(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】酸化剤含有組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/22 20060101AFI20231220BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20231220BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20231220BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20231220BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20231220BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20231220BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20231220BHJP
A61Q 5/08 20060101ALI20231220BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
A61K8/22
A61K8/19
A61K8/31
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/39
A61K8/41
A61Q5/08
A61Q5/10
(21)【出願番号】P 2017129407
(22)【出願日】2017-06-30
【審査請求日】2020-06-12
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 幹展
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 紘之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 晴子
【合議体】
【審判長】阪野 誠司
【審判官】宮崎 大輔
【審判官】木村 敏康
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-81792(JP,A)
【文献】特開2006-182685(JP,A)
【文献】国際公開第2015/153819(WO,A1)
【文献】特開2006-282524(JP,A)
【文献】特開2008-189584(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0325768(US,A1)
【文献】特開2002-68976(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ剤を含有する剤と混合して染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として使用される酸化剤含有組成物であって、
(A)25℃で液状の炭化水素を4質量%以上、(B)HLBが
6以下である非イオン性界面活性剤、及び(C)炭素数12以上の高級アルコール且つ炭素数16の高級アルコールの場合は2-ヘキシルデカノールである群から選ばれる少なくとも一種を含有し、前記非イオン性界面活性剤は、モノグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも一種である酸化剤含有組成物
(ステアリン酸グリセリル、セテアレス20、セテアレス12、セテアリルアルコール、パルミチン酸セチル、ココグリセリル、炭酸ジカプリリル、グリセロール、流動パラフィン、ジピコリン酸、ピロリン酸2ナトリウム、エチドロン酸、水酸化カリウム、キサンタンガム、プロピレングリコール、過酸化水素、及び水からなる酸化剤組成物の構成を除く)。
【請求項2】
アルカリ剤を含有する剤と混合して染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として使用される酸化剤含有組成物であって、
(A)25℃で液状の炭化水素を4質量%以上25質量%以下、(B)HLBが7以下である非イオン性界面活性剤、及び(C)炭素数12以上の高級アルコール且つ炭素数16の高級アルコールの場合は2-ヘキシルデカノールである群から選ばれる少なくとも一種を含有する酸化剤含有組成物
(ステアリン酸グリセリル、セテアレス20、セテアレス12、セテアリルアルコール、パルミチン酸セチル、ココグリセリル、炭酸ジカプリリル、グリセロール、流動パラフィン、ジピコリン酸、ピロリン酸2ナトリウム、エチドロン酸、水酸化カリウム、キサンタンガム、プロピレングリコール、過酸化水素、及び水からなる酸化剤組成物の構成を除く)。
【請求項3】
前記(C)成分は、2-ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ラノリンアルコール、及び炭素数20以上の高級アルコールの群から選ばれる少なくとも一種である請求項1又は2に記載の酸化剤含有組成物。
【請求項4】
前記(B)成分の含有量に対する(A)成分の含有量と(C)成分の含有量の合計の質量比が3~50である請求項1~3のいずれか一項に記載の酸化剤含有組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の酸化剤含有組成物の使用方法であって、
前記酸化剤含有組成物とアルカリ剤を含有する剤と混合し、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤を調製する工程を含む酸化剤含有組成物の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として使用される酸化剤含有組成物及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、毛髪処理剤組成物として、複数の薬剤を混合することにより効果を発揮する染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤が知られている。そのような毛髪処理剤組成物としては、例えば、アルカリ剤及び酸化染料を含有する第1剤と、酸化剤、例えば過酸化水素を含有する第2剤(酸化剤含有組成物)とから構成される酸化染毛剤が知られている。
【0003】
酸化染毛剤において、染毛処理後の毛髪の感触を向上させるための成分として油性成分が知られている。例えば、特許文献1は、炭化水素等の油性成分を含有する酸化剤含有乳化組成物について開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、酸化剤を含有する組成物において、25℃で液状の炭化水素を比較的多く配合すると、製剤安定性が低下するという問題があった。
本発明の目的は、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として使用される酸化剤含有組成物において、製剤安定性を向上できる酸化剤含有組成物及びその使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、特定の非イオン性界面活性剤及び高級アルコールを併用することにより、25℃で液状の炭化水素を所定量含有する酸化剤含有組成物の製剤安定性を向上できることを見出したことに基づくものである。尚、成分の含有量を示す質量%の数値は、水等の可溶化剤を使用する場合、それらも含めた剤型中における数値である。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様では、アルカリ剤を含有する剤と混合して染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として使用される酸化剤含有組成物であって、(A)25℃で液状の炭化水素を4質量%以上、(B)HLBが8以下である非イオン性界面活性剤、及び(C)高級アルコールを含有することを特徴とする。
【0008】
前記非イオン性界面活性剤は、モノグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも一種であってもよい。前記(C)成分は、炭素数20以上の高級アルコールであってもよい。前記(B)成分の含有量に対する(A)成分の含有量と(C)成分の含有量の合計の質量比が3~50であってもよい。
【0009】
本発明の別の態様では、前記酸化剤含有組成物の使用方法であって、前記酸化剤含有組成物とアルカリ剤を含有する剤と混合し、染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤を調製する工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、製剤安定性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の酸化剤含有組成物を具体化した一実施形態を説明する。酸化剤含有組成物は、例えばアルカリ剤及び酸化剤を含有する染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤の第2剤として構成される。染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤の具体例としては、例えば2剤式の染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤、3剤式の染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤等が挙げられる。以下、酸化剤含有組成物として構成される第2剤を含む染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤の成分について例示する。
【0012】
<2剤式の毛髪脱色・脱染剤>
2剤式の毛髪脱色・脱染剤は、例えば、少なくともアルカリ剤を含有する第1剤と、少なくとも酸化剤を含有する第2剤とから構成される。
【0013】
(2剤式の毛髪脱色・脱染剤の第2剤)
第2剤は、酸化剤の他、(A)25℃で液状の炭化水素を4質量%以上、(B)HLBが8以下である非イオン性界面活性剤、(C)高級アルコール等を含有している。
【0014】
酸化剤は、毛髪に含まれるメラニンの脱色性を向上させる。酸化剤の具体例としては、例えば過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が挙げられる。これらの酸化剤の具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0015】
第2剤中における酸化剤の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは2.0質量%以上であり、さらに好ましくは3.0質量%以上である。酸化剤の含有量が0.1質量%以上の場合、メラニンの脱色性をより向上することができる。また、第2剤中における酸化剤の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは15.0質量%以下であり、より好ましくは9.0質量%以下であり、さらに好ましくは6.0質量%以下である。酸化剤の含有量が15.0質量%以下の場合、毛髪のダメージ等を抑制することができる。
【0016】
酸化剤として過酸化水素を第2剤に配合する場合、過酸化水素の安定性を向上させるために、好ましくは、第2剤は、安定化剤、例えばスズ酸ナトリウム、エチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、ヒドロキシエタンジホスホン酸、又はその塩等を含有する。ヒドロキシエタンジホスホン酸塩の具体例としては、例えばヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸二ナトリウム等が挙げられる。
【0017】
(A)25℃で液状の炭化水素は、毛髪処理後の毛髪の明度及び感触を向上させる。(A)成分の具体例としては、例えばα-オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、ポリブテン、流動パラフィン、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン等が挙げられる。これらの具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの中で、製剤安定性を維持しながら明度及び感触の向上効果に優れる観点から、α-オレフィンオリゴマー、スクワラン、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィンが好ましく、α-オレフィンオリゴマー、流動パラフィン、軽質流動イソパラフィンがより好ましい。
【0018】
第2剤中における(A)成分の含有量の下限は、4質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上である。かかる含有量が4質量%以上であると、毛髪処理後の毛髪の明度及び感触を向上させる。また、第2剤中における(A)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。かかる含有量が40質量%以下であると、毛髪処理後の毛髪の感触を向上させる。また、第1剤との混合性を向上させる。
【0019】
(B)HLBが8以下である非イオン性界面活性剤は、製剤安定性を向上させる。(B)成分としては、ポリオキシエチレン(以下、「POE」という)アルキルエーテル型非イオン性界面活性剤等のエーテル型非イオン性界面活性剤、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等のエステル型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。これらの中で製剤安定性の向上効果に優れる観点からエステル型非イオン性界面活性剤が好ましく、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルがより好ましい。(B)成分において、非イオン性界面活性剤のHLB値は、8以下、好ましくは7以下、より好ましくは6以下である。HLB値が低くなると、製剤安定性をより向上できる。製剤安定性向上の観点から(B)成分を2種以上併用することが好ましい。2種以上の(B)成分を併用する場合、POEアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤とエステル型非イオン性界面活性剤とを併用することが好ましく、POEアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤とモノグリセリン脂肪酸エステル又はポリグリセリン脂肪酸エステルとを併用することがより好ましい。
【0020】
(B)成分の具体例を以下に列挙する。なお、化合物名POEの括弧中の数値はE.O.の付加モル数を示す。また、本発明においてHLB値は、後述する実測値により求められる値を採用するが、日光ケミカルズ社カタログ(2014年)記載の数値等を参考値として記載する。(B)成分の具体例として、例えば、POE(3)アルキル(C12~14)エーテル(HLB:8)、POE(2)セチルエーテル(HLB:8.0)、POE(2)ミリスチルエーテル(HLB:5.8)、POE(3)ミリスチルエーテル(HLB:7.7)、POE(2)ヘキシルデシルエーテル(HLB:5.3)、POE(2)ステアリルエーテル(HLB:8.0)、POE(2)オレイルエーテル(HLB:4.9)、POE(3)オレイルエーテル(HLB:6.6)、POE(2)オクチルドデシルエーテル(HLB:4.6)、POE(2)ベヘニルエーテル(HLB:4.3)、POE(3)ベヘニルエーテル(HLB:5.8)、POE(5)ベヘニルエーテル(HLB:7.0)、親油型モノオレイン酸グリセリル(HLB:2.5)、親油型モノステアリン酸グリセリル(HLB:4.0)、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル(HLB:6.0)、モノミリスチン酸グリセリル(HLB:3.5)、モノステアリン酸ポリグリセリル(HLB:5.0)、モノオレイン酸ソルビタン(HLB:4.3)、セスキオレイン酸ソルビタン(HLB:3.7)、トリオレイン酸ソルビタン(HLB:1.7)、モノステアリン酸ソルビタン(HLB:4.7)、モノパルミチン酸ソルビタン(HLB:6.7)等が挙げられる。これらの具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0021】
尚、HLB(hydrophile-lipophile balance)は、W.C.Griffinによって考えられ、非イオン性界面活性剤に対して与えられた数値であり、非イオン性界面活性剤の親油基(アルキル基)と親水基(酸化エチレン鎖)との強さのバランスを数字で表したものである。HLB値は、乳化法から算出した実測値が用いられる(「ハンドブック-化粧品・製剤原料-」日光ケミカルズ株式会社(昭和52年2月1日改訂版発行)参照)。実測HLB値の測定には、界面活性剤の標準物質としてモノステアリン酸ソルビタン(例えば日光ケミカルズ社製のNIKKOL SS-10、HLB値4.7)とモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(例えば日光ケミカルズ社製のNIKKOL TS-10、HLB値14.9)を組み合わせて使用する。被乳化物には流動パラフィンを使用する。尚、流動パラフィンは種類による又はロットによる変動が考えられる場合は、その都度測定する。流動パラフィンを上記2種類の界面活性剤で乳化し、最適な界面活性剤の割合を求め、流動パラフィンの所要HLB値(乳化されるHLB値)を求める。計算式は数式(1)に示される。
【0022】
【数1】
通常流動パラフィンの所要HLB値は、種類及びロットにもよるが10.1~10.3程度である。次に未知の界面活性剤のHLBの測定は、所要HLB値を求めた流動パラフィンを用いて測定する。未知の界面活性剤が親水性であればモノステアリン酸ソルビタンと組み合わせ、未知の界面活性剤が疎水性であればモノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタンと組み合わせて、上記流動パラフィンを乳化し、安定性のあるところの最適割合を求め、未知の界面活性剤のHLB値をxとして上記数式(1)に当てはめて算出する。
【0023】
第2剤中における(B)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.65質量%以上である。(B)成分の含有量が0.01質量%以上であると、製剤安定性をより向上させる。第2剤中における(B)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。(B)成分の含有量が10質量%以下であると、製剤安定性をより向上させる。
【0024】
(C)高級アルコールは、製剤安定性及び第1剤との混合性を向上させる。(C)高級アルコールの具体例としては、例えばセチルアルコール(セタノール)、2-ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2-オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、ラノリンアルコール等が挙げられる。これらのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの中で製剤安定性及び第1剤との混合性の向上効果に優れる観点から、炭素数20以上の高級アルコールが好ましく、ベヘニルアルコール、アラキルアルコールがより好ましい。(C)成分が二種以上の混合物を使用する場合、炭素数20以上の高級アルコールを含むことが好ましい。また、ベヘニルアルコールを適用する場合、特に第2剤が25℃で粘度10000mPa・s以下の乳液状の場合であっても、明度及び製剤安定性を保ちつつ、第1剤との混合性を向上させる。
【0025】
第2剤中における(C)成分の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上である。(C)成分の含有量が0.1質量%以上であると、製剤安定性をより向上させる。第2剤中における(C)成分の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下である。(C)成分の含有量が20質量%以下であると、製剤安定性をより向上させる。また、第1剤との混合性を向上させる。
【0026】
第2剤中における(B)成分の含有量に対する(A)成分の含有量と(C)成分の含有量の合計の質量比の下限は、適宜設定されるが、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、さらに好ましくは7以上である。かかる質量比の上限は、適宜設定されるが、好ましくは50以下、より好ましくは45以下、さらに好ましくは40以下である。かかる質量比を上記範囲内に規定することにより、製剤安定性をより向上させる。
【0027】
第2剤中における(B)成分の含有量に対する(A)成分の含有量の質量比の下限は、適宜設定されるが、好ましくは1以上、より好ましくは5以上、さらに好ましくは8以上である。かかる質量比の上限は、適宜設定されるが、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、さらに好ましくは30以下である。かかる質量比を上記範囲内に規定することにより、製剤安定性をより向上させる。
【0028】
毛髪脱色・脱染剤は、必要に応じて、前述した成分以外の成分、例えば可溶化剤、水溶性ポリマー、無機物系高分子、上記以外の油性成分、多価アルコール、上記以外の界面活性剤、pH調整剤、糖、防腐剤、安定剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン、香料、酸化防止剤、キレート化剤、紫外線吸収剤等をさらに含有してもよい。
【0029】
可溶化剤は、例えば、第2剤を液状にする場合に配合される。使用される可溶化剤の例としては、例えば水及び有機溶媒(溶剤)が挙げられる。有機溶媒の具体例としては、例えばエタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、γ-フェニルプロピルアルコール、ケイ皮アルコール、アニスアルコール、p-メチルベンジルアルコール、α-ジメチルフェネチルアルコール、α-フェニルエタノール、エチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、フェノキシイソプロパノール、2-ベンジルオキシエタノール、N-アルキルピロリドン、炭酸アルキレン、アルキルエーテル等が挙げられる。これらの可溶化剤のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの中で、第2剤中のその他の成分を溶解する能力に優れることから水が好ましく適用される。溶媒として水が用いられる場合、第2剤中における水の含有量(使用時の含有量)は、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上である。
【0030】
水溶性ポリマーは、毛髪脱色・脱染剤に適度な粘度を与える。そのため、毛髪脱色・脱染剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内において水溶性ポリマーを含有してもよい。水溶性ポリマーとしては、例えば天然高分子、半合成高分子、合成高分子等が挙げられる。天然高分子の具体例としては、例えばデンプン、グアーガム、ローカストビーンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、トラガカントガム、ペクチン、マンナン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、デキストリン、トリグルコ多糖(プルラン)等が挙げられる。
【0031】
半合成高分子の具体例としては、例えば結晶セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、デンプンリン酸エステル、アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸塩等が挙げられる。
【0032】
合成高分子の具体例としては、例えばポリビニルカプロラクタム、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン-酢酸ビニル(VP/VA)コポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニル重合体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキル共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム(ポリ塩化ジメチルジメチレンピロリジニウム)(ポリクオタニウム-6)(マーコート100:メルク社製)、イタコン酸とPOEアルキルエーテルとの半エステル、又はメタクリル酸とPOEアルキルエーテルとのエステルと、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらのアルキルエステルから選ばれる少なくとも一つの単量体と、からなる共重合体が挙げられる。これらのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0033】
無機物系高分子の具体例としては、例えばベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等が挙げられる。これらのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0034】
油性成分は、特に毛髪にうるおい感を付与する。そのため、毛髪脱色・脱染剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内において下記に示される油性成分をさらに含有してもよい。油性成分としては、例えば油脂、ロウ類、25℃で固体状の炭化水素、エステル油、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、シリコーン等が挙げられる。
【0035】
油脂の具体例としては、例えばアルガニアスピノサ核油、オリーブ油(オリブ油)、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカダミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、月見草油、杏仁油、パーシック油、桃仁油、パーム油、卵黄油等が挙げられる。ロウ類の具体例としては、例えばラノリン、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油等が挙げられる。25℃で固体状の炭化水素の具体例としては、例えばパラフィン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、イソパラフィン等が挙げられる。
【0036】
エステル油の具体例としては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2-エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10~30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、2-エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0037】
高級脂肪酸の具体例としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。アルキルグリセリルエーテルの具体例としては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0038】
シリコーンの具体例としては、例えばジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン(例えば、(PEG/PPG/ブチレン/ジメチコン)コポリマー)、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。これらの油性成分のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0039】
多価アルコールとしては、例えばグリコール、グリセリン等が挙げられる。グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、高重合ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3-ブチレングリコール等が挙げられる。グリセリンとしては、例えばグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等が挙げられる。これらの多価アルコールのうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0040】
界面活性剤は、乳化剤又は各成分を可溶化させるための成分として毛髪脱色・脱染剤を使用時に乳化又は可溶化させ、粘度を調整したり、粘度安定性を向上させたりする。そのため、毛髪脱色・脱染剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内において下記に示される界面活性剤をさらに含有してもよい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びHLBが8を超える非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0041】
アニオン性界面活性剤の具体例としては、例えばアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、スルホコハク酸エステル、N-アルキロイルメチルタウリン塩、及びそれらの誘導体等が挙げられる。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンの具体例としては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエタノールアミン等が挙げられる。より具体的には、アルキルエーテル硫酸エステル塩としては、例えばPOEラウリルエーテル硫酸ナトリウムが挙げられる。アルキル硫酸塩の具体例として、例えばラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム等が挙げられる。アルキル硫酸塩の誘導体の具体例として、例えばPOEラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。スルホコハク酸エステルの具体例として、例えばスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム等が挙げられる。N-アルキロイルメチルタウリン塩の具体例として、例えばN-ステアロイル-N-メチルタウリンナトリウム等が挙げられる。
【0042】
カチオン性界面活性剤は、製剤安定性をより向上させる。そのため、第2剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内においてカチオン性界面活性剤をさらに含有してもよい。カチオン性界面活性剤の具体例としては、例えば塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、ベヘニルジメチルアミン、ベヘニン酸ジエチルアミノエチルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノエチルアミド、ステアリルジメチルアミン、パルミトキシプロピルジメチルアミン、ステアロキシプロピルジメチルアミン、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド等が挙げられる。塩化アルキルトリメチルアンモニウムの具体例としては、例えば塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化アラキルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。これらの具体例の中で、製剤安定性の向上効果に優れる観点から、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウムが好ましい。
【0043】
第2剤中におけるカチオン性界面活性剤の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上である。カチオン性界面活性剤の含有量が0.01質量%以上であると、製剤安定性をより向上させる。第2剤中におけるカチオン性界面活性剤の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。カチオン性界面活性剤の含有量が10質量%以下であると、製剤安定性をより向上させる。
【0044】
両性界面活性剤の具体例としては、例えばココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0045】
非イオン性界面活性剤は、HLBが8を超えるものから選択される。上記(B)成分とHLB値が8を超える非イオン性界面活性剤とを併用することにより、製剤安定性をより向上させる。そのため、第2剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内においてHLBが8を超える非イオン性界面活性剤をさらに含有することが好ましい。非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばエーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤、アルキルグルコシド等が挙げられる。エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばPOEセチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル、POEポリオキシプロピレンセチルエーテル、POEポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル等が挙げられる。
【0046】
エステル型非イオン性界面活性剤の具体例としては、例えばモノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリル、モノミリスチン酸POEグリセリル、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、POE還元ラノリン等が挙げられる。
【0047】
アルキルグルコシドの具体例として、例えばアルキル(炭素数8~16)グルコシド、POEメチルグルコシド、POEジオレイン酸メチルグルコシド等が挙げられる。これらの界面活性剤の具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの非イオン性界面活性剤の中で、製剤安定性の向上効果に優れる観点から、POEセチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテルが好ましい。
【0048】
pH調整剤は、毛髪脱色・脱染剤のpHを調整するために配合してもよい。pH調整剤としては、無機酸、有機酸、それらの塩等が挙げられる。無機酸の具体例としては、例えばリン酸、塩酸、硝酸、硫酸、ホウ酸等が挙げられる。さらにリン酸の具体例としては、例えばオルトリン酸、ポリリン酸、ピロリン酸、メタリン酸等が含まれる。有機酸の具体例としては、例えばクエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、グルコン酸、グルクロン酸、安息香酸等が挙げられる。塩の具体例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。糖の具体例としては、例えばグルコース、ガラクトース等の単糖、マルトース、スクロース、フルクトース、トレハロース等の二糖、糖アルコール等が挙げられる。防腐剤の具体例としては、例えばパラベン、メチルパラベン、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。安定剤の具体例としては、例えばフェナセチン、8-ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、タンニン酸等が挙げられる。酸化防止剤の具体例としては、例えばアスコルビン酸類及び亜硫酸塩等が挙げられる。キレート化剤の具体例としては、例えばエデト酸(エチレンジアミン四酢酸(EDTA))、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)及びその塩類等が挙げられる。
【0049】
第2剤の剤型は特に限定されず、具体例として25℃における剤型が、例えば水溶液や乳液等の液状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等が挙げられる。また、エアゾール、ノンエアゾール等とすることもでき、ノンエアゾールの場合、更にスクイズフォーマー式及びポンプフォーマー式等の種々の形態をとることができる。また、エアゾールの場合、公知の噴射剤及び発泡剤を適用することができる。噴射剤又は発泡剤の具体例としては、例えば液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、窒素ガス、炭酸ガス等が挙げられる。これらのうち一種のみを使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0050】
(2剤式の毛髪脱色・脱染剤の第1剤)
第1剤は、アルカリ剤を含有する。第1剤に含有されるアルカリ剤は、第2剤に含有される酸化剤の作用を促進させ、毛髪の脱色効果及び/又は脱染効果を向上する働きをする。なお、後述する染毛剤においては、染毛性を向上させる。
【0051】
アルカリ剤の具体例としては、例えばアンモニア、アルカノールアミン、ケイ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、メタケイ酸塩、硫酸塩、塩化物、リン酸塩、有機アミン、塩基性アミノ酸、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられる。アルカノールアミンの具体例としては、例えばモノエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。ケイ酸塩の具体例としては、例えばケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等が挙げられる。炭酸塩の具体例としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等が挙げられる。炭酸水素塩の具体例としては、例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。メタケイ酸塩の具体例としては、例えばメタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム等が挙げられる。硫酸塩の具体例としては、例えば硫酸アンモニウム等が挙げられる。塩化物の具体例としては、例えば塩化アンモニウム等が挙げられる。リン酸塩の具体例としては、例えばリン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム等が挙げられる。有機アミンの具体例としては、例えば2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、グアニジン、1-アミノ-2-プロパノール(MIPA)等が挙げられる。塩基性アミノ酸の具体例としては、例えばアルギニン、リジン等が挙げられる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。これらのアルカリ剤のうち、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。これらの中で、毛髪の明度を向上させる効果に優れる観点からアンモニア、アンモニウム塩、アルカノールアミン、炭酸塩が好ましく適用される。
【0052】
使用時における毛髪脱色・脱染剤、すなわち第1剤と第2剤との混合物中におけるアルカリ剤の含有量は、毛髪脱色・脱染剤が通常の脱色・脱染処理に適用される場合、pHが7~12の範囲となる量で配合されることが好ましく、pH9~12の範囲となる量で配合されることがより好ましい。混合物のpHを7以上とすることにより、第2剤に含まれる酸化剤の作用を促進することができる。混合物のpHを12以下とすることにより、毛髪脱色・脱染剤の塗布による毛髪のダメージを抑制することができる。なお、毛髪脱色・脱染剤のpHは、毛髪脱色・脱染剤の原液の25℃におけるpHを測定するものとする。
【0053】
第1剤は、毛髪脱色・脱染剤に一般的に含有され、且つ前述した各成分の作用を阻害しない各成分を含有してもよい。例えば、前述した第2剤に含有される成分を本発明の効果を阻害しない範囲内において適宜含有してもよい。
【0054】
第1剤の剤型は特に限定されず、具体例として25℃における剤型が、例えば水溶液や乳液等の液状、ゲル状、フォーム状、クリーム状、固形状等が挙げられる。また、エアゾール、ノンエアゾール等とすることもできる。また、エアゾールの場合、公知の噴射剤及び発泡剤を適用することができる。固形状としては、粉末状、粒状、タブレット状等が挙げられる。また、固形状の剤型の場合、分散剤、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩、硫酸ナトリウム、タルク、乳糖、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを配合してもよい。これらのうち一種のみを使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0055】
<3剤式の毛髪脱色・脱染剤>
3剤式の毛髪脱色・脱染剤は、例えば、上述した2剤式の毛髪脱色・脱染剤の第1剤と同じ組成を有する第1剤と、上述した2剤式の毛髪脱色・脱染剤の第2剤と同じ組成を有する第2剤と、少なくとも過炭酸塩を含有する第3剤とから構成される。このようにして構成される3剤式の毛髪脱色・脱染剤は、酸化剤として過炭酸塩を併用するため明度をより向上させる。
【0056】
(3剤式の毛髪脱色・脱染剤の第3剤)
第3剤は、過炭酸塩の他、分散剤等を配合することもできる。過炭酸塩は、酸化作用を向上させ、毛髪処理後の毛髪の明度をより向上させる。過炭酸塩の具体例としては、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム等が挙げられる。これらの具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0057】
第3剤の剤型は、製剤安定性の観点から、25℃における剤型が、固形状が好ましい。固形状としては、粉末状、粒状、タブレット状等が挙げられる。また、第3剤は、毛髪脱色・脱染剤に一般的に含有され、且つ前述した各成分の作用を阻害しない各成分を含有してもよい。例えば、前述した第1,2剤に含有される成分を本発明の効果を阻害しない範囲内において適宜含有してもよい。
【0058】
<2剤式の染毛剤>
2剤式の染毛剤は、例えば、少なくともアルカリ剤及び酸化染料を含有する第1剤と、少なくとも酸化剤を含有する第2剤とから構成される。以下、上述した毛髪脱色・脱染剤との相違点を中心に説明する。
【0059】
(2剤式の染毛剤の第2剤)
染毛剤の第2剤は、例えば、上述した毛髪脱色・脱染剤の第2剤と同じ組成を有する。
(2剤式の染毛剤の第1剤)
染毛剤の第1剤は、例えばアルカリ剤、及び酸化染料を含有する。第1剤に含有されるアルカリ剤の例としては、上述した毛髪脱色・脱染剤において使用されるアルカリ剤の具体例として先に説明したのと同じである。酸化染料は、酸化剤による酸化重合に起因して発色可能な化合物であり、染料中間体及びカプラーに分類され、酸化染料は好ましくは染料中間体及びカプラーを含んでいる。
【0060】
染料中間体としては、例えばp-フェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン(パラトルイレンジアミン)、N-フェニル-p-フェニレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルアミン、p-アミノフェノール、o-アミノフェノール、p-メチルアミノフェノール、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミン、o-クロル-p-フェニレンジアミン、4-アミノ-m-クレゾール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、2,4-ジアミノフェノール、1-ヒドロキシエチル-4,5-ジアミノピラゾール、それらの塩等が挙げられる。塩の具体例としては、例えば塩酸塩、硫酸塩等が挙げられる。これらの染料中間体の具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。
【0061】
カプラーは、染料中間体と結合することにより発色する。カプラーとしては、例えばレゾルシン、5-アミノ-o-クレゾール、m-アミノフェノール、α-ナフトール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール、m-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、トルエン-3,4-ジアミン、2,6-ジアミノピリジン、ジフェニルアミン、N,N-ジエチル-m-アミノフェノール、フェニルメチルピラゾロン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、それらの塩等が挙げられる。塩の具体例としては、例えば塩酸塩、硫酸塩等が挙げられる。これらのカプラーの具体例の内、一種のみが単独で含有されてもよいし、二種以上が組み合わされて含有されてもよい。酸化染料は、毛髪の色調を様々に変化させることができることから、好ましくは、染料中間体の前記具体例の中から選ばれる少なくとも一種と、カプラーの前記具体例の中から選ばれる少なくとも一種とから構成される。第1剤は、前記酸化染料以外の染料として、例えば「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載された酸化染料を適宜含有してもよい。
【0062】
染毛剤中における酸化染料の含有量の下限は、適宜設定されるが、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。酸化染料の含有量が0.01質量%以上であると、特に色味をより向上できる。
【0063】
染毛剤中における酸化染料の含有量の上限は、適宜設定されるが、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。酸化染料の含有量が10質量%以下であると、特に可溶化剤を使用する場合、可溶化剤に対する溶解性を向上できる。
【0064】
また、第1剤は必要に応じて前述した成分以外の成分、例えば上述した毛髪脱色・脱染剤の第1,2剤に含まれる成分をさらに含有してもよい。
<3剤式の染毛剤>
3剤式の染毛剤は、例えば、上述した2剤式の染毛剤の第1剤と同じ組成を有する第1剤と、上述した2剤式の染毛剤の第2剤と同じ組成を有する第2剤と、少なくとも過炭酸塩を含有する第3剤とから構成される。このようにして構成される3剤式の染毛剤は、酸化剤として過炭酸塩を併用するため明度をより向上させる。
【0065】
(3剤式の染毛剤の第3剤)
染毛剤の第3剤は、例えば、上述した毛髪脱色・脱染剤の第3剤と同じ組成を有する。過炭酸塩は、酸化作用を向上させ、毛髪処理後の毛髪の明度を向上させる。そして、白髪隠蔽性を向上させる。
【0066】
次に、本実施形態の酸化剤含有組成物の使用方法を以下に説明する。
まず、上述した複数剤からなる染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤の各剤が混合されることにより、アルカリ剤、酸化剤等を含有する染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤の混合物が調製された後、毛髪に塗布される。混合方法は、特に限定されず、例えば撹拌棒又は刷毛等を用いて、手で撹拌してもよく、撹拌子及び電動式撹拌機等を用いてもよい。また、混合物の剤型が泡状の場合、振とう発泡させてもよい。染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤の混合物の毛髪への塗布は、公知の方法、例えば薄手の手袋をした手、コーム(櫛)又は刷毛に付着されて毛髪に塗布する方法を適用することができる。また、エアゾール型として構成する場合、複数剤をそれぞれ泡状に吐出させた後、混合物を毛髪に塗布したり、各剤を毛髪に塗布しながら、毛髪上で混合してもよい。
【0067】
混合物が毛髪に塗布された後、所定時間経過後、常法に従い毛髪に塗布した混合物を水ですすぐ工程が行われる。次に、好ましくは常法に従いシャンプー用組成物を使用して、毛髪を洗浄し、水で洗い流す工程が行われる。シャンプー用組成物は、毛髪の洗浄用に適用されるものであれば特に限定されず、公知のシャンプー用組成物を適用することができる。次に、好ましくは常法に従いリンス用組成物を使用して、毛髪をリンス処理し、水で洗い流す工程が行われる。リンス用組成物は、毛髪のリンス用に適用されるものであれば特に限定されず、公知のリンス用組成物を適用することができる。リンス用組成物を用いた処理工程は、公知のリンス用組成物を適用することができる。次に、好ましくは常法に従い毛髪を乾燥する工程が行われる。
【0068】
上記実施形態の染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として使用される酸化剤含有組成物によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の酸化剤含有組成物は、酸化剤の他、所定量の(A)成分、(B)成分、(C)成分を含有する。したがって、酸化剤含有組成物の製剤安定性を向上させる。
【0069】
(2)本実施形態において、非イオン性界面活性剤がモノグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも一種である場合、製剤安定性をより向上させる。
【0070】
(3)本実施形態において、(C)成分が炭素数20以上の高級アルコールである場合、製剤安定性及び第1剤との混合性をより向上させる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0071】
・上記染毛剤において、上述した酸化染料以外の染料として、本発明の効果を阻害しない範囲内において、例えば「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載された直接染料を適宜含有してもよい。
【0072】
・上記実施形態の酸化剤含有組成物において(A)~(C)の各成分は、保存時に酸化剤含有組成物中に配合されていればよく、各剤を構成するその他の各成分の一部を別剤として構成し、剤型の数をさらに増やしてもよい。かかる構成においても、製剤安定性を向上できる。
【0073】
・上記実施形態の染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤は、本発明の効果が奏する限りにおいて、上述した染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤を構成する各剤に含有される各成分の一部を別剤として構成し、剤型の数を増やしてもよい。
【0074】
例えば、上述した染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤の第1剤において、アルカリ剤とアルカリ剤以外の組成とを分けて別剤として構成されてもよい。また、さらに過硫酸塩等の酸化助剤を含む剤を組み合わせた多剤式の染毛剤又は毛髪脱色・脱染剤として構成されてもよい。
【0075】
・上記実施形態において、各剤が混合された混合物の剤型は、特に限定されず、具体例として、25℃における剤型が、例えば乳化物、水溶液や乳液等の液状、ゲル状、フォーム状、クリーム状等が挙げられる。
【実施例】
【0076】
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明する。尚、本発明は、実施例欄記載の構成に限定されるものではない。
表1~3に示す各成分を含有する、酸化染毛剤の第1剤、酸化剤含有組成物としての第2剤をそれぞれ調製した。なお、各表における各成分を示す欄中の数値は当該欄の成分の含有量を示し、その単位は質量%である。尚、表中「(A)」~「(C)」の表記は、本願請求項記載の各(A)~(C)成分に対応する化合物を示す。一方、表中「(a)(b)」の表記は、本願請求項記載の成分(A)(B)の対比化合物を示す。第1剤と第2剤は、第1剤と第2剤を1:1の質量比で混合して液状の酸化染毛剤を調製した。
【0077】
得られた酸化染毛剤を、黒毛及び白毛の毛束(10cmのビューラックス社製)(以下、単に毛束という。)に刷毛を用いて塗布し、30℃にて30分間放置した。次に、毛束に付着した酸化染毛剤を水ですすいだ後、毛束にシャンプー(シャンプー用組成物としてホーユー社製のビゲントリートメントシャンプー)を2回、及びリンス(リンス用組成物としてホーユー社製のビゲントリートメントリンス)を1回施した。なお、シャンプー用組成物及びリンス用組成物は、それぞれ処理毎に水で洗い流している。続いて、毛束を温風で乾燥した後、一日間放置した。
【0078】
第2剤の製剤安定性及び第1剤との混合性について、下記に示す方法により評価した。また、染毛処理後の毛束の感触及び明度について、下記に示す方法により評価した。
(第2剤の製剤安定性)
液状である第2剤の製剤安定性について、ポリエチレン製容器に入れ、50℃で1日放置した後、第2剤の分離状態をパネラー5名が目視にて評価することにより判断した。分離が全くないものを、優れる(5点)、分離がほとんどないものを、良好(4点)、分離がやや見られるものを、可(3点)、分離がやや多く見られるものを、やや不良(2点)、分離が多く見られるものを、不良(1点)の5段階で採点した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」、及び1.6点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。
【0079】
(毛髪の明度)
上記各例の染毛処理後の毛束の明度について、パネラー5名が標準光源下で目視にて、以下の基準で評価することにより、明度が優れるか否かについて判断した。優れる(5点)、良好(4点)、可(3点)、やや不良(2点)、及び不良(1点)の5段階で採点し、各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」、及び1.6点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。
【0080】
(混合性)
第1剤及び第2剤を染毛カップに入れて、染毛用刷毛を使用し、手で170rpmの速度で2分間混合した。ガラス板に0.2g量り取り、もう1枚のガラス板で混合物を挟み込み、パネラー5名が目視にて溶け残りがないかを以下の基準で評価することにより、混合性を判断した。不均一な部分及び溶け残りが全くないものを、優れる(5点)、不均一な部分及び溶け残りがほとんどないものを、良好(4点)、不均一な部分又は溶け残りがやや存在するものを、可(3点)、不均一な部分又は溶け残りがやや多いものを、やや不良(2点)、不均一な部分又は溶け残りが多いものを、不良(1点)の5段階で採点した。各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」、及び1.6点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。結果を下記表に示す。
【0081】
(毛髪の感触)
上記各例の染毛処理後の毛束の感触について、パネラー5名が、べたつき過ぎず、しっとり感が得られているかを以下の基準で評価することにより、毛束の感触が優れるか否かを判断した。優れる(5点)、良好(4点)、可(3点)、やや不良(2点)、及び不良(1点)の5段階で採点し、各パネラーの採点結果について平均値を算出し、平均値が4.6点以上を「優れる:5」、3.6点以上4.6点未満を「良好:4」、2.6点以上3.6点未満を「可:3」、1.6点以上2.6点未満を「やや不良:2」、及び1.6点未満を「不良:1」とし、評価結果とした。
【0082】
【0083】
【0084】
【表3】
表1,2に示されるように、各実施例は、各評価項目について可以上の結果であることが確認された。表2に示されるように、(B)成分を含有しない比較例1,2は、各実施例に対して、製剤安定性の評価が劣ることが確認された。(C)成分を含有しない比較例3は、各実施例に対して、製剤安定性の評価が劣ることが確認された。なお、(A)成分の代わりにワセリンを使用する参考例1は、優れた毛髪の感触が得られないことが確認される。同様に、(A)成分を含有しない参考例2も、優れた明度及び感触が得られないことが確認される。