IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京パーツ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-静電容量式近接センサ 図1
  • 特許-静電容量式近接センサ 図2
  • 特許-静電容量式近接センサ 図3
  • 特許-静電容量式近接センサ 図4
  • 特許-静電容量式近接センサ 図5
  • 特許-静電容量式近接センサ 図6
  • 特許-静電容量式近接センサ 図7
  • 特許-静電容量式近接センサ 図8
  • 特許-静電容量式近接センサ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】静電容量式近接センサ
(51)【国際特許分類】
   G01V 3/08 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
G01V3/08 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020070704
(22)【出願日】2020-04-10
(65)【公開番号】P2021167747
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000220125
【氏名又は名称】東京パーツ工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】久保 守
【審査官】野田 華代
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-143988(JP,A)
【文献】特開2009-222423(JP,A)
【文献】特開2013-104766(JP,A)
【文献】特開2005-140596(JP,A)
【文献】特開2002-039708(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0276234(US,A1)
【文献】特開2010-66021(JP,A)
【文献】特開2004-256023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 3/00-3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の近接を検出するセンサ電極と、
前記センサ電極へ高周波信号を発信する発信手段と、
前記センサ電極での容量変化による検出結果を検出信号として出力するセンサ回路と、
前記センサ回路から入力された前記検出信号を判定電圧信号として出力する検出回路と、
前記検出回路から入力された前記判定電圧信号に基づいて、前記センサ電極への前記人体の近接を判定する制御部と、を備え、
前記センサ回路は、
コイルと第1のコンデンサとが並列に接続したLC並列回路と、
その上流側が前記コイルと直列に接続してLC直列共振回路を構成し、その下流側が前記第1のコンデンサの下流側と接続した第2のコンデンサと、を有し、
前記センサ電極は、前記LC並列回路の上流側に接続すると共に、単一の電極から成り、
前記検出回路は、前記コイルの下流側で且つ前記第2のコンデンサの上流側に接続することを特徴とする静電容量式近接センサ。
【請求項2】
前記検出回路は、ダイオードと抵抗とが並列接続された整流回路を有し、前記抵抗にて前記検出信号の周波数特性を調整することを特徴とする請求項1に記載の静電容量式近接センサ。
【請求項3】
前記第1のコンデンサの静電容量は、前記センサ電極からの放射ノイズを所望の範囲内に低減させると共に、前記センサ電極での検出感度を所望の範囲内に満たすように調整されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の静電容量式近接センサ。
【請求項4】
前記制御部は、少なくとも前記高周波信号における検出周波数の較正ステップを有し、
前記較正ステップでは、
前記人体が前記センサ電極に近接していない時の前記検出周波数における前記判定電圧信号の電圧と予め設定された目標電圧とを対比し、
当該判定電圧信号の電圧が、前記目標電圧を中心値とした所定の範囲より離れている場合には、前記検出周波数に所定の周波数幅を加算または減算し、当該判定電圧信号の電圧が、前記目標電圧に近づくように調整することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の静電容量式近接センサ。
【請求項5】
前記制御部は、前記較正ステップと前記人体の近接を判定する検出ステップとを交互に繰り返すステップ制御を行うことを特徴とする請求項4に記載の静電容量式近接センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式近接センサに関し、特に、単一のセンサ電極からの放射電界強度を低減しつつ、センサ回路及び検出回路により人体の検出感度を向上させる静電容量式近接センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の静電容量式近接センサ100として、図9に示す構造が知られている。図9は、従来の静電容量式近接センサ100の概要を説明する回路図である。
【0003】
図9に示す如く、静電容量式近接センサ100は、主に、センサ電極101と、センサ回路102と、検出回路103と、マイコン104と、を備える。センサ回路102は、LCR直列共振回路である。そして、センサ電極101は、センサ回路102のコイルL105の下流側であり、且つコンデンサC106の上流側の接続点108にて、コンデンサC106と並列に接続される。
【0004】
検出回路103は、主に、半波整流用のダイオードD109と、ローパスフィルタを構成する抵抗R110及びコンデンサC111と、増幅器(バッファ回路)112と、を備える。そして、検出回路103は、センサ回路102から出力された電気信号に基づいて、センサ電極101の静電容量に応じた判定電圧信号S100をマイコン104へと出力する。図示したように、検出回路103は、コンデンサC106の下流側であり、且つ抵抗R107の上流側の接続点113にてセンサ回路102と接続し、上記電気信号が検出回路103へと出力される。尚、ダイオードD109は、コンデンサC106と接続点113との間の接続点114にてセンサ回路102と接続し、上記電気信号を整流する。
【0005】
マイコン104は、主に、ADコンバータ115と、制御部116と、発信手段117と、を備え、車両からの制御信号S104を受けて動作する。ADコンバータ115は、検出回路103から出力された判定電圧信号S100をA/D変換した判定信号S101を制御部116へと出力する。そして、制御部116は、上記判定信号S101に基づき、ユーザーがドアハンドルの所定の面に近接若しくは接触したか、否かを判定する。制御部116が、上記近接等があったと判断した場合には、マイコン104は人の検知信号S102を車両の制御部へと出力する(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-143988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、静電容量式近接センサ100では、発信手段117は、高周波信号S103をセンサ回路102へと出力する。センサ電極101には、上記高周波信号S103に基づき所定の電圧が印加されることで、センサ電極101から検知用の放射電界が放出される。そして、ユーザーが、ドアハンドルの所定の面に近接若しくは接触することで、上記放射電界の発生領域に寄生容量の変化が生じ、センサ回路102では、上記寄生容量の変化に応じた電気信号を生成する。
【0008】
静電容量式近接センサ100では、センサ電極101における人体の検出感度を向上させるためには、センサ電極101に印加される電圧を増大させ、上記放射電界強度を増大させる必要がある。
【0009】
しかしながら、上記放射電界は、車両のTVやラジオ等のオーディオ機器やユーザーの携帯電話等の電子機器に対してはノイズ源にも成り得るため、各自動車メーカーにて、放射電界強度に規格値が設定されている。その結果、センサ電極101からの放射電界強度には制限があり、人体の検出感度を向上させ難いという課題がある。特に、単一のセンサ電極101では、2本のセンサ電極を対向配置する構造と比較して、センサ電極101から放出される放射電界を吸収することが出来ず、放射電界強度を増大させることには制限があり、人体の検出感度を向上させ難いという課題がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、単一のセンサ電極からの放射電界強度を低減しつつ、センサ回路及び検出回路により人体の検出感度を向上させる静電容量式近接センサを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の静電容量式近接センサは、人体の近接を検出するセンサ電極と、前記センサ電極へ高周波信号を発信する発信手段と、前記センサ電極での容量変化による検出結果を検出信号として出力するセンサ回路と、前記センサ回路から入力された前記検出信号を判定電圧信号として出力する検出回路と、前記検出回路から入力された前記判定電圧信号に基づいて、前記センサ電極への前記人体の近接を判定する制御部と、を備え、前記センサ回路は、コイルと第1のコンデンサとが並列に接続したLC並列回路と、その上流側が前記コイルと直列に接続してLC直列共振回路を構成し、その下流側が前記第1のコンデンサの下流側と接続した第2のコンデンサと、を有し、前記センサ電極は、前記LC並列回路の上流側に接続すると共に、単一の電極から成り、前記検出回路は、前記コイルの下流側で且つ前記第2のコンデンサの上流側に接続することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の静電容量式近接センサでは、前記検出回路は、ダイオードと抵抗とが並列接続された整流回路を有し、前記抵抗にて前記検出信号の周波数特性を調整することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の静電容量式近接センサでは、前記第1のコンデンサの静電容量は、前記センサ電極からの放射ノイズを所望の範囲内に低減させると共に、前記センサ電極での検出感度を所望の範囲内に満たすように調整されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の静電容量式近接センサでは、前記制御部は、少なくとも前記高周波信号における検出周波数の較正ステップを有し、前記較正ステップでは、前記人体が前記センサ電極に近接していない時の前記検出周波数における前記判定電圧信号の電圧と予め設定された目標電圧とを対比し、当該判定電圧信号の電圧が、前記目標電圧を中心値とした所定の範囲より離れている場合には、前記検出周波数に所定の周波数幅を加算または減算し、当該判定電圧信号の電圧が、前記目標電圧に近づくように調整することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の静電容量式近接センサでは、前記制御部は、前記較正ステップと前記人体の近接を判定する検出ステップとを交互に繰り返すステップ制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の静電容量式近接センサでは、センサ回路はLC並列回路とLC直列共振回路とを有し、単一のセンサ電極はLC並列回路の上流側に接続し、検出回路はLC直列共振回路内のコイルLとコンデンサCの接続点に接続する。この回路構成により、LC並列回路によりセンサ電極に印加される駆動電圧が低減され、センサ電極から発生する放射ノイズを低減すると共に、LC直列共振回路により検出信号を増幅することで、人体の検出感度を向上させることができる。
【0017】
また、本発明の静電容量式近接センサでは、検出回路における整流回路の抵抗の抵抗値を調整することで、センサ回路の共振回路の鋭さを調整し、判定電圧信号の共振周波数より少し高い周波数の信号変化を大きくすることができる。この回路構成により、センサ電極に人体が近接する場合と近接しない場合での判定電圧信号における電圧変化を大きくし、人体の検出感度を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の静電容量式近接センサでは、第1のコンデンサの静電容量を増加させると、検出感度が低下する反面、放射ノイズが低減するメリットがある。第1のコンデンサの静電容量を適宜調整することで、所望の検出感度を確保しつつ、放射ノイズを低減することができる。
【0019】
また、本発明の静電容量式近接センサでは、検出周波数の較正ステップにおいて、検出周波数における判定電圧信号の電圧を予め設定した目標電圧に近づける様に、判定電圧信号の電圧から検出周波数を適宜調整する。この較正ステップにより、周波数特性における電圧変化の大きな領域を用いて検出判定が行えることで、人体の検出精度を向上させることができる。
【0020】
また、本発明の静電容量式近接センサでは、車両の周辺環境が変化しても、最新の検出周波数を用いて人体を検出できるので、誤検出や検出漏れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態の静電容量式近接センサを説明する(A)側面図、(B)側面図である。
図2】本発明の一実施形態の静電容量式近接センサを説明する回路図である。
図3】本発明の一実施形態の静電容量式近接センサにおける周波数特性を説明する特性図である。
図4】本発明の一実施形態の静電容量式近接センサにおける周波数特性を説明する(A)特性図、(B)特性図、(C)特性図である。
図5】本発明の一実施形態の静電容量式近接センサにおける検出方法を説明する特性図である。
図6】本発明の一実施形態の静電容量式近接センサにおけるステップ制御を説明するフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態の静電容量式近接センサにおける検出周波数の較正ステップを説明するフローチャートである。
図8】本発明の一実施形態の静電容量式近接センサにおける検出周波数の較正ステップを説明する(A)特性図、(B)特性図、(C)特性図である。
図9】従来の静電容量式近接センサを説明する回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係る静電容量式近接センサ10(以下、「近接センサ10」と呼ぶ。)を図面に基づき詳細に説明する。尚、本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。
【0023】
図1(A)は、本実施形態の近接センサ10を説明する側面図である。図1(B)は、本実施形態の近接センサ10の使用状況を説明する側面図である。図2は、本実施形態の近接センサ10の概要を説明する回路図である。
【0024】
図1(A)に示す如く、近接センサ10のセンサ電極11は、単一の電極から成り、車両12のリアバンパ13の内側に配設される。近接センサ10は、キーレスエントリーシステムにおけるバックドア14の解錠用及び施錠用のセンサとして用いられる。図1(B)に示す如く、電子キー(図示せず)を携帯したユーザー15が、リアバンパ13の下側に足部16を差し入れる動作をすることで、近接センサ10が、センサ電極11を介して足部16を検出する。そして、車両12のドア制御部(図示せず)では、近接センサ10からユーザー15の足部16の検知信号S12(図2参照)が入力されることで、バックドア14の開閉操作を自動制御する。
【0025】
尚、近接センサ10の配設箇所は、車両12のリアバンパ13に限定するものではなく、例えば、車両12側方の乗降用のステップ(図示せず)の内側に配設され、車両12のドア制御部(図示せず)は、車両12のスライドドア(図示せず)の開閉操作を自動制御する場合でも良い。また、近接センサ10にて検出するものはユーザー15の足部16に限定するものではなく、近接センサ10では、ユーザー15の手や腕等、その他の部位も検出することができる。
【0026】
図1(A)に示すように、センサ電極11は、リアバンパ13の車両12の車幅方向に沿って直線状に配設され、例えば、その断面積は2mmであり、その長さは60cmである。そして、センサ電極11の材料としては、特に限定されるものではなく、絶縁電線、同軸ケーブル、銅板等の導電性金属板、等が採用される。尚、絶縁電線や同軸ケーブルを用いる場合には、1往復以上となるように折り曲げて使用することで、容易に電極面積を増大させ、ユーザー15の足部16の検出感度を向上させることができる。
【0027】
図2に示す如く、近接センサ10は、主に、センサ電極11と、センサ回路20と、検出回路21と、マイコン22と、を備える。
【0028】
センサ回路20は、コイルL23と第1のコンデンサC24とが並列に接続されたLC並列回路25と、コイルL23と第2のコンデンサC26とが直列に接続されたLC直列共振回路27と、を有する。上記回路構成により、センサ回路20は、並直列共振回路として用いられる。尚、本実施形態では、コイルL23のインダクタンスは、例えば、3mHとして設計され、第1のコンデンサC24の静電容量は、例えば、47pFとして設計され、第2のコンデンサC26の静電容量は、例えば、15pFとして設計される。
【0029】
図示したように、第3のコンデンサC28は、センサ回路20とマイコン22の発信手段35との間に接続される。そして、第3のコンデンサC28は、センサ回路20をマイコン22の低い出力インピーダンスから切り離し、インピーダンス変換素子として用いられる。尚、本実施形態では、第3のコンデンサC28の静電容量は、例えば、7pFとして設計される。
【0030】
また、接続点P1において、センサ電極11は、コイルL23及び第1のコンデンサC24の上流側に接続される。つまり、センサ電極11は、センサ回路20内のLC並列回路25と並列に接続される。
【0031】
図1(B)に示すように、センサ電極11は、地面17から約15cm~25cm程度の高さに位置する。センサ電極11と地面17との間にユーザー15の足部16が挿入されることで、センサ電極11と足部16との間及び足部16と地面17との間に寄生容量が発生する。そして、近接センサ10では、上記寄生容量の変化を検出してユーザー15の足部16を判定するため、LC並列回路25では、センサ電極11での上記寄生容量を合算することを考慮して、第1のコンデンサC24の静電容量が設計される。
【0032】
ここで、第1のコンデンサC24は、センサ電極11からの放射電界強度を調整する効果を有している。第1のコンデンサC24の静電容量が大きくなると、第1のコンデンサC24に流れる電流が増加するため、その分、センサ電極11からの放射電界強度が低下し、放射ノイズの低減と検出感度の低下が生じる。これとは逆に、第1のコンデンサC24の静電容量が小さくなると、センサ電極11からの放射電界強度が増加し、放射ノイズの増加と検出感度の向上が生じる。
【0033】
第1のコンデンサC24の静電容量は、センサ電極11での検出感度の向上と放射ノイズの低減とを考慮して、0を含む任意の設計が可能である。本実施形態では、放射ノイズの低減を優先し、第1のコンデンサC24の静電容量が寄生容量に対して大きくなるように設計する。具体的には、第1のコンデンサC24の静電容量は47pF、センサ電極11での上記寄生容量は10pF~20pFとして設計する。
【0034】
この回路構成により、マイコン22の発信手段35から入力される高周波信号S13のパルス電圧は、LC並列回路25により低減される。本実施形態では、高周波信号S13のパルス電圧は、3.3Vであるが、センサ電極11には、0.2V~0.3Vの駆動電圧しか印加されない。
【0035】
その結果、センサ電極11に印加される電圧が大幅に低減され、センサ電極11からの放射電界強度も大幅に低減される。そして、センサ電極11からの放射ノイズが低減されることで、車両12のTVやラジオ等のオーディオ機器やユーザー15の携帯電話等の電子機器に対するノイズ源も低減されると共に、各自動車メーカーにおける放射電界強度の規格値も十分に満たすことができる。更には、センサ電極11として単一の電極構造が実現され、対向型の2本のセンサ電極構造と比較してコスト削減が実現される。
【0036】
検出回路21は、主に、半波整流用のダイオードD29と、検出信号の周波数特性を調整する抵抗R30と、増幅器(バッファ回路)31と、増幅器31からの判定電圧信号S10を平滑化する第4のコンデンサC32と、を有する。図示したように、接続点P2において、検出回路21は、コイルL23の下流側であり、且つ第2のコンデンサC26の上流側にて、LC直列共振回路27に対して接続される。そして、検出回路21は、センサ回路20から出力された検出信号に基づいて、センサ電極11での静電容量の変化に応じた判定電圧信号S10をマイコン22へと出力する。尚、本実施形態では、第4のコンデンサC32の静電容量は、例えば、0.1μFとして設計される。
【0037】
上述したように、センサ電極11へと印加する電圧を低減し、センサ電極11からの放射電界強度を低減することで、センサ電極11での検出感度も低下する。しかしながら、上記回路構成により、センサ回路20からの検出信号は、LC直列共振回路27により増幅して出力される。本実施形態では、1.0V程度の検出信号電圧を得られる。その結果、センサ電極11での放射ノイズを低減させつつ、センサ回路20からの検出信号を増幅することで、近接センサ10の検出感度を向上させる。
【0038】
また、検出回路21では、抵抗R30が、LC直列共振回路27と増幅器31との間であり、ダイオードD29と並列に接続される。詳細は後述するが、抵抗R30の抵抗値を調整し、センサ回路20での共振回路の共振の鋭さが調整されることで、上記検出信号及び判定電圧信号S10では、センサ電極11にユーザー15の足部16が近接していない場合の共振周波数fres図5参照)及びセンサ電極11にユーザー15の足部16が近接している場合の共振周波数fhum図5参照)より少し高い周波数の信号変化が大きくなり、近接センサ10での検出精度が向上する。
【0039】
尚、増幅器31から出力された判定電圧信号S10は、第4のコンデンサC32により平滑化され、検出回路21から直流の判定電圧信号S10としてマイコン22へと出力される。
【0040】
マイコン22は、主に、ADコンバータ33と、制御部34と、発信手段35と、を備え、車両12からの制御信号S14を受けて動作する。そして、ADコンバータ33は、検出回路21から入力された判定電圧信号S10をA/D変換した近接判定信号S11を制御部34へと出力する。
【0041】
制御部34は、近接判定信号S11に基づき、ユーザー15(図1(B)参照)の足部16(図1(B)参照)が、センサ電極11に近接したか、否かを判定する。そして、制御部34が、上記足部16が近接したと判断した場合には、マイコン22は、車両12のドア制御部(図示せず)へと、上記足部16を検出したという人の検知信号S12を出力する。また、詳細は後述するが、制御部34は、検出周波数の較正ステップと検出ステップとを交互に実行するステップ制御を行う。
【0042】
発信手段35は、制御部34による制御により、所望のタイミングにて、所定の周波数及びデューティー比の高周波信号S13をセンサ回路20へと出力する。尚、本実施形態では、高周波信号S13として、矩形形状の高周波信号を用いるが、高周波信号S13の周波数は、特に限定されるものではない。そして、本実施形態のように、センサ電極11をリアバンパ13(図1(A)参照)内に配設してユーザー15の足部16を検出する場合には、検出領域や検出感度を考慮して200kHz以上1000kHz以下の高周波信号S13が好ましい。また、高周波信号S13としては、矩形波に限らず、正弦波や三角波の場合でも良い。
【0043】
図3は、本実施形態の近接センサ10における周波数特性を説明する特性図である。図4(A)~図4(C)は、本実施形態の近接センサ10における周波数特性に関し、検出回路21の抵抗R30の抵抗値を変化させた場合の周波数特性を説明する特性図である。図5は、本実施形態の近接センサ10のセンサ電極11にユーザー15の足部16が近接した場合の周波数特性と近接していない場合の周波数特性とを説明する特性図である。尚、図3図5の説明の際には、適宜、図1及び図2を参照する。
【0044】
図3は、ある一定の周囲環境下において、センサ回路20に入力される高周波信号S13と判定電圧信号S10との関係を示す。図3では、横軸はマイコン22の発信手段35からセンサ回路20へと入力される高周波信号S13の周波数f(kHz)を示し、縦軸は検出回路21から出力される判定電圧信号S10の電圧(V)を示す。尚、図3は、センサ電極11にユーザー15の足部16が近接していない場合の周波数特性を示す特性曲線G1である。また、図3では、高周波信号S13の周波数掃引を200kHz~600kHzまで指定された掃引速度にて行うことで得られた特性曲線の一部を示す。
【0045】
図3に示す如く、高周波信号S13の共振周波数fresは約460kHzであり、その共振時の電圧Vresは約2.9Vである。そして、その共振周波数fresより少し高い周波数にて大きな信号変化である電圧の急峻な変化が発生している。そして、図3に示す高周波信号S13では、その共振周波数fresを中心として左右非対称の波形が示される。この特性曲線G1の波形や、上述したようにセンサ回路20は並直列共振回路として構成されることからも、センサ回路20での共振周波数fresは直列共振点であり、その直列共振点よりも高周波帯に並列共振点を有するものと推測される。
【0046】
詳細は後述するが、高周波信号S13の共振周波数fresより少し高い周波数における大きな信号変化を用いることで、センサ電極11における寄生容量の小さい変化に対して、検出回路21にて大きな電圧変化ΔV(図5参照)を発生させることができる。その結果、近接センサ10では、放射ノイズを低減しつつ、ユーザー15の足部16を精度良く判定することができる。
【0047】
図4(A)~図4(C)では、抵抗R30の抵抗値を変えた場合のセンサ回路20に入力される高周波信号S13と判定電圧信号S10との関係を示す。尚、図4(A)~図4(C)は、図3と同様に、センサ電極11にユーザー15の足部16が近接していない場合の特性曲線G1を示し、横軸はマイコン22の発信手段35からセンサ回路20へと入力される高周波信号S13の周波数f(kHz)を示し、縦軸は検出回路21から出力される判定電圧信号S10の電圧(V)を示す。
【0048】
検出回路21に抵抗R30を配置することで、センサ回路20の共振回路の共振の鋭さが低減する。図4(A)では抵抗R30の抵抗値は33kΩであり、抵抗R30の抵抗値を小さく設定する場合には、上記共振の鋭さも低減し、共振周波数fresより少し高い周波数帯の特性曲線G1の波形はなだらかな信号変化となる。
【0049】
一方、図4(B)では抵抗R30の抵抗値は120kΩであり、抵抗R30の抵抗値を適切に設定する場合には、上記共振の鋭さが増し、図3を用いて上述したように、共振周波数fresより少し高い周波数の特性曲線G1の波形は大きな信号変化となる。尚、図4(C)では、抵抗R30を配置せず、オープン回路(抵抗R30=無限大とみなせる)とした場合であり、共振周波数fresより少し高い周波数の特性曲線G1の波形は急峻過ぎる信号変化となるため、信号変化が大きいところに、後述する検出周波数f図5参照)を合わせることが著しく困難となる。本実施形態では、抵抗R30の抵抗値を120kΩとすることで、共振周波数fres460kH~470kHzの間で、約2.9V~約0.8Vという大きな電圧変化ΔVを得ている。
【0050】
図5は、センサ回路20に入力される高周波信号S13と判定電圧信号S10との関係を示す。そして、実線は、センサ電極11にユーザー15の足部16が近接していない場合の特性曲線G1を示し、点線は、センサ電極11にユーザー15の足部16が近接した場合の特性曲線G2を示す。尚、横軸はマイコン22の発信手段35からセンサ回路20へと入力される高周波信号S13の周波数f(kHz)を示し、縦軸は検出回路21から出力される判定電圧信号S10の電圧(V)を示す。
【0051】
図5に示す如く、ユーザー15の足部16が、センサ電極11に近接することで、センサ電極11での寄生容量が増大し、ユーザー15の足部16がセンサ電極11に近接している場合の共振周波数fhumは、ユーザー15の足部16がセンサ電極11に近接していない場合の共振周波数fresよりも少し低い周波数となる。そして、一点鎖線32は、マイコン22の発信手段35からセンサ回路20へと入力される検出周波数fを示すが、検出周波数fでは、ユーザー15の足部16がセンサ電極11に近接している場合の電圧値とユーザー15の足部16がセンサ電極11に近接していない場合の電圧値との間に、大きな電圧変化ΔVが発生する。
【0052】
上述したように、本実施形態では、センサ回路20におけるそれぞれの共振周波数fres、共振周波数fhumより少し高い周波数における大きな信号変化が発生する領域を用いることで、近接センサ10での検出精度を向上させる。
【0053】
本実施形態では、図4(A)~図4(C)を用いて上述したように、抵抗R30の抵抗値を小さく設定した場合には、特性曲線G1の波形がなだらかになり、検出周波数fでの上記電圧変化ΔVが小さくなることで、検出精度が悪化する。また、検出回路21の抵抗R30を大きく設定した場合には、特性曲線G1の波形が過剰に急峻となるため、検出周波数fの設定自体が困難となる。一方、検出回路21の抵抗R30の抵抗値を適切な大きさに設定することで、特性曲線G1の波形に大きな信号変化が発生し、検出周波数fでの上記電圧変化ΔVが大きくなり、検出精度が向上する。
【0054】
つまり、近接センサ10では、上記大きな電圧変化ΔVが発生する周波数を検出周波数fとして設定し、判定電圧信号S10からの上記電圧変化ΔVが閾値以上であるか、否かにより、センサ電極11へのユーザー15の足部16の近接の有無を判定することで、検出精度を向上させることができる。
【0055】
図6は、本実施形態の近接センサ10におけるステップ制御を説明するフローチャートである。図7は、本実施形態の近接センサ10における検出周波数の較正ステップを説明するフローチャートである。図8(A)~図8(C)は、本実施形態の近接センサ10における検出周波数の較正ステップを説明する特性図である。尚、図6図8の説明の際には、適宜、図1図5を参照する。
【0056】
図6に示すステップS0では、電子キーを携帯したユーザー15が車両12に近づくと、車両12の電子キー認証システムと電子キーとの間にて無線通信が行われ、電子キーが車両12の正規の電子キーであることの認証が行われる。そして、車両12にて正規の電子キーであることが認証されることで、近接センサ10が駆動する。尚、上記電子キーの認証は、スマートエントリーシステムにおける公知の認証方法が採用される。
【0057】
ステップS1では、マイコン22の発信手段35は、最新の検出周波数f及びデューティー比の高周波信号S13をセンサ回路20へと出力する。そして、マイコン22のADコンバータ33には、検出回路21から出力された最新の判定電圧信号S10が入力され、ADコンバータ33では、入力された判定電圧信号S10をA/D変換した近接判定信号S11を制御部34へと出力する。
【0058】
ステップS2では、マイコン22の制御部34は、近接判定信号S11(最新の検出周波数f)の電圧V1から予め設定された目標電圧V0(図8(A)参照)を減算した算出結果の絶対値が、予め設定された許容電圧差ΔV0(図8(A)参照)より大きいか、否かを判定する。尚、目標電圧V0及び許容電圧差ΔV0は、近接センサ10を車両12に設置する際に、予め設定された固定値である。
【0059】
ステップS2のYESにて、制御部34が、上記絶対値が許容電圧差ΔV0より大きいと判定した場合には、ステップS3では、制御部34は、カウンタの数に1を加算する。そして、ステップS4では、制御部34は、上記カウンタの数がN回より大きいか、否かを判定する。一方、ステップS2のNOにて、制御部34が、上記絶対値が許容電圧差ΔV0以下であると判定した場合には、上記カウンタの数を0とし、ステップS6へと進む。
【0060】
ステップS4のYESにて、制御部34が、上記カウンタの数がN回より大きいと判定した場合には、ステップS5では、制御部34が、周波数制御フラグを1に設定する。一方、ステップS4のNOにて、制御部34が、上記カウンタの数がN回以下であると判定した場合には、ステップS6へと進む。尚、周波数制御フラグの1は、検出周波数の較正ステップを実行するフラグであり、周波数制御フラグの0は、検出ステップを実行するフラグである。
【0061】
ステップS6では、制御部34は、モードフラグが1であるか、否かを判定する。尚、モードフラグの1は、検出周波数の較正ステップを実行するフラグであり、モードフラグの0は、検出ステップを実行するフラグである。
【0062】
ステップS6のYESにて、制御部34が、モードフラグが1であると判定した場合には、ステップS7では、制御部34は、周波数制御フラグが1であるか、否かを判定する。
【0063】
ステップS7のYESにて、制御部34が、周波数制御フラグが1であると判定した場合には、ステップS8では、制御部34は、検出周波数fの較正ステップを実行する。その後、ステップS9では、制御部34が、モードフラグを0に設定し、ステップS1へと戻る。尚、検出周波数fの較正ステップの説明に関しては、図7及び図8を用いて後述する。
【0064】
一方、ステップS6のNOにて、制御部34が、モードフラグが0であると判定した場合、あるいはステップS7のNOにて、制御部34が、周波数制御フラグが0であると判定した場合には、ステップS10では、制御部34は、検出ステップを実行する。その後、ステップS11では、制御部34が、モードフラグを1に設定し、ステップS1へと戻る。
【0065】
本実施形態の検出ステップでは、制御部34は、例えば、ユーザー15の足部16が、センサ電極11の下方を所定時間内に移動した場合であり、且つ、図5を用いて上述したように、制御部34では、検出周波数fにおける上記電圧変化ΔVが規定の閾値以上である場合に、センサ電極11での静電容量の変化がユーザー15の足部16であると判定する。尚、検出ステップでの検出方法は、任意の設計変更が可能である。
【0066】
上述したように、ステップS6にてモードフラグを判定し、ステップS7にて周波数制御フラグを判定すると共に、ステップS8にて検出周波数fの較正ステップ後にはモードフラグを0に設定し、ステップS11にて検出ステップ制御後にはモードフラグを1に設定する。つまり、本実施形態では、検出周波数fの較正ステップと検出ステップとを交互に実行するステップ制御を行うことで、車両12の周囲の環境の変化に応じて、検出周波数fを再設定することが出来る。その結果、車両12の周辺環境が変化しても、最新の検出周波数fにてユーザー15の足部16の検出を行うことができ、誤検出や検出漏れを防止し、近接センサ10の検出精度を高めることができる。
【0067】
図7に示す如く、ステップS8では、検出周波数fの較正を行うことで、車両12の周囲の環境の変化に応じて変化した検出周波数fを再設定する。一般に、検出周波数fを再設定する際には、所定の周波数範囲を掃引して最新の共振周波数を求め、求められた最新の共振周波数に所定の周波数を加算(もしくは減算)して最新の検出周波数fとする手法が用いられる。一方、本実施形態では、共振周波数fresより少し高い周波数を検出周波数fとしているが、当該周波数付近の信号変化が急峻であるため、前述の再設定方法を採用することができない。そこで、本実施形態では、人体未検出時における判定電圧信号S10の電圧V1を目標電圧V0に近づけるように、検出周波数fを微調整する手法を用いる。具体的には、以下のステップS20~ステップS26に基づいた制御フローにより、検出周波数fを再設定する。
【0068】
ここで、図8(A)~図8(C)は、センサ回路20に入力される高周波信号S13と判定電圧信号S10との関係を示し、センサ電極11にユーザー15の足部16が近接していない場合の周波数特性の特性曲線G1を示している。そして、横軸はマイコン22の発信手段35からセンサ回路20へと入力される高周波信号S13の周波数f(kHz)を示し、縦軸は検出回路21から出力される判定電圧信号S10の電圧(V)を示す。
【0069】
ステップS20では、マイコン22の制御部34は、最新の検出周波数fが、予め設定された暫定周波数F0よりも低い周波数か、否かを判定する。
【0070】
図8(A)に示す如く、暫定周波数F0は、高周波信号S13の共振周波数fresよりも若干高い周波数であり、検出周波数fの微調整に先立って、検出周波数fを共振周波数fresよりも高い周波数帯にとりあえず設定するための目安の周波数であり、予め設定された固定値である。そして、調整用周波数幅ΔF0は、制御フローの中にて、検出周波数fを暫定周波数F0よりも高い周波数とするための周波数幅であり、予め設定された固定値である。
【0071】
更には、目標電圧V0は、共振周波数fresの電圧Vresに対して予め設定された固定値であり、図5にて上述した大きな電圧変化ΔVを確保するために電圧Vresの半値程度に設定される。また、調整用電圧幅ΔV0は、目標電圧V0に対する人体未検出時の判定電圧信号S10の許容範囲を設定するための電圧幅であり、予め設定された固定値である。
【0072】
図7にて上述したように、車両12の周辺環境により、共振周波数fresも変化するため、常に、人体未検出時の判定電圧信号S10が、目標電圧V0を中心とした調整用電圧幅ΔV0の範囲内に設定されるように検出周波数fを較正することで、周囲環境の変化に対応し、近接センサ10の検出精度を高めることができる。尚、固定値とは、近接センサ10を車両12に設置する際に設定される値であり、車種毎にその値が異なる場合もある。
【0073】
ステップS20のYESにて、制御部34が、検出周波数fが暫定周波数F0よりも低いと判定した場合には、ステップS21では、制御部34は、検出周波数fに予め設定された調整用周波数幅ΔF0を加算し、図7に示すステップ制御のステップS9へと戻る。調整用周波数幅ΔF0を加算しても、なお暫定周波数F0より低い場合は、次周のステップS20にて、再度、検出周波数fに調整用周波数幅ΔF0が加算される。
【0074】
ステップS20のNOにて、制御部34が、検出周波数fが暫定周波数F0よりも高いと判定した場合には、ステップS22では、制御部34は、検出周波数fの電圧V1から予め設定された目標電圧V0を減算した算出結果の絶対値が、予め設定された調整用電圧幅ΔV0より小さいか、否かを判定する。
【0075】
ステップS22のYESにて、制御部34が、上記算出結果の絶対値が調整用電圧幅ΔV0より小さいと判定した場合には、ステップS23では、制御部34は、周波数制御フラグを0に設定し、図7に示すステップ制御のステップS9へと戻る。
【0076】
ステップS22のNOにて、制御部34が、上記算出結果の絶対値が調整用電圧幅ΔV0以上であると判定した場合には、ステップS24では、制御部34は、検出周波数fの判定電圧信号S10の電圧V1が目標電圧V0よりも大きいか、否かを判定する。
【0077】
ステップS24のYESにて、制御部34が、検出周波数fの電圧V1が目標電圧V0よりも大きいと判定した場合には、ステップS25では、制御部34は、検出周波数fに予め設定された微調整用周波数幅ΔFを加算し、図7に示すステップ制御のステップS9へと戻る。微調整用周波数幅ΔFを加算しても、なお検出周波数fの電圧V1が目標電圧V0を中心とした調整用電圧幅ΔV0の範囲内に入らない場合は、次周のステップS25にて、再度、検出周波数fに微調整用周波数幅ΔFが加算される。
【0078】
ここで、図8(B)に示す如く、ステップS24のYESの状況では、検出周波数fは、暫定周波数F0より高く、目標電圧V0の周波数fよりも低くなる。そのため、ステップS25では、検出周波数fに微調整用周波数幅ΔFを加算し、検出周波数fを目標電圧V0の周波数fに近づけることで、近接センサ10の検出精度を高めることができる。
【0079】
ステップS24のNOにて、制御部34が、検出周波数fの電圧V1が目標電圧V0以下であると判定した場合には、ステップS26では、制御部34は、検出周波数fから予め設定された微調整用周波数幅ΔFを減算し、図7に示すステップ制御のステップS9へと戻る。微調整用周波数幅ΔFを減算しても、なお検出周波数fの電圧V1が目標電圧V0を中心とした調整用電圧幅ΔV0の範囲内に入らない場合は、次周のステップS26にて、再度、検出周波数fに微調整用周波数幅ΔFが減算される。
【0080】
ここで、図8(C)に示す如く、ステップS24のNOの状況では、検出周波数fは、目標電圧V0の周波数fよりも高くなる。そのため、ステップS26では、検出周波数fから微調整用周波数幅ΔFを減算し、検出周波数fを目標電圧V0の周波数fに近づけることで、近接センサ10の検出精度を高めることができる。
【0081】
尚、本実施形態では、リアバンパ13や乗降用のステップ内に近接センサ10を配し、ユーザー15の足部16を検出してバックドア14やスライドドアを開閉する場合について説明したが、例えば、スライドドアの可動側ドアパネルに近接センサ10を配し、人体の存在を検出することで、ドアへの人体の挟込みを防止する挟込みセンサとして利用してもよい。また、近接センサ10は、常時駆動されるものとは限定されず、例えば、消費電力の低減のために、あるいは、放射ノイズの時間的な分散のために、間欠動作されるものとしてもよい。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0082】
10 静電容量式近接センサ
11 センサ電極
15 ユーザー
16 足部
20 センサ回路
21 検出回路
22 マイコン
24 第1のコンデンサC
25 LC並列回路
27 LC直列共振回路
30 抵抗R
34 制御部
35 発信手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9