(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】気体フィルタ装置
(51)【国際特許分類】
B01D 46/24 20060101AFI20231220BHJP
B01D 45/12 20060101ALI20231220BHJP
B01D 50/00 20220101ALI20231220BHJP
【FI】
B01D46/24 A
B01D45/12
B01D50/00 501B
B01D50/00 501H
(21)【出願番号】P 2021186874
(22)【出願日】2021-11-17
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000154521
【氏名又は名称】株式会社フクハラ
(74)【代理人】
【識別番号】100180415
【氏名又は名称】荒井 滋人
(74)【代理人】
【識別番号】100097205
【氏名又は名称】樋口 正樹
(72)【発明者】
【氏名】福井 弘幸
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-182075(JP,A)
【文献】特開平05-024062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 45/00-45/18
B01D 46/00-46/90
B04C 1/00-11/00
B01D 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体の流入口からつながる気体取込み室と、気体の流出口につながる気体送出し室と、前記気体取込み室及び前記気体送出し室の下方に位置するケース本体室とが形成された外ケースと、
上端部及び下端部のそれぞれに開口が形成された内ケースであって、当該内ケースの外周面と前記外ケースにおける前記ケース本体室の内周面との間に所定の隙間が形成され、前記上端部の開口を通して前記外ケースにおける前記気体送出し室に連通するとともに、前記下端部の下方に空間が形成されるように、前記外ケースの前記ケース本体室内に設けられた当該内ケースと、
前記外ケース内に設けられ、前記気体取込み室からの気体を前記ケース本体室の内周面に沿って回転するように当該ケース本体室の内周面と前記内ケースの外周面との間の隙間に導く気体回転導入器と、
前記内ケース内に設けられ、前記下端部の開口を通して当該内ケース内に流入して前記上端部の開口から前記気体送出し室に抜ける気体から異物を除去するフィルタエレメントと、を有
し、
前記気体回転導入器は、
前記外ケースにおける前記ケース本体室の内周面に接合する外リングと、
前記外リングの内側に同心的に配置された内リングと、
前記外リングと前記内リングとの間のリング状スペースに配置され、その周方向に延びるとともに、下方に向けて傾斜する複数のガイド羽根と、を有するリング状ガイド部材を含み、
前記リング状ガイド部材は、前記複数のガイド羽根が、前記気体取込み室から前記ケース本体室の内周面と前記内ケースの外周面との間の隙間に続く気体の流路に位置するように、前記外ケース内に設けられた、気体フィルタ装置。
【請求項2】
前記内ケースは、前記上端部の開口が前記リング状ガイド部材の前記内リングの内通孔と連結されるように、前記リング状ガイド部材に結合し、前記上端部の開口及び前記内リングの内通孔を通して前記外ケースにおける前記気体送出し室に連通する、請求項
1記載の気体フィルタ装置。
【請求項3】
前記気体回転導入器は、
前記リング状ガイド部材が同心的に複数重ねられた構成となる、請求項
1または
2記載の気体フィルタ装置。
【請求項4】
前記外ケースにおける前記ケース本体室の内周面及び前記内ケースの外周面のそれぞれは円筒形状である、請求項1乃至
3のいずれかに記載の気体フィルタ装置。
【請求項5】
前記フィルタエレメントは、
所定厚の筒状に形成されたフィルタ部材と、
上端部が閉鎖されるとともに下端部に開口が形成され、筒状の前記フィルタ部材を同心的に保持するフィルタ保持器と、を有し、
前記フィルタ保持器は、当該フィルタ保持器の前記下端部の開口が前記内ケースの前記下端部の開口に連結され、前記内ケースの前記下端部の開口から流入する気体が筒状の前記フィルタ部材の下端から流入して、当該フィルタ部材の内側から外側に通過する気体が前記内ケースの前記上端部の開口から前記気体送出し室に抜けるように、前記内ケースに設けられた、請求項1乃至
4のいずれかに記載の気体フィルタ装置。
【請求項6】
前記内ケースの前記下端部の開口と、前記フィルタ保持器の前記下端部の開口とを貫通する連結筒体を有する、請求項
5記載の気体フィルタ装置。
【請求項7】
前記フィルタエレメントは、
所定厚の筒状に形成されたフィルタ部材と、
下端部が閉鎖されるとともに上端部に開口が形成され、筒状の前記フィルタ部材を同心的に保持するフィルタ保持器と、を有し、
前記フィルタ保持器は、当該フィルタ保持器の前記上端部の開口が前記内ケースの前記上端部の開口に連結され、前記内ケースの前記下端部の開口から流入する気体が筒状の前記フィルタ部材の外側から内側に流入して、その気体が当該フィルタ保持器の前記上端部の開口及び前記内ケースの前記上端部の開口を通って前記気体送出し室に抜けるように、前記内ケース内に設けられた、請求項1乃至
4のいずれかに記載の気体フィルタ装置。
【請求項8】
前記内ケースの前記上端部の開口と、前記フィルタ保持行の前記上端部の開口とを貫通する連結筒体を有する、請求項
7記載の気体フィルタ装置。
【請求項9】
前記外ケースは、前記流入口、前記気体取込み室、前記流出口及び前記気体送出し室が形成された第1ケース部と、
前記第1ケースと分離可能に結合され、前記ケース本体室が形成された第2ケース部と、を有する請求項1乃至
8のいずれかに記載の気体フィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体フィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアガンやエアシリンダ等の空圧機器が接続される圧縮空気回路には、その回路中を流れる圧縮空気(気体)から塵埃等の異物を除去するエアフィルタ(気体フィルタ装置)が設けられる(例えば、特許文献1)。このようなエアフィルタが設けられた圧縮空気回路では、異物の除去された清浄な圧縮空気を空圧機器に供給することができ、長期にわたって空圧機器を正常に動作させることができる。
【0003】
圧縮空気回路に設けられるこの種のエアフィルタ(気体フィルタ装置)は、圧縮空気の流入口及び流出口が形成されたケース内に塵埃等の異物を除去するフィルタ部材が収容された構造となっている。そして、流入口からケース内に流入する圧縮空気がフィルタ部材を通って流出口から流出することで、その圧縮空気に混入している塵埃等の異物がフィルタ部材によって除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、圧縮空気回路を流れる圧縮空気には油や水等の液分が含まれている。このため、前述したエアフィルタにおいては、液分がフィルタ部材に蓄積され、圧縮空気がケース内のフィルタ部材を通過する際の抵抗が大きくなって、流出口から流出する圧縮空気の圧力が流入口に流入する圧縮空気の圧力より低下する。このような流入口と流出口とにおいて圧縮空気の差圧が生じることにより、当該エアフィルタにおける圧縮空気の通過効率が低下してしまう。
【0006】
このようなエアフィルタにおける圧縮空気の通過効率の低下を防止するため、圧縮空気回路においては、通常、エアフィルタの圧縮空気の流れの上流側に液分を分離除去するための気水分離器が設けられることになる。このように、圧縮空気回路においてエアフィルタに対して気水分離器を必ず別途設けなければならないことは、当該圧縮空気回路の構成の自由度を低下させてしまう。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、気水分離器を別途設けることなく、液分の分離除去とともに塵埃等の異物を除去することのできる気体フィルタ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る気体フィルタ装置は、気体の流入口からつながる気体取込み室と、気体の流出口につながる気体送出し室と、前記気体取込み室及び前記気体送出し室の下方に位置するケース本体室とが形成された外ケースと、上端部及び下端部のそれぞれに開口が形成された内ケースであって、当該内ケースの外周面と前記外ケースにおける前記ケース本体室の内周面との間に所定の隙間が形成され、前記上端部の開口を通して前記外ケースにおける前記気体送出し室に連通するとともに、前記下端部の下方に空間が形成されるように、前記外ケースの前記ケース本体室内に設けられた当該内ケースと、前記外ケース内に設けられ、前記気体取込み室からの気体を前記ケース本体室の内周面に沿って回転するように当該ケース本体室の内周面と前記内ケースの外周面との間の隙間に導く気体回転導入器と、前記内ケース内に設けられ、前記下端部の開口を通して当該内ケース内に流入して前記上端部の開口から前記気体送出し室に抜ける気体から異物を除去するフィルタエレメントと、を有し、前記気体回転導入器は、前記外ケースにおける前記ケース本体室の内周面に接合する外リングと、前記外リングの内側に同心的に配置された内リングと、前記外リングと前記内リングとの間のリング状スペースに配置され、その周方向に延びるとともに、下方に向けて傾斜する複数のガイド羽根と、を有するリング状ガイド部材を含み、前記リング状ガイド部材は、前記複数のガイド羽根が、前記気体取込み室から前記ケース本体室の内周面と前記内ケースの外周面との間の隙間に続く気体の流路に位置するように、前記外ケース内に設けられた、構成となる。
【0009】
このような構成によれば、流入口から外ケース内に導入される気体(例えば、圧縮空気) は、気体取込み室を通り、気体回転導入器によってケース本体室の内周面に沿って回転するように当該ケース本体室の内周面と内ケースの外周面との間の隙間に導かれる。そして、外ケースにおけるケース本体室の内周面と内ケースの外周面との間の隙間に導かれた気体は、回転しながらその隙間をケース本体室の下方に向って流れる。このようにケース本体室の内周面と内ケースの外周面との間の隙間を回転しながら下方に向って流れる気体に含まれる液分はその回転により気体から分離される。そして、この液分が分離除去された気体は、内ケースの下端部の開口を通して当該内ケース内に流入し、内ケースにおける上端部の開口から気体送出し室に抜ける際にフィルタエレメントを通過して、その気体から異物が除去される。液分が分離除去されるとともに異物が除去されて気体送出し室に流入した気体は流出口を通って外ケースから流出する。流入口から外ケースに流入する気体は、気体取込み室からケース本体室に抜ける際に、前記気体回転導入器において、リング状ガイド部材における外リングと内リングとの間のリング状スペースに配置されてその周方向に延びるとともに下方に向けて傾斜する複数のガイド羽根を通過する。それら複数のガイド羽根により気体はケース本体室の内周面に沿って回転するようにそのケース本体室の内周面と内ケースの外周面との間の隙間に導かれる。
【0012】
本発明に係る気体フィルタ装置において、前記内ケースは、前記上端部の開口が前記リング状ガイド部材の前記内リングの内通孔と連結されるように、前記リング状ガイド部材に結合し、前記上端部の開口及び前記内リングの内通孔を通して前記外ケースにおける前記気体送出し室に連通する、構成とすることができる。
【0013】
このような構成により、内ケースの下端部の開口を通して当該内ケースに流入した気体は、フィルタエレメントを通過して、上端部の開口からリング状ガイド部材の内リングの内通孔を通して気体送出し室に至り、流出口から流出する。
【0014】
本発明に係る気体フィルタ装置において、前記気体回転導入器は、前記リング状ガイド部材が同心的に複数重ねられた構成とすることができる。
【0015】
このような構成により、流入口から外ケースに流入する気体は、気体取込み室からケース本体室に抜ける際に、同心的に重ねられた複数のリング状ガイド部材のそれぞれにより回転作用を受けて、ケース本体室の内周面に沿って回転するようにそのケース本体室の内周面と内ケースの外周面との間の隙間に導かれる。
【0016】
本発明に係る気体フィルタ装置において、前記外ケースにおける前記ケース本体室の内周面及び前記内ケースの外周面のそれぞれは円筒形状である、構成とすることができる。
【0017】
このような構成により、流入口から外ケース内に導入される気体(例えば、圧縮空気)は、気体取込み室を通り、気体回転導入器によってケース本体室の円筒形状の内周面に沿ってよりスムーズに回転するように当該ケース本体室のその内周面と内ケースの円筒形状の外周面との間の隙間に導かれる。
【0022】
本発明に係る気体フィルタ装置において、前記フィルタエレメントは、所定厚の筒状に形成されたフィルタ部材と、上端部が閉鎖されるとともに下端部に開口が形成され、筒状の前記フィルタ部材を同心的に保持するフィルタ保持器と、を有し、前記フィルタ保持器は、当該フィルタ保持器の前記下端部の開口が前記内ケースの前記下端部の開口に連結され、前記内ケースの前記下端部の開口から流入する気体が筒状の前記フィルタ部材の下端から流入して、当該フィルタ部材の内側から外側に通過する気体が前記内ケースの前記上端部の開口から前記気体送出し室に抜けるように、前記内ケースに設けられた、構成とすることができる。
【0023】
このような構成により、液分が分離除去されて内ケースの下端部の開口を通して当該内ケースに流入する気体は、フィルタ保持器の下端部の開口を通して当該フィルタ保持器に同心的に保持された筒状のフィルタ部材の内側にその下端から流入する。フィルタ部材の内側に流入した気体は、当該フィルタ部材の内側から外側に通過して異物が除去される。そして、その異物が除去された気体は、内ケースの上端部の開口から気体送出し室に流入し、流出口から流出する。
【0024】
本発明に係る気体フィルタ装置において、前記内ケースの前記下端部の開口と、前記フィルタ保持器の前記下端部の開口とを貫通する連結筒体を有する、構成とすることができる。
【0025】
このような構成により、液分が分離除去された気体が、内ケースの下端部の開口及びフィルタ保持器の下端部の開口を貫通する連結筒体と通して当該フィルタ保持器に同心的に保持された筒状のフィルタ部材の内側にその下端から確実に流入する。
【0026】
本発明に係る気体フィルタ装置において、前記フィルタエレメントは、所定厚の筒状に形成されたフィルタ部材と、下端部が閉鎖されるとともに上端部に開口が形成され、筒状の前記フィルタ部材を同心的に保持するフィルタ保持器と、を有し、前記フィルタ保持器は、当該フィルタ保持器の前記上端部の開口が前記内ケースの前記上端部の開口に連結され、前記内ケースの前記下端部の開口から流入する気体が筒状の前記フィルタ部材の外側から内側に流入して、その気体が当該フィルタ保持器の前記上端部の開口及び前記内ケースの前記上端部の開口を通って前記気体送出し室に抜けるように、前記内ケース内に設けられた、構成とすることができる。
【0027】
このような構成により、液分が分離除去されて内ケースの下端部の開口を通して当該内ケースに流入する気体は、フィルタ保持器に同心的に保持された筒状のフィルタ部材の外側から内側に流入し、そのフィルタ部材を外側から内側に通過する気体から異物が除去される。そして、異物が除去された気体は、フィルタ部材の内側からフィルタ保持器の上端部の開口、更に、内ケースの上端部の開口を通って気体送出し室に流入し、流出口から流出する。
【0028】
本発明に係る気体フィルタ装置において、前記内ケースの前記上端部の開口と、前記フィルタ保持行の前記上端部の開口とを貫通する連結筒体を有する、構成とすることができる。
【0029】
このような構成により、異物が除去された気体が、フィルタ部材の内側を通って、フィルタ保持器の上端部の開口及び内ケースの上端部の開口を貫通する連結筒体を通して気体送出し室に確実に流入する。
【0030】
本発明に係る気体フィルタ装置において、前記外ケースは、前記流入口、前記気体取込み室、前記流出口及び前記気体送出し室が形成された第1ケース部と、前記第1ケースと分離可能に結合され、前記ケース本体室が形成された第2ケース部と、を有する構成とすることができる。
【0031】
このような構成により、外ケースが、ケース本体室が形成された第2ケース部を、流入口、気体取込み室、流出口及び気体送出し室が形成された第1ケース部から分離できる構造であるので、外ケースのケース本体部に設けられる内ケース、フィルタ保持器及びフィルタのメンテナンス及び交換を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る気体フィルタ装置によれば、気水分離器を別途設けることなく、液分の分離除去とともに塵埃等の異物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るエアフィルタ装置(気体フィルタ装置)を示す断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すエアフィルタ装置に用いられるリング状ガイド部材(気体回転導入器)を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すエアフィルタ装置に用いられるフィルタエレメントのフィルタ保持器を示す正面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係るエアフィルタ装置を示す断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第3の実施の形態に係るエアフィルタ装置を示す断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第4の実施の形態に係るエアフィルタ装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0035】
本発明の第1の実施の形態に係るエアフィルタ装置(気体フィルタ装置)は、
図1に示すように構成される。このエアフィルタ装置は、エアガンやエアシリンダ等の空圧機器が接続される圧縮空気回路内に設けられる。
【0036】
図1において、エアフィルタ装置は、外ケース10と、内ケース30と、外ケース10内に設けられた2つのリング状ガイド部材20(1)、20(2)(気体回転導入器)と、内ケース30内に設けられたフィルタエレメント40とを有する。外ケース10は、第1ケース部10aと第2ケース部10bとから構成されている。第1ケース部10aの下端部に第2ケース部10bの上端部が嵌るようにして、それらが分離可能に結合している。第2ケース部10bの上端部の外周面に装着されたO-リング17によって第1ケース部10aと第2ケース部1bとの結合部分での気密性が保持されている。
【0037】
外ケース10の第1ケース部10aには、圧縮空気回路からの圧縮空気が流入する流入口11からつながるエア取込み室13(気体取込み室)と、圧縮空気回路に向けて圧縮空気が流出する流出口12につながるエア送出し室14(気体送出し室)とが形成されている。外ケース10において第1ケース部10aの下方に位置する第2ケース部10bには、円筒形状の内周面を有するケース本体室15が形成されている。第2ケース部10b(ケース本体室15)の上端部分内には同心的に重ねられた2つのリング状ガイド部材20(1)、20(2)(詳細な構造は後述する)が嵌まり込むようにして設けられている。
【0038】
2つのリング状ガイド部材20(1)、20(2)のそれぞれは、同じ構造であって、
図2に示すように構成されている。なお、2つのリング状ガイド部材20(1)、20(1)の構造は同じであるので、
図2において、参照番号の(1)、(2)は省略する。
【0039】
図2において、リング状ガイド部材20は、当該リング状ガイド部材20が装着される第2ケース部10b(
図1参照)の上端部分の内径と略同一の外径となる外リング21と、所定径の内通孔25が形成された(所定の内径となる)内リング22とを有している。外リング21と内リング22とは、それらの間(リング状スペース)に放射状に形成される複数(例えば、7つ)の連結部23a、23b、23c、23d、23e、23f、23gによって連結されている。また、外リング21と内リング22との間(リング状スペース)には、一の連結部(例えば、連結部23a)からそれに隣接する連結部(例えば、連結部23b)まで周方向に延び、当該リング状ガイド部材20の上面(
図2において表れてる面)から下面(
図2において表れていない面)に向けて傾斜するガイド羽根24a、24b、24c、24d、24e、24f、24gが形成されている。このリング状ガイド部材20においては、上面側から各ガイド羽根24a~24gに沿い、対応する連結部23a~23gをくぐって下面側にぬける空気の流路が形成されている。これにより、リング状ガイド部材20の上面側から流入する圧縮空気は、当該リング状ガイド部材20(外リング21、内リング22)の軸線のまわりに回転するようにして下面側に抜け出るようになる。
【0040】
図1に戻って、一方のリング状ガイド部材20(1)の内リング22(1)の下面と他方のリング状ガイド部材20(2)の内リング22(2)の上面とが連結されることで、それら2つのリング状ガイド部材20(1)、20(2)が同心的に重ねられた状態で一体化されている。また、下側のリング状ガイド部材20(2)の内リング22(2)には、内ケース30が同心的に結合される。内ケース30は、円筒形状のケース本体31の上端に通孔32a(上端部の開口)を有する連結具32が固定され、ケース本体31の下端に通孔33a(下端部の開口)を有するつば付きブッシュ33が嵌め込まれた構造となっている。そして、上側のリング状ガイド部材20(1)の内リング22(1)に、エア送出し室14の周壁が嵌り込むように、第1ケース部10aと第2ケース部10bとを結合して外ケース10を形成することにより、内ケース30は、連結具32の通孔32a、下側のリング状ガイド部材20(2)の内リング22(2)の内通孔25(2)及び上側のリング状ガイド部材20(1)の内リング22(1)の内通孔25(1)を通してエア送出し室14に連通するようになる。
【0041】
また、上述したように下側のリング状ガイド部材20(2)の内リング22(2)に同心的に結合された内ケース30の外周面と第2ケース部10b(外ケース10)におけるケース本体室15の内周面との間に所定の隙間Goが形成される。そして、各リング状ガイド部材20(1)、20(2)の複数のガイド羽根24a~24gは、エア取込み室13から前記隙間Goに続く圧縮空気の流路に位置するようになっている。
【0042】
第2ケース部10bにおけるケース本体室15の内周面の所定部位には、段部16が形成されている。内ケース30(つば付きブッシュ33)の下端周縁が段部16に当接している。これにより、内ケース30は、ケース本体室15内においてリング状ガイド部材20(2)の内リング22(2)と段部16とによって挟まれた状態で固定される。そして、ケース本体室15において内ケース30の下方に空間が形成される。また、第2ケース部10b(外ケース10)の底部にはドレイントラップ18が接続されている。
【0043】
内ケース30内には、フィルタエレメント40が設けられている。フィルタエレメント40は、所定厚の円筒形状に形成されたフィルタ部材41(例えば、アクリルファイバ、セルロース)が円筒形状のフィルタ保持器42に同心的に保持された構造となっている。内部にフィルタ部材41を収容するフィルタ保持器42の外周壁は、
図3に示すように、メッシュ状に形成され、通気性を有している。円筒形状のフィルタ保持器42の上端部の開口は、内部のフィルタ部材41の上端部の開口とともに蓋体43によって閉鎖される。フィルタ保持器42は、内部のフィルタ部材41とともに、内ケース30のつば付きブッシュ33に直立するように固定されている。この状態で、フィルタ保持器42の下端部の開口及びフィルタ部材41の下端部の開口が内ケース30のつば付きブッシュ33の通孔33aに同心的に連結される。そして、それら開口及び内ケース30のつば付きブッシュ33の通孔33a(内ケース30の下端部の開口)を連結筒体44が貫通している。内ケース30(ケース本体31)の内周面とフィルタ保持器42の外周面との間に隙間Giが形成されるとともに、フィルタ保持器42の上面と内ケース30の連結具32の下面との間に隙間が形成されている。
【0044】
上述したような構造のエアフィルタ装置では、圧縮空気は次のようにして流れる(
図1における点線矢印参照)。
【0045】
流入口11から外ケース10(第1ケース部10a)に導入される圧縮空気は、エア取込み室13を通り、2つのリング状ガイド部材20(1)、20(2)によって、ケース本体室15(第2ケース部10b)の内面に沿って回転するように当該ケース本体室15の内周面と内ケース30(ケース本体31)の外周面との間の隙間Goに導かれる。そして、そのケース本体室15の内周面と内ケース30(ケース本体31)の外周面との間の隙間Goに導かれた圧縮空気は、高速に回転しながらその隙間Goを本体ケース室15の下方に向かって流れる。このようにケース本体室15内における前記隙間Goを高速に回転しながら下方に向かって流れる圧縮空気に含まれる液分(水分、油分等)はその高速な回転により圧縮空気から分離除去される。この圧縮空気から分離除去された液分は、外ケース10(第2ケース部10b)の底に溜まってドレイントラップ18に排出される。
【0046】
上記のようにして液分が除去された圧縮空気は、内ケース30の下端部から連結筒体44(つば付きブッシュ33の通孔33a、フィルタ保持器42(フィルタ部材41)の下端部の開口)を通して内ケース30に流入する。内ケース30に流入する液分の除去された圧縮空気は、フィルタ保持器42に保持されたフィルタ部材41の内側から外側、更にフィルタ保持器42の外側に流れる。このように圧縮空気がフィルタ部材41の内側から外側に流れる際に、その圧縮空気に含まれる塵埃等の異物は、フィルタ部材41によって除去される。
【0047】
このように異物の除去された圧縮空気は、内ケース30(ケース本体31)の内周面とフィルタ保持器42の外周面との間の隙間Gi、及びフィルタ保持器41の上面(蓋体43の上面)と内ケース30の連結具32の下面との間の隙間を通り、内ケース30の連結具32の通孔32a(内ケース30の上端部の開口)、リング状ガイド部材20(2)、20(1)の内通孔25(2)、25(1)を通ってエア送出し室14に抜ける。そして、異物の除去された圧縮空気は、エア送出し室14から流出口12を通って圧縮空気回路に流出する。
【0048】
上述したようなエアフィルタ装置では、流入口11から外ケース10(第1ケース部10a)に流入する圧縮空気が、2つのリング状ガイド部材20(1)、20(2)(気体回転導入器)を通って外ケース10(第2ケース部10b:ケース本体室15)の下方に向かう過程で、その圧縮空気から液分が除去される。そして、その液分が除去された圧縮空気が内ケース30に設けられたフィルタエレメント40(フィルタ部材41)を通ってエア送出し室14に至る過程で、その圧縮空気から塵埃等の異物が除去される。
【0049】
このようなエアフィルタ装置によれば、気水分離器を別途設けることなく、液分の分離除去とともに塵埃等の異物を除去することができる。また、液分が除去された圧縮空気がフィルタ部材41を通過することになるので、流入口11と流出口12とにおける圧縮空気の差圧の発生を抑えるすることができ、圧縮空気の通過効率の低下を抑制することができる。
【0050】
上述したエアフィルタ装置では、気体回転導入器は、2つのリング状ガイド部材20(1)、20(2)が同心的に重ねられた構造であったが、これに限定されない。気体回転導入器は、単一のリング状ガイド部材20にて構成しても、3つ以上のリング状ガイド部材が同心的に重ねられた構造であってもよい。更に、気体回転導入器は、
図2に示す構造のリング状ガイド部材20を用いた構造にである必要はなく、エア体取込み室13からの圧縮空気をケース本体室15の内周面に沿って回転するようにケース本体室15の内周面と内ケース30の外周面との間に導くものであればよい。
【0051】
第2ケース部10bのケース本体室15の内周面は円筒形状に限定されず、例えば、円錐形状など滑らかな周面を有するものであればよい。また、内ケース30の外周面も円筒形状に限定されず、例えば、円錐形状など滑らかな周面を有するものであればよい。更に、ケース本体室15の内周面と内ケース30の外周面との関係は、所定の隙間Goが形成されて、リング状ガイド部材20(1)、20(2)(気体回転導入器)から導入される圧縮空気が高速に回転しつつ下降していけるものであればよい。
【0052】
また、内ケース30に設けられるフィルタエレメント40(フィルタ部材41)は、円筒形状に限定されず、単に筒状であっても、他の形状のものであってもよい。
【0053】
本発明の第2の実施の形態に係るエアフィルタ装置は、
図4に示すように構成される。このエアフィルタ装置は、内ケース30内に設けられるフィルタエレメント40の取付け方向が前述した第1の実施の形態に係るフィルタ装置と相違し、他の点については第1の実施の形態に係るフィルタ装置と実質的に同じである。従って、主に相違する点について説明する。
【0054】
図4において、円筒形状のフィルタ保持器42の下端部の開口は、内部のフィルタ部材41の下端部の開口とともに蓋体43によって閉鎖される。フィルタ保持器42は、内部のフィルタ部材41とともに、内ケース30の連結具32に垂下するように固定されている。この状態で、フィルタ保持器42の上端部の開口及びフィルタ部材41の上端部の開口が内ケース30の連結具32の通孔32aに同心的に連結される。そして、それら開口及び内ケース30の連結具32の通孔32a(内ケース30の上端部の開口)を連結筒体45が貫通している。内ケース30(ケース本体31)の内周面とフィルタ保持器42の外周面との間に隙間Giが形成されるとともに、フィルタ保持器42の下端部の開口を閉鎖する蓋体43と内ケース30のつば付きブッシュ33の通孔33aとの間に空間が形成されている。
【0055】
上述したような構造のエアフィルタ装置では、圧縮空気は次のようにして流れる(
図4における点線矢印参照)。
【0056】
流入口11から外ケース10(第1ケース部10a)に流入する圧縮空気は、前述した第1の実施の形態の場合と同様に、2つのリング状ガイド部材20(1)、20(2)(気体回転導入器)を通って外ケース10(第2ケース部10b:ケース本体室15)の下方に向かう過程で、その圧縮空気から液分が除去される。そして、その液分が除去された圧縮空気は、内ケース30の下端部からつば付きブッシュ33の通孔33aを通して内ケース30に流入する。内ケース30に流入する液分の除去された圧縮空気は、内ケース30(ケース本体31)の内周面とフィルタ保持器42の外周面との間の隙間Giに進入し、フィルタ保持器42の外側から内側、更に、当該フィルタ保持器42に保持されたフィルタ部材41の外側から内側に流れる。このように圧縮空気がフィルタ部材41の外側から内側に流れる際に、その圧縮空気に含まれる塵埃等の異物は、そのフィルタ部材41によって除去される。
【0057】
このように異物の除去された圧縮空気は、連結筒体45(フィルタ保持器42(フィルタ部材41)の上端部の開口)、2つのリング状ガイド部材20(2)、20(1)における内リング22(2)、22(1)の内通孔25(2)、25(1)を通ってエア送出し室14に抜ける。そして、異物の除去された圧縮空気は、エア送出し室14から流出口12を通って圧縮空気回路に流出する。
【0058】
上述したようなエアフィルタ装置においても、流入口11から外ケース10(第1ケース部10a)に流入する圧縮空気に含まれる液分が除去され、その液分が除去された圧縮空気が内ケース30に設けられたフィルタエレメント40(フィルタ部材41)を通ってエア送出し室14に至る過程で、その圧縮空気から塵埃等の異物が除去される。
【0059】
このような第2の実施の形態に係るエアフィルタ装置によれば、第1の実施の形態に係るエアフィルタと同様に、気水分離器を別途設けることなく、液分の分離除去とともに塵埃等の異物を除去することができる。また、同様に、圧縮空気の通過効率の低下を抑制することができる。
【0060】
本発明の第3の実施の形態に係るエアフィルタ装置は、
図5に示すように構成される。このエアフィルタ装置は、気体回転導入器(リング状ガイド部材20)に代えて、円錐形状の内ケースを用いる点で、第1の実施の形態に係るエアフィルタ装置(
図1参照)と相違する。
図5において、
図1に示す部材と同じものについては同じ参照番号が付されている。
【0061】
図5において、第1の実施の形態の場合(
図1参照)と同様に、外ケース10は、圧縮空気の流入口11からつながるエア取込み室13と、圧縮空気の流出口12につながるエア送出し室14とが形成された第1ケース部10aと、円筒形状の内周面を有するケース本体室15が形成された第2ケース部10bとが分離可能に結合した構造となっている。この第1ケース部10aと第2ケース部10bとが結合してなる外ケース10では、第1ケース部10aのエア取込み室13と第2ケース部10bのケース本体室15とが連通している。そして、O-リング17によって第1ケース部10aと第2ケース部10bとの結合部分での気密性が保持されている。
【0062】
内ケース50は、円筒状で通孔52a(上端部の開口)を有する連結具52と、連結具52から下方に向けて徐々に広がる円錐形状であって、中央に通孔の形成された底部を有するケース本体51と、ケース本体51の底部の通孔に嵌め込まれた通孔53a(下端部の開口)を有するブッシュ53とを有している。そして、内ケース50の連結具52(通孔52a)にエア送出し室14の周壁が嵌まり込むように、第1ケース部10aと第2ケース部10bとが連結して外ケース10が形成される。この状態で、内ケース50は、連結具52の通孔52aを通してエア送出し室14に連通するようになる。このように設けられた内ケース50の下方に向けて徐々に広がる円錐形状のケース本体51の外周面と第2ケース部10b(外ケース10)におけるケース本体15の内周面との間に下方に向って徐々に狭くなる隙間Goが形成される。このように連結具52によってエア送出し室14の周壁から吊り下げられた状態で第2ケース部10bのケース本体室15に配置される内ケース50の下方に空間が形成され、第2ケース10b(外ケース10)の底部には、第1の実施の形態(
図1参照)と同様に、ドレイントラップ18が接続されている。
【0063】
内ケース50内には、フィルタエレメント40が設けられている。このフィルタエレメント40は、第1の実施の形態(
図1参照)と同様に、フィルタ部材41がフィルタ保持器42に保持された構造となっている。そして、フィルタ保持器42の上端部の開口は、内部のフィルタ部材41の上端部の開口とともに蓋体43によって閉鎖されるとともに、フィルタ保持器42は、内部のフィルタ部材41とともに内ケース50のブッシュ53に直立するように固定されている。この状態で、フィルタ保持器42の下端部の開口及びフィルタ部材41の下端部の開口が内ケース50のブッシュ53の通孔53a(内ケース50の下端部の開口)に同心的に連結され、それら開口及びブッシュ53の通孔53a(内ケース50の下端部の開口)を連結筒体44が貫通している。そして、内ケース50(ケース本体51)の内周面とフィルタ保持器42の外周面との間に隙間Giが形成されるとともに、フィルタ保持器42の上面と内ケース30の連結具52の下面との間に隙間が形成されている。
【0064】
上述したような構造のエアフィルタ装置では、圧縮空気は次のようにして流れる(
図5における点線矢印参照)。
【0065】
流入口11から外ケース10(第1ケース部10a)に流入する圧縮空気は、エア取込み室13を通り、ケース本体室15(第2ケース部10b)の内周面と内ケース50の外周面との間に形成される下方に向って徐々に狭くなる隙間Goに導入される。この隙間Goに導入される圧縮空気は、高速に回転しながらその隙間Goを本体ケース15の下方に向って流れる。このように本体ケース15における前記隙間Goを高速に回転しながら下方に向って流れる圧縮空気に含まれる液分(水分、油分等)はその高速な回転により圧縮空気から分離除去される。そして、この圧縮空気から分離除去された液分は外ケース10(第2ケース部10b)の底に溜まってドレイントラップ18に排出される。
【0066】
上記のようにして液分が除去された圧縮空気は、第1の実施の形態(
図1参照)と同様に、内ケース50の下端部から連結筒体44(ブッシュ53の通孔53a、フィルタ保持器42(フィルタ部材41)の下端部の開口)を通して内ケース50に流入し、フィルタエレメント40におけるフィルタ部材41の内側から外側に流れる。このように圧縮空気がフィルタ部材41の内側から外側に流れる際に、その圧縮空気に含まれる塵埃等の異物はフィルタ部材によって除去される。
【0067】
このように異物の除去された圧縮空気は、内ケース50(ケース本体51)の内周面とフィルタ保持器42の外周面との間の隙間Gi、及びフィルタ保持器41の上面(蓋体43の上面)と内ケース30の連結具52の下面との間の隙間を通り、内ケース50の連結具52の通孔52a(内ケース30の上端部の開口)を通ってエア送出し室14に抜ける。そして、異物の除去された圧縮空気は、エア送出し室14から流出口12を通って圧縮空気回路に流出する。
【0068】
上述したようなエアフィルタ装置では、流入口11から外ケース10(第1ケース部10a)に流入する圧縮空気が、ケース本体室15(第2ケース部10b)の内周面と内ケース5の外周面との間に形成される下方に向って徐々に狭くなる隙間Goを高速に回転しながら下方に向って流れる過程で、その圧縮空気から液分が除去される。そして、その液分が除去された圧縮空気が内ケース30に設けられたフィルタエレメント40(フィルタ部材41)を通ってエア送出し室14に至る過程で、その圧縮空気から塵埃等の異物が除去される。
【0069】
このようなエアフィルタ装置によれば、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様に、気水分離器を別途設けることなく、液分の分離除去とともに塵埃等の異物を除去することができる。また、液分が除去された圧縮空気がフィルタ部材41を通過することになるので、流入口11と流出口12とにおける圧縮空気の差圧の発生を抑えるすることができ、圧縮空気の通過効率の低下を抑制することができる。
【0070】
なお、ケース本体室15の円筒形状の内周面と内ケース50の下方に向けて徐々に広がる円錐形状の外周面とによって、ケース本体15の内周面と内ケース50の外周面との間に下方に向けて徐々に狭くなるGoが形成されたが、これに限定されない。例えば、ケース本体室15の内周面を下方に向けて徐々に狭くなる円筒形状に、内ケースの外周面を円筒形状に形成することにより、ケース本体15の内周面と内ケース50の外周面との間に下方に向けて徐々に狭くなるGoを形成するようにしてもよい。
【0071】
本発明の第4の実施の形態に係るエアフィルタ装置は、
図6に示すように構成される。このエアフィルタ装置は、内ケース50内に設けられるフィルタエレメント40の取付け方向が前述した第3の実施の形態に係るフィルタ装置と相違する。内ケース50内におけるフィルタエレメント40の取付け方向は、
図2の実施の形態におけるフィルタ装置と同様である。
【0072】
図6において、円筒形状のフィルタ保持器42の下端部の開口は、内部のフィルタ部材41の下端部の開口とともに蓋体43によって閉鎖される。フィルタ保持器42は、内部のフィルタ部材41とともに、内ケース50の連結具52に垂下するように固定されている。この状態で、フィルタ保持器42の上端部の開口及びフィルタ部材41の上端部の開口が内ケース50の連結具52の通孔52aに同心的に連結される。そして、それら開口及び内ケース50の連結具52の通孔52a(内ケース30の上端部の開口)を連結筒体45が貫通している。内ケース50(ケース本体51)の内周面とフィルタ保持器42の外周面との間に隙間Giが形成されるとともに、フィルタ保持器42の下端部の開口を閉鎖する蓋体43と内ケース50のブッシュ53の通孔53aとの間に空間が形成されている。
【0073】
上述したような構造のエアフィルタ装置では、圧縮空気は次のようにして流れる(
図6における点線矢印参照)。
【0074】
流入口11から外ケース10(第1ケース部10a)に流入する圧縮空気は、前述した第3の実施の形態の場合と同様に、ケース本体室15の内周面と内ケース50の外周面との間に形成された下方に向って徐々に狭くなる隙間Goを高速に回転しながら下降していく過程で、その圧縮空気から液分が除去される。そして、その液分が除去された圧縮空気は、内ケース50の下端部かブッシュ53の通孔53aを通して内ケース50に流入する。内ケース50に流入する液分の除去された圧縮空気は、内ケース50(ケース本体51)の内周面とフィルタ保持器42の外周面の隙間Giに進入し、フィルタ保持器42の外側から内側、更に、当該フィルタ保持器42に保持されたフィルタ部材41の外側から内側に流れる。このように圧縮空気がフィルタ部材41の外側から内側に流れる際に、その圧縮空気に含まれる塵埃等の異物は、そのフィルタ部材41によって除去される。
【0075】
このように異物の除去された圧縮空気は、連結筒体45(フィルタ保持器42(フィルタ部材41)の上端部の開口)を通ってエア送出し室14に抜ける。そして、異物の除去された圧縮空気は、エア送出し室14から流出口12を通って圧縮空気回路に流出する。
【0076】
上述したようなエアフィルタ装置においても、流入口11から外ケース10(第1ケース部10a)に流入する圧縮空気に含まれる液分が除去され、その液分が除去された圧縮空気が内ケース30に設けられたフィルタエレメント40(フィルタ部材41)を通ってエア送出し室14に至る過程で、その圧縮空気から塵埃等の異物が除去される。
【0077】
このような第4の実施の形態に係るエアフィルタ装置によれば、第1乃至第3の実施の形態に係るエアフィルタと同様に、気水分離器を別途設けることなく、液分の分離除去とともに塵埃等の異物を除去することができる。また、同様に、圧縮空気の通過効率の低下を抑制することができる。
【0078】
前述した各実施の形態では、圧縮空気から液分及び異物を除去するものであったが、本発明に係る気体フィルタ装置は、圧縮空気に限らず、他の気体から液分及び異物を除去することもできる。
【0079】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、各実施の形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、気水分離器を別途設けることなく、液分の分離除去とともに塵埃等の異物を除去することのできるという効果を有し、気体フィルタ装置として有用である。
【符号の説明】
【0081】
10 外ケース
10a 第1ケース
10b 第2ケース
11 流入口
12 流出口
13 エア取込み室
14 エア送出し室
15 ケース本体室
16 段部
17 O-リング
18 ドレイントラップ
20、20(1)、20(2) リング状ガイド部材(気体回転導入器)
21、21(1)、21(2) 外リング
22、22(1)、22(2) 内リング
23a~23g 連結部
24a~24g ガイド羽根
25、25(1)、25(2) 内通孔
30、50 内ケース
31、51 ケース本体
32、52 連結具
40 フィルタエレメント
41 フィルタ部材
42 フィルタ保持器