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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24D 17/00 20220101AFI20231220BHJP
   F24H 1/10 20220101ALI20231220BHJP
   F24H 15/184 20220101ALI20231220BHJP
   F24H 15/212 20220101ALI20231220BHJP
   F24H 15/238 20220101ALI20231220BHJP
   F24H 15/281 20220101ALI20231220BHJP
   F24H 15/335 20220101ALI20231220BHJP
   F24H 15/355 20220101ALI20231220BHJP
【FI】
F24D17/00 P
F24H1/10 Z
F24H15/184
F24H15/212
F24H15/238
F24H15/281
F24H15/335
F24H15/355
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019213295
(22)【出願日】2019-11-26
(65)【公開番号】P2021085582
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安川 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】鍋島 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】立石 真吾
(72)【発明者】
【氏名】野村 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】金城 貴信
(72)【発明者】
【氏名】山西 裕美
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 良
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-125692(JP,A)
【文献】特開平05-288404(JP,A)
【文献】特開平11-014142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 17/00
F24H 1/10
F24H 15/184
F24H 15/212
F24H 15/238
F24H 15/281
F24H 15/335
F24H 15/355
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯装置であって、
入水口と接続される第1の配管と、
前記第1の配管の水の流量を検出する流量検出器と、
前記第1の配管から流入する水を加熱する加熱機構と、
前記加熱機構によって加熱された温水を流す第2の配管とを備え、
前記第2の配管は、外部の第3の配管を経由して、前記第1の配管に接続され、
前記給湯装置は、
前記第1の配管の経路上に配置され、稼働時に前記第3の配管内の温水を前記加熱機構の方向に送り出す循環ポンプと、
前記循環ポンプと前記加熱機構とを制御する制御装置とをさらに備え、
前記制御装置は、
即湯循環モードの実行命令を受け付けたことに基づいて、出湯温度の設定が予め定められた制限温度以下であるか否かを判定し、
出湯温度の設定が前記予め定められた制限温度以下であることに基づいて、前記給湯装置を即湯循環モードで動作させる、給湯装置。
【請求項2】
給湯装置であって、
入水口と接続される第1の配管と、
前記第1の配管の水の流量を検出する流量検出器と、
前記第1の配管から流入する水を加熱する加熱機構と、
前記加熱機構によって加熱された温水を流す第2の配管とを備え、
前記第2の配管は、外部の第3の配管を経由して、前記第1の配管に接続され、
前記給湯装置は、
前記第1の配管の経路上に配置され、稼働時に前記第3の配管内の温水を前記加熱機構の方向に送り出す循環ポンプと、
前記循環ポンプと前記加熱機構とを制御する制御装置とをさらに備え、
前記制御装置は、
前記給湯装置が即湯循環モードで動作中であることに基づいて、循環中の温水の温度を予め定められた制限温度以下になるように前記加熱機構の加熱温度を制限し、
前記循環ポンプを停止させて即湯循環モードを終了し、
即湯循環モードの終了後に、前記流量検出器による流量の検出量が第1の流量未満になったこととに基づいて、温水の循環が終了したと判定し、
温水の循環が終了したと判定したことに基づいて、前記加熱機構の加熱温度の制限を解除する、給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯装置に関し、より特定的には、即湯循環モードの安全機能に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の給湯装置は、長時間使用されていない状態あっても給湯開始直後から適温の温水を供給する、いわゆる、即湯機能を具備するものがある。給湯装置は、一般に、流入側の配管と、流出側の配管と、加熱機構とを備える。
【0003】
即湯機能を有する給湯装置において、温水は、循環ポンプにより、給湯装置内の配管および加熱機構を循環する(以降、「即湯循環モード」と呼ぶ)。給湯装置は温水を自装置の内部で循環させることで、給湯開始直後から適温の温水を供給することを可能にする。
【0004】
国や地域によっては、温水用の蛇口に繋がる配管と、水用の蛇口に繋がる配管とが、循環用の配管で接続されていることがある。当該構成の配水管と接続された給湯装置の即湯循環モードにおいて、温水は、加熱機構および循環用の配管を循環する。そのため、温水が高温で循環しているとき、使用者が水用の蛇口をひねると高温の温水が流出する可能性があり、危険である。そのため、即湯循環モードにおける安全性を高める技術が必要とされている。
【0005】
即湯循環に関し、例えば、特開2007-003165号公報(特許文献1)は、「温度検出器を戻り管の電気ヒータと給湯管の上流側の第2の接続部との間に設け、温度検出器の検出温度が、即湯設定温度よりも高い温度に設定された上限温度を越えたときに、循環ポンプと電気ヒータの作動を停止する高温出湯防止手段をコントローラーに備える」即湯ユニットを開示している([要約]参照)。
【0006】
即湯循環に関し、他の例が、特開平11-014142号公報(特許文献2)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2007-003165号公報
【文献】特開平11-014142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1および2に開示された技術によると、即湯循環モード中に循環ポンプがON故障(稼働した状態で停止できない状態)した場合に水用の蛇口から高温の温水が流出する可能性がある。したがって、即湯循環モード中に循環ポンプがON故障した場合でも、水用の蛇口から高温の温水が流出しないようにする技術が必要とされている。
【0009】
本開示は、上記のような背景に鑑みてなされたものであって、ある局面における目的は、即湯循環モード中に循環ポンプがON故障した場合でも、水用の蛇口から高温の温水が流出しないようにする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ある実施の形態に従う給湯装置は、入水口と接続される第1の配管と、第1の配管の水の流量を検出する流量検出器と、第1の配管から流入する水を加熱する加熱機構と、加熱機構によって加熱された温水を流す第2の配管とを備える。第2の配管は、外部の第3の配管を経由して、第1の配管に接続される。給湯装置は、第1の配管の経路上に配置され、稼働時に第3の配管内の温水を加熱機構の方向に送り出す循環ポンプと、循環ポンプと加熱機構とを制御する制御装置とをさらに備える。制御装置は、即湯循環モードの実行命令を受け付けたことに基づいて、循環ポンプを稼働させ、出湯温度の設定が予め定められた制限温度を超える場合に、即湯循環モード中の温水の温度を制限温度以下になるように加熱機構の加熱温度を調整する。
【発明の効果】
【0011】
ある実施の形態に従うと、即湯循環モード中に循環ポンプがON故障した場合でも、水用の蛇口から高温の温水が流出しないようにすることが可能である。
【0012】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】循環用のポートを備える給湯装置100の一例を示す図である。
図2】循環用のポートを備えない給湯装置200の一例を示す図である。
図3】コントローラー250の構成の一例を示す図である。
図4】給湯モードにおける給湯装置200の動作概要の一例を示す図である。
図5】即湯循環モードにおける給湯装置200の動作概要の一例を示す図である。
図6】即湯循環モード中に循環ポンプ207がON故障した場合の給湯装置200の動作概要の一例を示す図である。
図7】給湯装置200における第1の動作の例を示す図である。
図8】給湯装置200における第2の動作の例を示す図である。
図9】循環用のポートを備えない給湯装置200の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。これ以降の説明において、何かに水または温水が入ることを「流入」と呼ぶ。また、何かから水または温水が出て行くことを「流出」と呼ぶ。
【0015】
給湯装置は、通常、水道水を流入させるためのポートと、加熱した温水を流出させるためのポートとを備える。また、一部の給湯装置は、即湯循環モードにおいて、給湯装置内に温水を循環させるために、加熱した温水を流出させるためのポートから流出した温水を給湯装置内に流入させるための循環用のポートを備える。また、一部の給湯装置は、独立した循環用のポートを備えず、水道水を流入させるためのポートが循環用のポートの役割も兼ねる。
【0016】
本実施の形態に従う即湯循環モードの制御は、主に、独立したポートを備えない給湯装置に好適に適用できる。最初に、ポートを備える給湯装置の構成と、ポートを備えない給湯装置の構成と、給湯装置を制御するコントローラーの構成とを順に説明する。次に、本実施の形態に従う給湯装置の制御方法について説明する。
【0017】
[給湯装置の構成]
図1は、循環用のポートを備える給湯装置100の一例を示す図である。給湯装置100は、バイパスサーボ101と、流量検出器102および108と、温度検出器103および105と、熱交換器104と、水量サーボ106と、循環ポンプ107と、ポート111,112および113と、コントローラー150とを備える。
【0018】
ポート111は、水を供給する水道管110と接続される。水は、水道管110からポート111を経由して給湯装置100に供給される。水は、水道管110からの入水圧によって給湯装置100に流入する。そのため、給湯装置100内の配管が水または温水で満たされた状態になると、水道管110から給湯装置100への水の流入は止まる。また、バルブ130が開いているとき、水道管110から流入してくる水は、給湯栓140から流出する。
【0019】
ポート111から給湯装置100に流入した水の一部は、経路155を通過して熱交換器104に流入する。また、ポート111から給湯装置100に流入した水の一部は、経路160,165を経由してポート113から流出する。経路155は、バイパスサーボ101の出口から熱交換器104の入口までの経路である。また、経路160は、バイパスサーボ101の出口から経路165の合流地点までの経路である。経路165は、熱交換器104の出口から、ポート113までの経路である。
【0020】
ポート112は、ポート113と同じ配管に接続される。即湯循環モードにおいて、ポート113から流出した温水は、ポート112から給湯装置100に再度流入し、熱交換器104を経由して循環する。
【0021】
ポート113は、給湯栓140に繋がる配管に接続される。給湯モードにおいて、ポート113から流出した温水は、給湯栓140から使用者に供給される。給湯モードは、熱交換器104で加熱された温水が給湯栓140から流出するとき(使用者が温水を使用するとき)の動作モードである。即湯循環モードにおいて、ポート113から流出した温水は、ポート112を経由して給湯装置100を循環する。
【0022】
バイパスサーボ101は、経路155に流入する水の量と、経路160に流入する水の量との割合を調整する。バイパスサーボ101は、一例として、ステッピングモーターなどによる栓を有し、当該栓により、経路160に流入する水の量を調整し得る。経路155を介して熱交換器104に流入する水は、当該熱交換器104によって加熱されて温水になる。経路160に流入する水は、経路165において、熱交換器104から流出する温水と混ざり合い、当該温水の温度を調節する。
【0023】
流量検出器102は、経路155に流れる水の量を検出する。ある局面において、流量検出器102は、内部に水車などを含み、当該水車などの回転量により水量を検出し得る。その場合、流量検出器102は、当該水車などの回転量に基づいて発生した信号をコントローラー150に出力する。コントローラー150に出力される信号は、デジタル信号でもよいしアナログ信号でもよい。コントローラー150は、入力した信号に基づいて、経路155に流れる水の量の推定および経路155に水が流れているか否かの判定をし得る。
【0024】
温度検出器103は、流量検出器102を通過した水の温度を検出する。図1に示すように、水道管110から流入する水と、循環ポンプ107によって経路170を経由した温水とが流量検出器102に流入する。そのため、温度検出器103は、給湯装置100が即湯循環モードで動作している場合は、経路155,165および170を循環している温水の温度を検出する。また、温度検出器103は、給湯装置100が即湯循環モードで動作していない場合は、水道管110から給湯装置100に流入する水の温度を検出する。また、温度検出器103は、水道管110から給湯装置100に流入する水と、経路155,165および170を循環している温水とが混ざった水または温水の温度も検出し得る。
【0025】
ある局面において、温度検出器103は、サーミスタであってもよい。その場合、温度検出器103は、流量検出器102を通過した水の温度に基づいて発生した信号をコントローラー150に出力する。コントローラー150に出力される信号は、デジタル信号でもよいしアナログ信号でもよい。コントローラー150は、入力した信号に基づいて、経路155を流れる水の温度を検出し得る。
【0026】
熱交換器104(加熱機構)は、燃焼機構(図示せず)などが発生させた熱量を用いて、熱交換器104に流入した水の温度を上昇させる。ある局面において、燃焼機構は、ガスまたは石油などの燃焼による熱量を発生するバーナーによって構成され得る。他の局面において、熱交換器104は、内部に熱伝導性の高いパイプを含む。パイプ周辺には、熱を伝えるためのプレートが配置されることもある。燃焼機構は、これらのパイプ及びプレートを加熱する。水は、当該パイプを通過することで加熱されて温水になる。温水は、経路165からポート113に向けて流出する。
【0027】
温度検出器105は、経路165を流れる温水の温度を検出する。経路165を経由する温水は、バルブ120が開いているとき、給湯栓140から流出する。そのため、温度検出器105は、使用者が使用する温水の温度を直接検出していると言える。ある局面において、温度検出器105は、サーミスタであってもよい。その場合、温度検出器105は、経路165を流れる温水の温度に基づいて発生した信号をコントローラー150に出力する。コントローラー150に出力される信号は、デジタル信号でもよいしアナログ信号でもよい。コントローラー150は、入力した信号に基づいて、経路165を流れる温水の温度を検出し得る。
【0028】
水量サーボ106は、ポート113から流出する温水の量を調整する。水量サーボ106は、一例として、ステッピングモーターなどによる栓を有し、当該栓により、ポート113から流出する温水の量を調整し得る。
【0029】
ポート113から流出した温水は、バルブ120が開いているとき、給湯栓140から流出する。また、ポート113から流出した温水は、バルブ120が閉まっており、給湯装置100が即湯循環モードで動作している場合、ポート112に流入する。
【0030】
循環ポンプ107は、ポート112から流入した温水を熱交換器104に循環させる。ある局面において、循環ポンプ107は、DCモーターなどにより駆動されるポンプであってもよい。その場合、循環ポンプ107のDCモーターは、コントローラー150によって制御され得る。
【0031】
流量検出器108は、経路170を流れる温水の量を検出する。ある局面において、流量検出器108は、内部に水車などを含み、当該水車などの回転量により水量を検出し得る。その場合、流量検出器108は、当該水車などの回転量に基づいて発生した信号をコントローラー150に出力する。コントローラー150に出力される信号は、デジタル信号でもよいしアナログ信号でもよい。コントローラー150は、入力した信号に基づいて、経路170の温水の量の推定および経路170に温水が流れているか否かを判定し得る。
【0032】
コントローラー150は、給湯装置100全体を制御する。具体的には、コントローラー150は、流量検出器102および108が出力する信号を取得することで各経路の水量を推定し、温度検出器103および105が出力する信号を取得することで各経路を流れる水または温水の温度を推定する。さらに、コントローラー150は、各種アクチュエーター(バイパスサーボ101、水量サーボ106、循環ポンプ107および熱交換器104など)を制御することで、水または温水の流量および温度を調節し得る。ある局面において、コントローラー150は、給湯装置100の内部に設けられていてもよいし、給湯装置100の外部に設けられていてもよい。
【0033】
次に、給湯装置100における給湯モードおよび即湯循環モードの動作概要について説明する。また、循環ポンプ107が、給湯装置100が即湯循環モードで稼働中に故障した場合における、給湯装置100の動作についても説明する。
【0034】
給湯モードにおいて、給湯装置100は、水道管110から流入する水を熱交換器104で加熱し、ポート113から温水を流出させる。ポート113から流出する温水は、バルブ120が開いている場合、給湯栓140から流出する。循環ポンプ107は、給湯モード時には停止しており、ポート113から流出した温水は、経路170には流入しない、または、経路170に少量だけ流入する。
【0035】
即湯循環モードにおいて、給湯装置100は、水道管110から流入する水を熱交換器104で加熱し、ポート113から温水を流出させる。循環ポンプ107は、即湯循環モード時には稼働しており、ポート113から流出した温水を経路170側に押し出す。ポート113から流出した温水は、バルブ120が閉まっているかぎり、循環ポンプ107に押し出されて経路170に流入する。循環中の温水が、コントローラー150によって予め設定された温度に達した場合、循環ポンプ107は停止する。温水は、循環ポンプ107が停止したことに基づいて、給湯装置100内を徐々に循環しなくなる。
【0036】
循環ポンプ107は、即湯循環モード時に、ON故障して、コントローラー150からの制御を受け付けなくなることがある。循環ポンプ107がON故障状態になると、循環中の温水の温度がコントローラー150によって予め設定された温度に達したにもかかわらず、循環ポンプ107は停止しないため、温水は循環し続けることになる。
【0037】
コントローラー150は、給湯装置100の運転モードの状態(給湯モード、即湯循環モードなど)を内部のメモリーに記憶しており、また、流量検出器108から経路170の水量の検出結果を取得する。そのため、コントローラー150は、給湯装置100の運転モードが即湯循環モードではない状態で、経路170を流れる水の量が予め定められた閾値以上であることに基づいて、循環ポンプ107がON故障したと判定し得る。コントローラー150は、循環ポンプ107がON故障したことを報知器などで使用者に報知することができる。上記のように、循環用のポートを備える給湯装置100は、即湯循環モードにおいて、循環ポンプ107のON故障を検出することができる。
【0038】
図2は、循環用のポートを備えない給湯装置200の一例を示す図である。給湯装置200は、バイパスサーボ201と、流量検出器202と、温度検出器203および205と、熱交換器204と、コントローラー250と、水量サーボ206と、循環ポンプ207と、ポート211および213と、コントローラー250とを備える。
【0039】
給湯装置200のバイパスサーボ201と、流量検出器202と、温度検出器203および205と、熱交換器204と、水量サーボ206と、循環ポンプ207と、ポート211と、ポート213と、コントローラー250との各々は、給湯装置100のバイパスサーボ101と、流量検出器102と、温度検出器103および105と、熱交換器104と、水量サーボ106と、循環ポンプ107と、ポート111および113と、コントローラー150との各々に対応する。また、経路255,260および265の各々は、経路155,160および165の各々に対応する。
【0040】
給湯装置200は、給湯装置100と比較して、循環用のポートを備えておらず、経路170に相当する経路も備えていないことがわかる。代わりに、給湯装置200は、バイパスサーボ201の上流側に循環ポンプ207を備える。これらの給湯装置100および200の構成の差異は、国または地域などにおける水道設備の構成の差異に起因する。
【0041】
図2に示すように、ある国または地域における水道設備では、水道管110から流入する水を流す経路280と、給湯装置200から流出する温水を流す経路281とが、経路282を介して接続されている。経路282には、逆流防止用の弁214が設けられている。弁214は、経路280から経路281に水が流入しないようにするための弁である。
【0042】
当該構成の水道設備においては、ポート211と、ポート213とを介して給湯装置200に温水を循環させることが想定されている。そのため、給湯装置200は、経路281から分岐した経路と接続される循環用のポートを備えない。また、給湯装置200は、経路281および260を介して温水を循環させる必要があるため、循環ポンプ207をポート211の下流側に備えている。
【0043】
次に、給湯装置200における給湯モードおよび即湯循環モードの動作概要について説明する。また、循環ポンプ207が、即湯循環モード時にON故障した場合における、給湯装置200の課題についても説明する。
【0044】
給湯モードにおいて、給湯装置200は、水道管110から流入する水を熱交換器204で加熱し、ポート213から温水を流出させる。ポート213から流出する温水は、バルブ120が開いている場合、給湯栓140から流出する。経路281を流れる温水が給湯栓140から流出する場合、弁214には水圧が掛からないため、経路281から経路280側には温水は流入しない、または、経路281から経路280側には少量の温水のみが流入する。
【0045】
即湯循環モードにおいて、給湯装置200は、水道管110から流入する水を熱交換器204で加熱し、ポート213から温水を流出させる。循環ポンプ207は、即湯循環モード時には稼働しており、ポート211から経路255の方向に温水を流す。ポート213から流出した温水には、バルブ120が閉まっているかぎり、循環ポンプ207よってポート211に流入する力が働く。そのため、ポート213から流出した温水は、経路281,282および280を経由してポート211に流入する。結果として、温水は、経路280、経路255、熱交換器204、経路265、経路281および経路282を循環する。
【0046】
循環中の温水の温度が、コントローラー250によって予め設定された温度に達した場合、循環ポンプ207は停止する。温水は、循環ポンプ207が停止したことに基づいて、給湯装置200内を徐々に循環しなくなる。
【0047】
循環ポンプ207がON故障状態になると、循環中の温水の温度が、コントローラー250によって予め設定された温度に達したにもかかわらず、循環ポンプ207は停止しないため、温水は循環し続けることになる。
【0048】
給湯装置100は循環ポンプ107のON故障を検知することができたが、給湯装置200は、装置の構成上、明確に循環ポンプ207のON故障を検知することができない。給湯装置200が循環ポンプ207のON故障を検知できない原因は、循環ポンプ207の前後の経路が、給湯モード時の入水経路および即湯循環モード時の循環経路の両方の役割を持つためである。
【0049】
図2に示すように、コントローラー250は、循環ポンプ207が故障しているか否かを判定するには、流量検出器202の検出結果を利用する必要がある。即湯循環モードの完了後に流量検出器202が水または温水の流れを検出しない場合、コントローラー250は、循環ポンプ207は正常に停止していると判定できる。しかし、逆に、即湯循環モードの完了後に流量検出器202が水または温水の流れを検出した場合、コントローラー250は、循環ポンプ207がON故障しているか否かは判定することができない。なぜなら、仮に循環ポンプ207が正常にOFFになっていたとしても、使用者が給湯モード時にバルブ120を開いて給湯栓140から温水を流出させている場合、水道管110から給湯装置200に水が流入するため、流量検出器202が水または温水の流れを検出してしまうためである。このように、循環用のポートを備えない給湯装置200は、流量検出器202の検出結果だけでは、循環ポンプ207のON故障が発生しているのか、使用者が温水を使用しているだけなのかを明確に判別することができない。
【0050】
仮に、給湯装置200が高温の設定で即湯循環モード時に温水を循環させていた場合に、循環ポンプ207がON故障すると高温の温水が、即湯循環モードの完了後にも経路280を経由して循環し続けることになる。この状態で、使用者がバルブ130を開けると、給湯栓140から高温の温水が流出し、危険である。そのため、このような事態を回避するために、給湯装置200は、後述する制御方法によって、使用者の安全を担保する。
【0051】
[コントローラーの構成]
図3は、コントローラー250の構成の一例を示す図である。コントローラー250は、CPU(Central Processing Unit)301と、メモリー302と、電子回路303と、インターフェイス304と、バス305とを備える。コントローラー250は、給湯装置200の各種センサーおよびアクチュエーターと通信し、給湯装置200を制御する。また、コントローラー250は、報知装置306により使用者に給湯装置200に関する情報を通知する。さらに、コントローラー250は、リモートコントローラー307が受け付けた使用者の入力に基づいて、給湯装置200を制御し得る。
【0052】
CPU301は、メモリー302に読み込まれた各種プログラムを実行し、またはデータを参照する。ある局面において、CPU301は、組み込みCPUであってもよいし、FPGA(Field-Programmable Gate Array)であってもよいし、またはこれらの組み合わせなどによって構成される。CPU301は、給湯装置200の各種機能を実現するためのプログラムを実行し得る。一例としてCPU301は、給湯装置200の運転スイッチのON/OFF操作、給湯温度の設定および各種の時刻予約設定(「タイマ設定」とも称する)などを含み得る。また、CPU301は、これらの設定に基づいて、給湯装置200内のモーターまたは燃焼機構などを制御する。
【0053】
メモリー302は、CPU301によって実行されるプログラムと、CPU301によって参照されるデータとを格納する。ある局面において、DRAM(Dynamic Random Access Memory)またはSRAM(Static Random Access Memory)が、メモリー302として使用されてもよい。
【0054】
電子回路303は、専用の機能を持つ回路である。電子回路303は、データ変換またはアクチュエーターの制御などの特定の処理をCPU301に代わって実行し得る。ある局面において、電子回路303は、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA、またはこれらの組み合わせによって構成され得る。
【0055】
インターフェイス304は、外部の機器と信号の入出力をする。CPU301は、インターフェイス304を介して、他の装置を制御し得る。インターフェイス304は、少なくとも、熱交換器204の燃焼機構310と、循環ポンプ207と、温度検出器203および205と、流量検出器202と、バイパスサーボ201と、水量サーボ206とに接続され得る。さらに、インターフェイス304は、報知装置306と、リモートコントローラー307とに接続され得る。
【0056】
ある局面において、インターフェイス304は、任意の形式の信号を入出力または送受信する有線インターフェイス、無線インターフェイスまたはこれらの組み合わせによって構成され得る。他の局面において、インターフェイス304は、報知装置306、リモートコントローラー307および他の任意の装置と、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)などの通信プロトコルを用いてデータを送受信してもよい。また、インターフェイス304は、クラウドサービスなどと通信してもよい。バス305は、CPU301と、メモリー302と、電子回路303と、インターフェイス304とを相互に接続する。
【0057】
報知装置306は、少なくとも1つのスピーカー、少なくとも1つのディスプレイ、少なくとも1つの他の装置に対する通信装置またはこれらの組み合わせによって構成されてもよい。報知装置306は、一例として、リモートコントローラー307において各種設定を受け付けたこと、または予約を受け付けていた動作(湯沸かしなど)が完了したことを報知し得る。また、報知装置306は、給湯装置200に異常が発生した場合も、当該異常の発生を報知し得る。
【0058】
リモートコントローラー307は、給湯装置200本体とは別に用意されたコントローラーであり、使用者の各種操作の入力を受け付け、受け付けた入力をコントローラー250に出力する。ある局面において、リモートコントローラー307は、給湯装置200と一体型であってもよい。これ以降の図4図8を参照して説明する給湯装置200の動作は、図3で示すコントローラー250が給湯装置200を制御することで実現し得る。図4図8に示す動作は、図2で説明した給湯装置200の循環ポンプ207がON故障したときの使用者の安全を担保する。
【0059】
[給湯モードにおける給湯装置200の動作概要]
図4は、給湯モードにおける給湯装置200の動作概要の一例を示す図である。図4を参照して、CPU301が、リモートコントローラー307が入力を受け付けた温度設定および動作モードの設定に基づいて、どのように給湯装置200を制御するかについて説明する。
【0060】
最初に給湯モードにおける給湯装置200の動作について説明する。給湯モードは、通常、使用者が給湯栓140から流出する温水を使用するときのモードである。給湯装置200が給湯モードで動作している場合、熱交換器204で加熱された温水は、バルブ120が開いているとき給湯栓140から流出する。給湯装置200で加熱された温水が使用されると同時に、水道管110から給湯装置200に水が随時供給される。図中の矢印400は、給湯モード時における水および温水の流れを表す。
【0061】
次に、給湯装置200が給湯モードで動作している場合に、リモートコントローラー307が温度設定の操作を受け付けたときのCPU301の動作について説明する。給湯装置200が給湯モードで動作している場合において、リモートコントローラー307が高温の設定(例えば、70℃までの設定)の入力を受け付けたとき、CPU301は、給湯装置200から流出する温水の温度が、受け付けた設定通りの温度になるように熱交換器204を制御する。
【0062】
給湯モードは、温水を使用することが前提のモードであり、使用者は、高温の温水が給湯栓140から流出することを理解していると想定される。また、矢印400に示されるように、ポート213から流出する温水は、バルブ120が開いていれば、ポート211に流入しない。よって、使用者がやけどをする可能性などは少ないと考えられるため、CPU301は、温水の温度を受け付けた温度設定の通りになるように給湯装置200を制御する。
【0063】
次に、給湯装置200が給湯モードで動作している場合に、リモートコントローラー307が即湯循環モードの入力操作を受け付けたときのCPU301の動作について説明する。CPU301は、2種類の動作を取り得る。
【0064】
第1の動作では、CPU301は、即湯循環モードの入力操作を受け付けた場合、現在の給湯装置200から流出する温水の温度設定が予め定められた制限温度(Th1)以上であるか否かを判定する。CPU301は、現在の給湯装置200から流出する温水の温度設定が予め定められた制限温度(Th1)以上であると判定した場合、温度設定を制限温度(Th1)の温度に変更する。CPU301は、現在の給湯装置200から流出する温水の温度設定が予め定められた制限温度(Th1)未満であると判定した場合、温度設定を変更しない。次に、CPU301は、設定温度を制限温度(Th1)以下にした状態で、給湯装置200を即湯循環モードに移行させる。
【0065】
ここでの制限温度(Th1)は、例えば、48℃程度である。48℃は一例であり、制限温度(Th1)の例はこれに限られない。制限温度(Th1)は、使用者が給湯栓140から流出する温水を使用した際にやけどをしないであろう温度であればよい。
【0066】
給湯装置200が上記の第1の動作に基づいて動作することで、仮に、循環ポンプ207がON故障した場合に、使用者がバルブ130を開いて(水が供給されることを期待して)、給湯栓140から温水が流出したとしても、温水の温度は制限温度(Th1)以下であり、使用者がやけどをすることはない。
【0067】
ある局面において、CPU301は、即湯循環モードの完了後、流量検出器202が温水の流れを検出しなくなった状態で(循環ポンプ207が停止したことを確認した状態で)、設定温度を元に戻してもよい。
【0068】
第2の動作では、CPU301は、即湯循環モードの入力操作を受け付けた場合、現在の給湯装置200から流出する温水の温度設定が予め定められた制限温度(Th1)以上であるか否かを判定する。
【0069】
CPU301は、現在の給湯装置200から流出する温水の温度設定が予め定められた制限温度(Th1)を超えると判定した場合、給湯装置200を即湯循環モードに移行させない。CPU301は、現在の給湯装置200から流出する温水の温度設定が予め定められた制限温度(Th1)以下であると判定した場合、給湯装置200を即湯循環モードに移行させる。ある局面において、CPU301は、給湯装置200を即湯循環モードに移行させない場合、報知装置306から給湯装置200を即湯循環モードに移行できないことを使用者に報知してもよい。
【0070】
給湯装置200が上記の第2の動作に基づいて動作することで、給湯装置200は、制限温度(Th1)を超える設定温度で即湯循環モードに移行することはない。そのため、仮に、給湯装置200が即湯循環モード中に、循環ポンプ207がON故障したとしても、使用者がやけどをすることはない。
【0071】
[即湯循環モードにおける給湯装置200の動作概要]
図5は、即湯循環モードにおける給湯装置200の動作概要の一例を示す図である。図5を参照して、図4で説明した第1の動作における、即湯循環モードの完了時の動作について説明する。
【0072】
最初に即湯循環モード中の給湯装置200の動作について説明する。循環ポンプ207は、即湯循環モード時、稼働している。また、通常、使用者は、給湯栓140を使用しておらず、バルブ120は閉まっている。そのため、温水は、矢印500が示す流れに沿って給湯装置200内を循環する。
【0073】
次に、即湯循環モードの完了時の給湯装置200の動作について説明する。CPU301は、循環中の温水の温度が設定温度に達したことに基づいて、給湯装置200に即湯循環モードを完了させる。CPU301は、温度検出器203または205の検出結果に基づいて、循環中の温水の温度が設定温度に達したか否かを判定し得る。
【0074】
CPU301は、以下の手順に基づいて、給湯装置200に即湯循環モードを完了させる。第1のステップとして、CPU301は、メモリー302上に格納している給湯装置200の動作モードを即湯循環モードから別のモード(待機モードなど)に変更する。第2のステップとして、CPU301は、循環ポンプ207を停止させる。第3のステップとして、CPU301は、予め定められた期間、流量検出器202が検出する温水の流量が予め定められた閾値以下になるまで、流量検出器202の検出値を定期的に参照する。第4のステップとして、CPU301は、予め定められた期間に、流量検出器202が検出する温水の流量が予め定められた閾値以下になったことに基づいて(矢印500の流れが止まったと判定したことに基づいて)、循環ポンプ207が停止したと判定する。第5のステップとして、CPU301は、使用者によって入力された設定温度が制限温度(Th1)以上であった場合、設定温度を元に戻す(現在の設定温度を、使用者によって入力された設定温度に戻す)。
【0075】
図6は、即湯循環モード中に循環ポンプ207がON故障した場合の給湯装置200の動作概要の一例を示す図である。図6を参照して、図4で説明した第1の動作における、循環ポンプ207がON故障した場合の即湯循環モードの完了時の動作について説明する。
【0076】
第1のステップ~第3のステップまでは、図5の説明と共通である。第4のステップにおいて、循環ポンプ207がON故障した場合、循環ポンプ207が稼働し続けるため、予め定められた期間の間に流量検出器202が検出する温水の流量が予め定められた閾値以下になることはない。循環ポンプ207がON故障すると、使用者がバルブ120を開いたときに、矢印600のように、温水が給湯栓140から流出する。このように一定期間を過ぎても温水が流れ続ける場合、CPU301は、循環ポンプ207がON故障したと判定する。第5のステップとして、CPU301は、報知装置306に、循環ポンプ207がON故障したことを伝えるメッセージを報知させる。使用者は、報知装置306からの報知内容を参照することで、給湯装置200に異常に気づくことができ、サービスマンなどに連絡を取ることができる。
【0077】
[給湯装置200の動作手順]
図7は、給湯装置200における即湯循環モードにおける第1の動作の例を示す図である。図7に示す処理は、図4図6において説明した第1の動作を実現する際のCPU301の処理の流れである。ある局面において、CPU301は、図7の処理を行うためのプログラムをメモリー302から読み込んで、当該プログラムを実行してもよい。他の局面において、当該処理の一部または全部は、当該処理を実行するように構成された回路素子の組み合わせとしても実現され得る。
【0078】
ステップS705において、CPU301は、即湯循環モードに入るとき、給湯の設定温度を制限温度(Th1)以下に設定する。CPU301は、元の設定温度(T)が、制限温度(Th1)を超える場合は、設定温度を元の設定温度(T)から制限温度(Th1)に変更する。そうでない場合は、CPU301は、設定温度を元の設定温度(T)のまま維持する。CPU301は、設定温度を制限温度(Th1)変更した場合、ステップS745の処理のために、メモリー302に元の設定温度(T)の情報を保存しておく。
【0079】
ステップS710において、CPU301は、循環ポンプ207にON指令を出力する。循環ポンプ207は、CPU301からON指令を入力すると、稼働し、温水を循環させる。ある局面において、ON指令は、デジタル信号でもよいし、アナログ信号でもよい。他の局面において、CPU301は、ON指令を電子回路303に出力し、当該ON指令を入力した電子回路303が循環ポンプ207を直接制御してもよい。
【0080】
ステップS715において、CPU301は、温度検出器203,205の検出結果に基づいて、循環中の温水の温度が設定温度に達したと判定した場合に、給湯装置200の状態を即湯循環完了に変更する。ステップS705にて、CPU301が設定温度を制限温度(Th1)にしていた場合、CPU301は、循環中の温水の温度が制限温度(Th1)に達したことに基づいて給湯装置200の状態を即湯循環完了に変更する。
【0081】
ある局面において、CPU301は、メモリー302上に給湯装置200の状態(給湯待機、給湯中、即湯待機、即湯循環中および即湯循環完了など)を保存してもよい。その場合、CPU301は、当該メモリー302上の給湯装置200の状態を書き換えることで、給湯装置200の状態を管理する。
【0082】
ステップS720において、CPU301は、循環ポンプ207にOFF指令を出力する。循環ポンプ207は、CPU301からOFF指令を入力すると停止する。循環ポンプ207が停止すると、循環中の温水は、しばらくしてから循環しなくなる。ある局面において、OFF指令は、デジタル信号でもよいし、アナログ信号でもよい。他の局面において、CPU301は、OFF指令を電子回路303に出力し、当該OFF指令を入力した電子回路303が循環ポンプ207を停止させてもよい。
【0083】
ステップS725において、CPU301は、カウンターが上限値(N)以下であるか否かを判定する。CPU301は、当該カウンターの値に基づいて、カウント開始から予め定められた期間(カウント数N)が経過したかを判定する。カウンターの値は、ステップS735の処理がタイムアウトしたか否かを判定するために使用される。CPU301は、カウンターが上限値(N)以下であると判定した場合(ステップS725にてYES)、制御をステップS730に移す。そうでない場合(ステップS725にてNO)、CPU301は、制御をステップS750に移す。
【0084】
ステップS730において、CPU301は、カウントアップする。ステップS735において、CPU301は、流量検出器202が水流を検知しなくなったか否かを判定する。すなわち、CPU301は、温水の循環が停止したか否かを判定する。CPU301は、流量検出器202が水流を検知しなくなったと判定した場合(ステップS735にてYES)、制御をステップS740に移す。そうでない場合(ステップS735にてNO)、CPU301は、制御をステップS725に移す。
【0085】
ステップS740において、CPU301は、循環ポンプ207が正常に停止したと判定し、設定温度の制限を解除する。CPU301は、ステップS705にて、CPU301が設定温度を元の設定温度(T)から制限温度(Th1)に変更していた場合、CPU301は、設定温度を元の設定温度(T)に戻す。
【0086】
ステップS745において、CPU301は、温水が元の設定温度(T)になるように、熱交換器204を制御する。ステップS750において、CPU301は、循環ポンプ207が正常に停止していないと判定し、報知装置306から警報を出力する。
【0087】
図8は、給湯装置200における第2の動作の例を示す図である。図8に示す処理は、図4において説明した第2の動作を実現する際のCPU301の処理の流れである。ある局面において、CPU301は、図8の処理を行うためのプログラムをメモリー302から読み込んで、当該プログラムを実行してもよい。他の局面において、当該処理の一部または全部は、当該処理を実行するように構成された回路素子の組み合わせとしても実現され得る。
【0088】
ステップS805において、CPU301は、給湯装置200の状態を給湯待機モードにする。ステップS810において、CPU301は、即湯ONの命令を受け付ける。ある局面において、CPU301は、リモートコントローラー307の即湯スイッチが押下されたことに基づいて、即湯ONの命令を受け付けてもよい。他の局面において、CPU301は、給湯装置200本体のボタンなどの押下によって即湯ONの命令を受け付けてもよい。
【0089】
ステップS815において、CPU301は、即湯循環モードに入るとき、給湯の設定温度が制限温度(Th1)以下であるか否かを判定する。CPU301は、給湯の設定温度が制限温度(Th1)以下であると判定した場合(ステップS815にてYES)、制御をステップS820に移す。そうでない場合(ステップS815にてNO)、CPU301は、制御をステップS810に移す。ある局面において、CPU301は、制御をステップS810に戻すときに、報知装置306から即湯循環モードに入れないことを使用者に報知してもよい。
【0090】
ステップS820において、CPU301は、給湯装置200の状態を即湯待機モードにする。ステップS825において、CPU301は、給湯装置200が燃焼開始条件を満たすか否かを判定する。燃焼開始条件とは、一例として、現在の温水の温度が設定温度未満であるか否か、循環ポンプ207が反応するか否かなどを含む。CPU301は、給湯装置200が燃焼開始条件を満たすと判定した場合(ステップS825にてYES)、制御をステップS830に移す。そうでない場合(ステップS825にてNO)、CPU301は、制御をステップS820に移す。ある局面において、CPU301は、制御をステップS820に戻すときに、報知装置306から、給湯装置200が燃焼開始条件を満たさないことを使用者に報知してもよい。
【0091】
ステップS830において、CPU301は、循環ポンプ207にON指令を出力する。循環ポンプ207は、CPU301からON指令を入力すると稼働し、温水を循環させる。
【0092】
ステップS835において、CPU301は、即湯循環の開始後に、給湯の設定温度の上限を制限温度(Th1)以下に設定する。すなわち、CPU301は、給湯装置200が即湯循環モードで稼働中の場合、制限温度(Th1)より高い温度設定の入力を受け付けない。
【0093】
ステップS840において、CPU301は、循環中の温水の温度が設定温度に達したことにも基づいて、給湯装置200の状態を即湯循環完了にする。ステップS845において、CPU301は、循環ポンプ207にOFF指令を出力する。循環ポンプ207は、CPU301からOFF指令を入力すると停止する。ステップS850において、CPU301は、ステップS835にて設定した給湯の設定温度の上限設定を解除する。設定温度の上限設定の解除後、CPU301は、制限温度(Th1)より高い温度設定の入力を受け付け得る。
【0094】
[他の装置構成]
図9は、循環用のポートを備えない給湯装置の他の例を示す図である。給湯装置900は、給湯装置200と比較して、循環ポンプ207の上流と下流とをバイパスする経路と、当該経路上に設けられた流量検出器901と、逆流防止用の弁902とを備える。
【0095】
給湯装置200が流量検出器901を備えることで、即湯循環モードの完了後に流量検出器202が水または温水の流れを検出した場合、コントローラー250は、循環ポンプ207がON故障しているのか、使用者がバルブ120を開いて給湯栓140から温水を流出させているのかを判定することができる。
【0096】
具体的には、コントローラー250が循環ポンプ207をOFFにした場合に、流量検出器202が水流を検出し、かつ流量検出器901が水流を検出しないとき、コントローラー250は、循環ポンプ207がON故障していると判定できる。なぜなら、循環ポンプ207が稼働中は、水または温水は、循環ポンプ207に吸い込まれることで、流量検出器901よりも循環ポンプ207に優先的に流入し、その結果、流量検出器901はほとんど水流を検出しないためである。
【0097】
逆に、コントローラー250が循環ポンプ207をOFFにした場合に、流量検出器202および流量検出器901の両方が水流を検出した場合、コントローラー250は、循環ポンプ207がON故障していない(使用者がバルブ120を開いて給湯栓140から温水を流出させている)と判定できる。なぜなら、循環ポンプ207が停止しており、かつ使用者がバルブ120を開いて給湯栓140から温水を流出させている場合、水または温水は、循環ポンプ207に優先的に流入することはなく、その結果、流量検出器901にも水または温水が流れ込むためである。
【0098】
以上説明したように、本実施の形態に従う給湯装置200は、即湯循環モードにおいて、予め定められた制限温度以下の範囲で温水を加熱する。または、給湯装置200は、給湯の設定温度が予め定められた制限温度を超える場合、即湯循環モードに移行しない。当該制御により、即湯循環モード中および即湯循環モードの完了時の温水の温度は、使用者がやけどをしない程度の温度に制限される。そのため、循環ポンプ207がON故障したときに使用者がバルブ130を開いたとしても、使用者がやけどをすることはなくなる。
【0099】
以上のようにして開示された技術的特徴は、以下のように要約され得る。
【0100】
(構成1)ある実施の形態に従う給湯装置は、入水口と接続される第1の配管と、第1の配管の水の流量を検出する流量検出器と、第1の配管から流入する水を加熱する加熱機構と、加熱機構によって加熱された温水を流す第2の配管とを備える。第2の配管は、外部の第3の配管を経由して、第1の配管に接続される。給湯装置は、第1の配管の経路上に配置され、稼働時に第3の配管内の温水を加熱機構の方向に送り出す循環ポンプと、循環ポンプと加熱機構とを制御する制御装置とをさらに備える。制御装置は、即湯循環モードの実行命令を受け付けたことに基づいて、循環ポンプを稼働させ、出湯温度の設定が予め定められた制限温度を超える場合に、即湯循環モード中の温水の温度を制限温度以下になるように加熱機構の加熱温度を調整する。
【0101】
(構成2)他の実施の形態に従う第2の給湯装置は、入水口接続される第1の配管と、第1の配管の水の流量を検出する流量検出器と、第1の配管から流入する水を加熱する加熱機構と、加熱機構によって加熱された温水を流す第2の配管とを備える。第2の配管は、外部の第3の配管を経由して、第1の配管に接続される。給湯装置は、第1の配管の経路上に配置され、稼働時に第3の配管内の温水を加熱機構の方向に送り出す循環ポンプと、循環ポンプと加熱機構とを制御する制御装置とをさらに備える。制御装置は、即湯循環モードの実行命令を受け付けたことに基づいて、出湯温度の設定が予め定められた制限温度以下であるか否かを判定し、出湯温度の設定が制限温度以下であることに基づいて、給湯装置を即湯循環モードで動作させる。
【0102】
(構成3)ある局面に従う給湯装置は、構成2に加えて、使用者に情報を通知する報知装置をさらに備え、報知装置は、出湯温度の設定が制限温度を超えることに基づいて、ユーザーに即湯循環モードに移行しないことを通知する。
【0103】
(構成4)さらに他の実施の形態に従う給湯装置は、入水口と接続される第1の配管と、第1の配管の水の流量を検出する流量検出器と、第1の配管から流入する水を加熱する加熱機構と、加熱機構によって加熱された温水を流す第2の配管とを備える。第2の配管は、外部の第3の配管を経由して、第1の配管に接続される。給湯装置は、第1の配管の経路上に配置され、稼働時に第3の配管内の温水を加熱機構の方向に送り出す循環ポンプと、循環ポンプと加熱機構とを制御する制御装置とをさらに備える。制御装置は、給湯装置が即湯循環モードで動作中であることに基づいて、循環中の温水の温度を予め定められた制限温度以下になるように加熱機構の加熱温度を制限し、循環ポンプを停止させて即湯循環モードを終了し、即湯循環モードの終了後に、流量検出器による流量の検出量が第1の流量未満になったこととに基づいて、温水の循環が終了したと判定し、温水の循環が終了したと判定したことに基づいて、加熱機構の加熱温度の制限を解除する。
【0104】
(構成5)ある局面に従う給湯装置は、構成4に加えて、給湯装置の設定を記憶するメモリーをさらに備え、制御装置は、リモートコントローラーからの出湯温度の設定の入力を受け付け、入力された出湯温度の設定をメモリーに格納する。加熱機構の加熱温度の制限を解除することは、制限温度を超える温度設定の入力を受け付けていた場合、即湯循環モードの完了後に、メモリーから読み出した出湯温度の設定に基づいて、加熱機構の加熱温度を上昇させることを含む。
【0105】
(構成6)ある局面に従う給湯装置は、構成4に加えて、使用者に情報を通知する報知装置をさらに備え、報知装置は、即湯循環モードの終了から予め定められた時間を経過しても流量検出器による流量の検出量が第1の流量未満にならないことに基づいて、循環ポンプが停止しない故障、すなわち給湯装置の故障を通知する。
【0106】
(構成7)ある局面に従う給湯装置は、構成4に加えて、第1の配管における循環ポンプの上流側と、循環ポンプの下流側とをバイパスする第4の配管と、第4の配管の経路上に設置される他の流量検出器とをさらに備え、制御装置は、即湯循環モードが終了しており、かつ、流量検出器が流量検出器による流量の検出量が第1の流量以上である場合において、他の流量検出器で検出される流量が第2の流量未満であることに基づいて、循環ポンプの故障を検出する。
【0107】
(構成8)ある局面に従う給湯装置は、構成1~7のいずれかに加えて、制限温度は、即湯循環モードにおける温水の最大設定温度である。
【0108】
(構成9)ある局面に従う給湯装置は、構成1~8のいずれかに加えて、第3の配管の経路上に弁が配置され、弁は、第3の配管内の温水の流れを第2の配管から第1の配管の向きに制限する。
【0109】
(構成10)ある局面に従う給湯装置は、構成1~9のいずれかに加えて、第1の配管における循環ポンプの下流側と、第2の配管を接続する第5の配管と、第1の配管から、第5の配管を経由して第2の配管に流入する水の量を調整する流量調節装置とをさらに含む。
【0110】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内で全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された発明は、可能な限り、単独でも、組み合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0111】
100,200 給湯装置、101,201 バイパスサーボ、102,108,202,901 流量検出器、103,105,203 温度検出器、104,204 熱交換器、106,206 水量サーボ、107,207 循環ポンプ、110 水道管、111,112,113,211,213 ポート、120,130 バルブ、140 給湯栓、150,250 コントローラー、155,160,165,170,255,260,265,280,281,282 経路、214,902 弁、301 CPU、302 メモリー、303 電子回路、304 インターフェイス、305 バス、306 報知装置、307 リモートコントローラー、310 燃焼機構。
図1
図2
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図5
図6
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図8
図9