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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】表示パネル、表示装置及び補償方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20231219BHJP
   G09G 3/3266 20160101ALI20231219BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20231219BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/3266
G09G3/20 624B
G09G3/20 680G
G09G3/20 622G
G09G3/20 611F
G09G3/20 611H
G09G3/20 611J
G09F9/30 365
G09F9/30 338
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022080892
(22)【出願日】2022-05-17
(62)【分割の表示】P 2018550568の分割
【原出願日】2017-12-04
(65)【公開番号】P2022116085
(43)【公開日】2022-08-09
【審査請求日】2022-06-13
(31)【優先権主張番号】201710335194.4
(32)【優先日】2017-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】林 奕呈
(72)【発明者】
【氏名】李 全▲虎▼
(72)【発明者】
【氏名】▲蓋▼ 翠▲麗▼
(72)【発明者】
【氏名】王 雨
(72)【発明者】
【氏名】朱 明毅
(72)【発明者】
【氏名】黄 建邦
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0073928(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0139252(US,A1)
【文献】特開平03-033724(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0062567(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
G09F 9/30
H10K 59/10
H10K 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルであって、
複数の行と複数の列とに配列される複数のサブ画素と、
前記複数のサブ画素と接続される複数のデータラインと、
前記複数のサブ画素と接続される複数の検知駆動ラインと
前記複数の検知駆動ラインと接続される検知ドライバとを含み、
前記複数のサブ画素のそれぞれは、画素回路を含み、前記画素回路は、発光素子を含み、
前記検知ドライバは、前記複数の検知駆動ラインを介して前記複数のサブ画素における前記画素回路の前記発光素子の電気パラメータを検知するように配置され、
前記複数のサブ画素は、画素ユニットを構成し、前記画素ユニットは、四つのサブ画素を含み、
前記四つのサブ画素の画素回路は、前記複数のデータラインのうち同一のデータラインと接続され、
前記四つのサブ画素の前記画素回路の前記発光素子、前記複数の検知駆動ラインのうち四つの検知駆動ラインと1対1の対応で接続され
前記表示パネルは、前記複数のサブ画素の画素回路と接続される複数の検知制御ラインをさらに含み、
前記四つのサブ画素の前記画素回路は、前記複数の検知制御ラインのうち二つの検知制御ラインと接続され、
前記画素ユニットでは、前記四つのサブ画素が、第1行と第1列に配列された第1のサブ画素と、第1行と第2列に配列された第2のサブ画素と、第2行と第1列に配列された第3のサブ画素と、第2行と第2列に配列された第4のサブ画素とを含み、
前記第1のサブ画素と前記第2のサブ画素とは、前記二つの検知制御ラインのうち一方と接続され、
前記第3のサブ画素と前記第4のサブ画素とは、前記二つの検知制御ラインのうち他方と接続される
表示パネル。
【請求項2】
前記画素ユニットでは、前記四つのサブ画素が2行と2列とに配列される
請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記複数のサブ画素の画素回路と接続される複数のゲートラインをさらに含み、
前記四つのサブ画素の画素回路は、前記複数のゲートラインのうち二つのゲートラインと接続され
記第1のサブ画素と前記第2のサブ画素とは、前記二つのゲートラインのうち一方と接続され、
前記第3のサブ画素と前記第4のサブ画素とは、前記二つのゲートラインのうち他方と接続される
請求項1または請求項に記載の表示パネル。
【請求項4】
記検知ドライバは、電気パラメータに従って補償信号を生成し、前記複数の検知駆動ラインを介して前記複数のサブ画素の画素回路に対して前記補償信号を伝送するように配置される
請求項1または請求項に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記複数のサブ画素の画素回路と接続される複数のゲートラインをさらに含み、
前記複数のサブ画素のうち同一の行のサブ画素の画素回路は、前記複数のゲートラインのうち同一のゲートラインと接続されている
請求項1または請求項に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記複数のサブ画素の画素回路と接続される複数のゲートラインをさらに含み、
前記複数のサブ画素のうち第2m-1行のサブ画素の画素回路と前記複数のサブ画素のうち第2m行のサブ画素の画素回路は、前記複数のゲートラインのうち同一のゲートラインと接続されており、ここで、mが0より大きな整数である
請求項1または請求項に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記複数のデータラインと前記複数の検知駆動ラインは、延伸方向が同じである
請求項1または請求項に記載の表示パネル。
【請求項8】
前記複数のサブ画素のうち各2列のサブ画素の画素回路の間には、前記複数のデータラインのうち一つだけ、又は、前記複数の検知駆動ラインのうち一つだけが設置されている
請求項1または請求項に記載の表示パネル。
【請求項9】
前記複数のデータラインと前記複数の検知駆動ラインは、同一の層において形成される
請求項1または請求項に記載の表示パネル。
【請求項10】
前記画素回路は、前記発光素子が動作の際に発光するように駆動する発光駆動回路と、前記複数の検知駆動ラインのうち一つの検知駆動ラインと前記画素回路における前記発光駆動回路との接続及び切断を制御するように配置される検知駆動制御回路とをさらに含む
請求項1または請求項に記載の表示パネル。
【請求項11】
前記発光駆動回路は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、蓄積容量とを含み、
前記第1のトランジスタの第1の極は、第1の電源電圧を受信するように第1の電源ラインと接続され、前記第1のトランジスタのゲートは、第1のノードと接続され、前記第1のトランジスタの第2の極は、第2のノードと接続され、
前記第2のトランジスタの第1の極は、データ信号を受信するように複数の前記データラインのうち、前記画素回路に対応する前記データラインと接続され、前記第2のトランジスタのゲートは、ゲート駆動信号を受信するようにゲートラインと接続され、前記第2のトランジスタの第2の極は、前記第1のノードと接続され、
前記蓄積容量の第1の端は、前記第1のノードと接続され、前記蓄積容量の第2の端は、前記第2のノードと接続されている
請求項10に記載の表示パネル。
【請求項12】
前記検知駆動制御回路は、第3のトランジスタを含み、
前記第3のトランジスタの第1の極は、第2のノードと接続され、前記第3のトランジスタのゲートは、検知駆動制御信号を受信するように、前記複数の検知制御ラインのうち、前記画素回路に対応する知制御ラインと接続され、前記第3のトランジスタの第2の極は、前記複数の検知駆動ラインのうち、前記画素回路に対応する検知駆動ラインと接続されている
請求項10に記載の表示パネル。
【請求項13】
前記複数のサブ画素の画素回路にデータ信号を提供するように配置されるデータドライバと、前記複数のサブ画素の前記画素回路にゲート駆動信号を提供するように配置される走査ドライバとをさらに含む
請求項1または請求項に記載の表示パネル。
【請求項14】
前記発光素子は、有機発光ダイオードであり、
前記電気パラメータは、前記有機発光ダイオードの発光電流又は発光電圧を含み、前記補償信号は、補償電圧又は補償電流を含む
請求項に記載の表示パネル。
【請求項15】
請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の表示パネルを含む表示装置。
【請求項16】
請求項1~請求項14のいずれか1項に記載の表示パネルにおける補償方法であって、
前記複数の検知駆動ラインを介して前記複数のサブ画素における前記画素回路の前記発光素子の電気パラメータを検知するステップと、
前記電気パラメータに従って補償信号を生成するステップと、
前記複数の検知駆動ラインを介して前記複数のサブ画素の前記画素回路に前記補償信号を伝送するステップとを含む
補償方法。
【請求項17】
前記発光素子の電気パラメータを検知する前に、
前記複数のデータラインを介して前記画素回路にデータ信号を伝送するステップをさらに含む
請求項16に記載の補償方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は、表示パネル、表示装置及び補償方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示分野において、有機発光ダイオード(OLED)表示パネルは、自発光、ハイコントラスト、省エネ、広視野角、高速応答、可撓性パネルへの適用、広い使用温度、簡単な製造といった特長を有し、且つ、広い発展の展望を有する。
【0003】
上記の特長によれば、有機発光ダイオード(OLED)表示パネルは、携帯電話、ディスプレイ、ノートブック型パソコン、デジタルカメラ、計量器やメーターといった、表示機能を備える装置に適用することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2015/176108号
【文献】特開2011-095720号公報
【文献】特開2016-126337号公報
【文献】特開2007-286150号公報
【発明の概要】
【0005】
本開示の少なくとも一つの実施例は、表示パネルを提供する。該表示パネルは、それぞれに画素回路を含むサブ画素であって複数の行と複数の列とに配列される複数のサブ画素と、前記複数のサブ画素の画素回路のそれぞれと接続される複数の検知駆動ラインと、前記複数の検知駆動ラインと接続される検知ドライバとを含む。前記画素回路は、発光素子を含み、前記検知ドライバは、前記複数の検知駆動ラインを介して前記複数のサブ画素の画素回路の発光素子の電気パラメータを検知するように配置され、そして、前記電気パラメータに従って補償信号を生成し、前記複数の検知駆動ラインを介して前記複数のサブ画素の画素回路に対して前記補償信号を伝送するように配置される。
【0006】
例えば、一実施例による表示パネルは、前記複数のサブ画素の画素回路と接続される複数のデータラインをさらに含み、各データラインは、同一の行における少なくとも二つのサブ画素の前記画素回路と接続されている。
【0007】
例えば、一実施例による表示パネルは、前記複数のサブ画素の画素回路と接続される複数のゲートラインをさらに含み、各行の前記サブ画素の画素回路は、同一の前記ゲートラインと接続されている。
【0008】
例えば、一実施例による表示パネルは、前記複数のサブ画素の画素回路と接続される複数のゲートラインをさらに含み、第2m-1行の前記サブ画素の画素回路と第2m行の前記サブ画素の画素回路は、同一の前記ゲートラインと接続されており、ここで、mが0より大きな整数である。
【0009】
例えば、一実施例による表示パネルにおいて、各列の前記サブ画素の画素回路は、同一の前記検知駆動ラインと接続されている。
【0010】
例えば、一実施例による表示パネルにおいて、前記複数のデータラインと前記複数の検知駆動ラインは、延伸方向が同じである。
【0011】
例えば、一実施例による表示パネルにおいて、各二列の前記サブ画素の画素回路の間には、前記データラインのみが設置され、又は、前記検知駆動ラインのみが設置されている。
【0012】
例えば、一実施例による表示パネルにおいて、前記複数のデータラインと前記複数の検知駆動ラインは、同一の層において形成される。
【0013】
例えば、一実施例による表示パネルにおいて、第2n-1列のサブ画素の画素回路と第2n列のサブ画素の画素回路は、同一のデータラインと接続され、ここで、nが0より大きな整数である。
【0014】
例えば、一実施例による表示パネルにおいて、前記画素回路は、前記発光素子が動作の際に発光するように駆動する発光駆動回路と、前記検知駆動ラインと前記画素回路における発光駆動回路との接続及び切断を制御するように配置される検知駆動制御回路とをさらに含む。
【0015】
例えば、一実施例による表示パネルにおいて、前記発光駆動回路は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、蓄積容量とを含む。前記第1のトランジスタの第1の極は、第1の電源電圧を受信するように第1の電源ラインと接続され、前記第1のトランジスタのゲートは、第1のノードと接続され、前記第1のトランジスタの第2の極は、第2のノードと接続されており、前記第2のトランジスタの第1の極は、データ信号を受信するように前記データラインと接続され、前記第2のトランジスタのゲートは、ゲート駆動信号を受信するようにゲートラインと接続され、前記第2のトランジスタの第2の極は、前記第1のノードと接続されており、前記蓄積容量の第1の端は、前記第1のノードと接続され、前記蓄積容量の第2の端は、前記第2のノードと接続されている。
【0016】
例えば、一実施例による表示パネルにおいて、前記検知駆動制御回路は、第3のトランジスタを含み、前記第3のトランジスタの第1の極は、第2のノードと接続され、前記第3のトランジスタのゲートは、検知駆動制御信号を受信するように検知駆動制御ラインと接続され、前記第3のトランジスタの第2の極は、前記検知駆動ラインと接続されている。
【0017】
例えば、一実施例による表示パネルは、前記画素回路にデータ信号を提供するように配置されるデータドライバと、前記画素回路にゲート駆動信号を提供するように配置される走査ドライバとをさらに含む。
【0018】
例えば、一実施例による表示パネルにおいて、前記発光素子は、有機発光ダイオードであり、前記電気パラメータは、前記発光ダイオードの発光電流又は発光電圧であり、前記補償信号は、補償電圧又は補償電流である。
【0019】
本開示の少なくとも一つの実施例は、上記いずれか1つに記載の表示パネルを含む表示装置を提供する。
【0020】
本開示の少なくとも一つの実施例は、上記いずれか1つに記載の表示パネルにおける補償方法を提供する。該補償方法は、前記検知駆動ラインを介して前記発光素子の電気パラメータを検知するステップと、前記電気パラメータに従って補償信号を生成するステップと、前記検知駆動ラインを介して前記画素回路に前記補償信号を伝送するステップとを含む。
【0021】
例えば、少なくとも一つの実施例による方法は、前記発光素子の電気パラメータを検知する前に、前記データラインを介して前記画素回路にデータ信号を伝送するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
以下、本開示の実施例の技術案をさらに明確に説明するために、実施例又は関連する技術を記述するに必要な図面を簡単に説明し、もちろん、次の記述における図面は、本開示の一部の実施例に関するものに過ぎず、本開示を限定するものではない。
【0023】
図1】本開示の実施例が提供する表示パネルの模式図である。
図2】本開示の実施例が提供する図1の区域Aにおける画素回路の接続関係の模式図のその1である。
図3】本開示の実施例が提供する図1の区域Aにおける画素回路の接続関係の模式図のその2である。
図4】本開示の実施例が提供する図1の区域Aにおける画素回路の接続関係の模式図のその3である。
図5】本開示の実施例が提供する表示パネルにおける画素回路の模式図のその1である。
図6A】本開示の実施例が提供する表示パネルにおける画素回路の模式図のその2である。
図6B】本開示の実施例が提供する表示パネルにおける画素回路の模式図のその3である。
図7図6Aに示す画素回路における第1のトランジスタを流す電流を検知する模式図である。
図8図6Aに示す画素回路における有機発光ダイオードの発光電圧を検知する模式図である。
図9】本開示の実施例が提供する表示装置の模式図である。
図10】本開示の実施例が提供する補償方法のフローチャートのその1である。
図11】本開示の実施例が提供する補償方法のフローチャートのその2である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の実施例の目的、技術案、及び利点がさらに明確になるように、以下に本開示の実施例の図面を参照しながら、本開示実施例の技術案を明確かつ完全に記述する。もちろん、記述される実施例は、本開示の一部の実施例だけであり、全ての実施例ではない。記述される本開示の実施例に基づいて、当業者にとって創造的な労働を必要しないことを前提に得られる全ての他の実施例は、本開示の保護の範囲に入る。
【0025】
特別な定義がない限り、ここで使用される技術用語又は科学用語は、当業者にとって理解される通常の意味であるべきである。本開示で使用される「第1」、「第2」、及び類似する言葉は、順序、数量又は重要性のいずれかを示すものではなく、異なる構成部分を区別するためのものに過ぎない。同様に、「含む」又は「含める」といった言葉は、該言葉の前に現れた素子又は部品が該言葉の後に例示された素子又は部品及びその等価物をカバーすることを意味するが、他の素子又は部品を排除しない。「接続」又は「連続」といった言葉は、物理的又は機械的接続に限定されなく、直接又は間接を問わず、電気的接続を含んでもよい。「上」、「下」、「左」、「右」などは、相対位置の関係を示すものだけであり、記述する対象の絶対位置が変ると、該相対位置の関係もそれに応じて変わる可能性がある。
【0026】
例えば、有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode,OLED)表示パネルにおいて、各画素回路における駆動トランジスタの閾値電圧は、製造プロセスにより互いに異なり、且つ、駆動トランジスタの閾値電圧は、例えば温度変化の影響により、ドリフトの現象が生じる可能性がある。従って、各駆動トランジスタの閾値電圧の違いにより、表示パネルの表示が不均一になってしまう可能性もある。従って、駆動トランジスタの閾値電圧に対して補償することが必要とされる。
【0027】
表示パネルにおける画素回路については、有機発光ダイオードの発光電流又は発光電圧を検知することで、画素回路における駆動トランジスタの閾値補償を実現してもよい。上記の補償方式を採用する場合は、検知ラインを設置することが必要とされ、検知ラインと他の線路(例えば、ゲートライン又はデータライン)との間に寄生容量が生じ、それりより、回路のRC負荷が増加されて検知速度が低減され、検知時間が不十分になりやすい。
【0028】
一方、表示パネルの開口率が表示の輝度に影響し、従って、どのように表示パネルの開口率を向上するかも、解決すべき問題点となる。
【0029】
本開示の少なくとも一つの実施例が提供する表示パネル、表示装置及び補償方法は、隣接する画素回路がデータラインを共用することで開口率を向上し、寄生容量を減少することができ、さらに、検知駆動ラインを多重化することで、有機発光ダイオードの発光電流又は発光電圧の検知と、駆動トランジスタの閾値電圧ドリフトに対する補償とを完成することができる。
【0030】
本開示の少なくとも一つの実施例は、表示パネルを提供する。該表示パネルは、それぞれに画素回路を含むサブ画素であって複数の行と複数の列とに配列される複数のサブ画素と、前記複数のサブ画素の画素回路のそれぞれと接続される複数の検知駆動ラインと、前記複数の検知駆動ラインと接続される検知ドライバとを含む。前記画素回路は、発光素子を含み、前記検知ドライバは、前記複数の検知駆動ラインを介して前記複数のサブ画素の画素回路の発光素子の電気パラメータを検知するように配置され、そして、前記電気パラメータに従って補償信号を生成し、前記複数の検知駆動ラインを介して前記複数のサブ画素の画素回路に対して前記補償信号を伝送するように配置される。
【0031】
本開示の少なくとも一つの実施例は、表示パネルを提供する。該表示パネルは、それぞれに画素回路を含むサブ画素であってアレイに配列される複数のサブ画素と、画素回路のと接続される検知駆動ラインと、同一の行における少なくとも二つの画素回路と接続されるデータラインと、検知駆動ラインと接続される検知ドライバとを含む。画素回路は、有機発光ダイオードを含み、検知ドライバは、検知駆動ラインを介して有機発光ダイオードの発光電流又は発光電圧を検知するように配置され、検知ドライバは、発光電流又は発光電圧に従って補償信号を生成し、検知駆動ラインを介して画素回路に対して補償信号を伝送するようにさらに配置される。
【0032】
例えば、発光素子(例えば、有機発光ダイオード)の発光電流の検知とは、有機発光ダイオードを流れる又は流れている発光電流を検知することを指し、発光素子(例えば、有機発光ダイオード)の発光電圧の検知とは、有機発光ダイオードの発光の際の陽極の電圧を検知することを指す。
【0033】
以下、表示パネルとして有機発光ダイオード表示パネルを例に説明するが、本開示の実施例は、これに限られなく、例えば、発光素子は、無機発光ダイオードといった他のエレクトロルミネッセンス素子であってもよい。
【0034】
例えば、図1は、本開示の少なくとも一つの実施例が提供する表示パネルの模式図であり、図2は、本開示の実施例が提供する図1の区域Aにおける画素回路の接続関係の模式図のその1である。
【0035】
例えば、図1図2に示すように、本開示の実施例が提供する表示パネル10は、アレイに配列される複数のサブ画素を含み、これらのサブ画素が複数の行及び複数の列に配列され、且つ、これらのサブ画素は、規則的な行及び列に配列され、つまり、行方向と列方向との両方においてサブ画素が互いに揃えられてもよく、不規則な行及び列に配列され、例えば、隣接する二行又は隣接する二列の間に互いに所定の距離(例えば、半のサブ画素の広さ又は高さ)ずれてもよく、本開示の実施例では、これを特に制限しない。各サブ画素は、画素回路100を含み、画素回路100は、有機発光ダイオードといった発光素子を含む。表示パネル10は、データドライバ11、検知ドライバ12、走査ドライバ13、データラインData、ゲートラインGate、及び検知駆動ラインSeをさらに含む。図1図2においては、複数のデータラインDataが互いに平行であって縦方向に延伸し、複数のゲートラインGateが互いに平行であって横方向に延伸し、複数の検知駆動ラインSeが互いに平行であって縦方向に延伸する。
【0036】
例えば、データドライバ11は、画素回路100にデータ信号を提供するように配置されている。検知ドライバ12は、検知駆動ラインSeを介して発光素子(例えば、有機発光ダイオード)の電気パラメータを検知するように配置されており、該電気パラメータは、例えば、発光素子の発光電流又は発光電圧である。検知ドライバ12は、検知された発光電流又は発光電圧に従って補償信号を生成し、検知駆動ラインSeを介して画素回路100に該補償信号を伝送するようにさらに配置されており、該補償信号は、例えば、補償電流又は補償電圧である。走査ドライバ13は、画素回路100にゲート駆動信号を提供するように配置されている。
【0037】
例えば、各データラインDataは、同一の行における少なくとも二つのサブ画素の画素回路100及びデータドライバ11と接続されており、データドライバ11は、同一のデータラインDataを介して同一の行における少なくとも二つのサブ画素の画素回路100にデータ信号を提供する。
【0038】
例えば、本開示の少なくとも一つの実施例が提供する表示パネルにおいて、各列のサブ画素の画素回路100は、同一の検知駆動ラインSeと接続されることができる。検知ドライバ12は、1つの検知駆動ラインSeを介して、例えば、時分割で1つの列のサブ画素の画素回路100における発光素子の電気パラメータ(発光電流又は発光電圧)を検知することができる。検知ドライバ12は、検知された電気パラメータに従って補償信号(例えば、補償電流又は補償電圧)を生成し、且つ、該検知駆動ラインSeを介して、例えば、時分割で該列の画素回路100に該補償信号を伝送することで、発光素子の光度を制御することもできる。
【0039】
例えば、データドライバ11、検知ドライバ12、及び走査ドライバ13のそれぞれは、専用集積回路チップによって実現されてもよく、回路又はソフトウェア、ハードウェア(回路)、ファームウェア又はこれらの任意の組み合わせを採用して実現されてもよい。例えば、少なくとも一つの実施例において、データドライバ11と検知ドライバ12は、同一の集積回路チップによって実現されてもよく、走査ドライバ13は、GOA(gate on array)ゲート駆動回路によって実現されてもよく、これによって、表示パネル上に直接に製造することが可能となり、走査ドライバ13は、集積回路チップによって実現され、その後、回路基板(例えば、フレキシブル回路基板)等の方式でゲートライン等に電接続されてもよい。
【0040】
さらに例えば、検知ドライバ12は、プロセッサ、メモリを含んでもよい。本開示の実施例において、プロセッサは、データ信号を処理することができ、例えば、複雑命令セットコンピュータ(CISC)構造、構造縮小命令セットコンピュータ(RISC)構造、又は複数の命令セットの組み合わせを実行するための構造といった各種の計算構造を含んでもよい。いくつかの実施例において、プロセッサは、X86プロセッサやARMプロセッサといったマイクロプロセッサであってもよく、又は、デジタルプロセッサ(DSP)等であってもよい。プロセッサは、所望の機能を実行するように他の部品を制御することができる。本開示の実施例において、メモリは、プロセッサによって実行される命令及び/又はデータを記憶してもよい。例えば、メモリは、一つまたは複数のコンピュータプログラム製品を含んでもよく、前記コンピュータプログラム製品は、例えば、揮発性メモリ及び/又は非揮発性メモリといった様々な形態のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を含んでもよい。前記揮発性メモリは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又はキャッシュ(cache)等を含んでもよい。前記非揮発性メモリは、例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードディスク、フラッシュメモリ等を含んでもよい。前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、一つ又は複数のコンピュータプログラム命令を記憶してもよく、プロセッサは、前記プログラム命令を実行することにより、本開示の実施例において(プロセッサによって実現される)所望の機能を実現する。前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、各種のアプリケーションプログラム及び各種のデータ、例えば前記アプリケーションプログラムによって使用される及び/又は生成される各種のデータを記憶してもよい。
【0041】
例えば、表示パネル10は、コントローラ(図示せず)を含んでもよい。該コントローラは、データドライバ11、検知ドライバ12、及び走査ドライバ13と信号的に結合され、データドライバ11、検知ドライバ12、及び走査ドライバ13が協同して動作するように、データドライバ11、検知ドライバ12、及び走査ドライバ13に制御命令及び/又はシーケンス信号を提供するように配置されている。例えば、コントローラは、回路又はソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア又はこれらの任意の組み合わせを採用して実現してもよい。例えば、該コントローラは、タイミングコントローラ(T-CON)であり、表示パネルの外部から入力される画像データを受信し、データドライバに復号された画像データを提供し、そして、ゲートドライバとデータドライバに走査制御信号とデータ制御信号等を出力する。
【0042】
例えば、データドライバ11と検知ドライバ12は、検知ドライバ12とデータドライバ11との間にデータが交換するように、一緒に接続されてもよい。
【0043】
例えば、本開示の少なくとも一つの実施例が提供する表示パネルにおいて、同一の行における第2n-1列のサブ画素の画素回路100と第2n列のサブ画素の画素回路100は、同一のデータラインDataと接続されており、ここで、nが0より大きな整数である。
【0044】
例えば、図2に示すように、同一の行において同一のデータラインDataに接続される二つの画素回路100は、それぞれに、二つの異なるゲートラインGateと接続されている。さらに例えば、同一の行のおいて、第2n-1列のサブ画素の画素回路100は、一つのゲートラインGateと接続され、隣接する第2n列のサブ画素の画素回路100は、他の一つのゲートラインGateと接続されており、ここで、二つのゲートラインは、互いに隣接して設置されてもよく、例えば、隣接する二行のサブ画素の間に設置されてもよい。このように設置すれば、第2n-1列のサブ画素の画素回路100と第2n列のサブ画素の画素回路100が時分割にオンにすることができ、これによって、共用のデータラインDataを利用して、該データラインDataを共用する画素回路100のそれぞれに対して異なるデータ信号を提供し易くする。
【0045】
例えば、図2に示すように、表示パネル10は、検知駆動制御ラインSCをさらに含み、検知駆動制御ラインSCは、走査ドライバ13と接続されており、検知駆動制御ラインSCとゲートラインGateは、走査ドライバ13を共用することができる。つまり、走査ドライバ13は、検知駆動制御ラインSCとゲートラインGateのそれぞれに対して検知駆動制御信号とゲート駆動信号を提供することができる。
【0046】
例えば、図3に示すように、本開示の実施例が提供する表示パネルにおいて、各行のサブ画素の画素回路100は、同一のゲートラインGateと接続されてもよい。このように設置すれば、同一の行の画素回路100は、同時にオンにされ、共用のデータラインDataは、該データラインDataを共用する同一行における画素回路100に同じデータ信号を提供してもよい。この場合に、該データラインDataを共用する画素回路100において、有機発光ダイオードの発光輝度は、検知駆動ラインSeが画素回路100に伝送する補償電圧により制御されてもよく、具体的な補償手順は、下文に詳しく説明する。図2に示す設置方式と比べると、図3に示す設置方式は、ゲートラインGateの数量を低減(ゲートラインGateの数量は、例えば、図2に示す設置方式の半分に低減)することで、さらに、表示パネルの開口率を増大して寄生容量を減少するとともに、表示パネルの配線及び生産をし易くする。
【0047】
例えば、図4に示すように、本開示の少なくとも一つの実施例が提供する表示パネルにおいて、第2m-1行のサブ画素の画素回路と第2m行のサブ画素の画素回路は、同一のゲートラインと接続されてもよく、ここで、mが0より大きな整数である。このように設置すれば、第2m-1行のサブ画素の画素回路100と第2m行のサブ画素の画素回路100は、同時にオンにされ、共用のデータラインDataは、その隣接する二列において該データラインDataを共用する二行の画素回路100に同じデータ信号を提供し、該データラインDataを共用する二行の画素回路100において有機発光ダイオードの発光輝度は、検知駆動ラインSeから画素回路100へ伝送する補償電圧により制御されてもよく、具体的な補償手順は、下文に詳しく説明する。図2図3に示す実施例の設置方式と比べて、図4に示す実施例の設置方式は、ゲートラインGateの数量を低減(ゲートラインGateの数量は、例えば、図2に示す設置方式の四分の一に低減)することで、さらに、表示パネルの開口率を増大して寄生容量を減少するとともに、表示パネルの配線及び生産をし易くする。つまり、表示パネルは、二行走査という方式を採用してもよい。つまり、いつでも二行の画素回路が充電状態にあり、元の順次走査方式の二倍の充電時間を画素回路ごとに提供することができ、画面品質を保証し、特に、大型、高解像度のOLED表示製品に好適である。
【0048】
例えば、検知駆動制御ラインSCとゲートラインGateは、走査ドライバ13を共用するケースに限定されない。図4に示すように、少なくとも一つの実施例において、表示パネル10は、走査ドライバ13と独立する検知駆動制御回路14をさらに含み、検知駆動制御ラインSCと検知駆動制御回路14とが接続され、検知駆動制御回路14は、検知駆動制御ラインSCに検知駆動制御信号を提供することができる。図に示すように、走査ドライバ13と検知駆動制御回路14は、サブ画素アレイの両側に位置されるが、両者が同一側に位置してもよい。
【0049】
例えば、図4に示す実施例において同一列の異なる行の画素回路100は、検知駆動ラインSeを共用し、従って、同一列の異なる行の画素回路100については、同一列の異なる行の画素回路100と検知駆動ラインSeが時分割に接続するように検知駆動制御ラインSCを介して制御し、これによって、検知駆動ラインSeを介して同一列の異なる行の画素回路100に対して異なる補償電圧を伝送することを実現する。
【0050】
例えば、図2乃至図4に示すように、本開示の少なくとも一つの実施例が提供する表示パネルにおいて、データラインDataと検知駆動ラインSeとは、延伸方向が同じであってもよい。このように設置方式によれば、データドライバ11と検知ドライバ12との設置をし易くするとともに、データラインDataと検知駆動ラインSeが重なることを回避することで寄生容量を減少する。
【0051】
例えば、図2乃至図4に示すように、本開示の少なくとも一つの実施例が提供する表示パネルにおいて、各二列のサブ画素の画素回路100の間には、データラインData又は検知駆動ラインSeのいずれか1つのみが設置されている。このような設置方式によれば、データラインDataと検知駆動ラインSeとの間の相互影響を減小し、さらに、寄生容量を減少し、表示品質を向上することができる。
【0052】
例えば、本開示の少なくとも一つの実施例が提供する表示パネルにおいて、データラインDataと検知駆動ラインSeは、同一層において形成されてもよい。つまり、データラインDataと検知駆動ラインSeは、同一のパターニングプロセスを採用して同一の材料層を使用して形成されてもよい。このようにすれば、パターニングプロセスの数量(つまり、マスクの使用量)を減少し、製造プロセスを簡単化し、コストを削減することができる。
【0053】
例えば、本開示の少なくとも一つの実施例が提供する表示パネル10は、第1の電源ライン(図示せず)をさらに含んでもよく、第1の電源ラインは、複数の画素回路100に第1の電源電圧VDDを提供するように配置されている。
【0054】
例えば、表示パネル10は、第2の電源ライン(図示せず)をさらに含んでもよく、第2の電源ラインは、複数の画素回路100に第2の電源電圧VSSを提供するように配置されている。例えば、第2の電源ラインは、有機発光ダイオードOLEDの陰極と接続されてもよい。
【0055】
例えば、第1の電源電圧VDDは、高レベル電圧(例えば、5V)であってもよく、第2の電源電圧VSSは、例えば、低レベル電圧(例えば、0V又はアース)である。
【0056】
例えば、図5に示すように、本開示の少なくとも一つの実施例が提供する表示パネルにおいて、画素回路100は、発光駆動回路110と、検知駆動制御回路120とをさらに含む。発光駆動回路110は、有機発光ダイオードOLEDが動作の際に発光するように駆動する。検知駆動制御回路120は、検知駆動ラインSeと画素回路100における発光駆動回路110との接続及び切断を制御するように配置されている。
【0057】
例えば、図5及び図6Aに示すように、本開示の少なくとも一つの実施例が提供する表示パネルにおいて、発光駆動回路110は、第1のトランジスタT1(駆動トランジスタ)、第2のトランジスタT2、及び蓄積容量Cstを含む。第1のトランジスタT1の第1の極は、第1の電源電圧VDDを受けるように第1の電源ラインと接続され、第1のトランジスタT1のゲートは、第1のノードN1と接続され、第1のトランジスタT1の第2の極は、第2のノードN2と接続されており、第2のトランジスタT2の第1の極は、データ信号を受けるようにデータラインDataと接続され、第2のトランジスタT2のゲートは、ゲート駆動信号を受けるようにゲートラインGateと接続され、第2のトランジスタT2の第2の極は、第1のノードN1と接続されており、蓄積容量Cstの第1の端は、第1のノードN1と接続され、蓄積容量Cstの第2の端は、第2のノードN2と接続されている。
【0058】
例えば、有機発光ダイオードOLEDの陽極が第2のノードN2が接続される場合に、有機発光ダイオードOLEDの陰極が第2の電源電圧VSSが電接続され、例えば、第2の電源ラインを介して第2の電源電圧VSSと電接続される。
【0059】
例えば、図5及び図6Aに示すように、本開示の少なくとも一つの実施例が提供する表示パネルにおいて、検知駆動制御回路120は、第3のトランジスタT3を含み、第3のトランジスタT3の第1の極は、第2のノードN2と接続され、第3のトランジスタT3のゲートは、検知駆動制御信号を受けるように検知駆動制御ラインSCと接続され、第3のトランジスタT3の第2の極は、検知駆動ラインSeと接続されている。
【0060】
図6Bは、四つのサブ画素ユニットを示し、各サブ画素は、図6Aに示す画素回路を有する。例えば、図に第1の行に位置して互いに隣接する二つのサブ画素は、同一のデータラインDataを共有し、同一のゲートラインGate1及び同一の検知制御ラインSC1に接続されているが、各サブ画素は、それぞれに異なる検知ラインSe1とSe2に接続されている。図に第2の行に位置して互いに隣接する二つのサブ画素は、同じ方式で接続されている。図に左側の一列に位置するサブ画素は、同一のデータラインDataを共有し、異なるゲートラインGate1及びGate2に接続され、異なる検知制御ラインSC1及びSC2に接続され、異なる検知ラインSe1及びSe3に接続される、又は同じ検知ラインに接続されている。図に右側の一列に位置するサブ画素は、同じ方式で接続されている。
【0061】
なお、本開示の実施例において採用されるトランジスタのすべては、薄膜トランジスタや電界効果トランジスタ、又は他の特性の同じであるスイッチング装置であってもよい。ここで採用されるトランジスタのソース、ドレインは、構造的に対称であってもよいので、そのソースとドレインは、構造的に違いがなくてもよい。本開示の実施例では、トランジスタのゲート以外の両極を区別するために、直接に、その中の一極を第1の極とし、他の一極を第2の極として記述した。従って、本開示実施例において全て又は一部のトランジスタの第1の極と第2の極は、必要に応じて交換することができる。例えば、本開示実施例のトランジスタの第1の極は、ソースであってもよく、第2の極は、ドレインであってもよい。又は、トランジスタの第1の極は、ドレインであり、第2の極は、ソースである。また、トランジスタの特性に従って区別すると、トランジスタをN型及びP型トランジスタに分け、本開示の実施例は、トランジスタのタイプを限定しなく、当業者は、実際の必要に応じてN型及び/又はP型トランジスタを利用して本開示における実施例を実現することができる。
【0062】
なお、本開示の少なくとも一つの実施例は、図5又は図6A及び図6Bに示す画素回路を含むが、これに限定されるものではなく、他の構造の画素回路であってもよい。例えば、少なくとも一つの実施例において、画素回路は、他のサブ回路をさらに含んでもよい。例えば、第1のトランジスタのゲートをリセットするためのリセット回路、有機発光ダイオードの発光を制御するための発光制御回路等をさらに含んでもよい。例えば、トランジスタ、容量等の素子をさらに含んで内部補償等の機能を実現してもよい。ここで重複の説明を省略する。
【0063】
例えば、図6Aに示す画素回路については、有機発光ダイオードの検知段階において、画素回路100における第3のトランジスタT3をオンにするように検知駆動制御ラインSCによって制御し、これによって、検知ドライバ12が検知駆動ラインSeを介して有機発光ダイオードの発光電流又は発光電圧を検知し、これによって、該有機発光ダイオードの電気パラメータ(電気パラメータの変化も含める)を取得する。例えば、図7に示すように、第1のトランジスタT1を流れる電流(発光段階において、第1のトランジスタT1を流れる電流は、有機発光ダイオードOLEDが発光するように駆動する)を検知する場合に、第1のトランジスタT1、第2のトランジスタT2、及び第3のトランジスタT3の全てがオンにされ、有機発光ダイオードOLEDがオフにされている。例えば、図8に示すように、有機発光ダイオードOLEDの発光電圧を検知する場合に、第1のトランジスタT1がオフにされ、第2のトランジスタT2と第3のトランジスタT3との全てがオンにされており、例えば、この時、データ信号が低レベルである。例えば、検知ドライバ12によって検知された発光電流又は発光電圧と、該画素回路に予め定められた発光電流又は発光電圧とが一致しない場合に、検知ドライバ12は、検知された発光電流又は発光電圧に従って補償電圧Vseを生成する、又は補償電流を生成する。
【0064】
例えば、発光段階において、例えば、電圧源又は電流源によって、検知駆動ラインSeを介して該画素回路に該補償電圧Vse又は補償電流を印加してもよい。例えば、有機発光ダイオードOLEDの発光電流Ioledは、次の飽和電流公式を満たすものである。
Ioled=K(Vgs-Vth)=K(Vdata-Vse-Vth)
ここで、
【数1】
μが第1のトランジスタT1のトンネル移動度であり、Coxが第1のトランジスタT1の単位面積のトンネル容量であり、WとLのそれぞれが第1のトランジスタT1のトンネル広さとトンネル長さであり、Vthが第1のトランジスタT1の閾値電圧であり、Vgsが第1のトランジスタT1(駆動トランジスタ)のゲートソース電圧(第1のトランジスタT1のゲート電圧とソース電圧との差)である。データラインDataが第1のトランジスタT1のゲートと接続されるため、第1のトランジスタT1のゲート電圧がデータラインから伝送されるデータ電圧Vdataである。検知駆動ラインSeが第3のトランジスタT3を介して第1のトランジスタT1のソースと接続されるため、第3のトランジスタT3がオンにされる場合に、第1のトランジスタT1のソース電圧が検知駆動制御ラインSCから伝送される補償電圧Vseである。上記の有機発光ダイオードOLEDの飽和電流公式から分かるように、有機発光ダイオードOLEDの発光電流Ioledは、トンネル移動度μと、データラインから伝送されるデータ電圧Vdataと、検知ドライバ12から検知駆動ラインSeを介して伝送される補償電圧Vseと、第1のトランジスタT1の閾値電圧Vthと関係し、従って、補償電圧Vseの大きさを調整することで、閾値電圧Vthドリフトの影響を補償することができ、これによって、有機発光ダイオードOLEDの発光電流Ioledを、予め定められた発光電流にする。
【0065】
また、第1のトランジスタT1のトンネル移動度μがドリフトする場合に、補償電圧Vseの大きさを調整することで、トンネル移動度μのドリフトによる影響を補償してもよい。
【0066】
また、例えば、図3及び図4に示す実施例において、複数の画素回路100がデータラインDataを共用するとともにゲートラインGateを共用する場合に、例えば、図3に二つの画素回路が同一のデータラインData及び同一のゲートラインGateを共用する場合に、この二つの画素回路100における有機発光ダイオードOLEDに対してそれぞれの予め定められた発光電流を満たすために、検知ドライバ12は、それぞれに、この二つの画素回路100に接続される異なる検知駆動ラインSeを介して各サブ画素に応じた補償電圧Vseをこの二つの画素回路100に伝送することができ、例えば、これらの補償電圧Vseは、互いに異なってもよい。例えば、図4の実施例において、四つの画素回路が同一のデータラインData及び同一のゲートラインGateを共用し、この四つの画素回路100における有機発光ダイオードOLEDがそれぞれの予め定められた発光電流を満たすために、検知ドライバ12は、それぞれに、この四つの画素回路100に接続される異なる検知駆動ラインSeを介して各サブ画素に応じた補償電圧Vseをこの四つの画素回路100に伝送することができ、例えば、これらの補償電圧Vseは、互いに異なってもよい。例えば、図4に同一列の異なる行の画素回路100が検知駆動ラインSeを共用し、従って、同一列の異なる行の画素回路100については、検知駆動制御ラインSCを介して同一列の異なる行の画素回路100における第3のトランジスタT3を時分割にオンにするように制御し、これによって、検知駆動ラインSeを介して同一列の異なる行の画素回路100に異なる補償電圧Vseを伝送することを実現する。
【0067】
例えば、本開示の実施例は、検知駆動ラインSeから伝送される補償電圧Vseを利用して独自に補償することに限定されなく、データラインから伝送されるデータ電圧Vdataと、検知駆動ラインSeから伝送される補償電圧Vseとを同時に利用して共同補償を行うこともでき、これによって、第1のトランジスタT1のゲートソース電圧Vgsの調整可能な範囲をさらに広くする。このような補償方式では、データドライバ11と検知ドライバ12は、協同して動作するように一緒に接続され、又は共にコントローラに接続されることで、補償を共同で実現してもよい。このように、補償可能な範囲をさらに広くし、補償をさらに精確にすることができる。
【0068】
例えば、表示画面の各フレームにおいて有機発光ダイオードOLEDの発光電流を検知し、且つ、補償電圧Vse又は補償電流の大きさを調整することで各画素回路について動的調整を行い、これによって、表示品質を向上することができる。
【0069】
例えば、検知された発光電流又は発光電圧が予め定められた発光電流又は発光電圧未満である場合に、一つの例示において補償電圧を減少し、又は、他の一つの例示において補償電流を増大する。
【0070】
例えば、検知された発光電流又は発光電圧が予め定められた発光電流又は発光電圧より大きい場合に、一つの例示において補償電圧を増大し、又は、他の一つの例示において補償電流を減少する。
【0071】
例えば、補償電圧Vse又は補償電流と、有機発光ダイオードOLEDの発光電流Ioledと、トンネル移動度μと、データラインから伝送されるデータ電圧Vdataと、閾値電圧Vthとの関数関係又は対応表を作成してもよい。検知ドライバ12は、該関数関係又は対応表に従って、検知駆動ラインSeを介して各画素回路100に異なる補償電圧Vse又は補償電流を提供することができる。読取や使用のために、該関数関係又は対応表は、例えば、記憶装置に記憶されてもよい。該記憶装置は、例えば、半導体メモリや磁気メモリといった各種の適切なタイプの記憶装置であってもよい。
【0072】
例えば、検知ドライバ12が検知駆動ラインSeを介して有機発光ダイオードの発光電流又は発光電圧を検知するのは、有機発光ダイオードの発光段階内に限定されるものではなく、有機発光ダイオードの発光段階と異なる検知段階を設けて、有機発光ダイオードの発光電流又は発光電圧を検知してもよい。
【0073】
例えば、有機発光ダイオードの発光段階のうち初期の期間内、検知ドライバ12は、検知駆動ラインSeを介して有機発光ダイオードの発光電流又は発光電圧を検知してもよい。さらに例えば、データラインを介してデータ電圧Vdataを第1のノードN1に伝送した後に、一つの検知段階を専用に設け、該検知段階内において検知ドライバ12が検知駆動ラインSeを介して有機発光ダイオードの発光電流又は発光電圧を検知してもよい。
【0074】
例えば、図3及び図4に示す実施例において、複数の画素回路100がデータラインDataを共用するとともにゲートラインGateを共用する場合に、補償電圧Vseの絶対値を減少してさらに検知ドライバ12の負荷を減少するために、データラインDataを共用する同時にゲートラインGateを共用する画素回路100に対して、データラインDataを共用する同時にゲートラインGateを共用する画素回路100のそれぞれの補償電圧Vseの絶対値の和を最小にするデータ電圧Vdataを印加することができる。
【0075】
さらに例えば、データ信号を施加する方式は、データラインDataを共用する同時にゲートラインGateを共用する画素回路100のそれぞれの補償電圧Vseの絶対値の和を最小にする方式に限定されなく、データラインDataを共用する同時にゲートラインGateを共用する画素回路100に対して、データラインDataを共用する同時にゲートラインGateを共用する画素回路100のそれぞれの補償電圧Vseの絶対値のうち最大値を最小にするデータ電圧Vdataを印加してもよい。
【0076】
本開示の実施例は、表示装置1をさらに提供し、図9に示すように、表示装置1は、本開示のいずれか1つの実施例が提供する表示パネル10を含む。本開示の少なくとも一つの実施例において、表示装置1は、動画信号を受信、処理できるように、信号受信回路、動画信号復号回路等をさらに含んでよく、又は、ネットワーク、無線信号等により他の装置と信号接続するできるように、必要に応じてモデム回路又はアンテナ等をさらに含んでもよい。
【0077】
例えば、本開示の実施例が提供する表示装置1は、携帯電話、タブレット、テレビ、ディスプレイ、ノートブック型パソコン、デジタルフレーム、ナビゲータといった、表示機能を有する任意の製品又は部件であってもよい。
【0078】
本開示の実施例は、本開示のいずれか1つの実施例が提供する表示パネル10における補償方法をさらに提供し、図10に示すように、該方法は、次のステップを含む。
【0079】
ステップS10:検知駆動ラインを介して有機発光ダイオードの発光電流又は発光電圧を検知する。
ステップS20:発光電流又は発光電圧に従って補償電圧を生成する。
ステップS30:検知駆動ラインを介して画素回路に補償電圧を伝送する。
【0080】
ここで、発光電流又は発光電圧は、電気パラメータの例示であり、補償電圧は、補償信号の例示であるが、本開示の実施例は、これに限定されるものではない。
【0081】
例えば、ステップS20において、検知された発光電流又は発光電圧と、予め定められた発光電流又は発光電圧とを比較することで、有機発光ダイオードOLEDの飽和電流公式に従って補償電圧を計算して生成してもよい。
【0082】
例えば、検知された発光電流又は発光電圧が予め定められた発光電流又は発光電圧未満である場合に、補償電圧を減少する。
【0083】
例えば、検知された発光電流又は発光電圧が予め定められた発光電流又は発光電圧より大きい場合に、補償電圧を増大する。
【0084】
例えば、図11に示すように、本開示の少なくとも一つの実施例が提供する方法は、有機発光ダイオードの発光電流又は発光電圧を検知する前に、次のステップを含む。
ステップS05:データラインを介して画素回路にデータ信号を伝送する。
【0085】
例えば、図3及び図4に示す実施例において、複数の画素回路100がデータラインDataを共用するとともにゲートラインGateを共用する場合に、補償電圧Vseの絶対値を減少してさらに検知ドライバ12の負荷を減少するために、データラインDataを共用する同時にゲートラインGateを共用する画素回路100に対して、データラインDataを共用する同時にゲートラインGateを共用する画素回路100のそれぞれの補償電圧Vseの絶対値の和を最小にするデータ電圧Vdataを印加してもよい。
【0086】
さらに例えば、データ信号を施加する方式は、データラインDataを共用する同時にゲートラインGateを共用する画素回路100のそれぞれの補償電圧Vseの絶対値の和を最小にするのに限定されなく、データラインDataを共用する同時にゲートラインGateを共用する画素回路100に対して、データラインDataを共用する同時にゲートラインGateを共用する画素回路100のそれぞれの補償電圧Vseの絶対値のうち最大値を最小にするデータ電圧Vdataを印加してもよい。
【0087】
本開示の実施例が提供する表示パネル、表示装置、及び補償方法は、隣接する画素回路がデータラインを共用することで、開口率を向上して寄生容量を減少し、且つ、検知駆動ラインを多重化することで、有機発光ダイオードの発光電流又は発光電圧の検知と、駆動トランジスタの閾値電圧ドリフトに対する補償とを完成することができる。
【0088】
上記した内容は、本開示の例示的な実施方式に過ぎず、本開示の保護の範囲を制限するものではなく、本開示の保護の範囲は、添付の請求項によって決まる。
【0089】
本出願は、2017年5月12日に提出した中国特許出願の第201710335194.4号の優先権を要求し、ここで、上記中国特許出願に開示された内容の全文が本出願の一部として引用される。
【符号の説明】
【0090】
10 表示パネル
11 データドライバ
12 検知ドライバ
13 走査ドライバ
14 検知駆動制御回路
100 画素回路
110 発光駆動回路
120 検知駆動制御回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11