(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】タイヤシミュレーション方法、プログラム、及びタイヤシミュレーション装置
(51)【国際特許分類】
B60C 19/00 20060101AFI20231220BHJP
G01M 17/02 20060101ALI20231220BHJP
G06F 30/10 20200101ALI20231220BHJP
G06F 30/23 20200101ALI20231220BHJP
【FI】
B60C19/00 Z
G01M17/02
G06F30/10
G06F30/23
(21)【出願番号】P 2020031491
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】前田 成人
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-210527(JP,A)
【文献】特開2017-067486(JP,A)
【文献】特開2018-086892(JP,A)
【文献】特開2017-218097(JP,A)
【文献】特開2005-306174(JP,A)
【文献】特開2014-024416(JP,A)
【文献】特開2006-131067(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第116499664(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113656883(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 19/00
G01M 17/02
G06F 30/10
G06F 30/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転動状態のタイヤの温度をコンピュータがシミュレーションにより計算するタイヤシミュレーション方法であって、
(a)トレッドパターンを有するタイヤをモデル化した、前記トレッドパターンを形成する溝を有する3次元タイヤモデルと路面をモデル化した路面モデルとを用いて、タイヤの路面上を転動する転動状態をシミュレーションにより再現することにより、前記3次元タイヤモデルの各位置における転動変形及び発熱量をコンピュータが計算し、
(b)前記タイヤの熱解析を行うために、前記トレッドパターンの前記溝を埋めて前記タイヤをモデル化した2次元タイヤモデルの前記トレッドパターンに対応する部分に、前記トレッドパターンを構成するゴムの熱解析用材料定数及び熱解析用境界条件を前記転動変形の結果に基づいて調整した結果を前記コンピュータが付与し、さらに、前記コンピュータが、前記3次元タイヤモデルのタイヤ周上の各位置における前記発熱量の値から前記転動変形の結果に基づいて、前記2次元タイヤモデルの前記トレッドパターンに対応する部分の各位置に付与する発熱量の値を位置毎に1つ設定し、
(c)前記コンピュータが、調整した前記熱解析用材料定数及び熱解析用境界条件と、設定した前記発熱量の値とが付与された前記2次元タイヤモデルを用いて前記熱解析を行うことにより、転動状態の前記タイヤの温度を計算する、
ことを特徴とするタイヤシミュレーション方法。
【請求項2】
前記3次元タイヤモデルのタイヤ径方向及びタイヤ幅方向に平行な参照フレーム面を前記3次元タイヤモデルに対してタイヤ周方向に沿って相対的に移動させることにより、あるいは、前記路面モデルに対して前記タイヤ周方向に沿って相対的に移動させることにより、前記参照フレーム面を横切る、転動変形した前記3次元タイヤモデルが前記溝を有する部分か否かに関する情報をタイヤ周方向の各位置で集めた周方向溝情報を取得し、前記周方向溝情報を前記転動変形の結果の1つとして用いて、前記熱解析用材料定数及び前記熱解析用境界条件を調整し前記発熱量の値を設定する、請求項1に記載のタイヤシミュレーション方法。
【請求項3】
前記熱解析用材料定数は、前記2次元タイヤモデルの前記トレッドパターンに対応する部分が外気及び前記路面モデルに放熱する熱伝達率を含み、
前記3次元タイヤモデルのタイヤ径方向及びタイヤ幅方向に平行な参照フレーム面を前記3次元タイヤモデルに対してタイヤ周方向に沿って相対的に移動させることにより、あるいは、前記路面モデルに対して前記タイヤ周方向に沿って相対的に移動させることにより、前記参照フレーム面を横切る、転動変形をした前記3次元タイヤモデルが前記路面モデルと接地する部分か否かに関する情報をタイヤ周方向の各位置で集めた周方向接地情報を取得し、前記周方向接地情報を前記転動変形の結果の1つとして用いて、前記熱伝達率を調整する、請求項1または2に記載のタイヤシミュレーション方法。
【請求項4】
前記3次元タイヤモデルを用いた前記転動変形の計算では、前記3次元タイヤモデルを、前記路面モデルに接地させて転動させ、前記参照フレーム面は前記3次元タイヤモデルの回転中心軸に対して固定されるように配置される、請求項2または3に記載のタイヤシミュレーション方法。
【請求項5】
前記3次元タイヤモデルを用いた前記転動変形の計算では、前記3次元タイヤモデルを、前記路面モデルに接地させて転動させ、前記参照フレーム面は前記3次元タイヤモデルとともに一体的に回転する、請求項2または3に記載のタイヤシミュレーション方法。
【請求項6】
前記3次元タイヤモデルを用いた前記転動変形の計算では、前記3次元タイヤモデルを、前記路面モデルに接地させて非転動とし、前記参照フレーム面は、前記3次元タイヤモデルに対してタイヤ周方向に沿って移動する、請求項2または3に記載のタイヤシミュレーション方法。
【請求項7】
前記熱解析用材料定数の調整に用いる前記転動変形の結果は、前記トレッドパターン上のタイヤ周方向の異なる位置における前記転動変形の情報を平均処理した情報である、請求項1~6のいずれか1項に記載のタイヤシミュレーション方法。
【請求項8】
前記3次元タイヤモデルの、少なくとも前記トレッドパターンを有する部分に粘弾性特性の材料特性が付与され、前記粘弾性特性による発熱に基づいて、前記発熱量を計算する、請求項1~7のいずれか1項に記載のタイヤシミュレーション方法。
【請求項9】
前記粘弾性特性は、粘性及び弾性の温度依存性、変形速度依存性、及び変形量依存性を含む、請求項8に記載のタイヤシミュレーション方法。
【請求項10】
(d)前記熱解析で得られた前記2次元タイヤモデルの温度を、前記3次元タイヤモデルに付与して、前記(a)~(c)を繰り返すことにより、前記タイヤの温度の時間変化を計算する、請求項1~9のいずれか1項に記載のタイヤシミュレーション方法。
【請求項11】
前記3次元タイヤモデルを用いた前記転動状態の前記シミュレーションにおいて、各位置におけるエネルギ損失量、あるいは、前記3次元タイヤモデルの回転中心軸に作用する前後力から転がり抵抗を計算する、請求項1~10のいずれか1項に記載のタイヤシミュレーション方法。
【請求項12】
転動状態のタイヤの温度を、シミュレーションによりコンピュータに計算させるプログラムであって、
(e)トレッドパターンを有するタイヤをモデル化した、前記トレッドパターンを形成する溝を有する3次元タイヤモデルと路面をモデル化した路面モデルとを用いて、タイヤの路面上を転動する転動状態をシミュレーションによりコンピュータに再現させることにより、前記3次元タイヤモデルの各位置における転動変形及び発熱量を前記コンピュータに計算させる手順と、
(f)前記タイヤの熱解析を行うために、前記トレッドパターンの前記溝を埋めて前記タイヤをモデル化した2次元タイヤモデルの前記トレッドパターンに対応する部分に、前記トレッドパターンを構成するゴムの熱解析用材料定数及び熱解析用境界条件を前記転動変形の結果に基づいて調整した結果を前記コンピュータに付与させ、さらに、前記3次元タイヤモデルの各位置における前記発熱量の値から前記転動変形の結果に基づいて、前記2次元タイヤモデルの前記トレッドパターンに対応する部分の各位置に付与する発熱量の値を位置毎に1つ前記コンピュータに設定させる手順と、
(g)調整した前記熱解析用材料定数及び熱解析用境界条件と、設定した前記発熱量の値とが付与された前記2次元タイヤモデルを用いて前記コンピュータに前記熱解析を行わせることにより、転動状態の前記タイヤの温度を前記コンピュータに計算させる手順と、
を備えることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
転動状態のタイヤの温度をシミュレーションにより計算するタイヤシミュレーション装置であって、
トレッドパターンを有するタイヤをモデル化した、前記トレッドパターンを形成する溝を有する3次元タイヤモデルと路面をモデル化した路面モデルとを用いて、タイヤの路面上を転動する転動状態をシミュレーションにより再現する転動状態シミュレーション部と、
前記シミュレーションにより、前記3次元タイヤモデルの各位置における転動変形及び発熱量を計算するシミュレーション結果計算部と、
前記タイヤの熱解析を行うために、前記トレッドパターンの前記溝を埋めて前記タイヤをモデル化した2次元タイヤモデルの前記トレッドパターンに対応する部分に、前記トレッドパターンを構成するゴムの熱解析用材料定数及び熱解析用境界条件を前記転動変形の結果に基づいて調整した結果を付与し、さらに、前記3次元タイヤモデルの各位置における前記発熱量の値から前記転動変形の結果に基づいて、前記2次元タイヤモデルの前記トレッドパターンに対応する部分の各位置に付与する発熱量の値を位置毎に1つ設定するパラメータ調整部と、
調整した前記熱解析用材料定数及び熱解析用境界条件と、設定した前記発熱量の値とが付与された前記2次元タイヤモデルを用いて前記熱解析を行うことにより、転動状態の前記タイヤの温度を計算する熱解析シミュレーション部と、
を備えることを特徴とするタイヤシミュレーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転動状態のタイヤの温度をコンピュータがシミュレーションにより計算するタイヤシミュレーション方法、タイヤシミュレーション装置、及び、転動状態のタイヤの温度を、シミュレーションによりコンピュータに計算させるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
検討タイヤのタイヤ性能を、タイヤを試作することなく予測評価するために、タイヤのシミュレーションがコンピュータを用いて行われる。例えば、有限要素法を利用したシミュレーションが頻繁に行われる。
例えば、検討タイヤを有限要素法によりモデル化したタイヤモデルに内圧充填処理をし、路面モデルに設定した負荷荷重で接地させる処理をし、さらに、タイヤモデルを転動させる処理を行う。
【0003】
タイヤは転動することにより発熱する一方、タイヤは外気に放熱して、発熱量と放熱量が釣り合った状態で一定の温度になる。転動中のタイヤの温度は、ゴムの粘弾性特性に影響を与え、タイヤ性能に影響を与える。特に、トレッドゴムは、路面と接する部分であり、発熱量が多い。一方、トレッドゴムの表面には、タイヤ周方向に延びる周方向主溝及びタイヤ幅方向に延びるラグ溝が複数形成され、トレッドゴムからの放熱に寄与する。
【0004】
このようなタイヤにおいて、タイヤモデルの作成時間を短縮しつつ、横溝等の凹部の放熱性を考慮して温度計算が可能なタイヤモデルを用いてタイヤ走行時の温度を予測するシミュレーション方法が知られている(特許文献1)。
このシミュレーション方法に用いるタイヤモデルは、有限個の要素でモデル化したタイヤモデルである。このタイヤモデルの各要素に、それぞれ熱伝導率を定義し、タイヤモデルのゴム部分のうち、凹部以外の部分であった非凹部領域の要素に、第1熱伝導率を定義し、タイヤモデルのゴム部分のうち、前記凹部であった凹部領域の要素の少なくとも一部に、第1熱伝導率よりも大きい第2熱伝導率を定義する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記熱伝導率の値を2次元タイヤモデルに付与する場合、横溝の存在する凹部領域の要素と横溝の存在しない非凹部領域の要素との間で熱伝導率の値を異ならせ、凹部領域の要素に大きな値を付与するので、2次元タイヤモデルに横溝等の凹部が設定されなくても、凹部の放熱性を考慮して2次元タイヤモデルの放熱量を計算することができる、とされている。
しかし、上記シミュレーション方法では、横溝の存在する凹部領域の要素と横溝の存在しない非凹部領域の要素との間で熱伝導率の値をどのように調整するか、不明である。また、上記シミュレーション方法では、2次元タイヤモデルを用いて熱解析を行うが、このとき2次元タイヤモデルに付与する発熱量は、3次元タイヤモデルの各要素の発熱量のうち、熱解析をする3次元タイヤモデルのタイヤ周方向の指定した位置のタイヤ断面内の発熱量の分布である。したがって、タイヤ周方向の各位置におけるタイヤ断面内の発熱量の分布を2次元タイヤモデルに付与して熱解析を行うことにより、3次元タイヤモデルのタイヤ周方向の各位置におけるタイヤ断面内の温度分布を求めることができる。しかし、上記シミュレーション方法では、3次元タイヤモデルのタイヤ断面内の温度分布をタイヤ周方向の各位置において求めるには、多大な時間を必要とし、実用的ではない。
【0007】
そこで、本発明は、トレッドパターンを有する転動状態のタイヤの温度を短時間に効率よく計算することができるタイヤシミュレーション方法、タイヤシミュレーション装置、及び、コンピュータが実行可能なプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、転動状態のタイヤの温度をコンピュータがシミュレーションにより計算するタイヤシミュレーション方法である。当該タイヤシミュレーション方法は、
(a)トレッドパターンを有するタイヤをモデル化した、前記トレッドパターンを形成する溝を有する3次元タイヤモデルと路面をモデル化した路面モデルとを用いて、タイヤの路面上を転動する転動状態をシミュレーションにより再現することにより、前記3次元タイヤモデルの各位置における転動変形及び発熱量をコンピュータが計算し、
(b)前記タイヤの熱解析を行うために、前記トレッドパターンの前記溝を埋めて前記タイヤをモデル化した2次元タイヤモデルの前記トレッドパターンに対応する部分に、前記トレッドパターンを構成するゴムの熱解析用材料定数及び熱解析用境界条件を前記転動変形の結果に基づいて調整した結果を前記コンピュータが付与し、さらに、前記コンピュータが、前記3次元タイヤモデルのタイヤ周上の各位置における前記発熱量の値から前記転動変形の結果に基づいて、前記2次元タイヤモデルの前記トレッドパターンに対応する部分の各位置に付与する発熱量の値を位置毎に1つ設定し、
(c)前記コンピュータが、調整した前記熱解析用材料定数及び熱解析用境界条件と、設定した前記発熱量の値とが付与された前記2次元タイヤモデルを用いて前記熱解析を行うことにより、転動状態の前記タイヤの温度を計算する。
【0009】
前記3次元タイヤモデルのタイヤ径方向及びタイヤ幅方向に平行な参照フレーム面を前記3次元タイヤモデルに対してタイヤ周方向に沿って相対的に移動させることにより、あるいは、前記路面モデルに対して前記タイヤ周方向に沿って相対的に移動させることにより、前記参照フレーム面を横切る、転動変形した前記3次元タイヤモデルが前記溝を有する部分か否かに関する情報をタイヤ周方向の各位置で集めた周方向溝情報を取得し、前記周方向溝情報を前記転動変形の結果の1つとして用いて、前記熱解析用材料定数及び前記熱解析用境界条件を調整し前記発熱量の値を設定する、ことが好ましい。
【0010】
前記熱解析用材料定数は、前記2次元タイヤモデルの前記トレッドパターンに対応する部分が外気及び前記路面モデルに放熱する熱伝達率を含み、
前記3次元タイヤモデルのタイヤ径方向及びタイヤ幅方向に平行な参照フレーム面を前記3次元タイヤモデルに対してタイヤ周方向に沿って相対的に移動させることにより、あるいは、前記路面モデルに対して前記タイヤ周方向に沿って相対的に移動させることにより、前記参照フレーム面を横切る、転動変形をした前記3次元タイヤモデルが前記路面モデルと接地する部分か否かに関する情報をタイヤ周方向の各位置で集めた周方向接地情報を取得し、前記周方向接地情報を前記転動変形の結果の1つとして用いて、前記熱伝達率を調整する、ことが好ましい。
【0011】
前記3次元タイヤモデルを用いた前記転動変形の計算では、前記3次元タイヤモデルを、前記路面モデルに接地させて転動させ、前記参照フレーム面は前記3次元タイヤモデルの回転中心軸に対して固定されるように配置される、ことが好ましい。
【0012】
前記3次元タイヤモデルを用いた前記転動変形の計算では、前記3次元タイヤモデルを、前記路面モデルに接地させて転動させ、前記参照フレーム面は前記3次元タイヤモデルとともに一体的に回転する、ことも好ましい。
【0013】
前記3次元タイヤモデルを用いた前記転動変形の計算では、前記3次元タイヤモデルを、前記路面モデルに接地させて非転動とし、前記参照フレーム面は、前記3次元タイヤモデルに対してタイヤ周方向に沿って移動する、ことも好ましい。
【0014】
前記熱解析用材料定数の調整に用いる前記転動変形の結果は、前記トレッドパターン上のタイヤ周方向の異なる位置における前記転動変形の情報を平均処理した情報である、ことが好ましい。
【0015】
前記3次元タイヤモデルの、少なくとも前記トレッドパターンを有する部分に粘弾性特性の材料特性が付与され、前記粘弾性特性による発熱に基づいて、前記発熱量を計算する、ことが好ましい。
【0016】
前記粘弾性特性は、粘性及び弾性の温度依存性、変形速度依存性、及び変形量依存性を含む、ことが好ましい。
【0017】
前記タイヤシミュレーション方法では、さらに、
(d)前記熱解析で得られた前記2次元タイヤモデルの温度を、前記3次元タイヤモデルに付与して、前記(a)~(c)を繰り返すことにより、前記タイヤの温度の時間変化を計算する、ことが好ましい。
【0018】
前記3次元タイヤモデルを用いた前記転動状態の前記シミュレーションにおいて、各位置におけるエネルギ損失量、あるいは、前記3次元タイヤモデルの回転中心軸に作用する前後力から転がり抵抗を計算する、ことが好ましい。
【0019】
本発明の他の一態様は、転動状態のタイヤの温度を、シミュレーションによりコンピュータに計算させるプログラムである。前記プログラムは、
(e)トレッドパターンを有するタイヤをモデル化した、前記トレッドパターンを形成する溝を有する3次元タイヤモデルと路面をモデル化した路面モデルとを用いて、タイヤの路面上を転動する転動状態をシミュレーションによりコンピュータに再現させることにより、前記3次元タイヤモデルの各位置における転動変形及び発熱量を前記コンピュータに計算させる手順と、
(f)前記タイヤの熱解析を行うために、前記トレッドパターンの前記溝を埋めて前記タイヤをモデル化した2次元タイヤモデルの前記トレッドパターンに対応する部分に、前記トレッドパターンを構成するゴムの熱解析用材料定数及び熱解析用境界条件を前記転動変形の結果に基づいて調整した結果を前記コンピュータに付与させ、さらに、前記3次元タイヤモデルの各位置における前記発熱量の値から前記転動変形の結果に基づいて、前記2次元タイヤモデルの前記トレッドパターンに対応する部分の各位置に付与する発熱量の値を位置毎に1つ前記コンピュータに設定させる手順と、
(g)調整した前記熱解析用材料定数及び熱解析用境界条件と、設定した前記発熱量の値とが付与された前記2次元タイヤモデルを用いて前記コンピュータに前記熱解析を行わせることにより、転動状態の前記タイヤの温度を前記コンピュータに計算させる手順と、
を備える。
【0020】
本発明のさらに他の一態様は、転動状態のタイヤの温度をシミュレーションにより計算するタイヤシミュレーション装置である。当該タイヤシミュレーション装置は、
トレッドパターンを有するタイヤをモデル化した、前記トレッドパターンを形成する溝を有する3次元タイヤモデルと路面をモデル化した路面モデルとを用いて、タイヤの路面上を転動する転動状態をシミュレーションにより再現する転動状態シミュレーション部と、
前記シミュレーションにより、前記3次元タイヤモデルの各位置における転動変形及び発熱量を計算するシミュレーション結果計算部と、
前記タイヤの熱解析を行うために、前記トレッドパターンの前記溝を埋めて前記タイヤをモデル化した2次元タイヤモデルの前記トレッドパターンに対応する部分に、前記トレッドパターンを構成するゴムの熱解析用材料定数及び熱解析用境界条件を前記転動変形の結果に基づいて調整した結果を付与し、さらに、前記3次元タイヤモデルの各位置における前記発熱量の値から前記転動変形の結果に基づいて、前記2次元タイヤモデルの前記トレッドパターンに対応する部分の各位置に付与する発熱量の値を位置毎に1つ設定するパラメータ調整部と、
調整した前記熱解析用材料定数及び熱解析用境界条件と、設定した前記発熱量の値とが付与された前記2次元タイヤモデルを用いて前記熱解析を行うことにより、転動状態の前記タイヤの温度を計算する熱解析シミュレーション部と、
を備える。
【発明の効果】
【0021】
上述のタイヤシミュレーション方法、タイヤシミュレーション装置、及びプログラムによれば、トレッドパターンを有する転動状態のタイヤの温度を短時間に効率よく計算することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】一実施形態のタイヤのシミュレーション方法を実施するタイヤシミュレーション装置の機能ブロック図である。
【
図2】一実施形態のタイヤシミュレーション方法で用いる2次元タイヤモデルの一例を示す図である。
【
図3】一実施形態のタイヤシミュレーション方法で用いる3次元タイヤモデルの一例を示す図である。
【
図4】(a)は、
図3に示す3次元タイヤモデルが再現するタイヤのトレッドパターンの一例を示す図であり、(b)は、
図4(a)に示すトレッドパターンを再現した3次元タイヤモデルのトレッドパターンの一例を示す図である。
【
図5】一実施形態のタイヤシミュレーション方法のフローの一例を示す図である。
【
図6】一実施形態のタイヤシミュレーション方法で用いられる参照フレーム面を説明する図である。
【
図7】一実施形態のタイヤシミュレーション方法のフローの一例を示す図である。
【
図8】一実施形態のタイヤシミュレーション方法で得られるタイヤの転動開始後の温度の時間変化の一例を示す図である。
【
図9】一実施形態のタイヤシミュレーション方法で得られるタイヤの転がり抵抗の転動開始後の時間変化の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本実施形態のタイヤシミュレーション方法、タイヤシミュレーション装置、及びプログラについて詳細に説明する。
【0024】
(タイヤシミュレーション方法の概略説明)
本実施形態のタイヤシミュレーション方法では、トレッドパターンを形成する溝を有する3次元タイヤモデルを用いてタイヤの変形解析を行うことにより、3次元タイヤモデルにおける転動変形及び発熱量を計算する。一方、タイヤの温度を計算するために、上記タイヤの2次元タイヤモデルを用いて熱解析を行う。2次元タイヤモデルは、トレッドパターンの溝を埋めてタイヤをモデル化したものであり、タイヤ回転軸を対称軸とする軸対称モデルである。
【0025】
2次元タイヤモデル熱解析を行うときにパラメータとして用いる熱伝導解析用材料定数及び熱伝導解析用境界条件は、3次元タイヤモデルの転動変形の計算結果に基づいて調整される。さらに、2次元タイヤモデルのトレッドパターンに対応する部分の各位置に付与する発熱量の値については、3次元タイヤモデルから算出されたタイヤ周上の各位置における発熱量から、3次元タイヤモデルの転動変形の計算結果に基づいて、上記位置毎に1つの値が設定される。
ここで、熱伝導解析用材料定数は、例えば、トレッドパターンを構成するゴムの熱伝導率、比熱、及び密度を少なくとも含み、熱伝導解析用境界条件は、例えば、トレッドパターンを構成するゴムとこのゴムに接する外部雰囲気(外気)との間の熱伝達率及び外部雰囲気の温度を少なくとも含む。
【0026】
熱伝導解析用境界条件の一例である熱伝達率の調整では、例えば、3次元タイヤモデルの子午断面(タイヤ回転軸を含む、タイヤ径方向及びタイヤ幅方向に平行な面)におけるトレッドパターンの表面の位置毎に(3次元タイヤモデルが有限要素法のモデルである場合、要素毎に)、路面モデルと接地する接地部分と、外部雰囲気と接する非接地部分とのタイヤ周方向に沿った長さの比率を、3次元タイヤモデルの転動変形の計算結果から計算し、この比率を例えば重みづけとして、接地部分における熱伝達率と非接地部分における熱伝達率の重みづけ平均を行った結果を、2次元タイヤモデルの該当する位置(該当する要素)の熱伝達率として調整する。
【0027】
また、3次元タイヤモデルの転動変形から計算される発熱量は、3次元タイヤモデルのトレッドパターンのうちのゴムがある部分の発熱量であり、溝に対応する部分の発熱量は計算されない。一方、2次元タイヤモデルには溝が設けられていないので、この2次元タイヤモデルのトレッドパターンに対応する位置には、3次元タイヤモデルにおいて溝のある部分(以降、溝部分という)と溝のない部分(以降、非溝部分という)がある。このため、2次元タイヤモデルのトレッドパターンに対応する位置に付与する発熱量の値は、非溝部分と溝部分とを考慮して設定されなければならない。したがって、本実施形態では、2次元タイヤモデルにおいてトレッドパターンに対応する部分の各位置に付与する1つの発熱量の値は、3次元タイヤモデルのタイヤ周上のトレッドパターンを構成する部分の各位置における発熱量の値から転動変形の結果に基づいて設定される。例えば、3次元タイヤモデルが路面モデルと接地する接地部分では大きな変形を受けて発熱量が多く、非接地部分では発熱量が小さく、溝部分ではゴムがないので常に発熱量は0である。このため、2次元タイヤモデルのトレッドパターンを構成する部分に対応する各位置に付与する発熱量は、溝部分の発熱量は0として、この位置におけるタイヤ一周したときの溝部分と非溝部分のタイヤ周方向に沿った長さの比率を重みづけとして発熱量の重みづけ平均をしたものを用いる。このときの溝部分と非溝部分のタイヤ周方向に沿った長さの比率は、3次元タイヤモデルで計算された転動変形の結果の1つである。タイヤは路面に接地して転動することにより、接地面内ではタイヤ周方向に収縮し、特にラグ溝は潰れることから、負荷荷重及び転動速度の条件によって、溝部分と非溝部分のタイヤ周方向に沿った長さの比率は変化する。特に、上記比率は、無負荷、非転動状態における上記比率から大きく変化する。本実施形態では、負荷荷重及び転動速度によって変化する上記比率を3次元タイヤモデルから求めることができるので、精度の高い熱解析の結果を得ることができる。
また、2次元モデルで用いる材料定数である熱伝導率、比熱、及び密度も、転動変形した3次元タイヤモデル溝の部分と非溝の部分のタイヤ周方向に沿った長さの比率に応じて調整される。
【0028】
このようにタイヤシミュレーション方法では、溝の無い2次元タイヤモデルを用いて熱解析を行うとき、溝のある3次元タイヤモデルの転動変形した結果に基づいて熱解析用材料定数、熱解析用境界条件を調整し、その調整結果を付与し、さらに、溝のある3次元タイヤモデルの転動変形した結果に基づいて発熱量の値を設定して2次元タイヤモデルに付与するので、トレッドパターンを有する転動状態のタイヤの温度を短時間に効率よく計算することができるとともに、3次元タイヤモデルを用いて熱解析シミュレーションをした場合と同程度の精度を維持することができる。
【0029】
(タイヤシミュレーション方法及びタイヤシミュレーション装置の具体的説明)
図1は、一実施形態のタイヤのシミュレーション方法を実施するタイヤシミュレーション装置10の機能ブロック図である。
【0030】
タイヤシミュレーション装置10は、CPU12,RAM14、及びROM16を備え、マウス・ディスプレイの入力操作デバイス18及びディスプレイ20が接続されたコンピュータで構成される。ROM16には、コンピュータプログラムが記憶されており、CPU12がこのコンピュータプログラムを呼び出して起動することにより、タイヤシミュレーション方法を実施することができるように構成される。具体的には、コンピュータプログラムを起動することにより、モデル作成部22、転動状態シミュレーション部24、熱解析シミュレーション部26、シミュレーション結果演算部28、及びパラメータ調整部30がソフトウェアモジュール32として形成される。したがって、モデル作成部22、転動状態シミュレーション部24、熱解析シミュレーション部26、シミュレーション結果演算部28、及びパラメータ調整部30の動作は、実質的にCPU12が司る。
RAM14には、モデル作成部22、転動状態シミュレーション部24、熱解析シミュレーション部26、シミュレーション結果演算部28、及びパラメータ調整部30で計算された演算結果及び計算途中データが一時的に記憶される。
【0031】
なお、以下の説明では、2次元タイヤモデル及び3次元タイヤモデルは、有限要素法に基づいて作成され、転動状態を再現した転動状態シミュレーション及び熱解析シミュレーションは有限要素法を用いて行われるが、有限要素法を用いる代わりに、有限体積法、差分法、境界要素法等用いてもよい。
【0032】
図2は、一実施形態のタイヤシミュレーション方法で用いる2次元タイヤモデルの一例を示す図であり、
図3は、一実施形態のタイヤシミュレーション方法で用いる3次元タイヤモデルの一例を示す図である。
図4(a)は、
図3に示す3次元タイヤモデルが再現するタイヤのトレッドパターンの一例を示す図であり、
図4(b)は、
図4(a)に示すトレッドパターンを再現した3次元タイヤモデルのトレッドパターンの一例を示す図である。
【0033】
モデル作成部22は、2次元タイヤモデル及び3次元タイヤモデルを作成する部分である。
図2に示す2次元タイヤモデル40は、タイヤプロフィル断面をメッシュ分割して複数の要素及び節点を作成したものである。節点の2次元座標系上の位置座標はモデル情報として定められる。2次元タイヤモデル40は、熱解析シミュレーションを行うとき、タイヤ回転軸周りに対称性を有する軸対称モデルとして扱われる。
2次元タイヤモデル40には、
図3に示す3次元タイヤモデル50のようなトレッドパターンが設けられていないモデルである。すなわち、2次元タイヤモデル40は、3次元タイヤモデルにおけるトレッドパターンが構成する溝を埋めたモデルである。したがって、2次元タイヤモデル40におけるトレッドパターンの溝に対応する部分にも、要素が存在する。
2次元タイヤモデル40は、熱解析を行うためのモデルであるため、各要素には、熱解析用材料定数として熱伝導率、比熱、及び密度が付与される。さらに、熱解析用境界条件として、外部雰囲気と接するトレッドパターンの表面、及び空気が所定圧力充填されるタイヤ空洞領域の内部雰囲気と接する2次元タイヤモデル40の内側の内表面を構成する各要素に、熱を放射するときの熱伝達率が付与され、さらに、外部雰囲気及び内部雰囲気の温度が付与される。
【0034】
3次元タイヤモデル50は、
図3及び
図4(b)に示すように、トレッドパターンを有するタイヤをモデル化した、メッシュ分割により複数の要素と節点を有する立体形状のモデルであり、トレッドパターンを形成する溝を有する。節点の3次元座標系上の位置座標が、モデル情報として定められる。3次元タイヤモデル50は、路面モデル60に接地した転動状態を再現するモデルであるため、各要素には、材料定数として密度、力学特性を表す弾性特性(ヤング率、せん断剛性)あるいは粘弾性特性が付与される。
【0035】
3次元タイヤモデル50は、転動状態シミュレーションを行い、タイヤの転動変形および発熱量を計算するので、タイヤのゴムに対応する部分の要素の材料定数には粘弾性特性が付与されていることが好ましい。この場合、粘弾性特性を付与する要素は、3次元タイヤモデル50のゴムに対応する部分の全要素でなくてもよく、例えば、発熱量が大きいトレッドゴム及びサイドゴムに対応する部分の要素に限定してもよい。なお、タイヤのゴムに対応する部分の要素には、粘弾性特性が付与されず、弾性特性が付与されてもよい。この場合、各要素における発熱量の計算は、各要素に作用するタイヤ一回転するときの歪と応力の時間変化の情報と、各ゴムの粘弾特性とを利用して、各要素の発熱量を計算することができる。粘弾性特性は、粘性及び弾性の温度依存性、変形速度依存性、及び変形量依存性を含む、ことが好ましい。上記変形速度依存性及び上記変形量依存性は、例えば、再表2017/077735号に記載されるスイッチング関数を用いて切り替え可能な複数のネットワーク要素で粘弾性特性を表すことにより実現される。具体的には、複数のネットワーク要素の少なくとも2つのネットワーク要素は大きさの異なる少なくとも2つの力学変形を再現した特性を備え、また、少なくとも1つのネットワーク要素は、粘性歪みの時間緩和を表す粘性歪みの発展式を用いて表された特性を備えるように、複数のネットワーク要素は構成される。
【0036】
なお、3次元タイヤモデル50を作成するとき、モデル作成部22は、タイヤの転動状態を再現するために路面を再現した路面モデル60(
図3参照)を作成する。路面モデル60は、要素で構成されたモデルではなく、
図3に示すように剛体平面のモデルである。路面モデル60は、3次元タイヤモデル50を転動させるとき3次元タイヤモデル50がシミュレーション空間上の位置を転動に伴って前方に移動しないように転動に伴って、路面モデル60は後方に移動するように構成される。
このようなモデルの作成は、例えば、ディスプレイ20に表示されたモデル作成入力画面を見ながらオペレータが入力操作デバイス18を用いて入力することにより行われる。また、ROM16に予め記憶されたモデルを用いて2次元タイヤモデル40、3次元タイヤモデル50、及び路面モデル60を作成してもよい。モデル作成部22は、このようなモデルを作成する。
【0037】
転動状態シミュレーション部24は、作成した3次元タイヤモデル50と路面モデル60を用いて空気を所定の圧力で充填したタイヤを路面に所定の負荷荷重で接地させることにより転動状態を再現した転動状態シミュレーションを行う。空気圧、負荷荷重、回転速度は、あらかじめ設定された値であり、あるいは、入力操作デバイス18からオペレータにより入力される。
一実施形態によれば、路面モデル60に所定の負荷荷重で接地した3次元タイヤモデル50を路面モデル60上で所定の回転速度で転動させて転動処理を行うことにより、3次元タイヤモデル50の転動状態を再現する。
タイヤが回転するときの変形に比べてタイヤが路面に接地するときの変形が大きいことを考慮して、別の一実施形態では、路面モデル60に所定の負荷荷重で接地した3次元タイヤモデル50の変形状態を、簡易的に転動状態とみなしてもよい。すなわち、3次元タイヤモデル50に転動処理をせずに、3次元タイヤモデル50を路面モデル60に接地させた状態を転動状態とみなしてもよい。
このシミュレーションは、例えばAbaqusやLS-DYNA等の市販のソフトウェアプログラムを用いて行うことができる。
【0038】
シミュレーション結果演算部28は、転動状態シミュレーションにより、3次元タイヤモデル50の各位置における転動変形及び発熱量を計算する部分である。転動変形の計算は、3次元タイヤモデル50のトレッドパターンの各要素上の節点の位置座標を求めることを含む。発熱量の計算では、3次元タイヤモデル50の要素に上述した粘弾性特性が材料定数として付与されている場合、3次元タイヤモデル50のタイヤ1回転によって粘弾性特性で生じるエネルギ損失量を計算することにより発熱量を計算する。すなわち、3次元タイヤモデルに付与される粘弾性特性による発熱に基づいて、発熱量を計算する。
また、3次元タイヤモデル50の要素に上述した弾性特性のみが材料定数として付与されている場合、3次元タイヤモデル50のタイヤ1回転中の各要素に生じる歪と応力の時系列データを計算し、この時系列データと各要素に対応するゴムの粘弾性特性とを用いてエネルギ損失量を計算することによりタイヤ1回転中の各要素の発熱量を計算する。3次元タイヤモデル50の転動変形の結果はディスプレイ20に表示される。
【0039】
パラメータ調整部30は、タイヤの熱解析を行うために、2次元タイヤモデル40のトレッドパターンに対応する部分に、トレッドパターンを構成するゴムの熱解析用材料定数及び熱解析用境界条件を、転動変形の結果に基づいて調整した結果を付与する部分である。パラメータ調整部30は、さらに、3次元タイヤモデル50の各位置における発熱量の値から転動変形の結果に基づいて2次元タイヤモデル40の各要素に付与する発熱量の値を要素ごとに1つ設定する。
【0040】
3次元タイヤモデル50は、
図3及び
図4(b)に示すように、タイヤ周方向に一周する周方向主溝の他に、タイヤ幅方向に平行にあるいはタイヤ幅方向に対して傾斜して延びるラグ溝が設けられている。このため、2次元タイヤモデル40のトレッドパターンに対応する部分の各要素は、3次元タイヤモデル40のタイヤ周方向の位置によって溝部分となる場合と、非溝部分となる場合がある。タイヤ一周したときの上記溝部分と非溝部分のタイヤ周方向に沿った長さの比率は、2次元タイヤモデル40のトレッドパターンに対応する部分の各要素によって異なる。例えば、
図2に示す要素40Aは、
図4(a)に示すタイヤ幅方向の位置Xの部分であり、この部分には、タイヤ幅方向に沿って延びるラグ溝が間隔をあけて横切る。しかも、このラグ溝は、転動変形によって溝幅が狭くなりやすい。このため、パラメータ調整部30は、要素40Aについて、溝部分と非溝部分のタイヤ周方向に沿った長さの比率を、3次元タイヤモデル50における転動変形した形状から求める。パラメータ調整部30は、さらに、2次元タイヤモデル40における要素40Aと異なる要素についても同様の方法で、溝部分と非溝部分のタイヤ周方向に沿った長さの比率を求める。このため、2次元タイヤモデル40を用いて熱解析を行う場合に用いる熱解析用材料定数(例えば、熱伝導率、比熱、密度)の少なくとも1つは、上記比率によって調整される。溝部分と非溝部分のタイヤ周方向に沿って長さの比率は、転動変形のない3次元タイヤモデル50と、転動変形した3次元タイヤモデル50との間では変化する。このため、パラメータ調整部30は、3次元タイヤモデル50の転動変形の結果に基づいて熱解析用材料定数を調整する。一方、2次元タイヤモデル40のトレッドパターンに対応する部分の各要素(例えば要素40A)は、路面モデル60と接地する接地部分と接地しない非接地部分とを含む。接地部分は、路面モデル60と接するので、外部雰囲気と接する非接地部分に比べて熱伝達率が高く、接地部分が接する対象(路面モデル60)の温度も非接地部分が接する対象(外部雰囲気)の温度と異なる。このため、2次元タイヤモデル40のトレッドパターンの表面に対応する部分の各要素に付与する熱伝達率、及び熱伝達する対象の温度も、接地部分と非接地部分のタイヤ周方向に沿って長さの比率に応じて調整される。
【0041】
さらに、熱解析のために2次元タイヤモデル40の各要素に付与する発熱量の値は、3次元タイヤモデル50で計算した各要素の発熱量から設定される。3次元タイヤモデル50で計算する発熱量は、要素がある部分に限られ、溝の部分の発熱量は計算されない。このため、2次元タイヤモデル40のトレッドパターンに対応する部分の各要素に付与する発熱量の値は、3次元タイヤモデル50の溝部分の発熱量と非溝部分の発熱量0とを考慮して設定されなければならない。このため、パラメータ調整部30は、3次元タイヤモデル50の各位置における発熱量の値から転動変形の結果に基づいて1つの発熱量の値を設定する。この転動変形の結果の1つとして上記溝部分と非溝部分のタイヤ周方向に沿って長さの比率が用いられる。一例として、2次元タイヤモデル40の各要素に付与する発熱量の1つの値は、上記要素に対応する3次元タイヤモデル50の位置のタイヤ周上の各要素における発熱量の平均値を算出し、この平均値に、溝部分のタイヤ周方向の長さ/タイヤ周方向の一周の長さを掛け算することにより得られた値である。
【0042】
熱解析シミュレーション部26は、調整された熱解析用材料定数及び熱解析用境界条件と設定された発熱量を2次元タイヤモデル40に付与して、熱解析を行い2次元タイヤモデル40における各要素の温度を計算する。熱解析シミュレーション部26は、転動変形をしていない2次元タイヤモデル40を用いて熱解析シミュレーションを行う。
この場合、外部雰囲気の温度、タイヤ空洞領域の内部雰囲気の温度、及び、路面の温度が設定される。一実施形態によれば、精度良く温度を算出するために、リムと接触するビード領域にも熱解析用境界条件を設定することが好ましい。
熱解析シミュレーションは、例えばAbaqusやLS-DYNA等の市販のソフトウェアプログラムを用いて行うことができる。熱解析シミュレーションの結果は、ディスプレイ20に表示される。
【0043】
図5は、一実施形態のタイヤシミュレーション方法のフローの一例を示す図である。
タイヤシミュレーション装置10のモデル作成部22は、
図2~4に示す2次元タイヤモデル40及び3次元タイヤモデル50を作成する(ステップST10)。
次に、転動状態シミュレーション部24は、入力操作デバイス18等により入力された空気圧、負荷荷重、及び転動速度の条件で、転動状態シミュレーションを行う(ステップST12)。
シミュレーション結果演算部28は、転動状態シミュレーションで変形した3次元タイヤモデル50の各位置における転動変形及び発熱量を計算し、転動変形及び発熱量の情報を取得する(ステップST14)。転動変形の結果は、例えば、3次元タイヤモデル50をタイヤ径方向及びタイヤ幅方向に平行な平面で切断した子午断面におけるトレッドパターンに対応する部分の要素が、転動変形した溝部分か、非溝部分かに関するタイヤ周方向の各位置(タイヤ周方向に沿って一定の距離毎に離間した各位置)の情報、及び、接地部分か、非接地部分かに関するタイヤ周方向の各位置(タイヤ周方向に沿って一定の距離毎に離間した位置)の情報である。発熱量は、3次元タイヤモデル50の各要素におけるタイヤ一回転で生じる発熱量である。
【0044】
次に、パラメータ調整部30は、タイヤの熱解析を行うために、2次元タイヤモデル40のトレッドパターンに対応する部分の要素に、トレッドパターンを構成するゴムの熱解析用材料定数及び熱解析用境界条件を、転動変形の結果に基づいて調整し、さらに、3次元タイヤモデル50の各位置における発熱量の値から転動変形の結果に基づいて1つの発熱量の値を設定する(ステップST16)。
【0045】
一実施形態によれば、転動変形の結果は、3次元タイヤモデル50の子午断面におけるトレッドパターンに対応する部分の各位置が溝部分か、非溝部分かに関するタイヤ周方向の各位置における周方向溝情報を含む。また、一実施形態によれば、3次元タイヤモデル50の子午断面におけるトレッドパターンに対応する部分の各位置(要素)が接地部分か、非接地部分かに関するタイヤ周方向の各位置における周方向接地情報を含む。
これにより、熱解析用材料定数の例である熱伝導率、比熱及び密度は、タイヤ一周したときの非溝部分と溝部分のタイヤ周方向に沿った長さの比率によって、調整される。また、熱解析用境界条件の例である熱伝達率及び外部雰囲気の温度は、タイヤ一周したときの非接地部分と接地部分のタイヤ周方向に沿った長さの比率によって調整される。さらに、3次元タイヤモデル50のタイヤ子午断面のトレッドパターンに対応する部分の位置において、タイヤ周方向の各位置で発生する発熱量の情報から、タイヤ一周したときの溝部分と非溝部分のタイヤ周方向に沿った長さの比率に基づいて2次元タイヤモデル40のトレッドパターンに対応する部分の各要素(例えば要素40A)に付与する発熱量の値が1つ設定される。
さらに、2次元タイヤモデル40を用いて熱解析シミュレーションを行うための他の熱解析用材料定数及び熱解析用境界条件が付与される。
【0046】
最後に、熱解析シミュレーション部26は、調整された熱解析用材料定数及び熱解析用境界条件と設定された発熱量を2次元タイヤモデル40に付与して、熱解析を行い2次元タイヤモデル40における各要素の温度を計算し取得する(ステップST20)。
【0047】
このように、タイヤシミュレーション装置10では、転動変形状態を再現した3次元タイヤモデル50の転動変形の結果に基づいて、2次元タイヤモデル40に付与する熱解析用材料定数及び熱解析用境界条件を調整し、さらに発熱量の値を設定して、2次元タイヤモデル40を用いて熱解析シミュレーションを行うので、トレッドパターンを有する転動状態のタイヤの温度を短時間に効率よく計算することができるとともに、3次元タイヤモデル50を用いて熱解析シミュレーションをした場合と同程度の精度を維持することができる。
【0048】
図6は、一実施形態のタイヤシミュレーション方法で用いられる参照フレーム面を説明する図である。
一実施形態によれば、
図6に示すような3次元タイヤモデル50のタイヤ径方向及びタイヤ幅方向に平行な参照フレーム面52を用いて転動変形の結果の情報を得ることが好ましい。参照フレーム面52は、3次元タイヤモデル50に対してタイヤ周方向に沿って相対的に移動させる、あるいは、路面モデル60に対してタイヤ周方向に沿って相対的に移動させるように構成される。この場合、参照フレーム面52が相対的に移動することにより、参照フレーム面52を横切る、転動変形をした3次元タイヤモデル50の部分が溝を有する部分か否かに関する情報をタイヤ周方向の各位置で集めた周方向溝情報を取得することができる。この周方向溝情報は、転動変形の結果の1つとして、熱解析用材料定数の調整に用いることが好ましい。参照フレーム面52は
図6に示す例では1つであるが、複数であってもよい。この場合、複数の参照フレーム面52は、所定の間隔をあけて配置され、複数の参照フレーム面52は、タイヤ周方向に沿って同じ速度で相対移動することが好ましい。
【0049】
また、熱解析用材料定数は、2次元タイヤモデル40のトレッドパターンに対応する部分が外部雰囲気(外気)及び路面モデル60に放熱する熱伝達率を含む場合、一実施形態によれば、参照フレーム面52が相対的に移動することにより、参照フレーム面52を横切る、転動変形をした3次元タイヤモデル50の部分が路面モデル60と接地する接地部分か否かに関する情報をタイヤ周方向の各位置において集めた周方向接地情報を取得し、この周方向接地情報を転動変形の結果の1つとして、熱解析用境界条件の調整に、あるいは2次元タイヤモデル40の各要素に付与する発熱量の値の設定に用いることが好ましい。
参照フレーム52を用いることにより、3次元タイヤモデル50が参照フレーム52を横切る部分が、タイヤ周上の溝部分であるかあるいは非溝部分であるかに関する情報、及び接地部分であるかあるいは非接地部分であるかに関する情報を容易に得ることができ、熱解析用材料定数、熱解析用境界条件の調整及び発熱量の値の設定を効率よく行うことができる。
【0050】
一実施形態によれば、3次元タイヤモデル50を用いたタイヤの転動変形の計算では、3次元タイヤモデル50を、路面モデル60に接地させて転動させる場合、参照フレーム面52は3次元タイヤモデル50の回転中心軸に対して固定されるように配置してもよい。3次元タイヤモデル50を転動させる場合、3次元タイヤモデル50の転動速度に合わせた速度で路面モデル60が後方に移動するように構成されるので、3次元タイヤモデル50は、シミュレーション空間内で前方にも後方にも移動しない。このため、参照フレーム面52は3次元タイヤモデル50の回転中心軸に対して固定されるように配置される、あるいは、シミュレーション空間に固定される。これにより、3次元タイヤモデル50の転動により3次元タイヤモデル50は、参照フレーム面52を回転しながら横切るので、参照フレーム面52をシミュレーション空間内に、3次元タイヤモデル50のタイヤ周方向の異なる位置に多数配置することにより、タイヤ周方向の各位置を横切る3次元タイヤモデル50の各要素の転動変形の情報を効率良く得ることができる。
【0051】
また、一実施形態によれば、3次元タイヤモデル50を用いた転動変形の計算では、3次元タイヤモデル50を、路面モデル60に接地させて転動させ、参照フレーム面52は3次元タイヤモデル50とともに一体的に回転させてもよい。これにより、タイヤ周方向に沿った3次元タイヤモデル50の転動変形の情報を非接地部分及び接地部分の区別なく容易に時系列のデータとして取得することができる。なお、3次元タイヤモデル50の転動変形は、3次元タイヤモデル50のトレッドパターンのタイヤ周方向の位置によって異なる場合がある。例えば、トレッドパターンにピッチバリエーションが施されていて、長いピッチの部分と短いピッチの部分とでは、タイヤ周方向の同じ位置において転動変形は異なる場合がある。このため、参照フレーム面52は、3次元タイヤモデル50のトレッドパターンのタイヤ周方向の異なる複数個所の位置に固定して3次元タイヤモデル50の転動変形の情報を取得することが好ましい。接地部分か否かに関する周方向接地情報を用いて、接地部分と非接地部分のタイヤ周方向に沿った長さの比率を求める場合、周方向接地情報は、複数箇所それぞれの転動変形の情報に基づいて上記比率を求め、求めた複数箇所の比率を平均したものを、熱解析用境界条件の調整に用いることが好ましい。すなわち、転動変形は、トレッドパターン上のタイヤ周方向の異なる位置の間で異なる場合(例えば、トレッドパターンにピッチバリエーション等を施している場合)、熱解析用材料定数の調整に用いる転動変形の結果は、異なる位置における転動変形の情報を平均処理した情報であることが好ましい。
【0052】
また、一実施形態によれば、路面モデル60に接地するときに3次元タイヤモデル50が変形する量は、転動により変形する量に比べて大きいので、3次元タイヤモデル50を用いた転動変形の計算では、3次元タイヤモデル50を、路面モデル60に接地させて非転動としたときの変形の結果を転動変形の結果として得てもよい。この場合、参照フレーム面52は、3次元タイヤモデル50に対してタイヤ周方向に沿って移動することが好ましい。これにより、3次元タイヤモデル50における転動変形の情報を効率よく求めることができる。
【0053】
図7は、一実施形態のタイヤシミュレーション方法のフローの一例を示す図である。
図7では、
図5に示すフローにおけるステップと同じステップは、ST10のように同じ符号で示している。
【0054】
まず、モデル作成部22は、
図2~4に示す2次元タイヤモデル40及び3次元タイヤモデル50を作成する(ステップST10)。
次に、転動状態シミュレーション部24は、入力操作デバイス18等により入力された空気圧、負荷荷重、及び転動速度の条件に加えて、3次元タイヤモデルに与える初期温度を設定する(ステップST11)。初期温度の設定は、例えば、オペレータによる入力操作デバイス18より入力されたものが設定される。
設定された条件が3次元タイヤモデル50に付与されて、転動シミュレーションが行われる(ステップST12)。この場合、3次元タイヤモデル50のゴムに対応する要素に粘弾性特性が付与されている場合、温度によって粘弾性特性が変化するので、初期温度に応じた粘弾性特性の値がゴムに対応する要素に設定される。さらに、
図5に示すように、3次元タイヤモデル50の各要素の転動変形の結果、発熱量の情報が取得され(ステップST14)、熱解析用材料定数及び熱解析用境界条件の調整と発熱量の値の設定(ステップST16)を経て、熱解析シミュレーションが行われる(ステップST18)。
これにより、
図5に示すフローと同様に、2次元タイヤモデル40の各要素の温度が取得される(ステップST20)。
【0055】
この後、タイヤシミュレーション装置10の熱解析シミュレーション部26は、繰り返し回数が所定回数以下であるか否かを判定する(ステップST22)。この判定の結果が肯定である場合、転動状態シミュレーション部26は、熱解析シミュレーションで得られた2次元タイヤモデル40の温度を、3次元タイヤモデル50の対応する粘弾性特性を付与した各要素に付与して、2次元タイヤモデル40の温度分布の更新を行う(ステップST24)。この後、転動状態シミュレーション部26は、転動シミュレーションを再度行う(ステップST12)。こうして、ステップS12~ST24を繰り返し行い、繰り返し回数が所定回数になるまで、すなわち、ステップST22の判定の結果が否定になるまで、ステップS12~ST24を繰り返す。熱解析シミュレーションでは、所定の定められた時間経過後の各要素の温度を計算する。
【0056】
こうして、
図8に示すように、タイヤの転動による、タイヤのある部分の温度変化を計算することができる。
図8は、一実施形態のタイヤシミュレーション方法で得られるタイヤの転動開始後の温度の時間変化の一例を示す図である。すなわち、転動状態シミュレーションと熱解析シミュレーションを交互に繰り返し行うことにより、
図8に示すような転動開始からの時間の経過に伴って変化する発熱量と温度の情報を得ることができる。
【0057】
なお、一実施形態によれば、ステップST24で温度分布の更新をした3次元タイヤモデル50を用いて転動シミュレーションを行ったときに、シミュレーション結果演算部28は、3次元タイヤモデル50のゴムの粘弾性特性により生じるエネルギ損失量を計算することにより、あるいは、3次元タイヤモデル50の回転中心軸に作用する前後力を計算することにより、タイヤの転がり抵抗を計算することが好ましい。ここで、前後力とは、3次元タイヤモデル50が回転によって進行する方向あるいはその反対側の方向の力をいう。
図9は、一実施形態のタイヤシミュレーション方法で得られるタイヤの転がり抵抗の転動開始後の時間変化の一例を示す図である。転動状態シミュレーションと熱解析シミュレーションを交互に繰り返し行うことにより、
図9に示すような転動開始からの時間の経過に伴って変化する転がり抵抗の情報を得ることができる。
【0058】
このようなタイヤシミュレーション方法は、以下のプログラムをコンピュータに実行させることにより、コンピュータに行わせることができる。
すなわち、転動状態のタイヤの温度を、シミュレーションによりコンピュータに計算させるプログラムは、
・トレッドパターンを有するタイヤをモデル化した、トレッドパターンを形成する溝を有する3次元タイヤモデル50と路面をモデル化した路面モデル60とを用いて、タイヤの路面上を転動する転動状態をシミュレーションによりコンピュータに再現させることにより、3次元タイヤモデル50の各位置における転動変形及び発熱量をコンピュータに計算させる手順と、
・タイヤの熱解析を行うために、トレッドパターンの溝を埋めてタイヤをモデル化した2次元タイヤモデル40のトレッドパターンに対応する部分に、トレッドパターンを構成するゴムの熱解析用材料定数及び熱解析用境界条件を転動変形の結果に基づいて調整した結果をコンピュータに付与させ、さらに、3次元タイヤモデル50の各位置における発熱量の値から転動変形の結果に基づいて、2次元タイヤモデル40のトレッドパターンに対応する部分の各位置に付与する発熱量の値を位置毎に1つコンピュータに設定させる手順と、
・調整した熱解析用材料定数及び熱解析用境界条件と、設定した発熱量の値とが付与された2次元タイヤモデルを用いてコンピュータに熱解析を行わせることにより、転動状態のタイヤの温度をコンピュータに計算させる手順と、
を備える。
【0059】
以上、本発明のタイヤシミュレーション方法、プログラム、及びタイヤシミュレーション装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更してもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0060】
10 タイヤシミュレーション装置
12 CPU
14 RAM
16 ROM
18 入力操作デバイス
20 ディスプレイ
22 モデル作成部
24 転動状態シミュレーション部
26 熱解析シミュレーション部
28 シミュレーション結果演算部
30 パラメータ調整部
32 ソフトウェアモジュール
40 2次元タイヤモデル
40A 要素
50 3次元タイヤモデル
52 参照フレーム面
60 路面モデル