(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】免疫回避性ベクターおよび遺伝子療法のための使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/864 20060101AFI20231220BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20231220BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20231220BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20231220BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20231220BHJP
A61P 13/02 20060101ALI20231220BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231220BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231220BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20231220BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20231220BHJP
C07K 14/705 20060101ALN20231220BHJP
【FI】
C12N15/864 100Z
C12N15/12 ZNA
C12N15/113 Z
C12N7/01
A61P7/00
A61P13/02
A61P25/00
A61P43/00 105
A61K35/76
A61K48/00
C07K14/705
(21)【出願番号】P 2020538958
(86)(22)【出願日】2019-01-11
(86)【国際出願番号】 US2019013361
(87)【国際公開番号】W WO2019140311
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2022-01-07
(32)【優先日】2018-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520254059
【氏名又は名称】カメレオン バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ウィンズロウ, ジェニン
【審査官】田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-518050(JP,A)
【文献】特表2001-512142(JP,A)
【文献】特表2002-514388(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0067228(US,A1)
【文献】国際公開第2006/138670(WO,A2)
【文献】特表2008-504821(JP,A)
【文献】www.moleculartherapy.org, 2012年,vol.20 no.5,p.960-971,doi:10.1038/mt.2011.303
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12N 7/01
A61P 25/00
A61P 13/02
A61P 7/00
A61K 35/76
A61K 48/00
C07K 14/705
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンベロープに囲まれたアデノ随伴ウイルス(AAV)粒子を含む、エンベロープがあるAAV粒子であって、前記AAV粒子が、異種導入遺伝子をコードする核酸を含み、前記エンベロープが、脂質二重層
と、CTLA
-4およびPD-L1
とを含み、前記エンベロープがあるAAV粒子が、前記脂質二重層に前記
CTLA-4およびPD-L1がない同じ型のエンベロープがあるAAV粒子と比較して、低下した免疫原性を有する、エンベロープがあるAAV粒子。
【請求項2】
前記
CTLA-4およびPD-L1のうち1種または
両方が、膜貫通ドメインを含む、請求項
1に記載のエンベロープがあるAAV粒子。
【請求項3】
前記エンベロープが、標的化分子をさらに含む、請求項1
または2に記載のエンベロープがあるAAV粒子。
【請求項4】
前記標的化分子が、前記エンベロープがあるベクターに細胞特異性または組織特異性を付与する、請求項
3に記載のエンベロープがあるAAV粒子。
【請求項5】
前記1種または複数の標的化分子が、膜貫通ドメインを含む、請求項
3または
4に記載のエンベロープがあるAAV粒子。
【請求項6】
前記エンベロープが、前記
CTLA-4およびPD-L1をコードする1種または複数の外因性核酸を含む細胞由来の細胞膜の部分を含む、請求項1~
5のいずれか一項に記載のエンベロープがあるAAV粒子。
【請求項7】
前記異種導入遺伝子が、
a)ポリペプチド;
b)治療核酸;または
c)1種または複数の遺伝子編集用生成物
をコードする、請求項1~
6のいずれか一項に記載のエンベロープがあるAAV粒子。
【請求項8】
前記異種導入遺伝子が、第VIII因子、第IX因子、ミオチューブラリン、生存運動ニューロンタンパク質(SMN)、レチノイドイソメロヒドロラーゼ(RPE65)、NADH-ユビキノンオキシドレダクターゼ鎖4、全脈絡膜萎縮タンパク質(CHM)、ハンチンチン、アルファ-ガラクトシダーゼA、酸性ベータ-グルコシダーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノコハク酸シンテターゼ、β-グロビン、γ-グロビン、フェニルアラニンヒドロキシラーゼまたは副腎白質ジストロフィータンパク質(ALD)をコードする、請求項
7に記載のエンベロープがあるAAV粒子。
【請求項9】
前記治療核酸が、siRNA、miRNA、shRNA、アンチセンスRNA、RNAザイムまたはDNAザイムである、請求項
7に記載のエンベロープがあるAAV粒子。
【請求項10】
前記異種導入遺伝子が、1種または複数の遺伝子編集用生成物をコードする、請求項
7に記載のエンベロープがあるAAV粒子。
【請求項11】
前記1種または複数の遺伝子編集用生成物が、RNAガイドヌクレアーゼ、ガイド核酸および/またはドナー核酸である、請求項1
0に記載のエンベロープがあるAAV粒子。
【請求項12】
前記AAVベクターが、ヒトAAV血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11またはAAV12由来のカプシドを含む、請求項1~1
1のいずれか一項に記載のエンベロープがあるAAV粒子。
【請求項13】
前記AAVが、逆位末端反復(ITR)配列を含むAAVウイルスゲノムを含み、前記AAVカプシドおよび前記AAV ITRが、同じAAV血清型または異なるAAV血清型に由来する、請求項1~1
2のいずれか一項に記載のエンベロープがあるAAV粒子。
【請求項14】
前記異種導入遺伝子が、ヒト第IX因子またはヒト第VIII因子をコードし、前記エンベロープが、CTLA-4およびPD-L1を含有するように操作されたエキソソームである、請求項1~1
3のいずれか一項に記載のエンベロープがあるAAV粒子。
【請求項15】
前記エンベロープが、CTLA-4およびPD-L1を過剰発現するように操作された産生細胞に由来するエキソソームである、請求項1~1
4のいずれか一項に記載のエンベロープがあるAAV粒子。
【請求項16】
対象に単回用量として投与されると、対象に投与してから3週間後の導入遺伝子発現レベルを、同じ型のエンベロープがないAAV粒子を同じ量でかつ同じ条件下で投与することによって生じる導入遺伝子発現と比較して、約20%または約50%またはそれよりも多く増加させる、請求項1~1
5のいずれかに記載のエンベロープがあるAAV粒子。
【請求項17】
前記異種導入遺伝子を送達するための、請求項1~1
6のいずれか一項に記載のエンベロープがあるAAV粒子と、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤とを含む組成物。
【請求項18】
細胞または対象に導入遺伝子を送達するための医薬の製造において使用するための、請求項1~
7のいずれか一項に記載のエンベロープがあるAAV粒子を含む組成物または請求項
17に記載の組成物。
【請求項19】
対象における疾患または障害の処置において使用するための、請求項1~1
6のいずれか一項に記載のエンベロープがあるAAV粒子を含む組成物。
【請求項20】
前記対象が、ヒトである、請求項
18または
19に記載の組成物。
【請求項21】
前記疾患または障害が、ミオチューブラリンミオパチー、脊髄性筋萎縮症、レーバー先天黒内障、血友病A、血友病B、全脈絡膜萎縮、ハンチントン病、バッテン病、レーバー遺伝性視神経症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、ポンペ病、ファブリー病、シトルリン血症1型、フェニルケトン尿症(PKU)、副腎白質ジストロフィー、鎌状赤血球症、ニーマン・ピック病またはベータサラセミアである、請求項
19または2
0に記載の組成物。
【請求項22】
前記疾患または障害が、血友病Aまたは血友病Bである、請求項
19または2
0に記載の組成物。
【請求項23】
前記対象に、2またはそれよりも多い用量の前記エンベロープがあるAAV粒子で、各用量の間が1日間またはそれよりも長い間隔で投与されることを特徴とする、請求項
19に記載の組成物。
【請求項24】
請求項1~1
6のいずれかに記載のエンベロープがあるAAV粒子を産生する方法であって、
a)エンベロープがあるAAV粒子を生成する条件下で、ウイルス産生細胞をin vitroで培養するステップであって、前記ウイルス産生細胞が、
i
)膜結合
型CTLA
-4およびPD-L
1をコードする、核酸、
ii)AAV repおよびcap遺伝子をコードする核酸、
iii)導入遺伝子および少なくとも1個のITRを含むAAVウイルスゲノムをコードする核酸、および
iv)AAVヘルパー機能
を含む、ステップと、
b)前記エンベロープがあるAAV粒子を収集するステップと
を含む方法。
【請求項25】
膜結合型
CTLA-4およびPD-L1をコードする前記核酸が、前記ウイルス産生細胞に一過性に導入される、あるい
は膜結合型
CTLA-4およびPD-L1をコードする前記核酸が、前記ウイルス産生細胞において安定に維持される、請求項2
4に記載の方法。
【請求項26】
膜結合型
CTLA-4およびPD-L1をコードする前記核酸が、前記ウイルス産生細胞において安定に維持される、請求項2
4または25に記載の方法。
【請求項27】
前記ウイルス産生細胞が、1種または複数の標的化分子をコードする核酸を含む、請求項2
4~
26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記標的化分子が、前記エンベロープがあるrAAV粒子に細胞特異性または組織特異性を付与する、請求項
27に記載の方法。
【請求項29】
前記標的化分子が、抗体である、請求項
28に記載の方法。
【請求項30】
AAV repおよびcap遺伝子、および/または前記AAVウイルスゲノムをコードする前記核酸が、産生細胞系に一過性に導入される、あるいは前記産生細胞系において安定に維持される、請求項2
4から
29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
AAV repおよびcap遺伝子、および/または前記AAVウイルスゲノムをコードする前記核酸が、前記産生細胞系のゲノムに安定に組み込まれる、請求項3
0に記載の方法。
【請求項32】
前記異種導入遺伝子を送達するための、請求項1~1
6のいずれか一項に記載のエンベロープがあるAAV粒子または請求項
17に記載の組成物を含むキット。
【請求項33】
使用のための指示をさらに含む、請求項3
2に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2018年1月11日に出願された米国特許仮出願第62/616,167号、および2018年11月16日に出願された米国特許仮出願第62/768,779号の優先権の利益を主張するものであり、これらの開示全体は、これにより参照により本明細書に組み込まれる。
ASCIIテキストファイルにおける配列表の提出
【0002】
ASCIIテキストファイルにおける次の提出物の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる:配列表のコンピューター可読形式(CRF)(ファイル名:774392000140SeqList.txt、記録日:2019年1月11日、サイズ:29KB)。
発明の分野
【0003】
本開示は、全般的には、免疫原性が低下した、遺伝子療法のための改善されたベクターに関する。
【背景技術】
【0004】
AAV遺伝子療法臨床試験は、AAVを安全に使用して、脊髄性筋萎縮症(SMA)(Meliani et al. (2017) Blood Advances, 1(23): 2019-31)、血友病B(Nathwani et al. (2011) N Engl J Med, 365: 2357-65)、およびRPE65遺伝子における変異に起因する遺伝性網膜疾患(Simonelli et al. (2010) Molecular Therapy, 18(3): 643-650)を含むいくつかの単一遺伝子疾患に関する疾患表現型を反転することができることを示した。有望なヒト臨床試験データに加えて、AAV遺伝子療法を使用した有望な前臨床データのさらなる例も存在する;例えば、ミオチューブラリンミオパチー(Myotubularin Myopathy)(Childers et al. (2014) Sci Transl Med, 6: 220ra10)。肯定的な臨床および前臨床データにもかかわらず、組換えAAVおよび/または新たに発現される治療タンパク質に対し生成される免疫応答は、依然として、単一遺伝子障害を処置するためのAAV遺伝子療法のより広汎な使用に対する障壁である(Mingozzi et al. (2013) Blood, 122(1): 23-36;Chermule et al. (1999) Gene Therapy; 6, 1574-1583;Masat et al. (2013) Discov Med, 15(85): 379-389)。
【0005】
AAVに基づく遺伝子療法は、治癒的となる見込みがあることが明らかになったが、単単回処置の長寿命を巡って疑問がある。治療タンパク質のAAV媒介性送達が、最大3年間機能することの証拠があるが(Nathwani et al. (2014) N Engl J Med, 371: 1994-2004)、生涯にわたる導入遺伝子発現は未だ証明されておらず、一部の事例では、見込みがない。AAVに基づくベクターは、細胞染色体に組み込まれない二本鎖DNAループ構造であるエピソームエレメントとして持続する。この理由から、AAVゲノムは、細胞が分裂する際に複製および分裂せず、細胞分裂によって希釈され得る。延長期にわたる導入遺伝子発現を保証するために、AAV遺伝子療法の研究者らは、ゆっくり分裂するまたは全く分裂しない細胞型を標的とした;例えば、筋肉細胞、肝臓細胞またはニューロン細胞。したがって、AAVに送達される治療遺伝子が、患者の生涯にわたって発現されるかについては不明である。低年齢の小児の筋肉細胞は、小児が成長する際に、成体筋肉細胞よりも多くの細胞分裂を起こすため、これは、脊髄性筋萎縮症等、低年齢の小児が罹患する生命を脅かす疾患において特にあてはまる。臨床データは、治療遺伝子のAAV送達が、定義されるSMA疾患エンドポイントを改善し得ることを示唆するが、発現レベルが、小児の一生にわたって維持されそうにない。実際に、ゆっくり分裂するまたは分裂しない細胞のためにAAV遺伝子療法を受ける成人であっても、形質導入された細胞におけるAAVゲノムの希釈により、患者の生涯にわたる治療タンパク質レベルの低下を経験する可能性がある。したがって、追加的な用量のAAV遺伝子療法産物を送達できることが有利となるであろう。
【0006】
AAV遺伝子療法に対する宿主免疫応答は、依然として、AAV遺伝子療法をより広く使用することができるようになる前に克服しなければならない障害物である。AAVは、天然に存在するウイルスであるため、患者集団の部分は、様々なAAV血清型に対する既存の抗体を有する。例えば、最も一般的な血清型であるAAV2に対する既存の抗体は、集団の最大60%において見出すことができる(Chiermule et al (1999) Gene Therapy; 6, 1574-1583)。他のAAV血清型は、あまり一般的ではないが、全組織型の標的化には利用することができない;例えば、AAV5は、肝臓に優先的に感染し、AAV8は、筋肉細胞を優先的に標的とする(Asokan et al. (2012) Molecular Therapy, 20 (4) 699-708)。AAVに対する既存の抗体を回避しつつ、特異的な組織に選択的に標的化され得る次世代AAVベクターは、潜在的な患者集団を増加させ、複数の疾患標的のためのベクターに取り組むための単一の製造プラットフォームの使用を可能にするであろう。
【0007】
AAV遺伝子療法に対する宿主免疫応答は、カプシド特異的適応免疫応答により、第2の用量の産物の投与を妨げる。その上、治療タンパク質の新規発現に対するT細胞応答は、AAV遺伝子療法産物の有効性を低下させ得る(Mingozzi et al. (2013) Blood, 122(1): 23-36)。
【0008】
AAV療法における宿主免疫応答の作用を低下させるための試みが為された。例えば、エンベロープがあるAAV(enveloped-AAV)(「exo-AAV」としても公知)は、エンベロープがないAAV(non-enveloped AAV)よりも有効であることが示され、これは、in vivoおよびin vitroでベクターを排除する抗AAV抗体の能力からある程度までベクターを遮蔽することによるものと考えられる(Gyorgy et al. (2014) Biomaterials, 35(26): 7598-7609;Hudry et al. (2016) Gene Ther, Apr,23(4): 380-92;US2013/020559)。また、CTLA-4-Igと共にPD-L1またはPD-L2をコードするAAVの共投与が、導入遺伝子発現を延長し、より少ない導入遺伝子応答性T細胞をもたらすことのいくつかの証拠がある(Adriouch et al. (2011) Front Microbiol, 2:199)。本発明は、チェックポイント免疫モジュレート分子と組み合わせて、エンベロープがあるAAV技術を使用して、エフェクターベクターを作製して、免疫応答および投与制限を低下させ、治療遺伝子の反復投与を容易にする。
【0009】
また、依然として、宿主免疫応答の作用を最小化しつつ、導入遺伝子送達および発現を改善する、新たなウイルスベクターおよび方法の必要がある。
特許出願および刊行物を含む、本明細書に引用されているあらゆる参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【文献】Meliani et al. (2017) Blood Advances, 1(23): 2019-31
【文献】Nathwani et al. (2011) N Engl J Med, 365: 2357-65
【文献】Childers et al. (2014) Sci Transl Med, 6: 220ra10
【文献】Mingozzi et al. (2013) Blood, 122(1): 23-36
【文献】Chermule et al. (1999) Gene Therapy; 6, 1574-1583
【文献】Masat et al. (2013) Discov Med, 15(85): 379-389
【文献】Nathwani et al. (2014) N Engl J Med, 371: 1994-2004
【文献】Chiermule et al (1999) Gene Therapy; 6, 1574-1583
【文献】Asokan et al. (2012) Molecular Therapy, 20 (4) 699-708
【文献】Gyorgy et al. (2014) Biomaterials, 35(26): 7598-7609
【文献】Hudry et al. (2016) Gene Ther, Apr,23(4): 380-92
【文献】Adriouch et al. (2011) Front Microbiol, 2:199
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
エンベロープに囲まれたベクター粒子を含むエンベロープがあるウイルスベクターであって、ベクター粒子が、導入遺伝子を含み、エンベロープが、1種または複数の免疫抑制分子を含む、エンベロープがあるウイルスベクターが本明細書に提供される。エンベロープがあるウイルスベクターと、1種または複数の薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む医薬組成物も提供される。
【0012】
エンベロープがあるウイルスベクターを細胞または対象に投与するステップを含む、細胞または対象に導入遺伝子を送達する方法と共に、エンベロープがあるウイルスベクターを対象に投与することにより、対象における疾患または障害を処置する方法も提供される。
【0013】
エンベロープがあるウイルスベクターを産生する方法であって、(a)エンベロープがあるウイルス粒子を生成する条件下で、ウイルス産生細胞を(すなわち、in vitroで)培養するステップであって、ウイルス産生細胞が、1種または複数の(one or more one or more)膜結合型免疫抑制分子をコードする核酸を含む、ステップと、(b)エンベロープがあるウイルスベクターを収集するステップとを含む方法がさらに提供される。
【0014】
一部の態様では、本発明は、エンベロープがあるウイルスベクターを含む組成物であって、エンベロープがあるウイルスベクターが、エンベロープ(envelop)に囲まれたベクター粒子を含み、エンベロープが、免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子を含む、組成物を提供する。一部の実施形態では、免疫エフェクター機能は、免疫エフェクター分子がないベクターと比較して、エンベロープがあるベクターの免疫原性を低下させる。一部の実施形態では、免疫エフェクター機能は、免疫インヒビターを刺激する。他の実施形態では、免疫エフェクター機能は、免疫刺激分子を阻害する。一部の実施形態では、エンベロープは、免疫インヒビターを刺激する分子および免疫刺激分子を阻害する分子を含む。一部の実施形態では、免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子として、CTLA4、B7-1、B7-2、PD-1、PD-L1、PD-L2、CD28またはVISTAのうち1種または複数が挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、エンベロープは、CTLA4およびPD-L1、CTLAおよびPD-L2、CTLA-4およびVISTA、PD-L1およびPD-L2、PD-L1およびVISTA、PD-L2およびVISTA、CTLA4およびPD-L1およびPD-L2、CTLA4およびPD-L1およびVISTA、CTLA4およびPD-L2およびVISTA、PD-L1およびPD-L2およびVISTA、またはCTLA4およびPD-L1およびPD-L1およびVISTAを含む。一部の実施形態では、免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子は、膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、エンベロープは、ベクターを1種または複数の細胞型に向ける標的化分子をさらに含む。一部の実施形態では、標的化分子は、エンベロープがあるベクターに組織特異性を付与する。一部の実施形態では、標的化分子は、抗体である。一部の実施形態では、抗体は、抗体8D7である。一部の実施形態では、1種または複数の標的化分子は、膜貫通ドメインを含む。
【0015】
上述の態様および実施形態の一部の実施形態では、ウイルスベクターは、ウイルス粒子を含む。一部の実施形態では、ウイルス粒子は、ウイルスカプシドおよびウイルスゲノムを含む。一部の実施形態では、ウイルスゲノムは、1種または複数の異種導入遺伝子を含む。一部の実施形態では、異種導入遺伝子は、ポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、異種導入遺伝子は、治療ポリペプチドまたはレポーターポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、治療ポリペプチドは、第VIII因子、第IX因子、ミオチューブラリン、SMN、RPE65、NADH-ユビキノンオキシドレダクターゼ鎖4、CHM、ハンチンチン、アルファ-ガラクトシダーゼA、酸性ベータ-グルコシダーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ(ornithine transcarbomylase)、アルギニノコハク酸シンテターゼ、β-グロビン、γ-グロビン、フェニルアラニンヒドロキシラーゼまたはALDである。一部の実施形態では、異種導入遺伝子は、治療核酸をコードする。一部の実施形態では、治療核酸は、siRNA、miRNA、shRNA、アンチセンスRNA、RNAザイム(RNAzyme)またはDNAザイムである。一部の実施形態では、異種導入遺伝子は、1種または複数の遺伝子編集遺伝子産物をコードする。一部の実施形態では、1種または複数の遺伝子編集遺伝子産物は、CASヌクレアーゼおよび/または1種もしくは複数のガイド配列および/または1種もしくは複数のドナー配列である。
【0016】
上述の態様および実施形態の一部の実施形態では、ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターまたはレンチウイルスベクターである。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルスベクターである。一部の実施形態では、AAVベクターは、ヒトAAV血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11またはAAV12由来のカプシドを含む。一部の実施形態では、AAVベクターは、ヒトAAV血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9または(r)AAV10由来の逆位末端反復(ITR)配列を含むAAVウイルスゲノムを含む。一部の実施形態では、AAVカプシドおよびAAV ITRは、同じ血清型または異なる血清型に由来する。
【0017】
上述の態様および実施形態の一部の実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、ヒト免疫不全ウイルス、サル免疫不全ウイルスまたはネコ免疫不全ウイルスに由来する。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、非複製型である。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、非組込み型である。
【0018】
一部の実施形態では、本発明は、上に記載されている組成物のいずれかと、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0019】
一部の態様では、本発明は、個体に導入遺伝子を送達する方法であって、エンベロープがあるウイルスベクターを含む組成物を個体に投与するステップを含み、エンベロープがあるウイルスベクターが、エンベロープに囲まれたベクター粒子を含み、エンベロープが、免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子を含み、ウイルス粒子が、導入遺伝子を含むウイルスゲノムを含む、方法を提供する。一部の態様では、本発明は、疾患または障害を有する個体を処置する方法であって、エンベロープがあるウイルスベクターを含む組成物を、それを必要とする個体に投与するステップを含み、エンベロープがあるウイルスベクターが、エンベロープに囲まれたベクター粒子を含み、エンベロープが、免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子を含み、ウイルス粒子が、治療導入遺伝子を含むウイルスゲノムを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、免疫エフェクター機能は、免疫エフェクター分子がないベクターと比較して、エンベロープがあるベクターの免疫原性を低下させる。一部の実施形態では、免疫エフェクター機能は、免疫インヒビターを刺激する。他の実施形態では、免疫エフェクター機能は、免疫刺激分子を阻害する。一部の実施形態では、エンベロープは、免疫インヒビターを刺激する分子および免疫刺激分子を阻害する分子を含む。一部の実施形態では、免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子は、CTLA4、B7-1、B7-2、PD-1、PD-L1、PD-L2、CD28またはVISTAのうち1種または複数を含む。一部の実施形態では、エンベロープは、CTLA4およびPD-L1、またはCTLAおよびPD-L2を含む。一部の実施形態では、免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子は、膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、エンベロープは、ベクターを1種または複数の細胞型に向ける標的化分子をさらに含む。一部の実施形態では、標的化分子は、エンベロープがあるベクターに組織特異性を付与する。一部の実施形態では、標的化分子は、抗体である。一部の実施形態では、抗体は、抗体8D7である。一部の実施形態では、1種または複数の標的化分子は、膜貫通ドメインを含む。
【0020】
上述の方法の一部の実施形態では、ウイルスベクターは、ウイルス粒子を含む。一部の実施形態では、ウイルス粒子は、ウイルスカプシドおよびウイルスゲノムを含む。一部の実施形態では、ウイルスゲノムは、1種または複数の異種導入遺伝子を含む。一部の実施形態では、異種導入遺伝子は、ポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、異種導入遺伝子は、治療ポリペプチドまたはレポーターポリペプチドをコードする。一部の実施形態では、治療ポリペプチドは、第VIII因子、第IX因子、ミオチューブラリン、SMN、RPE65、NADH-ユビキノンオキシドレダクターゼ鎖4、CHM、ハンチンチン、アルファ-ガラクトシダーゼA、酸性ベータ-グルコシダーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノコハク酸シンテターゼ、β-グロビン、γ-グロビン、フェニルアラニンヒドロキシラーゼまたはALDである。一部の実施形態では、異種導入遺伝子は、治療核酸をコードする。一部の実施形態では、治療核酸は、siRNA、miRNA、shRNA、アンチセンスRNA、RNAザイムまたはDNAザイムである。一部の実施形態では、異種導入遺伝子は、1種または複数の遺伝子編集遺伝子産物をコードする。一部の実施形態では、1種または複数の遺伝子編集遺伝子産物は、CASヌクレアーゼおよび/または1種もしくは複数のガイド配列および/または1種もしくは複数のドナー配列である。
【0021】
上述の方法の一部の実施形態では、ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターまたはレンチウイルスベクターである。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルスベクターである。一部の実施形態では、AAVベクターは、ヒトAAV血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11またはAAV12由来のカプシドを含む。一部の実施形態では、AAVベクターは、ヒトAAV血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9またはAAV10由来の逆位末端反復(ITR)配列を含むAAVウイルスゲノムを含む。一部の実施形態では、AAVカプシドおよびAAV ITRは、同じ血清型または異なる血清型に由来する。
【0022】
上述の方法の一部の実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、ヒト免疫不全ウイルス、サル免疫不全ウイルスまたはネコ免疫不全ウイルスに由来する。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、非複製型である。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、非組込み型である。
【0023】
上述の方法の一部の実施形態では、組成物は、エンベロープがあるウイルスベクターと、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物である。
【0024】
上述の方法の一部の実施形態では、個体は、ヒトである。一部の実施形態では、疾患または障害は、単一遺伝子疾患である。一部の実施形態では、疾患または障害は、ミオチューブラリンミオパチー(myotobularin myopathy)、脊髄性筋萎縮症、レーバー先天黒内障、血友病A、血友病B、全脈絡膜萎縮、ハンチントン病、バッテン病、レーバー遺伝性視神経症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、ポンペ病、ファブリー病、シトルリン血症1型、フェニルケトン尿症(PKU)、副腎白質ジストロフィー、鎌状赤血球症またはベータサラセミア(beta thalessemia)である。
【0025】
一部の態様では、本発明は、免疫原性が低下したエンベロープがあるウイルスベクターを産生する方法であって、a)エンベロープがあるウイルス粒子を生成する条件下で、ウイルス産生細胞を培養するステップであって、ウイルス産生細胞が、エンベロープがあるベクターの免疫原性を低下させる1種または複数の膜結合型免疫エフェクター機能をコードする核酸を含む、ステップと、b)エンベロープがあるウイルスベクターを収集するステップとを含む方法を提供する。一部の実施形態では、免疫エフェクター機能は、エンベロープがあるベクターの免疫原性を低下させる。一部の実施形態では、免疫エフェクター機能は、免疫インヒビターを刺激する。一部の実施形態では、免疫エフェクター機能は、免疫刺激分子を阻害する。一部の実施形態では、ウイルス産生細胞は、免疫インヒビターを刺激する分子および免疫刺激分子を阻害する分子をコードする核酸を含む。一部の実施形態では、免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子は、CTLA4、B7-1、B7-2、PD-1、PD-L1、PD-L2、CD28またはVISTAのうち1種または複数を含む。一部の実施形態では、ウイルス産生細胞は、CTLA4およびPD-L1、またはCTLAおよびPD-L2をコードする核酸を含む。一部の実施形態では、免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子は、膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子をコードする核酸は、ウイルス産生細胞に一過性に導入される。一部の実施形態では、免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子をコードする核酸は、ウイルス産生細胞において安定に維持される。一部の実施形態では、免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子をコードする核酸は、ウイルス産生細胞のゲノムに組み込まれる。
【0026】
上述の方法の一部の実施形態では、ウイルス産生細胞は、ベクターを1種または複数の細胞型に向ける1種または複数の標的化分子をコードする核酸を含む。一部の実施形態では、標的化分子は、エンベロープがあるベクターに組織特異性を付与する。一部の実施形態では、標的化分子は、抗体である。一部の実施形態では、抗体は、抗体8D7である。一部の実施形態では、1種または複数の標的化分子は、膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、1種または複数の標的化分子をコードする核酸は、ウイルス産生細胞に一過性に導入される。一部の実施形態では、1種または複数の標的化分子をコードする核酸は、ウイルス産生細胞において安定に維持される。一部の実施形態では、1種または複数の分子標的化分子(molecule targeting molecule)をコードする核酸は、ウイルス産生細胞のゲノムに組み込まれる。
【0027】
上述の方法の一部の実施形態では、エンベロープがあるウイルスベクターは、エンベロープがあるAAVベクターである。一部の実施形態では、ウイルス産生細胞は、a)AAV repおよびcap遺伝子をコードする核酸と、b)導入遺伝子および少なくとも1個のITRを含むAAVウイルスゲノムをコードする核酸と、c)AAVヘルパー機能とを含む。一部の実施形態では、AAV repおよびcap遺伝子、および/またはAAVウイルスゲノムをコードする核酸は、産生細胞系に一過性に導入される。一部の実施形態では、AAV repおよびcap遺伝子、および/またはAAVウイルスゲノムをコードする核酸は、産生細胞系において安定に維持される。一部の実施形態では、AAV repおよびcap遺伝子、および/またはAAVウイルスゲノムをコードする核酸は、産生細胞系のゲノムに安定に組み込まれる。一部の実施形態では、rAAVゲノムは、2個のAAV ITRを含む。一部の実施形態では、1種または複数のAAVヘルパー機能は、プラスミド、アデノウイルス、細胞ゲノムに安定に組み込まれた核酸、または単純ヘルペスウイルス(HSV)のうち1種または複数によってもたらされる。一部の実施形態では、AAVヘルパー機能は、アデノウイルスE1A機能、アデノウイルスE1B機能、アデノウイルスE2A機能、アデノウイルスE4機能およびアデノウイルスVA機能のうち1種または複数を含む。一部の実施形態では、AAVヘルパー機能は、HSV UL5機能、HSV UL8機能、HSV UL52機能およびHSV UL29機能のうち1種または複数を含む。
【0028】
上述の方法の一部の実施形態では、エンベロープがあるウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、ヒト免疫不全ウイルス、サル免疫不全ウイルスまたはネコ免疫不全ウイルスである。一部の実施形態では、ウイルス産生細胞は、a)レンチウイルスgag遺伝子をコードする核酸、b)レンチウイルスpol遺伝子をコードする核酸、c)導入遺伝子、5’長鎖末端反復配列(LTR)および3’LTRを含むレンチウイルス移入ベクターをコードする核酸を含み、3’LTRのU3領域の全体または一部は、異種調節エレメント、プライマー結合部位、GAG遺伝子の全体または一部、セントラルポリプリントラクト、GAG配列における合成停止コドン、rev応答性エレメント、およびenvスプライスアクセプターによって置き換えられる。
【0029】
上述の方法の一部の実施形態では、エンベロープがあるベクターは、さらに精製される。
【0030】
一部の態様では、本発明は、本明細書に記載されている組成物のいずれかを含むキットを提供する。一部の実施形態では、キットは、使用のための指示(instructions for use)をさらに含む。
【0031】
一部の態様では、本発明は、本明細書に記載されている方法のいずれかに従った、それを必要とする個体への核酸の送達における使用のための組成物を提供する。一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている方法のいずれかに従った、それを必要とする個体に対して疾患または障害の処置における使用のための組成物を提供する。一部の実施形態では、本発明は、それを必要とする個体に核酸を送達するための医薬の製造における、本明細書に記載されている組成物の使用を提供する。一部の実施形態では、本発明は、疾患または障害を有する個体を処置するための医薬の製造における、本明細書に記載されている組成物の使用を提供する。一部の実施形態では、疾患または障害は、ミオチューブラリンミオパチー、脊髄性筋萎縮症、レーバー先天黒内障、血友病A、血友病B、全脈絡膜萎縮、ハンチントン病、バッテン病、レーバー遺伝性視神経症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、ポンペ病、ファブリー病、シトルリン血症1型、フェニルケトン尿症(PKU)、副腎白質ジストロフィー、鎌状赤血球症またはベータサラセミアである。
【0032】
一部の態様では、本発明は、本明細書に記載されている組成物を含む製造品を提供する。
【0033】
本発明の次の詳細な説明に記載されている通り、追加的な組成物および方法が提供される。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
エンベロープに囲まれたウイルス粒子を含む、エンベロープがあるウイルスベクターであって、前記ウイルス粒子が、異種導入遺伝子を含み、前記エンベロープが、脂質二重層および1種または複数の免疫抑制分子を含む、エンベロープがあるウイルスベクター。
(項目2)
前記エンベロープがあるウイルスが、前記脂質二重層に免疫抑制分子がない同じ型のベクターと比較して、低下した免疫原性を有する、項目1に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目3)
前記1種または複数の免疫抑制分子が、1種または複数の免疫チェックポイントタンパク質を含む、項目1または2に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目4)
前記1種または複数の免疫抑制分子が、CTLA4、B7-1、B7-2、PD-1、PD-L1、PD-L2、CD28、VISTA、TIM-3、GAL9、TIGIT、CD155、LAG3、VISTA、BTLAまたはHVEMのうち1種または複数を含む、項目1~3のいずれか一項に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目5)
前記エンベロープが、2種もしくはそれよりも多い、3種もしくはそれよりも多い、または4種もしくはそれよりも多い異なる免疫抑制分子を含む、または2種もしくはそれよりも多い、3種もしくはそれよりも多い、または4種もしくはそれよりも多い異なるチェックポイントタンパク質を含む、項目1~4のいずれか一項に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目6)
前記エンベロープが、CTLA4およびPD-L1;CTLAおよびPD-L2;CTLA-4およびVISTA;PD-L1およびPD-L2;PD-L1およびVISTA;PD-L2およびVISTA;CTLA4およびPD-L1およびPD-L2;CTLA4およびPD-L1およびVISTA;CTLA4およびPD-L2およびVISTA;PD-L1およびPD-L2およびVISTA;またはCTLA4およびPD-L1およびPD-L1およびVISTAを含む、項目1~5のいずれか一項に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目7)
前記免疫抑制分子のうち1種または複数が、膜貫通ドメインを含む、項目1~6のいずれか一項に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目8)
前記エンベロープが、標的化分子をさらに含む、項目1~7のいずれか一項に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目9)
前記標的化分子が、前記エンベロープがあるベクターに細胞特異性または組織特異性を付与する、項目8に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目10)
前記標的化分子が、抗体である、項目9に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目11)
前記1種または複数の標的化分子が、膜貫通ドメインを含む、項目8~10のいずれか一項に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目12)
前記エンベロープが、前記1種または複数の免疫抑制分子をコードする1種または複数の外因性核酸を含む細胞由来の細胞膜の部分を含む、項目1~11のいずれか一項に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目13)
前記ウイルス粒子が、ウイルスカプシドおよびウイルスゲノムを含み、前記ウイルスゲノムが、前記異種導入遺伝子を含む、項目12に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目14)
前記異種導入遺伝子が、ポリペプチドをコードする、項目13に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目15)
前記異種導入遺伝子が、治療ポリペプチドまたはレポーターポリペプチドをコードする、項目14に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目16)
前記異種導入遺伝子が、第VIII因子、第IX因子、ミオチューブラリン、生存運動ニューロンタンパク質(SMN)、レチノイドイソメロヒドロラーゼ(RPE65)、NADH-ユビキノンオキシドレダクターゼ鎖4、全脈絡膜萎縮タンパク質(CHM)、ハンチンチン、アルファ-ガラクトシダーゼA、酸性ベータ-グルコシダーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノコハク酸シンテターゼ、β-グロビン、γ-グロビン、フェニルアラニンヒドロキシラーゼまたは副腎白質ジストロフィータンパク質(ALD)をコードする、項目13に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目17)
前記異種導入遺伝子が、治療核酸をコードする、項目13に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目18)
前記治療核酸が、siRNA、miRNA、shRNA、アンチセンスRNA、RNAザイムまたはDNAザイムである、項目17に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目19)
前記異種導入遺伝子が、1種または複数の遺伝子編集用生成物をコードする、項目13に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目20)
前記1種または複数の遺伝子編集用生成物が、RNAガイドヌクレアーゼ、ガイド核酸および/またはドナー核酸である、項目19に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目21)
前記ウイルス粒子が、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を含む、項目1~20のいずれか一項に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目22)
前記AAVベクターが、ヒトAAV血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11またはAAV12由来のカプシドを含む、項目21に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目23)
前記AAVが、逆位末端反復(ITR)配列を含むAAVウイルスゲノムを含み、前記AAVカプシドおよび前記AAV ITRが、同じAAV血清型または異なるAAV血清型に由来する、項目21または22に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目24)
前記エンベロープがあるウイルスベクターが、ヒト第IX因子をコードする異種導入遺伝子を含むエンベロープがあるAAVであり、前記エンベロープが、CTLA-4およびPD-L1を含有するように操作されたエキソソームである、項目1または21~23のいずれか一項に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目25)
前記エンベロープが、CTLA-4およびPD-L1を過剰発現するように操作された産生細胞に由来するエキソソームである、項目1または21~24のいずれか一項に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目26)
前記エンベロープがあるウイルスベクターが、ヒト第VIII因子をコードする異種導入遺伝子を含むエンベロープがあるAAVであり、前記エンベロープが、CTLA-4およびPD-L1を含有するように操作されたエキソソームである、項目1または21~23のいずれか一項に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目27)
前記エンベロープが、CTLA-4およびPD-L1を過剰発現するように操作された産生細胞に由来するエキソソームである、項目26に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目28)
前記ウイルス粒子が、レンチウイルスベクターを含む、項目1~20のいずれか一項に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目29)
前記レンチウイルスベクターが、ヒト免疫不全ウイルス、サル免疫不全ウイルスまたはネコ免疫不全ウイルスである、項目28に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目30)
対象に単回用量として投与されると、対象に投与してから3週間後の導入遺伝子発現レベルを、同じ型のエンベロープがないウイルスベクターを同じ量でかつ同じ条件下で投与することによって生じる導入遺伝子発現と比較して、約50%またはそれよりも多く増加させる、項目1~29のいずれかに記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目31)
対象に単回用量として投与してから3週間後の導入遺伝子発現レベルを、前記免疫抑制分子がない同じ型のエンベロープがあるウイルスベクターを同じ量で同じ条件下で投与することによって生じる導入遺伝子発現と比較して、約20%またはそれよりも多く増加させる、項目1~30のいずれかに記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
(項目32)
項目1~31のいずれか一項に記載のエンベロープがあるウイルスベクターと、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤とを含む組成物。
(項目33)
細胞または対象に導入遺伝子を送達する方法であって、前記細胞または対象に、項目1~31のいずれか一項に記載のエンベロープがあるウイルスベクターまたは項目32に記載の組成物を投与するステップを含む方法。
(項目34)
前記対象が、前記導入遺伝子の送達および発現によって処置することができる疾患または状態を有する、項目33に記載の方法。
(項目35)
対象における疾患または障害を処置する方法であって、前記対象に、項目1~31のいずれか一項に記載のエンベロープがあるウイルスベクターまたは項目32に記載の組成物を投与するステップを含む方法。
(項目36)
前記対象が、ヒトである、項目33~35のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
前記疾患または障害が、単一遺伝子疾患である、項目34~36のいずれか一項に記載の方法。
(項目38)
前記疾患または障害が、ミオチューブラリンミオパチー、脊髄性筋萎縮症、レーバー先天黒内障、血友病A、血友病B、全脈絡膜萎縮、ハンチントン病、バッテン病、レーバー遺伝性視神経症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、ポンペ病、ファブリー病、シトルリン血症1型、フェニルケトン尿症(PKU)、副腎白質ジストロフィー、鎌状赤血球症、ニーマン・ピック病またはベータサラセミアである、項目34~36のいずれか一項に記載の方法。
(項目39)
前記疾患または障害が、血友病Aまたは血友病Bである、項目34~36のいずれか一項に記載の方法。
(項目40)
前記対象が、血友病Bを有し、前記エンベロープがあるウイルスベクターが、第IX因子をコードする異種導入遺伝子を含むAAVを含み、前記エンベロープが、CTLA-4およびPD-L1を含有するように操作されたエキソソームである、項目34~36のいずれか一項に記載の方法。
(項目41)
前記対象が、血友病Aを有し、前記エンベロープがあるウイルスベクターが、ヒト第VIII因子をコードする異種導入遺伝子を含むエンベロープがあるAAVを含み、前記エンベロープが、CTLA-4およびPD-L1を含有するように操作されたエキソソームである、項目34~36のいずれか一項に記載の方法。
(項目42)
前記エンベロープが、CTLA-4およびPD-L1を過剰発現するように操作された産生細胞に由来するエキソソームである、項目40または41に記載の方法。
(項目43)
前記対象に、2またはそれよりも多い用量の前記エンベロープがあるウイルスベクターを、各用量の間が1日間またはそれよりも長い間隔で投与するステップを含む、項目33~42のいずれかに記載の方法。
(項目44)
項目1~31のいずれかに記載のエンベロープがあるウイルスベクターを産生する方法であって、
a)エンベロープがあるウイルス粒子を生成する条件下で、ウイルス産生細胞をin vitroで培養するステップであって、前記ウイルス産生細胞が、1種または複数の膜結合型免疫抑制分子をコードする核酸を含む、ステップと、
b)前記エンベロープがあるウイルスベクターを収集するステップと
を含む方法。
(項目45)
前記ウイルス産生細胞が、前記膜結合型免疫抑制分子をコードする外因性核酸を含む、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記ウイルス産生細胞が、前記膜結合型免疫抑制分子をコードする異種核酸を含む、項目44または45に記載の方法。
(項目47)
前記膜結合型免疫抑制分子が、CTLA4、B7-1、B7-2、PD-1、PD-L1、PD-L2、CD28、VISTA、TIM-3、GAL9、TIGIT、CD155、LAG3、VISTA、BTLAまたはHVEMのうち1種または複数を含む、項目44~46のいずれか一項に記載の方法。
(項目48)
前記膜結合型免疫抑制分子が、CTLA4およびPD-L1、CTLAおよびPD-L2、CTLA-4およびVISTA、PD-L1およびPD-L2、PD-L1およびVISTA、PD-L2およびVISTA、CTLA4およびPD-L1およびPD-L2、CTLA4およびPD-L1およびVISTA、CTLA4およびPD-L2およびVISTA、PD-L1およびPD-L2およびVISTA、またはCTLA4およびPD-L1およびPD-L1およびVISTAを含む、項目44~46のいずれか一項に記載の方法。
(項目49)
前記ウイルス産生細胞が、CTLA-4およびPD-L1をコードする異種核酸を含む、項目44~48のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
1種または複数の膜結合型免疫抑制分子をコードする前記核酸が、前記ウイルス産生細胞に一過性に導入される、項目44~49のいずれか一項に記載の方法。
(項目51)
1種または複数の膜結合型免疫抑制分子をコードする前記核酸が、前記ウイルス産生細胞において安定に維持される、項目44~49のいずれか一項に記載の方法。
(項目52)
1種または複数の膜結合型免疫抑制分子をコードする前記核酸が、前記ウイルス産生細胞のゲノムに組み込まれる、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記ウイルス産生細胞が、1種または複数の標的化分子をコードする核酸を含む、項目44~52のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
前記エンベロープがあるウイルスベクターが、エンベロープがあるAAVベクターである、項目44~53のいずれか一項に記載の方法。
(項目55)
前記ウイルス産生細胞が、
c)AAV repおよびcap遺伝子をコードする核酸、
d)導入遺伝子および少なくとも1個のITRを含むAAVウイルスゲノムをコードする核酸、ならびに
e)AAVヘルパー機能
を含む、項目54に記載の方法。
(項目56)
AAV repおよびcap遺伝子、および/または前記AAVウイルスゲノムをコードする前記核酸が、産生細胞系に一過性に導入される、項目55に記載の方法。
(項目57)
AAV repおよびcap遺伝子、および/または前記AAVウイルスゲノムをコードする前記核酸が、前記産生細胞系において安定に維持される、項目55に記載の方法。
(項目58)
AAV repおよびcap遺伝子、および/または前記AAVウイルスゲノムをコードする前記核酸が、前記産生細胞系のゲノムに安定に組み込まれる、項目57に記載の方法。
(項目59)
1種または複数のAAVヘルパー機能が、プラスミド、アデノウイルス、細胞ゲノムに安定に組み込まれた核酸、または単純ヘルペスウイルス(HSV)のうち1種または複数によってもたらされる、項目44~58のいずれか一項に記載の方法。
(項目60)
AAVヘルパー機能が、アデノウイルスE1A機能、アデノウイルスE1B機能、アデノウイルスE2A機能、アデノウイルスE4機能およびアデノウイルスVA機能のうち1種または複数を含む、項目44~59のいずれか一項に記載の方法。
(項目61)
AAVヘルパー機能が、HSV UL5機能、HSV UL8機能、HSV UL52機能およびHSV UL29機能のうち1種または複数を含む、項目44~59のいずれか一項に記載の方法。
(項目62)
前記エンベロープがあるウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、項目44~53のいずれか一項に記載の方法。
(項目63)
前記レンチウイルスベクターが、ヒト免疫不全ウイルス、サル免疫不全ウイルスまたはネコ免疫不全ウイルスである、項目62に記載の方法。
(項目64)
前記ウイルス産生細胞が、
f)レンチウイルスgag遺伝子をコードする核酸、
g)レンチウイルスpol遺伝子をコードする核酸、
h)導入遺伝子、5’長鎖末端反復配列(LTR)および3’LTRを含むレンチウイルス移入ベクターをコードする核酸を含み、前記3’LTRのU3領域の全体または一部が、異種調節エレメント、プライマー結合部位、前記GAG遺伝子の全体または一部、セントラルポリプリントラクト、GAG配列における合成停止コドン、rev応答性エレメント、およびenvスプライスアクセプターによって置き換えられる、項目62または63に記載の方法。
(項目65)
前記エンベロープがあるベクターが、さらに精製される、項目44~64のいずれか一項に記載の方法。
(項目66)
項目1~31のいずれか一項に記載のエンベロープがあるウイルスベクターまたは項目32に記載の組成物を含むキット。
(項目67)
使用のための指示をさらに含む、項目66に記載のキット。
(項目68)
対象への核酸の送達における使用のための、項目1~31のいずれかに記載のエンベロープがあるウイルスベクターまたは項目32に記載の組成物。
(項目69)
対象における疾患または障害の処置における使用のための、項目1~31のいずれかに記載のエンベロープがあるウイルスベクターまたは項目32に記載の組成物。
(項目70)
項目33~43のいずれかに記載の方法に従った対象への核酸の送達における使用のための、項目68または69に記載のエンベロープがあるウイルスベクターまたは組成物。
(項目71)
それを必要とする個体に核酸を送達するための医薬の製造における、項目1~31のいずれか一項に記載のエンベロープがあるウイルスベクターまたは項目32に記載の組成物の使用。
(項目72)
疾患または障害を有する個体を処置するための医薬の製造における、項目1~31のいずれか一項に記載のエンベロープがあるウイルスベクターまたは項目32に記載の組成物の使用。
(項目73)
前記疾患または障害が、ミオチューブラリンミオパチー、脊髄性筋萎縮症、レーバー先天黒内障、血友病A、血友病B、全脈絡膜萎縮、ハンチントン病、バッテン病、レーバー遺伝性視神経症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、ポンペ病、ファブリー病、シトルリン血症1型、フェニルケトン尿症(PKU)、副腎白質ジストロフィー、鎌状赤血球症、ニーマン・ピック病またはベータサラセミアである、項目72に記載の使用。
(項目74)
前記疾患または障害が、血友病Aまたは血友病Bである、項目73に記載の使用。
(項目75)
項目1~31のいずれか一項に記載のエンベロープがあるウイルスベクターまたは項目32に記載の組成物を含む製造品。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、エフェクターベクターの例示的な概略図を示す。この特定例では、AAVベクターには、エンベロープがあるウイルス粒子の表面で免疫エフェクター機能と共に細胞標的化機能を提示するように操作された細胞膜にエンベロープがある。
【0035】
【0036】
【
図3】
図3は、イベイダー(EVADER)ベクターのエンベロープにおけるマウスPDL1(左パネル)およびマウスCTLA4の存在を示す。FACSヒストグラムは、抗マウスPDL1抗体または抗マウスCTLA-4抗体で染色されたエンベロープがあるAAVおよびイベイダーベクターを示す。エンベロープがあるAAVヒストグラムが、エフェクターベクターヒストグラムに重ね合わされて、精製されたベクターのより高いレベルのPDL-1またはCTLA-4染色を示す。エフェクターベクターは、エンベロープがあるAAVベクターよりも高いレベルの、PDL-1およびCTLA-4の両方を有する。イベイダーは、エフェクターベクターである。
【0037】
【
図4】
図4は、初回注射後3および6週間でのマウスにおけるヒトFIXレベルを示すグラフを示す。3週間雌マウスについて:
*p=0.036;
**p+0.002;
****p<0.0001。3週間雄マウスについて:
****p<0.0001。6週間雌マウスについて:std 対 イベイダーp=0.0002;exo 対 イベイダーp=0.0006。イベイダーは、mEV-AAV-hFIXである。Exoは、エンベロープがあるAAVである。
【0038】
【
図5】
図5は、3および6週目のマウス由来の血清における抗AAV8 IgG抗体の力価のグラフを示す。
【0039】
【
図6】
図6は、3および6週目のAAV8に対する中和抗体の力価のグラフを示す。
【0040】
【
図7】
図7は、3および6週目の雄または(of)雌マウスの肝臓由来のベクターゲノムコピー数(VGCN)を描写するグラフを示す。
【0041】
【
図8】
図8は、3および6週目の組み合わせた雄および雌マウスの肝臓由来のベクターゲノムコピー数(VGCN)を描写するグラフを示す。
【0042】
【
図9】
図9は、統計解析を含む、6週目の組み合わせた雄および雌マウスの肝臓由来のベクターゲノムコピー数(VGCN)を描写するグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
エンベロープに部分的にまたは完全に囲まれたウイルス粒子を含む、エンベロープがあるウイルスベクターであって、エンベロープが、脂質二重層、およびチェックポイント免疫下方調節因子等の1種または複数の免疫抑制性分子を含む、エンベロープがあるウイルスベクターが本明細書に提供される。一部の実施形態では、エンベロープがあるウイルス(例えば、AAVまたはレンチウイルス)は、ウイルス産生細胞膜からの「出芽」によって産生される。エンベロープは、産生細胞膜の部分を含むため、産生細胞膜に包埋された免疫モジュレート分子は、したがって、エンベロープがあるウイルスに移動される。次のセクションに詳細に記載されている通り、エンベロープがあるウイルスベクターは、細胞または対象への核酸(導入遺伝子)の送達に有用であり、宿主に生成された免疫応答に対し抵抗性であると考えられる。エンベロープがあるウイルスベクターならびにその使用および産生のための方法は、次のセクションに詳細に記載されている。
I.一般技法
【0044】
本明細書に記載または参照されている技法および手順は、一般に十分に理解されており、例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual (Sambrook et al., 4th ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 2012);Current Protocols in Molecular Biology (F.M. Ausubel, et al. eds., 2003); the series Methods in Enzymology (Academic Press, Inc.);PCR 2: A Practical Approach (M.J. MacPherson, B.D. Hames and G.R. Taylor eds., 1995);Antibodies, A Laboratory Manual (Harlow and Lane, eds., 1988);Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique and Specialized Applications (R.I. Freshney, 6th ed., J. Wiley and Sons, 2010);Oligonucleotide Synthesis (M.J. Gait, ed., 1984); Methods in Molecular Biology, Humana Press;Cell Biology: A Laboratory Notebook (J.E. Cellis, ed., Academic Press, 1998);Introduction to Cell and Tissue Culture (J.P. Mather and P.E. Roberts, Plenum Press, 1998);Cell and Tissue Culture: Laboratory Procedures (A. Doyle, J.B. Griffiths, and D.G. Newell, eds., J. Wiley and Sons, 1993-8);Handbook of Experimental Immunology (D.M. Weir and C.C. Blackwell, eds., 1996);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (J.M. Miller and M.P. Calos, eds., 1987);PCR: The Polymerase Chain Reaction, (Mullis et al., eds., 1994);Current Protocols in Immunology (J.E. Coligan et al., eds., 1991);Short Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., eds., J. Wiley and Sons, 2002);Immunobiology (C.A. Janeway et al., 2004);Antibodies (P. Finch, 1997);Antibodies: A Practical Approach (D. Catty., ed., IRL Press, 1988-1989);Monoclonal Antibodies: A Practical Approach (P. Shepherd and C. Dean, eds., Oxford University Press, 2000);Using Antibodies: A Laboratory Manual (E. Harlow and D. Lane, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1999);The Antibodies (M. Zanetti and J. D. Capra, eds., Harwood Academic Publishers, 1995);およびCancer: Principles and Practice of Oncology (V.T. DeVita et al., eds., J.B. Lippincott Company, 2011)に記載されている広く利用されている方法論等、従来の方法論を使用して当業者によって一般的に用いられている。
II.定義
【0045】
本明細書を解釈する目的のため、他に断りがなければ次の定義が適用される。適切な場合は常に、単数形で使用されている用語は、複数形も含み、逆もまた同じである。下に表記されるいずれかの定義が、参照により本明細書に組み込まれるいずれかの文書と矛盾する場合、表記されている定義が優先するものとする。
【0046】
本明細書で使用される場合、単数形形態「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、他に指示がなければ複数形の参照を含む。
【0047】
1つまたは複数の項目のリストがその後に続く用語「少なくとも1つ」の使用(例えば、「AおよびBのうち少なくとも1つ」)は、本明細書で他に指示がなければまたは文脈によって明らかに相反しない限り、列挙されている項目から選択される1つの項目(AまたはB)または列挙されている項目のうち2つもしくはそれよりも多くのいずれかの組合せ(AおよびB)を意味するものと解釈されるべきである。
【0048】
本明細書に記載されている本開示の態様および実施形態は、斯かる態様および実施形態「を含む」、「からなる」および「から本質的になる」ものを含むことが理解される。
【0049】
本明細書に記載されているあらゆる組成物、および本明細書に記載されている組成物を使用したあらゆる方法のため、組成物は、列挙されている構成成分もしくはステップを含むことができる、または列挙されている構成成分もしくはステップ「から本質的になる」もしくは「からなる」ことができる。組成物が、列挙されている構成成分「から本質的になる」と記載される場合、組成物は、列挙されている構成成分を含有し、開示されている方法に実質的に影響を与えない他の構成成分を含有することができるが、明確に列挙されている構成成分以外の、開示されている方法に実質的に影響を与えるいかなる他の構成成分も含有しない;または、組成物が、開示されている方法に実質的に影響を与える、列挙されているもの以外の余分な構成成分を含有する場合、組成物は、開示されている方法に実質的に影響を与えるのに十分な濃度もしくは量の余分な構成成分を含有しない。方法が、列挙されているステップ「から本質的になる」と記載される場合、方法は、列挙されているステップを含有し、開示されている方法に実質的に影響を与えない他のステップを含有することができるが、方法は、明確に列挙されているステップ以外の、開示されている方法に実質的に影響を与えるいかなる他のステップも含有しない。非限定的な具体例として、組成物が、構成成分「から本質的になる」と記載される場合、組成物は、開示されている組成物または方法の特性に実質的に影響を与えない、いずれかの量の薬学的に許容される担体、媒体または希釈剤および他の斯かる構成成分をその上含有することができる。
【0050】
用語「約」は、本明細書で使用される場合、本技術分野の当業者であれば容易に公知となる、それぞれの値に関する通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」ある値またはパラメーターの参照は、当該の値またはパラメーターそれ自体を対象にする実施形態を含む(および記載する)。
【0051】
用語「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、本明細書で使用される場合、いずれかの長さのポリマー形態のヌクレオチド、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、またはこれらの組合せを指す。よって、この用語として、一本鎖、二本鎖もしくは多重鎖DNAもしくはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA-RNAハイブリッド、またはプリンおよびピリミジン塩基または他の天然の、化学的もしくは生化学的に改変された、非天然の、もしくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含むポリマーが挙げられるがこれらに限定されない。ポリヌクレオチドの骨格は、糖およびリン酸基(RNAまたはDNAに典型的に見出すことができるような)、または改変もしくは置換された糖もしくはリン酸基を含むことができる。その代わりに、ポリヌクレオチドの骨格は、ホスホロアミデート(phosphoramidate)等、合成サブユニットのポリマーを含むことができ、よって、オリゴデオキシヌクレオシドホスホロアミデート(P-NH2)または混合ホスホロアミデート-ホスホジエステルオリゴマーとなることができる。加えて、相補鎖を合成し、適切な条件下で鎖をアニーリングすることにより、またはDNAポリメラーゼと適切なプライマーを使用して相補鎖をde novo合成することにより、化学合成の一本鎖ポリヌクレオチド産物から二本鎖ポリヌクレオチドを得ることができる。
【0052】
用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指すように互換的に使用されており、いずれか特定の最小または最大の長さに限定されるものではない。アミノ酸残基の斯かるポリマーは、天然または非天然アミノ酸残基を含有することができ、そのようなものとして、ペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸残基の二量体、三量体および多量体が挙げられるがこれらに限定されない。全長タンパク質およびその断片の両方が、この定義によって包含される。この用語は、ポリペプチドの発現後改変、例えば、グリコシル化、シアリル化、アセチル化、リン酸化なども含む。さらに、本発明の目的のため、「ポリペプチド」は、タンパク質が所望の活性を維持する限りにおいて、ネイティブ配列に対し、欠失、付加および置換(一般に、保存的な性質)等の改変を含むタンパク質を指す。これらの改変は、部位特異的変異誘発による等、計画的である場合がある、またはタンパク質を産生する宿主の変異もしくはPCR増幅による誤りによる等、偶発的である場合がある。
【0053】
「ウイルスベクター」は、少なくとも1または2個の反復配列(例えば、AAVのための逆位末端反復配列(ITR)またはレンチウイルスのための長鎖末端反復配列(LTR))によって挟まれる、1個または複数の異種配列(すなわち、ウイルス起源でない核酸配列)を含むポリヌクレオチドベクターを指す。異種核酸は、「カセット」として送達されるべき「ペイロード」と称することができ、多くの場合、少なくとも1または2個の反復配列(例えば、AAVのための逆位末端反復配列(ITR)またはレンチウイルスのための長鎖末端反復配列(LTR))によって挟まれる。斯かるウイルスベクターは、宿主細胞中に存在する場合、宿主細胞が必須機能をもたらす限り、複製され、感染性ウイルス粒子へとパッケージングされ得る。ウイルスベクターが、より大型のポリヌクレオチド(例えば、染色体中、またはクローニングもしくはトランスフェクションに使用されるプラスミド等の別のベクター中)に取り込まれる場合、ウイルスベクターは、ウイルス複製およびパッケージング機能の存在下で複製およびカプシド形成によって「レスキュー」され得る「プロベクター」と称することができる。ウイルスベクターは、ウイルスカプシドへとパッケージングされて、「ウイルス粒子」を生成することができる。ある観点では、ウイルス粒子は、ウイルスゲノムおよび異種核酸ペイロードと合わせたウイルスカプシドを指す。
【0054】
「異種」は、これが比較されるまたはこれが導入もしくは取り込まれる実体の残りとは遺伝子型的に別個の実体に由来することを意味する。例えば、異なる細胞型へと遺伝子操作技法によって導入されるポリヌクレオチドは、異種ポリヌクレオチドである(そして、発現される場合、異種ポリペプチドをコードすることができる)。同様に、ウイルスベクターに取り込まれる細胞の配列(例えば、遺伝子またはその部分)は、ベクターに関して異種ヌクレオチド配列である。異種核酸は、これが比較されるまたはこれが導入もしくは取り込まれる実体の残りとは遺伝子型的に別個の実体に由来する核酸を指すことができる。異種を使用して、これが導入される種にとって非ネイティブである他の生物学的構成成分(例えば、タンパク質)を指すこともできる。例えば、異種核酸から細胞において発現されるタンパク質は、細胞に関して異種タンパク質となる。遺伝子操作技法によって細胞または生物に導入される核酸は、細胞または生物にとって異種または相同であるかに関係なく、細胞または生物にとって「外因性」とみなすことができる。よって、例えば、ベクターを使用して、ヒト遺伝子の追加的なコピーをヒト細胞に導入することができる。細胞に導入される遺伝子は、相同(ネイティブ)核酸配列を含有する場合があるとしても、細胞にとって外因性であろう。
【0055】
「単離された」分子(例えば、核酸またはタンパク質)または細胞は、その天然環境の構成成分から同定され分離された、および/または回収されたことを意味する。
【0056】
「操作された」または「遺伝子操作された」などの用語は、人為的に遺伝子改変された(例えば、研究室技法を使用して)または斯かる遺伝子改変に起因する、生物学的材料を指すように使用されている。
【0057】
本明細書で使用される場合、「処置」は、有益なまたは所望の臨床結果を得るためのアプローチである。本発明の目的のため、有益なまたは所望の臨床結果として、検出可能であれ検出不能であれ、症状の軽減、疾患の程度の縮小、安定化された(例えば、悪化していない)疾患状態、疾患の拡散(例えば、転移)の防止、疾患進行の遅延または緩徐化、疾患状態の寛解または緩和、および軽快(部分的であれ完全であれ)が挙げられるがこれらに限定されない。「処置」は、処置を受けていない場合に予想される生存期間と比較した、生存期間の延長を意味することもできる。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「予防的処置」は、個体が、障害を有するまたは有するリスクがあることが公知であるまたはそうであると疑われるが、障害の症状を呈していないまたは最小の症状を呈した場合の、処置を指す。予防的処置を受けている個体は、症状の開始に先立ち処置することができる。
【0059】
「有効量」は、臨床結果(例えば、症状の寛解、および臨床エンドポイントの達成など)を含む有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な量である。有効量は、1回または複数の投与において投与することができる。疾患状態の観点から、有効量は、疾患の寛解、安定化、または発症遅延に十分な量である。
【0060】
本明細書に記載されている構造的および機能的特徴のいずれかに関して、これらの特徴を決定する方法が当技術分野で公知である。
III.ベクター
【0061】
エンベロープに部分的にまたは完全に囲まれたウイルス粒子を含む、エンベロープがあるウイルスベクターであって、エンベロープが、脂質二重層および1種または複数の免疫抑制性分子を含む、エンベロープがあるウイルスベクターが本明細書に提供される。エフェクターベクターの概略的描写を
図1に示す。一部の実施形態では、本明細書に提供されるエンベロープがあるウイルスベクターは、エンベロープがない、またはエンベロープに免疫抑制分子を含むように操作されていないエンベロープを有する、同じエンベロープがあるベクターよりも有効におよび/またはそれよりも効率的に核酸導入遺伝子ペイロードを送達することができる。
【0062】
一部の実施形態では、エンベロープがあるウイルス粒子は、ネイティブウイルス粒子と比較して、ウイルス粒子に対して免疫を低下させるために操作される。一部の実施形態では、エンベロープがあるウイルス粒子は、導入遺伝子産物をコードするネイティブウイルス粒子を含むベクターと比較して、ウイルス導入遺伝子産物に対して免疫を低下させるために操作される。一部の実施形態では、エンベロープがあるウイルス粒子は、その典型的なネイティブ状態でエンベロープがない;例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)粒子およびアデノウイルス粒子。他の実施形態では、エンベロープが、ウイルス粒子および/またはウイルス導入遺伝子産物に対する免疫をモジュレートするように操作される場合、ネイティブウイルス粒子は、エンベロープがある;例えば、レトロウイルスおよびヘルペスウイルス。
【0063】
例えば、一部の実施形態では、本明細書に提供される通り、エンベロープに免疫抑制分子を含むエンベロープがあるウイルスベクター(例えば、エンベロープがあるAAV)は、対象に単回用量として(例えば、2×1011~2×1012vg/kg)投与してから3週間後の導入遺伝子発現レベルを、同じ条件下における同じ型のエンベロープがないウイルスベクター(例えば、同じ導入遺伝子、同じ対象、同じ用量および投与経路等であり、唯一の差がベクターである)の投与によって生じるレベルと比較して、約50%またはそれよりも多く(約75%もしくはそれよりも多く、約100%もしくはそれよりも多く、約125%もしくはそれよりも多く、約150%もしくはそれよりも多く、約175%もしくはそれよりも多く、またはさらには約200%もしくはそれよりも多く)増加させる。
【0064】
また、一部の実施形態では、本明細書に提供される通り、エンベロープに免疫抑制分子を含むエンベロープがあるウイルスベクター(例えば、エンベロープがあるAAV)は、対象に単回用量として(例えば、2×1011~2×1012vg/kg)投与してから3週間後の導入遺伝子発現レベルを、同じ条件下における免疫抑制分子がない同じ型のエンベロープがあるウイルスベクター(宿主細胞が、免疫抑制分子を発現するように操作されなかったこと以外は同じ型の産生細胞から産生される)(例えば、同じ導入遺伝子、同じ対象、同じ用量および投与経路等であり、唯一の差がベクターである)の投与によって生じるレベルと比較して、約20%またはそれよりも多く(約50%もしくはそれよりも多く、約75%もしくはそれよりも多く、約100%もしくはそれよりも多く、約125%もしくはそれよりも多く、約150%もしくはそれよりも多く、約175%もしくはそれよりも多く、またはさらには約200%もしくはそれよりも多く)増加させる。
【0065】
本明細書に提供される免疫抑制分子を含むエンベロープがあるベクターが、可溶性免疫抑制分子(例えば、CTLA4/Ig、アバタセプト)の投与に起因する全体的免疫抑制を最小化することがさらに考えられる。一部の実施形態では、本明細書に提供される通り、エンベロープに免疫抑制分子を含むエンベロープがあるウイルスベクター(例えば、エンベロープがあるAAV)は、対象、特に、ヒトへの有効量(例えば、2×1011vg/kgの用量または5×1011vg/kgの用量)での投与後に、循環する総抗IgG抗体の増加、または抗原特異的抗体、もしくは投与されるベクター由来以外の抗原によって刺激される活性化CD4+もしくはCD8+T細胞の増加に従って投与後2~3週間以内に測定される、10mg/kg CTLA4/Ig(または、一部の実施形態では、2mg/kg CTLA4/Ig)の単一投与によって引き起こされる全体的免疫抑制よりも低い全体的免疫抑制を引き起こす。
【0066】
いずれか特定の理論または作用機構に制約されることは望まないが、本明細書に提供されるエンベロープがあるウイルスベクターは、宿主免疫応答を抑制することにより、および/または宿主に生成される免疫応答の作用からベクターを遮蔽することにより、ベクターまたはウイルス導入遺伝子産物に対する宿主免疫応答の作用を回避すると考えられる。例えば、本発明のベクターは、宿主によって産生されるベクター中和抗体の数を低下させることができる、またはウイルスの中和におけるこのような抗体の有効性を低下させることができる。同様に、本発明のベクターは、ウイルス導入遺伝子産物に対する宿主に産生される抗体の数を低下させることができる、または導入遺伝子産物の発現の阻害におけるこのような抗体の有効性を低下させることができる。また、本発明のベクターは、導入遺伝子発現増加をもたらす、従来の遺伝子療法ベクターに典型的に関連する炎症を低下させることができる。
【0067】
よって、一部の実施形態では、エンベロープがあるウイルスベクターは、ネイティブもしくはエンベロープがないウイルス粒子と比較して、または同じ型だが、エンベロープに免疫抑制分子を含むように操作されていないエンベロープを有するエンベロープがあるウイルス粒子と比較して、宿主における低下した免疫原性を有する。一部の実施形態では、エンベロープがあるウイルスベクターは、ネイティブもしくはエンベロープがないウイルス粒子を含む同じ型のベクターと比較して、または同じ型だが、エンベロープに免疫抑制分子を含むように操作されていないエンベロープを有するエンベロープがあるウイルス粒子と比較して、ウイルス導入遺伝子産物に対する宿主免疫を低下させる。
(A)ウイルスベクター
【0068】
エンベロープがあるウイルスをもたらすように脂質二重層と会合することができるいずれかのウイルスベクターを使用することができる。一部の実施形態では、エンベロープがあるウイルス粒子は、アデノ随伴ウイルス(AAV)粒子およびアデノウイルス粒子等、そのネイティブ状態で典型的にエンベロープがないタイプである。他の実施形態では、ネイティブウイルス粒子は、レトロウイルスおよびヘルペスウイルス等、典型的にエンベロープがあるタイプのウイルス粒子である。
【0069】
一部の実施形態では、ウイルスベクターは、AAVウイルス粒子を含む。AAVは、パルボウイルスファミリーのメンバーであり、エンベロープがあるウイルスとして代表的には使用されていない。導入遺伝子の送達に適したいずれかのAAVベクターを使用することができる。AAV粒子は、いずれかの血清型由来のAAVカプシドタンパク質およびAAVウイルスゲノムを含むことができる。AAV血清型として、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11またはAAV12が挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、AAVウイルス粒子は、同じ血清型由来のAAVウイルスカプシドおよびAAVウイルスゲノムを含む。他の実施形態では、AAVウイルスゲノムおよびAAVカプシドは、異なる血清型のものである。例えば、AAVウイルスカプシドは、AAV6ウイルスカプシドであってよく、AAVウイルスゲノムは、AAV2ウイルスゲノムであってよい。一部の実施形態では、AAVは、自己相補的AAV(scAAV)である。一部の実施形態では、ベクターは、AAV8またはAAV2/8ベクター、特に、scAAV8またはscAAV2/8)である。
【0070】
一部の実施形態では、エンベロープがあるウイルスベクターは、レンチウイルス粒子を含む。ヒト免疫不全ウイルス、サル免疫不全ウイルスおよびネコ免疫不全ウイルスが挙げられるがこれらに限定されない、導入遺伝子送達に適したいずれかのレンチウイルスを使用することができる。典型的に、レンチウイルスベクターは、非複製型である。レンチウイルスベクターは、組込み型または非組込み型レンチウイルスベクターとなることができる。一部の実施形態では、レンチウイルスゲノムは、vif、vpr、vpu、tat、rev、nef遺伝子を欠く。一部の実施形態では、レンチウイルスゲノムは、異種導入遺伝子、5’長鎖末端反復配列(LTR)および3’LTRを含み、3’LTRのU3領域の全体または一部は、除去されるまたは異種調節エレメントによって置き換えられる。
【0071】
ウイルス粒子、特に、ウイルスゲノムは、送達されるべき異種核酸(例えば、導入遺伝子)を含む(「ペイロード」)、または空ベクターとなることができる。送達されるべき核酸の特定の性質は、所望の最終使用に依存し、本発明のエンベロープがあるベクターは、いずれか特定の使用またはペイロードに限定されない。一部の実施形態では、ペイロード核酸は、生物学的タンパク質、例えば、第VIII因子(例えば、ヒトF8(UniProtKB-Q2VF45)、B-ドメイン欠失(BDD)ヒト第VIII因子遺伝子のSQ-FVIIIバリアント(Lind et al., 1995 Eur J Biochem. Aug 15;232(1):19-27))または他の公知バリアント)、第IX因子(例えば、ヒト第IX因子UniProtKB-P00740;またはヒト第IX因子(R338L)「Padua」(Monahan et al., 2015 Hum Gene Ther., 26(2): 69-81、または他の公知バリアント)、ミオチューブラリン、SMN、RPE65、NADH-ユビキノンオキシドレダクターゼ鎖4、CHM、ハンチンチン、アルファ-ガラクトシダーゼA、酸性ベータ-グルコシダーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノコハク酸シンテターゼ、β-グロビン、γ-グロビン、フェニルアラニンヒドロキシラーゼまたはALDを発現する。一部の実施形態では、ペイロード核酸配列は、配列番号1のヒト第VIII因子アミノ酸配列をコードする、または配列番号1のアミノ酸配列に由来する。一部の実施形態では、ペイロード核酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列に対し約80%、85%、90%または99%のいずれかよりも高い同一性を有するヒト第VIII因子アミノ酸配列をコードする。一部の実施形態では、ペイロード核酸配列は、配列番号1のヒト第IX因子アミノ酸配列をコードする。一部の実施形態では、ペイロード核酸配列は、配列番号2のアミノ酸配列に対し約80%、85%、90%または99%のいずれかよりも高い同一性を有するヒト第IX因子アミノ酸配列をコードする。他の実施形態では、ペイロード核酸は、レポーター分子、例えば、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼまたはベータ-ガラクトシダーゼをコードする。また他の実施形態では、ペイロード核酸は、siRNA、miRNA、shRNA、アンチセンスRNA、RNAザイムまたはDNAザイム等、治療核酸をコードする。また他の実施形態では、ペイロード核酸は、RNAガイドエンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9、CPF1等)、RNAガイドエンドヌクレアーゼのためのガイド核酸、ドナー核酸、またはこれらの一部の組合せ等、1種または複数の遺伝子編集遺伝子産物をコードする。
【0072】
異種核酸は、組織特異的プロモーターとなり得る、適したプロモーターの制御下に置くことができる。例えば、ベクターが、肝臓に送達されるべきである場合、肝臓特異的プロモーター(例えば、肝臓特異的ヒトα1-アンチトリプシン(hAAT)プロモーター)。所与の適用に適切となり得るような他の調節因子エレメントが含まれていてもよい。
(B)免疫抑制分子を有する操作されたエンベロープ
【0073】
本明細書に提供されるウイルスベクターのエンベロープは、ウイルス粒子を部分的にまたは完全に囲む脂質二重層を含む。天然に存在するまたは合成(人工)の脂質二重層を含む、いかなる脂質二重層を使用することもできる。合成脂質二重層は、例えば、リポソームを含む。天然に存在する脂質二重層は、エキソソーム、微小小胞体(例えば、脱落小胞(shedding vesicle)またはエクトソーム)などを含む、当技術分野で公知の細胞外小胞(EV)の様々な型のいずれかを含む。例えば、ベクターのエンベロープの脂質二重層は、産生細胞、特に、同じ型の操作されていない産生細胞と比較して1種または複数の免疫抑制分子を過剰発現するように操作された産生細胞から「出芽」した細胞膜の部分によってもたらされ得る。斯かる脂質二重層は、これが脱落した箇所の細胞膜の部分を含む。一部の実施形態では、脂質二重層は、エンドソーム関連タンパク質(Alix、Tsg101およびRabタンパク質);テトラスパニン(CD9、CD63、CD81、CD82、CD53およびCD37);脂質ラフト関連タンパク質(グリコシルホスファチジルイシトールおよびフロチリン)、および/またはコレステロール、スフィンゴミエリンおよび/またはグリセロリン脂質を含む脂質を含む。一部の実施形態では、脂質二重層は、エキソソーム脂質二重層(例えば、脂質二重層は、エキソソームである)、特に、本明細書に記載されている1種または複数の免疫抑制分子を過剰発現するように操作された産生細胞のエキソソーム脂質二重層である(すなわち、産生細胞から脱落した、別段、産生細胞に由来するもしくは産生細胞によって産生された)。
【0074】
いかなる細胞型も、EVをもたらすことができるが、腫瘍細胞の不死化に寄与する作用因子(例えば、遺伝要素)による混入の可能性のため、また、発癌性もしくは他の面で対象にとって有害となり得るため、時に、本発明の文脈において、産生細胞としての腫瘍細胞の使用を避けることが有利である。よって、一部の実施形態では、脂質二重層は、非腫瘍エキソソーム脂質二重層等、非腫瘍EV脂質二重層である(例えば、脂質二重層は、EVまたはエキソソームが、腫瘍細胞に起源を持たないことを意味する、非腫瘍エキソソーム等、非腫瘍EVに由来する)。他の実施形態では、脂質二重層は、293細胞(例えば、HEK293またはHEK293T)由来のEV脂質二重層(例えば、エキソソーム脂質二重層またはエキソソーム)、特に、本明細書に記載されている1種または複数の免疫抑制分子を過剰発現するように操作された293細胞等、非腫瘍産生細胞由来のEV脂質二重層(例えば、エキソソーム脂質二重層またはエキソソーム)である(すなわち、産生細胞から脱落した、別段、産生細胞に由来するもしくは産生細胞によって産生された)。
【0075】
エンベロープは、免疫抑制分子も含む。免疫抑制分子は、いずれかの様式で、エンベロープの脂質二重層と会合することができる。一部の実施形態では、免疫抑制分子は、脂質二重層内にまたはその表面に包埋される。例えば、免疫抑制分子は、天然または合成のいずれかにより、脂質二重層に組み込む膜貫通ドメインを含むことができる。膜貫通ドメインは、当技術分野で公知であり、PDGR膜貫通ドメインが挙げられるがこれに限定されない。膜貫通ドメインを取り込む方法(例えば、融合タンパク質を生成することにより)は、当技術分野で公知である。
【0076】
免疫抑制分子は、エンベロープがない、または免疫抑制分子を含有するように操作されていないエンベロープを有する同じベクターと比較して、本発明のエンベロープがあるベクターに対する宿主免疫応答を低下させるいずれかの分子であり得る。免疫抑制分子として、免疫インヒビターを刺激もしくは上方調節することによる、または免疫刺激分子および/または活性化因子を阻害もしくは下方調節することによる、または免疫抑制分子がないエンベロープがあるベクターと比較してエンベロープがあるウイルスベクターの免疫原性を他の仕方で低下させることによる等、いずれかの機構によって宿主の免疫機能を下方調節する分子(例えば、タンパク質)が挙げられるがこれらに限定されない。免疫抑制分子として、免疫チェックポイント受容体およびリガンドが挙げられるがこれらに限定されない。免疫抑制分子の非限定的な例として、例えば、CTLA-4およびそのリガンド(例えば、B7-1およびB7-2)、PD-1およびそのリガンド(例えば、PDL-1およびPDL-2)、VISTA、TIM-3およびそのリガンド(例えば、GAL9)、TIGITおよびそのリガンド(例えば、CD155)、LAG3、VISTA、ならびにBTLAおよびそのリガンド(例えば、HVEM)が挙げられる。前述のチェックポイント分子のいずれかの活性断片および誘導体;前述のチェックポイント分子のいずれかに対するアゴニスト抗体等、前述のチェックポイント分子のいずれかのアゴニスト;抗CD28抗体等、免疫刺激受容体(共刺激受容体)もしくはそのリガンドを遮断する抗体;または免疫チェックポイント分子の免疫機能を模倣するペプチドも含まれる。
図2に説明されている通り、所望の免疫抑制分子が、膜貫通ドメインをネイティブに含まない程度まで、キメラ分子発現およびそのリガンドまたは受容体への結合の維持に必要となり得る、細胞外ドメインと、膜貫通ドメインと、必要に応じて、全長細胞内ドメインまたはいずれかの最小細胞間ドメインのいずれかとを含むキメラ分子を作製することにより、免疫抑制分子は、脂質二重層に包埋するように操作することができる。エフェクター分子の膜貫通ドメインおよび細胞間ドメインは、免疫グロブリンFc受容体ドメイン(またはその膜貫通領域)または発現およびリガンド結合活性の維持に必要な他のいずれかの機能的ドメインを含むことができる。
【0077】
エンベロープは、いずれか1種または複数の異なる型の免疫抑制分子を含むことができる;しかし、一部の実施形態では、エンベロープは、2種またはそれよりも多い異なる免疫抑制分子(例えば、3種もしくはそれよりも多い異なる免疫抑制分子、4種もしくはそれよりも多い異なる免疫抑制分子、またはさらには5種もしくはそれよりも多い異なる免疫抑制分子)の組合せを含む。よって、例えば、一部の実施形態では、エンベロープは、2種またはそれよりも多い異なる免疫チェックポイント分子(例えば、3種もしくはそれよりも多い異なる免疫チェックポイント分子、4種もしくはそれよりも多い異なる免疫チェックポイント分子、またはさらには5種もしくはそれよりも多い異なる免疫チェックポイント分子)、必要に応じて、CTLA-4およびそのリガンド(例えば、B7-1およびB7-2)、PD-1およびそのリガンド(例えば、PDL-1およびPDL-2)、VISTA、TIM-3およびそのリガンド(例えば、GAL9)、TIGITおよびそのリガンド(例えば、CD155)、LAG3、VISTAならびにBTLAおよびそのリガンド(例えば、HVEM);前述のチェックポイント分子のいずれかの活性断片および誘導体;前述のチェックポイント分子のいずれかに対するアゴニスト抗体等、前述のチェックポイント分子のいずれかのアゴニスト;抗CD28抗体等、免疫刺激受容体(共刺激受容体)もしくはそのリガンドを遮断する抗体;または免疫チェックポイント分子の免疫機能を模倣するペプチドから選択される、2種またはそれよりも多い(例えば、3種もしくはそれよりも多い、4種もしくはそれよりも多い、またはさらには5種もしくはそれよりも多い)分子の組合せを含む。一部の実施形態では、エンベロープは、単独で、または最大4種の異なる分子の組合せで、CTLA-4およびPD-L1およびPD-L2およびVISTA、またはこれらのいずれかの組合せ、または他の免疫抑制性分子を含む。一部の実施形態では、エンベロープは、CTLA-4およびPD-L1、CTLA-4およびPD-L2、CTLA-4およびPD-1、CTLA-4およびVISTA、CTLA-4および抗CD28、PD-1およびVISTA、B7-1およびPD-L1、B7-1およびPD-L2、B7-1およびPD-1、B7-1およびVISTA、B7-1および抗CD28、B7-2およびPD-L1、B7-2およびPD-L2、B7-2およびPD-1、B7-2およびVISTA、B7-2および抗CD28、PD-1およびVISTA、PD-1および抗CD-28、VISTAおよび抗CD28、PD-L1およびVISTA、PD-L1および抗CD-28、PD-L2およびVISTA、PD-L2および抗CD-28、またはVISTAおよび抗CD28を含む。一部の実施形態では、エンベロープは、CTLA4およびPD-L1、CTLAおよびPD-L2、CTLA-4およびVISTA、PD-L1およびPD-L2、PD-L1およびVISTA、PD-L2およびVISTA、CTLA4およびPD-L1およびPD-L2、CTLA4およびPD-L1およびVISTA、CTLA4およびPD-L2およびVISTA、PD-L1およびPD-L2およびVISTA、またはCTLA4およびPD-L1およびPD-L1およびVISTAを含む。一部の実施形態では、免疫抑制分子は、膜貫通ドメインを含む、またはこれを含むように操作されている。ベクターにおいて使用される免疫抑制分子は、ベクターが投与されるべき哺乳動物の種のものとなるべきである。よって、ヒトにおける使用のため、免疫抑制分子のヒトオルソログを使用するべきであり、このタンパク質は、本分野で周知である。特定の実施形態では、エンベロープに含まれる免疫抑制分子は、CTLA-4およびPD-L1を含む、これから本質的になる、またはこれからなる。例えば、NCBI参照配列:NP_005205.2によって同定されるタンパク質によって、ヒトCTLA-4が提供され、例えば、NCBI参照配列:NP_054862.1によって同定されるタンパク質によってPD-L1が提供される。一部の実施形態では、免疫抑制分子は、配列番号3のアミノ酸配列を含むCTLA-4分子である(またはこれに由来する)。一部の実施形態では、免疫抑制分子は、配列番号3のアミノ酸配列に対し約80%、85%、90%または99%のいずれかよりも高い同一性を有するアミノ酸配列を含むCTLA-4分子である(またはこれに由来する)。一部の実施形態では、免疫抑制分子は、配列番号4のアミノ酸配列を含むPDL-1分子である(またはこれに由来する)。一部の実施形態では、免疫抑制分子は、配列番号4のアミノ酸配列に対し約80%、85%、90%または99%のいずれかよりも高い同一性を有するアミノ酸配列を含むPDL-1分子である(またはこれに由来する)。
【0078】
エンベロープは、いずれか適した量または濃度の免疫抑制分子を含むことができる。一部の実施形態では、エンベロープは、免疫抑制分子を含有するように操作されていない同じエンベロープがあるベクターと比較して、導入遺伝子の送達および発現の改善に十分な量の免疫抑制分子を含む。エンベロープがあるベクターを産生する方法に関連してさらに詳細に説明される通り、ネイティブ宿主細胞と比較して免疫抑制分子を過剰発現するように宿主(産生株)細胞を操作することにより、エンベロープに十分な濃度の免疫抑制分子を含む、エンベロープがあるベクターを提供することができる。よって、一部の実施形態では、本明細書に提供されるベクターのエンベロープは、免疫抑制分子を過剰発現するように操作されていない同じ宿主細胞から産生される同じエンベロープがあるベクターよりも多い量で、免疫抑制分子のうち1種または複数(または全種)を含む。例えば、本明細書に提供されるベクターのエンベロープは、一部の実施形態では、免疫抑制分子を過剰発現するように操作されていない同じ宿主細胞から産生される同じエンベロープがあるベクターよりも多い、約2倍もしくはそれよりも多く、約3倍もしくはそれよりも多く、約5倍もしくはそれよりも多く、約10倍もしくはそれよりも多く、約20倍もしくはそれよりも多く、約50倍もしくはそれよりも多く、またはさらには約100倍もしくはそれよりも多く(例えば、約1000倍またはそれよりも多く)の量で、免疫抑制分子のうち1種または複数(または全種)を含む。一部の実施形態では、宿主細胞は、免疫抑制分子を過剰発現するように操作されていない同じ宿主細胞よりも約2倍もしくはそれよりも多く、約3倍もしくはそれよりも多く、約5倍もしくはそれよりも多く、約10倍もしくはそれよりも多く、約20倍もしくはそれよりも多く、約50倍もしくはそれよりも多く、またはさらには約100倍もしくはそれよりも多く(例えば、約1000倍またはそれよりも多く)、免疫抑制分子のうち1種または複数(または全種)を過剰発現するように操作される。上に説明されている通り、一部の実施形態では、宿主細胞は、免疫抑制分子を過剰発現するように操作された非腫瘍宿主細胞であり、エンベロープは、免疫抑制分子を過剰発現するように操作された非腫瘍細胞由来の非腫瘍エキソソーム脂質二重層等、非腫瘍EV脂質二重層を含む。特定の実施形態では、脂質二重層は、免疫抑制分子を過剰発現するように操作された293細胞(例えば、HEK293、またはHEK293E、HEK293F、HEK293T等、そのいずれかの変形形態、等)由来のEV脂質二重層(例えば、エキソソーム脂質二重層またはエキソソーム)である。ベクター表面(例えば、ベクターエンベロープ中)における免疫抑制分子の量は、当技術分野で公知の様々な技法のいずれかを使用して決定することができる。例えば、ELISAを使用して、ベクターの表面における斯かる分子の量を測定し、異なるベクターにおける斯かる分子の相対量を決定することができる。
【0079】
本明細書に提供されるエンベロープがあるウイルスベクターは、いずれか適した粒径を有することができる。典型的に、エンベロープがあるウイルス粒子は、製造業者のプロトコールに従ってNANOSIGHT(商標)NS300(Malvern Instruments、Malvern、United Kingdom)を使用して測定される場合、約80~120nm(例えば、約90~115nm)等、約75~150nmの範囲内の平均粒径を有し、約50~300nm等、約30~600nmの範囲内のサイズを有する。ンベロープがあるウイルスベクターはそれぞれ、単一エンベロープ内に単一カプシドまたは複数カプシドを含むことができる。
(C)他のエンベロープ部分
【0080】
本明細書に提供されるエンベロープがあるウイルスベクターは、異なる機能をもたらすために、所望の通りエンベロープに追加的な部分をさらに含むことができる。例えば、エンベロープは、ベクターを所望の細胞型または組織型に向ける膜表面タンパク質、例えば、所望の細胞型上のリガンドまたは受容体に特異的に結合する分子を含有するように操作することができる。AAV等、一部のウイルスベクターでは、ベクターの細胞特異性または組織特異性は、少なくとも一部には、ウイルスの血清型によって決定することができる。所望の細胞型上のリガンドまたは受容体に結合するエンベロープ結合型標的化部分(例えば、標的化タンパク質)を含有するように本明細書に提供されるベクターを操作することにより、ベクターは、AAV血清型特異性のみに依拠する場合と比較して、より正確な標的化と共に、細胞型のより幅広い選択を目標とするための選択肢を可能にする。例えば、ヒト第IX因子タンパク質を使用して血友病Bを処置するために、ベクターのエンベロープは、肝臓細胞表面に特異的にまたは優先的に発現された表面タンパク質に特異的にまたは優先的に結合する部分を含むように操作することができる(例えば、アシアロ糖タンパク質受容体1(ASGR1)に特異的に結合する膜結合型抗原結合ドメイン(例えば、クローン8D7、BD Biosciencesのドメイン)等のタンパク質)。ベクターの所望の目的地に応じて、異なる細胞型または組織型を標的とする他の標的化分子を使用することができる。非限定的な例として、肝臓、筋肉、心臓、脳(例えば、ニューロン、グリア細胞、アストロサイト等)、腎臓、肺、膵臓、胃、腸、骨髄、血液細胞(例えば、白血球、リンパ球、赤血球)、卵巣、子宮、精巣、またはいずれかの型の幹細胞のうち1種または複数が挙げられる。ベクターを産生する方法に関連してさらに詳細に説明される通り、高レベルの膜結合型標的化部分を発現するように宿主細胞(産生細胞)を操作することにより、斯かるベクターエンベロープを提供することができる。よって、一部の実施形態では、本発明は、エンベロープを含むウイルスベクターであって、エンベロープが、免疫抑制分子および標的化分子を含む、ウイルスベクターを提供する。
【0081】
エンベロープがあるウイルスベクターは、ベクターの有効性もしくは効率を改善する、または産生を改善する追加的なエレメントをさらに含むことができる。例えば、産生細胞におけるテトラスパニンCD9の外因性発現は、ベクター性能を劣化させることなく、ベクター産生を改善することができる(Shiller et al., Mol Ther Methods Clin Dev, (2018) 9:278-287)。よって、ベクターは、エンベロープにCD9を含むことができる。しかし、一部の実施形態では、エンベロープがあるウイルスベクターは、対象への核酸の送達におけるベクターの効率もしくは有効性を有意に損なう、ベクターをヒトにおける使用(例えば、FDA規制下での)に不適なものとする、またはベクター産生を実質的に損なう、エレメントを実質的にまたは完全に含まない。
IV.適用および使用方法
【0082】
本明細書に提供されるエンベロープがあるウイルスベクターは、細胞または対象への核酸(導入遺伝子)の送達および発現に有用である。よって、本発明は、細胞または対象にエンベロープがあるウイルスベクターを投与することにより、細胞または対象に核酸(導入遺伝子)を送達する方法を提供する。
【0083】
一部の実施形態では、エンベロープに免疫抑制分子を含むエンベロープがあるウイルスベクターは、同じ型のエンベロープがないウイルスベクター、または同じ型だが免疫抑制分子を含むように操作されたエンベロープがない、エンベロープがあるウイルスベクターよりも有効にまたは効率的に、細胞または対象に核酸(導入遺伝子)を送達することができる。一部の実施形態では、より有効なまたは効率的な送達は、細胞または対象における、標的細胞当たりのより多いウイルスゲノムコピー、および/または導入遺伝子産物のより高い発現(適用できる場合は)をもたらす。例えば、一部の実施形態では、本明細書に提供される通り、エンベロープに免疫抑制分子を含むエンベロープがあるウイルスベクター(例えば、エンベロープがあるAAV)は、対象に投与してから3週間後の導入遺伝子発現レベルを、同じ条件下における同じ型のエンベロープがないウイルスベクター(例えば、同じ導入遺伝子、同じ対象、同じ用量および投与経路等であり、唯一の差がベクターである)の投与によって生じるレベルと比較して、約50%またはそれよりも多く(約75%もしくはそれよりも多く、約100%もしくはそれよりも多く、約125%もしくはそれよりも多く、約150%もしくはそれよりも多く、約175%もしくはそれよりも多く、またはさらには約200%もしくはそれよりも多く)増加させる。また、一部の実施形態では、本明細書に提供される通り、エンベロープに免疫抑制分子を含むエンベロープがあるウイルスベクター(例えば、エンベロープがあるAAV)は、対象に投与してから3週間後の導入遺伝子発現レベルを、同じ条件下における免疫抑制分子がない同じ型のエンベロープがあるウイルスベクター(宿主細胞が、免疫抑制分子を発現するように操作されなかったこと以外は同じ型の産生細胞から産生される)(例えば、同じ導入遺伝子、同じ対象、同じ用量および投与経路等であり、唯一の差がベクターである)の投与によって生じるレベルと比較して、約20%またはそれよりも多く(約50%もしくはそれよりも多く、約75%もしくはそれよりも多く、約100%もしくはそれよりも多く、約125%もしくはそれよりも多く、約150%もしくはそれよりも多く、約175%もしくはそれよりも多く、またはさらには約200%もしくはそれよりも多く)増加させる。
【0084】
それに加えてまたはその代わりに、免疫抑制分子を含むエンベロープがあるウイルスベクターの一部の実施形態は、ベクターまたは導入遺伝子産物に対する宿主免疫応答、または導入遺伝子送達および/または発現における宿主免疫応答の影響を低下させると考えられる。よって、一部の実施形態では、本明細書に提供されるエンベロープがあるウイルスベクターは、ベクターの反復投与および/または所与のウイルス型(例えば、特定の血清型のAAV)に対する既存の免疫を有する対象の投与を可能にする。したがって、一態様では、方法は、エンベロープがあるウイルスベクターに含有される同じ型のウイルスに以前に曝露された対象(ネイティブウイルスへの天然の曝露による、またはウイルスベクターの事前投与による)、またはウイルスに対する既存の免疫を他の理由で有する対象(例えば、ウイルスに対する既存の抗体を有する患者)への、エンベロープがあるウイルスベクターの投与を含む。よって、方法は、適した時間間隔によって隔てられたエンベロープがあるウイルスベクターの用量の2回またはそれよりも多い別々の投与(例えば、少なくとも1日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間もしくは1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、またはさらには少なくとも1年間もしくはそれよりも長い期間によって隔てられた、エンベロープがあるウイルスベクターの用量の2回またはそれよりも多い投与)を含む反復投与スケジュールで、対象にエンベロープがあるウイルスベクターを投与するステップを含むことができる。
【0085】
ベクターは、免疫抑制分子を含むが、ベクターの用量における免疫抑制分子の総量は、典型的に、可溶性免疫抑制剤として投与される場合に使用されるであろう免疫抑制分子の用量未満となる。よって、例えば、CTLA4/Igは、10mg/kgの用量で免疫抑制剤として使用することができる。しかし、一部の実施形態では、ベクターの単回用量(例えば、2×1011vg/kgまたはさらには5×1011vg/kg)は、約5mg/kg未満、約2mg/kg未満、約1mg/kg未満またはさらには約0.5mg/kg未満(例えば、約0.1mg/kg未満)等、はるかに少ない免疫抑制剤(例えば、膜結合型CTLA4)を有する。したがって、一部の実施形態では、本明細書に提供される免疫抑制分子を含むエンベロープがあるベクターは、可溶性免疫抑制剤(例えば、CTLA4/Ig、アバタセプト)の投与に起因する全体的免疫抑制を最小化する。一部の実施形態では、本明細書に提供される通り、循環する総抗IgG抗体の増加、または抗原特異的抗体または投与されるベクターに由来する抗原以外の抗原によって刺激される活性化CD4+もしくはCD8+T細胞の増加に従って、投与後2~3週間以内に測定される場合、エンベロープに免疫抑制分子を含むエンベロープがあるウイルスベクター(例えば、エンベロープがあるAAV)は、対象、特に、ヒトへの有効量での投与後に(例えば、2×1011vg/kgの用量または5×1011vg/kgの用量)、10mg/kg CTLA4/Ig(または一部の実施形態では、2mg/kg CTLA4/Ig)の単一投与によって引き起こされる全体的免疫抑制よりも低い全体的免疫抑制を引き起こす。
【0086】
エンベロープがあるウイルスベクターは、いずれかの究極的な最終目的のため、細胞または対象に核酸(導入遺伝子)を送達するために投与することができる。一部の実施形態では、この最終目的は、研究目的のため、またはタンパク質の産生もしくは他の生物学的産生プロセスのため、in vitroで細胞において導入遺伝子を発現させることとし得る。他の実施形態では、エンベロープがあるウイルスベクターは、個体における疾患または障害の処置に使用される。疾患または障害は、核酸または導入遺伝子の送達および(該当する場合)発現による処置に対して感受性があるいずれかの疾患または障害となることができる。一部の実施形態では、疾患または障害は、単一遺伝子疾患である。一部の実施形態では、疾患または障害は、リソソーム蓄積症である。一部の実施形態では、疾患または障害は、糖原病である。一部の実施形態では、疾患または障害は、ヘモグロビン障害である。一部の実施形態では、疾患または障害は、筋骨格障害である。一部の実施形態では、疾患または障害は、CNS疾患または障害である。一部の実施形態では、疾患または障害は、心臓疾患または脳卒中を含む心血管障害である。一部の実施形態では、疾患は、がんである。
【0087】
疾患のより具体的な、説明的だが非限定的な例として、ミオチューブラリンミオパチー、脊髄性筋萎縮症、レーバー先天黒内障、血友病AおよびB、ニーマン・ピック病(例えば、ニーマン・ピックA、ニーマン・ピックB、ニーマン・ピックC)、全脈絡膜萎縮、ハンチントン病、バッテン病、レーバー遺伝性視神経症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、糖原病、ポンペ病、ウィルソン病、シトルリン血症1型、PKU(フェニルケトン尿症)、副腎白質ジストロフィー、鎌状赤血球症、ベータサラセミアを含むヘモグロビン障害、中枢神経系障害、ならびに筋骨格障害が挙げられる。よって、方法の一部の実施形態では、エンベロープがあるウイルスベクターは、斯かる疾患もしくは障害を有する、または疾患もしくは障害を発症するリスクがある(例えば、疾患もしくは障害に関する変異を有する、または疾患もしくは障害の家族歴を有する)対象に投与される。さらに、疾患または障害の処置に使用される場合、エンベロープがあるウイルスベクターは、その発現が対象の疾患を処置する、ペイロード核酸を含む。非限定的な例として、核酸は、次のうち1種または複数をコードすることができる:第VIII因子、第IX因子、ミオチューブラリン、SMN、RPE65、NADH-ユビキノンオキシドレダクターゼ鎖4、CHM、ハンチンチン、アルファ-ガラクトシダーゼA、酸性ベータ-グルコシダーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノコハク酸シンテターゼ、β-グロビン、γ-グロビン、フェニルアラニンヒドロキシラーゼまたはALD。
【0088】
方法は、疾患の処置または他のいずれかの目的のために、細胞または対象への治療核酸の送達に使用することもできる。一部の実施形態では、治療核酸は、siRNA、miRNA、shRNA、アンチセンスRNA、RNAザイムまたはDNAザイムである。
【0089】
1種または複数の遺伝子編集遺伝子産物をコードする核酸を細胞にin vitroまたはin vivoで送達するために、エンベロープがあるウイルスベクターを使用する方法も提供される。一部の実施形態では、1種または複数の遺伝子編集遺伝子産物は、RNAガイドエンドヌクレアーゼ(例えば、Cas9またはCpf1)、RNAガイドエンドヌクレアーゼのための1種もしくは複数のガイド配列、および/または1種もしくは複数のドナー配列である。
【0090】
前述の方法のいずれかにおいて、細胞は、いずれかの型の細胞、特に、哺乳動物細胞またはヒト細胞であり得る。対象は、ヒト、非ヒト霊長類、または齧歯類(例えば、マウス、ラット、モルモット、ハムスター)、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジを含む他の哺乳動物、カエル、または鳥類等、いずれかの対象であってよい。
【0091】
前述の処置方法のいずれかにおいて、治療有効量のエンベロープがあるウイルスベクターが、いずれか適した投与経路によって対象に投与される。有効な用量および投与経路は、適応症に依存し、開業医によって決定することができる。一部の実施形態では、エンベロープがあるウイルスベクターは、全身性に;例えば、静脈内に、動脈内に、腹腔内に、皮下に、経口にまたは吸入によって送達される。他の実施形態では、エンベロープがあるウイルスベクターは、組織(例えば、臓器、腫瘍等)に直接的に送達される、またはCNS(例えば、くも膜下腔内に、脊髄へと、脳室、視床下部、下垂体、大脳、小脳等、脳の特異的な部分に、等)に投与される。
【0092】
エンベロープがあるウイルスベクターは、エンベロープがあるウイルスベクターと、食塩水等の薬学的に許容される担体等の適切な担体とを含む組成物の一部として使用することができる。ウイルスベクター組成物の製剤化に適した担体、製剤化緩衝剤(formulation buffer)および他の賦形剤は、当技術分野で公知であり、本発明に提供される組成物に適用可能である。
【0093】
特定の実施形態では、血友病Bを処置する方法であって、処置を必要とする対象に、本明細書に提供されるエンベロープがあるウイルスベクターを投与するステップを含み、異種導入遺伝子が、ヒト第IX因子(FIX)タンパク質(例えば、ヒト第IX因子UniProtKB-P00740;ヒト第IX因子(R338L)「Padua」(Monahan et al., (2015) Hum Gene Ther., 26(2):69-81)または他の公知バリアント)をコードし、ウイルスベクターのエンベロープが、CTLA-4およびPD-L1を含む操作された脂質二重層である、方法が提供される。さらに特定の実施形態では、ウイルスベクターは、AAV(例えば、AAV8もしくはAAV2/8、またはscAAV8もしくはscAAV2/8)であり、必要に応じて、エンベロープは、CTLA-4およびPD-L1を含有するように操作されたエキソソーム(例えば、CTLA-4およびPD-L1を過剰発現するように操作された産生細胞(例えば、HEK293細胞)由来のエキソソーム)によってもたらされる。一部の実施形態では、ヒト第IX因子は、配列番号1のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、ヒト第IX因子は、配列番号2のアミノ酸配列に対し約80%、85%、90%または99%のいずれかよりも高い同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CTLA-4は、配列番号3のアミノ酸配列を含むCTLAを含むまたはこれに由来する。一部の実施形態では、CTLA-4は、配列番号3のアミノ酸配列に対し約80%、85%、90%または99%のいずれかよりも高い同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、PDL-1は、配列番号4のアミノ酸配列を含むPDL-1を含むまたはこれに由来する。一部の実施形態では、PDL-1は、配列番号4のアミノ酸配列に対し約80%、85%、90%または99%のいずれかよりも高い同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、エンベロープがあるウイルスベクターは、肝臓に送達され、異種導入遺伝子は、肝臓特異的プロモーターを含む。一部の実施形態では、ベクターは、静脈内に、必要に応じて、肝動脈へと投与される。一部の実施形態では、ベクターは、対象の体重1キログラム当たり2×1011~2×1012ベクターゲノム(vg)(例えば、対象の体重1キログラム当たり2×1011~8×1011または3×1011~6×1011ベクターゲノム(vg))の用量で投与される。一部の実施形態では、方法は、2またはそれよりも多い用量(例えば、3もしくはそれよりも多い用量、4もしくはそれよりも多い用量、または5もしくはそれよりも多い用量)を、用量の間が少なくとも1日間(少なくとも1日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間もしくは1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、またはさらには少なくとも1年間もしくはそれよりも長い期間)の間隔で投与するステップを含む。
【0094】
別の特定の実施形態では、血友病Aを処置する方法であって、処置を必要とする対象に、本明細書に提供されるエンベロープがあるウイルスベクターを投与するステップを含み、異種導入遺伝子が、ヒト第VIII因子(例えば、ヒトF8(UniProtKB-Q2VF45)、B-ドメイン欠失(BDD)ヒトF8遺伝子のSQ-FVIIIバリアント(Lind et al., (1995) Eur J Biochem. Aug 15;232(1):19-27)または他の公知バリアント)をコードし、ウイルスベクターのエンベロープが、CTLA-4およびPD-L1を含む操作された脂質二重層である、方法が提供される。さらに特定の実施形態では、ウイルスベクターは、AAV(例えば、AAV8もしくはscAAV8、またはscAAV8もしくはscAAV2/8)であり、必要に応じて、エンベロープは、CTLA-4およびPD-L1を過剰発現するように操作された宿主細胞(例えば、HEK293細胞)から産生されたエキソソームによってもたらされる。一部の実施形態では、ヒト第VIII因子は、配列番号1のアミノ酸配列を含む、または配列番号1のアミノ酸配列に由来する。一部の実施形態では、ヒト第VIII因子は、配列番号1のアミノ酸配列に対し約80%、85%、90%または99%のいずれかよりも高い同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、CTLA-4は、配列番号3のアミノ酸配列を含むCTLAを含むまたはこれに由来する。一部の実施形態では、CTLA-4は、配列番号3のアミノ酸配列に対し約80%、85%、90%または99%のいずれかよりも高い同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、PDL-1は、配列番号4のアミノ酸配列を含むPDL-1を含むまたはこれに由来する。一部の実施形態では、PDL-1は、配列番号4のアミノ酸配列に対し約80%、85%、90%または99%のいずれかよりも高い同一性を有するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、エンベロープがあるウイルスベクターは、肝臓に送達され、異種導入遺伝子は、肝臓特異的プロモーターを含む。一部の実施形態では、ベクターは、静脈内に、必要に応じて、肝動脈へと投与される。一部の実施形態では、ベクターは、対象の体重1キログラム当たり2×1011~2×1012ベクターゲノム(vg)(例えば、対象の体重1キログラム当たり2×1011~8×1011または3×1011~6×1011ベクターゲノム(vg))の用量で投与される。一部の実施形態では、方法は、2またはそれよりも多い用量(例えば、3もしくはそれよりも多い用量、4もしくはそれよりも多い用量、または5もしくはそれよりも多い用量)を、用量の間が少なくとも1日間(少なくとも1日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間もしくは1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、またはさらには少なくとも1年間もしくはそれよりも長い期間)の間隔で投与するステップを含む。
VI.製造
【0095】
本明細書に提供されるエンベロープがあるウイルスベクターは、いずれか適した方法によって産生することができる。非限定的な例は、参照により本明細書に組み込まれるUS2013/020559によって提供される。
【0096】
特に有利な一方法は、ベクターのエンベロープに含まれることが所望される免疫抑制分子を過剰発現するように操作された産生細胞系からエンベロープがあるベクターを産生するステップが関与する。よって、(a)エンベロープがあるウイルス粒子を生成する条件下で、ウイルス産生細胞を培養するステップであって、ウイルス産生細胞が、1種または複数の膜結合型免疫抑制分子をコードする核酸を含む、ステップと、(b)エンベロープがあるウイルスベクターを収集するステップとによって、本明細書に記載されている通り、免疫抑制分子を含むエンベロープを有するエンベロープがあるウイルスベクターを調製する方法が本明細書に提供される。
(A)産生細胞操作
【0097】
ウイルスベクターにおいて使用されるべきウイルスの従来の産生に適したいずれかの産生細胞を使用して、本発明のエンベロープがあるウイルスベクターを産生することができる。適した産生細胞として、293細胞(例えば、HEK293、HEK293E、HEK293F、HEK293Tなど)およびHela細胞が挙げられるがこれらに限定されない。産生細胞は、いずれか適した方法によって、所望の免疫抑制分子を発現するように操作することができる。本発明の一部の実施形態では、免疫抑制分子は、安定にまたは一過性に、産生細胞への免疫抑制分子をコードする外因性核酸(例えば、プラスミドまたは他のベクター)のトランスフェクションによって発現される。斯かる外因性核酸の発現によって、産生細胞は、免疫抑制分子をコードする外因性核酸をトランスフェクトされていない同じ産生細胞と比較して、免疫抑制分子を過剰発現し、ひいては、産生細胞から出芽するエンベロープがあるウイルスは、免疫抑制分子を過剰発現するように操作されていない同じ産生細胞から出芽するエンベロープがあるウイルスと比較して、増加した量の免疫抑制分子を有する。一部の実施形態では、免疫抑制分子を過剰発現するように操作されていない同じ宿主細胞よりも約2倍もしくはそれよりも多く、約3倍もしくはそれよりも多く、約5倍もしくはそれよりも多く、約10倍もしくはそれよりも多く、約20倍もしくはそれよりも多く、約50倍もしくはそれよりも多く、またはさらには約100倍もしくはそれよりも多く免疫抑制分子を過剰発現するように操作された宿主細胞。
【0098】
免疫抑制分子の発現は、構成的プロモーター(例えば、CMVプロモーター)等のプロモーターによって駆動され得る。一部の実施形態では、エフェクター分子をコードする遺伝子の後に、エフェクター分子コード領域下流のポリアデニル化シグナル(例えば、ヘモグロビンポリアデニル化シグナル)が続く。一部の実施形態では、イントロンが、プロモーターの下流に挿入される。例えば、プロモーターの下流のヘモグロビン由来人工イントロンを用いて、エフェクター分子産生を増加させることができる。一過性トランスフェクションのための方法として、リン酸カルシウムトランスフェクションが挙げられるがこれに限定されない。単一のまたは組み合わせた免疫モジュレーターを発現する安定した細胞系を産生するための方法として、レトロウイルス遺伝子移入またはコンカテマートランスフェクションと、それに続く選択が挙げられるがこれらに限定されない(Throm et al. (2009) Blood, 113(21): 5104-5110)。産生細胞は、エンベロープがあるベクターにおいて所望され得る通り、個々の免疫抑制分子を発現するように、または免疫抑制分子の異なる組合せを発現するように、この仕方で操作される。産生細胞は、生産性を増加させるように、当技術分野で公知の他の仕方で操作することもできる。例えば、産生細胞は、テトラスパニンCD9を過剰発現するように操作して、ベクター産生を改善することができる(Shiller et al., (2018) Mol Ther Methods Clin Dev, 9:278-287)。
(B)エンベロープがあるウイルスベクターの産生
【0099】
本明細書に記載されているエンベロープがあるベクターは、いずれか適した技法によって、操作された産生細胞から産生することができる。使用される特定の技法は、エンベロープがあるウイルスベクターにおいて使用されるウイルスの型に依存する。例えば、エンベロープがあるAAVベクターは、ウイルス産生遺伝子(例えば、Rep/Capおよびヘルパー遺伝子)をコードするプラスミドまたは他の発現ベクターと、AAV ITRおよびペイロード核酸を含むプラスミドまたは他の構築物とをコトランスフェクトすることにより産生することができる。トランスフェクションは、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリエチレンイミン(PEI)トランスフェクションを使用することによる、またはHSVに基づく産生系を使用することによる等、いずれかの様式で達成することができる(Booth et al. (2004) Gene Ther, 11(10):829-837)。AAVの場合、ウイルス遺伝子として、AAV2 ITRに挟まれたAAV2、5、6、8または9構造遺伝子RepおよびCap、ならびに必要なヘルパーウイルス遺伝子を挙げることができるがこれらに限定されない(Ayuso et al. (2014) Hum Gene Ther, 25:977-987)。産生は、血清ありまたはなしの接着または懸濁産生系(adherent or suspension production system)を使用することによる等、いずれか適した様式で行うことができる(Ayuso et al. (2014) Hum Gene Ther, 25:977-987;Xiao et al. (1998), J Virol, 72(3): 2224-2232;Ryu et al. (2013) Mol Ther, Volume 21.B、この方法は、必要に応じて、次の改変を含むことができる:塩化セシウムまたはイオジキサノール勾配精製に先立ち、清澄化された収集された上清が、親和性精製カラムにおいて使用されて、エンベロープがあるウイルスを富化する)。エンベロープがあるウイルスベクターが、本明細書に記載されている標的化部分を含む場合、標的化部分は、単離/精製に役立つ親和性リガンドとして使用することができる。エンベロープがあるAAVベクターを産生するための他の方法が、公知であり、産生細胞が、所望の免疫抑制分子を過剰発現するように操作されるのであれば、異なる型のエンベロープがあるウイルス(例えば、エンベロープがあるレンチウイルス)を産生するための方法と同様に使用することができる。レンチウイルスに基づくベクターの場合、必要なウイルス遺伝子は、同様の精製方法を使用して、複数プラスミドをコトランスフェクトすることにより供給される。
【0100】
ベクターは、経験的に決定される期間の後に収集され、次いで、使用される精製がウイルスからエンベロープを除去しない限り、当技術分野で公知の様々な技法のいずれかを使用して精製される。精製技法として、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィーおよび接線流濾過を挙げることができるがこれらに限定されない。連続的超遠心分離を含む超遠心分離を使用して、エンベロープがあるウイルスベクターを精製することができる。
【0101】
産生細胞1リットル当たりの産生されるエンベロープがあるウイルスベクターの量は、様々な方法を使用して増加させることができる。そのような方法として、発酵中の産生細胞への、アポトーシスを抑制するまたは細胞分裂を中断する分子の添加を挙げることができるがこれらに限定されない。産生細胞膜の脂質組成を変更する分子または化合物を使用して、1リットル当たりのベクター産生を増加させることもできる。その上、エキソソーム産生を増加させる化合物または分子は、膜融合性分子(membrane fusigenic molecule)を含む。
【0102】
よって、一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されているエンベロープがあるウイルスベクターを産生する方法であって、(a)エンベロープがあるウイルス粒子を生成する条件下で、ウイルス産生細胞を培養するステップであって、ウイルス産生細胞が、1種または複数の膜結合型免疫抑制分子をコードする核酸を含む、ステップと、(b)エンベロープがあるウイルスベクターを収集するステップとを含む方法を提供する。エンベロープがあるウイルスベクターは、本発明のエンベロープがあるウイルスベクターに関する、本明細書に記載されている特色およびエレメントのいずれかを有することができる。さらに、産生細胞は、以前のセクションに記載されている特色およびエレメントのいずれかを有することができ、エンベロープがあるウイルスベクターを産生する方法は、例えば、1種または複数の膜結合型免疫抑制分子をコードする核酸で産生細胞を形質転換することにより、産生細胞を提供するステップをさらに含むことができる。一部の実施形態では、宿主細胞は、免疫抑制分子を過剰発現するように操作されていない同じ宿主細胞よりも約2倍もしくはそれよりも多く、約3倍もしくはそれよりも多く、約5倍もしくはそれよりも多く、約10倍もしくはそれよりも多く、約20倍もしくはそれよりも多く、約50倍もしくはそれよりも多く、またはさらには約100倍もしくはそれよりも多く、免疫抑制分子を過剰発現するように操作される(例えば、免疫抑制分子をコードする1種または複数の外因性核酸を含む)。一部の実施形態では、宿主細胞は、293細胞(例えば、HEK293、HEK293T、HEK293E、HEK293F等)等、非腫瘍細胞である。
【0103】
エンベロープがあるウイルスベクターの収集は、培養されたウイルス産生細胞の培養液からエンベロープがあるウイルスを単離するステップを含むことができる。収集は、ウイルスからエンベロープを除去しないいずれかの方法によって行うことができる。よって、例えば、収集は、超遠心分離または他の適した方法による、細胞培養物からのエンベロープがあるウイルスの分離を含むことができる。方法は、好ましくは、洗浄剤の使用を避ける。さらに、産生細胞の溶解は、培養物中にエンベロープがないウイルスを放出するため、方法は、好ましくは、エンベロープがあるウイルスの収集に先立つ産生細胞の溶解を最小化するまたは避ける。
【0104】
一部の実施形態では、エンベロープがあるウイルスベクターは、エンベロープがあるAAVベクターであり、ウイルス産生細胞は、(i)AAV repおよびcap遺伝子をコードする核酸、(ii)導入遺伝子および少なくとも1個のITRを含むAAVウイルスゲノムをコードする核酸、ならびに(iii)AAVヘルパー遺伝子をコードする核酸を含む。一部の実施形態では、AAV repおよびcap遺伝子、および/またはAAVウイルスゲノムをコードする核酸は、産生細胞系に一過性に導入される。一部の実施形態では、AAV repおよびcap遺伝子、および/またはAAVウイルスゲノムをコードする核酸は、産生細胞系において安定に維持される。一部の実施形態では、AAV repおよびcap遺伝子、および/またはAAVウイルスゲノムをコードする核酸は、産生細胞系のゲノムに安定に組み込まれる。一部の実施形態では、AAVゲノムは、2個のAAV ITRを含む(例えば、ウイルスゲノムは、AAV ITRによって挟まれる異種導入遺伝子を含む)。一部の実施形態では、1種または複数のAAVヘルパー機能は、プラスミド、アデノウイルス、細胞ゲノムに安定に組み込まれた核酸、または単純ヘルペスウイルス(HSV)のうち1種または複数によってもたらされる。一部の実施形態では、AAVヘルパー機能は、アデノウイルスE1A機能、アデノウイルスE1B機能、アデノウイルスE2A機能、アデノウイルスE4機能およびアデノウイルスVA機能のうち1種または複数を含む。一部の実施形態では、1種または複数のAAVヘルパー機能は、宿主細胞ゲノムに安定に組み込まれ、他のAAVヘルパー機能は、一過性に送達される。例えば、一部の実施形態では、AAVエンベロープがあるベクターは、アデノウイルスE1AおよびE1B機能を発現する293細胞において調製される。他のヘルパー機能は、例えば、プラスミドまたは複製欠損アデノウイルスによって一過性に送達される。一部の実施形態では、AAVヘルパー機能は、HSV UL5機能、HSV UL8機能、HSV UL52機能およびHSV UL29機能のうち1種または複数を含む。
【0105】
一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されているエンベロープがあるレンチウイルスベクターを産生する方法であって、(a)エンベロープがあるウイルス粒子を生成する条件下で、ウイルス産生細胞を培養するステップであって、ウイルス産生細胞が、1種または複数の膜結合型免疫抑制分子をコードする核酸を含む、ステップと、(b)エンベロープがあるレンチウイルスベクターを収集するステップとを含む方法を提供する。一部の実施形態では、レンチウイルスベクターは、ヒト免疫不全ウイルス、サル免疫不全ウイルスまたはネコ免疫不全ウイルスである。一部の実施形態では、ウイルス産生細胞は、(a)レンチウイルスgag遺伝子をコードする核酸、(b)レンチウイルスpol遺伝子をコードする核酸、(c)導入遺伝子、5’長鎖末端反復配列(LTR)および3’LTRを含むレンチウイルス移入ベクターをコードする核酸を含み、3’LTRのU3領域の全体または一部は、異種調節エレメントまたは次に記載されているものによって置き換えられる(Ryu et al. (2013) Mol Ther 2013, Volume 21.B.;Meliani et al. (2015) Hum Gene Ther Methods, 26:45-53)。
VI.キット
【0106】
本発明は、本発明の方法に従って、本明細書に記載されているエンベロープがあるウイルスベクターを細胞または対象に投与するためのキットも提供する。キットは、本発明のいずれかのエンベロープがあるウイルスベクターを含むことができる。例えば、キットは、本明細書に記載されているエンベロープがあるAAVベクターまたはエンベロープがあるレンチウイルスベクターを含むことができる。
【0107】
一部の実施形態では、キットは、エフェクターベクター送達のための指示をさらに含む。本明細書に記載されているキットは、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および本明細書に記載されているいずれかの方法を行うための指示を備える添付文書を含む、商業的および利用者の観点から望ましい他の材料をさらに含むことができる。適した包装材料が含まれていてもよく、これは、例えば、バイアル(密閉されたバイアル等)、容器、アンプル、ボトル、ジャー、可撓性包装(例えば、密閉されたMylarまたはビニール袋)などを含む、当技術分野で公知のいずれかの包装材料であってよい。このような製造品は、さらに滅菌および/または密閉することができる。一部の実施形態では、キットは、本明細書に記載されている方法および/またはエフェクターベクターのいずれかを使用して、本明細書に記載されている疾患または障害(disease disorder)を処置するための指示を含む。キットは、個体への注射に適した薬学的に許容される担体、ならびに緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、および哺乳動物に注射を行うための指示を備える添付文書のうち1種または複数を含むことができる。
【0108】
一部の実施形態では、キットは、本明細書に記載されている緩衝剤および/または薬学的に許容される賦形剤のうち1種または複数をさらに含有する(例えば、REMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES (Mack Pub. Co., N.J. 1991に記載されている通り)。一部の実施形態では、キットは、本明細書に記載されている1種または複数の薬学的に許容される賦形剤、担体、溶液および/または追加的な成分を含む。本明細書に記載されているキットは、単回単位投薬量または複数回剤形(multidosage form)において包装することができる。キットの内容物は一般に、無菌として製剤化され、凍結乾燥することができる、または実質的に等張の溶液として提供することができる。
例示的な実施形態
【0109】
次の実施形態は、単に、本明細書に提供される組成物および方法をさらに説明する目的で提示されており、本発明を限定するものではない:
【0110】
実施形態1.エンベロープがあるウイルスベクターを含む組成物であって、エンベロープがあるウイルスベクターが、エンベロープに囲まれたベクター粒子を含み、エンベロープが、免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子(すなわち、免疫抑制分子)を含む、組成物。
【0111】
実施形態2.免疫エフェクター機能が、免疫エフェクター分子がないベクターと比較して、エンベロープがあるベクターの免疫原性を低下させる、実施形態1に記載の組成物。
【0112】
実施形態3.免疫エフェクター機能が、免疫インヒビターを刺激する、実施形態1または2に記載の組成物。
【0113】
実施形態4.免疫エフェクター機能が、免疫刺激分子を阻害する、実施形態1または2に記載の組成物。
【0114】
実施形態5.エンベロープが、免疫インヒビターを刺激する分子および免疫刺激分子を阻害する分子を含む、実施形態1~4のいずれか一実施形態に記載の組成物。
【0115】
実施形態6.免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子が、CTLA4、B7-1、B7-2、PD-1、PD-L1、PD-L2、CD28、VISTA、TIM-3、GAL9、TIGIT、CD155、LAG3、VISTA、BTLAまたはHVEMのうち1種または複数を含む、実施形態1~5のいずれか一実施形態に記載の組成物。
【0116】
実施形態7.エンベロープが、CTLA4およびPD-L1、CTLAおよびPD-L2、CTLA-4およびVISTA、PD-L1およびPD-L2、PD-L1およびVISTA、PD-L2およびVISTA、CTLA4およびPD-L1およびPD-L2、CTLA4およびPD-L1およびVISTA、CTLA4およびPD-L2およびVISTA、PD-L1およびPD-L2およびVISTA、またはCTLA4およびPD-L1およびPD-L1およびVISTAを含む、実施形態1~6のいずれか一実施形態に記載の組成物。
【0117】
実施形態8.免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子が、膜貫通ドメインを含む、実施形態1~7のいずれか一実施形態に記載の組成物。
【0118】
実施形態9.エンベロープが、ベクターを1種または複数の細胞型に向ける標的化分子をさらに含む、実施形態1~8のいずれか一実施形態に記載の組成物。
【0119】
実施形態10.標的化分子が、エンベロープがあるベクターに組織特異性を付与する、実施形態9に記載の組成物。
【0120】
実施形態11.標的化分子が、抗体である、実施形態10に記載の組成物。
【0121】
実施形態12.抗体が、抗体8D7である、実施形態11に記載の組成物。
【0122】
実施形態13.1種または複数の標的化分子が、膜貫通ドメインを含む、実施形態9~12のいずれか一実施形態に記載の組成物。
【0123】
実施形態14.ウイルスベクターが、ウイルス粒子を含む、実施形態1~13のいずれか一実施形態に記載の組成物。
【0124】
実施形態15.ウイルス粒子が、ウイルスカプシドおよびウイルスゲノム、またはレトロウイルス等のエンベロープがあるカプシドおよびウイルスゲノムを含む、実施形態14に記載の組成物。
【0125】
実施形態16.ウイルスゲノムが、1種または複数の異種導入遺伝子を含む、実施形態15に記載の組成物。
【0126】
実施形態17.異種導入遺伝子が、ポリペプチドをコードする、実施形態16に記載の組成物。
【0127】
実施形態18.異種導入遺伝子が、治療ポリペプチドまたはレポーターポリペプチドをコードする、実施形態17に記載の組成物。
【0128】
実施形態19.治療ポリペプチドが、第VIII因子、第IX因子、ミオチューブラリン、SMN、RPE65、NADH-ユビキノンオキシドレダクターゼ鎖4、CHM、ハンチンチン、アルファ-ガラクトシダーゼA、酸性ベータ-グルコシダーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノコハク酸シンテターゼ、β-グロビン、γ-グロビン、フェニルアラニンヒドロキシラーゼまたはALDである、実施形態18に記載の組成物。
【0129】
実施形態20.異種導入遺伝子が、治療核酸をコードする、実施形態16に記載の組成物。
【0130】
実施形態21.治療核酸が、siRNA、miRNA、shRNA、アンチセンスRNA、RNAザイムまたはDNAザイムである、実施形態20に記載の組成物。
【0131】
実施形態22.異種導入遺伝子が、1種または複数の遺伝子編集遺伝子産物をコードする、実施形態16に記載の組成物。
【0132】
実施形態23.1種または複数の遺伝子編集遺伝子産物が、CASヌクレアーゼおよび/または1種もしくは複数のガイド配列および/または1種もしくは複数のドナー配列である、実施形態22に記載の組成物。
【0133】
実施形態24.ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターまたはレンチウイルスベクターである、実施形態1~23のいずれか一実施形態に記載の組成物。
【0134】
実施形態25.ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルスベクターである、実施形態1~24のいずれか一実施形態に記載の組成物。
【0135】
実施形態26.AAVベクターが、ヒトAAV血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11またはAAV12由来のカプシドを含む、実施形態25に記載の組成物。
【0136】
実施形態27.AAVベクターが、ヒトAAV血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9またはAAV10由来の逆位末端反復(ITR)配列を含むAAVウイルスゲノムを含む、実施形態25または26に記載の組成物。
【0137】
実施形態28.AAVカプシドおよびAAV ITRが、同じ血清型または異なる血清型に由来する、実施形態27に記載の組成物。
【0138】
実施形態29.ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、実施形態1~24に記載の組成物。
【0139】
実施形態30.レンチウイルスベクターが、ヒト免疫不全ウイルス、サル免疫不全ウイルスまたはネコ免疫不全ウイルスに由来する、実施形態29に記載の組成物。
【0140】
実施形態31.レンチウイルスベクターが、非複製型である、実施形態29または30に記載の組成物。
【0141】
実施形態32.レンチウイルスベクターが、非組込み型である、実施形態29~30のいずれか一実施形態に記載の組成物。
【0142】
実施形態33.実施形態1~32のいずれか一実施形態に記載の組成物と、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【0143】
実施形態34.個体に導入遺伝子を送達する方法であって、エンベロープがあるウイルスベクターを含む組成物を個体に投与するステップを含み、エンベロープがあるウイルスベクターが、エンベロープに囲まれたベクター粒子を含み、エンベロープが、免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子を含み、ウイルス粒子が、導入遺伝子を含むウイルスゲノムを含む、方法。
【0144】
実施形態35.疾患または障害を有する個体を処置する方法であって、エンベロープがあるウイルスベクターを含む組成物を、それを必要とする個体に投与するステップを含み、エンベロープがあるウイルスベクターが、エンベロープに囲まれたベクター粒子を含み、エンベロープが、免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子を含み、ウイルス粒子が、治療導入遺伝子を含むウイルスゲノムを含む、方法。
【0145】
実施形態36.免疫エフェクター機能が、エンベロープがあるベクターの免疫原性を低下させる、実施形態34または35に記載の方法。
【0146】
実施形態37.免疫エフェクター機能が、免疫インヒビターを刺激する、実施形態34~36のいずれか一実施形態に記載の組成物。
【0147】
実施形態38.免疫エフェクター機能が、免疫刺激分子を阻害する、実施形態34~36のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0148】
実施形態39.エンベロープが、免疫インヒビターを刺激する分子および免疫刺激分子を阻害する分子を含む、実施形態34~38のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0149】
実施形態40.免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子が、CTLA4、B7-1、B7-2、PD-1、PD-L1、PD-L2、CD28、VISTA、TIM-3、GAL9、TIGIT、CD155、LAG3、VISTA、BTLAまたはHVEMのうち1種または複数を含む、実施形態34~39のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0150】
実施形態41.エンベロープが、CTLA4およびPD-L1、CTLAおよびPD-L2、CTLA-4およびVISTA、PD-L1およびPD-L2、PD-L1およびVISTA、PD-L2およびVISTA、CTLA4およびPD-L1およびPD-L2、CTLA4およびPD-L1およびVISTA、CTLA4およびPD-L2およびVISTA、PD-L1およびPD-L2およびVISTA、またはCTLA4およびPD-L1およびPD-L1およびVISTAを含む、実施形態34~40のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0151】
実施形態42.免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子が、膜貫通ドメインを含む、実施形態34~41のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0152】
実施形態43.エンベロープが、ベクターを1種または複数の細胞型に向ける標的化分子をさらに含む、実施形態34~42のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0153】
実施形態44.標的化分子が、エンベロープがあるベクターに組織特異性を付与する、実施形態43に記載の方法。
【0154】
実施形態45.標的化分子が、抗体である、実施形態44に記載の方法。
【0155】
実施形態46.抗体が、抗体8D7である、実施形態45に記載の方法。
【0156】
実施形態47.1種または複数の標的化分子が、膜貫通ドメインを含む、実施形態43~46のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0157】
実施形態48.異種導入遺伝子が、ポリペプチドをコードする、実施形態34~47のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0158】
実施形態49.異種導入遺伝子が、治療ポリペプチドまたはレポーターポリペプチドをコードする、実施形態48に記載の方法。
【0159】
実施形態50.治療ポリペプチドが、第VIII因子、第IX因子、第VIII因子、第IX因子、ミオチューブラリン、SMN、RPE65、NADH-ユビキノンオキシドレダクターゼ鎖4、CHM、ハンチンチン、アルファ-ガラクトシダーゼA、酸性ベータ-グルコシダーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノコハク酸シンテターゼ、β-グロビン、γ-グロビン、フェニルアラニンヒドロキシラーゼまたはALDである、実施形態49に記載の方法。
【0160】
実施形態51.異種導入遺伝子が、治療核酸をコードする、実施形態34~47のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0161】
実施形態52.治療核酸が、siRNA、miRNA、shRNA、アンチセンスRNA、RNAザイムまたはDNAザイムである、実施形態51に記載の方法。
【0162】
実施形態53.異種導入遺伝子が、1種または複数の遺伝子編集遺伝子産物をコードする、実施形態52に記載の方法。
【0163】
実施形態54.1種または複数の遺伝子編集遺伝子産物が、CASヌクレアーゼおよび/または1種もしくは複数のガイド配列および/または1種もしくは複数のドナー配列である、実施形態34~53のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0164】
実施形態55.ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターまたはレンチウイルスベクターである、実施形態34~54のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0165】
実施形態56.ウイルスベクターが、アデノ随伴ウイルスベクターである、実施形態34~55のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0166】
実施形態57.AAVベクターが、ヒトAAV血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11またはAAV12由来のカプシドを含む、実施形態56に記載の方法。
【0167】
実施形態58.AAVベクターが、ヒトAAV血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9またはAAV10由来の逆位末端反復(ITR)配列を含むAAVウイルスゲノムを含む、実施形態56または57に記載の方法。
【0168】
実施形態59.AAVカプシドおよびAAV ITRが、同じ血清型または異なる血清型に由来する、実施形態58に記載の方法。
【0169】
実施形態60.ウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、実施形態34~55に記載の方法。
【0170】
実施形態61.レンチウイルスベクターが、ヒト免疫不全ウイルス、サル免疫不全ウイルスまたはネコ免疫不全ウイルスに由来する、実施形態60に記載の方法。
【0171】
実施形態62.レンチウイルスベクターが、非複製型である、実施形態60または61に記載の方法。
【0172】
実施形態63.レンチウイルスベクターが、非組込み型である、実施形態60~52のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0173】
実施形態64.組成物が、エンベロープがあるウイルスベクターと、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物である、実施形態34~63のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0174】
実施形態65.個体が、ヒトである、実施形態34~64のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0175】
実施形態66.疾患または障害が、単一遺伝子疾患である、実施形態35に記載の方法。
【0176】
実施形態67.疾患または障害が、ミオチューブラリンミオパチー、脊髄性筋萎縮症、レーバー先天黒内障、血友病A、血友病B、全脈絡膜萎縮、ハンチントン病、バッテン病、レーバー遺伝性視神経症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、ポンペ病、ファブリー病、シトルリン血症1型、フェニルケトン尿症(PKU)、副腎白質ジストロフィー、鎌状赤血球症またはベータサラセミアである、実施形態35に記載の方法。
【0177】
実施形態68.免疫原性が低下したエンベロープがあるウイルスベクターを産生する方法であって、a)エンベロープがあるウイルス粒子を生成する条件下で、ウイルス産生細胞を培養するステップであって、ウイルス産生細胞が、エンベロープがあるベクターの免疫原性を低下させる、1種または複数の膜結合型免疫エフェクター機能をコードする核酸を含む、ステップと、b)エンベロープがあるウイルスベクターを収集するステップとを含む方法。
【0178】
実施形態69.免疫エフェクター機能が、エンベロープがあるベクターの免疫原性を低下させる、実施形態68に記載の方法。
【0179】
実施形態70.免疫エフェクター機能が、免疫インヒビターを刺激する、実施形態68または69に記載の方法。
【0180】
実施形態71.免疫エフェクター機能が、免疫刺激分子を阻害する、実施形態68または69に記載の方法。
【0181】
実施形態72.ウイルス産生細胞が、免疫インヒビターを刺激する分子および免疫刺激分子を阻害する分子をコードする核酸を含む、実施形態68~71のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0182】
実施形態73.免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子が、CTLA4、B7-1、B7-2、PD-1、PD-L1、PD-L2、CD28、VISTA、TIM-3、GAL9、TIGIT、CD155、LAG3、VISTA、BTLAまたはHVEMのうち1種または複数を含む、実施形態68~72のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0183】
実施形態74.ウイルス産生細胞が、CTLA4およびPD-L1、CTLAおよびPD-L2、CTLA-4およびVISTA、PD-L1およびPD-L2、PD-L1およびVISTA、PD-L2およびVISTA、CTLA4およびPD-L1およびPD-L2、CTLA4およびPD-L1およびVISTA、CTLA4およびPD-L2およびVISTA、PD-L1およびPD-L2およびVISTA、またはCTLA4およびPD-L1およびPD-L1およびVISTAをコードする核酸を含む、実施形態68~73のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0184】
実施形態75.免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子が、膜貫通ドメインを含む、実施形態68~74のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0185】
実施形態76.免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子をコードする核酸が、ウイルス産生細胞に一過性に導入される、実施形態68~75のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0186】
実施形態77.免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子をコードする核酸が、ウイルス産生細胞において安定に維持される、実施形態68~76のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0187】
実施形態78.免疫エフェクター機能をもたらす1種または複数の分子をコードする核酸が、ウイルス産生細胞のゲノムに組み込まれる、実施形態77に記載の方法。
【0188】
実施形態79.ウイルス産生細胞が、ベクターを1種または複数の細胞型に向ける1種または複数の標的化分子をコードする核酸を含む、実施形態68~78のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0189】
実施形態80.標的化分子が、エンベロープがあるベクターに組織特異性を付与する、実施形態79に記載の方法。
【0190】
実施形態81.標的化分子が、抗体である、実施形態80に記載の方法。
【0191】
実施形態82.抗体が、抗体8D7である、実施形態71に記載の方法。
【0192】
実施形態83.1種または複数の標的化分子が、膜貫通ドメインを含む、実施形態79~82のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0193】
実施形態84.1種または複数の標的化分子をコードする核酸が、ウイルス産生細胞に一過性に導入される、実施形態79~83のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0194】
実施形態85.1種または複数の標的化分子をコードする核酸が、ウイルス産生細胞において安定に維持される、実施形態79~84のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0195】
実施形態86.1種または複数の分子標的化分子をコードする核酸が、ウイルス産生細胞のゲノムに組み込まれる、実施形態85に記載の方法。
【0196】
実施形態87.エンベロープがあるウイルスベクターが、エンベロープがあるAAVベクターである、実施形態68~86のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0197】
実施形態88.ウイルス産生細胞が、a)AAV repおよびcap遺伝子をコードする核酸、b)導入遺伝子および少なくとも1個のITRを含むAAVウイルスゲノムをコードする核酸、ならびにc)AAVヘルパー機能を含む、実施形態87に記載の方法。
【0198】
実施形態89.AAV repおよびcap遺伝子、および/またはAAVウイルスゲノムをコードする核酸が、産生細胞系に一過性に導入される、実施形態88に記載の方法。
【0199】
実施形態90.AAV repおよびcap遺伝子、および/またはAAVウイルスゲノムをコードする核酸が、産生細胞系において安定に維持される、実施形態88に記載の方法。
【0200】
実施形態91.AAV repおよびcap遺伝子、および/またはAAVウイルスゲノムをコードする核酸が、産生細胞系のゲノムに安定に組み込まれる、実施形態90に記載の方法。
【0201】
実施形態92.rAAVゲノムが、2個のAAV ITRを含む、実施形態88~91のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0202】
実施形態93.1種または複数のAAVヘルパー機能が、プラスミド、アデノウイルス、細胞ゲノムに安定に組み込まれた核酸、または単純ヘルペスウイルス(herpes simples virus)(HSV)のうち1種または複数によってもたらされる、実施形態88~92のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0203】
実施形態94.AAVヘルパー機能が、アデノウイルスE1A機能、アデノウイルスE1B機能、アデノウイルスE2A機能、アデノウイルスE4機能およびアデノウイルスVA機能のうち1種または複数を含む、実施形態88~93のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0204】
実施形態95.AAVヘルパー機能が、HSV UL5機能、HSV UL8機能、HSV UL52機能およびHSV UL29機能のうち1種または複数を含む、実施形態88~93のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0205】
実施形態96.エンベロープがあるウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、実施形態68~86のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0206】
実施形態97.レンチウイルスベクターが、ヒト免疫不全ウイルス、サル免疫不全ウイルスまたはネコ免疫不全ウイルスである、実施形態96に記載の方法。
【0207】
実施形態98.ウイルス産生細胞が、a)レンチウイルスgag遺伝子をコードする核酸、b)レンチウイルスpol遺伝子をコードする核酸、c)導入遺伝子、5’長鎖末端反復配列(LTR)および3’LTRを含むレンチウイルス移入ベクターをコードする核酸を含み、3’LTRのU3領域の全体または一部が、異種調節エレメントによって置き換えられる、実施形態96または97に記載の方法。
【0208】
実施形態99.エンベロープがあるベクターが、さらに精製される、実施形態68~98のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0209】
実施形態100.実施形態1~33のいずれか一実施形態に記載の組成物を含むキット。
【0210】
実施形態101.使用のための指示をさらに含む、実施形態100に記載のキット。
【0211】
実施形態102.実施形態34~67に記載の方法に従った、それを必要とする個体への核酸の送達における使用のための組成物。
【0212】
実施形態103.実施形態34~67に記載の方法に従った、それを必要とする個体における疾患または障害の処置における使用のための組成物。
【0213】
実施形態104.それを必要とする個体に核酸を送達するための医薬の製造における、実施形態1~33のいずれか一実施形態に記載の組成物の使用。
【0214】
実施形態105.疾患または障害を有する個体を処置するための医薬の製造における、実施形態1~33のいずれか一実施形態に記載の組成物の使用。
【0215】
実施形態106.疾患または障害が、ミオチューブラリンミオパチー、脊髄性筋萎縮症、レーバー先天黒内障、血友病A、血友病B、全脈絡膜萎縮、ハンチントン病、バッテン病、レーバー遺伝性視神経症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、ポンペ病、ファブリー病、シトルリン血症1型、フェニルケトン尿症(PKU)、副腎白質ジストロフィー、鎌状赤血球症またはベータサラセミアである、実施形態105に記載の使用。
【0216】
実施形態107.実施形態1~33のいずれか一実施形態に記載の組成物を含む製造品。
【0217】
実施形態108.エンベロープに囲まれたウイルス粒子を含む、エンベロープがあるウイルスベクターであって、ウイルス粒子が、異種導入遺伝子を含み、エンベロープが、脂質二重層および1種または複数の免疫抑制分子を含む、エンベロープがあるウイルスベクター。
【0218】
実施形態109.エンベロープがあるウイルスが、脂質二重層に免疫抑制分子がない同じ型のベクターと比較して、低下した免疫原性を有する、実施形態108に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0219】
実施形態110.1種または複数の免疫抑制分子が、1種または複数の免疫チェックポイントタンパク質を含む、実施形態108または109に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0220】
実施形態111.1種または複数の免疫抑制分子が、CTLA4、B7-1、B7-2、PD-1、PD-L1、PD-L2、CD28、VISTA、TIM-3、GAL9、TIGIT、CD155、LAG3、VISTA、BTLAまたはHVEMのうち1種または複数を含む、実施形態108~110のいずれか一実施形態に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0221】
実施形態112.エンベロープが、2種もしくはそれよりも多い、3種もしくはそれよりも多い、または4種もしくはそれよりも多い異なる免疫抑制分子を含む;または2種もしくはそれよりも多い、3種もしくはそれよりも多い、または4種もしくはそれよりも多い異なるチェックポイントタンパク質を含む、実施形態108~111のいずれか一実施形態に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0222】
実施形態113.エンベロープが、CTLA4およびPD-L1;CTLAおよびPD-L2;CTLA-4およびVISTA;PD-L1およびPD-L2;PD-L1およびVISTA;PD-L2およびVISTA;CTLA4およびPD-L1およびPD-L2;CTLA4およびPD-L1およびVISTA;CTLA4およびPD-L2およびVISTA;PD-L1およびPD-L2およびVISTA;またはCTLA4およびPD-L1およびPD-L1およびVISTAを含む、実施形態108~112のいずれか一実施形態に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0223】
実施形態114.免疫抑制分子の1種または複数が、膜貫通ドメインを含む、実施形態108~113のいずれか一実施形態に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0224】
実施形態115.エンベロープが、標的化分子をさらに含む、実施形態108~114のいずれか一実施形態に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0225】
実施形態116.標的化分子が、エンベロープがあるベクターに細胞特異性または組織特異性を付与する、実施形態115に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0226】
実施形態117.標的化分子が、抗体である、実施形態116に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0227】
実施形態118.1種または複数の標的化分子が、膜貫通ドメインを含む、実施形態115~117のいずれか一実施形態に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0228】
実施形態119.エンベロープが、1種または複数の免疫抑制分子をコードする1種または複数の外因性核酸を含む細胞由来の細胞膜の部分を含む、実施形態108~118のいずれか一実施形態に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0229】
実施形態120.ウイルス粒子が、ウイルスカプシドおよびウイルスゲノムを含み、ウイルスゲノムが、異種導入遺伝子を含む、実施形態119に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0230】
実施形態121.異種導入遺伝子が、ポリペプチドをコードする、実施形態120に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0231】
実施形態122.異種導入遺伝子が、治療ポリペプチドまたはレポーターポリペプチドをコードする、実施形態121に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0232】
実施形態123.異種導入遺伝子が、第VIII因子、第IX因子、ミオチューブラリン、生存運動ニューロン(survival motor neuron)タンパク質(SMN)、レチノイドイソメロヒドロラーゼ(retinoid isomerohydrolase)(RPE65)、NADH-ユビキノンオキシドレダクターゼ鎖4、全脈絡膜萎縮タンパク質(Choroideremia protein)(CHM)、ハンチンチン、アルファ-ガラクトシダーゼA、酸性ベータ-グルコシダーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、アルギニノコハク酸シンテターゼ、β-グロビン、γ-グロビン、フェニルアラニンヒドロキシラーゼまたは副腎白質ジストロフィータンパク質(ALD)をコードする、実施形態122に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0233】
実施形態124.異種導入遺伝子が、治療核酸をコードする、実施形態120に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0234】
実施形態125.治療核酸が、siRNA、miRNA、shRNA、アンチセンスRNA、RNAザイムまたはDNAザイムである、実施形態124に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0235】
実施形態126.異種導入遺伝子が、1種または複数の遺伝子編集用生成物をコードする、実施形態120に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0236】
実施形態127.1種または複数の遺伝子編集用生成物が、RNAガイドヌクレアーゼ、ガイド核酸および/またはドナー核酸である、実施形態126に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0237】
実施形態128.ウイルス粒子が、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を含む、実施形態108~127のいずれか一実施形態に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0238】
実施形態129.AAVベクターが、ヒトAAV血清型AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11またはAAV12由来のカプシドを含む、実施形態128に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0239】
実施形態130.AAVが、逆位末端反復(ITR)配列を含むAAV ウイルスゲノムを含み、AAVカプシドおよびAAV ITRが、同じAAV血清型または異なるAAV血清型に由来する、実施形態128または129に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0240】
実施形態131.エンベロープがあるウイルスベクターが、ヒト第IX因子をコードする異種導入遺伝子を含むエンベロープがあるAAVであり、エンベロープが、CTLA-4およびPD-L1を含有するように操作されたエキソソームである、実施形態108または128~130のいずれか一実施形態に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0241】
実施形態132.エンベロープが、CTLA-4およびPD-L1を過剰発現するように操作された産生細胞に由来するエキソソームである、実施形態108または128~131のいずれか一実施形態に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0242】
実施形態133.エンベロープがあるウイルスベクターが、ヒト第VIII因子をコードする異種導入遺伝子を含むエンベロープがあるAAVであり、エンベロープが、CTLA-4およびPD-L1を含有するように操作されたエキソソームである、実施形態108または128~130のいずれか一実施形態に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0243】
実施形態134.エンベロープが、CTLA-4およびPD-L1を過剰発現するように操作された産生細胞に由来するエキソソームである、実施形態133に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0244】
実施形態135.ウイルス粒子が、レンチウイルスベクターを含む、実施形態108~127のいずれか一実施形態に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0245】
実施形態136.レンチウイルスベクターが、ヒト免疫不全ウイルス、サル免疫不全ウイルスまたはネコ免疫不全ウイルスである、実施形態135に記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0246】
実施形態137.対象に単回用量として投与されると、対象に投与してから3週間後の導入遺伝子発現レベルを、同じ型のエンベロープがないウイルスベクターを同じ量でかつ同じ条件下で投与することによって生じる導入遺伝子発現と比較して、約50%またはそれよりも多く増加させる、実施形態108~136のいずれかに記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0247】
実施形態138.対象に単回用量として投与してから3週間後の導入遺伝子発現レベルを、免疫抑制分子がない同じ型のエンベロープがあるウイルスベクターを同じ量で同じ条件下で投与することによって生じる導入遺伝子発現と比較して、約20%またはそれよりも多く増加させる、実施形態108~137のいずれかに記載のエンベロープがあるウイルスベクター。
【0248】
実施形態139.実施形態108~138のいずれか一実施形態に記載のエンベロープがあるウイルスベクターと、1種または複数の薬学的に許容される賦形剤とを含む組成物。
【0249】
実施形態140.細胞または対象に導入遺伝子を送達する方法であって、細胞または対象に、実施形態108~138のいずれか一実施形態に記載のエンベロープがあるウイルスベクターまたは実施形態139に記載の組成物を投与するステップを含む方法。
【0250】
実施形態141.対象が、導入遺伝子の送達および発現によって処置することができる疾患または状態を有する、実施形態140に記載の方法。
【0251】
実施形態142.対象における疾患または障害を処置する方法であって、対象に、実施形態108~138のいずれか一実施形態に記載のエンベロープがあるウイルスベクターまたは実施形態139に記載の組成物を投与するステップを含む方法。
【0252】
実施形態143.対象が、ヒトである、実施形態140~142のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0253】
実施形態144.疾患または障害が、単一遺伝子疾患である、実施形態141~143のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0254】
実施形態145.疾患または障害が、ミオチューブラリンミオパチー、脊髄性筋萎縮症、レーバー先天黒内障、血友病A、血友病B、全脈絡膜萎縮、ハンチントン病、バッテン病、レーバー遺伝性視神経症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、ポンペ病、ファブリー病、シトルリン血症1型、フェニルケトン尿症(PKU)、副腎白質ジストロフィー、鎌状赤血球症、ニーマン・ピック病またはベータサラセミアである、実施形態141~143のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0255】
実施形態146.疾患または障害が、血友病Aまたは血友病Bである、実施形態141~143のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0256】
実施形態147.対象が、血友病Bを有し、エンベロープがあるウイルスベクターが、第IX因子をコードする異種導入遺伝子を含むAAVを含み、エンベロープが、CTLA-4およびPD-L1を含有するように操作されたエキソソームである、実施形態141~143のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0257】
実施形態148.対象が、血友病Aを有し、エンベロープがあるウイルスベクターが、ヒト第VIII因子をコードする異種導入遺伝子を含むエンベロープがあるAAVを含み、エンベロープが、CTLA-4およびPD-L1を含有するように操作されたエキソソームである、実施形態141~143のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0258】
実施形態149.エンベロープが、CTLA-4およびPD-L1を過剰発現するように操作された産生細胞に由来するエキソソームである、実施形態147または148に記載の方法。
【0259】
実施形態150.対象に、2またはそれよりも多い用量のエンベロープがあるウイルスベクターを、各用量の間が1日間またはそれよりも長い間隔で投与するステップを含む、実施形態140~149のいずれかに記載の方法。
【0260】
実施形態151.実施形態108~138のいずれかに記載のエンベロープがあるウイルスベクターを産生する方法であって、エンベロープがあるウイルス粒子を生成する条件下で、ウイルス産生細胞をin vitroで培養するステップであって、ウイルス産生細胞が、1種または複数の膜結合型免疫抑制分子をコードする核酸を含む、ステップと、エンベロープがあるウイルスベクターを収集するステップとを含む方法。
【0261】
実施形態152.ウイルス産生細胞が、膜結合型免疫抑制分子をコードする外因性核酸を含む、実施形態151に記載の方法。
【0262】
実施形態153.ウイルス産生細胞が、膜結合型免疫抑制分子をコードする異種核酸を含む、実施形態151または152に記載の方法。
【0263】
実施形態154.膜結合型免疫抑制分子が、CTLA4、B7-1、B7-2、PD-1、PD-L1、PD-L2、CD28、VISTA、TIM-3、GAL9、TIGIT、CD155、LAG3、VISTA、BTLAまたはHVEMのうち1種または複数を含む、実施形態151~153のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0264】
実施形態155.膜結合型免疫抑制分子が、CTLA4およびPD-L1、CTLAおよびPD-L2、CTLA-4およびVISTA、PD-L1およびPD-L2、PD-L1およびVISTA、PD-L2およびVISTA、CTLA4およびPD-L1およびPD-L2、CTLA4およびPD-L1およびVISTA、CTLA4およびPD-L2およびVISTA、PD-L1およびPD-L2およびVISTA、またはCTLA4およびPD-L1およびPD-L1およびVISTAを含む、実施形態151~153のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0265】
実施形態156.ウイルス産生細胞が、CTLA-4およびPD-L1をコードする異種核酸を含む、実施形態151~155のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0266】
実施形態157.1種または複数の膜結合型免疫抑制分子をコードする核酸が、ウイルス産生細胞に一過性に導入される、実施形態151~156のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0267】
実施形態158.1種または複数の膜結合型免疫抑制分子をコードする核酸が、ウイルス産生細胞において安定に維持される、実施形態151~156のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0268】
実施形態159.1種または複数の膜結合型免疫抑制分子をコードする核酸が、ウイルス産生細胞のゲノムに組み込まれる、実施形態158に記載の方法。
【0269】
実施形態160.ウイルス産生細胞が、1種または複数の標的化分子をコードする核酸を含む、実施形態151~159のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0270】
実施形態161.エンベロープがあるウイルスベクターが、エンベロープがあるAAVベクターである、実施形態151~160のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0271】
実施形態162.ウイルス産生細胞が、AAV repおよびcap遺伝子をコードする核酸、導入遺伝子および少なくとも1個のITRを含むAAVウイルスゲノムをコードする核酸、ならびにAAVヘルパー機能を含む、実施形態161に記載の方法。
【0272】
実施形態163.AAV repおよびcap遺伝子、および/またはAAVウイルスゲノムをコードする核酸が、産生細胞系に一過性に導入される、実施形態162に記載の方法。
【0273】
実施形態164.AAV repおよびcap遺伝子、および/またはAAVウイルスゲノムをコードする核酸が、産生細胞系において安定に維持される、実施形態162に記載の方法。
【0274】
実施形態165.AAV repおよびcap遺伝子、および/またはAAVウイルスゲノムをコードする核酸が、産生細胞系のゲノムに安定に組み込まれる、実施形態164に記載の方法。
【0275】
実施形態166.1種または複数のAAVヘルパー機能が、プラスミド、アデノウイルス、細胞ゲノムに安定に組み込まれた核酸、または単純ヘルペスウイルス(HSV)のうち1種または複数によってもたらされる、実施形態151~165のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0276】
実施形態167.AAVヘルパー機能が、アデノウイルスE1A機能、アデノウイルスE1B機能、アデノウイルスE2A機能、アデノウイルスE4機能およびアデノウイルスVA機能のうち1種または複数を含む、実施形態151~166のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0277】
実施形態168.AAVヘルパー機能が、HSV UL5機能、HSV UL8機能、HSV UL52機能およびHSV UL29機能のうち1種または複数を含む、実施形態151~166のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0278】
実施形態169.エンベロープがあるウイルスベクターが、レンチウイルスベクターである、実施形態151~160のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0279】
実施形態170.レンチウイルスベクターが、ヒト免疫不全ウイルス、サル免疫不全ウイルスまたはネコ免疫不全ウイルスである、実施形態169に記載の方法。
【0280】
実施形態171.ウイルス産生細胞が、レンチウイルスgag遺伝子をコードする核酸、レンチウイルスpol遺伝子をコードする核酸、導入遺伝子、5’長鎖末端反復配列(LTR)および3’LTRを含むレンチウイルス移入ベクターをコードする核酸を含み、3’LTRのU3領域の全体または一部が、異種調節エレメント、プライマー結合部位、GAG遺伝子の全体または一部、セントラルポリプリントラクト、GAG配列における合成停止コドン、rev応答性エレメント、およびenvスプライスアクセプターによって置き換えられる、実施形態169または170に記載の方法。
【0281】
実施形態172.エンベロープがあるベクターが、さらに精製される、実施形態151~171のいずれか一実施形態に記載の方法。
【0282】
実施形態173.実施形態108~138のいずれか一実施形態に記載のエンベロープがあるウイルスベクターまたは実施形態139に記載の組成物を含むキット。
【0283】
実施形態174.使用のための指示をさらに含む、実施形態173に記載のキット。
【0284】
実施形態175.対象への核酸の送達における使用のための、実施形態108~138のいずれかに記載のエンベロープがあるウイルスベクターまたは実施形態139に記載の組成物。
【0285】
実施形態176.対象における疾患または障害の処置における使用のための、実施形態108~138のいずれかに記載のエンベロープがあるウイルスベクターまたは実施形態139に記載の組成物。
【0286】
実施形態177.実施形態140~43のいずれかに記載の方法に従った、対象への核酸の送達における使用のための、実施形態175または176に記載のエンベロープがあるウイルスベクターまたは組成物。
【0287】
実施形態178.それを必要とする個体に核酸を送達するための医薬の製造における、実施形態108~138のいずれか一実施形態に記載のエンベロープがあるウイルスベクターまたは実施形態139に記載の組成物の使用。
【0288】
実施形態179.疾患または障害を有する個体を処置するための医薬の製造における、実施形態108~138のいずれか一実施形態に記載のエンベロープがあるウイルスベクターまたは実施形態139に記載の組成物の使用。
【0289】
実施形態180.疾患または障害が、ミオチューブラリンミオパチー、脊髄性筋萎縮症、レーバー先天黒内障、血友病A、血友病B、全脈絡膜萎縮、ハンチントン病、バッテン病、レーバー遺伝性視神経症、オルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠乏症、ポンペ病、ファブリー病、シトルリン血症1型、フェニルケトン尿症(PKU)、副腎白質ジストロフィー、鎌状赤血球症、ニーマン・ピック病またはベータサラセミアである、実施形態179に記載の使用。
【0290】
実施形態181.疾患または障害が、血友病Aまたは血友病Bである、実施形態180に記載の使用。
【0291】
実施形態182.実施形態108~138のいずれか一実施形態に記載のエンベロープがあるウイルスベクターまたは実施形態139に記載の組成物を含む製造品。
【実施例】
【0292】
(実施例1)
抗AAV免疫応答の低下の決定
細胞において一連の実験を行って、本発明を実証する。AAV陽性個体から精製されたPBMCを使用した混合リンパ球反応(MLR)は、エフェクターベクターが、血清型がマッチしたエンベロープがないベクターと比較して、どの程度カプシド特異的免疫応答を低下することができるか決定するためのものである。同様に、MLRが使用されて、エフェクターベクターが、エンベロープがないベクターと比較して、治療タンパク質に対するT細胞応答を阻害することができるか検査する。この第2のMLRは、次の通りに行う:抗原提示細胞は先ず、治療タンパク質とインキュベートし、次いで、エフェクターベクターまたは血清型がマッチしたエンベロープがないベクターの存在下で、PBMC(TおよびB細胞を含有)を添加する。T細胞活性化は、CD3+、CD4+、CD8+、CD25+(IL2R)およびFoxP3+を含む総T細胞を計数するためのFACS解析を使用して測定される。中和抗体アッセイは、抗AAVカプシド抗体に関して陽性を検査した個体由来の血清を使用して行われる。アッセイは、Meliani et al. (2015) Hum Gene Ther Methods, 26:45-53に記載されている通りに行われる。
(実施例2)
ベクター産生
【0293】
ベクターを発現するようにAAV産生プラスミドをトランスフェクトした産生細胞を使用して、AAVを産生した。エンベロープがあるAAVは、細胞膜(エンベロープ)の部分と共に、培養培地中に脱落しれ、エンベロープを除去しない方法により、これを培養培地から収集した。産生細胞を溶解して、エンベロープがないウイルス粒子を収集することにより、エンベロープがないAAVを得た。
【0294】
さらに詳細には、Simonelli et al. (2010) Molecular Therapy, 18(3): 643-650に記載されている通り、HEK293T細胞において、標準(エンベロープがない)AAV(結果および図において「標準」または「std」ベクターと称される)およびエンベロープがあるAAVベクター(結果および図において「exo」ベクターと称される)を産生した。同じAAV産生プラスミドを両方のベクター型のためのものであった。ベクターゲノムプラスミド(pAAV.MCS.cb.Hu FIX)は、Nathwani et al. (2011) N Engl J Med, 365: 2357-65に記載されているヒト第IX因子遺伝子を含有した。パッケージングおよびヘルパープラスミドは、以前に使用された(同上)プラスミドであった。Melaini et al. (2017) Blood Advances, 1(23): 2019-31に記載されているPEIを使用して、産生プラスミドを293T細胞にトランスフェクトし、Nathwani et al. (2011) N Engl J Med, 365: 2357-65に記載されている通りに精製した。293T産生細胞の24×150mm組織培養ディッシュから、これらの調製物(prep)を生成した。
【0295】
産生細胞培養物を遠心分離し、上清から産生細胞を分離した。2ステップ超遠心分離を使用して、上清からエンベロープがあるAAVを単離および精製し、PBSに再懸濁し、約100nmの平均粒径を有するエンベロープがあるAAV粒子の集団をもたらした。細胞溶解緩衝液に細胞を溶解し、続いて標準イオジキサノール勾配プロトコール(Melaini et al. (2017) Blood Advances, 1(23): 2019-31)を使用して精製することにより、産生細胞から標準(エンベロープがない)AAVを採取した。プロトコールおよびベクター収量の追加的な詳細を表1に示す。
【表1】
【0296】
プロデューサーHEK293T細胞を、AAV産生プラスミドのほかにpCMV.mCTLA-4およびpCMV.mPDL-1発現ベクターでコトランスフェクトしたことを除いて、エンベロープがあるAAVに使用される方法と同じ方法を使用して、CTLA-4およびPD-L1を含むエンベロープを有するエンベロープがあるベクター(結果および図において、「イベイダー」もしくは「エフェクター」ベクターとして、または命名「EF」と称される)を2バッチで産生した。pCMV.mCTLA-4は、CMVプロモーターによって駆動されるマウスCTLA-4 cDNA配列を含有する(Sino Biologicalカタログ#MG50503-UT)。pCMV.mPDL-1は、CMVプロモーターによって駆動されるマウスPDL-1 cDNA配列を含有する(Sino Biologicalカタログ#MG50010-M)。24×150mm組織培養ディッシュの総計2個の調製物を調製した。プロトコールおよびベクター収量の追加的な詳細を表1に示す。
【0297】
精製されたベクターが、エンベロープを有するか確認するために、抗CD9抗体を使用してウエスタンブロットを行った。CD9は、産生された細胞に由来するエンベロープの存在を示すためのマーカーとして使用される。エンベロープがあるAAVおよびイベイダーベクターの両方が、約25KDaの予測されるサイズのCD9を含有した。予想される通り、標準(エンベロープがない)AAV8-FIXは、CD9の非存在によって証明される通り、エンベロープ構成成分を含有しなかった。
【0298】
蛍光標識抗体:抗マウスCTLA-4(抗CTLA-4 PECy7、Abcamカタログ番号ab134090)および抗マウスPDL-1(抗PDL-1-PE-A、Abcamカタログ番号ab213480)を使用したビーズに基づくFACS解析を使用して、イベイダーおよびエンベロープがあるAAVにおけるマウスCTLA-4およびPDL-1のレベルを定量した。FACS解析は、イベイダーベクターが、
図3に示す通り、表面に高レベルのCTLA-4およびPDL-1の両方(それぞれ83.6%および75.3%)を有することを明らかにし、各図における右へのイベイダーヒストグラムシフトは、粒子の大部分が、エンベロープがあるAAVと比較して、それぞれCTLA-4およびPD-L1が陽性であることを示す。
(実施例3)
マウスにおけるin vivo遺伝子移入
【0299】
次の実施例は、C57Bl/6マウスにおけるin vivoでの遺伝子移入のための、実施例2において産生されるベクターの使用を説明する。
【0300】
C57Bl/6マウス(7匹の雄および7匹の雌)に、1×109個のベクターゲノムを静脈内注射した。投与群は、1)PBSのみ(媒体対照)、2)AAV8-hFIX、3)Exo-AAV8-hFIXおよび4)EV-AAV8-hFIXを含んだ。
【0301】
投与後3週目に、マウスを出血させ、(a)ヒトFIXレベル(VisuLize(商標)第IX因子(FIX)抗原キット、Affinity Biologicals)、(b)抗AAV8 IgGを使用したELISAによるAAV8結合抗体(BAb)、および(c)中和抗体アッセイ(Meliani et al. (2015) Hum Gene Ther Methods, 26:45-53)を使用したAAV8中和抗体(NAb)に関して解析した。in-vitro中和アッセイを使用して、検査AAVベクターが標的細胞に感染するのを防止する抗体の力価を測定する。簡潔に説明すると、アッセイは、最適化された感染多重度(MOI)の、ルシフェラーゼ等のレポーター遺伝子を含有する検査ベクターを、検査抗体の系列希釈物と共にインキュベートし、次いで、ベクターを許容標的細胞に感染させるステップを伴う。24時間後に感染細胞由来の蛍光の量を測定し、中和抗体の力価を示す。試料の中和力価は、ルシフェラーゼ発現の50%またはそれを超える阻害が測定される最初の希釈度として決定される。
【0302】
また、投与後3週目に、各群から2匹の雄および2匹の雌マウスを屠殺し、qPCRにより細胞当たりのベクターゲノムコピー数(VGCN)に関して動物の肝臓を解析した。製造業者の指示に従ってMagna Pure 96 DNAおよびウイルスNA小体積キット(Roche Diagnostics、Indianapolis IN)を使用して、臓器全体から組織DNAを抽出した。ABI PRISM 7900 HT配列検出器(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)によるTaqManリアルタイムPCRによって、ベクターゲノムコピー数を定量した。正規化群(normalizer)としてマウスタイチン遺伝子を使用した。定量に使用したプライマーおよびプローブを次に示す:
【化1】
【0303】
次に、残っている動物(投与3週間後)に、1×1010vgの、用量群毎に最初に投与した同じAAVベクターを投与した。6週目に、マウスを再度出血させ、同じプロトコールによって、ヒトFIXレベル、AAV8結合抗体(BAb)およびAAV8中和抗体(NAb)に関して解析した。次に、残っている全動物を屠殺し、先のプロトコールを使用して、qPCRにより細胞当たりのベクターゲノムに関して動物の肝臓を解析した。
【0304】
対照動物と比較した第IX因子(FIX)の血中レベルの増加は、遺伝子移入および発現成功を示し、対照動物は、ベクターではなくPBSを受けた。
図4に示す通り、FIXの血中レベルは、EV-AAV8-hFIXで処置したマウスにおいて、標準のエンベロープがあるウイルスまたはエンベロープがないウイルスで処置したマウスよりも有意に高かった。これは、3週間および6週間時点の両方で観察された。雄および雌マウスにおける第IX因子レベルの間の差は、雄マウスが従来より、肝臓において、雌マウスよりも高い効率でAAVベクターをトランスフェクトされるという、十分に確立された動物モデルアーチファクトによる。形質導入効率におけるこの性別に基づく差は、マウスモデルのアーチファクトであり、ヒトでは生じない。この目的のため、雄マウスのみのデータを考慮する。PBSを受けた対照マウス由来の3および6週目の間の第IX因子レベルにおける変動は、検出限界に近いアッセイの日毎の変動性によるものであった。PBSおよび標準AAVの両方を受けた群におけるマウスは、約0.1μg/mLである、3週目に匹敵する第IX因子レベルを示した。3週目に、EV-AAV8-hFIX処置マウスにおけるレベルは、標準のエンベロープがないAAVで処置したマウスよりも約22倍高く、エンベロープに免疫抑制分子がないエンベロープがあるAAVよりも約5.6倍高かった。同様に、6週目に、EV-AAV8-hFIX処置マウスにおけるFIXレベルは、標準のエンベロープがないAAVで処置したマウスよりも約20倍高く、エンベロープに免疫抑制分子がないエンベロープがあるAAVよりも約5倍高かった。これらの結果は、エンベロープに免疫抑制分子を含むイベイダーベクターが、標準AAVまたは標準エンベロープがあるAAVと比較して、in vivoで有意に増強された第IX因子遺伝子発現をもたらしたことを実証する。
【0305】
図7~
図9は、屠殺した動物の肝臓における細胞当たりのウイルスゲノムの数を示す。この場合もまた、EV-AAV8-hFIX処置マウスは、6週間時点における他の処置群と比較して、肝臓におけるより多い数のウイルスゲノムを示し、標準AAVと比較して、形質導入におけるより大きい効率を示す。
【0306】
図5および
図6は、処置マウスの血液における総AAV結合抗体および中和AAV抗体のレベルを示す。EV-AAV8-hFIXで処置したマウスが、他のベクターで処置したマウスよりも高い抗体レベルを有したことが観察された。エンドトキシンは、抗体産生および炎症の両方の強力な刺激因子であり、抗体産生レベルの観察される増加を引き起こし得るため、エンドトキシンレベルに関してベクターを解析した(TOXINSENSOR(商標)発色LALエンドトキシンアッセイキット、Genscript)。結果を表2に表記する。表2における結果から、標準AAV8-FIXマウスが受けた用量に対するエンドトキシンの量を正規化することにより、マウスに投与したエンドトキシンの量を計算した。用量1および2のために投与した相対エンドトキシンレベルは同様であったため、第1の用量のための相対量のみを
図4に示す。EV-AAV8-hFIXベクターで処置したマウスは、標準AAV8-hFIXベクターと比較して、動物当たり用量当たり約300倍高いエンドトキシンレベルを受け、exo-AAV8-hFIXで処置したマウスは、標準AAV8-FIXで処置したマウスと比較して、動物当たり用量当たり約50倍高いエンドトキシンレベルを受けたことが計算された。よって、EV-AAV8-hFIX処置マウスにおけるより高い抗体価が、本実験におけるエンドトキシンレベル増加が原因である可能性がある。
【表2】
【0307】
EV-AAV8-hFIX処置マウスにおけるBAbおよびNAbレベルの増加にもかかわらず、EV-AAV8-hFIXベクターは、他の全処置群と比較して、hFIX導入遺伝子を送達し、FIX発現を有意に増加させることができた。これは、EV-AAV8-hFIXベクターのエンベロープにおける免疫抑制分子の存在が、導入遺伝子発現に有意なプラスの効果を有することを示唆する。
【0308】
本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書で他に指示がなければ、範囲内に収まる別々の値のそれぞれを個々に参照する簡便な方法となることが単に意図され、別々の値のぞれぞれは、あたかも本明細書に個々に列挙されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されているあらゆる方法は、本明細書で他に指示がなければまたは文脈によって明らかに相反しなければ、いずれか適した順序で行うことができる。本明細書に提供されるありとあらゆる例または例示的な言葉遣い(例えば、「等」)の使用は、開示される主題の理解をより容易にすることが単に意図され、他に主張がなければ、本開示の範囲に限定を課すものではない。本明細書における言葉遣いは、いずれか請求されていないエレメントを、本明細書に開示されている主題の実施に必須のものとして示すと解釈するべきではない。
【0309】
作業の最良の形態を含む実施形態が本明細書に記載されている。このような実施形態の変形形態は、当業者であれば、前述の記載を読むことにより明らかとなることができ、斯かる変形形態は、出願人によって企図される。したがって、開示は、適用法令によって許容される、本明細書に添付されている特許請求の範囲に列挙されている主題のあらゆる改変形態および均等物を含む。さらに、そのあらゆる可能な変形形態における上述のエレメントのいずれかの組合せが、本明細書で他に指示がなければまたは文脈によって明らかに相反しなければ、本開示によって包含される。
配列
ヒトF8(UniProtKB-Q2VF45)、B-ドメイン欠失(BDD)のSQ-FVIIIバリアント
【化2-1】
【化2-2】
ヒト第IX因子UniProtKB-P00740
【化3-1】
【化3-2】
ヒトCTLA-4:NCBI参照配列:NP_005205.2
【化4】
ヒトPDL-1:NCBI参照配列:NP_054862.1
【化5】
【配列表】