(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】ベンティング孔端子を備えるバッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及び自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 50/211 20210101AFI20231219BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/35 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/50 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/367 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/51 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/30 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/204 20210101ALN20231219BHJP
【FI】
H01M50/211
H01M50/296
H01M50/35 201
H01M50/50 101
H01M50/507
H01M50/367
H01M50/505
H01M50/51
H01M50/249
H01M50/588
H01M50/548 301
H01M50/591 101
H01M50/30
H01M50/204 201
(21)【出願番号】P 2022524680
(86)(22)【出願日】2021-07-13
(86)【国際出願番号】 KR2021008995
(87)【国際公開番号】W WO2022015030
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】10-2020-0086932
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ-ハン・ユン
【審査官】山下 裕久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/081334(WO,A2)
【文献】実開昭58-078569(JP,U)
【文献】特開2011-065962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/211
H01M 50/296
H01M 50/35
H01M 50/50
H01M 50/507
H01M 50/367
H01M 50/505
H01M 50/51
H01M 50/249
H01M 50/588
H01M 50/548
H01M 50/591
H01M 50/204
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に接続された複数のバッテリーセルを含むセル積層体と、
前記セル積層体を収容し、一面に形成される一対のモジュール孔を備えるモジュールハウジングと、
前記モジュールハウジングの内面に取り付けられて前記モジュールハウジングの内部に位置する一対のベンティング孔端子であって、前記モジュール孔と連通する端子孔を備え、前記セル積層体と電気的に接続される一対のベンティング孔端子と、
を含
み、
前記一対のモジュール孔は、中空状の外部端子が前記モジュールハウジングの外部から前記モジュール孔および前記端子孔に挿入可能なように、前記一面上で外部に露出されている、バッテリーモジュール。
【請求項2】
前記一対のベンティング孔端子の一方は、前記セル積層体の第1電極と接続され、
前記一対のベンティング孔端子の他方は、前記セル積層体の第2電極と接続される、請求項1に記載のバッテリーモジュール。
【請求項3】
前記第1電極と第2電極とが、互いに逆極性を有する、請求項2に記載のバッテリーモジュール。
【請求項4】
前記ベンティング孔端子が、前記端子孔の内周面上に固定される伝導性弾性部材を備える、請求項1から3のうちいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項5】
前記バッテリーモジュールが、前記セル積層体を構成する複数のバッテリーセル同士を直列、並列、または直列と並列とが混合された形態で接続するバスバーフレームをさらに含む、請求項1から4のうちいずれか一項に記載のバッテリーモジュール。
【請求項6】
電気的に接続された複数のバッテリーセルを含むセル積層体、前記セル積層体を収容して一面に形成される一対のモジュール孔を備えるモジュールハウジング、及び前記モジュール孔と連通する端子孔を備えて前記セル積層体と電気的に接続される一対のベンティング孔端子を含むバッテリーモジュールを複数個含むモジュール集合体と、
前記モジュール集合体を収容し、前記モジュール集合体の収容空間と連通する少なくとも一つのパック孔を備えるパックハウジングと、
前記パックハウジングの内部収容空間の一面上に固定される流路ブラケットと、
前記流路ブラケット上に固定されて前記モジュール孔及び端子孔に挿入される複数のベンティング孔スタッドと、
を含むバッテリーパック。
【請求項7】
前記ベンティング孔スタッドが、前記モジュール孔及び端子孔と連通するスタッド孔を備える、請求項6に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記流路ブラケットが、前記スタッド孔と連通する複数のブラケット孔を備える、請求項7に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
前記流路ブラケットは、長手方向に沿って形成されたベンティングガス流路を備え、
前記ベンティングガス流路は、前記複数のブラケット孔のそれぞれと連通する、請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
前記ベンティングガス流路が、前記パック孔と連通する、請求項9に記載のバッテリーパック。
【請求項11】
前記ベンティング孔スタッドと流路ブラケットとの間には絶縁部材が介在される、請求項6から10のうちいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項12】
請求項1から5のうちいずれか一項に記載のバッテリーモジュールまたは請求項6から11のうちいずれか一項に記載のバッテリーパックを含む自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベンティング孔端子を備えるバッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及び自動車に関し、より具体的には、ベンティング孔の役割とモジュール端子の役割とを共に果たすベンティング孔端子を備えるバッテリーモジュール、それを含むバッテリーパック及び自動車に関する。
【0002】
本出願は、2020年7月14日付け出願の韓国特許出願第10-2020-0086932号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
電気自動車やハイブリッド自動車などに用いられるバッテリーパックを構成するバッテリーモジュールは、通常、複数のバッテリーセルをバスバーフレームを用いて互いに電気的に接続し、バッテリーセル積層体を構成する複数のバッテリーセルのうち最外郭に配置されたバッテリーセルと一対のモジュール端子とを電気的に接続した形態を有する。また、バッテリーモジュールにおいて、バッテリーモジュールに備えられた一対のモジュール端子は、モジュールハウジングの外側に露出した形態を有する。
【0004】
一方、このような形態のバッテリーモジュールは、一般に、モジュール自体には別途のベンティング構造を備えていない。したがって、バッテリーモジュールの内部でセルベンティングが発生する場合、ベンティングガスを外部に排出する構造を設けるためには、モジュールハウジングに別途のベンティング孔を形成する必要がある。しかし、モジュールハウジングにベンティング孔を形成すれば、異物及び/または水分が浸透するおそれがある。
【0005】
また、従来のバッテリーモジュールの構造によれば、複数のバッテリーモジュールを電気的に接続してバッテリーパックを製造するためには、互いに隣接したバッテリーモジュールのモジュール端子同士をコネクティングバーを用いて連結する別途の工程がさらに求められる。
【0006】
したがって、ベンティングガスを排出可能でありながらも外部の異物及び/または水分が浸透できないベンティング構造をバッテリーモジュール自体に適用することが求められ、さらに複数のバッテリーモジュール同士の間の電気的接続工程が簡素化できるようにバッテリーモジュールの構造を改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ベンティングガスを排出可能でありながらも外部の異物及び/または水分が浸透できないベンティング構造をバッテリーモジュール自体に適用し、さらに複数のバッテリーモジュール同士の間の電気的接続工程を簡素化することを目的とする。
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題は上記の課題に制限されず、その他の課題は下記の発明の説明から当業者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を達成するため、本発明の一態様によるバッテリーモジュールは、電気的に接続された複数のバッテリーセルを含むセル積層体と、セル積層体を収容し、一面に形成される一対のモジュール孔を備えるモジュールハウジングと、モジュール孔と連通する端子孔を備え、セル積層体と電気的に接続される一対のベンティング孔端子と、を含む。
【0010】
一対のベンティング孔端子の一方はセル積層体の第1電極と接続され、一対のベンティング孔端子の他方はセル積層体の第2電極と接続され得る。
【0011】
第1電極と第2電極とは、互いに逆極性を有し得る。
【0012】
ベンティング孔端子は、端子孔の内周面上に固定される伝導性弾性部材を備え得る。
【0013】
バッテリーモジュールは、セル積層体を構成する複数のバッテリーセル同士を直列、並列、または直列と並列とが混合された形態で接続するバスバーフレームをさらに含み得る。
【0014】
上記の課題を達成するため、本発明の他の一態様によるバッテリーパックは、電気的に接続された複数のバッテリーセルを含むセル積層体、セル積層体を収容して一面に形成される一対のモジュール孔を備えるモジュールハウジング、及びモジュール孔と連通する端子孔を備えてセル積層体と電気的に接続される一対のベンティング孔端子を含むバッテリーモジュールを複数個含むモジュール集合体と、モジュール集合体を収容し、モジュール集合体の収容空間と連通する少なくとも一つのパック孔を備えるパックハウジングと、パックハウジングの内部収容空間の一面上に固定される流路ブラケットと、流路ブラケット上に固定されてモジュール孔及び端子孔に挿入される複数のベンティング孔スタッドと、を含む。
【0015】
ベンティング孔スタッドは、モジュール孔及び端子孔と連通するスタッド孔を備え得る。
【0016】
流路ブラケットは、スタッド孔と連通する複数のブラケット孔を備え得る。
【0017】
流路ブラケットは、長手方向に沿って形成されたベンティングガス流路を備え、ベンティングガス流路は複数のブラケット孔のそれぞれと連通し得る。
【0018】
ベンティングガス流路は、パック孔と連通し得る。
【0019】
ベンティング孔スタッドと流路ブラケットとの間には絶縁部材が介在され得る。
【0020】
上記の課題を達成するため、本発明のさらに他の一態様による自動車は、上述したような本発明の一態様によるバッテリーモジュール及び/またはバッテリーパックを含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様によれば、バッテリーモジュール自体において、ベンティングガスが排出可能でありながらも外部の異物及び/または水分が浸透できなくなり、また複数のバッテリーモジュール同士の間の電気的接続工程が簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーモジュールの内部構造を示した概念図である。
【
図2】
図1に示されたバッテリーモジュールの底面図である。
【
図3】本発明に適用されるベンティング孔端子を示した図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるバッテリーパックを示した斜視図である。
【
図5】
図4に示されたバッテリーパックの内部構造を示した概念図である。
【
図6】本発明に適用される流路ブラケット及びベンティング孔スタッドを示した図である。
【
図7】本発明のベンティング孔スタッドを用いてバッテリーモジュールを載置する工程を示した図である。
【
図8】本発明に適用される絶縁部材を示した図である。
【
図9】本発明に適用される流路ブラケットとパック孔との連結関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0024】
図1~
図3を参照して本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール100を説明する。
【0025】
バッテリーモジュール100は、複数のバッテリーセル10、一対のベンティング孔端子30及びモジュールハウジング40を含む。バッテリーモジュール100は、複数のバッテリーセル10同士の間の電気的接続のためのバスバーフレーム20をさらに含み得る。また、バッテリーモジュール100は、モジュールハウジング40の形態に応じてエンドプレート50をさらに含んでもよい。
【0026】
バッテリーセル10としては、例えばパウチ型バッテリーセルが用いられ得、この場合、それぞれのバッテリーセル10は互いに逆極性を有する一対の電極リード11を備える。複数のバッテリーセル10は、対面して積層されて一つのセル積層体を構成する。複数のバッテリーセル10は。互いに直列、並列、または直列と並列とが混合された形態で接続され得る。
【0027】
バスバーフレーム20は、バッテリーセル10に備えられた一対の電極リード11が同じ方向に引き出されるか、または、それぞれ反対方向に引き出されるかに応じて、セル積層体の長手方向(X軸に平行な方向)の一側のみに備えられてもよく、セル積層体の長手方向の一側と他側の両方に備えられてもよい。具体的には図示していないが、バスバーフレーム20は、少なくとも一つのバスバーを備える。バスバーは、隣接したバッテリーセル10の電極リード11同士の間を連結する。
【0028】
一方、バッテリーモジュール100において、バスバーフレーム20は省略されてもよい。すなわち、複数のバッテリーセル10同士の電気的接続は、必ずしもバスバーフレーム20を通じて行われなくてもよく、少なくとも一つのバスバーによって行われてもよく、電気的接続のための媒介体なく、隣接したバッテリーセル10の電極リード11同士を直接接触させる方式で行われてもよい。
【0029】
ベンティング孔端子30は、セル積層体と電気的に接続されてモジュールハウジング40の一面上に配置される。ベンティング孔端子30は、例えばモジュールハウジング40の底面上に配置され得る。ベンティング孔端子30は、モジュールハウジング40の一面を貫通して形成されたモジュール孔40aと連通する端子孔30aを備える。ベンティング孔端子30は一対で備えられる。一対のベンティング孔端子30の一方はセル積層体の第1電極と接続され、他方はセル積層体の第2電極と接続される。第1電極と第2電極とは、互いに逆極性を有する電極である。例えば、一対のベンティング孔端子30の一方は、積層方向(Y軸に平行な方向)の一側最外郭に位置するバッテリーセル10に備えられた一対の電極リード11のうち第1極性を有する電極リード11(以下、第1電極リードと称する)と結合することでセル積層体と電気的に接続され得る。同様に、一対のベンティング孔端子30の他方は、セル積層体の積層方向の他側最外郭に位置するバッテリーセル10に備えられた一対の電極リード11のうち第1極性と逆極性である第2極性を有する電極リード11(以下、第2電極リードと称する)と結合することでセル積層体と電気的に接続され得る。これと異なり、ベンティング孔端子30は、バスバーフレーム20に備えられたバスバー(図示せず)を通じてセル積層体と電気的に接続されてもよい。
【0030】
一対のベンティング孔端子30は、それぞれバッテリーモジュール100の正極端子及び負極端子として機能するとともに、モジュールハウジング40内でバッテリーセル10のベンティングによるガスが発生する場合、ガスをモジュールハウジング40の外部に排出するための通路として機能する。
【0031】
ベンティング孔端子30は、伝導性の金属材質からなり、高さ方向(Z軸に平行な方向)に沿って形成された端子孔30aを備える中空の円筒状であり得る。ベンティング孔端子30は、端子孔30aの内周面上に固定される伝導性弾性部材31を備え得る。伝導性弾性部材31は、略中心部が貫通したドーナツ状であり得、このような伝導性弾性部材31としては、例えば一般に使用される接触バネ(contact spring)が用いられ得る。伝導性弾性部材31は、複数のバッテリーモジュール100を電気的に接続するため中空管状の外部端子が端子孔30a内に挿入されたとき、挿入された端子の外周面を押し付けて固定する。
【0032】
モジュールハウジング40は、セル積層体、バスバーフレーム20及び一対のベンティング孔端子30を内部に収容する。モジュールハウジング40は、上述したようにその底面の幅方向(Y軸と平行な方向)の両側に形成された一対のモジュール孔40aを備える。一対のモジュール孔40aは、端子孔30aに対応する位置に形成され、これによりモジュールハウジング40の内部空間と外部空間とが端子孔30a及びモジュール孔40aを通じて連通する。
【0033】
以下、
図4~
図9を参照して本発明の一実施形態によるバッテリーパックを説明する。
【0034】
本発明の一実施形態によるバッテリーパックは、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール100を複数個含むモジュール集合体、パックハウジング200、流路ブラケット300及び複数のベンティング孔スタッド400を含む。
【0035】
パックハウジング200は、モジュール集合体、流路ブラケット300及びベンティング孔スタッド400を内部に収容する。パックハウジング200は、バッテリーモジュール100から排出されたベンティングガスを外部に排出するための少なくとも一つのパック孔200aを備える。図面にはパック孔200aがパックハウジング200の側面(X-Z平面と平行な面)に形成された場合のみが示されているが、パック孔200aの形成位置はこれに限定されない。
【0036】
流路ブラケット300は、バッテリーパックの幅方向(Y軸と平行な方向)に沿って延びた形態を有し、内部にベンティングガスが移動可能な空いた空間、すなわちベンティングガス流路Pを備える。ベンティングガス流路Pは、流路ブラケット300の長手方向の両端の間を貫通して形成される。
【0037】
流路ブラケット300は、複数のバッテリーモジュール100を載置するためのブラケットとして機能し、これとともにバッテリーモジュール100から排出されたベンティングガスの移動通路としても機能する。流路ブラケット300は、このようなベンティングガスの移動通路として機能できるように、長手方向に沿ってその上面に形成された複数のブラケット孔300aを備える。複数のブラケット孔300aは、それぞれベンティングガス流路Pと連通する。複数のブラケット孔300aは、流路ブラケット300上に載置される複数のバッテリーモジュール100の下面に形成された複数のモジュール孔40aに対応する位置にそれぞれ形成される。
【0038】
図6を参照すると、ベンティング孔スタッド400は、流路ブラケット300上に固定され、モジュール孔40a及び端子孔30aに挿入固定されてベンティング孔端子30と電気的に接続される。これにより、ベンティング孔スタッド400は、セル積層体と電気的に接続される。
【0039】
ベンティング孔スタッド400は、流路ブラケット300の上面に結合されるベース部410、及びモジュール孔40a及び端子孔30aに挿入固定される挿入部420を含む。ベンティング孔スタッド400は、ベース部410及び挿入部420の中心部を高さ方向(Z軸に平行な方向)に沿って貫通して形成されるスタッド孔400aを備える。スタッド孔400aは、モジュール孔40a及び端子孔30aと連通する。また、スタッド孔400aはブラケット孔300aとも連通する。すなわち、複数のベンティング孔スタッド400のそれぞれは、複数のブラケット孔300aに対応する位置に配置される。
【0040】
複数のベンティング孔スタッド400のうち、隣接する一対のバッテリーモジュール100のうち一方のバッテリーモジュール100に形成されたモジュール孔40aに挿入されるベンティング孔スタッド400と他方のバッテリーモジュール100に形成されたモジュール孔40aに挿入されるベンティング孔スタッド400とは、互いに電気的に接続される。隣接する一対のベンティング孔スタッド400の電気的接続には、例えば、金属バー形態のコネクタ500が用いられ得る。コネクタ500は、一対のベンティング孔スタッド400と一体的に形成されたものであってもよい。このように隣接する一対のベンティング孔スタッド400同士を電気的に接続することは、隣接するバッテリーモジュール100同士を直列で接続するためである。流路ブラケット300の長手方向(Y軸と平行な方向)に沿って互いに離隔して配置される複数のベンティング孔スタッド400のうち、両側最外郭に位置する一対のベンティング孔スタッド400は、それぞれバッテリーパックの正極端子及び負極端子として機能し、残りのベンティング孔スタッド400は、複数のバッテリーモジュール100を接続するためのコネクティングバーとして機能する。
【0041】
図8を参照すると、ベンティング孔スタッド400のベース部410と流路ブラケット300の上面との間には、絶縁部材600が介在され得る。これは、流路ブラケット300が剛性を確保するため金属材質からなる場合、伝導性金属材質からなる複数のベンティング孔スタッド400の全てが通電することを防止するためである。絶縁部材600は、例えば伝導性材質の流路ブラケット300の表面にコーティングされた形態で提供され得る。流路ブラケット300が非伝導性材質からなる場合は、絶縁部材600の適用が省略されてもよい。
【0042】
図9を参照すると、流路ブラケット300の長手方向の一側及び/または他側の端部は、パック孔200aが形成されたパックハウジング200の側壁に密着し得、パック孔200aと連通し得る。このように流路ブラケット300に形成されたベンティングガス流路Pとパック孔200aとが直接連通する場合、問題が発生してガスを排出したバッテリーモジュール100以外の他のバッテリーモジュール100に高温のベンティングガスが接触せず迅速にバッテリーパックの外部に排出されることで、バッテリーパックの使用上の安全性を向上させることができる。
【0043】
一方、本発明の他の一態様による自動車は、動力源として上述したような本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール100及び/またはバッテリーパックを含む。
【0044】
上述したように、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール100はベンティング孔端子30を備え、また本発明の一実施形態によるバッテリーパックはスタッド孔400aを備えることで、バッテリーパック製造のための複数のバッテリーモジュール100の載置と電気的接続、そしてベンティングガス排出のための流路の形成をすべて同時に行うことができる。また、本発明の一実施形態によるバッテリーモジュール100は、モジュール端子として機能するベンティング孔端子30が電極リード11の引き出し方向と略垂直方向に位置することで、バッテリーセル10のベンティング時に高温のベンティングガスによる問題発生の危険性を最小化することができる。すなわち、本発明のベンティング孔端子30は、バッテリーモジュール100の高電位端子として機能するが、発熱が集中し得る高電位端子が高温のベンティングガスの噴出方向に位置しないようにすることで、バッテリーモジュール100の使用上の安全性を向上させることができる。
【0045】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0046】
10 バッテリーセル
11 電極リード
20 バスバーフレーム
30 ベンティング孔端子
30a 端子孔
31 伝導性弾性部材
40 モジュールハウジング
40a モジュール孔
50 エンドプレート
100 バッテリーモジュール
200 パックハウジング
200a パック孔
300 流路ブラケット
300a ブラケット孔
400 ベンティング孔スタッド
400a スタッド孔
410 ベース部
420 挿入部
500 コネクタ
600 絶縁部材