (43), 55 (27), 41 (26).
【0047】
【表1】
【0048】
化合物A: エチルS-(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタン-2-イル)システイナート
化合物B: エチルN,S-ビス(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタン-2-イル)システイナート)
【0049】
上記の匂いの説明からわかるように、式(I)で表される化合物を式(III)で表される化合物と組み合わせる場合、プラスチックノートが消えた。
【0050】
例5: 式(I)で表される化合物を含むフレグランス
【表2】
【0051】
上記のフレグランス組成物は、新鮮なフローラルグリーンアコードであり、新鮮なグリーンミュゲを連想させた。このフレグランスは、例としてヘビーデューティー液体洗浄剤(HDLD)に、0.1~1.5wt%(例として0.6wt%)で適用することができる。
【0052】
上記アコードのDPG45部を、エチルS-(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタン-2-イル)システイナートおよびエチルN,S-ビス(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタン-2-イル)システイナート(比率約1:14)の混合物で置き換えることにより、全体的な特徴が、直ちに柔らかくなり、よりフルーティであり、乾いたファブリックにおいて煮たリンゴを連想させる。新鮮なフルーティさは、経時的に明確に増強され、および数日間続いた。
【0053】
上記のアコードのDPG55部を、エチルS-(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタン-2-イル)システイナート(2.7部)、エチルN,S-ビス(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタン-2-イル)システイナート(37.3部)、および1つの追加の前駆体(4-(ドデシルチオ)-4-メチルペンタン-2-オン(15部))を含む混合物で置き換えることにより、極めて珍しく心地よい効果は、全体的なリフトおよび乾いたファブリックにおけるパヒュームの輝きである;この組み合わせで、新鮮なフルーティさが増強されたおよび持続的であるだけではなく、さらにまた増強されたボリュームおよびリフトも有した。
【0054】
例6: ヘビーデューティー液体洗浄剤適用におけるコットンにおける前駆体付着研究
0.2%wt/wtの例2の混合物を含有する液体洗浄剤組成物(4.0mg)を、香料を付していないヘビーデューティー液体洗浄剤(HDLD)ベースで調製した。この液体洗浄剤組成物を1Lの冷たい水道水に溶解して、前駆体を含有する洗浄液を製造した。洗浄液(100mL)を、150mLコニカルフラスコに、2枚のコットンパッド(10x10cm、それぞれの重量は2.5g)と一緒に入れた。フラスコをスクリューキャップで閉じ、恒温槽で200rpm、40℃で1時間振とうした。液体を捨て、コットンパッド(湿潤重量4.5g)を絞って、コニカルフラスコに戻した。75mLの冷たい水道水を添加した後、室温にて30分間振とうしてリンスした。コットンパッドを絞って、加速式溶媒抽出器(CHCN、60℃、1500psi)で抽出し、抽出液(15~20ml、正確に測定)をHPLCで定量分析に供した。上記プロセスを繰り返したが、タオルを環境大気中で24時間ライン乾燥させた後に抽出した点が異なる。
【0055】
上記2つのプロセスを、例2の混合物の代わりに、0.2%のδ-ダマスコンを含有する液体洗浄剤組成物で繰り返した。
コットンパッド抽出物中のδ-ダマスコンおよびその前駆体の定量化は、CHCN中の標準材料の外部校正(0.3~20ppm)を用いたHPLC-UVによって行った。結果を以下の表に示す。
【表3】
【0056】
結果は、ビス-およびモノ付加体の混合物を含有する例2の混合物が、湿潤段階で既に知覚できる量のδ-ダマスコンの放出をもたらすことを示す。24時間ラインドライ後、前駆体から送達されるδ-ダマスコンの量は、遊離δ-ダマスコンを使用した場合を超えた。加えて、前駆体の大量のリザーバーは、匂い物質の連続的な長続きする放出に利用できる。概して、ドライファブリックにおける結合したおよび前駆体から送達される遊離δ-ダマスコンの量は、遊離δ-ダマスコンを使用する場合よりも5倍を超えて大きい。結果は、遊離δ-ダマスコンおよび前駆体の組み合わせが有利な効果をもたらすことも示唆する。
【0057】
例7: ヘビーデューティー液体洗浄剤適用におけるコットンにおける前駆体付着研究
例6を、香料を付していないヘビーデューティー液体洗浄剤ベースを、香料を付していないファブリックコンディショナーベースで置き換えて、繰り返した。適用は、室温にて200rpmの振とうを20分間行い、その後、コットンパッドを絞り、ASE(加速溶媒抽出器)抽出するという単一サイクルである。
コットンパッド抽出物中のδ-ダマスコンおよびその前駆体の定量化は、CHCN中の標準物質の外部校正(0.3~20ppm)を用いたHPLC-UVによって行った。結果を以下の表に示す。
【表4】
【0058】
結果は、ビス-およびモノ付加体の混合物を含有する例2の混合物が、湿潤段階で既に知覚できる量のδ-ダマスコンの放出をもたらすことを示す。
24時間ラインドライ後、前駆体から送達されるδ-ダマスコンの量は、遊離δ-ダマスコンを使用した場合をわずかに超えた。概して、ウェットファブリックにおける結合したおよび前駆体から送達される遊離δ-ダマスコンの量は、遊離δ-ダマスコンを使用する場合よりも2.6倍高く、ドライファブリックにおいてよりも、25倍大きい。結果は、遊離δ-ダマスコンおよび前駆体の組み合わせが有利な効果をもたらすことも示唆する。
本発明は、以下に関する。
[1]
式(I)で表される化合物
【化6】
式中、点線の1つは、炭素-炭素結合とともに二重結合を表し、他の2つの点線の各々は、炭素-炭素結合とともに単結合を表す。
[2]
前記[1]に定義される式(I)で表される化合物および式(III)で表される化合物を含む混合物
【化7】
式中、点線は、シクロヘキセン環の各々のアルファ-、ベータ-またはデルタ-位の1つに位置する二重結合を表す。
[3]
混合物が、式(I)で表される化合物および式(II)で表される化合物を、1:40~40:1の比率で含むことを特徴とする、前記[2]に記載の混合物。
[4]
式(I)で表される化合物が、エチルS-(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタン-2-イル)システイナートであり、式(III)で表される化合物が、エチルN,S-ビス(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタン-2-イル)システイナートであることを特徴とする、前記[3]に記載の混合物。
[5]
式(IV)で表される化合物をさらに含む、前記[2]~[4]のいずれか一に記載の混合物。
【化8】
式中、点線は、シクロヘキセン環の各々のアルファ-、ベータ-またはデルタ-位の1つに位置する二重結合を表す。
[6]
式(IV)で表される化合物が、エチルN-(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタ-2-エン-2-イル)-S-(4-オキソ-4-(2’,6’,6’-トリメチルシクロヘキサ-3’-エン-1’-イル)ブタン-2-イル)システイナートである、前記[5]に記載の組成物。
[7]
式(I)で表される化合物の
【化9】
式(II)で表されるダマスコン
【化10】
を自発的な空気酸化によって発生するための前駆体としての使用、
式中、点線の1つは、炭素-炭素結合とともに二重結合を表し、他の2つの点線の各々は、炭素-炭素結合とともに単結合を表す。
[8]
式(II)で表される化合物を発生する方法であって、
【化11】
前記[1]に定義された式(I)で表される化合物を酸素に暴露することを特徴とする、前記方法
[9]
前記[1]に定義された式(I)で表される化合物または前記[2]~[6]のいずれか一に定義された混合物、および消費者製品ベースを含む消費者製品。
[10]
消費者製品が、食品製品、経口ケア製品、タバコ製品、菓子または医薬ではない、前記[9]に記載の製品。
[11]
消費者製品が、洗浄剤またはファブリックコンディショナーである、前記[10]に記載の製品。