(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】バッテリーラック及びそれを含む電力貯蔵装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/291 20210101AFI20231219BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20231219BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20231219BHJP
H01M 10/6555 20140101ALI20231219BHJP
H01M 10/658 20140101ALI20231219BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20231219BHJP
H01M 50/251 20210101ALI20231219BHJP
【FI】
H01M50/291
H01M10/613
H01M10/647
H01M10/6555
H01M10/658
H01M50/211
H01M50/204 401H
H01M50/251
H01M50/204 401Z
(21)【出願番号】P 2022532652
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(86)【国際出願番号】 KR2021002635
(87)【国際公開番号】W WO2021194115
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-05-31
(31)【優先権主張番号】10-2020-0037032
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョン-スン・ナ
(72)【発明者】
【氏名】サン-ジュン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ダル-モ・カン
(72)【発明者】
【氏名】ギュ-ジョン・ペ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン-ソク・チェ
【審査官】小川 進
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0059907(KR,A)
【文献】特開2015-079655(JP,A)
【文献】特開2017-177533(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0192543(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0135476(KR,A)
【文献】特開2017-139099(JP,A)
【文献】中国実用新案第203967157(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0093982(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0226034(US,A1)
【文献】特開2003-059471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/291
H01M 10/613ー10/658
H01M 50/211
H01M 50/204
H01M 50/251
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーパックと、
前記複数のバッテリーパックが上下に互いに離隔して収納されて前記複数のバッテリーパック同士の間が上下に連通するように開放された構造を有する収納空間を備え、前記収納空間には、前記複数のバッテリーパックと離隔して前記複数のバッテリーパック同士の間に位置し、前記バッテリーパックの体積が膨張する場合、前記バッテリーパックの体積膨張を阻止するように構成されたストッパが備えられたラックケースと、
を含
み、
前記ラックケースは、前記収納空間を形成するように構成された上面壁、下面壁、左側壁、右側壁及び背面壁を備え、
前記ストッパは、前記左側壁、右側壁及び背面壁のうち少なくとも一つから水平方向に延びたビーム形態であり、
前記ラックケースの背面壁の内面から前方に延びたビームと前記ラックケースの左側壁の内面から右側壁の内面まで延びたビームとが互いに交差して連結された形態を有する、バッテリーラック。
【請求項2】
前記ストッパは、前記ビーム形態の垂直断面が四角形状、I字状またはH字状である、請求項
1に記載のバッテリーラック。
【請求項3】
前記ストッパは、前記バッテリーパックの体積が膨張する場合、前記バッテリーパックを押し付けるように構成された本体部と、前記背面壁、左側壁及び右側壁のうち少なくとも一つに結合された固定部と、を備える、請求項
1または2に記載のバッテリーラック。
【請求項4】
前記ラックケースは、前記複数のバッテリーパックそれぞれの下部を上方に支持するように構成された複数の棚プレートをさらに備える、請求項
3に記載のバッテリーラック。
【請求項5】
前記ストッパの本体部は、前記棚プレートに連結されて下方に段差を設けた段差構造を有する、請求項
4に記載のバッテリーラック。
【請求項6】
前記ラックケースは、前記バッテリーパックの下面と前記棚プレートとの間に介在され、所定温度以上で固体から液体に相変化するように構成された支え部材をさらに備える、請求項
4または
5に記載のバッテリーラック。
【請求項7】
前記ラックケースは、
前記ストッパの上部または下部に位置し、熱伝導を遮断するように構成された断熱パッドをさらに備える、請求項1から
6のいずれか一項に記載のバッテリーラック。
【請求項8】
前記ラックケースは、
前記ストッパの上部または下部に位置し、熱を吸収するように構成された冷却パッドをさらに備える、請求項1から
7のいずれか一項に記載のバッテリーラック。
【請求項9】
請求項1から
8のうちいずれか一項に記載のバッテリーラックを少なくとも一つ含む、電力貯蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーラック及びそれを含む電力貯蔵装置に関し、より詳しくは、複数のバッテリーパックのうち一部で火災や熱暴走が発生した場合、隣接した他のバッテリーパックに火災や熱が伝播することを効果的に防止できるバッテリーラックに関する。
【0002】
本出願は、2020年3月26日付け出願の韓国特許出願第10-2020-0037032号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
現在、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などの二次電池が商用化しているが、中でもリチウム二次電池はニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果が殆ど起きず充放電が自在であって、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0004】
このようなリチウム二次電池は、主に、リチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質と負極活物質として使用する。リチウム二次電池は、このような正極活物質が塗布された正極板と負極活物質が塗布された負極板とがセパレータを介在して配置された電極組立体、及び電極組立体を電解液とともに封止収納する外装材、例えば電池パウチ外装材を備える。
【0005】
近年、携帯型電子機器のような小型装置だけでなく、自動車や電力貯蔵装置のような中大型装置にも二次電池が広く適用されている。中大型装置に適用される場合、容量及び出力を高めるため、多数の二次電池が電気的に接続される。特に、このような中大型装置には、積層し易いという長所からパウチ型二次電池が多く用いられている。
【0006】
一方、近年、エネルギー貯蔵源としての活用を始めとして大容量構造に対する必要性が高くなるとともに、電気的に直列及び/または並列で接続された多数の二次電池、及びこのような二次電池を内部に収容したバッテリーパック及びバッテリー管理システム(BMS:Battery Management System)を備えたバッテリーラックに対する需要が増加している。
【0007】
このようなバッテリーラックは、一般に、複数のバッテリーパックを外部衝撃から保護するか又は収納保管するため、金属材質のラックケースを備える。さらに、近年、高容量のバッテリーラックの需要が高くなり、多数のバッテリーパックが収納されたバッテリーラックに対する要求が伸びている。
【0008】
しかし、従来のバッテリーラックは、複数のバッテリーパックのうちいずれか一つのバッテリーパックの二次電池で熱暴走や火災が発生すると、隣接したバッテリーパックに熱が伝達されて2次熱暴走や2次火災などが起きるおそれがあるため、それを防止するための努力が重ねられている。
【0009】
特に、熱暴走や火災が発生したバッテリーパックは、その体積が膨張して隣接した他のバッテリーパックと接触し得るため、このような接触によって熱伝達の速度が急激に速まり、熱暴走や火災の伝播速度が一層速くなる問題がある。
【0010】
上記の問題を避けようとして複数のバッテリーパック同士を離隔して配置すると、一つのバッテリーラックに収容可能なバッテリーパックの個数が減少し、バッテリーラック全体のエネルギー密度が低減するため、バッテリーパック同士を離隔させるには限界がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の問題点を解決するために創案されたものであって、複数のバッテリーパックのうち一部で火災や熱暴走が発生した場合、隣接した他のバッテリーパックに火災や熱が伝播することを効果的に防止できるバッテリーラックを提供することを目的とする。
【0012】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施形態によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するため、本発明の一態様によるバッテリーラックは、
複数のバッテリーパックと、
複数のバッテリーパックが上下に互いに離隔して収納されて複数のバッテリーパック同士の間が上下に連通するように開放された構造を有する収納空間を備え、収納空間には、複数のバッテリーパックと離隔して複数のバッテリーパック同士の間に位置し、バッテリーパックの体積が膨張する場合、バッテリーパックの体積膨張を阻止するように構成されたストッパが備えられたラックケースと、を含む。
【0014】
また、ラックケースは、収納空間を形成するように構成された上面壁、下面壁、左側壁、右側壁及び背面壁を備える。
【0015】
さらに、ストッパは、左側壁、右側壁及び背面壁のうち少なくとも一つから水平方向に延びたビーム形態であり得る。
【0016】
そして、ストッパは、ビーム形態の垂直断面が四角形状、I字状またはH字状であり得る。
【0017】
さらに、ストッパは、バッテリーパックの体積が膨張する場合、バッテリーパックを押し付けるように構成された本体部と、背面壁、左側壁及び右側壁のうち少なくとも一つに結合された固定部と、を備え得る。
【0018】
また、ラックケースは、複数のバッテリーパックそれぞれの下部を上方に支持するように構成された複数の棚プレートをさらに備え得る。
【0019】
さらに、ストッパの本体部は、棚プレートに連結されて下方に段差を設けた段差構造を有し得る。
【0020】
そして、ラックケースは、バッテリーパックの下面と棚プレートとの間に介在され、所定温度以上で固体から液体に相変化するように構成された支え部材をさらに備え得る。
【0021】
さらに、ラックケースは、
ストッパの上部または下部に位置し、熱伝導を遮断するように構成された断熱パッドをさらに備え得る。
【0022】
また、ラックケースは、
ストッパの上部または下部に位置し、熱を吸収するように構成された冷却パッドをさらに備え得る。
【0023】
さらに、上記の目的を達成するため、本発明の他の一態様による電力貯蔵装置は、上述したバッテリーラックを少なくとも一つ含む。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様によれば、本発明のバッテリーラックは、複数のバッテリーパック、及び複数のバッテリーパックが上下に互いに離隔して収納されて複数のバッテリーパック同士の間が上下に連通するように開放された構造を有する収納空間を備え、収納空間に一部のバッテリーパックの体積膨張を阻止するように構成されたストッパが備えられたラックケースを含むことで、熱暴走や火災によって内部の複数の二次電池の体積が膨張してバッテリーパックの大きさが変形される場合、ストッパによって変形の発生したバッテリーパックが上部や下部に位置した他のバッテリーパックと接触することを阻止できるため、熱暴走や火災が発生したバッテリーパックから隣接した他のバッテリーパックに熱が伝達されて他のバッテリーパックに熱暴走や火災が伝播することを防止することができる。
【0025】
また、本発明の一態様によれば、本発明のバッテリーラックは、ストッパの上部または下部に位置し、熱伝導を遮断するように構成された断熱パッドをさらに備えることで、熱暴走や火災が発生したバッテリーパックから上段または下段に位置した他のバッテリーパックに熱が伝達されることを遮断することができる。
【0026】
そして、本発明の一態様によれば、本発明のバッテリーラックは、バッテリーパックの下面と棚プレートとの間に介在され、所定温度以上で固体から液体に相変化するように構成された支え部材をさらに備えることで、複数のバッテリーパックのうち一部のバッテリーパックで熱暴走や火災が発生する場合、発生した熱によって支え部材が薄くなりながら熱暴走や火災が発生したバッテリーパックの位置を下方に移動させることができる。これにより、熱暴走や火災が発生して体積が膨張したバッテリーパックが隣接した他のバッテリーパックと接触することを防止し、熱伝導量を効果的に減らすことができる。結果的に、一部のバッテリーパックで熱暴走や火災が発生しても、隣接した他のバッテリーパックに熱暴走や火災が伝播することを防止することができる。
【0027】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態によるバッテリーラックを概略的に示した前方斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるバッテリーラックの一部構成であるバッテリーパックを概略的に示した前方斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるバッテリーラックの一部構成であるバッテリーパックのセルアセンブリを概略的に示した斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるバッテリーラックを概略的に示した正面図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるバッテリーラックの一部のバッテリーパックの体積膨張を概略的に示した正面図である。
【
図6】本発明の一実施形態によるバッテリーラックの一部構成であるラックケースを概略的に示した斜視図である。
【
図7】
図6のC-C’線に沿って切断したバッテリーラックの一部構成を示した水平断面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態によるバッテリーラックの一部構成を示した水平断面図である。
【
図9】本発明の第3実施形態によるバッテリーラックの一部構成を示した水平断面図である。
【
図10】本発明の第4実施形態によるバッテリーラックを概略的に示した正面図である。
【
図11】本発明の第5実施形態によるバッテリーラックを概略的に示した正面図である。
【
図12】本発明の第6実施形態によるバッテリーラックを概略的に示した正面図である。
【
図13】本発明の第6実施形態によるバッテリーラックの一部構成を示した水平断面図である。
【
図14】本発明の第7実施形態によるバッテリーラックを概略的に示した正面図である。
【
図15】本発明の第8実施形態によるバッテリーラックを概略的に示した正面図である。
【
図16】本発明の第9実施形態によるバッテリーラックを概略的に示した正面図である。
【
図17】本発明の第10実施形態によるバッテリーラックを概略的に示した正面図である。
【
図18】本発明の実験に使われた熱暴走が発生したバッテリーパックの温度変化グラフである。
【
図19】本発明の実験に使われた比較例のバッテリーパックの温度変化グラフである。
【
図20】本発明の実験に使われた実施例のバッテリーパックの温度変化グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0030】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0031】
図1は本発明の一実施形態によるバッテリーラックを概略的に示した前方斜視図であり、
図2は本発明の一実施形態によるバッテリーラックの一部構成であるバッテリーパックを概略的に示した前方斜視図であり、
図3は本発明の一実施形態によるバッテリーラックの一部構成であるバッテリーパックのセルアセンブリを概略的に示した斜視図である。参考までに、
図1において、X軸方向は左右方向を意味し、Y軸方向は前後方向を意味し、Z軸方向は上下方向を意味する。
【0032】
図1~
図3を参照すると、本発明のバッテリーラック300は、複数のバッテリーパック200及びラックケース310を含む。
【0033】
まず、複数のバッテリーパック200は、上下に配列された形態でラックケース310に収容されるように構成され得る。また、複数のバッテリーパック200は、パックハウジング210、モジュールBMS230、及びパックハウジング210の内部に備えられ、一方向に積層された複数の二次電池110を有するセルアセンブリ100を備え得る。ここで、モジュールBMS230は、バッテリーパック200の電流及び温度を測定し、複数の二次電池110の充放電を制御するように構成され得る。
【0034】
また、バッテリーパック200の前端には二つの外部入出力端子221が備えられ得る。二つの外部入出力端子221のうち一方は極性が正であり、他方は極性が負である。
【0035】
具体的には、二次電池110は、パウチ型二次電池110であり得る。例えば、
図3に示されたように、F方向(
図1を参照)から眺めたとき、セルアセンブリ100は21個のパウチ型二次電池110が前後方向に並んで積層されて構成され得る。
【0036】
一方、本明細書では、特に言及しない限り、上、下、前、後、左、右の方向に対してF方向から眺めたときを基準とする。
【0037】
さらに、
図3のように、F方向から眺めたとき、正極リード112と負極リード111とは、二次電池110のパウチ116の中心を基準にして互いに反対方向である左右方向の端部に形成され得る。すなわち、正極リード112は、二次電池110の中心を基準にして一端部(左端部)に備えられ得る。また、負極リード111は、二次電池110の中心を基準にして他端部(右端部)に備えられ得る。
【0038】
しかし、本発明によるバッテリーパック200には、上述したパウチ型二次電池110のみに限定されず、本願発明の出願時点で公知の多様な二次電池110が採用され得る。
【0039】
以下、「水平方向」とは、バッテリーパック200を地面においたとき、地面に平行な方向を意味し、上下方向に垂直な平面上の少なくとも一方向であるとも言える。
【0040】
バッテリーパック200は、複数の二次電池110を電気的に接続するように構成された少なくとも一つのバスバー(図示せず)を備え得る。具体的には、バスバーは、伝導性金属を含み得、例えば、銅、アルミニウム、ニッケルなどを含み得る。
【0041】
図4は本発明の一実施形態によるバッテリーラックを概略的に示した正面図であり、
図5は本発明の一実施形態によるバッテリーラックの一部のバッテリーパックの体積膨張を概略的に示した正面図であり、
図6は本発明の一実施形態によるバッテリーラックの一部構成であるラックケースを概略的に示した斜視図である。
【0042】
図1とともに
図4~
図6をさらに参照すると、本発明のラックケース310は、内部に複数のバッテリーパック200が上下に互いに離隔して収納され得る。ラックケース310は、複数のバッテリーパック200同士の間が上下に連通するように開放された構造を有する収納空間312を備え得る。例えば、ラックケース310は、収納空間312を形成する外壁を有し得る。外壁は、上面壁310a、下面壁310b、左側壁310c、右側壁310d及び背面壁310eを備え得る。
【0043】
また、ラックケース310の収納空間312には、上下方向に配列された複数の棚プレート318が左側壁310cの内面及び右側壁310dの内面にそれぞれ備えられ得る。複数の棚プレート318に複数のバッテリーパック200が上下方向に所定の間隔で離隔して配置され得る。そして、左右両側に配置された棚プレート318の間は、複数のバッテリーパック200同士の間が上下に連通するように開放された構造で形成され得る。このような開放された構造を通じてバッテリーパック200同士の間で流れる空気が上下に円滑に移動できる。
【0044】
さらに、収納空間312には、
図5に示されたように、一部のバッテリーパック200Aの体積が膨張する場合、バッテリーパック200Aの体積膨張を阻止するように構成された少なくとも一つのストッパ320が備えられ得る。例えば、ストッパ320は、複数のバッテリーパック200同士の間に位置し得る。ストッパ320は、複数のバッテリーパック200と上下方向(Z軸方向)に離隔するように位置し得る。例えば、ストッパ320は、複数のバッテリーパック200のうち、上段に位置したバッテリーパック200よりも下部に位置し、下段に位置したバッテリーパック200よりも上部に位置し得る。
【0045】
さらに具体的には、バッテリーパック200は、内部に複数のパウチ型二次電池110が備えられるため、バッテリーパック200の充放電中に、複数のパウチ型二次電池110に熱暴走、火災などの異常挙動が起きる場合、複数のパウチ型二次電池110の内部に多量のガスが発生してパウチ型二次電池110の体積が膨張することで、内圧によってバッテリーパック200Aの外形が膨張及び変形するおそれがある。このとき、本発明のストッパ320は、
図5に示されたように、バッテリーパック200の体積膨張を下方または上方に阻止するように構成され得る。
【0046】
したがって、本発明のこのような構成によれば、本発明のバッテリーラック300は、複数のバッテリーパック200、及び複数のバッテリーパック200が上下に互いに離隔して収納されて複数のバッテリーパック200同士の間が上下に連通するように開放された構造を有する収納空間312を備え、収納空間312に一部のバッテリーパック200Aの体積膨張を阻止するように構成されたストッパ320が備えられたラックケース310を含むことで、熱暴走や火災によって内部の複数の二次電池110の体積が膨張してバッテリーパック200の大きさが変形される場合、変形の発生したバッテリーパック200Aが上部や下部に位置した他のバッテリーパック200と接触することをストッパ320が阻止できるため、熱暴走や火災が発生したバッテリーパック200Aから隣接した他のバッテリーパック200に熱が伝達されて他のバッテリーパック200に熱暴走や火災が伝播することを防止することができる。
【0047】
図7は
図6のC-C’線に沿って切断したバッテリーラックの一部構成を示した水平断面図であり、
図8は本発明の第2実施形態によるバッテリーラックの一部構成を示した水平断面図であり、
図9は本発明の第3実施形態によるバッテリーラックの一部構成を示した水平断面図である。
【0048】
ここで、
図7~
図9は、説明の便宜上、ラックケース310の外壁及びストッパ320のみを示した。
【0049】
図4及び
図6とともに
図7を参照すると、本発明のストッパ320は、左側壁310c、右側壁310d及び背面壁310eのうち少なくとも一つから水平方向に延びたビーム形態であり得る。例えば、
図7に示されたように、ストッパ320は、ラックケース310の背面壁310eの内面から前方に延びた六面体のビーム形態であり得る。
図7には一つのストッパ320が示されているが、水平方向に並んだ少なくとも三つ以上のストッパ320を備えてもよい。
【0050】
また、
図4及び
図6とともに
図8を参照すると、第2実施形態によるバッテリーラック300Aのストッパ320Aは、ラックケース310Aの左側壁310cの内面から右側壁310dの内面まで延びたビーム形態であり得る。すなわち、ストッパ320Aは、平面視でI字状のビーム形態であり得る。本発明の第2実施形態による
図8のストッパ320Aは、ラックケース310Aの左側壁310cの内面と右側壁310dの内面と連結された構造を有しているため、単にラックケース310Aの背面壁310eと連結された構造の
図7のストッパ320よりも変形されたバッテリーパック200をさらに強力に阻止することができる。
【0051】
さらに、
図4及び
図6とともに
図9を参照すると、第3実施形態によるバッテリーラック300Bのストッパ320Bは、ラックケース310Bの背面壁310eの内面から前方に延びた六面体のビームとラックケース310Bの左側壁310cの内面から右側壁310dの内面まで延びたI字状のビームとが互いに連結された十字状の形態であり得る。
【0052】
したがって、本発明の第3実施形態による
図9のストッパ320Bは、背面壁310eと連結された六面体のビームと、ラックケース310Bの左側壁310c及び右側壁310dと連結されたI字状のビームとが互いに連結された十字状の形態を有することで、第2実施形態による左側壁310c及び右側壁310dと連結されたストッパ320Aと比べて、より多い連結部分を有し得る。これにより、
図9のストッパ320Bは、
図8のストッパ320Aよりも変形されたバッテリーパック200をさらに強力に阻止することができる。
【0053】
図4及び
図6とともに
図7をさらに参照すると、ストッパ320は、本体部321及び固定部323を備え得る。本体部321は、バッテリーパック200の体積が膨張する場合、バッテリーパック200を押し付けるように構成され得る。例えば、本体部321は、バッテリーパック200の変形が発生する可能性が最も高い中央部分に対応するように位置し得る。
【0054】
また、固定部323は、背面壁310e、左側壁310c及び右側壁310dのうち少なくとも一つに結合され得る。例えば、
図7を参照すると、
図7のストッパ320は、バッテリーパック200の前後方向の中心軸と対応する位置に本体部321が備えられ、固定部323はラックケース310の背面壁310eの内面と結合された構造を有し得る。このとき、溶接結合またはボルト結合が可能である。
【0055】
さらに、
図8を参照すると、
図8のストッパ320Aは、バッテリーパック200の左右方向の中心軸と対応する位置に本体部321が備えられ、固定部323はラックケース310の左側壁310cの内面及び右側壁310dの内面にそれぞれ形成され得る。
【0056】
そして、
図9を参照すると、
図9のストッパ320Bは、バッテリーパック200の前後方向の中心軸及び左右方向の中心軸と対応する位置に本体部321が備えられ、固定部323はラックケース310の背面壁310eの内面、左側壁310cの内面及び右側壁310dの内面にそれぞれ結合された構造を有し得る。
【0057】
図10は、本発明の第4実施形態によるバッテリーラックを概略的に示した正面図である。
【0058】
図10を参照すると、第4実施形態によるバッテリーラック300Cのラックケース310Cは断熱パッド350をさらに備え得る。断熱パッド350は、ストッパ320の上部または下部に位置し得る。例えば、断熱パッド350は、ストッパ320の上面に接着剤(図示せず)を用いて貼り付けられ得る。断熱パッド350は、ポリイミドなどの耐熱性樹脂、グラスウールやロックウールなどの繊維質、及び/またはセラミック材質を含む断熱材を備え得る。
【0059】
したがって、本発明のこのような構成によれば、本発明のラックケース310Cは、ストッパ320の上部または下部に位置し、熱伝導を遮断するように構成された断熱パッド350をさらに備えることで、熱暴走や火災が発生したバッテリーパック200から上段または下段に位置した他のバッテリーパック200に熱が伝達されることを断熱パッド350が遮断することができる。
【0060】
図11は、本発明の第5実施形態によるバッテリーラックを概略的に示した正面図である。
【0061】
図11を参照すると、本発明の第5実施形態によるバッテリーラック300Dのラックケース310Dは、ストッパ320の上部または下部に冷却パッド360をさらに備え得る。冷却パッド360は、熱を吸収するように構成され得る。例えば、冷却パッド360は、熱を吸収して気化する冷媒(図示せず)を含み得る。例えば、冷媒は、水、フレオン系冷媒、アンモニア、アセトン、メタノール、エタノール、ナフタレン、硫黄または水銀などであり得る。
【0062】
したがって、本発明のこのような構成によれば、本発明のラックケース310Dは、ストッパ320の上部または下部に位置し、熱を吸収するように構成された冷却パッド360をさらに備えることで、冷却パッド360が熱暴走や火災が発生したバッテリーパック200で発生した熱を吸収し、上段に位置した他のバッテリーパック200に熱が伝達されることを遮断することができる。
【0063】
図12は本発明の第6実施形態によるバッテリーラックを概略的に示した正面図であり、
図13は本発明の第6実施形態によるバッテリーラックの一部構成を示した水平断面図である。ここで、
図13には、説明の便宜上、バッテリーラックの外壁、棚プレート及びストッパの一部のみを示した。
【0064】
図12及び
図13を参照すると、本発明の第6実施形態のバッテリーラック300Eのラックケース310Eは、複数の棚プレート318を備える。複数の棚プレート318は、それぞれ、複数のバッテリーパック200それぞれの下部を上方に支持するように構成され得る。例えば、
図12に示されたように、一対の棚プレート318がラックケース310Eの左側壁310cの内面及び右側壁310dの内面にそれぞれ結合され得る。このとき、一つのバッテリーパック200の下部の両端が一対の棚プレート318のそれぞれの上部に載置され得る。このようにラックケース310Eには、5個のバッテリーパック200が所定の間隔で離隔して載置されるように総10個の棚プレート318が備えられ得る。
【0065】
また、
図13に示されたように、本発明の第6実施形態のラックケース310Eのストッパ320Eは、棚プレート318と連結された本体部321Eを備え得る。ストッパ320Eは、棚プレート318に載置されたバッテリーパック200と所定の距離で離隔するように、棚プレート318から下方に段差を設けた段差構造320sを有し得る。例えば、
図12に示されたように、ストッパ320Eは、本体部321Eの中央部位を基準にして左右両側に、下方に段差を設けた段差構造320sが備えられ得る。
【0066】
したがって、本発明のこのような構成によれば、ストッパ320Eの本体部321Eが棚プレート318に連結され、下方に段差を設けた段差構造320sを有することで、ストッパ320Eが段差構造320sによってバッテリーパック200の膨張を弾力的に阻止できるだけでなく、より強い下方の力を発揮することができる。
【0067】
図14は、本発明の第7実施形態によるバッテリーラックを概略的に示した正面図である。
【0068】
図14を参照すると、第7実施形態によるバッテリーラック300Fのラックケース310Fは、上下方向に所定の厚さを有する支え部材340をさらに備え得る。支え部材340は、バッテリーパック200の下面と棚プレート318との間に介在され得る。例えば、
図14に示されたように、二つの支え部材340が左右側に配置された二つの棚プレート318の上面に位置し得る。そして、二つの支え部材340の上面には、バッテリーパック200が載置され得る。
【0069】
また、支え部材340は、所定温度以上で固体から液体に相変化するように構成され得る。例えば、支え部材340に含まれる相変化物質の代表的な例としては、安価であって分子量によって相変化温度を調節し易いパラフィンが挙げられる。しかし、必ずしもこのような素材に限定されることはない。パラフィンは、90℃~200℃で相変化するように構成され得る(例えば、パラフィン163、米国産)。
【0070】
さらに、支え部材340は、バッテリーパック200の熱暴走や火災時に発生した熱を吸収して相変化し得る。支え部材340は、固体から液体に相変化するとき、液体に変化した一部が棚プレート318とバッテリーパック200との間の空間から外部に流れるように構成され得る。これにより、支え部材340は、相変化する量が多くなるほどその厚さが薄くなる。また、支え部材340の上下方向の厚さが薄くなるほど、バッテリーパック200の位置が徐々に下がり得る。すなわち、バッテリーパック200で発生した熱によって支え部材340が溶けて流れ、これによってバッテリーパック200の位置が低くなることで、バッテリーパック200の体積膨張によるバッテリーパック200上部の上方への移動を減少させることができる。
【0071】
したがって、本発明のこのような構成によれば、本発明の他の実施形態によるラックケース310Fは、バッテリーパック200の下面と棚プレート318との間に介在され、所定温度以上で固体から液体に相変化するように構成された支え部材340をさらに備えることで、複数のバッテリーパック200のうち一部のバッテリーパック200で熱暴走や火災が発生する場合、発生した熱によって支え部材が薄くなりながら熱暴走や火災が発生したバッテリーパック200の位置を下方に移動させることができる。これにより、熱暴走や火災が発生して体積が膨張したバッテリーパック200が隣接した他のバッテリーパック200と接触することを防止し、熱伝導量を効果的に減らすことができる。結果的に、一部のバッテリーパック200で熱暴走や火災が発生しても、隣接した他のバッテリーパック200に熱暴走や火災が伝播することを防止することができる。
【0072】
図15は、本発明の第8実施形態によるバッテリーラックを概略的に示した正面図である。
【0073】
図15を参照すると、
図15のバッテリーラック300Gのストッパ320Gは、ビーム形態の垂直断面が四角形状であり得る。すなわち、ストッパ320Gは中空の角管形態であり得る。
【0074】
したがって、本発明による
図15のストッパ320Gは、ビーム形態の垂直断面が四角形状であるため、バッテリーパックと接触する場合、ストッパ320Gの上部または下部がバッテリーパックの体積膨張を阻止でき、内部の空いた空間を通じて空気層を形成できるため、隣接した他のバッテリーパックに熱が伝達されることを効果的に低減させることができる。
【0075】
図16は、本発明の第9実施形態によるバッテリーラックを概略的に示した正面図である。
【0076】
図16を参照すると、第9実施形態によるバッテリーラック300Hのストッパ320Hは、ビーム形態の垂直断面がH字状であり得る。すなわち、ストッパ320Hは、H形鋼の形態であり得る。具体的には、ストッパ320Hは、上下方向に延びた左側プレート320H1、左側プレート320H1から水平方向に延びて地面に平行な形態の水平プレート320H2、及び水平プレート320H2の右側端部から上下方向に延びた右側プレート320H3を備え得る。
【0077】
したがって、本発明による
図16のストッパ320Hは、ビーム形態の垂直断面がH字状であるため、バッテリーパック200と接触する場合、ストッパ320Hの左側プレート320H1及び右側プレート320H3の上端または下端でバッテリーパック200の体積膨張を阻止でき、左側プレート320H1と右側プレート320H3との間の空いた空間を通じて空気層を形成できるため、隣接した他のバッテリーパック200に熱が伝達されることを効果的に低減させることができる。
【0078】
図17は、本発明の第10実施形態によるバッテリーラックを概略的に示した正面図である。
【0079】
図17を参照すると、
図17のバッテリーラック300Iのストッパ320Iは、ビーム形態の垂直断面がI字状であり得る。具体的には、ストッパ320Iは、水平方向に延びた上部プレート320I1、上部プレート320I1から下方に延びて地面に垂直に立てられた形態の中間プレート320I2、及び中間プレート320I2の下端から水平方向に延びた下部プレート320I3を備え得る。
【0080】
したがって、本発明による
図17のバッテリーラック300Iのストッパ320Iは、ビーム形態の垂直断面がI字状であるため、バッテリーパック200と接触する場合、ストッパ320Iの上部プレート320I1の上端または下部プレート320I3の下端でバッテリーパック200の体積膨張を阻止でき、上部プレート320I1と下部プレート320I3との間の空いた空間を通じて空気層を形成できるため、隣接した他のバッテリーパック200に熱が伝達されることを効果的に低減させることができる。
【0081】
一方、
図1をさらに参照すると、バッテリーラック300は、複数のバッテリーパック200の最上部にラックBMSを備え得る。ここで、ラックBMSは、バッテリーラック300に備えられた複数のバッテリーパック200の充放電を中央制御するバッテリー管理システムであり得る。
【0082】
本発明による電力貯蔵装置(図示せず)は、上述した本発明によるバッテリーラック300を一つ以上含み得る。特に、電力貯蔵装置は、本発明によるバッテリーラック300を複数含み得る。そして、このような複数のバッテリーラック300は、ラックバスバー(図示せず)を通じて相互に電気的に接続され得る。本発明による電力貯蔵装置は、スマートグリッドシステムや電気充電スチーションなどの多様な形態で具現され得る。
【0083】
以下、比較例及び実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら比較例及び実施例によって制限されるものではない。本発明による実施例は多様な他の形態に変形でき、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は、当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0084】
[比較例]
本発明の比較例として、二つのバッテリーパック、及び該二つのバッテリーパックを上下に互いに離隔して配置するように構成されたラックケースを含むバッテリーラックを用意した。このとき、二つのバッテリーパックのうち上部に位置したバッテリーパックの下面に、上下方向の厚さが6mmである断熱部材を設けた。
【0085】
その後、下部に位置したバッテリーパックに収納された二次電池同士の短絡を誘導して、意図的に熱暴走を発生させた。熱暴走が発生した二次電池の体積が膨張し、それによってバッテリーパックの外観が膨れ上がって体積が膨張し、膨張したバッテリーパックの上面が上部に位置するバッテリーパックの下面に位置した断熱部材に密着した。比較例では、下部バッテリーパックの二次電池の短絡を誘導した後、150分間二つのバッテリーパックの温度をそれぞれ測定し、実験結果を
図18及び
図19に示した。このとき、
図18は、熱暴走が発生したバッテリーパックの温度変化を示したグラフである。そして、
図19は、上部に位置したバッテリーパックの温度変化を示したグラフである。
【0086】
[実施例]
本発明の実施例は、比較例と同様に、二つのバッテリーパック、及び該二つのバッテリーパックを上下に互いに離隔して配置するように構成されたラックケースを含むバッテリーラックを用意した。このとき、二つのバッテリーパックのうち上部に位置したバッテリーパックの下面に、上下方向の厚さが6mmである断熱部材を設けた。
【0087】
ただし、実施例では、比較例と異なって、ラックケースにストッパがさらに備えられた。このようなストッパは、
図5及び
図6に示されたように、下部に位置したバッテリーパックの体積が膨張する場合、バッテリーパックの体積膨張を阻止するように二つのバッテリーパック同士の間に位置し、前後方向に長く延びたプレート状である。このとき、ストッパの下面から断熱部材の下面までの距離が2.8mmになるようにした。
【0088】
その後、二つのバッテリーパックのうち相対的に下部に位置したバッテリーパックに対して意図的に熱暴走を発生させた。比較例と異なって、
図5のように、熱暴走が発生した下部に位置したバッテリーパックの体積が膨張したものの、ラックケースに備えられたストッパによってバッテリーパックの体積膨張が阻止された。
【0089】
本発明の実施例によるバッテリーラックは、このようにストッパによって下部のバッテリーパックの体積膨張が阻止されることで、下部に位置したバッテリーパックが断熱部材と2.8mmだけ離隔した状態を維持することができた。そして、下部バッテリーパックの二次電池の短絡を誘導した後、150分間実施例によるバッテリーパックの温度を測定した。熱暴走を誘発させた下部のバッテリーパックは、
図18の温度変化グラフに類似した温度変化の様相を見せた。上部に位置したバッテリーパックの温度変化は
図20に示した。
【0090】
実験の結果、比較例では、
図18のように、熱暴走が発生したバッテリーパックは、実験開始後約40分から温度が急激に上昇し、温度が約900℃まで上昇した。そして、
図19のように、約40分から熱暴走したバッテリーパックから発生した熱が上部に位置したバッテリーパックに伝導されながらバッテリーパックの温度が徐々に上昇した。その後、約120分から上部に位置したバッテリーパックの二次電池で熱暴走が発生し、900℃以上に温度が上昇したと見られる。
【0091】
一方、実施例では、
図20のように、熱暴走が発生したバッテリーパックから一部の熱が上部に位置したバッテリーパックに伝達され、約60分から徐々に温度が上昇し、約150分に100℃を超えたと見られる。すなわち、比較例のバッテリーラックと異なって、実施例のバッテリーラックの上部に位置したバッテリーパックの温度の急激な上昇はなかった。これは、本発明の実施例のバッテリーラックはストッパによって二つのバッテリーパック同士の間に2.8mm厚さの空気層が維持できるため、空気層による断熱効果が発揮され、上部に位置したバッテリーパックが熱暴走するほどに昇温しなかったためである。したがって、本発明のバッテリーラックは、ラックケースに備えられたストッパを備えることで、複数のバッテリーパック間に熱暴走が伝播することを効果的に防止することができる。
【0092】
なお、本明細書において、上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使用されたが、このような用語は説明の便宜のためのものであるだけで、対象となる事物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは、当業者にとって自明である。
【0093】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0094】
300:バッテリーラック
200:バッテリーパック
100:セルアセンブリ
110:二次電池
210:パックハウジング
310:ラックケース
312:収納空間
320:ストッパ
321、323:本体部、固定部
310a、310b、310c、310d、310e:上面壁、下面壁、左側壁、右側壁、背面壁
350:断熱パッド
360:冷却パッド
318:棚プレート
230:モジュールBMS
320s:段差構造
340:支え部材
221:外部入出力端子