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特許7406281墨出し器設置具、墨出し装置、支持架台設置方法、収容体設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-19
(45)【発行日】2023-12-27
(54)【発明の名称】墨出し器設置具、墨出し装置、支持架台設置方法、収容体設置方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20231220BHJP
   G01C 15/02 20060101ALI20231220BHJP
   E04G 21/18 20060101ALI20231220BHJP
【FI】
G01C15/00 103C
G01C15/02
G01C15/00 105R
E04G21/18 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023014174
(22)【出願日】2023-02-01
【審査請求日】2023-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2022108493
(32)【優先日】2022-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591133273
【氏名又は名称】カナフジ電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144749
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正英
(74)【代理人】
【識別番号】100076369
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正治
(72)【発明者】
【氏名】金子 和弘
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-105534(JP,A)
【文献】特開2004-219381(JP,A)
【文献】特開2003-254752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 15/00
G01C 15/02
E04G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持架台を設置する際に使用するレーザ墨出し器用の設置具において、
前記設置具は本体を備え、
前記本体は、レーザ墨出し器を載せる載せ部と、前記支持架台に嵌合する嵌合部を備えた、
ことを特徴とする墨出し器設置具。
【請求項2】
請求項1記載の墨出し器設置具において、
本体は枠体と載せ台を備え、
載せ部が前記載せ台に設けられ、
嵌合部が前記枠体に設けられた、
ことを特徴とする墨出し器設置具。
【請求項3】
請求項2記載の墨出し器設置具において、
枠体に支持架台が通過可能な開口部が設けられ、
載せ台は前記開口部を開閉可能に前記枠体に連結された、
ことを特徴とする墨出し器設置具。
【請求項4】
請求項2記載の墨出し器設置具において、
枠体に回転体が回転可能に設けられ、
前記回転体に嵌合部材が設けられ、
嵌合部が前記嵌合部材に設けられた、
ことを特徴とする墨出し器設置具。
【請求項5】
請求項2記載の墨出し器設置具において、
枠体に持ち手が設けられた、
ことを特徴とする墨出し器設置具。
【請求項6】
請求項1記載の墨出し器設置具において、
レーザ墨出し器に設けられた保持具又はレーザ墨出し器のカバーに設けられた保持具を固定する保持具固定部を備えた、
ことを特徴とする墨出し器設置具。
【請求項7】
請求項1記載の墨出し器設置具において、
本体は曲げ加工された一又は二以上の板材で構成された、
ことを特徴とする墨出し器設置具。
【請求項8】
墨出し装置において、
レーザ墨出し器と、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の墨出し器設置具を備え、
前記墨出し器設置具の載せ部に前記レーザ墨出し器が載置された、
ことを特徴とする墨出し装置。
【請求項9】
支持架台の設置方法であって、
基準となる支持架台を設置し、
請求項8記載の墨出し装置の墨出し器設置具の嵌合部に前記支持架台が嵌合するように、当該墨出し装置を当該支持架台上に設置し、
前記支持架台上に設置された墨出し装置のレーザ墨出し器からレーザ光を照射し、
前記レーザ光を目印として二つ目以降の支持架台を設置する、
ことを特徴とする支持架台設置方法。
【請求項10】
支持架台を用いて電線類を収容する収容体を設置する方法において、
請求項9記載の支持架台設置方法によって予定数の支持架台を設置し、
設置された支持架台に予定数の収容体を設置する、
ことを特徴とする収容体設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ墨出し器を設置するための墨出し器設置具、当該墨出し器設置具を備えた墨出し装置、当該墨出し装置を用いた支持架台設置方法及び当該支持架台設置方法を用いた収容体設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物に電線やケーブル、制御線等(以下、これらをまとめて「電線類」という)を配設する際には、金属ダクトや金属線ぴ、ケーブルラック等(以下、これらをまとめて「収容体」という)が使用される。
【0003】
収容体の設置には、天井や壁などに数mおきに設置される支持架台が使用される。通常、収容体は、所望長となるように長手方向に複数本連結して使用される。架台の高さ(レベル)が揃っていないと収容体の高さにずれが生じることから、支持架台はレベルを揃えることが要求される。
【0004】
従来、高所でのレベル出しを行う装置として、レーザ発光器を着脱可能な取付け台と、取付け台に立設された連結部と、連結部背面に取り付けられた磁石具と、連結部の上部に略水平方向に取り付けられた引掛け板とを備えた墨出し器(特許文献1)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-219381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1記載の墨出し器の取付け台は、柱等に取り付けて使用するものであり、取付け台を別の柱等に付け替える際に、取付け台の取付け位置の調整に手間がかかるという難点がある。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、取付け位置の調整が容易な墨出し器設置具、当該墨出し器設置具を備えた墨出し装置、当該墨出し装置を用いた支持架台設置方法及び当該支持架台設置方法を用いた収容体設置方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[墨出し器設置具]
本発明の墨出し器設置具は、支持架台を設置する際に使用するレーザ墨出し器用の設置具であって、本体を備え、当該本体がレーザ墨出し器を載せる載せ部と、支持架台に嵌合する嵌合部を備えたものである。
【0009】
[墨出し装置]
本発明の墨出し装置は、レーザ墨出し器と本発明の墨出し器設置具を備え、墨出し器設置具の載せ部にレーザ墨出し器が載置されたものである。
【0010】
[支持架台設置方法]
本発明の支持架台設置方法は、基準となる支持架台を設置し、本発明の墨出し装置の墨出し器設置具の嵌合部に支持架台が嵌合するように、墨出し装置を支持架台上に設置し、支持架台上に設置された墨出し装置のレーザ墨出し器からレーザ光を照射し、レーザ光を目印として二つ目以降の支持架台を設置する方法である。
【0011】
[収容体設置方法]
本発明の収容体設置方法は、支持架台を用いて電線類を収容する収容体を設置する方法であって、本発明の支持架台設置方法によって予定数の支持架台を設置し、設置された支持架台に予定数の収容体を設置する方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来に比べて取付け位置の調整が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の墨出し器設置具の一例を示すものであって、(a)は載せ台を枠体に載せた状態の斜視図、(b)は載せ台をスライドさせて開口部を開いた状態の説明図。
図2】本発明の墨出し装置の一例を示す斜視図。
図3】本発明の墨出し器設置具の他例を示す斜視図。
図4図3の墨出し器設置具の下方斜視図。
図5】(a)は図3の墨出し器設置具の嵌合部材を回転させる前の斜視図、(b)は図3の墨出し器設置具の嵌合部材を回転させた後の斜視図。
図6】(a)は非回転の墨出し器設置具を用いた場合のレーザ光の照射範囲の説明図、(b)は回転の墨出し器設置具を用いた場合のレーザ光の照射範囲の説明図。
図7】本発明の墨出し器設置具の他例を示す斜視図。
図8図7の墨出し器設置具を備えた墨出し装置の他例を示す斜視図。
図9】(a)~(c)は吊り下げ式の支持架台の設置手順の説明図。
図10】(a)は吊り下げ式の支持架台の一例を示す斜視図、(b)は固定式の支持架台の一例を示す斜視図。
図11】(a)は目盛り付きプレートを取り付けた吊り下げ式の支持架台の一例を示す正面図、(b)は基準となる支持架台と他の支持架台の位置合わせ方法の説明図。
図12】(a)~(c)は固定式の支持架台の設置手順の説明図。
図13】(a)は吊り下げ式の支持架台への収容体の設置方法の一例を示すもの、(b)は固定式の支持架台への収容体の設置方法の一例を示すもの。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(墨出し器設置具の実施形態1)
本発明の墨出し器設置具30の一例を、図面を参照して説明する。一例として図1(a)(b)に示す墨出し器設置具30は、本体として枠体10と載せ台20を備えている。
【0015】
前記枠体10は、墨出し器設置具30の骨格となる部分である。枠体10は、たとえば、アルミニウム製の角形管や等辺山形鋼(アングル)、その他の部材等で構成することができる。アルミニウム製の管で構成することで軽量化することができ、高所への持ち運びが容易になる。枠体10はアルミニウム以外で構成することもできる。
【0016】
この実施形態の枠体10は、平面視正方形状の上枠部11と、上枠部11の四隅から下向きに突設された四本の脚部12と、上枠部11に設けられた嵌合部材13を備えている。
【0017】
前記上枠部11は、第一上枠部11a、第二上枠部11b、第三上枠部11c及び第四上枠部11dを備えている。第一上枠部11aと第三上枠部11c同士は対向する位置に平行に設けられ、第二上枠部11bと第四上枠部11d同士は対向する位置に平行設けられている。
【0018】
方形状の上枠部11の四隅には、四本の脚部12が下向きに突設されている。四本の脚部12は同じ長さであり、互いに平行になるようにしてある。第一上枠部11aの長手方向両端側から下向きに突設された二本の脚部12(第一脚部12a、第二脚部12b)の下端には、第一上枠部11aと平行な第一横材12eが架設されている。
【0019】
同様に、第三上枠部11cの長手方向両端側から下向きに突設された二本の脚部12(第三脚部12c、第四脚部12d)の下端には、第三上枠部11cと平行な第二横材12fが架設されている。
【0020】
第二上枠部11bと第四上枠部11dの間には、一端側が第二上枠部11bに連結され、他端側が第四上枠部11dに連結された嵌合部材13が設けられている。嵌合部材13は支持架台50が嵌合する嵌合部14を形成する部材である。この実施形態では、嵌合部材13が間隔をあけて平行に二本設けられている。各嵌合部材13は、等辺山形鋼(アングル)や角形管等で構成することができる。
【0021】
両嵌合部材13a、13bの間には、支持架台50に嵌合する凹陥状の嵌合部14が設けられている。両嵌合部材13a、13bの上面には、作業者が墨出し器設置具30を持ち運ぶ際に用いる持ち手15が設けられている。この実施形態の持ち手15は下向きコ字状であり、両嵌合部材13a、13bに跨る位置に設けられている。持ち手15は両嵌合部材13a、13bの長手方向中央又は略中央の位置に設けられている。
【0022】
持ち手15の長手方向両端側には図示しない抜止め具が装着され、持ち手15を持ち上げても脱落しないようにしてある。持ち手15の形状や設置位置はこれ以外であってもよい。また、持ち手15は必要に応じて設ければよく、不要な場合には省略することもできる。
【0023】
両嵌合部材13a、13bの長手方向両端寄りの位置には、レーザ墨出し器24(図2)又はそのカバー(図示しない)に取り付けられた保持具(たとえば、ベルトや紐)を固定するための保持具固定部16が設けられている。保持具固定部16の形状や設置位置はこれ以外でもよい。また、保持具固定部16は必要に応じて設ければよく、不要な場合には省略することができる。
【0024】
第一脚部12aと第二脚部12bの間であって、第一横材12eの上側の位置には、載せ台20を支持する支持軸17が設けられている。支持軸17で支持された載せ台20は、図1(b)に示すように、スライドさせられるようにしてある。
【0025】
このように構成された枠体10は、正面及び背面から見た場合には四方が囲われた四角形状であり、左側面及び右側面から見た場合には、下側が開放された(開口部18を備えた)下向きコ字状の形状を有する。この開口部18は載せ台20によって開閉できるようにしてある。ここで説明した枠体10の構成は一例であり、枠体10の構成はこれ以外であってもよい。
【0026】
前記載せ台20は、レーザ墨出し器24(図2)を載せる部分である。この実施形態の載せ台20は平面状の載せ部21と、載せ部21の幅方向両端に上向きに設けられた側壁部22を備えている。両側壁部22にはその長手方向に沿って長孔22aが設けられている。載せ台20は、両長孔22aに挿通された支持軸17でスライド可能に支持されている。
【0027】
載せ部21の中央部には円形の貫通孔23が設けられている。この貫通孔23は、下方向にレーザを発光する場合に利用する孔である。貫通孔23の形状や設置位置はこれ以外であってもよい。また、貫通孔23は必要に応じて設ければよく、不要な場合には省略することができる。
【0028】
(墨出し器設置具の実施形態2)
本発明の墨出し器設置具30の他例を、図面を参照して説明する。この実施形態の墨出し器設置具30の基本的な構成は前記実施形態1と同様である。異なるのは、枠体10を回転可能な構造とした点である。
【0029】
図3に示すように、この実施形態の枠体10は、平面視正方形状の上枠部11と、上枠部11の四隅から下向きに突設された四本の脚部12を備えている。上枠部11と脚部12は、前記実施形態1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0030】
上枠部11の内側には方形状の天板71が設けられている。図4に示すように、天板71の裏面(下側の面)には円形板状の回転体72が設けられている。回転体72は天板71に回転可能に取り付けられている。
【0031】
具体的には、回転体72の裏面側から上向きに挿通された二本のボルト73が、天板71に間隔をあけて形成された二つの弧状のガイド孔71aに挿通され、両ボルト73のうち、ガイド孔71aを通過した部分にナット74が締結されることで、天板71に回転体72が回転可能に取り付けられている。
【0032】
回転体72の裏面には下向きコ字状の嵌合部材13が設けられている。嵌合部材13の対向する下向き面13c、13dの間には、支持架台50に嵌合する凹陥状の嵌合部14が形成されている。一方の下向き面13cには、嵌合部14に嵌合した支持架台50を固定する固定具75が設けられている。
【0033】
図4に示す例では、固定具75は嵌合部材13の長手方向に間隔をあけて二つ設けられているが、固定具75の数は二つより多くても少なくても良い。不要な場合、固定具75は省略することもできる。
【0034】
回転体72には、実施形態1と同様の下向きコ字状の持ち手15が取り付けられている。持ち手15は、天板71の上側から、天板71のガイド孔71aよりも内側(中心寄りの位置)に形成された弧状の挿通孔71bを通って回転体72に固定されている。
【0035】
このように構成された墨出し器設置具30では、図5(a)(b)に示すように、嵌合部材13を回転させることができ、結果として枠体10の設置角度を変えることができる。
【0036】
枠体10の設置角度が固定されている場合、現場によっては、図6(a)のように、レーザ光が脚部12に当たって陰になる部分(図6(a)の網掛け部分)が発生することがある。
【0037】
これに対し、本実施形態のように嵌合部材13を回転可能な構成とすることで、陰になる部分をずらすことができ、脚部12の陰になってレーザ光が届かなかった部分にも、図6(b)のようにレーザ光を届かせることができる。
【0038】
本実施形態の墨出し器設置具30では、枠体10を移動することなくレーザ光の届く範囲を変えられるため、レーザ光が脚部12に当たって陰になる部分が発生するような現場においても、作業効率を維持できるというメリットがある。
【0039】
(墨出し器設置具の実施形態3)
本発明の墨出し器設置具30の他例を、図面を参照して説明する。一例として図7及び図8に示す墨出し器設置具30は、曲げ加工した一又は二以上の板材で構成された本体を備えている。本体には、墨出し装置40を載せる平面状の載せ部21と、支持架台50が嵌合する嵌合部14が設けられている。
【0040】
この実施形態の本体は、一枚の板材を折り曲げて構成されている。具体的には、載せ部21から上向きに折り曲げられた第一垂直部14aと、第一垂直部14aから水平に折り曲げられた水平部14bと、水平部14bから下向きに折り曲げられた第二垂直部14cを備えている。軽量化のため、水平部14b及び第二垂直部14cの中央部は切り欠かれている。
【0041】
第一垂直部14a、水平部14b及び第二垂直部14cの内側には、支持架台50が収まる嵌合部14が形成されている。載せ部21は、支持架台50が嵌合部14に収まるように支持架台50の上側からセットされ、第一垂直部14aに設けられた固定具31で支持架台50に固定される。なお、本体は二枚以上の板材で構成することもできる。
【0042】
図7に示すように、載せ部21には、レーザ墨出し器24を固定するための墨出し器固定具32が設けられている。載せ部21に載置されたレーザ墨出し器24は、当該墨出し器固定具32で載せ部21に固定される。
【0043】
前記各実施形態の構成は一例であり、本発明の墨出し器設置具30の構成は本実施形態の構成に限定されるものではない。本発明の墨出し器設置具30は、その要旨を変更しない範囲で、構成の追加、省略、入れ替え等の変更を加えることができる。
【0044】
(墨出し装置の実施形態)
本発明の墨出し装置40の一例を、図面を参照して説明する。ここでは、墨出し器設置具30が前記墨出し器設置具の実施形態1で説明した墨出し器設置具30の場合を一例とするが、他の実施形態の墨出し器設置具30の場合も同様である。一例として図2に示す墨出し装置40は、レーザ墨出し器24と墨出し器設置具30を備えている。
【0045】
レーザ墨出し器24には、既存の又は新規のものを用いることができる。たとえば、水平方向や垂直方向、鉛直方向等にレーザ光を照射できるものなどを用いることができる。レーザ墨出し器24は電池式のもの等を用いることができる。
【0046】
レーザ墨出し器24にカバーが付いている場合、当該カバーごと載せ台20に載置することができる。載せ台20上のレーザ墨出し器24又はそのカバーに保持具が設けられている場合、当該保持具を保持具固定部16に連結することで、レーザ墨出し器24の不用意な落下を防止することができる。
【0047】
レーザ墨出し器24やそのカバーに保持具が付属していない場合には、市販されているベルトや紐などの保持具を別途用意し、その保持具を用いてレーザ墨出し器24を固定することもできる。
【0048】
本実施形態の構成は一例であり、本発明の墨出し装置40の構成は本実施形態の構成に限定されるものではない。本発明の墨出し装置40は、その要旨を変更しない範囲で、構成の追加、省略、入れ替え等の変更を加えることができる。
【0049】
(支持架台設置方法の実施形態)
本発明の支持架台設置方法の一例を、図面を参照して説明する。ここでは、墨出し器設置具30が前記墨出し器設置具の実施形態1の墨出し器設置具30の場合を一例とするが、他の実施形態の墨出し器設置具30を用いる場合も、同様の方法で支持架台50を設置することができる。
【0050】
この実施形態の支持架台設置方法は、基準となる支持架台50を設置し、墨出し装置40の墨出し器設置具30の嵌合部14に支持架台50が嵌合するように墨出し装置40を支持架台50上に設置し、支持架台50上に設置された墨出し装置40のレーザ墨出し器24からレーザ光を照射し、レーザ光を目印として二つ目以降の支持架台50を設置する方法である。
【0051】
図9(a)に示すように、本発明の支持架台設置方法では、基準となる支持架台50を設置する。支持架台50には既存の又は新規のものを用いることができる。既存のものとしては、たとえば、図10(a)に示すような、天井などから吊り下げる吊り下げ式のものや、図10(b)に示すような、壁や柱などの構造物に固定する固定式のもの等が挙げられる。
【0052】
図10(a)に示す吊り下げ式の支持架台50は、間隔をあけて平行に配置された二本の吊り部材51と、収容体60(図13(a)(b))を載せる収容体載せ部52を備えた上向きコ字状の部材である。二本の吊り部材51は縦方向に長い棒材であり、収容体載せ部52は両吊り部材51の下端側に架設されている。ここで示した吊り下げ式の支持架台50は一例であり、吊り下げ式の支持架台50として、これ以外のものを用いることもできる。
【0053】
図10(b)に示す固定式の支持架台50は、構造物に固定する固定部53と、収容体60(図13(a)(b))を載せる収容体載せ部54を備えたL字状部材である。収容体載せ部54は固定部53の上端部に、固定部53に対して垂直に突設されている。L字状に連結された固定部53と収容体載せ部54の側面には、側面板55が設けられている。ここで示した固定式の支持架台50は一例であり、固定式の支持架台50として、これ以外のものを用いることもできる。
【0054】
図9(a)に示すように基準となる支持架台50を設置した後、嵌合部14に当該支持架台50が嵌合する(収まる)ように、墨出し装置40を支持架台50上に設置する(図9(b))。墨出し装置40の設置は、載せ台20にレーザ墨出し器24を載せた状態で行うことも、取り外した状態で行うこともできる。
【0055】
たとえば、支持架台50が図10(a)に示すような吊り下げ式の支持架台50の場合、載せ台20をスライドさせて開口部18を開放した状態(図1(b)参照)で、収容体載せ部52を両脚部12の間を通過させることで、吊り下げ式の支持架台50を嵌合部14に嵌合させることができる。この場合、吊り下げ式の支持架台50を嵌合部14に嵌合させたのち、載せ台20をスライドさせて開口部18を閉じる(図1(a)参照)。
【0056】
一方、支持架台50が図10(b)に示すような固定式の支持架台50の場合、枠体10の開口部18を開放しなくとも、枠体10の両脚部12間に収容体載せ部54が収まるように、枠体10を収容体載せ部54の自由端側からセットすることで、固定式の支持架台50を嵌合部14に嵌合させることができる。
【0057】
墨出し装置40を支持架台50上に設置した後、墨出し装置40のレーザ墨出し器24からレーザ光を照射する(図9(c))。支持架台50が吊り下げ式の支持架台50の場合、図11(a)に示すような目盛り付きプレート56を用いることができる。
【0058】
一例として図11(a)に示す目盛り付きプレート56は、縦長の板材の表面に目盛りが振られたものである。目盛りは目盛り付きプレート56の上端縁(収容体載せ部52の下端縁)からの距離がわかるように、上端縁からの距離(寸法)が示されている。板材はマグネットで構成され、収容体載せ部52に磁力によって接着できるようにしてある。
【0059】
目盛り付きプレート56を用いる場合、図11(b)に示すように、レーザ墨出し器24の照射位置P1と収容体載せ部52の下端縁P2の距離D1(ここでは、一例として50mmとする)を測っておく。この距離D1は、支持架台50を設置する際の基準距離となる。
【0060】
距離D1を計った後、目盛り付きプレート56を取り付けた支持架台50の当該目盛り付きプレート56にレーザ光をあて、当該レーザ光が目盛り付きプレートの50mmに当たるように支持架台50を上下に移動して、支持架台50の取付け高さを特定する。
【0061】
以後、同様にして予定数の支持架台50を設置し、支持架台50の設置を完了させる。なお、三つ目以降の支持架台50を設置する際には、二つ目の支持架台50に取り付けた目盛り付きプレート56を外して別の支持架台50に付け替える。これにより、墨出し器設置具30を最初の支持架台50から移動させなくても、目盛り付きプレート56が次の支持架台50の設置時に邪魔になることはない。
【0062】
また、本実施形態の方法では、最初に基準となる支持架台50に墨出し装置40を設置すれば、墨出し装置40を移動させる必要がなく、墨出し装置40の位置合わせの手間がかからない。仮に墨出し装置40の移動を伴うとしても、位置が確定した支持架台50に設置すれば、別途墨出し装置40の位置合わせを行う必要はなく、墨出し装置40の位置合わせの手間がかからない。
【0063】
この実施形態では、基準となる支持架台50に近い位置から支持架台50を設置する場合を一例としているが、基準となる支持架台50から遠い位置に設置する支持架台50から設置するようにしてもよい。この場合、墨出し装置40の移動回数を少なくすることができ、結果として作業効率を向上させることができる。
【0064】
ここでは、支持架台50が吊り下げ式の場合を一例としているが、支持架台50が固定式の場合、図11(a)に示すような目盛り付きプレート56は使わなくても良い。代わりに、レーザ光を壁などに照射し、その壁に映るレーザ光を目印にして、支持架台50を設置することができる。
【0065】
具体的には、基準となる支持架台50を設置したのち(図12(a))、嵌合部14に支持架台50が嵌合するように墨出し装置40を支持架台50上に設置し(図12(b))、当該墨出し装置40の載せ台20上のレーザ墨出し器24から支持架台50を設置する壁に向けてレーザ光を照射する(図12(c))。
【0066】
この場合、吊り下げ式の支持架台50の場合と同様に、レーザ墨出し器24の照射位置P1と収容体載せ部54の下端縁P2の距離D1(ここでは50mmとする)を測っておく。この距離D1は、支持架台50を設置する際の基準距離となる。
【0067】
作業者は、レーザ光から距離D1の位置を測り、その位置に収容体載せ部54の上端縁が位置するように位置合わせを行い、その位置に支持架台50を取り付ける(図12(c))。以後、同様にして予定数の支持架台50を設置し、支持架台50の設置を完了させる。このようにすることで、目盛り付きプレート56を用いなくても、予定数の支持架台50を予定の位置に設置することができる。
【0068】
なお、前記墨出し器設置具の実施形態3で説明した墨出し器設置具30を用いる場合、墨出し装置40によっては、水平部14bの中央部の切り欠かれた部分にレーザ光を当てることで、目盛り付きプレート56を使用しなくても、予定数の支持架台50を予定の位置に設置することができる。
【0069】
本実施形態の構成は一例であり、本発明の支持架台設置方法の構成は本実施形態の構成に限定されるものではない。本発明の支持架台設置方法は、その要旨を変更しない範囲で、構成の追加、省略、入れ替え等の変更を加えることができる。
【0070】
(収容体設置方法の実施形態)
本発明の収容体設置方法の一例を、図面を参照して説明する。この実施形態の収容体設置方法は、前記支持架台設置方法の実施形態によって予定数の支持架台50を設置し、設置された支持架台50に予定数の収容体60を設置する方法である。支持架台設置方法は前述のとおりである。なお、設置する支持架台50の予定数は現場ごとに設定される数である。
【0071】
図13(a)(b)に示すように、予定数の支持架台50の設置後、当該支持架台50に収容体60を設置する。収容体60は、予定長の設置路が形成されるように、長手方向に複数本並べて使用される。各収容体60の長さにもよるが、各収容体の支持には複数本(たとえば、二本や三本)の支持架台50が使用される。換言すれば、各収容体60は複数本の支持架台50に跨って配置される。
【0072】
この実施形態では、支持架台50をすべて設置した後に収容体60を設置する場合を一例として説明しているが、支持架台50の設置と収容体60の設置は並行して行うこともできる。
【0073】
たとえば、予定長を複数区画に分割し、各区画分の支持架台50の設置が完了したタイミングで当該区画分の収容体60を設置し、以降、同様に区画ごとに支持架台50の設置と収容体60の設置を行うようにすることもできる。
【0074】
なお、図示は省略しているが、予定数の収容体60を設置して予定長の設置路が完成すると、当該設置路への電線類の敷設が行われる。
【0075】
本実施形態の構成は一例であり、本発明の収容体設置方法の構成は本実施形態の構成に限定されるものではない。本発明の収容体設置方法は、その要旨を変更しない範囲で、構成の追加、省略、入れ替え等の変更を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の墨出し器設置具、墨出し装置、支持架台設置方法、収容体設置方法は、建築物の種類を問わず、また、屋内に設置されるか屋外に設置されるかを問わず、電線類の配線が必要な各種施設において、広く利用することができる。
【符号の説明】
【0077】
10 枠体
11 上枠部
11a 第一上枠部
11b 第二上枠部
11c 第三上枠部
11d 第四上枠部
12 脚部
12a 第一脚部
12b 第二脚部
12c 第三脚部
12d 第四脚部
12e 第一横材
12f 第二横材
13、13a、13b 嵌合部材
13c、13d 下向き面
14 嵌合部
14a 第一垂直部
14b 水平部
14c 第二垂直部
15 持ち手
16 保持具固定部
17 支持軸
18 開口部
20 載せ台
21 載せ部
22 側壁部
22a 長孔
23 貫通孔
24 レーザ墨出し器
30 墨出し器設置具
31 固定具
32 墨出し器固定具
40 墨出し装置
50 支持架台
51 吊り部材
52 収容体載せ部
53 固定部
54 収容体載せ部
55 側面板
56 目盛り付きプレート
60 収容体
71 天板
71a ガイド孔
71b 挿通孔
72 回転体
73 ボルト
74 ナット
75 固定具
D1 距離
P1 照射位置
P2 下端縁
【要約】
【課題】 取付け位置の調整が容易な墨出し器設置具及び墨出し装置と、墨出し装置を用いた支持架台設置方法及び収容体設置方法を提供する。
【解決手段】 本発明の墨出し器設置具は本体を備え、当該本体がレーザ墨出し器を載せる載せ部と、支持架台に嵌合する嵌合部を備えたものである。本発明の墨出し装置はレーザ墨出し器と墨出し器設置具を備え、墨出し器設置具の載せ部にレーザ墨出し器が載置されたものである。本発明の支持架台設置方法は、基準となる支持架台を設置し、嵌合部に支持架台が嵌合するように墨出し装置を支持架台上に設置し、レーザ墨出し器からレーザ光を照射し、レーザ光を目印として二つ目以降の支持架台を設置する方法である。本発明の収容体設置方法は、支持架台設置方法によって予定数の支持架台を設置し、設置された支持架台に予定数の収容体を設置する方法である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13