(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ガスバーナー
(51)【国際特許分類】
F23K 5/00 20060101AFI20231219BHJP
F23D 14/22 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
F23K5/00 301C
F23D14/22 E
F23D14/22 B
F23K5/00 303
(21)【出願番号】P 2022053280
(22)【出願日】2022-03-29
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【氏名又は名称】奥西 祐之
(72)【発明者】
【氏名】仲井 和成
(72)【発明者】
【氏名】田口 脩平
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-327027(JP,A)
【文献】特開平11-201416(JP,A)
【文献】実公昭54-19548(JP,Y2)
【文献】特開2001-074237(JP,A)
【文献】特開2003-083537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23K 5/00
F23D 14/22
F23D 14/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを供給する内管と、
前記内管の外側を囲むとともに、支燃ガスを供給する外管と、
前記内管の中に配設されて、前記内管の長手方向に移動する開度調整部とを備え、
前記内管は、その先端部に配設される先端開孔と、その側面部に配設される側面開孔とを有し、
前記開度調整部は、前記先端開孔の開度を調整する先端開度調整部と、前記側面開孔の開度を調整する側面開度調整部とを有し、
前記開度調整部が前記内管の長手方向の一側に移動するとき、前記先端開孔の開度が減少するとともに前記側面開孔の開度が増加し、
前記開度調整部が前記内管の長手方向の他側に移動するとき、前記先端開孔の開度が増加するとともに前記側面開孔の開度が減少することを特徴とする、ガスバーナー。
【請求項2】
前記先端開度調整部は、先細形状を有して前記先端開孔に係合するニードルバルブであり、
前記側面開度調整部は、前記内管の側面に摺接して前記側面開孔に係合するスライドバルブであることを特徴とする、請求項1に記載のガスバーナー。
【請求項3】
前記開度調整部は、送り機構によって、前記内管の長手方向に直進移動することを特徴とする、請求項2に記載のガスバーナー。
【請求項4】
前記燃料ガスは、高燃焼性燃料ガス、低燃焼性燃料ガス、または、前記高燃焼性燃料ガスおよび前記低燃焼性燃料ガスを混合した混合燃料ガスであることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のガスバーナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガスバーナーに関する。
【背景技術】
【0002】
工業用ガスバーナーは、例えば、その中央部に配設されるガスノズルと、ガスノズルの外周部に配設される空気ノズルとを有する。
【0003】
例えば、特許文献1および特許文献2に示すように、ガスノズルのガス噴射孔は、ガスノズルの先端部に配設されるとともに、ガスノズルの側面部にも配設される。側面部に配設されるガス噴射孔は、ガスノズルの長手方向に直交する方向にガスを噴射することにより、燃料ガスおよび空気の混合特性を向上させている。
【0004】
また、特許文献3は、低燃焼性燃料ガスとしてのアンモニアを燃焼するために、全てのガス噴射口をガスノズルの側面部に配設する燃焼装置を開示する。また、特許文献4および特許文献5は、内側円筒部および外側円筒部を長手方向に相対的に動かすことによって、ガス噴射孔の開度、すなわち燃料ガスの噴射量を調整することを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-201416号公報
【文献】特開平11-257614号公報
【文献】特許6906881号公報
【文献】実公昭63-6594号公報
【文献】実公昭54-19548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来のガスバーナーは、或る特定種類の燃料ガスを燃焼するためのものであるため、ガスバーナーに適合していない燃料ガスを燃焼すると、以下の不具合が発生する。すなわち、高燃焼性燃料ガス(例えば水素)を燃焼させるためのガスバーナーを用いて低燃焼性燃料ガス(例えばアンモニア)を燃焼させると燃焼不良が発生し、低燃焼性燃料ガスを燃焼させるためのガスバーナーを用いて高燃焼性燃料ガスを燃焼させるとガスバーナーの部品が焼損するなどの不具合が発生する。このように、従来のガスバーナーは、高燃焼性燃料ガスおよび低燃焼性燃料ガスのような燃焼性の異なる燃料ガスを、一つのガスバーナーで燃焼させることに対応していないという問題を有する。
【0007】
そこで、この発明の課題は、燃焼性の異なる燃料ガスを、一つのガスバーナーで燃焼させることを可能にするガスバーナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、この発明の一態様に係るガスバーナーは、
燃料ガスを供給する内管と、
前記内管の外側を囲むとともに、支燃ガスを供給する外管と、
前記内管の中に配設されて、前記内管の長手方向に移動する開度調整部とを備え、
前記内管は、その先端部に配設される先端開孔と、その側面部に配設される側面開孔とを有し、
前記開度調整部は、前記先端開孔の開度を調整する先端開度調整部と、前記側面開孔の開度を調整する側面開度調整部とを有し、
前記開度調整部が前記内管の長手方向の一側に移動するとき、前記先端開孔の開度が減少するとともに前記側面開孔の開度が増加し、
前記開度調整部が前記内管の長手方向の他側に移動するとき、前記先端開孔の開度が増加するとともに前記側面開孔の開度が減少することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、燃焼性の異なる燃料ガスに応じて、先端開孔の開度と側面開孔の開度とが逆になるように調整できるので、一つのガスバーナー1で異種の燃料ガスを燃焼させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係るガスバーナーを模式的に説明する断面図である。
【
図2】
図1に示したガスバーナーの開度調整部を説明する斜視図である。
【
図3】
図1に示したガスバーナーの内管における先端開孔および側面開孔を説明する図である。
【
図4】
図1に示したガスバーナーの内管および開度調整部の係合を模式的に説明する断面図である。(A)は先端開孔の全開および側面開孔の全閉を示し、(B)は先端開孔および側面開孔の両方が開いていることを示し、(C)は先端開孔の全閉および側面開孔の全開を示す。
【
図5】第2実施形態に係るガスバーナーを模式的に説明する断面図である。
【
図6】第3実施形態に係る開度調整部を模式的に説明する斜視図である。
【
図7】変形例に係るガスバーナーにおける内管および開度調整部の係合を説明する要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、この発明に係るガスバーナー1の実施の形態を説明する。
【0012】
〔第1実施形態〕
図1から
図4を参照しながら、第1実施形態に係るガスバーナー1を説明する。
図1は、第1実施形態に係るガスバーナー1を模式的に説明する断面図である。
図2は、
図1に示したガスバーナー1の開度調整部30を説明する斜視図である。
図3は、
図1に示したガスバーナー1の内管20における先端開孔23および側面開孔25を説明する図である。
図4は、
図1に示したガスバーナー1の内管20および開度調整部の係合を模式的に説明する断面図である。
【0013】
図1に示すように、ガスバーナー1は、外管10と、内管20と、開度調整部30と、送り機構40とを備える。
【0014】
外管10は、円筒形状を有し、内管20の外側を囲む。外管10の一端は、開口した火口15を有する。外管10には、空気などの酸素含有ガス(支燃ガス)が支燃ガス供給管3を介して供給される。支燃ガス供給管3を流れる支燃ガスの流量は、支燃ガスバルブ4によって調整される。支燃ガスは、外管10と内管20との間を流通する。支燃ガスとして、例えば空気が用いられるが、酸素単体や、酸素を含む混合ガスも用いることができる。
【0015】
内管20は、円筒形状を有し、外管10の中に配設される。内管20は、例えば、外管10と同軸に配置される。内管20における先端部21(火口15側の一端)には、先端開孔23が配設される。先端開孔23は、先端部21に中央部に形成されて、例えば、先端部21を貫通する丸穴である。内管20における側面部22には、複数の(例えば4個の)側面開孔25が配設される。側面開孔25は、例えば、
図3に示すように、側面部22の先端部21寄りに形成されて、側面部22を貫通する長穴または矩形穴である。
【0016】
内管20には、燃料ガスが燃料供給管5を介して供給される。燃料ガスは、内管20の内側を流通する。先端開孔23は、燃料ガスを内管20の軸方向に沿って流出させ、高燃焼性燃料ガス(例えば水素)を燃焼させるために使用される。側面開孔25は、燃料ガスを内管20の径方向外側に流出させ、低燃焼性燃料ガス(例えばアンモニア)を燃焼させるために使用される。
【0017】
燃料供給管5の上流側には、第1燃料供給管6および第2燃料供給管8が接続される。第1燃料供給管6を流れる第1燃料ガスの流量は、第1燃料バルブ7によって調整され、第2燃料供給管8を流れる第2燃料ガスの流量は、第2燃料バルブ9によって調整される。そして、燃料供給管5を流れる燃料ガスの流量は、第1燃料バルブ7および第2燃料バルブ9によって調整される。
【0018】
例えば、高燃焼性燃料ガス(例えば水素)を第1燃料供給管6に供給し、低燃焼性燃料ガス(例えばアンモニア)を第2燃料供給管8に供給することができる。第1燃料バルブ7を開にするとともに第2燃料バルブ9を閉にすることによって、高燃焼性燃料ガス(例えば水素)は、燃料供給管5を介して内管20に供給される。また、第1燃料バルブ7を閉にするとともに第2燃料バルブ9を開にすることによって、低燃焼性燃料ガス(例えばアンモニア)は、燃料供給管5を介して内管20に供給される。
【0019】
開度調整部30は、シャフト31と、スライドバルブ35とを有する。シャフト31は、例えば丸棒形状または角棒形状を有し、内管20の長手方向(軸方向)に延在する。シャフト31の先端には、ニードルバルブ32が形成される。ニードルバルブ32は、先端開孔23に対向配置される。ニードルバルブ32は、先細形状を有し、開度調整部30が内管20の長手方向(軸方向)に移動するとき、ニードルバルブ32と先端開孔23との間で形成される先端間隙の大きさが変化する。これによって、先端開孔23の開度を調整する。したがって、ニードルバルブ32は先端開度調整部として働く。
【0020】
シャフト31の基部側には、ネジ軸37とハンドル41とが配設される。ネジ軸37は雄ネジであり、後述する雌ネジ部42と螺合する。ハンドル41は、シャフト31の基端に位置して、シャフト31を回転させるときに用いられる。内管20の基部側には、挿通孔28が形成されて、ネジ軸37が挿通可能なように挿通孔28は寸法構成される。
【0021】
図2に示すように、開度調整部30のスライドバルブ35は、複数の支持片35aと、摺接筒35bとを有する。スライドバルブ35は、内管20に対して同軸である。支持片35aは、シャフト31の表面から径方向外側に延在する細い棒形状を有する。隣合う支持片35aは周方向に離間しており、離間した支持片35aの間隙はガスの流通路として働く。摺接筒35bは、支持片35aの外端に接続されて、内管20の長手方向(軸方向)において先端部21に向けて延在する。
【0022】
摺接筒35bの外側面は、側面部22の内側面に当接する。ハンドル41を回すことで開度調整部30のシャフト31が、回転しながら内管20の長手方向(軸方向)に移動するとき、摺接筒35bの外側面は、側面部22の内側面に摺接する。スライドバルブ35の摺接筒35bは、内管20の側面開孔25に対応した位置にあり、側面開孔25との係合具合によって、側面開孔25の開度を調整する。開度調整部30が内管20の長手方向(軸方向)に移動するとき、摺接筒35bと側面開孔25との間で形成される側面開口の大きさが変化する。これによって、内管20の側面開孔25の開度を調整する。したがって、スライドバルブ35は側面開度調整部として働く。
【0023】
このように、開度調整部30は、内管20の中に配設されて、内管20の長手方向(軸方向)に回転しながら移動するように構成される。言い換えると、
図1に示す開度調整部30は、シャフト31がシャフト31の軸を中心にして回転しながら内管20の長手方向(軸方向)に移動する回転移動の態様である。
【0024】
図1に示すように、内管20の基部側においては、フェルトなどのシール材45を備える雌ネジ部42が、溶接などによって固定される。シール材45は、シャフト31を封止して、シャフト31との間隙から燃料ガスが流出することを防止する。送り機構40は、シャフト31のネジ軸37とハンドル41と雌ネジ部42とを備える。開度調整部30のシャフト31の基部側には、ネジ軸37が形成されており、上述したように、ネジ軸37は雌ネジ部42と螺合する。ハンドル41の回転により、シャフト31が、回転しながら、内管20の長手方向(軸方向)に移動する。送り機構40による開度調整部30の直進移動は、後述するように、先端開孔23の開度と側面開孔25の開度とが逆になるように調整することが容易になる。なお、
図1に図示しないロックナットを配置してロックナットを締め付けることにより、開度調整後での開度調整部30の位置を固定することができる。
【0025】
図4を参照して、
図1に示したガスバーナー1の内管20および開度調整部30の係合を説明する。
図4において、(A)は先端開孔23の全開および側面開孔25の全閉を示し、(B)は先端開孔23および側面開孔25の両方が開いていることを示し、(C)は先端開孔23の全閉および側面開孔25の全開を示す。
【0026】
図4(A)に示す状態から、ニードルバルブ32が内管20の長手方向(軸方向)において先端部21に近づく方向に(一側に)、開度調整部30を移動させる。このとき、
図4(B)に示すように、ニードルバルブ32が先端開孔23に近づくにつれて、先端開孔23の開度が減少する一方で、側面開孔25の開度が増加する。そして、ニードルバルブ32が先端開孔23に完全に係合すると、
図4(C)に示すように、先端開孔23の開度が最小(例えば、開度が0%)になって先端開孔23が全閉になる一方で、側面開孔25の開度が最大(例えば、開度が100%)になって側面開孔25が全開になる。
図4(C)に示す状態は、側面開孔25が全開であり且つ先端開孔23が全閉であるので、例えば第1燃料バルブ7を全閉に且つ第2燃料バルブ9を全開にして、低燃焼性燃料ガス(例えばアンモニア)を燃焼させる場合に好適である。
【0027】
逆に、
図4(C)に示す状態から、ニードルバルブ32が先端部21から離れるように(他側に)、開度調整部30を移動させる。このとき、
図4(B)に示すように、先端開孔23の開度が増加する一方で、側面開孔25の開度が減少する。そして、開度調整部30が先端部21から最も離れるように(他側に)開度調整部30を移動させると、
図4(A)に示すように、先端開孔23の開度が最大(例えば、開度が100%)になって先端開孔23が全開になる一方で、側面開孔25の開度が最小(例えば、開度が0%)になって側面開孔25が全閉になる。
図4(A)に示す状態は、先端開孔23が全開であり且つ側面開孔25が全閉であるので、例えば第1燃料バルブ7を全開に且つ第2燃料バルブ9を全閉にして、高燃焼性燃料ガス(例えば水素)を燃焼させる場合に好適である。
【0028】
したがって、ニードルバルブ32が内管20の長手方向(軸方向)において先端部21に近づく方向に(一側に)開度調整部30を移動させると、先端開孔23の開度が減少するとともに側面開孔25の開度が増加する。また、ニードルバルブ32が内管20の長手方向(軸方向)において先端部21から離れる方向に(他側に)開度調整部30を移動させると、先端開孔23の開度が増加するとともに側面開孔25の開度が減少する。これにより、高燃焼性燃料ガス(例えば水素)の燃焼に用いられる先端開孔23の開度と、低燃焼性燃料ガス(例えばアンモニア)の燃焼に用いられる側面開孔25の開度とが逆になるように調整できる。燃焼性の異なる燃料ガスに応じて、先端開孔23の開度と側面開孔25の開度とが逆になるように調整できるので、一つのガスバーナー1で異種の燃料ガスを燃焼させることが可能になる。また、燃焼性の異なる異種の燃料ガスを混合した混合ガスを作成し、該混合ガスの燃焼性に応じて先端開孔23の開度と側面開孔25の開度との割合を調整することにより、該混合ガスを燃焼させることが可能になる。
【0029】
〔第2実施形態〕
図5を参照しながら、第2実施形態に係るガスバーナー1を説明するが、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図5は、第2実施形態に係るガスバーナー1を模式的に説明する断面図である。
【0030】
図5において、送り機構40は、ハンドル41と、付勢バネ44と、シールボックス46と、位置決めボルト48とを備える。送り機構40による開度調整部30の直進移動は、前述したように、先端開孔23の開度と側面開孔25の開度とが逆になるように容易に調整できる。付勢バネ44およびシールボックス46は、位置決めボックス43の中に配設される。シールボックス46は、内管20の基部の側に固定される。シールボックス46は、複数のパッキン47を有する。パッキン47は、シャフト31を封止して燃料ガスの流出を防止する。
【0031】
付勢バネ44は、シャフト31の基端側に位置するフランジ39と、シールボックス46の基端側との間に配設される圧縮バネである。付勢バネ44は、開度調整部30のシャフト31を、内管20の長手方向(軸方向)において先端部21から離れる方向に(他側に)付勢する。位置決めボルト48は、位置決めボックス43の基部側に形成される挿通孔28を通じて配置される。雌ネジ部42は、位置決めボックスの基部側において、溶接などによって固定される。位置決めボルト48は雌ネジ部42と螺合する。位置決めボルト48は、その基部側においてハンドル41を有する。ロックナット49を緩めると、位置決めボルト48が可動になり、ロックナット49を締め付けると、位置決めボルト48の位置が固定される。
【0032】
可動になった位置決めボルト48を、ハンドル41を回すことにより内管20の先端部21から離れる方向に(他側に)移動させると、付勢バネ44の付勢力によって、開度調整部30のシャフト31が、内管20の先端部21から離れる方向に(他側に)移動する。これにより、先端開孔23の開度が増加するとともに側面開孔25の開度が減少する。ロックナット49を締め付けると、位置決めボルト48の位置が固定されることによって、先端開孔23および側面開孔25の各開度が固定される。
【0033】
ロックナット49を緩めて位置決めボルト48を可動にし、ハンドル41を回すことにより、付勢バネ44に抗しながら、位置決めボルト48を、内管20の先端部21に近づく方向に(一側に)移動させると、先端開孔23の開度が減少するとともに側面開孔25の開度が増加する。そして、ロックナット49を締め付けると、位置決めボルト48の位置が固定されることによって、先端開孔23および側面開孔25の各開度が固定される。
【0034】
したがって、ニードルバルブ32が内管20の長手方向(軸方向)において先端部21に近づく方向に(一側に)開度調整部30を移動させると、先端開孔23の開度が減少するとともに側面開孔25の開度が増加する。また、ニードルバルブ32が内管20の長手方向(軸方向)において先端部21から離れる方向に(他側に)開度調整部30を移動させると、先端開孔23の開度が増加するとともに側面開孔25の開度が減少する。これにより、高燃焼性燃料ガス(例えば水素)の燃焼に用いられる先端開孔23の開度と、低燃焼性燃料ガス(例えばアンモニア)の燃焼に用いられる側面開孔25の開度とが逆になるように調整できる。燃焼性の異なる燃料ガスに応じて、先端開孔23の開度と側面開孔25の開度とが逆になるように調整できるので、一つのガスバーナー1で異種の燃料ガスを燃焼させることが可能になる。また、燃焼性の異なる異種の燃料ガスを混合した混合ガスを作成し、該混合ガスの燃焼性に応じて先端開孔23の開度と側面開孔25の開度との割合を調整することにより、該混合ガスを燃焼させることが可能になる。
【0035】
したがって、
図5に示す第2実施形態の場合、位置決めボルト48は回転しながら内管20の長手方向(軸方向)に移動し、位置決めボルト48の駆動力はフランジ39を介してシャフト31に伝達されるが、シャフト31は、回転することなく、内管20の長手方向(軸方向)に直進移動する。すなわち、摺接筒35bを有するスライドバルブ35も、回転することなく、内管20の長手方向(軸方向)に直進移動する。これにより、
図5に示す第2実施形態において、後述するような(
図6や
図7に示すような)、直進移動のみを行う摺接片34bを有するスライドバルブ34を側面開度調整部として用いることができる。
【0036】
〔第3実施形態〕
図6を参照しながら、第3実施形態に係るガスバーナー1を説明するが、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図6は、第3実施形態に係る開度調整部30を模式的に説明する斜視図である。
【0037】
図6に示すように、ガスバーナー1における開度調整部30のスライドバルブ34は、L字状に屈曲した形状を有し、複数の支持片34aおよび摺接片34bを有する。支持片34aは、シャフト31の表面から径方向外側に延在する。摺接片34bは、支持片34aの外端に接続されて、内管20の長手方向(軸方向)において先端部21に向けて延在する。摺接片34bの外側面は、側面部22の内側面に当接する。開度調整部30が内管20の長手方向(軸方向)に直進移動するとき、摺接片34bの外側面は、側面部22の内側面に摺接する。スライドバルブ34の摺接片34bは、内管20の側面開孔25に対応した位置にあり、側面開孔25との係合具合によって、側面開孔25の開度を調整する。したがって、スライドバルブ34は側面開度調整部として働く。スライドバルブ34は、内管20に対して同軸である。
【0038】
したがって、開度調整部30において、先端開度調整部32は、先細形状を有して先端開孔23に係合するニードルバルブであり、側面開度調整部34は、内管20の側面に摺接して側面開孔25に係合するスライドバルブである。これにより、簡単な構造で、先端開孔23の開度と側面開孔25の開度とが逆になるように2つの開度調整を同時に実現できる。
【0039】
〔変形例〕
図7を参照しながら、変形例に係るガスバーナー1を説明するが、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図7は、変形例に係るガスバーナー1における内管20および開度調整部30の係合を説明する要部断面図である。
【0040】
図7において、内管20は、側面部22において、側面開孔25と、ガイド溝27とを有する。側面開孔25は、側面部22の先端部21寄りに形成されて、側面部22を貫通する長穴または矩形穴である。ガイド溝27は、側面部22の先端部21寄りであり且つ外側面において、側面開孔25に連なって形成されて、先端部21に向けて延在する凹部である。
【0041】
開度調整部30のスライドバルブ34は、
図6に示す第3実施形態と同様に、L字状に屈曲した形状を有し、支持片34aと、摺接片34bとを有する。支持片34aおよび摺接片34bは、側面開孔25に対応した位置にあるとともに側面開孔25に係合するように構成される。支持片34aは、シャフト31の表面から径方向外側に延在する。支持片34aは、側面開孔25に挿通され、側面開孔25の中で、内管20の長手方向(軸方向)に移動可能である。
【0042】
摺接片34bは、支持片34aの外端に接続されて、内管20の長手方向(軸方向)において先端部21に向けて延在する。摺接片34bの内側面は、ガイド溝27の外側面に当接する。開度調整部30が内管20の長手方向(軸方向)に直進移動するとき、摺接片34bの内側面は、ガイド溝27の外側面に摺接し、ガイド溝27が摺接片34bをガイドする。
【0043】
開度調整部30が内管20の長手方向(軸方向)に移動可能であるように、第1実施形態よりも、内管20の長手方向(軸方向)における側面開孔25の寸法が長くなっている。すなわち、側面開孔25における支持片34aの可動代の分だけ、内管20の長手方向(軸方向)における側面開孔25の延在長さが長くなっている。
【0044】
ニードルバルブ32が内管20の長手方向(軸方向)において先端部21に近づく方向に(一側に)開度調整部30を直進移動させると、先端開孔23の開度が減少するとともに側面開孔25の開度が増加する。また、ニードルバルブ32が内管20の長手方向(軸方向)において先端部21から離れる方向に(他側に)開度調整部30を直進移動させると、先端開孔23の開度が増加するとともに側面開孔25の開度が減少する。これにより、高燃焼性燃料ガス(例えば水素)の燃焼に用いられる先端開孔23の開度と、低燃焼性燃料ガス(例えばアンモニア)の燃焼に用いられる側面開孔25の開度とが逆になるように調整できる。燃焼性の異なる燃料ガスに応じて、先端開孔23の開度と側面開孔25の開度とが逆になるように調整できるので、一つのガスバーナー1で異種の燃料ガスを燃焼させることが可能になる。また、燃焼性の異なる異種の燃料ガスを混合した混合ガスを作成し、該混合ガスの燃焼性に応じて先端開孔23の開度と側面開孔25の開度との割合を調整することにより、該混合ガスを燃焼させることが可能になる。
【0045】
この発明の具体的な実施の形態や数値について説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0046】
上記の実施の形態では、燃料供給管5から内管20に供給する燃料ガスを高燃焼性燃料ガス(例えば水素)または低燃焼性燃料ガス(例えばアンモニア)に切り替えて、いずれか一方の燃料ガスに最適化することを例示した。
【0047】
しかしながら、高燃焼性燃料ガス(例えば水素)および低燃焼性燃料ガス(例えばアンモニア)を混合した混合燃料ガスを燃料ガスとして内管20に供給することもできる。混合燃料ガスは、高燃焼性および低燃焼性の間の燃焼性を、言い換えると中程度の燃焼性を有する。
図4の(B)に示すような、先端開孔23および側面開孔25の両方が開いた状態で、混合燃料ガスを燃焼することができる。したがって、燃焼性が異なる様々な燃料ガスを燃焼させることができる。
【0048】
また、上記の実施の形態では、第1燃料供給管6および第2燃料供給管8の2つを合流させて1つの燃料供給管5としたが、3つ以上の燃料供給管を1つに合流させる態様にしてもよい。また、燃料ガスの燃焼性に関係無く、1つの燃料供給管5に一種類の燃料ガスを供給し、先端開孔23の開度と側面開孔25の開度との割合を調整することにより、燃焼状態を調整する態様にしてもよいことは言うまでもない。
【0049】
また、先端開孔23に係合するニードルバルブ32は、尖った針形状のほか、円錐台形状であってもよい。
【0050】
なお、スライドバルブ35の摺接筒35bは、シャフト31の直進移動や回転移動のいずれの態様においても、内管20の側面開孔25の開度を調整することができるので、送り機構40を簡略化できる。
【0051】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0052】
この発明の一態様に係るガスバーナー1は、
燃料ガスを供給する内管20と、
前記内管20の外側を囲むとともに、支燃ガスを供給する外管10と、
前記内管20の中に配設されて、前記内管20の長手方向に移動する開度調整部30とを備え、
前記内管20は、その先端部21に配設される先端開孔23と、その側面部22に配設される側面開孔25とを有し、
前記開度調整部30は、前記先端開孔23の開度を調整する先端開度調整部32と、前記側面開孔25の開度を調整する側面開度調整部34とを有し、
前記開度調整部30が前記内管20の長手方向の一側に移動するとき、前記先端開孔23の開度が減少するとともに前記側面開孔25の開度が増加し、
前記開度調整部30が前記内管20の長手方向の他側に移動するとき、前記先端開孔23の開度が増加するとともに前記側面開孔25の開度が減少することを特徴とする。
【0053】
上記構成によれば、高燃焼性燃料ガス(例えば水素)の燃焼に用いられる先端開孔23の開度と、低燃焼性燃料ガス(例えばアンモニア)の燃焼に用いられる側面開孔25の開度とが逆になるように調整できる。燃焼性の異なる燃料ガスに応じて、先端開孔23の開度と側面開孔25の開度とが逆になるように調整できるので、一つのガスバーナー1で異種の燃料ガスを燃焼させることが可能になる。また、燃料ガスの燃焼性に関係無く、先端開孔23の開度と側面開孔25の開度との割合を調整することにより、燃焼状態の調整が可能になる。
【0054】
また、一実施形態のガスバーナー1では、
前記先端開度調整部32は、先細形状を有して前記先端開孔23に係合するニードルバルブであり、
前記側面開度調整部34,35は、前記内管20の側面に摺接して前記側面開孔25に係合するスライドバルブである。
【0055】
上記実施形態によれば、簡単な構造で、先端開孔23の開度と側面開孔25の開度とが逆になるように2つの開度調整を同時に実現できる。
【0056】
また、一実施形態のガスバーナー1では、
前記開度調整部30は、送り機構40によって、前記内管20の長手方向に直進移動する。
【0057】
上記実施形態によれば、送り機構40による開度調整部30の直進移動は、先端開孔23の開度と側面開孔25の開度とが逆になるように容易に調整できる。
【0058】
また、一実施形態のガスバーナー1では、
前記燃料ガスは、高燃焼性燃料ガス、低燃焼性燃料ガス、または、前記高燃焼性燃料ガスおよび前記低燃焼性燃料ガスを混合した混合燃料ガスである。
【0059】
上記実施形態によれば、燃焼性が異なる様々な燃料ガスを燃焼させることができる。
【符号の説明】
【0060】
1…ガスバーナー
3…支燃ガス供給管
4…支燃ガスバルブ
5…燃料供給管
6…第1燃料供給管
7…第1燃料バルブ
8…第2燃料供給管
9…第2燃料バルブ
10…外管
15…火口
20…内管
21…先端部
22…側面部
23…先端開孔
25…側面開孔
27…ガイド溝
28…挿通孔
30…開度調整部
31…シャフト
32…ニードルバルブ(先端開度調整部)
34…スライドバルブ(側面開度調整部)
34a…支持片
34b…摺接片
35…スライドバルブ(側面開度調整部)
35a…支持片
35b…摺接筒
37…ネジ軸
39…フランジ
40…送り機構
41…ハンドル
42…雌ネジ部
43…位置決めボックス
44…付勢バネ
45…シール材
46…シールボックス
47…パッキン
48…位置決めボルト
49…ロックナット