(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-18
(45)【発行日】2023-12-26
(54)【発明の名称】インキ供給システム、印刷インキをインタリオ印刷装置のインキ装置内に供給する方法、インタリオ印刷装置、およびインキ供給システムを運転する方法
(51)【国際特許分類】
B41F 31/02 20060101AFI20231219BHJP
B41F 9/00 20060101ALI20231219BHJP
【FI】
B41F31/02 A
B41F9/00 A
(21)【出願番号】P 2023519088
(86)(22)【出願日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2021086170
(87)【国際公開番号】W WO2022174958
(87)【国際公開日】2022-08-25
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】102021103847.2
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021103846.4
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021103845.6
(32)【優先日】2021-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390014188
【氏名又は名称】ケーニッヒ ウント バウアー アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Koenig & Bauer AG
【住所又は居所原語表記】Friedrich-Koenig-Str. 4, 97080 Wuerzburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル シャソー
(72)【発明者】
【氏名】ローベルト スティーアマン
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-522319(JP,A)
【文献】特表2021-519235(JP,A)
【文献】特開平10-296958(JP,A)
【文献】特開2000-185390(JP,A)
【文献】特表2018-535857(JP,A)
【文献】特表2006-510131(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0035040(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 31/02-31/14
B41F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷インキ(21)をインタリオ印刷装置(06)のインキ装置(07)内に提供および供給するインキ供給システムであって、前記インキ装置(07)内に設けられた着肉装置(16)と、前記着肉装置(16)に少なくとも1つの管路(34)を介して印刷インキ(21)を供給可能な提供装置(26)とを備え、前記提供装置(26)は、貯留容器(38)を有し、前記貯留容器(38)内に印刷インキ(21)のインキリザーブ(25)が貯蔵可能であり、前記貯留容器(38)は、アウトレット(46)を有し、前記アウトレット(46)を通して、前記印刷インキ(21)は、前記貯留容器(38)から、前記着肉装置(16)に連通する管路経路内に放出可能であり、前記提供装置(26)は、前記貯留容器(38)からの前記印刷インキ(21)の送出を補助するかつ/または引き起こす少なくとも1つの圧送装置(37)を有する、
インキ供給システムにおいて、
少なくとも1つの前記圧送装置(37)と、前記アウトレット(46)とに後置される前記管路経路内に、駆動手段(28)により駆動される調量装置(27)が設けられており、前記調量装置(27)により、出口側で、前記調量装置(27)の作業速度と固定の関係を介して相関させられた質量流量または体積流量が提供可能であり、前記調量装置(27)は、前記調量装置(27)の前記作業速度を開ループまたは閉ループ制御する制御手段を有する制御装置(36)に対して信号接続されており、前記制御装置、および/または前記調量装置(27)の前記作業速度を開ループまたは閉ループ制御する前記制御手段は、信号技術的に、目下の機械速度についての情報を提供する源に接続されており、前記制御手段内には、前記調量装置(27)の前記作業速度を決定する操作量(n)の目標値(n
S)と、機械速度(ω)を表す量との間の、関数または表で表された関係が格納されており、前記関係を用いて、前記制御手段により、前記目標値(n
S)は、前記制御手段の入力側に供給可能なまたは供給される、機械速度(ω)を表す量に応じて変更されるまたは変更され得る、
ことを特徴とするインキ供給システム。
【請求項2】
前記貯留容器(38)内の前記インキリザーブ(25)のための空間を画定する部分構造の、前記アウトレット(46)を有する壁(39;47)が、加熱装置(
48)を有し、前記加熱装置(
48)により、前記壁(39;47)は、少なくとも前記インキリザーブ(25)に面した側で加熱可能かつ/または温度調節可能であることを特徴とする請求項1に記載のインキ供給システム。
【請求項3】
印刷インキ(21)をインタリオ印刷装置(06)のインキ装置(07)内に提供および供給するインキ供給システムであって、前記インキ装置(07)内に設けられた着肉装置(16)と、前記着肉装置(16)に少なくとも1つの管路(34)を介して印刷インキ(21)を供給可能な提供装置(26)とを備え、前記提供装置(26)は、貯留容器(38)を有し、前記貯留容器(38)内に印刷インキ(21)のインキリザーブ(25)が貯蔵可能であり、前記貯留容器(38)は、アウトレット(46)を、前記貯留容器(38)内の前記インキリザーブ(25)のための空間を画定する部分構造の壁(39;47)に有し、前記アウトレット(46)を通して、前記印刷インキ(21)は、前記インキリザーブ(25)から、前記着肉装置(16)に連通する管路経路内に放出可能であり、前記提供装置(26)は、作業速度に関して制御可能な調量装置(27)、および/または前記貯留容器(38)からの前記印刷インキ(21)の送出を補助するかつ/または引き起こす圧送装置(37)を有する、
インキ供給システムにおいて、
前記貯留容器(38)の、前記アウトレット(46)を有する前記壁(39;47)は、加熱装置(
48)を有し、前記加熱装置(
48)により、前記壁(39;47)は、少なくとも前記インキリザーブ(25)に面した側で加熱可能かつ/または温度調節可能である、
ことを特徴とするインキ供給システム。
【請求項4】
前記調量装置(27)は、前記調量装置(27)の前記作業速度を開ループまたは閉ループ制御する制御手段を有する制御装置(36)に対して信号接続されていることを特徴とする請求項3に記載のインキ供給システム。
【請求項5】
前記インキ供給システムは、前記制御手段に対して信号接続されている、少なくとも1つのセンサ(15)を有するセンサシステムを備え、前記センサ(15)は、充填レベル(L)を表す信号についての情報を提供すべく、供給すべき前記インキ装置(07)の、前記インキ装置(07)に含まれるインキ受容部内に配置されており、前記センサシステムと前記制御手段とは、前記調量装置(27)の前記作業速度の変更により、前記着肉装置(16)に含まれるインキ受容室内の前記充填レベル(L)を、前記センサシステムにより提供される信号を用いて、上側および下側の限界値または閾値(L1;L
max;L2;L0)の間の許容される範囲内に、または所望の目標充填レベル(L
S)に保つように形成され、かつ構成されていることを特徴とする請求項1、2または4に記載のインキ供給システム。
【請求項6】
前記貯留容器(38)内の前記インキリザーブ(25)のための空間を画定する部分構造の、前記アウトレット(46)を有す
る壁(39;47)内にまたは前記壁(39;47)に接して、該当する測定場所に存在する温度を求めるセンサ(49)が設けられていることを特徴とする請求項2、3、4または5に記載のインキ供給システム。
【請求項7】
前記調量装置(27)は、容積式にかつ/または回転式に作業する圧送機構(29)を有し、前記圧送機構(29)は、前記駆動手段(28)により駆動されており、かつ/または前記調量装置(27)は、偏心ポンプ(29)として構成されていることを特徴とする請求項
1または
2に記載のインキ供給システム。
【請求項8】
前記貯留容器(38)からの前記印刷インキ(21)の前記送出を補助するかつ/または引き起こす前記圧送装置(27;37)は、前記インキリザーブ(25)内に存在する前記印刷インキ(21)に、駆動手段(41)を介して、規定可能な、かつ/または前記送出を引き起こすまたは少なくとも補助する力を印加するように構成されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7に記載のインキ供給システム。
【請求項9】
前記貯留容器(38)からの前記印刷インキ(21)の前記送出を補助するかつ/または引き起こす前記圧送装置(27;37)は、1つまたは複数の駆動手段(41)を介して力を印加可能な押しのけ体(39)を有し、前記押しのけ体(39)により、力印加時、周囲圧と比較して高い圧力を、前記貯留容器(38)内に収容される前記印刷インキ(21)に加えることが可能であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7または8に記載のインキ供給システム。
【請求項10】
前記押しのけ体(39)は、ピストンの形態で、前記貯留容器(38)の内部に進入するプランジャ(39)として形成されており、前記インキリザーブ(25)に作用する前記プランジャ(39)と、前記貯留容器(38)の、貯留容積をさらに画定する部分とは、前記貯留容積を変化させるべく、互いに相対的に可動であり、かつ/または前記押しのけ体(39)には、圧力媒体操作される1つまたは複数のアクチュエータ(41)により間接的に、または前記貯留容器(38)内で、前記貯留容器(38)の、前記インキリザーブ(25)から背離した側に位置する空間の圧力印加により直接的に、前記印刷インキ(21)に作用する力が印加可能であることを特徴とする請求項9に記載のインキ供給システム。
【請求項11】
インタリオ印刷装置(06)であって、版シリンダ(11)とインキ装置(07)とを備え、前記インキ装置(07)は、インキ受容室を含む着肉装置(16)を有し、前記着肉装置(16)により、第1のインキ装置シリンダ(17)の外套面(23)に、前記インキ受容室内に用意された印刷インキ(21)が着肉可能である、
インタリオ印刷装置(06)において、
請求項1から10までのいずれか1項に記載の、前記印刷装置(06)に併設または配設される提供装置(26)を備えるインキ供給システム、
を特徴とするインタリオ印刷装置(06)。
【請求項12】
前記第1のインキ装置シリンダ(17)は、前記第1のインキ装置シリンダ(17)の前記外套面(23)に、前記版シリンダ(11)の周に設けられた個々の凹部(14)に対応する凹部(13)を有することを特徴とする請求項11に記載の印刷装置。
【請求項13】
インタリオ印刷インキ(21)をインタリオ印刷装置(06)の着肉装置(16)のインキ受容室内に供給する方法であって、前記着肉装置(16)により、印刷装置(06)に含まれるインキ装置(07)の第1のインキ装置シリンダ(17)の外套面(23)に、前記インキ受容室内に用意された印刷インキ(21)が着肉され、このとき、供給すべき前記印刷インキ(21)は、印刷インキ(21)のインキリザーブ(25)が内部に貯蔵されている貯留容器(38)から、前記インキ受容室に供給される、
方法において、
前記印刷インキ(21)の圧送経路内に位置し、かつ供給レートRを決定する調量装置(27)の作業速度を制御手段により開ループまたは閉ループ制御して、
前記インキ受容室内の充填レベル(L)を、インキ供給のための自動の運転中、前記インキ受容
室内の前記充填レベル(L)についての情報を提供するセンサシステムの信号を用いて、前記調量装置(27)の前記作業速度の変更により、上側および下側の限界値または閾値(L1;L
max;L2;L0)の間の許容される範囲内に、または所望の目標充填レベル(L
S)に保ち、前記調量装置(27)の前記作業速度の、充填レベルに関する前記変更を、前記作業速度を表す操作量(n)に関するそれぞれ異なる値を有する運転モードI;II;III間の切り換えにより実施し、
かつ/または前記調量装置(27)の前記作業速度を決定する操作量に関する目標値(n
S)を、目下の、かつ前記印刷装置(06)の前記運転にとって重要な機械速度(ω)を表す量に応じて変更する、
ようにしていることを特徴とする方法。
【請求項14】
前記充填レベル(L)に関して、前記下側の限界値または閾値(L0;L2)が確認される場合は、前記作業速度を表す前記操作量(n)に関するより大きな値(n
H;n
S)を有する余剰運転IIに切り換え、前記余剰運転IIで、印刷インキ(21)が前記インキリザーブから下流へ前記インキ装置(07)内に放出されて消費されるより多くの印刷インキ(21)を前記インキリザーブ(25)内に圧送し、
かつ前記上側の限界値(L1;L
max)の到達時、前記作業速度を表す前記操作量(n)に関するそれと比較して小さい値(n
L;n
0;n
S)を有する別の運転モードI;IIIに切り換え、前記別の運転モードI;IIIで、印刷インキ(21)が前記インキリザーブ(25)から下流へ前記インキ装置(07)内に放出されて消費されるより少ない印刷インキ(21)を前記インキリザーブ(25)内に圧送する、
ことにより前記充填レベル(L)を上側および下側の限界値または閾値(L1;L
max;L2;L0)の間の許容される範囲内に保つ、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
印刷装置(06)に含まれるインキ装置(07)の着肉装置(16)のインキ受容室内に印刷インキ(21)を供給するインキ供給システムを運転する方法であって、供給すべき前記印刷インキ(21)を前記インキ受容室に、前記印刷インキ(21)の圧送経路内に位置し、かつ調量装置(27)として形成される圧送装置(27)を介して供給し、供給レートRを前記調量装置(27)の圧送機構(29)の作業サイクルレートを決定する操作量(n)を介して、制御装置の制御手段により変更可能であり、
-前記印刷装置(06)の印刷運転中、1つまたは複数のサイクル(Z1;Z2;Z6;Zm)であって、
前記印刷インキ(21)のインキリザーブ(25)が不足運転IIIで、前記インキ受容室内
の充填レベル(L)に関する上側の限界値または閾値(L
max;L1)から下側の限界値または閾値(L0;L2)まで排出される第1のフェーズ(Ph1)と、前記インキリザーブ(25)が余剰運転IIで、前記下側の限界値または閾値(L0;L1)から前記上側の限界値または閾値(L
max;L1)まで前記インキ受容室内に補充される第2のフェーズ(Ph2)と
、を有する前記サイクル(Z1;Z2;Z6;Zm)を通して行い、
-1つまたは複数のこのようなサイクル(Z1;Z2;Z6;Zm)を通して行う間、この時間中に通して行われる印刷サイクルcの回数に関する度合いN
Cと、前記圧送機構(29)の作業サイクルの、この期間中に遂行される数を表す度合いN
Dとを求め、
-観察される前記サイクル(Z1;Z2;Z6;Zm)の回数と、この時間中に通して行われる前記印刷サイクルcの回数に関する前記度合いN
Cと、前記圧送機構(29)の作業サイクルの、1つまたは複数の観察される前記サイクル(Z1;Z2;Z6;Zm)中に遂行される回数に関する前記度合いN
Dとを考慮して、前記調量装置(27)の前記作業サイクルレートを表す前記操作量(n)に関す
る目標値またはスタート値(n
S)を計算手段および/またはデータ処理手段により決定し、前記制御装置の記憶手段内にさらなる使用のために記憶する、
ことにより前記印刷装置(06)の生産運転にとって好適な、前記調量装置(27)の前記操作量(n)に関する目標値またはスタート値(n
S)を求める方法。
【請求項16】
該当する前記上側の限界値あるいは閾値(L
max;L1)の到達時、前記印刷装置(06)の継続運転中、前記第1のフェーズ(Ph1)が持続する間、
前記着肉装置(16)に少なくとも1つの管路(34)を介して前記印刷インキ(21)を供給可能な提供装置(26)の停止状態モードIIIに切り換え、前記停止状態モードIIIで、前記調量装置(27)は、停止状態にあり、前記下側の限界値あるいは閾値(L0;L1)の到達時、前記第2のフェーズ(Ph2)の間、余剰運転IIに切り換え、前記余剰運転IIで、印刷インキ(21)が前記インキリザーブ(25)から下流へ前記インキ装置(07)内に放出されて消費されるより多くの印刷インキ(21)を前記インキリザーブ(25)内に圧送することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記インキ受容
室内の前記充填レベル(L)を、前記印刷装置(06)の前記運転中、フルの前記第1のサイクル(Z1)に先行するスタートフェーズ(Ph0)において、まずは一度、前記第1のサイクル(Z1)のスタートに関連する前記上側または下側の限界値あるいは閾値(L1;L
max;L2;L0)まで補充するまたは下降させ、かつ/または
それぞれ1つの第1および第2のフェーズ(Ph1;Ph2)を有する単一のまたは最後のフルの前記サイクルに後続のエンドフェーズ(Ph3)において、前記充填レベル(L)を、両前記限界値または閾値(L0;L1;L2;L
max)の間にある初期充填レベルまたは目標充填レベルL
Sにもたらし、その後、前記調量装置(27)を、続けたいまたは始めたい生産運転のために、先に決定した前記目標値またはスタート値(n
S)で運転し、かつ/または
前記調量装置(27)を、前記作業サイクルレートを決定する前記操作量(n)に関して、前記生産運転において、求めた前記目標値またはスタート値(n
S)から出発して、制御手段により開ループまたは閉ループ制御して、
前記インキ受容室内の前記充填レベル(L)を、インキ供給のための自動の運転中、前記インキ受容
室内の前記充填レベル(L)についての情報を提供するセンサシステムの信号を用いて、前記調量装置(27)の前記作業サイクルレートを決定する前記操作量(n)の変更により、前記のまたは任意の上側の限界値または閾値(L1;L
max)と、前記のまたは任意の下側の限界値または閾値(L2;L0)との間の許容される範囲内に、または所望の目標充填レベル(L
S)に保ち、
かつ/または前記調量装置(27)の前記作業サイクルレートを決定する前記操作量(n)に関する前記目標値(n
S)を、前記生産運転中、目下の、かつ前記印刷装置(06)の前記運転にとって重要な機械速度(ω)を表す量に応じて変更する、
ようにしていることを特徴とする請求項15または16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1あるいは3、16、19および23に記載のインキ供給システム、印刷インキをインタリオ印刷装置のインキ装置内に供給する方法、インタリオ印刷装置、およびインキ供給システムを運転する方法に関する。
【0002】
欧州特許出願公開第0924071号明細書において、印刷機械のインキ装置内で印刷インキを供給する方法および装置であって、インキつぼに、調量された充填のために、摺動可能なカートリッジピストンを有するカートリッジが配設されている方法および装置が公知である。カートリッジピストンには、カートリッジの押し出しのために空気圧が印加可能である。カートリッジの、カートリッジピストンに対向する端部には、閉鎖可能なアウトレットが設けられている。
【0003】
国際公開第2020/161056号は、印刷機械の凹版印刷装置に関し、印刷装置内への選択的なインキ取り込みが、着肉装置と協働する第1のインキ装置シリンダが、凹版印刷シリンダに設けられた個々の凹部に対応する凹部を有することにより実施される。
【0004】
米国特許第4066014号明細書は、インタリオ印刷機械の、圧力印加されるインキアプリケータに関し、インキは、アプリケータにより直接的に、彫刻された版シリンダ上に塗工される。アプリケータは、取り付けプレートと、取り付けプレートに外方旋回可能に配置されるノズルアッセンブリとを有する支持構造を有している。支持構造内には、インキ容器が装入可能であり、あるいは装入されており、インキ容器は、所定の充填量を含み、かつ排出されるか、またはしかし、管路により外から常に充填される。取り付けプレート内には、かつ場合によってはさらに下流でノズルの周辺に、加熱素子が設けられていてもよい。連続的な充填を行う変化態様では、印刷インキは、離れたインキリザーバから押しのけポンプにより、測定器と手動のコントロール手段とを有する管路を介して、アプリケータあるいはインキ容器に供給され得る。
【0005】
独国特許出願公開第10206290号明細書は、アニロックスローラのインキ供給に関し、印刷インキは、インキリザーバ内に貯蔵され、一構成では、リザーバの温度調節される内壁を介して温度調節される。印刷インキは、加熱される底領域において、リザーバを、そこに設けられたポンプを介して後にする。
【0006】
独国実用新案第202007005544号明細書は、同じく、フレキソ印刷装置のアニロックスローラと協働するチャンバドクタの供給に関する。インキは、そこでインキ容器の下側の領域から回路内を圧送され、容器の底領域における温度調節により温度調節される。
【0007】
独国特許出願公開第4137337号明細書により、アニロックスローラを用いた凸版印刷法のためのインキ供給が開示されている。受容容器からのインキの送出は、蓋内に設けられたアウトレットを通してポンプにより実施される。容器の底は、温度調節されている。
【0008】
独国特許出願公開第4116989号明細書は、インキ供給に関し、インキ槽またはニス槽には、コンディショニングされたインキ流の循環の中で、混合容器から供給がなされ、混合容器の容器底は、温度調節可能に形成されている。供給は、槽内の乾燥を回避すべく、余剰にポンプを介して実施され、混合容器内への戻しは、別のポンプを介して実施される。その際、槽内の充填レベルは、あらゆる流入が遮断される最大の充填レベルと、充填レベルを上げるべき最小の充填レベルと、さらなる充填は不要である目標充填レベルとについて監視される。
【0009】
独国特許出願公開第102008022988号明細書は、チャンバドクタに流体を供給するシステムを有するシート印刷機械に関する。この場合、流体は、流体リザーバとドクタチャンバとの間を循環し、流体は、リザーバから、供給管路内に配置される圧送レート制御可能なポンプにより、ドクタチャンバ内に圧送される。
【0010】
独国特許出願公開第102008011007号明細書は、インキコンテナから管路システムを介したオフセット印刷装置へのインキの供給と、管路システム内に設けられた回転数制御可能なスピンドルねじポンプとに関する。管路システム内に存在するインキ(ここではインキリザーバともいう)は、過度に高い永久圧力から保護されることが望ましい。このために圧力が測定され、かつ圧送ポンプの相応の運転により目標作業圧力が遵守される。
【0011】
独国特許出願公開第10246946号明細書は、被印刷物をフレキソ印刷装置または凹版印刷装置によりコーティングする装置に関し、1つの運転形式では、ポンプによりコーティング媒体が余剰に容器から調量システムの槽内に圧送され、槽から一部が再び容器内に戻される。別の運転形式では、別の容器に由来するクリーニング流体が貫流するように圧送され得る。センサにより、槽内の充填レベル高さが監視可能である。
【0012】
独国特許出願公開第102015010126号明細書は、フレキソ印刷装置または凹版印刷装置用のインキ回路に関し、管路を介してダブルダイヤフラムポンプにより、印刷インキは、リザーバから印刷装置のインキ装置内に圧送され、そしてリターン管路を介してリングピストンポンプによりリザーバ内に戻し圧送される。
【0013】
独国特許発明第102016209031号明細書において、チャンバドクタへのコーティング剤の供給が開示されており、貯留容器から送りポンプを介してコーティング剤がドクタチャンバ内に圧送され、余剰が底側のアウトレットから集合アキュムレータ内に流れ、そこから戻しポンプにより貯留容器内に戻し圧送される。送りポンプは、単位時間当たり圧送されるそのニス量に関して、機械速度に対して比例する入力量に応じて制御される。さらに、集合アキュムレータ内の充填レベルは、センサシステムを介して検出され、集合アキュムレータから貯留容器内への戻りに関して制御される。
【0014】
独国特許出願公開第102013003923号明細書は、アニロックス式インキ装置内でインキを供給する方法に関し、印刷インキの補給は、固定の小量の印刷インキを、間隔に関して変更可能なインターバルで追加することにより実施される。センサシステムにより、ドクタインキつぼ内で、5つの充填レベル、すなわち、最大の充填レベルおよび最小の充填レベル、最小の作業充填レベルおよび最大の作業充填レベルならびに目標充填レベルが検知される。算出されるパイロット制御を伴った、本刷りで実施されるインキ供給時、基本充填後、最小の作業充填レベルと最大の作業充填レベルとの間に保たれる。このことは、閉ループ制御アルゴリズムの形態で行われ、閉ループ制御アルゴリズムにより、最大の作業充填レベルの到達時、インターバルは、固定のルールにしたがい、所定の第1の値の分だけ拡大され、かつ最小の作業充填レベルの到達時、第1の値と比較して小さい値の分だけ縮小される。
米国特許出願公開第2001/0011512号明細書は、印刷機械のインキつぼ内に最小のインキ量を維持する装置および方法に関し、印刷機械は、インキつぼの上方でキャリッジに組み付けられたインキつぼレベルセンサとインキディスペンサとを備える。一構成では、調量は、ステッピングモータを介して所定のインキ量で行われる。
国際公開第2020/224815号により、インキ装置を備えたインタリオ印刷機械が開示されており、インキ装置は、選択的なインキ供給のために、プレートシリンダに設けられたグラビアに対応して形成された凹部を有するインキ装置シリンダを備える。
独国特許出願公開第102019103784号明細書では、インタリオ印刷装置の着肉装置がセンサ装置を備え、センサ装置により、インキ受容室に存在するインキ量および/または充填高さに関する度合いが導出可能であるものの、少なくとも、例えば充填レベルの下側および/または上側の限界値に関する臨界的な充填状態への到達についての情報が導出可能である。
米国特許出願公開第2014/0182467号明細書は、印刷およびインキ補正プロセス中に印刷インキの粘度を測定するシステムおよび方法に関する。印刷機械は、インキを流入箇所から被印刷物に転移することができる少なくとも1つのインキ供給システムと、光の光学的な実際値を測定する少なくとも1つの光学的な測定装置と、さらに、少なくとも印刷インキの一部の重量を測定するインキ質量測定装置とを備える。
米国特許第6024015号明細書により、印刷機械のアニロックスローラに着肉する着肉装置が開示されており、印刷機械は、インキ容器を備えたインキ供給装置を備える。インキタンクはインキ供給装置から分離可能である。印刷インキは、供給路において圧力下でインキ容器からインキ供給装置に搬送される。供給管路を介して、印刷インキはポンプまたは搬送ローラによりインキ装置ローラのセルまたはセリフに押し込まれる。
米国特許第6516721号明細書は、1つまたは複数の摩擦シリンダと、インキ転移ローラと、インキ着けローラと、印刷インキ用のインキリザーバと、印刷インキを調量する少なくとも1つの電気的に制御可能な弁を備えたインキ調量装置とを備えた印刷機械用のインキ装置に関する。インキ調量装置に印刷インキを予め規定された高い圧力でインキリザーバから供給する高圧ポンプ装置と、印刷インキを、室温を上回る予め規定された温度に加熱する加熱装置とが設けられている。
【0015】
本発明の根底にある課題は、インキ供給システム、印刷インキをインタリオ印刷装置のインキ装置内に供給する方法、インタリオ印刷装置、およびインキ供給システムを運転する方法を提供することである。
【0016】
上記課題は、本発明において請求項1あるいは3、16、19および23の特徴により解決される。
【0017】
本発明により達成可能な利点は、特に、印刷インキ、特に高粘度の印刷インキも小量でかつ/または連続的に印刷装置のインキ装置に供給可能であることにあり、このことは、例えばインタリオ印刷、特に、印刷インキを選択的にインキ装置内に放出するインキ装置シリンダを使用したインタリオ印刷の際に、特に有利である。コントロールされた供給と、インキ装置のインキ受容部内の僅かなインキ量とにより、絶え間ない運動と熱負荷とによるインキ品質の劣化は、できる限り僅かに抑えられる。
【0018】
これに特別な意義があるのは、印刷インキをインタリオ印刷装置のインキ装置内に提供および供給するインキ供給システムであって、インキ装置内に設けられた、特に第1のインキ装置シリンダに着肉する着肉装置と、着肉装置に少なくとも1つの管路、例えばパイプ状またはチューブ状に形成される管路を介して印刷インキを供給可能な提供装置とを備え、提供装置は、貯留容器を有し、貯留容器内に印刷インキのインキリザーブが貯蔵可能であり、貯留容器は、アウトレットを有し、アウトレットを通して、印刷インキは、貯留容器から、着肉装置に連通する管路経路内に放出可能である、インキ供給システムとの関連においてである。
【0019】
例えば高粘度の印刷インキを特に良好に調量してインキ装置内に圧送することができるように、上述のインキ案内システムの一構成では、貯留容器からの印刷インキの送出を補助するかつ/または引き起こす圧送装置に加え、圧送装置とアウトレットとに後置される管路経路内に、駆動手段により駆動される調量装置が設けられており、調量装置により、出口側で、調量装置の作業速度と固定の関係を介して相関させられた質量流量または体積流量が提供可能である。このことは例えば、印刷インキ、例えば粘性のある印刷インキの調量が、程度の差こそあれ力フリーに実施され得る一方、運搬の主たる負担は、圧送装置により担われることを引き起こす。
【0020】
これに対して代替的または付加的に、上述のインキ供給システムは、調量装置および/または圧送装置に加え、貯留容器内のインキリザーブのための空間を画定する部分構造の、アウトレットを有する壁内にまたは壁に接して、加熱装置を有していてもよく、加熱装置により、壁は、少なくともインキリザーブに面した側で、例えば少なくとも大面積的に、特に全面的に、加熱可能かつ/または温度調節可能である。その際、大面積的な、またはそれどころか全面的な温度調節とは、例えば、アウトレットを有するこの壁の、中を向いた側が、この加熱装置により、少なくともほぼ、例えば90%超、理想的には全面で、加熱素子の相応の分布および/または相応の熱伝導特性および/または構造的な構成により、周囲温度より上にある温度に加熱可能であるように、壁を温度調節することを意味している。温度調節により、例えば粘性のある印刷インキは、少なくとも、アウトレットの領域において、好ましくは、横断面全体に及ぶ、壁に隣接する層内で、例えば改善された流動性および/またはインキ装置内でのプロセスのための前温度調節に関してコンディショニング可能である。
【0021】
印刷インキの送出を補助するかつ/または引き起こす上述の圧送装置は、好ましくは、インキリザーブ内に存在する印刷インキに、駆動手段を介して、規定可能な、かつ/または送出を引き起こすまたは少なくとも補助する力を印加するように構成されている。圧送装置は、特に有利には、1つまたは複数の駆動手段を介して力を印加可能な押しのけ体を有し、押しのけ体により、力印加時、周囲圧と比較して高い圧力を、貯留容器内に収容される印刷インキに加えることが可能である。有利には、押しのけ体は、ピストンの形態で、貯留容器の内部に進入するプランジャとして形成されており、インキリザーブに作用するプランジャと、貯留容器の、貯留容積をさらに画定する部分とは、貯留容積を変化させるべく、互いに相対的に可動である。この場合、押しのけ体は、可動に配置され、貯留容器の、インキリザーブをさらに画定する部分は、提供装置または印刷装置もしくはインキ装置の架構に関して架構固定に配置されていてもよい。それ自体単独で、または特に1つまたは複数の上述の構成変化態様とともに、押しのけ体には、好ましくは、間に介在物を介して、圧力媒体操作される1つまたは複数のアクチュエータにより、または場合によっては間に介在物を介さずに、貯留容器内で、貯留容器の、インキリザーブから背離した側に位置する空間の圧力印加により、印刷インキに作用する力が印加可能であってもよい。それ自体単独で、または特に1つまたは複数の上述の構成変化態様とともに、アウトレットを有する壁は、好ましくは、押しのけ体の、インキリザーブに面した側により、または場合によっては貯留容器の、押しのけ体に対向する壁により形成されていてもよい。
【0022】
それ自体単独で、または特に1つまたは複数の上述の構成とともに、調量装置は、有利には、調量装置により1,000ml/min(千ミリリットル毎分)未満の一定のかつ/または連続的な圧送レートRが設定可能かつ/または提供可能であるように形成されており、かつ/または圧送装置は、別の特に有利な構成では、調量装置の圧送機構と駆動手段との間に減速伝動機構を有し、かつ/または調量装置の作業速度を開ループまたは閉ループ制御する制御手段を有する制御装置を有し、かつ/または制御手段内に格納される、調量装置の作業速度を決定する操作量の目標値と、機械速度を表す情報との間の、関数または表で表された関係を有し、この関係を用いて、制御手段により、目標値は、制御手段の入力側に供給可能な、かつ機械速度を表す量に応じて変更されるまたは変更され得る。制御装置、あるいは調量装置の作業速度を開ループまたは閉ループ制御する制御手段は、このために信号技術的に、目下の機械速度についての情報を提供する源に接続されており、源は、例えば、機械速度を設定する駆動制御部または機械制御部自体により形成されていてもよいか、または被印刷物送りまたは機械位相を提供するセンサシステム、例えば回転する構成部材と相互作用関係にあるロータリエンコーダにより形成されていてもよい。
【0023】
好ましい一構成において、駆動手段により駆動される、好ましくは調量装置として形成される圧送装置の、圧送機構の作業サイクルレートを決定する操作量は、制御手段を介して変更可能である。特に制御手段は、インキ受容室に割り当てられた少なくとも1つのセンサを有するセンサシステムに対して信号接続されており、センサにより、制御手段に、少なくとも、充填レベルを表す信号に関する下側の限界値または閾値の到達と、少なくとも、充填レベルを表す信号に関する上側の限界値または閾値の到達とが提供可能であり、または提供され、制御手段は、好ましくは、データ処理手段を有し、データ処理手段により、下側の限界値または閾値の到達を表す信号を記録したときは、操作量に関する目下の値と比較して高い値を有する運転モードに切り換えられ、上側の限界値または閾値の到達を表す信号を記録したときは、操作量に関する先に取られた値と比較して低い値を有する運転モードに切り換えられる。
【0024】
調量装置は、好ましくは、調量装置により1,000ml/min(千ミリリットル毎分)未満の一定のかつ/または連続的な圧送レートが設定可能かつ/または提供可能であるように形成され、かつ/または寸法設定されている。このことは、より大量にひとかたまりずつ行う補充に対して、小量の連続的な供給さえ保証する。
【0025】
殊更有利であるのは、インタリオ印刷装置であって、版シリンダと、インキ装置であって、インキ受容室を含む着肉装置を有し、着肉装置により、第1のインキ装置シリンダの外套面に、インキ受容室内に用意された印刷インキが着肉可能であるインキ装置と、上で説明した有利な一構成で形成されている、印刷装置に併設または配設される印刷インキを提供する装置および/または併設または配設されるインキ供給システムと、を備えて構成されている、インタリオ印刷装置である。
【0026】
この種の印刷装置は、好ましくは、インタリオ印刷装置として構成されており、第1の、特に着肉装置により着肉すべきインキ装置シリンダは、この第1のインキ装置シリンダの外套面上に、版シリンダの周に設けられた個々の凹部に対応する凹部を有している。
【0027】
有利な発展形において、調量装置および/または圧送装置を有する提供装置は、独立した、すなわち、構造上、印刷装置から分離された、しかし、管路を介して印刷装置の着肉装置に接続可能なユニットとして構成されており、かつ/またはキャスタまたは車輪上にあって可動であってもよい。
【0028】
インタリオ印刷インキをインタリオ印刷装置の着肉装置のインキ受容室内に供給する好ましい一形態および方法であって、着肉装置により、印刷装置に含まれるインキ装置の第1のインキ装置シリンダの外套面上に、インキ受容室内に用意された印刷インキが着肉される形態および方法において、供給すべき印刷インキは、印刷インキのインキリザーブが内部に貯蔵される貯留容器から、インキ受容室に供給される。その際、印刷インキの圧送経路内に位置し、かつ供給レートを決定する調量装置の作業速度を制御手段により開ループまたは閉ループ制御して、インキ受容室内の充填レベルを、インキ供給のための自動の運転中、インキ受容部内の充填レベルについての情報を提供するセンサシステムの信号を用いて、調量装置の作業速度の変更により、上側および下側の限界値または閾値の間の許容される範囲内に、または所望の目標充填レベルにまたは付近に保つようにしている。これに代えて、または好ましくは、これに加えて、調量装置を制御手段により開ループまたは閉ループ制御して、調量装置の作業速度を決定する操作量に関する目標値を、目下の、かつ印刷装置の運転にとって重要な機械速度を表す量に応じて変更するようにしている。
【0029】
それ自体単独で、または有利には、印刷インキを自動の運転で供給する上述の方法の発展形において、例えば自動の供給運転とは異なる運転シーケンスで、印刷装置の生産運転にとって好適な、調量装置の圧送機構の作業サイクルレートを決定する操作量に関する目標値またはスタート値を、印刷装置の印刷運転中、1つまたは複数のサイクルであって、インキリザーブが不足運転で、インキ受容室内の充填レベルに関する上側の限界値または閾値から下側の限界値または閾値まで排出される第1のフェーズと、インキリザーブが余剰運転で、下側の限界値または閾値から上側の限界値または閾値までインキ受容室内に補充される、先行するまたは後続の第2のフェーズとを有するサイクルを通して行い、1つまたは複数のこのようなサイクルを通して行う間、この時間中に通して行われる印刷サイクルの回数に関する度合いと、圧送機構の作業サイクルの、この期間中に遂行される数を表す度合いとを求め、最後に、観察されるサイクルの回数と、この時間中に通して行われる印刷サイクルの回数に関する度合いと、圧送機構の作業サイクルの、1つまたは複数の観察されるサイクル中に遂行される回数に関する度合いとを考慮して、調量装置の作業サイクルレートを表す操作量に関する目標値またはスタート値を決定し、制御装置の記憶手段内にさらなる使用のために記憶する、ことにより、求める。
【0030】
この場合、該当する上側の限界値あるいは閾値の到達時、印刷装置の継続運転中、例えば第1のフェーズが持続する間、提供装置の停止状態モードに切り換え、停止状態モードで、調量装置は、停止状態にあり、下側の限界値あるいは閾値の到達時、第2のフェーズの間、余剰運転に切り換え、余剰運転で、印刷インキがインキリザーブから下流へインキ装置内に放出されて消費されるより多くの印刷インキをインキリザーブ内に圧送する。
【0031】
本発明の実施例を図面に示し、以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】印刷装置を有する印刷機械、特に凹版印刷機械の側面図である。
【
図2】
図1に示す印刷装置のインキ装置からのインキトレインを示す図である。
【
図3】a)は、第1のインキ装置シリンダの外套面内に設けられたグラビアの概略図であり、b)は、版シリンダの外套面内に設けられたグラビアの概略図である。
【
図4】理解し易くするという理由から、インキトレインと、配設される提供装置とを1つずつしか示していないインキ装置の概略背面図である。
【
図7】a)は、インキリザーブが満杯のとき、b)は、概ね空のときの提供装置の概略図である。
【
図8】下側および上側の限界値あるいは閾値を有する提供装置の自動の運転のための簡略化したフローチャートである。
【
図9】調量ポンプ駆動部のための、消費に応じた目標値またはスタート値設定を経験的に決定する例示的な運転サイクルの概略図である。
【0033】
印刷機械、特に有価証券印刷機械は、基材Sに凹版印刷法、特にインタリオ印刷法によって印刷することが可能な少なくとも1つの印刷装置06と、例えば、印刷機械の入口側に印刷すべき基材Sを供給することが可能な基材供給部01、例えばシートフィーダ01として形成される基材供給部01と、基材Sを場合によっては別の加工ユニットを介して少なくとも1つの印刷装置06、特にインタリオ印刷装置06に供給することが可能な第1の搬送区間02と、少なくとも片面で印刷された基材S’をまとめて束にすることが可能な、例えばデリバリ04、特にパイルデリバリ04として形成される製品受け部04と、印刷された基材S’を場合によっては別の加工ユニットを介して製品受け部04に供給することが可能な第2の搬送区間03とを有している。基材S;S’は、ウェブ状に存在していてもよいが、好ましくは、基材シートS;S’、例えば被印刷物シートS;S’として存在し、好ましくは、ポリマーベースの有価証券、例えば銀行券紙から形成されている。
【0034】
特にインタリオ印刷法によって印刷する印刷機械、特に凹版印刷機械あるいはインタリオ印刷機械は、好ましくは、シート印刷機械として、特に、シート凹版印刷機械として、好ましくは、インタリオ印刷法で印刷するシート印刷機械として形成されている。インタリオ印刷法は、好ましくは、銀行券、セキュリティドキュメントまたはセキュリティエレメントを業として製造する際に使用される凹版印刷法である。この場合、印刷箇所には、例えば1,000N/cmを超える高い圧着力、例えば線形力が適用され、この高い圧着力により、基材Sは、印刷時に同時にエンボス加工され、生成された構造は、触覚によって知覚することができるようになる。
【0035】
凹版印刷法、特にインタリオ印刷法によって作業する印刷装置06(以下では凹版印刷装置06、特に彫刻凹版印刷装置06またはインタリオ印刷装置06ともいう)は、例えば、インプレッションシリンダ12としての作用も奏するかつ/またはインプレッションシリンダ12ともいう印刷装置シリンダ12と、インプレッションシリンダ12とともに1つの印刷箇所を形成する、凹版印刷用の版シリンダ11として構成される印刷装置シリンダ11、特にインタリオ印刷シリンダ11とを備え、インプレッションシリンダ12と版シリンダ11とは、好ましくは、高圧下で互いに当接されているまたは少なくとも当接可能である。版シリンダ11は、版シリンダ11の周上に、印刷すべき印刷画像、例えばイメージの、印刷画像を付与する凹部14のパターン(例えば
図3b)参照)を担持しており、凹部14は、以下では、明示的に具体化しない限り、その製造によらず同義に「グラビア」14ともいう。凹部14は、基本的には、シリンダ外周面に含まれる外套面24上に、またはしかし、より好ましい構成では、版シリンダ11に解離可能に配置されるまたは配置可能な1つまたは複数の印刷版、例えば印刷プレートとしての、または場合によっては印刷版スリーブとしての印刷版の外套面24上に設けられていてもよい。
【0036】
好ましくは、印刷装置06あるいは印刷機械は、基材S、特に基材シートSに多面付けで印刷するように構成されている。1印刷長さあるいは1反復長さに被着されるかつ/または1枚の基材シートS;S’あるいは裁断基材S;S’に割り当てられる全体画像は、好ましくは、複数の列をなして相並んで、かつ複数の行をなして相前後して基材S上に印刷すべき多数の割り付け面、例えば銀行券の印刷画像により形成されている。これに応じて、この印刷長さに割り当てられる印刷版のグラビアパターンは、相応の多数の、列および行をなしてマトリクス状に配置される、特に同じモチーフの凹部14のパターン、例えばモチーフグラビアにより形成されている。割り付け面毎に複数の、空間的に互いに分けられたこの種の画像モチーフが設けられていてもよい。版シリンダ11は、複数倍、特に3倍のサイズに形成されていてよい。すなわち、1回転につき、複数の、特に3つの基材シートS、またはウェブの複数の、特に3つの区間に印刷するように、相応の円周と、場合によっては保持装置とを有して構成されていてよい。
【0037】
余分なインキ21、特に印刷インキ21を除去すべく、ここでは符号を付して示すことはしない除去装置、例えば拭き取りシリンダを有する拭き取り装置が、版シリンダ11に対して当接されているか、または少なくとも当接可能である。
【0038】
版シリンダ11、あるいは版シリンダ11に設けられた印刷版は、インキ装置07により単色、または好ましくは多色に着肉可能である。このインキ装置07全体またはその一部は、印刷装置部分08であって、好ましくは空間固定に配置されていて、印刷箇所を形成する印刷装置シリンダ11;12を有する印刷装置部分08から、離間移動可能に支持され、かつ/またはそれどころか分割可能に形成されていてもよい。
【0039】
インキ装置07は、インキ装置07内でのインキ運搬方向で見て上流端に、例えばインキ供給システムにより印刷インキ21が供給されるか、または供給可能な着肉装置16を有し、着肉装置16により、インキ装置シリンダ17、例えば第1のインキ装置シリンダ17(以下ではインキグラビアシリンダ17ともいう)に着肉することが可能である。第1のインキ装置シリンダ17は、第1のインキ装置シリンダ17の外套面23の領域に凹部13(例えば
図3a)参照)を有し、凹部13は、以下では、明示的に具体化しない限り、その製造によらず同義に「グラビア」13ともいい、版シリンダ11の、あるいは版シリンダ11上に担持される印刷版の外套面24上に設けられた凹部14あるいはグラビア14に、またはその一部に対応している(例えば
図3b)参照)。このことは、グラビア13が、対応するグラビア14と同じ寸法および同じ深さを有していなければならないことを意味するものではなく、その形状および/または深さが、互いに規定された関係にあることを意味し、この規定された関係は、例えば、定められたまたは定め得る法則性を基に獲得されるか、あるいは獲得されている。第1のインキ装置シリンダ17に設けられた個々の凹部13は、好ましくは、凹部13が、版シリンダ11に設けられた凹部14と、その形状および/または深さについて、定められた法則性の下にある互いに規定された関係にあるように、かつ/または第1のインキ装置シリンダ17に設けられた個々の凹部13が、版シリンダ11に設けられた個々の対応する凹部14に対して、規定された法則性を介してスケーリングされた大きさおよび/または形状付与を有するように、版シリンダ11に設けられた凹部14に対応している。好ましくは、第1のインキ装置シリンダ17に設けられたグラビア13のために、版シリンダ11上、または版シリンダ11に含まれるもしくは担持される印刷版上に設けられた対応するグラビア14のためよりも、より大きな幅、例えば線の太さ、および/またはより大きな深さが設けられている。例えば、版シリンダ11に設けられた凹部14に対応する、第1のインキ装置シリンダ17に設けられた個々の、特に線形の凹部13は、例えば少なくとも20μmおよび/または最高で1,000μmの幅を有している。「線状」または「線形」なる表現は、小さな線の太さを有する線の他に、より大きな線の太さまたは幅が変化する線の太さを有する帯状の線も含むと解すべきであり、特に最大の長さは、それぞれ、線の太さが一定の線の幅または幅が変化する線の最大の幅より顕著に大きく、例えば少なくとも2倍、または好ましくは少なくとも4倍、またはそれどころか10倍大きい。
【0040】
インキグラビアシリンダ17の下流には、インキ装置07内に、インキ装置07により着肉すべきインキ装置シリンダ18、例えば第2のインキ装置シリンダ18が設けられており、インキ装置シリンダ18は、印刷インキ21をインキグラビアシリンダ17から下流に転移させ、かつ有利な構成では、インキ装置シリンダ18の外套面、好ましくは弾性および/または圧縮性の外套面の領域に、より低位に位置する箇所または領域によって互いに分けられた隆起部を有し、これにより、これらの隆起部の領域において、下流の次なるインキ装置シリンダまたは印刷装置シリンダ19;11の外套面と協働することが可能である。下流の次なるシリンダ19;11は、版シリンダ11であってもよいし、または有利な構成では、転移シリンダまたは特にインキザンメルシリンダ19であってもよい。インキザンメルシリンダ19の場合、インキザンメルシリンダ19は、上流で複数のインキユニット09、例えばインキトレイン09の第2のインキ装置シリンダ18と協働し、インキユニット09、例えばインキトレイン09は、それぞれ、着肉装置16と、第1および第2のインキ装置シリンダ17;18とを有している。
【0041】
上述の着肉装置16により、この第1のインキ装置シリンダ17は、第1のインキ装置シリンダ17の周に位置する少なくとも1つの塗工箇所で着肉可能である。塗工箇所における塗工は、基本的には、任意に形成されていてよいが、着肉装置16は、好ましい構成では、インキ受容室を有し、インキ受容室は、インキグラビアシリンダ17に面した側で少なくとも一部インキグラビアシリンダ17の外套面17により画定されている。インキ受容室とは、ここでは、例えば一般に、塗工すべき、外套面17と接触する印刷インキ21が内部に存在している開いたまたは閉鎖された室と解すべきである。好ましい構成において、着肉装置16には、少なくとも1つのセンサ15を有する少なくとも1つのセンサ装置が割り当てられており、センサ装置により、インキ受容室内に存在するインキ量および/または充填高さ(以下では充填レベルLともいう)の度合いを、しかし、少なくとも、少なくとも1つの臨界的な充填状態の到達、例えば、充填レベルLに関する少なくとも1つの臨界的な値L1,Lmax;L2;L0の到達、特に、充填レベルLに関する下側および/または上側の限界値または閾値L1,Lmax;L2;L0の到達についての情報を、導出することが可能である。
【0042】
着肉装置16は、凹部13を有するインキ装置シリンダ17の運転回転方向Dで上述の塗工箇所の少なくとも下流側に、せき止め手段22、例えばインキブレード22、または特にかき取り手段22、例えばドクタ22を有し、せき止め手段22、例えばインキブレード22、またはかき取り手段22、例えばドクタ22により、運転回転方向Dで見てインキ塗工の後、特に、下流に後置されるインキ装置シリンダ18とのニップ箇所の前で、先に外套面23上に塗工された印刷インキ21を取り除くことが可能である。好ましくは、せき止め手段22は、少なくとも作業位置あるいは運転位置でインキグラビアシリンダ17の好ましくは硬質かつ不撓性の外套面23と接触している好ましくはその当接力に関して変更可能あるいは調整可能なかき取り手段22、特にドクタ22として形成されており、かき取り手段22あるいはドクタ22により、彫刻されていない領域上に被着された印刷インキ21を特に略完全に取り除くことが可能である。
【0043】
上で説明したように、第1のインキ装置シリンダ17を、版シリンダ11に設けられた凹部14に対応する凹部13を有して形成したことで、場所的に必要に応じて調量されたインキ装置07内へのインキ取り込み(以下では選択的なインキ取り込みともいう)が可能であり、大面積的に印刷インキ21を持ち込み、拭き取り装置によって、より大量の印刷インキ21を再び取り除く必要はなくなる。このことは、しかし、着肉装置16から運転中、そうでない場合に一般的であるよりもかなり少ない印刷インキ21が除去されることも意味する。選択的なインキ取り込みを伴うこのような印刷装置06の運転時の大幅な改善は、而るに以下に説明するインキ供給システムおよび/またはインキ供給方法により達成可能である。これにより、時間にわたって必要に応じて印刷インキ21を供給することができ、このことは、インキ受容室内に受容される印刷インキ21の量が少なくて済み、平均滞留時間がより短いことを可能にする。このことは、他方、含まれる液状の溶剤が、熱に起因して蒸発することによる、印刷インキ21の熱負荷を下げ、ひいては、運転に障害が起こる可能性を下げる。
【0044】
インキ供給システムは、印刷インキ21を提供する装置26、略して提供装置26を備え、この装置26により、印刷装置06のインキ装置07、特に着肉装置16あるいはその受容室に、例えば少なくとも1つの管路34、例えばフィード管路34を介して、印刷インキ21が供給可能である。提供装置26は、インキ装置07内に、またはインキ装置07の構成群内に組み込まれていてもよいし、または独立したユニットとして構成され、管路、好ましくは、管路経路の少なくとも1箇所で切り離し可能な管路34を介して、着肉装置16に、あるいはインキ受容室内に連通するアウトレットに接続されているあるいは接続可能である。両ケースとも、例えば管路経路内に、着肉装置16のチャンバ間の例えば単なる貫通路とは違って、例えば、パイプ管路またはチューブ管路として形成される、好ましくは、少なくとも一端の領域において着脱自在である管路34が設けられている。有利な一発展形において、提供装置26は、独立したユニットとして構成されており、例えば加えてキャスタ35または車輪35上にあって可動である。
【0045】
提供装置26は、特に、印刷インキ21を特に体積に関して調量してあるいは調量可能に供給する受容装置兼調量装置26として形成されており、受容装置兼調量装置26により、印刷インキ21は、インキリザーブ25内に貯蔵可能であり、例えば、提供装置26に含まれ、かつ調量装置27として形成される圧送装置27の出口側で、着肉装置16内へ供給するために調量されて提供可能であるあるいは提供される。基本的に、調量、すなわち、望ましい供給レートRに応じた供給は、操作量nであって、質量流量または体積流量に関し、かつこれらの質量流量または体積流量と、固定の、特に線形の関係を介して相関させられたあらゆる操作量nに関して、決定可能であってもよい。好ましくは、しかし、体積圧送レートに関して決定可能な調量装置27、例えば容積式の調量装置27、例えば容積式に作業する圧送機構29、例えば容積式のポンプ29、特に容積式の調量ポンプ29を有する容積式の調量装置27が設けられている。この場合、供給レートRを決定する体積圧送レートは、体積圧送レートと厳密に相関させられたあらゆる好適な操作量n、特に、調量装置27の、体積圧送レートを決定する運転量を介して、決定可能あるいは設定可能であってもよい。圧送レート、ひいては供給レートRを制御する操作量nとして、好ましい構成では、調量装置27の作業速度を表す操作量n、例えば、作業サイクルレート、例えば圧送機構29の作業クロックレートまたは作業回転数を表す量が使用されてもよい。而して、特に、圧送機構29を駆動する駆動手段28、特に駆動モータ28は、操作部材28として、供給レートRあるいは体積圧送レートを表すかつ/または決定する、ひいては作業速度を表す操作量nに関して、例えば、圧送機構29を駆動する駆動手段28の運転速度n、例えば、圧力媒体をベースとするピストン-シリンダ-システムの運転クロックレートnに関して、またはしかし、特に、圧送機構29を駆動する駆動モータ28の運転回転数nに関して、開ループまたは閉ループ制御可能であってもよいあるいは開ループまたは閉ループ制御されてもよい。
【0046】
調量装置27が、提供装置26の供給運転中、すなわち、能動的な供給運転中、不連続的に運転されているあるいは運転される調量装置27である場合、このような供給レートRもしくは体積圧送レート、またはこれらを表す操作量nは、例えばピストンポンプとして形成される圧送機構29の行程容積が例えば既知である場合、作業サイクルレート、すなわち、運転中、任意のタイムスパンに関する作業サイクルの回数により決定可能あるいは設定可能であってもよい。作業サイクルレートは、例えば、調量装置27にその駆動のために含まれる駆動手段28の、この場合は、例えばシリンダ-ピストン-システム内に設けられた押しのけピストンのサイクルレートであってもよい。
【0047】
より好ましいのは、しかし、印刷インキ21を、運転モード中、すなわち能動的な供給運転中、連続的に、すなわち、中断なしの連続的な圧送流で、圧送する調量装置27であり、調量装置27は、例えば回転式に作業する圧送機構29、例えば回転式に作業する容積式のポンプ29、特に回転式に作業する押しのけポンプ29により提供されている。この場合、連続的な供給レートRあるいは体積圧送レートは、例えば、規定された1作業サイクル、例えば1回転、または1回転のうちの決まった一部もしくは1回転の倍数に関する作業サイクル毎の圧送体積V
Zが既知である場合、ここでも、作業速度、特に調量装置27の作業サイクルレートを表す操作量nにより決定可能あるいは設定可能であってもよい。作業速度は、例えば、調量装置27にその駆動のために含まれる駆動手段28、例えば駆動モータ28の運転回転数n、略して回転数nにより表現されていてもよい。駆動手段28は、この場合、好ましくは伝動機構33を介して、例えば、圧送を引き起こす圧送機構29の、動かされるあるいは可動の、
図5には括弧書きの表現で略示したにすぎない部材32、特にロータ32を駆動する。運転回転数nなる概念の下には、駆動手段28が角度位置制御可能な駆動手段28であれば、同様に、結果として生じる角速度が含まれているものとすべきである。同じく、圧送レートを決定する運転回転数nなる表現の下には、より広義に、駆動手段28、あるいは駆動手段28のロータ32自体における回転数ではなく、場合によっては別の方法でパワートレーン内において導出され、駆動モータ28および/またはロータ32の運転回転数nと厳密に相関させられ、供給レートRあるいは圧送レートの決定および制御のために援用されるあるいは援用されている構成も含まれているものとすべきである。
【0048】
高い粘性、例えばインタリオ印刷用の印刷インキ21の場合に存在しているような粘性を有する流体にとって特に好適な一構成において、調量装置27の圧送機構は、ねじポンプ29として、特に偏心ねじポンプ29として形成されている。この場合、ねじポンプ29は、固定の、
図5には括弧書きの表現で略示したにすぎない部材31として、例えば雌ねじ山を有するステータ31を有し、ステータ31内において、駆動手段28により駆動される可動の部材32として、例えばロータ32が回転可能であるあるいは回転される。
【0049】
場合によっては不連続的に、または好ましくは連続的に作業する調量装置27は、好ましくは、調量装置27により、1,000ml/min(千ミリリットル毎分)未満、特に500ml/min(五百ミリリットル毎分)未満またはそれどころか200ml/min(二百ミリリットル毎分)未満の、特に一定のかつ/または連続的な圧送レートRが設定可能であるように形成されている。この圧送レートRは、場合によっては不連続的に、例えば毎分複数の行程で、またはしかし、好ましくは連続的に、連続的な、場合によっては段階的にその高さが変化する圧送出力により、もたらされるあるいはもたらされることが可能であってよい。このように低いかつ特に連続的な圧送レートRは、相応に小さな作業容積を有する圧送機構29により、かつ/または相応に小さな作業速度、例えばクロックレートまたは回転数で運転可能である駆動手段28により達成され得る。その代わりにまたはこれに加えて、より好ましい一構成では、駆動手段28と、圧送機構29の動かされるあるいは可動の部材32との間に、伝動機構33、特に減速伝動機構33が設けられており、減速伝動機構33により、駆動モータ28の比較的高い運転回転数nは、圧送機構29の可動の部材32の比較的低い作用回転数または場合によっては比較的小さい作業クロックに減じられるあるいは減じられ得る。
【0050】
例えば、押しのけポンプ29、例えば偏心ねじポンプ29として構成される押しのけポンプ29は、2~6ml/UR(ロータ32の1回転当たりのミリリットル)、特に3~5ml/UR(ロータ32の1回転当たりのミリリットル)の、幾何学的に限定された体積圧送レートを有して形成されており、ロータ32と駆動モータ28との間のパワートレーン内には、例えば駆動側と被動側との間、すなわち入力と出力との間に、50:1~30:1、好ましくは、40:1の変速比を有する伝動機構33が設けられている。体積圧送レートが、例えば4ml/UR(ロータ32の1回転当たりのミリリットル)であり、かつ減速伝動機構33の変速比が、40:1である場合、このことは、而して、駆動モータに関する体積圧送レートが、例えば0.1ml/UM(駆動モータ28の1回転当たりのミリリットル)であることを意味する。
【0051】
駆動モータ28は、その回転数または角速度に関して開ループまたは閉ループ制御可能に形成されており、ここでは概略的に略示したにすぎない制御装置36の制御手段によりその作業回転数あるいは角速度に関して開ループまたは閉ループ制御可能である。駆動モータ28は、あるいは駆動モータ28を制御する制御手段は、目標設定を上位の制御手段により得ることができ、上位の制御手段は、操作量n、特に運転回転数nに関する目標設定を、少なくとも1つの運転形態A、特に自動運転Aにおいて、好ましくは、目下の機械速度ω、特に生産速度ωを表す情報を利用して形成し、かつ提供する。概略的に略示した制御装置36に含まれる制御手段は、物理的に印刷機械の、または印刷機械の制御システムの任意の箇所に、中央で制御システムの一箇所に、またはしかし、分配されて制御システムの様々な箇所に設けられまたは実装されていてよいが、駆動手段28と、あるいは駆動手段28の駆動制御部と、信号接続されている。
【0052】
特に有利な一構成において、提供装置26は、インキリザーブ25からの、例えば印刷インキ21を収容する貯留容器38からの、印刷インキ21の送出を補助するかつ/または引き起こす圧送装置37を有し、圧送装置37により、インキリザーブ25内に存在する印刷インキ21には、圧送を引き起こすまたは少なくとも補助する力、特に、周囲圧と比較して高い圧力が印加可能である。このような圧送装置37は、基本的には、先に説明した調量装置27の存在によらず設けられていてよいが、好ましくは、このような調量装置27との関連で、かつこのような調量装置27に加えて、提供装置26に含まれており、これにより、調量に用いられる調量装置27の、高い圧送力が必要であることから生じる負担を軽減することができる。理想的には、圧送装置37は、場合によっては設けられている調量装置27の入口と出口との間に、圧力差が存在しないか、または少なくとも実質的に存在しない、すなわち、入口側にかかっている圧力の例えば多くても10%しか存在しないように運転されている。
【0053】
インキリザーブ25内に存在する印刷インキ21に、圧送を引き起こすまたは少なくとも補助する力を印加すべく、基本的には、行程をベースとする、または好ましくは力をベースとするいかなる圧送装置37が設けられていてもよく、圧送装置37により、特に調整可能なかつ/または一定に保つことが可能な力をインキリザーブ25の印刷インキ21に加えることができ、その結果、印刷インキ21内には、周囲圧と比較して高い圧力が生じるようになっている。インキリザーブ25の排出あるいは印刷インキ21の送出は、而して特に圧力が印加されて実施される。このことは、基本的には、間に介在物を介さずに、貯留容器38内においてインキリザーブ25の上にある空間に、例えば正圧下にあるガス柱またはガス混合物柱を印加することにより実施するか、またはしかし、好ましくは間に介在物を介して、圧送装置37に含まれる押しのけ体39を介して実施することができ、押しのけ体39は、押しのけ体39に作用する力、特に、押しのけ体39に作用する操作部材41、特に駆動手段41の操作時、圧力を、貯留容器38内で印刷インキ21により占められる容積に対して及ぼす。
【0054】
その際、押しのけ体39は、貯留容器38内に設けられたベローズまたはエアバッグとして形成されていてもよく、ベローズまたはエアバッグは、その際、駆動手段41としての作用を奏する圧力媒体供給により圧力媒体を印加することで、その容積を拡大させることができる。
【0055】
好ましい構成において、押しのけ体39は、しかし、プランジャ39により提供されており、プランジャ39は、例えばピストンの形態で貯留容器38の内部に進入する。この場合、インキリザーブ25に作用するプランジャ39と、貯留容器38の、貯留容積をさらに画定する部分とは、貯留容積を変化させるべく、互いに相対的に可動であり、好ましくは、プランジャ39は、可動であり、貯留容器38の、インキリザーブ25をさらに画定する部分は、提供装置26に関して架構固定に構成されている。しかし、反対にプランジャ39が固定で、貯留容器38の、インキリザーブ25を包囲する部分が可動であってもよい。プランジャ39は、この場合、例えば受容室を画定する壁39を形成している。貯留容器38の、インキリザーブ25を画定する部分と、プランジャ39との間には、好ましくは、シール45が設けられており、シール45は、相対可動性にもかかわらず、インキリザーブ25を収容する内室を、印刷インキ21が周囲に漏れてしまわないように封止する。
【0056】
プランジャ39をインキリザーブ25に向かって押す駆動手段41は、確かに、基本的には、行程をベースとして、行程制御される駆動部により形成されていてもよいが、好ましい構成では、力制御される、例えば圧力媒体操作されるアクチュエータ41、例えば、加圧流体、例えば圧縮空気または加圧下にある液体、例えばオイルにより付勢可能な少なくとも1つのシリンダ-ピストン-システム41により形成されている。この場合、両部分の一方、例えばシリンダ42(38)としての作用を奏する部分は、架構固定に、提供装置26の、または提供装置26を有するインキ装置07の架構44に支持されており、他方の部分、例えばピストン43(39)としての作用を奏する部分は、プランジャ39に結合されているか、または一変化態様では、このようなピストンを形成している。場合によってはその逆もまた然りである。
【0057】
括弧書きの表現で略示した変化態様において、シリンダ-ピストン-システム41は、例えばピストン39としての作用を奏するプランジャ39により形成されており、プランジャ39は、シリンダ38としての作用を奏する貯留容器38内における、プランジャ39の、インキリザーブ25から背離した側と、貯留容器38の内側の内壁と、ここでは図示しない蓋とにより画定されている空間の圧力印加により、力をかけてインキリザーブ25に押し付け可能である。
【0058】
有利な一発展形では、プランジャ39に作用する上述のアクチュエータ41が複数設けられている。
【0059】
特に圧力制御されて、インキリザーブ25内に貯蔵された印刷インキ21に力を加える圧送装置37により、インキリザーブ25内には、好ましくは一定のかつ/または規定された正圧を印加しかつ/または維持することができ、この正圧は、印刷インキ21を一様に圧送するために用いられ、かつ場合によっては設けられている調量装置27の負荷を軽減させる。
【0060】
理想的には、シリンダ-ピストン-システム41により及ぼされる、インキリザーブ25に対する圧力は、場合によっては設けられている調量装置27の入口と出口との間に、圧力差が存在しないか、または上述の意味で少なくとも実質的に存在しないように選択されている。インキリザーブ25の排出は、この場合、例えば主として圧送装置37により力あるいは圧力の印加を用いて実施される一方、供給レートRを決定する圧送レートRは、例えば程度の差こそあれ無負荷に、調量装置27により決定される。アクチュエータ41の印加用の力あるいは圧力は、好ましくは、少なくとも圧送圧力に関連する調節範囲内で、変更可能あるいは調節可能であってもよい。
【0061】
貯留容器38からの印刷インキ21のためのアウトレット46は、基本的には、プランジャ39内に、または貯留容器38の、インキリザーブ25を包囲する部分内に、特にプランジャ39に対向する壁47内に設けられていてもよい。有利なかつここに示す一構成では、アウトレット46は、プランジャ39内に設けられており、プランジャ39は、圧送のために必要な圧力を印刷インキ21に印加するために、単数または複数の駆動手段41により、好ましくは下方に、ますます、インキリザーブ25を格納する架構固定の貯留容器38内へ押される(例えば
図7a)および
図7b)参照)。
【0062】
提供装置26の、既にそれ自体単独で、しかし、好ましくは、上述の複数の有利な構成特徴のうちの1つまたは複数の構成特徴とともに、特に有利な一構成において、インキリザーブ25のための空間を画定する部分構造の、アウトレット46を有する壁39;47は、少なくともインキリザーブ25に面した側で、例えば30℃を超える温度に加熱可能、特に温度調節可能かつ/または温度制御可能である。このために、この壁39;47内にはまたはこの壁39;47に接して、加熱装置48が設けられており、かつ好ましい構成では、該当する測定場所に存在する温度を求める少なくとも1つのセンサ49が設けられている。特に省エネルギの、かつ/または印刷インキ21を傷めない一構成では、容器の、アウトレット46を有する壁39;47のみが加熱可能、特に温度調節可能かつ/または温度制御可能である。
【0063】
加熱装置48は、好ましくは、電気式の加熱部48として、特に、例えば該当する壁39;47内にまたは該当する壁39;47上に設けられた1つまたは複数の電気式の加熱素子、例えば1つまたは複数の加熱ループまたは加熱コイルを有する電気式の抵抗加熱部として、構成されている。代替的には、加熱装置48は、場合によっては、加熱流体あるいは温度調節流体が貫流可能なあるいは貫流される流動空間または流動通路により形成されていてもよい。
【0064】
加熱装置48は、好ましくは、20℃、1,013hPaの標準周囲条件下で、該当する壁39;47の内面の少なくとも一部の領域において、少なくとも60℃まで、好ましくは、少なくとも70℃までの温度が達成可能であるように構成されており、すなわち、相応の加熱素子を有して設計されており、かつ/またはこのことが達成可能であるような電力源に接続されている。温度を求める1つまたは好ましくは複数のセンサ49は、好ましくは、壁39;47の、加熱装置48と、インキリザーブ25に向いた壁側との間の領域内に位置している。好ましくは、壁面にわたって複数の加熱素子および/またはセンサ49が分配配置されている。好ましい構成では、加熱装置48は、加熱出力に関して制御可能であり、特に、測定される温度に関して、加熱装置48と、少なくとも1つのセンサ49とを有する閉ループ制御回路内で、目標値、好ましくは変更可能な目標値に近付くように閉ループ制御可能である。これにより、例えば流れ挙動、ひいては圧送挙動は、粘性の温度依存性を介して変更され、かつ/または種々異なるインキ組成に適合される。
【0065】
前述の複数の構成および実施変化態様のうちの1つまたは複数の構成および実施変化態様に対して特に有利な一発展形において、インキ受容部に連通する管路34は、その長さの少なくとも一部で加熱可能、特に温度調節可能かつ/または温度制御可能である。このために、例えば内壁内にはまたは内壁に接して、加熱装置、例えば誘導作用を奏する加熱装置が設けられており、かつ好ましい変化態様では、該当する測定場所に存在する温度を求める少なくとも1つのセンサが設けられている。管路34の内部において、加熱される区間内に存在する壁温度は、例えば35℃~45℃、好ましくは、40±2℃である。
【0066】
殊更有利であるのは、提供装置26によるインキ供給が、消費または充填レベルに応じて作業する、あるいは消費制御または充填レベル制御されて運転可能であるまたは運転されている、インキ供給システムの一構成である。この場合、消費あるいは充填レベルLは、1つまたは複数の上述のセンサ15により監視され、かつ例えばコンピュータ制御されて2つの値L1;Lmax;L2;L0、例えば限界値または特に閾値L1;Lmax;L2;L0の間に保たれ、または場合によっては両側の公差を考慮しつつ、充填レベルLに関する目標値LSに合わせて閉ループ制御される。
【0067】
特に有利であるのは、調量装置27の、あるいは圧送機構29を駆動する駆動手段28の、設定される作業速度が、機械速度あるいは生産速度ωと相関させられており、機械速度あるいは生産速度ωに応じて変化するあるいは変更される一構成である。
【0068】
インキ供給システムの、既にそれ自体単独で、しかし、好ましくは、提供装置26の上述の複数の有利な構成特徴のうちの1つまたは複数の構成特徴とともに、より好ましい一構成では、インキ供給システムは、少なくとも1つの運転形態Aにおいて自動運転Aで運転可能であり、上述の提供装置26と、着肉装置16のインキ受容室内に連通する管路34とに加え、充填状態を監視する少なくとも1つの上述のセンサ15を有するセンサシステムと、制御装置36に含まれるまたは制御装置36に信号技術的に接続される制御手段、特に、制御手段に含まれるデータ処理手段とを備え、制御手段もしくはデータ処理手段は、そこに実装されるプログラムルーチンを有し、プログラムルーチンは、少なくとも1つのセンサ15の、充填状態Lに関する信号を用いて、操作量nに関する目標設定、または目標設定を含む情報、特に、運転速度n、特に運転回転数nに関する目標値設定、あるいはこれらを含む情報を決定し、かつ提供装置26、特に調量装置27の、圧送レートRあるいは運転速度nを決定する操作部材28;41に、特に、供給すべき印刷インキ21の圧送および/または調量に用いられる駆動手段28;41の駆動制御部に出力すべく、構成されている。この場合、操作量nに関する目標設定の決定は、それぞれ異なる値nS;nH;nL;n0を有する複数の運転モードI;II;IIIの1つを選択すること、および/または機械速度あるいは生産速度ωとの上述の相関を実施することであり得る。
【0069】
インキ供給の自動の運転、すなわち自動運転Aに関する第1の、以下に詳しく説明する実施の形態において、少なくとも1つのセンサ15と、データ処理手段あるいはそこに実装されるプログラムルーチンとは、充填レベルLを、運転中、上側と下側の値L1;Lmax;L2;L0、例えば限界値または閾値L1;Lmax;L2;L0の間の許容される範囲内に保つべく、あるいは場合によっては生じる上回りまたは下回りの際にこの範囲内に戻すべく、構成されている。
【0070】
この場合、少なくとも1つのセンサ15と、データ処理手段あるいはそこに実装されるプログラムルーチンとは、特に、充填レベルLを下側および上側の限界値または閾値L1;Lmax;L2;L0に向かって監視し、限界値または閾値L1;Lmax;L2;L0に到達した際には、第1の運転モードI、すなわち定格運転Iであって、操作部材28;41が、少なくとも機械速度あるいは生産速度ωが一定のとき定常である定格運転状態において、少なくとも機械速度あるいは生産速度ωが一定のとき一定である定格運転速度で、あるいは操作量nに関する、少なくとも機械速度あるいは生産速度ωが一定のとき一定である第1の値nS、例えば目標値nS、特に一定の目標回転数nSで運転されているあるいは運転される第1の運転モードI、すなわち定格運転Iと、それとは異なる運転モードII;IIIであって、操作部材28(41)が、操作量n、特に運転回転数nに関する、規定された、許容される範囲からの逸脱に対し反対方向の値nHで運転されているあるいは運転される運転モードII;IIIとの間で切り換えるように構成されている。上述の目標値nSは、操作部材28(41)に目標設定として用いられ、以下では、特にしかし、操作量nのための閉ループ制御回路との関連で理解されるだけでなく、純然たる開ループ制御連鎖内の、該当する操作量nの設定のための、定格値nSを表す目標値nSの意味でも理解されるべきものあり、かつ/またはこれに置き換えられてもよいものである。
【0071】
定格値あるいは目標値nSは、印刷インキ21に関する、例えば計算または経験により決定される、予想し得る消費値に基づくか、または第2の実施の形態では、充填レベルLに関する、場合によっては存在する公差を除いて安定した目標値LSに近付くように、目標値nSを変更することで閉ループ制御することによって見出される。計算または経験による定格値あるいは目標値nSの獲得、および場合によっては必要な変更の例については、下で説明する。
【0072】
決定の仕方によらず、より好ましい構成では、単一の固定の目標値nSだけが使用されるのではなく、目下の機械速度あるいは生産速度ωとともに変化する目標値nSが使用される。相応の、例えば関数または表で表された関係が、例えば制御手段内に格納されている。これにより、印刷インキ21の消費が機械速度あるいは生産速度ωとともに変化するという事実が考慮される。
【0073】
特により好ましい一構成において、操作量nに関する目標値nSでの操作部材28(41)の運転に関する第1の運転モードIに対して付加的に、目標値nSと比較して高いあるいは高められた、例えば目下の機械速度あるいは生産速度ωに関連する目標値nSの、例えば少なくとも20%、または好ましくは少なくとも50%の分だけ大きいあるいは高い、圧送速度を決定する操作量n、特に運転回転数nに関する値nHを有する運転モードIIが設けられている。この運転モードIIは、例えば顕著に、例えば少なくとも20%またはそれどころか50%、より高い圧送レートRあるいは作業速度を有する余剰運転IIとして、例えばインキ受容部の初期の充填時に、かつ/または有利な一構成では、運転中、例えば定格運転I中、充填レベルLが上から降下していき、充填レベルLに関する下側の限界値または好ましくは閾値L2;L0に到達しているあるいは到達する際に使用される。
【0074】
第1の値nS、すなわち目標値nSでの定格運転Iの他に、好ましくは、別の運転モードIIIでは、目標値nSと比較して低い、例えば目下の機械速度あるいは生産速度ωに関連する目標値nSの、例えば少なくとも20%、または好ましくは少なくとも50%の分だけ小さいあるいは低い値nLが設けられており、値nLは、特に値「ゼロ」n0(すなわち、特に運転回転数n=0)と設定してもよい(すなわち、n=nL=n0)。このような値「ゼロ」n0、すなわちnL、あるいはnL=n0は、特に運転モードIII、例えば不足運転IIIのために使用され、不足運転IIIには、充填レベルLに関する最大で許容可能な限界値Lmaxの到達または上回り時に切り換えるべきであり、または不足運転IIIは、少なくとも最大で許容可能な値Lmaxの提示時にはキープすべきであり、これにより、例えば充填レベルLを、さらなる運転中、許容される範囲内に、例えば上側の閾値L1まで下降させることができる。不足運転IIIを表す運転モードIIIは、これにより例えば、特に停止状態モードIIIも含み、停止状態モードIIIでは、圧送レートを決定する操作部材28(41)は、作業せず、すなわちオフにされている。運転モードI;III間のこのような切り換えは、これにより、作業速度、あるいは作業速度に関する目標値nSの変化、あるいは例えばより大きなタイムスパンでも実施される際には変動も基礎としている。
【0075】
作業速度を表す操作量nに関する値「ゼロ」n0、つまりnL=n0=0は、その代わりに、または同じく、運転準備が整っていないという理由から、着肉装置16内へのインキ取り込みが一切行われてはならないときに、使用可能である。このような運転準備は、この場合、1つまたは複数の運転データ、および/またはコンフィグレーションに関するパラメータPi、例えば運転パラメータおよび/または機械パラメータPiをチェックすることにより検査可能である。1つまたは複数のこのようなパラメータPiは、例えば自動運転Aのイネーブル信号、および/または着肉装置16の運転準備、特にせき止め手段22が作業位置を占めたか否か、および/または最小機械速度の存在に関するものであってもよい。
【0076】
インキ供給システムは、好ましくは、自動運転Aで運転可能であり、上述の提供装置26と、着肉装置16のインキ受容室内に連通する管路34とに加え、充填状態を監視する少なくとも1つの上述のセンサ15と、制御装置36に含まれるまたは制御装置36に信号技術的に接続されるデータ処理手段とを備え、データ処理手段は、そこに実装されるプログラムを有し、プログラムは、少なくとも1つのセンサ15の、充填状態に関する信号を用いて、提供装置26の運転モードI;II;IIIを定める、あるいはこれらの運転モードI;II;IIIを定めて、これに応じた設定、特に操作量nに関する目標設定を、圧送レートRを決定する操作部材28;41に、特に、提供装置26の、供給すべき印刷インキ21の圧送および/または調量に用いられる駆動手段の駆動制御部に出力するように構成されている。特に、実装されるプログラムは、センサ15の、充填状態に関する信号の結果、目下の運転モードI;II;IIIから、目下の運転モードI;II;IIIとは異なる運転モードII;III;Iへの運転の切り換えを引き起こすように形成されている。
【0077】
着肉装置16内で、インキ放出のための条件における変動が、時間的に過度に大きくならないように、上側および下側の限界値あるいは特に閾値L1;Lmax;L2;L0は、互いに離れすぎておらず、例えば精々、空のインキつぼ、すなわち、充填レベルLに関する例えば下側の限界値L0と、充填レベルLに関する最大値Lmaxとの間にある差ΔLの半分だけ互いに間隔を置いている。
【0078】
第1の構成の自動運転Aにおけるインキ供給は、好ましくは、次のように実施される:
例えば、以下の実施例において説明するような、あるいは特に、上述のデータ処理手段内に実装される1つまたは複数の部分からなるプログラムループのフロー内で実行されるような、好ましくは自動のインキ供給時、充填レベルLの監視が、上側の限界値Lmax;L1であって、最大で許容可能な充填に関する、場合によっては設けられた最大値Lmaxにより、またはしかし、有利には、この最大値Lmaxより下にある上側の閾値L1により形成されている上側の限界値Lmax;L1と、下側の限界値L0;L2であって、基本的には、空のインキリザーブ25を表す値L0により、またはしかし、好ましくは、少なくともまだ印刷インキ21の残量がインキリザーブ25内で利用可能である充填レベルLに関する下側の閾値L2により形成されている下側の限界値L0;L2とについて実施される。
【0079】
運転の経過中、例えばセンサ15により、上側の限界値Lmax;L1、例えば上側の閾値L1と比較して小さい、しかし、下側の限界値L0;L2、特に閾値L2よりは上にある充填レベルLが記録されるとき、圧送レートRあるいは供給レートRを決定する操作部材28、例えば駆動手段28、特にポンプ28は、上述の定格運転Iの運転モードIで、この運転モードIのために設けられたかつ/または格納された、操作量nに関する目標値nSで運転される。しかし、運転中、例えば定格運転I中、偶発的にまたは意図的に僅かに過少供給する(すなわち、例えば最高で10%、好ましくは最高で5%、実際の消費より下にある)圧送レートRにより、定格運転I中に、または不足運転IIIでの運転により、充填レベルLに関して、下側の限界値L0;L2、特に閾値L1が確認されると、例えば実装されるプログラムルーチンにより惹起されて、第2の運転形式II、すなわち、操作値nに関するより大きな値nHを有する余剰運転IIに切り換えられ、第2の運転形式IIあるいは余剰運転IIでは、印刷インキ21がインキリザーブ25から下流へインキ装置07内に放出されて消費されるより多くの印刷インキ21が、インキリザーブ25内に圧送され、かつ上側の限界値L1;Lmaxの到達時、再び、例えば僅かに過少供給する圧送レートRと、例えばそれと比較して小さい値nS、例えば目標値nSとを有する定格運転Iに切り換えられ、定格運転Iでは、印刷インキ21がインキリザーブ25から下流へインキ装置07内に放出されて消費されるより僅かに少ない印刷インキ21が、インキリザーブ25内に圧送される。
【0080】
充填レベルLが運転中、例えば余剰運転IIにより、または例えば偶発的にまたは意図的に僅かに過剰供給する(すなわち、例えば最高で10%、好ましくは最高で5%、実際の消費より上にある)インキ供給を伴う定格運転Iにより、運転および/または充填のために上限として規定された上側の限界値Lmax;L1、例えば、上述の最大値Lmaxにより形成されているか、または好ましくは、最大値Lmaxより下にある上側の閾値L2により形成されている上側の限界値Lmax;L1に到達すると、例えば実装されるプログラムルーチンにより惹起されて、不足運転IIIの運転モードIIIに切り換えられ、不足運転IIIの運転モードIIIでは、印刷インキ21がインキリザーブ25から下流へインキ装置07内に放出されて消費されるより少ない印刷インキ21が、インキリザーブ25内に圧送され、これにより、下側の限界値L2;Lmaxの到達時、再び、ここでは僅かに過剰供給する定格運転Iに切り換えられ得る。
【0081】
例えば
図8に例示的に示すかつ有利な構成において、上側の限界値L1としての上側の閾値L1は、最大値L
maxと一致せず、最大値L
maxより下にある。この場合、例えば、上で説明した、充填レベルLを上側および下側の限界値L1;L2あるいは閾値L1;L2の間に保つステップに前置されるステップにおいて、付加的に充填レベルLは、最大値L
max、またはそれどころか最大値L
maxより上にある値を提示しているか否かについて調べられ、結果がイエスであれば、すなわち、少なくとも最大値L
maxが提示されていれば、操作量nに関する、定格運転Iと比較して減じられた値n
L;n
0での、場合によっては既にある不足運転IIIが維持されるか、または不足運転IIIに切り換えられる。充填レベルLが、この場合、例えば不足運転III、例えば停止状態モードIIIでの運転により、上から、運転中、最大値L
maxより下にある上側の閾値L1に到達すると、例えば実装されるプログラムルーチンにより惹起されて、この場合、好ましくは少なくとも上述の意味で僅かに過少供給するように作業する定格運転Iに切り換えられる。
【0082】
任意選択的には、自動でインキ供給するプロセス中、特に、上述のデータ処理手段内に実装される1つまたは複数の部分からなるプログラムループのフロー内で、充填レベルに応じて運転モードI;II;IIIを選択する上述のステップに先立った1つまたは複数のステップにおいて、まず、自動化された充填のための前提、すなわち、圧送および/または調量する操作部材28、特に駆動手段28の運転のための前提が、そもそも満たされているか否か、調べられてもよい。このために、1つまたは複数の上述のパラメータPiを、運転準備に必要な条件が揃っているかについて調べる。運転準備が整っていないとき、すなわち、1つまたは複数のパラメータPiに関する少なくとも1つの条件が満たされていないとき、操作部材28、特に駆動手段28、例えばポンプ28は、停止状態にとどまるか、または停止状態に移行され、すなわち、すべての条件が満たされているようになるまで、操作量nに関する値n0(n=0)を有する停止状態の運転モードIIIのままとされるか、または運転モードIIIに移行される。
【0083】
上述の限界値または閾値L0;L1;L2;Lmaxのうちの1つまたは複数の限界値または閾値、および/または前述のステップあるいは運転モードI;II;IIIにおいて使用すべき、操作量nに関する値nS;nH;nLのうちの1つまたは複数の値は、1つまたは複数のインタフェースを介して設定可能かつ/または変更可能であってもよい。このために、オペレータが相応の値nS;nH;nLを入力または選択することが可能な操作インタフェース、および/または制御手段にこの種の値nS;nH;nLを記憶媒体から送信することが可能なデータインタフェースが設けられていてもよい。目標値nSの場合、先に例えば計算または経験により決定された値nSを操作インタフェースに入力してもよいし、またはインタフェースあるいは信号接続を介して、好適な目標値nSを例えば自動化されたまたは少なくとも一部自動化された方法を介して経験的に決定するプログラムルーチンから送信することが可能であってもよい。
【0084】
自動運転Aでの上述のインキ供給の自動の運転に関する第1の実施の形態に代えて、またはこの第1の実施の形態の発展形において、第2の実施の形態では、少なくとも1つのセンサ15と、制御手段に含まれるデータ処理手段あるいはそこに実装されるプログラムルーチンとは、特に閉ループ制御回路の形態で、連続的に、または規定された時間インターバルで、インキリザーブ25内の充填レベルLについての度合いを求め、かつ目標値nSに関する目標設定を、充填レベルLの変更の際に、反復的に、時間tにわたって一定のかつ例えば許容されるインターバル内に位置する、特に設定可能な目標充填レベルLSに向かって変更するように構成されていてもよい。この場合、例えば充填レベルLの降下時、操作量n、特に運転回転数nに関する目標設定は、値nS;nH;nLが大きくなる方向に変更され、反対に充填レベルLの上昇時は、値nS;nH;nLが小さくなる方向に変更される。安定した値nS;nH;nL、特に設定された目標充填レベルLSに反復的に近付ける変更は、公知の形式で収束するように構成されていることが望ましく、例えば時間的な変化の大きさおよび方向を、変更の大きさおよび方向を決定する中で考慮することが望ましい。この場合、操作部材28には、操作量nに関するその都度変更される目標設定が送信される。簡明性のため、ここではかつ以下では、調量装置27の運転に関する制御手段全体の概念には、制御手段が厳密にいえば開ループおよび/または閉ループ制御手段として形成されており、これらの制御のための相応の手段を含んでいる当該ケースも包摂されているものとする。
【0085】
第2の実施の形態は、結果的に、例えば第1の実施の形態を発展させる構成をなし、この構成において、上側および下側の限界値L0;L1;L2;Lmax、特に閾値L0;L1;L2;Lmaxの間の間隔は、これらの値が、閉ループ制御プロセスのために、例えば上述の充填レベルLS、例えば目標充填レベルLFSに一致するか、または特に、充填レベルLに関する目標値を両側で挟む公差限界と解され得る程度に、縮小されている。この場合、操作量nに関する最初の目標設定は、例えば目標値nSであって、この場合、例えば閉ループ制御プロセスに、変更すべき操作量nに関するスタート値nSとして用いられる目標値nSであり得る。
【0086】
好適な目標値nSを経験的に決定する方法が予定されている有利なケースのために、このことは、1つまたは複数のサイクルZ1;Z2;Z6;Zmで実施され、1つのサイクルZ1;Z2;Z6;Zmは、インキリザーブ25が不足運転IIIで、該当する上側の限界値または閾値Lmax;L1から、該当する下側の限界値または特に閾値L0;L2まで排出される第1のフェーズPh1と、インキリザーブ25が余剰運転IIで、下側の限界値または閾値L0;L1から、上側の限界値または特に閾値Lmax;L1まで補充される第2のフェーズPh2とを有している。1回または複数回、例えばm回、このようなサイクルZ1;Z2;Z6;Zm(m 0 ¬)が通して行われる間、例えば、この時間中に達成される生産進捗に関する度合いNC、例えば、その間に通して行われる印刷サイクルcの回数に関する度合いNC、すなわち、印刷される印刷長さあるいは印刷される基材シートS;S’の数と、該当する圧送機構29の、この期間中に遂行されるサイクル数、すなわち作業サイクルの回数を表す度合いND、特にポンプが1回転する回数を表す度合いNDとが求められる。印刷サイクルcの回数に関する度合いNCとして、印刷装置06または印刷機械またはその駆動部の、正確な見当で駆動すべき構成部材の合計移動角度が援用される場合は、例えば不完全な印刷サイクルcも考慮され得る。ポンプが1回転する回数を表す度合いNDは、例えば、ポンプ28を駆動する駆動手段28の作業サイクルの回数、例えば駆動モータ28の1回転の数、ポンプ29のパワートレーン内に位置する回転する部材の回転の回数、またはポンプ29の作業サイクル、例えば1回転の回数により形成されていてもよい。
【0087】
好ましくは、決定のために、複数のこの種のサイクルZ1;Z2;Z6;Zmが援用され、その結果、得られる結果の精度は、改善される。「第1」および「第2」のフェーズPh1;Ph2という称呼は、必ずしも順序を示すものではなく、その主たる役割は、両フェーズPh1;Ph2を区別することにある。フェーズPh1;Ph2は、ここに(例えば
図9に)示す順で説明し、かつこの順が好ましくはあるが、これとは反対に、まず第2のフェーズPh2でもって開始し、後続の第1のフェーズPh1を伴って、それぞれ1つのサイクルZ1;Z2;Z6;Zmを形成してもよい。ここで重要であるのは、少なくとも1つのこのようなサイクルZ1;Z2;Z6;Zmが、直接的に互いに接続する両フェーズを伴って通して行われることである。
【0088】
観察されるサイクルZ1;Z2;Z6;Zmの回数mと、1つまたは複数のサイクルZ1;Z2;Z6;Zm中に達成される生産進捗に関する度合いNCと、圧送機構28の、この期間中に遂行されるサイクル数に関する度合いNDとを用いて、調量装置27の作業サイクルレートを表す操作量nに関する、特に、駆動モータ28の運転回転数nに関する、印刷インキ21の消費から経験的に得られる目標値nSが決定される。圧送機構28の遂行されるサイクル数に関する度合いNDとしての、駆動モータ28が1回転する回数NDと、生産進捗に関する度合いNCとしての、印刷サイクルcの回数NCと、任意の時間インターバルΔT内の印刷サイクルcの数としての、機械速度あるいは生産速度ωの表示とについて、例えば、駆動モータ28の運転回転数nに関する、この時間インターバルΔTに関する目標値または場合によってはスタート値nSが、
nS[1/ΔT]=(ND×ω[1/ΔT])/(m×NC)
で得られる。
【0089】
これは、ここで使用する量に関する基準量が異なっている場合でも、場合によっては、これらの異なる基準量を互いに変換させ得るここでは説明しない係数を用いて、相応に理解されるべきものである。
【0090】
観察すべきサイクルZ1;Z2;Z6;Zmは、基本的には、後続の例におけるように、第1のフェーズPh1でもって、すなわち、該当する上側の限界値あるいは閾値L2;Lmaxから出発して下降によって開始してもよいし、または第2のフェーズPh2でもって、すなわち、該当する下側の限界値あるいは閾値L2;L0から出発して注入によって開始してもよい。
【0091】
充填レベルLが、決定のプロセスの開始時、切り換えに関連する上側の限界値あるいは閾値L1;Lmax;L2;L0になく、決定プロセスのスタート時、目下、上側および下側の限界値L0;L1;L2;Lmaxの間にある充填レベルLCにある場合は、例えば印刷装置06の運転中、インキ受容部は、フルの第1のサイクルZ1に先行するフェーズPh0、例えばスタートフェーズPh0において、例えば余剰運転IIで、まずは一度、関連する上側の限界値あるいは好ましくは閾値L1;Lmaxまで補充されるか、または例えば不足運転IIIで、まずは一度、関連する下側の限界値あるいは好ましくは閾値L2;L0まで下降され、これにより、フルのサイクルZ1;Z2;Z6;Zmのための例えば規定された出発点に到達することができる。
【0092】
該当する上側の限界値あるいは特に閾値Lmax;L1の到達時、印刷装置06の継続運転中、第1のまたは単一のサイクルZ1の例えば第1のフェーズPh1の間、提供装置26の、あるいは提供装置26に含まれる調量装置27の不足運転IIIに、好ましくは停止状態モードIIIに切り換えられ、不足運転III、好ましくは停止状態モードIIIは、観察される下側の限界値あるいは特に閾値L0;L1に到達するまで維持される。この下側の限界値あるいは特に閾値L0;L1の到達時、例えば第2のフェーズPh2の間、余剰運転IIに切り換えられ、余剰運転IIは、該当する上側の限界値あるいは特に閾値Lmax;L1に到達するまで、あるいは上側の限界値あるいは特に閾値Lmax;L1がセンサ15により検知されるまで維持される。既に言及したように、第1のまたは単一のサイクルZ1と、場合によっては後続のサイクルZ2;Z6;Zmとは、該当する下側の限界値L2;Lmaxから出発して、第2のフェーズPh2でもって開始してもよく、第2のフェーズPh2には、上述の第1のフェーズPh1が続く。余剰運転および不足運転I;IIのために、基本的には、上で説明した判断基準および変化態様が使用可能である。より良好な静的信頼性を達成すべく、サイクルZ1は、さらなる回数、例えば計4回~8回、ここでは例えば6回実施されてもよい。
【0093】
定格運転Iのために設定したいあるいは使用したい目標値nSは、今や、上で説明したように、観察されるサイクルZ;Z2;Z6;Zmの回数と、1つまたは複数のサイクルを通して行う間に達成される生産進捗に関する度合いNCと、圧送機構29の、この期間中に遂行されるサイクル数に関する度合いNDとを介して求められる。その際、例えばさらに係数が考慮され、係数によって、例えば、記載した度合いNC;NDと、これらの度合いNC;NDのために実際に援用される量との相関を考慮してもよい。
【0094】
好適な目標値nSを決定する運転に続いて、例えば直接的に、または僅かな中断だけ挟んで、生産工程を始めるまたは続けるべきときは、目標値nSを経験的に決定する方法を終了させるべく、最後のフェーズPh3、例えばエンドフェーズPh3で、充填レベルLが、両限界値L0;L1;L2;Lmaxの間にある充填レベルLS、例えば所望の初期充填レベルまたは目標充填レベルLSにもたらされ得る。このために、調量装置27が、例えば最後に占められた限界値L0;L1;L2;Lmaxに応じて、余剰運転IIで、所望の充填レベルLSまで補充されるか、または不足運転IIIで、所望の充填レベルLSに到達するまで排出され、その後、調量装置27あるいはその駆動手段28が、場合によっては僅かな中断を挟んで、定格運転Iで、先に決定された目標値nSにより運転される。できる限り長い安定した運転を達成すべく、目指すべき充填レベルLSとして、例えば、定格運転Iから余剰運転IIへの切り換えに関連する下側の限界値あるいは閾値L0;L2より少なくとも3分の1上、および余剰運転IIから定格運転Iへの切り換えに関連する上側の限界値L1;Lmaxより少なくとも3分の1下の充填レベルLが目指される。
【0095】
有利な構成において、ここでは、圧送機構29の作業サイクル、例えば行程または回転の、この期間中に遂行される回数NDに関する度合いNDとして、圧送機構28を駆動する駆動モータ28が1回転する回数NDが援用され、これに応じて、操作量nとして、その運転回転数nが援用される。この時間中に達成される生産進捗に関する度合いNCとして、ここでは、好ましくは、この期間中に通して行われる印刷サイクルcあるいは基材シートSの、印刷機械の運転から導出される回数もしくは枚数NCが援用される。
【0096】
経験的な決定に代えて、好適な目標値nSは、印刷のための少なくとも1つの反復長さを含む1つの印刷サイクルcにおいて該当する印刷インキ21により印刷すべきパターンに関して既知のグラビア容積VG、すなわち、インキグラビアシリンダ17において印刷幅に関して有効な外套面領域で1つの印刷サイクルcの長さあるいは1つの反復長さのために提供されるあるいは存在する複数の凹部13の容積の合計に基づく計算によっていてもよい。この合計は、例えば、グラビア13を作製するデータから、特に、プリプレスのデータから求め得ることができ、あるいは求められ得る。単倍サイズのインキグラビアシリンダ17の好ましい構成のためには、周方向で、1つのこのような反復長さが設けられ、2倍サイズのインキグラビアシリンダ17のためには、例えば1つの同じパターンの2つの反復長さ、または場合によっては、2つの異なる印刷画像のためのパターンを有する1つの反復長さが設けられている。1つの印刷サイクルcは、基本的には、複数の反復長さの通過に関するものであってもよいが、好ましくは、1つの反復長さの通過に関する。
【0097】
この理論的な汲み上げ容積は、しかし、例えば上限であって、事情によっては様々な理由から、例えば、排出が不完全であったり、かつ/または基材Sが凹部13内に押し込まれたりすることで到達されず、この場合は、例えば修正係数、例えば経験的に獲得される修正係数k(ここでは、而して例えばk<1)によって修正される上限をなす。
【0098】
作業サイクル毎の、例えばピストンポンプの行程の、または回転型の容積式のポンプ29、例えばねじポンプ28の1回転の圧送体積VZが既知であるとき、流動平衡のために予測される作業速度と、特に、調量装置27の作業速度を表す操作量n、例えば、圧送機構29の作業クロックレートまたは作業回転数を表すかつ/または決定する量nに関する値nSとが導出され得る。
【0099】
操作量nとして、圧送機構29を駆動する駆動モータ28の運転回転数nが援用される上述の場合、場合によっては、圧送機構29と、駆動モータ28のロータとの間のパワートレーン内に設けられた伝動機構33は、相応の伝動機構係数gにより考慮され得る。これにより、例えば操作量nとしての運転回転数nでの調量装置27の運転のために、反復長さあるいは印刷サイクルc毎の所要印刷インキ21を理論的にカバーする、運転回転数nに関する目標値nSは、
nS/c=(VG/c×g×k)/VZ
が成立する。ここで、修正係数kは、任意選択的であり、伝動機構係数gは、モータ回転数と、圧送機構29の、回転し、かつ圧送を担う部材32の回転数との間に、1(g=1)とは異なる変速比がある場合のみ、設けられていてよい。
【0100】
機械速度あるいは生産速度ωの表示が、インキグラビアシリンダ17上のグラビア容積VGの決定のための基礎もなしている量、ここではつまり、例えば、所定の時間インターバル中に通して行われ得る印刷サイクルcの回数NCに関するとき、調量装置27の作業速度を表す操作量nの目標設定に関する予測される目標値nS、例えば、駆動手段28の運転回転数n、例えば時間インターバル毎の回転に関する目標値nSは、
nS=(VG×g×k)/VZ×ω
となる。
【0101】
自明ではあるが、場合によっては、駆動手段28における例えば分に関する設定と、機械速度あるいは生産速度ωの(例えば時に関する)表示とのために、観察される時間インターバルに関するそれぞれ異なる基準単位が、相応の係数により考慮され得る。
【0102】
上述の自動運転Aを発展させる一構成において、別のステップにおいて、生産運転中、運転モードI;II;III間の切り換えに関連する上側および/または下側の限界値L1;Lmax;L2;L0の到達の頻度、すなわち、例えば1つの時間インターバルに関する回数を求め、頻度に関する例えば規定可能な上限の上回り時、計算により目標値nSを決定する場合は、制御手段により、上述の修正値kの変更、特に逆向きの変更を、または経験的に決定する場合は、目標値nSを決定するプロセスの改めてのスタートを、相応の表示手段を介して提案し、またはそれどころか導入するようにしてあってもよい。例えばこのことは、1時間当たり1つより多い、例えば2つのこのような事象がある頻度のときに、予定されていてもよい。
【0103】
上述の自動運転Aに関して別の一発展形において、下側の限界値または閾値L1;Lmax;L2;L0の到達後の余剰運転IIでの補充は、余剰運転IIのトリガ後の規定可能なタイムスパンの後、上側の限界値または閾値L1;Lmaxに到達していない場合、アラームが出力され、かつ/または機械の運転が中止され、または少なくとも機械内へのさらなる基材供給が中断されるように監視されてもよい。このことは、例えば上側の限界値L1;Lmaxに例えば1分後に再到達していないような場合であり得る。
【符号の説明】
【0104】
01 基材供給部、シートフィーダ
02 搬送区間、第1の
03 搬送区間、第2の
04 製品受け部、デリバリ、パイルデリバリ
05 -
06 印刷装置、インタリオ印刷装置、凹版印刷装置、彫刻凹版印刷装置
07 インキ装置
08 印刷装置部分
09 インキユニット、インキトレイン
10 -
11 印刷装置シリンダ、版シリンダ、インタリオ印刷シリンダ
12 印刷装置シリンダ、インプレッションシリンダ
13 凹部、グラビア(17)
14 凹部、グラビア(11)
15 センサ
16 着肉装置
17 インキ装置シリンダ、第1の、インキグラビアシリンダ
18 インキ装置シリンダ、第2の、インキレリーフシリンダ
19 インキ装置シリンダ、転移シリンダ、インキザンメルシリンダ
20 -
21 インキ、印刷インキ
22 せき止め手段、インキブレード、かき取り手段、ドクタ
23 外套面(17)
24 外套面(11)
25 インキリザーブ
26 提供する装置、提供装置、受容装置兼調量装置
27 圧送装置、調量装置
28 駆動手段、駆動モータ、操作部材、ポンプ
29 圧送機構、ポンプ、調量ポンプ、押しのけポンプ、ねじポンプ、偏心ねじポンプ
30 -
31 部材、固定の、ステータ(
図5に圧送機構の部材として括弧書きの表現で略示したにすぎない)
32 部材、可動の、ロータ(
図5に圧送機構の部材として括弧書きの表現で略示したにすぎない)
33 伝動機構、減速伝動機構
34 管路、フィード管路
35 キャスタ、車輪
36 制御装置
37 圧送装置
38 貯留容器;シリンダ
39 押しのけ体、プランジャ、ピストン、壁
40 -
41 駆動手段、アクチュエータ、シリンダ-ピストン-システム、操作部材
42 シリンダ
43 ピストン
44 架構
45 シール
46 アウトレット
47 壁
48 加熱装置、加熱部、電気式
49 センサ
A 運転形態、自動運転
D 運転回転方向
S 基材、基材シート、被印刷物シート、有価証券シート、裁断基材
S’ 基材、基材シート、被印刷物シート、片面で印刷、裁断基材
n 操作量、運転速度、運転クロックレート、運転回転数、回転数
n
H 値(n)、より高い、より大きい
n
L 値(n)、より低い、より小さい
n
S 値(n)、第1の、目標値、目標回転数、定格値、スタート値
n
0 値(n,「ゼロ」)
L 充填レベル
L
C 充填レベル、目下
L
max 限界値、上側の、値、最大、最大値
L0 限界値(空)、値
L1 限界値、閾値、値、上側の
L2 限界値、閾値、値、下側の
L
S 目標値、初期充填レベル、目標充填レベル、充填レベル(L)
ΔL 差
t 時間
Ph0 フェーズ、スタートフェーズ
Ph1 フェーズ、第1の
Ph2 フェーズ、第2の
Ph3 フェーズ、最後の、エンドフェーズ
P
i パラメータ、運転パラメータおよび/または機械パラメータ
Z1 サイクル
Z2 サイクル
Z6 サイクル
Zm サイクル(m 0 ¬)
ω 機械速度、生産速度