IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トーマス・ジェファーソン・ユニバーシティの特許一覧 ▶ インバックス インコーポレイテッドの特許一覧 ▶ ラウレンツィ、ブレンダンの特許一覧

<>
  • 特許-バイオ拡散チャンバおよびその製造方法 図1
  • 特許-バイオ拡散チャンバおよびその製造方法 図2
  • 特許-バイオ拡散チャンバおよびその製造方法 図3
  • 特許-バイオ拡散チャンバおよびその製造方法 図4
  • 特許-バイオ拡散チャンバおよびその製造方法 図5
  • 特許-バイオ拡散チャンバおよびその製造方法 図6
  • 特許-バイオ拡散チャンバおよびその製造方法 図7
  • 特許-バイオ拡散チャンバおよびその製造方法 図8
  • 特許-バイオ拡散チャンバおよびその製造方法 図9
  • 特許-バイオ拡散チャンバおよびその製造方法 図10
  • 特許-バイオ拡散チャンバおよびその製造方法 図11
  • 特許-バイオ拡散チャンバおよびその製造方法 図12
  • 特許-バイオ拡散チャンバおよびその製造方法 図13
  • 特許-バイオ拡散チャンバおよびその製造方法 図14
  • 特許-バイオ拡散チャンバおよびその製造方法 図15
  • 特許-バイオ拡散チャンバおよびその製造方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】バイオ拡散チャンバおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 11/08 20200101AFI20231220BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20231220BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20231220BHJP
   A61K 35/13 20150101ALI20231220BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231220BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20231220BHJP
   A61M 37/00 20060101ALI20231220BHJP
   C12N 15/19 20060101ALN20231220BHJP
【FI】
C12N11/08
A61K31/7088
A61K31/7125
A61K35/13
A61P35/00
C12N15/113 Z
A61M37/00 560
C12N15/19 ZNA
【請求項の数】 42
(21)【出願番号】P 2020562074
(86)(22)【出願日】2019-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 US2019014961
(87)【国際公開番号】W WO2019147817
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-24
(31)【優先権主張番号】62/621,295
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516241599
【氏名又は名称】トーマス・ジェファーソン・ユニバーシティ
(73)【特許権者】
【識別番号】519307757
【氏名又は名称】インバックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】IMVAX,INC.
(73)【特許権者】
【識別番号】520278365
【氏名又は名称】ラウレンツィ、ブレンダン
【氏名又は名称原語表記】LAURENZI,Brendan
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】ラウレンツィ、ブレンダン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリューズ、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ヒッチングス、ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ベンチュラ、ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ピゴット、カラ
(72)【発明者】
【氏名】フーパー、ダグラス クレイグ
【審査官】太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2001/0022977(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0005763(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 11/00
C12N 15/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象へ挿入し、かつ対象から除去されるように構成されたバイオ拡散チャンバであって、前記バイオ拡散チャンバは、
第1の表面および第2の表面を含み、かつ中空キャビティを画定するチャンバ本体であって中空キャビティ内に少なくとも細胞およびアンチセンス分子の混合物を含むある量の組成物を少なくとも一時的に含有するように構成され、チャンバ本体の一部が前記対象からのバイオ拡散チャンバの除去を可能にするように構成された除去部材によって係合されるように構成されているチャンバ本体と、
前記第1の表面に結合されるように構成された第1の半透膜と、
前記第2の表面に結合されるように構成された第2の半透膜と、
を含み、
前記第1の半透膜および前記第2の半透膜は、前記アンチセンス分子に対しては透過性であり、前記細胞に対しては不透過性であり、
前記チャンバ本体の一部が、前記第1の表面および前記第2の表面以外の同チャンバ本体の表面から延びるフランジであり、かつ
前記アンチセンス分子は、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含むアンチセンス分子、5’-TCCTCCGGAGCCAGACTT-3’(配列番号2)を有するアンチセンス分子、またはそれらのいずれかの組み合わせである、バイオ拡散チャンバ。
【請求項2】
前記チャンバ本体の一部が開口を画定する、請求項1に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項3】
前記除去部材が縫合糸である、請求項1または請求項2に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項4】
前記縫合糸は、前記チャンバ本体の一部に結合されるように構成されている、請求項3に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項5】
前記除去部材が縫合糸であり、前記チャンバ本体の一部が開口を画定し、かつ前記縫合糸が前記開口を通って挿入されるように構成されている、請求項1記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項6】
記フランジが開口を画定し、前記開口に関連する軸が前記中空キャビティに関連する軸に実質的に平行である、請求項1に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項7】
前記除去部材が縫合糸であり、前記縫合糸が前記開口を通って挿入されるように構成されている、請求項記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項8】
前記バイオ拡散チャンバが、複数のバイオ拡散チャンバからの第1のバイオ拡散チャンバであり、前記縫合糸の一部が、前記複数のバイオ拡散チャンバからの第2のバイオ拡散チャンバの一部によって画定される開口を通して挿入されて、前記複数のバイオ拡散チャンバからの前記第1のバイオ拡散チャンバを前記複数のバイオ拡散チャンバから前記第2のバイオ拡散チャンバに少なくとも一時的に結合するように構成されている、請求項に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載のバイオ拡散チャンバは、第1のリテーナであって、前記第1の半透膜の一部が前記第1のリテーナと前記チャンバ本体の前記第1の表面との間に固定して配置されるように、前記チャンバ本体の前記第1の表面に結合されるように構成された第1のリテーナと、
第2のリテーナであって、前記第2の半透膜の一部が前記第2のリテーナと前記チャンバ本体の前記第2の表面との間に固定して配置されるように、前記チャンバ本体の前記第2の表面に結合されるように構成された第2のリテーナと、
をさらに含む、バイオ拡散チャンバ。
【請求項10】
前記第1のリテーナが超音波溶接を介して前記チャンバ本体の前記第1の表面に結合され、前記第2のリテーナが超音波溶接を介して前記チャンバ本体の前記第2の表面に結合される、請求項に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項11】
前記チャンバ本体の前記第1の表面が第1の溝を画定し、前記チャンバ本体の前記第2の表面が第2の溝を画定する、請求項または10に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項12】
前記第1のリテーナが前記チャンバ本体の前記第1の表面に結合されるとき、前記第1のリテーナの一部および前記第1の半透膜の一部が前記第1の溝に固定して配置され、
前記第2のリテーナが前記チャンバ本体の前記第2の表面に結合されるとき、前記第2のリテーナの一部および前記第2の半透膜の一部が前記第2の溝に固定して配置される、請求項11に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項13】
接着剤を介して、前記第1のリテーナが前記チャンバ本体の前記第1の表面に結合され、前記第2のリテーナが前記チャンバ本体の前記第2の表面に結合される、請求項に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項14】
前記チャンバ本体の一部が開口を画定し、前記チャンバ本体が中空キャビティと前記中空キャビティと流体連通する注入ポートとを画定し、前記開口に関連付けられた軸が前記中空キャビティに関連付けられた軸に実質的に平行であり、前記注入ポートに関連付けられた軸が、前記開口に関連付けられた軸および前記中空キャビティに関連付けられた軸と実質的に垂直である、請求項13のいずれか一項に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項15】
前記チャンバ本体が中空キャビティと、前記中空キャビティと流体連通する注入ポートとを画定し、
前記注入ポートが、前記中空キャビティ内に細胞およびアンチセンス分子の混合物を搬送するように構成されており、
前記注入ポートが第1の状態および第2の状態を有し、前記注入ポートは前記第1の状態にあるときに前記混合物を中空キャビティに搬送するように構成され、前記注入ポートは、前記第2の状態にあるときに封止されている、請求項14のいずれか一項に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項16】
前記注入ポートに挿入されるように構成されたプラグをさらに備え、前記プラグは、前記第2の状態に前記注入ポートを配置するために前記チャンバ本体の表面と流体密シールを形成するように構成された少なくとも1つのシールを含む、請求項15に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項17】
前記中空キャビティは、100.0マイクロリットル(μL)~1.0ミリリットル(mL)の容積を有する、請求項16のいずれか一項に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項18】
前記中空キャビティは、350.0μLの容積を有する、請求項17のいずれか一項に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項19】
前記細胞およびアンチセンス分子の混合物が、治療有効量のアンチセンス分子を含む、請求項18のいずれか一項に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項20】
前記アンチセンス分子の治療有効量が1.0マイクログラム(μg)~10.0ミリグラム(mg)である、請求項19に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項21】
アンチセンス分子の治療有効量が、1.0μg、2.0μg、3.0μg、4.0μg、5.0μg、6.0μg、7.0μg、8.0μg、9.0μg、または10.0μgである、請求項20に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項22】
前記アンチセンス分子の治療有効量が10.0μg~500.0μgである、請求項19に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項23】
前記アンチセンス分子は、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドである、請求項22のいずれか一項に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項24】
前記アンチセンス分子は、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含む、請求項22のいずれか一項に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項25】
前記アンチセンス分子は配列5’-TCCTCCGGAGCCAGACTT-3’(配列番号2)を有する、請求項22のいずれか一項に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項26】
前記細胞およびアンチセンス分子の混合物が、治療上有効な数の腫瘍細胞を含む、請求項25のいずれか一項に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項27】
治療上有効な数の腫瘍細胞が7.5×10 ~1.25×10である、請求項26に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項28】
治療上有効な数の腫瘍細胞が1.0×10である、請求項26に記載のバイオ拡散チャンバ。
【請求項29】
バイオ拡散チャンバの製造方法であって、前記方法は、
チャンバ本体を形成することであって、チャンバ本体は、中空キャビティと同中空キャビティと流体連通する注入ポートとを画定し、同チャンバ本体は、第1の表面と、第2の表面と、開口を画定するフランジとを有する、前記形成することと;
第1の半透膜を前記チャンバ本体の前記第1の表面に接触させて配置することと;
第2の半透膜を前記チャンバ本体の前記第2の表面に接触させて配置することと;
前記第1の半透膜の一部が前記第1の表面と第1のリテーナとの間に固定して配置されるように、前記第1のリテーナを前記チャンバ本体の前記第1の表面に結合することと;
前記第2の半透膜の一部が前記第2の表面と第2のリテーナとの間に固定して配置されるように、前記第2のリテーナを前記チャンバ本体の前記第2の表面に結合することと;
前記第1のリテーナの前記第1の表面への結合および前記第2のリテーナの前記第2の表面への結合の後に、前記注入ポートを介して、細胞およびアンチセンス分子の混合物を含む組成物を前記中空キャビティへ搬送することと;
搬送後に前記注入ポートを封止することと、
を含み、
前記フランジが、前記第1の表面および前記第2の表面以外の前記チャンバ本体の表面から延びており、
前記アンチセンス分子は、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含むアンチセンス分子、5’-TCCTCCGGAGCCAGACTT-3’(配列番号2)を有するアンチセンス分子、またはそれらのいずれかの組み合わせである、方法。
【請求項30】
前記第1のリテーナの前記第1の表面への結合は、前記第1の半透膜が前記第1の表面に固定して結合されるように超音波溶接を介して前記第1のリテーナを前記第1の表面に結合することを含み、
前記第2のリテーナの前記第2の表面への結合は、前記第2の半透膜が前記第2の表面に固定して結合されるように超音波溶接を介して前記第2のリテーナを前記第2の表面に結合することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記バイオ拡散チャンバは、対象に挿入され、対象から除去されるように構成されている、請求項29または請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記フランジによって画定される開口が、前記バイオ拡散チャンバの身体の一部からの除去を可能にするように構成された除去部材の一部を受承するように構成されている、請求項2931のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記除去部材が縫合糸であり、前記縫合糸の一部が、前記フランジによって画定される前記開口に配置される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記バイオ拡散チャンバが第1のバイオ拡散チャンバであり、前記縫合糸の一部が、第2のバイオ拡散チャンバの一部によって画定される開口を通して挿入され、前記第1のバイオ拡散チャンバを前記第2のバイオ拡散チャンバに少なくとも一時的に結合し、前記縫合糸は、前記第1のバイオ拡散チャンバおよび前記第2のバイオ拡散チャンバの身体の一部からの除去を可能にするように構成されている、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記アンチセンス分子は、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドである、請求項2934のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記アンチセンス分子は、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含む、請求項2934のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記アンチセンス分子は配列5’-TCCTCCGGAGCCAGACTT-3’(配列番号2)を有する、請求項2934のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記組成物の搬送が、1.0マイクログラム(μg)~10.0ミリグラム(mg)の間のアンチセンス分子を前記中空キャビティへ搬送することを含む、請求項2937のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
搬送後に前記注入ポートを封止することは、注入ポートにプラグを挿入することであって、前記プラグの少なくとも1つのシールが前記チャンバ本体の表面との流体密シールを形成するように挿入することを含む、請求項2938のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
それを必要とする患者のがんを治療するために使用されるバイオ拡散チャンバであって、前記バイオ拡散チャンバは請求項1~28のいずれか一項に記載のバイオ拡散チャンバであり、かつ前記バイオ拡散チャンバは前記患者に投与されるものであるバイオ拡散チャンバ。
【請求項41】
前記患者が神経膠腫を患っている、請求項40に記載のバイオ拡散チャンバ
【請求項42】
前記患者は、星細胞腫、肝細胞がん、乳がん、頭頸部扁平上皮がん、肺がん、腎細胞がん、肝細胞がん、胆嚢がん、古典的ホジキンリンパ腫、食道がん、子宮がん、直腸がん、甲状腺がん、黒色腫、大腸がん、前立腺がん、卵巣がん、または膵がんに罹患している、請求項40に記載のバイオ拡散チャンバ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療機器および医療の分野に関する。より具体的には、本開示は、対象への挿入および対象からの除去のために適合されたバイオ拡散チャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
移植可能なバイオ拡散チャンバは、全身的および局所的な薬物送達、遺伝子治療、および自己細胞接種を含む様々な用途に使用される。バイオ拡散チャンバは、手術中に対象に埋め込まれ、治療上有効な時間の後に取り除かれてもよい。
【0003】
当技術分野で知られているバイオ拡散チャンバは、多くの場合、除去が困難であり、除去中に患者に不必要な害を与える可能性が高まっている。例えば、当技術分野で知られているバイオ拡散チャンバは、除去する際に、それらの完全な直径を鉗子で把持する必要があり、それは鉗子を誤って誘導してチャンバを穿刺するリスクを増加させる。患者の深部に位置するバイオ拡散チャンバは、デジタル除去を必要とし、患者に不快感をもたらすことがある。したがって、当技術分野では、対象からのチャンバの除去を容易にするように構成された改良されたバイオ拡散チャンバが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施形態において、身体への挿入および身体からの除去のために構成されたバイオ拡散チャンバ(biodiffusion chamber)は、チャンバ本体、第1の半透膜、および第2の半透膜を含む。チャンバ本体は、第1の表面および第2の表面を含む。チャンバ本体は、ある量の組成物、例えば、細胞とアンチセンス分子の混合物を少なくとも含む組成物、を少なくとも一時的に含むように構成される中空キャビティを画定する。チャンバ本体の一部は、身体からのバイオ拡散チャンバの取り外しを可能にするように構成された除去部材(removal member)によって係合されるように構成されている。第1の半透膜は、チャンバ本体の第1の表面に結合されるように構成され、第2の半透膜は、チャンバ本体の第2の表面に結合されるように構成されている。いくつかの実施形態において、第1の半透膜および第2の半透膜のそれぞれは、アンチセンス分子に対しては透過性であり、細胞に対しては不透過性である。
【0005】
いくつかの実施形態において、バイオ拡散チャンバは対象への挿入および対象からの除去のために構成されており、同バイオ拡散チャンバは、第1の表面、第2の表面およびフランジを含むチャンバ本体を含み、フランジは、除去部材の少なくとも一部を受承するように構成された開口を画定する。チャンバ本体は、中空キャビティと、中空キャビティと流体連通する注入ポートとを画定し、注入ポートは、組成物、例えば、少なくともある量の生物学的因子を含む組成物を中空キャビティ内に搬送するように構成されている。バイオ拡散チャンバはまた、第1の表面と接触する第1の半透膜と、第2の表面と接触する第2の半透膜と、第1のリテーナであって、第1の半透膜の一部が同第1のリテーナと第1の表面との間に配置されるように第1の表面に固定して結合された(fixedly coupled)第1のリテーナと、第2のリテーナであって、第2の半透膜の一部が同第2のリテーナと第2の表面との間に配置されるように第2の表面に固定して結合された第2のリテーナとを含む。いくつかの実施形態において、第1の半透膜および第2の半透膜は、生物学的因子(biologic factor)に対しては透過性であり、細胞に対しては不透過性である。
【0006】
いくつかの実施形態において、バイオ拡散チャンバの製造方法は、(i)チャンバ本体を形成することであって、チャンバ本体は、中空キャビティと同中空キャビティと流体連通する注入ポートとを画定し、同チャンバ本体は、第1の表面と、第2の表面と、開口を画定するフランジと、を有する、前記形成することと、(ii)第1の半透膜をチャンバ本体の第1の表面に接触させて配置することと、(iii)第2の半透膜をチャンバ本体の第2の表面に接触させて配置することと、(iv)第1の半透膜の一部が第1の表面と第1のリテーナとの間に固定して配置されるように、第1のリテーナをチャンバ本体の第1の表面に結合することと、(v)第2の半透膜の一部が第2の表面と第2のリテーナとの間に固定して配置されるように、第2のリテーナをチャンバ本体の第2の表面に結合することと、(vi)第1のリテーナの第1の表面への結合および第2のリテーナの第2の表面への結合の後に、注入ポートを介して、組成物(例えば、細胞およびアンチセンス分子の混合物を含む組成物)を、中空キャビティへ搬送することと、(vii)搬送後に注入ポートを封止することと、を含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、それを必要とする患者を治療する方法は、本開示のバイオ拡散チャンバを患者に投与することを含む。いくつかの実施形態において、患者は、神経膠腫または他の固形腫瘍などのがんに罹患している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に従う、対象への挿入および対象からの除去に適合されたバイオ拡散チャンバの概略斜視図である。
図2】一実施形態に従う、対象への挿入および対象からの除去に適合されたバイオ拡散チャンバの概略斜視図である。
図3】一実施形態に従う、対象への挿入および対象からの除去に適合されたバイオ拡散チャンバの斜視図である。
図4図3のバイオ拡散チャンバの分解斜視図である。
図5図3のバイオ拡散チャンバに含まれるチャンバ本体の上面図である。
図6図3のバイオ拡散チャンバに含まれるチャンバ本体の後部斜視図である。
図7図3のバイオ拡散チャンバに含まれるチャンバ本体の側面図である。
図8図5~7のチャンバ本体の断面図であり、注入ポートを示す。
図9図3のバイオ拡散チャンバに含まれる第1のリテーナの斜視図である。
図10図3のバイオ拡散チャンバに含まれる第2のリテーナの斜視図である。
図11図3のバイオ拡散チャンバの断面図である。
図12図3のバイオ拡散チャンバと共に使用するために構成されたプラグの側面斜視図である。
図13図3のバイオ拡散チャンバと共に使用するために構成されたプラグの背面図である。
図14図12に示されるプラグの断面図である。
図15図8に示すチャンバ本体の注入ポートに挿入された図12のプラグの断面図である。
図16】一実施形態に従うバイオ拡散チャンバの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本開示の特定の態様をさらに示すために含まれる。本開示は、本明細書に提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせてこれらの図面を参照することにより、よりよく理解され得る。
【0010】
いくつかの実施形態において、バイオ拡散チャンバは、(i)中空キャビティを画定し、第1の表面および第2の表面を有するチャンバ本体と、(ii)第1の表面に結合される第1の半透膜と、(iii)第2の表面に結合される第2の半透膜と、(iii)バイオ拡散チャンバを人体から除去する、および/または除去するプロセスを容易にするように構成された要素および/または特徴部(feature)、を含む。いくつかの実施形態において、要素および/または特徴部は、チャンバの第1の表面と第2の表面との間に延在するチャンバ本体の穴(または穴を画定するチャンバ本体の表面)である。本開示のバイオ拡散チャンバは、限定されるものではないが、全身的および局所的な薬物送達、遺伝子治療、および自己細胞接種などを含む様々な用途に使用され得る。
【0011】
本開示の他の目的、特徴、および/または利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明および特定の例は、本開示の特定の実施形態を示しているが、例証としてのみ与えられていることを理解されたい。この詳細な説明から、本開示の精神および範囲内の様々な変更および/または修正が、当業者には明らかになるであろう。
【0012】
いくつかの実施形態において、身体への挿入および身体からの除去のために構成されたバイオ拡散チャンバは、チャンバ本体、第1の半透膜、および第2の半透膜を含む。チャンバ本体は、第1の表面および第2の表面を含む。チャンバ本体は、ある量の組成物、(例えば、少なくとも細胞とアンチセンス分子との混合物を含む組成物)を少なくとも一時的に含有するように構成された中空キャビティを画定する。チャンバ本体の一部は、身体からのバイオ拡散チャンバの取り外しを可能にするように構成された除去部材によって係合されるように構成されている。第1の半透膜は、チャンバ本体の第1の表面に結合されるように構成され、第2の半透膜は、チャンバ本体の第2の表面に結合されるように構成されている。第1の半透膜および第2の半透膜のそれぞれは、アンチセンス分子に対しては透過性であり、細胞に対しては不透過性である。
【0013】
いくつかの実施形態において、身体への挿入および身体からの除去のために構成されたバイオ拡散チャンバは、チャンバ本体、第1の半透膜、第2の半透膜、第1のリテーナおよび第2のリテーナを含む。チャンバ本体は、第1の表面、第2の表面およびフランジを含む。フランジは、除去部材の少なくとも一部を受承するように構成された開口を画定する。チャンバ本体は、中空キャビティと、中空キャビティと流体連通する注入ポートとを画定し、ある量の組成物(例えば、少なくとも生物学的因子を含む組成物)を中空キャビティ内に搬送するように構成されている。第1の半透膜は第1の表面と接触し、第1のリテーナは、第1の半透膜の一部が同第1のリテーナと第1の表面との間に配置されるように第1の表面に固定して結合されている。第2の半透膜は第2の表面と接触し、第2のリテーナは、第2の半透膜の一部が同第2のリテーナと第2の表面との間に配置されるように第2の表面に固定して結合されている。第1の半透膜および第2の半透膜のそれぞれは、少なくとも組成物の一部に対しては透過性であり、細胞に対しては不透過性である。
【0014】
いくつかの実施形態において、バイオ拡散チャンバを製造する方法は、チャンバ本体が(i)中空キャビティおよび中空キャビティと流体連通する注入ポートを画定し、(ii)第1の表面、第2の表面および開口を画定するフランジを有するようにチャンバ本体を形成することを含む。第1の半透膜は、チャンバ本体の第1の表面と接触するように配置され、第2の半透膜は、チャンバ本体の第2の表面と接触するように配置されている。第1のリテーナは、第1の半透膜の一部が第1の表面と同第1のリテーナとの間に固定して配置されるようにチャンバ本体の第1の表面に結合されている。第2のリテーナは、第2の半透膜の一部が第2の表面と同第2のリテーナとの間に固定して配置されるようにチャンバ本体の第2の表面に結合されている。ある量の組成物、(例えば、少なくとも細胞とアンチセンス分子との混合物を含む組成物)は、第1のリテーナが第1の表面へ結合され、かつ第2のリテーナが第2の表面へ結合された後に、注入ポートを介して中空キャビティに搬送される。注入ポートは、組成物を搬送した後に、封止される。
【0015】
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「a member」という用語は、単一の部材または部材の組み合わせを意味することを意図し、「a material」は、1つまたは複数の材料、またはそれらの組み合わせを意味することを意図している。
【0016】
本明細書にリストされているすべての範囲は、端点の値を含むことを意図している。たとえば、5から10までの整数の範囲には、5、6、7、8、9および10の値が含まれる。「約(about)」および「およそ(approximately)」という用語は、示された値のプラス10%またはマイナス10%の範囲を指す。例えば、約0.5は0.45および0.55を含み、約10は9から11を含み、約1000は900から1100を含む。
【0017】
「実質的に」という用語は、幾何学的構造および/または幾何学的関係に関連して使用される場合、そのように定義された構造が名目上(nominally)幾何学的構造および/または幾何学的関係であることを伝えることを意図している。一例として、「実質的に環状(substantially annular)」であると記載されているチャンバ本体の部分は、その部分の環状(例えば、リング形状)が望ましいが、「実質的に環状」の部分でいくらかの変動が起こり得ることを伝えることを意図している。そのような変動は、製造公差、または他の実際的な考慮事項(たとえば、チャンバ本体に加えられる圧力または力など)から生じる可能性がある。したがって、「実質的に(substantially)」という用語によって変更された幾何学的構造は、例えば、述べられた幾何学的構造の±10%の許容範囲内のそのような幾何学的特性を含む。
【0018】
チャンバ本体
チャンバ本体は、1つまたは複数の生体適合性ポリマーなどの任意の生体適合性材料を含む(include)、からなる(comprise)、および/またはのみからなる(consist of)、ことができる。生体適合性ポリマーは、線状ポリマー、分岐ポリマー、架橋ポリマー、ネットワークポリマーなどであってよい。例えば、生体適合性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリ(ジオキサノン)、ポリカプロラクトン、ポリウレタン、ポリシアノアクリレート、ならびにそれらのブレンドおよびそれらのコポリマー、を含む、からなる、および/またはのみからなる、ことができる。生体適合性ポリマーの例には、ポリ-(ラクチド-コ-グリコリド)(PLGA)、ポロキサマー、ポリビニルピロリドン(ポビドンまたはPVP)、PVPエチルセルロース、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ-(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PIPA)、ポリ(乳酸)(PLLAまたはPLA)、PEG-PLA、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(NIPAAM)、ゼラチン、コラーゲン、デンプン、またはそれらのブレンド、またはそれらのコポリマーが含まれ得る。いくつかの特定の実施形態において、チャンバ本体は、少なくとも部分的にPMMAを含む、および/またはPMMAから形成される。さらなる実施形態において、チャンバ本体は、純粋なPMMAを含む、および/または純粋なPMMAから形成される。さらに他の実施形態において、チャンバ本体は、ポリカーボネートおよび/または実質的に純粋なポリカーボネート、からなる、および/または形成される。
【0019】
いくつかの実施形態において、バイオ拡散チャンバは、例えば、酸化防止剤、着色剤、硬化剤、および/または可塑剤を含むがこれらに限定されない不純物または添加剤を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、チャンバ本体は、5%、3%、1%、0.75%、0.5%、0.25%、0.1%、0.05%、または0.01%未満の不純物または添加物を含む。いくつかの実施形態において、チャンバ本体は、0.0001%超、かつ5%、3%、1%、0.75%、0.5%、0.25%、0.1%、0.05%、または0.01%未満の不純物または添加物を含む。特定の実施形態において、チャンバ本体は、0.0001%超、かつ1%未満の不純物または添加物を含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、チャンバ本体は乳白剤を含む、および/またはからなる。乳白剤は、例えば、二酸化チタン;ミルクガラス(milk glass);雲母結晶;アルミニウム、カルシウム、バリウムおよびマグネシウムのフッ化物;酸化スズ;ジルコニア;酸化亜鉛;バリウム;および/またはタングステン、を含む、からなる、および/またはのみからなることができる。いくつかの実施形態において、チャンバ本体は、5%、3%、1%、0.75%、0.5%、0.25%、0.1%、0.05%、または0.01%未満の乳白剤を、含む、および/またはからなる。いくつかの実施形態において、チャンバ本体は、0.0001%超、かつ5%、3%、1%、0.75%、0.5%、0.25%、0.1%、0.05%、または0.01%未満の乳白剤を、含む、および/またはからなる。特定の実施形態において、チャンバ本体は、0.0001%超、かつ1%未満の乳白剤を、含む、および/またはからなる。
【0021】
チャンバ本体は、球形、円筒形、環状またはリング形状、長方形、正方形、多角形、または任意の他の適切な形状など、任意の形状を有することができる。いくつかの特定の実施形態において、チャンバ本体は、リング形状を有する。さらなる実施形態において、チャンバ本体は、対象(例えば、人体から)からのバイオ拡散チャンバの除去を容易にするために、チャンバ本体から外側に延びる部分を除いて、-あるいは、チャンバ本体の表面もしくは側面を除いて-、実質的にリング形状である。チャンバ本体から外側に延びる部分は、フランジ、タブ、クリップ、ループ、フック構造または他の把持構造、あるいはそれらの組み合わせを、形成し得る、および/または含むことができる。いくつかの実施形態において、チャンバ本体から外側に延びる部分は、穴、アパーチャ(aperture)、開口(opening)、スロット、および/または空隙を画定し得る。特定の実施形態において、チャンバ本体から外側に延びる部分、および/またはそれによって画定される穴、アパーチャ、開口、スロット、および/または空隙は、対象からのバイオ拡散チャンバの除去を容易にし得る。
【0022】
いくつかの実施形態において、チャンバ本体は、第1の表面および第2の表面を含む、および/またはからなる。いくつかの実施形態において、第1の表面(例えば、上面)および第2の表面(例えば、底面)は、実質的に平行である。いくつかの実施態様において、第1の表面と第2の表面との間の距離は、約3.0ミリメートル(mm)~約10.0mmである。例えば、第1の表面と第2の表面との間の距離は、約3.0mm、4.0mm、5.0mm、6.0mm、7.0mm、8.0mm、9.0mm、または10.0mm、或いはそれらの間の任意の適切な分数(fraction)であり得る。ある実施態様において、第1の表面と第2の表面との間の距離は、約4.5mmである。いくつかの実施形態において、第1の表面および第2の表面の少なくとも1つは、凹部(indentation)を含む、備える、および/または画定する。いくつかの実施形態において、第1の表面および第2の表面のいずれも、凹部を含む、備える、および/または画定する。いくつかの実施形態において、第1の表面および/または第2の表面は、バイオ拡散チャンバの使用および/または性能を促進するように構成された任意の適切なおよび/または望ましい表面仕上げを有し得る。例えば、いくつかの実施形態において、第1および/または第2の表面(またはチャンバ本体の任意の他の表面)は、第1および第2の表面への半透膜の結合を促進および/または強化する(例えば、半透膜と第1および第2の表面との間の摩擦および/または接着を高めることができる)ように構成された、粗く、くぼみがあり、多孔性で、切れ目があり、および/またはそうでなければ平滑ではない表面を有していてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、第1の表面および第2の表面の少なくとも一方は、第1の半透膜の第1の表面への結合および/または取り付け、および/または第2の半透膜の第2の表面への結合および/または取り付けを容易にするように構成された少なくとも1つの溝を画定する。いくつかの実施形態において、溝は、1つまたは複数の製造プロセス、ステップ、および/または方法を容易にすることができる。いくつかの実施形態において、第1の表面の溝および第2の表面の溝は、第1のリテーナの一部および第2のリテーナの一部をそれぞれ受承することができ、第1のリテーナおよび第2のリテーナをそれぞれ第1の表面および第2の表面に結合することを容易にすることができる。次に、第1のリテーナおよび第2のリテーナは、第1の半透膜および第2の半透膜をチャンバ本体の第1の表面および第2の表面にそれぞれ保持および/または結合する。
【0024】
チャンバ本体は、中空キャビティを画定することができる。いくつかの実施態様において、中空キャビティは、約5.0mm~約20.0mmの間の直径を有する実質的に円筒形である。例えば、中空キャビティの直径は、約5.0mm、6.0mm、7.0mm、8.0mm、9.0mm、10.0mm、11.0mm、12.0mm、13.0mm、14.0mm、15.0mm、16.0mm、17.0mm、18.0mm、19.0mm、または20.0mm、あるいはそれらの間の任意の適切な分数であり得る。ある実施形態において、中空キャビティは、約10.0mmの直径を有する。他の実施形態において、中空キャビティは、任意の適切な形状、サイズ、および/または構成であってよい。例えば、中空キャビティは、球形、楕円形、正方形、長方形、多角形、台形、および/または任意の適切な不規則な形状であり得る。
【0025】
いくつかの実施形態において、中空キャビティは、所定の体積の流体を保持するように構成されている。いくつかの実施形態において、中空キャビティは、100.0マイクロリットル(μL)~1.0mLの容積を有する。いくつかの特定の実施形態において、中空キャビティは、300.0μL~400.0μLの容積を有する。他の特定の実施形態において、中空キャビティは、340.0μL~360.0μLの容積を有する。ある実施形態において、中空キャビティは、約350.0μLの容積を有する。いくつかの実施形態において、中空キャビティは、約100.0μL~約10.0mLの範囲の容積を有する。
【0026】
いくつかの実施形態において、中空キャビティは、組成物を保持するか、保持するように構成されている。いくつかの実施形態において、組成物は少なくとも1つの生物学的因子(biologic factor)を含む。いくつかの実施形態において、組成物は腫瘍細胞のような細胞を含む。いくつかの実施形態において、組成物は1つ以上のアンチセンス分子を含む。いくつかの実施形態において、組成物は細胞およびアンチセンス分子の混合物を含む。いくつかの実施形態において、組成物は1つ以上のタンパク質を含む。タンパク質は、例えば、酵素、免疫メディエーター、サイトカイン、成長因子、抗体、抗原、シグナル伝達タンパク質、構造タンパク質、およびそれらのフラグメントからなる群から選択され得る。いくつかの実施形態において、組成物は細胞成分(例えば、エキソソームのような微小胞)、マイクロRNA、またはペプチドを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、1つ以上のシグナル伝達または免疫経路のアゴニストまたはアンタゴニスト(例えば、トール様受容体アゴニスト)のような1つ以上の小分子薬物を含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、チャンバ本体はさらに、注入ポートを、含む、備える、および/または画定する。注入ポートは、チャンバ本体の外面から内面まで延びることができる。注入ポートは、中空キャビティと流体連通しており、流体および/または少なくとも1つの生物学的因子を含む組成物(例えば、細胞、アンチセンス分子、緩衝剤、および/または任意の他の適切な生物学的因子、低分子薬物などの混合物を含む組成物)を中空キャビティ内に注入するために使用され得る。いくつかの実施形態において、注入ポートは、例えば、チャンバ本体の側壁を通って延びる穴である。いくつかの実施形態において、注入ポートは、約0.3mm~8.0mmの直径を有する穴である。いくつかの実施形態において、注入ポートは、約1.0mm~約8.0mmの直径を有する穴である。例えば、注入ポートは、約1.0、約2.0、約3.0、約4.0、約5.0、約6.0、約7.0、または約8.0mm、あるいはそれらの間の任意の適切な分数の直径を有し得る。いくつかの実施形態において、注入ポートは、約0.3mm~約1.0mmの直径を有する穴である。例えば、注入ポートは、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、または約1.0mmの直径を有し得る。いくつかの実施形態において、注入ポートは、約1.0mm~約2.0mmの直径を有する穴である。例えば、注入ポートは、約1.0mm、約1.1mm、約1.2mm、約1.3mm、約1.4mm、約1.5mm、約1.6mm、約1.7mm、約1.8mm、約1.9mm、または約2.0mmの直径を有することができる。特定の実施形態において、注入ポートは、約1.7mmの直径を有する穴である。いくつかの実施形態において、注入ポートは、少なくとも部分的にピペット、ピペットチップ、および/または材料、生成物、および/または因子をチャンバ本体によって画定される中空キャビティ内に搬送するように構成された任意の他の適切なデバイスのサイズに基づく直径を有する穴である。他の実施形態において、注入ポートは、任意の適切なポート、バルブ、半透過性部材または膜などであってよい。
【0028】
いくつかの実施形態において、注入ポートは、流体または少なくとも生物学的因子を含む組成物を中空キャビティに注入した後に、封止されるか、または少なくとも一時的に封止される。いくつかの実施形態において、注入ポートは、可逆的または不可逆的に封止される。いくつかの実施形態において、注入ポートは、PMMA、ゴム、蜜蝋、パラフィン、またはそれらの混合物を使用して封止される。いくつかの実施形態において、注入ポートは、骨ワックス(例えば、蜜蝋、パラフィン、およびパルミチン酸イソプロピルの無菌混合物)を使用して封止される。いくつかの実施形態において、注入ポートは、任意の適切な材料で形成され、かつ/または任意の適切な材料を含む、シール部材、ストッパ、プランジャ、プラグなどを介して封止される。
【0029】
いくつかの実施形態では、チャンバ本体は、単一の部品(例えば、単一のワークピースまたは単一の形成された構成要素)から形成される(formed of)か、または同単一の部品から形成される(formed from)。いくつかの実施形態において、チャンバ本体は単一成形構造である。いくつかの実施形態において、チャンバ本体は単一のポリマー成形構造である。いくつかの実施形態において、チャンバ本体は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個、またはそれ以上のような複数の部品を連結することによって組み立てられる。いくつかの実施形態において、各部品は、医療グレードの接着剤、超音波溶接などを使用して別の部品に結合される。
【0030】
チャンバ本体は、いくつかの異なる方法に従って形成されてもよい。いくつかの実施形態において、チャンバは、3D印刷を使用して形成される。いくつかの実施形態において、チャンバ本体は、射出成形によって形成されてもよい。3D印刷および射出成形は当業者に知られている。
【0031】
除去要素(Removal Element)
本開示のバイオ拡散チャンバは、対象(例えば、動物、哺乳動物、ヒト、マウス)からバイオ拡散チャンバを除去するように適合された1つ以上の要素および/または特徴部をさらに含む、備える、画定する、および/またはそうでなければ同1つ以上の要素および/または特徴部に結合され得る。いくつかの実施形態において、バイオ拡散チャンバを除去するように適合された要素および/または特徴部は、ループ、フック、縫合糸、フランジ、タブ、クリップ、穴、または他の把持構造、あるいはそれらの組み合わせを含み、それらはチャンバ本体に結合されるか、またはチャンバ本体の一部である。いくつかの実施形態において、そのような要素および/または特徴部は、チャンバ本体の穴または開口を介してバイオ拡散チャンバ本体に結合される。例えば、縫合糸または紐(string)は、穴または開口に通されるか、または挿入され、任意選択的に結ばれ得る。要素および/または特徴部は、ユーザが要素および/または特徴部(例えば、ループ、フック、縫合糸、フランジ、タブ、クリップ、または他の把持構造)によってバイオ拡散チャンバを把持し、それを引っ張ることを可能にするように機能し、そして、移植部位(例えば、腹部のような人体の一部)からバイオ拡散チャンバを取り除くことができる。
【0032】
いくつかの実施形態において、バイオ拡散チャンバを除去するように適合された要素および/または特徴部は、チャンバ本体の第1の表面からまたは第1の表面を通り、第2の表面までまたは第2の表面を通って延びる、チャンバ本体の穴または開口を含む、および/または画定する。いくつかの実施形態において、穴または開口は、約1.0mm~約1.0cmの直径を有する。例えば、穴は、1.0mm、2.0mm、3.0mm、4.0mm、5.0mm、6.0mm、7.0mm、8.0mm、9.0mm、または1.0cm、またはそれらの間の任意の適切な分数の直径を有し得る。いくつかの実施形態において、穴または開口の直径は、約4.0mm~約6.0cmの範囲にある。他の実施形態において、穴または開口は、約0.1mm~約0.9mmの直径を有する。例えば、穴または開口は、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、または0.9mmの直径を有することができる。いくつかの実施形態において、穴または開口は、(例えば、チャンバ本体の第1の表面および/または第2の表面に平行な平面に沿って取られる)半円形または不規則な断面形状を有することができる。いくつかの実施形態において、穴または開口は、約1.0mm~約1.0cmの断面積を有することができる。たとえば、穴または開口は、約1.0mm、2.0mm、3.0mm、4.0mm、5.0mm、6.0mm、7.0mm、8.0mm、9.0mm、または1.0mm、あるいはそれらの間の任意の適切な分数の断面積を有することができる。ある実施形態において、穴または開口は、約8.0mmの断面積を有することができる。
【0033】
いくつかの実施形態において、バイオ拡散チャンバを除去するように適合された要素および/または特徴部は、チャンバ本体の表面に結合する、および/またはそこから延びるフランジを含み、かつ/または同フランジを備える。いくつかの実施形態において、フランジは、チャンバ本体の側面または側壁から突出している。いくつかの実施形態において、フランジの高さは、バイオ拡散チャンバの高さよりも低い。いくつかの実施形態において、フランジの高さは、バイオ拡散チャンバの高さの10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%である。いくつかの実施形態において、フランジは、フランジの第1の表面とフランジの第2の表面との間に延びる穴を含む、かつ/または画定する。いくつかの実施形態において、穴は、フランジの第1の表面または第2の表面の少なくとも一方に対して実質的に垂直な方向に延びる。いくつかの実施形態において、フランジは、フランジの第1の側面からまたは第1の側面を横切って、およびフランジの第2の側面までまたは第2の側面を横切って延びる穴を含む、かつ/または画定する。いくつかの実施形態において、穴は、約1.0mm~約1.0cmの直径を有する。例えば、穴は、約1.0mm、2.0mm、3.0mm、4.0mm、5.0mm、6.0mm、7.0mm、8.0mm、9.0mm、または1.0cm、あるいはそれらの間の任意の適切な分数の直径を有し得る。いくつかの実施形態において、穴の直径は、約4.0mm~約6.0cmの範囲にある。他の実施形態において、穴は0.1mm~0.9mmの直径を有する。例えば、穴は、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、または0.9mmの直径を有することができる。いくつかの実施形態において、穴または開口は、(例えば、チャンバ本体の第1の表面および/または第2の表面に平行な平面に沿って取られる)半円形または不規則な断面形状を有することができる。いくつかの実施形態において、穴または開口は、約1.0mm~約1.0cmの断面積を有することができる。たとえば、穴または開口は、約1.0mm、2.0mm、3.0mm、4.0mm、5.0mm、6.0mm、7.0mm、8.0mm、9.0mm、または1.0mm、あるいはそれらの間の任意の適切な分数の断面積を有することができる。ある実施形態において、穴または開口は、約8.0mmの断面積を有することができる。いくつかの実施形態において、フランジは、チャンバ本体またはフランジの長手方向軸を横切る方向に、および/またはチャンバ本体および/またはフランジの長手方向軸に平行な方向に延びるにつれて、その寸法が先細になる。
【0034】
いくつかの実施形態において、バイオ拡散チャンバを除去するように適合された要素および/または特徴部は、チャンバ本体の穴またはフランジの穴に通されるかまたは挿入される縫合糸である。いくつかの実施形態において、縫合糸は、2-0ビクリル縫合糸である。場合によっては、この設計上の特徴部は、縫合糸の尾部を把持することにより、より深いバイオ拡散チャンバのインプラントを(例えば、以前の実施形態および/またはそのような設計上の特徴部のない実装形態と相対的に)取り出すことを可能にし、それにより、外科医が(例えば、ボニーまたはアドソンの)鉗子を利用せずにバイオ拡散チャンバを把持することを可能にする。場合によっては、この設計上の特徴部は、除去中に膜の1つ以上を穿刺して、その結果、組成物の望ましくない部分(例えば、細胞)がバイオ拡散チャンバから、そして対象の中に漏れ出すことをもたらす可能性を減少させる。場合によっては、この設計上の特徴部は、複数のバイオ拡散チャンバを結び付けるか、または少なくとも一時的に一緒に結合することを可能にし、これは、対象からの除去を容易にし、かつ/または除去プロセスの間および/または除去プロセスの後に、1つ以上のバイオ拡散チャンバが対象に残される可能性を制限し得る。
【0035】
バイオ拡散チャンバを除去するために適合された要素および/または特徴部は、チャンバ本体上にて対象(例えば、人体)からのバイオ拡散チャンバの除去を容易にする任意の場所に配置され得る。例えば、バイオ拡散チャンバを除去するために適合された要素および/または特徴部は、チャンバ本体の第1の表面上、第2の表面上、または側面(例えば、第1の表面または第2の表面以外の表面)上に配置され得る。いくつかの実施形態において、バイオ拡散チャンバを除去するように適合された要素および/または特徴部は、チャンバ本体の注入ポートに隣接して配置される。いくつかの実施形態において、バイオ拡散チャンバを除去するように適合された要素および/または特徴部は、注入ポートから離れて、および/またはそうでなければ間隔を置いて配置される。いくつかの実施形態において、チャンバ本体は、実質的にリング状であり、バイオ拡散チャンバを除去するように適合された要素および/または特徴部は、注入ポートから(例えば、約90°、180°、または270°、および/または注入ポートからの任意の他の適切な角度)離れて配置される。いくつかの実施形態において、チャンバ本体は、実質的にリング形状であり、バイオ拡散チャンバを除去するように適合された要素および/または特徴部は、チャンバ本体の第1の表面から第2の表面まで延びるチャンバ本体内の穴である、および/または穴を画定し、バイオ拡散チャンバを除去するように適合された要素および/または特徴部は、注入ポートを横切って配置される(例えば、注入ポートから約180°の位置に配置される)。いくつかの実施形態において、チャンバ本体は、実質的にリング形状であり、バイオ拡散チャンバを除去するように適合された要素および/または特徴部は、フランジを通ってフランジの第1の表面から第2の表面まで延びる穴を含むおよび/または画定するフランジであり、バイオ拡散チャンバを除去するように適合された要素および/または特徴部は、チャンバ本体の注入ポートを横切って配置される(例えば、注入ポートから約180°の位置に配置される)。その他の実施形態において、チャンバ本体は、任意の適切な形状を有することができ、バイオ拡散チャンバを除去するように適合された要素および/または特徴部は、フランジを通ってフランジの第1の表面から第2の表面まで延びる穴を含むおよび/または画定するフランジであり、バイオ拡散チャンバを除去するように適合された要素および/または特徴部は、チャンバ本体の注入ポートに対して任意の適切な角度位置に、またはその中に配置される。
【0036】
半透膜
本開示のバイオ拡散チャンバは、チャンバ本体の表面に結合された少なくとも1つの半透膜を含む、および/または備える(comprise)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のバイオ拡散チャンバは、チャンバ本体の第1の表面(例えば、上面)に結合された第1の半透膜と、チャンバ本体の第2の表面(例えば、底面)に結合された第2の半透膜とを含む、および/または備える。いくつかの実施形態において、チャンバ本体の中空キャビティは、チャンバ本体の内面、第1の半透膜の表面、および第2の半透膜の表面によって集合的に画定される、および/またはその中に含まれる。いくつかの実施形態において、中空キャビティへの流入および/または中空キャビティからの流出は、注入ポート、第1の半透膜、または第2の半透膜を通過することを制限されてもよい。いくつかの実施形態において、第1の半透膜および第2の半透膜は、同じ材料を含む、備える、および/または、そうでなければ、同じ材料から形成される(formed of)か、形成される(formed from)。その他の実施形態において、第1の半透膜および第2の半透膜は、異なる材料を含む、備える、および/または、そうでなければ、異なる材料から形成される(formed of)か、形成される(formed from)。その他の実施形態において、バイオ拡散チャンバは、チャンバ本体の第1の表面または第2の表面のうちの一方に結合された単一の半透膜を含む。そのような実施形態において、半透膜が結合される表面の反対側のチャンバ本体の表面は、閉鎖された表面または中実の(solid)表面である(例えば、開口を画定しない)。したがって、そのような実施形態において、バイオ拡散チャンバに搬送される組成物の部分は、単一の半透膜を介して拡散される。
【0037】
半透膜は、任意の適切なプラスチック、PTFE(例えば、テフロン(商標))、ポリエステル、および/または任意の不活性または生体適合性材料を含む、備える、および/またはそれらから形成することができる(formed of)か、形成することができる(formed from)。いくつかの実施形態において、そのような不活性材料は、強く、柔軟性があり、かつ化学処理、滅菌、および/または照射に耐えることができる。いくつかの実施形態において、半透膜は、ミリポアシグマ(Millipore Sigma)によって製造されたDurapore(登録商標)膜である。
【0038】
いくつかの実施形態において、半透膜は多孔性であり、一旦埋め込まれると、チャンバと対象(例えば、患者、動物、哺乳動物、ヒト、マウスなど)との間の選択因子(例えば、医薬品および/または生物学的製剤)の交換、進入、退出、拡散、および/または通過を可能にする。いくつかの実施形態において、半透膜は、小分子の通過を可能にするが、細胞または他の比較的大きな分子の通過を可能にしない直径を有する孔を画定する(すなわち、細胞または他の比較的大チャンバ本体により画定された中空キャビティを出入りすることができない)。いくつかの実施形態において、孔の直径は、核酸および他の化学物質(例えば、細胞によって産生されるサイトカイン)がバイオ拡散チャンバから拡散することを可能にするが、バイオ拡散チャンバとバイオ拡散チャンバが埋め込まれている対象との間の細胞の通過を可能にしない。いくつかの実施形態において、半透膜の孔は、約0.25μm以下の直径を有する。ある実施形態において、孔は、約0.25μm以下の直径を有する。特定の実施形態において、孔は、約0.1μmの直径を有する。特定の実施形態において、孔は、直径が約0.1μm~約0.25μmの範囲にある。言い換えれば、半透膜は、約0.1μm~約0.25μmの範囲の異なる直径および/または変化した直径を有する孔を含み得る。いくつかの実施形態において、孔の直径は、約0.25μmよりも大きいが、約25μmよりも小さい。例えば、孔の直径は、約0.5μm、約0.75μm、約1μm、約2μm、約3μm、約4μm、約5μm、約6μm、約7μm、約8μm、約9μm、約10μm、約11μm、約12μm、約13μm、約14μm、約15μm、約16μm、約17μm、約18μm、約19μm、約20μm、約21μm、約22μm、約23μm、または約24μmであり得る。いくつかの実施形態において、孔の直径は、約0.25μm~約1μm、約1μm~約10μm、または約10μm~約25μmである。
【0039】
バイオ拡散チャンバを作製する方法
いくつかの例において、本開示のバイオ拡散チャンバを作製する方法は、チャンバ本体および1つ以上の半透膜を提供することを含む。半透膜は、チャンバ本体の第1の表面および/または第2の表面の形状および/またはサイズに一致するように切断されてもよい。いくつかの実施形態において、半透膜は、チャンバ本体によって画定される少なくとも中空キャビティの形状および/またはサイズに一致するように切断される。いくつかの実施形態において、半透膜は、チャンバ本体の第1の表面および/または第2の表面上の、またはそれらによって画定される凹部内に適合するように切断される。いくつかの実施形態において、半透膜は、チャンバ本体の第1の表面および/または第2の表面よりも大きいサイズまたは面積を有し、および/または一旦それに結合される第1の表面および/または第2の表面のサイズおよび/または形状に適合するように切断される。このような配置により、半透膜の一部が、第1の表面および/または第2の表面上に配置された、および/または第1の表面および/または第2の表面によって画定された1つ以上の特徴部(例えば、1つ以上の突起、リッジ、凹部、溝、スロット等)の上に、横たわること、および/または、それらに適合することを可能にすることができる。
【0040】
半透膜は、任意の適切な方法でチャンバ本体に結合することができる。いくつかの実施形態において、例えば、半透膜は、接着剤(例えば、医療グレードの接着剤)を使用してチャンバ本体に結合される。いくつかの実施形態において、医療グレードの接着剤は、アルファシアノアクリレート、シリコーン接着剤、またはPMMAなどのエチレンモノマーまたはポリマーを含む、からなる、および/またはのみからなる。その他の実施形態において、半透膜は、超音波溶接を使用してチャンバ本体に結合される。超音波溶接を実施するための方法およびデバイスは、当業者に知られている。
【0041】
いくつかの実施形態において、第1の半透膜は、バイオ拡散チャンバの第1の表面に結合され、第2の半透膜は、バイオ拡散チャンバの第2の表面に結合される。いくつかの実施形態において、第1の半透膜は、バイオ拡散チャンバの第1の表面に結合され、少なくとも部分的に第1の凹部、溝、スロット等の内部に配置され、第2の半透膜は、バイオ拡散チャンバの第2の表面に結合され、少なくとも部分的に第2の凹部、溝、スロット等の内部に配置される。そのような実施形態において、半透膜の少なくとも一部は、第1の表面と実質的に同一平面であり得、第2の半透膜の少なくとも一部は、第2の表面と実質的に同一平面であり得る。
【0042】
いくつかの実施形態において、半透膜は、機械的ファスナ(mechanical fastener)、カプラ、クランプ、リテーナ、圧縮部材等を使用してチャンバ本体に結合される。いくつかの実施形態において、バイオ拡散チャンバは、チャンバ本体の第1の表面に固定され、結合され、および/または貼着される第1のリテーナと、チャンバ本体の第2の表面に固定され、結合され、および/または貼着される第2のリテーナとを含むことができる。このような実施形態において、第1の半透膜は、第1の表面の少なくとも一部に配置され、および/または接触して配置され、次いで、第1のリテーナは、第1の表面と第1のリテーナとの間に第1の半透膜が配置されるように、第1の表面に固定、結合、および/または貼着される(例えば、接着剤、超音波溶接、締まりばめもしくはスナップフィット、ねじ継手などを介して)。同様に、第2の半透膜は、第2の表面の少なくとも一部に配置され、および/または接触して配置され、次いで、第2のリテーナは、第2の表面と第2のリテーナとの間に第2の半透膜が配置されるように、第2の表面に固定、結合、および/または貼着される。次に、第1のリテーナおよび第2のリテーナは、第1の半透膜および第2の半透膜を、それぞれチャンバ本体の第1の表面および第2の表面に対して固定位置に保持するように構成することができる。言い換えれば、第1のリテーナおよび第2のリテーナをチャンバ本体に結合して、第1の半透膜および第2の半透膜をチャンバ本体に固定して結合することができる。
【0043】
いくつかの実施形態において、半透膜は、例えば、機械的ファスナ、またはクランプ装置および超音波溶接などの技術および/または方法の組み合わせを使用してチャンバ本体に結合される。いくつかの実装形態において、第1の半透膜および第2の半透膜は、実質的に同じ方法でチャンバ本体に結合することができる。その他の実装形態において、第1の半透膜は、第1の方法または方法の第1の組み合わせを介してチャンバ本体の第1の表面に結合することができ、第2の半透膜は、第2の方法または方法の第2の組み合わせ(例えば、第1の方法または方法の第1の組み合わせとは異なるもの)を介してチャンバ本体の第2の表面に結合することができる。
【0044】
バイオ拡散チャンバの処方(Formulation)と使用
本開示のバイオ拡散チャンバは、対象への挿入および対象からの除去のために適合されている。いくつかの実施形態において、対象は動物である。いくつかの実施形態において、対象は哺乳動物である。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。いくつかの実施形態において、対象はマウスである。
【0045】
いくつかの実施形態において、1つ以上のバイオ拡散チャンバが、対象内の目的の部位に埋め込まれる。いくつかの実施形態において、目的の部位は病変部位である。いくつかの実施形態において、目的の部位は病変部位部位から、遠隔にある(remote from)、分離している(separate from)、および/または空間をあけて離間している(spaced apart from)。
【0046】
いくつかの実施形態において、1つ以上のバイオ拡散チャンバが、対象に外科的に埋め込まれる。いくつかの実施形態において、1つ以上のバイオ拡散チャンバが、対象の腹部に埋め込まれる。ある実施形態において、1つ以上のバイオ拡散チャンバが、対象の直腸鞘に埋め込まれる。場合によっては、1~50個のチャンバが対象に埋め込まれる。例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50個のバイオ拡散チャンバが対象に埋め込まれる。
【0047】
いくつかの実施形態において、1つ以上のバイオ拡散チャンバは、治療上有効な時間の後に対象から取り除かれる。場合によっては、治療上有効な時間は、約3時間~約72時間の間であり得る。いくつかの例において、治療上有効な時間は、約3時間、約6時間、約12時間、約24時間、約36時間、約48時間、約60時間、約72時間、またはそれ以上、またはそれらの間の任意の時間または時間の分数である。いくつかの実施形態において、治療上有効な時間は、約72時間超、約96時間超、約1週間超、約1ヵ月超、約3ヵ月超、約6ヵ月超、または約1年超である。いくつかの実施形態において、チャンバは、無期限に、または対象がチャンバに対して有害な反応を示すまで、対象に埋め込まれる。典型的には、チャンバは、約15時間~約30時間、または約24時間~約72時間埋め込まれる。いくつかの特定の実装形態では、20個のチャンバが約40時間~約50時間埋め込まれる。
【0048】
本開示のバイオ拡散チャンバは、限定されるものではないが、全身的および局所的な薬物送達、遺伝子治療、および自己細胞接種などを含む様々な用途に使用され得る。対象への移植前に、様々な組成の材料がバイオ拡散チャンバの中空キャビティに挿入され得る、および/または少なくとも一時的に収容され得る。このような組成物は、少なくとも1つ以上の生物学的因子を含み得る。例えば、組成物は、細胞、アンチセンス分子、緩衝液、および/または任意の他の適切な生物学的因子を含み得、そして/またはそれらの混合物であり得る。いくつかの実装形態において、そのような組成物は、細胞、複数の異なるアンチセンス分子、緩衝液、小薬物分子、および/または任意の他の適切な材料、製品、薬物、または因子の混合物を含み得る。このような組成物は、注入ポート(上記したもの)を介してバイオ拡散チャンバの中空キャビティに挿入され得る。対象となるすべての材料がバイオ拡散チャンバに追加された後、同バイオ拡散チャンバを対象に埋め込む前に、注入ポートを封止することができる。いくつかの実施形態において、注入ポートは、PMMA、ゴム、蜜蝋、パラフィン、またはそれらの混合物を使用して封止される。いくつかの実施形態において、注入ポートは、骨ワックスを使用して封止される。
【0049】
いくつかの実施形態において、注入ポートは、ストッパ、プラグ、プランジャ、インサート、および/または閉塞部材を使用して封止される。このようなストッパなどは、PMMA、ゴム、シリコーン、および/または弾性変形するように構成された任意の適切な生体適合性材料を含むことができる、および/またはそれらから形成することができる。いくつかの実施形態において、そのようなストッパなどは、注入ポートの少なくとも一部を画定するチャンバ本体の少なくとも1つの表面と実質的に流体密なシールを形成するように構成することができる。いくつかの実施形態において、そのようなストッパなどは、対象の材料がバイオ拡散チャンバに加えられた後に、注入ポートに固定的および/または取り外し不可能に挿入することができる。その他の実施形態において、そのようなストッパなどは、対象の材料がバイオ拡散チャンバに加えられた後に、注入ポートに取り外し可能に挿入することができる。
【0050】
いくつかの実施形態において、少なくとも治療有効量のアンチセンス分子を含む組成物が、移植前にバイオ拡散チャンバに挿入および/または搬送される。いくつかの実施形態において、アンチセンス分子の治療有効量は、約1.0マイクログラム(μg)~約5.0μgである。例えば、治療有効量は、約1.0μg、約2.0μg、約3.0μg、約4.0μg、約5.0μg、約6.0μg、約7.0μg、約8.0μg、約9.0μg、または約10.0μgであり得る。いくつかの実施形態において、アンチセンス分子の治療有効量は、約5.0μg~約50.0μgである。いくつかの実施形態において、アンチセンス分子の治療有効量は、約50.0μg~約100.0μgである。いくつかの実施形態において、アンチセンス分子の治療有効量は、約10.0μg~約500.0μgである。いくつかの実施形態において、アンチセンス分子の治療有効量は、約100.0μg~約500.0μgである。いくつかの実施形態において、アンチセンス分子の治療有効量は、約500.0μg~約1.0ミリグラム(mg)である。いくつかの実施形態において、アンチセンス分子の治療有効量は、約1.0mg~約3.0mgである。いくつかの実施形態において、アンチセンス分子の治療有効量は、約3.0mg~約5.0mgである。いくつかの実施形態において、アンチセンス分子の治療有効量は、約5.0mg~約10.0mgである。いくつかの実施形態において、アンチセンス分子の治療有効量は、約1.0μg~約10.0mgである。
【0051】
いくつかの実施形態において、アンチセンス分子は、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(AS-ODN)である。いくつかの実施形態において、アンチセンス分子は、修飾されたリン酸骨格を含む。いくつかの実施形態において、リン酸骨格の修飾は、アンチセンスをヌクレアーゼ分解に対してより耐性にする。特定の実施形態において、修飾はロックされたアンチセンスである。その他の実施形態において、修飾はホスホロチオエート結合である。ある実施形態において、アンチセンスは、1つ以上のホスホロチオエート結合を含む。ある実施形態において、ホスホロチオエート結合は、ヌクレアーゼ耐性を付与することによってアンチセンス分子を安定化し、それによりその半減期を増加させる。いくつかの実施形態において、アンチセンスは部分的にホスホロチオエート結合されていてもよい。例えば、アンチセンスの約1%まで、約3%まで、約5%まで、約10%まで、約20%まで、約30%まで、約40%まで、約50%まで、約60%まで、約70%まで、約80%まで、約90%まで、約95%まで、または約99%(またはそれらの間の任意のパーセントまたはパーセントの分数)までが、ホスホロチオエート結合され得る。いくつかの実施形態において、アンチセンスは完全にホスホロチオエート結合されていてもよい。他の実施形態において、ホスホロチオエート結合は、ホスホジエステル結合と交互になり得る。ある実施形態において、アンチセンスは、少なくとも1つの末端ホスホロチオエート一リン酸を有する。
【0052】
いくつかの実施形態において、アンチセンス分子は、1つ以上のCpGモチーフを含む。他の実施形態において、アンチセンス分子は、CpGモチーフを含まない。ある態様において、1つ以上のCpGモチーフはメチル化されている。別の態様において、1つ以上のCpGモチーフは非メチル化されている。ある実施形態において、1つ以上の非メチル化CpGモチーフは、アンチセンス分子が対象に投与されたときに自然免疫応答を誘発する。
【0053】
ある実施形態において、アンチセンス分子は、少なくとも1つの末端修飾または「キャップ(cap)」を含む。キャップは、5’および/または3’-キャップ構造であってもよい。本明細書で使用する場合、用語「キャップ」または「エンドキャップ」は、オリゴヌクレオチド(末端リボヌクレオチドに関して)のいずれかの末端における化学修飾、および5’末端上の最後の2つのヌクレオチドと3’末端上の最後の2つのヌクレオチドとの間の結合における修飾を含む。キャップ構造は、標的配列または細胞機構との分子相互作用を損なうことなく、エキソヌクレアーゼに対するアンチセンス分子の耐性を増加させることができる。そのような修飾は、インビトロまたはインビボでのそれらの増大した効力に基づいて選択することができる。キャップは、5’-末端(5’-キャップ)または3’-末端(3’-キャップ)に存在してもよく、あるいは両端に存在してもよい。特定の実施形態において、5’-および/または3’-キャップは、ホスホロチオエート一リン酸、脱塩基性残基(部分)、ホスホロチオエート結合、4’-チオヌクレオチド、炭素環ヌクレオチド、ホスホロジチオエート結合、反転ヌクレオチドまたは反転脱塩基性部分(2’-3’または3’-3’)、ホスホロジチオエート一リン酸、およびメチルホスホネート部分から独立して選択される。ホスホロチオエートまたはホスホロジチオエート結合は、キャップ構造の一部である場合、一般に、5’末端の2つの末端ヌクレオチドと3’末端の2つの末端ヌクレオチドとの間に位置する。
【0054】
いくつかの実施形態において、アンチセンス分子は、2016年10月14日に出願された米国特許第9,744,187号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている1つまたは複数のp-エトキシ骨格修飾も含むことができる。いくつかの実施形態において、アンチセンス分子の核酸骨格は、少なくとも1つのp-エトキシ骨格結合を含む。例えば、アンチセンスの約1%まで、約3%まで、約5%まで、約10%まで、約20%まで、約30%まで、約40%まで、約50%まで、約60%まで、約70%まで、約80%まで、約90%まで、約95%まで、または約99%までが、p-エトキシ結合され得る。
【0055】
いくつかの実施形態において、アンチセンス分子は、インスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)の発現を標的とする。IGF-1Rは、インスリン受容体と70%相同性を共有するチロシンキナーゼ細胞表面受容体である。そのリガンド(IGF-I、IGF-II、インスリン)により活性化されると、増殖、形質転換および細胞生存を含む広い細胞機能を調節する。IGF-1Rは、悪性組織で生じる可能性のある足場非依存性状態での成長中に役割を果たす。
【0056】
ある実施形態において、アンチセンス分子は、例えばIGF-IRなどの成長因子または成長因子受容体のDNAまたはRNAを対象とする。
ある実施形態において、アンチセンスは、IGF-1Rに対して向けられたデオキシヌクレオチド(IGF-1R AS ODN)である。IGF-1Rの全長コード配列(配列番号1)は、例えば、2016年4月11日に出願されたWIPO特許公開第WO2016/164916号に提供されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0057】
ある実施形態において、IGF-1R AS ODNは、RNAまたはDNAのいずれかを含んで、IGF-1Rシグナル配列に相補的なヌクレオチド配列を含む。IGF-1Rのシグナル配列は30アミノ酸配列である。その他の実施形態において、IGF-1R AS ODNは、RNAまたはDNAのいずれかを含んで、IGF-1Rシグナル配列の一部分に相補的なヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、IGF-1R AS ODNは、RNAまたはDNAのいずれかを含んで、IGF-1Rのコドン1~309に相補的なヌクレオチド配列を含む。その他の実施形態において、IGF-1R AS ODNは、RNAまたはDNAのいずれかを含んで、IGF-1Rのコドン1~309の一部分に相補的なヌクレオチド配列を含む。
【0058】
ある実施形態において、IGF-1R AS ODNは、少なくとも約5ヌクレオチド、少なくとも約10ヌクレオチド、少なくとも約15ヌクレオチド、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約25ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約35ヌクレオチド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約45ヌクレオチド、または少なくとも約50ヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態において、IGF-1R AS ODNは、約15ヌクレオチド~約22ヌクレオチドの長さである。ある実施形態において、IGF-1R AS ODNは、約18ヌクレオチドの長さである。
【0059】
いくつかの態様において、IGF-1R AS ODNは、ヌクレオチド配列5’-TCCTCCGGAGCCAGACTT-3’(配列番号2)またはそのフラグメントを含む。ある実施形態において、IGF-1R AS ODNは、配列番号2に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約98%、または100%の同一性を有し得る。いくつかの実施形態において、IGF-1R AS ODNは、1つ以上のホスホロチオエート結合を含む。ある実施形態において、IGF-1R AS ODNは、配列番号2のヌクレオチド配列のみからなる。
【0060】
NOBELは、ホスホロチオエート骨格とIGF-1R遺伝子のコドン2~7に相補的な配列とを有する18-merのオリゴデオキシヌクレオチドである。したがって、NOBELは、IGF-1Rに指向するアンチセンスオリゴヌクレオチド(IGF-1R AS ODN)である。5’末端でIGF-1R遺伝子の相補的配列として誘導されるNOBEL配列は:5’-TCCTCCGGAGCCAGACTT-3’(配列番号2)である。NOBELは安定な貯蔵寿命を有し、そのホスホロチオエート骨格によりヌクレアーゼ分解に耐性である。
【0061】
適切なアンチセンス核酸は、2016年4月11日に出願された米国特許出願公開第2017/0056430号明細書にも記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、バイオ拡散チャンバに搬送される組成物は、複数の異なるタイプ、種類、および/または形態のアンチセンス分子を含み得る。
【0062】
いくつかの実施形態において、細胞はバイオ拡散チャンバに挿入され得る。いくつかの実施形態において、細胞はがん細胞である。いくつかの実施形態において、細胞は固形腫瘍から分離されるか、または固形腫瘍由来である。いくつかの実施形態において、細胞は神経膠腫細胞である。いくつかの実施形態において、がん細胞は、星細胞腫、肝細胞がん(hepatocarcinoma)、乳がん、頭頸部扁平上皮がん、肺がん、腎細胞がん、肝細胞がん(hepatocellular carcinoma)、胆嚢がん、古典的ホジキンリンパ腫、食道がん、子宮がん、直腸がん、甲状腺がん、黒色腫、大腸がん、前立腺がん、卵巣がん、膵がんから単離されるか、または由来する。いくつかの実施形態において、がん細胞はバイオ拡散チャンバが埋め込まれる対象から分離されるか、またはそれから由来する。
【0063】
いくつかの実施形態において、治療上有効な数の細胞をチャンバに挿入することができる。腫瘍細胞の治療上有効な数は、例えば、チャンバあたり約7.5×10~約1.25×10であり得る。いくつかの実施形態において、腫瘍細胞の治療上有効な数は、例えば、チャンバあたり約1.0×10である。
【0064】
いくつかの実施形態において、薬学的に許容される担体または賦形剤はバイオ拡散チャンバに挿入される。いくつかの実施形態において、緩衝液はバイオ拡散チャンバに挿入される。いくつかの実施形態において、緩衝液は生理食塩水である。
【0065】
いくつかの実施形態において、治療有効量のアンチセンス分子および治療上有効な数の細胞(例えば、神経膠腫細胞)を含む組成物が、チャンバに挿入される。いくつかの実施形態において、治療有効量のアンチセンス分子、治療上有効な数の細胞(例えば、神経膠腫細胞)、および薬学的に許容される担体を含む組成物が、チャンバに挿入される。いくつかの実施形態において、アンチセンス分子は、配列番号1の配列を有する。
【0066】
いくつかの実施形態において、少なくとも(i)治療有効量の1つ以上のアンチセンス分子、(ii)治療上有効な数の細胞(例えば、神経膠腫細胞)、および(iii)緩衝液、低分子薬物、付加的な生物学的因子などの1つ以上の付加的な材料を含む組成物が、バイオ拡散チャンバに挿入および/または搬送される。バイオ拡散チャンバのさらなる処方および使用は、2018年3月9日出願の国際特許出願第WO2018/165528号に開示されており、その開示は参照により本明細書にその全体が組み入れられる。
【0067】
本開示のバイオ拡散チャンバは、それを必要とする対象における疾患または状態を予防または治療するために使用され得る。いくつかの実施形態において、チャンバは、神経膠腫、星状胞腫、肝細胞がん(hepatocarcinoma)、乳がん、頭頸部扁平上皮がん、肺がん、腎細胞がん、肝細胞がん(hepatocellular carcinoma)、胆嚢がん、古典的ホジキンリンパ腫、食道がん、子宮がん、直腸がん、甲状腺がん、黒色腫、大腸がん、前立腺がん、卵巣がん、膵がんからなる群から選択されるがんを治療または予防するために使用される。特定の実施形態において、がんは神経膠腫である。特定の態様において、神経膠腫は再発性悪性神経膠腫である。いくつかの実施形態において、がんは星細胞腫である。ある実施形態において、治療の候補者である対象は、WHOグレードII、WHOグレードIII、またはWHOグレードIVの腫瘍を患っている。いくつかの態様において、がんは星細胞腫である。ある実施形態において、腫瘍は、グレードII星細胞腫、AIII(IDH1 R132H変異グレードIII星細胞腫)、AIII-G(多形性膠芽腫星細胞腫の特徴を有するIDH1野生型グレードIII)、またはグレードIV星細胞腫から選択される。
【0068】
いくつかの実施形態において、患者のがんを治療する方法は、本開示のバイオ拡散チャンバを患者に投与することを含む。いくつかの実施形態において、患者は固形腫瘍を患っている。いくつかの実施形態において、患者は神経膠腫を患っている。いくつかの実施形態において、患者は、神経膠腫、星状胞腫、肝細胞がん、乳がん、頭頸部扁平上皮がん、肺がん、腎細胞がん、肝細胞がん、胆嚢がん、古典的ホジキンリンパ腫、食道がん、子宮がん、直腸がん、甲状腺がん、黒色腫、大腸がん、前立腺がん、卵巣がん、膵がんからなる群から選択されるがんに罹患している。いくつかの実施形態において、バイオ拡散チャンバは、アンチセンス分子、腫瘍細胞、緩衝液、および任意選択で追加の薬剤を含む。いくつかの実施形態において、投与することは、治療上有効な期間(例えば、約3~約72時間)バイオ拡散チャンバを外科的に埋め込むことを含む。
【0069】
いくつかの実施形態において、本開示のバイオ拡散チャンバは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2017/0056430号明細書または米国特許出願公開第2018/0256625号明細書に記載されているがんの治療方法のいずれかにおいて使用される。
【0070】
図1は、一実施形態に従う、バイオ拡散チャンバ100を示す。同図に見られるように、バイオ拡散チャンバ100は、リング形状構造の外面または側面から延びる部分109を除いて、実質的に環状(例えば、リング形状)であるチャンバ本体102を含み、かつ/または備える。チャンバ本体102は、第1の表面103(例えば、上面)および第2の表面104(例えば、底面)を有する。第1の表面103と第2の表面104との間の距離は、約4.0mmである。
【0071】
チャンバ本体102は、円筒形状の中空キャビティ105を画定する内面を含む。外面と内面との間のチャンバ本体102の壁は、約2.0mmの厚さである。中空キャビティ105は、約10.0mmの直径、約4.0mmの高さ、および約315.0μLの容積を有する。
【0072】
チャンバ本体102は、さらに、チャンバ本体102の壁を通ってチャンバ本体102の外面からチャンバ本体102の内面まで延びる注入ポート106を含み、かつ/または画定する。注入ポート106の直径は約5.0mmである。
【0073】
第1の半透膜107は、チャンバ本体102の第1の表面103に結合され、第2の半透膜(図示せず)は、チャンバ本体102の第2の表面104に結合される。第1の半透膜107および第2の半透膜は、超音波溶接および/または医療グレードの接着剤などの接着剤を介して、それぞれ第1の表面103および第2の表面104に結合することができる。
【0074】
バイオ拡散チャンバ101は、対象からバイオ拡散チャンバ101を除去するための要素および/または特徴部をさらに含み、備え、および/または画定する。図示されるように、要素および/または特徴部は、リング形状構造の外面または側面から延びる部分109内にある穴110である。穴110は、チャンバ本体102の第1の表面103からチャンバ本体102の第2の表面104まで延びる。穴110は、第1の表面103または第2の表面104の少なくとも1つに対して実質的に垂直である。縫合糸(図示せず)は、必要に応じて、穴110に通され、および/または挿入されてもよい。穴110の直径は約5.0mmである。穴110は、注入ポート106から離れて(例えば注入ポートから約90度離れて)配置される。
【0075】
図2は、一実施形態に従う、バイオ拡散チャンバ200を示す。同図に見られるように、バイオ拡散チャンバ200は、リング形状構造の外面または側面から延びるフランジ209を除いて、実質的に環状(例えば、リング形状)であるチャンバ本体202を含み、かつ/または、からなる。チャンバ本体202は、第1の表面203(例えば、上面)および第2の表面204(例えば、底面)を有する。第1の表面203と第2の表面204との間の距離は、約4.0mmである。
【0076】
チャンバ本体202は、円筒形状の中空キャビティ205を画定する内面を含む。外面と内面の間のチャンバ本体202の壁は、約2.0mmの厚さである。中空キャビティ205は、約10.0mmの直径、約4.0mmの高さ、および約315.0μLの容積を有する。
【0077】
チャンバ本体202はさらに、チャンバ本体202の壁を通ってチャンバ本体202の外面からチャンバ本体202の内面まで延びる注入ポート206を含み、かつ/または画定する。注入ポート206の直径は約5.0mmである。
【0078】
第1の半透膜207は、チャンバ本体202の第1の表面203に結合され、第2の半透膜(図示せず)は、チャンバ本体202の第2の表面204に結合される。第1の半透膜207および第2の半透膜は、超音波溶接および/または医療グレードの接着剤などの接着剤を介して、それぞれ第1の表面203および第2の表面204に結合され得る。
【0079】
フランジ209は、対象からのバイオ拡散チャンバ201の取り外しを容易にする。フランジ209は、チャンバ本体202の高さより低い(例えば、約4.0mmより低い)高さを有する。フランジ209は、フランジ209の第1の表面(例えば、上面)からフランジ209の第2の表面(例えば、底面)まで延びる穴210を含み、かつ/または画定する。穴210は、フランジ209の第1の表面またはフランジ209の第2の表面の少なくとも一方に対して実質的に垂直である。穴210の直径は約5.0mmである。縫合糸(図示せず)は、必要に応じて、穴210に通され得る。フランジ209は、注入ポート206をの向かいに(例えば、注入ポート206から約180度のところに)および/または反対側に配置される。
【0080】
図3~15は、一実施形態に従う、バイオ拡散チャンバ300を示す。図3および4に示すように、バイオ拡散チャンバ300は、チャンバ本体302、第1の半透膜307、第2の半透膜308、第1のリテーナ314、および第2のリテーナ317を含み、および/または、からなる。バイオ拡散チャンバ300は、少なくとも生物学的因子を含む組成物(例えば、細胞、アンチセンス分子、緩衝剤、および/または、小分子薬物、追加のおよび/または異なるアンチセンス分子、追加のおよび/または異なる緩衝剤、などのような任意の他の追加の薬剤を含む混合物を含む組成物)を少なくとも一時的に含むように構成される。さらに、バイオ拡散チャンバ300は、対象(例えば、動物、哺乳動物、ヒト、および/またはマウス)に挿入され、所定時間(例えば、上述のように、約3時間~約72時間の治療上有効な時間)の経過後に対象から取り出されるように構成されている。
【0081】
図4~6に示されるように、チャンバ本体302は、第1の表面303(例えば、上面)および第2の表面304(例えば、底面)を有する。いくつかの実施形態において、第1の表面303と第2の表面304との間の距離は、約4.0mmである。いくつかの実施形態において、第1の表面303と第2の表面304との間の距離は、任意の適切な距離(例えば、4.0mm未満または4.0mm超)である。チャンバ本体302は、チャンバ本体302の円筒形周囲の外面または側壁から延びる、および/またはそれに結合されるフランジ309を除いて、実質的に円筒形の周囲を有する。より具体的には、チャンバ本体302は、円筒形の中空キャビティ305を画定する内面を有し、実質的に環状(例えば、リング形状)である。外面と内面との間のチャンバ本体302の壁は、約2.0mmの厚さである。中空キャビティ305は、約10.0mmの直径、約4.5mmの高さ、および約350.0μLの容積を有する。他の実施形態において、中空キャビティ305は、任意の適切なサイズ、形状、および/または構成を有することができる。
【0082】
第1の表面303は、中空キャビティ305を実質的に取り囲み(surround)、包囲し(encircle)、取り囲み(encompass)、および/または取り囲む(circumscribe)溝310を画定する(例えば、図4および5を参照)。同様に、第2の表面304は、中空キャビティ305を取り囲み(surround)、包囲し(encircle)、取り囲み(encompass)、および/または取り囲む(circumscribe)溝311を画定する(例えば、図6を参照)。いくつかの実施形態において、第1の表面303の溝310および第2の表面304の溝311は、1つまたは複数の製造プロセス、ステップ、および/または方法を容易にすることができる。いくつかの実施形態において、第1の表面303の溝310および第2の表面304の溝311は、第1の半透膜307の第1の表面303への結合、固定および/または取り付け、ならびに第2の半透膜308の第2の表面304への結合、固定および/または取り付けを容易にすることができる。
【0083】
図4~7に示すように、フランジ309は、チャンバ本体302の高さよりも低い(例えば、約4.0mmよりも低い)高さを有する。フランジ309は、フランジ309の第1の表面(例えば、上面)からフランジ309の第2の表面(例えば、底面)まで延びる穴310を含み、かつ/または画定する。穴310は、フランジ309の第1の表面またはフランジ309の第2の表面のうちの少なくとも1つに対して実質的に垂直である。穴310の直径は約5.0mmである。
【0084】
図6~8に示すように、チャンバ本体302は、中空キャビティ305と流体連通する注入ポート306を画定する。注入ポート306は、チャンバ本体302の壁を通って、チャンバ本体302の外面からチャンバ本体302の内面まで延びる(図8)。いくつかの実施形態において、注入ポート306の直径は約5.0mmである。その他の実施形態において、注入ポート306の直径は、流体および/または少なくとも1つ以上の生物学的因子を含む組成物を中空キャビティ305に搬送するために使用されるピペットまたはピペットチップのサイズに基づく。
【0085】
図9に示すように、バイオ拡散チャンバ300の第1のリテーナ314は、実質的に環状またはリング形状であり、開口315を画定する。第1のリテーナ314は、チャンバ本体302の第1の表面303のサイズおよび形状と実質的に同様のサイズおよび形状を有する(例えば、第1の表面303と同一平面または同一平面であり得るフランジ309を除く)。第1のリテーナ314の開口315は、中空キャビティ305のサイズおよび形状(周長(perimeter))と実質的に同様のサイズおよび形状(周長)を有する。第1のリテーナ314はまた、図11を参照して以下に説明されるように、チャンバ本体302の第1の表面303への第1のリテーナ314の結合を容易にするように構成される突起316を含む。
【0086】
図10に示されるように、バイオ拡散チャンバ300の第2のリテーナ317は、実質的に環状またはリング形状であり、開口318を画定する。第2のリテーナ317は、チャンバ本体302の第2の表面304のサイズおよび形状と実質的に同様のサイズおよび形状を有する。第2のリテーナ317の開口318は、中空キャビティ305のサイズおよび形状(周長)と実質的に同様のサイズおよび形状(周長)を有する。第2のリテーナ317はまた、図11を参照して以下で説明されるように、チャンバ本体302の第2の表面304への第2のリテーナ317の結合を容易にするように構成される突起319を含む。
【0087】
第1のリテーナ314および第2のリテーナ317は、それぞれ第1の表面303および第2の表面304に結合するように構成される。さらに、第1のリテーナ314の第1の表面303への結合および第2のリテーナ317の第2の表面304への結合は、図11に示すように、第1の半透膜307を第1の表面303に固定し、かつ第2の半透膜308を第2の表面304に固定するように動作可能である。
【0088】
より具体的には、製造中、第1の半透膜307は、チャンバ本体302の第1の表面303と接触して置かれ、および/またはそうでなければ配置され得る。第1の半透膜307の一部は、第1の表面303によって画定される溝311を覆う(overlay)、および/またはそうでなければ溝311上もしくは溝311中に配置することができる。図11に示されるように、第1のリテーナ314は、第1の表面303と位置合わせされ、第1の半透膜307の一部の上に配置され得る。同様に、第2の半透膜308は、チャンバ本体302の第2の表面304と接触して置かれ、および/またはそうでなければ配置され得る。第2の半透膜308の一部は、第2の表面304によって画定される溝312を覆う、および/またはそうでなければ溝312上もしくは溝312中に配置することができる。図11に示されるように、第2のリテーナ317は、第2の表面304と位置合わせされ、第2の半透膜308の一部に配置され得る。
【0089】
第1のリテーナ314および/または第2のリテーナ317が望ましい位置にあるとき、超音波エネルギーを第1のリテーナ314または第2のリテーナ317の少なくとも一方に加えて、第1のリテーナ314を第1の表面303に、および/または、第2のリテーナ317を第2の表面304に結合することができる。図11に示されるように、超音波エネルギーを適用および/または伝達することは、第1のリテーナ314および/または第2のリテーナ317のうちの少なくとも1つに及ぼされる力Fをもたらし得る。さらに、第1のリテーナ314および第2のリテーナ317は、第1のリテーナ314の突起316、そして次に、第1の半透膜307の一部が第1の表面303によって画定される溝311に押し込まれるように、チャンバ本体302に対して位置合わせすることができる。力F(すなわち、超音波エネルギー)は、突起316の少なくとも一部を溶解および/または溝311内で変形させることができ、それによって第1のリテーナ314を第1の表面303に固定的に結合することができる。さらに、第1のリテーナ314および第1の表面303は、それらの間に配置された第1の半透膜307の一部をクランプして、第1の半透膜307を第1の表面303に固定または結合する。第2のリテーナ317および第1のリテーナ314の第2の半透性突起(semi-permeable)316は、実質的に同じ方法で第2の表面304に固定して結合された第1の半透膜308の一部に接触することができる。場合によっては、第1のリテーナ314および第2のリテーナ317は、同時に、および/または実質的に同じ製造プロセスで、それぞれ第1の表面303および第2の表面304に結合される。他の例において、第1のリテーナ314は、第2のリテーナ317の第2の表面304への結合とは無関係に、第1の表面303に結合される。
【0090】
上述のように、チャンバ本体302は、中空キャビティ305と流体連通し、所望の量の流体および/または少なくとも1つ以上の生物学的因子を含む所望の量の組成物を中空キャビティ305内に搬送するために使用される注入ポート306を画定する。いくつかの実装形態において、注入ポート306は、所望の量の流体および/または組成物を中空キャビティ305内に搬送した後に封止される。
【0091】
例えば、図12~15に示すように、注入ポート306は、プラグ320が注入ポート306に挿入されることに応答して、第1の状態または開状態から第2の状態または閉状態に移行され得る。いくつかの実施形態において、プラグ320は、PMMA、ゴム、シリコン(silicon)、および/または弾性変形するように構成された任意の適切な生体適合性材料を含むことができ、かつ/またはそれらから形成することができる。プラグ320は、第1のシール321、第2のシール322、および第3のシール323を含み、これらはそれぞれ、注入ポート306および/または中空キャビティ305の少なくとも一部を画定するチャンバ本体302の少なくとも1つの表面と実質的に流体密なシールを形成するように構成される。例えば、いくつかの実施形態において、プラグ320が注入ポート306に挿入されると、第2のシール322は、注入ポート306を画定するチャンバ本体302の内面と締まりばめまたは摩擦嵌合を形成でき、これにより、図15に示されるように、それらの間の実質的に流体密なシール(fluid tight seal)をもたらす。さらに、プラグ320が注入ポート306に挿入されると、第1のシール321は、中空キャビティ305内に配置され、中空キャビティ305を画定するチャンバ本体302の内面と接触し、その結果、図15に示されるように、それらの間の実質的に流体密なシールをもたらす。さらに、第1のシール321の配置は、プラグ320が注入ポート306に挿入されるとき、プラグ320をチャンバ本体302に固定して結合する際に動作可能であり得る。
【0092】
図3~15には示されていないが、いくつかの実施形態において、挿入ツールを使用して、プラグ320を注入ポート306に挿入することができる。例えば、いくつかの実施形態において、挿入ツールは、プラグ320によって画定される開口324内に挿入されるように構成されたロッドを含むことができ、ロッドが開口324内に挿入されるときにプラグ320の外面と接触する肩部をさらに含むことができる。場合によっては、ユーザは、ロッドをプラグ320の開口324に挿入することができ、挿入ツールの力を加えて、プラグ320を注入ポート306に挿入することができる。プラグ320が注入ポート306に配置されると、挿入ツールは取り外され、プラグ320を注入ポート306内に残し、それにより、注入ポート306を封止する。
【0093】
図11を再び参照すると、いくつかの実装形態において、フランジ309および/またはフランジ309によって画定される開口310は、対象(例えば、動物、哺乳動物、および/またはヒト)からのバイオ拡散チャンバ300の除去を容易にする。例えば、いくつかの実施形態において、縫合糸330が、穴310に通され、および/または挿入され、フランジ309に結合されてもよい。縫合糸330は、バイオ拡散チャンバ300を除去するために適合された要素および/または特徴部であり得る。場合によっては、バイオ拡散チャンバ300は、縫合糸330がフランジ309に結合された状態で、対象に挿入することができる。所定の時間後(例えば、対象への挿入後3時間~72時間)に、縫合糸330を係合および操作して、対象からバイオ拡散チャンバ300を取り除くことができる。
【0094】
図3~15には示されていないが、いくつかの実装形態において、縫合糸(例えば、縫合糸330)は、任意の数のバイオ拡散チャンバによって画定される開口を通して挿入され得る。そのような実装形態において、縫合糸(例えば、縫合糸330)は、いくつかのバイオ拡散チャンバを少なくとも一時的に結合または繋ぎ合わせることができる。さらに、いくつかの例では、複数のバイオ拡散チャンバを一緒に結合および/または繋ぎ合わせることにより、一連のバイオ拡散チャンバ全体の除去を容易にすることができる。
【0095】
図16は、一実施形態に従う、本明細書に記載されているような、バイオ拡散チャンバの製造方法10を示すフローチャートである。11において、方法10は、バイオ拡散チャンバのチャンバ本体を形成することを含む。上記で詳細に説明したように、チャンバ本体は、射出成形、3D印刷、および/または任意の他の適切な方法を介して、任意の適切な生体適合性材料から形成することができる。チャンバ本体は、例えば、図3~15を参照して上述されたチャンバ本体302と同様であり得る。したがって、チャンバ本体は、中空キャビティと、中空キャビティと流体連通している注入ポートとを画定し、第1の表面、第2の表面、および開口を画定するフランジを有する。
【0096】
12において、第1の半透膜は、チャンバ本体の第1の表面と接触するように配置される。13において、第2の半透膜は、チャンバ本体の第2の表面と接触するように配置される。第1の半透膜および第2の半透膜は、例えば、図3~15を参照して上述した第1の半透膜307および第2の半透膜308と実質的に同様であり得る。したがって、半透膜は、核酸、アンチセンス分子、サイトカイン、および/または他の化学物質などの比較的小さな分子に対しては透過性であり得るが、細胞などの比較的大きな分子に対しては不透過性であり得る。
【0097】
14において、第1のリテーナは、第1の半透膜の一部が第1の表面と第1のリテーナとの間に固定して配置されるようにチャンバ本体の第1の表面に結合される。例えば、バイオ拡散チャンバ300を参照して上述したように、第1のリテーナは、超音波溶接および/または任意の他の適切な方法を介して第1の表面に固定して結合することができる。第1の半透膜の一部が第1の表面と第1のリテーナとの間に配置された状態で、第1のリテーナを第1の表面に結合すると、第1の半透膜が第1の表面に結合される。
【0098】
15において、第2のリテーナは、第2の半透膜の一部が第2の表面と第2のリテーナとの間に固定して配置されるようにチャンバ本体の第2の表面に結合される。例えば、バイオ拡散チャンバ300に関して上述したように、第2のリテーナは、超音波溶接および/または任意の他の適切な方法を介して第2の表面に固定して結合することができる。第2の半透膜の一部が第2の表面と第2のリテーナとの間に配置された状態で、第2のリテーナを第2の表面に結合すると、第2の半透膜が第2の表面に結合される。
【0099】
第1および第2のリテーナを第1および第2の表面にそれぞれ結合することにより、第1および第2の半透膜がそれぞれ第1および第2の表面に結合される。したがって、16において、第1および第2のリテーナを第1および第2の表面にそれぞれ結合した後に、少なくとも細胞およびアンチセンス分子の混合物を含む一定量の組成物が、注入ポートを介して、チャンバ本体によって画定される中空キャビティに搬送される。注入ポートは、例えば、バイオ拡散チャンバ300を参照して上述した注入ポート306と実質的に同様であり得る。上述のように、半透膜の配置は、第1および第2の半透膜がアンチセンス分子に対しては透過性であるが、より大きな分子に対しては透過性ではないようなものであり得る。したがって、いくつかの例では、バイオ拡散チャンバを対象(例えば、動物、哺乳動物、ヒト、マウスなど)に挿入することにより、ある量のアンチセンス分子がバイオ拡散チャンバから対象に拡散することを可能にすることができる。
【0100】
アンチセンス分子を搬送した後に、17にて注入ポートは封止される。注入ポートは、本明細書に記載されているような任意の適切な方法で封止することができる。例えば、いくつかの実施形態において、プラグ320を参照して上述したように、注入ポートにプラグを挿入して注入ポートを封止し、および/または他の方法で注入ポートを第1の状態または開いた状態から第2の状態またはシールされた状態に移行させることができる。
【0101】
上述のように、第1の実装形態において、バイオ拡散チャンバは、人体への挿入および人体からの除去のために適合されており、バイオ拡散チャンバは、(a)中空キャビティを画定し、第1の表面および第2の表面を含むチャンバ本体;(b)第1の表面に結合された第1の半透膜;(c)第2の表面に結合された第2の半透膜;(d)バイオ拡散チャンバを人体から除去するように構成された要素;を含み、第1の半透膜および第2の半透膜は、流体および可溶性因子に対しては透過性であるが、細胞に対して透過性ではない。
【0102】
第2の実装形態において、バイオ拡散チャンバは、人体への挿入および人体からの除去のために適合されており、バイオ拡散チャンバは、(a)中空キャビティを画定し、第1の表面および第2の表面を含むチャンバ本体;(b)第1の表面に結合された第1の半透膜;(c)第2の表面に結合された第2の半透膜;(d)チャンバ本体の第1の表面から第2の表面まで垂直に延在し、人体からのバイオ拡散チャンバの取り外しを容易にする、チャンバ本体の穴;を含み、第1の半透膜および第2の半透膜は、流体および可溶性因子に対しては透過性であるが、細胞に対して透過性ではない。
【0103】
第3の実装形態において、バイオ拡散チャンバは、人体への挿入および人体からの除去のために適合されており、バイオ拡散チャンバは、(a)中空キャビティを画定し、第1の表面および第2の表面を含むチャンバ本体;(b)第1の表面に結合された第1の半透膜;(c)第2の表面に結合された第2の半透膜;を含み、チャンバ本体は、穴を画定するチャンバ本体から外に延びる部分を除いて実質的にリング形状であり、穴は、チャンバ本体の第1の表面から第2の表面まで垂直に延びるとともにバイオ拡散チャンバの人体からの取り外しを容易にし、チャンバ本体は単一の成形構造であり、第1の半透膜および第2の半透膜は、流体および可溶性因子に対しては透過性であるが、細胞に対して透過性ではない。
【0104】
第4の実装形態において、バイオ拡散チャンバは、人体への挿入および人体からの除去のために適合されており、バイオ拡散チャンバは、(a)中空キャビティを画定し、第1の表面および第2の表面を含むチャンバ本体;(b)第1の表面に結合された第1の半透膜;(c)第2の表面に結合された第2の半透膜;を含み、チャンバ本体は、フランジを含むチャンバ本体から外に延びる部分を除いて実質的にリング形状であり、フランジは、同フランジの第1の表面から第2の表面まで垂直に延びるとともにバイオ拡散チャンバの人体からの取り外しを容易にする穴を含み、チャンバ本体は単一の成形構造であり、第1の半透膜および第2の半透膜は、流体および可溶性因子に対して透過性であるが、細胞に対して透過性ではない。
【0105】
いくつかの実施形態において、第1の実装形態、第2の実装形態、第3の実装形態、および/または第4の実装形態の少なくとも1つに従うバイオ拡散チャンバは、適用可能な場合、以下の要素、特徴部、および/または態様の1つ以上をさらに含むことができる:
バイオ拡散チャンバを人体から除去するように適合された要素は、チャンバ本体に結合された縫合糸を含む;
バイオ拡散チャンバを人体から除去するように適合された要素は、チャンバ本体に穴を含む;
縫合糸がチャンバ本体の穴に通される;
バイオ拡散チャンバを人体から取り外すために適合された要素は、チャンバ本体に結合され、チャンバ本体から延びるフランジを含む;
フランジは、フランジの第1の表面から第2の表面まで延びる穴を含む;
フランジの第1の表面から第2の表面までの距離は、チャンバ本体の第1の表面から第2の表面までの距離よりも短い;
縫合糸がフランジの穴に通される;
チャンバ本体は単一のポリマー成形構造である;
チャンバ本体は実質的にリング形状である;
中空キャビティの直径は5.0mm~20.0mmである;
中空キャビティの直径は10.0mmである;
チャンバ本体の第1の表面と第2の表面との間の距離は、3.0mm~10.0mmである;
チャンバ本体の第1の表面と第2の表面との間の距離は、4.0mmである;
チャンバ本体の穴の直径は3.0mm~8.0mmである;
チャンバ本体の穴の直径は5.0mmである;
縫合糸がチャンバ本体の穴に通される;
チャンバ本体はポリ(メチルメタクリレート)を含む;
チャンバ本体は純粋なポリ(メチルメタクリレート)を含む;
チャンバ本体は、抗酸化剤、着色剤、硬化剤、および可塑剤を実質的に含まない;
チャンバ本体は0.1%未満の不純物または添加物を含む;
チャンバ本体は乳白剤を含む;
チャンバ本体は1%未満の乳白剤を含む;
乳白剤は二酸化チタンである;
超音波溶接を使用して、第1の半透膜は第1の表面に結合され、第2の半透膜は第2の表面に結合される;
医療グレードの接着剤を使用して、第1の半透膜は第1の表面に結合され、第2の半透膜は第2の表面に結合される;
医療グレードの接着剤はポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)を含む;
チャンバ本体は、第1の表面上の第1の凹部と第2の表面上の第2の凹部とをさらに含む;
第1の半透膜は、第1の凹部内で第1の表面に結合され、第2の半透膜は、第2の凹部内で第2の表面に結合され、第1の半透膜は、第1の表面と実質的に面一であり、第2の半透膜は、第2の表面と実質的に面一である:
チャンバ本体はさらに注入ポートを含む;
注入ポートは3.0mm~8.0mmの直径を有する穴である;
注入ポートは5.0mmの直径を有する穴である;
注入ポートは、封止される;
注入ポートは、骨ワックスを使用して封止される;
注入ポートは、バイオ拡散チャンバを人体から取り除くために適合された要素から離れたところに配置される;
注入ポートはチャンバ本体の穴から離れたところに配置される;
チャンバ本体は、実質的にリング形状であり、注入ポートは、バイオ拡散チャンバを人体から除去するように適合された要素から約180度の位置に配置される;
チャンバ本体は、実質的にリング形状であり、注入ポートは、バイオ拡散チャンバの穴から約180度の位置に配置される;
中空キャビティは、100.0μL~1.0mLの容積を有する;
中空キャビティは、310.0μL~320.0μLの容積を有する;
バイオ拡散チャンバは、治療有効量のアンチセンス分子をさらに含む;
アンチセンス分子は、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドである;
アンチセンス分子は、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含む;
アンチセンス分子は配列5’-TCCTCCGGAGCCAGACTT-3’(配列番号2)を有する;
治療有効量は1.0μg~約5.0μgである;
治療有効量は1.0μg~約10.0mgである;
治療有効量は2.0μgである;
いくつかの実施形態において、第1の実装形態、第2の実装形態、第3の実装形態、および/または第4の実装形態の少なくとも1つに従うバイオ拡散チャンバを作成する方法は、以下のステップ、要素、機能、および/または態様の1つ以上を含む、および/または、からなる;
射出成形を使用してチャンバ本体を形成すること;
3D印刷を使用してチャンバ本体を形成すること;
超音波溶接を使用して、第1の半透膜を第1の表面に結合し、第2の半透膜を第2の表面に結合すること;
医療グレードの接着剤を使用して、第1の半透膜を第1の表面に結合し、第2の半透膜を第2の表面に結合すること;
ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)を含む医療グレードの接着剤を使用して、第1の半透膜を第1の表面に結合し、第2の半透膜を第2の表面に結合すること;
様々な実施形態が上述のように説明されたが、それらは、限定ではなく例としてのみ提示されたことが理解されるべきである。上述の概略図および/または実施形態が特定の向きまたは位置に配置された特定の構成要素を示す場合、構成要素の配置は変更されてもよい。実施形態が特に示され、説明されたが、形態および詳細の様々な変更が行われ得ることが理解されるであろう。例えば、バイオ拡散チャンバ300は、第1の半透膜307および第2の半透膜308を含むものとして上記に示され説明されているが、他の実施形態では、バイオ拡散チャンバは、単一の半透膜を含み得る。このような実施形態では、半透膜は、チャンバ本体の第1の表面に結合され、一方、第1の表面の反対側のチャンバ本体の第2の表面は、閉じられ、シールされ、中実であり、および/または開口、穴、ポートなどを欠いているものであってもよい。
【0106】
様々な実施形態が特定の特徴および/または構成要素の組み合わせを有するものとして説明されたが、本明細書で説明される実施形態のいずれかからの任意の特徴および/または構成要素の組み合わせを有する他の実施形態が可能である。例えば、チャンバ本体202の209は、図2に示され、実質的に円筒形(例えば円形断面形状)である穴210を画定するものとして上述されているが、他の実施形態において、チャンバ本体202のフランジ209は、フランジ309によって画定される孔または開口310(例えば、図5を参照されたい)と同様の形状を有する孔または開口を画定することができ、またはその逆も可能である。
【0107】
様々な構成要素の特定の構成も変更できる。例えば、様々な構成要素のサイズおよび特定の形状は、本明細書に記載される機能を依然として提供しながら、示される実施形態とは異なってもよい。より具体的には、様々な構成要素のサイズおよび形状は、所望のまたは意図された使用のために特に選択され得る。したがって、実施形態および/またはその構成要素のサイズ、形状、および/または配置は、文脈がそうではないと明確に述べていない限り、所与の用途に適合させることができることを理解されたい。
【0108】
上記の方法および/または事象が特定の順序で発生する特定の事象および/または手順を示す場合、特定の事象および/または手順の順序を変更することができる。さらに、特定の事象および/または手順は、可能な場合は並行したプロセスで同時に実行することも、上記のように順次実行することもできる。
【0109】
本明細書に開示および/または特許請求される製品、組成物、および/または方法のすべては、本開示に照らして過度の実験なしに作成および実行することができる。本開示の製品、組成物、および/または方法は、好ましい実施形態に関して記載されてきたが、本開示の概念、精神、および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される製品、組成物、および/または方法、ならびに方法のステップまたはステップの順序において、変形および修正が適用され得ることは、当業者には明らかであろう。当業者に明らかなそのような類似の変形および修正はすべて、添付の特許請求の範囲によって定義される開示の精神、範囲、および概念の範囲内であると見なされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【配列表】
0007406213000001.app