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特許7406194両面粘着テープ及び防草シートの設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】両面粘着テープ及び防草シートの設置方法
(51)【国際特許分類】
   A01M 21/00 20060101AFI20231220BHJP
   C09J 7/24 20180101ALI20231220BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20231220BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
A01M21/00 A
C09J7/24
C09J7/38
C09J133/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020007879
(22)【出願日】2020-01-21
(65)【公開番号】P2021112175
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】591246447
【氏名又は名称】谷口産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591058415
【氏名又は名称】株式会社大共
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】溝上 正典
(72)【発明者】
【氏名】渡部 利彦
【審査官】上坊寺 宏枝
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-106092(JP,A)
【文献】登録実用新案第3141200(JP,U)
【文献】特開2005-34013(JP,A)
【文献】特開2000-219746(JP,A)
【文献】特開2004-331696(JP,A)
【文献】特開2004-67857(JP,A)
【文献】国際公開第2011/010507(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 21/00
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
織布製の又は不織布製の防草シートを貼り合わせるための両面粘着テープであって、
直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする基材と、
前記基材の両面に配されている2つの粘着剤層とを備える、両面粘着テープ。
【請求項2】
2つの前記粘着剤層のそれぞれは、アクリル系粘着剤を主成分とする、請求項1に記載の両面粘着テープ。
【請求項3】
前記基材は、2つの前記粘着剤層のうち少なくとも一方の厚さよりも小さい厚さを有する、請求項1又は2に記載の両面粘着テープ。
【請求項4】
前記基材は、10マイクロメートル以上40マイクロメートル以下の厚さを有する、請求項1から3のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項5】
前記両面粘着テープを横断するように形成されたミシン目を複数備え、
前記複数のミシン目は、前記両面粘着テープの長手方向において互いに間隔を空けて設けられている、請求項1から4のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項6】
両面粘着テープの一面を被着体に貼着するためのアプリケータの回転部が取り付けられる巻き芯と、
両面に剥離性を有する1つの剥離ライナーとを備え、
前記基材及び2つの前記粘着剤層を含むテープ本体と前記剥離ライナーとが重ねられている状態で、前記巻き芯を中心にロール状に巻回されている、請求項1から5のいずれかに記載の両面粘着テープ。
【請求項7】
前記剥離ライナーは、径方向外側の面よりも径方向内側の面のほうが高い剥離性を有するように構成されており、
巻回されたロールから前記テープ本体を前記剥離ライナーと共に巻き戻した場合に、一方の前記粘着剤層が前記ロールの外周面に露出する、請求項6に記載の両面粘着テープ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の両面粘着テープを用いた、織布製の又は不織布製の防草シートの設置方法であって、
表面の一部に前記両面粘着テープの第一粘着面が貼り付けられた第一の防草シートから、前記両面粘着テープの剥離ライナーを取り除き、当該両面粘着テープの第二粘着面を露出させるステップと、
前記第二粘着面を覆うように前記第一の防草シートに対して第二の防草シートを配置するステップと、
前記両面粘着テープが挟まれている部位において、前記第一の防草シート及び前記第二の防草シートの一方を他方に向けて押し付けるステップとを含む、防草シートの設置方法。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の両面粘着テープが取り付けられた回転部を有するアプリケータを用いた、織布製の又は不織布製の防草シートの設置方法であって、
設置面に第一の防草シートを配置するステップと、
配置された前記第一の防草シートの上面の一部に、前記アプリケータを用いて前記両面粘着テープの外周面を前記第一の防草シートに押し付けながら前記回転部を回転させて、前記両面粘着テープの第一粘着面を貼り付けるステップと、
前記第一の防草シートに貼り付けられた前記両面粘着テープの剥離ライナーを取り除き、当該両面粘着テープの第二粘着面を露出させるステップと、
前記第二粘着面を覆うように、前記第一の防草シートの上に第二の防草シートを配置するステップと、
前記両面粘着テープが挟まれている部位において、前記第二の防草シートの上から前記第二の防草シートを下方に押し付けるステップとを含む、防草シートの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織布製の又は不織布製の防草シートを貼り合わせるための両面粘着テープ及び防草シートの設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地面等から草木が生えることを防止するための防草シート(防草マットも含まれる)が広く用いられている。例えば、道路脇の設置面を覆うように防草シートを設置(敷設)することにより、雑草等が発生することを防止することができる。そうすると、定期的な除草作業を不要としたり、除草作業の頻度を下げたりすることができ、道路維持コストを低減することが可能となる(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-106092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来、織布製の又は不織布製の防草シートの設置作業を容易に行うことができないという課題があった。このような課題の一具体例について、以下に説明する。
【0005】
一般的に、防草シートは、製品毎に所定の寸法を有する、可搬性のある資材である。このような防草シートを用いて、様々な形状や広さを有する設置面が完全に覆われるようにするには、複数の防草シート片を設置面上に並べることが必要である。並べられた防草シートは、例えば、防草シートを貫通するようにして固定ピンを設置面に打設することなどにより固定される。
【0006】
ところで、固定ピンを設けることだけでは、大きな防草効果が期待できないという問題がある。すなわち、防草シート同士を、部分的に重なるようにして設置面上から見て隙間がないように配置したとしても、固定ピンと固定ピンとの間の部位において、重ねられた防草シート間に隙間が生じる。そうすると、その隙間から光が入射することにより、雑草等が発生する場合がある。また、土砂が、重ねられた防草シート間に生じた隙間に溜まり、溜まった土砂に雑草の飛来種子が落ちて着根することにより、雑草が発生する場合がある。また、重ねられた防草シート間に隙間が生じていると、強風が当該隙間に入り込んで、防草シートが設置面から剥がれてしまい、設置面の土地が露出してしまう場合もある。
【0007】
そこで、従来、より大きな防草効果が得られるように、以下のような、粘着テープや接着剤を用いて、防草シートを部分的に重ね合わせた状態で保持する施工方法が採用される場合がある。
【0008】
図9は、従来の、粘着テープを用いた防草シートの施工方法について説明する図である。
【0009】
粘着テープを用いた防草シートの施工方法は、例えば以下のような方法である。すなわち、図に示されるように、2つの防草シート801,802同士を、例えば10センチメートルの幅寸法を有する重ね代をとって重ね、固定ピン803を打設する(ステップS811)。そして、2つの防草シート801,802同士を重ね合わせた上から粘着テープ805を貼り付けて、粘着テープ805によって重なり部分の端部Eを覆う(ステップS812)。粘着テープ805としては、例えば、基材としてPVC軟質塩化ビニール(PVC)製のものを用い、粘着剤としてアクリル系粘着剤を用いたものが用いられる。
【0010】
このような粘着テープを用いた施工方法によれば、粘着テープに粘着剤が塗布されているので、粘着剤の塗布量についての管理を行う必要がなく、粘着剤を均一に用いて被着体を固定することができる。また、防草シートに粘着剤を塗布する工程は必要ではないので、短時間で施工を行うことができる。
【0011】
一方で、粘着テープを用いた施工方法においては、以下のような問題がある。すなわち、重なり部分の端部を粘着テープにより覆う形をとるので、粘着テープが防草シートに粘着する面積が狭くなる。また、防草シートの厚みによって重なり部分の端部において約2ミリメートルから4ミリメートルの段差が生じるところ、粘着テープが防草シートに沿うように十分に圧着がされていないと、粘着テープと防草シートとの間に生じる隙間が生じる場合がある。粘着テープと防草シートとの間に隙間があると、その隙間に雨水等が入り込むことにより、粘着テープが剥がれやすくなる。
【0012】
図10は、従来の、接着剤を用いた防草シートの施工方法について説明する図である。
【0013】
接着剤を用いた防草シートの施工方法は、例えば以下のような方法である。すなわち、図に示されるように、2つの防草シート801,802を、例えば10センチメートルの幅寸法を有する重ね代をとって重ねて大まかな位置決めを行う(ステップS821)。そして、上側にある防草シート802をめくり、下側の防草シート801の重ね代に接着剤825を塗布する(ステップS822;図においてハッチングは塗布部分を示す)。その後、例えば数分から数十分のオープンタイムが経過した後、めくっておいた上側の防草シート802を元に戻して、重ね代部分の上から圧力を加え(「転圧する」ということがある)、2枚の防草シート801,802を接着する(ステップS823)。接着後、重ね代部分の上から固定ピン803を打設してもよい。その後、所定期間の養生期間を経て、確実な接着力が得られるようになる。
【0014】
このような接着剤を用いた施工方法では、以下のような利点がある。すなわち、適正な方法で接着剤を用いることができれば、高い接着力を得ることができる。また、比較的安価である接着剤を用いることができ、施工に必要な材料費を低減することができる。
【0015】
一方で、接着剤を用いた施工方法においては、以下のような問題がある。すなわち、接着剤は液状であるため、織布又は不織布製である防草マットを被着体とする場合には、防草マットによっては接着剤の吸い込みが激しくなる場合があり、単位面積当たりに使用される接着剤の量が変動しやすい。また、施工作業を行う作業担当者によって接着剤を塗布する量や範囲が変動し、使用される接着剤の量が一律にならない場合がある。また、接着剤の塗布量にムラ(塗りムラ)が生じることがあり、均一な接着力が得られなかったり、必要量以上の量の接着剤が使用される場合がある。また、接着剤の粘度や、必要な接着力を得られるまでにかかる時間(オープンタイムや養生期間)は、気温などの気候の影響を受けやすい。そのため、使用する接着剤の選定が必要となったり、接着剤の使用にスキルが必要となったりする。また、オープンタイムの管理は厳格的に行う必要があるため、施工作業の難度が比較的高いという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本第一の発明の両面粘着テープは、織布製の又は不織布製の防草シートを貼り合わせるための両面粘着テープであって、直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする基材と、基材の両面に配されている2つの粘着剤層とを備える、両面粘着テープである。
【0017】
かかる構成により、織布又は不織布製の防草シートの設置作業を容易に行うことができる。
【0018】
また、本第二の発明の両面粘着テープは、第一の発明に対して、2つの粘着剤層のそれぞれは、アクリル系粘着剤を主成分とする、両面粘着テープである。
【0019】
かかる構成により、両面粘着テープの防草シートに対する接着力を高くすることができる。
【0020】
また、本第三の発明の両面粘着テープは、第一又は二の発明に対して、基材は、2つの粘着剤層のうち少なくとも一方の厚さよりも小さい厚さを有する、両面粘着テープである。
【0021】
かかる構成により、両面粘着テープを防草シートに追従させて確実に防草シートに付着させることができる。
【0022】
また、本第四の発明の両面粘着テープは、第一から三のいずれかの発明に対して、基材は、10マイクロメートル以上40マイクロメートル以下の厚さを有する、両面粘着テープである。
【0023】
かかる構成により、テープとしての安定性を高めながら粘着層を防草シートの表面に容易に付着させることができ、防草シートの設置作業をより効率的に行うことができる。
【0024】
また、本第五の発明の両面粘着テープは、第一から四のいずれかの発明に対して、両面粘着テープを横断するように形成されたミシン目を複数備え、複数のミシン目は、両面粘着テープの長手方向において互いに間隔を空けて設けられている、両面粘着テープである。
【0025】
かかる構成により、ミシン目を利用して両面粘着テープを容易に切断することができ、防草シートの設置作業をより容易に行うことができる。
【0026】
また、本第六の発明の両面粘着テープは、第一から五のいずれかの発明に対して、両面粘着テープの一面を被着体に貼着するためのアプリケータの回転部が取り付けられる巻き芯と、両面に剥離性を有する1つの剥離ライナーとを備え、基材及び2つの粘着剤層を含むテープ本体と剥離ライナーとが重ねられている状態で、巻き芯を中心にロール状に巻回されている、両面粘着テープである。
【0027】
かかる構成により、織布又は不織布製の防草シートの設置作業を容易に行うことができる。
【0028】
また、本第七の発明の両面粘着テープは、第六の発明に対して、剥離ライナーは、径方向外側の面よりも径方向内側の面のほうが高い剥離性を有するように構成されており、巻回されたロールからテープ本体を剥離ライナーと共に巻き戻した場合に、一方の粘着剤層がロールの外周面に露出する、両面粘着テープである。
【0029】
かかる構成により、アプリケータを用いて両面粘着テープを防草シートの表面に転圧をかけながら両面粘着テープのロールを回転させることができ、容易に両面粘着テープを防草シートに貼り付ける作業を行うことができる。
【0030】
また、本第八の発明の防草シートの設置方法は、第一から七のいずれかの発明に係る両面粘着テープを用いた、織布製の又は不織布製の防草シートの設置方法であって、表面の一部に両面粘着テープの第一粘着面が貼り付けられた第一の防草シートから、両面粘着テープの剥離ライナーを取り除き、両面粘着テープの第二粘着面を露出させるステップと、第二粘着面を覆うように第一の防草シートに対して第二の防草シートを配置するステップと、両面粘着テープが挟まれている部位において、第一の防草シート及び第二の防草シートの一方を他方に向けて押し付けるステップとを含む、防草シートの設置方法である。
【0031】
かかる構成により、織布又は不織布製の防草シートを容易に設置することができる。
【0032】
また、本第九の発明の防草シートの設置方法は、第六又は七のいずれかの発明に係る両面粘着テープが取り付けられた回転部を有するアプリケータを用いた、織布製の又は不織布製の防草シートの設置方法であって、設置面に第一の防草シートを配置するステップと、配置された第一の防草シートの上面の一部に、アプリケータを用いて両面粘着テープの外周面を第一の防草シートに押し付けながら回転部を回転させて、両面粘着テープの第一粘着面を貼り付けるステップと、第一の防草シートに貼り付けられた両面粘着テープの剥離ライナーを取り除き、両面粘着テープの第二粘着面を露出させるステップと、第二粘着面を覆うように、第一の防草シートの上に第二の防草シートを配置するステップと、両面粘着テープが挟まれている部位において、第二の防草シートの上から第二の防草シートを下方に押し付けるステップとを含む、防草シートの設置方法である。
【0033】
かかる構成により、アプリケータを用いて、施工現場において織布又は不織布製の防草シートを容易に設置することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明による両面粘着テープによれば、織布製の又は不織布製の防草シートの設置作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の実施の形態の1つに係る両面粘着テープを模式的に示す図
図2】同両面粘着テープの層構造を模式的に説明する図
図3】同両面粘着テープに設けられているミシン目の一例を示す図
図4】同両面粘着テープとアプリケータとを示す図
図5】本実施の形態における防草シートの設置例について説明する断面図
図6】同両面粘着テープを用いた防草シートの設置方法の一例を示す第1の図
図7】同防草シートの設置方法の一例を示す第2の図
図8】本実施の形態の一変形例に係るアプリケータを示す図
図9】従来の、粘着テープを用いた防草シートの施工方法について説明する図
図10】従来の、接着剤を用いた防草シートの施工方法について説明する図
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、防草シート用の両面粘着テープ等の実施形態の1つについて図面を参照して説明する。
【0037】
(実施の形態)
【0038】
本実施の形態において、両面粘着テープは、織布製の又は不織布製の防草シートを貼り合わせるために用いられるものである。
【0039】
本実施の形態において、防草シートは、例えば、ポリエステル製の繊維を用いて構成された不織布製の防草シートである。防草シートの厚さは、例えば、3ミリメートルから4ミリメートルである。防草シートは、例えば、所定の寸法の幅(例えば、1メートル)を有する帯状のシートであって、巻き芯を中心に巻回された巻物状(ロール状)の資材として流通、運搬されるものである。なお、防草シートの材質や寸法等は、これに限られない。例えば、他の化学繊維を用いて構成されたものであってもよいし、天然繊維を用いて構成されたものであってもよい。防草シートは、マットと呼ばれるものであってもよく、例えば、所定の寸法のタイル状の片として流通するものであってもよい。
【0040】
防草シートは、例えば、整地した土地などの設置面を覆うように1又は2以上配置され、設置面からの雑草等の発生を防ぐ防草敷設体を構成する。広い設置面では、2以上の防草シートが互いに一部が重なるようにして配置されて、防草敷設体が構成される。
【0041】
[両面粘着テープの構成についての説明]
【0042】
図1は、本発明の実施の形態の1つに係る両面粘着テープを模式的に示す図である。図2は、同両面粘着テープ1の層構造を模式的に説明する図である。
【0043】
図1に示されるように、両面粘着テープ1は、テープ本体2、剥離ライナー40、巻き芯50、及びミシン目90を備える。両面粘着テープ1は、テープ本体2と剥離ライナー40とが重ねられている状態で、巻き芯50を中心にロール状に巻回されている。
【0044】
図2において、二点鎖線で囲まれた部分は、両面粘着テープ1の層構造を模式的に拡大して示すものである。
【0045】
図2に示されるように、テープ本体2は、基材5、第一粘着剤層10、及び第二粘着剤層20を含む。本実施の形態において、テープ本体2は、径方向外側(ロール状に巻かれている状態の両面粘着テープ1において外側)に位置する第一粘着剤層10と、径方向内側(ロール状に巻かれている状態の両面粘着テープ1において内側)に位置する第二粘着剤層20との間に基材5が挟まれている構造を有する。
【0046】
第一粘着剤層10は、テープ本体2の径方向外側の表面となる第一粘着面11を有する。また、第二粘着剤層20は、テープ本体2の径方向内側の表面となる第二粘着面22を有する。
【0047】
本実施の形態において、2つの粘着剤層10,20のそれぞれは、アクリル系粘着剤である。このアクリル系粘着剤は、凹凸のある表面を有する被着体に対して、高い密着性及び投錨効果を発揮する特性を有している。そのため、繊維の絡み合った構造を有する防草シートの表面に対して、2つの粘着剤層10,20のそれぞれは、良好な粘着力を有する。特に、アクリル系粘着剤は、本実施の形態において防草シートの素材となっているポリエステルに対して、高い粘着力を発揮する。なお、アクリル系粘着剤は、比較的高い凝集力を有するように構成されていることが好ましい。これにより、粘着剤層10,20が破壊することなく、被着体への密着性及び投錨効果を、最大限に引き出すことができる。なお、2つの粘着剤層10,20のそれぞれは、アクリル系粘着剤のほかに他種の物質を含むものであってもよく、アクリル系粘着剤を主成分として含むものであればよい。
【0048】
基材5は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE(Linear Low Density Polyethylene)と呼ばれることもある)を主成分とする。本実施の形態において、基材5は、直鎖状低密度ポリエチレン製のフィルムである。このように構成することにより、テープ本体2の追従性をより高くすることができる。
【0049】
両面粘着テープ1は、基材5を含むことにより、基材を有しないウェブレスの粘着テープよりも引張強さが高く、のり剥がれが発生しにくく、テープとしての安定性が高いものとなる。そのため、両面粘着テープ1を被着体に貼り付けやすくなり、施工性が向上する。また、基材5が直鎖状低密度ポリエチレンを主成分としているので、両面粘着テープ1が、比較的コシが弱く、柔らかいテープとなる。そのため、凹凸のある表面に対する追従性が高くなる。また、両面粘着テープ1が柔らかいことから、転圧されたときに、テープの両面にある粘着剤が被着体の表面に対して食い込み、高い投錨効果を有する。そのため、両面粘着テープ1の粘着力が良好になるといえる。
【0050】
剥離ライナー40は、両面に剥離性を有する。すなわち、剥離ライナー40は、径方向内側の表面である第一剥離面41と、径方向外側の表面である第二剥離面42とを備える。第二剥離面42は第二粘着面22に接触する面であり、第一剥離面41はロール状に巻かれている状態で第一粘着面11に接触する面である。
【0051】
本実施の形態において、剥離ライナー40は、例えば、上質紙等の基材の両表面に、目止め層であるポリエチレンラミネート層を介して剥離剤であるシリコーン層が形成された、剥離紙である(図においては層構造の図示は省略している)。なお、剥離ライナー40の構造はこれに限られず、基材や剥離剤の材質や、目止め層の材質や有無については変更されてもよい。例えば、目止め層が不要となる紙製基材の両面に直接にシリコーン層が形成されているものであってもよい。また、ポリエチレンテレフタラートフィルムなどのフィルムの基材の両面にシリコーン層などの剥離剤が配された剥離フィルムであってもよい。
【0052】
ここで、本実施の形態において、剥離ライナー40は、径方向外側の第二剥離面42よりも径方向内側の第一剥離面41のほうが高い剥離性を有するように構成されている。換言すると、第一剥離面41の剥離力は、第二剥離面42の剥離力よりも小さくなるように構成されている。すなわち、両面粘着テープ1は、巻回されたロールからテープ本体2を剥離ライナー40と共に巻き戻した場合には、第一粘着剤層10が、両面粘着テープ1のロールの外周面側に露出するように構成されている。なお、防草シートの施工時に両面粘着テープ1が使用される際に適用されることが考えられる剥離速度の全域において、第一剥離面41の剥離力が第二剥離面42の剥離力よりも小さくなることが好ましい。
【0053】
なお、両面粘着テープ1を構成する各層の厚さは、例えば、以下のようである。本実施の形態において、第一粘着剤層10及び第二粘着剤層20は、互いに同じ厚さを有している。また、基材5は、粘着剤層10,20のうち一方の厚さよりも小さい厚さを有する。すなわち、第一粘着剤層10及び第二粘着剤層20は、それぞれ、比較的大きな厚さを有しているので、繊維が絡み合う構造を有しており凹凸がある防草シートの表面に対する投錨効果が確実に得られ、良好な粘着力を有する。また、基材5の厚さが比較的小さいことにより、両面粘着テープ1の追従性が高くなり、両面粘着テープ1を防草シートの表面により確実に粘着させることができる。2つの粘着剤層10,20の一方が他方よりも厚くてもよい。この場合、基材5は、2つの粘着剤層10,20のうち少なくとも一方の厚さよりも小さい厚さを有していればよい。
【0054】
なお、好ましくは、基材5は、10マイクロメートル以上40マイクロメートル以下の厚さを有する。このように構成することにより、テープ本体2の追従性をより高くすることができる。また、さらに好ましくは、基材5の厚さは、15マイクロメートル以上25マイクロメートル以下であることが好ましい。このような厚さを有するように基材5を構成することにより、テープ本体2の追従性を高くすることができるとともに、テープ本体2の手切れ性を高めることができ、防草シートの設置を容易に行うことができるようになる。
【0055】
本実施の形態における両面粘着テープ1の各層の厚さは上記のようであるが、具体的には、例えば、以下のようにすることができる。すなわち、第一粘着剤層10及び第二粘着剤層20のそれぞれの厚さは、例えば、60マイクロメートルとすればよい。また、基材5の厚さは、例えば、20マイクロメートルとすればよい。また、剥離ライナー40の厚さは、例えば、110マイクロメートルとすればよい。例えばこのような構成とすることで、両面粘着テープ1の追従性を高くすることができ、防草シートの表面に対して確実に粘着させることができる。
【0056】
巻き芯50は、例えば、円筒状の紙管であるが、これに限られない。例えば、樹脂製など他の素材で構成されていてもよい。また、他の形状を有していてもよく、例えば、外周面や内周面が多角形形状を有するようなものであってもよい。また、中実の棒状であってもよい。本実施の形態において、例えば、テープ本体2及び剥離ライナー40は、それらの端部が巻き芯50の外周面に保持された状態で、巻き芯50に巻き取られてロール状となっている。テープ本体2及び剥離ライナー40は、ロール状に巻き取られた状態から巻き戻されることにより、使用可能となっている。
【0057】
図1に示されるように、本実施の形態において、両面粘着テープ1は、両面粘着テープ1を横断するように形成されたミシン目90を複数備えている。ミシン目90は、例えば、両面粘着テープ1が巻き芯50にロール状に巻き取られている状態で、両面粘着テープ1に対して径方向に穿孔処理が行われることにより形成される。すなわち、ロール状の両面粘着テープ1が巻き芯50を中心に回転して巻き戻される場合には、巻き芯50が1回転する毎に1つのミシン目90がロールから引き出された両面粘着テープ1に表れることになる。すなわち、複数のミシン目90は、両面粘着テープ1の長手方向において、互いに間隔を空けて設けられている。
【0058】
図3は、同両面粘着テープ1に設けられているミシン目90の一例を示す図である。
【0059】
図3において、紙面の縦方向は両面粘着テープ1の長手方向を示し、紙面の横方向は両面粘着テープ1の幅方向を示す。本実施の形態において、長手方向に隣り合うミシン目90同士の間隔(寸法D10)は、上述のように、ロール状に巻回された状態における外周面の周方向の長さに等しくなる。また、各ミシン目において、幅方向の穴部の長さ(寸法D11)は、例えば約10ミリメートル程度とされ、穴部と穴部の間隔は、約4ミリメートル程度とされる。
【0060】
なお、ミシン目90の形成方法は上述に限られない。ミシン目90が形成されてから両面粘着テープ1がロール状に巻き取られるようにしてもよい。複数のミシン目90は、両面粘着テープ1の長手方向において等間隔に設けられていてもよい。また、本実施の形態おいては、ミシン目90は、幅方向に平行な直線状に形成されているが、幅方向に対して傾斜して形成されていてもよいし、曲線状やジグザグ状に両面粘着テープ1を横断するように形成されていてもよい。例えば、ミシン目90は、両面粘着テープ1を横断する波形の線状、V字の線状に形成されていてもよい。また、ミシン目90同士の間隔や、ミシン目90を構成する孔の形状等は、上述に限られない。
【0061】
このようなミシン目90が設けられていることにより、ミシン目90の位置において、両面粘着テープ1を切断しやすくなる。上述のように両面粘着テープ1の各層が構成されていることにより両面粘着テープ1に備わっている手切れ性と、両面粘着テープ1を横断するように設けられているミシン目90とにより、両面粘着テープ1を、はさみやカッターナイフなどの工具を用いることなく、手で適度な力を加えることにより切断することができ、また、両面粘着テープ1の切断線がミシン目90に沿った綺麗な形状となる。したがって、より容易に両面粘着テープ1を使用することができる。
【0062】
なお、本実施の形態において、両面粘着テープ1の幅寸法(寸法D1)は、例えば、10センチメートルである。両面粘着テープ1の幅寸法は、防草シートの施工時に重ね代として確保する領域の幅寸法より若干小さい程度とするのが好ましい。また、1つのロールの両面粘着テープ1の長さは、例えば20メートル程度である。なお、両面粘着テープ1の幅寸法や長さはこれに限られない。
【0063】
本実施の形態において、両面粘着テープ1は、アプリケータ500を用いて防草シートの施工時に用いることができる。
【0064】
図4は、同両面粘着テープ1とアプリケータ500とを示す図である。
【0065】
アプリケータ500は、ロール状に巻き取られている両面粘着テープ1の外周面を、被着体に貼着するために用いることができるものである。図4に示されるように、アプリケータ500は、回転部510と、作業者が手で把持可能な把持部520とを備えている。回転部510は、把持部520が取り付けられているフレームに対して回転軸を中心に回転自在となるように保持されている。
【0066】
本実施の形態において、回転部510は、例えば、回転軸を円柱面の軸とする円柱形状を有している。回転部510の外周面は巻き芯50に嵌め込み可能な形状を有している。両面粘着テープ1は、巻き芯50に回転部510が挿入された状態で、アプリケータ500に取り付けられる。換言すると、巻き芯50には、アプリケータ500の回転部510が取り付けられる。アプリケータ500に取り付けられた両面粘着テープ1は、回転軸を中心に回転可能である。本実施の形態において、回転部510の直径すなわち巻き芯50の内径は、例えば、1.5インチであるが、これに限られない。
【0067】
作業者は、アプリケータ500を用いて、両面粘着テープ1を被着体に貼り付ける作業を容易に行うことができる。すなわち、作業者は、把持部520を持って、アプリケータ500に取り付けられている両面粘着テープ1の外周面を被着体に押し付ける。すなわち、両面粘着テープ1の外周面には第一粘着面11が露出しているので、第一粘着面11が被着体の表面に押し付けられる。そして、作業者は、両面粘着テープ1を被着体に押し付けながら、アプリケータ500を回転部510の回転軸に対して垂直な方向に移動させることにより、回転部510と共に両面粘着テープ1を回転させ、両面粘着テープ1を巻き戻す。このとき、両面粘着テープ1は、剥離ライナー40が第二粘着面22に貼り付いたままの状態で巻き戻される。これにより、両面粘着テープ1を被着体に貼り付けることができる。第一粘着面11が両面粘着テープ1の外側に露出するように構成されていることによって、両面粘着テープ1をアプリケータ500を用いて被着体に転圧させながら、容易に被着体に貼り付けることができるようになっている。必要な長さだけ両面粘着テープ1を被着体に貼り付けたら、作業者は、ミシン目90を利用して、両面粘着テープ1を容易に切断することができる。なお、ミシン目90の位置にかかわらず、両面粘着テープ1が切断されてもよい。
【0068】
[両面粘着テープ1を用いた防草シートの設置についての説明]
【0069】
本実施の形態においては、上述のような両面粘着テープ1を用いて、例えば以下のようにして防草シートを設置面に設置することができる。なお、以下の説明において、設置面に直交する方向を上下方向(防草シートが配置される側を上)として位置関係等を説明することがあるが、これらはあくまで説明の便宜のために定義したものであって、本発明に係る両面粘着テープ1を用いた防草シートの設置態様や設置面の態様などを限定するものではない。設置面は、必ずしも水平な面でなくてもよく、傾斜した面や、曲面など起伏がある面などであってもよい。
【0070】
図5は、本実施の形態における防草シートの設置例について説明する断面図である。
【0071】
図5においては、一例として、複数枚の防草シート100により構成された防草敷設体900が模式的に示されている。防草敷設体900は、地面上に設けられた、土砂等が敷かれている設置面F上に配置される。防草敷設体900で設置面Fが覆われていることにより、設置面Fからの雑草等の発生・生育が防止される。
【0072】
防草敷設体900は、例えば、複数の防草シート100と固定ピン150とを含んでいる。防草シート100は、例えば、ロール状の資材として提供されているものである。作業者は、ロール状の防草シート100を設置面Fの一端から他端まで届く長さに切断する。そして、得られた複数の防草シート100を、互いに幅方向両端部の一部分同士が上下に重なるようにして隙間がないように敷き、各防草シート100の幅方向両端部を複数の固定ピン150で設置面Fに固定する。固定ピン150は、防草シート100の情報から、防草シート100を貫通するようにして設置面Fに打ち込まれる。これにより、複数の防草シート100で構成された防草敷設体900が設置面Fに設置される。
【0073】
本実施の形態において、両面粘着テープ1は、上述のようにして設置される複数の防草シート100同士の間に配置され、隣り合う防草シート100同士を固定する。両面粘着テープ1を用いた、互いに隣り合う2つの防草シート100(第一の防草シート101、第二の防草シート102)の設置方法の一例について説明する。なお、第一の防草シート101及び第二の防草シート102という呼び方は、単に複数の防草シート100の中での任意の2枚を区別するためのものに過ぎず、防草敷設体900を構成する複数の防草シート100の中での位置や設置順序等を限定するものではない。
【0074】
図6は、同両面粘着テープ1を用いた防草シートの設置方法の一例を示す第1の図である。図7は、同防草シートの設置方法の一例を示す第2の図である。
【0075】
図6及び図7においては、設置面Fを上方から見た図(平面視)が示されている。図6において示されている矢印は、第一の防草シート101の長手方向を示す。
【0076】
(ステップS11)まず、設置面F上に、第一の防草シート101を配置する。
【0077】
(ステップS12)次に、配置された第一の防草シート101の上面のうち、第二の防草シート102が配置される側の端部に沿うように、両面粘着テープ1の第一粘着面11を貼り付ける。この作業は、上述のように、両面粘着テープ1が取り付けられているアプリケータ500を用いて、両面粘着テープ1の外周面を第一の防草シート101に押し付けながら回転部510を回転させることにより行うことができる。両面粘着テープ1は、第一の防草シート101の端部に限られず、第一の防草シート101の上面の一部に貼り付けられればよい。
【0078】
本実施の形態において、このような作業を行う場合、ステップS12において矢印で示されるように、把持部520を用いてアプリケータ500を前方(矢印方向)に押しながら両面粘着テープ1を貼り付けることが望ましい。例えば、第一の防草シート101の上方から見て、アプリケータ500の姿勢を回転部510が把持部520よりも前にある状態としたまま、アプリケータ500を把持部520を回転部510に向けて押し付けるようにすることで、アプリケータ500を前方に押しながら両面粘着テープ1を貼り付けることができる。アプリケータ500を押しながら貼り付けることにより、第1の防草シート101に押し付けられる両面粘着テープ1に加わる荷重を容易に大きくすることができ、第一粘着面11を第一の防草シート101に対して良好に粘着させることができる。なお、アプリケータ500を使用する向きはこれに限られず、アプリケータ500を上述とは反対の方向に、手前に引きながら両面粘着テープ1を貼り付けるようにしてもよい。
【0079】
長手方向の全域にわたって第一の防草シート101に両面粘着テープ1を貼り付けた後は、両面粘着テープ1を切断する。両面粘着テープ1の切断は、例えば、ミシン目90を利用して行うことができる。
【0080】
このとき、両面粘着テープ1の第二粘着面22には剥離ライナー40が貼り付けられたままとなり、剥離ライナー40の第一剥離面41が上方に露出した状態となる。
【0081】
(ステップS13)表面に両面粘着テープ1の第一粘着面11が貼り付けられた第一の防草シート101の上から、第二の防草シート102を仮に配置する。第二の防草シート102は、例えば、長手方向が第一の防草シート101の長手方向と平行となるようにして、かつ、両面粘着テープ1が第二の防草シート102の端部で覆われるような位置に配置される。すなわち、両面粘着テープ1の幅寸法は例えば10センチメートルであるので、第一の防草シート101と第二の防草シート102とは例えば約10センチメートルだけ上下に重なるようにして配置される。
【0082】
(ステップS14)必要に応じて配置された第二の防草シート102の端をめくり、第一の防草シート101に貼り付けられた両面粘着テープ1の剥離ライナー40を取り除き、当該両面粘着テープ1の第二粘着面22を露出させる。
【0083】
(ステップS15)第二粘着面22を覆うように、第一の防草シート101の上に第二の防草シート102を配置する。
【0084】
(ステップS16)両面粘着テープ1が挟まれている部位において、第二の防草シート102の上から第二の防草シート102を下方に押し付ける(転圧する)。両面粘着テープ1が挟まれている部位において、第一の防草シート101及び第二の防草シート102の一方が他方に向けて押し付けられる。転圧は、例えば作業者が手足を押し付けることにより行われてもよいし、器具を用いて行われてもよい。これにより、第一の防草シート101に対して第二の防草シート102が両面粘着テープ1によって固定される。
【0085】
なお、本実施の形態においては、第一の防草シート101と第二の防草シート102とが重ねられている部分に、固定ピン150が打ち込まれる。これにより、風等が第一の防草シート101及び第二の防草シート102と設置面Fとの間に吹き込んで防草シート100が浮き上がったり、防草シート101が設置面Fに対してずれたりすることを防止することができる。
【0086】
以上のような設置方法を、複数の防草シート100のうち隣り合う2枚を重ね合わせる度に行うことにより、設置面Fの全体を覆うように、容易に防草シート100を設置することができる。
【0087】
なお、固定ピン150は用いられなくてもよい。また、第二の防草シート102を仮に配置すること(ステップS13)は省かれていてもよい。
【0088】
また、必ずしもアプリケータ500を用いて両面粘着テープ1が貼り付けられるようにしなくてもよい。また、例えば、設置面Fとは異なる場所などで予め両面粘着テープ1の第一粘着面11が貼り付けられた防草シート100を用いて、防草シート100が設置されるようにしてもよい。この場合、防草シートの設置方法は、少なくとも、表面の一部に両面粘着テープ1の第一粘着面11が貼り付けられた第一の防草シート101から、両面粘着テープ1の剥離ライナー40を取り除き、当該両面粘着テープ1の第二粘着面22を露出させることと、第二粘着面22を覆うように第一の防草シート101に対して第二の防草シート102を配置することと、両面粘着テープ1が挟まれている部位において、第一の防草シート101及び第二の防草シート102の一方を他方に向けて押し付けることとを含んでいればよい。この場合において、予め設置面Fに配置された第二の防草シート102に対して、予め両面粘着テープ1の第一粘着面11が貼り付けられた第一の防草シート101を配置して、当該両面粘着テープ1の第二粘着面22が第二の防草シート102に粘着するようにしてもよい。
【0089】
以上説明したように、本実施の形態においては、接着剤等を用いず、両面粘着テープ1によって防草シート100同士を貼り合わせることができる。これには、以下のような利点がある。すなわち、基材5の両面にあらかじめ粘着剤層10,20が塗布されているので使用される粘着剤の量にムラが発生することがなく、また、オープンタイム等の管理も不要となる。作業者の技量等や、環境にかかわらず、一定量の粘着剤が用いられるとともに確実に粘着力が得られることが期待でき、接着不良や粘着不良等が発生しにくくなり、均一な設置結果を得ることができる。また、本実施の形態においては、アプリケータ500を用いて両面粘着テープ1を防草シート100に転圧することができるので、作業効率が高くなり、速やかに設置作業を行うことができる。
【0090】
本実施の形態において被着体となる、織布製の又は不織布製の防草シート100は、繊維の集合体でなり粗い表面を有しているので、従来の両面粘着テープでは十分な粘着力を得ることができない。本実施の形態においては、上述のように、直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とする基材5と2つの粘着剤層11,12とを有する両面粘着テープ1を用いるので、防草シート100の表面への追従性が高くなり、より高い粘着力を得ることができる。また、防草シート100は様々な設置面Fに設置されうるところ、両面粘着テープ1は、例えば起伏のある設置面F等に配置された防草シート100の表面にも良好に追従するので、高い粘着力を得ることができる。
【0091】
(その他)
【0092】
図8は、本実施の形態の一変形例に係るアプリケータ501を示す図である。
【0093】
図8に示されるように、アプリケータ501は、上述の実施の形態のアプリケータ500の把持部520よりも、長い把持部521を有しているものである。このような、アプリケータ501の回転部510から把持部521の端部までの長さ(以下、全長という)が長いアプリケータ501を用いることにより、作業者は、体への負担が大きな屈んだ姿勢になることを強いられることなく、立ったまま、容易に両面粘着テープ1の貼り付け作業を行うことができる。また、歩きながら両面粘着テープ1の貼り付け作業を行うことができるので、作業のスピードを向上させることができ、作業効率を高くすることができる。特に、図において矢印で示されるようにアプリケータ501を前方に押しながら両面粘着テープ1を貼り付けることにより、両面粘着テープ1を防草シート100の表面に良好に粘着させることができる。なお、アプリケータ501の全長は、例えば、120センチメートル程度とすることができるが、これより長くても良いし、短くても良い。例えば、アプリケータ501の全長を70センチメートル以上にして用いることができるようにすることにより、比較的楽な姿勢で、容易に両面粘着テープ1を貼り付けることができる。
【0094】
このような把持部521は、伸縮可能に構成されていてもよい。これにより、防草シート100を設置する場所の地形や作業者の体型等に合わせて、把持部521の長さが適当な長さとなるように調整してアプリケータ501を用いることができる。また、把持部521は、上述の実施の形態におけるアプリケータ500の把持部520に取り付け可能な棒状の継ぎ柄を用いて構成されていてもよい。用途に応じて必要な場合に、アプリケータ500の把持部520に継ぎ柄を取り付けて全長が長いアプリケータ501を構成することにより、様々な地形の設置面Fに防草シート100を配置する際に、容易に、両面粘着テープ1を防草シート100に貼り付ける作業を行うことができる。
【0095】
なお、このような全長の長いアプリケータ501は、例えば、法面などの斜面である設置面に防草シート100を配置する際にも有用である。このような設置面に防草シート100を配置するために、高低差のある領域に両面粘着テープ1を貼り付ける必要がある場合がある。このような場合において、全長の長いアプリケータ501を用いることにより、1つの足場を足掛かりにしている状態で、比較的広い領域に両面粘着テープ1を貼り付けることができ、作業効率を向上させることができる。
【0096】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものである。
【0097】
上述の実施の形態に記載されているようなミシン目は、必ずしも設けられていなくてもよい。例えば、ミシン目に代えて、両面粘着テープの側端部から幅方向内側に向けて切り込まれた切れ目が両面粘着テープに設けられていてもよい。このような切れ目をきっかけにして、容易に両面粘着テープを切断することができる。切れ目やミシン目は、例えば、剥離ライナーのみに設けられていてもよい。また、例えば、両面粘着テープにはミシン目や切れ目等が設けられていなくてもよい。このような、ミシン目や切れ目等が設けられていない両面粘着テープにおいても、手で切断したり、はさみ等の刃物等を用いて切断することにより、容易に防草シートの設置作業を行うことができる。
【0098】
両面粘着テープは、テープ本体の両面のそれぞれに、少なくとも片面に剥離性を有する剥離ライナーが貼り付けられて構成されているものであってもよい。また、上述のようなアプリケータを用いずに使用されるものであってもよい。巻き戻したときに、両面粘着テープのロールの外周面が剥離ライナーの剥離面となり、その内側にテープ本体があるように構成されていてもよい。
【0099】
上述の実施の形態のそれぞれの構成要素について、適宜、他の実施の形態の構成要素と置換したり組み合わせたりしてもよい。また、上述の実施の形態のうち、一部の構成要素や機能が省略されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上のように、本発明にかかる両面粘着テープは、織布製の又は不織布製の防草シートの設置作業を容易に行うことができるという効果を有し、両面粘着テープ等として有用である。
【符号の説明】
【0101】
1 両面粘着テープ
2 テープ本体
5 基材
10 第一粘着剤層
11 第一粘着面
20 第二粘着剤層
22 第二粘着面
40 剥離ライナー
41 第一剥離面
42 第二剥離面
50 巻き芯
90 ミシン目
100 防草シート
101 第一の防草シート
102 第二の防草シート
150 固定ピン
500,501 アプリケータ
510 回転部
520,521 把持部
900 防草敷設体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10