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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】ステージ足場用ジャッキ
(51)【国際特許分類】
   E04G 1/22 20060101AFI20231220BHJP
【FI】
E04G1/22 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022020490
(22)【出願日】2022-02-14
(65)【公開番号】P2023117756
(43)【公開日】2023-08-24
【審査請求日】2023-08-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516288044
【氏名又は名称】株式会社クリス・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗栖 龍男
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-288088(JP,A)
【文献】実開平06-047505(JP,U)
【文献】特開平09-088329(JP,A)
【文献】特開平08-232459(JP,A)
【文献】特開平04-261963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/22
E04G 5/02
E04G 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延びるパイプ材を有するデッキビームと、前記デッキビームに設置され、作業床を構成するパネル材とを備えたステージ足場を支持するステージ足場用ジャッキであって、
前記ステージ足場の下方に配設される筒状部材からなる支柱に上部から挿入され、外周面にねじ山が形成されるとともに上下方向に延びるねじ棒材と、
前記ねじ棒材の前記ねじ山に螺合する筒状に形成され、下端面が前記支柱の上端面に当接する螺合部材と、
記ステージ足場を構成している前記パイプ材を掴むクランプとを備え
前記クランプは、前記パイプ材の外周面に上側及び下側からそれぞれ当接して該パイプ材を径方向に挟持する上側挟持部材及び下側挟持部材と、前記上側挟持部材の一端側と前記下側挟持部材の一端側とが互いに接離する方向に回動可能に該上側挟持部材の他端側と該下側挟持部材の他端側とを連結する連結部材と、前記上側挟持部材の一端側と前記下側挟持部材の一端側とを互いに接近する方向に締結する締結部材とを備え、
前記ねじ棒材の上部には、当該ねじ棒材の径方向外方に向けて延びる金属製の板材が固定されており、
前記クランプの前記下側挟持部材は、前記板材の上面に固定されているステージ足場用ジャッキ。
【請求項2】
請求項1に記載のステージ足場用ジャッキにおいて、
前記螺合部材の外周面から径方向外方に向けて突出する操作用部材を備えているステージ足場用ジャッキ。
【請求項3】
請求項に記載のステージ足場用ジャッキにおいて、
前記クランプは、前記パイプ材を掴んだ状態で、前記ねじ棒材の軸線の延長線上に前記パイプ材の軸線が位置するように構成されているステージ足場用ジャッキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ステージ足場用ジャッキに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば建築現場や土木工事現場等では、各種作業を行うための足場としてステージ足場が構築される場合がある(例えば特許文献1参照)。特許文献1のステージ足場は、複数の縦材及び横材を組み合わせて構成された建枠と、建枠の上端に装着された昇降建枠と、昇降建枠に設置された複数の床板とを備えており、組み立てた状態で持ち運びが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-299536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のように組み立てた状態で持ち運びが可能なステージ足場の場合には、ステージ足場が小型であることから、複数の床板で構成される作業床の面積はそれほど大きくはないものと考えられる。
【0005】
ところが、大型のステージ足場では作業床の面積が広くなるので、作業床が水平となるように部分的に高さ調整が必要な場合がある。特許文献1のステージ足場で作業床の高さ調整を行おうとすると、床板が設置される昇降建枠の高さを部位によって調整する必要があるが、昇降建枠は下側の建枠の上端に装着されているだけであって高さ調整の機構を備えていないので、部位によって高さ調整することはできない。
【0006】
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、作業床の面積が広いステージ足場の高さ調整を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の第1の態様では、水平方向に延びるパイプ材を有するデッキビームと、前記デッキビームに設置され、作業床を構成するパネル材とを備えたステージ足場を支持するステージ足場用ジャッキを前提とすることができる。ステージ足場用ジャッキは、前記ステージ足場の下方に配設される筒状部材からなる支柱に上部から挿入され、外周面にねじ山が形成されるとともに上下方向に延びるねじ棒材と、前記ねじ棒材の前記ねじ山に螺合する筒状に形成され、下端面が前記支柱の上端面に当接する螺合部材と、前記ねじ棒材の上部に固定され、前記ステージ足場を構成している前記パイプ材を掴むクランプとを備えている。
【0008】
この構成によれば、螺合部材を螺合させたねじ棒材を支柱に挿入すると、螺合部材の下端面が支柱の上端面に当接するので、クランプが支柱から上方へ突出した状態で保持される。このクランプでステージ足場を構成しているパイプ材を掴むことにより、ステージ足場が支柱及びステージ足場用ジャッキにより所定の高さで支持される。例えばねじ棒材が回動しないようにした状態で螺合部材をねじ棒材周りに回動させると、ねじ棒材が螺合部材に対して上下方向に移動するので、ステージ足場の高さ調整が可能になる。このとき、螺合部材の回動方向を変えることで、ねじ棒材を上方へ移動させること、及び下方へ移動させることができ、また、螺合部材の回動量を大きくすればねじ棒材の上下方向の移動量が大きくなり、螺合部材の回動量を小さくすればねじ棒材の上下方向の移動量が小さくなるので、細かな高さ調整が容易に行える。
【0009】
本開示の第2の態様では、前記螺合部材の外周面から径方向外方に向けて突出する操作用部材を備えていてもよい。この構成によれば、螺合部材を回動させる際に作業者が操作用部材を持つことで容易に回動させることができる。
【0010】
本開示の第3の態様に係るクランプは、前記パイプ材の外周面に上側及び下側からそれぞれ当接して該パイプ材を径方向に挟持する上側挟持部材及び下側挟持部材と、前記上側挟持部材の一端側と前記下側挟持部材の一端側とが互いに接離する方向に回動可能に該上側挟持部材の他端側と該下側挟持部材の他端側とを連結する連結部材と、前記上側挟持部材の一端側と前記下側挟持部材の一端側とを互いに接近する方向に締結する締結部材とを備えていてもよい。
【0011】
この構成によれば、上側挟持部材の一端側と下側挟持部材の一端側とが互い離れる方向に上側挟持部材を回動させることで、上側挟持部材と下側挟持部材との間にパイプ材を容易に配置することができる。そして、上側挟持部材と下側挟持部材との間にパイプ材を配置した後、上側挟持部材の一端側と下側挟持部材の一端側とを互いに接近させた後、締結部材によって締結することにより、パイプ材を径方向に強固に掴むことができる。
【0012】
本開示の第4の態様では、前記ねじ棒材の上部に、当該ねじ棒材の径方向外方に向けて延びる板材が固定されていてもよい。前記クランプの前記下側挟持部材は、前記板材の上面に固定することができる。
【0013】
この構成によれば、クランプの下側挟持部材の広い範囲を、板材を介してねじ棒材に固定できるので、クランプの固定強度を高めることができる。
【0014】
本開示の第5の態様に係るクランプは、前記パイプ材を掴んだ状態で、前記ねじ棒材の軸線の延長線上に前記パイプ材の軸線が位置するように構成されているので、芯合わせが容易に行える。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、ステージ足場用ジャッキでステージ足場を支持することで、作業床の面積が広いステージ足場の部位毎の高さ調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係るステージ足場用ジャッキでステージ足場を支持した状態を示す側面図である。
図2】パネル材を省略したステージ足場を上方から見た斜視図である。
図3】ステージ足場の一部のデッキを拡大して示す斜視図である。
図4】デッキビームを回動させた状態を示す図3相当図である。
図5】全長の長いデッキビームの斜視図である。
図6】全長の短いデッキビームの斜視図である。
図7A】回動型ビームジョイントによって2つのデッキビームを接続した部分の側面図である。
図7B】回動型ビームジョイントによって2つのデッキビームを接続した部分の平面図である。
図8A】回動型ビームジョイントの第1接続部の側面図である。
図8B】回動型ビームジョイントの第2接続部の側面図である。
図9】留め具の側面図である。
図10】第1非回動型ビームジョイントによって2つのデッキビームを接続した部分の側面図である。
図11】第1非回動型ビームジョイントの斜視図である。
図12】第2非回動型ビームジョイントの斜視図である。
図13】第3非回動型ビームジョイントの斜視図である。
図14】第4非回動型ビームジョイントの斜視図である。
図15】ステージ足場を支持した状態のステージ足場用ジャッキ及び支柱を拡大して示す側面図である。
図16】ステージ足場用ジャッキの正面図である。
図17】ステージ足場用ジャッキの側面図である。
図18】ステージ足場用ジャッキの平面図である。
図19】別の実施形態に係るステージ足場用ジャッキの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係るステージ足場1をステージ足場用ジャッキ100及び支柱200によって所定の高さで支持した状態を示すものである。図2は、ステージ足場1の斜視図である。図1に示すように、ステージ足場1は、デッキ2と、作業床を構成するパネル材3(図2では省略)とを備えている。パネル材3は、例えば木製足場板、鋼製足場板、アンチ(板付き布枠)等で構成されており、作業用の足場となる作業床を構成することができる部材であれば、特に限定されない。パネル材3の大きさや形状も、デッキ2の大きさや形状に合わせて任意に設定することができる。また、パネル材3の数も、デッキ2の大きさや形状によって変更可能である。作業床は、基本的に水平となるように設置される。
【0019】
図2では、パネル材3を省略しているが、ステージ足場1は広い面積の作業床を有している。ステージ足場1は、例えば各種建築物の建築現場や各種土木作業現場において、その作業の種類や内容等に応じて構築されるものである。例えば、補修工事やメンテナンス工事等においてもステージ足場1を使用することができる。ステージ足場1は、例えば規模の大きな生産設備や工場施設である各種プラントの建築現場やメンテナンス作業現場で構築することもできる。各種プラントでは、建物の外部に複数の配管が入り組むようにして設けられており、これら配管に対する作業や建物に対する作業を行う際に、本実施形態に係るステージ足場1を構築することもできる。
【0020】
図2に示すように、デッキ2は、第1デッキ2A、第2デッキ2B、第3デッキ2C及び第4デッキ2Dを備えている。デッキ2は、第1デッキ2Aのみで構成されていてもよいし、任意の複数のデッキ2A~2Dで構成されていてもよく、その数は4つに限られるものではない。第1デッキ2Aは、第2~第4デッキ2B~2Dとは別に組み立てられるデッキであり、ファーストデッキとも呼ばれる。第1デッキ2Aを例えば地上で組み立てた後、吊り上げることで、第2~第4デッキ2B~2Dよりも先に作業床を形成できる。その後、第1デッキ2Aの作業床に作業員が上がって第2デッキ2Bを組み立て、第2デッキ2Bの組み立てが完了した後、第2デッキ2Bの作業床に作業員が上がって第3デッキ2Cを組み立て、このようにして第4デッキ2Dまで組み立てることで、作業床を順次拡張していくことが可能になっている。つまり、本実施形態のステージ足場1は、既設のデッキ(第1デッキ2A)を組んだ後、順次、足場を拡張していくことが可能な先行床施工型ステージ足場である。尚、ステージ足場1には、図示しないが、手摺、幅木、布材等が取り付けられていてもよい。
【0021】
第1デッキ2Aは、基端側デッキビーム20と、右側短型デッキビーム21と、左側短型デッキビーム22と、第1中間デッキビーム23とで構成されている。基端側デッキビーム20と第1中間デッキビーム23とは同じものであり、互いに対向している。また、右側短型デッキビーム21と左側短型デッキビーム22とは同じものであり、互いに対向している。右側短型デッキビーム21及び左側短型デッキビーム22の長さは、基端側デッキビーム20及び第1中間デッキビーム23の長さよりも短く設定されている。基端側デッキビーム20と右側短型デッキビーム21とは直交しており、また、基端側デッキビーム20と左側短型デッキビーム22とは直交している。また、第1中間デッキビーム23と右側短型デッキビーム21とは直交しており、また、第1中間デッキビーム23と左側短型デッキビーム22とは直交している。したがって、基端側デッキビーム20と第1中間デッキビーム23とは平行であり、また右側短型デッキビーム21と左側短型デッキビーム22とは平行である。
【0022】
このように、1つのデッキ2Aを構成する4つのデッキビーム20~23は、平面視で矩形状をなすように配置されている。そして、基端側デッキビーム20と右側短型デッキビーム21及び左側短型デッキビーム22とが接続され、また第1中間デッキビーム23と右側短型デッキビーム21及び左側短型デッキビーム22とが接続されている。これらデッキビーム20~23の接続構造については後述する。4つのデッキビーム20~23の長さは全て同じでもよい。また、デッキビーム20~23の長さは、2種類に限られるものではなく、任意に設定することができ、あくまでも例であるが、短いものから順に、610mm、914mm、1219mm、1524mm、1829mm等とすることもでき、この場合は5種類の長さのデッキビームを任意に組み合わせてデッキ2A~2Dを構成することができる。上記寸法は、例えばデッキビームの両端に取り付けるビームジョイントの中心~中心までの寸法とすることができる。
【0023】
尚、例えば第1デッキ2Aにおいて対向するデッキビーム20、23の長さ(またはデッキビーム21、22の長さ)は同じにする。これにより、第1デッキ2Aは、長方形か正方形となる。デッキビーム20~23の長さ、幅、上下方向の寸法等の諸元を予め決めておくことで、デッキビーム20~23を規格品とすることができ、システム化されたステージ足場1を構成できる。
【0024】
また、第2デッキ2Bは、第1デッキ2Aと同様に平面視で矩形状をなしており、第1中間デッキビーム23と、第1右側デッキビーム24と、第1左側デッキビーム25と、第2中間デッキビーム26とで構成されている。第1中間デッキビーム23は第1デッキ2Aと共通化されている。第2デッキ2Bを構成するデッキビーム23~26は同じ長さである。
【0025】
また、第3デッキ2Cは、第2デッキ2Bと同様に平面視で矩形状をなしており、第2中間デッキビーム26と、第2右側デッキビーム27と、第2左側デッキビーム28と、第3中間デッキビーム29とで構成されている。第2中間デッキビーム26は第2デッキ2Bと共通化されている。第3デッキ2Cを構成するデッキビーム26~29は同じ長さである。
【0026】
また、第4デッキ2Dは、第2デッキ2Bと同様に平面視で矩形状をなしており、第3中間デッキビーム29と、第3右側デッキビーム30と、第3左側デッキビーム31と、第1奥側デッキビーム32とで構成されている。第3中間デッキビーム29は第3デッキ2Cと共通化されている。第4デッキ2Dを構成するデッキビーム29~32は同じ長さである。
【0027】
例えば、図3に示すように、第2デッキ2Bの第1右側デッキビーム24と第1左側デッキビーム25を、第1中間デッキビーム23及び第2中間デッキビーム26よりも短くしてもよい。第2デッキ2Bを構成するデッキビーム23~26は、互いに上下方向に延びる軸周りに相対回動可能に接続されている。デッキビーム23~26を相対回動させることにより、図4に示すように第2中間デッキビーム26を第1中間デッキビーム23、即ち第1デッキ2Aに近づけることができる。図4に示す回動状態となるように、第1右側デッキビーム24及び第1左側デッキビーム25を第1中間デッキビーム23に対して傾斜した姿勢で接続し、さらに、第2中間デッキビーム26を第1右側デッキビーム24及び第1左側デッキビーム25に対して傾斜した姿勢で接続する。これにより、第2中間デッキビーム26を第1デッキ2Aに近い位置で第1右側デッキビーム24及び第1左側デッキビーム25に接続できるので、第1デッキ2A上からの接続作業が容易に行える。その後、図3に示すように、デッキビーム23~26が長方形を形成するように、デッキビーム23~26を相対回動させる。その後、デッキビーム23~26が回動しないように、回動阻止部材(図示せず)によってロックしておく。回動阻止部材は、例えば第1左側デッキビーム25と第1中間デッキビーム23との角度を90゜で保った状態で固定することが可能な部材であればよく、例えば第1左側デッキビーム25と第1中間デッキビーム23の端部に嵌合するキャップ状に形成された部材や、第1左側デッキビーム25と第1中間デッキビーム23の端部を固定するクランプ等を挙げることができる。尚、第3デッキ2C及び第4デッキ2Dも第2デッキ2Bと同様に構成することができる。
【0028】
(デッキビームの構成)
第1~第4デッキ2A~2Dを構成するデッキビーム20~32は長さが異なるだけで同じ構造とすることができる。デッキビーム20~32は、水平方向に延びる中心線を対称の中心として上下対称構造である。また、上述した各デッキビーム20~32の名称は説明の便宜のために付しただけである。図5は、相対的に長いデッキビーム20(23~32)の例を示しており、また、図6は、相対的に短いデッキビーム21(22)の例を示している。図5に示すデッキビーム20のみで第1~第4デッキ2A~2Dが構成されていてもよいし、図6に示すデッキビーム21のみで第1~第4デッキ2A~2Dが構成されていてもよい。
【0029】
図5に示すように、デッキビーム20は、上側パイプ材40と、下側パイプ材41と、一側連結材42と、他側連結材43と、中間パイプ材(短支柱)44とを備えている。上側パイプ材40及び下側パイプ材41は、例えば円形断面を有する鋼管等で構成されており、具体的には、従来から仮設足場を構成している単管建地や布材等の部材である。よって、上側パイプ材40及び下側パイプ材41の外径は、単管建地や布材等と同じである。
【0030】
上側パイプ材40は水平に延びている。下側パイプ材41は、上側パイプ材40から下方に離れて配置され、当該上側パイプ材40と平行に延びている。上側パイプ材40の外径と下側パイプ材41の外径とは同じであるが、異なっていてもよい。また、上側パイプ材40の長さと下側パイプ材41の長さとは同じである。デッキビーム20の長さは、上側パイプ材40の長さに相当する。平面視でデッキビーム20の長手方向に直交する方向をデッキビーム20の左右方向と定義し、デッキビーム20の左右方向はデッキビーム20の幅方向と呼ぶこともできる。
【0031】
一側連結材42及び他側連結材43は、それぞれ、上側パイプ材40及び下側パイプ材41に対して例えば溶接等によって固定されており、当該上側パイプ材40材及び当該下側パイプ材41を連結するための部材である。一側連結材42は、上側パイプ材40の一端部から下側パイプ材41の一端部まで延び、左右方向に互いに間隔をあけて配設された左右一対の金属製の板材42a、42bで構成されている。左側の板材42aは、上側パイプ材40の一端部の外周面における下側部分から下側パイプ材41の一端部の外周面における上側部分まで連続して延びるとともに、デッキビーム20の長手方向にも延びており、平面視で上側パイプ材40及び下側パイプ材41の軸線から左方向に偏位している。右側の板材42bは、左側の板材42aと平行であり、平面視で上側パイプ材40及び下側パイプ材41の軸線から右方向に偏位している。平面視では、左右の板材42a、42bが上側パイプ材40によって隠れるように位置付けられる。
【0032】
他側連結材43は、上側パイプ材40の他端部から下側パイプ材41の他端部まで延び、左右方向に互いに間隔をあけて配設された左右一対の板材43a、43bで構成されている。左側の板材43aは、上側パイプ材40の他端部の外周面における下側部分から下側パイプ材41の他端部の外周面における上側部分まで連続して延びるとともに、デッキビーム20の長手方向にも延びており、平面視で上側パイプ材40及び下側パイプ材41の軸線から左方向に偏位している。右側の板材43bは、左側の板材43aと平行であり、平面視で上側パイプ材40及び下側パイプ材41の軸線から右方向に偏位している。一側連結材42と他側連結材43とは同じ構造である。従って、デッキビーム20は、長手方向の中央部を通って鉛直方向に延びる直線を対称の中心とした対称構造となっている。
【0033】
中間パイプ材44は、例えば鋼管等で構成されており、上側パイプ材40の長手方向中間部から下側パイプ材41の長手方向中間部まで延びている。中間パイプ材44の上端部は、上側パイプ材40の外周面における下側部分に対して上側ブラケット44aを介して固定されている。中間パイプ材44の下端部は、下側パイプ材41の外周面における上側部分に対して下側ブラケット44bを介して固定されている。中間パイプ材44も上側パイプ材40及び下側パイプ材41に対して溶接等で固定することができる。したがって、上側パイプ材40と下側パイプ材41とは、長手方向両端部だけではなく、中間部同士も連結されることになるので、デッキビーム20は高い強度を確保することができる。尚、中間パイプ材44の個数は1つに限られるものではなく、2つ以上であってもよい。中間パイプ材44は、足場構成部材に設けられたクサビが差し込まれる差し込み部を有していてもよい。尚、上側パイプ材40及び下側パイプ材41が短い場合には、中間パイプ材44を省略してもよい。
【0034】
デッキビーム20の左右方向の寸法は、上下方向の寸法よりも短く設定されている。すなわち、デッキビーム20を構成する上側パイプ材40は1本のみであり、上側パイプ材40の側方に別のパイプ材が配設されておらず、また、下側パイプ材41も1本のみであり、下側パイプ材41の側方に別のパイプ材が配設されていない。そして、これら上側パイプ材40及び下側パイプ材41が平面視で左右方向には並ばないように配置されている。具体的には、上側パイプ材40の真下に下側パイプ材41が位置しており、従って、平面視では、上側パイプ材40の軸線と、下側パイプ材41の軸線とが重複する位置関係になる。このように上側パイプ材40及び下側パイプ材41を配置することで、デッキビーム20の左右方向の寸法は、上側パイプ材40ないし下側パイプ材41の外径と等しくなる。尚、中間パイプ材44のブラケット44a、44bの左右方向の寸法が上側パイプ材40ないし下側パイプ材41の外径よりも大きい場合があるが、その差は僅かであるとともに、デッキビーム20の長手方向の一部分のみであるため、デッキ2を構成する上では殆ど問題にならない。また、中間パイプ材44のブラケット44a、44bの左右方向の寸法を上側パイプ材40ないし下側パイプ材41の外径以下としてもよい。
【0035】
図6に示すデッキビーム21を構成している各部材は、上側パイプ材40及び下側パイプ材41の長さが、図5に示すデッキビーム20を構成しているものと異なるだけであり、基本的には同じ構造であることから、図5と同じ符号を付して説明を省略する。
【0036】
(回動型ビームジョイント)
図3及び図4に示すように、第2デッキ2Bを構成するデッキビーム23~26を相対回動可能に接続する場合には、回動型ビームジョイント60を使用してデッキビーム23~26を接続する。回動型ビームジョイント60は、水平方向に延びる中心線を対称の中心として上下対称構造である。図7A及び図7Bにも示すように、回動型ビームジョイント60は、共に高強度な金属材からなる第1接続部61と第2接続部62とを備えている。図7A及び図7Bでは、第1中間デッキビーム23と第1右側デッキビーム24とを接続する場合について示している。回動型ビームジョイント60は、第1中間デッキビーム23の一端部と、第1右側デッキビーム24の一端部とを互いに接続する。尚、図7A及び図7Bに示す例以外にも、回動型ビームジョイント60は他のデッキビームを接続する場合においても使用できる。
【0037】
回動型ビームジョイント60の第1接続部61は、第1中間デッキビーム23の一側連結材42を構成している左右一対の板材42a、42bの間に差し込まれて当該一対の板材42a、42bに連結される部材である。尚、第1接続部61は、他側連結材43を構成している左右一対の板材43a、43bの間に差し込まれて当該一対の板材43a、43bに連結される部材としても利用できる。
【0038】
具体的には、第1接続部61は、第1中間デッキビーム23の一対の板材42a、42bの間に差し込まれる板状の本体部61aを備えている。本体部61aは、板材42a、42bに沿って上下方向に延びるとともに、第1中間デッキビーム23の長手方向にも延びている。本体部61aの長手方向の寸法は、板材42a、42bの同方向の寸法よりも長く設定されている。これにより、本体部61aが板材42a、42bの間に差し込まれた状態で、板材42a、42bの間から第1中間デッキビーム23の長手方向両側へ向けて突出する。第1接続部61は、板材42a、42bの間へ向けて第1中間デッキビーム23の一端側から差し込まれるので、差し込み方向を基準として、第1接続部61の先端部は差し込み方向の先端側に位置する端部とし、第1接続部61の基端部は差し込み方向の基端側に位置する端部とする。
【0039】
本体部61aの先端部寄りの部分は、板材42a、42bの間から突出する部分である。この本体部61aの先端部寄りの部分には、図9に示すような留め具63が挿入される挿入孔61bが厚み方向に貫通するように形成されている。留め具63は、互いに直交する第1棒状部63a及び第2棒状部63bを備えている。第1棒状部63aの先端部は、回動軸63c周りに回動可能になっている。第1棒状部63aを挿入孔61bに挿入した状態で第1接続部61が板材42a、42bの間から抜ける方向に移動しようとすると、第1棒状部63aが板材42a、42bの縁部に当接するので、第1接続部61が板材42a、42bの間から抜けなくなる。第1棒状部63aを挿入孔61bから抜いて留め具63を取り外すことにより、第1接続部61を板材42a、42bの間から抜くことができる。留め具63は、例えば板材42a、42bを貫通するように取り付けることもできる。また、留め具63は、例えば板材42aや本体部61aに対して落下防止用のワイヤやチェーン等(図示せず)で取り付けられている。
【0040】
図8Aに示すように、第1接続部61の本体部61aの基端部には、上下方向に延びる回動軸部61cが設けられている。回動軸部61cは、水平方向の断面が円形状となっており、例えば円管材や円柱状の部材等で構成されている。回動軸部61cの上端部及び下端部は本体部61aの上端部及び下端部にそれぞれ溶接等により固定されている。回動軸部61cの外周面と、本体部61aの基端側の縦縁部との間には、隙間Sが形成されている。
【0041】
図7A及び図7Bに示すように、回動型ビームジョイント60の第2接続部62は、第1右側デッキビーム24の一側連結材42を構成している左右一対の板材42a、42bの間に差し込まれて当該一対の板材42a、42bに連結される部材である。尚、第2接続部62は、他側連結材43を構成している左右一対の板材43a、43bの間に差し込まれて当該一対の板材43a、43bに連結される部材としても利用できる。
【0042】
具体的には、第2接続部62は、第1右側デッキビーム24の一対の板材42a、42bの間に差し込まれる板状の本体部62aを備えている。本体部62aは、第1接続部61の本体部61aと同様に板材42a、42bに沿って上下方向に延びるとともに、第1右側デッキビーム24の長手方向にも延びている。本体部62aの長手方向の寸法は、板材42a、42bの同方向の寸法よりも長く設定されている。これにより、本体部62aが板材42a、42bの間に差し込まれた状態で、板材42a、42bの間から第1右側デッキビーム24の長手方向両側へ向けて突出する。第2接続部62は、板材42a、42bの間へ向けて第1右側デッキビーム24の一端側から差し込まれるので、差し込み方向を基準として、第2接続部62の先端部は差し込み方向の先端側に位置する端部とし、第2接続部62の基端部は差し込み方向の基端側に位置する端部とする。
【0043】
本体部62aの先端部寄りの部分は、板材42a、42bの間から突出する部分である。この本体部62aの先端部寄りの部分には、第1接続部61と同様に、図9に示すような留め具63が挿入される挿入孔62bが厚み方向に貫通するように形成されている。
【0044】
第2接続部62の本体部62aの基端部には、上下方向に延びる筒部62cが設けられている。筒部62cは、水平方向の断面が円形状となっており、例えば円管材等で構成されている。筒部62cには、第1接続部61の回動軸部61cが回動可能に差し込まれるようになっている。つまり、筒部62cの内周面と、回動軸部61cの外周面との間には、所定の隙間ができるように、筒部62cの内径及び回動軸部61cの外径が設定されている。また、筒部62cの周壁部の厚みは、図8Aに示す隙間Sよりも薄く設定されている。
【0045】
第1接続部61と第2接続部62とを接続する際には、まず、回動軸部61cを本体部61aから外した状態にしておく。その後、回動軸部61cを、第2接続部62の筒部62cに差し込む。次いで、回動軸部61cの上端部及び下端部を第1接続部61の本体部61aに溶接する。これにより、第1接続部61と第2接続部62とが回動軸部61c周りに相対回動可能になる。
【0046】
したがって、図3図4に示すように、回動型ビームジョイント60を使用してデッキビーム23~26を接続することで、第2デッキ2Bが平面視で長方形から平行四辺形、平行四辺形から長方形に変形可能になる。
【0047】
尚、図1に示すように、第1中間デッキビーム23は、第1デッキ2Aを構成する部材であることから、右側短型デッキビーム21及び左側短型デッキビーム22と接続する必要がある。この場合、回動型ビームジョイント60の第2接続部62の筒部62cに、本体部62aと同様な板材からなる接続板部62d(図3にのみ示す)を設け、この接続板部62dを、左側短型デッキビーム22の一側連結材を構成している左右一対の板材の間に差し込んで上述した留め具によって取り付けることができる。右側短型デッキビーム21との接続も同様に接続板部62dによって行うことができる。
【0048】
(非回動型ビームジョイント)
上述した回動型ビームジョイント60でデッキビーム20~32を接続することができる他、図10図14に示すように、第1~第4非回動型ビームジョイント70~73でデッキビーム20~32を接続することもできる。第1~第4非回動型ビームジョイント70~73は必要に応じて使用すればよい。第1~第4非回動型ビームジョイント70~73は、水平方向に延びる中心線を対称の中心として上下対称構造である。したがって、第1~第4非回動型ビームジョイント70~73を上下反転させて使用することができる。
【0049】
図10に示すように、第1非回動型ビームジョイント70は、2つのデッキビーム36、37を長手方向に直列に配置した状態で互いに接続するための部材である。図10では、デッキビーム36の一端部とデッキビーム37の一端部とを接続する例を示しているが、直列に配置されたデッキビームであれば第1非回動型ビームジョイント70によって接続可能である。尚、図1には、第1非回動型ビームジョイント70を示していないが、図10のように直列に接続するデッキビーム36、37がステージ足場1に含まれている場合には、第1非回動型ビームジョイント70を使用すればよい。
【0050】
第1非回動型ビームジョイント70は、デッキビーム36の一側連結材42を構成している左右一対の板材42a、42bの間及びデッキビーム37の一側連結材42を構成している左右一対の板材42a、42bの間に差し込まれる板材で構成されており、この板材の厚み及び上下方向の寸法は、それぞれ、回動型ビームジョイント60の本体部61aの厚み及び上下方向の寸法と同じである。第1非回動型ビームジョイント70の長さは、デッキビーム36の板材42a、42bの間に差し込んだ状態で板材42a、42bの間から突出するように設定されており、突出した部分には、上記留め具63が挿入される挿入孔70bが形成されている。また、第1非回動型ビームジョイント70の長さは、デッキビーム37の板材42a、42bの間に差し込んだ状態で板材42a、42bの間から突出するように設定されており、突出した部分には、上記留め具63が挿入される挿入孔70cが形成されている。つまり、第1非回動型ビームジョイント70によるデッキビーム36、37との接続構造は、回動不可である点を除いて、回動型ビームジョイント60による接続構造と同じである。従って、第1非回動型ビームジョイント70も回動型ビームジョイント60と同様にデッキビーム20~32から外れないように取り付けることができる。第1非回動型ビームジョイント70の中央部には、上下方向に延びる円管材で構成された本体部70Aが設けられている。本体部70Aには、周壁部を貫通する貫通孔70aが形成されている。
【0051】
図12に示す第2非回動型ビームジョイント71は、例えば図1に示す基端側デッキビーム20と右側短型デッキビーム21のように直交するもの同士を互いに接続するための部材である。基端側デッキビーム20と右側短型デッキビーム21以外にも、例えば、第3右側デッキビーム30と第1奥側デッキビーム32を接続する場合等にも第2非回動型ビームジョイント71を使用できる。第2非回動型ビームジョイント71の説明では、互いに直交する基端側デッキビーム20及び右側短型デッキビーム21をそれぞれ第1のデッキビーム及び第2のデッキビームと呼ぶこともできる。
【0052】
第2非回動型ビームジョイント71は、本体部(ジョイント本体)71aと、第1接続部71bと、第2接続部71cとを備えている。本体部71aは上下方向に延びる円管材で構成されており、その上下方向の寸法はデッキビーム20~32の上下方向の寸法よりも短く設定されている。本体部71aには、周壁部を貫通する複数の貫通孔71fが形成されている。
【0053】
第1接続部71bは、回動型ビームジョイント60の本体部61aと同様な板材で構成されており、一側連結材42を構成する左右一対の板材42a、42bの間から突出する部分には、上記留め具63を挿入する挿入孔71dが形成されている。第2接続部71cは、回動型ビームジョイント60の本体部62aと同様な板材で構成されており、一側連結材42を構成する左右一対の板材42a、42bの間から突出する部分には、上記留め具63を挿入する挿入孔71eが形成されている。従って、第2非回動型ビームジョイント71も回動型ビームジョイント60と同様にデッキビーム20~32から外れないように取り付けることができる。
【0054】
本体部71aの外周面には、第1接続部71bの基端部及び第2接続部71cの基端部が例えば溶接により固定されている。そして、平面視で第1接続部71bと第2接続部71cとは互いに直交する方向へ突出している。これにより、例えば基端側デッキビーム20と右側短型デッキビーム21のように直交するもの同士を互いに接続することができる。
【0055】
図13に示す第3非回動型ビームジョイント72は、例えば図1に示す右側短型デッキビーム21と第1中間デッキビーム23と第1右側デッキビーム24のように直交するものを含む3つのデッキビームを互いに接続するための部材である。右側短型デッキビーム21と第1中間デッキビーム23と第1右側デッキビーム24以外にも、直列配置される2つのデッキビームと、これら直列配置されるデッキビームに対して直交するデッキビームとを接続する場合に、第3非回動型ビームジョイント72を使用できる。第3非回動型ビームジョイント72の説明では、互いに直交する右側短型デッキビーム21と第1中間デッキビーム23をそれぞれ第1のデッキビーム及び第2のデッキビームと呼ぶこともでき、第1右側デッキビーム24は第3のデッキビームと呼ぶことができる。
【0056】
第3非回動型ビームジョイント72は、第2非回動型ビームジョイント71の本体部71a、第1接続部71b及び第2接続部71cと同様に構成された本体部(ジョイント本体)72a、第1接続部72b及び第2接続部72cを備えるとともに、第3接続部72gを備えている。本体部72aには、ピン(図示せず)を外部から差し込むことが可能な貫通孔72fが形成されている。また、第1接続部71b及び第2接続部71cにはそれぞれ上記留め具63を挿入する挿入孔72d、72eが形成されている。
【0057】
第3接続部72gは、第1接続部72b及び第2接続部72cと同様な板材で構成されており、第1右側デッキビーム24の一側連結材42を構成している左右一対の板材42a、42bの間に差し込まれて当該一対の板材42a、42bに接続される。第3接続部72gには、上記留め具63が挿入される挿入孔72hが形成されている。
【0058】
第3接続部72gの基端部は、本体部72aの外周面に例えば溶接等により固定されている。平面視で第2接続部72cと、第3接続部72gとは互いに直交する方向へ突出している。また、第1接続部72bと、第3接続部72gとは、同一直線上に並ぶように配置されている。これにより、右側短型デッキビーム21と第1中間デッキビーム23と第1右側デッキビーム24を互いに接続することができる。尚、平面視で第1接続部72bと、第3接続部72gとが互いに直交する方向へ突出していてもよい。
【0059】
図14に示す第4非回動型ビームジョイント73は、4つのデッキビームを互いに接続するための部材である。例えば、直列配置される2つのデッキビームと、これら直列配置されるデッキビームに対して直交する方向に直列配置される2つのデッキビームとを接続する場合に、第4非回動型ビームジョイント73を使用できる。
【0060】
第4非回動型ビームジョイント73は、第3非回動型ビームジョイント72の本体部72a、第1接続部72b、第2接続部72c及び第3接続部72gと同様に構成された本体部(ジョイント本体)73a、第1接続部73b、第2接続部73c及び第3接続部73gを備えるとともに、第4接続部73iを備えている。本体部73aには、ピン(図示せず)を外部から差し込むことが可能な貫通孔73fが形成されている。また、第1接続部73b、第2接続部73c及び第3接続部73gにはそれぞれ上記留め具63を挿入する挿入孔73d、73e、73hが形成されている。
【0061】
第4接続部73iは、第1接続部73b、第2接続部73c及び第3接続部73gと同様な板材で構成されている。第4接続部73iには、上記留め具63が挿入される挿入孔73jが形成されている。第4接続部73iの基端部は、本体部73aの外周面に例えば溶接等により固定されている。平面視で第1接続部73b及び第3接続部73gと、第4接続部73iとは互いに直交する方向へ突出している。また、第2接続部73cと、第4接続部73iとは、同一直線上に並ぶように配置されている。
【0062】
(ステージ足場の支持構造物)
次に、図1に示すように、ステージ足場1を支持する支持構造物90の構造について説明する。支持構造物90は、ステージ足場1を地面や床面等の設置面91から所定の高さで支持するための構造物であり、ステージ足場1の下方に配設される複数の支柱200と、複数のステージ足場用ジャッキ100と、複数の布材210とを備えている。支柱200は、円管材(筒状部材)からなるものであり、ステージ足場1の幅方向及び奥行方向に互いに間隔をあけて配設されている。支柱200の水平方向の位置は、当該支柱200の直上方に、デッキビーム20~32を構成している下側パイプ材41が位置付けられるように設定されている。支柱200の上部は円形に開口することによって上方に開放されている。支柱200の上端面は、当該支柱200が鉛直状態の時に水平となる面で構成されている。また、各支柱200の下部には、下部ジャッキ205が設けられているが、この下部ジャッキ205は省略してもよい。各支柱200には、複数のポケット200aが上下方向及び周方向に互いに間隔をあけて取り付けられている。
【0063】
布材210は、隣合う支柱200、200を連結するための部材であり、必要に応じて上下方向に複数本設けられる。布材210の両端部には、下方へ突出するクサビ210aがそれぞれ設けられている。クサビ210aは、支柱200のポケット200aに打ち込まれて固定されるようになっている。
【0064】
支持構造物90は、筋交い220を備えていてもよい。筋交い220も布材210と同様に、支柱200のポケット200aに固定される。
【0065】
図15図18に示すように、ステージ足場用ジャッキ100は、ねじ棒材110と、ねじ棒材110に螺合する螺合部材120と、ねじ棒材110の上部に固定されるクランプ130とを備えている。ねじ棒材110は、全体として上下方向に延びる円柱状をなしており、金属製の高強度な部材である。ねじ棒材110の外周面には、ねじ山110aが形成されている。この実施形態では、ねじ山110aがねじ棒材110の上部から下部まで連続して形成されているが、これに限らず、ねじ山110aは、ねじ棒材110の上下方向中間部のみに形成されていてもよいし、ねじ棒材110の上側部分のみに形成されていてもよいし、ねじ棒材110の下側部分のみに形成されていてもよい。
【0066】
ねじ棒材110の外径は、支柱200の内径よりも若干小さく設定されており、上部から下部まで同じ径となっている。これにより、ねじ棒材110を支柱200にその上部から挿入することが可能になる。ねじ棒材110の支柱200への挿入量は特に限定されるものではないが、例えば10cm以上とすることができる。ねじ棒材110の長さは、例えば20cm以上、または30cm以上に設定することができる。
【0067】
ねじ棒材110の上部には、当該ねじ棒材110の径方向外方に向けて延びる板材111が固定されている。板材111も金属製であり、板材111の下面がねじ棒材110の上部に溶接等によって固定されている。板材111は、例えば多角形状であってもよいし、円形であってもよい。
【0068】
螺合部材120は、ねじ棒材110のねじ山110aに螺合する筒状に形成されており、金属製の高強度な部材である。この実施形態では、螺合部材120が円筒状をなしているが、これに限られるものではなく、円筒状以外の形状であってもよい。螺合部材120の外径は、支柱200の外径と同じか、支柱200の外径よりも大きく設定されている。
【0069】
螺合部材120の下端面は、支柱200に挿入されたねじ棒材110に螺合した状態で水平となるように形成されている。ねじ棒材110は支柱200に挿入されているだけなので、ねじ棒材110に螺合した螺合部材120の下端面が支柱200の上端面に当接することにより、ねじ棒材110の落下が抑制されている。
【0070】
図16及び図18に示すように、ステージ足場用ジャッキ100は、螺合部材120に固定された操作用部材121を備えている。操作用部材121は、螺合部材120の外周面から径方向外方に向けて突出する棒材で構成されており、螺合部材120を回動操作するためのものである。この実施形態では、操作用部材121を2つ備えているが、これに限らず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。操作用部材121の上下方向の寸法は、螺合部材120の上下方向の寸法よりも短く設定されている。
【0071】
図15に示すように、クランプ130は、ステージ足場1を構成している下側パイプ材41を掴む器具である。図16にも示すように、クランプ130は、上側挟持部材131及び下側挟持部材132と、連結部材133と、締結部材134とを備えている。上側挟持部材131及び下側挟持部材132は、下側パイプ材41の外周面に上側及び下側からそれぞれ当接して該下側パイプ材41を径方向に挟持する部材である。上側挟持部材131及び下側挟持部材132は例えば金属製の板材等で構成されている。また、連結部材133は、上側挟持部材131及び下側挟持部材132を回動可能に連結するための部材である。また、締結部材134は、上側挟持部材131の先端側と下側挟持部材132の先端側とを互いに接近する方向に締結するための部材である。
【0072】
上側挟持部材131及び下側挟持部材132における連結部材133によって連結される側を、上側挟持部材131及び下側挟持部材132の「基端側」といい、上側挟持部材131及び下側挟持部材132における連結部材133によって連結される側とは反対側を、上側挟持部材131及び下側挟持部材132の「先端側」というものとする。上側挟持部材131及び下側挟持部材132の先端側が一端側であり、上側挟持部材131及び下側挟持部材132の基端側が他端側である。このようにクランプ130の方向を定義するのは説明の便宜を図るためだけであり、クランプ130の使用状態を限定するものではない。
【0073】
図16に示すように、下側挟持部材132の下面は、板材111の上面に固定されていて、ねじ棒材110に対して動かないようになっている。下側挟持部材132の上側部分には、下側パイプ材41の外形状に対応する円弧状に形成された下側円弧部132aが設けられている。図18に示すように、下側円弧部132aは、水平方向に間隔をあけて2つ設けられている。図16に示すように、下側挟持部材132の基端側は、先端側に比べて上方へ突出している。
【0074】
上側挟持部材131の下側部分には、下側パイプ材41の外形状に対応する円弧状に形成された上側円弧部131aが設けられている。上側円弧部131aは、水平方向に間隔をあけて2つ設けられている。下側挟持部材132の下側円弧部132aの上方に上側円弧部131aが位置している。2つの下側円弧部132aの間隔は、2つの上側円弧部131aの間隔よりも広く設定されている。
【0075】
上側挟持部材131の先端側は、基端側から離れる方向へ突出している。図18に示すように、上側挟持部材131の先端側には、切欠部131bが形成されている。この切欠部131bは、後述する締結軸部134aが挿入される部分であり、先端側に向けて開放されている。
【0076】
連結部材133は、例えば金属製の丸棒材等で構成することができ、水平方向に延びている。連結部材133が上側挟持部材131の基端側及び下側挟持部材132の基端側を貫通している。連結部材133に対して上側挟持部材131または下側挟持部材132が回動可能になっており、これにより、上側挟持部材131の先端側と下側挟持部材132の先端側とが互いに接離する方向に回動可能に、上側挟持部材131の基端側と下側挟持部材132の基端側とが連結部材133によって連結される。連結部材133の軸方向と、下側パイプ材41の軸方向とが一致するように、ステージ足場用ジャッキ100が設置される。
【0077】
締結部材134は、締結軸部134a、ナット134b及び支軸134cを備えている。締結軸部134aは、支軸134cによって下側挟持部材132の先端側に連結されている。支軸134cは連結部材133と平行に延びている。締結軸部134aは支軸134c周りに回動可能になっている。締結軸部134aの外周面にはねじ山が形成されている。
【0078】
ナット134bは、締結軸部134aのねじ山が形成されている部分に螺合する部材である。ナット134bのフランジ部が上側挟持部材131の切欠部131bの周縁部に当接するようになっている。
【0079】
クランプ130で下側パイプ材41を掴む際には、まず、ナット134bを緩めた後、締結軸部134aを回動させて上側挟持部材131の切欠部131bから抜く。締結軸部134aを切欠部131bから抜いた状態にすることで、上側挟持部材131を上方へ回動させることができ、これにより、上側挟持部材131の先端側と下側挟持部材132の先端側とが離れる。そして、下側パイプ材41を下側挟持部材132の下側円弧部132aに置いてから、上側挟持部材131の先端側と下側挟持部材132の先端側とが接近するように、上側挟持部材131を回動させる。その後、締結軸部134aを回動させて切欠部131bに挿入した後、ナット134bを締め込むと、ナット134bのフランジ部が上側挟持部材131の切欠部131bの周縁部に圧接する。これにより、上側挟持部材131の先端側と下側挟持部材132の先端側とが接近する方向に締結されるので、下側円弧部132a及び上側円弧部131aが共に下側パイプ材41の外周面に強く圧接する。
【0080】
図15に示すように、クランプ130は、下側パイプ材41を掴んだ状態で、ねじ棒材110の軸線の延長線400上に下側パイプ材41の軸線401が位置するように構成されている。ねじ棒材110の軸線は、支柱200の軸線と略一致しており、鉛直方向に延びているので、ねじ棒材110の軸線の延長線400も鉛直方向に延びることになる。一方、下側パイプ材41の軸線401は水平方向に延びている。したがって、ねじ棒材110の軸線の延長線400と、下側パイプ材41の軸線401とが直交する関係となるように、クランプ130のねじ棒材110に対する固定位置が設定されている。
【0081】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、螺合部材120を螺合させたねじ棒材110を支柱200に挿入すると、螺合部材120の下端面が支柱200の上端面に当接するので、クランプ130が支柱200から上方へ突出した状態で保持される。このクランプ130でステージ足場1を構成している下側パイプ材41を掴むことにより、ステージ足場1が支柱200及びステージ足場用ジャッキ100により所定の高さで支持される。クランプ130で掴まれているのは下側パイプ材41であるため、上側パイプ材40にパネル材3を設置する際にクランプ130が邪魔になることはない。
【0082】
ステージ足場1の高さ調整を行う際には、螺合部材120をねじ棒材110周りに回動させる。これにより、ねじ棒材110が螺合部材120に対して上下方向に移動するので、ステージ足場1を高くすることや、低くすることができる。螺合部材120の回動量を大きくすればステージ足場1の移動量が大きくなり、螺合部材120の回動量を小さくすればステージ足場1の移動量が小さくなるので、細かな高さ調整が容易に行える。また、螺合部材120には操作用部材121が固定されているので、作業者は螺合部材120を容易に回動させることができる。
【0083】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。上記実施形態では、クランプ130が円管材を掴むように構成されているが、これに限らず、クランプ130は、例えば角パイプを掴むクランプであってもよい。
【0084】
また、図19に示す別の実施形態に係るステージ足場用ジャッキ100では、クランプ130の首振り機構を備えていてもよい。この形態では、下側挟持部材132の下部に板状の第1取付部132cが下方へ突出するように形成されており、また、板材111の上面に板状の第2取付部111cが上方へ突出するように形成されている。第1取付部132c及び第2取付部111cは、それぞれ複数枚設けられている。第1取付部132c及び第2取付部111cの対応するもの同士が厚み方向に重なった状態となっている。第1取付部132c及び第2取付部111cには、水平方向に延びる軸部材140が貫通するように設けられている。第1取付部132cは、第2取付部111cに対して軸部材140によって回動可能に連結されている。これにより、クランプ130を板材111に対して水平軸周りに回動させること、即ち首振り動作が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上説明したように、本発明に係るステージ足場用ジャッキは、ステージ足場の高さ調整を行う場合に利用できる。
【符号の説明】
【0086】
1 ステージ足場
41 下側パイプ材
100 ステージ足場用ジャッキ
110 ねじ棒材
111 板材
120 螺合部材
130 クランプ
131 上側挟持部材
132 下側挟持部材
133 連結部材
134 締結部材
200 支柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
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図19