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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】吐出装置、移動部材及び流通制御方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20231220BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021550634
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(86)【国際出願番号】 JP2020035582
(87)【国際公開番号】W WO2021070602
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】P 2019184532
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000132404
【氏名又は名称】株式会社スリーボンド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 直哉
(72)【発明者】
【氏名】角 卓馬
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-317777(JP,A)
【文献】国際公開第2019/181812(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/056072(WO,A1)
【文献】特開2006-35149(JP,A)
【文献】特開2008-259970(JP,A)
【文献】国際公開第2019/150790(WO,A1)
【文献】特開2017-109192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00-21/00
B05D 1/00-7/26
F04B 9/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を流通可能であって第1方向に延在する第1流路と、前記第1方向と交差する第2方向に延在し、前記第1流路と連通する第2流路と、前記第1方向と並行に設けられ、前記第2流路と連通するとともに前記第1流路と軸心の離間した第3流路と、を備える第1収容部と、
前記第2流路において前記第2方向に移動可能に配置され、延長線上に位置した際に、前記第1流路と前記第2流路とを連通する第1開口部及び前記第2流路と前記第3流路とを連通する第2開口部の少なくとも一方を塞ぐことが可能な第1部分と、前記第1部分に連なって設けられ、前記延長線上に位置した際に前記第1流路を前記第2流路と連通し、かつ前記第2流路を前記第3流路と連通した状態にする第2部分と、を備える移動部材と
、を有し、
前記第1部分及び前記第2部分は長尺状に形成され、
前記第2部分は、長手方向に交差する断面が前記第1部分よりも小さく形成される吐出装置。
【請求項2】
前記移動部材は、前記第1部分及び前記第2部分の長手方向が設置状態において水平方向と並行する請求項1に記載の吐出装置。
【請求項3】
前記第2部分は、棒状又は円筒状に形成されている請求項1又は2に記載の吐出装置。
【請求項4】
前記移動部材に接続可能な接続部材と、
前記第1収容部に隣接して設置され、前記接続部材が前記移動部材と接続された状態で前記接続部材が移動する第1空間を備えた第2収容部と、
前記第2流路に設けられ、前記接続部材が前記移動部材と接続された状態において前記第2流路と前記第1空間とを隔ててシールする第1シール部材と、をさらに有し、
前記第1シール部材は、断面が屈曲形状に形成された部分を含む請求項1~3のいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項5】
前記第1部分が前記第2流路において前記第1開口部及び前記第2開口部の少なくともいずれか一方を塞いだ際に前記長手方向における前記第1部分と前記第2部分との境界において前記第2流路に設置される第2シール部材をさらに有する請求項4に記載の吐出装置。
【請求項6】
前記第1収容部に隣接して設置され、前記第1流路よりも上流に設けられる第4流路を備える第3収容部と、
前記第4流路において進退移動可能に設置され、進退移動によって前記第4流路に収容された前記材料を前記第1流路に向けて押出し可能なプランジャと、をさらに有する請求項1~5のいずれか1項に記載の吐出装置。
【請求項7】
前記第3収容部に隣接して設置され、前記第4流路よりも上流に設けられる第5流路を備える第4収容部と、
前記第5流路において進退移動可能に設置されるニードル弁と、前記第5流路において前記ニードル弁よりも上流側に設置され前記ニードル弁と当接することで前記第5流路における前記材料の流通を遮断する弁座と、をさらに有する請求項6に記載の吐出装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の前記第1部分と前記第2部分とを備える移動部材。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載の前記第1部分が、前記第1開口部又は前記第2開口部の少なくともいずれか一方を塞ぐように前記移動部材を配置して前記第1流路から流通する前記材料を遮断し、
前記第2部分が前記第1開口部及び前記第2開口部に臨むように前記移動部材を配置して、前記第1流路からの前記材料を、前記第2流路を通じて前記第3流路に流通させる前記材料の流通制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吐出装置、移動部材及び流通制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からシリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の低粘度又は高粘度の流体からなるシール剤や接着剤等の材料を吐出する装置が知られている。上記材料吐出装置において材料吐出の有無の切り替えは、装置内部で可動する弁によって制御される。特許文献1ではノズルの直上に配置したニードル弁によって流体の流通を切り替える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表平2-500961号公報
【発明の概要】
【0004】
特許文献1では液室にニードル弁が挿通し、ニードル弁と対向する位置に弁座が配置される。上記のようなニードル弁では、ニードル弁の開閉の際にバルブ内で体積変化が発生しうる。これにより、バルブを閉めた際に体積分の接着剤等が吐出側へ流出して液だまりが発生してしまう。液だまりが発生するような場合、精密な塗布を行うことが難しくなるおそれがある。
【0005】
そこで本発明は、ノズルの直上に新規なバルブ機構を設けることによって材料の液溜まりを低減又は抑制できる吐出装置及び流通制御方法を提供することを目的とする。
【0006】
上記課題を解決する本発明の一態様に係る吐出装置は、第1収容部と、移動部材と、を有する。第1収容部は、材料を流通可能であって、第1方向に延在する第1流路と、第1方向と交差する第2方向に延在し、第1流路と連通する第2流路と、第1方向と並行に設けられ、第2流路と流通するとともに第1流路と軸心の離間した第3流路とを備える。移動部材は、第1部分と第2部分とを備える。移動部材は第2流路において第2方向に移動可能に配置される。第1部分は、延長戦上に位置した際に第1流路と第2流路とを連通する第1開口部及び第2流路と第3流路とを連通する第2開口部の少なくとも一方を塞ぐことを可能に構成している。第2部分は、第1部分に連なって設けられ、延長線上に位置した際に第1流路を第2流路と連通し、かつ第2流路を第3流路と連通した状態にする。また、本発明の一態様は、上記第1部分と第2部分とを備える移動部材である。また、本発明の一態様は上記吐出装置を用いた材料の流通制御方法である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係る吐出装置を示す斜視図である。
図2図1の正面図である。
図3図1の平面図である。
図4図3の4-4線に沿う断面図である。
図5図4のA部分を示す詳細図であって、移動部材の第1部分が第2開口部を塞いだ状態を示す図である。
図6図4のA部分を示す詳細図であって、移動部材の第2部分が第1開口部及び第2開口部に臨んだ状態を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る材料の流通制御方法について示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0009】
本実施形態に係る吐出装置100は、CIPG(Cured In Place Gasket)等のような一液型材料を定量で吐出する際等に利用することができる。吐出装置100は、図2、4に示すように収容部10、20、30、40、60と、移動部材50と、吐出部70と、バルブ80、90と、を有する。ここで、収容部40は第1収容部に相当し、収容部60は第2収容部に相当し、収容部30は第3収容部に相当し、収容部10は第4収容部に相当する。また、本実施形態における「材料」は、特に限定されないが、一例としてシリコーン樹脂、(メタ)アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等を含み、硬化形態としては熱硬化、湿気硬化、光硬化、乾燥型等を採用できる。以下、詳述する。
【0010】
(収容部10)
収容部10は、図4に示すように入口部材11、設置部材12と、流路13~16(第5流路に相当)と、ニードル弁17と、弁座18と、パッキン19と、を備える。収容部10の設置部材12は、収容部30の貯留部材32に隣接して設置している。
【0011】
入口部材11は、材料を供給する入り口部分の流路13を設ける部位を形成している。流路13の上流は図4に示すように入り口13a、13bに分岐しており、入り口13aから材料を流通させ、入り口13bにおいて吐出装置100の最初の吐出や材料交換を行う部位として利用できる。流路13は本実施形態において直線状に形成しているが、流体を効率よく流通できれば、流路の形状は直線状に限定されず、曲線形状や他の形状であってもよい。
【0012】
設置部材12は、入口部材11と隣接して設けられる。設置部材12には流路14,15、16が設けられる。流路14は、入口部材11を設置部材12と連結した状態において流路13と連通するように構成している。流路15は、流路14と通じており、流路14の端部を略90度程度屈曲して設けている。流路15には、ニードル弁17が移動可能に設けられ、弁座18を設置している。流路16は、流路15と通じており、流路15と交差するように構成している。流路13~16は、収容部30の収容空間35よりも上流に設けられる。なお、収容部10の流路13~16を構成する部位は入口部材11と設置部材12とを組み合わせた部材によって構成してもよい。
【0013】
ニードル弁17は、長尺状に構成され、先端が鋭角に尖るように構成している。ニードル弁17は、流路15において進退移動可能に設置している。ニードル弁17の先端は、弁座18に着座することによって流路15において流路14から流通する材料を遮断可能に構成している。
【0014】
弁座18は、流路15においてニードル弁17よりも上流側に設置している。弁座18は、ニードル弁17の先端と面接触(当接)する傾斜した着座面を備えることによって、流路14から流通する材料を遮断可能に構成している。弁座18は、プラスチック、金属等の材料で、特に好ましくはガラス粒子を含むプラスチック等を使用できる。
【0015】
パッキン19は、流路13、14から流通する材料が後述する収容部20の空間25と連通しないよう(シールするため)に設けられる。パッキン19は、本実施形態において図3に示すように軸方向(第1方向X)に沿う断面においてVの字のように屈曲した形状を軸方向に1以上含み、特にVの字のように屈曲した形状を3以上並べることが好ましい。
【0016】
(収容部20)
収容部20は、図4に示すように第1部材21と、第2部材22と、接続部材23と、押し子24と、を備える。
【0017】
第1部材21は、ニードル弁17と接続される接続部材23を移動可能な空間25を備える。第2部材22は、第1部材21と隣接して配置され、接続部材23に推進力を付与する押し子24を移動可能な空間26と、空気の流通や漏れ出した液剤の排出を行う穴部27と、を備える。なお、接続部材23が移動可能な空間25と押し子24が移動可能な空間26を用意できれば、第1部材21と第2部材22とは両者を組み合わせたものを一部品で構成してもよい。
【0018】
接続部材23は、図4に示すようにニードル弁17と連結可能な連結部と、押し子24と連結可能な連結部と、を備える。接続部材23は、本実施形態において六角柱や円柱等の柱体として構成している。ただし、ニードル弁17を長手方向(第1方向X)に移動させる推進力を付与できれば、具体的な形状は柱体に限定されない。
【0019】
押し子24は、接続部材23を介してニードル弁17を長手方向(第1方向X)に移動させる推進力を付与する。押し子24は、本実施形態において接続部材23と同様に六角柱や円柱等の柱体として構成している。ただし、接続部材23を介してニードル弁17を長手方向(第1方向X)に移動できれば、具体的な形状は柱体に限定されない。収容部20は、一例としてエアーピストンのように構成できる。
【0020】
(収容部30)
収容部30は、図4に示すように閉塞部材31と、貯留部材32と、プランジャ33と、傾斜部34と、を備える。収容部30は、収容部40に隣接して設置している。
【0021】
閉塞部材31は、貯留部材32と隣接して配置され、貯留部材32が形成する材料の収容空間35を塞ぐように構成している。閉塞部材31には、プランジャ33が摺動可能な孔部を設けており、当該穴部には収容空間35を液密に封止するシール部材を設けることができる。
【0022】
貯留部材32は、閉塞部材31と隣接して配置され、流路16から流通する材料を流通及び貯留可能な収容空間35(第4流路に相当)を設けている。収容空間35は、収容部40の第1流路43よりも上流側に位置する。収容空間35は、プランジャ33の移動方向(第1方向X)に合わせて長尺状であって長手方向に交差する断面が略円状となるように構成している。傾斜部34は、収容空間35の下方、すなわち収容空間35の下流に設けている。傾斜部34は、プランジャ33の先端形状に合わせて略円錐台形状の傾斜面を設けるように構成している。また、貯留部材32には収容空間35の圧力を検出するために圧力センサを設置することができる。
【0023】
プランジャ33は、閉塞部材31の孔部を摺動し、先端が収容空間35を進退移動可能に構成している。プランジャ33は、収容空間35において進退移動することによって収容空間35に収容された材料を第1流路43に向けて押出し可能に構成している。また、プランジャ33の基端にはフローティングジョイント等の軸受を設けることができ、これをボールねじや電動モータ(図示省略)と接続することができる。
【0024】
(収容部40)
収容部40は、図4に示すように形成部材41と、取付部材42と、第1流路43と、第2流路44と、第3流路45と、パッキン46、47、48と、を備える。ここで、パッキン46は第1シール部材に相当し、パッキン47は第2シール部材に相当する。
【0025】
形成部材41には、第1流路43、第2流路44、及び第3流路45を設けている。取付部材42は、形成部材41と隣接して設けられ、吐出部70を取り付ける部位を設けている。なお、第1流路、第2流路、第3流路を設け、吐出部を取り付けできれば、第1部材と第2部材とは一部品によって構成してもよい。また、本実施形態では形成部材41を収容部10の設置部材12と一体に構成している。
【0026】
第1流路43は、第2流路44及び第3流路45よりも上流に位置する。第1流路43には、材料が流通可能であって、第1方向Xに延在するように構成している。第1流路43は、収容部30の収容空間35と連通するように構成している。第1流路43は、本実施形態において流通方向に交差する断面形状を略円形状に構成している。
【0027】
第2流路44は、第1流路43が延在する第1方向Xと交差する第2方向Yに延在し、第1流路43と連通するように構成している。第2流路44には後述する移動部材50を移動可能に配置している。また、第2流路44の流通方向(第2方向Y)における端部にはパッキン46、48を設置可能な部位を設けている。また、第2流路44の流通方向における中間部にはパッキン47を設置可能な部位を設けている。なお、形成部材41は、図4に示す以外にもパッキン47を設置する部位において図4の左右方向に分割して構成してもよい。
【0028】
第3流路45は、第2流路44と連通するとともに第1方向Xに並行に延在するように構成している。第3流路45は第1流路43と軸心が離間するように設けている。
【0029】
パッキン46は、第2流路44に設けられる。パッキン46は、収容部60の接続部材63が移動部材50と接続された状態において第2流路44と収容部60の空間65とを隔ててシールする。パッキン47は、移動部材50の第1部分51が第2流路44において第1開口部49a及び第2開口部49bの少なくとも一方を塞いだ際に長手方向(第2方向Y)における第1部分51と第2部分52の境界において第2流路44に設置している。パッキン48は、第2流路44において材料が流通する部位とそれ以外との部位とが連通しないようにシールする。パッキン46、47、48は、図4等に示すように断面においてVの字のように屈曲した形状を1以上含み、特にVの字のように屈曲した形状を3以上並べることが好ましい。
【0030】
(移動部材50)
移動部材50は、図4に示すように第1部分51と、第2部分52と、を備える。移動部材50は、第1部分51と第2部分52とを備えることによって長尺状に構成している。移動部材50は、吐出装置100の設置状態において長手方向に相当する第2方向Yが水平方向に並行となるように構成している。
【0031】
第1部分51は、第2流路44において第2方向Yにおいて移動可能に配置される。第1部分51は、第1流路43又は第2流路44の延長線上に位置した際に第1流路43と第2流路44とが連通する第1開口部49aと第2流路44と第3流路45とが連通する第2開口部49bの少なくとも一方を塞ぐように構成している。本実施形態において第1部分51は、図5、6に示すように第2開口部49bの向かう第1方向Xと異なる第2方向Yにスライド移動することによって第2開口部49bを塞ぐように構成している。この状態で収容空間35から流通する材料の流れを遮断することができる。
【0032】
第2部分52は、第1部分51に連なって設けている。第2部分52は、第1流路43と第3流路45の延長線上に位置した際に第1流路43と第2流路44を連通し、かつ第2流路44と第3流路45とを連通した状態にする。第2部分52は、長手方向に相当する第2方向Yに交差する断面が第1部分51よりも小さくなるように構成している。第2部分52は、本実施形態において棒状又は円筒形状に構成している。
【0033】
移動部材50は、本実施形態において吐出装置が備えるCPU等のプロセッサ、及びROM、RAM等のメモリ等によってプランジャ33の動作と関連付けられて動作する。一例として、移動部材50は、プランジャ33によって収容空間35の内圧が規定値(所定値)まで達してから第2流路44を第1流路43及び第3流路45と連通するように構成できる。また、移動部材50は、プランジャ33の進退移動と同時に第2流路44を第1流路43及び第3流路45と連通するように動作させることもできる。また、移動部材50は、SUS等のステンレス鋼を含むように構成できる。
【0034】
(収容部60)
収容部60は、図4に示すように第1部材61と、第2部材62と、接続部材63と、押し子64と、を備える。収容部60は、収容部40に隣接して設置される。
【0035】
第1部材61は、接続部材63が移動部材50と接続された状態において接続部材63が移動可能な空間65(第1空間に相当)を備える。第2部材62は、第1部材61と隣接して配置され、接続部材63に推進力を付与する押し子64が移動可能な空間66と、空気の流通や漏れ出した液剤の排出を行う穴部67と、を備える。なお、接続部材63が移動可能な空間と押し子64が移動可能な空間を用意できれば、第1部材61と第2部材62とは組み合わせて一部品で構成してもよい。
【0036】
接続部材63は、図4に示すように移動部材50と接続される連結部と、押し子64と連結可能な連結部と、を備える。接続部材63は、本実施形態において接続部材23と同様に六角柱や円柱等の柱体として構成している。ただし、接続部材63を介して移動部材50を長手方向(第2方向Y)に移動できれば、具体的な形状は柱体に限定されない。
【0037】
押し子64は、接続部材63を介して移動部材50を長手方向(第2方向Y)に移動させる推進力を付与する。押し子64は、本実施形態において接続部材63と同様に六角柱や円柱等の柱体として構成している。ただし、接続部材63を介して移動部材50を長手方向に相当する第2方向Yに移動できれば、具体的な形状は柱体に限定されない。収容部60は、一例として収容部20と同様にエアーピストンのように構成できる。
【0038】
(吐出部70)
吐出部70は、収容部40の第3流路45から流通する材料を吐出可能に構成している。吐出部70には、公知のノズルを取り付けることができる。
【0039】
(バルブ80、90)
バルブ80、90は、収容部20、60の押し子24、64を駆動させる動力としてエア等の流体の供給・遮断を切り替え可能に構成している。バルブ80は、収容部20において押し子24が移動する空間26にエア等の流体を供給(流通)可能に構成している。バルブ90は、収容部60において押し子64が移動する空間66にエア等の流体を供給(流通)可能に構成している。ただし、バルブ80、90から供給される流体はエアに限定されず、押し子24、64に推進力を付与できれば、窒素等の流体によって構成してもよい。
【0040】
(流通制御方法)
次に本実施形態に係る材料の流通制御方法について説明する。本実施形態に係る材料の流通制御方法は、図7を参照して概説すれば、移動部材50の第2部分52を第1開口部49a及び第2開口部49bに臨ませる(ST3)。また、移動部材50の第1部分51で第1開口部49a又は第2開口部49bを塞ぐ(ST4)。以下、詳述する。
【0041】
まず、吐出装置100を組み立てていない状態において部品の組み付けを行い、図4に示すように吐出装置100を組み立てる(ST1)。ここで、バルブ80、90を流体の供給源(図示省略)に接続する。また、収容部10の入り口13aを材料の供給源に接続する。
【0042】
次に、吐出装置100から材料を流通させる場合(ST2:YES)、入り口13aから材料を供給する。材料は、ニードル弁17が弁座18と当接していない状態において流路13、14、15、16を流通して収容空間35に流通する。プランジャ33は傾斜部34から離間させた状態で進退移動することによって材料は収容空間35から第1流路43、第2流路44、第3流路45を経て吐出部70に流通することができる。
【0043】
また、材料の流通には、収容部40において材料の流通を制御することによって収容空間35に一時的に材料を貯留させるケースもある。
【0044】
ここで、上流である収容空間35からの材料を流通させる場合(ST2:YES)について説明する。この場合、まずニードル弁17と弁座18を隣接させて弁座18の穴を閉じる。弁座18の穴を閉じた状態で図5、6に示すように移動部材50を第2方向Yにスライド移動させ、移動部材50の第2部分52を第1流路43と第2流路44との第1開口部49a及び第2流路44と第3流路45との第2開口部49bに臨ませる(ST3)。ここで、第2部分52の長手方向に交差する断面の面積は第1部分51の長手方向に交差する断面の面積より小さく、第2流路44の軸直行断面の面積よりも小さい。そのため、第1流路43から流通する材料は第1開口部49aを通過して第2流路44に流れ、さらに第2開口部49bを通過して第3流路45に流通できる。これにより、第1流路43からの材料を吐出部70に流通させることができる。なお、「第2部分52を第1開口部49a及び第2開口部49bに臨ませる」とは、第2部分52を特に径方向において第1開口部49a及び第2開口部49bと向かい合う(対向する)状態にすることを意味する。
【0045】
次に、収容部40において材料の流通を制御する場合であって、上流からの材料を流通させない場合(ST2:NO)について説明する。この場合、移動部材50の第1部分51における図5に示す第2部分52よりも左側の部分が第2流路44と第3流路45との第2開口部49bを塞ぐ(ST4)ように移動部材50を第2方向Yにスライド移動させる。この動作により、第1部分51は、パッキン46、47、48とも当接した状態となる。そのため、上流である収容空間35から流通する材料は第2部分52より左側の第1部分51によって塞がれ、第3流路45及び吐出部70への材料の流通が遮られる。
【0046】
吐出装置100において材料の流通を遮断する場合(ST2:NO)、収容空間35は、タンクのように使用できる。この場合、移動部材50の第1部分51によって第2開口部49bを塞ぐことによって、流路13から流通する材料を一時的に収容空間35に貯留することができる。
【0047】
収容空間35への材料の供給停止は、バルブ80を開いて押し子24及び接続部材23を長手方向に移動させ、ニードル弁17と弁座18とを当接させることによって行われる。
【0048】
以上、説明したように本実施形態に係る吐出装置100は、収容部40と移動部材50と、を有する。収容部40は、第1流路43と、第2流路44と、第3流路45と、を備える。第1流路43は材料を流通可能であって第1方向Xに延在する。第2流路44は、第1方向Xと交差する第2方向Yに延在し、第1流路43と連通するように構成している。第3流路45は、第1方向Xと平行に設けられ、第2流路44と連通するとともに第1流路43と軸心が離間するように構成している。移動部材50は、第1部分51と第2部分52とを備える。第1部分51は、第2流路44において第2方向Yに移動可能に配置される。第1部分51は、第1流路43又は第3流路45の延長線上に位置した際に第1流路43と第2流路44とを連通する第1開口部49a及び第2流路44と第3流路45とを連通する第2開口部49bの少なくとも一方を塞ぐ。第2部分52は、第1部分51に連なって設けられ、延長線上に位置した際に第1流路43を第2流路44と連通し、かつ第2流路44を第3流路45と連通した状態にする。第1部分51及び第2部分52は長尺状に形成している。第2部分52は、長手方向に交差する断面を第1部分51よりも小さくなるように構成している。
【0049】
ノズルの直上に配置したニードル弁と弁座のような組み合わせによって材料の流通を制御する場合、流路はニードル弁の長手方向に沿って設けられ、材料を流通させる弁座の穴部は上記流路を向いている場合がある。このように弁座の穴部の向きが上記流路の長手方向とほぼ一致している仕様ではニードル弁と弁座とで材料の流通を遮断する際に、材料が弁座の穴部に比較的勢いよく流通し、下流側において材料の体積変化が生じるおそれがある。これに対して、本実施形態では上記のように移動部材50によって塞がれる第2開口部49bの向かう第1方向Xが第2流路44の延在する第2方向Yと異なるように構成している。これにより、移動部材50が第2流路44の延在する第2方向Yと並行してスライド移動するため、第2開口部49bから材料を流通させる際に第3流路45に流入する材料の体積変化を防止又は抑制できる。これにより、ノズルに相当する吐出部70の直上における材料の液だまりの発生を防止又は抑制し、材料を精密に塗布できる。また、第2部分52を第1部分51より小さく構成することによって、第2流路44において材料が存在する空間を比較的大きくとることができる。これにより、材料を第2部分52の周囲に分散させやすくして第2部分52に偏摩耗が起こることを防止又は抑制できる。
【0050】
また、移動部材50は、第1部分51及び第2部分52の長手方向(第2方向Y)が吐出装置100の設置状態において水平方向に延在するように構成している。このように構成することによって、移動部材50の長手方向をニードル弁17やプランジャ33の長手方向(第1方向X)と違う方向にすることで、その分、吐出装置の大型化を抑制できる。
【0051】
また、第2部分52は、棒状又は円筒状に形成するように構成している。このように構成することによって、移動部材50の長手方向に交差する断面において上流から流通する材料を第2部分52の周囲に分散しやすくできる。これにより、第2部分52に偏摩耗が生じることを防止又は抑制できる。また、パッキン46~48のシール部分でのシール性能を向上させることができる。
【0052】
また、吐出装置100は、移動部材50に接続可能な接続部材63と、収容部40に隣接して設置され、接続部材63が移動部材50と接続された状態で接続部材63が移動する空間65を備えた収容部60を備える。また、吐出装置100は、第2流路44に設けられ、接続部材63が移動部材50と接続された状態において第2流路44と空間65とを隔ててシールするパッキン46を備える。パッキン46は、断面が屈曲形状に形成された部分を含むように構成している。これにより、液体等の材料が第2流路44から空間65に漏れ出ることを防止できる。
【0053】
また、吐出装置100は、パッキン47を備える。パッキン47は、第1部分51が第2流路44において第1開口部49a及び第2開口部49bの少なくとも一方を塞いだ際に長手方向における第1部分51と第2部分52との境界において第2流路44に設置される。パッキン47をこのように構成することによって、第1部分51によって第1開口部49a及び第2開口部49bの少なくとも一方を塞いだ際に材料が第1流路43から第3流路45に意図せず流通することを防止できる。
【0054】
また、吐出装置100は、収容部30と、収容部30に移動可能に設けられるプランジャ33と、を備える。収容部30は、収容部40に隣接して設置され、第1流路43よりも上流に設けられる収容空間35を備える。プランジャ33は、収容空間35において移動可能に設置され、進退移動によって収容空間35に収容された材料を第1流路43に向けて押出し可能に構成している。このように構成することによって、収容空間35に収容した材料を第1流路43に定量的に圧送することができる。
【0055】
また、吐出装置100は、収容部10と、収容部10に設けられるニードル弁17と、弁座18と、を備える。収容部10は収容部30に隣接して配置され、収容空間35よりも上流に設けている。ニードル弁17は、流路15において進退移動可能に設置している。弁座18は、流路15においてニードル弁17よりも上流側に設置され、ニードル弁17と当接することで流路15における材料の流通を遮断する。このように構成することによって、収容空間35への材料の貯留のオン、オフを切り替えることができる。また、流路13からの材料の給液の開閉にニードル弁17と弁座18とを用いることによって比較的高耐圧においても材料の流通を遮断できる。
【0056】
また、本実施形態に係る材料の流通制御方法では、移動部材50の第1部分51が第1開口部49a及び第2開口部49bの少なくとも一方を塞ぐように移動部材50を配置して第1流路43からの材料の流通を遮断する。また、第2部分52を第1開口部49a及び第2開口部49bに臨むように移動部材50を配置して第1流路43からの材料を、第2流路44を通じて第3流路45に流通させる。このように構成することによって、ノズルに相当する吐出部70の直上において第2開口部49bから流通する材料が第3流路45に流入する際に材料の体積変化が起こることを防止又は抑制できる。そのため、材料の液溜まりを防止又は抑制して、材料を精密に塗布できる。
【0057】
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されず、特許請求の範囲において種々の変更が可能である。上記では収容部10の設置部材12と収容部40の形成部材41とが一体である実施形態について説明した。しかし、これに限定されず、両者は別体(別部品)に構成してもよい。また、上記では移動部材50の第1部分51において第2部分52よりも左側の部分(図5参照)が第2開口部49bを塞ぐことによって材料の流通を遮断する実施形態について説明した。しかし、これに限定されず、移動部材50の第2部分52より右側の部分が第1流路43と第2流路44との第1開口部49aを塞ぐように構成してもよい。このように構成することによっても材料の液溜まりを防止又は抑制して、材料を精密に塗布できる。また、上記では収容部20、60をエアーピストンのように構成できると説明したが、これに限定されず、モーターのように構成してもよい。
【0058】
なお、本出願は、2019年10月7日に出願された日本特許出願2019-184532号に基づいており、その開示内容は参照により全体として組み込まれている。
【符号の説明】
【0059】
100 吐出装置、
10 収容部(第4収容部)、
11 入口部材、
12 設置部材、
13~16 流路(第5流路)、
17 ニードル弁、
18 弁座、
30 収容部(第3収容部)、
31 閉塞部材、
32 貯留部材、
33 プランジャ、
35 収容空間(第4流路)、
40 収容部(第1収容部)、
41 形成部材、
42 取付部材、
43 第1流路、
44 第2流路、
45 第3流路、
46 パッキン(第1シール部材)、
47 パッキン(第2シール部材)、
49a 第1開口部、
49b 第2開口部、
50 移動部材、
51 第1部分、
52 第2部分、
60 収容部(第2収容部)、
63 接続部材、
65 空間(第1空間)、
X 第1方向、
Y 第2方向(長手方向)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7