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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】バッテリーパック及び電力貯蔵装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/572 20210101AFI20231219BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20231219BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20231219BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20231219BHJP
   H01M 50/213 20210101ALI20231219BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20231219BHJP
   H01M 10/627 20140101ALI20231219BHJP
   H01M 10/647 20140101ALN20231219BHJP
【FI】
H01M50/572
H01M50/204 401H
H01M50/209
H01M50/211
H01M50/213
H01M10/658
H01M10/627
H01M10/647
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022531579
(86)(22)【出願日】2021-01-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-07
(86)【国際出願番号】 KR2021000139
(87)【国際公開番号】W WO2021194064
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0037746
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジン-キュ・イ
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-131654(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0004464(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/50-50/598
H01M50/20-50/298
H01M10/42-10/667
H01C17/00-17/30
H01C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーパックであって、
外観を形成するパックケースと、
前記パックケース内に備えられ、少なくとも一つのバッテリーセルを含む複数個のバッテリーモジュールと、
前記複数個のバッテリーモジュールの間に備えられる少なくとも一つの断熱部材と、
前記少なくとも一つの断熱部材と離隔し、前記複数個のバッテリーモジュールのうちいずれか一つのバッテリーモジュールと接続され、前記複数個のバッテリーモジュールのうち少なくとも一つのバッテリーモジュールの熱暴走時、前記いずれか一つのバッテリーモジュールを外部短絡させるエネルギードレインユニットと、を含み、
前記エネルギードレインユニットは、2つのバッテリーモジュールに挟まれた特定の1つのバッテリーモジュールのみに接続されていることを特徴とする、バッテリーパック。
【請求項2】
前記エネルギードレインユニットは、
前記いずれか一つのバッテリーモジュールのバッテリーセルと接続され、オンオフ動作可能に設けられるリレーユニットと、
前記リレーユニットと接続され、前記パックケースの外部に設けられる抵抗ユニットと、を含むことを特徴とする、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記エネルギードレインユニットは、
前記パックケースの外部に備えられ、前記リレーユニットと前記抵抗ユニットを収容するドレインケースを含むことを特徴とする、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記複数個のバッテリーモジュールのうち少なくとも一つのバッテリーモジュールの熱暴走時、前記リレーユニットのスイッチがオンされ、前記いずれか一つのバッテリーモジュールの少なくとも一つのバッテリーセルの貯蔵エネルギーは、前記抵抗ユニットによって熱エネルギーに変換されることを特徴とする、請求項2または3に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記抵抗ユニットは、前記エネルギードレインユニットの外部の冷却装置と連結され、前記冷却装置から供給される冷却剤が満たされることを特徴とする、請求項2~4のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記抵抗ユニットは、
前記冷却装置から前記冷却剤の供給を受けるための供給パイプと、
前記供給パイプと離隔し、前記冷却剤を前記冷却装置へ送るための排出パイプと、を含むことを特徴とする、請求項5に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
前記抵抗ユニットは、内部に絶縁油が満たされることを特徴とする、請求項2~6のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記複数個のバッテリーモジュールは、少なくとも三つ備えられ、各々複数個のバッテリーセルを含み、
前記少なくとも三つのバッテリーモジュールは、前記複数個のバッテリーセルの積層方向に沿って相互に積層されることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
前記エネルギードレインユニットは、前記少なくとも三つのバッテリーモジュールのうち中央に配置されるバッテリーモジュールと接続されることを特徴とする、請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の少なくとも一つのバッテリーパックを含むことを特徴とする、電力貯蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーパック及びそれを含む電力貯蔵装置に関する。
【0002】
本出願は、2020年3月27日出願の韓国特許出願第10-2020-0037746号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
製品群に応じた適用性が高く、且つ、高いエネルギー密度などの電気的特性を有する二次電池は、携帯用機器だけでなく、電気的駆動源によって駆動する電気自動車(EV、Electric Vehicle)またはハイブリッド自動車(HEV、Hybrid Electric Vehicle)などに普遍的に適用されている。このような二次電池は、化石燃料の使用を画期的に減少できるという一次的な長所だけでなく、エネルギー使用に伴う副産物が全く生じないという点で、環境にやさしく、エネルギー効率が向上できることから、新しいエネルギー源として注目を集めている。
【0004】
現在、広く使用される二次電池の種類としては、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などがある。このような単位二次電池セル、即ち、単位バッテリーセルの作動電圧は約2.5V~4.5Vである。したがって、これよりさらに高い出力電圧が要求される場合、複数のバッテリーセルを直列接続してバッテリーパックを構成する。また、バッテリーパックに要求される充放電容量によって複数のバッテリーセルを並列接続してバッテリーパックを構成し得る。したがって、上記バッテリーパックに含まれるバッテリーセルの数は、要求される出力電圧または充放電容量によって多様に設定可能である。
【0005】
なお、複数のバッテリーセルを直列・並列接続してバッテリーパックを構成する場合、少なくとも一つのバッテリーセルを含むバッテリーモジュールを先に構成し、このような少なくとも一つのバッテリーモジュールを用いてその他の構成要素を追加してバッテリーパックやバッテリーラックを構成する方法が一般的である。ここで、少なくとも一つのバッテリーモジュールを含むバッテリーパックやバッテリーラックは、多様な電圧と容量要求条件などによって、このようなバッテリーパックやバッテリーラックを少なくとも一つ以上備える電力貯蔵装置を構成することもある。
【0006】
従来、バッテリーパックの場合、バッテリーパックを構成するバッテリーモジュール内で火事が発生する場合、迅速な火事鎭圧が難しいという問題がある。バッテリーモジュール内で火事が迅速に鎮圧されないか、または火炎が広がる時間が遅延されない場合、周りのバッテリーモジュールへの火事転移が速くなるという問題がある。
【0007】
これによって、火事状況の発生時、より迅速な早期鎭圧が必要であり、特に、火事が起こる前に予め危険を感知して事故を未然に防止する対策が必要である。このためには、バッテリーパック内のバッテリーモジュール単位における火事鎭圧及び火事の拡散防止が必要である。
【0008】
そこで、バッテリーセルにおける異常状況の発生時、熱暴走による熱伝播をより迅速に抑制可能なバッテリーパック及びそれを含む電力貯蔵装置が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、バッテリーセルの異常状況の発生時、熱暴走による熱伝播をより迅速に抑制可能なバッテリーパック及びそれを含む電力貯蔵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を達成するため、本発明は、バッテリーパックであって、外観を形成するパックケースと、パックケース内に備えられ、少なくとも一つのバッテリーセルを含む複数個のバッテリーモジュールと、複数個のバッテリーモジュールの間に備えられる少なくとも一つの断熱部材と、少なくとも一つの断熱部材と離隔し、複数個のバッテリーモジュールのうちいずれか一つのバッテリーモジュールと接続され、複数個のバッテリーモジュールのうち少なくとも一つのバッテリーモジュールの熱暴走時、いずれか一つのバッテリーモジュールを外部短絡させるエネルギードレインユニットと、を含むことを特徴とするバッテリーパックを提供する。
【0011】
エネルギードレインユニットは、いずれか一つのバッテリーモジュールのバッテリーセルと接続され、オンオフ動作可能に設けられるリレーユニットと、リレーユニットと接続され、パックケースの外部に設けられる抵抗ユニットと、を含み得る。
【0012】
エネルギードレインユニットは、パックケースの外部に備えられ、リレーユニットと抵抗ユニットを収容するドレインケースを含み得る。
【0013】
複数個のバッテリーモジュールのうち少なくとも一つのバッテリーモジュールの熱暴走時、リレーユニットのスイッチがオンされ、いずれか一つのバッテリーモジュールの少なくとも一つのバッテリーセルの貯蔵エネルギーは、抵抗ユニットによって熱エネルギーに変換され得る。
【0014】
抵抗ユニットは、エネルギードレインユニットの外部の冷却装置と連結され、冷却装置から供給される冷却剤が満たされ得る。
【0015】
抵抗ユニットは、冷却装置から冷却剤の供給を受けるための供給パイプと、供給パイプと離隔し、冷却剤を冷却装置へ送るための排出パイプと、を含み得る。
【0016】
抵抗ユニットは、内部に絶縁油が満たされ得る。
【0017】
複数個のバッテリーモジュールは、少なくとも三つ備えられ、各々複数個のバッテリーセルを含み、少なくとも三つのバッテリーモジュールは、複数個のバッテリーセルの積層方向に沿って相互に積層され得る。
【0018】
エネルギードレインユニットは、少なくとも三つのバッテリーモジュールのうち中央に配置されるバッテリーモジュールと接続され得る。
【0019】
なお、本発明は、電力貯蔵装置であって、前述した実施例による少なくとも一つのバッテリーパックを含むことを特徴とする電力貯蔵装置を提供する。
【発明の効果】
【0020】
以上のような多様な実施例によって、バッテリーセルの異常状況の発生時、熱暴走による熱伝播をより迅速に抑制可能なバッテリーパック及びこれを含む電力貯蔵装置を提供することができる。
【0021】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施例によるバッテリーパックを説明するための図である。
図2図1の断熱部材を説明するための図である。
図3図2の断熱部材の他の実施例を説明するための図である。
図4図1のエネルギードレインユニットを説明するための図である。
図5図1のバッテリーパックにおいて、バッテリーモジュールのバッテリーセルに異常状況が発生したときのエネルギードレインユニットの動作を説明するための図である。
図6図1のバッテリーパックにおいて、バッテリーパックのバッテリーセルに異常状況が発生したときのエネルギードレインユニットの動作を説明するための図である。
図7】本発明の他の実施例によるバッテリーパックを説明するための図である。
図8図7のエネルギードレインユニットを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。ここで説明される実施例は、発明の理解を助けるために例示的に示したものであり、本発明は、ここで説明する実施例とは相違に多様に変形して実施できることを理解せねばならない。なお、発明の理解を助けるために、添付の図面は、実際の縮尺ではなく一部構成要素が誇張または省略されるか、概略的に示されることがある。
【0024】
図1は、本発明の一実施例によるバッテリーパックを説明するための図である。
【0025】
図1を参照すると、バッテリーパック1は、エネルギー源であって、電力貯蔵装置や自動車、その他の器具や装置などに備えられ得る。バッテリーパック1は、少なくとも一つまたはそれ以上の複数個が設けられ、電力貯蔵装置や自動車などに備えられ得る。以下、本実施例では、バッテリーパック1が電力貯蔵装置に少なくとも一つまたはそれ以上の複数個で含まれることに限定して説明する。
【0026】
バッテリーパック1は、パックケース10、バッテリーモジュール30、40、50、断熱部材70及びエネルギードレインユニット100を含み得る。
【0027】
パックケース10は、バッテリーパック1の外観を形成し得る。このようなパックケース10は、後述するバッテリーモジュール30、40、50及び断熱部材70を収容し得る。このために、パックケース10には、バッテリーモジュール30、40、50及び断熱部材70を収容する収容空間が設けられ得る。
【0028】
バッテリーモジュール30、40、50は、パックケース10内に備えられ、二次電池に設けられる少なくとも一つのバッテリーセル35、45、55を含み得る。このようなバッテリーモジュール30、40、50は、複数個が備えられ得る。
【0029】
複数個のバッテリーモジュール30、40、50は、少なくとも三つが備えられ、各々、複数個のバッテリーセル35、45、55を含み得る。このような複数個のバッテリーモジュール30、40、50は、複数個のバッテリーセル35、45、55の積層方向に沿って相互に積層され得る。
【0030】
複数個のバッテリーモジュール30、40、50は、第1バッテリーモジュール30、第2バッテリーモジュール40及び第3バッテリーモジュール50を含み得る。
【0031】
第1バッテリーモジュール30は、パックケース10の内部の一側に備えられ得る。本実施例において、第1バッテリーモジュール30は、パックケース10において、パックケース10の内部の左側に設けられ得る。
【0032】
このような第1バッテリーモジュール30は、複数個のバッテリーセル35を含み得る。
【0033】
複数個のバッテリーセル35は、二次電池であって、パウチ型二次電池、角形二次電池及び円筒型の二次電池のうち少なくとも一つで備えられ得る。以下、本実施例では、複数個のバッテリーセル35がパウチ型二次電池として備えられることに限定して説明する。
【0034】
第2バッテリーモジュール40は、パックケース10の内部に備えられ、第1バッテリーモジュール30と後述する第3バッテリーモジュール50との間に設けられ得る。第2バッテリーモジュール40は、後述するエネルギードレインユニット100と接続され得る。
【0035】
このような第2バッテリーモジュール40は、複数個のバッテリーセル45を含み得る。
【0036】
複数個のバッテリーセル45は、二次電池であって、パウチ型二次電池、角形二次電池及び円筒型の二次電池のうち少なくとも一つで備えられ得る。以下、本実施例では、複数個のバッテリーセル45がパウチ型二次電池で備えることに限定して説明する。
【0037】
複数個のバッテリーセル45は、後述するエネルギードレインユニット100と接続され得る。複数個のバッテリーセル45と接続されるエネルギードレインユニット100については、下記の関連説明でより具体的に説明する。
【0038】
第3バッテリーモジュール50は、パックケース10の内部の一側に備えられ得る。本実施例において、第3バッテリーモジュール50は、パックケース10において、パックケース10の内部における右側に設けられ得る。第3バッテリーモジュール50は、第2バッテリーモジュール40を挟んで、第1バッテリーモジュール30と対向して配置され得る。
【0039】
このような第3バッテリーモジュール50は、複数個のバッテリーセル55を含み得る。
【0040】
複数個のバッテリーセル55は、二次電池であって、パウチ型二次電池、角形二次電池及び円筒型の二次電池のうち少なくとも一つで備えられ得る。以下、本実施例では、複数個のバッテリーセル55がパウチ型二次電池で備えられることに限定して説明する。
【0041】
断熱部材70は、複数個のバッテリーモジュール30、40、50の間に備えられ得る。
【0042】
以下、本実施例による断熱部材70についてより具体的に説明する。
【0043】
図2は、図1の断熱部材を説明するための図であり、図3は、図2の断熱部材の他の実施例を説明するための図である。
【0044】
図2を参照すると、断熱部材70は、複数個のバッテリーモジュール30、40、50の間に備えられるように複数個が備えられ得る。
【0045】
複数個の断熱部材70は、複数個のバッテリーモジュール30、40、50のうち少なくとも一つのバッテリーモジュールにおける異常状況による高温発生時、隣接するバッテリーモジュール側への熱伝達を遅延させることができる。
【0046】
このために、複数個の断熱部材70は、低い熱伝導度を有する物質で備えられ得る。図3を参照すると、各々の断熱部材80は、複数個の断熱層の集合体として備えられ得る。
【0047】
このような複数個の断熱部材70、80は、隣接するバッテリーモジュール30、40、50側への熱伝達を最大限に遅延させることができる単一部材や複数個の層間構造で設けられ得る。
【0048】
エネルギードレインユニット100は、少なくとも一つの断熱部材70と離隔し、複数個のバッテリーモジュール30、40、50のうちいずれか一つのバッテリーモジュール40と接続され、複数個のバッテリーモジュール30、40、50のうち少なくとも一つのバッテリーモジュール30、40、50の熱暴走時、いずれか一つのバッテリーモジュール40を外部で短絡させることができる。
【0049】
エネルギードレインユニット100は、少なくとも三つのバッテリーモジュール30、40、50のうち中央に配置されるバッテリーモジュール40と接続され得る。即ち、エネルギードレインユニット100は、第1~第3バッテリーモジュール30、40、50のうち第2バッテリーモジュール40と接続され得る。
【0050】
以下、本実施例によるエネルギードレインユニット100について詳細に説明する。
【0051】
図4は、図1のエネルギードレインユニットを説明するための図である。
【0052】
図4を参照すると、エネルギードレインユニット100は、複数個のバッテリーモジュール30、40、50のバッテリーセル35、45、55の異常状況による高温発生時、熱暴走及びそれによる熱伝播による爆発などの危険をより速かに防止できるように、このような異常状況時に特定のバッテリーモジュール40を外部短絡させ得る。
【0053】
具体的には、エネルギードレインユニット100は、複数個のバッテリーモジュール30、40、50のうちいずれか一つのバッテリーモジュール30、40、50の異常状況による熱暴走の発生時、熱暴走(Thermal Runaway)が発生したバッテリーモジュール30、40、50と隣接するバッテリーモジュール30、40、50側への熱伝播(Thermal Propagation)を効果的に防止できるように、特定のバッテリーモジュール40を外部短絡させ得る。
【0054】
以下、このような本実施例によるエネルギードレインユニット100についてより具体的に説明する。
【0055】
このようなエネルギードレインユニット100は、ドレインケース110、リレーユニット130及び抵抗ユニット150を含み得る。
【0056】
ドレインケース110は、パックケース10の外部に備えられ、リレーユニット130と抵抗ユニット150を収容し得る。このために、ドレインケース110には、リレーユニット130と抵抗ユニット150を収容するための収容空間が設けられ得る。一方、ドレインケース110は、パックケース10と分離されるように脱着可能に設けられ得る。
【0057】
リレーユニット130は、ドレインケース110の内部に備えられ、いずれか一つのバッテリーモジュール40、即ち、第2バッテリーモジュール40のバッテリーセル45と接続されてオンオフ(On/Off)動作可能に設けられ得る。リレーユニット130のオンオフ動作は、電子式または機械式構造で設けられることが可能であり、制御ユニットなどと接続されて動作するか、または予め設定された温度以上で動作するように備えられ得る。
【0058】
抵抗ユニット150は、リレーユニット130と接続され、パックケース10の外部に設けられ得る。具体的には、抵抗ユニット150は、リレーユニット130のように、ドレインケース110の内部に備えられ得る。
【0059】
このような抵抗ユニット150は、リレーユニット130と第2バッテリーモジュール40のバッテリーセル45と接続される抵抗体を備え得る。これによって、複数個のバッテリーモジュール30、40、50のうち少なくとも一つのバッテリーモジュール30、40、50の熱暴走時、リレーユニット130のスイッチがオンされ、いずれか一つのバッテリーモジュール40の少なくとも一つのバッテリーセル45の貯蔵エネルギーは、抵抗ユニット150の抵抗体によって熱エネルギーに変換され得る。
【0060】
抵抗ユニット150は、抵抗体の冷却のために、冷却システム200と接続され得る。具体的には、抵抗ユニット150は、エネルギードレインユニット100の外部の冷却装置200と接続され、抵抗ユニット150の内部には、冷却装置200から供給される冷却剤Cが満たされ得る。ここで、冷却剤Cは、絶縁物質で備えられ得る。
【0061】
このような抵抗ユニット150は、ユニット本体152、供給パイプ154及び排出パイプ156を含み得る。
【0062】
ユニット本体152は、抵抗体を備え、冷却剤Cが内部に満たされ得る。このようなユニット本体152は、ドレインケース110の内部に備えられ、リレーユニット130と所定の距離で離隔して配置され得る。
【0063】
供給パイプ154は、冷却システム200から冷却剤Cの供給を受けるためのものであって、ユニット本体152の一側に備えられ、冷却システム200と連通するように接続され得る。このような供給パイプ154は、冷却システム200から冷却剤Cの供給を受けてユニット本体152の内部へ案内し得る。
【0064】
排出パイプ156は、冷却剤Cを冷却装置200へ送るためのものであって、ユニット本体152の一側で、供給パイプ154と所定の距離で離隔して、冷却システム200と連通するように接続され得る。このような排出パイプ156は、ユニット本体152の内部の冷却剤Cが冷却装置200側へ排出されるように案内し得る。
【0065】
以下では、このような本実施例によるバッテリーパック1のバッテリーセル35、45、55において、過熱などによる熱暴走のような異常状況の発生時、エネルギードレインユニット100による熱暴走防止メカニズムについてより具体的に説明する。
【0066】
図5及び図6は、図1のバッテリーパックにおいて、バッテリーモジュールのバッテリーセルに異常状況が発生したときのエネルギードレインユニットの動作を説明するための図である。
【0067】
図5を参照すると、バッテリーパック1において、複数個のバッテリーモジュール30、40、50のうちエネルギードレインユニット100と接続されていないバッテリーモジュール30、50において、異常状況による過熱や熱暴走状況が発生し得る。例えば、第1~第3バッテリーモジュール30、40、50のうち第1バッテリーモジュール30のバッテリーセル35において異常状況による過熱や熱暴走状況が発生し得る。
【0068】
この場合、断熱部材70は、隣接するバッテリーモジュール40側への熱伝達を優先的に遮断できる。また、エネルギードレインユニット100は、異常状況の発生時、所定の温度以上の条件満足または制御ユニットの制御などによってリレーユニット130のスイッチが閉じられ得る。
【0069】
これによって、エネルギードレインユニット100と接続されたバッテリーモジュール40、即ち、第2バッテリーモジュール40のバッテリーセル45がエネルギードレインユニット100によって外部短絡される。具体的には、第2バッテリーモジュール40のバッテリーセル45の貯蔵エネルギーは、エネルギードレインユニット100の抵抗ユニット150によって熱エネルギーに変換され得る。
【0070】
ここで、第2バッテリーモジュール40のバッテリーセル40のエネルギーは、ほぼSOC(State Of Charge)30%以下に減少でき、このようなエネルギードレインユニット100と接続された第2バッテリーモジュール40のSOC減少によって、バッテリーモジュール30、40、50間の熱伝播をさらに効果的に防止できる。
【0071】
図6を参照すると、バッテリーパック1において、エネルギードレインユニット100と接続されたバッテリーモジュール40において異常状況による過熱や熱暴走状況が発生する場合、エネルギードレインユニット100は、異常状況の発生時、所定の温度以上の条件満足または制御ユニットの制御などによってリレーユニット130のスイッチが閉じられ得る。
【0072】
同様に、第2バッテリーモジュール40のバッテリーセル45がエネルギードレインユニット100によって外部短絡され得る。具体的には、第2バッテリーモジュール40のバッテリーセル45の貯蔵エネルギーは、エネルギードレインユニット100の抵抗ユニット150によって熱エネルギーに変換され得る。
【0073】
これによって、第2バッテリーモジュール40から第1バッテリーモジュール30や第3バッテリーモジュール50側へ伝達される熱エネルギーを急激に低めて、隣接するバッテリーモジュール30、50側への熱伝播を効果的に防止することができる。この際、断熱部材70によっても熱伝達が遅延可能であることは勿論である。
【0074】
一方、このようなエネルギードレインユニット100の動作時、抵抗ユニット150の供給パイプ154及び排出パイプ156は、冷却システム200から冷却剤Cのユニット本体152側への供給及びユニット本体152の外部への排出をガイドし、ユニット本体152の内部で冷却剤Cの円滑な循環を図ることができる。これによって、抵抗ユニット150は、安全性をさらに維持しながらバッテリーセル45の貯蔵エネルギーを熱エネルギーに効果的に変換できる。
【0075】
図7は、本発明の他の実施例によるバッテリーパックを説明するための図であり、図8は、図7のエネルギードレインユニットを説明するための図である。
【0076】
本実施例によるバッテリーパック2は、前述した実施例のバッテリーパック1と類似であるので、前述した実施例と実質的に同一または類似の構成については重複する説明を省略し、以下、前述した実施例との差異点を中心にして説明する。
【0077】
図7及び図8を参照すると、バッテリーパック2は、パックケース10、バッテリーモジュール30、40、50、断熱部材70及びエネルギードレインユニット300を含み得る。
【0078】
パックケース10、バッテリーモジュール30、40、50及び断熱部材70は、前述した実施例と実質的に同一または類似であるので、以下、重複する説明を省略する。
【0079】
エネルギードレインユニット300は、ドレインケース310、リレーユニット330及び抵抗ユニット350を含み得る。
【0080】
ドレインケース310及びリレーユニット330は、前述した実施例のドレインケース110及びリレーユニット130と実質的に同一または類似であるので、以下、重複する説明を省略する。
【0081】
抵抗ユニット350は、抵抗体を備え、内部に絶縁油355が満たされ得る。絶縁油355は、抵抗ユニット350の内部で抵抗体を冷却させることができる。
【0082】
本実施例によるバッテリーパック2の場合、エネルギードレインユニット300の抵抗ユニット350の内部に絶縁油355が満たされるので、別の冷却装置200と追加的に接続しなくても抵抗ユニット350をさらに簡便に冷却させることができる。
【0083】
以上のような多様な実施例によって、複数個のバッテリーモジュール30、40、50のバッテリーセル35、45、55の異常状況の発生時、熱暴走による熱伝播をより迅速に抑制可能なバッテリーパック1、2及びそれを含む電力貯蔵装置を提供することができる。
【0084】
以上、本発明の望ましい実施例について図示及び説明したが、本発明は上述した特定の望ましい実施例に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨から外れることなく当該発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって多様に変形できることは言うまでもなく、かかる変形は、本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはいけない。
【符号の説明】
【0085】
1、2 バッテリーパック
10 パックケース
30 第1バッテリーモジュール
40 第2バッテリーモジュール
50 第3バッテリーモジュール
70、80 断熱部材
100 エネルギードレインユニット
110 ドレインケース
130 リレーユニット
150 抵抗ユニット
152 ユニット本体
154 供給パイプ
156 排出パイプ
200 冷却装置
300 エネルギードレインユニット
310 ドレインケース
330 リレーユニット
350 抵抗ユニット
355 絶縁油
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8