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特許7405979在庫管理システム、在庫管理装置及び保管容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】在庫管理システム、在庫管理装置及び保管容器
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/087 20230101AFI20231219BHJP
【FI】
G06Q10/087
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022531160
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(86)【国際出願番号】 JP2020023713
(87)【国際公開番号】W WO2021255847
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 正二
(72)【発明者】
【氏名】丸山 幸伸
(72)【発明者】
【氏名】梅澤 功一
【審査官】池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-264918(JP,A)
【文献】国際公開第2018/16068(WO,A1)
【文献】特開2003-97884(JP,A)
【文献】特表2008-508164(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0258961(US,A1)
【文献】“スペシャルレポート 「実践段階に入ったRFID-活用最前線」”,mobileRF magazine,日本,株式会社シーメディア,2004年07月05日,第12巻, 第4号, 通巻第93号,pp.36~47
【文献】寺浦信之,“RFタグ入門 第8回 バーコードとの共存”,食品包装,株式会社日報アイ・ビー,2006年08月01日,第50巻, 第8号,pp.30~34
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に付された前記物品に関する第1の情報を読み取る電波リーダと、
前記物品に付された前記物品に関する第2の情報を読み取る光学リーダと、
前記読み取った第1の情報に関する物品及び前記読み取った第2の情報に関する物品を、前記物品が保管されている空間に関連付けて表示する指示を出す在庫管理装置と、
を備え
前記第2の情報は、
自身が前記光学リーダによって読み取り可能であるとともに自身が前記電波リーダによって読み取り不可能であることを示す読取可否情報を含むこと、
特徴とする在庫管理システム。
【請求項2】
前記第1の情報は、
自身が前記電波リーダ及び光学リーダの両者によって読み取り可能であること、又は、自身が前記電波リーダによって読み取り可能であるとともに自身が前記光学リーダによって読み取り不可能であることを示す読取可否情報を含み、
前記物品は、
前記第1の情報及び前記第2の情報のうちの少なくとも1つを付されていること、
を特徴とする請求項に記載の在庫管理システム。
【請求項3】
前記第1の情報のうち読取可否情報以外の部分は、
前記第2の情報のうち読取可否情報以外の部分と同じであること、
を特徴とする請求項に記載の在庫管理システム。
【請求項4】
前記在庫管理装置は、
第1の時点において、前記電波リーダが読み取った情報に基づいて前記空間に保管された前記物品を特定する在庫リストを作成し、
前記第1の時点後の第2の時点において、前記電波リーダが読み取った情報に基づいて前記空間に保管された前記物品を確認する確認リストを作成し
前記在庫リストと前記確認リストとの差分を抽出し、
前記差分に基づいて、前記在庫リストを修正すること、
を特徴とする請求項に記載の在庫管理システム。
【請求項5】
前記在庫管理装置は、
第1の時点において、前記電波リーダ及び/又は前記光学リーダが読み取った情報に基づいて前記空間に保管されている前記物品を特定する在庫リストを作成し、
前記第1の時点後の第2の時点において、前記光学リーダが読み取った情報に基づいて前記空間に入れられた前記物品を確認する確認リストを作成し、
前記確認リストに存在し前記在庫リストに存在しない物品を前記在庫リストに追加することによって前記在庫リストを修正すること、
を特徴とする請求項に記載の在庫管理システム。
【請求項6】
前記在庫管理装置は、
第1の時点において、前記電波リーダ及び/又は前記光学リーダが読み取った情報に基づいて前記空間に保管されている前記物品を特定する在庫リストを作成し、
前記第1の時点後の第2の時点において、前記光学リーダが読み取った情報に基づいて前記空間から出された前記物品を確認する確認リストを作成し、
前記在庫リストに存在し前記確認リストに存在しない物品を前記在庫リストから削除することによって前記在庫リストを修正すること、
を特徴とする請求項に記載の在庫管理システム。
【請求項7】
前記在庫管理装置は、
第1の時点において、前記電波リーダ及び/又は前記光学リーダが読み取った情報に基づいて前記空間に保管されている前記物品を特定する在庫リストを作成し、
前記第1の時点後の第2の時点において、前記光学リーダが読み取った情報に基づいて前記空間から出されていない前記物品を確認する確認リストを作成し、
前記在庫リストに存在し前記確認リストに存在しない物品を前記在庫リストから削除することを避けることによって前記在庫リストを維持すること、
を特徴とする請求項に記載の在庫管理システム。
【請求項8】
前記在庫管理装置は、
第1の時点において、前記電波リーダ及び/又は前記光学リーダが読み取った情報に基づいて前記空間に保管されている前記物品を特定する在庫リストを作成し、
前記第1の時点後の第2の時点において、前記光学リーダが読み取った情報に基づいて前記空間以外の他の空間に保管されている前記物品を確認する確認リストを作成し、
前記在庫リストに存在し前記確認リストにも存在する物品を、前記空間から前記他の空間へ移動した物品として前記在庫リストから削除することによって前記在庫リストを修正すること、
を特徴とする請求項に記載の在庫管理システム。
【請求項9】
前記在庫管理装置は、
前記電波リーダ及び前記光学リーダの読み取り結果に基づき前記第2の情報のみが付されていることが判明した前記物品を、前記電波リーダを使用することができない排他処理の対象に決定すること、
を特徴とする請求項に記載の在庫管理システム。
【請求項10】
前記電波リーダは、
RFIDタグを読み取ることが可能であり、
前記光学リーダは、
QRコード、バーコード、並びに、前記QRコード及び前記バーコード以外の画像情報のうちの少なくとも1つを読み取ることが可能であること、
を特徴とする請求項に記載の在庫管理システム。
【請求項11】
物品に付された前記物品に関する第1の情報を読み取る電波リーダと、前記物品に付された前記物品に関する第2の情報を読み取る光学リーダとに通信可能に接続されており、
前記読み取った第1の情報に関する物品及び前記読み取った第2の情報に関する物品を、前記物品が保管されている空間に関連付けて表示する指示を出す在庫管理装置であって
前記第2の情報は、
自身が前記光学リーダによって読み取り可能であるとともに自身が前記電波リーダによって読み取り不可能であることを示す読取可否情報を含むこと、
を特徴とする在庫管理装置。
【請求項12】
物品に付された前記物品に関する第1の情報を読み取る電波リーダと、
前記物品に付された前記物品に関する第2の情報を読み取る光学リーダと、
前記読み取った第1の情報に関する物品及び前記読み取った第2の情報に関する物品を表示する指示を出す在庫管理装置と、
を備え
前記第2の情報は、
自身が前記光学リーダによって読み取り可能であるとともに自身が前記電波リーダによって読み取り不可能であることを示す読取可否情報を含むこと、
特徴とする保管容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在庫管理システム、在庫管理装置及び保管容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、容器で保管している物品を、容器の内部を視認することなく知る技術が普及している。特許文献1の在庫管理装置は、食品を保管する冷蔵庫と一体になっている。当該在庫管理装置は、例えばペットボトルに付加された使い回し可能な注ぎ口に付されたRFID(Radio Frequency IDentifier)タグを読み取る。
【0003】
特許文献2の自動読み取りシステムは、製品が通過するゲートにおいて、製品に付されたRFIDタグ及びバーコードを同時に読み取る。RFIDタグは、RFIDタグの識別情報を記録しており、バーコードは、製品情報を記憶している。当該自動読み取りシステムは、RFIDタグの識別情報を製品情報に関連付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-298554号公報
【文献】特表2008-508164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
RFIDタグは、現在普及しつつあるとはいえ、2次元バーコード(例えば、QR(Quick Response,登録商標)コード)、他のバーコード等を完全に駆逐してしまう迄には至っていない。コストの観点からも、今後当面の間、これらのタグ及びコードは、共存していくと予想されている。
【0006】
いま、ある空間における物品の在庫を検査することを考える。物品には、様々な様式のタグ又はコードが付されている。それらは、典型的にはRFIDタグ及びQRコードである。RFIDタグは、RFIDリーダによって読み取られ、QRコードは、QRリーダによって読み取られる。物品にQRコードが付されているとする。空間の入り口において、このQRコードは、QRリーダによって読み取られる。在庫を検査するとき、例えばRFIDリーダが電波を物品に対して照射しても、QRコードの情報を読み取ることはできない。すると、当該物品は、あたかも在庫として存在しないものと見做されてしまう。
【0007】
そこで、本発明は、電波リーダ及び光学リーダが共存する環境において、物品に付されたタグ又はコードを漏れなく読み取ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の在庫管理システムは、物品に付された物品に関する第1の情報を読み取る電波リーダと、物品に付された物品に関する第2の情報を読み取る光学リーダと、読み取った第1の情報に関する物品及び読み取った第2の情報に関する物品を、物品が保管されている空間に関連付けて表示する指示を出す在庫管理装置と、を備え、第2の情報は、自身が前記光学リーダによって読み取り可能であるとともに自身が電波リーダによって読み取り不可能であることを示す読取可否情報を含むこと、を特徴とする。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電波リーダ及び光学リーダが共存する環境において、物品に付されたタグ又はコードを漏れなく読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】食品の流れを説明する図である。
図2】タグ及びコードの種類を説明する図である。
図3】タグ及びコードの種類を説明する図である。
図4】タグ及びコードの種類を説明する図である。
図5】在庫管理装置の構成及び入出庫管理を説明する図である。
図6】在庫リストを説明する図である
図7】在庫管理装置の構成及び在庫管理を説明する図である。
図8】読取パタンを説明する図である。
図9】排他処理リストの一例である。
図10】排他処理対象決定処理手順のフローチャートである。
図11】在庫検査画面の一例である。
図12】在庫リストの修正を説明する図である。
図13】在庫リストの修正を説明する図である。
図14】在庫リスト修正処理手順(その1)のフローチャートである。
図15】在庫リスト修正処理手順(その2)のフローチャートである。
図16】在庫リスト修正処理手順(その3)のフローチャートである。
図17】在庫リスト表示画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以降、本発明を実施するための形態(“本実施形態”という)を、図等を参照しながら詳細に説明する。本実施形態は、家庭において、冷蔵庫等の空間に食品を保管する例である。しかしながら、本発明は、生産現場等、家庭以外の空間において、食品以外の物品を保管する例にも一般的に適用可能である。
【0012】
図1は、食品の流れを説明する図である。ヨーグルト45、ドレッシング46、ジャム47のような食品は、メーカ41から出庫されると、卸売業者42及び小売業者43を経て消費者44に渡る。消費者44は、保管容器として、冷蔵庫51、食品庫52及び食品棚53を有している。冷蔵庫51、食品庫52及び食品棚53の数量は、任意である。
【0013】
図1における丸囲みの“入”は、メーカ41、卸売業者42、小売業者43が管理する空間へ、又は、消費者44が有する冷蔵庫51等の空間へ、食品が入って行くことを示す。同様に、丸囲みの“出”は、メーカ41、卸売業者42、小売業者43が管理する空間から、又は、消費者44が有する冷蔵庫51等の空間から、食品が出て行くことを示す。
【0014】
家庭(消費者44)内において、ヨーグルト45は、まず冷蔵庫51に入庫され、食事直前に冷蔵庫51から出庫され食卓等に供される。ドレッシング46は、多くの場合、まず食品庫52に入庫され、食事直前に食品庫52から出庫され食卓等に供される。ドレッシング46は、季節によっては、冷蔵庫51に入庫され、食事直前に冷蔵庫51から出庫され食卓等に供されることもあり、食品庫52から食品棚53を経由して食卓等に供されることもある。ジャム47についても同様である。このように、食品は、家庭内に持ち込まれた後、食卓等に供される前の期間において、複数の容器(空間)を移動する。
【0015】
(入出庫管理及び在庫管理)
一般的に、食品等の物品は、ある空間に入る都度又はその空間から出る都度、リーダに読み取られる。入出庫管理を行う装置は、リーダの読み取り結果及び物品が移動する方向によって、その物品の“入庫”又は“出庫”を検知する。このような管理に加えて、物品は、ある空間におけるある時点において、一斉にリーダに読み取られる。在庫管理を行う装置は、リーダの読み取り結果によって、その物品の有無を検知する。
【0016】
(RFIDタグ及びQRコード)
図2図4は、タグ及びコードの種類を説明する図である。図2において、ヨーグルト45に、RFIDタグ61及びQRコード62が付されている。図3において、ドレッシング46に、RFIDタグ61のみが付されている。図4において、ジャム47に、QRコード62のみが付されている。このように、一般に流通している食品には、RFIDタグ61及びQRコード62のうちの一方のみが付されたものと、両方が付されたものとが混在している場合がある。
【0017】
(タグ及びコードの種類とリーダの種類)
本実施形態が想定するリーダは、電波リーダ及び光学リーダである。電波リーダは、読取対象のタグ(例えば金属チップ)に対して自身のアンテナから電波を照射する。タグは、その電波に反応して応答電波を電波リーダに発信する。応答電波は、EPC(詳細後記)を含む。電波リーダは、応答電波を受信しEPCを読み取る。
【0018】
光学リーダは、読取対象のコード(例えば印刷物)に対して自身の光源から光を照射する。光学リーダは、コードが反射する光を読み取る。一般的に、コードは、1次元の縞模様又は2次元の市松模様のパタンであり、これらのパタンに対して、EPCが埋め込まれている(所定のルールで暗号化されている)。光学リーダは、反射される光を検知することによりEPCを読み取る。光学リーダは、カメラであってもよい。そして、カメラが読み取る対象は、コード以外の図形であってもよい。この場合であっても、その図形はEPCを埋め込んでおり、カメラは、EPCを読み取ることができる。
【0019】
本実施形態では、“RFIDリーダ”は、電波リーダの一例であり、“QRリーダ”は、光学リーダの一例である。そして、電波リーダがRFIDタグを読み取り、QRリーダが“QRコード”を読み取るものとする。
【0020】
(RFIDタグ及びQRコードに記憶された情報)
本実施形態では、全ての食品に、EPC(Electronic Product Code)を記録したRFIDタグ61及び/又はQRコード62が付される。EPCは、例えば24桁の16進数(0~9又はA~F)で表記される。説明の単純化のために、以降では、RFIDタグ及びQRコードを広義の“タグ”と呼ぶ。
【0021】
(読取可否情報)
EPCの所定の桁は、“読取可否情報”である。図2図4において、所定の桁は、末尾の1桁である。図2及び図3において、読取可否情報は、その食品に付されたタグが、電波リーダ及び光学リーダの両方によって読み取り可能であること、又は、電波リーダのみによって読み取り可能である(光学リーダでは読み取ることができない)ことを示す。具体的には、ここでの読取可否情報は、数字0、1、2、・・・、9のうちのいずれかである。ここで、所定の桁は、末尾の1桁に限らず、任意の桁に読取可否情報が記録されればよい。
【0022】
図4において、読取可否情報は、その食品に付されたタグが、光学リーダのみによって読み取り可能である(電波リーダでは読み取ることができない)ことを示す。具体的には、ここでの読取可否情報は、文字A、B、・・・、Fのうちのいずれかである。
図2図4において、末尾の1桁以外の桁の型式は、全ての食品について共通である。さらに、図2のように、1つの食品(ヨーグルト45)に対してRFIDタグ61及びQRコード62が同時に付される場合、それらは、全く同じ内容のEPCの値を記録している。
【0023】
(在庫管理装置)
図5は、在庫管理装置の構成及び入出庫管理を説明する図である。在庫管理装置1は、一般的なコンピュータ(サーバ、パソコン、携帯端末装置等)である。在庫管理装置1は、中央制御装置11、マウス、キーボード、タッチパネル等の入力装置12、ディスプレイ等の出力装置13、主記憶装置14、補助記憶装置15及び通信装置16を備える。これらは、バスで相互に接続されている。補助記憶装置15は、在庫リスト31及び排他処理リスト32(いずれも詳細後記)を格納している。主記憶装置14における入出力処理部21及び在庫管理部22は、プログラムである。中央制御装置11は、これらのプログラムを補助記憶装置15から読み出し主記憶装置14にロードすることによって、それぞれのプログラムの機能(詳細後記)を実現する。補助記憶装置15が在庫管理装置1から独立した構成であってもよい。
【0024】
家庭(消費者44)のキッチン3は、冷蔵庫51、食品庫52及び食品棚53を、保管容器(空間)として有している。キッチン3は、1個又は複数の電波リーダ63及び1個又は複数の光学リーダ64を有している。各保管容器、電波リーダ63及び光学リーダ64は、ネットワーク2を介して在庫管理装置1に接続されている。在庫管理装置1、電波リーダ63及び光学リーダ64は、在庫管理システムを構成する。
【0025】
いま、消費者は、小売業者から購入した食品を冷蔵庫51に入庫しようとしている。消費者は、その食品に電波リーダ63及び/又は光学リーダ64をかざす。すると、これらのリーダは、タグに記憶されているEPCを読み取る。なお、在庫管理装置1は、冷蔵庫51の扉の開閉タイミングとタグの読み取りタイミングとの前後関係で、食品の入庫を検知してもよい。
【0026】
いま、消費者は、食品(符号45~46)を冷蔵庫51から出庫しようとしている。消費者は、その食品に、電波リーダ63及び/又は光学リーダ64をかざす。すると、これらのリーダは、タグに記憶されているEPCを読み取る。なお、在庫管理装置1は、冷蔵庫51の扉の開閉タイミングとタグの読み取りタイミングとの前後関係で、食品の出庫を検知してもよい。
【0027】
ここで、後記する図6に示すヨーグルトは、冷蔵庫の在庫リストに登録されている。消費者は、まず、冷蔵庫に入っているヨーグルトを取り出した際に、冷蔵庫付近にある光学リーダにヨーグルトを読み取らせるのを忘れたとする。その後、消費者は、再びヨーグルトを冷蔵庫に入れる際に、冷蔵庫付近にある光学リーダにヨーグルトを読み取らせ、さらにその後扉を開いたとする。この場合、扉の開閉を考慮しなければ、ヨーグルトは在庫リストから削除される。しかしながら、読み取り後に扉が開いたことから、在庫管理装置1は、ヨーグルトが冷蔵庫の中に入っていると判断してもよい。
【0028】
又は、在庫管理装置1は、在庫リストを利用して、食品を入庫する際に光学リーダに検知させた場合、短い報知音“ピッ”を報知し、食品を出庫する際に光学リーダに検知させた場合、連続した報知音“ピピッ”を報知してもよい。このようにすれば、消費者は、光学リーダによる読み取りを忘れていたこと又は誤って読み取ったことに気付く。
【0029】
さらに、在庫管理装置1は、冷蔵庫51の扉等に表示されている“出庫ボタン”を消費者が押下するのを受け付けることによって、食品の出庫を検知してもよい。
消費者は、食品を食品庫52又は食品棚53に入庫するとき、及び、食品を食品庫52又は食品棚53から出庫する際も、同様の操作を行う。
【0030】
(在庫リスト)
図6は、在庫リスト31を説明する図である。在庫リスト31は、ある時点においてある保管容器が保管していた食品33~35のリストである。消費者の要求に応じて、在庫管理装置1は、保管容器(冷蔵庫51等)の扉等に設置されている表示装置に、在庫リスト31を表示する。消費者は、食品を保管容器から出庫するとき、食品に対応する“出”ボタン36~37を押下する。在庫管理装置1は、在庫リスト31を表示する指示を、出力装置13又は任意の外部装置に対して出力することができる。
【0031】
図7は、在庫管理装置の構成及び在庫管理を説明する図である。図7の在庫管理装置1は、図5の在庫管理装置1と同じである。キッチン3が、冷蔵庫51、食品庫52及び食品棚53を、保管容器(空間)として有していることも、図5と同様である。各保管容器は、多くの食品45~47を保管している。いま、消費者は、現時点において各保管容器内にどのような食品が保管されているかを調べようとしている。
【0032】
そこで、消費者は、例えば冷蔵庫51内の食品に電波を一斉照射する旨の指示を、冷蔵庫51の内部に配置されている電波リーダ63に対して送信する。すると、電波リーダ63は、冷蔵庫51内に保管されているすべての食品のEPCを読み取る。
【0033】
(読取パタン)
図8は、読取パタンを説明する図である。図8を見ると、以下のことがわかる。なお、図8は、説明目的の図であり、補助記憶装置15に記憶されているものではない。
・EPCは、自身の桁内に、商品の産地である国名、メーカ名、商品アイテム名及びタグ種類を埋め込んでいる。それに応じて、EPC欄101は、EPC自身(欄101a)、商品の産地である国名(欄101b)、メーカ名(欄101c)、商品アイテム名(欄101d)及びタグ種類(欄101e)を記憶している。
【0034】
・タグ種類(欄101e)は、“RFID,QR”、“RFID”及び“QR”のうちのいずれかである。“RFID,QR”は、そのタグが電波リーダ及び光学リーダの両者によって読み取り可能であることを示す。“RFID”は、そのタグが電波リーダのみによって読み取り可能であることを示す。“QR”は、そのタグが光学リーダのみによって読み取り可能であることを示す。
【0035】
・各保管容器(欄102)で、電波リーダ及び光学リーダの両者がタグの読み取りを試みる。なお、リーダ種類欄103の“RFIDリーダ”は、電波リーダを代表しており、“QRリーダ”は、光学リーダを代表している。
・RFIDリーダは、EPCを読み取れた場合、“在庫”という文字を出力する。RFIDリーダは、それ以外の場合、何も出力しない。“?”は、このことを示している。QRリーダについても同様である(欄104)。
【0036】
・読取パタンとして、第1のパタン(レコード110a及び110b)、第2のパタン(レコード111a及び111b)及び第3のパタン(レコード112a及び112b)が存在する。
・EPCがQRリーダによって読み取られ、かつ、RFIDリーダによって読み取られなかった第3のパタンのみが、排他処理(詳細後記)の対象となる(欄105)。
【0037】
(排他処理リスト)
図9は、排他処理リスト32の一例である。排他処理リスト32においては、EPC欄121に記憶されたEPCに関連付けて、商品アイテム欄122には商品アイテムが、排他処理内容欄123には排他処理内容が記憶されている。
EPC欄121のEPCは、前記したEPCである。
商品アイテム欄122の商品アイテムは、EPCに含まれる商品アイテムである。商品アイテム欄122に加えて、排他処理リスト32は、国名覧、メーカ名欄及びシリアル番号欄を有していてもよい。
【0038】
排他処理内容欄123の排他処理内容は、排他処理の具体的な内容である。排他処理とは、食品全体に対して原則的にRFIDリーダを使用して在庫検査を行う場合、当該食品について別途行うべき例外処理である。ここでは、当該食品(ジャム)を“光学リーダ(QRリーダなど)で読み取る”こと、又は“手動確認する”ことが記憶されている。
【0039】
(排他処理対象決定処理手順)
図10は、排他処理対象決定処理手順のフローチャートである。
ステップS201において、在庫管理装置1の入出力処理部21は、入庫を受け付ける。具体的には、入出力処理部21は、消費者が食品を保管容器(例えば冷蔵庫51)に入庫するのを受け付ける。入出力処理部21は、消費者が、例えば冷蔵庫51の扉を操作するのを検知することによって、入庫を受け付ける。
【0040】
ステップS202において、入出力処理部21は、QRリーダでタグを読み取る。具体的には、消費者は、入庫する食品に付されたタグをQRリーダで読み取る。但し、QRリーダがタグを読み取れない(タグが存在しない)場合もある。読み取れた場合、入出力処理部21は、QRリーダからEPCを受信する。
【0041】
ステップS203において、在庫管理部22は、タグを読み取れたか否かを判断する。具体的には、入出力処理部21は、QRリーダがタグを読み取れた場合(ステップS203“Yes”)、ステップS205に進み、それ以外の場合(ステップS203“No”)、ステップS204に進む。
【0042】
ステップS204において、入出力処理部21は、RFIDリーダでタグを読み取る。具体的には、消費者は、入庫する食品に付されたタグをRFIDリーダで読み取る。そして、入出力処理部21は、RFIDリーダからEPCを受信する。なお、ステップS202及びS204の順序は、前記の逆になってもよい。
【0043】
ステップS205において、在庫管理部22は、タグ種類を判別する。具体的には、在庫管理部22は、ステップS202又はS204において受信したEPCの所定の桁を参照し、入庫された食品が、以下の〈1〉又は〈2〉のいずれかであるかを判別する。
〈1〉食品のEPCが、RFIDリーダ及びQRリーダの両者によって読み取り可能である”、又は、RFIDリーダのみによって読み取り可能である。
〈2〉食品のEPCが、QRリーダのみよって読み取り可能である”
【0044】
ステップS206において、在庫管理部22は、タグ種類は“QR単独”であるか否かを判断する。具体的には、在庫管理部22は、食品が前記の〈2〉に該当する場合(ステップS206“Yes”)、ステップS207に進み、それ以外の場合(ステップS206“No”)、ステップS208に進む。
【0045】
ステップS207において、在庫管理部22は、排他処理リスト32(図9)のレコードを作成する。具体的には、在庫管理部22は、排他処理リスト32の新たなレコードを作成し、新たなレコードのEPC欄121及び商品アイテム欄122に、EPC及び商品アイテムを記憶し、排他処理内容欄123に、消費者が指定した排他処理の具体的内容を記憶する。
【0046】
ステップS208において、在庫管理部22は、在庫リスト31(図6)のレコードを作成する。具体的には、在庫管理部22は、入庫を受け付けた時点において当該食品が当該保管容器に存在していたことを、在庫リスト31のレコードとして記憶する。その後、在庫検査のタイミングまで、やや時間間隔が空くことになる。
【0047】
ステップS209において、在庫管理部22は、在庫検査開始の指示を受け付ける。具体的には、在庫管理部22は、消費者が入力装置12を介して、在庫検査を行う旨の指示を入力するのを受け付ける。
【0048】
ステップS210において、在庫管理部22は、排他処理の対象を特定する。具体的には、在庫管理部22は、補助記憶装置15から、排他処理リスト32(図9)を読み出し、排他処理の対象となる食品を特定する。
【0049】
ステップS211において、在庫管理部22は、排他処理の具体的な内容を表示する。具体的には、在庫管理部22は、特定した食品に関連付けて、排他処理内容(図9の欄123)を出力装置13に表示する。すると、消費者は、特定した食品に付されているタグを光学リーダで読み取ること、又は、手動確認することを試みる。在庫管理部22は、光学リーダの読み取り結果、又は、手動確認の結果(以降、まとめて“排他処理結果”と呼ぶ)を受け付ける。なお、消費者が手動確認を行うときに視認する画面例を後記する。
【0050】
ステップS212において、在庫管理部22は、在庫リストのレコードを修正する。具体的には、在庫管理部22は、在庫リストに特定した食品の記載がなく、かつ、排他処理結果が“在庫”を示す場合、在庫リストに特定した食品の記載を追加する。在庫管理部22は、在庫リストに特定した食品の記載があり、かつ、排他処理結果が“在庫”を示さない場合、在庫リストから特定した食品の記載を削除する。その後排他処理対象決定処理手順を終了する。
【0051】
(在庫検査画面)
図11は、在庫検査画面71の一例である。ステップS211において、在庫管理部22は、在庫検査画面71(図11)を出力装置13に表示する。消費者が“手動確認前の在庫リストを見る”ボタン72を押下するのを受け付けると、在庫管理部22は、リスト75を表示する。リスト75は、最新の在庫リスト31に記載されている食品及び最新の排他処理リスト32に記載されている食品の和集合を保管容器ごとに表示したものである。そして、最新の排他処理リスト32に記載されている食品は、強調表示されている(符号76)。リスト75は、消費者の必要に応じて、他の情報(当初入庫以降経過時間、摘要等)を表示してもよい。
【0052】
消費者は、例えば食品棚内を目視し、“カップ麺”の有無を確認し、それがない場合、“無”ボタン74を押下する。在庫管理部22は、“無”ボタン74が押下された場合、当該食品がその保管容器内に存在しないと確定的に認識する。
【0053】
(在庫リストの修正)
図12は、在庫リスト31の修正を説明する図である。在庫管理装置1は、図12のような一覧表を作成し、補助記憶装置15に記憶する。保管容器欄131に記憶された保管容器に関連付けて、修正前在庫リスト欄132には修正前在庫リストが、確認リスト欄133には確認リストが、修正後在庫リスト欄134には修正後在庫リストが記憶されている。図12は、ある1つの保管容器について在庫を管理する例に対応する。
【0054】
修正前在庫リスト欄132には、在庫検査の前のある時点(“第1の時点”とも呼ばれる)において、その保管容器に存在していた食品を特定する在庫リストが記憶されている。メーカ名(欄132b)、商品アイテム名(欄132c)及びタグ種類(欄132d)は、図8のメーカ名、商品アイテム名及びタグ種類と同じである。紙面の制約上、図12においては“国名”は省略されている。
【0055】
区分欄132aの区分は、“在庫リストA”又は“在庫リストB”のいずれかである。“在庫リストA”は、その食品がRFIDリーダで読み取られたことを示す。“在庫リストB”は、その食品がQRリーダで読み取られたことを示す。
【0056】
確認リスト欄133には、第1の時点後の入出庫又は在庫検査の時点(“第2の時点”とも呼ばれる)において、その保管容器に対して入出庫があった、又は、その保管容器に存在していた食品を特定する確認リストが記憶されている。在庫管理装置1は、第2の時点においてRFIDリーダが受信した情報及びQRリーダが読み取った情報を使用して、修正前の在庫リストの内容を“確認”する。これが“確認リスト”の命名理由である。
【0057】
リーダ種類欄133aのリーダ種類は、“RFIDリーダ”又は“QRリーダ”のいずれかである。“RFIDリーダ”は、その食品がRFIDリーダで一斉に読み取られた(図7参照)ことを示し、“在庫リストA”に対応する。“QRリーダ”は、その食品がその入庫又は出庫のタイミングにおいてQRリーダで読み取られた(図5参照)ことを示し、“在庫リストB”に対応する。
【0058】
メーカ名(欄133b)、商品アイテム名(欄133c)及びタグ種類(欄132d)は、それぞれ、メーカ名(欄132b)、商品アイテム名(欄132c)及びタグ種類(欄132d)と同じである。
【0059】
リーダ種類が“QRリーダ”であるレコードは、図12には直接的に記載されていないが、“入庫”及び“出庫”が区別されている。例えば、“C社”の“そば”(レコード135b)は、冷蔵庫から出庫するものとして読み取られている。“H社”の“調味料”(レコード135c)は、冷蔵庫に入庫するものとして読み取られている。
【0060】
検知時刻欄133の検知時刻(欄133e)は、リーダが食品に付されたタグを読み取った時点の年月日時分秒(第2の時点)である。なお、説明の都合上、複数の食品をQRリーダで連続的に読み取る場合の数秒程度のタイムラグは捨象されている。
【0061】
修正後在庫リスト欄134は、在庫管理装置1が修正前在庫リストと確認リストとを比較した結果に基づき、修正前在庫リストに対して修正を加えたものである。メーカ名(欄134a)、商品アイテム名(欄134b)及びタグ種類(欄134c)は、それぞれ、メーカ名(欄132b)、商品アイテム名(欄132c)及びタグ種類(欄132d)と同じである。図12を見ると、例えば以下のことがわかる。
【0062】
〈レコード136a~136eに関して〉
・“G社”の“缶ビール”は、修正前在庫リスト(欄132)には存在するが、確認リスト(欄133)には存在しない。“A社”の“ソース”、“E社”の“ジャム”、“B社”の“瓶ビール”及び“D社”の“瓶ビール”は、両者に存在する。
・このことは、第1の時点以降第2の時点までの期間に、“G社”の“缶ビール”が冷蔵庫から出されたことを示している。
・その結果、修正後在庫リスト(欄134)においては、レコード136eが削除されている。
【0063】
〈レコード138a~138eに関して〉
・“D社”の“瓶ビール”は、修正前在庫リスト(欄132)には存在するが、確認リスト(欄133)には存在しない。“G社”の“缶ビール”は、確認リスト(欄133)には存在するが、修正前在庫リスト(欄132)には存在しない。“A社”の“ソース”、“E社”の“ジャム”及び“B社”の“瓶ビール”は、両者に存在する。
・このことは、第1の時点以降第2の時点までの期間に、“D社”の“瓶ビール”が冷蔵庫から出され、“G社”の“缶ビール”が冷蔵庫に入れられたことを示している。
・その結果、修正後在庫リスト(欄134)においては、レコード138dが削除され、レコード138eが追加されている。
【0064】
〈レコード135a~135cに関して〉
・“H社”の“調味料”は、確認リスト(欄133)には存在するが、修正前在庫リスト(欄132)には存在しない。
・このことは、第2の時点において、“H社”の“調味料”が冷蔵庫に入れられたことを示している。
・その結果、修正後在庫リスト(欄134)においては、レコード135cが追加されている。
【0065】
・“C社”の“そば”は、修正前在庫リスト(欄132)に存在し、在庫リスト(欄133)にも存在する。
・このことは、第2の時点において、“C社”の“そば”が冷蔵庫から出されたことを示している。
・その結果、修正後在庫リスト(欄134)においては、レコード135bが削除されている。
【0066】
・“F社”の“うどん”は、修正前在庫リスト(欄132)には存在するが、確認リスト(欄133)には存在しない。
・このことは、第2の時点において、“F社”の“うどん”は冷蔵庫に対して出入りがなかった(冷蔵庫に保管されたままであった)ことを示している。
・その結果、修正後在庫リスト(欄134)においては、レコード135aが削除されずにそのまま維持されている。
【0067】
図13もまた、在庫リスト31の修正を説明する図である。図13の各欄の構成は、図12と同じである。図13は、ある保管容器とそれとは別の他の保管容器について在庫を管理する例に対応する。図13のレコード139a~139d及び140a~140eは、冷蔵庫に関するものである。レコード141a~141c及び142a~142dは、食品庫に関するものである。
【0068】
図12と同様に、確認リストのうち、リーダ種類が“QRリーダ”であるレコードは、“入庫”及び“出庫”が区別されている。例えば、“H社”の“調味料”(レコード139d)は、冷蔵庫に入庫するものとして読み取られたものである。図13を見ると、例えば以下のことがわかる。
【0069】
〈レコード139d及び141aに関して〉
・“H社”の“調味料”は、修正前在庫リスト(欄132のレコード141a)に存在し、確認リスト(欄133のレコード139d)にも存在する。
・このことは、第1の時点において“H社”の“調味料”は食品庫内にあったが、第2の時点において、食品庫から冷蔵庫に移し替えられたことを示している。ある食品が、開封前には食品庫に保管され、開封後には冷蔵庫に保管されることは多い。なお、2020年5月30日10時00分00秒において、消費者は、“H社”の“調味料”が食品庫から出されるのを読み取っていない(確認リスト欄133のレコード141a)。
・その結果、修正後在庫リスト(欄134)においては、レコード139dが追加され、レコード141aが削除されている。
【0070】
(在庫リスト修正処理手順)
在庫リスト修正処理手順としては、“その1”、“その2”及び“その3”が存在する。“その1”は、RFIDリーダによる読み取りを契機として開始する。“その2”及び“その3”は、QRリーダによる読み取りを契機として開始する。以下では、“その1”、“その2”及び“その3”の順に説明するが、これらの順序は任意であり、まず“その2”及び“その3”が実行され、その後、“その1”が実行されてもよい。
【0071】
図14は、在庫リスト修正処理手順(その1)のフローチャートである。在庫リスト修正処理手順(その1)を開始する前提として、既に第1の時点における在庫リストが存在し、補助記憶装置15に格納されているとする。
【0072】
ステップS301において、在庫管理装置1の在庫管理部22は、確認リストを作成する。具体的には、在庫管理部22は、第2の時点において、消費者が指示する任意の保管容器について、確認リスト(但し、リーダ種類“RFIDリーダ”に対応するもの)を作成する。
【0073】
ステップS302において、在庫管理部22は、在庫リストAに有り、かつ、確認リストに有るか否かを判断する。具体的には、第1に、在庫管理部22は、当該保管容器についての第1の時点における修正前在庫リスト(在庫リストA)を補助記憶装置15から取得する。
【0074】
第2に、在庫管理部22は、在庫リストA又は確認リストの少なくとも一方に記憶されている1又は複数の食品のうち未処理のものを“確認対象食品”として特定する。
第3に、在庫管理部22は、確認対象食品が在庫リストAにあり、かつ、確認リストにもある場合(ステップS302“Yes”)、ステップS303に進み、それ以外の場合(ステップS302“No”)、ステップS304に進む。
【0075】
ステップS303において、在庫管理部22は、在庫リストAをそのまま維持する。具体的には、在庫管理部22は、確認対象食品について、修正前在庫リストと同じ内容の修正後在庫リストのレコードを作成し、記憶する(図12のレコード136a~136d及び138a~138c参照)。
【0076】
ステップS304において、在庫管理部22は、在庫リストAに無く、かつ、確認リストに有るか否かを判断する。具体的には、在庫管理部22は、確認対象食品が在庫リストAに無く、かつ、確認リストにある場合(ステップS304“Yes”)、ステップS305に進み、それ以外の場合(ステップS304“No”)、ステップS306に進む。
【0077】
ステップS305において、在庫管理部22は、在庫リストAに追加する。具体的には、在庫管理部22は、確認対象食品について、修正後在庫リストのレコードを作成し、記憶する(図12のレコード138e参照)。
【0078】
ステップS306において、在庫管理部22は、在庫リストAに有り、かつ、確認リストに無いか否かを判断する。具体的には、在庫管理部22は、確認対象食品が在庫リストAにあり、かつ、確認リストにない場合(ステップS306“Yes”)、ステップS307に進み、それ以外の場合(ステップS306“No”)、ステップS308に進む。
【0079】
ステップS307において、在庫管理部22は、在庫リストAから削除する。具体的には、在庫管理部22は、確認対象食品について、修正前在庫リストのレコードを削除する(図12のレコード136e及び138d参照)。
ステップS302~S307の処理は、個々の確認対象食品ごとに繰り返される。
【0080】
ステップS308において、在庫管理部22は、在庫リストAと在庫リストBとを合体する。具体的には、修正後在庫リスト(在庫リストA)のレコードに対して、別途管理されている修正前在庫リスト(在庫リストB)のレコードを加える。その後、在庫リスト修正処理手順(その1)を終了する。
【0081】
図15は、在庫リスト修正処理手順(その2)のフローチャートである。在庫リスト修正処理手順(その2)を開始する前提として、既に第1の時点における在庫リストが存在し、補助記憶装置15に格納されているとする。
【0082】
ステップS401において、在庫管理装置1の在庫管理部22は、確認リストを作成する。具体的には、在庫管理部22は、第2の時点において、消費者が指示する任意の保管容器について、確認リスト(但し、リーダ種類“QRリーダ”に対応するもの)を作成する。つまり、当該処理は、QRリーダ等光学リーダで入庫(出庫)させたものに対し、排他処理を実行するのに対応している。
【0083】
ステップS402において、在庫管理部22は、在庫リストBに有り、かつ、確認リストに無いか否かを判断する。具体的には、第1に、在庫管理部22は、当該保管容器についての第1の時点における修正前在庫リスト(在庫リストB)を補助記憶装置15から取得する。
【0084】
第2に、在庫管理部22は、在庫リストB又は確認リストの少なくとも一方に記憶されている1又は複数の食品のうち未処理のものを“確認対象食品”として特定する。
第3に、在庫管理部22は、確認対象食品が在庫リストBにあり、かつ、確認リストに無い場合(ステップS402“Yes”)、ステップS403に進み、それ以外の場合(ステップS402“No”)、ステップS404に進む。
【0085】
ステップS403において、在庫管理部22は、在庫リストBをそのまま維持する。具体的には、在庫管理部22は、確認対象食品について、修正前在庫リストと同じ内容の修正後在庫リストのレコードを作成し、記憶する(図12のレコード135a、137a及び137b参照)。
【0086】
ステップS404において、在庫管理部22は、在庫リストBに無く、かつ、確認リストに有るか否かを判断する。具体的には、在庫管理部22は、確認対象食品が在庫リストBに無く、かつ、確認リストにある場合(ステップS404“Yes”)、ステップS405に進み、それ以外の場合(ステップS404“No”)、ステップS406に進む。
【0087】
ステップS405において、在庫管理部22は、在庫リストBに追加する。具体的には、在庫管理部22は、確認対象食品について、修正後在庫リストのレコードを作成し、記憶する(図12のレコード135c参照)。
【0088】
ステップS406において、在庫管理部22は、在庫リストBに有り、かつ、確認リストに有るか否かを判断する。具体的には、在庫管理部22は、確認対象食品が在庫リストBにあり、かつ、確認リストにも有る場合(ステップS406“Yes”)、ステップS407に進み、それ以外の場合(ステップS406“No”)、在庫リスト修正処理手順(その2)を終了する。
【0089】
ステップS407において、在庫管理部22は、在庫リストBから削除する。具体的には、在庫管理部22は、確認対象食品について、修正前在庫リストのレコードを削除する(図12のレコード135b参照)。
ステップS402~S407の処理は、個々の確認対象食品ごとに繰り返される。繰り返し処理が終了した後、在庫リスト修正処理手順(その2)を終了する。
【0090】
図16は、在庫リスト修正処理手順(その3)のフローチャートである。在庫リスト修正処理手順(その3)を開始する前提として、既に第1の時点における在庫リストが、複数の保管容器について存在し、補助記憶装置15に格納されているとする。
【0091】
ステップS501において、在庫管理装置1の在庫管理部22は、第1の保管容器について在庫リストBを作成する。具体的には、在庫管理部22は、第1の時点において、消費者が指示した任意の保管容器について、修正前在庫リスト(在庫リストB)を作成する。ここでは、例えば図13の欄132のレコード141a~141cが作成される。
【0092】
ステップS502において、在庫管理部22は、第2の保管容器への入庫について確認リストを作成する。具体的には、在庫管理部22は、第2の時点において、ステップS501において消費者が指示した保管容器以外の任意の保管容器について、確認リスト(但し、リーダ種類“QRリーダ”に対応するもの)を作成する。ここでは、例えば図13の欄133のレコード139a~139dが作成される。
【0093】
ステップS501及びS502において、第1の保管容器は、例えば食品庫であり、第2の保管容器は、例えば冷蔵庫である。“H社”の“調味料”は、第1の保管容器から第2の保管容器に移動している。
【0094】
ステップS503において、在庫管理部22は、第2の保管容器への入庫を検知され、かつ、第1の保管容器に保管されていたものがあるか否かを判断する。具体的には、第1に、在庫管理部22は、在庫リストB又は確認リストの少なくとも一方に記憶されている1又は複数の食品を“確認対象食品”とする。
第2に、在庫管理部22は、確認対象食品が在庫リストBにあり、かつ、確認リストにもある場合(ステップS503“Yes”)、ステップS504に進み、それ以外の場合(ステップS503“No”)、在庫リスト修正処理手順(その3)を終了する。説明の都合上、ここでは、第2の保管容器への入庫を検知され、かつ、第1の保管容器に保管されていたものとして“H社”の“調味料”が該当したとする。
【0095】
ステップS504において、在庫管理部22は、第1の保管容器の在庫リストBから削除し、第2の保管容器の在庫リストBに追加する。具体的には、第1に、在庫管理部22は、確認対象食品について、修正前在庫リストのレコードを削除する(図13のレコード141a参照)。
第2に、在庫管理部22は、確認対象食品について、修正後在庫リストのレコードを追加する(図13のレコード139d参照)。
【0096】
第3に、在庫管理部22は、出力装置13に在庫リスト表示画面81(図17)を表示する。在庫管理部22は、消費者が保管容器として例えば冷蔵庫(符号82)を選択するのを受け付けると、冷蔵庫についての修正後在庫リスト83を表示する。修正後在庫リスト83は、在庫リストに対して追加された食品及び在庫リストから削除された食品を表示している。その後、在庫リスト修正処理手順(その3)を終了する。
【0097】
(本実施形態の効果)
本実施形態の在庫管理システムの効果は以下の通りである。
(1)在庫管理システムは、電波リーダ及び光学リーダの両者を使用して、物品に関する情報を管理することができる。
(2)在庫管理システムは、光学リーダのみによって読み取られる物品を認識することができる。
(3)在庫管理システムは、電波リーダ及び光学リーダの両者によって読み取られる、又は、電波リーダのみによって読み取られる物品を認識することができる。
(4)在庫管理システムは、電波リーダ又は光学リーダのいずれによっても、差異のない情報を読み取ることができる。
【0098】
(5)在庫管理システムは、ある時点における在庫リストを、その後の時点において電波リーダを使用して修正することができる。
(6)在庫管理システムは、ある時点における在庫リストに記載されていない物品を、その後の時点において光学リーダの読み取り結果に基づき追加することができる。
(7)在庫管理システムは、ある時点における在庫リストに記載されている物品を、その後の時点において光学リーダの読み取り結果に基づき削除することができる。
(8)在庫管理システムは、ある時点における在庫リストに記載されている物品を、その後の時点において光学リーダの読み取り結果に基づき、そのまま維持することができる。
【0099】
(9)在庫管理システムは、複数の保管容器間の物品の移動を在庫リストに反映することができる。
(10)在庫管理システムは、電波リーダが使用できない排他処理の対象となる物品を特定することができる。つまり、光学リーダのみによって読み取られる物品、すなわち、光学リーダの読み取り結果に基づきある空間に保管(入庫)した物品を、例えば電波リーダによる定時スキャンの際に排除することができる。よって、電波リーダで認識できなくとも、出庫(消費)したと誤認識することを防ぐことができる。
(11)在庫管理システムは、RFIDタグ、QRコード等が付された物品に適用可能である。
【0100】
なお、本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。例えば、光学リーダは、商品名、消費期限、加工メーカ等の文字時を読み取るカメラ、又は、物品を画像認識するためのカメラであってもよい。
【0101】
また、前記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウエアで実現してもよい。また、前記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウエアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆どすべての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 在庫管理装置
2 ネットワーク
3 キッチン
11 中央制御装置
12 入力装置
13 出力装置
14 主記憶装置
15 補助記憶装置
16 通信装置
21 入出力処理部
22 在庫管理部
31 在庫リスト
32 排他処理リスト
45、46、47 食品(物品)
51、52、53 保管容器(空間、冷蔵庫、食品庫、食品棚)
61 RFIDタグ(第1の情報)
62 QRコード(第2の情報)
63 RFIDリーダ(電波リーダ)
64 QRリーダ(光学リーダ)
133 確認リスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17