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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】介護用パンツ
(51)【国際特許分類】
   A41B 9/02 20060101AFI20231220BHJP
   A41D 13/00 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
A41B9/02 J
A41B9/02 G
A41D13/00 105
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023009572
(22)【出願日】2023-01-25
【審査請求日】2023-01-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523028471
【氏名又は名称】山縣 拓己
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】山縣 拓己
【審査官】岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3138427(JP,U)
【文献】特開2019-183339(JP,A)
【文献】特開2008-111215(JP,A)
【文献】実開平06-033904(JP,U)
【文献】実開平02-132602(JP,U)
【文献】登録実用新案第3172651(JP,U)
【文献】登録実用新案第3097960(JP,U)
【文献】登録実用新案第3080117(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 9/02
A41D 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一身頃と、前記第一身頃と接続する第二身頃とを備え、使用時に外部に露出する表面と身体側に隠れる裏面をもつ介護用パンツであって、
前記第一身頃は、パンツの側部にあたる位置で前記第二身頃と切り離れており、前記第一身頃本体と、前記第一身頃本体の裏面で重なるように接合し、側方に向けて張り出す張り出し部を有し、
前記張り出し部の表面側には、前記第二身頃の裏面と接続する接続手段が設けられ、
前記接続手段は、前記第一身頃と前記張り出し部の境界線に沿うように設けられる境界接続部を有し、
前記第二身頃の裏面には、前記境界接続部と着脱自在に接続する境界被接続部が、前記第二身頃の側方の端部である第二側面辺に沿うように設けられ、前記境界接続部と前記被境界接続部が接続した状態において、前記第一身頃と前記第二身頃が連続し、前記裏面が前記張り出し部の全体を被覆する介護用パンツ。
【請求項2】
前記境界接続部は、帯状部材である請求項1に記載の介護用パンツ。
【請求項3】
前記第一身頃又は前記第二身頃の少なくともいずれか一方は、端部の辺である側面辺と、陰茎を露出可能な窓部を有し、
前記側面辺から前記窓部までの距離は、境界接続部から前記張り出し部の端辺までの距離よりも長い請求項1に記載の介護用パンツ。
【請求項4】
前記接続手段はさらに、前記張り出し部の上端に沿って設けられている帯状の端部接続部を有し、
前記端部接続部と前記境界接続部は離間して設けられている請求項2に記載の介護用パンツ。
【請求項5】
前記張り出し部は、前記接続手段が取り付けられた状態において前記第二身頃の上を摺動可能な摺動部を有する請求項1~4の何れかに記載の介護用パンツ。
【請求項6】
前記接続手段は、面ファスナーであって、
前記第二身頃の所定位置には、前記面ファスナーに対応する被接続手段が設けられている請求項1~4の何れかに記載の介護用パンツ。
【請求項7】
前記張り出し部は、前記接続手段が接続された状態において、前記被接続手段を覆う請求項6に記載の介護用パンツ。
【請求項8】
前記張り出し部の色は、前記第一身頃と異なる請求項1~4の何れかに記載の介護用パンツ。
【請求項9】
第一身頃と、前記第一身頃と接続する第二身頃とを備え、
前記第一身頃は、パンツの側部に当たる位置で前記第二身頃と切り離れており、第一身頃本体と、前記第一身頃本体の裏面で重なるように側方に向けて張り出す張り出し部を有し、
前記張り出し部の表面側には、前記第二身頃の裏面と接続する接続手段が設けられ、
前記接続手段は、前記第一身頃と前記張り出し部の境界線に沿うように設けられる境界接続部を有し、
前記第二身頃の裏面には、前記境界接続部と着脱自在に接続する境界被接続部が、前記第二身頃の側方の端部である第二側面辺に沿うように設けられ、前記境界接続部と前記被境界接続部が接続した状態において、前記第一身頃と前記第二身頃が連続し、前記裏面が前記張り出し部の全体を被覆する介護用パンツの製造方法であって、
パンツの側部を切断する切断工程と、
前記第一身頃に前記張り出し部を接合する接合工程と、を含む介護用パンツの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護を行う際に作業負担を軽減するために用いるパンツに関する。
【背景技術】
【0002】
わが国では超高齢社会で介護の需要が大きく増大しており、介護をする者の負担は非常に大きなものとなっている。例えば被介護者がパンツに失禁したときには、被介護者はパンツを脱ぐために足を上げなければならず、これを処理するために多大な時間と労力を要する。
これに対してパンツの着脱を容易にするために、特許文献1、2のように足を上げずに着脱できるパンツが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-183339号公報
【文献】特開2010-70864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、特許文献1、2に記載のパンツでは、身体の外側に取付部を引っ張って取り付けるものであるので、その外観は一般的なオムツに似ているように見える。このような形態は被介護者に屈辱を与え、パンツを穿くことを拒否される場合があり、介護の負担を大きく上昇させる。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、外観をパンツと同等とすることが可能であり、介護にあたっての利便性および介護されるにあたっての快適性が高い介護用パンツを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本願発明は、第一身頃と、前記第一身頃と接続する第二身頃とを備え、使用時に外部に露出する表面と身体側に隠れる裏面をもつ介護用パンツであって、前記第一身頃は、側方に向けて張り出す張り出し部を有し、前記張り出し部には、前記第二身頃の裏面と接続する接続手段が設けられている介護用パンツである。
これにより、張り出し部を隠すことができるため通常のパンツと同様の外観を保ちながら、使用者におむつを穿かされている屈辱感を与えない快適な介護用パンツを提供できる。
【0007】
本発明の好ましい形態では、前記接続手段は、前記第一身頃と前記張り出し部の境界線の近傍に設けられる境界接続部を有する。
これにより、接続手段の位置決めを容易にできるようになるとともに、裏表を適切に利用可能になるため介護者の利便性を高めることができる。
【0008】
本発明の好ましい形態では、前記境界接続部は帯状部材である。
これにより、接続手段の強度を保ちつつ、位置決めの調整を容易にすることができる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記接続手段はさらに、前記張り出し部の上端に沿って設けられている帯状の端部接続部を有し、前記端部接続部と前記境界接続部は離間して設けられている。
このような構成によって、着用者が動作しても接続手段が外れにくくなり、使用者の違和感を軽減することができる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記接続手段は、面ファスナーであって、前記第二身頃の所定位置には、前記面ファスナーに対応する被接続部が設けられている。
これにより、接続手段の取り付けを容易にすることができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記張り出し部は、前記接続手段が接続された状態において、被接続手段を覆う。これにより、着用時の違和感を軽減することができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記第一身頃又は前記第二身頃の少なくともいずれか一方は、端部の辺である側面辺と、陰茎を露出可能な窓部とを有し、前記側面辺から前記窓部までの距離は、前記境界取付部から前記張り出し部の張り出し端辺までの距離よりも長い。これにより、窓部の使用を阻害することなく、使用感が通常のパンツと同等となる。
【0013】
本発明は、第一身頃と、前記第一身頃と接続する第二身頃とを備え、前記第一身頃は、側方に向けて張り出す張り出し部を有し、前記張り出し部には、前記第二身頃の裏面と接続する接続手段が、表面に設けられている介護用パンツの製造方法であって、パンツの側部を切断する切断工程と、前記第一身頃に張り出し部を接合する接合工程と、を含む介護用パンツの製造方法である。
これにより、従来のパンツを外観を損なわないまま介護用パンツに転用することが可能となり、使用者の屈辱感を軽減することができる。
【発明の効果】
【0014】
上記課題を解決する本発明は、外観や履き心地を通常のパンツと同等とすることが可能であり、介護にあたっての利便性が高い介護用パンツを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第一の実施形態に係る、裏面で広げた介護パンツの展開図である。
図2】本発明の第一の実施形態に係る、表面で広げた介護パンツの展開図である。
図3】本発明の第一の実施形態に係る、介護パンツの接続経過を表す説明図である。
図4】本発明の第一の実施形態に係る、接続手段によって接続された介護パンツの説明図である。
図5】本発明の第一の実施形態の別の方法に係る、介護パンツの接続経過を表す説明図である。
図6】本発明の第一の実施形態の別の方法に係る、接続手段によって接続された介護パンツの説明図である。
図7】本発明の第二の実施形態に係る、表面で広げた介護パンツの展開図である。
図8】本発明の第二の実施形態の変更例に係る、表面で広げた介護パンツの展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を用いて、本発明の各実施形態に係る介護用パンツXについて説明する。説明は、実施形態の構成、実施の方法、他の実施例の順に詳述する。
なお、以下に示す各実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の各実施形態に限定するものではない。
【0017】
≪第一の実施形態≫
介護用パンツXは、使用時において頂辺が使用者の腰に位置し、使用者の腹側又は背側の股間を覆う第一身頃1と、使用時において頂辺が使用者の腰に位置し、第一身頃が覆わない側の使用者の股間を覆う第二身頃2と、第一身頃1と第二身頃2を接続する股当て3を備えている。
図1及び図2に示す実施形態では、第一身頃1は背中側の股間を覆い、第二身頃2は腹側の股間を覆うこととしているが、逆であってもよい。
【0018】
第一身頃1、第二身頃2及び股当て3は、後述する第一の使用方法で使用した場合において使用者の身体と当接する表面Oと、外部に露出する裏面Iを有する。便宜のために、表面Oがある方向を表面側といい、裏面Iがある方向を裏面側と呼称する。
【0019】
第一身頃1は、使用時において使用者を覆う第一身頃本体11と、第一身頃本体11の頂辺の近傍に設けられて使用者の腰回りを保持する弾性部12と、を有する。
【0020】
第一身頃本体11は、略台形状の布材であって、ナイロンや綿等によって形成されている。また、第一身頃本体11の周囲は、使用時に腰に位置する頂辺111と、頂辺から下方に向けて延びる側面辺112と、使用者の足を出すことができる足出し辺113と、股当て3と接続する接続辺114と、を有する。
また、側面辺112からは、張り出し部4が側方に張り出すように設けられている。
【0021】
弾性部12は頂辺111の近傍に設けられているゴム紐部材であって、拡張収縮することで、使用者の腰の所定位置に介護パンツを保持できるようにしている。
【0022】
第二身頃2は、使用時において使用者を覆う第二身頃本体21と、第二身頃本体21の頂辺の近傍に設けられて使用者の腰回りを保持する第二弾性部22と、陰茎を露出可能で、第二身頃本体21を貫通する窓部23と、を有する。
【0023】
第二身頃本体21及び第二弾性部22の構造は、第一身頃本体11及び弾性部12の構造と略同一であり、第二身頃本体21は、第二頂辺211と、第二側面辺212と、第二足出し辺213と、第二接続辺214と、を有する。一方、張り出し部4に相当する部品は設けられていない。
【0024】
窓部23は、第二身頃本体21を貫通する孔部分であり、第二身頃本体21が重複しているところを押し広げることで開口が外部から視認できるように形成されている。また、窓部は側面方向略中央部に形成されている。
【0025】
股当て3は、接続辺114と、第二接続辺214との間にかけ渡される部材であって、強度を高めるために布等の補強部材があてがわれていてもよい。また、使用者が失禁した場合に備えて吸水性の部材が設けられていてもよく、後述する使用方法に備えて、該部材は股当て3の両面に設けられていてもよい。
【0026】
張り出し部4は、側面辺112から側方に延びるように、対称に設けられている、略四角形状に切り出された布材であって、ナイロンや綿で形成されている。張り出し部4は、側方に張り出す張り出し部本体41と、側面辺112の内側の第一身頃本体11と当接する重複部42と、取り付けられた状態で第二身頃上を摺動可能な摺動部43とを有する。
【0027】
張り出し部4の色は、少なくとも第一身頃1と異なる色とすることが好ましく、特に橙や黄色などの目立ちやすい色を使用すると良い。これにより、介護者は張り出し部4の位置を視認しやすくなり、使用者に取付けやすくできる。
【0028】
張り出し部本体41は、第一身頃本体11の側面辺112より突出し、略四角形状に延在する部材であって、側面辺112の頂端辺側の端部から足入れ側辺側の中途までを覆うように設けられている。好ましくは、側面辺112の頂端辺側の端部から1/5~4/5を覆うことが好ましい。足入れが幅広となるため介護者は足を入れやすくなり、使用者は動きやすくなる。
【0029】
また、張り出し部本体41の外縁は、頂端辺の延長線となるように設けられる張り出し延長辺411と、側面辺112と相対する張り出し端辺412と、張り出し端辺412から側面辺112に向かう張り出し底辺413と、からなる。なお、角部分は適宜面取り処理がなされていてもよい。
【0030】
また、張り出し部本体41の面積は、第二身頃2の面積の少なくとも半分よりも小さくなるように設けられており、好ましくは、張り出し部本体41が第二身頃2上に、側面辺112と第二側面辺212が重複するように置かれたときに、第二身頃2からはみ出す部分がなくなるように設けられる。これにより、見栄えを通常のパンツと同様にすることができる。
【0031】
重複部42は、張り出し部4において、第一身頃本体11と重なる部分であり、ここにおいて第一身頃1と張り出し部4が接続される。接続の方法は、縫合、接着、ボタン留め等の種々の手段が考えられるが、重複部42の縁辺を漏れなく接続することが好ましい。
実施形態において、重複部42は、介護パンツの裏面側で接続されているが、表面側で接続されていてもよい。
【0032】
摺動部43は、張り出し端辺412と張り出し底辺413を結んでなる略三角形の領域であり、当該辺の近傍が身頃等と接続されていないため、第二身頃2と当接したときに摺動する。第二身頃2と当接したときに滑りやすいように、摩擦を小さくする表面処理がなされていてもよい。好ましくは、第二身頃2と張り出し部4との間に発生する摩擦力は、使用者の皮膚と張り出し部4との間に働く摩擦力よりも大きくなるように設けられている。摺動部43が滑ることで、介護者は使用者に介護パンツを穿かせやすくできる。
【0033】
また、張り出し端辺412から側面辺112までの距離は、第二側面辺212から窓部23までの距離よりも短くなるように設けられているため、使用時に窓部の使用を阻害することがなくなる。
【0034】
接続手段5は、張り出し部4の表面側に設けられる境界接続部51及び端部接続部52、第二身頃2の裏面側に設けられる境界被接続部53及び端部被接続部54とからなる。
ここにおいて、接続手段5としては、面ファスナーが用いられることを想定しているが、線ファスナーや取り付け用ボタンなどの種々の手段を用いてもよい。
【0035】
境界接続部51は、張り出し部本体41の表面側において、側面辺112の近傍において、側面辺112が延びる方向に沿って設けられている面ファスナーである。
境界接続部51は、張り出し底辺413から離間するように設けられており、張り出し部が摺動できる摺動部43の範囲を広げている。
【0036】
端部接続部52は、張り出し部本体41の表面側において、張り出し延長辺411が延びる方向に沿って設けられている面ファスナーである。
端部接続部52と張り出し延長辺411とは隙間を空けて設けられている。これにより、使用者の腹部が接続部材の上端と当たりにくくなり、着用時の不快感を軽減できる。
また、張り出し端辺412と端部接続部52とは、離れて設けられている。これによって、使用時に端部被接続部54が張り出し部本体41によって覆われ、着用時の不快感を軽減できる。
なお、端部接続部52と張り出し延長辺411とは略隙間を空けないようにして設けられていてもよい。これにより外側から張り出し部4が視認されにくくなる。また、端部接続部52は張り出し延長辺411からはみ出していてもよい。
【0037】
境界被接続部53は、第二身頃本体21の裏面側において、第二側面辺212の近傍で、第二側面辺212が延びる方向に沿って設けられている面ファスナーである。
第二側面辺212から境界被接続部53までの距離が、側面辺112から境界接続部51までの距離と略同一か少し大きくなるように設けられていることによって、張り出し部4が外部から視認されにくくしている。
このように接続されることで、元のパンツと外観や大きさを変えることなく違和感のない介護パンツとなる。
【0038】
端部被接続部54は、第二身頃本体21の裏面側において、第二頂辺211の近傍で、第二頂辺211に沿って設けられている面ファスナーである。
実施形態においては、第二弾性部22の上において、その端部から中心部に向けて左右対称になるように設けられている。これにより、弾性部の長さを若干調整できる。
【0039】
境界接続部51と端部接続部52とは、図2に示すように間隔を空けて設けられている。好ましくは、該間隔は3mm以上であり、より好ましくは5mm以上であり、さらに好ましくは8mm以上である。これにより、第二弾性部22に対して張り出し部4が上下左右方向に若干変形できるため、介護者が穿かせやすくなるとともに、装着時の違和感が軽減され、さらに面ファスナーが外れにくくなる。
【0040】
以下、図1図6を用いて、本発明の実施の方法について詳述する。本発明は、使用者に介護用パンツXを装着させる介護者によって実施される。また、以下に示す実施の方法は一例であり、実施の方法はこれに限られず、順番は前後してもよい。
【0041】
《製造方法》
介護用パンツXは、既製品のパンツX’を改造することによっても得ることができる。以下において既存のパンツX’の製造方法を詳述する。なお製造は、パンツX’を改造する製造者によって行われる。
【0042】
まず、製造者は、切断工程として、パンツX’の側面を縫い目に沿って切断する。これにより、第一身頃1側に側面辺112が、第二身頃2側に第二側面辺212が形成される。
【0043】
次に、製造者は布材を所定の形状に切り出し、これを張り出し部4とする。その後製造者は、第一身頃本体11に重複部42が重複するように乗せ置く。この際、少なくとも側面辺112と重複するようにする。
【0044】
その後、製造者は、接合工程として、第一身頃本体11と重複部42を縫合、接着によって接合する。
【0045】
《第一の使用方法》
まず、介護者は図1のように介護用パンツXを広げ、股当て3の裏面を使用者の股間にあてがう。
【0046】
次に、使用者は、図3のように張り出し部本体41を使用者の腰回りに巻き付けるように変形させ、その後、境界接続部51と境界被接続部53、端部接続部52と端部被接続部54とを接続することで、図4のように介護用パンツを使用者に穿かせる。境界接続部51によって、使用者は通常のパンツと同じ一定の履き心地を得ることができる。
【0047】
なお、別の方法として、使用者は、張り出し部本体41の一方と、第二身頃本体21の対応する側の第二側面辺212を把持し、境界接続部51と境界被接続部53とを接合させ、その後、第二側面辺212を把持していた手を第二頂辺に持ち替えて、端部接続部52と端部被接続部54とに接続するやり方であってもよい。境界接続部51で最初に大まかに位置決めができるようになるため、力がいらずに取り扱いやすい。
【0048】
上記の使用方法によって、介護者は、外観を通常のパンツと同等にして使用者に介護用パンツを穿かせることができる。また、使用者は履き心地の良い介護用パンツを穿くことができる。
【0049】
《第二の使用方法》
本発明の別の使用方法として、以下のような方法で使用することもできる。
まず、使用者は、図2のように介護用パンツXを広げ、股当て3の表面を使用者の股間にあてがう。
【0050】
次に、使用者は図5のように第二身頃本体21を使用者の下腹部に巻き付けるように変形させ、その後、境界接続部51と境界被接続部53、端部接続部52と端部被接続部54とを接続することで、図6のように介護用パンツを使用者に穿かせる。
なお、段落0047に示したように、片方ずつ接続手段5を接続してもよい。
【0051】
本発明は上記の方法によっても接続手段の全てを有効に利用した使用が可能になる。これにより、介護者は、自身のやりやすいような介護用パンツの穿かせ方を選択することができるようになり、介護にあたっての利便性がより高まる。
【0052】
《第二の実施形態》
本発明は、図7、8に示すように女性用のパンティーにも適用することができる。ここにおいて、第一の実施形態と同様の構成については。同一の符号を用いて説明を省略する。
実施形態に係る発明は、第一身頃1と、第二身頃2と、股当て3を備え、さらに第一身頃には側方に突出する張り出し部4を有する。
また、張り出し部4には、境界接続部51と、端部接続部52が設けられている。
【0053】
実施形態において、第一身頃本体11の幅の方が第二身頃本体21よりも大きい。張り出し部4を広めにとることができるようになるとともに、背中側の面積を広げることで履き心地をよくすることができる。
当該構成は、介護用パンツXの製造方法における切断工程において、第一身頃1と第二身頃2とを結んでいる縫い目から見て第二身頃(前身頃)側で介護用パンツXを切断することによって得られる。
【0054】
図8には、境界接続部51としてボタンを使用した変更例が記載されている。
境界接続部51のボタンは、側面辺112に沿うように張り出し部4上に配置されており、さらに張り出し延長辺411に沿うように配置された面ファスナーである端部接続部52の股当て3側に隣接して設けられている。接続手段5は、フックやスナップボタン等、係止、篏合を用いた種々の接続方法に変更してもよい。
【符号の説明】
【0055】
X 介護用パンツ
X’ パンツ
1 第一身頃
11 第一身頃本体
111 頂辺
112 側面辺
113 足出し辺
114 接続辺
12 弾性部
2 第二身頃
21 第二身頃本体
211 第二頂辺
212 第二側面辺
213 第二足出し辺
214 第二接続辺
22 第二弾性部
23 窓部
3 股当て
4 張り出し部
41 張り出し部本体
411 張り出し延長辺
412 張り出し端辺
413 張り出し底辺
42 重複部
43 摺動部
5 接続手段
51 境界接続部
52 端部接続部
53 境界被接続部
54 端部被接続部
O 表面
I 裏面
【要約】
【課題】
外観や履き心地を通常のパンツと同等とすることが可能であり、介護にあたっての利便性が高い介護用パンツを提供することを目的とする。
【解決手段】
上記課題を解決する本願発明は、第一身頃1と、第一身頃1と接続する第二身頃2とを備え、使用時に外部に露出する表面Oと身体側に隠れる裏面Iをもつ介護用パンツXであって、第一身頃1は、側方に向けて張り出す張り出し部4を有し、張り出し部4には、第二身頃2の裏面と接続する接続手段5が設けられている介護用パンツである。
【選択図】図3

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8