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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】航空機地上支援車両
(51)【国際特許分類】
   B64F 1/22 20060101AFI20231220BHJP
   B64F 1/32 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
B64F1/22
B64F1/32
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019176958
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021054146
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】溝口 英次
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0054443(US,A1)
【文献】特開2017-095093(JP,A)
【文献】特開2001-108029(JP,A)
【文献】特開平09-132136(JP,A)
【文献】米国特許第5524318(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0371712(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 1/22、1/31-1/32、5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行のための駆動力を発生させるエンジンと、
車輪に設けられるブレーキと、
前記ブレーキと別に設けられ、前記エンジンに接続されるトルクコンバータの出力軸の回転数を低下させる負荷を発生させてクリープ現象による走行時の走行速度を落とす負荷供給手段と、
走行速度を検出する車速センサと、
前記車速センサにより検出される走行速度が所定速度を超えたときに、前記負荷供給手段の駆動を開始する制御手段とを備え
前記負荷供給手段は、前記負荷を前記エンジンの出力軸と前記車輪との間にある駆動力伝達装置に与えることを特徴とする航空機地上支援車両。
【請求項2】
前記負荷供給手段は、前記負荷を発生する負荷装置を有しており、
前記負荷装置は、前記制御手段により供給される電流の大きさに応じた負荷を発生することを特徴とする請求項に記載の航空機地上支援車両。
【請求項3】
航空機との距離を検出する距離センサを備え、
前記所定速度は、0.7km/h以下の速度であり、
前記制御手段は、前記距離センサにより検出された距離が所定距離以下になった後において、前記車速センサにより検出される走行速度が前記所定速度を超えたときに、前記負荷供給手段の駆動を開始することを特徴とする請求項1または2に記載の航空機地上支援車両
【請求項4】
前記制御手段は、前記距離センサにより検出された距離が前記所定距離よりも大きい場合、前記負荷供給手段を駆動しないことを特徴とする請求項3に記載の航空機地上支援車両
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空港で航空機の地上支援を行う航空機地上支援車両に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機地上支援車両は、走行用の駆動源として、エンジンが用いられ、エンジンの出力軸に接続されるトルクコンバータを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
航空機地上支援車両において、上記エンジンの駆動力を利用する車両では、航空機に対して所定距離まで近付いた後、その位置からトルクコンバータのクリープ現象を利用して微速で走行させることで航空機と車両を接近させることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-133066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、IATA(国際航空運送協会)では、空港において、航空機と航空機地上支援車両との距離に応じて制限速度を設けるように推奨している。例えば、航空機地上支援車両が航空機から4m以内のエリアまで接近した場合の最高速度は、0.7km/hに制限されている。そのため、航空機地上支援車両が航空機に接近した場合に、航空機地上支援車両を上記制限速度以内で走行させる必要があるが、トルクコンバータのクリープ現象による走行速度は例えば約5km/hであり、上記クリープ現象を利用した走行では、微速よりも速度を落とした超微速での走行が困難である。よって、従来のようにトルクコンバータのクリープ現象をよる走行では、IATAの制限速度を超えないようにすることが不可能である。
【0006】
そこで本発明は、トルクコンバータのクリープ現象による走行速度よりも速度を落とした超微速での走行が可能な航空機地上支援車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係る航空機地上支援車両は、走行のための駆動力を発生させるエンジンと、車輪に設けられるブレーキと、前記ブレーキと別に設けられ、前記エンジンに接続されるトルクコンバータの出力軸の回転数を低下させる負荷を発生させてクリープ現象による走行時の走行速度を落とす負荷供給手段と、走行速度を検出する車速センサと、前記車速センサにより検出される走行速度が所定速度を超えたときに、前記負荷供給手段の駆動を開始する制御手段とを備え、前記負荷供給手段は、前記負荷を前記エンジンの出力軸と前記車輪との間にある駆動力伝達装置に与えることを特徴とする。
【0008】
これにより、本発明に係る航空機地上支援車両ではクリープ現象による走行時の走行速度を落とすことにより、航空機地上支援車両をクリープ現象による走行速度よりも速度を落とした超微速での走行が可能となる。
【0010】
これにより、本発明に係る航空機地上支援車両では、航空機地上支援車両から航空機までの距離に応じた負荷を、エンジンの出力軸と車輪との間にある駆動力伝達装置に与えることにより、クリープ現象による走行時の走行速度を落とすことが可能となる。
【0012】
これにより、本発明に係る航空機地上支援車両では、走行速度が所定速度を超えた場合に負荷供給手段の駆動が開始されるため、航空機地上支援車両の走行速度が制限最高速度を超えるのを防止可能である。
【0013】
本発明に係る航空機地上支援車両において、前記負荷供給手段は、前記負荷を発生する負荷装置を有しており、前記負荷装置は、前記制御手段により供給される電流の大きさに応じた負荷を発生することを特徴とする。
【0014】
これにより、本発明に係る航空機地上支援車両では、距離センサにより検出される距離が所定値以下になったときの車両の走行速度にかかわらず、車両の超微速での走行が可能となる。
本発明に係る航空機地上支援車両において、航空機との距離を検出する距離センサを備え、前記所定速度は、0.7km/h以下の速度であり、前記制御手段は、前記距離センサにより検出された距離が所定距離以下になった後において、前記車速センサにより検出される走行速度が前記所定速度を超えたときに、前記負荷供給手段の駆動を開始することを特徴とする。
本発明に係る航空機地上支援車両において、前記制御手段は、前記距離センサにより検出された距離が前記所定距離よりも大きい場合、前記負荷供給手段を駆動しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、航空機地上支援車両をクリープ現象による走行速度よりも速度を落とした超微速での走行が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の航空機地上支援車両の側面図である。
図2図1の車両の平面図である。
図3図1の車両の基本的な構成を示すブロック図である。
図4図1の車両の制御ブロック図である。
図5図1の車両に備えるエリアセンサの3つの検出領域を示す側面図である。
図6図1の車両が航空機に接近させるまでの手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る航空機地上支援車両1(以下において単に車両1と称する場合がある)は、前後方向に長い車両本体2と、車両本体2に左右方向一方側(図2では右側)に寄せた状態で搭載されたベルトコンベア3と、車両本体2の前側で且つ左右方向他方側(図2では左端)に寄った位置に配置された運転部4と、ベルトコンベア3や運転部4を備える車両本体2を支持する左右一対の前側車輪5及び左右一対の後側車輪6(図1では左側の車輪のみ図示している)とを備えている。
【0018】
ベルトコンベア3の前後長さは、車両本体2の前後長さよりもが長い。ベルトコンベア3は、図5に2点鎖線で示すように、先端部を上昇させた傾斜姿勢になるように後方側を支点として傾動可能に構成され、車両本体2に備える油圧ポンプ(図示せず)からの圧油により作動するアクチュエータ(図示せず)で傾動操作できるように構成されている。
【0019】
したがって、航空機の貨物室(バルク室ともいう)の高さに合わせてベルトコンベア3の先端部を所定角度まで傾動させてから、油圧ポンプからの圧油により作動するアクチュエータ(図示せず)でベルトコンベア3のベルトを回転駆動させることで、手荷物やバラ積み貨物などを貨物室へ積み込む作業(搬入)や貨物室から手荷物やバラ積み貨物などを積み降ろす(搬出する)ことができる。
【0020】
ベルトコンベア3は、その前端にフロントバンパー3aを備えると共に、前後方向にスライド可能な手摺部3b及び前後方向に伸縮可能なフード部3cを備えている。
【0021】
フロントバンパー3aは、例えば航空機に当接することにより衝撃力が加えられたことを検出するバンパーセンサ53(図4参照)を備えている。したがって、車両本体2に備える制御部50が、バンパーセンサ53の検出信号に基づいてブレーキ55を自動的に作動させて車両1を停止させる。
【0022】
手摺部3b及びフード部3cのそれぞれも、油圧ポンプからの圧油により作動するアクチュエータ(図示せず)により駆動される。なお、手摺部3b及びルーフ部3cは、手動で動作するものとしてもよい。
【0023】
運転部4は、ステアリングハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダル、座席などを備えている。
【0024】
車両1を走行させるための走行駆動装置について、図3に基づいて説明する。
【0025】
走行駆動装置は、図3に示すように、エンジン10と、エンジン10の出力軸に接続されるトルクコンバータ11と、トルクコンバータ11からの駆動力を後側車輪6の車軸6aに伝達するプロペラシャフト12とを備えている。トルクコンバータ11は、エンジン10の出力軸からの駆動力を変換するトランスミッション(変速機)を含んでいる。
【0026】
プロペラシャフト12は、デファレンシャルギヤ(差動装置)16を介して、トルクコンバータ11からの駆動力を後側車輪6の車軸6aに伝達する。
【0027】
トルクコンバータ11とプロペラシャフト12との間には、ギア18が設けられており、ギア18は、負荷供給手段30に接続される。
【0028】
本実施形態において、トルクコンバータ11と、ギア18と、プロペラシャフト12と、デファレンシャルギヤ16と、車軸6aとが、エンジン10の出力軸と後側車輪6との間にある駆動力伝達装置Dに含まれる。
【0029】
負荷供給手段30は、駆動力伝達装置Dに供給する負荷を発生する負荷装置31と、負荷装置31の出力軸と一体に回転するスプロケット32と、スプロケット32の外周に架け渡されたローラーチェーン33とを有している。
【0030】
負荷装置31は、例えばヒステリシスブレーキであり、円筒状の鉄製ロータと、コイルにより励磁される歯型形状の磁極を持ったステータとを有している。なお、ヒステリシスブレーキの構成は、周知の技術であるため、詳細説明は省略する。
【0031】
負荷装置31のコイルに電流が通電されると、その電流により発生した磁力により、ステータには、トルクコンバータ11の出力軸の駆動方向(回転方向)と反対方向の磁力が発生して、ロータに、その駆動方向と反対方向の負荷が作用する。そのため、負荷装置31のロータと一体に回転するスプロケット32の回転数は、負荷装置31のコイルに電流が通電されるまで(負荷装置31が駆動されるまで)と比べて小さい回転数になる。ロータに作用する負荷は、コイルに通電される電流の大きさに応じて大きくなる。
【0032】
スプロケット32には、ローラーチェーン33を介して、トルクコンバータ11からの駆動力が伝達される。そのため、負荷装置31のコイルに電流が通電されてない場合、スプロケット32は、トルクコンバータ11の出力軸(エンジン10の出力軸)と同一方向に回転する。その後、上述したように、負荷装置31のコイルに電流が通電されると、スプロケット32の回転数が低下し、それに伴って、トルクコンバータ11の出力軸の回転数が低下する。
【0033】
車両1が、トルクコンバータ11のクリープ現象による走行速度で走行しているときに、負荷装置31により負荷を作用させることにより、車両1は、上記クリープ現象による走行速度よりも速度を落とした超微速で走行可能になる。
【0034】
なお、超微速で走行する速度(車速)は、上記クリープ現象による走行速度以下であれば、どのような数値でもよい。より好ましくは、超微速で走行する速度(車速)は、IATA(国際航空運送協会)が推奨する制限最高速度である0.7km/h以下の速度である。この制限最高速度は、車両1が航空機に接近した場合(本実施形態では、距離センサ51が超微速エリアE1内で航空機を検出した場合)の最高速度であり、本実施形態は、IATAの制限速度以下で車両1を走行させることができる。
【0035】
車両1は、図4に示すように、制御部50を有し、制御部50は、車両1から航空機までの距離を検出する距離センサ51と、車両1の走行速度を検出する車速センサ52と、バンパーセンサ53と、負荷装置31と、ブレーキ55とに接続される。
【0036】
距離センサ51は、レーザーエリアセンサからなり、照射するレーザー光線により半円状のフィールドをスキャンし、対象物との距離と角度から設定されたエリア内の障害物を検出するためのセンサである。そのため、車両1が航空機に近づく場合、航空機を障害物として検出し、航空機までの距離を検出する。図5では、距離センサ51により3つのエリアを検出する場合を示している。
【0037】
3つのエリアは、車両1のベルトコンベア3の先端から10mの間に設定され、ベルトコンベア3の先端から4m先の位置までの超微速エリアE1と、超微速エリアE1の前端から2m先の位置までの微速エリアE2と、微速エリアE2の前端から4m先の位置までの低速エリアE3とを備える。
【0038】
超微速エリアE1は、車両1が航空機に最も近づくエリアであり、低速エリアE3は、3つのエリアのうち車両1が航空機から最も遠くなるエリアであり、微速エリアE2は、超微速エリアE1と低速エリアE3との間に位置するエリアである。
【0039】
距離センサ51は、車両1の走行中または停車中、車両1から10m以内にある障害物を常に検出し続ける。距離センサ51の検出信号は、制御部50に供給され、制御部50は、距離センサ51の検出信号に基づいて負荷装置31を制御する。
【0040】
車速センサ52は、車両1の走行速度(車速)を検出するセンサであり、プロペラシャフト12の回転を測定するセンサから構成してもよいし、車輪の実際の回転数を検出するセンサであってもよい。
【0041】
上記のように構成された車両1を航空機に接近させるまでの手順について、図6に基づいて説明する。
【0042】
(ステップS1)
まず、スタートキー(図示せず)によりエンジン10を作動させ、アクセルペダルが踏み込まれると、車両1は、航空機へ向かって移動する。
【0043】
(ステップS2)
車両1が航空機へ向かって近づいていくとき、常に、距離センサ51により車両1から航空機までの距離が検出される。
【0044】
(ステップS3)
車両1が超微速エリアE1まで近づいたか(車両1が航空機に対して4m以内の距離まで近付いたか)否かを判定する。
【0045】
(ステップS4)
車両1が超微速エリアE1まで近づいた場合、車両1が、トルクコンバータ11のクリープ現象による走行を開始する。本実施形態では、クリープ現象での走行に切り替わる際、車両1を停止させていないが、車両1が超微速エリアE1まで近づいた際、一旦車両1を停止させてからクリープ現象による走行を行うようにしてもよい。
【0046】
(ステップS5)
クリープ現象による走行が開始された後、車速センサ52により車両1の速度が検出される。
【0047】
(ステップS6)
車速センサ52により検出される車両1の速度が0.6km/hを超えたか否かを判定する。本実施形態では、超微速エリアE1において、車両1の速度が0.7km/hを超えないようにすることを考慮して、車両1の速度が0.6km/hを超えた場合に、負荷装置31の駆動を開始する。
【0048】
(ステップS7)
車両1の速度が0.6km/hを超えた場合、制御部50は、負荷装置31の駆動を開始する。
【0049】
(ステップS8)
車両1が、0.6km/h以内の超微速で航空機へ向かって移動する。
【0050】
(ステップS9)
距離センサ51により検出される距離が所望の距離になると、制御部50は、ブレーキ55を作動させて、車両1を停止させる。なお、所望の距離は、車両1が航空機に当接しない距離である。
【0051】
なお、車両1を所望の距離まで移動させている時、万一、フロントバンパー3aが航空機に当接してしまい、それをバンパーセンサ53が検出すると、制御部50は、ブレーキ55を自動的に作動させて、車両1を強制的に停止させる。
【0052】
すなわち、本実施形態の航空機地上支援車両1は、走行のための駆動力を発生させるエンジン10と、エンジン10の出力軸の駆動方向と反対方向の負荷を発生させて、クリープ現象による走行時の走行速度を落とす負荷供給手段30と、航空機との距離を検出する距離センサ51と、距離センサ51により検出された距離に基づいて負荷供給手段30を制御する制御部50とを備える。
【0053】
これにより、本実施形態の航空機地上支援車両1では、航空機地上支援車両1から航空機までの距離に応じた負荷を発生させてクリープ現象による走行時の走行速度を落とすことにより、航空機地上支援車両1をクリープ現象による走行速度よりも速度を落とした超微速での走行が可能となる。
【0054】
本実施形態の航空機地上支援車両1において、負荷供給手段30は、エンジン10の出力軸の駆動方向と反対方向の負荷をエンジン10の出力軸と車輪6との間にある駆動力伝達装置Dに与える。
【0055】
これにより、本実施形態の航空機地上支援車両1では、航空機地上支援車両1から航空機までの距離に応じた負荷を、エンジン10の出力軸と車輪6との間にある駆動力伝達装置Dに与えることにより、クリープ現象による走行時の走行速度を落とすことが可能となる。
【0056】
本実施形態の航空機地上支援車両1において、走行速度を検出する車速センサ52を備えており、制御部50は、車速センサ52により検出される走行速度が所定速度を超えたときに、負荷供給手段30の駆動を開始する。
【0057】
これにより、本実施形態の航空機地上支援車両1では、走行速度が所定速度を超えた場合に負荷供給手段30の駆動が開始されるため、航空機地上支援車両1の走行速度が制限最高速度を超えるのを防止可能である。
【0058】
本実施形態の航空機地上支援車両1において、負荷供給手段30は、駆動力伝達装置Dに与える負荷を発生する負荷装置31を有しており、負荷装置31は、制御部50により供給される電流の大きさに応じた負荷を発生する。
【0059】
これにより、本実施形態の航空機地上支援車両1では、車両1が超微速エリアまで近づいた場合の車両1の走行速度にかかわらず、車両1をクリープ現象による走行速度以下の超微速で走行させることが可能である。
【0060】
なお、具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0061】
例えば、上記実施形態では、障害物(実施形態では航空機)を検出する距離センサ51としてレーザーエリアセンサを用いたが、赤外線センサやCCDカメラを用いて画像処理を行うことで、航空機に対する車両1の距離(位置)を検出するようにしてもよい。
【0062】
上記実施形態では、車両1のベルトコンベア3の先端から10mの間にエリアを設定したが、5~30mの間に設定してもよい。また、3つのエリアは設定したが、エリア数は適宜設定することができる。また、IATAが推奨しているエリアでは、超微速エリアE1は2m以上であることが好ましい。
【0063】
また、上記実施形態では、負荷装置31として、ヒステリシスブレーキを示したが、それに限られない。負荷装置31として、例えばパウダーブレーキや電磁ブレーキなどを使用可能である。
【0064】
また、上記実施形態では、超微速エリアにおいて車両1が走行するときに、車速センサ52により検出される車両1の速度が0.6km/hを超えた場合に負荷装置31の駆動を開始したが、それに限られない。本発明において、超微速エリアにおいて、車両1の速度が0.7km/hを超えないように制御されるものであればよい。
【0065】
例えば、超微速エリアにおいて、クリープ現象による走行時の車速を常に監視し、車速が0.6km/hを越えた場合は負荷装置31の駆動を開始し、車速が0.5km/h以下となった場合は負荷装置31の負荷を軽くするなど、IATAが推奨する車速付近を保ちながら航空機に近づくように制御してもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、後側車輪6を駆動する車両であったが、前側車輪5を駆動する車両であってもよいし、四輪駆動可能な車両であってもよい。
【0067】
また、上記実施例では、負荷供給手段30を駆動力伝達装置Dに設けたが、本発明では負荷供給手段または負荷装置を設ける場所は問わない。例えば、前側車輪5または後側車輪6に設けたブレーキ等を負荷供給手段として利用してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 航空機地上支援車両(車両)
2 車両本体
3 ベルトコンベア
4 運転部
5 前側車輪
6 後側車輪
10 エンジン
11 トルクコンバータ
12 プロペラシャフト
30 負荷供給手段
31 負荷装置
50 制御部(制御手段)
51 距離センサ
52 車速センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6