(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】フラットブラシレス電動機用の固定子装置、及び自動車のルーフシステム用のフラットブラシレス電動機
(51)【国際特許分類】
H02K 21/12 20060101AFI20231219BHJP
【FI】
H02K21/12 M
(21)【出願番号】P 2022510167
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2020071990
(87)【国際公開番号】W WO2021032480
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】102019122603.1
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591018763
【氏名又は名称】ベバスト エスエー
【氏名又は名称原語表記】Webasto SE
【住所又は居所原語表記】Kraillinger Strasse 5,82131 Stockdorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】スニルクマール ラーマリンゲシ
(72)【発明者】
【氏名】ラジェーシ グルパタム ジェイラージ
(72)【発明者】
【氏名】レヴェンテ ゲルコ
【審査官】柏崎 翔
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-284034(JP,A)
【文献】特開2005-219710(JP,A)
【文献】特開2000-152569(JP,A)
【文献】特開2017-34933(JP,A)
【文献】特表2015-532826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラットブラシレス電動機(30)用、特に自動車のルーフシステム用の固定子装置(10)であって、
固定子ハウジング要素(11)がポットの形状に構成されるように相互に配置されたベース要素(12)及び壁要素(13)を有する固定子ハウジング要素(11)と、
回転子装置(1)の転がり軸受(31)を外部に配置するための車軸要素(14)と、を有し、
前記車軸要素(14)は、転がり軸受、特に前記車軸要素上に対応する隙間を有するサークリップを固定するための固定設置物(15)を含み、
前記固定子装置(10)は、コイルアセンブリ(21)をその上に巻くための少なくとも一つの歯要素(17)を有し、
前記少なくとも一つの歯要素(17)は、内端(18)と、外端(19)と、前記内端(18)と前記外端(19)との間に配置され、半径方向に延びる、巻きコイルアセンブリ(21)用のレセプタクル(20)と、を有し、
前記固定子装置(10)は、前記歯要素(17)の前記レセプタクル(20)の周りに巻かれるワイヤ要素を有するコイルアセンブリ(21)を含み、
前記少なくとも一つの歯要素(17)は、内周面及び外周面を形成するため前記内端(18)及び前記外端(19)上に内周面の副面(22)及び外周面の副面(23)を有する、固定子装置(10)。
【請求項2】
前記車軸要素(14)は、前記車軸要素(14)及び前記壁要素(13)が、断面で見たときに、前記ベース要素(12)から同じ方向に延びるように前記固定子ハウジング要素(11)の中央に配置され、
前記固定子ハウジング要素(11)及び前記車軸要素(14)は、相互に一体となるように構成されることが好ましい、請求項
1に記載の固定子装置。
【請求項3】
前記固定子装置(10)は、多数の歯要素(17)を取り付けるためのハウジング部分(16)を含み、
前記ハウジング部分(16)は、ディスク状のプレートとして構成されることが好ましく、
多数の歯要素(17)は、前記ハウジング部分(16)に固定的に接続されることが好ましい、特に前記ハウジング部分(16)と一体的に鋳造される、請求項
1又は
2に記載の固定子装置。
【請求項4】
前記内周面は、前記内周面と外殻面がエアギャップによって相互に分離できるように回転子装置(1)の第1のシリンダ要素(3)の前記外殻面(3-AM)に適合されることが好ましく、
前記外周面は、前記外周面と内殻面がエアギャップにより相互に分離できるように回転子装置(1)の第2のシリンダ要素(4)の前記内殻面(4-IM)に適合されることが好ましい、
請求項
1乃至
3のいずれか一項に記載の固定子装置。
【請求項5】
自動車のルーフシステム用のフラットブラシレス電動機(30)であって、
回転子装置(1)と、
請求項
1乃至
4のいずれか一項に記載の固定子装置(10)と、を有し、
前記回転子装置(1)は、
第1のシリンダ要素(3)及び第2のシリンダ要素(4)を有する回転子ハウジング要素(2)を含み、
前記第1のシリンダ要素(3)は、第1の磁気モジュール(5)を有し、
前記第2のシリンダ要素(4)は、第2の磁気モジュール(6)を有し、
前記第1のシリンダ要素(3)は、内殻面(3-IM)及び外殻面(3-AM)を有し、
前記第1の磁気モジュール(5)は、前記第1のシリンダ要素(3)の前記外殻面(3-AM)に配置され、
転がり軸受(31)が、前記第1のシリンダ要素(3)の前記内殻面(3-IM)に配置され、
前記第1及び前記第2のシリンダ要素(3、4)は、中空円筒形であるように構成され、前記固定子装置(10)が前記第1及び前記第2のシリンダ要素(3、4)の間に配置され得るように異なる内径及び外径を有し、互いに同心状に位置合わせされ、
少なくとも一つの磁気モジュール(5、6)が各シリンダ要素(3、4)に配置され、
前記回転子装置(1)は、前記回転子装置(1)及び前記固定子装置(10)が相互に回転可能であるように、
前記転がり軸受(31)を介して前記固定子装置(10)の前記車軸要素(14)に接続されている、フラットブラシレス電動機(30)。
【請求項6】
前記第1の磁気モジュール(5)は、中空円筒形であるように構成され、
前記第1の磁気モジュール(5)は、磁化可能な材料を含むことが好ましい、
請求項
5に記載の
フラットブラシレス電動機(30)。
【請求項7】
前記第2の磁気モジュール(6)は、中空円筒形であるように構成され、
前記第2のシリンダ要素(4)は、内殻面(4-IM)及び外殻面(4-AM)を有することが好ましく、
前記第2の磁気モジュール(6)は、前記第2のシリンダ要素(4)の前記内殻面(4-IM)に配置されることが好ましく、
前記第2の磁気モジュール(6)は、磁化可能な材料を含むことが好ましい、
請求項
5又は
6に記載の
フラットブラシレス電動機(30)。
【請求項8】
前記回転子ハウジング要素(2)は、半径方向(R)に内側(IS)及び外側(AS)を有する環状ディスク要素(7)を含み、
前記第1のシリンダ要素(3)は、前記内側に配置されることが好ましく、
前記第2のシリンダ要素(4)は、前記外側に配置されることが好ましく、
前記ディスク要素(7)の前記内側(IS)及び前記第1のシリンダ要素(3)の前記内殻面(3-IM)は、平面的に互いに接続することが好ましく、
前記ディスク要素(7)の前記外側(AS)及び前記第2のシリンダ要素(4)の前記外殻面(4-AM)は、平面的に互いに接続することが好ましく、
前記回転子ハウジング要素(2)は、前記シリンダ要素(3、4)及び前記ディスク要素(7)と一体的に構成されることが好ましく、
前記回転子ハウジング要素(2)は、深絞り法又はプレス法によって製造されることが好ましい、請求項
7に記載の
フラットブラシレス電動機(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車のルーフシステム用のフラットブラシレス電動機用の回転子装置並びに固定子装置、及び自動車のルーフシステム用のフラットブラシレス電動機に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットブラシレス電動機は通常、いわゆる外部回転子又はいわゆる内部回転子として構成される。
【0003】
これは、外部回転子の場合、回転子装置が、固定子装置に電力が供給されると、固定子装置の周りを外部で回転する異なる分極の磁石を有することを意味する。
【0004】
対照的に、内部回転子の場合の回転子装置の磁石は、固定子装置によって囲まれている。
【0005】
要約すると、また言い換えると、外部回転子の回転子装置は固定子装置の周りを外部で回転するが、内部回転子の回転子装置は固定子装置に囲まれ、固定子装置の内部で回転する。
【0006】
これらの従来のブラシレス電動機は、高精度で製造する必要があり、その結果、大量生産はコストがかかる。
【0007】
また、このタイプのモータはわずかなトルクしか生成できないが、例えば自動車の折り畳み式又は摺動式のルーフシステムに関連する増大する安全要件を満たすには不十分である。これは、移動する必要のあるこのタイプのルーフシステムのルーフ要素の質量も、安全要件の増加と共に増加するためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、特に自動車のルーフシステム用のフラットブラシレス電動機、或いはフラットブラシレス電動機用のローターデバイス、並びに好ましくはステーターデバイスを指定することであり、費用効果が高く、材料を節約する方法で製造され、増加したトルクを利用可能にすることが好ましく、この場合、その寸法に関して、既知の装置及びモータと有利に競合する。
【0009】
これらの目的は、独立特許請求項の特徴によって本発明に従って達成される。更に有利な改良は、従属請求項の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様では、フラットブラシレス電動機用の、特に自動車のルーフシステム用の回転子装置は、本発明によれば、
- 第1のシリンダ要素及び第2のシリンダ要素を有する回転子ハウジング要素を含み、
- 転がり軸受は、内部サイトの第1のシリンダ要素、後者の内殻面に配置することができることが好ましく、
- 円筒形要素は、中空円筒形であるように構成され、固定子装置が円筒形要素の間に配置され得、互いに同心に位置合わせされるように、異なる内径及び外径を有し、
- 第2のシリンダ要素の内径は、第1のシリンダ要素の外径よりも大きくなるように構成される。
【0011】
少なくとも一つの磁気モジュールが、各シリンダ要素上に配置されることが好ましい。したがって、従来技術からの解決策と比較して、このようにして、少なくとも二つの磁気モジュールが利用可能であることが好ましく、それによって、折り畳み式又は摺動式のルーフシステム及びそれに関連するより大きな質量に関連する増大する安全要件も満たすトルクを生成することが可能である。これは、折り畳み式又は摺動式のルーフシステムの比較的重いルーフ要素も、十分に高いトルクによって適切な速度で安全に移動できるためである。
【0012】
更に、第1のシリンダ要素は、第1の磁気モジュールを有することが好ましく、第1の磁気モジュールは、中空円筒形であるように構成されることが好ましい。
【0013】
更に、第1のシリンダ要素は、内殻面及び外殻面を有することが可能であり、第1の磁気モジュールは、第1のシリンダ要素の外殻面上に配置されることが好ましい。
【0014】
異なる磁極を好ましくは構成するように、第1の磁気モジュールが磁化可能な材料を含むことも提供され得る。このタイプの材料は、例えば、磁気モジュールがシリンダ要素に組み立てられた後の磁極の構成を可能にする。
【0015】
第2のシリンダ要素は、有利には、第2の磁気モジュールを有し、第2の磁気モジュールは、中空円筒形であるように構成されることが好ましい。
【0016】
第2のシリンダ要素が内殻面と外殻面とを有することは更に有利であり、第2の磁気モジュールは、第2のシリンダ要素の内殻面上に配置されることが好ましい。
【0017】
異なる磁極を構成するために、第2の磁気モジュールが磁化可能な材料を含むことは更に有利である。したがって、例えば、前述の磁化可能な材料は、磁気モジュールがシリンダ要素上に組み立てられた後に、磁極を構成することができるようにする。
【0018】
半径方向の対応するシリンダ要素の第1及び第2の磁気モジュールが、極対及び極対の数に関して同一であることが特に好ましい。このようにして、効率的な電動機を実装することができる。
【0019】
回転子ハウジング要素は、特に回転子ハウジング要素のベースとして、環状ディスク要素を有利に有し、半径方向の前記環状ディスク要素は、内側及び外側を有する。
【0020】
また、第1のシリンダ要素は、内側、特にディスク要素の内側の円形の隙間、又はディスク要素の周辺にそれぞれ配置されることが好ましい。
【0021】
第2のシリンダ要素は、外側、特にディスク要素の外周に配置されることが好ましい。
【0022】
更に、ディスク要素の内側と第1のシリンダ要素の内殻面とが平面的に互いに遷移することを提供することができる。
【0023】
ディスク要素の外側及び第2のシリンダ要素の外殻面は、平面的に互いに遷移することが好ましい。
【0024】
換言すれば、回転子ハウジング要素が、シリンダ要素及びディスク要素と一体になるように構成されることが有利である。
【0025】
ここで、回転子ハウジング要素は、深絞り法又はプレス法によってそれぞれ製造される予定か、又は製造されることが可能である。
【0026】
本発明の第2の態様は、それぞれ、回転子装置を磁化するための方法、又は回転子装置内に磁極を構成するための方法を含む。
【0027】
第1の態様の文脈で述べたような回転子装置の特徴は、個別に又は互いに組み合わせて、回転子装置を磁化するための方法で使用できることが明確に指摘されている。
【0028】
言い換えれば、本発明の第1の態様の文脈において上記で言及された回転子装置に関連する特徴は、本発明の第2の態様の文脈においても更なる特徴と組み合わせることができる。
【0029】
この方法は、第1の態様による回転子装置を有利に利用する。
【0030】
この方法は、磁化可能な材料を磁化するために磁化設置物を利用することが更に有利であり、前記磁化設置物は、回転子装置の回転子ハウジング要素のシリンダ要素間の中間空間に配置することができる。
【0031】
磁化設置物は、有利には、磁場を生成するための少なくとも一つのコイル要素、少なくとも一つのコイル要素によって生成することができる磁場を増幅するための少なくとも一つのコア要素、特に鉄コアを有することが好ましい。
【0032】
本発明による方法は、以下のステップを含むことが好ましい。
【0033】
この方法の一つのステップは、有利には、回転子装置及び磁化設置物の位置決めを含む。言い換えれば、第1のステップでは、回転子装置と磁化設置物を相互に位置決めする必要がある。
【0034】
この方法の一つのステップは、回転子装置の回転子ハウジング要素のシリンダ要素間の中間空間に磁化設置物を挿入することを含むことが好ましい。したがって、磁化設置物は、回転子装置を磁化する準備ができている。
【0035】
更に、この方法の一つのステップは、シリンダ要素が極対及び極対の数に関して同一であるように、第1及び第2の磁気モジュールを集合的に磁化することを含むことが好ましい。したがって、このステップでは、極対の正確な数及びそれに関連する磁気位置合わせ(N極、S極)とは別に、シリンダ要素内に生成された極の位置も正確に事前に決定できることが達成される。
【0036】
方法の一つのステップが、中間空間から磁化設置物を取り出すことを含むことも有利である。したがって、磁化設置物は、更なる回転子装置に対して位置決めすることができ、この方法を繰り返すことができる。
【0037】
本発明の第3の態様は、フラットブラシレス電動機用の固定子装置、特に自動車のルーフシステム用の固定子装置に関する。
【0038】
第1の態様の文脈で述べたような回転子装置の特徴は、個別に又は互いに組み合わせて、固定子装置で使用できることが明確に指摘されている。
【0039】
言い換えれば、本発明の第1の態様の文脈において上記で言及された回転子装置に関連する特徴は、本発明の第3の態様の文脈においても更なる特徴と組み合わせることができる。
【0040】
もちろん、本発明の第2の態様の特徴を第1及び第3の態様の特徴と組み合わせることが可能である。
【0041】
フラットブラシレス電動機用の固定子装置、特に自動車のルーフシステム用の固定子装置は、
- 固定子ハウジング要素がポット形状になるように構成されるように相互に配置されたベース要素及び壁要素を有する固定子ハウジング要素と、
- 回転子装置の転がり軸受を外部に配置するための車軸要素と、を有することが好ましい。
【0042】
車軸要素は、特に固体材料からの突出ピンなどとして構成されることが好ましい。
【0043】
更に、車軸要素は、固定子ハウジング要素の中心に配置されるため、車軸要素と壁要素は、断面で見たときに、ベース要素から同じ方向に延びるように配置されることが好ましい。
【0044】
固定子ハウジング要素及び車軸要素は、それぞれ一つの部分で、又は相互に一体となるように構成されることが好ましい。
【0045】
車軸要素が、転がり軸受、特に車軸要素上に対応する隙間を有するサークリップを固定するための固定設置物を備えることも好ましい。
【0046】
固定子装置は、有利には、多数の歯要素を取り付けるためのハウジング部分を含む。
【0047】
更に、ハウジング部分がディスク状のプレートとして構成されることは有利である。
【0048】
多数の歯要素がハウジング部分に固定的に接続され、特に後者と一体的に鋳造され、好ましくはプラスチック材料によって鋳造されることが更に有利である。
【0049】
固定子装置は、コイルアセンブリをその上に巻くための少なくとも一つの歯要素を有ことが好ましく、少なくとも一つの歯要素は、内端及び外端を有し、巻きコイルアセンブリ用のレセプタクルの間に配置されることが好ましい。
【0050】
固定子装置が、歯要素のレセプタクルの周りに巻かれたワイヤ要素を有するコイルアセンブリを含むことも好ましい。
【0051】
コイルアセンブリは、特にプラスチック材料の助けを借りて、歯要素と一体的に鋳造されることが好ましい。
【0052】
更に、内端及び外端の少なくとも一つの歯要素が、内周面と外周面を形成するように内周面の副面及び外周面の副面を有することが可能である。
【0053】
内周面は、回転子装置の第1のシリンダ要素の外殻面、特に第1のシリンダ要素の第1の磁気モジュールの外殻面に適合されることが好ましく、その結果、内周面及び外殻面は、エアギャップを介して相互に分離することができる。
【0054】
更に、外周面は、回転子装置の第2のシリンダ要素の内殻面、特に第2のシリンダ要素の第2の磁気モジュールの内殻面に適合され、その結果、外周面と内殻面は、エアギャップによって相互に分離することができることが好ましい。
【0055】
本発明の第4の態様は、自動車のルーフシステム用のフラットブラシレス電動機を含む。
【0056】
第1の態様の文脈で述べたような回転子装置の特徴は、個別に又は互いに組み合わせて、モータで使用できることが明確に指摘されている。
【0057】
第3の態様の文脈で述べたような固定子装置の特徴は、個別に又は互いに組み合わせて、モータで使用できることも指摘されている。
【0058】
言い換えれば、本発明の第1の態様の文脈で上記の回転子装置に関連する特徴と、本発明の第3の態様の文脈で上記の固定子装置に関連する特徴を本発明の第4の態様の文脈の更なる特徴とも組み合わせることができる。
【0059】
もちろん、第3の態様の特徴を、本発明の第1、第2、及び第4の態様の特徴と組み合わせることが可能である。
【0060】
自動車のルーフシステム用のフラットブラシレス電動機は、
- 第1の側面による回転子装置と、
- 第3の側面による固定子装置と、を含むことが好ましい。
【0061】
また、回転子装置と固定子装置とが互いに回転可能であるように、回転子装置を転がり軸受を介して固定子装置の車軸要素に接続することが好ましい。
【0062】
転がり軸受は、固定子装置の車軸要素の外部に配置され、回転子装置の第1のシリンダ要素の内部に配置されることが好ましい。
【0063】
これに関連して、転がり軸受が回転子装置又は固定子装置のいずれかで事前に組み立てられていることが有利である。
【0064】
更に、モータを閉じるため、及び固定子ハウジング要素に固定するために、モータがモータハウジング要素を有することが好ましい。
【0065】
回転子装置及び固定子装置の助けを借りて、同じサイズの従来技術からの解決策と比較して、有効な全体的なトルクが改善されるモータを構築することが可能である。
【0066】
本発明によるモータの助けを借りて、また本発明による方法の助けを借りて(本発明の第2の態様を参照)、製造及び組み立てプロセスも単純化することができる。全体として、(製造)サイクルタイム全体の改善も達成できる。
【0067】
更に観察された驚くべき効果は、本発明によるモータの記載された構造が、具体的には、それぞれ固定子ハウジング要素又は固定子装置上の車軸要素の構成、及び転がり軸受の位置決めの結果として発生する騒音の大幅な減少をもたらすことである。
【0068】
本発明は、概略的な方法で、関連する図面と併せて例示的な実施形態によって、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1】本発明による回転子装置の概略平面図、並びに本発明による回転子装置の等角図を示す。
【
図2】
図1からの本発明による回転子装置の断面図を示している。
【
図4】本発明による固定子装置の歯要素の等角図を示す。
【
図5】複数の歯要素を有する、本発明による固定子装置のハウジング部分の等角図及び平面図を示す。
【
図6】本発明によるフラットブラシレス電動機の断面図を示す。
【
図7】磁化設置物を有する
図1からの回転子装置の平面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0070】
以下の説明では、同じ主題に同じ参照記号が使用されている。
【0071】
図1は、本発明による回転子装置1の概略平面図と、本発明による回転子装置1の等角図とを示しており、
図2は、
図1からの本発明による回転子装置の断面図を表す。
【0072】
簡潔にするために、
図1と
図2をまとめて以下に説明する。
【0073】
図1及び2は、特に自動車のルーフシステム用のフラットブラシレス電動機30用の回転子装置1をより具体的に示している。
【0074】
ここでの回転子装置1は、第1のシリンダ要素3及び第2のシリンダ要素4を有する回転子ハウジング要素2を有し、転がり軸受31は、第1のシリンダ要素3の内側に、後者の内殻面3-IMに配置することができる。
【0075】
シリンダ要素3、4は、中空円筒形であるように構成され、固定子装置10がシリンダ要素3、4の間に配置され、互いに同心に位置合わせされることができるように、異なる内径及び外径を有する。
【0076】
ここで、第2のシリンダ要素4の内径は、第1のシリンダ要素3の外径よりも大きくなるように構成されている。
【0077】
図1及び2は更に、一つの磁気モジュール5、6が各シリンダ要素3、4に配置されていることを示している。
【0078】
したがって、第1のシリンダ要素3は、中空円筒形であるように構成された第1の磁気モジュール5を有する。
【0079】
第1のシリンダ要素3は、内殻面3-IM及び外殻面3-AMを有し、第1の磁気モジュール5は、第1のシリンダ要素3の外殻面3-AM上に配置されている。
【0080】
更に、第2のシリンダ要素4は、中空円筒形であるように構成された第2の磁気モジュール6を有し、第2のシリンダ要素4は、内殻面4-IM及び外殻面4-AMを有する。
【0081】
第2の磁気モジュール6は、第2のシリンダ要素4の内殻面4-IMに配置されている。
【0082】
第2の磁気モジュール6及び第1の磁気モジュール5は、異なる磁極を構成するように磁化可能な材料を含む。
【0083】
図1がその概略図に示すように、半径方向の対応するシリンダ要素3、4の第1及び第2の磁気モジュール5、6は、極対及び極対の数に関して同一である。
【0084】
図2は、特に、回転子ハウジング要素2が、特に回転子ハウジング要素2のベースとして環状ディスク要素7を含み、半径方向Rにおいて、内側IS及び外側ASを有することを示している。
【0085】
ここで、第1のシリンダ要素3は、内部に、特にディスク要素の内側の円形の隙間に、又はディスク要素の周囲にそれぞれ配置され、第2のシリンダ要素4は、外部に、特にディスク要素7の外周に配置されている。
【0086】
より具体的に示されるように、ディスク要素7の内側IS及び第1のシリンダ要素3の内殻面3-IMは、平面的に互いに遷移し、ディスク要素7の外側AS及び第2のシリンダ要素4の外殻面4-AMもまた、平面的に互いに遷移する。
【0087】
ここでの回転子ハウジング要素2は、シリンダ要素3、4及びディスク要素7と一体となって構成されており、深絞り法又はプレス法により製造されている。
【0088】
図3は、フラットブラシレス電動機30、特に自動車のルーフシステム用の本発明による固定子装置10の断面図を示している。
【0089】
ここでの固定子装置10は、固定子ハウジング要素11がポット形状となるように構成されるように相互に配置されたベース要素12と壁要素13とを有する固定子ハウジング要素11を有する。
【0090】
更に、固定子装置10は、回転子装置1用の転がり軸受31を外部に配置するための車軸要素14を有し、車軸要素14は、固定子ハウジング要素11の中心に配置されるため、車軸要素14及び壁要素13は、断面で見たときに、ベース要素12から同じ方向に延びるように配置されている。
【0091】
図3はまた、固定子ハウジング要素11及び車軸要素14が、それぞれ、単一又は相互に一体になるように構成されていることを示し、車軸要素14は、転がり軸受、特に車軸要素14上に対応する隙間を有するサークリップを固定するための固定設置物15を有する。
【0092】
図4は、本発明による固定子装置10の歯要素17の等角図を示し、
図5は、多数の歯要素17を有する、本発明による固定子装置10のハウジング部品16の等角図及び平面図を示している。
【0093】
すでに述べたように、固定子装置10は、多数の歯要素17を取り付けるためのハウジング部分16を有し、ここで、ハウジング部分16は、ディスク状のプレートとして構成される。
【0094】
ここでの多数の歯要素17は、ハウジング部分16に固定的に接続されており、特に後者と一体的に鋳造されている(特に
図5を参照)。
【0095】
図4及び5に示されているように、固定子装置10は、その上にコイルアセンブリ21を巻くための様々な歯要素17を有する。
【0096】
各歯要素17は、内端18及び外端19を有し、それらの間に配置されて、歯要素17のレセプタクル20の周りに巻かれるワイヤ要素を含む巻きコイルアセンブリ21用のレセプタクル20を有する。
【0097】
コイルアセンブリは、歯要素17と一体的に鋳造されている。
【0098】
図4に示すように、内端18及び外端19の歯要素17は、内周面と外周面を形成するように内周面の副面22及び外周面の副面23を有する。
【0099】
ここでの内周面は、回転子装置1の第1のシリンダ要素3の外殻面3-AM、特に、回転子装置1の第1のシリンダ要素3の第1の磁気モジュール5の外殻面に適合されているため、内周面と外殻面はエアギャップにより相互に分離することができる。
【0100】
外周面は、回転子装置1の第2のシリンダ要素4の内殻面4-IM、特に、回転子装置1の第2のシリンダ要素4の第2の磁気モジュール6の内殻面に適合されるため、外周面と内殻面は、エアギャップにより相互に分離することができる。
【0101】
【0102】
したがって、
図6は、自動車のルーフシステム用の本発明によるフラットブラシレス電動機30の断面図を示している。
【0103】
図6によるモータ30は、
図1から3に示されるような回転子装置1と、
図4及び5に示されるような固定子装置10とを有する。
【0104】
転がり軸受31を介して回転子装置1は、回転子装置1及び固定子装置10が互いに対して回転可能であるように、固定子装置10の車軸要素14に接続されている。
【0105】
モータは更に、モータ30を閉じ、固定子ハウジング要素11に固定するためのモータハウジング要素32を有する。
【0106】
もちろん、モータ30はまた、電力を供給するためのコネクタを有し、その結果、回転子装置は、固定子装置に対してトルクを生成することができる。
【0107】
具体的には、一つの磁気モジュールしかない従来のモータと比較してより高いトルクを達成できるモータを実現するのは、回転子装置1上の磁気モジュール5、6の二重構成である。
【0108】
図7は、シリンダ要素3、4の磁化可能な材料を磁化するための磁化設置物8を有する、
図1からの回転子装置1の平面図を示している。
【0109】
より具体的には、
図7は、回転子装置1を磁化するための方法のスナップショットを示している。
【0110】
ここでの方法は、説明した回転子装置1と、回転子装置1の回転子ハウジング要素2のシリンダ要素3、4との間の中間空間に配置された磁化設置物8とを利用する。
【0111】
磁化設置物8は、磁場を生成するための様々なコイル要素9を有し、したがって、コイル要素9によって生成することができる磁場を増幅するための様々なコア要素、特に鉄コアも有する。
【0112】
ここで、回転子装置1を磁化するための方法は、
- 回転子装置1と磁化設置物8を位置決めするステップと、
- 磁化設置物8を、回転子装置1の回転子ハウジング要素2のシリンダ要素3、4の間の中間空間に挿入するステップと、
- シリンダ要素3、4が極対及び極対の数に関して同一であるように、第1及び第2の磁気モジュール5、6を集合的に磁化し、続いて、磁化設置物8を中間空間から引き抜くステップと、を基本的に含む。
【0113】
ここでの第1及び第2の磁気モジュール5、6の磁化は、もちろん、特定の期間の磁化設置物8に磁場を生成するための電力が供給されることを含む。
参照標識のリスト
【符号の説明】
【0114】
1 回転子装置
2 回転子ハウジング要素
3 第1のシリンダ要素
4 第2のシリンダ要素
5 第1の磁気モジュール
6 第2の磁気モジュール
7 ディスク要素
8 磁化設置物
9 コイル要素
10 固定子装置
11 固定子ハウジング要素
12 ベース要素
13 壁要素
14 車軸要素
15 固定設置物
16 ハウジング部分
17 歯要素
18 内端
19 外端
20 レセプタクル
21 コイルアセンブリ
22 副面
23 副面
30 モータ
31 転がり軸受
32 モータハウジング要素
3-IM 内殻面
3-AM 外殻面
4-IM 内殻面
4-AM 外殻面
IS 内側
AS 外側
R 半径方向