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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】吸い付き防止血液ポンプ入口
(51)【国際特許分類】
   A61M 60/81 20210101AFI20231219BHJP
   A61M 60/174 20210101ALI20231219BHJP
   A61M 60/242 20210101ALI20231219BHJP
   A61M 60/414 20210101ALI20231219BHJP
   A61M 60/416 20210101ALN20231219BHJP
【FI】
A61M60/81
A61M60/174
A61M60/242
A61M60/414
A61M60/416
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022113632
(22)【出願日】2022-07-15
(62)【分割の表示】P 2019511853の分割
【原出願日】2017-09-01
(65)【公開番号】P2022141796
(43)【公開日】2022-09-29
【審査請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】62/382,471
(32)【優先日】2016-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510121444
【氏名又は名称】アビオメド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】コーベット スコット シー.
(72)【発明者】
【氏名】カテージ アハマド エル
(72)【発明者】
【氏名】デロレンツォ チャールズ
【審査官】黒田 正法
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-514529(JP,A)
【文献】特表2004-506490(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0022939(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0085772(US,A1)
【文献】特表2002-518106(JP,A)
【文献】国際公開第2015/175711(WO,A1)
【文献】特表2007-501644(JP,A)
【文献】特表2010-521261(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0364880(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0124007(US,A1)
【文献】特開平11-239617(JP,A)
【文献】特表2008-519624(JP,A)
【文献】国際公開第2016/034171(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 60/81
A61M 60/174
A61M 60/242
A61M 60/414
A61M 60/416
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、心臓ポンプアセンブリを製造する方法:
インペラブレードをロータに結合する工程;
該インペラブレードをハウジングに挿入する工程;
カニューレを該ハウジングに結合する工程;
流入ケージを該カニューレに結合する工程であって、
該流入ケージは、該流入ケージの一定の周囲外部に放射状に配向された複数の開口を含み、該複数の開口は、少なくとも、該流入ケージの該一定の周囲外部に直線的に離間した開口の第一の列中および該流入ケージの該一定の周囲外部に直線的に離間した、該開口の第一の列の近位側にある開口の第二の列中に配置されており、該開口の第一の列が複数の第一の開口を含み、該開口の第二の列が複数の第二の開口を含み、該複数の第一の開口の各開口が該複数の第二の開口の各開口の面積よりも大きい面積を有する、工程;および
遠位突起を該流入ケージの遠位端に結合する工程であって、
該遠位突起は該複数の開口に対して遠位側にあり、かつ該遠位突起の基部が該開口の第一の列の遠位縁を形成する、工程。
【請求項2】
流入ケージが、開口の第二の列の近位側にある開口の第三の列をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
流入ケージが、開口の第三の列の近位側にある開口の第四の列をさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
流入ケージに含まれる複数の開口がそれぞれ、タンブリング加工によって形成された外縁を含む、請求項3記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、内容が全体として参照により本明細書に組み入れられる、2016年9月1日に出願された米国特許仮出願第62/382,471号への優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
血液を心臓から動脈に送り出すために、経皮心臓内血液ポンプアセンブリなどの血液ポンプを心臓に導入することができる。血液ポンプアセンブリは、心臓内で作動すると、左心室から血液を引き込み、大動脈の中に放出する、または右心室から血液を引き込み、肺動脈の中に放出する。いくつかの心臓ポンプアセンブリは、血液を流入開口に通してカニューレの中に引き込み、そのカニューレから流出開口に通して大動脈の中に放出する。ときには、流入開口は、それが位置する心室の内部または他の構造、たとえば僧帽弁および/または腱索に吸い付く。この吸い付きが起こると、ポンプに入る、および/またはカニューレを通過する血液の流れが遮断または妨害されて、心臓に提供される支援が減る。
【発明の概要】
【0003】
概要
本明細書に記載されるシステム、装置および方法は、改良された流入開口を有する心臓ポンプアセンブリを提供する。流入開口は、流入開口が患者の心臓または血管系の内部に吸い付くことを防ぐ、またはその傾向を減らすように設計されている。特に、流入開口は、ポンプ入口が弁小葉(たとえば僧帽弁の小葉)を入口の中へ吸い込むことを防ぐことができる。これは、開口の閉塞の危険を減らして、ポンプがより多くの血液ポンピング支援を心臓に提供することを可能にすることができる。この改良された開口はまた、ポンプに吸い付けられ得る心臓の構造への損傷の危険を減らし得る。
【0004】
心臓ポンプは複数の流入開口を含む。流入開口は、心臓ポンプのカニューレの遠位端部分に配置されることができる(たとえば、左心室を支援するように設計されたポンプの場合)。流入開口は、ポンプの縦軸に沿って互いからオフセットしている2つ以上のリングまたは列に配置されることができる。単一の開口のリングではなく複数の開口のリングまたは列の使用は、各開口をより小さくすることができ、それが、心臓構造(たとえば弁)が開口を通って入口に入る危険を減らし得る。さらには、さらなる流入開口が冗長性を提供して、開口の1つのサブセットが塞がれるとしても、血液がポンプに入るとき通過することができるさらなる開口がある。開口の外縁は、カニューレに結合されたストラットによって画定されることができる。ストラットは、ポンプへの弁小葉の吸い付きまたはポンプの中への弁小葉の吸い込みを防ぐための遮蔽として機能することができる。
【0005】
1つの局面において、心臓ポンプアセンブリは、ロータと、ロータに結合されたモータと、ロータの回転がインペラブレードを回転させかつ血液を送るようにロータに結合されたインペラブレードと、カニューレと、カニューレの遠位端に結合された遠位突起と、周囲に放射状に配向かつ配置された複数の開口を含む血液入口とを含む。複数の開口は、少なくとも、非外傷性チップに対して近位側にある開口の第一のリングと、開口の第一のリングの近位側にある開口の第二のリングとを含む。
【0006】
いくつかの実施形態において、開口の第一のリング中の第一の開口は、開口の第二のリング中の第二の開口の面積よりも大きい面積を有する。いくつかの実施形態において、開口の第一のリング中の第一の開口および開口の第二のリング中の第二の開口は長円形である。いくつかの実施形態において、心臓ポンプアセンブリは、第二のリングの近位側にある開口の第三のリングを含む。いくつかの実施形態において、心臓ポンプアセンブリは、第三のリングの近位側にある開口の第四のリングを含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、開口の第一のリング中の第一の開口と、開口の第三のリングの中第三の開口とは、カニューレの縦軸に対して平行な、カニューレの表面上の軸に沿って整列している。いくつかの実施形態において、開口の第二のリング中の第二の開口は、カニューレの縦軸に対して平行な、カニューレの表面上の軸に沿って、開口の第四のリング中の第四の開口と整列している。
【0008】
いくつかの実施形態において、開口の第一のリング中の第一の開口は、カニューレの縦軸に対して平行に計測される高さを有し、該高さは、第二の開口、第三の開口または第四の開口のいずれの高さよりも大きい。いくつかの実施形態において、第一の開口の高さは9mm未満である。いくつかの実施形態において、第二の開口の高さは3mm未満である。いくつかの実施形態において、第二の開口の幅は4mm未満である。いくつかの実施形態において、第一の開口の面積は20mm2未満である。いくつかの実施形態において、第二の開口の面積は12mm2未満である。いくつかの実施形態において、複数の開口は、カニューレに結合されている流入ケージ上に形成されている。いくつかの実施形態において、流入ケージはステンレス鋼で構成されている。いくつかの実施形態において、複数の開口はカニューレの終端の近くに形成されている。
【0009】
いくつかの実施形態において、複数の開口のいくつかは長円形である。いくつかの実施形態において、複数の開口のいくつかは円形である。いくつかの実施形態において、複数の開口のいくつかは涙形であり、丸み付けされた縁が各開口の遠位端を向き、尖った縁が各開口の近位側を向く。いくつかの実施形態において、開口の第一のリング中の第一の開口は、開口の第二のリング中の第二の開口よりも小さい面積を有する。いくつかの実施形態において、開口の第一のリング中の第一の開口は、開口の第二のリング中の第二の開口と同じ面積を有する。いくつかの実施形態において、カニューレの遠位端部分は流入ケージを含む。いくつかの実施形態において、第一の開口の遠位縁は非外傷性チップの基部によって形成される。
【0010】
いくつかの実施形態において、複数の開口それぞれは、カニューレの内側と交差する内縁およびカニューレの表面と交差する外縁によって画定されている。いくつかの実施形態において、複数の開口それぞれの外縁は丸み付けされている。いくつかの実施形態において、複数の開口それぞれの外縁は面取りされている。いくつかの実施形態において、心臓ポンプアセンブリは経皮挿入のためのサイズである。
【0011】
別の局面において、心臓ポンプアセンブリは、ロータと、ロータに結合されたモータと、ロータの回転がインペラブレードを回転させかつ血液を送るようにロータに結合されたインペラブレードと、カニューレと、周囲に放射状に配向かつ配置された複数の開口を含む血液入口とを含む。複数の開口は、少なくとも開口の第一のリングと、開口の第一のリングの近位側にある開口の第二のリングとを含む。複数の開口のうち、開口の第一のリングの各開口は、開口の第二のリングの開口よりも大きい面積を有する。
【0012】
いくつかの実施形態において、開口の第一のリング中の第一の開口および開口の第二のリング中の第二の開口は長円形である。いくつかの実施形態において、心臓ポンプアセンブリは、第二のリングの近位側にある開口の第三のリングを含む。いくつかの実施形態において、心臓ポンプアセンブリは、第三のリングの近位側にある開口の第四のリングを含む。いくつかの実施形態において、開口の第一のリング中の第一の開口と、開口の第三のリング中の第三の開口とは、カニューレの縦軸に対して平行な、カニューレの表面上の軸に沿って整列している。いくつかの実施形態において、開口の第二のリング中の第二の開口は、カニューレの縦軸に対して平行な、カニューレの表面上の軸に沿って、開口の第四のリング中の第四の開口と整列している。
【0013】
いくつかの実施形態において、開口の第一のリング中の第一の開口は、カニューレの縦軸に対して平行に計測される高さを有し、該高さは、第二の開口、第三の開口または第四の開口のいずれの高さよりも大きい。いくつかの実施形態において、第一の開口の高さは9mm未満である。いくつかの実施形態において、第二の開口の高さは3mm未満である。いくつかの実施形態において、第二の開口の幅は4mm未満である。いくつかの実施形態において、第一の開口の面積は20mm2未満である。いくつかの実施形態において、複数の開口は、カニューレに結合されている流入ケージ上に形成されている。いくつかの実施形態において、流入ケージはステンレス鋼で構成されている。いくつかの実施形態において、複数の開口はカニューレの終端の近くに形成されている。
【0014】
いくつかの実施形態において、複数の開口それぞれは、カニューレの内側と交差する内縁およびカニューレの表面と交差する外縁によって画定されている。いくつかの実施形態において、複数の開口それぞれの外縁は丸み付けされている。いくつかの実施形態において、複数の開口それぞれの外縁は面取りされている。いくつかの実施形態において、心臓ポンプアセンブリは経皮挿入のためのサイズである。
【0015】
別の局面において、心臓ポンプアセンブリを製造する方法は、インペラブレードをロータに結合する工程、インペラブレードをハウジングに挿入する工程、カニューレをハウジングに結合する工程、および複数の開口を含む流入ケージをカニューレに結合する工程を含む。複数の開口は流入ケージの周囲に放射状に配向され、複数の開口は、少なくとも、開口の第一のリング中および開口の第一のリングの近位側にある開口の第二のリング中に配置されている。
【0016】
いくつかの実施形態において、流入ケージは、開口の第二のリングの近位側にある開口の第三のリングを含む。いくつかの実施形態において、流入ケージは、開口の第三のリングの近位側にある開口の第四のリングを含む。いくつかの実施形態において、複数の開口それぞれは、タンブリング加工によって形成された外縁を含む。いくつかの実施形態において、複数の開口はカニューレの終端の近くに形成される。いくつかの実施形態において、方法はまた、遠位突起を流入ケージの遠位端に結合する工程を含む。遠位突起は複数の開口に対して遠位側にあり、遠位突起の基部が開口の第一のリングの遠位縁を形成する。
【0017】
別の局面において、心臓ポンプアセンブリを作動させる方法は、モータを使用して、回転軸を中心にインペラを回転させて、複数の血液入口開口から心臓ポンプアセンブリのカニューレの中に血液を引き込む工程、および心臓ポンプアセンブリから、ポンプに対して近位側にあるカニューレの近位端部分に配置された複数の血液放出開口を介して血液を放出する工程を含む。血液入口開口は、カニューレの周囲に放射状に配向され、カニューレの遠位端で少なくとも2つのリング中に配置されている。
【0018】
本開示を考察したのち、当業者には変形および改変が思い浮かぶであろう。開示された特徴は、本明細書に記載された1つまたは複数の他の特徴との任意の組み合わせおよび部分的組み合わせ(複数の従属的組み合わせおよび部分的組み合わせを含む)で具現化されてもよい。たとえば、様々な具体的な開口の配置が本明細書に記載されるが、心臓ポンプアセンブリは、任意の適当な数のリング中に配置された任意の数の開口を有するように構成され得る。さらに、開口は任意の適当なサイズ、形状または配置を有し得る。上記様々な特徴は、それらの任意の構成部品を含め、他のシステムに組み合わされてもよいし、統合されてもよい。そのうえ、特定の特徴が省略されてもよいし、具現化されなくてもよい。
[本発明1001]
ロータと;
該ロータに結合されたモータと;
該ロータの回転がインペラブレードを回転させかつ血液を送るように該ロータに結合されたインペラブレードと;
カニューレと;
該カニューレの遠位端に結合された遠位突起と;
周囲に放射状に配向かつ配置された複数の開口を含む、血液入口と
を含む、心臓ポンプアセンブリであって、
前記複数の開口が、少なくとも開口の第一のリングと、該開口の第一のリングの近位側にある開口の第二のリングとを含む、
前記心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1002]
開口の第一のリング中の第一の開口が、開口の第二のリング中の第二の開口の面積よりも大きい面積を有する、本発明1001の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1003]
開口の第一のリング中の第一の開口および開口の第二のリング中の第二の開口が長円形である、本発明1002の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1004]
第二のリングの近位側にある開口の第三のリングをさらに含む、本発明1003の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1005]
第三のリングの近位側にある開口の第四のリングをさらに含む、本発明1004の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1006]
開口の第一のリング中の第一の開口と、開口の第三のリング中の第三の開口とが、カニューレの縦軸に対して平行な、該カニューレの表面上の軸に沿って整列している、本発明1005の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1007]
開口の第二のリング中の第二の開口が、カニューレの縦軸に対して平行な、該カニューレの表面上の軸に沿って、開口の第四のリング中の第四の開口と整列している、本発明1006の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1008]
開口の第一のリング中の第一の開口が、カニューレの縦軸に対して平行に計測される高さを有し、該高さは、第二の開口、第三の開口または第四の開口のいずれの高さよりも大きい、本発明1007の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1009]
第一の開口の高さが9mm未満である、本発明1008の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1010]
第二の開口の高さが3mm未満である、本発明1009の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1011]
第一の開口の面積が20mm2未満である、本発明1010の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1012]
複数の開口が、カニューレに結合されている流入ケージ上に形成されている、本発明1001の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1013]
流入ケージがステンレス鋼で構成されている、本発明1012の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1014]
複数の開口がカニューレの終端の近くに形成されている、本発明1001の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1015]
複数の開口それぞれが、カニューレの内側と交差する内縁および該カニューレの外面と交差する外縁によって画定され、かつ該複数の開口それぞれの該外縁が丸み付けされている、本発明1001の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1016]
複数の開口それぞれが、カニューレの内側と交差する内縁および該カニューレの外面と交差する外縁によって画定され、かつ該複数の開口それぞれの該外縁が面取りされている、本発明1001の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1017]
経皮挿入のためのサイズである、本発明1001の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1018]
ロータと;
該ロータに結合されたモータと;
該ロータの回転がインペラブレードを回転させかつ血液を送るように該ロータに結合されたインペラブレードと;
カニューレと;
周囲に放射状に配向かつ配置された複数の開口を含む血液入口であって、該複数の開口が、少なくとも開口の第一のリングと、該開口の第一のリングの近位側にある開口の第二のリングとを含む、該血液入口と
を含む、心臓ポンプアセンブリであって、
前記開口の第一のリングが第一の開口を含み、かつ前記開口の第二のリングが第二の開口を含み、該第一の開口が該第二の開口の面積よりも大きい面積を有する、
前記心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1019]
第一の開口の面積が、第二の開口の面積よりも少なくとも2倍大きい、本発明1018の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1020]
第一の開口が、カニューレの縦軸に対して平行に計測される高さを有し、該高さは、該カニューレの縦軸に対して平行に計測される第二の開口の高さよりも大きい、本発明1019の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1021]
第一の開口の高さが、第二の開口の高さよりも少なくとも2倍大きい、本発明1020の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1022]
開口の第一のリングの各開口が、開口の第二のリングの各開口の面積よりも大きい面積を有する、本発明1021の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1023]
第二のリングの近位側にある開口の第三のリングをさらに含む、本発明1022の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1024]
第三のリングの近位側にある開口の第四のリングをさらに含む、本発明1023の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1025]
第一の開口の高さが、開口の第三のリングの第三の開口の高さまたは開口の第四のリングの第四の開口の高さよりも大きい、本発明1024の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1026]
第一の開口の高さが9mm未満である、本発明1025の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1027]
第二の開口の高さが3mm未満である、本発明1026の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1028]
第一の開口の面積が20mm2未満である、本発明1027の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1029]
開口の第一のリング中の第一の開口と、開口の第三のリング中の第三の開口とが、カニューレの縦軸に対して平行な、該カニューレの外面上の軸に沿って整列している、本発明1025の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1030]
開口の第二のリング中の第二の開口が、カニューレの縦軸に対して平行な、該カニューレの外面上の軸に沿って、開口の第四のリング中の第四の開口と整列している、本発明1029の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1031]
複数の開口が、カニューレに結合されている流入ケージ上に形成されている、本発明1017の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1032]
流入ケージがステンレス鋼で構成されている、本発明1031の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1033]
複数の開口がカニューレの終端の近くに形成されている、本発明1017の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1034]
複数の開口それぞれが、カニューレの内側と交差する内縁および該カニューレの外面と交差する外縁によって画定され、かつ該複数の開口それぞれの該外縁が丸み付けされている、本発明1017の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1035]
複数の開口それぞれが、カニューレの内側と交差する内縁および該カニューレの外面と交差する外縁によって画定され、かつ該複数の開口それぞれの該外縁が面取りされている、本発明1017の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1036]
経皮挿入のためのサイズである、本発明1017の心臓ポンプアセンブリ。
[本発明1037]
以下の工程を含む、心臓ポンプアセンブリを製造する方法:
インペラブレードをロータに結合する工程;
該インペラブレードをハウジングに挿入する工程;
カニューレを該ハウジングに結合する工程;および
流入ケージを該カニューレに結合する工程であって、
該流入ケージは、該流入ケージの周囲に放射状に配向された複数の開口を含み、該複数の開口は、少なくとも、開口の第一のリング中および該開口の第一のリングの近位側にある開口の第二のリング中に配置されている、工程;
遠位突起を該流入ケージの遠位端に結合する工程であって、
該遠位突起は該複数の開口に対して遠位側にあり、かつ該遠位突起の基部が該開口の第一のリングの遠位縁を形成する、工程。
[本発明1038]
流入ケージが、開口の第二のリングの近位側にある開口の第三のリングをさらに含む、本発明1037の方法。
[本発明1039]
流入ケージが、開口の第三のリングの近位側にある開口の第四のリングをさらに含む、本発明1038の方法。
[本発明1040]
流入ケージに含まれる複数の開口がそれぞれ、タンブリング加工によって形成された外縁を含む、本発明1039の方法。
【図面の簡単な説明】
【0019】
前記および他の目的および利点は、後述の詳細な説明を添付図面と併せて考察することにより、明らかになるであろう。図中、全体を通して類似の符番が類似の部品を指す。
【0020】
図1】例示的な先行技術ポンプアセンブリを示す。
図2】遠位端部分に複数の開口を含む例示的実施形態の心臓ポンプアセンブリを示す。
図3】遠位端部分でリングに配置された複数の開口を含む例示的実施形態の心臓ポンプアセンブリを示す。
図4】遠位端部分に開口の3つのリングを含む例示的実施形態の心臓ポンプアセンブリを示す。
図5】開口の4つのリングを有する例示的実施形態の心臓ポンプアセンブリの遠位端部分の斜視図を示す。
図6】開口の4つのリングを有する例示的実施形態の心臓ポンプアセンブリの遠位端部分の正面図を示す。
図7】回転方向にオフセットした開口の2つのリングを有する例示的実施形態の心臓ポンプアセンブリの遠位端部分の斜視図を示す。
図8】回転方向に整列した2つの開口を有する例示的実施形態の心臓ポンプアセンブリの遠位端部分の斜視図を示す。
図9】回転方向に整列した複数の開口を有する例示的実施形態の心臓ポンプアセンブリの遠位端部分の斜視図を示す。
図10】複数の丸い開口を有する例示的実施形態の心臓ポンプアセンブリの遠位端部分の正面図を示す。
図11】長円形の遠位開口および複数の丸い開口を有する例示的実施形態の心臓ポンプアセンブリの遠位端部分の斜視図を示す。
図12】遠位の涙形開口および複数の丸い開口を有する例示的実施形態の心臓ポンプアセンブリの遠位端部分の正面図を示す。
図13】遠位の涙形開口およびリングに配置された複数の涙形開口を有する例示的実施形態の心臓ポンプアセンブリの遠位端部分の正面図を示す。
図14】狭い間隔のリングに配置された開口の配置を有する例示的実施形態の心臓ポンプアセンブリの遠位端部分の正面図を示す。
図15】適度な間隔のリングに配置された開口の代替配置を有する例示的実施形態の心臓ポンプアセンブリの遠位端部分の正面図を示す。
図16】広い間隔のリングに配置された開口の代替配置を有する例示的実施形態の心臓ポンプアセンブリの遠位端部分の正面図を示す。
図17】長い開口の第一のリングおよび短めの開口の第二のリングに配置された開口の代替配置を有する例示的実施形態の心臓ポンプアセンブリの遠位端部分の正面図を示す。
図18】長い開口の第一のリングおよび該第一のリングから離間した短めの開口の第二のリングに配置された開口の代替配置を有する例示的実施形態の心臓ポンプアセンブリの遠位端部分の正面図を示す。
図19】類似したサイズの開口の4つのリングに配置された開口の代替配置を有する例示的実施形態の心臓ポンプアセンブリの遠位端部分の正面図を示す。
図20】異なるサイズの開口の4つのリングに配置された開口の代替配置を有する例示的実施形態の心臓ポンプアセンブリの遠位端部分の正面図を示す。
図21】面取りされた縁を有する開口の代替配置を有する例示的実施形態の心臓ポンプアセンブリの遠位端部分の正面図を示す。
図22】丸み付けされた縁を有する開口の代替配置を有する例示的実施形態の心臓ポンプアセンブリの遠位端部分の正面図を示す。
図23】開口の代替配置を有する例示的実施形態の心臓ポンプアセンブリの遠位端部分の正面図を示す。
図24】例示的実施形態の例示的配置にある複数の開口を通過する流体の予測流量を表示するプロットを示す。
図25】患者の血管に挿入された遠位端部分に複数の開口を有する例示的実施形態の経皮ポンプを示す。
図26】遠位端部分に複数の開口を有する例示的実施形態の心臓ポンプを製造する方法のフローチャートである。
図27】遠位端部分に複数の開口を有する例示的実施形態の心臓ポンプの使用方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
本明細書に記載されるシステム、方法および装置の全体的理解を提供するために、特定の例示的実施形態を記載する。本明細書に記載される実施形態および特徴は、特定の数、サイズおよび形状の開口を参照して記載されるが、心臓ポンプアセンブリは、本明細書に記載される配置に限定されることなく、任意の数のリングに配置された任意の適当な数の開口を有するように構成され得ることが理解されよう。加えて、開口は任意の適当なサイズ、形状または配置を有し得る。
【0022】
本明細書に記載されるシステム、装置および方法は、改良された流入開口を有する心臓ポンプアセンブリを提供する。流入開口は、流入開口が患者の心臓または血管系の内部に吸い付くことを防ぐ、またはその傾向を減らすように設計されている。特に、流入開口は、ポンプ入口が弁小葉(たとえば僧帽弁の小葉)を入口の中へ吸い込むことを防ぐことができる。これは、開口の閉塞の危険を減らして、ポンプがより多くの血液ポンピング支援を心臓に提供することを可能にすることができる。改良された開口はまた、ポンプに吸い付けられ得る心臓の構造への損傷の危険を減らし得る。
【0023】
心臓ポンプは複数の流入開口を含む。流入開口は、心臓ポンプのカニューレの遠位端部分に配置されることができる(たとえば、左心室を支援するように設計されたポンプの場合)。流入開口は、ポンプの縦軸に沿って互いからオフセットしている2つ以上のリングまたは列に配置されることができる。単一の開口のリングではなく複数の開口のリングまたは列の使用は、各開口をより小さくすることができ、それが、心臓構造(たとえば弁)が開口を通って入口に入る危険を減らし得る。さらには、さらなる流入開口が冗長性を提供して、開口の1つのサブセットが塞がれるとしても、血液が入るとき通過することができるさらなる開口がある。開口の外縁は、カニューレに結合されたストラットによって画定されることができる。ストラットは、開口への弁小葉の吸い付きまたは開口の中への弁小葉の吸い込みを防ぐための遮蔽として機能することができる。
【0024】
図1は例示的な先行技術心臓ポンプアセンブリ100を示す。心臓ポンプアセンブリ100は、モータハウジング102、カニューレアセンブリ108、複数の開口116、複数の血液放出開口124および突起または非外傷性チップ112を含む。カニューレアセンブリ108は、近位端111、カニューレボディ109、流入ケージ113、遠位端110、遠位端部分114およびティアドロップ部分142を含む。モータハウジング102は近位端107および遠位端106を有する。複数の開口116は、カニューレアセンブリ108の遠位端部分114で、流入ケージ113中の1つのリング118に配置されている。非外傷性チップ112は、カニューレアセンブリ108の遠位端110で、ティアドロップ部分142でカニューレアセンブリ108に結合されている。
【0025】
心臓ポンプアセンブリ100は、血液を複数の開口116に通してカニューレアセンブリ108の中に引き込む。ポンプは、カニューレアセンブリ108の近位端111の近位側で複数の血液放出開口124に通して血液を放出する。心臓ポンプアセンブリ100は、大動脈に通して心臓に経皮的に挿入され得る。左心室から血液を引き込み、その血液を大動脈中に放出するために、左心室中の大動脈弁を過ぎたところに複数の開口116が配置され得る。非外傷性チップ112が心臓ポンプアセンブリ100を心臓壁から離間させるが、いくつかの例においては、複数の開口116は、心臓の壁または様々な心臓構造、たとえば僧帽弁の小葉に近くに配置されてもよい。複数の開口116はそれぞれ、心臓の構造、たとえば弁小葉を開口116に吸い付け得、さらには開口116に通してカニューレアセンブリ108に吸い入れ得る大きな面積を有する。これは、カニューレアセンブリ108への血液の流入のいくらかまたは全部を遮断する可能性がある。カニューレアセンブリ108を通過する血液の流れが遮断されると、心臓ポンプアセンブリ100が心臓に提供することができる支援は小さくなる。
【0026】
図2は、リングへと配置された複数の開口を有する特定の実施形態の変形心臓ポンプアセンブリ200を示す。心臓ポンプアセンブリ200は、モータハウジング202、カニューレアセンブリ208、複数の開口216、複数の血液放出口224および非外傷性チップ212を含む。カニューレアセンブリ208は、近位端206、カニューレボディ209、流入ケージ213、遠位端210、遠位端部分214およびティアドロップ部分242を有する。非外傷性チップ212は、カニューレアセンブリ208の遠位端210で、ティアドロップ部分242でカニューレアセンブリ208に結合されている。複数の開口216は、カニューレアセンブリ208の遠位端部分214で流入ケージ213中に配置されている。複数の開口216それぞれは、図1に示す複数の開口116と比べて小さい面積を有し、複数のリングへと配置されている。カニューレアセンブリ208の遠位端部分214は、開口の第一のリング218、開口の第二のリング220および開口の第三のリング230を含む。複数の開口216を含む流入ケージ213は、先行技術ポンプ100の流入ケージ113とほぼ同じ長さであるが、複数の開口216は、先行技術ポンプ100の開口よりも小さい開口をより多く含む。
【0027】
リング218、220および230に配置された複数の小さめの開口216は、複数の開口216が患者の心臓の内部に吸い付く傾向を減らす。特に、複数の小さめの開口216は、心臓ポンプアセンブリ200が弁小葉を複数の開口216の中へ吸い込むことを防ぐ。これは、開口216の閉塞の危険を減らして、それにより、心臓ポンプアセンブリ200がより多くの支援を心臓に提供することを可能にすることができる。開口216はまた、さもなくば心臓ポンプアセンブリ200によって吸われ得る心臓の構造への損傷の危険を減らし得る。心臓ポンプアセンブリ200は任意の数のやり方で変更することができる。たとえば、図2の実施形態および本明細書における他の実施形態のいずれも、モータハウジングを排除し得る。代わりに、モータは、患者の体の外に配置されるように構成されることができ、駆動軸またはケーブルを介してロータに機能的に結合されることができる。
【0028】
図3は、遠位端部分314に複数の開口316を含むいくつかの実施形態の心臓ポンプアセンブリ300、たとえば図2の心臓ポンプアセンブリ200を例示する図を示す。心臓ポンプアセンブリ300は、モータハウジング302、インペラブレード304、カニューレアセンブリ308、複数の開口316および非外傷性チップ312を含む。モータハウジング302は遠位端306および近位端307を有する。インペラブレード304はカニューレアセンブリ308に対して回転可能である。カニューレアセンブリ308は、近位端311、遠位端310、遠位端部分314、ティアドロップ部分342および周囲322を有するカニューレボディ309を含む。カニューレボディ309はモータハウジング302の遠位端306に結合されている。複数の開口316は第一のリング318および第二のリング320へと配置されている。第一のリング318は遠位端部分314の遠位端に配置され、第二のリング320は第一のリング318の近位側に配置されている。いくつかの実施形態において、複数の開口316はカニューレアセンブリ308の遠位端部分314に形成されている。特定の実施形態において、複数の開口316は、カニューレアセンブリ308の遠位端部分314とは別個であるが、それに結合されている流入ケージ(図示せず)中に形成されている。複数の開口は、複数のストラット、たとえば317a~cによって分けられている。非外傷性チップ312はカニューレアセンブリ308の遠位端310に結合されている。
【0029】
第一のリング318は開口318a~cを含む。第二のリング320は開口320a~cを含む。第一のリング318および第二のリング320は、それぞれ3つの開口(318a~cおよび320a~c)を有する状態で示されているが、第一のリング318および第二のリング320中の複数の開口316はカニューレボディ309の全周囲322に延びることもできる。第一のリング318および第二のリング320はそれぞれ任意の適当な数の開口を含むことができる。いくつかの実施形態において、第一のリング318または第二のリング320中の開口の数は、3、4、5、6、7、8、9、10または任意の他の適当な開口の数である。いくつかの実施形態において、第一のリング318中の開口の数は第二のリング320中の開口の数と同じであるが、これは求められていない。いくつかの実施形態において、第一のリング318中の開口は第二のリング320中の開口よりも少ない。いくつかの実施形態において、第一のリング318中の開口は第二のリング320中の開口よりも多い。
【0030】
心臓ポンプアセンブリ300は、インペラブレード304の回転によって血液をカニューレアセンブリ308の中に引き込む。血液は、カニューレアセンブリ308の遠位端部分314の複数の開口316からカニューレアセンブリ308に入る。心臓ポンプアセンブリ300は、僧帽弁小葉が複数の開口316に近接するようなやり方で心臓中に配置され得、場合によっては、僧帽弁小葉は、複数の開口316のいくつかに吸い付けられて、血液が複数の開口316から入ることを一時的に阻止し得る。複数の開口316は小径であるため、開口316は、弁小葉が入口から心臓ポンプアセンブリ300に入ることを可能にする恐れが少ない。これは、カニューレアセンブリ308の内部を血液の通過のために空けておく。さらに、複数の開口316の間のストラット317a~cが、複数の開口316への弁小葉および他の組織の吸い付きを防ぐための遮蔽として作用する。弁小葉または複数の開口316のいくつかに吸い付けられる、または心臓ポンプアセンブリ300の中へ吸い込まれる解剖学的構造の他の部分は、血液がカニューレアセンブリ308に入るとき通過することができる面積を減らして、心臓ポンプアセンブリ300を通過する血液の流量を潜在的に減らす。カニューレアセンブリ308の遠位端部分314に配置された複数の開口316は、複数の開口316のいくつかが塞がれない可能性を高める。複数の開口316のサブセットが塞がれるとしても、血液は、複数の開口316の残りを通ってなおも心臓ポンプアセンブリ300に入ることができる。
【0031】
複数の開口316は、長円形を有する状態で示されている。複数の開口316は、血液がカニューレアセンブリに入ることを可能にするための任意の適当な形状を有し得る。たとえば、複数の開口116は、長円形、楕円形、正方形、涙形、丸形または任意の他の適当な形状であることができる。第一のリング318の開口318a~cの形状は第二のリング320の開口320a~cの形状とは異なり得る。いくつかの実施形態において、複数の開口316の縁は丸み付けまたは面取りされている。丸み付けされた開口、すなわち、丸み付けされた縁を有する開口は、血液が複数の開口316に入るとき、溶血または血液への他の損傷の危険を減らし得る。図示するように、第一のリング318の開口318a~cそれぞれは、第二のリング320の開口320a~cそれぞれと比べて大きい面積を有する。いくつかの実施形態において、第一のリング318の開口318a~cそれぞれは、第二のリング320の開口320a~cそれぞれと比べて小さい面積を有する。特定の実施形態において、第一のリング318の開口318a~cそれぞれは第二のリング320の開口320a~cそれぞれと同じ面積を有する。
【0032】
カニューレアセンブリ308の遠位端310に結合された非外傷性チップ312は複数の開口316を心臓の内面から離間させる。この離間は、複数の開口316が心臓の壁、心臓弁(たとえば僧帽弁)または心臓中の任意の他の解剖学的構造に吸い付くことを防ぐ。これは、複数の開口316の閉塞の危険を減らすことができ、心臓組織に対する損傷を減らし、または防ぎ得る。非外傷性チップ312は、図3に示すようなピグテールを有するフレキシブルな延長部として成形され得る。いくつかの実施形態において、非外傷性チップ312は、まっすぐな延長部または球状部として構成される。いくつかの実施形態において、非外傷性チップ312は、ガイドワイヤを非外傷性チップ312に通過させるための内腔を含む。
【0033】
要するに、非外傷性チップ312および開口316の配置の両方が、ポンプ入口が心臓壁、弁小葉または他の解剖学的構造によって塞がれることを防ぐ、またはその危険を減らすのに役立つ。非外傷性チップ312は、心臓の内面への開口の吸い付きを防ぐための機械的スペーサとして作用し、開口316およびストラット317a~cの配置は、開口316の中への組織の進入を防ぐための遮蔽として作用する。このように、非外傷性チップ312および開口316の配置は、いっしょになって、心臓ポンプアセンブリ301の正しい機能を保持するのに役立つ。
【0034】
図4は、カニューレアセンブリ408の遠位端部分414に開口の3つのリングを含む心臓ポンプアセンブリ400、たとえば図2の心臓ポンプアセンブリ200を例示する図を示す。心臓ポンプアセンブリ400は、モータハウジング402、インペラブレード404、カテーテル428、カニューレアセンブリ408、血液放出口424、複数の開口416および非外傷性チップ412を含む。カニューレアセンブリ408は、近位端411、遠位端410、遠位端部分414、ティアドロップ部分442、縦軸444および周囲422を有するカニューレボディ409を含む。モータハウジング402は、カニューレアセンブリ408に対して回転可能であるインペラブレード404を含む。インペラブレード404の回転が、カニューレアセンブリ408を通して吸い込みを発生させる。血液は、カニューレアセンブリ408の遠位端部分414に配置された複数の開口416からカニューレアセンブリ408に入る。複数の開口416は、カニューレボディ409の周囲422で、開口418a~dを有する第一のリング418、開口420a~dを有する第二のリング420および開口430a~dを有する第三のリング430に配置されている。第一のリング418はカニューレアセンブリ408の遠位端410に対して近位側にある。第二のリング420は第一のリング418の近位側にあり、第三のリング430は第二のリング420の近位側にある。複数の開口416は複数のストラット217a~cによって分けられている。カニューレアセンブリ408のティアドロップ部分442の遠位端410に非外傷性チップ412が取り付けられている。
【0035】
複数の開口416それぞれは高さ、幅および面積を有する。複数の開口416は多様なサイズを有することができる。第一のリング418は、第二のリングの開口420dまたは第三のリング430の開口430dよりも大きい面積を有する開口418dを有し得る。第一のリング418の開口418dの面積は20mm2未満であり得る。いくつかの実施形態において、第一のリング218の開口418dの面積は、0.5mm2、1mm2、5mm2、10mm2、15mm2、18mm2、20mm2、23mm2、25mm2または任意の他の適当な面積である。第二のリング420の開口420dの面積は12mm2未満であり得る。いくつかの実施形態において、第二のリング420の開口420dの面積は、0.25mm2、0.5mm2、1mm2、2mm2、5mm2、10mm2、12mm2または任意の他の適当な面積であり得る。第三のリング430の開口430dの面積は第二のリングの開口420dの面積と同じであり得る。カニューレアセンブリ408の縦軸444に対して平行な軸に沿って計測される第一のリング418の開口418bの高さは9mm未満であり得る。いくつかの実施形態において、第一のリング418の開口418bの高さは、0.5mm、1mm、3mm、5mm、6mm、9mm、10mm、12mm、15mmまたは任意の他の適当な高さである。カニューレアセンブリ408の縦軸444に対して平行な軸に沿って計測される第二のリング420の開口420bの高さは3mm未満であり得る。いくつかの実施形態において、第二のリング420の開口420bの高さは、0.25mm、0.5mm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、5mm、6mmまたは任意の他の適当な高さである。縦軸444に対して横向きに計測される第二のリング420の開口420bの幅は4mm未満であり得る。いくつかの実施形態において、第二のリング420の開口420bの幅は、0.5mm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、5mm、6mm、8mmまたは任意の他の適当な幅である。いくつかの実施形態において、開口430bの高さおよび幅は開口420bの高さおよび幅と同じである。
【0036】
複数の開口416は、複数の開口416の一部分への弁小葉の吸い付きによって心臓ポンプアセンブリ400が故障することを防ぐ。リング418、420および430に配置された複数の開口416は、複数の開口416が心臓構造を心臓ポンプアセンブリ400の入口に吸い付ける傾向を減らす。複数の開口416は、ストラット417a~cとともに、心臓ポンプアセンブリ400が弁小葉を複数の開口416の中へ吸い込むことを防いで、それにより、開口416が塞がれる危険を減らし、心臓ポンプアセンブリ400が心臓に支援を提供し続けることを可能にする。さらに、複数の開口416は、複数の開口416の1つまたは複数が弁小葉または他の組織によって塞がれる場合でも、血液が入るための余剰の流入口を提供する。
【0037】
いくつかの実施形態において、カニューレアセンブリ408に入る血液の大きな部分は、複数の開口416のもっとも近位側の開口を通って、たとえば第三のリング430の開口430a~cを通って入る。第三のリング430中の複数の開口416の1つまたは複数が塞がれると、より多量の血液が第二のリング420または第一のリング418中の複数の開口416から入り得る。さらなる開口は、血液が心臓ポンプアセンブリに入るとき通過することができるさらなる入口を提供する。加えて、複数の開口416を画定するストラット417a~cが、心臓ポンプアセンブリ400への組織の吸い付きまたは心臓ポンプアセンブリ400の中への組織の吸い込みを防ぐための遮蔽として作用する。
【0038】
図4は、3つのリングに配置された複数の開口を有する心臓ポンプアセンブリ400を示すが、いくつかの実施形態においては、さらなる開口のリングがあってもよい。たとえば、図5は、開口の4つのリングを有するカニューレアセンブリの遠位端部分514の斜視図を示し、図6は、図5のカニューレアセンブリの遠位端部分514の正面図を示す。遠位端部分514は、遠位端510、非外傷性チップコネクタ548、ティアドロップ部分542、縦軸544ならびに第一のリング518、第二のリング520、第三のリング530および第四のリング540に配置された複数の開口516を含む。第一のリング518中の複数の開口516は、遠位端部分514の周囲に放射状に配向された開口518a~eを含む。開口520a~eの第二のリング520、開口530a~eの第三のリング530および開口540a~eの第四のリング540は遠位端部分514の周囲に放射状に配向されている。
【0039】
開口518a~eの第一のリング518は開口の4つのリングのうち最大の高さを有する。開口518a~eの第一のリング518は、ティアドロップ部分542の一部分552によって画定される各開口の遠位縁551を有する。ティアドロップ部分542は、複数の開口516の残りが配置されるカニューレアセンブリの残りとは別個に製造され得、製造工程の一部としてカニューレアセンブリ(図示せず)に接合され得る。結果として、開口518a~eの第一のリング518は、製造工程中、カニューレアセンブリ中(または、図示しない流入ケージ中)に、はじめは3つの側だけが画定され、第四の遠位側が開放状態にあるものとして形成され得る。その後、カニューレアセンブリに接合されるとき、各開口518a~eの第四の遠位縁551がティアドロップ部分542の一部分552によって画定される。開口518a~eの近位縁553は丸み付けされて、開口518a~eに長円形を与えている。
【0040】
第二のリング520の開口520a~eは第一のリングの開口518a~eから回転方向にオフセットしており、遠位端部分514の縦軸544に対して平行な、開口518bの中心を通して引かれた線555は、第二のリング520の開口520a~eのいずれの中心をも通過しない。いくつかの実施形態において、線555は、開口520a~eの1つの一部分を通過し得るが、開口520a~eの中心は通過し得ない。開口530a~eは開口518a~eと回転方向に整列しており、線555は、開口518a~eの1つの中心および開口530a~eの1つの中心を通過する。特に、線555は、開口518bの中心および開口530bの中心を通過する。開口540a~eは開口518a~eおよび開口530a~eから回転方向にオフセットしているため、線555は、第四のリング540の開口540a~eのいずれの中心をも通過しない。第二のリング520の開口520a~eは第四のリング540の開口540~eと回転方向に整列しており、遠位端部分514の縦軸544に対して平行な線557は開口520bおよび540bの中心を通過する。いくつかの実施形態において、開口の異なるリングが回転方向に整列またはオフセットしていてもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、第一のリング518の開口518a~eと第二のリング520の開口520a~eとはそれぞれ回転方向に整列し得るが、第三のリング530の開口530a~eおよび第四のリング540の開口540a~eは、第一のリング518および第二のリング520と回転方向に整列していない。いくつかの実施形態において、開口518a~eと開口530a~eとは整列し、開口520a~eおよび開口540a~eは、第一のリング518および第三のリング530から回転方向にオフセットしている。いくつかの実施形態において、第二のリング520および第四のリング540は、第一のリング518から異なる量だけ回転方向にオフセットしており、第二のリング520の開口520bを通して引かれた線557は、第四のリング540のいずれの開口540a~eの中心をも通過しない。
【0041】
複数の開口516の開口518a~e、520a~e、530a~eおよび540a~eそれぞれは、縦軸544に対して平行に計測される対応する高さ、縦軸544に対して横向きに計測される幅および面積を有する。たとえば、開口518aは高さ538および幅541を有する。開口518aはまた、血液が通過し得るところの面積532を有する。第二のリング520の開口520bは、高さ554、幅556および面積534を有する。第三のリング530の開口530bは、高さ558、幅560および面積536を有する。第四のリング540の開口540bは、高さ562、幅564および面積566を有する。いくつかの実施形態において、特定のリング中の開口の高さ、幅および面積の1つまたは複数を含む計測値は、そのリング中のすべての開口に共通であるが、これは求められていない。いくつかの実施形態において、高さ、幅および面積の1つまたは複数を含む計測値は、特定のリング中の開口の間で異なる。いくつかの実施形態において、第二のリング520中の開口520a~e、第三のリング530中の開口530a~eおよび第四のリング540中の開口540a~eは、高さ、幅および面積の1つまたは複数を含む同じ計測値を有する。いくつかの実施形態において、開口の高さ、幅または面積の1つまたは複数は、第二のリング520中の開口520a~e、第三のリング530中の開口530a~eおよび第四のリング540中の開口540a~eの間で異なる。いくつかの実施形態において、第一のリング518中の開口518a~e、第二のリング520中の開口520a~e、第三のリング530中の開口530a~eおよび第四のリング540中の開口540a~eの組み合わせた面積は、カニューレアセンブリの断面積に等しい、またはそれよりも大きい。
【0042】
第一のリング518中の開口518a~eが、第二のリング520中の開口520a~e、第三のリング530中の開口530a~eおよび第四のリング540中の開口540a~eよりも大きな面積532を有するにもかかわらず、血液は、複数の開口516のもっとも近位側の開口におけるより小さい圧力降下のせいで、主に複数の開口516のもっとも近位側の開口を通って流れる。第四のリング540の開口540a~eの全部または一部分が弁小葉によって塞がれるとしても、血液はなおも残りの開口を通って流れ得る。第二のリング520中の開口520a~e、第三のリング530中の開口530a~eおよび第四のリング540中の開口540a~eのより小さな面積ならびに入口間のストラット517a~cが、さらなる入口が弁小葉によって塞がれる可能性を減らす。
【0043】
図7は、回転方向にオフセットした2つのリングに配置された複数の開口716を有するカニューレアセンブリ708の遠位端部分714の正面図を示す。カニューレアセンブリ708は、カニューレボディ709、遠位端部分714、遠位端710、非外傷性チップ712、ティアドロップ部分742、縦軸744、複数のストラット717a~cおよび複数の開口716を含む。複数の開口716は、開口718a~bの第一のリング718および開口720a~bの第二のリング720に配置されている。カニューレアセンブリ708中の複数の開口716は、開口718a~bの第一のリング718が開口720a~bの第二のリング720から回転方向にオフセットするように配置されている。カニューレアセンブリ708の縦軸744に対して平行に引かれた、第一のリング718の開口718aの中心を通過する線755は、第二のリング720の開口720a~bのいずれの中心をも通過しない。代わりに、線755は、第二のリング720の開口720aと開口720bとを分割するストラット717bを通過する。回転方向にオフセットした開口は、弁小葉が開口の2つ以上を完全に塞ぐことを防ぎ得る。たとえば、弁小葉がカニューレアセンブリ708に吸い付けられて、第一のリング718の開口718aを覆うようになるならば、開口720a~bの第二のリング720の回転方向のオフセットが、弁小葉が第二のリング720のさらなる開口720aまたは720bのすべてを塞ぐことを防ぎ得る。
【0044】
図5、6および7は、回転方向にオフセットした複数の開口(たとえば、図5の複数の開口516または図7の複数の開口716)を有するカニューレアセンブリの遠位端部分(たとえば、図5の遠位端部分514または図7の遠位端部分714)を示すが、図8は、複数の開口816が互いに回転方向に整列しているカニューレアセンブリ808の遠位端部分814の斜視図を示す。図9は、回転方向に整列した複数の開口916を有する遠位端部分914の代替斜視図を示す。カニューレアセンブリ908は、カニューレボディ909、遠位端部分914、遠位端910、非外傷性チップ912、ティアドロップ部分942、非外傷性チップコネクタ948、縦軸944および複数の開口916を含む。複数の開口916は、開口918a~dの第一のリング918および開口920a~dの第二のリング920に配置されている。カニューレアセンブリ908中の複数の開口916は、開口918a~dの第一のリング918が開口920a~dの第二のリング920と回転方向に整列するように配置されている。カニューレアセンブリ908の縦軸944に対して平行に引かれた、第一のリング918の開口918bの中心を通過する線955もまた、第二のリング920の開口920bの中心を通過する。開口918a~dおよび開口920a~dは、幅よりも高さが大きく、各開口918a~dおよび920a~dの面積が、血液がカニューレアセンブリ908に入るとき通過し得る楕円形によって画定される状態で示されている。回転方向に整列した開口は、オフセットした開口よりも簡単にカニューレアセンブリ908中に機械加工し得る。
【0045】
図10は、互いから回転方向にオフセットした複数の丸い開口1016を有するカニューレアセンブリ1008の遠位端部分1014の正面図を示す。図10のカニューレアセンブリ1008は、遠位端1010、遠位端部分1014、非外傷性チップコネクタ1048、ティアドロップ部分1042、縦軸1044、非外傷性チップ1012および複数の開口1016を含む。複数の開口1016は、開口1018a~cの第一のリング1018、開口1020a~bの第二のリング1020、開口1030a~cの第三のリング1030および開口1040a~bの第四のリング1040に配置されている。第一のリング1018の開口1018a~cは長円形である。特に、開口1018a~cの第一のリング1018は、近位縁1053が丸み付けされ、遠位縁1051がティアドロップ部分1042の一部分によって画定されている。第二のリング1020中の開口1020a~b、第三のリング1030中の開口1030a~cおよび第四のリング1040中の開口1040a~bは円形である。第一のリング1018中の開口1018a~cと第三のリング1030中の開口1030a~cとは回転方向に整列して、開口1018bの中心を通過する線1055が開口1030bの中心を通過する。第二のリング1020中の開口1020a~bおよび第四のリング1040中の開口1040a~bは、開口1018a~cおよび開口1030a~cから回転方向にオフセットしているが、互いには回転方向に整列しており、カニューレ1008の縦軸1044に対して平行な、開口1020の中心を通過する線1057は開口1040aの中心を通過する。各リングの開口がそのすぐ上または下のリングの開口から回転方向にオフセットするようにカニューレアセンブリ1008の周囲にリング状に配置されている円形を有する複数の開口1016は、弁小葉が複数の開口を塞ぐ可能性を減らし得る。
【0046】
図10は、開口の第一のリングおよび丸い開口の3つのさらなるリングを有するカニューレアセンブリ1008の遠位端部分1014を示すが、図11は、開口の第一のリングおよび丸い開口の2つだけのさらなるリングを有するカニューレアセンブリの遠位端部分1114を示す。図11の遠位端部分1114は、遠位端1110、非外傷性チップコネクタ1148、ティアドロップ部分1142、縦軸1144および複数の開口1116を含む。複数の開口1116は、開口1118a~dの第一のリング1118、開口1120a~cの第二のリング1120および開口1130a~cの第三のリング1130に配置されている。第一のリング1118の開口1118a~eは長円形であり、遠位縁1151がティアドロップ部分1142の一部分1152によって画定されている。開口1118a~eの近位縁1153は丸み付けされている。第二のリング1120中の開口1120a~cおよび第三のリング1130中の開口1130a~cは円形である。図10の複数の開口1116と同様に、複数の開口1116のリングは回転方向にオフセットしている。たとえば、第一のリング1118中の開口1118a~eと第三のリング1130中の開口1030a~cとは回転方向に整列して、開口1118bの中心を通過する線1155が開口1130aの中心を通過する。
【0047】
図10および11は、複数の円形および長円形の開口を有する遠位端部分を示すが、図12は、第一のリング1218が涙形の開口1218aを有し、さらなるリング中の開口が円形である複数の開口1216を有するカニューレアセンブリの遠位端部分1214の正面図を示す。遠位端部分1214は、遠位端1210、非外傷性チップコネクタ1248、ティアドロップ部分1242、縦軸1244および複数の開口1216を含む。複数の開口1216は、開口1218aの第一のリング1218、開口1220a~bの第二のリング1220および開口1230aの第三のリング1230に配置されている。図12には開口1218aおよび1230aが1つずつしか見えないが、カニューレアセンブリの遠位端1214の周囲に放射状に配置された各リング1218、1220および1230中には複数の開口があり得る。第一のリング1218中の開口1218cは涙形であり、非外傷性チップコネクタ1248のティアドロップ部分1242の一部分1252によって画定される遠位縁1251は丸み付けされ、近位縁1253はカニューレを通過する血流の方向に尖っている。開口1220a~bの第二のリング1220および開口1230aの第三のリング1230は円形である。いくつかの実施形態において、開口1220a~bの第二のリング1220および開口1230aの第三のリング1230の一方または両方は、開口1218aの第一のリング1218と回転方向に整列している。
【0048】
図12は、涙形開口の第一のリング1218を示し、他のリングの開口は円形であるが、いくつかの実施形態においては、開口のすべてが涙形である。たとえば、図13は、第一のリング1318中の涙形開口ならびに第二のリング1320および第三のリング1330に配置された複数の涙形開口を有する遠位端部分1314の正面図を示す。遠位端部分1314は、遠位端1310、非外傷性チップコネクタ1348、ティアドロップ部分1342、縦軸1344ならびに開口1318aの第一のリング1318、開口1320a~bの第二のリング1320および開口1330aの第三のリング1330に配置された複数の開口1316を含む。図11と同様に、図12中、第一のリング1218および第三のリング1230中には開口1218aおよび1230aが1つずつしか見えないが、各リングは、カニューレアセンブリの遠位端部分1214の周囲に配置された複数の開口を含み得る。図12の開口1218aの第一のリング1218と同様に、第一のリング中の開口1318aは涙形であり、非外傷性チップコネクタ1348のティアドロップ部分1342によって画定される丸みのある遠位縁1351と、縦軸1344に沿って尖っている近位縁1353とを有する。第二のリング1320中の開口1320a~bおよび第三のリング1330中の開口1330a~cもまた涙形であり、各開口が、丸みのある遠位端および尖った近位端を有する。遠位端における大きめの開口から近位端における尖った開口に向けて先細りする開口は、開口を通過する血流を促進し、血液が複数の開口1316に流れ込むときその停滞を抑制し得る。
【0049】
遠位端部分の開口の数およびサイズの変化がカニューレへの血液の流れ分布を変化させることができる。図14~23は、カニューレの遠位端部分における開口のさらなる配置を示す。図14~23におけるすべての配置は、カニューレの遠位端部分の類似部分に配置された複数の開口を示すが、開口は形状、位置および相対サイズが異なる。図14は、開口の3つのリングへと配置された複数の開口1416を有する特定の実施形態の心臓ポンプアセンブリの遠位端部分1414の正面図を示す。遠位端部分1414は、遠位端1410、非外傷性チップコネクタ1448、ティアドロップ部分1442、縦軸1444、複数の開口1416、第一の周方向ストラット1463および第二の周方向ストラット1465を含む。周方向ストラット1463および1465は、遠位端部分1414の周囲に延び、複数の開口1416を開口のリングへと分割する。複数の開口1416は、開口1418a~cの第一のリング1418、開口1420a~cの第二のリング1420および開口1430a~cの第三のリング1430に配置されている。第一の周方向ストラット1463は第一のリング1418を第二のリング1420から分割する。第二の周方向ストラット1465は第二のリング1420を第三のリング1430から分割する。開口1418a~cは、1つの側がティアドロップ部分1442によって画定されている。第一のリング1418の開口1418a~cは長円形であり、それぞれ、幅よりも大きい高さを有する。第二のリング1420の開口1420a~cおよび第三のリング1430の開口1430a~cは長円形であり、それぞれ、幅よりも大きい高さを有する。加えて、第二のリング1420の開口1420a~cおよび第三のリング1430の開口1430a~cは、丸み付けされている近位縁およびまっすぐである遠位縁を有する。
【0050】
図15は、特定の実施形態のカニューレアセンブリの遠位端部分1514の正面図を示す。遠位端部分1514は、遠位端1510、非外傷性チップコネクタ1548、ティアドロップ部分1542、縦軸1544、複数の開口1516、第一の周方向ストラット1563および第二の周方向ストラット1565を含む。周方向ストラット1563および1565は、遠位端部分1514の周囲に延び、複数の開口1516を開口のリングへと分割する。複数の開口1516は、開口の3つのリング、すなわち開口1518a~cの第一のリング1518、開口1520a~cの第二のリング1520および開口1530a~cの第三のリング1530へと配置されている。第一の周方向ストラット1563は第一のリング1518を第二のリング1520から分割する。第二の周方向ストラット1565は第二のリング1520を第三のリング1530から分割する。第一のリング1518の開口1518a~cは、1つの側がティアドロップ部分1542によって画定され、縦軸1544に沿って、図14の第一のリング1418の開口1418a~cよりも小さい高さを有する。開口1520a~cおよび開口1530a~cのサイズおよび形状は図14と同じである。加えて、第一のリング1518と第二のリング1520との間の第一の周方向ストラット1563は、縦軸1544の方向に、図14の第一のリング1418と第二のリング1420とを分割する第一の周方向ストラット1463よりも大きい高さを有する。これは、特定の実施形態にしたがってカニューレアセンブリへの弁小葉の吸い付きを防ぐことができる、吸い付きを起こさないさらなる面積を提供し得る。
【0051】
図16は、特定の実施形態の遠位端部分1614の正面図を示す。遠位端部分1614は、遠位端1610、非外傷性チップコネクタ1648、ティアドロップ部分1642、縦軸1644、複数の開口1616、第一の周方向ストラット1663および第二の周方向ストラット1665を含む。周方向ストラット1663および1665は、遠位端部分1614の周囲に延び、複数の開口1616を開口のリングへと分割する。複数の開口1616は、開口の3つのリング、すなわち開口1618a~cの第一のリング1618、開口1620a~cの第二のリング1620および開口1630a~cの第三のリング1630へと配置されている。第一の周方向ストラット1663は第一のリング1618を第二のリング1620から分割する。第二の周方向ストラット1665は第二のリング1620を第三のリング1630から分割する。第一のリング1618の開口1618a~cは、1つの側がティアドロップ部分1642によって画定されている。第一のリング1618の開口1618a~cの高さは図15の第一のリング1518の開口1518a~cの高さよりも小さい。開口1620a~cおよび開口1630a~cのサイズおよび形状は図14および15と同じであるが、第一のリング1618の開口1618a~cの高さは図14および15の対応する開口の高さよりも小さい。加えて、図16の配置における、第一のリング1618を第二のリング1620から分割する第一の周方向ストラット1663は、図14または15における対応する周方向ストラット1463および1563よりも縦軸1644沿いの高さが大きい。
【0052】
図17は、開口の2つのリングへと配置された複数の開口1716を有する特定の実施形態のカニューレアセンブリの遠位端部分1714の正面図を示す。遠位端部分1714は、遠位端1710、非外傷性チップコネクタ1748、ティアドロップ部分1742、縦軸1744、複数の開口1716および周方向ストラット1763を含む。周方向ストラット1763は、遠位端部分1714の周囲に延び、複数の開口1716を開口のリングへと分割する。複数の開口1716は、開口1718a~cの第一のリング1718および開口1720a~cの第二のリング1720に配置されている。周方向ストラット1763は第一のリング1718を第二のリング1720から分割する。第一のリング1718の開口1718a~cの形状は、図14~16と同じ、遠位縁1751がティアドロップ部分1742によって画定されている長円形であり得る。第二のリング1720の開口1720a~cのサイズおよび形状は図14~16と同じであり得る。第一のリング1718の開口1718a~cおよび第二のリング1720の開口1720a~cは、互いからオフセットした状態で示されている。しかし、いくつかの実施形態において、第一のリング1718の開口1718a~cは第二のリング1720の開口1720a~cと回転方向に整列する。
【0053】
図18は、開口の2つのリングへと配置された複数の開口1816を有する特定の実施形態のカニューレアセンブリの遠位端部分1814の正面図を示す。カニューレ1808の遠位端部分1814は、遠位端1810、非外傷性チップコネクタ1848、ティアドロップ部分1842、複数の開口1816および周方向ストラット1863を含む。周方向ストラット1863は、遠位端部分1814の周囲に延び、複数の開口1816を開口のリングへと分割する。複数の開口1816は、開口1818a~cを有する第一のリング1818および開口1820a~cを有する第二のリング1820へと配置されている。周方向ストラット1863は第一のリング1818を第二のリング1820から分割する。第一のリング1818の開口1818a~cは、1つの側がティアドロップ部分1842によって画定され、図17の遠位端部分の開口1718a~cよりも小さい高さを有する。血液がカニューレアセンブリ1808に入るとき通過し得る面積は、図17と比べ、図18においては減少し得る。しかし、図18の周方向ストラット1863 1820は図17の周方向ストラット1763よりも大きい。これは、吸い込みが起こらないところの面積を増し、弁小葉または他の組織をカニューレアセンブリに吸い付ける可能性を減らし得る。
【0054】
図19~23は、遠位端部分が4つのリングに配置された複数の開口を含む様々な実施形態の配置を示す。たとえば、図19は、カニューレアセンブリの遠位端部分1914の正面図を示す。遠位端部分1914は、遠位端1910、非外傷性チップコネクタ1948、ティアドロップ部分1942、縦軸1944、複数の開口1916、第一の周方向ストラット1963、第二の周方向ストラット1965および第三の周方向ストラット1967を含む。周方向ストラット1963、1965および1967は、遠位端部分1914の周囲に延び、複数の開口1916を開口のリングへと分割する。複数の開口1916は、開口1918a~cの第一のリング1918、開口1920a~cの第二のリング1920、開口1930a~cの第三のリング1930および開口1940a~cの第四のリング1940に配置されている。第一の周方向ストラット1963は第一のリング1918を第二のリング1920から分割する。第二の周方向ストラット1965は第二のリング1920を第三のリング1930から分割する。第三の周方向ストラット1967は第三のリング1930を第四のリング1940から分割する。開口1918a~cは、1つの側がティアドロップ部分1942によって画定されている。第一のリング1918の開口1918a~c、第二のリング1920の開口1920a~c、第三のリング1930の開口1930a~cおよび第四のリング1940の開口1940a~cのそれぞれの高さは同様である。第一の周方向ストラット1963は、第二の周方向ストラット1965と同様な高さを有し、第三の周方向ストラット1967の高さとも同様である。第一のリング1918の開口1918a~cの面積は、第二のリング1920の開口1920a~c、第三のリング1930の開口1930a~cおよび第四のリング1940の開口1940a~cの面積と同様である。第二のリング1920、第三のリング1930および第四のリング1940中の開口は第一のリングの開口1918a~cと整列した状態に示されているが、いくつかの実施形態において、開口は回転方向にオフセットしていることもできる。
【0055】
図20は、開口の各リングが異なるサイズおよび形状を有する複数の開口2016を有する特定の実施形態のカニューレアセンブリ2008の遠位端部分2014の正面図を示す。遠位端部分2014は、遠位端2010、非外傷性チップコネクタ2048、ティアドロップ部分2042、縦軸2044および複数の開口2016を含む。複数の開口2016は、開口2018a~cの第一のリング2018、開口2020a~bの第二のリング2020、開口2030a~bの第三のリング2030および開口2040a~bの第四のリング2040に配置されている。開口2018a~cは、1つの側がティアドロップ部分2042によって画定されている。第一のリング2018の開口2018a~cは複数の開口2016の最大高さを有する。第二のリング2020の開口2020a~bは次に最大の高さを有する。第三のリング2030の開口2030a~bはその次に最大の高さを有する。第四のリング2040の開口2040a~bは複数の開口2016のうちで高さが最小である。複数の開口2016は、丸み付けされた形状を有する状態で示されているが、複数の開口2016は、高さの間の関係を維持しながらも任意の適当な形状を有し得る。いくつかの実施形態において、第一のリング2018の開口2018a~cの高さは第二のリング2020の開口2020a~bの高さの6倍未満である。いくつかの実施形態において、第二のリング2020の開口2020a~bの高さは第三のリング2030の開口2030a~bの高さの3倍未満である。いくつかの実施形態において、第三のリング2030の開口2030a~bの高さは第四のリング2040の開口2040a~bの高さの5倍未満である。
【0056】
図21~22それぞれにおいて、第一のリングの開口は同じ長円形および同じサイズを有し、第二、第三および第四のリングの開口は同じサイズおよび形状を有する。図21中、遠位端部分2114は、遠位端2110、非外傷性チップコネクタ2148、ティアドロップ部分2142、縦軸2144および複数の開口2116を含む。複数の開口2116は、開口2118a~cの第一のリング2118、開口2120a~cの第二のリング2120、開口2130a~cの第三のリング2130および開口2140a~cの第四のリング2140に配置されている。第一のリング2118の開口2118a~cは長円形である。特に、開口2118a~cの第一のリング2118は、近位縁2153が丸み付けされ、遠位縁2151がティアドロップ部分2142の一部分2152によって画定されている。第二のリング2120中の開口2120a~cは、第三のリング2130中の開口2130a~cおよび第四のリング2140中の開口2140a~cと同じ形状およびサイズである。第二のリング2120、第三のリング2130および第四のリング2140中の複数の開口2116は長円形であり、それぞれ、縦軸2144に対して平行な線に沿って計測される高さよりも大きい幅を有する。第二のリング2120、第三のリング2130および第四のリング2140中の複数の開口2116は、近位縁2169a~cが丸み付けされ、近位縁2153および2169a~cの中央が各開口のもっとも近位側の点である。各開口は内縁2171a~dを有する。複数の開口2116それぞれの内縁2171a~dは面取りされている。面取りは、カニューレアセンブリ108の表面に対して垂直な線に対して45°以下の角度であり得る。いくつかの実施形態において、面取りされた内縁2171a~dは、10°、20°、30°、40°、50°、>50°または任意の他の適当な角度の面取りを含む。面取りされた内縁2171a~dの使用は、血液がカニューレアセンブリ2108に入るとき、溶血を減らすことができる。面取りされた内縁2171a~dは、ここでは、開口の4つのリングを有する配置において示されているが、面取りされた内縁は、本明細書に示される配置のいずれにおいても使用され得る。図22中、図21と同様に、遠位端部分2214は、遠位端2210、非外傷性チップコネクタ2248、ティアドロップ部分2242、縦軸2244ならびに開口2218a~cの第一のリング2218、開口2220a~cの第二のリング2220、開口2230a~cの第三のリング2230および開口2240a~cの第四のリング2240に配置された複数の開口2216を含む。複数の開口2216それぞれは、丸み付けされている内縁2271a~dを有する。いくつかの実施形態において、丸み付けされた内縁2271a~dは、40ミクロン~105ミクロンの範囲である曲率半径を含む。いくつかの実施形態においては、内縁2271a~dの外向き部分だけが丸み付けされている。いくつかの実施形態において、内縁2271a~dの丸み付けは研磨によって達成される。いくつかの実施形態において、内縁2271a~dの丸み付けはタンブリング加工によって達成される。丸み付けされた縁は、血液が複数の開口2216を通ってカニューレアセンブリ2208に入るとき、溶血を減らし得る。丸み付けされた内縁2271a~dは、ここでは、開口の4つのリングを有する配置において示されているが、丸み付けされた内縁は、本明細書に示される配置のいずれにおいても使用され得る。
【0057】
図23は、カニューレアセンブリの遠位端部分2314の正面図を示す。遠位端部分2314は、遠位端2310、非外傷性チップコネクタ2348、ティアドロップ部分2342、縦軸2344および複数の開口2316を含む。複数の開口は、開口2318a~cの第一のリング2318、開口2320a~cの第二のリング2320、開口2330a~cの第三のリング2330および開口2340a~cの第四のリング2340に配置されている。第一のリング2318の開口2318a~cは、遠位縁2351がティアドロップ部分2342によって画定された長円形を有する。第二のリング2320、第三のリング2330および第四のリング2340の複数の開口それぞれ2320a~c、2330a~cおよび2340a~cは、幅が高さよりも大きい楕円形であり、第二のリング2320、第三のリング2330および第四のリング2340の複数の開口すべては同じサイズである。
【0058】
図24は、図23の配置への複数の開口を通過する流体の予測流量を示すプロット2400を示す。プロット2400は、カニューレアセンブリの遠位端部分2414の破断図、第二の開口2420、第四の開口2440および高流量領域を示すボックス2441を含む。プロットは、断面で示される心臓ポンプの2つの開口を通過する流体の予測流量を示す。心臓ポンプは、開口の第一、第二、第三および第四のリングを有するが、図示される実施形態においては第一のリング2418および第三のリング2430は回転方向にオフセットしているため、第二のリング2420および第四のリング2440の開口しか見えない。プロット中、より高い速度の区域がより長い線で示され、より低い流量の区域はより少ない線で示されている。流体流量の速度の大きさは1.28×e-05m/s(約0m/s)~6.08m/sの範囲である。最大の体積流量(ボックス2441によって強調)は、もっとも近位側の開口、この場合は第四のリング2440の開口2440aで生じる。この点におけるカニューレアセンブリ2408への流体の高い流入量は、この開口における相対的に高い圧力勾配による。血液は、カニューレアセンブリ2408の外から開口に通してカニューレアセンブリ2408の中に引き込まれ、そこで、下流側の開口(図示せず)に流れる。
【0059】
図25は、患者の血管2501に挿入された遠位端部分2514に複数の開口2516を有する経皮心臓ポンプアセンブリ2500を示す。特に、心臓ポンプアセンブリ2500は、患者の血管2501に通して心臓2503に導入される。心臓2503は、大動脈2568、大動脈弓2577、大動脈弁2570、左心室2572、左心房2576および僧帽弁2574ならびに他の構造を含む。心臓ポンプアセンブリ2501は、カテーテル2528、モータハウジング2502、カニューレアセンブリ2508、カニューレボディ2509、遠位端部分2514、近位端2506、遠位端2510、非外傷性チップ2512、複数の開口2516および複数の血液放出口2524を含む。心臓ポンプアセンブリ2500のモータハウジング2502はモータ(図示せず)に接続されている。モータは、モータハウジング2502に対して内部にあり、モータハウジング2502と一体化している。他の実施形態において、モータは、ボディに対して外にあり、カテーテル2528内の駆動軸(図示せず)を介してポンプに接続されており、そのような例においては、アセンブリ2508はモータハウジング2502を含まなくてもよい。カニューレアセンブリ2508はモータハウジング2502の遠位端に接続されている。カニューレアセンブリ2508の遠位端部分2514は、血液がカニューレアセンブリ2508に入るとき通過し得る複数の開口2516を含む。複数の開口2516は、カニューレアセンブリ2508の周囲に放射状に配向かつ配置されている開口の少なくとも第一のリング2518および第二のリング2520へと配置されている。ここでは開口の2つのリングが示されているが、本明細書に記載される開口の任意の配置を使用し得る。いくつかの実施形態において、複数の開口2516は、開口の3つ、4つまたはそれより多くのリングへと配置される。非外傷性チップ2512は、複数の開口2516の遠位側にある、カニューレアセンブリ2508の遠位端2510に結合されている。血液は、経路2578に沿って複数の開口2516からカニューレアセンブリ2508の中に引き込まれる。血液は、カニューレアセンブリ2508を通過し、モータハウジング2502に対して近位側にある複数の血液放出口2524から経路2580に沿って出る。
【0060】
心臓ポンプアセンブリ2500は、心臓処置中に血管系に通して経皮的に導入され得る。具体的には、心臓ポンプアセンブリ2500は、カテーテル挿入処置を介して経皮的に挿入して、大腿動脈に通し、上行大動脈2568に入れ、大動脈弁2570を通過させ、左心室2572に入れることができる。心臓ポンプアセンブリ2500は、大動脈弓2577上に挿入されるように患者の心臓2503中に配置することができる。複数の血液放出口2524は、大動脈2568中、大動脈弁2570の上方に配置され得る。カニューレアセンブリ2508は、血液が入るときに通過する複数の開口2516が心臓2503の左心室2572中に配置されるよう、大動脈弁2570を通過するように配置される。非外傷性チップ2512は、カニューレアセンブリ2508を心臓2503の壁から離間させ、複数の開口2516が心臓2503の壁に吸い付くことを防ぐ。
【0061】
しかし、場合によっては、心臓ポンプアセンブリ2501の配置は、複数の開口2516を左心房2576への入口の僧帽弁小葉2574の近くに位置させる。これは、特定の心臓2503の個々の解剖学的構造のせいであり得る。僧帽弁小葉2574は、ポンプの吸引により、複数の開口2516に吸い寄せられ、複数の開口2516のいくつかに吸い付けられて、複数の開口2516を通過する血液の流入を遮断し得る。場合によっては、特に、大きな入口を有するポンプ、たとえば図1の心臓ポンプアセンブリ100において、僧帽弁小葉2574は、複数の開口2516の1つを通ってカニューレアセンブリ2508の中へ吸い込まれることがあり、そこで、僧帽弁小葉2574は、カニューレを通過する血流を遮断する。小さめのサイズの複数の開口2516は複数の開口2516への僧帽弁小葉の吸い付きを防ぐ。さらに、複数の開口2516は、複数の開口2516のいくつかへの僧帽弁小葉2574または他の組織もしくは組織片の吸い付きにもかかわらず、カニューレアセンブリ2508を通過する血流が維持されることを可能にする。別の実施形態(図示せず)において、心臓ポンプアセンブリは、患者の右心を支持するように設計されてもよい。特定の局面において、装置は、大腿静脈に通して経皮的に右心房に挿入されてもよいし、他の技術によって挿入されてもよい。装置がそのように配置されると、アセンブリのカニューレは、三尖弁および肺動脈弁を通過して肺動脈の中に延び得る。この場合、複数の開口は、下大静脈(IVC)中に配置されるポンプの入口に配置されることができる。理解されるように、そのような装置は、上記開口の構造のいずれかを含むことができる。装置は、非外傷性チップまたは突起を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0062】
図26は、遠位端部分に複数の開口を有する特定の実施形態の心臓ポンプ(たとえば、図2の心臓ポンプアセンブリ200、図4の心臓ポンプアセンブリ400、図25の心臓ポンプアセンブリ2500または任意の他の適当な心臓ポンプ)を製造する方法のフローチャートである。方法2600は、任意の数のリングに配置された任意の数の開口を遠位端部分に有する心臓ポンプを形成するために実施され得る。方法2600は、まっすぐな、面取りされた、または丸み付けされた縁を有する任意のサイズまたは形状の開口を有する心臓ポンプアセンブリの製造のために実施され得る。工程2602で、インペラブレードをモータのロータに結合する。インペラブレードは、任意の適当な数のブレードを有し得、モータに結合された駆動軸によって回され得る。いくつかの実施形態において、モータは、ポンプの作動中、患者に対して外にあるように構成されている。いくつかの実施形態において、モータはモータハウジングと一体化している。工程2604で、インペラブレードをモータハウジングに挿入する。工程2606で、カニューレをモータハウジングに結合する。カニューレはモータハウジングの遠位端に取り付けられ得る。いくつかの実施形態において、カニューレは拡張性である。いくつかの実施形態において、カニューレは自己拡張性である。いくつかの実施形態において、カニューレは、弾性カバーによって覆われたメッシュ、たとえばニチノールメッシュで構成され得る。いくつかの実施形態において、カニューレは、中実ワイヤ、たとえばポリマーカバーまたは布地を有するニチノールワイヤで構成され得る。
【0063】
工程2608で、カニューレを、複数の開口を含む流入ケージに結合する。いくつかの実施形態において、流入ケージはステンレス鋼で構成されている。複数の開口は、血液が流入ケージ中の開口を通過し、カニューレに入るのに適した任意の数、形状またはサイズであり得る。複数の開口は、流入ケージの周囲に放射状に配向されている。複数の開口は、少なくとも、開口の第一のリングおよび該開口の第一のリングの近位側にある開口の第二のリングへと配置されている。リング中の開口の数は、3、4、5、6、7、8、9、10または任意の他の適当な開口の数である。いくつかの実施形態において、第一のリング中の開口の数は第二のリング中の開口の数と同じである。開口の第一のリングは流入ケージの遠位端部分の端部まで延びる。いくつかの実施形態において、複数の開口はさらに、より多くのリング、たとえば第二のリングの近位側にある第三のリングおよび該第三のリングの近位側にある第四のリングを有する。複数の開口それぞれは、いくつかの実施形態においてはタンブリング加工によって形成または変形される外縁を有し得る。
【0064】
複数の開口は、弁小葉をはじめとする心臓組織の、複数の開口への吸い付きまたはその中への吸い込み(ポンプへの血液の流入を遮断して、心臓ポンプの効率を制限する)を防ぐのに役立つサイズ、形状、数または配置を有し得る。たとえば、いくつかの実施形態において、第一の開口の高さは9mm未満である。いくつかの実施形態において、第一のリングの開口の高さは、0.5mm、1mm、3mm、5mm、6mm、9mm、10mm、12mm、15mmまたは任意の他の適当な高さである。いくつかの実施形態において、第二の開口の高さは3mm未満である。いくつかの実施形態において、第二のリングの開口の高さは、0.25mm、0.5mm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、5mm、6mmまたは任意の他の適当な高さである。いくつかの実施形態において、第二の開口の幅は4mm未満である。いくつかの実施形態において、第二のリングの開口の幅は、0.5mm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、3mm、3.5mm、4mm、5mm、6mm、8mmまたは任意の他の適当な幅である。いくつかの実施形態において、第三のリングの開口の高さおよび幅は、第二のリング中の開口の高さおよび幅と同じである。
【0065】
各開口の面積は異なり得る。いくつかの実施形態において、第一のリング中の開口の面積は他のリング中の開口の面積よりも大きい。いくつかの実施形態において、第一の開口の面積は20mm2未満である。いくつかの実施形態において、第一のリングの開口の面積は、0.5mm2、1mm2、5mm2、10mm2、15mm2、18mm2、20mm2、23mm2、25mm2または任意の他の適当な面積である。第二のリングの開口の面積12mm2未満であり得る。いくつかの実施形態において、第二のリングの開口の面積は、0.25mm2、0.5mm2、1mm2、2mm2、5mm2、10mm2、12mm2または任意の他の適当な面積であり得る。
【0066】
開口は、まっすぐな、丸み付けされた、または面取りされた内縁を有し得る。いくつかの実施形態において、開口は少なくとも1つの面取りされた縁を有する。面取りは、流入ケージの表面に対して垂直な線に対して45°以下の角度であり得る。いくつかの実施形態において、面取りされた内縁は、10°、20°、30°、40°、50°、>50°または任意の他の適当な角度の面取りを含む。面取りされた内縁の使用は、血液が流入ケージに入るとき、溶血を減らすことができる。いくつかの実施形態において、開口は少なくとも1つの丸み付けされた縁を有する。いくつかの実施形態において、丸み付けされた内縁は、40ミクロン~105ミクロンの範囲である曲率半径を含む。
【0067】
いくつかの実施形態において、複数の開口はカニューレの遠位端部分に形成されている。いくつかの実施形態において、カニューレの遠位端部分はステンレス鋼で構成されている。カニューレに形成された複数の開口は、血液が開口を通過し、カニューレに入るのに適した任意の数、形状またはサイズであり得る。複数の開口はカニューレの周囲に放射状に配向され得る。複数の開口は、少なくとも、開口の第一のリングおよび該開口の第一のリングの近位側にある開口の第二のリングへと配置されている。リング中の開口の数は、3、4、5、6、7、8、9、10または任意の他の適当な開口の数である。いくつかの実施形態において、第一のリング中の開口の数は第二のリング中の開口の数と同じである。開口の第一のリングはカニューレの遠位端部分の端部まで延びる。いくつかの実施形態において、複数の開口はさらに、より多くのリング、たとえば第二のリングの近位側にある第三のリングおよび該第三のリングの近位側にある第四のリングを有する。複数の開口それぞれは、いくつかの実施形態においてはタンブリング加工によって形成または変形される外縁を有し得る。
【0068】
工程2610で、遠位突起を流入ケージの遠位端に結合する。遠位突起または非外傷性チップは、複数の開口に対して遠位側にある。遠位突起の基部が開口の第一のリング中の複数の開口の遠位縁を形成し得る。いくつかの実施形態において、この工程は任意選択であり、遠位突起は心臓ポンプに取り付けられない。いくつかの実施形態において、遠位突起はピグテールとして構成されている。いくつかの実施形態において、遠位突起はフレキシブルな突起または延長部として構成されている。遠位突起は、流入ケージ上の複数の開口を心臓の壁から離間させるように構成された非外傷性チップである。いくつかの実施形態において、遠位突起は、ガイドワイヤを中に挿入し得る内腔を含む。遠位突起は、心臓の組織への複数の開口の吸い付きを防ぐために、カニューレの機械的延長を提供する。
【0069】
図27は、遠位端部分に複数の開口を有する心臓ポンプ(たとえば、図2の心臓ポンプアセンブリ200、図4の心臓ポンプアセンブリ400、図25の心臓ポンプアセンブリ2500または任意の他の適当な心臓ポンプ)の使用方法のフローチャートを示す。方法2700は、任意の数の列に配置された任意の数の開口を遠位端部分に有する心臓ポンプを形成するために実施され得る。方法2700は、まっすぐな、面取りされた、または丸み付けされた縁を有する任意のサイズまたは形状の開口を有する心臓ポンプアセンブリの使用のために実施され得る。工程2702で、ポンプモータを使用して回転軸を中心にインペラを回転させて、複数の血液入口開口から血液ポンプアセンブリのカニューレに血液を引き込む。モータは、患者に対して外にあり、駆動軸によってインペラに接続され得る。あるいはまた、モータは、ポンプに組み込まれ、内部的に使用されてもよい。血液入口開口は、任意のサイズ、形状または数を有し得る。血液入口開口は、カニューレの周囲に放射状に配向され、カニューレの遠位端部分で少なくとも2つのリングに配置されている。血液入口開口のサイズ、形状、数および位置は、入口開口を塞ぐ心臓組織、弁小葉および他の組織片の吸い込みの発生を減らすように構成されることができる。
【0070】
工程2704で、心臓ポンプアセンブリから、モータハウジングに対して近位側にあるカニューレの近位端部分に配置された複数の血液放出開口から血液を放出する。血液は、左心室中の血液入口開口からカニューレの中へ吸い込まれ得、血液放出開口から大動脈弁上の大動脈の中に放出され得る。複数の小さな流入開口は、開口が心臓構造または弁小葉に吸い付くことを防ぐ、またはその傾向を減らす。小さな開口は、ポンプが小葉を入口の中に吸い込むことを防いで、ポンプがより多くの支援を心臓に提供することを可能にする、ポンプに吸い付けられ得る心臓構造への潜在的損傷を減らす。
【0071】
前記は本開示の原理を単に例示したものであり、装置は、限定のためではなく例示のために提示された前記実施形態以外によっても実施することができる。本明細書に開示される装置は、経皮心臓ポンプにおける使用に関して示されているが、流入のために空の開口を要する他の用途における装置にも適用され得ることが理解されよう。
【0072】
本開示を考察したのち、当業者には変形および改変が思い浮かぶであろう。開示された特徴は、本明細書に記載された1つまたは複数の他の特徴との任意の組み合わせおよび部分的組み合わせ(複数の従属的組み合わせおよび部分的組み合わせを含む)で具現化されてもよい。上記様々な特徴は、それらの任意の構成部品を含め、他のシステムへと組み合わされてもよいし、一体化されてもよい。そのうえ、特定の特徴が省略されてもよいし、具現化されなくてもよい。
【0073】
変更、置換および変形の例は当業者によって確認可能であり、本明細書に開示される情報の範囲を逸脱することなく実施することができる。本明細書において引用されるすべての参考文献は、全体として参照により組み入れられ、本出願の一部とされる。
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