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特許7406012設計成果物管理システムおよび設計成果物管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】設計成果物管理システムおよび設計成果物管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/12 20200101AFI20231219BHJP
【FI】
G06F30/12
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022576958
(86)(22)【出願日】2021-08-27
(86)【国際出願番号】 JP2021031528
(87)【国際公開番号】W WO2022158021
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-04-18
(31)【優先権主張番号】P 2021009163
(32)【優先日】2021-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】河原 啓
(72)【発明者】
【氏名】松原 正裕
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-84020(JP,A)
【文献】特開2008-117114(JP,A)
【文献】特開2003-6239(JP,A)
【文献】特開2019-191798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00-30/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の要素が組み合わされて複数のグループに分けられて設計される設計システムの成果物を管理する設計成果物管理システムであって、
前記設計システムの設計に必要な前記複数の前記要素を設計情報として記憶する第1記憶部と、
設計指令に従って、前記複数のグループのそれぞれの設計作業を行うモデリングツールと、
前記複数のグループのうちの前記モデリングツールにより設計作業が完了した前記グループの前記要素及び前記設計作業が完了した前記グループに必要な前記要素に対して設計完了を示す情報を付与する第1制御部と、
前記設計完了を示す情報が付与された前記グループの前記要素及び前記設計作業が完了した前記グループに必要な前記要素を記憶する第2記憶部と、
前記設計完了を示す情報が付与された前記グループを前記第2記憶部に記憶させる第2制御部と、
を備えることを特徴とする設計成果物管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の設計成果物管理システムにおいて、
前記複数のグループは、前記要素間の接続情報を有するグループを有し、前記第1制御部は、前記接続情報を用いて、前記設計作業が完了した前記グループに必要な前記要素を特定することを特徴とする設計成果物管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の設計成果物管理システムにおいて、
前記第2制御部は、前記設計完了を示す情報が付与された前記要素が、前記第2記憶部に記憶されていた場合、前記設計完了を示す情報が付与された前記要素が更新されているか否かを判断し、更新されているときは、前記第2記憶部に記憶されている前記要素を、前記設計完了を示す情報が付与された前記要素に更新することを特徴とする設計成果物管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の設計成果物管理システムにおいて、
前記第2制御部は、第1モデル転送部と、モデル登録部と、状態変更検出部と、を有し、
前記第1モデル転送部は、前記第1記憶部に記憶されていた前記設計情報と、前記設計作業が完了した前記グループの前記要素と、前記設計作業が完了した前記グループに必要な前記要素と、を前記第1記憶部に記憶させ、
前記状態変更検出部は、前記第1記憶部に記憶された前記設計作業が完了した前記グループの前記要素と、前記設計作業が完了した前記グループに必要な前記要素と、を検出し、
前記モデル登録部は、前記状態変更検出部が検出した前記設計作業が完了した前記グループの前記要素と、前記設計作業が完了した前記グループに必要な前記要素と、を前記第2記憶部に記憶させることを特徴とする設計成果物管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の設計成果物管理システムにおいて、
前記第2制御部は、成果物管理用設計情報生成部と、第2モデル転送部と、を有し、
前記成果物管理用設計情報生成部は、前記第1制御部により前記設計完了を示す情報が付与された前記設計作業が完了した前記グループの前記要素及び前記設計作業が完了した前記グループに必要な前記要素を、前記第2モデル転送部に転送し、
前記第2モデル転送部は、前記成果物管理用設計情報生成部から転送された前記設計完了を示す情報が付与された前記設計作業が完了した前記グループの前記要素及び前記設計作業が完了した前記グループに必要な前記要素を前記第2記憶部に記憶させることを特徴とする設計成果物管理システム。
【請求項6】
複数の要素が組み合わされて複数のグループに分けられて設計される設計システムの成果物を管理する設計成果物管理方法であって、
前記設計システムの設計に必要な前記複数の前記要素を設計情報として第1記憶部に記憶し、
設計指令に従って、前記複数のグループのそれぞれの設計作業を行い、
前記複数のグループのうちの設計作業が完了した前記グループの前記要素及び前記設計作業が完了した前記グループに必要な前記要素に対して設計完了を示す情報を付与し、
前記設計完了を示す情報が付与された前記グループの前記要素及び前記設計作業が完了した前記グループに必要な前記要素を第2記憶部に記憶することを特徴とする設計成果物管理方法。
【請求項7】
請求項6に記載の設計成果物管理方法において、
前記複数のグループは、前記要素間の接続情報を有するグループを有し、前記接続情報を用いて、前記設計作業が完了した前記グループに必要な前記要素を特定することを特徴とする設計成果物管理方法。
【請求項8】
請求項6に記載の設計成果物管理方法において、
前記設計完了を示す情報が付与された前記要素が、既に記憶されていた場合、前記設計完了を示す情報が付与された前記要素が更新されているか否かを判断し、更新されているときは、前記既に記憶されている前記要素を、前記設計完了を示す情報が付与された前記要素に更新することを特徴とする設計成果物管理方法。
【請求項9】
請求項6に記載の設計成果物管理方法において、
前記第1記憶部に記憶されていた前記設計情報と、前記設計作業が完了した前記グループの前記要素と、前記設計作業が完了した前記グループに必要な前記要素と、を前記第1記憶部に記憶させ、
前記第1記憶部に記憶された前記設計作業が完了した前記グループの前記要素と、前記設計作業が完了した前記グループに必要な前記要素と、を検出し、
検出した前記設計作業が完了した前記グループの前記要素と、前記設計作業が完了した前記グループに必要な前記要素と、を前記第2記憶部に記憶させることを特徴とする設計成果物管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計情報の成果物を管理する設計成果物管理システムおよび設計成果物管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モデリング言語を用いてシステムを設計するMBSE(Model-Based Systems Engineering)手法が提唱されている。要件分析やアーキテクチャ設計における検討をモデルで表現することで、従来のドキュメントベースの成果物と比較し、内容や成果物間の関係性を視覚的に理解しやすくなる。これによって、関係者間での情報共有が容易になるメリットがあると言われている。
【0003】
モデルを用いたシステム設計では、要件や機能部品、物理部品等を要素として定義し、要素間の関係情報も合わせて定義することで設計を進める。よって、1つのシステムモデル内に設計中の要素と設計が完了した要素が混在することがある。
【0004】
また、システム設計は要求の変更や、ハードウェア設計、ソフトウェア設計からのフィードバックを反映するために複数回実施されることもあり、一度設計が完了したシステムモデルであっても、再度変更が加えられることがある。
【0005】
一方で、システム設計において、ソフトウェア詳細設計やソースコード、ハードウェアの回路設計図などの後工程に反映される情報、またはされた情報を把握することが開発プロジェクトの管理上で重要である。
【0006】
このため、システムモデルのうち設計が完了した情報だけを抽出し、バージョン管理も行い、確実に管理する必要がある。
【0007】
設計情報を管理するシステムの例としてはALM(Application Lifecycle Management)があり、上記の設計が完了した情報のみを管理するものとして好適である。
【0008】
特許文献1に記載された技術においては、2人の設計者が同時平行で設計する場合を想定し、両者の設計が完了したと判断できた段階で、両者の設計情報ファイルをメインのサーバに送信し記憶させることを実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平05-174079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、1つの設計情報のうち設計が完了した部分のみを別途管理するためには、設計情報から設計が完了した要素を特定する必要がある。また、システムモデルでは設計単位に対応したパッケージ等を作成し、要素をグループ化することがあるが、複数の設計単位で使用される要素も存在するため、設計単位と要素のグループが異なることがある。
【0011】
よって、設計が完了したパッケージに格納される要素のみを別途記憶させるだけでは、設計情報の一部が欠落する恐れがある。
【0012】
特許文献1に記載の技術では、上記事項が考慮されておらず、設計内容の管理の信頼性を向上することが困難であった。
【0013】
本発明の目的は、設計情報から設計が完了した要素を特定し、別途記憶させ、設計内容の管理の信頼性を向上することが可能な設計成果物管理システムおよび設計成果物管理方法を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は以下のように構成される。
【0015】
複数の要素が組み合わされて複数のグループに分けられて設計される設計システムの成果物を管理する設計成果物管理システムであって、前記設計システムの設計に必要な前記複数の前記要素を設計情報として記憶する第1記憶部と、設計指令に従って、前記複数のグループのそれぞれの設計作業を行うモデリングツールと、前記複数のグループのうちの前記モデリングツールにより設計作業が完了した前記グループの前記要素及び前記設計作業が完了した前記グループに必要な前記要素に対して設計完了を示す情報を付与する第1制御部と、前記設計完了を示す情報が付与された前記グループの前記要素及び前記設計作業が完了した前記グループに必要な前記要素を記憶する第2記憶部と、前記設計完了を示す情報が付与された前記グループを前記第2記憶部に記憶させる第2制御部と、を備える。
【0016】
複数の要素が組み合わされて複数のグループに分けられて設計される設計システムの成果物を管理する設計成果物管理方法であって、前記設計システムの設計に必要な前記複数の前記要素を設計情報として第1記憶部に記憶し、設計指令に従って、前記複数のグループのそれぞれの設計作業を行い、前記複数のグループのうちの設計作業が完了した前記グループの前記要素及び前記設計作業が完了した前記グループに必要な前記要素に対して設計完了を示す情報を付与し、前記設計完了を示す情報が付与された前記グループの前記要素及び前記設計作業が完了した前記グループに必要な前記要素を第2記憶部に記憶する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、設計情報から設計が完了した要素を特定し、別途記憶させ、設計内容の管理の信頼性を向上することが可能な設計成果物管理システムおよび設計成果物管理方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1による設計成果物管理システムの概略構成図である。
図2】設計情報DBに格納される設計情報の一例を示す図である。
図3】設計情報の一部として要素を管理するためのデータ構造の一例を示す図である。
図4】設計情報の一部として接続情報を管理するためのデータ構造の一例を示す図である。
図5】設計情報の一部として図を管理するためのデータ構造の一例を示す図である。
図6】設計完了要素状態変更プログラムと、設計完了要素同期プログラムと、を示す機能構成図である。
図7】設計完了要素状態変更プログラムと設計完了要素同期プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
図8】設計完了要素状態変更部の詳細処理の流れを示すフローチャートである。
図9図8の処理による状態変更後の設計情報データの一例を示す図である。
図10】状態変更検出部の詳細処理の流れを示すフローチャートである。
図11】成果物管理DBに格納される要素を管理するための成果物情報のデータ構造の一例を示す図である。
図12】実施例2における設計完了要素状態変更プログラムと、設計完了要素同期プログラムの機能構成図である。
図13】実施例2の設計完了要素状態変更プログラムと、設計完了要素同期プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
図14】成果物管理用設計情報生成部で作成される成果物情報データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例について説明する。なお、添付図面は本発明の原理に則った具体的な実施例を示しているが、これらは本発明の理解のためのものであり、決して本発明を限定的に解釈するために用いられるものではない。また、各図において共通の構成については同一の参照番号が付されている。
【実施例
【0020】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1による設計成果物管理システム100の概略構成図である。
【0021】
図1において、設計成果物管理システム100は、サーバ101と、設計用コンピュータ102とを備え、これらはネットワーク103を介して接続されている。複数人で設計を実施するために設計用コンピュータ102を複数備えていてもよい。図1に示した例は、設計用コンピュータ102を複数備えている例である。
【0022】
サーバ101は、サーバ用CPU110と、サーバ用RAM111と、設計情報DB112(第1記憶部)と、サーバ用ROM113と、成果物管理DB114(第2記憶部)とを備える。設計情報DB112と、成果物管理DB114とは、1つの補助記憶装置に構築してもよい。サーバ用ROM113には設計完了要素同期プログラム115(第2制御部)が格納されており、サーバ101はサーバ用RAM111を一時記憶装置として利用しながら、設計完了要素同期プログラム115によって規定された処理を、サーバ用CPU110を用いて実行する。
【0023】
設計用コンピュータ102は、CPU120と、RAM121と、ハードディスク122と、ROM123と、入力装置124と、表示装置125とを備える。ROM123には設計完了要素状態変更プログラム126(第1制御部)と、モデリングツール127とが格納されており、これらは設計用コンピュータ102のCPU120と、RAM121とを用いて実行される。
【0024】
設計情報は、サーバ101の設計情報DB112に格納されており、ユーザーは設計用コンピュータ102の入力装置124と、表示装置125とを用いてハードディスク122に設計情報を一時的にコピーし、モデリングツール127で設計作業を実施する。モデリングツール127は、ユーザーの設計指令に従って、後述する複数のグループのそれぞれの設計作業を行う。
【0025】
設計作業により設計情報が更新され、設計が完了した段階で、ユーザーは入力装置124を用いて、設計完了要素状態変更プログラム126の実行を指示し、設計情報の設計完了範囲を指定できる。
【0026】
設計完了要素状態変更プログラム126は設計情報のうち、上記の設計完了範囲に関連する部分に対して、「設計完了」を示す情報を付与し、設計情報をサーバ101の設計情報DB112へ転送する。転送が完了したタイミングで設計完了要素同期プログラム115が実行され、設計情報DB112に格納される設計情報のうち、「設計完了」を示す情報が付与された部分のみが成果物管理DB114へ登録される。
【0027】
図2は、設計情報DB112に格納される設計情報の一例を示す図である。モデルを用いたシステム設計では機能部品、物理部品などを要素として定義し、要素間の関連性を定義する。要素は設計単位などで、フォルダやパッケージによってグループ化されている。
【0028】
パッケージ「機能A」200には、図「機能Aアーキテクチャ」210と、機能Aを実現するために定義された機能部品211(AC電流検出)、212(電流制御)が格納されている。パッケージ「機能B」201には、機能Bを実現するために定義された機能部品220(DC電流検出)が格納されている。パッケージ「物理アーキテクチャ」202には、機能部品を割り当てる物理部品230(AC電流センサ)が格納されている。
【0029】
図「機能Aアーキテクチャ」210には、機能部品211、212と、機能部品を実現する物理部品230と、要素間の接続情報240、241が表示されている。物理部品230のように、要素は他のパッケージの図で利用されうる特徴がある。この特徴によって、機能Aが設計完了となった際にパッケージ「機能A」200に含まれる要素を成果物管理DB114に登録するだけでは、パッケージ「機能A」200に含まれていない要素230を登録することができない。
【0030】
そこで、本発明の実施例1では、パッケージ「機能A」200に関連する、図「機能Aアーキテクチャ」210で利用される要素230も含めて成果物管理DB114へ登録することを実現する。
【0031】
本発明の実施例1における処理を説明するために、サーバ101の設計情報DB112、もしくは設計用コンピュータ102のハードディスク122において、図2に示す設計情報を管理するためのデータ構造の一例を図3から図5に示す。
【0032】
図3は、設計情報の一部として要素を管理するためのデータ構造の一例を示す図である。テーブル300には、要素ごとに、IDと、名称と、要素が格納されているパッケージと、設計状態と、更新日時と、が登録される。上記以外にも、要素の補足説明等を含めてもよい。図3に示す例では、機能部品211、212、220、物理部品230の情報が記録されている。
【0033】
図4は、設計情報の一部として接続情報を管理するためのデータ構造の一例を示す図である。テーブル400には、接続情報ごとに、接続IDと、接続元となる要素のIDと、接続先となる要素のIDと、更新日時と、が登録される。上記以外にも、接続情報が含まれるパッケージ、設計状態、接続の種類等を含めても良い。図4に示した例では、接続情報240、241の情報が記録されている。
【0034】
図5は、設計情報の一部として図の情報を管理するためのデータ構造の一例を示す図である。テーブル500には、図ごとに、IDと、名称と、図が格納されているパッケージと、図で表示する要素のIDリストと、更新日時と、が登録される。上記以外にも、図の補足説明、図で表示する接続情報のIDリスト、大きさや色などの表示方法、等を含めても良い。図5では、図「機能Aアーキテクチャ」210の情報が記録されている。
【0035】
図6は、設計完了要素状態変更プログラム126と、設計完了要素同期プログラム115と、を示す機能構成図である。設計完了対象指定部601と、設計完了要素状態変更部603とは、設計完了要素状態変更プログラム126に対応し、第1モデル転送部604と、状態変更検出部605と、モデル登録部606とは、設計完了要素同期プログラム115に対応する。
【0036】
設計完了対象指定部601は、設計成果物管理システム100のユーザーが指定した設計完了対象602を入力として受け取る。設計完了対象602の例としては、図2のパッケージの1つ以上が挙げられる。設計完了要素状態変更部603は、ユーザーが設計した設計情報600から、設計完了対象602に関連する要素を追跡し、追跡した要素の設計状態を「設計完了」に変更する。
【0037】
つまり、設計完了要素状態変更部603は、設計完了対象602に必要な要素を図2に示す図「機能Aアーキテクチャ」210内の要素間の接続情報240、241を用いて特定し、特定した要素の設計状態を「設計完了」とする。
そして、設計完了要素状態変更部603は、「設計完了」となっている要素の情報をハードディスク122に格納する。そして、設計完了要素状態変更部603から設計情報が第1モデル転送部604に送られる。
【0038】
第1モデル転送部604は、ハードディスク122に格納されている設計情報すべてを設計情報DB112に転送する。状態変更検出部605では、設計情報DB112に格納される設計情報のうち、状態が特定のもの、ここでは例として「設計完了」となっている要素を検出する。また、特定の状態に加えて、成果物管理DB114に格納される成果物情報と設計情報DB112から検出した要素とを比較し、変更点がある要素を検出することもできる。
【0039】
モデル登録部606では、状態変更検出部605で検出された要素を、設計情報DB112から抽出して成果物管理DB114へ登録する。
【0040】
上記動作により、設計が完了した設計情報のみを成果物管理DB114で管理することができる。
【0041】
図7は、設計完了要素状態変更プログラム126と、設計完了要素同期プログラム115の処理の流れを示すフローチャートである。ステップS70、S71は設計完了要素状態変更プログラム126の処理であり、ステップS72、S73は設計完了要素同期プログラム115の処理である。
【0042】
処理を開始後、ステップS70にて、設計完了対象指定部601はユーザーからの設計完了対象602の入力を受け付ける(設計完了対象の指定受付)。設計完了対象指定部601は設計完了対象602が入力されると、設計完了対象情報に変換する。例としては、設計完了となったパッケージ名のリスト等が挙げられる。
【0043】
次に、ステップS71にて、設計完了要素状態変更部603は、設計情報600と、設計完了対象情報を入力として受け付け、設計情報600のうち、設計完了対象情報に関連する要素の設計状態を「設計完了」に更新する(設計情報から完了対象に含まれる要素の状態変更)。
【0044】
次に、ステップS72にて、第1モデル転送部604は、設計完了要素状態変更部603によって更新された設計情報600を設計情報DB112に転送する(設計情報を設計情報DB112へ転送)。
【0045】
次に、ステップS73にて、状態変更検出部605は、設計情報DB112に格納される設計情報600の要素のうち、状態が「設計完了」なものを抽出する。また、抽出した要素と、成果物管理DB114に格納される成果物情報との差分を検出し、差分が検出された要素のリストをモデル登録部606へ入力することもできる。モデル登録部606は、入力されたリストに従い設計情報DB112から成果物管理DB114へ設計が完了した設計情報を登録する(設計完了要素および変更のみを成果物管理DB114へ登録)。以上で処理を終了する。
【0046】
ユーザーが設計完了対象602としてパッケージ「機能A」200を指定した場合を例に、設計完了要素状態変更プログラム126と、設計完了要素同期プログラム115の処理について詳細に説明する。
【0047】
図8は、設計完了要素状態変更部603の処理であるステップS71の詳細処理の流れを示すフローチャートである。ステップS80では、図5に示した図の情報を管理するためのテーブル500より、ユーザーが指定したパッケージ「機能A」200を探索し、図ID“D1”を抽出する。ステップS81以降の処理は各図IDに対して実行する。
【0048】
図ID”D1”に対するステップS81では、テーブル500から図ID“D1”で表示する要素リスト{E1, E2, E4}を抽出する。ステップS82の処理は各要素IDに対して実行する。要素ID”E1”に対するステップS82では、図3に示した要素を管理するためのテーブル300の、要素ID”E1”の設計状態を「設計完了」へ変更する。要素ID”E2”、 ”E4”についても同様の処理を行う。
【0049】
以上の処理によって、ユーザーが入力した設計完了対象602で使用される要素の状態を変更することができる。
【0050】
図9は、図8に示した処理による状態変更後の設計情報データの一例を示す図である。設計完了対象602に含まれる図「機能Aアーキテクチャ」210で使用される要素の設計状態が「設計完了」へ変更され、状態変更前の設計情報テーブル300は、状態変更後の設計情報テーブル900に更新される。その後、設計用コンピュータ102のハードディスク122に一時データとして保存されている設計情報テーブル900は、モデル転送部604によって設計情報DB112に転送される。
【0051】
図10は、状態変更検出部605の処理であるステップS73の詳細処理の流れを示すフローチャートである。ステップS100では、図9に示した設計情報テーブル900の状態が「設計完了」となっている要素IDを抽出し、{E1,E2,E4}のような要素IDリストを生成する。ステップS101以降の処理は各要素IDについて実行される。
【0052】
ステップS101では、成果物管理DB114に格納されている成果物情報に、選択した要素IDが既に記憶されているか否かを判断する。選択した要素IDが成果物情報に存在しない場合、ステップS103を実行する。ステップS103では、選択した要素IDを設計成果物DB114に登録する要素IDリストに追加する。その後、次の要素IDに対する処理へ移行する。
【0053】
ステップS101において、成果物管理DB114に選択した要素IDが既に記憶されている場合、ステップS102に進む。ステップS102では、設計情報DB112に格納された要素の更新日時と、成果物管理DB114に格納された要素の更新日時を比較し、設計情報が更新されているかを判断する。更新日時以外に、名称や内容の変更を検出し、更新を判断してもよい。
【0054】
ステップS102において、設計情報が更新されていないと判断した場合、ステップS103の処理は実行せずに、次の要素IDに対する処理へ移行する。ステプS102において、設計情報に更新があった場合、ステップS103に進み、「登録する要素IDリストに追加」を実行する。その後、次の要素IDに対する処理へ移行する。
【0055】
以上の処理を、設計完了状態となった要素IDすべてに対して実行することで、状態が「設計完了」の要素のみを別途記録することが可能となる。
【0056】
図11は、成果物管理DB114に格納される要素を管理するための成果物情報のデータ構造の一例を示す図である。設計完了要素同期プログラム115の実行前の成果物情報テーブル1100には要素ID{”E1”,”E2”}が登録されている状態である。ここで、設計完了となった要素IDリストが{”E1”,”E2”,”E4”}であった場合、要素ID{“E1”,”E2”}は成果物情報テーブル1100に既に存在するため、図10に示したステップS102が実行される。要素ID“E1”の設計情報が更新されていた場合、図10に示したステップS103が実行される。
【0057】
よって、更新された成果物情報テーブル1101の要素ID”E1”の情報1111のように上書きされる。
【0058】
要素ID”E2”の設計情報が更新されていない場合、図10に示したステップS103が実行されないため、成果物情報テーブル1101の要素ID”E2”の情報1112も更新されない。
【0059】
要素ID”E4”は成果物情報テーブル1100に存在しないため、図10に示したステップS103が実行され、要素ID”E4”の情報1113が新たに登録される。同様に、図の情報、接続情報も成果物管理DB114で管理しても良い。
【0060】
以上により、モデリングツールでの設計情報のうち、設計が完了した情報のみを抽出し、成果物管理DB114で管理することができる。
【0061】
本発明の実施例1によれば、設計情報から設計が完了した要素を特定し、別途記憶させ、設計内容の管理の信頼性を向上することが可能な設計成果物管理システム及び設計成果物管理方法を実現することができる。
【0062】
また、ソフトウェア設計工程、ハードウェア設計工程、テスト工程等の他プロセスにおける成果物と、設計が完了したシステム設計情報のトレースを確保でき、さらに成果物のバージョンも管理できる。よって、設計の内容を高信頼に管理することができる。なお、本実施例1ではシステム設計を例としたが、モデルを用いたソフトウェア設計、ハードウェア設計においても本発明を適用することができる。
【0063】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2について説明する。
【0064】
実施例1における設計成果物管理システム100の構成は、実施例2と同様であるので、図示及び詳細な説明は省略する。
【0065】
図12は、実施例2における設計完了要素状態変更プログラム126と、設計完了要素同期プログラム115の機能構成図である。成果物管理用設計情報生成部1201及び第2モデル転送部604Aは、設計完了要素同期プログラム115に対応する。図12に示した機能構成図は、実施例1における図6に示した機能構成図に対応する。実施例2においては、実施例1における状態変更検出部605が省略され、成果物管理用設計情報生成部1201が追加されている。設計完了要素同期プログラム115は、成果物管理用設計情報生成部1201のみで設計情報と成果物管理情報両方に対応できる。
【0066】
成果物管理情報生成部1201は、設計完了要素状態変更部603が出力した設計情報から、「設計完了」要素を抽出し成果物管理DB114へ転送する成果物情報を生成する。
【0067】
図13は、実施例2の設計完了要素状態変更プログラム126と、設計完了要素同期プログラム115の処理の流れを示すフローチャートである。ステップS70、S71及びS72は、実施例1における図7に示したステップS70、S71及びS72と同様である。
【0068】
ステップS131は、成果物管理情報生成部1201の処理であり、ステップS132は、第2モデル転送部604Aの処理である。ステップ131にて、成果物管理用設計情報生成部1201は、設計完了要素変更部603が変更した設計情報600の要素のうち、状態が特定のもの、ここでは例として「設計完了」となっている要素を検出しコピーすることで、成果物管理DB114に登録する成果物情報を新たに作成する。
【0069】
また、特定の状態に加えて、成果物管理DB114に格納される成果物情報と設計情報とを比較し変更点がある要素も、新たに作成する成果物情報に含めてもよい。成果物管理情報生成部1201は、作成した成果物情報を第2モデル転送部604Aへ入力する。次にステップ132にて、モデル転送部604Aは入力された成果物情報を成果物管理DB114へ転送する。以上で処理を終了する。
【0070】
図14は、成果物管理用設計情報生成部1201で作成される成果物情報データの一例を示す図である。成果物管理用設計情報生成部1201に設計情報テーブル900が入力された場合、設計状態が「設計完了」である要素のみをコピーし、成果物管理DB114へ転送する成果物情報テーブル1400が生成される。つまり、設計情報テーブル900の設計状態が設計完了となっている要素IDがE1、E2及びE4の情報がコピーされ、成果物情報テーブル1400が生成される。
【0071】
以上により、設計情報から設計が完了した情報のみを抽出し成果物管理DB114で管理することができる。
【0072】
本発明の実施例2においても、実施例1と同様な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0073】
100・・・設計成果物管理システム、101・・・サーバ、102・・・設計用コンピュータ、103・・・ネットワーク、110・・・サーバ用CPU、111・・・サーバ用RAM、112・・・設計情報DB(第1記憶部)、113・・・サーバ用ROM、114・・・成果物管理DB(第2記憶部)、115・・・設計完了要素同期プログラム(第2制御部)、120・・・CPU、121・・・RAM、122・・・ハードディスク、123・・・ROM、124・・・入力装置、125・・・表示装置、126・・・設計完了要素状態変更プログラム(第1制御部)、127・・・モデリングツール、200・・・パッケージ「機能A」、201・・・パッケージ「機能B」、202・・・パッケージ「物理アーキテクチャ」、210・・・図「機能Aアーキテクチャ」、211、212、220・・・機能部品、230・・・物理部品、240、241・・・接続情報、300、400、500・・・テーブル、600・・・設計情報、601・・・設計完了対象指定部、602・・・設計完了対象、603・・・設計完了要素状態変更部、604・・・第1モデル転送部、604A・・・第2モデル転送部、605・・・状態変更検出部、606・・・モデル登録部、900・・・設計情報テーブル、1100、1101、1400・・・成果物情報テーブル、1201・・・成果物管理用設計情報生成部
図1
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