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特許7405894フルオロオレフィンの接触水素化、α-アルミナ担持パラジウム組成物、および水素化触媒としてのその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】フルオロオレフィンの接触水素化、α-アルミナ担持パラジウム組成物、および水素化触媒としてのその使用
(51)【国際特許分類】
   C07C 19/08 20060101AFI20231219BHJP
   C07C 17/354 20060101ALI20231219BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20231219BHJP
【FI】
C07C19/08
C07C17/354
C07B61/00 300
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022056644
(22)【出願日】2022-03-30
(62)【分割の表示】P 2019231971の分割
【原出願日】2012-05-16
(65)【公開番号】P2022087161
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2022-04-15
(31)【優先権主張番号】61/486,472
(32)【優先日】2011-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515269383
【氏名又は名称】ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パトリシア チャン
(72)【発明者】
【氏名】アレン キャプロン シーベルト
(72)【発明者】
【氏名】コンチェッタ ラマルカ
【審査官】三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/029240(WO,A1)
【文献】特許第7051795(JP,B2)
【文献】特表2011-510057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオロオレフィン2 およびパラジウム触媒と、任意選択的にヒドロフルオロアルカンを含む組成物であって、前記パラジウム触媒はAl23担体に担持させたパラジウムを含み、パラジウム濃度は、パラジウムおよび担体の合計重量に基づいて0.001重量%から0.04重量%であり、フルオロオレフィンはCF3CF=CF2であり、ヒドロフルオロアルカンはCF3CHFCHF2ある組成物。
【請求項2】
前記パラジウム触媒のパラジウム濃度は、パラジウムおよび担体の合計重量に基づいて0.015重量%から0.025重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、CF3CHFCHF2を含み、CF3CHFCHF2希釈剤対CF3CF=CF2のモル比が、100:1~1:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
CF3CHFCHF2対CF3CF=CF2のモル比が、5:1~1:1である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記担体は、α-Al23である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
2対フルオロオレフィンのモル比は、0.1:1から100:1である、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、担体に担持させたパラジウム触媒の存在下におけるフルオロオレフィンとH2との接触水素化反応、α-Al23に担持させたパラジウムの組成物、およびフルオロオレフィン接触水素化方法におけるその使用に関する。
【0002】
本出願は、特願2019-231971号に基づく分割出願であり、これは特願2018-109695号に基づく分割出願であり、これは特願2016-217418号に基づく分割出願であり、これは特願2014-511505号に基づく分割出願である。
【背景技術】
【0003】
ヒドロフルオロアルカンは、冷媒、溶媒、発泡剤、洗浄剤、エアゾール噴射剤、誘電体、消火剤およびパワーサイクル作動流体としてのその使用を含む広範な用途で利用可能である。例えばHFC-236ea(CF3CHFCHF2)は、熱移動媒体、泡膨張剤、消火剤その他として使用できる。同様に、HFC-245eb(CF3CHFCH2F)も、熱移動媒体、泡膨張剤、その他として使用できる。HFC-236eaおよびHFC-245ebはまた、オゾン破壊係数がゼロで地球温暖化係数が小さい冷媒であるHFO-1234yf(CF3CF=CH2)の製造における中間体でもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第7,560,602号明細書
【文献】米国特許第4,978,649号明細書
【文献】米国特許第5,136,113号明細書
【文献】米国特許出願公開第2006/0217579号明細書
【文献】米国特許第4,533,779号明細書
【非特許文献】
【0005】
【文献】F.A.Cotton and G.Wilkinson, Advanced Inorganic Chemistry, Fifth Edition, John Wiley &#38; Sons, 1988, page 211
【文献】Satterfield on pages 93-112 in Heterogeneous Catalysis in Industrial Practice, 2nd edition(McGraw-Hill, New York, 1991
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、水素化方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この方法は、パラジウム触媒の存在下で、反応ゾーンにおいてフルオロオレフィンとH2とを反応させてヒドロフルオロアルカン生成物を製造するステップを含み、前記パラジウム触媒は、担体に担持させたパラジウムを含み、そのパラジウム濃度は、パラジウムおよび担体との合計重量に対して約0.001重量%から約0.2重量%である。
【0008】
本開示はまた、α-Al23に担持させたパラジウムから本質的になるパラジウム触媒組成物に係るものであって、そのパラジウム濃度が、パラジウムおよびα-Al23との合計重量に対して約0.001重量%から約0.2重量%である、パラジウム触媒組成物も提供するものである。
【0009】
本開示はまた、パラジウム触媒の存在下で、反応ゾーンにおいてフルオロオレフィンとH2とを反応させてヒドロフルオロアルカン生成物を製造する接触水素化方法であって、前記パラジウム触媒が、α-Al23に担持させたパラジウムから本質的になり、そのパラジウム濃度が、パラジウムおよびα-Al23との合計重量に対して約0.001重量%から約0.2重量%であることを特徴とする、接触水素化方法も提供する。
【0010】
本開示はまた、(a)反応ゾーンにおいてフルオロオレフィンとH2とを含む混合物をパラジウム触媒(パラジウム触媒は担体に担持させたパラジウムからなる)の床に通すステップと、(b)ヒドロフルオロアルカン生成物を製造するステップとを含む接触水素化方法であって、前記床の前部にあるパラジウム触媒が、前記床の後部にあるパラジウム触媒より低パラジウム濃度であることを特徴とする、水素化方法も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
フルオロオレフィンの水素化反応は、極めて発熱性であり、このことが、不十分な温度制御、高レベルの望ましくない副生成物、および安全への懸念、その他へと導くおそれがある。いくつかの取組みが、熱を制御しようと模索されてきた。例えば、Van Der Puyらは、特許文献1に開示されているように、複数の蒸気相反応段階を使用した。そこには、不活性突起型充填物で希釈した1重量%のPd/C触媒を使用する取組みも開示されている。しかしながら、複数反応段階の設計は、複数の反応器および熱交換器を必要とすることから高価である。不活性パッキングで希釈したPd高添加(例えば1重量%)触媒を使用する取組みは、触媒表面上に高度に局在化したホットスポットおよび非常に貴重なPdの焼結をもたらすしうる。このように、良好な熱制御を伴う費用対効果の高い水素化方法への必要性がある。
【0012】
前述の発明の概要、および以下の発明を実施するための形態は、例示および説明のためのみのものであり、添付の特許請求の範囲で定義されている本発明を拘束するものではない。任意の1または複数の実施形態の、他の特徴および便益は、以下の発明を実施するための形態から、および特許請求の範囲から、明らかになる。
【0013】
本明細書で使用する場合、用語「含む(comprise, include)」、「含んでいる(comprising, including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、またはそれらの任意の他の変形用語は、非排他的包含に及ぶことが意図される。例えば、要素の列挙を含む、プロセス、メソッド、物品または装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されず、そのようなプロセス、メソッド、物品または装置に明示的に列挙されていない、またはそれらに固有でない、他の要素を含むこともある。さらに、逆のことが明示的に述べられていない限り、「または」は、「包含的または」であり、「排他的または」ではない。例えば、条件AまたはBは、以下の任意の1つにより満たされる:Aは正しく(または存在し)Bは誤りである(または存在していない)、Aは誤りであり(または存在せず)Bは正しい(または存在している)、およびAとBとの双方が正しい(または存在している)。
【0014】
また、単数(aまたはan)の使用は、本明細書に記載されている要素および構成要素を表すために利用される。これは、単に、便宜のため、および本発明の範囲の一般的な意味を与えるためになされる。この表現は、1つ、または少なくとも1つを含むと読まれるべきであり、単数は、明らかに別のことを意味していない限り、複数も含む。
【0015】
別段の定義がなされていない限り、本明細書で使用されている全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における業者が通常理解するのと同じ意味を有する。争議が生じた場合は、本明細書が、定義を含め、調整することになる。本明細書に記載されたものと類似または等価の方法および物質が、本発明の実施形態を実行または試験する際に使用され得るが、好適な方法および物質は下記に記載している。なお、物質、方法および実施例は、例示のためにのみあるのであって、限定することを意図していない。
【0016】
量、濃度、または他の値もしくはパラメータが、範囲、好ましい範囲として示されているか、または好ましい上位値および/または好ましい下位値の列挙として示されているとき、これは、範囲が別々に開示されているか否かにかかわらず、任意の上位の範囲限度または好ましい値と任意の下位の範囲限度または好ましい値との任意の一対から形成された、具体的に開示されている全範囲であると理解されるべきである。数値の範囲が本明細書において挙げられているところでは、別段の記載がない限り、その範囲は、その両端、およびその範囲内の全ての整数および分数を含むと意図される。
【0017】
用語「高温」は、本明細書で使用する場合、室温より高い温度を意味する。
【0018】
用語「水素化」は、本明細書で使用する場合、その間に、一対の水素原子をオレフィン中の二重結合に付加する方法を意味する。
【0019】
用語「フルオロオレフィン」は、本明細書で使用する場合、炭素、フッ素、任意選択で水素、および少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む分子を意味する。注目すべきは、式Cnm2n-m(式中、nは2から8の整数であり、mは0から2n-1の整数である)のフルオロオレフィンである。本発明のいくつかの実施形態では、nは2から7の整数である。本発明のいくつかの実施形態では、フルオロオレフィンは、3個から8個の炭素を有する末端フルオロオレフィン(すなわち炭素-炭素二重結合が末端の位置にある)である。本発明のいくつかの実施形態では、フルオロオレフィンは、3個から7個の炭素を有する末端フルオロオレフィンである。本開示における例示的なフルオロオレフィンには、CF3CF=CF2(HFP)、CF3CF=CHF(HFO-1225ye)、CF3CH=CF2、CF3CF=CH2、CF3CH=CHF、CF3CF=CFCF3、CF3CH=CHCF3、CF3CH=CFCF3、CF3CF2CF=CFCF3、CF3CF2CH=CHCF3、(CF32CFCF=CF2、CF3CF=CHC25、CF3CH=CFC25、C49CH=CH2、CF3CF2CF2CF2CF=CFCF3、CF3CF2CF2CF=CFCF2CF3、C25CH=CFCF225、C25CF=CHCF225、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0020】
用語「ヒドロフルオロアルカン」は、本明細書で使用する場合、水素、炭素およびフッ素を含む飽和分子を意味する。
【0021】
開示されているのは、反応ゾーンにおいてパラジウム触媒の存在下で、フルオロオレフィンをH2と反応させてヒドロフルオロアルカン生成物を製造するステップを含む水素化方法であって、パラジウム触媒は、担体に担持させたパラジウムを含み、そのパラジウム濃度は、パラジウムおよび担体との合計重量に対して約0.001重量%から約0.2重量%である、水素化方法である。本発明のいくつかの実施形態では、パラジウム触媒は、担体に担持させたパラジウムから本質的になり、そのパラジウム濃度は、パラジウムおよび担体との合計重量に対して約0.001重量%から約0.2重量%である。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態では、パラジウム触媒のパラジウム濃度は、パラジウムおよび担体との合計重量に対して約0.001重量%から約0.08重量%である。本発明のいくつかの実施形態では、パラジウム触媒のパラジウム濃度は、パラジウムおよび担体との合計重量に対して約0.001重量%から約0.04重量%である。本発明のいくつかの実施形態では、パラジウム触媒のパラジウム濃度は、パラジウムおよび担体との合計重量に対して約0.015重量%から約0.025重量%である。
【0023】
また開示されているのは、α-Al23に担持させたパラジウムから本質的になるパラジウム触媒組成物であって、そのパラジウム濃度は、パラジウムおよびα-Al23との合計重量に対して約0.001重量%から約0.2重量%である。また開示されているのは、こうしたPd/α-Al23組成物の、水素化方法における触媒としての使用である。したがって、本開示はまた、パラジウム触媒の存在下で、反応ゾーンにおいてフルオロオレフィンをH2と反応させてヒドロフルオロアルカン生成物を製造するステップを含む水素化方法であって、パラジウム触媒が、α-Al23に担持させたパラジウムから本質的になり、そのパラジウム濃度が、パラジウムおよびα-Al23との合計重量に対して約0.001重量%から約0.2重量%であることを特徴とする、水素化方法を提供する。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態では、Pd/α-Al23組成物のパラジウム濃度は、パラジウムおよびα-Al23との合計重量に対して約0.001重量%から約0.08重量%である。本発明のいくつかの実施形態では、Pd/α-Al23組成物のパラジウム濃度は、パラジウムおよびα-Al23との合計重量に対して約0.001重量%から約0.04重量%である。本発明のいくつかの実施形態では、Pd/α-Al23組成物のパラジウム濃度は、パラジウムおよびα-Al23との合計重量に対して約0.015重量%から約0.025重量%である。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態では、フルオロオレフィン出発物質はCnm2n-mであり、ヒドロフルオロアルカン生成物はCnm+22n-mであって、式中、nは2から8の整数であり、mは0から2n-1の整数である。本発明のいくつかの実施形態では、フルオロオレフィン出発物質はCF3CF=CF2であり、ヒドロフルオロアルカン生成物はCF3CHFCHF2である。本発明のいくつかの実施形態では、フルオロオレフィン出発物質はCF3CF=CHFであり、ヒドロフルオロアルカン生成物はCF3CHFCH2Fである。本発明のいくつかの実施形態では、フルオロオレフィン出発物質は2つ以上のフルオロオレフィンの混合物である。例えば、フルオロオレフィン出発物質はCF3CF=CF2とCF3CF=CHFとの混合物とすることができ、対応するヒドロフルオロアルカン生成物はCF3CHFCHF2とCF3CHFCH2Fとの混合物である。別の例では、フルオロオレフィン出発物質はCF3CF=CF2とCF3CF=CFCF3との混合物とすることができ、対応するヒドロフルオロアルカン生成物はCF3CHFCHF2とCF3CHFCHFCF3との混合物である。さらに別の例では、フルオロオレフィン出発物質はCF3CF=CF2とCF3CF=CFC25との混合物とすることができ、対応するヒドロフルオロアルカン生成物はCF3CHFCHF2とCF3CHFCHFC25との混合物である。さらに別の例では、フルオロオレフィン出発物質はCF3CF=CFC25とC25CF=CFCF225との混合物とすることができ、対応するヒドロフルオロアルカン生成物はCF3CHFCHFC25とC25CHFCHFCF225との混合物である。さらに別の例では、フルオロオレフィン出発物質はCF3CF=CHC25とCF3CF=CFC25との混合物とすることができ、対応するヒドロフルオロアルカン生成物はCF3CHFCH225とCF3CH2CHFC25との混合物である。さらに別の例では、フルオロオレフィン出発物質はCF3CF=CHFとCF3CF=CHC25とCF3CH=CFC25との混合物とすることができ、対応するヒドロフルオロアルカン生成物はCF3CHFCH2FとCF3CHFCH225とCF3CH2CHFC25との混合物である。さらに別の例では、フルオロオレフィン出発物質はCF3CF=CHFとCF3CH=CFCF3との混合物とすることができ、対応するヒドロフルオロアルカン生成物はCF3CHFCH2FとCF3CH2CHFCF3との混合物である。
【0026】
本開示におけるいくつかのフルオロオレフィン、例えばHFO-1225yeは、異なる立体配置的異性体または立体異性体として存在する。特定の異性体が指定されていないとき、本開示には、全ての立体配置的異性体、立体異性体、またはそれらの任意の組合せが含まれると意図される。例えばHFO-1225yeは、E異性体、Z異性体、または双方の異性体の任意の比による任意の組合せ物または混合物を表すことになる。
【0027】
フルオロオレフィンとH2との間の水素化反応は、パラジウム触媒の存在下で実施される。本開示におけるパラジウム触媒は、担体に担持させた、微細に分割したゼロ価のパラジウム金属である。本発明のいくつかの実施形態では、担体は、Al23、フッ素化Al23、AlF3、炭素、Cr23、SiO2、TiO2、ZrO2およびZnOからなる群から選択される。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態では、担体は炭素である。本発明の実施形態において使用される炭素は、任意の以下の源に由来していてもよい:木、泥炭、石炭、ココナッツ殻、骨、亜炭、石油系残渣および糖。使用してもよい市販の炭素には、以下の商標で販売されているものが挙げられる:Barneby & Sutcliffe(商標)、Darco(商標)、Nucharm、Columbia JXN(商標)、Columbia LCK(商標)、Calgon(商標)PCB、Calgon(商標)BPL、Westvaco(商標)、Norit(商標)、Takeda(商標)およびBarnaby Cheny NB(商標)。
【0029】
炭素にはまた、三次元マトリックス多孔性炭素質物質が挙げられる。例には、特許文献2に記載されているものがある。本発明のいくつかの実施形態では、炭素には、気体性または蒸気性の炭素含有化合物(例えば炭化水素)を炭素質物質(例えばカーボンブラック)の細粒の塊の中へ導入するステップと、炭素含有化合物を分解してその細粒の表面上に炭素を堆積させるステップと、得られた物質を、蒸気を含むアクチベーターガスで処理して多孔性炭素質物質を生成するステップとにより得られる三次元マトリックス炭素質物質が挙げられる。炭素-炭素複合物質は、このようにして形成される。
【0030】
炭素には、洗浄していない炭素、および酸洗浄した炭素が挙げられる。本発明のいくつかの実施形態では、好適な炭素担体は、炭素を、HNO3、HCl、HF、H2SO4、HClO4、CH3COOH、およびそれらの組合せなどの酸で処理することにより調製してもよい。本発明のいくつかの実施形態では、酸はHClまたはHNO3である。酸処理は、典型的には、1000ppm未満の灰分を含む炭素を生成するのに十分である。いくつかの好適な炭素の酸処理が、記載されている(例えば、特許文献3)。本発明のいくつかの実施形態では、炭素担体を、脱イオン水の中で調製した酸の1モル溶液中に、穏やかに撹拌しながら一晩浸漬する。次いで炭素担体を分離し、脱イオン水で少なくとも10回洗浄するか、または洗浄液のpHが約3になるまで洗浄する。(本発明のいくつかの実施形態では、次いで、炭素担体を再度、脱イオン水の中で調製した酸の1モル溶液中に、穏やかに撹拌しながら12から24時間浸漬する。)次いで、炭素担体を、標準手順で試験したときに洗浄液が酸の陰イオン(例えばCl-またはNO3 -)を実質的に含まなくなるまで、脱イオン水で最後に洗浄する。次いで炭素担体を分離し、120℃で乾燥する。次いで、洗浄した炭素を、脱イオン水の中で調製した1モルのHF中に、室温で、随時撹拌しながら48時間浸漬する(例えばプラスチックビーカーの中で)。炭素担体を分離し、洗浄液のpHが4を超えるまで、脱イオン水により、50℃で、繰り返し洗浄する。次いで炭素担体を、空気中、150℃で60時間乾燥し、その後、空気中、300℃で3時間か焼し、それを担体として使用する。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態では、炭素は活性炭である。本発明のいくつかの実施形態では、炭素は、酸洗浄した活性炭である。この炭素は、粉末、細粒またはペレットその他の形態とすることができる。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態では、担体はAl23である。アルミナとしても知られるAl23は、いくつかの異なる相、例えばα-、γ-、δ-、η-、θ-およびχ-アルミナで存在する。α-Al23(コランダム)において、酸化物イオンは六角形の最密構造を形成し、アルミニウムイオンは八面体のすき間の間に対称的に分配される(例えば、非特許文献1を参照のこと)。γ-Al23は、「欠陥」スピネル構造(陽イオンが欠損しているスピネルの構造)を有する。同書。本発明のいくつかの実施形態では、担体はα-Al23である。実験を通じて得られた驚くべき発見は、パラジウム触媒のための担体としてα-Al23を使用する水素化方法では、担体として他の種類のアルミナ(例えばγ-Al23)を使用したときの他の類似の水素化方法よりも、産出する副生成物が少ないことであった。
【0033】
アルミナは、当技術分野で公知の方法により調製してもよい。例えば、バイヤー法が、ボーキサイトからアルミナを製造するために当業界で広く使用されている。α-Al23は、γ-Al23または任意の水和酸化物を1000℃超で加熱することにより調製することができる。同書。γ-Al23は、水和酸化物を約450℃で脱水することにより調製できる。同書。
【0034】
本開示において使用されるアルミナは、任意の好適な形状および寸法のものとすることができる。例えば、アルミナは、粉末、細粒、球体または平板その他の形態とすることができる。典型的に、本開示において使用されるアルミナの表面積は、約1m2/gから約500m2/gである。本発明のいくつかの実施形態では、アルミナの表面積は、約1m2/gから約200m2/gである。本発明のいくつかの実施形態では、アルミナの表面積は、約1m2/gから約50m2/gである。本発明のいくつかの実施形態では、アルミナの表面積は、約1m2/gから約10m2/gである。本発明のいくつかの実施形態では、アルミナの表面積は、約3m2/gから約7m2/gである。
【0035】
パラジウムは、当技術分野で公知の技術を使用して担体に堆積させることができる。例えば、パラジウム触媒は、非特許文献2によって一般的に記載されている含浸法により調製してもよい。典型的に、含浸法では、パラジウム塩を溶媒中に溶解してパラジウム塩溶液を形成する。本開示のための好適なパラジウム塩の例には、硝酸パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウムおよびパラジウムアンミン錯体が挙げられる。好適な溶媒の例には、水およびアルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール)が挙げられる。次いで、担体をパラジウム塩溶液で含浸させる。本発明のいくつかの実施形態では、担体を、過剰量のパラジウム塩溶液に浸す。本発明のいくつかの実施形態では、含浸のために、初期湿潤技術を使用する。初期湿潤方法では、担体のバッチを回転させて、適当な量のパラジウム塩溶液で噴霧する(溶液の量は、担体の細孔を充填するのにちょうど十分か、またはやや少ない量となるよう計算する)。パラジウム塩溶液の濃度は、完成触媒の、担体に添加されたパラジウムの濃度が所望のものとなるように計算または調節してもよい。初期湿潤技術はまた、Baileyにより、特許文献4においても説明されている。
【0036】
含浸した担体を、次いで、典型的には高温で乾燥する。任意選択で、含浸し乾燥した担体をか焼する。か焼は、温度約100℃から約600℃で典型的に実施する。本発明のいくつかの実施形態では、か焼は、不活性ガス(例えば窒素、アルゴン)および/または酸素の存在下で実施する。次いで、得られた触媒は典型的には、還元剤で処理してから、使用する。本発明のいくつかの実施形態では、得られた触媒は、水素の流れの中で、高温で、還元する。水素流は、窒素、ヘリウムまたはアルゴンなどの不活性ガスで希釈してもよい。還元温度は、典型的に約100℃から約500℃である。本発明のいくつかの実施形態では、還元は、Boitiauxらにより説明されているように(特許文献5参照)、液相において、ヒドラジンまたはギ酸により実施してもよい。
【0037】
水素化方法は、液相または蒸気相において、周知の化学工学の手法を用いて実施することができ、これには、連続式操作、半連続式操作またはバッチ操作が挙げられる。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態では、水素化方法は液相において実施する。液相水素化の反応温度は、典型的に約0℃から約200℃である。本発明のいくつかの実施形態では、液相水素化の反応温度は、約25℃から約100℃である。液相水素化の圧力は、1気圧未満から30気圧以上まで、大きな幅がある。
【0039】
任意選択で、液相水素化方法は溶媒の存在下で行う。溶媒は、極性または非極性とすることができる。好適な極性溶媒には、水、アルコール、グリコール、酢酸、ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン(NMP)、トリエチルアミン、およびそれらの混合物が挙げられる。本発明のいくつかの実施形態では、極性溶媒は、メタノール、エタノール、またはそれらの混合物である。好適な非極性溶媒には、不活性低誘電アルカン(例えばノナンおよびシクロヘキサン)ならびに不活性低誘電芳香族化合物(例えばトルエン、ベンゼンおよびオルトキシレン)が挙げられる。本発明のいくつかの実施形態では、溶媒は、所期のヒドロフルオロアルカン生成物とすることもできる。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態では、水素化方法は蒸気相において実施する。蒸気相水素化の反応温度は、典型的に、ほぼ室温から約300℃である。本発明のいくつかの実施形態では、気相水素化の反応温度は、約50℃から約200℃である。
【0041】
気相水素化方法は、超大気圧、大気圧、または大気圧より低い圧力で行うことができる。本発明のいくつかの実施形態では、気相水素化の反応圧力は、約10psigから約500psigである。本発明のいくつかの実施形態では、気相水素化の反応圧力は、約50psigから約200psigである。
【0042】
本開示の気相水素化方法は、当技術分野で公知の方法により行ってもよい。本発明のいくつかの実施形態では、フルオロオレフィンとH2との出発物質を、任意選択で希釈剤と一緒に、パラジウム触媒を容れた反応器へ共供給する。本発明のいくつかの実施形態では、フルオロオレフィンとH2との出発物質を、任意選択で希釈剤と一緒に、反応器中のパラジウム触媒床に通す。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態では、気相水素化方法は、希釈剤なしで行う。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態では、気相水素化方法は、希釈剤の存在下で行う。本発明のいくつかの実施形態では、希釈剤を、フルオロオレフィンとH2との出発物質と一緒に、反応ゾーンへ共供給する。本発明のいくつかの実施形態では、反応ゾーンへ共供給する希釈剤対フルオロオレフィン出発物質のモル比は、約100:1から約1:1である。本発明のいくつかの実施形態では、反応ゾーンへ共供給する希釈剤対フルオロオレフィン出発物質のモル比は、約10:1から約1:1である。本発明のいくつかの実施形態では、反応ゾーンへ共供給する希釈剤対フルオロオレフィン出発物質のモル比は、約5:1から約1:1である。希釈剤は、本開示の水素化条件下で反応しない不活性ガスとすることができる。本発明のいくつかの実施形態では、希釈剤は、He、ArまたはN2である。希釈剤は、所期のヒドロフルオロアルカン生成物とすることもできる。例えばフルオロオレフィン出発物質がHFPであるとき、反応温度を制御するための希釈剤としてHFC-236eaを使用することができる。本発明のいくつかの実施形態では、HFC-236ea希釈剤を、HFPおよびH2と一緒に、反応ゾーンへ共供給する。別の例では、フルオロオレフィン出発物質がHFO-1225yeであるとき、反応温度を調節するための希釈剤としてHFC-245ebを使用することができる。本発明のいくつかの実施形態では、HFC-245eb希釈剤を、HFO-1225yeおよびH2と一緒に、反応ゾーンへ共供給する。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態では、希釈剤は、飽和炭化水素および飽和ヒドロフルオロカーボンからなる群から選択される。好適な飽和炭化水素には、メタン、エタン、プロパンその他などのC1からC8アルカンが挙げられる。好適な飽和ヒドロフルオロカーボンには、CHF3、CH22、CHF2CF3、CHF2CHF2、CH2FCF3、CF3CF3、CF3CF2CF3、CF3CHFCH2F、CF3CH2CHF2、CF3CHFCH3、CF3CH2CH2F、CF3CHFCHF2、CF3CH2CF3、CF3CF2CH2F、CF3CH2CH2CF3、CF3CHFCHFC25、C614およびC25CHFCHFC37などのC1からC8の飽和ヒドロフルオロカーボンが挙げられる。
【0046】
気相水素化方法において反応ゾーンへ供給されるH2とフルオロオレフィンのモル比は、非常に多様であり得る。典型的には、気相水素化方法において反応ゾーンへ供給されるH2対フルオロオレフィンのモル比は、約0.1:1から約100:1である。本発明のいくつかの実施形態では、そのモル比は、約0.5:1から約5:1である。本発明のいくつかの実施形態では、そのモル比は、約0.9:1から約3:1である。
【0047】
気相水素化の反応ゾーンからの流出物は、典型的に、反応していない出発物質、希釈剤(その方法において使用している場合)、所望のヒドロフルオロアルカン生成物、およびいくつかの副生成物を含む生成物混合物である。所望のヒドロフルオロアルカン生成物は、従来の方法により生成物混合物から回収してもよい。本発明のいくつかの実施形態では、所望のヒドロフルオロアルカン生成物は、蒸留によって精製または回収してもよい。本発明のいくつかの実施形態では、反応していない出発物質、および任意選択で希釈剤(その方法において使用している場合)を回収し、反応ゾーンへ戻して再利用する。
【0048】
また開示されているのは、(a)反応ゾーンにおいてフルオロオレフィンとH2とを含む気体混合物または液体混合物をパラジウム触媒(パラジウム触媒は担体に担持させたパラジウムを含む)の床に通すステップと、(b)ヒドロフルオロアルカン生成物を製造するステップと、を含む水素化方法であって、床の前部にあるパラジウム触媒が、床の後部にあるパラジウム触媒より低いパラジウム濃度を有することを特徴とする、水素化方法である。床の前部は触媒床への流れの入口であり、床の後部は触媒床からの流れの出口である。本発明のいくつかの実施形態では、床の前部における触媒のパラジウム濃度はパラジウムおよび担体との合計重量に対して約0.001重量%から約0.2重量%であり、床の後部における触媒のパラジウム濃度はパラジウムおよび担体との合計重量に対して約0.1重量%から約1重量%である。本発明のいくつかの実施形態では、床の前部における触媒のパラジウム濃度はパラジウムおよび担体との合計重量に対して約0.001重量%から約0.08重量%であり、床の後部における触媒のパラジウム濃度はパラジウムおよび担体との合計重量に対して約0.2重量%から約0.8重量%である。本発明のいくつかの実施形態では、床の前部における触媒のパラジウム濃度はパラジウムおよび担体との合計重量に対して約0.001重量%から約0.04重量%であり、床の後部における触媒のパラジウム濃度はパラジウムおよび担体との合計重量に対して約0.3重量%から約0.6重量%である。本発明のいくつかの実施形態では、床の前部における触媒のパラジウム濃度はパラジウムおよび担体との合計重量に対して約0.015重量%から約0.025重量%であり、床の後部における触媒のパラジウム濃度はパラジウムおよび担体との合計重量に対して約0.3重量%から約0.6重量%である。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態では、触媒床は、長さが同じまたは異なる2つ以上のセクションを含み、各セクションは、同じパラジウム濃度を有するパラジウム触媒を含む。例えば、触媒床は、前部セクションと後部セクションを含むことができ、この場合、前部セクションはパラジウム濃度が0.02重量%であるパラジウム触媒を含み、後部セクションはパラジウム濃度が0.5重量%であるパラジウム触媒を含み、前部セクションの長さは合計床長の約60%であり、後部セクションの長さは合計床長の約40%である。本発明のいくつかの実施形態では、触媒床はパラジウム触媒を含み、これは、触媒床の前部から後部へパラジウムの濃度が連続的に高くなる。
【0050】
反応器、蒸留塔、およびそれらに付随する供給ライン、流出物ライン、および本発明の実施形態の方法を適用する際に使用する関連ユニットは、耐腐食性材料で構成されてもよい。典型的な構成材料には、Teflon(商標)およびガラスが挙げられる。典型的な構成材料にはまた、ステンレス鋼、特に、周知のニッケル高合金であるオーステナイト型のものが挙げられ、Monel(商標)ニッケル-銅合金、Hastelloy(商標)ニッケル系合金、およびInconel(商標)ニッケル-クロム合金、ならびに銅被覆鋼などがある。
【0051】
多くの態様および実施形態を上に記載しているが、これらは単に例示であって、限定するものではない。本明細書を読んだ後、当業者であれば、他の態様および実施形態も、本発明の範囲から逸脱することなく可能であることを理解する。
【実施例
【0052】
本明細書で記載する概念を、以下の実施例においてさらに説明するが、これは、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限定しない。
【0053】
記号の説明
245ebは、CF3CHFCH2Fである
236eaは、CF3CHFCHF2である
HFPは、CF3CF=CF2である
254ebは、CH3CHFCF3である
1225yeは、CF3CF=CHFである
【0054】
実施例1~5のための一般手順
以下の一般手順により、温度測定のための反応器および熱電対のレイアウトを例示する。水素化反応は、気体混合物をパラジウム触媒の床に通すことにより実施した。本明細書で使用する1225yeは、Z異性体を97~98%、E異性体を2~3%含んでいた。反応器流出物の一部は、GC-FIC(ガスクロマトグラフ-水素炎イオン化検出器)を用いた有機生成物分析のために、オンラインで標本抽出した。
【0055】
再循環熱油システムで被筒している、垂直に方向付けたHastelloy(商標)反応器(1インチのOD、0.065インチの壁)を、下記の実験の全てにおいて使用した。反応器に、1/8インチの球形、または1/8インチ×1/8インチの平板の形態のパラジウム触媒28.6cm3を装填した。反応器中のパラジウム触媒床を、高さ3インチまで上昇させ、1/8インチのDenstone(商標)α-Al23球体(頂部にある)と1/4インチのHastelloy(商標)突起型充填物(底部にある)との間に充填した。
【0056】
出発物質と希釈剤との気体混合物を予熱し、反応器の頂部から入れ底部から出してその中を通した。反応器の中心に沿って位置させた1/8インチの熱電対により、8つの地点:-0.5インチ、0インチ、0.5インチ、1インチ、1.5インチ、2インチ、2.5インチおよび3インチで温度プロフィールを測定した。「-0.5インチ」の地点は触媒床の上約0.5インチであり、「0インチ」の地点は触媒床のほぼ頂部であり、「0.5インチ」の地点は触媒床の頂部の下約0.5インチなどであった。
【0057】
(実施例1)
実施例1は、0.1重量%のPd/α-Al23を通したHFPの水素化は熱制御が良好であり、HFC-236eaの良好な産出量を、高い選択性を伴ってもたらすことを明示している。
【0058】
HFP、H2および236eaの気体混合物を、反応器へ供給した。HFPの流量を表1に示す。気体混合物におけるHFPに対するH2または236eaの量も表1に示す。表1はまた、反応器中の温度プロフィール、および反応器からの流出物の組成の分析結果も示している。
【0059】
【表1】
【0060】
(実施例2)
実施例2は、0.04重量%のPd/α-Al23を通したHFPの水素化は熱制御が良好であり、HFC-236eaの良好な産出量を、高い選択性を伴ってもたらすことを明示している。
【0061】
HFP、H2および236eaの気体混合物を、反応器へ供給した。HFPの流量を表2に示す。気体混合物におけるHFPに対するH2または236eaの量も表2に示す。表2はまた、反応器中の温度プロフィール、および反応器からの流出物の組成の分析結果も示している。
【0062】
【表2】
【0063】
(実施例3)
実施例3は、0.02重量%のPd/α-Al23を通したHFPの水素化は熱制御が良好であり、HFC-236eaの良好な産出量を、高い選択性を伴ってもたらすことを明示している。
【0064】
HFP、H2および236eaの気体混合物を、反応器へ供給した。HFPの流量を表3に示す。気体混合物におけるHFPに対するH2または236eaの量も表3に示す。表3はまた、反応器中の温度プロフィール、および反応器からの流出物の組成の分析結果も示している。
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
(実施例4)
実施例4は、0.1重量%のPd/α-Al23を通した1225yeの水素化は熱制御が良好であり、HFC-245ebの良好な産出量を、高い選択性を伴ってもたらすことを明示している。
【0068】
1225ye、H2および245ebの気体混合物を、反応器へ供給した。1225yeの流量を表4に示す。気体混合物における1225yeに対するH2または245ebの量も表4に示す。表4はまた、反応器中の温度プロフィール、および反応器からの流出物の組成の分析結果も示している。
【0069】
【表5】
【0070】
【表6】
【0071】
(実施例5)
実施例5は、0.02重量%のPd/α-Al23を通した1225yeの水素化は熱制御が良好であり、HFC-245ebの良好な産出量を、高い選択性を伴ってもたらすことを明示している。
【0072】
1225ye、H2および245ebの気体混合物を、反応器へ供給した。1225yeの流量を表5に示す。気体混合物における1225yeに対するH2または245ebの量も表5に示す。表5はまた、反応器中の温度プロフィール、および反応器からの流出物の組成の分析結果も示している。
【0073】
【表7】
【0074】
【表8】
【0075】
(実施例6~7のための一般手順)
以下の一般手順により、温度測定のための反応器および熱電対のレイアウトを例示する。水素化反応は、気体混合物をパラジウム触媒の床に通すことにより実施した。反応器流出物の一部は、GC-FIC(ガスクロマトグラフ-水素炎イオン化検出器)を用いた有機生成物分析のために、オンラインで標本抽出した。
【0076】
アルミニウムスリーブにより被筒したInconel(商標)反応器(5/8インチのOD、0.034インチの壁)を、下記の実験の全てにおいて使用した。スリーブを、5インチ長ヒーターバンド加熱炉により加熱した。反応器に、1/8インチの球形、または1/8インチ×1/8インチの平板の形態のパラジウム触媒5cm3を装填した。
【0077】
HFP、H2およびN2を50℃に予熱し、反応器の中を、触媒床の頂部から底部への方向で通した。加熱炉の温度を、アルミニウムスリーブ内部の熱電対により制御した。反応器の中心に沿って位置させた1/16インチの熱電対により、触媒床のほぼ頂部(0インチ地点)で、および頂部の下約1インチ(1インチ地点)で、温度プロフィールを測定した。
【0078】
(実施例6)
実施例6は、0.3重量%のPd/γ-Al23を通したHFPの水素化は、かなりの量の245eb副生成物を産出することを明示している。
【0079】
HFP、H2およびN2の気体混合物を、反応器へ供給した。HFPの流量を表6に示す。気体混合物におけるHFPに対するH2またはN2の量も表6に示す。表6はまた、反応器中の温度プロフィール、および反応器からの流出物の組成の分析結果も示している。
【0080】
【表9】
【0081】
(実施例7)
実施例7は、0.3重量%のPd/α-Al23を通したHFPの水素化は、245eb副生成物を産出しないことを明示している。
【0082】
HFP、H2およびN2の気体混合物を、反応器へ供給した。HFPの流量を表7に示す。気体混合物におけるHFPに対するH2またはN2の量も表7に示す。表7はまた、反応器中の温度プロフィール、および反応器からの流出物の組成の分析結果も示している。
【0083】
【表10】
【0084】
発明の概要、または実施例において上に記載した作業の全てが必要とされるのではないこと、特定の作業の一部は必要でない場合があること、記載した作業に加えて1または複数のさらなる作業を実施してもよいことに留意されたい。またさらに、列挙している作業の順序は、必ずしもこれらを実施する順序であるとは限らない。
【0085】
前述の明細書において、概念は、特定の実施形態に準拠して説明してきた。しかしながら、当業者であれば、下記の特許請求の範囲で設定されている本発明の範囲から逸脱することなく、種々の修正および変更をなし得ることを理解する。したがって、本明細書は、限定的な意味合いではなく例示的な意味合いであるとみなされるべきであり、全てのこうした修正は本発明の範囲内に含まれていると意図される。
【0086】
便益、他の利点、および問題解決策は、特定の実施形態に関して上に記載した。しかしながら、便益、利点、問題解決策、および任意の便益、利点または解決策を起こさせることもある任意の特徴、または一層明白にさせることもある任意の特徴は、任意のまたは全ての特許請求の範囲の、重要な、必要とされる、または必須の特徴であると解釈されるべきではない。
【0087】
本明細書において明快性のために別々の実施形態に関して記載されている特徴は、単一の実施形態において組み合わせて実現することもできることを理解されたい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態に関して記載されている種々の特徴は、別々に、または任意の副次的組合せにおいて実現することもできる。