(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】フレキシブル二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/058 20100101AFI20231219BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20231219BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20231219BHJP
H01M 4/40 20060101ALI20231219BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20231219BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20231219BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M10/052
H01M4/38 Z
H01M4/40
H01M4/13
H01M4/139
(21)【出願番号】P 2022527221
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(86)【国際出願番号】 KR2020016525
(87)【国際公開番号】W WO2021101338
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】10-2019-0151648
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】イン-ソン・オム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン-フン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン-ヒ・カン
(72)【発明者】
【氏名】ミン-チョル・ジャン
【審査官】山本 佳
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-516220(JP,A)
【文献】特表2017-518618(JP,A)
【文献】特開2016-028385(JP,A)
【文献】特表2018-527728(JP,A)
【文献】特開2014-225324(JP,A)
【文献】特表2012-528450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05 - 10/0587
H01M 10/36 - 10/39
H01M 4/00 - 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム金属コーティングされたワイヤと、
前記リチウム金属コーティングされたワイヤの外側を囲んで巻き取られ、所定の間隔で相互に離隔するように螺旋状に巻き取られ、外側に形成された第1多孔性コーティング層を含む
ワイヤ型の正極と、
前記リチウム金属コーティングされたワイヤの外側を囲んで巻き取られ、前記所定の間隔に対応して前記巻き取られた
ワイヤ型の正極と交互になるように螺旋状に巻き取られ、外側に形成された第2多孔性コーティング層を含む
ワイヤ型の負極と、を含む、フレキシブル二次電池。
【請求項2】
リチウム金属コーティングされたワイヤと、
前記リチウム金属コーティングされたワイヤの外側を螺旋状に囲んで巻き取られて形成されたワイヤ型の負極と、
前記ワイヤ型の負極の外側を
全面的に螺旋状に囲んで巻き取られて形成された分離層と、
前記分離層の外側を螺旋状に囲んで巻き取られて形成されたワイヤ型の正極と、を含む、フレキシブル二次電池。
【請求項3】
リチウム金属コーティングされたワイヤと、
前記リチウム金属コーティングされたワイヤの外側を螺旋状に囲んで巻き取られて形成されたワイヤ型の負極と、
前記ワイヤ型の負極の外側を
全面的に螺旋状に囲んで巻き取られて形成された分離層と、
前記分離層の外側を螺旋状に囲んで巻き取られて形成されたシート型の正極と、を含む、フレキシブル二次電池。
【請求項4】
前記リチウム金属コーティングされたワイヤが、リチウム金属コーティングされた銅ワイヤ、またはリチウム金属コーティングされたニッケルワイヤであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のフレキシブル二次電池。
【請求項5】
前記負極と当接した前記リチウム金属コーティングされたワイヤのリチウムイオンが、正極方向へ拡散することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のフレキシブル二次電池。
【請求項6】
前記
ワイヤ型の正極及び前記
ワイヤ型の負極の巻取面が、互いに同じ円周面に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル二次電池。
【請求項7】
前記第1多孔性コーティング層及び前記第2多孔性コーティング層が、互いに独立した電解質層またはセパレータであることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル二次電池。
【請求項8】
前記シート型の正極は、互いに重ならないように螺旋状に巻回されて形成されるか、または互いに重なるように螺旋状に巻回されて形成されることを特徴とする、請求項3に記載のフレキシブル二次電池。
【請求項9】
前記フレキシブル二次電池の外側が、保護被覆でコーティングされていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のフレキシブル二次電池。
【請求項10】
前記フレキシブル二次電池は、リチウム二次電池であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のフレキシブル二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル二次電池に関し、より詳しくは、電池容量が改善されたフレキシブル二次電池に関する。
【0002】
本出願は、2019年11月22日出願の韓国特許出願第10-2019-0151648号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
リチウム二次電池は、エネルギー密度が高く、作動電圧が高いだけでなく優れた保存及び寿命特性を示すなど、多くの長所を有することから、パソコン、カムコーダー、携帯電話、携帯用CDプレーヤー、PDAなどの各種携帯用電子機器に広く用いられている。
【0004】
通常、リチウム二次電池は、円筒状または角形のケース、及び電解質とともにケースに収容される電極組立体を含む。ここで、電極組立体は、正極、分離膜(separator)及び負極が積層されたものであって、ゼリーロール(Jelly-Roll)形態の巻取り構造または積層構造を有する。
【0005】
また、近来は、形態の変形が自由で多様な分野に適用可能なワイヤ型などのフレキシブル二次電池が提案されている。フレキシブル二次電池は、直径に対して長さの比が非常に大きい電池であって、通常、内部電極と、内部電極を囲んで形成されたセパレータと、セパレータを囲んで形成された外部電極と、を備える。
【0006】
高容量の電子製品の開発が盛んでおり、ワイヤ型のフレキシブル二次電池においても単位長さ当たりの電池容量を向上させる必要があり、このために、ワイヤ電池に使用する活物質を一定の厚さ又は一定のローディング量以上にコーティングする試みがあった。
【0007】
しかし、このような場合、活物質の厚さ増加による電極抵抗の抵抗及びこれによる電池性能、寿命、出力特性などの低下の問題があり、電池容量を向上させるのに限界があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、電池容量が改善されたフレキシブル二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を達成するため、下記具現例のフレキシブル二次電池が提供される。
【0010】
第1具現例によると、
リチウム金属コーティングされたワイヤと、
リチウム金属コーティングされたワイヤの外側を囲んで巻き取られ、所定の間隔で相互に離隔するように螺旋状に巻き取られ、外側に形成された第1多孔性コーティング層を含む正極ワイヤと、
リチウム金属コーティングされたワイヤの外側を囲んで巻き取られ、所定の間隔に対応して巻き取られた正極ワイヤと交互になるように螺旋状に巻き取られ、外側に形成された第2多孔性コーティング層を含む負極ワイヤと、を含むフレキシブル二次電池が提供される。
【0011】
第2具現例によると、
リチウム金属コーティングされたワイヤと、
リチウム金属コーティングされたワイヤの外側を螺旋状に囲んで巻き取られて形成されたワイヤ型の負極と、
ワイヤ型の負極の外側を螺旋状に囲んで巻き取られて形成された分離層と、
分離層の外側を螺旋状に囲んで巻き取られて形成されたワイヤ型の正極と、を含むフレキシブル二次電池が提供される。
【0012】
第3具現例によると、
リチウム金属コーティングされたワイヤと、
リチウム金属コーティングされたワイヤの外側を螺旋状に囲んで巻き取られて形成されたワイヤ型の負極と、
ワイヤ型の負極の外側を螺旋状に囲んで巻き取られて形成された分離層と、
分離層の外側を螺旋状に囲んで巻き取られて形成されたシート型の正極と、を含むフレキシブル二次電池が提供される。
【0013】
第4具現例によると、第1から第3具現例のいずれか一具現例において、
リチウム金属コーティングされたワイヤが、リチウム金属コーティングされた銅ワイヤ、またはリチウム金属コーティングされたニッケルワイヤであり得る。
【0014】
第5具現例によると、第1から第4具現例のいずれか一具現例において、
負極と当接したリチウム金属コーティングされたワイヤのリチウムイオンが、正極方向へ拡散(Liquid diffusion)し得る。
【0015】
第6具現例によると、第1具現例において、
正極ワイヤ及び負極ワイヤの巻取面が、互いに同じ円周面に配置され得る。
【0016】
第7具現例によると、第1から第6具現例のいずれか一具現例において、
第1多孔性コーティング層及び第2多孔性コーティング層が、互いに独立した電解質層またはセパレータであり得る。
【0017】
第8具現例によると、第3具現例において、
シート型の正極は、互いに重ならないように螺旋状に巻回されて形成されるか、または互いに重なるように螺旋状に巻回されて形成され得る。
【0018】
第9具現例によると、第1から第8具現例のいずれか一具現例において、
フレキシブル二次電池の外側が、保護被覆でコーティングされ得る。
【0019】
第10具現例によると、第1から第9具現例のいずれか一具現例において、
フレキシブル二次電池は、リチウム二次電池であり得る。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一具現例によると、フレキシブル二次電池の内部にリチウム金属がコーティングされたワイヤを適用して、負極と当接させ、電解液を注液した後、Liイオンがワイヤ電池の負極へ挿入されてリチオ化(lithiation)することによって、負極の非可逆容量を補償することで電池の容量を増大させることができる。
【0021】
また、フレキシブル電池の特性上、柔軟性の確保のために高容量の負極素材であるSiOなどで負極を薄膜化する場合にも、電池の容量が低下する短所を防止することができる。
【0022】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施例によるフレキシブル二次電池を構成する正極ワイヤ及び負極ワイヤを概略的に示した図である。
【
図2】本発明の一実施例によるフレキシブル二次電池の主要構成を概略的に示した図である。
【
図3】本発明の一実施例によるフレキシブル二次電池の主要構成を概略的に示した図である。
【
図4】本発明の一実施例によるフレキシブル二次電池が曲げられた形状を概略的に示した図である。
【
図5】本発明の一実施例によるフレキシブル二次電池の主要構成を概略的に示した図である。
【
図6】本発明の一実施例によるフレキシブル二次電池の主要構成を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0025】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0026】
本発明の一面によると、
リチウム金属コーティングされたワイヤと、
リチウム金属コーティングされたワイヤの外側を囲んで巻き取られ、所定の間隔で相互に離隔するように螺旋状に巻き取られ、外側に形成された第1多孔性コーティング層を含む正極ワイヤと、
リチウム金属コーティングされたワイヤの外側を囲んで巻き取られ、所定の間隔に対応しながら巻き取られた正極ワイヤと交互するように螺旋状に巻き取られ、外側に形成された第2多孔性コーティング層を含む負極ワイヤと、を含むフレキシブル二次電池が提供される。
【0027】
本願明細書において、「螺旋状」とは、英文ではスパイラル(spiral)またはヘリックス(helix)で表され、一定の範囲が捻じられた模様であって、通常のスプリングに類似な形状を指す。
【0028】
図1~
図3を参照すると、本発明の一具現例によるフレキシブル二次電池100は、リチウム金属コーティングされたワイヤ110と、リチウム金属コーティングされたワイヤ110の外側を囲んで巻き取られ、所定の間隔が互いに離隔するように螺旋状に巻き取られ、外側に形成された第1多孔性コーティング層123を含む正極ワイヤ120と、リチウム金属コーティングされたワイヤ110の外側を囲んで巻き取られ、所定の間隔に対応しながら巻き取られた正極ワイヤ120と交互するように螺旋状に巻き取られ、外側に形成された第2多孔性コーティング層133を含む負極ワイヤ130と、を含む。
【0029】
即ち、正極ワイヤ120及び負極ワイヤ130は、仮想の同一の円筒上または多角筒上において相互交互して形成されることで、内部電極及び外部電極という概念から脱した新たな形態の電極配置構造を有することを特徴とする。これによって、従来に発生していた電極巻取面における離隔現象の発生可能性を根本的に遮断し、フレキシブル二次電池の曲げに対する耐久性を確保することができる。
【0030】
そして、正極ワイヤ120及び負極ワイヤ130の巻き取られる面(巻回面)が相互同一の円周面上に配置されているため、電池が曲げられるとき、同一の曲げ半径内で動くので、垂直方向の刺激が一切発生しない。また、本発明のフレキシブル二次電池100は、正極ワイヤ120と負極ワイヤ130とが相互接触した状態で配列されることで、可撓性(flexiblity)が大幅改善して電池に反復的な曲げが行われても、第1多孔性コーティング層と第2多孔性コーティング層との摩擦による多孔性コーティング層の損傷の問題がなく、前述した従来の電池構造で発生する電極間の短絡現象などが防止される。
【0031】
ここで、正極ワイヤ120は、正極活物質122がコーティングされた導体ワイヤ121であって、リチウム金属コーティングされたワイヤ110の外側に螺旋状に巻き取られながらフレキシブル二次電池100の長手方向に延びて形成される。集電体の役割を果たす導体ワイヤには、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、銅、銀などの素材を用いることができ、このような導体ワイヤ121の表面にコーティングされる正極活物質122には、通常のリチウム二次電池用の正極活物質が採用され得る。
【0032】
そして、負極ワイヤ130は、負極活物質132がコーティングされた導体ワイヤ131であって、リチウム金属コーティングされたワイヤ110の外側に螺旋状に巻き取られながらフレキシブル二次電池100の長手方向に延びて形成され、かつ正極ワイヤ120と交互しながら形成される。集電体の役割を果たす導体ワイヤ131には、前述の正極ワイヤ120において用いられた素材を用いることができ、このような導体ワイヤ131の表面にコーティングされる負極活物質132には、通常のリチウム二次電池用の負極活物質を採用することができる。
【0033】
一方、リチウム金属コーティングされたワイヤ110は、フレキシブル二次電池100の線形状を維持させ、外力による電池構造の変形を防止することができ、電極構造の崩壊または変形を防止して、フレキシブル二次電池100の可撓性を確保することができる。
【0034】
本発明の一具現例によると、リチウム金属コーティングされたワイヤがリチウム金属コーティングされた銅ワイヤ、またはリチウム金属コーティングされたニッケルワイヤであり得る。
【0035】
そして、第1多孔性コーティング層123及び第2多孔性コーティング層133は、正極ワイヤ120と負極ワイヤ130との直接的な接触を遮断する役割を果たするものであって、別の追加的なセパレータが不要である。
【0036】
図3を参照すれば、本発明の一実施例によれば、フレキシブル二次電池100は、保護被覆140を備え、保護被覆140は、絶縁体であって空気中の水分及び外部衝撃に対して電極を保護するためにフレキシブル二次電池100の最外側を囲んで形成される。
【0037】
保護被覆140としては、水分遮断層を含む通常の高分子樹脂を用いることができる。この際、水分遮断層には、水分遮断性能に優れたアルミニウムや液晶高分子などを用い得、高分子樹脂には、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PVC(ポリビニルクロライド)、HDPE(高密度ポリエチレン)またはエポキシ樹脂などを用い得る。
【0038】
一方、第1多孔性コーティング層123及び第2多孔性コーティング層133は、相互独立して、電解質層またはセパレータであり得る。
【0039】
このようなイオンの通路になる電解質層には、PEO、PVdF、PVdF-HFP、PMMA、PANまたはPVAcを用いたゲル状高分子電解質;またはPEO、ポリプロピレンオキシド(polypropylene oxide,PPO)、ポリエチレンイミン(polyethylene imine,PEI)、ポリエチレンスルフィド(polyethylene sulphide,PES)またはポリビニルアセテート(polyvinyl acetate,PVAc)を用いた固体電解質;などを用い得る。固体電解質のマトリクス(matrix)は、高分子またはセラミックガラスを基本骨格とすることが望ましい。一般的な高分子電解質の場合は、イオン伝導度が満たされても、反応速度面でイオンが非常に遅く移動し得るため、固体の場合よりもイオンの移動が容易なゲル状の高分子電解質を用いることが望ましい。ゲル状の高分子電解質は、機械的特性が優秀でないため、これを補うために支持体を含み得、このような支持体としては、気孔構造の支持体または架橋高分子を用い得る。本発明の電解質層は、分離膜の役割が可能であるため、別の分離膜を用いなくてもよい。
【0040】
本発明の一実施例によれば、電解質層は、リチウム塩をさらに含み得る。リチウム塩は、イオン伝導度及び反応速度を向上させることができ、これらの非制限的な例には、LiCl、LiBr、LiI、LiClO4、LiBF4、LiB10Cl10、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、CH3SO3Li、CF3SO3Li、(CF3SO2)2NLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム及びテトラフェニルホウ酸リチウムなどを用い得る。
【0041】
セパレータとしては、その種類を限定することではないが、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-ヘキセン共重合体、またはエチレン-メタクリレート共重合体より選択された一種以上のポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子基材;ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、またはポリウレタンより選択された一種以上の高分子で製造した多孔性高分子基材;無機物粒子及びバインダー高分子の混合物から形成された多孔性基材;または多孔性高分子基材の少なくとも一面に無機物粒子及びバインダー高分子の混合物から形成された多孔性コーティング層を備えたセパレータ;液状のポリオレフィンに発泡剤を混ぜて電極ワイヤにコーティングした後、発泡現象によって発泡したセパレータなどを用いることができる。
【0042】
この際、無機物粒子及びバインダー高分子の混合物から形成された多孔性コーティング層においては、無機物粒子は充填されて相互接触した状態でバインダー高分子によって相互結着し、これにより無機物粒子の間にインタースティシャルボリューム(Interstitial Volume)が形成され、無機物粒子間のインタースティシャルボリュームは空き空間となり、気孔を形成する。
【0043】
即ち、バインダー高分子は、無機物粒子が相互結着した状態を維持するようにこれらを相互付着、例えば、バインダー高分子が無機物粒子同士を連結及び固定している。また、多孔性コーティング層の気孔は、無機物粒子間のインタースティシャルボリュームが空き空間になることで形成された気孔であり、これは無機物粒子による充填構造(closed packed or densely packed)において実質的に接触する無機物粒子によって限定される空間である。このような多孔性複合膜の気孔を介して、電池を作動させるのに必須なリチウムイオンが移動する経路を提供することができる。
【0044】
一方、フレキシブル二次電池100はいかなる二次電池であってもよいが、
図4に示したように、自由に曲げられるフレキシブルなケーブル型リチウム二次電池であることが望ましい。
【0045】
本発明の一面によると、
リチウム金属コーティングされたワイヤと、
リチウム金属コーティングされたワイヤの外側を螺旋状に囲んで巻き取られて形成されたワイヤ型の負極と、
ワイヤ型の負極の外側を螺旋状に囲んで巻き取られて形成された分離層と、
分離層の外側を螺旋状に囲んで巻き取られて形成されたワイヤ型の正極と、を含むフレキシブル二次電池が提供される。
【0046】
図5を参照すると、本発明の一具現例によるフレキシブル二次電池200は、リチウム金属コーティングされたワイヤ210と、リチウム金属コーティングされたワイヤ210の外側を螺旋状に囲んで巻き取られて形成されており、ワイヤ型の負極集電体220及びワイヤ型の負極集電体220の表面に形成された負極活物質層(図示せず)を備えるワイヤ型の負極230と、ワイヤ型の負極230の外側を螺旋状に囲んで巻き取られて形成された電極の短絡を防止する分離層240と、分離層240の外側を螺旋状に囲んで巻き取られて形成されたワイヤ型の正極250と、を含む。
【0047】
本発明の一具現例によると、ワイヤ型の正極250の外側に保護被覆260がさらに備えられ得る。
【0048】
本発明の一具現例によると、リチウム金属コーティングされたワイヤがリチウム金属コーティングされた銅ワイヤ、またはリチウム金属コーティングされたニッケルワイヤであり得る。
【0049】
本発明の一面によると、
リチウム金属コーティングされたワイヤと、
リチウム金属コーティングされたワイヤの外側を螺旋状に囲んで巻き取られて形成されたワイヤ型の負極と、
ワイヤ型の負極の外側を螺旋状に囲んで巻き取られて形成された分離層と、
分離層の外側を螺旋状に囲んで巻き取られて形成されたシート型の正極と、を含むフレキシブル二次電池が提供される。
【0050】
図6を参照すると、本発明の一具現例による長手方向へ延びたフレキシブル二次電池300は、リチウム金属コーティングされたワイヤ310と、リチウム金属コーティングされたワイヤ310の外側を螺旋状に囲んで巻き取られて形成されており、ワイヤ型の負極集電体320及びワイヤ型の負極集電体320の表面に形成された負極活物質層(図示せず)を備えるワイヤ型の負極330と、ワイヤ型の負極330の外側を螺旋状に囲んで巻き取られて形成された電極の短絡を防止する分離層340と、分離層340の外側を螺旋状に囲んで巻き取られて形成されたシート型の正極350と、正極350の外側を囲んで形成された保護被覆360と、を備える。
【0051】
本発明の一具現例によると、リチウム金属コーティングされたワイヤがリチウム金属コーティングされた銅ワイヤ、またはリチウム金属コーティングされたニッケルワイヤであり得る。
【0052】
分離層は、電解質層またはセパレータであり得る。この際、分離層の電解質層またはセパレータは、前述した第1多孔性コーティング層及び第2多孔性コーティング層に適用される電解質層またはセパレータから適切に選択して適用し得る。
【0053】
本発明の一具現例によると、シート型の正極350は、正極集電体、正極集電体の一面に形成された正極活物質層を備え得る。または、シート型の正極350は、正極集電体と、正極集電体の一面に形成された正極活物質層と、正極活物質層の上面に形成され、導電材とバインダーを含む導電層と、をさらに備え得る。または、導電層の上面に形成された多孔性の第1支持層をさらに備え、正極集電体の他面に形成された第2支持層をさらに備え得る。
【0054】
ここで、第1支持層は、メッシュ型の多孔性膜または不織布であり得る。このように、多孔性の構造を有することで、正極活物質層への電解液の流入を円滑にし、また、第1支持層自体としても電解液の含浸性に優れていることから、イオン伝導性が確保され、電池の内部抵抗の増加を防止することで電池性能の低下を防止する。
【0055】
そして、第1支持層は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレンポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate)、ポリブチレンテレフタレート(polybutyleneterephthalate)、ポリエステル(polyester)、ポリアセタール(polyacetal)、ポリアミド(polyamide)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(polyetheretherketone)、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone)、ポリフェニレンオキサイド(polyphenyleneoxide)、ポリフェニレンスルファイド(polyphenylenesulfide)及びポリエチレンナフタレート(polyethylenenaphthalate)からなる群より選択されるいずれか一種またはこれらの二種以上の混合物で形成できる。
【0056】
一方、第1支持層の上に、導電材及びバインダーを備える導電層をさらに含むことができる。導電層は、正極活物質層の伝導性を向上させて電極の抵抗を減少させることで電池性能の低下を防止する。
【0057】
この際、導電層は、導電材とバインダーとが80:20~99:1の重量比で混合されたものであり得る。バインダーの含量が増加すれば、電極の抵抗が過度に増加し得るが、前述の数値範囲の含量を満たすと、電極の抵抗が過度に増加することを防止する。ひいては、前述のように第1支持層が電極活物質層の脱離を防止する緩衝作用をするため、比較的少量のバインダーが含まれても、電極の柔軟性確保には大きく影響を与えない。
【0058】
この際、導電材は、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素ナノチューブ及びグラフェンからなる群より選択されるいずれか一種またはこれらの二種以上の混合物を含み得るが、これらに限定されない。
【0059】
そして、バインダーは、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidene fluoride,PVdF)、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン(polyvinylidene fluoride-co-hexafluoro propylene,PVdF-HFP)、ポリビニリデンフルオライド-トリクロロエチレン(polyvinylidene fluoride-co-trichloroethylene)、ポリブチルアクリレート(polybutyl acrylate)、ポリメチルメタクリレート (polymethyl methacrylate)、ポリアクリロニトリル (polyacrylonitrile)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアセテート(polyvinylacetate)、エチレンビニルアセテート共重合体(polyethylene-co-vinyl acetate)、ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide)、ポリアリレート(polyarylate)、セルロースアセテート(cellulose acetate)、セルロースアセテートブチレート(cellulose acetate butyrate)、セルロースアセテートプロピオネート(cellulose acetate propionate)、シアノエチルプルラン(cyanoethylpullulan)、シアノエチルポリビニルアルコール(cyanoethylpolyvinylalcohol)、シアノエチルセルロース(cyanoethylcellulose)、シアノエチルスクロース(cyanoethylsucrose)、プルラン(pullulan)、カルボキシルメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose)、スチレンブタジエンゴム(styrene-butadiene rubber)、アクリロニトリルスチレンブタジエン共重合体(acrylonitrile-styrene-butadiene copolymer)及びポリイミド(polyimide)からなる群より選択されるいずれか一種またはこれらの二種以上の混合物であり得るが、これらに限定されることではない。
【0060】
正極集電体の他面に、第2支持層をさらに含み得る。ここで、第2支持層は、集電体の断線を抑制し、集電体の柔軟性をさらに向上させることができる。
【0061】
この際、第2支持層は高分子フィルムであり得、この際、高分子フィルムは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド及びポリアミドからなる群より選択されるいずれか一種またはこれらの二種以上の混合物で形成できる。
【0062】
シート型の正極は、一方向へ延びたストリップ(帯)構造であり得る。
【0063】
そして、シート型の正極は、互いに重ならないように螺旋状に巻回されて形成され得る。この際、シート型の正極は、電池の性能が低下しないようにシート型の正極幅の二倍以内の間隔で互いに離隔して重ならないように螺旋状に巻回されて形成され得る。
【0064】
また、シート型の正極は、互いに重なるように螺旋状に巻回されて形成され得る。この際、シート型の正極は、電池の内部抵抗の過度な上昇を抑制するために、互いに重なる部分の幅がシート型の正極幅の0.9倍以内になるように螺旋状に巻回されて形成され得る。
【0065】
保護被覆は、金属箔層と、金属箔層の一面に形成された第1高分子樹脂層と、金属箔層の他面に形成された機械的支持層と、を含み得る。
【0066】
また、本発明の一具現例によると、シート型の正極350の第2支持層と、保護被覆360の第1高分子樹脂層とが相互に同じ材質から形成され、相互に付着され得る。
【0067】
本発明の一具現例によるフレキシブル二次電池の製造方法は、
図6を参照して説明する。
【0068】
先ず、負極活物質層(図示せず)が表面に形成されたワイヤ型の負極集電体320を螺旋状に巻き取って中空が形成されたワイヤ型の負極330を準備する。
【0069】
ワイヤ型の負極集電体320の表面に負極活物質層を形成する方法としては、通常のコーティング方法が適用でき、具体的には、電気メッキ(electroplating)または正極酸化処理(anodic oxidation process)方法が使用し得るが、活物質を含む電極スラリーをコンマコーター機(comma coater)またはスロットダイコーター機(slot die coater)を用いてコーティングする方法を用いて製造することが望ましい。また、活物質を含む電極スラリーの場合、ディップコーティング(dip coating)または押出機を用いて押出コーティングする方法を用いて製造することも可能である。
【0070】
続いて、電極の短絡を防止する分離層340のシートをワイヤ型の負極の外側を螺旋状に囲んで巻き取って形成する。
【0071】
続いて、シート型の正極350を形成する。
【0072】
より具体的には、(S1)シート型の正極集電体の一面に、正極活物質スラリーを塗布して乾燥し、正極活物質層を形成する段階によってシート型の正極を形成し得る。
【0073】
または、本発明の一具現例によると、(S1)シート型の正極集電体の一面に、第2支持層を圧着して形成する段階と、(S2)(選択的に)正極集電体の他面に正極スラリー塗布して乾燥して正極活物質層を形成する段階と、(S3)(選択的に)正極活物質層の上面に導電材とバインダーを含む導電材スラリーを塗布し、導電材スラリーの上面に多孔性の第1支持層を形成する段階と、(S4)(S3)段階の結果物を圧着し、正極活物質層と第1支持層との間に接着して一体化した導電層を形成する段階と、を行うことでシート型の正極を製造し得る。
【0074】
続いて、シート型の正極350を分離層340の外側を螺旋状に囲んで巻き取って電極組立体を形成する。
【0075】
続いて、電極組立体の外側を囲むように保護被覆360を形成する。
【0076】
本発明の一具現例によると、保護被覆360は、金属箔層、金属箔層の一面に形成された第1高分子樹脂層と、金属箔層の他面に形成された機械的支持層を含み、この際、保護被覆360を電極組立体の外側にスキン-タイトに(skin-tight)形成した後、保護被覆360の表面に熱と圧力を加えることで第2支持層と第1高分子樹脂層を付着して固定し得る。
【0077】
続いて、準備された保護被覆が形成された電極組立体に電解質を注入し、電解液注入部を完全に密封してフレキシブル二次電池を製造する。
【0078】
本発明のフレキシブル二次電池は、従来の既存のワイヤ型二次電池の中空部分にリチウム金属がコーティングされた金属ワイヤが含まれており、リチウム金属がコーティングされた金属ワイヤは、内部負極と導線で接続されていない形態であり、別の隔離膜なく内部負極と当接している形態で存在し得る。
【0079】
このようなリチウム金属がコーティングされた金属ワイヤがフレキシブル二次電池の中空部分に位置することで、電解液と接しながらリチウム金属がコーティングされた金属ワイヤがリチウムイオンを放出して内部負極をプレリチオ化(prelithiation)することで、内部負極の非可逆を補償できる。
【0080】
具体的には、本発明の一具現例によるフレキシブル二次電池の組立完了後の電解液の注液時、金属ワイヤにコーティングされたリチウム金属が電解液と接した後に短絡され、リチウム金属がリチウムイオンと電子に解離され、解離されたリチウムイオンが負極へ移動して充電される構造でプレリチオ化が行われ得る。
【0081】
特に、フレキシブル電池の特性上、柔軟性の確保のために高容量の負極素材であるSiOなどのケイ素系負極活物質を使用する場合、負極の非可逆形象はさらに問題になり得るが、本発明においては、リチウム金属がコーティングされた金属ワイヤを用いて前述したプレリチオ化を行うため、このような問題を防止することができる。
【0082】
また、本発明の一具現例によるフレキシブル二次電池は、負極または正極のうち少なくとも一つ以上がワイヤ型であり、螺旋状に巻き取られており、内部のリチウムイオンが外部へ移動可能な開放構造を有している。
【0083】
したがって、リチウム金属がコーティングされた金属ワイヤから内部負極に挿入されたプレリチオ化したリチウムイオンは、開放構造を用いて外側の正極へ液相で拡散して移動できる。
【0084】
なお、本明細書と図面に開示された本発明の実施例は、理解を助けるために特定例を提示したことに過ぎず、本発明の範囲を限定することではない。ここに開示された実試例の外にも本発明の技術的思想に基づいた他の変形例が実施可能であることは、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者にとって自明である。
【0085】
[実施例1]
直径250μmの銅ワイヤに、人造黒鉛とSiOの活物質(人造黒鉛とSiOの重量比=85:15)と、カーボンブラックと、ポリビニルリデンフルオライド(バインダー)とを、94:2:4(重量比)の組成でN-メチルピロリドン(NMP)溶媒と共にミキシングして製造されたスラリーを、4.4mAh/cm2のローディング放電容量(銅ワイヤを含めた厚さ400μm)を有するように押出式コーターでコーティングした。
【0086】
その後、PVdF-HFP(HFPが全体の5重量%)を16.8%の濃度にアセトンに溶解したバインダー溶液を、10μmの厚さを有するようにコーティングし、410μmの厚さを有するワイヤ型の負極を製造した。
【0087】
この際、人造黒鉛の真密度は2.25g/ccであり、SiOの真密度は2.260であった。
【0088】
負極充電容量は629.78mAh/gであり、放電容量は511.98mAh/gであり、初期効率は81.29%であった。この際、負極の充電容量、放電容量及び初期効率は、コイン型ハフセルを製造して評価した。コイン型ハフセルの製造方法は次のようである。
【0089】
製造された負極を1.4875cm2の面積に打ち抜けて準備し、相対電極としてLi金属を使用し、負極とLi金属との間にポリオレフィンセパレータを介在して電極組立体を製造した。エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを3:7の体積比で混合した非水電解液溶媒に、LiPF6を1Mの濃度で添加して非水電解液を製造した後、これを電極組立体に注入してコイン型ハフ二次電池を製造した。
【0090】
また、充電容量、放電容量及び初期効率の測定時、充電条件はCC/CVモードで4.2V、0.2C(2.15mA)(0.05C電流カットオフ)であり、放電条件はCCモードで2.5V、0.2C(2.15mA)(電圧カットオフ)であった。
【0091】
正極活物質であるLiNi0.8Mn0.1Co0.1O2(NMC811)と、カーボンブラックと、ポリビニルリデンフルオライド(バインダー)とを、96:2:2の組成(重量比)でN-メチルピロリドン(NMP)溶媒と共に混合したスラリーを、アルミニウムホイル(20μm)にPET(12μm)がラミネーションされたホイルにおいてPETが接合されていない面に塗布して、4.0mAh/cm2のローディング放電容量を有するシート型の正極を製造した。
【0092】
この際、LiNi0.8Mn0.1Co0.1O2(NMC811)の真密度は4.74g/ccであった。
【0093】
正極の充電容量は227.6mAh/gであり、放電容量は208.6mAh/gであり、初期効率は92.2%であった。
【0094】
この際、正極の充電容量、放電容量及び初期効率は、コイン型ハフセルを製造して評価した。コイン型ハフセルの製造方法は、次のようである。
【0095】
製造された正極を1.4875cm2の面積に打ち抜けて準備し、相対電極としてLi金属を使用し、正極とLi金属との間にポリオレフィンセパレータを介在して電極組立体を製造した。エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを3:7の体積比で混合した非水電解液の溶媒に、LiPF6を1M濃度で添加して非水電解液を製造した後、これを電極組立体に注入してコイン型ハフセルを製造した。
【0096】
また、充電容量、放電容量及び初期効率の測定時、充電条件はCC/CVモードで4.2V、0.2C(2.15mA)(0.05C電流カットオフ)であり、放電条件はCCモードで2.5V、0.2C(2.15mA)(電圧カットオフ)であった。
【0097】
正極の総充電容量は13.47mAhであり、総放電容量は12.52mAhであった。ここで、非可逆容量は0.94mAhであった。
(正極は4mAh/cm2のローディング放電容量を有するようにコーティングし、正極の総巻取面積は12.52mAh/4mAh/cm2=3.13cm2である。)
【0098】
また、負極の総充電容量は13.88mAhであり、総放電容量は11.28mAhであり、この際、非可逆容量は2.68mAhであった。
(負極は4.4mAh/cm2のローディング放電容量を有するようにコーティングし、負極螺旋の総面積は2.583cm2であるので、負極の総放電容量は4.4mAh/cm2×2.563cm2=11.28mAhであり、充電容量は11.28mAh/(0.8129(初期効率))=13.68mAhになる。)
【0099】
この際、負極の非可逆容量のうち2.4mAhだけのLi金属を銅ワイヤにコーティングし、Li金属がコーティングされたワイヤを準備した。
(容量2.4mAhのLi金属の重量=2.4mAh/(3860mAh/g)=0.62mg)
【0100】
Li金属0.62mgを直径0.5mmの円形断面に長さ10cmの銅ワイヤの表面にコーティングする場合、Li金属のコーティング厚さtは下記式によって計算可能である。
(0.62×10-3g)/(3.14×0.05cm×10cm×t)=リチウム密度(0.534g/cm3)、t=7.395μm)
【0101】
準備したリチウム金属コーティングされた銅ワイヤの外側を囲むように準備したワイヤ型の負極を螺旋状に巻き取った。
【0102】
その後、螺旋状に巻き取られたワイヤ型の負極の外側に、分離層シートとしてポリエチレン多孔性高分子フィルムを半分ずつ重なるように巻回した。
【0103】
分離層シートの外側に、先述のように準備したシート型の正極を半分ずつ重なるように巻回して電極組立体を形成した。電極組立体の端部5mm付近の活物質を除去し、アルミニウムタブを接続した。総10cmの長さで1.25mAh/cmの単位長さの容量を有する電池構造体を製造した。
【0104】
続いて、高分子電解質コーティング層の外側を囲むように保護被覆を形成した。保護被覆は絶縁体であり、空気中の水分及び外部衝撃から電極を保護するために最外側に形成する。保護被覆としては、アルミニウム層を水分遮断層として含むPET高分子樹脂を使用した。保護被覆の厚さは64μmであった。
【0105】
続いて、電解液注入段階として、1M LiPF6の濃度でEC:PC:DEC(w/w%)=2:1:7の電解液が満たされた電解液バスに保護被覆が形成された電極組立体を浸漬して電解液を注入した。続いて、完全に密封してフレキシブル二次電池を製造した。このように得られたフレキシブル二次電池の長さは10cmであり、直径は約1.84mmであった。
【0106】
製造されたフレキシブル二次電池の初期放電容量は12.52mAhであった。
【0107】
この際、初期放電容量は、CC/CVモードで4.2V、0.2C(2.15mA)(0.05C電流カットオフ)条件で充電し、CCモードで2.5V、0.2C(2.15mA)(電圧カットオフ)条件で放電して測定した。
【0108】
[比較例1]
リチウム金属がコーティングされた銅ワイヤを使用しないことを除いては実施例1と同じ方法でフレキシブル二次電池を製造した。
【0109】
製造されたフレキシブル二次電池の初期放電容量は10.78mAhであった。
【0110】
この際、初期放電容量は、CC/CVモードで4.2V、0.2C(2.15mA)(0.05C電流カットオフ)条件で充電し、CCモードで2.5V、0.2C(2.15mA)(電圧カットオフ)条件で放電して測定した。
【0111】
実施例1と比較例1のフレキシブル二次電池の初期放電容量を評価した結果、リチウム金属がコーティングされたワイヤを適用した実施例1のフレキシブル二次電池が、リチウム金属がコーティングされたワイヤから遊離するLiイオンが負極に挿入されて負極をリチウム化することで、負極の非可逆容量を補償して電池の容量が大幅増大したことを確認することができた。
【0112】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者であれば、本発明の本質的特性から逸脱しない範囲内で多様な修正及び変形が可能であろう。したがって、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであって、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されることではない。本発明の保護範囲は、以下の請求範囲により解釈されるべきであり、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれるものに解釈せねばならない。
【符号の説明】
【0113】
100 フレキシブル二次電池
110 ワイヤ
120 正極ワイヤ
121 導体ワイヤ
122 正極活物質
123 第1多孔性コーティング層
130 負極ワイヤ
131 導体ワイヤ
132 負極活物質
133 第2多孔性コーティング層
140 保護被覆
200 フレキシブル二次電池
210 ワイヤ
220 負極集電体
230 負極
240 分離層
250 正極
260 保護被覆
300 フレキシブル二次電池
310 ワイヤ
320 負極集電体
330 負極
340 分離層
350 正極
360 保護被覆