(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】ガス量推定装置、ガス処理装置、輸送用コンテナ、ガス量推定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
F17C 13/02 20060101AFI20231220BHJP
B65D 88/12 20060101ALI20231220BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20231220BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
F17C13/02 301A
B65D88/12 W
G06Q50/10
F25D23/00 302Z
(21)【出願番号】P 2022152055
(22)【出願日】2022-09-26
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2021160698
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】仲野 政賢
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 喜一郎
(72)【発明者】
【氏名】西本 素三
(72)【発明者】
【氏名】松井 秀徳
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-041601(JP,A)
【文献】特開2017-227370(JP,A)
【文献】特開平09-172959(JP,A)
【文献】特開昭63-283539(JP,A)
【文献】特許第6915718(JP,B1)
【文献】特開2017-150713(JP,A)
【文献】福島 尚道,液体窒素による低温コンテナーとC.A.コンテナー,食品と開発 1月号 ,第8巻,園田 昭司 食品研究社
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23B 7/00-9/34
F17C 1/00-13/12
F25D 17/04-17/08
F25D 23/00
G06Q 10/00-99/00
G16Z 99/00
B65D 88/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部(501)を備えるガス量推定装置(5)であって、
前記制御部は、
CA冷蔵庫(101)が輸送される前に、当該CA冷蔵庫に収納される生鮮品の種類及び量に関する情報
及び前記CA冷蔵庫内の温度又は湿度の情報を入力データとし、前記CA冷蔵庫に収納される前記生鮮品の種類及び量に関する情報及び
前記CA冷蔵庫内の温度又は湿度と前記CA冷蔵庫に対するCAガスの供給量又は処理量との関係を機械学習により学習した結果を用いて、所定時間に前記CA冷蔵庫に対するCAガスの供給量又は処理量を推定して出力データと
し、前記生鮮品の輸送時間に基づいて、前記CA冷蔵庫と共に輸送され前記CA冷蔵庫に対する前記CAガスの処理を行うためのガス処理装置(104a、104b)のガス総消費量推定値を出力する、ガス量推定装置。
【請求項2】
前記出力データには、前記生鮮品の輸送中に前記CA冷蔵庫内の前記CAガスを所定の濃度に保つべく前記CA冷蔵庫に供給された前記CAガスの供給量、又前記所定の濃度に保つべく前記CA冷蔵庫から除去された前記CAガスの除去量が含まれ、
前記制御部は、前記出力データに前記CAガスの供給量が含まれている場合には前記CAガスの供給量を推定し、又は前記出力データに前記CAガスの除去量が含まれている場合には前記CAガスの処理量のうち前記除去量を推定する、
請求項
1に記載のガス量推定装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記生鮮品の種類及び量に基づいて複数の前記CA冷蔵庫のそれぞれのCAガスのガス量を制御するガス量制御装置(102)の数を、複数の前記CA冷蔵庫のそれぞれにおける前記CAガスの供給量又は処理量に応じて算出する、請求項
1又は2に記載のガス量推定装置。
【請求項4】
前記出力データは、酸素、二酸化炭素、窒素、又はエチレンに関するデータである、請求項
1に記載のガス量推定装置。
【請求項5】
前記CA冷蔵庫に対する前記CAガスの処理を行うためのガス処理装置(104a、104b)であって、
請求項
1に記載のガス量推定装置によって推定された前記CAガスの供給量又は処理量に基づいて、所定量の前記CAガスが注入されたガス処理装置。
【請求項6】
請求項
5に記載のガス処理装置を備えた輸送用コンテナ(2)。
【請求項7】
前記生鮮品の種類及び量に基づいて前記CA冷蔵庫の前記CAガスのガス量を制御するガス量制御装置を備えた、請求項
6に記載の輸送用コンテナ。
【請求項8】
コンピュータが、
CA冷蔵庫(101)が輸送される前に、当該CA冷蔵庫に収納される生鮮品の種類及び量に関する情報
及び前記CA冷蔵庫内の温度又は湿度の情報を入力データとし、前記CA冷蔵庫に収納される前記生鮮品の種類及び量に関する情報及び
前記CA冷蔵庫内の温度又は湿度と前記CA冷蔵庫に対するCAガスの供給量又は処理量との関係を機械学習により学習した結果を用いて、所定時間に前記CA冷蔵庫に対するCAガスの供給量又は処理量を推定して出力データと
し、前記生鮮品の輸送時間に基づいて、前記CA冷蔵庫と共に輸送され前記CA冷蔵庫に対する前記CAガスの処理を行うためのガス処理装置(104a、104b)のガス総消費量推定値を出力する、ガス量推定方法。
【請求項9】
コンピュータに、請求項
8に記載の方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガス量推定装置、ガス処理装置、輸送用コンテナ、ガス量推定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地域の特産品を都市部等の目的地に輸送することで、地方の活性化を図ることが行われている。特産品が生鮮品の場合、鮮度を一定以上に保つため、航空便で輸送してもよいが、輸送コストが高くたるため、船便やトラックによる陸上輸送が主な輸送手段となっている。また、空港がない離島で生産された生鮮品の場合、目的地に生鮮品を輸送するには10日以上必要とするような事態が生じ得る。
【0003】
一方で、生鮮品の鮮度を一定以上に維持するため、冷蔵及びCAガスにより生鮮品の鮮度を一定以上に保つCAガス冷蔵庫の技術が開示されている(特許文献1参照)。そのため、生鮮品の輸送に、CAガス冷蔵庫を搭載したトラック等を用いれば、たとえ輸送時間が長くなっても、輸送コストを抑制しつつ、生鮮品の鮮度を一定以上に保つことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、トラック等にCAガスを注入する場合、輸送中にどの程度のCAガスの供給量、又は除去量等の処理量が必要であるか不明確である。そのため、注入されたCAガスが不足する場合、生鮮品の鮮度を一定以上に保つことができないという課題が生じる。また、比較的多めにCAガスを注入しても良いが、そのためには、CAガスボンベ等のガス処理装置が巨大化してしまい、輸送できる生鮮品の量が少なくなってしまうという課題が生じる。
【0006】
上記事情を考慮し、本開示の目的は、CAガスの注入量を最適化することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、制御部を備えるガス量推定装置であって、前記制御部は、CA冷蔵庫に収納される生鮮品の種類及び量に関する情報を入力データとし、所定時間に前記CA冷蔵庫に対するCAガスの供給量又は処理量を推定して出力データとする、ガス量推定装置である。
【0008】
第1の態様によれば、CAガスの注入量を最適化することができる。
【0009】
本開示の第2の態様は、前記CA冷蔵庫に収納される生鮮品の種類及び量に関する情報である前記入力データと、真のCAガスの供給量又は処理量との関係を機械学習により学習した結果を用いて、前記CAガスの供給量又は処理量を計算する、第1の態様のガス量推定装置である。
【0010】
第2の態様によれば、機械学習により学習した結果を用いることで、CAガスの注入量を最適化することができる。
【0011】
本開示の第3の態様は、前記制御部は、前記CA冷蔵庫に収納される生鮮品の種類及び量に関する情報である前記入力データと、真のCAガスの供給量又は処理量との関係を、テーブルデータを用いて、前記CAガスの供給量又は処理量を計算する、第1の態様のガス量推定装置である。
【0012】
第3の態様によれば、テーブルデータを用いることで、CAガスの注入量を最適化することができる。
【0013】
本開示の第4の態様は、前記入力データには、前記生鮮品の輸送中の前記CA冷蔵庫内の温度又は湿度が含まれ、前記制御部は、更に前記温度又は湿度に基づいて、前記CAガスの供給量又は処理量を推定する、第1乃至第3の態様のいずれかの一つのガス量推定装置である。
【0014】
第4の態様によれば、入力データに生鮮品の輸送中のCA冷蔵庫内の温度又は湿度が含まれることにより、より高い精度でCAガスの注入量を最適化できる。
【0015】
本開示の第5の態様は、前記制御部は、更に前記生鮮品の輸送時間に基づいて、前記CAガスの供給量又は処理量を推定する、第1乃至第3の態様のいずれかの一つのガス量推定装置である。
【0016】
第5の態様によれば、生鮮品の輸送時間を考慮することにより、比較的輸送時間が長い場合でも、より高い精度でCAガスの注入量を最適化できる。
【0017】
本開示の第6の態様は、前記出力データには、前記生鮮品の輸送中に前記CA冷蔵庫内の前記CAガスを所定の濃度に保つべく前記CA冷蔵庫に供給された前記CAガスの供給量、又前記所定の濃度に保つべく前記CA冷蔵庫から除去された前記CAガスの除去量が含まれ、前記制御部は、前記出力データに前記CAガスの供給量が含まれている場合には前記CAガスの供給量を推定し、又は前記出力データに前記CAガスの除去量が含まれている場合には前記CAガスの処理量のうち前記除去量を推定する、第1乃至第5の態様のいずれか一つのガス量推定装置である。
【0018】
第6の態様によれば、CAガスの供給量又は除去量を推定することにより、より高い精度でCAガスの注入量を最適化できる。
【0019】
本開示の第7の態様は、前記制御部は、前記生鮮品の種類及び量に基づいて複数の前記CA冷蔵庫のそれぞれのCAガスのガス量を制御するガス量制御装置の数を、複数の前記CA冷蔵庫のそれぞれにおける前記CAガスの供給量又は処理量に応じて算出する、第1乃至第5の態様のいずれか一つのガス量推定装置である。
【0020】
第7の態様によれば、複数のCA冷蔵庫による輸送の場合であっても、複数のCA冷蔵庫のそれぞれのCAガスのガス量を制御するガス量制御装置の数を算出することができる。
【0021】
本開示の第8の態様は、前記出力データは、酸素、二酸化炭素、窒素、又はエチレンに関するデータである、第1乃至第7の態様のいずれか一つに記載のガス量推定装置である。
【0022】
第8の態様によれば、出力データが、酸素、二酸化炭素、窒素、又はエチレンである場合も対応することができる。
【0023】
本開示の第9の態様は、前記CA冷蔵庫に対する前記CAガスの処理を行うためのガス処理装置であって、第1乃至第5の態様のいずれか一つのガス量推定装置によって推定された前記CAガスの供給量又は処理量に基づいて、所定量の前記CAガスが注入されたガス処理装置である。
【0024】
第9の態様によれば、CAガスの注入量が最適化されたCAガスボンベ等のガス処理装置を用意することができる。
【0025】
本開示の第10の態様は、第9の態様のガス処理装置を備えた輸送用コンテナである。
【0026】
第10の態様によれば、CAガスの注入量が最適化されたCAガスボンベ等のガス処理装置を備えた輸送用コンテナを用意することができる。
【0027】
本開示の第11の態様は、前記生鮮品の種類及び量に基づいて前記CA冷蔵庫のCAガスのガス量を制御するガス量制御装置を備えた、第10の態様の輸送用コンテナである。
【0028】
第11の態様によれば、生鮮品の種類及び量に基づいてCAガスの注入量が最適化されたCAガスボンベ等のガス処理装置を用意することができる。
【0029】
本開示の第12の態様は、コンピュータが、CA冷蔵庫に収納される生鮮品の種類及び量に関する情報を入力データとし、所定時間に前記CA冷蔵庫に対するCAガスの供給量又は処理量を推定して出力データとする、ガス量推定方法である。
【0030】
第12の態様によれば、CAガスの注入量を最適化することができる。
【0031】
本開示の第13の態様は、前記コンピュータは、前記CA冷蔵庫に収納される生鮮品の種類及び量に関する情報である前記入力データと、真のCAガスの供給量又は処理量との関係を機械学習により学習した結果を用いて、前記CAガスの供給量又は処理量を計算する、第12の態様のガス量推定方法である。
【0032】
第13の態様によれば、機械学習により学習した結果を用いることで、CAガスの注入量を最適化することができる。
【0033】
本開示の第14の態様は、前記コンピュータは、前記CA冷蔵庫に収納される生鮮品の種類及び量に関する情報である前記入力データと、真のCAガスの供給量又は処理量との関係を、テーブルデータを用いて、前記CAガスの供給量又は処理量を計算する、請求項12に記載のガス量推定方法である。
【0034】
第14の態様によれば、テーブルデータを用いることで、CAガスの注入量を最適化することができる。
【0035】
本開示の第15の態様は、コンピュータに、第12乃至第14の態様のいずれか一つの方法を実行させるプログラムである。
【0036】
第15の態様によれば、CAガスの注入量を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の実施形態に係るガス量推定装置が設置されている運送業者の概略図である。
【
図3】本実施形態のCA冷蔵機器のハードウェア構成図である。
【
図4】本実施形態のガス量推定装置のハードウェア構成図
【
図5】学習フェーズにおけるガス量推定装置の機能ブロック図である。
【
図6】推定フェーズにおけるガス量推定装置の機能ブロック図である。
【
図7】学習フェーズにおける処理を示したフローチャートである。
【
図8】推定フェーズにおける処理を示したフローチャートである。
【
図9】CAモード運転の標準的な処理を示す図である。
【
図10】本実施形態のトラックの変形例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、
図1乃至
図9を用いて、本発明の実施形態について説明する。
【0039】
〔実施形態の概略〕
一般に、冷蔵庫(貯蔵庫)内の空気の組成(酸素濃度、二酸化炭素濃度、窒素濃度、エチレン濃度等)を調節し、青果物等の生鮮品の呼吸作用を抑制して生鮮品に含まれる糖や酸の消耗を防止することで、鮮度の保持期間を大幅に延長することができる。これは、CA(Controlled Atmosphere)貯蔵と呼ばれ、生鮮品の貯蔵法の一つである。CAには、生鮮品の呼吸作用を利用して冷蔵庫内の空気の組成を調整する「パッシブ型」と、冷蔵庫に窒素ガス等を供給することにより、冷蔵庫内の空気の組成を調整する「アクティブ型」が存在する。本実施形態では、これらのうち特に「アクティブ型」を実施する場合について説明する。なお、以降、冷蔵庫内の空気の組成を調整するために供給及び除去のうち少なくとも一方が行われるガスを総称して、「CAガス」と示す。
【0040】
図1は、本発明の実施形態に係るガス量推定装置が設置されている運送業者の概略図である。
図1では、運送業者Aに、出発前の輸送用のトラック1が駐車している。トラック1には、商品(ここでは、生鮮品)を格納するための輸送用コンテナ2(以下、輸送用コンテアは「コンテナ」と示す)が搭載されている。また、運送業者Aにはコンテナ2内に設けられた後述のCAガスボンベ104aに注入するCAガスを溜めるためのガス注入装置4が設置されている。また、運送業者Aには、ガス量推定装置5が設置されている。ガス量推定装置5は、トラック1の輸送時間に基づいて、生鮮品の鮮度を維持するために必要なCAガスの供給量及び除去量を推定するコンピュータの一例である。なお、ガス量推定装置5は、CAガスの供給量又は除去量を推定してもよい。
【0041】
図2は、本実施形態のトラックの概略図である。
図2に示されているトラック1aは、
図1のトラック1の一例である。トラック1aに搭載されているコンテナ2aには、CA冷蔵庫101、CA冷蔵ユニット102、及びバルブ103のセットが複数設けられている。なお、
図2では、説明の便宜上、1セット(CA冷蔵庫、CA冷蔵ユニット、及びバルブ)にのみ符号が付されている。更に、コンテナ2aには、CAガスボンベ104a及びCAガス配管105aが設けられている。
【0042】
CA冷蔵庫101は、高気密で断熱性を有し、冷蔵及びCAガスにより生鮮品の鮮度を一定以上に保つことができる冷蔵庫である。各CA冷蔵庫101には、異なる種類の生鮮品が貯蔵される。例えば、生鮮品としてのアボカドは、呼吸量が多いため、新鮮さを保つには、CA冷蔵庫101からCO2を除去し、その代わりに窒素を供給しないといけない。また、呼吸量が少ない果物は、そのような対応をしなくてもよい。このように、生鮮品の種類によって貯蔵されたCA冷蔵庫101内の環境及び状況が異なるため、各CA冷蔵庫101には、異なる種類の生鮮品が分けて貯蔵される。
【0043】
CA冷蔵ユニット102は、CA冷蔵庫101内の温度や湿度を制御したり、CAガスを制御したりするガス量制御装置の一例である。バルブ103は、CA冷蔵ユニット102による駆動制御によって、CAガスボンベ104aからCAガス配管105aを介して供給されるCAガスのガス量を調整する。
【0044】
CAガスボンベ104aは、
図1のガス量推定装置5によって推定されたCAガスの供給量及び除去量に基づき、ガス注入装置4から注入された所定量のCAガスを貯蔵するボンベである。なお、CAガスボンベ104aは、ガス量推定装置5によって推定されたCAガスの供給量又は除去量に基づき、ガス注入装置4から注入された所定量のCAガスを貯蔵してもよい。CAガスボンベ104aは、ガス処理装置の一例である。ガス処理装置には、CAガスを発生させるCAガス発生装置が含まれる。CAガス発生装置は、大気中の空気成分を分離してCAガスを供給する。CAガス配管105aは、CAガスボンベ104aからCA冷蔵ユニット102にCAガスを供給する際に用いられる。
【0045】
〔ハードウェア構成〕
<CA冷蔵機器のハードウェア構成>
図3は、本実施形態のCA冷蔵機器のハードウェア構成図である。CA冷蔵機器300は、
図2の各CA冷蔵ユニット102に設けられている。なお、CA冷蔵機器300は、コンテナ2a内に設けられ、各CA冷蔵ユニット102に対する処理を行ってもよい。
【0046】
CA冷蔵機器300には、同じセット内のCA冷蔵庫101の環境及び状況を検出するためのセンサ群310が設けられている。センサ群310には、例えば、
図3に示されているように、吸入温度センサ311、湿度センサ312、吹出温度センサ313、O
2(酸素)濃度センサ、CO
2(二酸化炭素)濃度センサ、及びガス消費量センサ316が含まれる。
【0047】
これらのうち、吸入温度センサ311は、CA冷蔵庫101に吸入される気体の温度を検出するためのセンサである。湿度センサ312は、CA冷蔵庫101内の湿度を検出するためのセンサである。吹出温度センサ313は、CA冷蔵庫101から吹き出される気体の温度を検出するためのセンサである。O2濃度センサは、CA冷蔵庫101内のO2の濃度を検出するためのセンサである。CO2濃度センサは、CA冷蔵庫101内のCO2の濃度を検出するためのセンサである。ガス消費量センサ316は、CA冷蔵庫101におけるCAガスの消費量を検出するためのセンサである。なお、センサ群310には、CA冷蔵庫101内の窒素濃度を検出するための窒素濃度センサ、又はCA冷蔵庫101内のエチレン濃度を検出するためのエチレン濃度センサが含まれてもよい。
【0048】
また、CA冷蔵機器300には、設定値入力装置321、CA冷蔵庫制御装置322、及び表示装置323が設けられている。
【0049】
これらのうち、設定値入力装置321は、ユーザ(トラックの運転手等)によって、CA冷蔵庫101内の環境及び状況の各設定値を入力する装置である。例えば、
図3に示されているように、設定値は、設定温度、設定O
2濃度、及び設定CO
2濃度、並びに生鮮品の設定種類及び設定量である。なお、以降、「設定種類及び設定量」は「設定種類及び量」と示す。
また、設定値には、少なくとも、生鮮品の設定種類及び量が含まれれば、設定窒素濃度、又は設定エチレン濃度が含まれてもよい。
【0050】
CA冷蔵庫制御装置322は、設定値入力装置321に入力された各設定値に基づいて、CA冷蔵庫101内の温度及び湿度の制御等を行う装置である。なお、CA冷蔵庫制御装置322は、CA冷蔵庫101内の温度又は湿度の制御等を行ってもよい。
【0051】
表示装置323は、設定値入力装置321に入力された各設定値を表示したり、センサ群310の検出結果を表示したりする装置である。表示装置323には、設定値や検出結果を表示するためのディスプレイが設けられている。
【0052】
<ガス量推定装置のハードウェア構成>
図4は、本実施形態のガス量推定装置のハードウェア構成図である。
図4は、ガス量推定装置なハードウェア構成図である。
図4に示されているように、ガス量推定装置5は、制御部501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503、記憶装置504、キーボード506、ディスプレイ507、外部機器I/F508、ネットワークI/F509、及びバスライン510を備えている。
【0053】
これらのうち、制御部501は、CPU(Central Processing Unit)によって構成されているが、GPGPU(General-purpose computing on graphics processing units)を含んでいてもよい。制御部501は、ガス量推定装置5全体の動作を制御する。
【0054】
ROM502は、制御部501の処理に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、制御部501のワークエリアとして使用される。
【0055】
記憶装置504は、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)、又はフラッシュメモリによって構成されている。記憶装置504は、制御部501の制御に従って、ガス量推定装置で実行されるプログラム等の各種データの読み出し又は書き込みを行う。各種データには、機械学習用のデータセットが含まれる。本実施形態における機械学習用のデータセットは、CA冷蔵機器300の駆動時のガス消費量に相関するデータと、CA冷蔵機器300の駆動時のガス消費量を示すガス量データである。これらのデータに関しては、後ほど、詳細に説明する。
【0056】
キーボード506は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。
【0057】
ディスプレイ507は、データ、画像、及び各種アイコン等を表示する液晶や有機EL(Electro Luminescence)等の表示手段の一種である。
【0058】
外部機器I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、表示手段の一例としての外付けのディスプレイ、入力手段の一例としてのマウス、キーボード、又はマイク、及び出力手段の一例としてのプリンタ又はスピーカ、記憶手段の一例としてのUSB(Universal Serial Bus)メモリ等である。
【0059】
ネットワークI/F509は、インターネット等の通信ネットワークを介して、ガス量推定装置5以外の操作端末やサーバと、データ通信を行う。
【0060】
バスライン510は、
図5に示されている制御部501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0061】
〔機能構成〕
<学習フェーズ>
図5は、学習フェーズにおけるガス量推定装置の機能ブロック図である。
図5に示されているように、学習フェーズにおけるガス量推定装置5は、入力部51、及び学習部52を有している。これら各部は、プログラムに基づき
図4の制御部501による命令によって実現される機能である。
【0062】
入力部51は、
図3のセンサ群310から、CA冷蔵庫101内のガス消費量に相関するデータを入力する。ガス消費量に相関するデータには、庫内の温度データ、庫内の湿度データ、庫内のO
2濃度データ、及び庫内のCO
2濃度データ等が含まれている。なお、ガス消費量に相関するデータは、庫内の温度データ、庫内の湿度データ、庫内のO
2濃度データ、及び庫内のCO
2濃度データのうち少なくとも1つのデータであってもよい。例えば、ガス消費量に相関するデータは、庫内のO
2濃度データ又は庫内のCO
2濃度データであってもよい。
【0063】
また、入力部51は、設定値入力装置321から、設定温度、設定O2濃度、設定CO2濃度、並びに生鮮品の設定種類及び量の各設定値のデータを入力する。なお、入力部51は、設定温度、設定O2濃度、設定CO2濃度、並びに生鮮品の設定種類及び量の各設定値のデータのうち、少なくとも生鮮品の設定種類及び量のデータを入力してもよい。例えば、入力部51は、生鮮品の設定種類及び量の各データに加えて、設定O2濃度又は設定CO2濃度のデータを入力してもよい。
【0064】
学習フェーズでは、ガス量推定装置5は、トラック1aに搭載されたCA冷蔵機器300の各出力データを記憶しておく記憶装置から、輸送後に各出力データ(ガス消費量に相関するデータ、設定温度のデータ等)を入力する。また、ガス量推定装置5を運送業者Aに設置せず、トラック1aに搭載し、ガス量推定装置5が、輸送中に直接、各出力データ(ガス消費量に相関するデータ、設定温度のデータ等)を入力してもよい。
【0065】
学習部52は、機械学習モデルを有し、ニューラルネットワーク等の機械学習アルゴリズムを用いた機械学習によって、高い精度の出力が可能な機械学習モデルを生成する。本実施形態の機械学習モデルは、CA冷蔵機器運転時のガス消費モデル50である。例えば、学習部52は、少なくとも、CA冷蔵庫101に収納される生鮮品の種類及び量に関する情報を入力データとし、所定時間にCA冷蔵庫101に対するCAガスの供給量及び除去量を出力データとする。出力データは、酸素、二酸化炭素、窒素、又はエチレンに関するデータである。
【0066】
また、学習部52は、比較変更部53を有しており、CA冷蔵機器運転時のガス消費モデル50より出力された出力データとしてのガス量データと、正解データとしての真のガス量データ(CAガスの供給量又は処理量のデータ)とを比較し、誤差に応じてCA冷蔵機器運転時のガス消費モデル50のモデルパラメータを変更する。これにより、学習部52では、CA冷蔵機器運転時のガス消費モデル50の機械学習を行い、後述の学習済みCA冷蔵機器駆動時のガス消費モデル60を生成することができる。
【0067】
<推定フェーズ>
図6は、推定フェーズにおけるガス量推定装置の機能ブロック図である。
図6に示されているように、推定フェーズにおけるガス量推定装置5は、入力部61、推定部62、及び出力部64を有している。これら各部は、プログラムに基づき
図4の制御部501による命令によって実現される機能である。
【0068】
ガス量推定装置5は、トラック1aが運送業者Aから出発する前に、有線又は無線により、CA冷蔵機器300から各データを取得することが可能である。トラック1aが運送業者Aから出発する前に、CA冷蔵庫101が駆動開始することにより、入力部51は、
図3のセンサ群310から、駆動開始時のガス消費量に相関するデータを入力する。駆動開始時のガス消費量に相関するデータには、庫内の温度データ、庫内の湿度データ、庫内のO
2濃度データ、及び庫内のCO
2濃度データ等が含まれている。なお、基本的に、推定フェーズにおける駆動開始時のガス消費量に相関するデータの種類(庫内の温度データ等)は、学習フェーズにおけるガス消費量に相関するデータの種類と同じである。
【0069】
また、入力部51は、設定値入力装置321から、設定温度、設定O2濃度、設定CO2濃度、並びに生鮮品の設定種類及び量の各設定値のデータを入力し、更に設定値として設定輸送時間のデータを入力する。なお、基本的に、推定フェーズにおける設定値の種類(設定温度等)は、学習フェーズにおける設定値の種類と同じである。
【0070】
推定部62は、学習部52により生成されたCA冷蔵機器駆動時のガス消費モデル60を有する。例えば、推定部62は、少なくとも、CA冷蔵庫101に収納される生鮮品の種類及び量に関する情報を入力データとし、所定時間にCA冷蔵庫101に対するCAガスの供給量及び除去量を推定し出力データとする。なお、推定部62は、CAガスの供給量又は除去量を推定してもよい。具体的には、推定部62は、出力データにCAガスの供給量が含まれている場合にはCAガスの供給量を推定し、又は出力データにCAガスの除去量が含まれている場合にはCAガスの除去量を推定する。
【0071】
更に、推定部62は、累積処理部63を有する。累積処理部63は、学習済みCA冷蔵機器駆動時のガス消費モデル60から取得した出力データであるガス量データと、入力部61から取得した設定輸送時間のデータに基づいて、設定輸送時間のガス総消費量推定値を算出する。ガス総消費量推定値は、CAガスの供給量及び除去量に関する推定値である。CA冷蔵庫101が複数ある場合、累積処理部63は、各CA冷蔵庫に対するガス総消費量推定値を算出する。なお、ガス総消費量推定値は、CAガスの供給量又は除去量に関する推定値であってもよい。例えば、出力データであるガス量データがCAガスの供給量及び除去量を示す場合には、ガス総消費量推定値はCAガスの供給量及び除去量の少なくとも一方に関する推定値である。出力データであるガス量データがCAガスの供給量を示す場合には、ガス総消費量推定値はCAガスの供給量に関する推定値である。また、出力データであるガス量データがCAガスの除去量を示す場合には、ガス総消費量推定値はCAガスの除去量に関する推定値である。除去量は、処理量の一例である。
【0072】
また、累積処理部63は、生鮮品の種類及び量に基づいて複数のCA冷蔵庫101のそれぞれのCAガスのガス量を制御するCA冷蔵ユニット102の数を、複数のCA冷蔵庫100のそれぞれにおけるCAガスの供給量又は処理量に応じて算出してもよい。
【0073】
出力部64は、累積処理部63によって算出されたガス総消費量推定値を取得し、ディスプレイ507、又は外部機器I/F508を介して上述の外部機器に出力する。
【0074】
〔実施形態の処理又は動作〕
続いて、
図7乃至
図9を用いて、本実施形態の処理又は動作について説明する。
【0075】
<学習フェーズにおける処理>
図7は、学習フェーズにおける処理を示したフローチャートである。
図7に示されているように、入力部51は、
図3のセンサ群310が出力したCA冷蔵庫101内のガス消費量に相関するデータを入力すると共に、設定値入力装置321が出力した、設定温度、設定O
2濃度、及び設定CO
2濃度、並びに生鮮品の設定種類及び量の各データを入力データとして入力する(S11)。
【0076】
次に、学習部52は、ニューラルネットワーク等の機械学習アルゴリズムを用いた機械学習によって、CA冷蔵機器運転時のガス消費モデル50の学習を行い、学習済みCA冷蔵機器駆動時のガス消費モデル60を生成する(S12)。
【0077】
次に、学習部52は、機械学習が終了するか否かを判断する(S13)。そして、終了しない場合には(S13;NO)、上記ステップS11に戻り処理を続ける。一方、終了する場合には(S13;YES)、学習フェーズにおける処理が終了する。
【0078】
<推定フェーズにおける処理>
図8は、推定フェーズにおける処理を示したフローチャートである。
図9に示されているように、入力部61は、
図3のセンサ群310が出力したCA冷蔵庫101内のガス消費量に相関するデータを入力すると共に、設定値入力装置321が出力した、設定温度、設定O
2濃度、及び設定CO
2濃度、並びに生鮮品の設定種類及び量、更には設定輸送時間の各データを入力データとして入力する。(S21)。
【0079】
次に、推定部62は、CA冷蔵庫101に収納される生鮮品の種類及び量に関する情報を入力データとし、所定時間にCA冷蔵庫101に対するCAガスの供給量及び除去量を推定し出力データとする(S22)。なお、推定部62は、CAガスの供給量又は除去量を推定してもよい。
【0080】
次に、推定部62の累積処理部63は、学習済みCA冷蔵機器駆動時のガス消費モデル60から取得した出力データであるガス量データと、入力部61から取得した設定輸送時間のデータに基づいて、設定輸送時間のガス総消費量推定値を算出する(S23)。
【0081】
次に、出力部64は、累積処理部63によって算出されたガス総消費量推定値を取得し、ディスプレイ507、又は外部機器I/F508を介して上述の外部機器に出力する(S24)。これにより、推定フェーズにおける処理が終了する。
【0082】
以上により、
図1に示すように、ユーザがガス注入装置4からコンテナ2a内のCAガスボンベ104aに所定量のCAガスを注入する際に、ステップS24によって出力されたガス総消費量推定値に基づいて、輸送時間を考慮したCAガス量のCAガスを注入することができる。この場合、ユーザは、念のために、CAガスボンベ104a内に注入可能な範囲内で、ステップS24によって出力されたガス総消費量推定値以上のCAガス量のCAガスを注入してもよい。
【0083】
<CA制御>
図9は、CAモード運転の標準的な処理を示す図である。
【0084】
トラック1aの輸送時に、CA冷蔵機器300のCA冷蔵庫制御装置322は、
図2に示されているように、コンテナ2a内のCA冷蔵庫101を、大気状態から酸素濃度低減モード、更に空気組成調整モードへ推移することにより、目的の空気組成に制御する。
【0085】
酸素濃度低減モードは、CA冷蔵機器300の起動後t1(秒)からt2(秒)において、低濃度酸素ガスの供給と生鮮品の呼吸により、O2濃度を設定濃度へ近づける運転モードである。なお、CA冷蔵機器の起動後、「酸素濃度低減モード」へ自動的に遷移する。
【0086】
空気組成調整モードは、t2(秒)から、低濃度酸素ガスの供給と外気供給による換気及び生鮮品の呼吸によりO2濃度とCO2濃度を調整する運転モードである。なお、O2濃度が設定濃度に到達すると、「空気組成調整モード」へ自動で遷移する。
【0087】
〔変形例〕
図10は、本実施形態のトラックの変形例の概略図である。
【0088】
図10に示されているトラック1bは、
図1のトラック1の一例である。トラック1bに搭載されているコンテナ2bには、CA冷蔵庫101、CA冷蔵ユニット102、CAガスボンベ104b、及びCAガス配管105bのセットが複数設けられている。なお、
図10では、説明の便宜上、1セット(CA冷蔵庫101、CA冷蔵ユニット102、CAガスボンベ104b、及びCAガス配管105b)にのみ符号が付されている。
【0089】
CA冷蔵庫101及びCA冷蔵ユニット102は、上記実施形態において既に説明したため、これらの説明を省略する。
【0090】
CAガスボンベ104bは、
図2におけるCAガスボンベ104aが小型化されたものである。なお、CAガスボンベ104bは、ガス処理装置の一例である。CAガス配管105bは、
図2のCAガス配管105aよりも短い管であり、CAガスボンベ104bからCA冷蔵ユニット102にCAガスを供給する際に用いられる。
【0091】
この変形例の場合、ガス量推定装置5は、複数のCAガスボンベ104bのそれぞれのガス総消費量を推定する。
【0092】
〔実施形態の主な効果〕
以上説明したように本開示の第1の態様によれば、CAガスの注入量を最適化することができるという効果を奏する。
【0093】
第2の態様によれば、機械学習により学習した結果を用いることで、CAガスの注入量を最適化することができる。
【0094】
第3の態様によれば、テーブルデータを用いることで、CAガスの注入量を最適化することができる。
【0095】
第4の態様によれば、入力データに生鮮品の輸送中のCA冷蔵庫内の温度又は湿度が含まれることにより、より高い精度でCAガスの注入量を最適化できる。
【0096】
第5の態様によれば、生鮮品の輸送時間を考慮することにより、比較的輸送時間が長い場合でも、より高い精度でCAガスの注入量を最適化できる。
【0097】
第6の態様によれば、CAガスの供給量又は除去量を推定することにより、より高い精度でCAガスの注入量を最適化できる。
【0098】
第7の態様によれば、複数のCA冷蔵庫による輸送の場合であっても、複数のCA冷蔵庫のそれぞれのCAガスのガス量を制御するガス量制御装置の数を算出することができる。
【0099】
第8の態様によれば、出力データが、酸素、二酸化炭素、窒素、又はエチレンである場合も対応することができる。
【0100】
第9の態様によれば、CAガスの注入量が最適化されたCAガスボンベ等のガス処理装置を用意することができる。
【0101】
第10の態様によれば、CAガスの注入量が最適化されたCAガスボンベ等のガス処理装置を備えた輸送用コンテナを用意することができる。
【0102】
第11の態様によれば、生鮮品の種類及び量に基づいてCAガスの注入量が最適化されたCAガスボンベ等のガス処理装置を用意することができる。
【0103】
第12の態様によれば、CAガスの注入量を最適化することができる。
第2の態様によれば、入力データに生鮮品の輸送中のCA冷蔵庫内の温度又は湿度が含まれることにより、より高い精度でCAガスの注入量を最適化できる。
【0104】
第13の態様によれば、機械学習により学習した結果を用いることで、CAガスの注入量を最適化することができる。
【0105】
第14の態様によれば、テーブルデータを用いることで、CAガスの注入量を最適化することができる。
【0106】
第15の態様によれば、CAガスの注入量を最適化することができる。
【0107】
〔補足〕
本発明は上述の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、以下に示すような構成又は処理(動作)であってもよい。
【0108】
上記実施形態では、制御部501が、CA冷蔵庫101に収納される生鮮品の種類及び量に関する情報である入力データと、真のCAガスの供給量又は処理量との関係を機械学習により学習した結果を用いて、CAガスの供給量又は処理量を計算したが、これに限るものではない。例えば、制御部501が、CA冷蔵庫101に収納される生鮮品の種類及び量に関する情報である入力データと、真のCAガスの供給量又は処理量との関係を、テーブルデータを用いて、前記CAガスの供給量又は処理量を計算してもよい。この場合、テーブルデータには、CA冷蔵庫101に収納される生鮮品の種類及び量に関する情報と、真のCAガスの供給量又は処理量に関する情報とが関連付けて管理されている。
【0109】
上記実施形態では、CA冷蔵庫101はトラック1に搭載されたコンテナ2内に設けられているが、これに限るものではない。例えば、CA冷蔵庫101がCA冷蔵配送箱であっても良い。また、CA冷蔵庫101は冷蔵装置が完備されたCAトラックトレーラ内に設けられてもよい。
【0110】
コンテナ2には、海上コンテナも含まれる。この場合、トラック1に代えて、船舶が海上コンテナを輸送する。
【0111】
更に、ガス量推定装置3の機能を実現するためのプログラムは、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に記録して流通することも可能であり、インターネット等の通信ネットワークを介して広く提供することも可能である。
【0112】
また、制御部501は、複数のCPUによって構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0113】
以上説明したように、本開示は、ガス量推定装置、ガス処理装置、輸送用コンテナ、ガス量推定方法、及びプログラムの技術分野において有用である。
【符号の説明】
【0114】
1 トラック
2 コンテナ
4 ガス注入装置
5 ガス量推定装置
50 CA冷蔵機器駆動時のガス消費モデル
51 入力部
52 学習部
53 比較変更部
60 学習済みCA冷蔵機器駆動時のガス消費モデル
61 入力部
62 推定部
63 累積処理部
64 出力部
101 CA冷蔵庫
102 CA冷蔵ユニット(ガス量制御装置の一例)
103 バルブ
104a CAガスボンベ(ガス処理装置の一例)
104b CAガスボンベ(ガス処理装置の一例)
105a CAガス配管
105b CAガス配管
501 制御部