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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】圧縮機、および冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20231219BHJP
   F04C 29/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
F04B39/00 106A
F04C29/00 T
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022507003
(86)(22)【出願日】2020-03-09
(86)【国際出願番号】 JP2020010020
(87)【国際公開番号】W WO2021181463
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】志田 勝吾
(72)【発明者】
【氏名】戸田 隼
(72)【発明者】
【氏名】川島 裕瑞希
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/030841(WO,A1)
【文献】特開2013-024050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
F04C 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器と、
前記密閉容器に収容され、かつ前記密閉容器内に導入される冷媒を圧縮する圧縮機構部と、
前記密閉容器の内面に固定される筒状の固定子と、前記固定子の内側に配置されて前記圧縮機構部の回転駆動力を発生させる回転子と、を有する電動機と、
前記密閉容器に並べて設けられる一対の密封端子と、を備え、
それぞれの前記密封端子は、前記密閉容器の外側に配置されて前記電動機に電気的に接続される3つの板状端子を有し、
それぞれの前記板状端子の一方の面は、前記一方の面を含む仮想面が前記3つの板状端子の全体で三角形を描くように、前記三角形のそれぞれの辺に沿い、かつ他の2つの前記板状端子の一方の面に向き合い、
一方の前記密封端子の前記3つの板状端子が描く前記三角形のいずれか1つの角は、他方の前記密封端子の前記3つの板状端子が描く前記三角形のいずれか1つの角に向かい合っており、
それぞれの前記密封端子に設けられる一対の端子台を備え、
前記端子台は、縦棒部分と横棒部分とを有するT字形であって、前記一対の端子台のそれぞれの前記横棒部分が向かい合って対向するとともに、前記縦棒部分が相互に離れる方向へ延びるように配置され、
前記端子台は、対応する前記密封端子のそれぞれの前記板状端子に接続される3つの電源線が他方の前記端子台から離れる方向へ配線されるように、前記3つの電源線を保持する、圧縮機。
【請求項2】
それぞれの前記密封端子は、前記密閉容器の内側に配置されて前記電動機に電気的に接続される3つの第二板状端子を有し、
それぞれの前記密封端子について、1つの前記第二板状端子の表裏の面は、前記三角形の重心を中心とする円を扇形状に実質的に三等分する3つの仮想線のいずれか1つである第一仮想線に沿い、他の2つの前記第二板状端子の表裏の面は、前記3つの仮想線の他の2つである第二仮想線に実質的に直行し、
前記第一仮想線は、前記一対の密封端子から見て、前記密閉容器の中心線よりも遠い箇所で交差する請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
請求項1または2に記載される圧縮機と、
放熱器と、
膨張装置と、
吸熱器と、
前記圧縮機、前記放熱器、前記膨張装置、および前記吸熱器を接続して前記冷媒を流通させる冷媒配管と、を備える冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機、および冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機構と、圧縮機構を駆動させる電動機と、を備える圧縮機が知られている。この従来の圧縮機の電動機は、複数系統、例えば、二系統の三相巻線を備えている。そのため、従来の圧縮機は、二系統の口出線と、二系統の密封端子と、を備えている。それぞれの密封端子は、それぞれの口出線を介してそれぞれの三相巻線に電気的に接続されている。
【0003】
これら二系統の密封端子には、圧縮機の内側で少なくとも6つの電力線が接続され、圧縮機の外側で少なくとも6つの電力線が接続される。これら多数の電力線の配線は複雑であるが、電力線に過剰な曲げ応力が加わればそれら電力線の耐久性が低下する虞がある。
【0004】
そこで、従来の圧縮機は、第1の密封端子、および第2の密封端子を備えている。これら密封端子は、電動機に電気的に接続される3つのピンを有し、同一の形状に構成され、かつ密閉容器に並べて設けられている。第1の密封端子の3つのピンおよび第2の密封端子の3つのピンは、圧縮機の吐出管の中心と第1の密封端子および第2の密封端子の中点とを通る直線に対して、非対称に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-082776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、圧縮機の性能向上のために排除容積を拡大させると、圧縮負荷が増大する。この圧縮負荷の増大に応じるために、電動機は、より多くの電流を必要とする。このような電流の増加は、密封端子に電力線を接続する端子の通電時の温度を上昇させる。従来の圧縮機に採用されているファストン端子は、このような通電時の温度上昇に対応することが難しい。
【0007】
そこで、ファストン端子に代えて、板状の大型の端子を面接触させてネジで締結するタイプの端子を採用することで、密封端子に電力線を接続する端子の温度上昇を抑制できる。
【0008】
そして、この種の板状の端子と密封端子とを接続するためには、ネジを締結する端子台が必要である。従来の圧縮機のように複数の密封端子を備える場合には、それぞれの密封端子に端子台が設けられる。つまり、複数の端子台が、密封端子と同じように並べて設けられる。
【0009】
しかしながら、従来の圧縮機の一対の密封端子の配置関係では、一対の端子台を干渉させることなく並べて設けることは難しい。また、それぞれの端子にネジを締結する際の作業性が著しく低い、またはそれぞれの端子にネジを締結する作業が困難であると考えられる。
【0010】
そこで、本発明は、端子台を設置して密封端子と電力線の端子とを確実にネジ止め可能であって、電力線に過剰な曲げ応力を加えることなく密封端子に電力線を接続することが可能であって、製造時に電力線を効率良く接続可能な圧縮機および冷凍サイクル装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係る圧縮機は、密閉容器と、前記密閉容器に収容され、かつ前記密閉容器内に導入される冷媒を圧縮する圧縮機構部と、前記密閉容器の内面に固定される筒状の固定子と、前記固定子の内側に配置されて前記圧縮機構部回転駆動力を発生させる回転子と、を有する電動機と、前記密閉容器に並べて設けられる一対の密封端子と、を備えている。それぞれの前記密封端子は、前記密閉容器の外側に配置されて前記電動機に電気的に接続される3つの板状端子を有している。それぞれの前記板状端子の一方の面は、前記一方の面を含む仮想面が前記3つの板状端子の全体で三角形を描くように、前記三角形のそれぞれの辺に沿い、かつ他の2つの前記板状端子の一方の面に向き合っている。一方の前記密封端子の前記3つの板状端子が描く前記三角形のいずれか1つの角は、他方の前記密封端子の前記3つの板状端子が描く前記三角形のいずれか1つの角に向かい合っている。さらに、前記圧縮機は、それぞれの前記密封端子に設けられる一対の端子台を備えている。前記端子台は、縦棒部分と横棒部分とを有するT字形であって、前記一対の端子台のそれぞれの前記横棒部分が向かい合って対向するとともに、前記縦棒部分が相互に離れる方向へ延びるように配置され、対応する前記密封端子のそれぞれの前記板状端子に接続される3つの電源線が他方の前記端子台から離れる方向へ配線されるように、前記3つの電源線を保持する。
【0013】
本発明の実施形態に係る圧縮機のそれぞれの前記密封端子は、前記密閉容器の内側に配置されて前記電動機に電気的に接続される3つの第二板状端子を有していることが好ましい。それぞれの前記密封端子について、1つの前記第二板状端子の表裏の面は、前記三角形の重心を中心とする円を扇形状に実質的に三等分する3つの仮想線のいずれか1つである第一仮想線に沿い、他の2つの前記第二板状端子の表裏の面は、前記3つの仮想線の他の2つである第二仮想線に実質的に直行し、前記第一仮想線は、前記一対の密封端子から見て、前記密閉容器の中心線よりも遠い箇所で交差することが好ましい。
【0014】
また、本発明の実施形態に係る冷凍サイクル装置は、前記圧縮機と、放熱器と、膨張装置と、吸熱器と、前記圧縮機、前記放熱器、前記膨張装置、および前記吸熱器を接続して冷媒を流通させる冷媒配管と、を備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の実施形態によれば、端子台を設置して密封端子と電力線の端子とを確実にネジ止め可能であって、電力線に過剰な曲げ応力を加えることなく密封端子に電力線を接続することが可能であって、製造時に電力線を効率良く接続可能な圧縮機および冷凍サイクル装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る冷凍サイクル装置および圧縮機の概略的な図。
図2】本発明の実施形態に係る圧縮機の密封端子を上方から見た模式図。
図3】本発明の実施形態に係る圧縮機の密封端子を下方から見た模式図。
図4】本発明の実施形態に係る圧縮機の密封端子および端子台を上方から見た模式図。
図5】本発明の実施形態に係る圧縮機の密封端子および端子台の縦断面図。
図6】本発明の実施形態に係る圧縮機の端子台の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る圧縮機、および冷凍サイクル装置の実施形態について図1から図6を参照して説明する。なお、複数の図面中、同じまたは相当する構成には同一の符号が付されている。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る冷凍サイクル装置および圧縮機の概略的な図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る冷凍サイクル装置1は、例えば空気調和機である。冷凍サイクル装置1は、密閉型の回転圧縮機2(以下、単に「圧縮機2」と言う。)と、放熱器3と、膨張装置5と、吸熱器6と、アキュムレーター7と、冷媒配管8と、を備えている。冷媒配管8は、圧縮機2と放熱器3と膨張装置5と吸熱器6とアキュムレーター7とを順次に接続して冷媒を流通させる。放熱器3は、凝縮器とも呼ばれる。吸熱器6は蒸発器とも呼ばれる。
【0020】
圧縮機2は、冷媒配管8を通じて吸熱器6を通過した冷媒を吸い込み、圧縮し、冷媒配管8を通じて高温高圧の冷媒を放熱器3へ吐き出す。
【0021】
圧縮機2は、縦置きされる円筒状の密閉容器11と、密閉容器11内の上半部に収容されるオープン巻線型電動機12(以下、単に「電動機12」と言う。)と、密閉容器11内の下半部に収容される圧縮機構13と、電動機12の回転駆動力を圧縮機構13へ伝達する回転軸15と、回転軸15を回転自在に支持する主軸受16と、主軸受16と協働して回転軸15を回転自在に支持する副軸受17と、を備えている。
【0022】
縦置きされる密閉容器11の中心線は、上下方向へ延びている。密閉容器11は、上下方向に延びる円筒形状の胴部11aと、胴部の上端部を塞ぐ鏡板11bと、胴部の下端部を塞ぐ鏡板11cと、を備えている。
【0023】
密閉容器11の上側の鏡板11bには、冷媒を密閉容器11外へ吐出する吐出管8aが接続されている。吐出管8aは冷媒配管8に繋がれている。また、密閉容器11の上側の鏡板11bには、電動機12へ供給される電力を密閉容器11の外側から内側へ導く一対の密封端子18、19(Sealed terminal)と、一対の端子台22、23(Terminal block)と、が設けられている。それぞれの端子台22、23は、それぞれの密封端子18、19に設けられている。それぞれの端子台22、23には、それぞれの密封端子18、19に電気的に接続されて電力を供給する複数の電力線25が固定される。電力線25は、いわゆるリード線である。
【0024】
電動機12は、圧縮機構13を回転させる駆動力を発生させる。電動機12は、圧縮機構13よりも上方に配置されている。電動機12は密閉容器11の内面に固定される筒状の固定子31と、固定子31の内側に配置されて圧縮機構13の回転駆動力を発生させる回転子32と、固定子31から引き出されて一対の密封端子18、19に電気的に接続される複数の口出線33と、を備えている。
【0025】
回転子32は、磁石収容孔(図示省略)を有する回転子鉄心35と、磁石収容孔に収容される永久磁石(図示省略)と、を備えている。回転子32は、回転軸15に固定されている。回転子32および回転軸15の回転中心線Cは、固定子31の中心線に実質的に一致している。また、回転子32および回転軸15の回転中心線Cは、密閉容器11の中心線に実質的に一致している。
【0026】
複数の口出線33は、密封端子18、19を通じて固定子31に電力を供給する電力線であり、いわゆるリード線である。口出線33は、電動機12の種類に応じて複数配線される。本実施形態では6本の口出線33が配線されている。
【0027】
なお、電動機12は、オープン巻線型の他に、従来の圧縮機の電動機のような、複数系統、例えば、二系統の三相巻線を備える電動機であっても良い。
【0028】
回転軸15は、電動機12と圧縮機構13とを連結している。回転軸15は、電動機12が発生させる回転駆動力を圧縮機構13に伝達する。
【0029】
回転軸15の中間部分15aは、電動機12と圧縮機構13とを繋ぎ、主軸受16によって回転可能に支持されている。回転軸15の下端部分15bは、副軸受17によって回転可能に支持されている。主軸受16および副軸受17は、圧縮機構13の一部でもある。換言すると、回転軸15は、圧縮機構13を貫通している。
【0030】
また、回転軸15は、主軸受16に支持されている中間部分15aと副軸受17に支持されている下端部分15bとの間に、複数、例えば3つの偏心部36を備えている。それぞれの偏心部36は、回転軸15の回転中心線に不一致な中心を有する円盤、あるいは円柱である。
【0031】
圧縮機構13は、密閉容器11内に導入される冷媒を圧縮する。電動機12が回転軸15を回転駆動することによって、圧縮機構13は、冷媒配管8からガス状の冷媒を吸込んで圧縮し、圧縮された高温高圧の冷媒を密閉容器11内に吐出する。
【0032】
圧縮機構13は、複数気筒、例えば3気筒のロータリー式である。圧縮機構13は、それぞれが円形のシリンダー室41を有する複数のシリンダー42と、それぞれのシリンダー室41内に配置される複数の環状のローラー43と、を備えている。なお、圧縮機構13は、単気筒のロータリー式であっても良い。
【0033】
ここで、電動機12に最も近いシリンダー42を第一シリンダー42Aとし、電動機12から最も遠いシリンダー42を第三シリンダー42Cとし、第一シリンダー42Aと第三シリンダー42Cとの間に配置されるシリンダー42を第二シリンダー42Bとする。
【0034】
圧縮機構13は、第一シリンダー42Aの上面を塞ぐ主軸受16と、第一シリンダー42Aの下面および第二シリンダー42Bの上面を塞ぐ第一仕切板45Aと、第二シリンダー42Bの下面および第三シリンダー42Cの上面を塞ぐ第二仕切板45Bと、第三シリンダー42Cの下面を塞ぐ副軸受17と、を備えている。
【0035】
換言すると、第一シリンダー42Aの上面は、主軸受16によって閉鎖されている。第一シリンダー42Aの下面は、第一仕切板45Aによって閉鎖されている。第二シリンダー42Bの上面は、第一仕切板45Aによって閉鎖されている。第二シリンダー42Bの下面は、第二仕切板45Bによって閉鎖されている。第三シリンダー42Cの上面は、第二仕切板45Bによって閉鎖されている。第三シリンダー42Cの下面は、副軸受17によって閉鎖されている。
【0036】
つまり、第一シリンダー42Aは、主軸受16と第一仕切板45Aとの間に挟み込まれている。第二シリンダー42Bは、第一仕切板45Aと第二仕切板45Bとの間に挟み込まれている。第三シリンダー42Cは、第二仕切板45Bと副軸受17との間に挟み込まれている。
【0037】
主軸受16および第一仕切板45Aは、ボルトなどの締結部材46によって第二シリンダー42Bに一括して固定されている。つまり、主軸受16および第一仕切板45Aは、締結部材46によって第二シリンダー42Bに共締めされている。主軸受16には、第一シリンダー42Aのシリンダー室41内で圧縮された冷媒を吐出する第一吐出弁機構51Aと、第一吐出弁機構51Aに覆い被さる第一吐出マフラー52と、が設けられている。第一吐出弁機構51Aは、圧縮機構13の圧縮作用にともない第一シリンダー42Aのシリンダー室41内の圧力と第一吐出マフラー52内の圧力との圧力差が所定値に達したときに吐出ポート(図示省略)を開放して、圧縮された冷媒を第一吐出マフラー52内に吐出する。
【0038】
第二仕切板45Bには、第二シリンダー42Bのシリンダー室41内で圧縮された冷媒を吐出する第二吐出弁機構51B、および吐出室53が設けられている。主軸受16、第一シリンダー42A、第一仕切板45A、および第二シリンダー42Bは、第二仕切板45Bの吐出室53を第一吐出マフラー52内に繋げる第一孔(図示省略)を有している。第二吐出弁機構51Bは、圧縮機構13の圧縮作用にともない第二シリンダー42Bのシリンダー室41内の圧力と吐出室53内の圧力との圧力差が所定値に達したときに吐出ポート(図示省略)を開放して、圧縮された冷媒を吐出室53内に吐出する。吐出室53内に吐出した冷媒は、第一孔を通って第一吐出マフラー52内に吐出する。第一孔を通って第一吐出マフラー52内に吐出した冷媒は、第一シリンダー42Aで圧縮された冷媒に合流する。
【0039】
副軸受17、第三シリンダー42C、および第二仕切板45Bは、ボルトなどの締結部材55によって第二シリンダー42Bに一括して固定されている。つまり、副軸受17、第三シリンダー42C、および第二仕切板45Bは、締結部材55によって第二シリンダー42Bに共締めされている。副軸受17には、第三シリンダー42Cのシリンダー室41内で圧縮された冷媒を吐出する第三吐出弁機構51Cと、第三吐出弁機構51Cに覆い被さる第二吐出マフラー56と、が設けられている。主軸受16、第一シリンダー42A、第一仕切板45A、第二シリンダー42B、第二仕切板45B、および第三シリンダー42Cは、第二吐出マフラー56内の空間を第一吐出マフラー52内に繋げる第二孔57を有している。第三吐出弁機構51Cは、圧縮機構13の圧縮作用にともない第三シリンダー42Cのシリンダー室41内の圧力と第二吐出マフラー56内の圧力との圧力差が所定値に達したときに吐出ポート(図示省略)を開放して、圧縮された冷媒を第二吐出マフラー56内に吐出する。第二吐出マフラー56内に吐出した冷媒は、第二孔57を通って第一吐出マフラー52内に吐出する。第一吐出マフラー52内に吐出した冷媒は、第一シリンダー42Aで圧縮された冷媒、および第二シリンダー42Bで圧縮された冷媒に合流する。
【0040】
第一吐出マフラー52は、第一吐出マフラー52の内外を繋ぐ吐出孔(図示省略)を有している。第一吐出マフラー52内に吐出した圧縮冷媒は、吐出孔を通じて密閉容器11内へ吐出する。
【0041】
なお、第一孔は、第二孔57の一部であっても良い。また、第二仕切板45Bの吐出室53は、第二吐出マフラー56内に繋がれていても良い。つまり、第一孔は、第二吐出マフラー56内に繋がれていても良い。
【0042】
第一シリンダー42Aは、密閉容器11に複数箇所で溶接、例えばスポット溶接によって固定されたフレーム58にボルトなどの締結部材59で固定されている。つまり、フレーム58は、第一シリンダー42Aを介して電動機12の回転子32、圧縮機構13、および回転軸15を密閉容器11に支えている。なお、電動機12の回転子32、圧縮機構13、および回転軸15を密閉容器11の高さ方向における重心は、フレーム58の厚み(圧縮機2の高さ方向における寸法)の範囲に位置していることが好ましい。
【0043】
複数の吸込管61は、密閉容器11を貫いて、それぞれのシリンダー42のシリンダー室41に接続されている。それぞれのシリンダー42は、それぞれの吸込管61に繋がってシリンダー室41に到達する吸込孔を有している。第一吸込管61Aは、第一シリンダー42Aのシリンダー室41に繋がれている。第二吸込管61Bは、第二シリンダー42Bのシリンダー室41に繋がれている。第三吸込管61Cは、第三シリンダー42Cのシリンダー室41に繋がれている。なお、複数の吸込管61の数は、本実施形態のように複数のシリンダー42と同数であっても良いし、2つのシリンダー42で共有されていて、複数のシリンダー42より少数であっても良い。例えば、第二吸込管61Bは、第二仕切板45Bに繋がれていても良い。第二仕切板45Bには、第二仕切板45Bに繋がれ、かつ第二シリンダー42Bのシリンダー室41、および第三シリンダー42Cのシリンダー室41に分岐して2つのシリンダー室41に繋がる冷媒通路(図示省略)が設けられる。
【0044】
密閉容器11の下部は潤滑油62で満たされている。そして、圧縮機構13の大部分は、密閉容器11内の潤滑油62中に浸されている。
【0045】
アキュムレーター7は、吸熱器6でガス化しきれなかった液状の冷媒が圧縮機2に吸い込まれることを防ぐ。
【0046】
次いで、密封端子18、19について説明する。
【0047】
図2は、本発明の実施形態に係る圧縮機の密封端子を上方から見た模式図である。
【0048】
図3は、本発明の実施形態に係る圧縮機の密封端子を下方から見た模式図である。
【0049】
図4は、本発明の実施形態に係る圧縮機の密封端子および端子台を上方から見た模式図である。
【0050】
図5は、本発明の実施形態に係る圧縮機の密封端子および端子台の縦断面図である。
【0051】
図2から図5に示すように、本実施形態に係る圧縮機2の一対の密封端子18、19は、密閉容器11のドーム状の鏡板11bに並べて設けられている。
【0052】
ここで先ず、一方の密封端子18について説明する。なお、他方の密封端子19は一方の密封端子18と実質的に同じ構造、同じ形状を有している。そのため、他方の密封端子19の説明は省略する。また説明を簡単にするため、一方の密封端子18を以下「第一密封端子18」と呼び、他方の密封端子19を以下「第二密封端子19」と呼ぶ。
【0053】
第一密封端子18は、実質的に円板形状の本体部71と、本体部71の表裏を貫く3つのピン72と、それぞれのピン72に設けられ、かつ密閉容器11の外側に配置される3つの平板形状の第一板状端子75と、それぞれのピン72に設けられ、かつ密閉容器11の内側に配置される3つの平板形状の第二板状端子76と、を備えている。
【0054】
なお、図2、および図3は、一対の密封端子18、19のピン72の延伸方向から密封端子18、19を見た図である。そして、図2、および図3は、圧縮機2の平面視に対して傾いた方向から密封端子18、19を示している。
【0055】
本体部71は、3つのピン72、および3つの第一板状端子75を相互に絶縁して保持している。3つのピン72、および3つの第一板状端子75は、電動機12に電気的に接続されている。
【0056】
3つのピン72は、円板形状の本体部71の中心点Oを重心とする正三角形dの頂点に配置されている。換言すると、3つのピン72は、中心点Oの周りに中心角120度ごとに配置されている。中心点Oからそれぞれのピン72を通る仮想線を、線分L1とする。つまり、3つの線分L1は、円を扇形状に実質的に三等分する。
【0057】
それぞれの第一板状端子75は、それぞれの電力線25に接続されている。それぞれの第一板状端子75は、一方の面としての腹面75fと、他方の面としての背面75rと、を有している。腹面75fと背面75rとは、第一板状端子75の表裏の関係にある。それぞれの第一板状端子75の腹面75fは、対応するピン72に接合されている。
【0058】
そして、図2に示すように、それぞれの第一板状端子75の腹面75fは、腹面75fを含む仮想平面が3つの第一板状端子75の全体で三角形Dを描くように、三角形Dのそれぞれの辺に沿い、かつ他の2つの第一板状端子75の腹面75fに向き合っている。換言すると、3つの第一板状端子75は、三角形Dのそれぞれの辺に配置されて、それぞれの腹面75fを向かい合わせている。
【0059】
それぞれの第一板状端子75の腹面75fおよび背面75rは、対応する線分L1に実質的に直交している。ここで、「対応する線分L1」とは、それぞれの第一板状端子75が接合されているピン72を通る線分L1であって、それぞれの第一板状端子75を表裏に貫く線分L1である。つまり、それぞれの第一板状端子75は、三角形Dの対応する辺の中央部に配置されている。
【0060】
三角形Dは、3つのピン72が描く第二の三角形dを内包する。第二の三角形dのそれぞれの頂点は、三角形Dの対応する辺の中点に接し、または三角形Dの対応する辺の中点に最近接している。
【0061】
また、3つの第一板状端子75は、隣り合う第一板状端子75の端を仮想直線で結んだ場合には、3つの第一板状端子75の全体で六角形を描くように配置されている。ある1つの第一板状端子75と、他の2つの第一板状端子75の端を結ぶ仮想直線とは、この六角形における対辺の関係にある。
【0062】
それぞれの第二板状端子76は、それぞれの口出線33に接続されている。それぞれの第二板状端子76は、一方の面としての腹面76fと、他方の面としての背面76rと、を有している。腹面76fと背面76rとは、第二板状端子76の表裏の関係にある。それぞれの第二板状端子76の腹面76fは、対応するピン72に接合されている。
【0063】
そして、図3に示すように、1つの第二板状端子76aの腹面76fおよび背面76rは、線分L1の1つである第一仮想線L1aに沿い、他の2つの第二板状端子76b、76cの腹面76fおよび背面76rは、対応する他の2つの線分L1である2つの第二仮想線L1b、L1cに実質的に直行している。換言すると、第二板状端子76aは、第二板状端子76bを含む仮想平面VP2bと第二板状端子76cを含む仮想平面VP2cとがなす鋭角を二等分する仮想平面VP2aに沿っている。
【0064】
次いで、一対の密封端子18、19の関係について説明する。
【0065】
一対の密封端子18、19は、一対の密封端子18、19の中点と密閉容器11の中心線とを通る平面Pを間に挟んで対向している。
【0066】
そして、一方の密封端子18、19の3つの第一板状端子75が描く三角形D1、D2のいずれか1つの角Coは、他方の密封端子18、19の3つの第一板状端子75が描く三角形D1、D2のいずれか1つの角Coに向かい合っている。つまり、第一密封端子18の3つの第一板状端子75が描く三角形D1のいずれか1つの角Coは、第二密封端子19の3つの第一板状端子75が描く三角形D2のいずれか1つの角Coに向かい合っている。また、第二密封端子19の3つの第一板状端子75が描く三角形D2のいずれか1つの角Coは、第一密封端子18の3つの第一板状端子75が描く三角形D1のいずれか1つの角Coに向かい合っている。
【0067】
なお、一対の三角形D1、D2において向かい合う一対の角Coは、図2のように重なりなく離れていても良いし、重なっていても良い。
【0068】
したがって、一方の密封端子18、19の3つのピン72が描く第二の三角形dのいずれか1つの辺は、他方の密封端子18、19の3つのピン72が描く第二の三角形dのいずれか1つの辺に向かい合っている。つまり、第一密封端子18の3つのピン72が描く第二の三角形dのいずれか1つの辺は、第二密封端子19の3つのピン72が描く第二の三角形dのいずれか1つの辺に向かい合っている。また、第二密封端子19の3つのピン72が描く第二の三角形dのいずれか1つの辺は、第一密封端子18の3つのピン72が描く第二の三角形dのいずれか1つの辺に向かい合っている。
【0069】
また、一対の密封端子18、19における第一仮想線L1aは、一対の密封端子18、19から見て、密閉容器11の中心線よりも遠い箇所で交差している。換言すると、第一仮想線L1aに沿う腹面76fおよび背面76rを有する第二板状端子76aは、それぞれの密封端子18、19のピン72の中で、密閉容器11の中心線に最も近いピン72aに設けられている。
【0070】
なお、一対の密封端子18、19は、平面Pを対称面として面対称の関係を有することが好ましい。一対の密封端子18、19は、三角形D1の1つの角Coと三角形D2の1つの角Cとを向き合わせて配置される限りにおいて、非対称であっても良い。この場合、一対の密封端子18、19は、それぞれの角Coの対辺を平行に配置していることが好ましい。
【0071】
次いで、それぞれの密封端子18、19に設けられる一対の端子台22、23について説明する。
【0072】
図6は、本発明の実施形態に係る圧縮機の端子台の平面図である。
【0073】
ここで先ず、一方の端子台22について説明する。なお、他方の端子台23は一方の端子台22と実質的に同じ構造、同じ形状を有している。そのため、他方の端子台23の説明は省略する。また説明を簡単にするため、一方の端子台22を以下「第一端子台22」と呼び、他方の端子台23を以下「第二端子台23」と呼ぶ。第一端子台22は、第一密封端子18に設けられ、第二端子台23は、第二密封端子19に設けられている。
【0074】
第一端子台22は、第一密封端子18の3つのピン72の延伸方向から見てT字形を有し、かつ3つのピン72の延伸方向に厚みを有している。第一端子台22は、3つの端子配置孔81と、3つの板状端子受部82と、3つの配線保持部83と、を備えている。
【0075】
2つの端子配置孔81、2つの板状端子受部82、および2つの配線保持部83は、T字形の第一端子台22の横棒部分85に配置されている。他の1つの端子配置孔81、他の1つの板状端子受部82、および他の1つの配線保持部83は、T字形の第一端子台22の縦棒部分86に配置されている。
【0076】
それぞれの端子配置孔81は、第一密封端子18のそれぞれのピン72、およびそれぞれの第一板状端子75を挿し通すことが可能な形状を有している。それぞれの端子配置孔81は、ピン72、および第一板状端子75を一体で挿し通すことが可能な一連の孔である。
【0077】
第一端子台22の横棒部分85の2つの端子配置孔81は、横棒部分85のそれぞれの端部に配置され、第一端子台22の縦棒部分86の1つの端子配置孔81は、横棒部分85と縦棒部分86との境界部分に配置されている。この横棒部分85と縦棒部分86との境界部分は、横棒部分85と縦棒部分86との連接部分であって、縦棒部分86の根元である。これら3つの端子配置孔81は、第一密封端子18の3つのピン72および3つの第一板状端子75に対応して三角形D状に配置されている。また、これら3つの端子配置孔81は、隣り合う端子配置孔81の端を仮想直線で結んだ場合には、3つの端子配置孔81の全体で六角形を描くように配置されている。
【0078】
それぞれの板状端子受部82は、それぞれの端子配置孔81に併設されている。それぞれの板状端子受部82は、3つの端子配置孔81が配置される仮想的な三角形Dの外側、または3つの端子配置孔81が描く仮想的な六角形の外側に配置されている。
【0079】
それぞれの板状端子受部82は、端子配置孔81に挿入された第一板状端子75を、三角形Dの外側へ向かって折り曲げることが可能な形状を有する凹形状の窪みである。それぞれの板状端子受部82は、端子配置孔81に挿入され、かつ三角形Dの外側へ向かって折り曲げられた第一板状端子75を着座させる座面を有している。板状端子受部82には、ナット91が埋設されている。ナット91には、締結部材92、例えばネジが締結される。この締結部材92は、電力線25の端部に設けられる板状の端子93と第一板状端子75とを電気的に接続し、かつ板状端子受部82で折り曲げられた第一板状端子75と電力線25の端子93とを共締めして第一端子台22に固定する。
【0080】
ところで、折り曲げられる前のそれぞれの第一板状端子75は、ピン72の延伸方向において、対応するピン72の先端よりも突出している。それぞれの第一板状端子75は、この突出部分に長穴95を有している。板状端子受部82で折り曲げられて、座面に着座するそれぞれの第一板状端子75の着座位置は、必ずしも一定しない。そこで、第一板状端子75の長穴95は、この第一板状端子75の着座位置のバラツキを吸収して、締結部材92をナット91に円滑に締結させる。
【0081】
それぞれの配線保持部83は、T字形の第一端子台22の縦棒部分86の延伸方向へ向かって延びる溝である。つまり、それぞれの配線保持部83は、第一端子台22が描くT字形の下方へ向かって延びる溝である。それぞれの配線保持部83は、それぞれの板状端子受部82に一連に繋がっている。それぞれの配線保持部83は、それぞれの板状端子受部82で第一板状端子75に接続される電力線25を、T字形の第一端子台22の縦棒部分86の延伸方向へ配線されるように保持する。つまり、第一端子台22の縦棒部分86の配線保持部83は、対応する板状端子受部82で折り曲げられた第一板状端子75の折り曲げ方向へ延びている。第一端子台22の横棒部分85の配線保持部83は、対応する板状端子受部82で折り曲げられた第一板状端子75の折り曲げ方向に交差し、かつ第一端子台22の縦棒部分86の配線保持部83の延伸方向に平行して延びている。
【0082】
次いで、一対の端子台22、23の関係について説明する。
【0083】
一対の端子台22、23は、一対の密封端子18、19の中点と密閉容器11の中心線とを通る平面Pを間に挟んで対向している。
【0084】
そして、一方の端子台22、23は、対応する密封端子18、19のそれぞれの第一板状端子75に接続される3つの電力線25が他方の端子台22、23から離れる方向へ配線されるように3つの電力線25を保持する。つまり、第一端子台22は、第一密封端子18のそれぞれの第一板状端子75に接続される3つの電力線25が第二端子台23から離れる方向へ配線されるように3つの電力線25を保持する。また、第二端子台23は、第二密封端子19のそれぞれの第一板状端子75に接続される3つの電力線25が第一端子台22から離れる方向へ配線されるように3つの電力線25を保持する。
【0085】
換言すると、それぞれT字形の一対の端子台22、23は、端子台22、23のそれぞれの横棒部分85を向かい合わせて一対の密封端子18、19に設けられている。つまり、一対の端子台22、23のそれぞれの縦棒部分86は、相互に離れる方向へ延びている。それぞれの端子台22、23の配線保持部83は、対応する端子台22の縦棒部分86の延伸方向に平行して延びているので、一方の端子台22、23は、対応する密封端子18、19のそれぞれの第一板状端子75に接続される3つの電力線25を他方の端子台22、23から離れる方向へ保持する。
【0086】
以上説明したように、本実施形態に係る圧縮機2、および冷凍サイクル装置1は、一方の密封端子18、19の3つの第一板状端子75が描く三角形Dのいずれか1つの角を、他方の密封端子18、19の3つの第一板状端子75が描く三角形Dのいずれか1つの角に向かい合わせている。
【0087】
そのため、圧縮機2、および冷凍サイクル装置1は、一方の密封端子18、19において3つの第一板状端子75を干渉させることなく三角形Dの外側へ向かって折り曲げることができる。つまり、圧縮機2、および冷凍サイクル装置1は、それぞれの密封端子18、19について、3つの第一板状端子75を干渉させることなく三角形Dの外側へ向かって折り曲げて、板状の端子93を有する電力線25を容易に接続できる。
【0088】
また、圧縮機2、および冷凍サイクル装置1は、一対の密封端子18、19を、一方の密封端子18、19の折り曲げられた3つの第一板状端子75と他方の密封端子18、19の折り曲げられた3つの第一板状端子75とを干渉させることなく、極力、近接させて配置できる。これら3つの第一板状端子75は、折り曲げられた状態で、放射状に120度ごとに配置される。このとき、隣り合う一対の密封端子18、19で見ると、本実施形態に係る一対の密封端子18、19の配置関係は、一対の密封端子18、19を最も近接させ、かつ電力線25を容易に配線可能な、優れた実装形態である。
【0089】
したがって、圧縮機2、および冷凍サイクル装置1は、一対の密封端子18、19に、より大きい板状の端子93を有する電力線25を容易に接続できる。換言すると、圧縮機2、および冷凍サイクル装置1は、一対の密封端子18、19に電力線25を接続する端子93に、より大型で接触面積の大きい端子を容易に採用可能であって、端子93の温度上昇を回避しつつ、電動機12に容易に大電流を給電できる。また、圧縮機2、および冷凍サイクル装置1は、密封端子18、19の第一板状端子75を折り曲げることが可能であって、端子台22、23を設置して密封端子18、19と電力線25の端子93とを確実にネジ止めできる。さらに、圧縮機2、および冷凍サイクル装置1は、密封端子18、19の第一板状端子75を折り曲げることが可能であって、端子台22、23を設置して密封端子18、19と電力線25の端子93とを共締めするネジを、同一の方向から容易に締結できる。このことは、電力線25の配線経路の自由度を高め、電力線25に過剰な曲げ応力を加えることなく密封端子18、19に電力線25を接続することを可能にする。
【0090】
また、本実施形態に係る圧縮機2、および冷凍サイクル装置1は、それぞれの密封端子18、19に設けられる一対の端子台22、23を備えている。一方の端子台22、23は、対応する密封端子18、19のそれぞれの第一板状端子75に接続される3つの電力線25が他方の端子台22、23から離れる方向へ配線されるように3つの電力線25を保持する。そのため、圧縮機2、および冷凍サイクル装置1は、電力線25に過剰な曲げ応力を加えることなく密封端子18、19に電力線25を接続することを可能にし、かつ電力線25に過剰な応力が作用しない状態で、電力線25どうしを干渉させることなく配線できる。
【0091】
さらに、本実施形態に係る圧縮機2、および冷凍サイクル装置1は、一対の密封端子18、19から見て、密閉容器11の中心線よりも遠い箇所で第一仮想線L1aが交差するよう配置される第二板状端子76を備えている。そのため、圧縮機2、および冷凍サイクル装置1は、電動機12の口出線33を密閉容器11内の空間で、口出線33に過剰な応力が作用しない状態で配線できる。また、圧縮機2、および冷凍サイクル装置1は、密閉容器11の内壁面に接触させることなく、電動機12の口出線33を第二板状端子76に接続できる。このことは、密閉容器11の鏡板11bを胴部11aに溶接する際の熱的な影響から口出線33を保護し、断線の危険性を軽減する。
【0092】
ところで、口出線33の端部に設けられる端子は、圧縮機2内を流動する冷媒に曝される。そのため、この端子の温度は、圧縮機2内の冷媒温度に依存する。つまり、口出線33の端部に設けられる端子の温度は、圧縮負荷の増大に応じて電動機により多くの電流を流した場合であっても、通電時の温度が異常に上昇することはない。したがって、電動機12の口出線33の端部に設けられる端子は、電力線25の端部に設けられる端子93と同様な板状の端子であっても良いし、従来の圧縮機に採用されているファストン端子であっても良い。
【0093】
したがって、本実施形態に係る冷凍サイクル装置1、および圧縮機2によれば、端子台22、23を設置して密封端子18、19と電力線25の端子93とを確実にネジ止め可能であって、電力線25に過剰な曲げ応力を加えることなく密封端子18、19に電力線25を接続することが可能であって、製造時に電力線25を効率良く接続可能である。
【0094】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0095】
1…冷凍サイクル装置、2…圧縮機、3…放熱器、5…膨張装置、6…吸熱器、7…アキュムレーター、8…冷媒配管、8a…吐出管、11…密閉容器、11a…胴部、11b、11c…鏡板、12…電動機、13…圧縮機構、15…回転軸、15a…中間部分、15b…下端部分、16…主軸受、17…副軸受、18…密封端子(第一密封端子)、19…密封端子(第二密封端子)、22…端子台(第一端子台)、23…端子台(第二端子台)、25…電力線、31…固定子、32…回転子、33…口出線、35…回転子鉄心、36…偏心部、41…シリンダー室、42…シリンダー、42A…第一シリンダー、42B…第二シリンダー、42C…第三シリンダー、43…ローラー、45A…第一仕切板、45B…第二仕切板、46…締結部材、51A…第一吐出弁機構、51B…第二吐出弁機構、51C…第三吐出弁機構、52…第一吐出マフラー、53…吐出室、55…締結部材、56…第二吐出マフラー、57…第二孔、58…フレーム、59…締結部材、61…吸込管、61A…第一吸込管、61B…第二吸込管、61C…第三吸込管、62…潤滑油、71…本体部、72…ピン、75…第一板状端子、75f…腹面、75r…背面、76、76a、76b、76c…第二板状端子、76f…腹面、76r…背面、81…端子配置孔、82…板状端子受部、83…配線保持部、85…横棒部分、86…縦棒部分、91…ナット、92…締結部材、93…端子、95…長穴。
図1
図2
図3
図4
図5
図6