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特許7405967テジゾリド中間体の効率的な調製方法及びその中間体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】テジゾリド中間体の効率的な調製方法及びその中間体
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20231219BHJP
   C07C 251/16 20060101ALI20231219BHJP
   C07C 249/02 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
C07D401/04
C07C251/16
C07C249/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022524959
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 CN2022082429
(87)【国際公開番号】W WO2023279773
(87)【国際公開日】2023-01-12
【審査請求日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】202110754225.6
(32)【優先日】2021-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522169014
【氏名又は名称】ナンジン チェンピオン バイオテクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NANJING CHEMPION BIOTECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】2nd Floor, Block D-1, Shuwu 16, No.73 Tanmi Road, Jiangbei New District Nanjing, Jiangsu 210061 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】チェン ジアン
(72)【発明者】
【氏名】リウ ジーチァン
(72)【発明者】
【氏名】グゥ ロン
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113354620(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110938058(CN,A)
【文献】特開2001-261653(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106220554(CN,A)
【文献】特表2019-529460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D、C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)に示されるテジゾリド中間体の効率的な調製方法であって、
【化1】
1)2-フルオロ-4-置換フェニル酢酸をVilsmeier試薬と反応させた後、反応液をMX水溶液に加えてクエンチし、式(II)に示される中間体を得るステップと、
【化2】
2)前記ステップ1)で得られた式(II)に示される中間体及び1-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)エタノンを用いて塩基及びアンモニア源の存在下でワンポット法により式(I)に示される中間体を得るステップと、
【化3】
を含み、
前記ステップ1)において、R1は、ニトロ基、ベンジルオキシカルボニルアミノ基、塩素、臭素、ヨウ素、トリフルオロスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基などのスルホニル基、又はカルボン酸エステル基であり、
MXは、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム又はヘキサフルオロリン酸カリウムであり、
は、テトラフルオロホウ酸イオン、過塩素酸イオン又はヘキサフルオロリン酸イオンである、ことを特徴とする調製方法。
【請求項2】
前記ステップ1)において、Vilsmeier試薬は、N,N-ジメチルホルムアミドとオキシ塩化リン、N,N-ジメチルホルムアミドと塩化オキサリル、又はN,N-ジメチルホルムアミドと塩化チオニルの組み合わせである、ことを特徴とする請求項1に記載のテジゾリド中間体の効率的な調製方法。
【請求項3】
前記ステップ1)で使用されるMXの使用量は、2-フルオロ-4-置換フェニル酢酸の1~3当量である、ことを特徴とする請求項1に記載のテジゾリド中間体の効率的な調製方法。
【請求項4】
前記ステップ1)の反応温度は0℃~100℃である、ことを特徴とする請求項1に記載のテジゾリド中間体の効率的な調製方法。
【請求項5】
前記ステップ2)において、塩基は、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムN,N-ジイソプロピルアミド、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピロリジン、ピペリジン又はモルホリンである、ことを特徴とする請求項1に記載のテジゾリド中間体の効率的な調製方法。
【請求項6】
前記ステップ2)において、溶媒は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド又はアセトニトリルから選ばれてもよい、ことを特徴とする請求項1に記載のテジゾリド中間体の効率的な調製方法。
【請求項7】
式(II)の中間体に対する前記ステップ2)で使用される1-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)エタノンの当量数は、0.5~2.0当量である、ことを特徴とする請求項1に記載のテジゾリド中間体の効率的な調製方法。
【請求項8】
前記ステップ2)において、アンモニア源は、アンモニア水、アンモニアメタノール溶液、酢酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム又は炭酸水素アンモニウムである、ことを特徴とする請求項1に記載のテジゾリド中間体の効率的な調製方法。
【請求項9】
式(II)の中間体に対する前記ステップ2)で使用されるアンモニア源の当量数は、5.0~10.0当量である、ことを特徴とする請求項1に記載のテジゾリド中間体の効率的な調製方法。
【請求項10】
前記ステップ2)の反応温度は-10℃~100℃である、ことを特徴とする請求項1に記載のテジゾリド中間体の効率的な調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物中間体の合成技術分野に関し、特にテジゾリド中間体の効率的な調製方法及びその中間体である。
【背景技術】
【0002】
テジゾリドホスフェート(Tedizolidphosphate)は、Dong-APharmaceuticalが急性細菌性皮膚及び皮膚構造感染症のために開発した第2世代のオキサゾリジノン系抗生物質である。前記急性細菌性皮膚及び皮膚構造感染症は、黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性及びメチシリン感受性株を含む)、化膿連鎖球菌、乳連鎖球菌、アンギノーサス群連鎖球菌(ストレプトコッカス・アンギノーサス菌、ストレプトコッカス・インターメディウス、ストレプトコッカス・コンステラタスを含む)、糞便腸球菌というグラム陽性菌の感受性菌株によって引き起こされる。テジゾリドホスフェートは、リネゾリドの改良製品であり、その臨床効果がリネゾリドに匹敵しているが、胃腸管及び血小板減少症への有害反応がリネゾリドよりも少ない。
【0003】
現在、テジゾリド
【化1】
は主に、以下のルートにより合成される。
【0004】
特許CN200480037612の合成ルートによると、3-フルオロ-4-ブロモフェニルカルバミン酸ベンジルは錫試薬に先に調製され、次にパラジウム触媒の存在下で2-メチル-5-(5-ブロモピリジン-2-イル)テトラゾリウムとStille反応して、テジゾリド中間体Icが得られる。この文献では、高価なパラジウム触媒に加え、高価で毒性の強い錫試薬も使用され、残留されると人体に大きな害を及ぼすため、このルートによる生産が大幅に制限されている。
【0005】
【化2】
【0006】
特許CN200908140144に報告されたルートによると、3-フルオロ-4-ブロモフェニルカルバミン酸ベンジルは、ブチルリチウム及びホウ酸トリイソプロピルの作用下で先にボロネート中間体に生成され、次にパラジウム触媒の存在下で2-メチル-5-(5-ブロモピリジン-2-イル)テトラゾリウムとカップリングして、化合物Icが得られる。この文献の主な欠点は、反応に超低温(-78℃)を実現する特別な設備が必要であり、ほとんどの企業がこの生産条件を満たさず、またブチルリチウムは可燃性が非常に高くて、生産での使用が非常に危険である。同時に、このルートの収率が低く、パラジウム触媒が使用されているため、生産コストが大幅に増加する。
【0007】
【化3】
【0008】
特許CN105367547Aの合成ポリシーによると、2-メチル-5-(5-ブロモピリジン-2-イル)テトラゾリウムは、パラジウム触媒及びビスピナコラートジボロンの作用下でボロネート中間体に生成され、ボロネートは、分離せずに3-フルオロ-4-ブロモフェニルカルバミン酸ベンジルに直接添加でき、ワンポット法により生成物Icが得られる。当該方法は、毒性の強い錫試薬と可燃性の高いブチルリチウムの使用が回避され、同時に超低温の必要性が回避される。しかし、パラジウム触媒が使用されるため、このルートのコストは依然として高価になる。
【0009】
【化4】
【0010】
別のCN106632298Aの合成ポリシーによると、2-メチル-5-(5-ブロモピリジン-2-イル)テトラゾリウムは、パラジウム触媒及びビスピナコラートジボロンの作用下でボロネート中間体に生成され、次に3-フルオロ-4-ブロモアニリンとSuzukiカップリング反応する。カップリング後、生成物のアミノ基がハロゲンに変換され、キラルオキサゾリノンとカップリング反応して目的の生成物が得られる。当該方法は依然として、多段階の金属触媒カップリング反応を伴い、生産コストを削減することは困難である。
【0011】
【化5】
【0012】
なお、上記の4つのルートはいずれも、中間体2-メチル-5-(5-ブロモピリジン-2-イル)テトラゾリウムを不可避的に使用している。現在、当該中間体が合成されるルートによると、2,5-ジブロモピリジンは、シアン化ナトリウム及びシアン化第一銅の存在下で2-シアノ-5ブロモピリジンに生成され、次にアジ化ナトリウムと閉環してテトラゾリウム中間体が得られ、更にメチル化により中間体2-メチル-5-(5-ブロモピリジン-2-イル)テトラゾリウムが得られる。当該中間体の合成ルートにおいて高毒性試薬であるシアン化ナトリウムが使用されるため、大きな安全上のリスクが伴い、工業生産には向いておらず、且つメチル化反応の収率が非常に低くてわずか50%程度であり、コストが大幅に増加する。
【0013】
【化6】
【発明の概要】
【0014】
本発明の目的は、シアン化ナトリウム、アジ化ナトリウム及びパラジウム触媒の使用が回避され、大規模生産に適する効率的、安全且つコストの低いテジゾリド中間体の調製方法を開発することである。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明で使用される技術的解決手段は以下の通りである。
【0016】
式(I)に示されるテジゾリド中間体の効率的な調製方法であって、
【0017】
【化7】
【0018】
前記調製方法は、
1)2-フルオロ-4-置換フェニル酢酸をVilsmeier試薬と反応させた後、反応液をMX水溶液に加えてクエンチし、式(II)に示される中間体を得るステップと、
【0019】
【化8】
【0020】
2)ステップ1)で得られた式(II)に示される中間体及び1-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)エタノンを用いて塩基及びアンモニア源の存在下でワンポット法により式(I)に示される中間体を得るステップと、
【0021】
【化9】
を含む。
【0022】
更に、前記ステップ1)において、R1は、ニトロ基、ベンジルオキシカルボニルアミノ基、塩素、臭素、ヨウ素、トリフルオロスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、p-トルエンスルホニルオキシ基などのスルホニル基、又はカルボン酸エステル基である。
【0023】
更に、前記ステップ1)において、Vilsmeier試薬は、N,N-ジメチルホルムアミドとオキシ塩化リン、N,N-ジメチルホルムアミドと塩化オキサリル、又はN,N-ジメチルホルムアミドと塩化チオニルの組み合わせである。
【0024】
更に、前記ステップ1)において、MXは、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム又はヘキサフルオロリン酸カリウムであり、
は、テトラフルオロホウ酸イオン、過塩素酸イオン又はヘキサフルオロリン酸イオンである。
【0025】
更に、前記ステップ1)で使用されるMXの使用量は、2-フルオロ-4-置換フェニル酢酸の1~3当量であり、好ましくは1.5当量である。
【0026】
更に、前記ステップ1)の反応温度は0℃~100℃であり、好ましくは25℃~90℃である。
【0027】
更に、前記ステップ2)において、塩基は、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムN,N-ジイソプロピルアミド、水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピロリジン、ピペリジン又はモルホリンなどであり、好ましくはカリウムtert-ブトキシド、リチウムN,N-ジイソプロピルアミド、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン又はナトリウムヘキサメチルジシラジドであり、更に好ましくはカリウムtert-ブトキシドである。
【0028】
更に、前記ステップ2)において、溶媒は、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド又はアセトニトリルなどから選ばれてもよく、好ましくはテトラヒドロフランである。
【0029】
更に、式(II)の中間体に対する前記ステップ2)で使用される1-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)エタノンの当量数は、0.5~2.0当量であり、好ましくは1.5当量である。
【0030】
更に、前記ステップ2)において、アンモニア源は、アンモニア水、アンモニアメタノール溶液、酢酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム又は炭酸水素アンモニウムなどであり、好ましくは酢酸アンモニウムである。
【0031】
更に、式(II)の中間体に対する前記ステップ2)で使用されるアンモニア源の当量数は、5.0~10.0当量であり、好ましくは5.0当量である。
【0032】
更に、前記ステップ2)の反応温度は-10℃~100℃である。
【0033】
前記方法の幾つかの実施形態において、式(I)の中間体のR1はニトロ基である。
【0034】
【化10】
【0035】
前記方法の幾つかの実施形態において、式(Ia)に示される中間体は、還元剤により還元され、式(Ib)に示される化合物が得られる。
【0036】
【化11】
【0037】
前記ステップにおける還元剤は、亜鉛粉末と塩化アンモニウムとの組み合わせ、亜鉛粉末と醋酸との組み合わせ、チオ硫酸ナトリウム又は亜ジチオン酸ナトリウムなど、及びラネーニッケル、パラジウム炭素又は水酸化パラジウム炭素などの金属触媒の存在下で行われる常圧又は加圧水素化反応であり、好ましくは亜鉛粉末の組み合わせである。
【0038】
更に、上記ステップで得られた式(Ib)に示される中間体は、クロロギ酸ベンジルと反応して式(Ic)に示される化合物が得られる。
【0039】
【化12】
【0040】
前記ステップにおける塩基は、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン又はトリエチルアミンである。
【0041】
前記方法の幾つかの実施形態において、式(I)の中間体のR1は、カルボン酸エステル基
【化13】
であり、そのうち、R2は、メチル基、エチル基、tert-ブチル基、ベンジル基である。
【0042】
前記方法の幾つかの実施形態において、式(III)に示される中間体は、加水分解及びCurtius転位反応により、式(Id)に示される中間体
【化14】
が得られ、そのうち、R3は水素、tert-ブトキシカルボニル基又はベンジルオキシカルボニル基である。
【0043】
テジゾリド中間体の調製方法により調製された中間体式II。
【0044】
本発明の技術的解決手段が使用される有益な効果は以下の通りである。
本発明は、テジゾリド中間体を効率的に調製する新しい方法を提供する。当該方法により、式(I)の重要な中間体であるピリジン環は1-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)エタノンとVinamidinium塩が閉環して得られ、同時に構造に重要なメチルテトラゾリル基が導入されるため、高毒性試薬であるシアン化ナトリウム、アジ化ナトリウムの使用が回避され、高価なパラジウム触媒の使用が回避され、低選択性のメチル化反応が回避されることに成功する。
本発明の調製方法は、プロセスが簡単でステップが短く、反応条件が穏やかであり、安全に生産でき、コストが低いという特徴があり、工業生産に適している。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明における式IaのHNMRスペクトルである。
図2】本発明における式IbのHNMRスペクトルである。
図3】本発明における式IcのHNMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明の使用方法をよりよく理解してもらうために、以下は具体的な実施例を利用して技術的解決手段を明確且つ完全に説明する。明らかに、説明されている実施例は、本発明の全ての実施例ではなく、一部の実施例に過ぎない。当業者が本発明の実施例に基づいて創造的な労働を行わない前提で得られた他の実施例は、いずれも本発明の請求範囲に属する。
【0047】
本発明の発明を実施するための形態で使用される原材料及び設備はいずれも、既知の製品であり、例えば北京百霊威科技有限公司、上海韶遠試薬有限公司などの会社から、市販品を購入することによって得られる。
【0048】
実施例1:(E)-N-(3-(ジメチルアミノ)-2-(2-フルオロ-4-ニトロフェニル)アリリデン)-N-メチルメチルアミン過塩素酸塩。
【0049】
【化15】
【0050】
オキシ塩化リン(191.7g,1.25mol)をN,N-ジメチルホルムアミド(600mL)に滴下し、温度を10℃~30℃に制御し、30分間滴下した後、反応液を室温下で30分間反応させる。次にSMA1(99.5g,0.5mol)を加え、85℃に加熱して3時間反応させ、室温に降温させ、反応液を過塩素酸ナトリウム(91.5g,0.75mol)の水(1.2L)溶液に注入してクエンチし、室温で1時間撹拌する。濾過し、濾過ケーキを水(200mL)で洗浄した後、乾燥して黄土色固体である化合物IIa(165g,90%)を得る。1HNMR(400MHZ,DMSO)δ8.22-8.25(dd,1H),8.14-8.17(dd,1H),8.14-8.17(dd,1H),7.89(s,2H),7.66-7.71(m,1H),2.53(s,6H)。
【0051】
実施例2:5-(2-フルオロ-4-ニトロフェニル)-2-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリジン。
【0052】
【化16】
【0053】
方法1:
化合物IIa(15g,40mmol)をTHF(150mL)に加えた後、1-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)エタノン(7.5g,60mmol)を加える。反応液を-10℃に冷却させ、NaHMDS(2M,30mL,60mmol)を徐々に滴下する。加えた後、反応液を-10℃で10分間反応させる。次に、酢酸アンモニウム(15.4g,0.2mol)と水(45mL)を加える。70℃に加熱して18時間反応させ、LCMSにより完全に反応したことを確認し、室温に降温させ、酢酸エチル(75mL)を加え、分液し、有機相を減圧下で蒸留して粗生成物を得る。粗生成物をn-ヘキサン(75mL)及び酢酸エチル(30mL)でスラリー化し、濾過し、濾過ケーキを乾燥して黄土色固体である化合物Ia(6.36g,53%)を得る。1HNMR(400MHZ,CDCl3)δ8.98(s,1H),8.38-8.40(d,1H),8.18-8.22(dd,1H),8.10-8.14(m,2H),7.61-7.75(m,1H),4.49(s,3H)、図1に示す。
【0054】
方法2:
化合物IIa(15g,40mmol)をTHF(150mL)に加えた後、1-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)エタノン(7.5g,60mmol)を加える。反応液を0℃に冷却させた後、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン(9.2g,80mmol)を加える。加えた後、反応液を0℃で1時間反応させる。次に、酢酸アンモニウム(15.4g,0.2mol)と水(45mL)を加える。70℃に加熱して18時間反応させ、LCMSにより完全に反応したことを確認し、室温に降温させ、酢酸エチル(75mL)を加え、分液し、有機相を減圧下で蒸留して粗生成物を得る。粗生成物をn-ヘキサン(75mL)及び酢酸エチル(30mL)でスラリー化し、濾過し、濾過ケーキを乾燥して黄土色固体である化合物Ia(5.08g,42.3%)を得る。1HNMR(400MHZ,CDCl3)δ8.98(s,1H),8.38-8.40(d,1H),8.18-8.22(dd,1H),8.10-8.14(m,2H),7.61-7.75(m,1H),4.49(s,3H)。
【0055】
方法3:
化合物IIa(15g,40mmol)をTHF(150mL)に加えた後、1-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)エタノン(7.5g,60mmol)を加える。反応液を-10℃に冷却させた後、カリウムtert-ブトキシド(9g,80mmol)を加える。加えた後、反応液を-10℃で1時間反応させる。次に、酢酸アンモニウム(15.4g,0.2mol)と水(45mL)を加える。70℃に加熱して18時間反応させ、LCMSにより完全に反応したことを確認し、室温に降温させ、酢酸エチル(75mL)を加え、分液し、有機相を減圧下で蒸留して粗生成物を得る。粗生成物をn-ヘキサン(75mL)及び酢酸エチル(30mL)でスラリー化し、濾過し、濾過ケーキを乾燥して黄土色固体である化合物Ia(7.5g,62.5%)を得る。1HNMR(400MHZ,CDCl3)δ8.98(s,1H),8.38-8.40(d,1H),8.18-8.22(dd,1H),8.10-8.14(m,2H),7.61-7.75(m,1H),4.49(s,3H)、図1に示す。
【0056】
実施例3:3-フルオロ-4-(6-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-3-イル)アニリン。
【0057】
【化17】
【0058】
化合物Ia(2g,6.67mmol)をエタノール(30mL)に加えた後、飽和塩化アンモニウム(10mL)及び亜鉛粉末(4.3g,66.7mol)を加え、80℃に加熱して2時間反応させる。LCMSにより完全に反応したことを確認し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮してエタノールを除去し、濾過し、濾過ケーキを水(4mL)で洗浄する。乾燥して類白色固体である化合物Ib(1.62g,90%)を得る。1HNMR(400MHZ,DMSO)δ8.83(s,1H),8.07-8.16(m,2H),7.33-7.39(m,1H),6.44-6.55(m,2H),5.77(s,2H),4.46(s,3H)、図2に示す。
【0059】
実施例4:(3-フルオロ-4-(6-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-3-イル)フェニル)カルバミン酸ベンジル。
【0060】
【化18】
【0061】
化合物Ib(1g,3.7mmol)をTHF(10mL)に加えた後、炭酸水素ナトリウム(0.93g,11.1mmol)及びクロロギ酸ベンジル(0.95g,5.55mmol)を加え、室温で2時間反応させる。LCMSにより完全に反応したことを示す。水(10mL)を加えた後、酢酸エチル(20mL)で2回抽出する。有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。濾過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得る。粗生成物を酢酸エチル(3mL)及びn-ヘキサン(9mL)でスラリー化し、濾過ケーキを乾燥して類白色固体である化合物Ic(1.35g,90%)を得る。1HNMR(400MHZ,DMSO)δ10.22(s,1H),8.91(s,1H),8.15-8.23(m,2H),7.55-7.65(m,2H),7.36-7.47(m,6H),5.20(s,2H),4.48(s,3H)、図3に示す。
【0062】
実施例5:(E)-N-(3-(ジメチルアミノ)-2-(2-フルオロ-4-ヨード)アリリデン)-N-メチルメチルアミン過塩素酸塩。
【0063】
【化19】
【0064】
オキシ塩化リン(6.9g,45mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(30mL)に滴下し、温度を10℃~30℃に制御し、30分間滴下した後、反応液を室温下で30分間反応させる。次にSMA2(5g,18mmol)を加え、85℃に加熱して3時間反応させ、室温に降温させ、反応液を過塩素酸ナトリウム(3.3g,27mmol)の水(60mL)溶液に注入してクエンチし、室温で1時間撹拌する。濾過し、濾過ケーキを水(10mL)で洗浄した後、乾燥して黄土色固体である化合物IIb(7.1g,89%)を得る。
【0065】
実施例6:5-(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)-2-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリジン。
【0066】
【化20】
【0067】
化合物IIb(5g,11.2mmol)をTHF(50mL)に加えた後、1-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)エタノン(2.1g,16.8mmol)を加える。反応液を-10℃に冷却させ、NaHMDS(2M,8.4mL,16.8mmol)を徐々に滴下する。加えた後、反応液を-10℃で10分間反応させる。次に、酢酸アンモニウム(4.3g,56mmol)と水(15mL)を加える。70℃に加熱して18時間反応させ、LCMSにより完全に反応したことを確認し、室温に降温させ、酢酸エチル(20mL)を加え、分液し、有機相を減圧下で蒸留して粗生成物を得る。粗生成物をn-ヘキサン(20mL)及び酢酸エチル(10mL)でスラリー化し、濾過し、濾過ケーキを乾燥して黄褐色固体である化合物Ie(2.1g,49%)を得る。1HNMR(400MHZ,CDCl3)δ8.89(s,1H),8.32(d,1H),8.07(d,1H),7.70(m,1H),7.56(dd,1H),7.49(d,1H),4.45(s,3H)。
【0068】
実施例7:(E)-N-(3-(ジメチルアミノ)-2-(2-フルオロ-4-メトキシカルボニル)アリリデン)-N-メチルメチルアミン過塩素酸塩。
【0069】
【化21】
【0070】
オキシ塩化リン(19.2g,0.125mol)をN,N-ジメチルホルムアミド(60mL)に滴下し、温度を10℃~30℃に制御し、30分間滴下した後、反応液を室温下で30分間反応させる。次にSMA3(10.6g,50mmol)を加え、85℃に加熱して3時間反応させ、室温に降温させ、反応液を過塩素酸ナトリウム(9.2g,75mmol)の水(150mL)溶液に注入してクエンチし、室温で1時間撹拌する。濾過し、濾過ケーキを水(20mL)で洗浄した後、乾燥して化合物IIc(14.0g,74%)を得て、次のステップに直接使用する。
【0071】
実施例8:5-(2-フルオロ-4-メトキシカルボニルフェニル)-2-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリジン。
【0072】
【化22】
【0073】
化合物IIc(10g,26.4mmol)をTHF(100mL)に加えた後、1-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)エタノン(5g,40mmol)を加える。反応液を-10℃に冷却させ、NaHMDS(2M,20mL,40mmol)を徐々に滴下する。加えた後、反応液を-10℃で10分間反応させる。次に、酢酸アンモニウム(10.2g,0.132mol)と水(30mL)を加える。70℃に加熱して18時間反応させ、LCMSにより完全に反応したことを確認し、室温に降温させ、酢酸エチル(50mL)を加え、分液し、有機相を減圧下で蒸留して粗生成物を得る。粗生成物をn-ヘキサン(50mL)及び酢酸エチル(20mL)でスラリー化し、濾過し、濾過ケーキを乾燥して化合物IIIa(3.06g,37%)を得て、次のステップに直接使用する。
【0074】
実施例9:(3-フルオロ-4-(6-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-3-イル)フェニル)カルバミン酸ベンジル。
【0075】
【化23】
【0076】
化合物IIIa(3g,9.6mmol)をエタノール(10mL)と水(10mL)に加えた後、水酸化リチウム一水和物(0.8g,19.2mmol)を加える。反応液を室温で一晩撹拌し、TLCによりが完了したと検出する。反応液を1Nの塩酸水溶液でpHが2~3になるまで調節し、固体を濾過する。濾過ケーキを水(50mL)で洗浄し、吸引乾燥し、減圧下で乾燥して粗生成物のカルボン酸(2.9g)を得る。
【0077】
粗生成物のカルボン酸(2.9g)をトルエン(30mL)に溶解し、トリエチルアミン(2g,19.8mmol)及びDPPA(3.2g,11.6mmol)を加える。反応液を100℃に昇温させ、7時間反応させた後、ベンジルアルコール(2.1g,19.4mmol)を加える。反応液を8時間撹拌し続ける。TLCにより反応が完了したとモニタリングする。減圧下でトルエンを除去し、酢酸エチル(20mL)と水(20mL)を加えて分液し、水相を酢酸エチル(10mL×2)で抽出する。有機相を合併し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧し、濃縮乾燥させて粗生成物を得る。粗生成物を石油エーテル:酢酸エチル(1:1)のシリカゲルカラムにより精製した後、化合物Ic(1.88g,48%)を得る。
【0078】
上記は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、いかなる形態により本発明を制限するものではない。本発明は、好ましい実施例で上記のように開示されたが、本発明を限定するものではない。当業者は、本発明の技術的解決手段から逸脱することなく、上記に開示された方法及び技術内容を使用することにより、幾つかの変更を行うか、又は同等の変更を示す等価実施例に修飾することができる。本発明の技術的解決手段から逸脱しない限り、本発明の技術的思想に従って上記実施例に対して行われた任意の単純な修正、同等の変更や修飾は、いずれも本発明の技術的解決手段の範囲内に属する。
図1
図2
図3