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特許7405988アクセスカニューレを進めるための装置、システム、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】アクセスカニューレを進めるための装置、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20231219BHJP
   A61B 18/12 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
A61B17/34
A61B18/12
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022536849
(86)(22)【出願日】2021-02-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 US2021018557
(87)【国際公開番号】W WO2021183268
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-06-15
(31)【優先権主張番号】62/987,740
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】テラニ、ラミン エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ベニング、クリストファー エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヒューズ、グレゴリー トーマス
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表平08-511971(JP,A)
【文献】特開平04-253852(JP,A)
【文献】特表平11-504234(JP,A)
【文献】特開平07-047077(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0144448(US,A1)
【文献】米国特許第05797888(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0157365(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0319232(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/34
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスカニューレであって、前記アクセスカニューレはそれを通って延びる内腔を含み、前記アクセスカニューレは内視鏡シャフトを通って生体内の標的組織まで延びるための大きさおよび形状である前記アクセスカニューレと
前記アクセスカニューレの内腔を通って前記アクセスカニューレの遠位端の外へ遠位に延びるための大きさおよび形状の穿刺要素と、
ハンドル本体および、前記アクセスカニューレを、前記穿刺要素の穿刺チップが前記アクセスカニューレの遠位端より遠位に露出する前記穿刺要素に対する近位位置から、前記アクセスカニューレの遠位端が前記穿刺要素の前記穿刺チップを保護する前記穿刺要素に対する遠位位置へ進めるための進行機構を含むハンドルと
前記アクセスカニューレに固定されかつ前記ハンドル本体の近位端に連結される回転ハブであって、前記ハンドル本体に対して回転可能かつ前記ハンドル本体に対して第2所定距離だけスライド可能である前記回転ハブと、
前記穿刺要素に固定され、かつ前記回転ハブと連結可能であるキャップであって、前記キャップ及び前記回転ハブが連結される時、前記穿刺チップが前記アクセスカニューレの遠位端に対して第1所定距離だけ延びる前記キャップとを備える装置。
【請求項2】
前記近位位置では、前記穿刺チップは前記アクセスカニューレの遠位端に対して第1所定距離だけ延び、前記進行機構が作動される時、前記アクセスカニューレは前記穿刺要素に対して、少なくとも前記第1所定距離だけ進む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ハンドルの近位端は、前記回転ハブの遠位部が前記回転ハブを前記ハンドルに連結するために挿入される端部キャップを含み、前記端部キャップは第1ばねが配置される台座を有する請求項に記載の装置。
【請求項4】
前記回転ハブは第1近位フランジと、第2遠位フランジとを含み、前記第2遠位フランジは前記第1近位フランジおよび前記第2遠位フランジの間に延びるシャフトを備え、前記シャフトはワッシャと、その上をスライド可能でありかつ前記第1近位フランジおよび前記第2遠位フランジの間に拘束される第2ばねとを有する請求項に記載の装置。
【請求項5】
端部キャップはさらにその近位端に、前記ワッシャのその中への挿入を許容しかつ前記ワッシャのそれから外への引き抜きに抵抗する変形可能なタブを含み、前記回転ハブが前記端部キャップ内に挿入される時、前記ワッシャは遠位端における第1ばねおよび近位端における前記変形可能なタブに対して配置される請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記キャップは前記回転ハブの近位部を被覆するための大きさおよび形状の遠位部、および、それに取り付けられた2つのウイングを有し、それぞれのウイングは前記ウイングの遠位端の内側へ放射状に延びるタブを有する請求項~請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記キャップが前記回転ハブの上を進行されるとき、前記ウイングから延びる前記タブは前記回転ハブの第1近位フランジを係止し、それにより前記キャップおよび前記回転ハブが互いに固定され、前記ウイングの近位部の押圧により遠位端を広げることにより、前記ウイングが前記第1近位フランジから解放される請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1近位フランジと第2遠位フランジとの間に延びるシャフトは、ワッシャと第2ばねとを有し、前記第2ばねは、前記第1近位フランジと前記第2遠位フランジとの間に拘束され、かつ前記シャフト上にスライド可能に支持され、前記ハンドルの近位端は、前記回転ハブの遠位部が前記回転ハブを前記ハンドルに連結するために挿入される端部キャップを含み、前記端部キャップはその近位端に変形可能なタブを含み、前記進行機構は、前記第1近位フランジに前記ウイングを係止し、それにより、前記ワッシャを前記端部キャップ内に第3所定距離だけ押し込み、かつ、第ばねおよび前記第2ばねを圧縮し、前記キャップを解放することにより、前記第2ばねが前記ワッシャおよび前記第2遠位フランジの間で圧縮されたままの状態で、前記第1ばねが第3距離だけ近位に向かって前記変形可能なタブおよび前記回転ハブに抗して前記ワッシャを押し戻し、それにより、前記進行機構が装填される請求項に記載の装置。
【請求項9】
装填された前記進行機構は、前記第1近位フランジから前記ウイングを解放し、前記第2ばねにより前記回転ハブの前記第2遠位フランジを前記キャップに対して遠位に強制移動させることによって、取り外される請求項に記載の装置。
【請求項10】
さらに前記穿刺要素に固定されたキャップと、
前記アクセスカニューレに固定された回転ハブとを備え、前記キャップを前記ハンドルの近位端で前記回転ハブに連結することにより、自動的に前記進行機構が装填される請求項1~請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記進行機構が、前記回転ハブから前記キャップを解放することによって、取り外される請求項10に記載の装置。
【請求項12】
さらに前記穿刺要素に固定されたキャップと、
前記アクセスカニューレに固定された回転ハブとを備え、前記回転ハブは、延長位置において、前記ハンドル本体に対する前記回転ハブの長手方向の運動に抵抗するリビングヒンジを有し、前記リビングヒンジは、前記キャップの進行機構によって押圧位置に押圧可能であり、それにより前記回転ハブが前記ハンドル本体に対して長手方向に移動し得る請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記リビングヒンジが延長位置にある時、さらに前記回転ハブに対して装填されるばねを備え、前記リビングヒンジの押圧により、前記ばねが解放され、前記回転ハブを前記ハンドル本体に対して所定距離だけ移動させる請求項12に記載の装置。
【請求項14】
内視鏡シャフトを含む内視鏡と、
アクセスカニューレであって、前記アクセスカニューレはそれを通って延びる内腔を含み、前記アクセスカニューレは前記内視鏡シャフトを通って、生体内の標的組織まで延びるための大きさおよび形状である前記アクセスカニューレと
前記アクセスカニューレの内腔を通って、前記アクセスカニューレの遠位端の外へ遠位に延びるための大きさおよび形状の穿刺要素と、
ハンドル本体、前記アクセスカニューレに固定された回転ハブ、および前記穿刺要素に固定されたキャップを含むハンドルであって、前記キャップが前記ハンドル本体に対して実質的に静止したままである間、前記ハンドルは前記ハンドル本体に対して近位位置から遠位位置へ前記回転ハブを進めるための進行機構を含む前記ハンドルと、
前記アクセスカニューレに固定されかつ前記ハンドル本体の近位端に連結される回転ハブであって、前記ハンドル本体に対して回転可能かつ前記ハンドル本体に対して第2所定距離だけスライド可能である前記回転ハブと、
前記穿刺要素に固定され、かつ前記回転ハブと連結可能である前記キャップであって、前記キャップ及び前記回転ハブが連結される時、穿刺チップが前記アクセスカニューレの遠位端に対して第1所定距離だけ延びる前記キャップとを備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、解剖学的構造(例えば、膵臓胆道管)にアクセスするための超音波内視鏡検査(EUS)アクセス装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波内視鏡検査(EUS)アクセス手順、言い換えれば、超音波誘導下で働くアクセス手順が膵臓胆道管あるいは肝臓のような解剖学的構造にアクセスするために用いられ得る。例えば、ステントの挿入および閉塞部を迂回するために胆管を貫くための手順のような膵臓胆道アクセス手順は、標的生体構造が極めて小さい場合に、他の種類のアクセス手順とは異なり得る。多くのEUSアクセス装置はそのような手順では十分に操作できず、十分に操作できる時でさえ、他の複数の困難に晒され得る。例えば、長く、細く鋭利な部分は、容易に最初の穿刺孔を開け得るが、あまりに鋭い場合に、鋭利部分が胆管全体の厚みを貫通って他の標的ではない組織内の管の外に出ていき、胆管に望ましくない開口が開けられるリスクが存在する。
【0003】
さらに、鋭利な部分を引き抜くより前にアクセスカニューレが解剖学的構造に十分深くまで挿入されないならば、アクセスカニューレは鋭利な部分が引き抜かれた後に構造の外に残され得る。従って、臨床医にとって、穿刺の正確な深さに到達することは大切である。EUSおよび/または蛍光透視法に従い、アクセスカニューレが構造の正確な深さまで挿入されていることを確かめるために、鋭利な部分とアクセスカニューレとの間の移行点を特定することは、臨床医にとって困難であるため、穿通の深さを評価することは臨床医にとって時々困難である。
【発明の概要】
【0004】
本開示はアクセスカニューレと、穿刺要素と、ハンドルとを含む装置に関する。前記アクセスカニューレはそれを通って延びる内腔を含む。前記アクセスカニューレは内視鏡シャフトを通って生体内の標的組織まで延びるための大きさおよび形状である。前記穿刺要素は、前記アクセスカニューレの内腔を通って前記アクセスカニューレの遠位端の外へ遠位に延びるための大きさおよび形状である。前記ハンドルは、ハンドル本体および、前記アクセスカニューレを、前記穿刺要素の穿刺チップが前記アクセスカニューレの遠位端より遠位に露出する前記穿刺要素に対する近位位置から、前記アクセスカニューレの遠位端が前記穿刺要素の前記穿刺チップを保護する前記穿刺要素に対する遠位位置へ進めるための機構を含む。
【0005】
実施形態では、前記近位位置で、前記穿刺チップは前記アクセスカニューレの遠位端に対して第1所定距離だけ延び、進行機構が作動される時、前記アクセスカニューレは前記穿刺要素に対して、少なくとも前記第1所定距離だけ進む。
【0006】
実施形態では、装置はさらに前記アクセスカニューレに固定されかつ前記ハンドル本体の近位端に連結される回転ハブを含み、前記回転ハブは前記ハンドル本体に対して回転可能かつ前記ハンドル本体に対して第2所定距離だけスライド可能であり、前記穿刺要素に固定され、かつ前記回転ハブと連結可能であるキャップを含み、前記キャップおよび前記回転ハブは連結される時、前記穿刺チップは前記アクセスカニューレの遠位端に対して前記第1所定距離だけ延びる。
【0007】
実施形態では、前記ハンドルの近位端は、前記回転ハブの遠位部が前記回転ハブを前記ハンドルに連結するために挿入される端部キャップを含み、前記端部キャップは第1ばねが配置される台座を有する。
【0008】
実施形態では、前記回転ハブは第1近位フランジと、第2遠位フランジとを含み、第2遠位フランジは第1近位フランジおよび第2遠位フランジの間に延びるシャフトを備え、前記シャフトはワッシャと、その上をスライド可能でありかつ前記第1および第2フランジの間に拘束される第2ばねとを有する。
【0009】
実施形態では、前記端部キャップはさらにその近位端に、前記ワッシャのその中への挿入を許容しかつ前記ワッシャのそれから外への引き抜きに抵抗する変形可能なタブを含み、前記回転ハブが前記端部キャップ内に挿入される時、前記ワッシャは遠位端における前記第1ばねおよび近位端における前記変形可能なタブに対して配置される。
【0010】
実施形態では、前記キャップは前記回転ハブの近位部を被覆するための大きさおよび形状の遠位部、および、それに取り付けられた2つのウイングを有し、それぞれのウイングは前記ウイングの遠位端の内側へ放射状に延びるタブを有する。
【0011】
実施形態では、前記キャップが前記回転ハブの上を進行されるとき、前記ウイングから延びる前記タブは前記回転ハブの前記第1フランジを係止し、それにより前記キャップおよび前記回転ハブが互いに固定され、前記ウイングの近位部の押圧により遠位端を広げることにより、前記ウイングが前記第1フランジから解放される。
【0012】
実施形態では、前記進行機構は、前記第1フランジに前記ウイングを係止し、それにより、前記ワッシャを前記端部キャップ内に第3所定距離だけ押し込み、かつ、前記第1および第2ばねを圧縮し、前記キャップを解放することにより、前記第2ばねが前記ワッシャおよび前記第2フランジの間で圧縮されたままの状態で、前記第1ばねが第3距離だけ近位に向かって前記変形可能なタブおよび前記回転ハブに抗して前記ワッシャを押し戻し、それにより、前記進行機構が装填される。
【0013】
実施形態では、装填された前記進行機構は、前記第1フランジから前記ウイングを解放し、前記第2ばねにより前記回転ハブの前記第2フランジを前記キャップに対して遠位に強制移動させることによって、取り外される。
【0014】
実施形態では、さらに前記装置は前記穿刺要素に固定されたキャップと、前記アクセスカニューレに固定された回転ハブとを含む。前記キャップを前記ハンドルの近位端で前記回転ハブに連結することにより、自動的に前記進行機構が装填される。
【0015】
実施形態では、前記進行機構は、前記回転ハブから前記キャップを解放することによって取り外される。
【0016】
実施形態では、さらに前記装置は前記穿刺要素に固定されたキャップと、前記アクセスカニューレに固定された回転ハブとを含み、前記回転ハブは、延長位置において、前記ハンドル本体に対する前記回転ハブの長手方向の運動に抵抗するリビングヒンジを有し、前記リビングヒンジは、前記キャップの機構によって押圧位置に押圧可能であり、それにより前記回転ハブが前記ハンドル本体に対して長手方向に移動し得る。
【0017】
実施形態では、前記リビングヒンジが延長位置にある時、さらに前記装置は前記回転ハブに対して装填されるばねを含み、前記リビングヒンジの押圧により、前記ばねが解放され、前記回転ハブを前記ハンドル本体に対して所定の距離、移動させる。本開示はまた、アクセスカニューレを含み、前記アクセスカニューレはそれを通って延びる内腔を含み、前記アクセスカニューレは内視鏡シャフトを通って生体内の標的組織まで延びるための大きさおよび形状であり、前記アクセスカニューレの内腔を通って前記アクセスカニューレの遠位端の外へ遠位に延びるための大きさおよび形状の穿刺要素と、ハンドル本体を有するハンドルと、前記アクセスカニューレに固定された回転ハブと、前記穿刺要素に固定されたキャップとを含み、前記キャップが前記ハンドル本体に対して実質的に静止したままである間、前記ハンドルは前記ハンドル本体に対して近位位置から遠位位置へ前記回転ハブを進めるための機構を含む装置に関する。
【0018】
本開示はまた、内視鏡シャフトを含む内視鏡と、アクセスカニューレとを含み、前記アクセスカニューレはそれを通って延びる内腔を含み、前記アクセスカニューレは、前記内視鏡シャフトを通って、生体内の標的組織まで延びるための大きさおよび形状であり、前記アクセスカニューレの内腔を通って、前記アクセスカニューレの遠位端の外へ遠位に延びるための大きさおよび形状の穿刺要素と、ハンドル本体、前記アクセスカニューレに固定された回転ハブ、および前記穿刺要素に固定されたキャップを含むハンドルとを含み、前記キャップが前記ハンドル本体に対して実質的に静止したままである間、前記ハンドルは前記ハンドル本体に対して近位位置から遠位位置へ前記回転ハブを進めるための機構を含むシステムに関する。
【0019】
さらに、本発明は方法に関する。前記方法は内視鏡シャフトを通って生体内の標的組織へアクセスカニューレを進行させ、前記アクセスカニューレはそれを通って延びる内腔を含むことと、穿刺要素の穿刺チップが前記アクセスカニューレの遠位端の外へ遠位に延び、キャップが前記穿刺要素の近位端に固定されるように、前記アクセスカニューレの内腔を通って前記穿刺要素を進行させることと、前記キャップをハンドルの近位端に連結させることと、前記穿刺チップが前記アクセスカニューレの遠位端の遠位に露出される前記穿刺要素に対する近位位置から、前記アクセスカニューレの遠位端が前記穿刺要素の前記穿刺チップを被覆する前記穿刺要素に対する遠位位置へ、前記アクセスカニューレを進行させるために前記ハンドル内の機構を作動させることとを含む。
【0020】
実施形態では、近位位置で、前記穿刺チップが前記アクセスカニューレの遠位端に対して第1所定距離だけ延び、前記進行機構が作動する時、前記アクセスカニューレは前記穿刺要素に対して、少なくとも前記第1所定距離だけ進む。
【0021】
実施形態では、前記ハンドルの近位端はハンドル本体に連結された回転ハブを備え、前記アクセスカニューレに固定された前記回転ハブは前記ハンドル本体に対して回転可能でありかつ前記ハンドルに対して第2所定距離だけスライド可能である。
【0022】
実施形態では、前記キャップは前記回転ハブに連結され、その連結により、自動的に前記進行機構が装填される。
【0023】
実施形態では、前記方法は、前記回転ハブから前記キャップを解放することによって、前記進行機構を取り外すことをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本特許明細書で説明された様々な例の実施形態に従った、穿刺構造の内視鏡アクセス装置の遠位の態様である。
【0025】
図2図1に示す内視鏡アクセス装置の遠位端の拡大図である。
【0026】
図3】鋭利部分が引き抜かれた状態の図1に示す内視鏡アクセス装置の遠位の態様である。
【0027】
図4】第1の典型的な実施形態に従った、アクセス手順を制御するための、図1に示す内視鏡アクセス装置のハンドルである。
【0028】
図5図4のハンドルの近位端の分解図である。
【0029】
図6】アクセスカニューレ進行機構の組み立てや配置の様々な段階における図4のハンドルの近位端の図である。
図7】アクセスカニューレ進行機構の組み立てや配置の様々な段階における図4のハンドルの近位端の図である。
図8】アクセスカニューレ進行機構の組み立てや配置の様々な段階における図4のハンドルの近位端の図である。
図9】アクセスカニューレ進行機構の組み立てや配置の様々な段階における図4のハンドルの近位端の図である。
図10】アクセスカニューレ進行機構の組み立てや配置の様々な段階における図4のハンドルの近位端の図である。
図11】アクセスカニューレ進行機構の組み立てや配置の様々な段階における図4のハンドルの近位端の図である。
図12】アクセスカニューレ進行機構の組み立てや配置の様々な段階における図4のハンドルの近位端の図である。
図13】アクセスカニューレ進行機構の組み立てや配置の様々な段階における図4のハンドルの近位端の図である。
【0030】
図14】アクセスカニューレ進行機構の装填および配置方法を示す。
【0031】
図15】第2の典型的な実施形態に従った、アクセス手順を制御するためのハンドルの近位端の一部の分解図である。
【0032】
図16図15に示されるハンドルの近位端の回転ハブを示す。
【0033】
図17図15に示されるハンドルの近位端の鋭利なキャップを示す。
【0034】
図18a】初期の穿刺構成における図1に示す内視鏡アクセス装置の遠位端を示す。
【0035】
図18b】穿刺後の構成において、図1に示す内視鏡アクセス装置の遠位端を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示は以下の説明および添付の図面を参照することで理解され、類似の要素は同じ参照番号で示される。例示された実施形態では、不適切な穿刺の深さおよび穿刺孔へのアクセスの損失の可能性を減らすために、臨床医が鋭利な穿刺先端(「鋭利先端」)を引き抜く準備をしている時、すなわち穿刺が完了した後に、鋭利先端に対して遠位にアクセスカニューレを進めるための特徴を備えた内視鏡アクセス装置を説明する。
【0037】
図1は、本特許明細書で説明される様々な例示の実施形態に従った、内視鏡アクセス装置100の遠位の態様を示す。アクセス装置100は、非拘束時にJ字形状(J型先端)と見なされるように偏倚した柔軟性の遠位チップ104を有するアクセスカニューレ102を含む。尖った先端(すなわち、穿刺要素)を有する鋭利先端106は、その鋭利先端106が所定の距離だけJ型先端104の遠位端よりも遠位外方へ延びるまで、アクセスカニューレ102の内腔を通って進行するため、柔軟性のJ型先端104は鋭利先端106の剛性によって真っすぐにされ、それにより鋭利先端106が標的組織の穿刺に用いられ、鋭利先端106およびJ型先端104は標的生体構造内に一緒に進行し得る。
【0038】
鋭利先端106が中に挿入される時、鋭利先端106の遠位チップがJ型先端104の遠位端を越えて遠位に突出する距離108は、図2に示すように「セットバック」として示される。さらなる詳細が以下に説明されるが、鋭利先端106がハンドルに十分挿入され、装置100の近位端の回転ハブ202が近位位置(装填される)に存在する時、セットバック108がアクセス手順の最初の穿刺を行うための望ましい長さであるように、鋭利先端106の長さおよびアクセスカニューレ102の長さが設計される。
【0039】
J型先端104および鋭利先端106が望ましい標的生体構造内に進行した後、図3に示すように、鋭利先端106はJ型先端104から近位外方に引き抜かれ、J型先端104は自由になり、湾曲したJ形状に戻る。案内ワイヤはアクセスカニューレ102の内腔に挿入され、J型先端104の湾曲した端部の照準に基づいて決定された望ましい方向に沿い、J型先端104の遠位端から外へ出て、標的生体構造内に入る。例えば、案内ワイヤがアクセスカニューレ102の中に挿入される前に、当業者によって理解される標的生体構造内の望ましい方向にJ型先端104の遠位開口を向けるために、J型先端104が回転ハブ202によって回転され得る。
【0040】
標的生体構造が胆管である場合、J型先端104は回転してもよく、それによりアクセスカニューレ102の内腔の遠位開口が、胆管の上流あるいは小腸内の胆管の出口へ向かう下流のどちらか一方に面する。J型先端104が要望どおり配向されるとき、案内ワイヤが胆管に沿って望ましい方向にJ型先端104の外へ期待通り延びるまで、案内ワイヤはアクセスカニューレ102を通過させられて、J型先端104の遠位端の開口から出る。この時点で、電気外科的チップ112とともに柔軟な電気外科的シース110がアクセスカニューレ102およびJ型先端104上を進行でき、アクセスカニューレ102が小腸から出ることにより第1孔を広げ、かつアクセスカニューレ102が標的胆管に入ることにより第2孔を広げる。当業者によって理解されるように、さらなる手順(例えば、閉塞部を迂回するためにステントを配置すること)のために、標的生体構造に円滑にアクセスすべく孔を開けかつ広げるため、チップが第1および第2孔のどちらか一方または両方の入口および中に入っている時、電気外科的チップ112の電極が活性化され得る。
【0041】
アクセスカニューレ102の広い直径の遠位チップ104(J型先端)が押し通される生体構造に開始孔を形成するために、鋭利先端106が典型的に用いられ、それにより、鋭利先端106が取り除かれた時、J型先端104が穿刺孔を通って標的生体構造内の標的位置に堅く挿入される。しかし、様々な複雑な事態がこの操作の実行時に発生し得る。例えば、超音波あるいは蛍光透視法による穿刺を医者が見ると、アクセスカニューレ102のチップの場所を見定められない。結果として、アクセスカニューレ102は、鋭利先端106が取り除かれる時、アクセスを維持するために生体構造内に十分深くまで挿入され得ない。別の例では、鋭利先端106の引き抜きにより、アクセスカニューレ102が近位に引っ張られ、J型先端104を穿刺孔から解放し得る。
【0042】
図4は、第1の例示的な実施形態に従ったアクセス手順を制御するための内視鏡アクセス装置100のハンドル200を示す。ハンドル200の近位端は、回転ハブ202および取り外し可能な鋭利なキャップ204を含む。この実施形態のアクセスカニューレ102は回転ハブ202に強固に固定され、ハンドル200の内部を通ってその遠位端の外へ延びる。回転ハブ202は、それを通って延び、回転ハブ202の近位端からアクセスカニューレ102の内腔へのアクセスを提供するチャネルを有し、特に、それに挿入され、かつアクセスカニューレ102の長さにわたって延びるべき鋭利先端106のために設けられている。
【0043】
この実施形態の鋭利先端106は鋭利なキャップ204に強固に固定され、それにより鋭利なキャップ204を遠位に進行することは、鋭利先端106をアクセスカニューレ102に対して遠位に進め、鋭利なキャップ204を近位に引っ張ることは、鋭利先端106をアクセスカニューレ102に対して近位に引っ張る。鋭利なキャップ204はハンドル200の近位端に連結し、鋭利なキャップ204が連結される時、鋭利先端106はその最も遠位な位置に延ばされ得る。連結される時、鋭利なキャップ204は回転ハブ202の周囲に放射状に配置される。鋭利なキャップ204は、ハンドル200およびアクセスカニューレ102に対して、部分的に引き抜かれた位置において図4に示される。回転ハブ202および鋭利なキャップ204を含むハンドル200の近位態様は、アクセスカニューレ進行機構に関して以下により詳細に説明される。
【0044】
ハンドル200は内視鏡シャフトの近位端でカップリングに装着される遠位カラー206を有する。ハンドル200は、内視鏡に連結される時、使用者がハンドル200の長さを調整できるように長さ調整部208を含み、それにより電気外科的シース110の長さは内視鏡の遠位端を越えて遠位に、望ましい距離だけ延びる。(すなわち、長さ調整部は内視鏡の外方への装置の望ましい延長を達成するために用いられ得る)。ハンドル200はさらに、ハンドル200の基部214にわたってスライド可能な穿刺作動装置210を含み、穿刺作動装置ロック212によって解放された時、アクセスカニューレ102および鋭利先端106は電気外科的シース110の外方へ遠位に進み、それによりJ型先端104および鋭利先端106は望ましい深さまで標的組織を貫通できる。
【0045】
ハンドル200はさらに、穿刺作動装置210にわたってスライド可能に取り付けられた電気外科的スレッド216を含み、スレッド216は電気外科的シース110に連結されている。シース110はスレッド216からハンドル200を通って遠位に延び、それによりシース110はアクセスカニューレ102にわたって初期の近位位置から遠位に進行し、シース110の遠位端で電気外科的チップ112を標的組織と接触させ、それにより組織はチップ112からのエネルギの適用によって治療され得る。(例えば、胃腸管の壁を通って形成された開口および標的の膵臓胆管内腔内の入り口の開口の周囲を焼灼する)。
【0046】
ハンドル200はそれから延びる発電連結部222を含み、電気エネルギの供給源は装置100、具体的には、電気外科的シース110および端部キャップ220に連結され得る。電気外科的スレッド216は電気外科的スレッドロック218によって、穿刺作動装置210上の望ましい位置で維持される。スレッドロック218を押圧することは、電気外科的スレッド216が穿刺作動装置210上をスライドすることを可能にする。
【0047】
図5は鋭利先端106の取り外しの間に、アクセスカニューレ102のために穿刺の深さを維持するアクセスカニューレ進行機構を含むハンドル200の近位端の分解組立図を示す。図6図13は、進行機構の組み立ておよび配置の様々な段階におけるハンドル200の近位端の図を示す。ハンドル200は端部キャップばね264および進行機構の装填および配置のための回転ハブばね262を含み、以下により詳細に説明される。
【0048】
端部キャップ220はハンドル200の近位端に連結する遠位端226およびその中に回転ハブ202の遠位部を受け入れるための開口近位端224を有する。端部キャップ220はカニューレを挿入され、それにより回転ハブ202およびアクセスカニューレ102はそれを通って延び得る。端部キャップ220の近位端224は二つあるいはそれ以上の内側へ放射状に延びる変形可能なタブ228を有し、ハンドル200の近位端が組み立てられる時、図9により明確に見られるように、端部キャップ220内の定位置にワッシャ260を保持する。端部キャップ220の内面は大きな直径の近位部から小さな直径の遠位部へ向けてサイズを減らし、サイズの減少により、端部キャップばね264が装填される台座230を形成しており、以下さらに説明する。
【0049】
回転ハブ202は鋭利なキャップ204と連結する近位端232から、ひいては端部キャップ220に連結する遠位端234まで延びる。回転ハブ202は鋭利なキャップ204の遠位部248の中に受け入れられる大きさおよび形状の外径を有する近位部236を含む。広げられた円錐の形状を有する第1フランジ238は、それへ鋭利なキャップ204を係止するために近位部236から遠位に延び、以下さらに説明される。シャフト240は第1フランジ238から第2フランジ242へ延び、溝切りされた遠位部244はハンドル200に対して一時的に固定される位置に回転ハブ202を係止するため、第2フランジ242から遠位端234へ延びる。遠位部244の複数の溝は回転ハブ202の回転に抵抗するハンドル200の内部の態様にかみ合うが、十分な力によって打ち勝つことが可能であり、それにより回転ハブ202は徐々に回転され始めてもよく、さらなる回転を保留する位置まで一時的に係止されたままでもよい。
【0050】
鋭利なキャップ204は、操作する医者によって掴まれ得る近位部246を有する。鋭利先端106は、鋭利なキャップ204が回転ハブに連結された時、回転ハブ202の近位部236上に延ばされた中空の遠位部248を通って近位部246の内部から延びる。大きな直径を有するフランジ部254は近位部246および遠位部248を連結し、二つのウイング250は鋭利なキャップ204を回転ハブ202に係止し、かつ、鋭利なキャップ204を回転ハブ202から解放するために、フランジ部254に連結されている。ウイング250は近位端から遠位端256へ延びかつその上の中央の位置でフランジ部254に取り付けられ、それにより、それぞれのウイング250の近位部が押圧され、すなわち、放射方向内側に押されて、遠位部を広げる。それぞれのウイング250の遠位部は、図11および図12に見られるように、鋭利なキャップ204を回転ハブ202に連結するために、回転ハブ202の第1フランジ238の上に係止する、放射方向内側へ突出する突起252を有する。進行機構が装填される時、鋭利なキャップ204を回転ハブ202から解放するために、ウイング250の近位端を押圧することにより、遠位端を広げ、同時に、鋭利先端106の遠位端上にてJ型先端104を進行させるために回転ハブ202を解放する。
【0051】
進行機構は回転ハブ202のシャフト240の周囲に配置されるワッシャ260を含み、すなわち、第1フランジ238と第2フランジ242との間において、それに対してスライド可能である。回転ハブばね262はまた第1フランジ238と第2フランジ242との間に配置され、具体的には、ワッシャ260と第2フランジ242との間に配置され、それにより、回転ハブばね262はシャフト260上にて遠位にワッシャ260をスライドすることによって圧縮され得る。端部キャップばね264は、台座230に対して端部キャップ220の内側に配置される。回転ハブばね262が小さい直径を有し、それにより回転ハブばね262は第2フランジ242によってシャフト240の上に保持される一方、端部キャップばね264は大きな直径を有し、それにより第2フランジ242は端部キャップばね264の中にそれとは干渉することなく、挿入され得る。端部キャップばね264は、以下に説明するように、台座230に対して、ワッシャ260によって圧縮され得る。
【0052】
図6図13は、進行機構の組み立ておよび配置の様々な段階におけるハンドル200の近位端の図を示す。図6は回転ハブ202に対するワッシャ260および回転ハブばね262の配置を示す一方、図7は台座230に対して端部キャップ220の中に配置された端部キャップばね264を示す。図8は端部キャップ220の中に挿入されている回転ハブ202を示す。図9は端部キャップ220の中に十分に挿入された回転ハブ202を有するハンドル200の近位端の斜視図を示す。変形可能なタブ228はワッシャ260が端部キャップ220内に押しつけられることを許容するが、ワッシャ260に近位に力が加えられた時、すなわち、端部キャップばね264がワッシャ260に対して圧縮される時でさえ、端部キャップ220内にワッシャ260を保持するための形状である。ハンドル200の近位端が図9に示すように配置されている時、アクセスカニューレ進行機構はまだ装填されていないことに注意されたい。
【0053】
進行機構の装填および配置は図10図13に示し、図14に示す方法300とともに説明される。進行機構は鋭利なキャップ204の回転ハブ202への連結と同時に装填される。図10に示すように、305では、ウイング250の遠位端256がワッシャ260に隣接するまで、鋭利先端106はアクセスカニューレ102内に導入されかつ遠位に進行し、それにより、鋭利なキャップ204は、ハンドル200上を、具体的には、回転ハブ202にわたって、遠位に進行する。この位置では、鋭利先端106の遠位チップはJ型先端104の中に存在し、すなわち、J型先端104の遠位に露出していない。
【0054】
310では、鋭利な先端キャップ204は回転ハブ202の上にてさらに遠位に押され、それにより、図11に示すように、ウイング250の遠位端256はワッシャ260を遠位に押す。いくつかの動作がこの工程の間に同時に発生する。回転ハブ202に対する鋭利なキャップ204の進行は、鋭利先端106の遠位チップをアクセスカニューレ102の遠位端の外へ押し出し、それにより鋭利先端106はアクセス手順中に標的生体構造を穿刺するために用いられ得る。さらに、この進行により、回転ハブ202によって鋭利なキャップ204を係止するために、回転ハブ202の第1フランジ238を越えて、ウイング250の上の突起252が移動させられる。ウイング250の上の突起252の位置はウイングの遠位端256に対して相対的に設定され、それによりワッシャ260は回転ハブ202の第1フランジ238から所定距離に保持される。ワッシャ260の押圧により、回転ハブばね262(回転ハブ202の第2フランジに対する)および端部キャップばね264(端部キャップ220の台座230に対する)の両方が圧縮される。
【0055】
315では、鋭利なキャップ204は解放され、図12に示すように、端部キャップばね264がワッシャ260を、端部キャップ220のタブ228に対するその初期位置まで近位に押し戻すことを許容する。しかし、鋭利なキャップ204および回転ハブ202の係止された構成であるため、鋭利なキャップ204および回転ハブ202の両方が端部キャップばね264によって近位に押される。この状態では、回転ハブばね262は圧縮されかつ装填される。操作する医者は、アクセスカニューレ102の外へ延ばされた鋭利先端106を用いることで、標的生体構造の穿刺を行い得る。標的生体構造が適切な深さまでアクセスされる時、医者は先端を引き抜く準備をし、方法を320へ進める。
【0056】
320では、鋭利なキャップ204のウイング250の近位端が押圧され、すなわち、放射方向内側へ押され、ウイング250の遠位端256を、より具体的には、突起252を放射方向外側へ移動させて、鋭利なキャップ204を回転ハブ202から解放し、回転ハブばね262の復元を許容する。図13に示すように、ワッシャ260がその最も近位の位置に存在し、ばね262の力によりさらに近位に強制移動させられることはないため、ばね262の復元は代わりに回転ハブ202の第2フランジ242へ力を付与し、回転ハブ202を鋭利なキャップ204に対して遠位に強制移動する。これは鋭利なキャップ204および回転ハブ202をそれらの初期位置、すなわち図10に示す位置に戻す。
【0057】
この時点で、アクセスカニューレ102のJ型先端104は、鋭利先端106の位置を変えることなく、鋭利先端106のチップを越えるように強制移動されている。アクセス手順中に、この動作はさらにアクセスカニューレ102を、鋭利先端106によって作られた穿刺孔に定着させる。鋭利なキャップ204は回転ハブ202から解放され、その結果、鋭利先端106が近位に引き出され、鋭利なキャップ204は近位に引っ張られ得る。J型先端104がJ字形状に戻り、鋭利先端106が最終的にハンドル200から取り除かれると、それにより手順のさらなる態様、例えば案内ワイヤの挿入のためにアクセスカニューレ102は用いられ得る。
【0058】
第2の典型的な実施形態に従った、図15はハンドル400の遠位端の一部分が分解された図を示す。ハンドル400は上述されたハンドル200と実質的に類似するが、上述された回転ハブ202、鋭利なキャップ204、および端部キャップ220が回転ハブ402、鋭利なキャップ404、および端部キャップ420に置き換えられる。図1図3に記載のアクセスカニューレ102、鋭利先端106、および電気外科的シース110はハンドル400とともに用いられ得る。第2の実施形態は、回転ハブ402に対して装填され、かつ回転ハブ402を遠位に強制移動するために解放され得るばね470を含む。
【0059】
図16により詳細に見られる回転ハブ402は近位端426から遠位端428へ延び、かつ端部キャップ420の内面にスライド可能に連結する遠位部430を有する。遠位部430は、その直径が端部キャップ420の内部の直径に実質的に相当する直径の大きさであり、力が加えられない限り、回転ハブ402はハンドル400に対して固定された位置のままであるように形成されている。しかし、遠位部430および端部キャップ420は遊嵌され、それにより回転ハブ402の回転力はハンドル400に対するハブ402の回転を許容し、かつアクセスカニューレ102およびそのJ型先端104の回転に変換される。
【0060】
回転ハブ402の遠位部430はまた、端部キャップ420に対して長手方向にスライド可能であり、静止した装置の部品に対するアクセスカニューレ102の長手方向への進行あるいは後退に変換される。ハンドル400のためのアクセスカニューレ進行機構は、以下でさらに詳細に説明されているが、鋭利なキャップ404が固定された位置に配置されたままで、回転ハブ402を初期の近位位置から遠位位置へ遠位にスライドし、その結果、上述したハンドル200のための進行機構に類似して、アクセス手順中にアクセスカニューレ102は鋭利先端106を越えて標的組織内へより深く進む。進行機構は鋭利先端106を引き抜くためにハンドル400から鋭利なキャップ404を解放する直前に作動され得る。
【0061】
回転ハブ402は、遠位部430の直径より大きく、かつ、遠位部430が連結する端部キャップ420の内表面の直径より大きい直径を有するフランジ部432を有し、それによりフランジ432は端部キャップ420の内表面の近位端を越えて遠位に進行し得ない。回転ハブ402の中間部434は、第1端438から第2端440へ遠位に延び、かつ、放射方向外側に延びる二つのリビングヒンジ436を有する。リビングヒンジ436は中間部434の両側に配置される。
【0062】
回転ハブ402はヒンジ436の第2端440が端部キャップ420の近位端に隣接する近位(すなわち、装填される)位置に存在する時、それに対する回転ハブ402の遠位への動作を妨げる。以下に説明するように、リビングヒンジ436は、図16では除かれているが、図15に示すように、あらかじめ装填された一つあるいは二つのばね470が回転ハブ402をその遠位(すなわち、解放される)位置に進むことを許容するように、押圧される。回転ハブ402の近位部442は、部品が連結される時に、鋭利なキャップ404に受け入れられる。
【0063】
図17により詳細に見られるが、鋭利なキャップ404は実質的に中空であり、実質的に閉鎖された近位端450から開口する遠位端452まで、それを通って延びる円筒状の内部を有する。近位端450は鋭利なシース454にとってそれを通って延びるための孔を有し、鋭利なシース454はキャップ404および鋭利先端106に固定され、鋭利なキャップ404および強固に固定された鋭利先端106を、静止した装置の部品に対して手動で進行、かつ後退させるためのグリップ456を有する鋭利なキャップ404の近位に近位端を有する。標的組織の穿刺のための準備において、装置を組み立てるために、鋭利なキャップ404は回転ハブ402の上をスライドする。組み立てられた構成では、遠位端452は回転ハブ402のリビングヒンジ436の上に配置される。
【0064】
鋭利なキャップ404は、その遠位端452に隣接する直径を通って延びるロックリリース458を有する。鋭利なキャップ404および回転ハブ402が組み立てられる時、ロックリリース458はリビングヒンジ436の上に配置される。ロックリリース458を押すことで、その内部がリビングヒンジ436を押圧するため、ヒンジ436の第2端440を端部キャップ420と接触しないように移動させ、回転ハブ402にそれに対して遠位にスライドすることを許容する。
【0065】
回転ハブ402は、部品が組み立てられる時、フランジ432と連結され、かつ鋭利なキャップ404に対して装填されるばね470を有する。ロックリリース458が押された時、ヒンジ436は押圧され、ばね470は固定位置に配置されたままの鋭利先端106に対して、回転ハブ402およびアクセスカニューレ102を解放して、所定距離だけ遠位に進めることが許容される。結果として、遠位のJ型先端104は、鋭利先端106の上で押され、かつ、鋭利先端106が後に取り外された時に、標的生体構造へのアクセスを維持する
【0066】
図18aは、第1あるいは第2の実施形態のいずれかに従う装置が装填位置にあり、鋭利先端106が穿刺形態に延長された時の装置の遠位端を示す。図18bは、第1あるいは第2の実施形態のいずれかに従う装置が取り外し位置にあり、アクセスカニューレが鋭利先端106の遠位チップを越えて進行する時の装置の遠位端を示す。
【0067】
第3の実施形態では、装置ハンドルは、上述された自動的なばね装填進行機構を用いるよりも、むしろ鋭利先端の取り外し前にアクセスカニューレを鋭利先端のチップの上に運ぶために、手動で進め得るスライド部品を含む。スライド部品は回転ハブに強固に固定されてもよく、それによってスライド部品を長手方向にスライドすることによっても、回転ハブを鋭利先端に対して長手方向に移動させる。スライド部品は、鋭利先端が穿刺のために露出されている近位位置と、鋭利先端が被覆されている遠位位置との間でスライド可能である。スライド部品は摩擦あるいは留め金によって二つの位置のいずれかに保持される。
【0068】
第4の実施形態では、装置ハンドルはラックおよびピニオンギアの配列を含む。ハンドルはアクセスカニューレに取り付けられたラックを含む。ギアはラックに連結され、かつその中央およびハンドルの両側を通って延びるシャフトを有し、位置的に固定されているがそれに対して回転することが許容される。進行ハブはシャフトの二つの端部のうちの一方に存在し、進行ハブの回転により、ギアが回転し、そのギアはラックにかみ合い、その回転の方向に応じてアクセスカニューレを近位あるいは遠位に押す。
【0069】
第5の実施形態では、回転ハブに取り付けられた二つの位置のレバーが、前の実施形態において説明された遠位/近位の動きを実行するために用いられる。
【0070】
本願の発明の概念から逸脱することなく、変更が上述した実施形態に対して行われることは当業者によって理解される。さらに、実施形態の一つに関する構造的な特徴および方法が、他の実施形態の中に組み入れられることは理解されるべきである。結果として、この発明は開示された特定の実施形態に限定されず、むしろ、添付された特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内で、修正が保護されることも理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18a
図18b