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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/83 20180101AFI20231220BHJP
   F25B 13/00 20060101ALI20231220BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
F24F11/83
F25B13/00 S
F25B1/00 361A
F25B1/00 371Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021079358
(22)【出願日】2021-05-07
(65)【公開番号】P2022172975
(43)【公開日】2022-11-17
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】直井 健浩
(72)【発明者】
【氏名】福山 雄太
(72)【発明者】
【氏名】中西 喬也
(72)【発明者】
【氏名】大浦 竜太
(72)【発明者】
【氏名】中川 秀幸
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-091540(JP,A)
【文献】特開平05-099525(JP,A)
【文献】特開平03-007858(JP,A)
【文献】特開2003-254583(JP,A)
【文献】特開2015-102252(JP,A)
【文献】特開2014-016097(JP,A)
【文献】国際公開第2020/208776(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/83
F25B 13/00
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間の冷房を行う空気調和装置(1)であって、
複数の室内ユニット(20,20a,20b)それぞれが有する、室内熱交換器(21,21a,21b)と、
第1室外熱交換器(33a)、及び第2室外熱交換器(33b)を含む、複数の室外熱交換器(33)と、
冷媒を圧縮する、圧縮機(31)と、
冷媒の流路を切り換える、切換機構(32b)と、
前記圧縮機、及び前記切換機構を制御する、制御部(70)と、
前記第2室外熱交換器と、前記室内熱交換器と前記第1室外熱交換器との間の冷媒配管と、を接続する、第1流路(54i)と、
前記第1流路を流れる冷媒の流量を調整する、流量調整機構(34b)と、
を備え、
前記切換機構は、
冷媒が、前記圧縮機、前記第1室外熱交換器、前記室内熱交換器の順に、及び、前記圧縮機、前記第2室外熱交換器、前記室内熱交換器の順に、流れる第1状態と、
冷媒が、前記圧縮機、前記第1室外熱交換器、前記室内熱交換器の順に、及び、前記圧縮機、前記第1室外熱交換器、前記第2室外熱交換器の順に、流れる第2状態と、
を切り換え、
前記制御部は、すべての前記室内ユニットが冷房運転を行っている場合に、前記対象空間の熱負荷が低いことを示す第1条件が満たされた時、前記切換機構によって冷媒の流路を前記第1状態から前記第2状態に切り換えることにより、前記室内ユニットに向かう冷媒の流量を減少させる、第1制御を行
前記制御部は、前記第1制御を行っている間、前記第1流路に分流する前の冷媒の流量に対する、前記第1流路を通り前記第2室外熱交換器に向かう冷媒の流量比が第3所定値以下となるように、前記流量調整機構を制御する、
空気調和装置(1)。
【請求項2】
前記第1条件は、前記圧縮機の回転周波数が第1所定値以下である、という条件を含む、
請求項1に記載の空気調和装置(1)。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1制御を行っている間、前記圧縮機の回転周波数が第2所定値以下なるように、前記圧縮機制御する、
請求項1又は2に記載の空気調和装置(1)。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1制御を行っている間に、前記対象空間の熱負荷が高まった場合、前記圧縮機の回転周波数が前記第2所定値以下である状態のまま、前記第1流路を通り前記第2室外熱交換器に向かう冷媒の流量を減少させるように、前記圧縮機、及び前記流量調整機構を制御する、
請求項3に記載の空気調和装置(1)。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1制御を行っている間に、前記流量比が前記第3所定値を超えた場合、前記圧縮機を停止する、
請求項3又は4に記載の空気調和装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2020-051700)に示されているように、冷房運転時に冷房の対象空間の熱負荷が低くなると、冷房能力が過剰となるため冷房運転を停止し、その後、熱負荷が高くなると冷房運転を再開する技術がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のように冷房運転を停止すると、その後、冷房運転を再開する際に、冷房運転の開始に伴う制御等が必要となるため、運転効率が低下する、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の空気調和装置は、対象空間の冷房を行う。空気調和装置は、室内熱交換器と、複数の室外熱交換器と、圧縮機と、切換機構と、制御部と、を備える。室内熱交換器は、複数の室内ユニットそれぞれが有する。複数の室外熱交換器は、第1室外熱交換器、及び第2室外熱交換器を含む。圧縮機は、冷媒を圧縮する。切換機構は、冷媒の流路を切り換える。制御部は、圧縮機、及び切換機構を制御する。切換機構は、第1状態と、第2状態と、を切り換える。第1状態は、冷媒が、圧縮機、第1室外熱交換器、室内熱交換器の順に、及び、圧縮機、第2室外熱交換器、室内熱交換器の順に、流れる。第2状態は、冷媒が、圧縮機、第1室外熱交換器、室内熱交換器の順に、及び、圧縮機、第1室外熱交換器、第2室外熱交換器の順に、流れる。制御部は、第1制御を行う。第1制御は、すべての室内ユニットが冷房運転を行っている場合に、対象空間の熱負荷が低いことを示す第1条件が満たされた時、切換機構によって冷媒の流路を第1状態から第2状態に切り換えることにより、室内ユニットに向かう冷媒の流量を減少させる。
【0005】
第1観点の空気調和装置は、冷房の対象空間の熱負荷が低くなった場合に、切換機構によって冷媒の流路を第1状態から第2状態に切り換えることにより、室内ユニットに向かう冷媒の流量を減少させる。その結果、空気調和装置は、適切な冷房能力によって冷房運転を継続し、運転効率の低下を防ぐことができる。
【0006】
第2観点の空気調和装置は、第1観点の空気調和装置であって、第1条件は、圧縮機の回転周波数が第1所定値以下である、という条件を含む。
【0007】
第2観点の空気調和装置は、このような構成により、冷房の対象空間の熱負荷が低いことを、より正確に把握することができる。
【0008】
第3観点の空気調和装置は、第1観点又は第2観点のいずれかの空気調和装置であって、第1流路と、流量調整機構と、をさらに備える。第1流路は、第2室外熱交換器と、室内熱交換器と第1室外熱交換器との間の冷媒配管と、を接続する。流量調整機構は、第1流路を流れる冷媒の流量を調整する。制御部は、第1制御を行っている間、圧縮機の回転周波数が第2所定値以下となるように、圧縮機を制御する。さらに、制御部は、第1制御を行っている間、第1流路に分流する前の冷媒の流量に対する、第1流路を通り第2室外熱交換器に向かう冷媒の流量比が第3所定値以下となるように、流量調整機構を制御する。
【0009】
第3観点の空気調和装置は、第1制御を行っている間、圧縮機の回転周波数、及び第1流路を通り第2室外熱交換器に向かう冷媒の流量比を制御する。その結果、空気調和装置は、より適切な冷房能力によって、冷房運転を継続することができる。
【0010】
第4観点の空気調和装置は、第3観点の空気調和装置であって、制御部は、第1制御を行っている間に、対象空間の熱負荷が高まった場合、圧縮機の回転周波数が第2所定値以下である状態のまま、第1流路を通り第2室外熱交換器に向かう冷媒の流量を減少させるように、圧縮機、及び流量調整機構を制御する。
【0011】
第4観点の空気調和装置は、このような構成により、消費電力を抑えて、室内ユニットの冷房能力を高めることができる。
【0012】
第5観点の空気調和装置は、第3観点又は第4観点のいずれかの空気調和装置であって、制御部は、第1制御を行っている間に、流量比が第3所定値を超えた場合、圧縮機を停止する。
【0013】
第5観点の空気調和装置は、このような構成により、室内ユニットに向かう冷媒の流量が極端に少なくなる状態を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】空気調和装置の冷媒回路を示す図である。
図2】空気調和装置の制御ブロック図である。
図3】第1制御に関する処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(1)全体構成
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを構成し、対象空間の冷房を行う。本実施形態では、空気調和装置1は、いわゆるビル用マルチ式空気調和システムである。図1は、空気調和装置1の冷媒回路50を示す図である。図1に示すように、空気調和装置1は、主として、室内ユニット20a,20bと、室外ユニット30と、を有する。室内ユニット20a,20bと、室外ユニット30とは、液冷媒連絡配管51及びガス冷媒連絡配管52を介して接続されることで、冷媒回路50を構成している。室内ユニット20a,20bと、室外ユニット30とは、通信線80によって、通信可能に接続されている。
【0016】
以下、例えば、室内ユニット20a,20b等について、これらを区別しない場合は、室内ユニット20等と記載することがある。
【0017】
(2)詳細構成
(2-1)室内ユニット
室内ユニット20は、空気調和装置1が設置される建物の室内等の対象空間に設置される。室内ユニット20は、例えば、天井埋込型のユニットや、天井吊下型のユニットや、床置型のユニット等である。図1に示すように、室内ユニット20a,20bは、主として、室内熱交換器21a,21bと、室内制御部29a,29bと、を備える。また、室内ユニット20a,20bは、室内ファン22a,22bと、室内膨張弁23a,23bと、室内温度センサ61a,61bと、ガス側温度センサ62a,62bと、を有する。また、室内ユニット20a,20bは、室内熱交換器21a,21bの液側端と液冷媒連絡配管51とを接続する液冷媒配管53a,53bと、室内熱交換器21a,21bのガス側端とガス冷媒連絡配管52とを接続するガス冷媒配管53c,53dとを有する。
【0018】
(2-1-1)室内熱交換器
室内熱交換器21は、構造を限定するものではないが、例えば、伝熱管(図示省略)と多数のフィン(図示省略)とにより構成されるクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。室内熱交換器21は、室内熱交換器21を流れる冷媒と、対象空間の空気と、の間で熱交換を行う。
【0019】
室内熱交換器21は、冷房運転の際には蒸発器として機能する。
【0020】
(2-1-2)室内ファン
室内ファン22は、室内ユニット20内に対象空間の空気を吸入して室内熱交換器21に供給し、室内熱交換器21において冷媒と熱交換した空気を、対象空間へと供給する。室内ファン22は、例えば、ターボファンやシロッコファン等の遠心ファンである。室内ファン22a,22bは、室内ファンモータ22ma,22mbによって駆動される。室内ファンモータ22mの回転周波数は、インバータにより制御可能である。
【0021】
(2-1-3)室内膨張弁
室内膨張弁23a,23bは、液冷媒配管53a,53bを流れる冷媒の圧力や流量を調節するための機構である。室内膨張弁23a,23bは、液冷媒配管53a,53bに設けられる。本実施形態では、室内膨張弁23は、開度調節が可能な電子膨張弁である。
【0022】
(2-1-4)センサ
室内温度センサ61は、対象空間の空気の温度(室温)を測定する。室内温度センサ61は、室内ユニット20の空気の吸入口付近に設けられている。
【0023】
ガス側温度センサ62a,62bは、ガス冷媒配管53c,53dを流れる冷媒の温度を計測する。ガス側温度センサ62a,62bは、ガス冷媒配管53c,53dに設けられている。
【0024】
室内温度センサ61及びガス側温度センサ62は、例えば、サーミスタである。
【0025】
(2-1-5)室内制御部
室内制御部29は、室内ユニット20を構成する各部の動作を制御する。
【0026】
室内制御部29は、室内膨張弁23、及び室内ファンモータ22mを含む、室内ユニット20が有する各種機器と電気的に接続されている。また、室内制御部29は、室内温度センサ61、及びガス側温度センサ62を含む、室内ユニット20に設けられている各種センサと通信可能に接続されている。
【0027】
室内制御部29は、制御演算装置及び記憶装置を有する。制御演算装置は、CPUやGPU等のプロセッサである。記憶装置は、RAM、ROM及びフラッシュメモリ等の記憶媒体である。制御演算装置は、記憶装置に記憶されているプログラムを読み出し、プログラムに従って所定の演算処理を行うことで、室内ユニット20を構成する各部の動作を制御する。また、制御演算装置は、プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶されている情報を読み出したりすることができる。また、室内制御部29は、タイマーを有する。
【0028】
室内制御部29は、操作用リモコン(図示省略)から送信される各種信号を、受信可能に構成されている。各種信号には、例えば、運転の開始及び停止を指示する信号や、各種設定に関する信号が含まれる。各種設定に関する信号には、例えば、設定温度や設定湿度に関する信号が含まれる。また、室内制御部29は、通信線80を介して、室外ユニット30の室外制御部39との間で制御信号、計測信号、各種設定に関する信号等のやりとりを行う。
【0029】
室内制御部29と、室外制御部39とは、協働して制御部70として機能する。制御部70の機能については後述する。
【0030】
(2-2)室外ユニット
室外ユニット30は、空気調和装置1が設置される建物の屋上等に設置される。図1に示すように、室外ユニット30は、主として、圧縮機31と、三路切換弁32b(切換機構)と、第1室外熱交換器33aと、第2室外熱交換器33bと、第2室外膨張弁34b(流量調整機構)と、室外制御部39と、第2液冷媒管54i(第1流路)と、を備える。また、室外ユニット30は、四路切換弁32aと、第1室外膨張弁34aと、アキュムレータ35と、室外ファン36と、液側閉鎖弁37と、ガス側閉鎖弁38と、吸入圧力センサ63と、を有する。また、室外ユニット30は、吸入管54aと、吐出管54bと、第1ガス冷媒管54cと、第2ガス冷媒管54dと、第3ガス冷媒管54eと、第4ガス冷媒管54fと、第5ガス冷媒管54gと、第1液冷媒管54hと、を有する。
【0031】
図1に示すように、吸入管54aは、三路切換弁32bと圧縮機31の吸入側とを接続する。吸入管54aには、アキュムレータ35が設けられる。吐出管54bは、圧縮機31の吐出側と四路切換弁32aとを接続する。第1ガス冷媒管54cは、四路切換弁32aと第1室外熱交換器33aのガス側とを接続する。第2ガス冷媒管54dは、三路切換弁32bと第1ガス冷媒管54cとを接続する。第3ガス冷媒管54eは、三路切換弁32bと第2室外熱交換器33bのガス側とを接続する。第4ガス冷媒管54fは、四路切換弁32aとガス冷媒連絡配管52とを接続する。第4ガス冷媒管54fとガス冷媒連絡配管52との接続部には、ガス側閉鎖弁38が設けられている。第5ガス冷媒管54gは、四路切換弁32aと吸入管54aとを接続する。第1液冷媒管54hは、第1室外熱交換器33aの液側と液冷媒連絡配管51とを接続する。第1液冷媒管54hには、第1室外膨張弁34aが設けられている。第1液冷媒管54hと液冷媒連絡配管51との接続部には、液側閉鎖弁37が設けられている。第2液冷媒管54iは、第2室外熱交換器33bの液側と第1液冷媒管54hとを接続する。第2液冷媒管54iには、第2室外膨張弁34bが設けられている。
【0032】
(2-2-1)圧縮機
図1に示すように、圧縮機31は、吸入管54aから冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を吸入し、圧縮機構(図示せず)で冷媒を圧縮して、圧縮した冷媒を吐出管54bへと吐出する機器である。
【0033】
圧縮機31は、例えば、ロータリ式やスクロール式等の容積圧縮機である。圧縮機31の圧縮機構は、圧縮機モータ31mによって駆動される。圧縮機モータ31mの回転周波数は、インバータにより制御可能である。
【0034】
(2-2-2)四路切換弁
四路切換弁32aは、冷媒の流路を切り換える機構である。図1の四路切換弁32a内の実線で示すように、冷房運転時において、四路切換弁32aは、吐出管54bと第1ガス冷媒管54cとを連通させ、第4ガス冷媒管54fと第5ガス冷媒管54gとを連通させる。
【0035】
(2-2-3)三路切換弁
三路切換弁32bは、冷房運転時において、冷媒の流路を第1状態と第2状態との間で切り換える機構である。
【0036】
第1状態では、三路切換弁32bは、図1の三路切換弁32b内の実線で示すように、第2ガス冷媒管54dと第3ガス冷媒管54eとを連通させる。このとき、圧縮機31から吐出される冷媒は、図1の実線矢印で示すように、冷媒回路50内を、第1室外熱交換器33a、第1室外膨張弁34a、室内膨張弁23、室内熱交換器21の順に、及び、第2室外熱交換器33b、第2室外膨張弁34b、第1室外膨張弁34a、室内膨張弁23、室内熱交換器21の順に流れ、圧縮機31へと戻る。このとき、第1室外熱交換器33a及び第2室外熱交換器33bは、凝縮器として機能し、室内熱交換器21は、蒸発器として機能する。
【0037】
第2状態では、三路切換弁32bは、図1の三路切換弁32b内の破線で示すように、吸入管54aと第3ガス冷媒管54eとを連通させる。このとき、圧縮機31から吐出される冷媒は、図1の破線矢印で示すように、冷媒回路50内を、第1室外熱交換器33a、第1室外膨張弁34a、室内膨張弁23、室内熱交換器21の順に、及び、第1室外熱交換器33a、第2室外膨張弁34b、第2室外熱交換器33bの順に流れ、圧縮機31へと戻る。このとき、第1室外熱交換器33aは凝縮器として機能し、第2室外熱交換器33b及び室内熱交換器21は蒸発器として機能する。
【0038】
(2-2-4)室外熱交換器
第1室外熱交換器33a及び第2室外熱交換器33bでは、第1室外熱交換器33a及び第2室外熱交換器33bを流れる冷媒と、室外の空気と、の間で熱交換が行われる。第1室外熱交換器33a及び第2室外熱交換器33bは、構造を限定するものではないが、例えば、伝熱管(図示せず)と多数のフィン(図示せず)とにより構成されるクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。
【0039】
(2-2-5)室外膨張弁
第1室外膨張弁34aは、第1液冷媒管54hを流れる冷媒の圧力や流量を調節するための機構である。第2室外膨張弁34bは、第2液冷媒管54iを流れる冷媒の圧力や流量を調節するための機構である。本実施形態では、第1室外膨張弁34a及び第2室外膨張弁34bは、開度調節が可能な電子膨張弁である。
【0040】
(2-2-6)アキュムレータ
アキュムレータ35は、流入する冷媒を、ガス冷媒と液冷媒とに分ける気液分離機能を有する容器である。アキュムレータ35に流入する冷媒は、ガス冷媒と液冷媒とに分離され、上部空間に集まるガス冷媒が圧縮機31へと流入する。
【0041】
(2-2-7)室外ファン
室外ファン36は、室外ユニット30内に室外の空気を吸入して第1室外熱交換器33a及び第2室外熱交換器33bに供給し、第1室外熱交換器33a及び第2室外熱交換器33bにおいて冷媒と熱交換した室外の空気を、室外ユニット30の外に排出するファンである。室外ファン36は、例えばプロペラファン等の軸流ファンである。室外ファン36は、室外ファンモータ36mによって駆動される。室外ファンモータ36mの回転周波数は、インバータにより制御可能である。
【0042】
(2-2-8)センサ
吸入圧力センサ63は、吸入圧力を計測するセンサである。吸入圧力センサ63は、吸入管54aに設けられている。吸入圧力は、冷凍サイクルの低圧の値である。
【0043】
(2-2-9)液側閉鎖弁及びガス側閉鎖弁
図1に示すように、液側閉鎖弁37は、第1液冷媒管54hと液冷媒連絡配管51との接続部に設けられた弁である。ガス側閉鎖弁38は、第4ガス冷媒管54fとガス冷媒連絡配管52との接続部に設けられた弁である。液側閉鎖弁37及びガス側閉鎖弁38は、例えば、手動で操作される弁である。
【0044】
(2-2-10)室外制御部
室外制御部39は、室外ユニット30を構成する各部の動作を制御する。
【0045】
室外制御部39は、圧縮機モータ31m、四路切換弁32a、三路切換弁32b、第1室外膨張弁34a、第2室外膨張弁34b、及び室外ファンモータ36mを含む、室外ユニット30が有する各種機器に電気的に接続されている。また、室外制御部39は、吸入圧力センサ63を含む、室外ユニット30に設けられている各種センサと通信可能に接続されている。
【0046】
室外制御部39は、制御演算装置及び記憶装置を有する。制御演算装置は、CPUやGPU等のプロセッサである。記憶装置は、RAM、ROM及びフラッシュメモリ等の記憶媒体である。制御演算装置は、記憶装置に記憶されているプログラムを読み出し、プログラムに従って所定の演算処理を行うことで、室外ユニット30を構成する各部の動作を制御する。また、制御演算装置は、プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶されている情報を読み出したりすることができる。また、室外制御部39は、タイマーを有する。
【0047】
室外制御部39は、通信線80を介して、室内ユニット20の室内制御部29との間で制御信号、計測信号、各種設定に関する信号等のやりとりを行う。
【0048】
室外制御部39と、室内制御部29とは、協働して制御部70として機能する。制御部70の機能については後述する。
【0049】
(2-3)制御部
制御部70は、室内制御部29と室外制御部39とが、通信線80を介して通信可能に接続されることによって構成されている。言い換えると、室内制御部29と室外制御部39との協働が、空気調和装置1の動作を制御する制御部70として機能する。
【0050】
図2は、空気調和装置1の制御ブロック図である。図2に示すように、制御部70は、室内温度センサ61、ガス側温度センサ62、及び吸入圧力センサ63と通信可能に接続されている。制御部70は、各種センサの送信する計測信号を受信する。また、制御部70は、室内膨張弁23、室内ファンモータ22m、圧縮機モータ31m、四路切換弁32a、三路切換弁32b、第1室外膨張弁34a、第2室外膨張弁34b、及び室外ファンモータ36mと電気的に接続されている。制御部70は、操作用リモコンから送信される制御信号に応じて、各種センサの計測信号に基づき、室内膨張弁23、室内ファンモータ22m、圧縮機モータ31m、四路切換弁32a、三路切換弁32b、第1室外膨張弁34a、第2室外膨張弁34b、及び室外ファンモータ36mを含む、空気調和装置1の各種機器の動作を制御する。
【0051】
制御部70は、操作用リモコンから、室内ユニット20に冷房運転を行わせる旨の指示を受けると、冷房運転を実行する。また、制御部70は、すべての室内ユニット(本実施形態では、室内ユニット20a,20b)が冷房運転を行っている場合に、対象空間の熱負荷が低いことを示す第1条件が満たされた時、第1制御を行う。以下、第1制御を伴わない冷房運転を「通常の冷房運転」と記載することがある。
【0052】
(2-3-1)冷房運転
制御部70は、操作用リモコンから、室内ユニット20に冷房運転を行わせる旨の指示を受けると、四路切換弁32a内が、図1の実線で示された状態になるように四路切換弁32aを制御する。また、制御部70は、三路切換弁32b内が、図1の実線で示された状態になるように三路切換弁32bを制御する。このとき、冷媒の流路は、第1状態となる。
【0053】
また、制御部70は、第1室外膨張弁34a及び第2室外膨張弁34bを全開状態にし、室内熱交換器21のガス側出口における冷媒の過熱度が所定の目標過熱度になるように、室内膨張弁23を開度調節する。室内熱交換器21のガス側出口における冷媒の過熱度は、例えば、ガス側温度センサ62の計測値から、吸入圧力センサ63の計測値(吸入圧力)から換算される蒸発温度を、差し引くことで算出される。
【0054】
また、制御部70は、吸入圧力センサ63の計測値から換算される蒸発温度が所定の目標蒸発温度に近づくように、圧縮機31の運転容量を制御する。圧縮機31の運転容量の制御は、圧縮機モータ31mの回転周波数を制御することにより行われる。
【0055】
以上のように各種機器の動作が制御されることで、冷房運転時には冷媒回路50を以下のように冷媒が流れる。
【0056】
圧縮機31が起動されると、冷凍サイクルにおける低圧のガス冷媒が圧縮機31に吸入され、圧縮機31で圧縮されて冷凍サイクルにおける高圧のガス冷媒となる。
【0057】
高圧のガス冷媒は、四路切換弁32aを経由して、第1ガス冷媒管54cを流れ、第1室外熱交換器33aに送られる。第1室外熱交換器33aに送られた高圧のガス冷媒は、室外ファン36によって供給される室外の空気と熱交換を行って凝縮し、高圧の液冷媒となる。第1室外熱交換器33aを通過した高圧の液冷媒は、第1液冷媒管54hを流れ、第1室外膨張弁34aを通過し、室内ユニット20に送られる。
【0058】
一方、第1ガス冷媒管54cを流れる高圧のガス冷媒の一部は、第2ガス冷媒管54dに分流する。第2ガス冷媒管54dに分流した高圧のガス冷媒は、三路切換弁32bを経由し、第3ガス冷媒管54eを流れ、第2室外熱交換器33bに送られる。第2室外熱交換器33bに送られた高圧のガス冷媒は、室外ファン36によって供給される室外の空気と熱交換を行って凝縮し、高圧の液冷媒となる。第2室外熱交換器33bを通過した高圧の液冷媒は、第2液冷媒管54iを流れ、第2室外膨張弁34bを通過する。第2室外膨張弁34bを通過した高圧の液冷媒は、第1液冷媒管54hを流れる冷媒と合流し、第1室外膨張弁34aを通過して、室内ユニット20に送られる。
【0059】
室内ユニット20に送られた高圧の液冷媒は、室内膨張弁23において圧縮機31の吸入圧力近くまで減圧され、気液二相状態の冷媒となって室内熱交換器21に送られる。気液二相状態の冷媒は、室内熱交換器21において、室内ファン22により室内熱交換器21へと供給される対象空間の空気と熱交換を行って蒸発して低圧のガス冷媒となる。低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡配管52を経由して室外ユニット30に送られ、四路切換弁32aを経由してアキュムレータ35に流入する。アキュムレータ35に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機31に吸入される。一方、室内熱交換器21に供給された空気の温度は、室内熱交換器21を流れる冷媒と熱交換することで低下し、室内熱交換器21で冷却された空気が、対象空間に吹き出す。
【0060】
(2-3-2)第1制御
制御部70は、室内ユニット20a,20bが冷房運転を行っている場合に、対象空間の熱負荷が低いことを示す第1条件が満たされた時、第1制御を行う。本実施形態では、第1条件は、圧縮機モータ31mの回転周波数が第1所定値以下である、という条件である。言い換えると、制御部70は、圧縮機モータ31mの回転周波数が第1所定値以下である場合、吸入圧力センサ63の計測値から換算される蒸発温度が所定の目標蒸発温度に十分近づいたため、対象空間の熱負荷は低いと判断する。第1所定値は、例えば、30回転/秒である。
【0061】
制御部70は、第1条件が満たされると、第1制御として、三路切換弁32bによって冷媒の流路を第1状態から第2状態に切り換えることにより、室内ユニット20に向かう冷媒の流量を減少させる。具体的には、制御部70が、三路切換弁32bによって冷媒の流路を第1状態から第2状態に切り換えると、第1ガス冷媒管54cから第2ガス冷媒管54dに分流していた高圧のガス冷媒は、分流されずに第1ガス冷媒管54cを流れ、第1室外熱交換器33aに送られる。第1室外熱交換器33aに送られた高圧のガス冷媒は、室外ファン36によって供給される室外の空気と熱交換を行って凝縮し、高圧の液冷媒となる。第1室外熱交換器33aを通過した高圧の液冷媒は、第1液冷媒管54hを流れ、第1室外膨張弁34aを通過し、室内ユニット20に送られる。以降の高圧の液冷媒の流れは、前述した通常の冷房運転の場合と同様である。
【0062】
一方、第1液冷媒管54hを流れる高圧の液冷媒の一部は、第2液冷媒管54iに分流する。言い換えると、室内ユニット20に向かう冷媒の流量は、第1状態の場合と比較して減少する。第2液冷媒管54iに分流した高圧の液冷媒は、第2室外膨張弁34bにおいて圧縮機31の吸入圧力近くまで減圧され、気液二相状態の冷媒となって第2室外熱交換器33bに送られる。第2室外熱交換器33bに送られた低圧の液冷媒は、室外ファン36によって供給される室外の空気と熱交換を行って蒸発し、低圧のガス冷媒となる。第2室外熱交換器33bを通過した低圧のガス冷媒は、第3ガス冷媒管54eを流れ、三路切換弁32bを経由してアキュムレータ35に流入する。アキュムレータ35に流入した低圧のガス冷媒は、再び、圧縮機31に吸入される。
【0063】
制御部70は、第1制御を行っている間、圧縮機モータ31mの回転周波数が第2所定値以下となるように、圧縮機31を制御する。本実施形態では、第2所定値は、第1所定値よりも小さい。第2所定値は、例えば、20回転/秒である。さらに、制御部70は、第1制御を行っている間、第1液冷媒管54hから第2液冷媒管54iに分流する前の冷媒の流量に対する、第2液冷媒管54iを通り第2室外熱交換器33bに向かう冷媒の流量比が第3所定値以下となるように、第2室外膨張弁34bの開度を制御する。第3所定値は、例えば、70%である。
【0064】
制御部70は、第1制御を行っている間に、対象空間の熱負荷がさらに低くなったことにより、冷媒の流量比が第3所定値を超えた場合、室内ユニット20に送られる冷媒量が極端に少なくなるため、圧縮機31を停止して、室内ユニット20a,20bの冷房運転を停止する。制御部70は、圧縮機31を停止した後に、対象空間の熱負荷が高まった場合、通常の冷房運転を開始する。この場合における、対象空間の熱負荷が高まったか否かの判定は、例えば、室内温度センサ61による対象空間の室温が、設定温度を所定温度上回ったか否かによって判定する。所定温度は、例えば、2℃である。
【0065】
一方、制御部70は、第1制御を行っている間に、対象空間の熱負荷が高まった場合、圧縮機モータ31mの回転周波数が第2所定値以下である状態のまま、第2液冷媒管54iを通り第2室外熱交換器33bに向かう冷媒の流量を減少させるように、圧縮機31、及び第2室外膨張弁34bを制御する。言い換えれば、制御部70は、圧縮機モータ31mの回転周波数が第2所定値以下である状態のまま、室内ユニット20に送る冷媒量を増加させる。制御部70は、圧縮機モータ31mの回転周波数が第2所定値以下である状態のままでは、対象空間の熱負荷を低くできない場合、第1制御を停止し、通常の冷房運転を開始する。
【0066】
(3)処理
第1制御に関する処理の一例を、図3のフローチャートを用いて説明する。
【0067】
ステップS1に示すように、制御部70は、操作用リモコンからの指示等により、室内ユニット20a,20bに、通常の冷房運転を開始させる。このとき、冷媒の流路は、第1状態である。
【0068】
ステップS1からステップS2に進むと、制御部70は、所定時間T1待機する。所定時間T1は、例えば、5分である。
【0069】
ステップS2からステップS3に進むと、制御部70は、第1条件が満たされたか否かを判定する。第1条件が満たされた場合、ステップS4に進む。第1条件が満たされない場合、ステップS2に戻り、制御部70は、再び所定時間T1待機する。言い換えると、制御部70は、所定時間T1ごとに、第1条件が満たされたか否かを判定する。
【0070】
ステップS3からステップS4に進むと、制御部70は、第1制御を開始する。具体的には、制御部70は、三路切換弁32bによって冷媒の流路を第1状態から第2状態に切り換えることにより、室内ユニット20に送る冷媒の流量を減少させる。また、制御部70は、圧縮機モータ31mの回転周波数が第2所定値以下となるように、圧縮機31を制御する。また、制御部70は、第1液冷媒管54hから第2液冷媒管54iに分流する前の冷媒の流量に対する、第2液冷媒管54iを通り第2室外熱交換器33bに向かう冷媒の流量比が第3所定値以下となるように、第2室外膨張弁34bの開度を制御する。また、制御部70は、対象空間の熱負荷が高まった場合、圧縮機モータ31mの回転周波数が第2所定値以下である状態のまま、第2液冷媒管54iを通り第2室外熱交換器33bに向かう冷媒の流量を減少させるように、圧縮機31、及び第2室外膨張弁34bを制御する。
【0071】
ステップS4からステップS5に進むと、制御部70は、所定時間T2待機する。所定時間T2は、例えば、5分である。
【0072】
ステップS5からステップS6に進むと、制御部70は、対象空間の熱負荷が高まったことにより、圧縮機モータ31mの回転周波数を第2所定値より大きくする必要があるか否かを判定する。圧縮機モータ31mの回転周波数を第2所定値より大きくする必要がある場合、ステップS1に戻り、制御部70は、再び、室内ユニット20a,20bに、通常の冷房運転を行わせる。圧縮機モータ31mの回転周波数を第2所定値より大きくする必要がない場合、ステップS7に進む。
【0073】
ステップS6からステップS7に進むと、制御部70は、冷媒の流量比が第3所定値を超えたか否かを判定する。冷媒の流量比が第3所定値を超えた場合、ステップS8に進む。冷媒の流量比が第3所定値を超えていない場合、ステップS5に戻り、制御部70は、再び所定時間T2待機し、第1制御を継続する。
【0074】
ステップS7からステップS8に進むと、制御部70は、圧縮機31を停止する。
【0075】
ステップS8からステップS9に進むと、制御部70は、所定時間T3待機する。所定時間T3は、例えば、5分である。
【0076】
ステップS9からステップS10に進むと、制御部70は、対象空間の室温が、設定温度を所定温度上回ったか否かを判定する。対象空間の室温が、設定温度を所定温度上回った場合、ステップS1に戻り、制御部70は、再び、室内ユニット20a,20bに、通常の冷房運転を行わせる。対象空間の室温が、設定温度を所定温度上回っていない場合、ステップS9に戻り、制御部70は、再び所定時間T3待機する。言い換えると、制御部70は、所定時間T3ごとに、対象空間の室温が、設定温度を所定温度上回ったか否かを判定する。
【0077】
制御部70は、操作用リモコンからの指示等により、室内ユニット20a又は室内ユニット20bの冷房運転が停止されるまで、本処理を継続する。
【0078】
(4)特徴
(4-1)
従来、冷房運転時に冷房の対象空間の熱負荷が低くなると、冷房能力が過剰となるため冷房運転を停止し、その後、熱負荷が高くなると冷房運転を再開する技術がある。
【0079】
しかし、冷房運転を停止すると、その後、冷房運転を再開する際に、冷房運転の開始に伴う制御等が必要となるため、運転効率が低下する、という課題がある。
【0080】
本実施形態の空気調和装置1は、冷房の対象空間の熱負荷が低くなった場合に、三路切換弁32bによって冷媒の流路を第1状態から第2状態に切り換えることにより、室内ユニット20に向かう冷媒の流量を減少させる。その結果、空気調和装置1は、適切な冷房能力によって冷房運転を継続し、運転効率の低下を防ぐことができる。
【0081】
(4-2)
本実施形態の空気調和装置1では、第1条件は、圧縮機モータ31mの回転周波数が第1所定値以下である、という条件を含む。その結果、空気調和装置1は、冷房の対象空間の熱負荷が低いことを、より正確に把握することができる。
【0082】
(4-3)
本実施形態の空気調和装置1は、第1制御を行っている間、圧縮機モータ31mの回転周波数、及び第2液冷媒管54iを通り第2室外熱交換器33bに向かう冷媒の流量比を制御する。その結果、空気調和装置1は、より適切な冷房能力によって、冷房運転を継続することができる。
【0083】
(4-4)
本実施形態の空気調和装置1では、制御部70は、第1制御を行っている間に、対象空間の熱負荷が高まった場合、圧縮機モータ31mの回転周波数が第2所定値以下である状態のまま、第2液冷媒管54iを通り第2室外熱交換器33bに向かう冷媒の流量を減少させるように、圧縮機モータ31m、及び第2室外膨張弁34bを制御する。その結果、空気調和装置1は、消費電力を抑えて、室内ユニット20の冷房能力を高めることができる。
【0084】
(4-5)
本実施形態の空気調和装置1では、制御部70は、第1制御を行っている間に、流量比が第3所定値を超えた場合、圧縮機31を停止する。その結果、空気調和装置1は、室内ユニット20に向かう冷媒の流量が極端に少なくなる状態を防ぐことができる。
【0085】
(5)変形例
(5-1)変形例1A
本実施形態では、空気調和装置1は、2つの室内ユニット20a,20bを有していた。しかし、空気調和装置1は、より多くの室内ユニット20を有してもよい。
【0086】
(5-2)変形例1B
本実施形態では、室外ユニット30は、第1室外熱交換器33a、及び第2室外熱交換器33bという2つの室外熱交換器33を備えていた。しかし、室外ユニット30は、より多くの室外熱交換器33を備えていてもよい。例えば、室外ユニット30が3つの室外熱交換器33を備える場合、通常の冷房運転においては、3つの室外熱交換器33すべてが、本実施形態の第1室外熱交換器33a、及び第2室外熱交換器33bと同様に、凝縮器として機能するように、冷媒回路50を構成する。また、第1制御時においては、1つの室外熱交換器33が、本実施形態の第1室外熱交換器33aと同様に凝縮器として機能し、2つの室外熱交換器33が、本実施形態の第2室外熱交換器33bと同様に蒸発器として機能するように、冷媒回路50を構成する。
【0087】
その結果、空気調和装置1は、第1制御時に室内ユニット20に向かう冷媒の流量を、より詳細に調節することができる。
【0088】
(5-3)変形例1C
本実施形態では、空気調和装置1は、対象空間の熱負荷を、圧縮機モータ31mの回転周波数に基づいて判断した。しかし、空気調和装置1は、対象空間の熱負荷を、室内温度センサ61による対象空間の室温と、設定温度との温度差に基づいて判断してもよい。例えば、空気調和装置1は、対象空間の室温が、設定温度を所定温度下回った時に、対象空間の熱負荷が低いと判断する。
【0089】
(5-4)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0090】
1 空気調和装置
20,20a,20b 室内ユニット
21,21a,21b 室内熱交換器
31 圧縮機
32b 三路切換弁(切換機構)
33 室外熱交換器
33a 第1室外熱交換器
33b 第2室外熱交換器
34b 第2室外膨張弁(流量調整機構)
54i 第2液冷媒管(第1流路)
70 制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0091】
【文献】特開2020-051700
図1
図2
図3