IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニーの特許一覧

<>
  • 特許-洗浄製品 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】洗浄製品
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/04 20060101AFI20231219BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20231219BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20231219BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20231219BHJP
   C11D 1/75 20060101ALI20231219BHJP
   C11D 1/94 20060101ALI20231219BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20231219BHJP
   C11D 3/30 20060101ALI20231219BHJP
   C11D 3/43 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
C11D17/04
C11D1/14
C11D1/29
C11D1/72
C11D1/75
C11D1/94
C11D3/20
C11D3/30
C11D3/43
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022036029
(22)【出願日】2022-03-09
(62)【分割の表示】P 2019563476の分割
【原出願日】2018-06-18
(65)【公開番号】P2022078252
(43)【公開日】2022-05-24
【審査請求日】2022-03-09
(31)【優先権主張番号】17177275.9
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18153117.9
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ロスマニーノ、ロクサーヌ
(72)【発明者】
【氏名】デブレクゼニ、マーテ
【審査官】林 建二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0137745(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0015940(US,A1)
【文献】特開2008-074975(JP,A)
【文献】特表2000-516293(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0121655(US,A1)
【文献】国際公開第2017/074976(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0015946(US,A1)
【文献】特開2011-153233(JP,A)
【文献】特開2015-145445(JP,A)
【文献】特開2004-161940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00-19/00
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
C23G 1/00-5/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプレーディスペンサーと、噴霧及び発泡のための洗浄組成物とを含む食器手洗い用洗浄製品であって、前記組成物が、前記スプレーディスペンサー内に収容されており、前記組成物が、
i)前記組成物の7重量%~12重量%のアニオン性界面活性剤及び補助界面活性剤であって、前記補助界面活性剤が、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、アニオン性界面活性剤及び補助界面活性剤と、
ii)前記組成物の1重量%~15重量%の、平均して個のエトキシ基を含む直鎖C6アルコールエトキシレート非イオン性界面活性剤と、
を含み、
前記アニオン性界面活性剤及び前記補助界面活性剤と、前記直鎖C6アルコールエトキシレート非イオン界面活性剤との重量比が、3:1~1:1であり、前記組成物が、20℃で、8~13の未希釈pH範囲を有し、前記組成物が、本明細書で定義される方法を使用して測定したとき、20℃で、1mPa・s~50mPa・sのニュートン粘度を有し、前記アニオン性界面活性剤が、2~5の平均エトキシル化度を有するアルキルエトキシレートサルフェート、分枝状ヘキシルサルフェート、及びこれらの混合物の群から選択されるサルフェート界面活性剤を含む、食器手洗い用洗浄製品。
【請求項2】
前記アニオン性界面活性剤が、アルキルスルホサクシネートを含む、請求項1に記載の洗浄製品。
【請求項3】
前記アニオン性界面活性剤が、C12~C14の平均アルキル炭素鎖長及び2~5の平均エトキシル化度を有するアルキルエトキシレートサルフェートからなるサルフェート界面活性剤を含む、請求項1又は2に記載の洗浄製品。
【請求項4】
前記アニオン性界面活性剤及び前記補助界面活性剤が、5:1~1:5の重量比で存在する、請求項1~3のいずれか一項に記載の洗浄製品。
【請求項5】
前記補助界面活性剤が、アミンオキシド界面活性剤である、請求項1~のいずれか一項に記載の洗浄製品。
【請求項6】
前記組成物が、前記組成物の0.01重量%~5重量%の増粘剤を更に含む、請求項1~のいずれか一項に記載の洗浄製品。
【請求項7】
前記組成物が、以下:
i)
a)式(I):R1O(R2O)nR3(式中、R1は、直鎖若しくは分枝鎖C4、C5、若しくはC6アルキル又は置換若しくは無置換フェニルであり、R2は、エチル又はイソプロピルであり、R3は、水素又はメチルであり、nは、1、2、又は3である)、
b)式(II):R4O(R5O)nR6(式中、R4は、n-プロピル又はイソプロピルであり、R5は、イソプロピルであり、R6は、水素又はメチルであり、nは、1、2、又は3である)、及び
c)これらの混合物、
のグリコールエーテルからなる群から選択されるグリコールエーテル溶媒、
ii)
a)式(III):R1C=OOR2を有するモノエステル(式中、
R1は、直鎖又は分枝鎖C1~C4アルキルであり、
R2は、直鎖又は分枝鎖C2~C8アルキルである)、
b)式(IV):R1(C=OOR2)nを有するジ-又はトリ-エステル(式中、
R1は、飽和又は不飽和C2~C4アルキルであり、
R2は、独立して、直鎖又は分枝鎖C2~C8アルキルから選択され、
nは、2又は3である)、及び
c)安息香酸ベンジル、並びに
d)これらの混合物
からなる群から選択されるエステル溶媒、
iii)C4~C6直鎖モノアルコール、1つ以上のC1~C4分枝基を有する分枝鎖C4~C10モノアルコール、アルキルモノグリセロール、及びこれらの混合物からなる群から選択されるアルコール溶媒、
iv)C1~C3分枝鎖の直鎖モノアルコール、C1~C3ポリオール、及びこれらの混合物からなる群から選択されるアルコール溶媒、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択されるグリコール溶媒、
v)クメンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択されるヒドロトロープ、並びに
vi)これらの混合物
からなる群から選択される1つ以上の成分を更に含む、請求項1~のいずれか一項に記載の洗浄製品。
【請求項8】
前記組成物が、以下:
a.式(V)の環状洗浄アミン:
【化1】
(式中、Rのうちの2つは、NH2、(C1~C4)NH2、及びこれらの混合物からなる群から選択され、残りのRは、独立して、H、1~10個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル又はアルケニルから選択される)、
b.式(VI)、式(VII)、式(VIII)のポリエーテルアミン、若しくはこれらの混合物:
【化2】
(式中、R~R12のそれぞれは、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、又はアリールアルキルから選択され、R~Rのうちの少なくとも1つ及びR~R12のうちの少なくとも1つはHとは異なり、A~Aのそれぞれは、独立して、2~18個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキレンから選択され、Z~Zのそれぞれは、独立して、OH又はNHから選択され、Z~Zのうちの少なくとも1つ及びZ~Zのうちの少なくとも1つはNHであり、x+yの合計は、2~200の範囲内であり、x≧1かつy≧1であり、x+yの合計は、2~200の範囲内であり、x≧1かつy≧1である)、
【化3】
(式中、Rは、H又はC1~C6アルキル基から選択され、k、k、及びkのそれぞれは、独立して、0、1、2、3、4、5、又は6から選択され、A、A、A、A、A、及びAのそれぞれは、独立して、2~18個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝鎖アルキレン基、又はこれらの混合物から選択され、x≧1、y≧1、かつz≧1であり、x+y+zの合計は、3~100の範囲内であり、Z、Z、及びZのそれぞれは、独立して、NH又はOHから選択され、Z、Z、及びZのうちの少なくとも2つはNHであり、前記ポリエーテルアミンは、150~1000グラム/モルの重量平均分子量を有する)、
又はこれらの混合物、並びに、
c.式(IX)、式(X)、式(XI)のアミン、若しくはこれらの混合物:
【化4】
(式中、R、R、R、R、及びRは、独立して、-H、1~10個の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖、又は環状のアルキル又はアルケニルから選択され、n=0~3である)、又は
【化5】
(式中、R及びRは、独立して、-H、1~10個の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖、又は環状のアルキル又はアルケニルから選択され、Rは、3~10個の炭素を有する直鎖、分枝鎖、又は環状のアルキル又はアルケニルであり、Rは、3~6個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖アルキルであり、Rは、H、メチル、又はエチルであり、n=0~3である)、又は
【化6】
これらの混合物
からなる群から選択される洗浄アミンを更に含む、請求項1~のいずれか一項に記載の洗浄製品。
【請求項9】
前記組成物が、アルカノールアミンを更に含む、請求項1~のいずれか一項に記載の洗浄製品。
【請求項10】
前記組成物が、本明細書で定義される方法を使用して測定したとき、20℃で、1mPa・s~20mPa・sのニュートン粘度を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の洗浄製品。
【請求項11】
前記組成物が、本明細書で定義される方法を使用して測定したとき、20℃で、1mPa・s~50mPa・sの1000s-1における高剪断粘度、及び20℃で、100mPa・s~1,000mPa・sの0.1s-1における低剪断粘度を有するずり減粘レオロジープロファイルを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の洗浄製品。
【請求項12】
前記組成物が、20℃で、10~11.5の未希釈pH範囲を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の洗浄製品。
【請求項13】
pH10の組成物100mL当たりのNaOHのグラム数で表される前記組成物の予備アルカリ度が、0.1~0.3である、請求項1~12のいずれか一項に記載の洗浄製品。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の洗浄製品を使用して汚れた食器を洗浄する方法であって、
a)任意選択的に、前記汚れた食器を予め濡らす工程と、
b)前記洗浄組成物を前記汚れた食器に噴霧する工程と、
c)任意選択的に、所定の時間、前記汚れた食器に水を加える工程と、
d)任意選択的に、前記食器を擦り洗いする工程と、
e)前記食器をすすぐ工程と、を含み、
軽く汚れた及び/又はひどく汚れた食器を除去するためのものである、方法。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載の洗浄製品の使用であって、噴霧及び発泡のための洗浄組成物の刺痛感及び/又は刺激を実質的に低減するための、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄製品に関する。詳細には、本発明は、スプレーディスペンサーと洗浄組成物とから構成される洗浄製品に関する。より具体的には、本発明は、食器手洗いで使用するための洗浄組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食器手洗いは、シンクを水で満たし、食器洗浄洗剤を添加して石鹸溶液を作製し、汚れた食器を溶液に浸漬し、食器を擦り洗いし、すすいで、残りの汚れ及び発生した泡を除去することによって実施されている。この方法は、典型的には、汚れた食器を一度に全て洗浄することを含む。
【0003】
現在、一部のユーザは、食器がたまるまで待つのではなく、使い終わったらできるだけ早く食器を洗浄することを好む。この方法で一度に洗われるのは、1つの物品又は少ない数の物品である。これは、通常、洗浄用具(例えばスポンジ)を用いて流水下で実施され、したがって、ユーザは、スポンジに洗剤を供給する。この方法の課題は、洗浄される品目の数が少ない場合、洗剤が過剰に適用されるリスクがあることである。その結果として、食器及び洗浄用具をより多くすすぐことが必要になる。この方法に関連する別の問題点は、スポンジ内で洗剤を水と適切に混合するのに少し時間を要するので、洗浄プロセスの速度が落ちる場合があることである。
【0004】
この方法で食器を洗浄するより効率的な方法を見つけることが望ましい。例えば、汚れた食器にスプレー食器洗浄洗剤を直接塗布することは、このようにより迅速に洗浄するための1つの方法である。スプレー製品は、食器洗いプロセスの間に製品を直接かつ調節しながら適用できるために上記に述べた課題が軽減されることから消費者に大変好まれている。しかしながら、スプレー食器洗浄洗剤の大きな問題点は、噴霧時に表面から跳ね返る製品であり、これが消費者の皮膚、目、鼻及び/又は喉への刺激/刺痛感を引き起こすことがある。スプレー式食器洗い洗剤の別の問題点は、製品の過剰噴霧である。「過剰噴霧」とは、噴霧の際に細かな粒子が周辺大気に広がることを意味する。したがって、このような跳ね返り又は過剰噴霧によって製品の無駄及び/又は消費者が製品を吸い込むリスクの可能性が生じる場合がある。
【0005】
更に、食器にみられる汚れのレベル及び種類は、食器の用途に依存して大幅に変動する。食器は、軽く汚れている場合もあり、ひどく汚れている場合もある(すなわち、焼き付き、調理、及び/又は焦げ付き汚れなどの除去が困難な汚れ)。軽く汚れている物品を流水下で洗浄する場合、迅速かつ最小限の擦り洗い労力で洗浄を実施することが望ましい。理想的には、製品を適用し、次いで、直ちにすすいで、擦り洗いする必要をなくすか又は低減すべきである。物品がひどく汚れている場合、しつこく付着している汚れを軟化させることによって製品が洗浄作業を容易にすることが望ましい。短時間で軟化することが望ましい。汚れが本当に頑固な場合、洗浄前に品目を浸漬することが一般的な手法である。浸漬時間は、短くなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、良好な洗浄、具体的に言えば、軽く及び/又はひどく汚れた食器の良好な洗浄をもたらす、噴霧及び発泡に好適な洗浄組成物が依然として必要とされている。具体的に言えば、食器手洗いで使用するための洗浄組成物は、噴霧/発泡が容易であり、迅速にかつ長く持続する泡を供給し、かつすすぎが容易でなければならない。食器に噴霧されたとき、噴霧時に表面から跳ね返る製品及び/又は製品のスプレーしぶきに関連する欠点を最小限に抑える洗浄組成物も必要とされている。本発明の洗浄組成物は、具体的に言えば、洗浄を達成するのに必要な時間及び擦り洗い労力を低減することによって、洗浄、特に食器手洗い作業を容易にすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様によれば、洗浄製品が提供される。本洗浄製品は、あらゆる種類の表面の洗浄に好適であるが、好ましくは、製品は、食器手洗い用洗浄製品である。本洗浄製品は、スプレーディスペンサーと洗浄組成物とを含む。本洗浄組成物は、発泡組成物であり、噴霧に好適である。本洗浄組成物は、スプレーディスペンサーに収容されている。本発明の洗浄製品の「洗浄組成物」又は「組成物」は、本明細書では、時に「本発明の組成物」と称される。本発明の洗浄組成物は、
i)組成物の7重量%~12重量%の界面活性剤系であって、界面活性剤系がアニオン性界面活性剤及び補助界面活性剤を含み、補助界面活性剤が、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは両性界面活性剤である、界面活性剤系と、
ii)組成物の1重量%~15重量%、好ましくは1.5重量%~10重量%、より好ましくは2重量%~8重量%、最も好ましくは3重量%~7重量%の、C10以下の平均アルキル炭素鎖長を有する直鎖又は分枝鎖の低級アルコールアルコキシレート非イオン性界面活性剤、好ましくは、平均して3~7個のアルコキシ、好ましくはエトキシ(EO)基を含む、低級アルコールエトキシレート非イオン性界面活性剤又はその混合物、より好ましくは、平均して3~7個のEO、好ましくは4~6個のEO、より好ましくは5個のEOを含む直鎖C6アルコールエトキシレート非イオン性界面活性剤と、
を含み、
i)に記載の界面活性剤系は、ii)に記載の低級アルコールアルコキシレート非イオン性界面活性剤を除外し、かつ界面活性剤系及び低級アルコールアルコキシレート非イオン界面活性剤は、5:1~1:5、好ましくは5:1~1:1、より好ましくは3:1~1:1の重量比で存在する。
【0008】
別の態様では、本発明は、請求項に係る洗浄製品を使用して汚れた食器を洗浄する方法であって、
a)任意選択的に、汚れた食器を予め濡らす工程と、
b)洗浄組成物を汚れた食器に噴霧する工程と、
c)任意選択的に、所定の時間、好ましくは1秒間~30秒間、汚れた食器に水を加える工程と、
d)任意選択的に、食器を擦り洗いする工程と、
e)食器をすすぐ工程と、
を含み、
好ましくは、軽く汚れた及び/又はひどく汚れた食器、好ましくは軽く汚れた食器を除去するためのものである、方法を目的とする。
【0009】
別の態様では、本発明は、本発明に係る洗浄製品の使用であって、噴霧及び発泡に好適な洗浄組成物の刺痛感及び/又は刺激を実質的に低減するための、使用を目的とする。
【0010】
本発明の目的は、洗浄組成物が、軽く汚れた及び/又はひどく汚れた食器、好ましくは軽く汚れた食器の洗浄を含む、非常に良好な洗浄をもたらすことである。
【0011】
本発明の目的は、洗浄組成物が非常に迅速な洗浄を提供し、それによって、必要とされる消費者による擦り洗い労力を低減することである。したがって、本発明の洗浄製品は、水道水で食器を洗浄するのに特に適している。食器が軽くしか汚れていないとき、本発明の組成物は、少ない擦り洗いで又は擦り洗いなしに非常に良好な洗浄を提供する。単に組成物を噴霧し、続いて、水ですすぎ、任意選択的に小さな力の拭き動作によって支援することによって食器を洗浄することができる。
【0012】
ひどく汚れた食器の場合、本発明の洗浄製品は、製品を用いて食器を前処理するときに汚れの除去を促進するのに非常に役に立つ。前処理は、通常、汚れた食器に未希釈の製品を付けて放置することを含む。
【0013】
本発明の目的は、噴霧された洗浄組成物が、スプレーディスペンサーから噴霧されたときに、ユーザに対して実質的に非刺痛性及び/又は実質的に非刺激性であることである。
【0014】
本発明のこれらの特徴、態様、及び利点、並びに他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明から当業者には明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本明細書は、本発明について具体的に示し、明確に特許請求する「特許請求の範囲」で完結するが、本発明は添付の図の以下の説明から更に理解されると考えられる。添付の図において、同様の参照符号は同様の要素を識別するものである。
図1】本発明の組成物1及び比較組成物1~3についての実施例1aの着色染み除去試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
本明細書で使用するとき、請求項において使用される「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求される又は記載されるものの1つ以上を意味すると理解される。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「含む(comprising)」とは、特に言及したもの以外の工程及び成分を付加することができることを意味する。この用語は、「~からなる(consisting of)」及び「~から本質的になる(consisting essentially of)」という用語を包含する。本発明の組成物は、本明細書に記載される本発明の必須要素及び制限事項、並びに本明細書に記載されるあらゆる追加若しくは任意の成分、構成要素、工程、又は制限事項を含み、これらからなり、あるいは、これらから本質的になることができる。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「食器」には、非限定的な例として、セラミック、陶磁器、金属、ガラス、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど)及び木材で製造された調理器具及び食卓用食器類が含まれる。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「油汚れ」とは、少なくとも一部(すなわち、油汚れの少なくとも0.5重量%)が、飽和及び不飽和の油脂、好ましくは牛肉、豚肉、及び/又は鶏肉のような動物性原料に由来する油脂で構成された物質を意味する。
【0020】
用語「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含む(including)」とは、非限定的であることを意味する。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「スプレーディスペンサー」とは、組成物を収容するための筐体と、組成物を噴霧するための手段とを備える容器を意味する。好ましくは、噴霧手段は、トリガー噴霧器である。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「刺痛感」とは、ユーザが噴霧又は霧化された洗浄組成物と接触することによって生じる、皮膚、又は目、鼻若しくは喉の焼けるような、又は刺されるような感覚を意味する。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「実質的に非刺激性の」は、噴霧又は霧化された組成物と接触した際にユーザの皮膚、又は目、鼻若しくは喉に顕著な痒み感を誘発しない洗浄組成物のことを指す。例えば、この用語は、比較的、非涙液分泌性(すなわち、涙が出ない(non-tearing, tear-free))洗浄組成物のことを指す。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「実質的に非刺痛性の」は、噴霧又は霧化された組成物と接触した際にユーザに顕著な刺痛感を生じず、本明細書に述べられる方法によって測定される刺痛潜在値が最大2、好ましくは最大1であることを特徴とし得る洗浄組成物のことを指す。本明細書で使用するとき、用語「大幅に低減又は防止する」とは、洗浄組成物の成分がユーザの皮膚、又は目、鼻若しくは喉の刺痛感を(部分的に)緩和(例えば低減)することを意味する。
【0025】
本明細書に述べられ、かつ特許請求される、出願人らによる発明のパラメータのそれぞれの値を決定するには、本出願の試験方法の項に開示される試験方法が使用されなければならない点は理解されよう。
【0026】
本発明の全ての態様において、特にそうでない旨が具体的に述べられない限り、文脈より明らかであるように、全ての比率(%)は、全組成物の重量に基づくものである。特にそうでない旨が具体的に述べられない限り、全ての比は重量比であり、全ての測定は、特に指定しない限り25℃で行われる。
【0027】
洗浄製品
本発明の洗浄製品は、スプレーディスペンサーからの噴霧に好適な洗浄組成物を含み、それが適用された食器の表面に直接適用洗浄組成物を形成する。好ましくは、組成物は、更なる物理的(例えば手で擦る)、化学的、又は同様の介入を行う必要なく、適用された表面に泡を形成する。好ましくは、スプレーディスペンサーは溶媒噴射剤で加圧されておらず、噴霧手段はトリガーによって吐出されるタイプのものである。スプレーディスペンサーは、プレコンプレッションスプレヤー又は圧力調節弁を備えたエアロゾルスプレーとすることができ、いずれも当該技術分野において市販のものである。最大圧力を調節するためのバッファ機構を追加することができる適当なプレコンプレッションスプレヤーとしては、Afa Dispensing Group(Netherlands)により製造販売されるFlairosol(登録商標)スプレーディスペンサー、及び米国特許出願公開第2013/0112766号及び同第2012/0048959号に記載されるプレコンプレッショントリガースプレヤーが挙げられる。
【0028】
出願人らは、驚くべきことに、軽い汚れ及び/又は頑固な汚れの良好な洗浄を含む良好かつ迅速な洗浄をもたらし、食器を洗浄するために洗浄組成物を噴霧する場合に特に適している、噴霧可能な洗浄組成物を製剤化する新たな方法を見出した。発泡は、ユーザに洗浄を連想させる特性である。したがって、本発明の組成物は、組成物が洗浄を行っているというシグナルをユーザに送ることが重要である。
【0029】
また、出願人らは、驚くべきことに、高濃度の界面活性剤及び高濃度の有機脂洗浄溶媒を含有する噴霧可能な洗浄組成物が、噴霧時に表面から跳ね返った製品及び/又は製品のスプレーしぶきから、ユーザに対して刺激及び/又は刺痛感を引き起こす場合があることを見出した。理論に束縛されるものではないが、高濃度の界面活性剤を導入すると、表面張力、ひいてはスプレー粒径が減少すると考えられる。その結果、高濃度の界面活性剤は、エアゾール化を促進し、硬質面から跳ね返った製品及び製品のスプレーしぶきが、消費者による製品吸入のリスクを生じさせる。有機溶媒、特に制限された水溶性を有する有機溶媒を配合した場合、個々の溶媒分子が溶媒和球を形成し、皮膚と接触した際にこれらの噴霧された粒子内の水相から分離し、それによって局所的な刺激/刺痛感を引き起こすと考えられる。出願人らは、驚くべきことに、本発明に係る低級アルコールアルコキシレート非イオン性界面活性剤が、有機汚れ、特に着色有機汚れを洗浄すると同時に、有機脂洗浄溶媒と比較して、噴霧可能な組成物の刺痛感のリスクを低減することを見出した。本発明に係る低級アルコールアルコキシレート非イオン性界面活性剤から得られる混合界面活性剤溶媒特性は、局所的な溶媒球の形成を防ぐために十分に溶解した状態で化合物を維持しながら、着色汚れの抽出を可能にすると考えられる。更に、軽度に可溶性である有機脂洗浄溶媒は、洗浄組成物の物理的安定性プロファイル(すなわち、貯蔵時の相分離)に悪影響を及ぼすことも見出されている。本発明に係る低級アルコールアルコキシレート非イオン性界面活性剤を添加すると、組成物の物理的安定性プロファイルが改善されることも見出されており、これも同様にその混合界面活性剤溶媒特性に起因する可能性が高い。
【0030】
洗浄組成物は、好ましくは、食器手洗い用洗浄組成物であり、好ましくは液体形態である。
【0031】
具体的には、一態様では、本発明の組成物は、洗浄及び泡立ちの観点から非常に良好であることが判明している、アニオン性界面活性剤と少なくとも1つの更なる補助界面活性剤とを含む界面活性剤系を有する。本組成物は、スプレーパターンの観点からも非常に良好であることが見出されており、噴霧されたときにユーザに対して実質的に非刺痛性及び/又は実質的に非刺激性である。例えば、本発明の組成物の界面活性剤系がアニオン性界面活性剤及び補助界面活性剤を含むとき、小滴の存在(ひいては、吸入のリスク)が最小化される。「補助界面活性剤」とは、本明細書で使用するとき、アニオン性界面活性剤でも低級アルコールアルコキシレート非イオン性界面活性剤でもない界面活性剤を意味する。好ましくは、補助界面活性剤は、両性及び/又は双性イオン性界面活性剤、好ましくは、アミンオキシド及び/又はベタイン界面活性剤、最も好ましくは、アミンオキシド界面活性剤から選択される。
【0032】
好ましくは、組成物は、5:1~1:5、好ましくは5:1~1:1、より好ましくは3:1~1:1の重量比で存在する、界面活性剤系及び低級アルコールアルコキシレート非イオン界面活性剤を含む。理論に束縛されるものではないが、界面活性剤系は、洗浄及び泡生成に役立つと思われ、低級アルコールアルコキシレート非イオン性界面活性剤は、洗浄速度並びに泡の生成及び安定化に役立つが、刺痛は引き起こさないと思われると考えられる。
【0033】
好ましくは、アニオン性界面活性剤は、サルフェート界面活性剤又はアルキルスルホサクシネートである。好ましいサルフェート界面活性剤は、アルキルエトキシレートサルフェート界面活性剤又は分枝状短鎖アルキルサルフェート界面活性剤である。平均エトキシル化度が約2~約5、より好ましくは約3のアルキルエトキシル化サルフェートは、より低いエトキシル化度を有する他のエトキシレートアルキルサルフェート界面活性剤よりも洗浄及び洗浄速度の観点で良好な性能を発揮することが判明している。アルキルエトキシ化サルフェートアニオン性界面活性剤が混合物である場合、平均アルコキシル化度は、混合物の全成分のモル平均アルコキシル化度(すなわち、モル平均アルコキシル化度)である。モル平均アルコキシル化度の計算には、アルコキシレート基を有さないサルフェートアニオン性界面活性剤成分のモル数も含めなければならない。
【0034】
モル平均アルコキシル化度=(x1界面活性剤1のアルコキシル化度+x2界面活性剤2のアルコキシル化度+....)/(x1+x2+....)
式中、x1、x2、...は、混合物の各サルフェートアニオン性界面活性剤のモル数であり、アルコキシル化度は、各サルフェートアニオン性界面活性剤中のアルコキシ基の数である。
【0035】
「分枝状短鎖アルキルサルフェート界面活性剤」とは、本明細書では、直鎖アルキルサルフェート骨格鎖を有する界面活性剤であって、骨格鎖が、4~8個、好ましくは5~7個の炭素原子を含み、直鎖アルキルサルフェート骨格鎖におけるC1、C2、又はC3、好ましくはC2位が1つ以上のC1~C5、好ましくはC1~C3アルキル分枝基で置換されている、界面活性剤を意味する。典型的には、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、環状アルキル基及びこれらの混合物から選択される。単一又は複数のアルキル分枝が、本発明の組成物で使用されるサルフェートアニオン性界面活性剤を作製するために使用される出発アルコールのヒドロカルビル主鎖に存在する可能性がある。分枝状サルフェートアニオン性界面活性剤は、単一のアニオン性界面活性剤、又はアニオン性界面活性剤の混合物であり得る。単一の界面活性剤の場合、分枝の割合は、界面活性剤が誘導される元のアルコールにおいて分枝しているヒドロカルビル鎖の重量割合を指す。本明細書に用いるのに好ましい分枝状短鎖アルキルサルフェートは、分枝状ヘキシルサルフェート、より好ましくは、2-エチルヘキシルサルフェート及びその混合物である。本明細書において好ましいアルキルスルホサクシネートは、2-エチルヘキシルスルホサクシネートである。
【0036】
界面活性剤混合物の場合、分枝の割合は重量平均であり、以下の式:
分枝の重量平均(%)=[(x1アルコール1中の分枝状アルコール1の重量%+x2アルコール2中の分枝状アルコール2の重量%+....)/(x1+x2+....)]×100
(式中、x1、x2は、本発明の洗剤のアニオン性界面活性剤用の出発原料として使用したアルコールの全アルコール混合物中の各アルコールのグラム単位の重量である)に従って定義される。
【0037】
重量平均分枝度の計算には、分枝基を有しないアニオン性界面活性剤成分の重量も含めるべきである。界面活性剤系が分枝状アニオン性界面活性剤を含む場合、界面活性剤系は、界面活性剤系の少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも70重量%の分枝状アニオン性界面活性剤を含み、より好ましくは、分枝状アニオン性界面活性剤は、その50重量%超の、約2~約5の平均エトキシル化度及び好ましくは5%~40%の分枝率を有するアルキルエトキシル化サルフェートを含む。
【0038】
本明細書に用いるのに好適なサルフェート界面活性剤としては、C8~C18アルキル、好ましくは、C8~C18アルキルの50重量%超のC12~C14アルキル又はヒドロキシアルキル、サルフェート及び/又はエーテルサルフェートを含むC8~C18アルキルの水溶性塩が挙げられる。好適な対イオンとしては、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アルカノールアンモニウム、又はアンモニウム若しくは置換アンモニウムが挙げられるが、好ましくはナトリウムである。
【0039】
サルフェート界面活性剤は、C8~C18アルキルアルコキシサルフェート(AExS)(式中、好ましくは、xは1~30であり、アルコキシ基は、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、又は更により高級なアルコキシ基、及びこれらの混合物から選択され得る)から選択することができる。本明細書に用いるのに特に好ましいものは、平均アルキル炭素鎖長がC12~C14であり、かつ平均エトキシ化度が2~5、好ましくは3であるアルキルエトキシサルフェートである。
【0040】
様々な鎖長、エトキシル化度、及び分枝度のアルキルアルコキシサルフェートが市販されている。市販されているサルフェートとしては、Shell社製のNeodol(登録商標)アルコール、Sasol社製のLial-Isalchem(登録商標)及びSafol(登録商標)、Procter & Gamble Chemicals社製の天然アルコールをベースにしたものが挙げられる。
【0041】
好ましくは、少なくとも1つの更なる補助界面活性剤は、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、少なくとも1つの更なる補助界面活性剤は、ベタイン、好ましくはココアミドプロピルベタイン、スルホベタイン(INCIスルタイン)、好ましくはラウリルヒドロキシスルホベタイン、アミンオキシド、又はこれらの混合物から選択される。アミンオキシドは、本明細書に用いるのに好ましい更なる補助界面活性剤である。アミンオキシド界面活性剤は、好ましくは、直鎖又は分枝鎖アルキルアミンオキシド、直鎖又は分枝鎖アルキルアミドプロピルアミンオキシド、及びこれらの混合物、好ましくは、直鎖アルキルジメチルアミンオキシド、より好ましくは、直鎖C10アルキルジメチルアミンオキシド、直鎖C12~C14アルキルジメチルアミンオキシド、及びこれらの混合物、最も好ましくは、C12~C14アルキルジメチルアミンオキシドである。少なくとも1つの更なる補助界面活性剤は、製品の泡立ちに役立つと思われる。特に良好な性能を発揮する製品は、アニオン性界面活性剤及び少なくとも1つの更なる補助界面活性剤が、5:1~1:5、好ましくは3:1~1:1の重量比で存在するものである。アニオン性界面活性剤がアルコキシル化アルキルサルフェートを含む場合、好ましいアニオン性界面活性剤:少なくとも1つの更なる補助界面活性剤の重量比は、3:1~2:1である。アニオン性界面活性剤が短鎖分枝状アルキルサルフェート界面活性剤を含む場合、好ましいアニオン性界面活性剤:少なくとも1つの更なる補助界面活性剤の重量比は、2:1~1:1である。特に好ましいのは、更なる補助界面活性剤がアミンオキシドを含む組成物である。本発明のアニオン性界面活性剤は、強力な油脂洗浄に加えて良好な発泡性能、特に、組成物が補助界面活性剤としてアミンオキシド又はベタイン、好ましくは補助界面活性剤としてアミンオキシドを含む場合、噴霧時に直ちに発泡する性能をもたらすことが判明している。
【0042】
本発明に係る組成物はまた、組成物の1重量%~15重量%、好ましくは1.5重量%~10重量%、より好ましくは2重量%~8重量%、最も好ましくは3重量%~7重量%の、低級アルコールアルコキシレート非イオン界面活性剤から選択される非イオン界面活性剤、好ましくは、低級アルコールエトキシレート界面活性剤又はその混合物、より好ましくは、好ましくは平均して1~10個、好ましくは3~8個、好ましくは4~6個、最も好ましくは5個のEOを含むC6アルコールエトキシレート界面活性剤を含む。低級アルコールエトキシレート界面活性剤としては、平均アルキル炭素鎖長がC10以下であるアルコールエトキシレート界面活性剤が挙げられる。アルキル鎖は、直鎖状又は分枝鎖状であってよく、天然又は合成由来のアルコールに由来するものでよい。適当な非イオン性アルコールエトキシレート界面活性剤としては、Emulan(登録商標)HE50又はLutensol(登録商標)CS6250(BASF社より販売されるもの)などの市販の材料が挙げられる。
【0043】
本組成物は、好ましくは、組成物の0.01重量%~5重量%、好ましくは0.03重量%~3重量%、より好ましくは0.05重量%~1重量%、最も好ましくは0.07重量%~0.5重量%の増粘剤を更に含み、好ましくは、増粘剤は、ポリエチレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリビニルアルコール、多糖類、及びこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは多糖類、好ましくはキサンタンガムである。理論によって束縛されることを望むものではないが、これらの増粘剤は、刺痛感を更に低減する、及び/又は表面、特に垂直に配置された表面に対して組成物をより強く付着させると考えられる。
【0044】
本発明の組成物は、i)グリコールエーテル溶媒を更に含んでいてよい。好ましくは、組成物の1重量%~8重量%、好ましくは2重量%~7重量%のグリコールエーテル溶媒であって、
a)式(I):R1O(R2O)nR3(式中、R1は、直鎖若しくは分枝鎖C4、C5、若しくはC6アルキル又は置換若しくは無置換フェニルであり、R2は、エチル又はイソプロピルであり、R3は、水素又はメチルであり、nは、1、2、又は3である)及びその混合物、
b)式(II):R4O(R5O)nR6(式中、R4は、n-プロピル又はイソプロピルであり、R5は、イソプロピルであり、R6は、水素又はメチルであり、nは、1、2、又は3である)、並びに
c)これらの混合物
のグリコールエーテルからなる群から選択される、グリコールエーテル溶媒。
【0045】
本発明の製品のグリコールエーテルは、発泡を増進することができる。式(I)に係る好適なグリコールエーテル溶媒としては、エチレングリコールn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、トリエチレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、エチレングリコールn-ペンチルエーテル、ジエチレングリコールn-ペンチルエーテル、トリエチレングリコールn-ペンチルエーテル、プロピレングリコールn-ペンチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ペンチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ペンチルエーテル、エチレングリコールn-ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールn-ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールn-ヘキシルエーテル、プロピレングリコールn-ヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールn-ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールn-ヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールフェニルエーテル、トリエチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールフェニルエーテル、トリプロピレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、ジエチレングリコールベンジルエーテル、トリエチレングリコールベンジルエーテル、プロピレングリコールベンジルエーテル、ジプロピレングリコールベンジルエーテル、トリプロピレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソブチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルエーテル、トリエチレングリコールイソブチルエーテル、プロピレングリコールイソブチルエーテル、ジプロピレングリコールイソブチルエーテル、トリプロピレングリコールイソブチルエーテル、エチレングリコールイソペンチルエーテル、ジエチレングリコールイソペンチルエーテル、トリエチレングリコールイソペンチルエーテル、プロピレングリコールイソペンチルエーテル、ジプロピレングリコールイソペンチルエーテル、トリプロピレングリコールイソペンチルエーテル、エチレングリコールイソヘキシルエーテル、ジエチレングリコールイソヘキシルエーテル、トリエチレングリコールイソヘキシルエーテル、プロピレングリコールイソヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールイソヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールイソヘキシルエーテル、エチレングリコールn-ブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールn-ブチルメチルエーテルトリエチレングリコールn-ブチルメチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルメチルエーテル、エチレングリコールn-ペンチルメチルエーテル、ジエチレングリコールn-ペンチルメチルエーテル、トリエチレングリコールn-ペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールn-ペンチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ペンチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ペンチルメチルエーテル、エチレングリコールn-ヘキシルメチルエーテル、ジエチレングリコールn-ヘキシルメチルエーテル、トリエチレングリコールn-ヘキシルメチルエーテル、プロピレングリコールn-ヘキシルメチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ヘキシルメチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ヘキシルメチルエーテル、エチレングリコールフェニルメチルエーテル、ジエチレングリコールフェニルメチルエーテル、トリエチレングリコールフェニルメチルエーテル、プロピレングリコールフェニルメチルエーテル、ジプロピレングリコールフェニルメチルエーテル、トリプロピレングリコールフェニルメチルエーテル、エチレングリコールベンジルメチルエーテル、ジエチレングリコールベンジルメチルエーテル、トリエチレングリコールベンジルメチルエーテル、プロピレングリコールベンジルメチルエーテル、ジプロピレングリコールベンジルメチルエーテル、トリプロピレングリコールベンジルメチルエーテル、エチレングリコールイソブチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールイソブチルメチルエーテル、プロピレングリコールイソブチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールイソブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールイソブチルメチルエーテル、エチレングリコールイソペンチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソペンチルメチルエーテル、トリエチレングリコールイソペンチルメチルエーテル、プロピレングリコールイソペンチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールイソペンチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールイソペンチルメチルエーテル、エチレングリコールイソヘキシルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソヘキシルメチルエーテル、トリエチレングリコールイソヘキシルメチルエーテル、プロピレングリコールイソヘキシルメチルエーテル、ジプロピレングリコールイソヘキシルメチルエーテル、トリプロピレングリコールイソヘキシルメチルエーテル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0046】
式(I)に係る好ましいグリコールエーテル溶媒は、エチレングリコールn-ブチルエーテル、ジエチレングリコールn-ブチルエーテル、トリエチレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、及びこれらの混合物である。
【0047】
式(I)に係る最も好ましいグリコールエーテルは、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、及びこれらの混合物である。
【0048】
式(II)に係る好適なグリコールエーテル溶媒としては、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールイソプロピルエーテル、トリプロピレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルメチルエーテル、トリプロピレングリコールn-プロピルメチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールイソプロピルメチルエーテル、トリプロピレングリコールイソプロピルメチルエーテル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0049】
式(II)に係る好ましいグリコールエーテル溶媒は、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、及びこれらの混合物である。
【0050】
最も好ましいグリコールエーテル溶媒は、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、及びこれらの混合物、特に、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテルである。
【0051】
好適なグリコールエーテル溶媒は、Dow Chemical Companyより購入することができ、より詳細には、Eシリーズ(エチレングリコール系)のグリコールエーテル及びPシリーズ(プロピレングリコール系)のグリコールエーテルのラインナップから購入することができる。好適なグリコールエーテル溶媒としては、Butyl Carbitol(商標)、Hexyl Carbitol(商標)、Butyl Cellosolve(商標)、Hexyl Cellosolve(商標)、Butoxytriglycol、Dowanol(商標)Eph、Dowanol(商標)PnP、Dowanol DPnP(商標)、Dowanol(商標)PnB、Dowanol(商標)DPnB、Dowanol(商標)TPnB、Dowanol(商標)PPh、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0052】
本発明の組成物は、ii)エステル溶媒を更に含んでいてよい。好ましくは、組成物の0.1重量%~15重量%、好ましくは2~10重量%、より好ましくは2~8重量%、更により好ましくは3~7重量%、最も好ましくは4~6重量%の、
a)式(III):R1C=OOR2を有するモノエステル(式中、R1は、直鎖又は分枝鎖C1~C4アルキル、好ましくは直鎖又は分枝鎖C2~C3アルキルであり、R2は、直鎖又は分枝鎖C2~C8アルキル、好ましくは直鎖又は分枝鎖C2~C6アルキル、最も好ましくは分枝鎖の直鎖C3~C4アルキルである)、
b)式(IV):R1(C=OOR2)nを有するジ-又はトリ-エステル(式中、R1は、飽和又は不飽和C2~C4アルキルであり、R2は、独立して、直鎖又は分枝鎖C2~C8アルキル、好ましくは、直鎖又は分枝鎖C2~C6アルキル、最も好ましくは、分枝鎖の直鎖C3又はC4アルキルから選択され、nは、2又は3、好ましくは2である)、
c)安息香酸ベンジル、及び
d)これらの混合物
からなる群から選択されるエステル溶媒。
【0053】
エステル溶媒は、エステル官能基を含む有機溶媒として定義される。好適なモノエステルとしては、エチルアセテート、プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、アミルアセテート、イソアミルアセテート、ヘキシルアセテート、イソヘキシルアセテート、ヘプチルアセテート、イソヘプチルアセテート、オクチルアセテート、イソオクチルアセテート、2-エチルヘキシルアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、イソプロピルプロピオネート、ブチルプロピオネート、イソブチルプロピオネート、アミルプロピオネート、イソアミルプロピオネート、ヘキシルプロピオネート、イソヘキシルプロピオネート、ヘプチルプロピオネート、イソヘプチルプロピオネート、オクチルプロピオネート、イソオクチルプロピオネート、2-エチルヘキシルプロピオネート、エチルブチレート、プロピルブチレート、イソプロピルブチレート、ブチルブチレート、イソブチルブチレート、アミルブチレート、イソアミルブチレート、ヘキシルブチレート、イソヘキシルブチレート、ヘプチルブチレート、イソヘプチルブチレート、オクチルブチレート、イソオクチルブチレート、2-エチルヘキシルブチレート、エチルイソブチレート、プロピルイソブチレート、イソプロピルイソブチレート、ブチルイソブチレート、イソブチルイソブチレート、アミルイソブチレート、イソアミルイソブチレート、ヘキシルイソブチレート、イソヘキシルイソブチレート、ヘプチルイソブチレート、イソヘプチルイソブチレート、オクチルイソブチレート、イソオクチルイソブチレート、2-エチルヘキシルイソブチレート、エチルペンタノエート、プロピルペンタノエート、イソプロピルペンタノエート、ブチルペンタノエート、イソブチルペンタノエート、アミルペンタノエート、イソアミルペンタノエート、ヘキシルペンタノエート、イソヘキシルペンタノエート、ヘプチルペンタノエート、イソヘプチルペンタノエート、オクチルペンタノエート、イソオクチルペンタノエート、2-エチルヘキシルペンタノエート、エチルイソペンタノエート、プロピルイソペンタノエート、イソプロピルイソペンタノエート、ブチルイソペンタノエート、イソブチルイソペンタノエート、アミルイソペンタノエート、イソアミルイソペンタノエート、ヘキシルイソペンタノエート、イソヘキシルイソペンタノエート、ヘプチルイソペンタノエート、イソヘプチルイソペンタノエート、オクチルイソペンタノエート、イソオクチルイソペンタノエート、2-エチルヘキシルイソペンタノエート、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
好ましくは、モノエステルは、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、イソプロピルプロピオネート、ブチルプロピオネート、イソブチルプロピオネート、アミルプロピオネート、イソアミルプロピオネート、ヘキシルプロピオネート、イソヘキシルプロピオネート、エチルブチレート、プロピルブチレート、イソプロピルブチレート、ブチルブチレート、イソブチルブチレート、アミルブチレート、イソアミルブチレート、ヘキシルブチレート、イソヘキシルブチレート、エチルイソブチレート、プロピルイソブチレート、イソプロピルイソブチレート、ブチルイソブチレート、イソブチルイソブチレート、アミルイソブチレート、イソアミルイソブチレート、ヘキシルイソブチレート、イソヘキシルイソブチレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0055】
最も好ましくは、モノエステルは、プロピルプロピオネート、イソプロピルプロピオネート、ブチルプロピオネート、イソブチルプロピオネート、プロピルブチレート、イソプロピルブチレート、ブチルブチレート、イソブチルブチレート、プロピルイソブチレート、イソプロピルイソブチレート、ブチルイソブチレート、イソブチルイソブチレート、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0056】
好適なジ-又はトリ-エステルとしては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、グルタコン酸、クエン酸、アコニット酸、プロパン-1,2,3-トリカルボン酸、及びこれらの混合物のエチル-、プロピル-、イソプロピル-、ブチル-、イソブチル-、アミル-、イソアミル-、ヘキシル-、イソヘキシル-、ヘプチル-、イソヘプチル、オクチル-、イソオクチル-、2-エチルヘキシル-ジ-又はトリ-エステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
好ましくは、ジ-又はトリ-エステルは、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、グルタコン酸、クエン酸、アコニット酸、プロパン-1,2,3-トリカルボン酸、及びこれらの混合物のエチル-、プロピル-、イソプロピル-、ブチル-、イソブチル-、アミル-、イソアミル-、ヘキシル-、イソヘキシル-ジ-又はトリ-エステルからなる群から選択される。
【0058】
より好ましくは、ジ-又はトリ-エステルは、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、グルタコン酸、クエン酸、アコニット酸、プロパン-1,2,3-トリカルボン酸、及びこれらの混合物のエチル-、プロピル-、イソプロピル-、ブチル-、イソブチル-ジ-又はトリ-エステルからなる群から選択される。
【0059】
別の好適なエステル溶媒は、安息香酸ベンジルである。
【0060】
本発明の組成物は、iii)組成物の0.1~10重量%、好ましくは1~9重量%、より好ましくは2~8重量%、最も好ましくは4~6重量%の、C4~C6直鎖モノアルコール、1つ以上のC1~C4分枝基を有する分枝鎖C4~C10モノアルコール、アルキルモノグリセロール、及びこれらの混合物からなる群から選択されるアルコール溶媒を更に含んでいてよい。本発明の製品のアルコールは、発泡を増進することができる。
【0061】
好ましいC4~C6直鎖モノアルコールは、ペンタノール、ヘキサノール、及びこれらの混合物、好ましくは、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、及びこれらの混合物から選択される。
【0062】
本明細書に用いるのに好ましい、1つ以上のC1~C4分枝基を有する分枝状C4~C10モノアルコールは、1つ以上のC1~C4分枝基を有するC4~C8一級モノアルコール及びこれらの混合物である。本明細書に用いるのに特に好ましい、1つ以上のC1~C4分枝基を有する分枝状C4~C10モノアルコールとしては、メチルブタノール、エチルブタノール、メチルペンタノール、エチルペンタノール、メチルヘキサノール、エチルヘキサノール、プロピルヘキサノール、ジメチルヘキサノールトリメチルヘキサノール、メチルへパノール、エチルヘプタノール、プロピルヘプタノール、ジメチルヘプタノール、トリメチルヘプタノール、メチルオクタノール、エチルオクタノール、プロピルオクタノール、ブチルオクタノール、ジメチルオクタノール、トリメチルオクタノール、メチルノナノール、エチルノナノール、プロピルノナノール、ブチルノナノール、ジメチルノナノール、及びトリメチルノナノール、並びにこれらの混合物が挙げられる。本明細書に用いるのにより好ましいのは、1つ以上のC1~C4分枝基を有する分枝状C4~C10モノアルコールの一級1-アルコールメンバーであり、特に好ましいのは、メチルブタノール、エチルブタノール、メチルペンタノール、エチルペンタノール、メチルヘキサノール、エチルヘキサノール、プロピルヘキサノール、ジメチルヘキサノールトリメチルヘキサノール、メチルへパノール、エチルヘプタノール、プロピルヘプタノール、ジメチルヘプタノール、トリメチルヘプタノール、メチルオクタノール、エチルオクタノール、プロピルオクタノール、ブチルオクタノール、ジメチルオクタノール、トリメチルオクタノール、メチルノナノール、エチルノナノール、プロピルノナノール、ブチルノナノール、ジメチルノナノール、トリメチルノナノール、及びこれらの混合物の一級1-アルコールファミリーメンバーである。
【0063】
より好ましいアルコールは、ブチルオクタノール、トリメチルヘキサノール、エチルヘキサノール、プロピルヘプタノール、メチルブタノール、及びこれらの混合物、具体的には、一級1-アルコールファミリーメンバー、より具体的には、エチルヘキサノール、ブチルオクタノール、トリメチルヘキサノール、及びこれらの混合物、特に、2-エチル-1-ヘキサノール、2-ブチル-1-オクタノール、3,5,5トリメチル-1-ヘキサノール、及びこれらの混合物である。
【0064】
好ましいアルキルモノグリセロールは、分枝状アルキルモノグリセロール及びこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1つ以上のC1~C4アルキル分枝基を有する分枝状C4~C8アルキルモノグリセロール、より好ましくは、エチルヘキシルグリセロール、プロピルヘプチルグリセロール、及びこれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくは、2-エチルヘキシルグリセロールである。
【0065】
本明細書に用いるのに特に好ましいのは、モノアルコールの混合物、具体的には、分枝状C4~C10モノアルコールを含む混合物、より具体的には、C4~C8、より好ましくは、C6~C7分枝状一級アルコールを含む群から選択されるアルコールを含む混合物である。用いるのに好ましいのは、C4~C8分枝状一級アルコールを含む群から選択されるアルコールを含むアルコールと、C4~C6直鎖モノアルコール及びアルキルグリセロールの群から選択されるアルコールとの混合物である。混合物は、発泡を増進し、複数の異なる油汚れにわたって洗浄を改善することができる。
【0066】
本発明の組成物は、iv)組成物の0.1~10重量%、好ましくは1~9重量%、より好ましくは2~8重量%、最も好ましくは4~6重量%の、C1~C3分枝鎖の直鎖モノアルコール、C1~C3ポリオール、及びこれらの混合物からなる群から選択されるアルコール溶媒、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びこれらの混合物からなる群から選択されるグリコール溶媒を更に含んでいてよい。これらの溶媒は、組成物全体の物理的安定化を促進することに加えて、最終製品のレオロジーを制御して、組成物を噴霧用途に好適な状態に維持すると考えられる。
【0067】
本発明の組成物は、v)ヒドロトロープ、好ましくは、組成物の0.5重量%~10重量%、好ましくは1重量%~5重量%、より好ましくは1.5重量%~3重量%、最も好ましくは3重量%~7重量%の、クメンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択されるヒドロトロープ、好ましくはクメンスルホン酸ナトリウムを更に含んでいてよい。ヒドロトロープはまた、洗剤組成物全体の物理的安定化にもプラスに寄与し得る。
【0068】
本発明の組成物は、i)、ii)、iii)、iv)、及びv)の混合物を更に含んでいてよい。
【0069】
本発明の組成物は、組成物の0.1重量%~10重量%、好ましくは0.2重量%~5重量%、より好ましくは0.2重量%~3重量%、最も好ましくは0.5重量%~1.5重量%の濃度でキレート剤を更に含んでいてよい。好適なキレート剤は、アミノカルボキシレート、アミノホスホネート、多官能置換された芳香族キレート剤、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。アミノカルボキシレートとしては、エチレンジアミン四酢酸、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四プロピオン酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、及びエタノールジグリシン、アルカリ金属、アンモニウム、並びにこれらの置換アンモニウム塩及びこれらの混合物に加えて、メチル-グリシン-二酢酸(MGDA)、並びにその塩及び誘導体、並びにグルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA)、並びにその塩及び誘導体が挙げられる。GLDA(その塩及び誘導体)は、本発明によれば特に好ましく、その四ナトリウム塩が特に好ましい。アミノカルボキシレートは、キレート剤として作用するだけでなく、予備アルカリ度にも寄与し、これは、ひどく汚れた食器の洗浄に役立つと思われる。
【0070】
本明細書における組成物は、ビルダー、好ましくは、カルボキシレートビルダーを含み得る。本明細書で有用なカルボン酸の塩としては、C1~6の直鎖状の塩、又は少なくとも3個の炭素を含有する環状の酸の塩が挙げられる。カルボン酸又はその塩の直鎖又は環状炭素含有鎖は、ヒドロキシル、エステル、エーテル、1~6個、より好ましくは1~4個の炭素原子を有する脂肪族基、及びこれらの混合物からなる群から選択される置換基で置換されてよい。
【0071】
好ましいカルボン酸の塩は、サリチル酸、マレイン酸、アセチルサリチル酸、3メチルサリチル酸、4ヒドロキシイソフタル酸、ジヒドロキシフマル酸、1,2,4ベンゼントリカルボン酸、ペンタン酸、クエン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される塩から選択されるもの、好ましくはクエン酸である。
【0072】
本発明の組成物に用いるのに好適な別のカルボキシレートビルダーとしては、パーム核由来の脂肪酸若しくはココヤシ由来の脂肪酸などの脂肪酸の塩、又はポリカルボン酸の塩が挙げられる。
【0073】
塩のカチオンは、好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、又はトリエタノールアミン、及びこれらの混合物から選択され、好ましくは、ナトリウムである。
【0074】
カルボン酸又はその塩は、存在する場合、好ましくは全組成物の0.1重量%~5重量%、より好ましくは0.2重量%~1重量%の濃度で存在する。
【0075】
好ましくは、本発明の組成物は、重炭酸塩及び/又はモノエタノール及び/又はカルボキシレートビルダー、好ましくは、クエン酸塩ビルダーを含み、これらも、アミノカルボキシレートキレート剤の場合のように予備アルカリ度に寄与する。
【0076】
本発明の組成物は、式(V):
【0077】
【化1】
(式中、置換基R(R~R、R’~R’)のうちの2つは、独立して、NH2、(C1~C4)NH2、及びこれらの混合物からなる群から選択され、残りの置換基Rは、独立して、H、1~10個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキル又はアルケニルから選択される)の環状洗浄アミンなどの洗浄アミンを更に含んでいてよい。
【0078】
用語「環状ジアミン」は、本明細書において、単一の洗浄アミン及びその混合物を包含する。本アミンは、それが使用される洗浄媒体のpHに依存してプロトン化に供され得る。
【0079】
式(V)のアミンは、2つの一級アミン官能基を有する環状アミンである。一級アミンは、環における任意の位置に存在し得るが、油脂洗浄の観点で、一級アミンが1,3位に存在するときにより良好な性能を得ることができることが判明している。また、置換基のうちの1つが-CH3であり、残りがHであるアミンが油脂洗浄の観点で有利であることも判明している。
【0080】
本明細書に用いるのに好ましい環状ジアミンは、
【0081】
【化2】
【0082】
【化3】
及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0083】
本明細書に用いるのに特に好ましいのは、1,3-ビス(メチルアミン)-シクロヘキサン、2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される環状ジアミンである。1,3-ビス(メチルアミン)-シクロヘキサンが、本明細書に用いるのに特に好ましい。2-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミン、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジアミンの混合物も、本明細書に用いるのに好ましい。
【0084】
本発明の組成物は、式(VI)、式(VII)、式(VIII)、及びこれらの混合物のポリエーテルアミンからなる群から選択されるポリエーテルアミンなどの洗浄アミンを含んでいてよい。本発明の組成物において用いるのに好ましいポリエーテルアミンの1つは、式(VI)の構造:
【0085】
【化4】
(式中、R~Rのそれぞれは、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、又はアリールアルキルから選択され、R~Rのうちの少なくとも1つはHとは異なり、典型的には、R~Rのうちの少なくとも1つは、2~8個の炭素原子を有するアルキル基であり、A~Aのそれぞれは、独立して、2~18個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキレンから選択され、Z~Zのそれぞれは、独立して、OH又はNHから選択され、Z~Zのうちの少なくとも1つはNHであり、典型的には、Z及びZのそれぞれはNHであり、x+yの合計は、約2~約200、典型的には約2~約20、より典型的には約2~約10、又は約3~約8、又は約4~約6の範囲内であり、x≧1かつy≧1であり、x+yの合計は、約2~約200、典型的には約2~約20、より典型的には約2~約10、又は約3~約8、又は約2~約4の範囲内であり、x≧1かつy≧1である)によって表される。
【0086】
好ましくは、式(VI)のポリエーテルアミンにおいて、A~Aのそれぞれは、独立して、エチレン、プロピレン、又はブチレンから選択され、典型的には、A~Aのそれぞれはプロピレンである。より好ましくは、式(I)のポリエーテルアミンにおいて、R、R、R、及びRのそれぞれはHであり、R及びRのそれぞれは、独立して、C1~C16アルキル又はアリールから選択され、典型的には、R、R、R、及びRのそれぞれはHであり、R及びRのそれぞれは、独立して、ブチル基、エチル基、メチル基、プロピル基、又はフェニル基から選択される。より好ましくは、式(I)のポリエーテルアミンにおいて、Rは、エチル基であり、R、R、R、及びRのそれぞれはHであり、Rは、ブチル基である。特に、式(I)のポリエーテルアミンにおいて、R及びRのそれぞれはHであり、R、R、R、及びRのそれぞれは、独立して、エチル基、メチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、又はHから選択される。
【0087】
本発明の組成物において用いるのに好ましい別のポリエーテルアミンは、式(VII)の構造:
【0088】
【化5】
(式中、R~R12のそれぞれは、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、又はアリールアルキルから選択され、R~R12のうちの少なくとも1つはHとは異なり、典型的には、R~R12のうちの少なくとも1つは、2~8個の炭素原子を有するアルキル基であり、A~Aのそれぞれは、独立して、2~18個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキレンから選択され、Z~Zのそれぞれは、独立して、OH又はNHから選択され、Z~Zのうちの少なくとも1つはNHであり、典型的には、Z及びZのそれぞれはNHであり、x+yの合計は、2~200、典型的には2~20、より典型的には2~10、又は3~8、又は2~4の範囲内であり、x≧1かつy≧1であり、x+yの合計は、2~200、典型的には2~20、より典型的には2~10、又は3~8、又は2~4の範囲内であり、x≧1かつy≧1である)によって表される。
【0089】
好ましくは、式(VII)のポリエーテルアミンにおいて、A~Aのそれぞれは、独立して、エチレン、プロピレン、又はブチレンから選択され、典型的には、A~Aのそれぞれはプロピレンである。より好ましくは、式(II)のポリエーテルアミンにおいて、R、R、R11、及びR12のそれぞれはHであり、R及びR10のそれぞれは、独立して、C1~C16アルキル又はアリールから選択され、典型的には、R、R、R11、及びR12のそれぞれはHであり、R及びR10のそれぞれは、独立して、ブチル基、エチル基、メチル基、プロピル基、又はフェニル基から選択される。より好ましくは、式(VII)のポリエーテルアミンにおいて、Rはエチル基であり、R、R、R11、及びR12のそれぞれはHであり、R10はブチル基である。いくつかの態様では、式(VII)のポリエーテルアミンにおいて、R及びRのそれぞれはHであり、R、R10、R11、及びR12のそれぞれは、独立して、エチル基、メチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、又はHから選択される。
【0090】
好ましいポリエーテルアミンは、式A、式B、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0091】
【化6】
【0092】
好ましくは、ポリエーテルアミンは、式(VI)の化合物と式(VII)の化合物との混合物を含む。
【0093】
典型的には、式(VI)又は式(VII)のポリエーテルアミンは、グラム/モル1000グラム/モル未満、好ましくは100~800グラム/モル、より好ましくは200~450グラム/モルの重量平均分子量を有する。
【0094】
本発明の組成物において用いるのに好ましい別のポリエーテルアミンは、式(VIII)の構造:
【0095】
【化7】
(式中、Rは、H又はC1~C6アルキル基から選択され、k、k、及びkのそれぞれは、独立して、0、1、2、3、4、5、又は6から選択され、A、A、A、A、A、及びAのそれぞれは、独立して、2~18個の炭素原子を有する直鎖若しくは分枝鎖アルキレン基、又はこれらの混合物から選択され、x≧1、y≧1、かつz≧1であり、x+y+zの合計は、3~100の範囲内であり、Z、Z、及びZのそれぞれは、独立して、NH又はOHから選択され、Z、Z、及びZのうちの少なくとも2つはNHであり、ポリエーテルアミンは、150~1000グラム/モルの重量平均分子量を有する)によって表される。
【0096】
本明細書に用いるのに好ましい他の洗浄アミンは、式(IX)、式(X)、式(XI)、又はこれらの混合物のアミンである。
【0097】
式(IX)の洗浄アミンは、少なくとも1つの一級アミン官能基を有するエチレンジアミンコアを有する。また、洗浄アミンは、好ましくは三級アミン官能基の形態の別の窒素原子も少なくとも含む。本明細書では、用語「コア」とは、2つの窒素ラジカル間のアルキル鎖を指す。コアにおける炭素数は、コアに結合しているラジカルを含まない。本発明の組成物において用いるのに好ましい洗浄アミンの1つは、式(IX)の構造:
【0098】
【化8】
(式中、R、R、R、R、及びRは、独立して、-H、1~10個の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖、又は環状のアルキル又はアルケニルから選択され、n=0~3である)によって表される。
【0099】
好ましくは、洗浄アミンは、事実上脂肪族である。洗浄アミンは、好ましくは、1000グラム/モル未満、より好ましくは、450グラム/モル未満の分子量を有する。「n」は、0~3以下で変動し、好ましくは、「n」は0である。アミン分子は、少なくとも1つの一級アミン官能基、好ましくは三級アミン官能基を含有する。
【0100】
本明細書に用いるのに好適な洗浄アミンとしては、R及びRがイソプロピル及びブチルから選択され、好ましくは、R及びRが両方イソプロピル又は両方ブチルである、アミンが挙げられる。好ましくは、洗浄アミンとしては、R1及びR2がイソプロピルであり、好ましくは、nが0であるものが挙げられる。R1及びR2がブチルであり、好ましくは、nが0であるアミンも好ましい。
【0101】
本明細書に用いるのに好ましい洗浄アミンは、以下からなる群から選択される。
【0102】
【化9】
【0103】
R5は、好ましくは、-CH3又は-CH2CH3である。R5が-CH3又は-CH2CH3である洗浄アミンは、組成物の安定性の観点で良好であり得る。理論に束縛されるのを望むものではないが、メチル又はエチルラジカルは、洗浄組成物の他の成分との負の相互作用から洗浄アミンを保護する立体障害を提供し得ると考えられる。
【0104】
本発明の組成物において用いるのに好ましい別の洗浄アミンは、式(X)の構造:
【0105】
【化10】
(式中、R及びRは、独立して、-H、1~10個の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖、又は環状のアルキル又はアルケニルから選択され、Rは、3~10個の炭素を有する直鎖、分枝鎖、又は環状のアルキル又はアルケニルであり、Rは、3~6個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖アルキルであり、Rは、H、メチル、又はエチルであり、好ましくは、アミン官能基のアルファ位に位置し、n=0~3である)によって表される。
【0106】
式(X)の洗浄アミンは、アミン官能基のうちの少なくとも1つが一級アミンであるC3~C6ジアミンコアを有する。本明細書では、用語「コア」とは、2つの窒素ラジカル間のアルキル鎖を指す。コアにおける炭素数は、コアに結合しているラジカルを含まない。
【0107】
式(X)の洗浄アミンは、好ましくは、約1000グラム/モル未満、より好ましくは、約450グラム/モル未満の分子量を有する。「n」は、0~3以下で変動し、好ましくは、「n」は0である。アミン分子は、少なくとも1つの一級アミン官能基、好ましくは三級アミン官能基を含有する。
【0108】
好適な洗浄アミンとしては、R及びRが、プロピル、ブチル、及びヘキシルから選択され、好ましくは、R及びRが両方、プロピル、ブチル又はヘキシルである、アミンが挙げられる。好ましくは、nは0である。
【0109】
【化11】
【0110】
本明細書に用いるのに好ましい別の洗浄アミンは、シクロへキシルプロピレンジアミン(式中、n=0であり、R1は、シクロヘキサニルであり、R2は、Hである)である。
【0111】
本発明の組成物において用いるのに好ましい別の洗浄アミンは、式(XI)の構造:
【0112】
【化12】
によって表される。
【0113】
好ましい組成物は、アルカノールアミン、好ましくはモノエタノールアミンを更に含む。
【0114】
本発明の組成物は、ニュートン流体であってよい。ニュートン流体である場合、好ましくは、本組成物は、本明細書で定義される方法を使用して測定したとき、20℃で、1mPa・s~50mPa・s、好ましくは1mPa・s~20mPa・s、より好ましくは1mPa・s~10mPa・sのニュートン粘度を有する。好ましくは、本組成物は、ずり減粘レオロジープロファイルを有する。これは組成物が容易に噴霧できるために重要である。また、本発明の組成物の粘度も、垂直表面に流体をとどめて、洗浄を提供すると同時に、すすぎを容易にするはずである。特に好適なのは、本明細書で定義される方法を使用して測定したとき、20℃で、1mPa・s~50mPa・s、好ましくは1mPa・s~20mPa・s、より好ましくは5mPa・s~15mPa・sの1,000s-1における高剪断粘度、及び20℃で、100mPa・s~1000mPa・s、好ましくは200mPa・s~500mPa・sの0.1s-1における低剪断粘度を有する組成物であることが見出されている。好ましくは、本発明の組成物は、レオロジー変性剤、より好ましくは、キサンタンガムを含む。
【0115】
本発明の好ましい組成物は、20℃で、8~13、好ましくは10~11.5の未希釈pH範囲を有する。好ましくは、pH10の組成物100mL当たりのNaOHのグラム数で表される本組成物の予備アルカリ度は、0.1~0.3である。このpH及び予備アルカリ度は、更に、頑固な食品汚れの洗浄に寄与する。
【0116】
本発明の別の態様によれば、以下の工程を含む、請求項に係る洗浄製品を使用して、汚れた食器を洗浄する方法が提供される:
a)任意選択的に、汚れた食器を予め濡らす工程と、
b)洗浄組成物を汚れた食器に噴霧する工程と、
c)任意選択的に、所定の時間、好ましくは1秒間~30秒間、汚れた食器に水を加える工程と、
d)任意選択的に、食器を擦り洗いする工程と、
e)食器をすすぐ工程。
【0117】
本発明の方法は、特に食器が軽く汚れている場合、水道水を流しながら食器をより速やかかつ容易に洗浄することを可能とするものである。調理汚れ、焼き付き汚れ、及び焦げ付き汚れなどの頑固な食品汚れで食器がひどく汚れている場合、本発明の方法は、未希釈の形態であるか又は水で希釈された本発明の製品に汚れた食器を浸漬したときの洗浄を容易にするものである。
【0118】
試験方法
本明細書に記載され、特許請求される発明がより完全に理解され得るためには、以下に記載するアッセイを用いなければならない。
【0119】
試験方法1:予備アルカリ度
溶液の予備アルカリ度は以下のようにして測定される。Ag/AgCl電極(例えば、OrionSure-Flow電極モデル9172BN)を備えたpH計(例えば、Thermo Scientificより販売されるOrion(登録商標)モデル720A)を、標準化されたpH7及びpH10の緩衝液を用いて較正する。試験する組成物の20℃での10%蒸留水溶液100gを調製する。10%溶液のpHを測定し、0.1NのHClの標準化溶液を用いて、溶液100gをpH10にまで滴定する。滴定に要した0.1N HClの体積をmL単位で記録する。予備アルカリ度は以下のように計算される。
予備アルカリ度=mL(0.1N HCl)×0.1(当量/リットル)×当量NaOH(g/当量)×10
【0120】
試験方法2:粘度
レオロジープロファイルは、フラットスチールペルチェプレート及び60mmの2.026コーンプレートの構成を有する「TA instruments DHR1」レオメータ(TA instruments、シリアル番号:SN960912)を使用して測定する。フローカーブ法は、20℃でのコンディショニング工程及びフロースイープ工程を含む。コンディショニング工程は、20℃での10秒間の浸漬工程、続いて、20℃、10s-1での10秒間の予備剪断工程、続いて、20℃での30秒間のゼロ剪断平衡化工程を含む。フロースイープ工程は、20℃で0.01s-1から3,000s-1まで剪断速度を対数的に増大させ、10当たり10個の点の取得速度、最大平衡化時間200秒、サンプル時間15秒、及び公差3%で行う。
【0121】
ずり流動化する製品組成物を測定する場合、高剪断粘度は1,000s-1の剪断速度で定義され、低剪断粘度は0.1s-1の剪断速度で定義される。ニュートン流体の製品組成物は、1000s-1での剪断速度を記録する。
【0122】
試験方法3:刺痛感試験
刺痛感試験の目的は、スプレー塗布後に試験組成物によって生じる被験者の刺痛感覚及び/又は刺激感覚のレベルを比較組成物と比較することである。清潔な乾燥したステンレス鋼製シンク(設置面積:40cm×40cm、高さ:24cm)の垂直な壁に対して試験組成物を噴霧し、続いて、下記の尺度に従って刺痛感性能を評価するように訓練された人から選ばれた官能試験員によって試験組成物の刺痛感性能の評価を行う。比較組成物について試験を繰り返す。試験は、約20℃及び湿度約40%の標準条件に調整した実験室内で行う。
【0123】
スプレーボトルの準備:あらゆる種類のスプレーボトルが刺痛感評価で使用可能である(例えばAFA Dispensing Group(オランダ)より市販されるFlairosol(登録商標)型のスプレーボトル)。ただし、試験組成物及び比較組成物で試験を行うのに同じ種類のスプレーボトルを使用しなければならない。
【0124】
試験シンクから少なくとも5m離れて配置された別のシンクの中で試験組成物を5回噴霧することによって、試験に先立ってスプレーボトルのノズルをプライミングする。このプライミング操作は、スプレーノズルの中に空気も液体汚染もないようにするために行う。また、このプライミング操作は、スプレーノズルが詰まっておらず、スプレーパターンが比較的一定で予想どおりであることを確認するうえでも役立つ。
【0125】
刺痛感試験:スプレーボトルを、試験シンク(40cm×40cmの設置面積、高さ24cm)の垂直な壁から約15cm離して垂直な姿勢で保持することによって、リザーバが垂直な姿勢に保たれ、スプレー機構を使用して試験組成物をすべて噴霧することができるようにする。毎秒1回噴霧するスプレー頻度で、噴霧物が互いの上に連続的に当たるようにして試験組成物を8回噴霧する。噴霧された組成物がすべて、垂直壁に当たるようにする。最後のスプレーの後、すぐに官能試験員にシンクの壁から約5cmの、スプレーした領域の上の辺りに鼻を近づけてもらい、5秒間普通に息を吸ってもらう。試験員に直立した姿勢に戻ってもらい、以下の分類スケールに従って、検出された感覚/匂いをすぐに評価してもらう。シンクを大量の水でよくすすいで、新たな組成物を試験する前に香料又は化学物質が残っていないようにする。異なる試験組成物の間で少なくとも15分を置き、鼻が飽和しないように、半日の期間で4種類よりも多い組成物を試験することは避ける。比較組成物について上記の工程を繰り返す。
【0126】
刺激及び/又は刺痛感覚を、以下のスケールに基づいて官能試験員に評価してもらう。
【0127】
【表1】
【0128】
試験方法4:着色染み除去試験
着色染み除去試験の目的は、表面から着色汚れを抽出する様々な試験製剤の能力を視覚的に交差比較することである。したがって、洗浄組成物を着色染み(すなわち、焼き付きトマトソース-供給元:Center for Testmaterials,Netherlands-識別コード:DP-02)上に泡として適用し、経時的に泡の着色度を視覚的に評価することを通して着色染み除去力を評価する。したがって、発泡性食器洗浄製品5mLを、プラスチックピペットで28mLのガラスバイアル瓶(供給元:VWR)に移す。その後、1秒間当たり約2.5回振盪の頻度で1分間製品を手で振盪するが、1回の振盪は、約20cmの上下運動からなる。30秒でバイアル瓶を持ち換える。発生した泡の最も高密度の部分2.5mLをガラスバイアル瓶から取り出し、プラスチックピペットを使用することによって汚れた板に移す。液相は著しく読み取り値を上下させる場合があるので、確実に液体のないように泡相のみを移す。汚れた板上に泡を塗布した直後にタイマーをスタートさせ、時間ゼロで第1の写真を撮影する。発泡した製品の着色の動態を追跡するために、その後の写真を30秒間毎に4分まで撮影する。様々な試験製品について泡の相対的な着色度を視覚的に比較して、それらの相対的な着色染み除去性能を評価する。
【実施例
【0129】
以下の実施例は、本発明を更に例証するために与えられるものであり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明の多くの変更が可能であることから、本発明を制限するものとして解釈すべきではない。
【0130】
実施例1:低級アルコールアルコキシレート非イオン性界面活性剤を含む洗浄組成物及び比較組成物
着色染みを抽出する洗浄組成物の能力、並びにその刺痛感性能を、本発明に係る低級アルコールアルコキシレート非イオン性界面活性剤を含む洗浄組成物(本発明の組成物1)について評価した。並行して、低級アルコールアルコキシレート非イオン性界面活性剤を、i)ミッドカット非イオン性界面活性剤(比較組成物1)、ii)有機脂洗浄溶媒(比較組成物2)、又は脱塩水(比較組成物3)に置き換えることによって比較組成物を調製する。表2に記載される成分の標準的な混合を通して前述の組成物が作製された。
【0131】
【表2】
【0132】
実施例1a:本発明の組成物及び比較組成物の着色染み除去性能
本発明の組成物1及び比較組成物1~3を含む得られた組成物を、本明細書に記載されるとおりに着色染み除去試験方法に従って評価する。試験の結果を図1に示す(4分データ点で)。図1を参照すると、本発明の組成物1の低級アルコールアルコキシレート非イオン性界面活性剤含有製剤は、濃く着色された泡が得られたことによって証明されるように、優れた着色染み抽出性能を提供する。白色が支配的な泡が得られたことによって証明されるように、比較組成物1及び3については非常に限定された着色染み抽出が観察される。有機脂洗浄溶媒を含有する比較組成物2は、本発明の組成物1よりも劣る中程度の着色染み除去性能を提供した。
【0133】
実施例1b:本発明の組成物及び比較組成物の刺痛感/刺激性能
本発明に係る低級アルコールアルコキシレート非イオン性界面活性剤を含む本発明の組成物1の製剤の刺痛感/刺激性能を、本明細書に記載される刺痛感試験方法に従って、本発明の範囲外の有機脂洗浄溶媒を含む比較組成物2と比較した。刺痛感試験の結果を表3にまとめる。
【0134】
【表3】
【0135】
結果は、有機脂洗浄溶媒含有製剤(比較組成物2)よりも、本発明に係る低級アルコールアルコキシレート非イオン性界面活性剤含有製剤(本発明の組成物1)では刺痛感/刺激性が実質的に低減されることを明らかに示す。本発明に係る低級アルコールアルコキシレート非イオン性界面活性剤及び本発明の範囲外の有機脂洗浄溶媒はいずれも、汚れた表面から着色染みを抽出するが、刺痛感の著しい低減は、本発明に係る低級アルコキシレート非イオン性界面活性剤のみについて観察された。
【0136】
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
図1